説明

再生信号評価装置、再生信号評価方法、制御プログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】記録密度が高い場合においても精度よく、取得した情報の評価結果が得られる再生信号評価装置を提供する。
【解決手段】再生信号評価装置は、前記再生信号データから、予め記録されている所定のデータパターンを検出し、検出した所定のデータパターンを基に前記再生信号データから抽出再生信号データを抽出する信号抽出回路31と、前記抽出再生信号データから前記評価値を演算する演算回路10とを備え、前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長、またはそれより長いビット長である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生信号評価装置に関し、特に高精度な再生信号評価が可能な再生信号評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像情報や音声情報をはじめとする各種の情報がデジタル化されるにつれて、デジタル情報の量が飛躍的に増大してきた。これに伴い、大容量化高密度化に適した記録媒体、および、記録再生装置の開発が進められている。そして、高密度化した記録媒体に記録されている情報の評価、および、それらの記録媒体を再生する記録再生装置の記録再生特性の評価が重要となってきている。
【0003】
従来から、記録媒体に記録されている情報の評価、および、記録再生装置の記録再生特性の評価には、再生信号の信号レベルを測定して評価することが行われている。
【0004】
しかしながら、記録媒体に記録されている情報の記録密度が高い場合、短マークの信号レベル(振幅)の低下による信号品質の悪化が問題となっている。このように、記録密度が高い場合の信号品質の悪化を改善するために、特許文献1には、最もビット長が短い最短ビット長を除いた再生信号の信号レベルの測定方法が提案されている。
【特許文献1】特開2001−291325号公報(公開日2001年10月19日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、最短ビット長を除いて再生信号の信号レベルの測定を行うため、最短ビットの評価が行われない。このため、例えば最短マークの形状が正しく形成されていない場合などには、それが、評価結果に反映されないため、適切な評価結果が得られないという問題があった。
【0006】
しかしながら、最短ビットを含めて、再生信号の信号レベルの評価を行おうとすると、上述したように、信号レベルのばらつきが大きくなることにより再生信号の品質が低下し、正確な再生信号を得ることが困難であった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてされたものであり、その目的は、記録密度が高い場合においても精度よく、取得した情報の評価結果が得られる再生信号評価装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる再生信号評価装置は、記録媒体から再生信号を取得し、取得した再生信号をデジタル変換した再生信号データの信号レベルから、前記取得した再生信号の品質を評価する評価値を計算する再生信号評価装置において、前記再生信号データから、予め記録されている所定のデータパターンを検出し、検出した所定のデータパターンを基に上記再生信号データから抽出再生信号データを抽出する信号抽出手段と、前記抽出再生信号データから前記評価値を演算する演算手段とを備え、前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長、またはそれより長いビット長であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明にかかる再生信号評価方法は、記録媒体から再生信号を取得し、取得した再生信号をデジタル変換した再生信号データの信号レベルから、前記取得した再生信号の品質を評価する評価値を計算する再生信号評価方法において、前記再生信号データから、予め記録されている所定のデータパターンを検出し、検出した所定のデータパターンを基に上記再生信号データから抽出再生信号データを抽出する信号抽出ステップと、前記抽出再生信号データから前記評価値を演算する演算ステップとを備え、前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長、またはそれより長いビット長であることを特徴としている。
【0010】
これにより、前記信号抽出手段または前記信号抽出ステップは、前記再生信号データの信号レベルに影響を受けない所定のデータパターンを前記再生信号データから検出することができる。そして、前記信号抽出手段または前記信号抽出ステップは、前記検出した所定のデータパターンを基に前記再生信号データから抽出再生信号データを抽出するため、バラツキが少なく、正確な抽出再生信号データを抽出することができる。そして、前記演算手段または前記演算ステップは、バラツキが少なく、正確に抽出された前記抽出再生信号データから評価値を演算するため、バラツキが少なく、正確に評価値を演算することができる。
【0011】
このため、前記記録媒体の記録密度が高い場合においてもバラツキが少なく、正確な評価値を演算することができる。従って、前記記録媒体の記録密度が高い場合においても、記録媒体から取得する再生信号の品質が低下することを抑制することができる。
【0012】
また、本発明にかかる再生信号評価装置における前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルが符号間干渉の影響を受ける範囲のビット長、またはそれより長いビット長であることが好ましい。
【0013】
例えば、所定のデータパターンが符号間干渉により影響を受けるビット長である場合、符号間干渉の影響を受けた前記所定のデータパターンの信号レベルは低下する。この場合、前記信号抽出手段により検出される所定のデータパターンの信号レベルにバラツキが生じるため、前記演算手段により演算される評価値にもバラツキが生じ、正確に評価値を演算することができない。
【0014】
しかしながら、所定のデータパターンのビット長を、前記再生信号データの信号レベルが符号間干渉の影響を受ける範囲のビット長、またはそれより長いビット長とすれば、前記演算手段は、バラツキを抑えた正確な評価値を演算することができる。
【0015】
また、本発明にかかる再生信号評価装置における前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルの飽和値に対して、当該信号レベルが90%となるビット長であることが好ましい。
【0016】
上記構成とすることにより、前記信号レベルが飽和した値に対して90%の信号レベルであれば、バラツキの少ない評価値を演算することができる。このため、評価値を正確に演算することができ、取得する情報の品質の低下を抑制することができる。
【0017】
さらに、本発明にかかる再生信号評価装置における前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルの飽和値に対して、当該信号レベルが95%となるビット長であることが好ましい。これにより、前記再生信号データの信号レベルの飽和値に対して、信号レベルが90%である場合と比較して、さらにバラツキの少ない評価値を演算することができる。すなわち、さらに正確に、前記評価値の演算をすることが可能となる。
【0018】
また、本発明にかかる再生信号評価装置における前記所定のデータパターンは、複数のビットからなり、前記評価値の演算は、前記複数のビットのうち、略中央に位置するビットを用いることが好ましい。
【0019】
これにより、より確実に信号レベルに影響を受けないビットにより前記評価値を演算することになるので、よりバラツキが少なく、より正確な評価値を演算することができる。
【0020】
また、本発明の再生信号評価装置は、前記抽出再生信号データに対しデータの補間を行い、前記補間されたデータである補間データを前記演算手段に出力する補間手段を備えていることが好ましい。
【0021】
これにより、前記演算手段は、データが補間された前記抽出再生信号データにより評価値の演算を行うことになる。このため、例えば、前記抽出再生信号データのピークレベルまたはボトムレベルを取得したい場合などで、より正確にピークレベルまたはボトムレベルを取得することができる。このため、前期演算手段は、より正確に前記評価値を演算することができる。
【0022】
また、本発明の再生信号評価装置は、前記再生信号データを2値化データに復号し、前記復号した2値化データを前記信号抽出手段に出力する復号手段を備えていることが好ましい。
【0023】
例えば、前記再生信号データから所定のデータパターンを検出する方法としは、セクタマーク等のタイミングマークを基準として所定のデータパターンを検出する方法なども考えられる。しかしながら、上記構成とすることにより、前記信号抽出手段は、2値化データから前記所定のデータパターンを検出することになるので、より正確に、目的とする所定のデータパターンの位置を特定することができる。
【0024】
また、本発明の再生信号評価装置における前記所定のデータパターンは、前記所定のデータパターンは、第1のデータパターンと、第2のデータパターンとを含み、前記抽出再生信号データは、第1の抽出再生信号データと、第2の抽出再生信号データとを含み、前記第1のデータパターンは、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲に1つ短マークまたは短スペースを含むデータパターンであり、前記第2のデータパターンは、前記短マークより長いマーク長を有する長マーク、または前記短スペースより長いスペース長を有する長スペースを、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲に1つ含むデータパターンであり、前記演算手段は、前記第1のデータパターンにより抽出された前記第1の抽出再生信号データと、前記第2のデータパターンにより抽出された前記第2の抽出再生信号データとから前記評価値を演算することが好ましい。
【0025】
これにより、短マークまたは短スペースおよび長マークまたは長スペースに対応するデータパターンを検出することができる。このため、短マークまたは短スペースに対応するデータパターンから抽出された前記第1の抽出再生信号データと、長マークまたは長スペースに対応するデータパターンから抽出された前記第2の抽出再生信号データとから評価値が演算されることが可能となる。また、前記検出された短マークまたは短スペースおよび長マークまたは長スペースに対応するデータパターンは、前記再生信号データの信号レベルに影響を受けないため、前記第1の抽出再生信号データおよび前記第2の抽出再生信号データは、バラツキが少なく、正確に抽出されることができる。従って、前記第1の抽出再生信号データおよび前記第2の抽出再生信号データから演算される前記評価値もバラツキが少なく、正確に演算されることが可能となる。
【0026】
また、本発明の再生信号評価装置における前記演算手段によりされる演算値はアシンメトリであることが好ましい。
【0027】
これにより、アシンメトリは、前記評価値を感度よく演算することができるため、正確に評価値を演算することができる。
【0028】
また、本発明の再生信号評価装置の前記演算手段によりされる演算値は変調度であることが好ましい。
【0029】
これにより、前記変調度は、前記評価値を感度よく演算することができるため、正確に評価値を演算することができる。
【0030】
また、本発明の再生信号評価装置における前記所定のデータパターンは第3のデータパターンを含み、前記抽出再生信号データは、第3の抽出再生信号データを含み、前記第3のデータパターンは、短マークと短スペースとが反復的に繰り返されるデータパターンであり、前記演算手段は、前記第3のデータパターンにより抽出された前記第3の抽出再生信号データから評価値を演算することが好ましい。
【0031】
これにより、前記所定のデータパターンと隣接するデータパターンが、前記所定のデータパターンの信号レベルに及ぼす影響を評価することができる。このため、より正確に、所定のデータパターンの信号レベルに及ぼす影響を排除し評価値の演算を行うことができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明にかかる再生信号評価装置は、記録媒体から再生信号を取得し、取得した再生信号をデジタル変換した再生信号データの信号レベルから、前記取得した再生信号の品質を評価する評価値を計算する再生信号評価装置において、前記再生信号データから、予め記録されている所定のデータパターンを検出し、検出した所定のデータパターンを基に前記再生信号データから抽出再生信号データを抽出する信号抽出手段と、前記抽出再生信号データから前記評価値を演算する演算手段とを備え、前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長、またはそれより長いビット長である構成である。
【0033】
また、本発明にかかる再生信号評価方法は、記録媒体から再生信号を取得し、取得した再生信号をデジタル変換した再生信号データの信号レベルから、前記取得した再生信号の品質を評価する評価値を計算する再生信号評価方法において、前記再生信号データから、予め記録されている所定のデータパターンを検出し、検出した所定のデータパターンを基に上記再生信号データから抽出再生信号データを抽出する信号抽出ステップと、前記抽出再生信号データから前記評価値を演算する演算ステップとを備え、前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長、またはそれより長いビット長である方法である。
【0034】
それゆえ、記録密度が高い場合においても精度よく、取得した情報の評価結果が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一実施形態について図1〜図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0036】
本実施の形態においては、本発明による再生信号評価装置を光ディスク装置20に応用した例を示す。
【0037】
ここで、本実施形態において、「記録密度」とは、記録媒体に記録されている情報(マーク)の読み取り方向(円回転方向)の密度のことをさすものとする。
【0038】
また、本実施形態において使用する「アイパターン」とは、再生信号の品質を直感的に評価する際に一般的に良く用いられている指標のことをさす。
【0039】
そして、本実施形態において使用する「2Tマーク」とは、記録媒体に記録されている情報(マーク)をさし、2ビットに相当する長さを有する情報(マーク)をさす。なお、「3Tマーク」または「8Tマーク」等についても同様に、3ビットまたは8ビットに相当する長さを有する情報(マーク)をさす。また、2Tマークは、1−7変調パターンにおける最短マーク長(最も短いマークの長さ)である。
【0040】
図1に光ディスク装置20のブロック図を示す。
【0041】
図1に示すように、光ディスク装置20は、媒体(記録媒体)1と、ピックアップ2と、プリアンプ回路3と、A/D変換器4と、等化回路5と、復号回路6と、信号抽出回路(信号抽出手段)31と、補間回路(補間手段)9と、演算回路(演算手段)10と、記録制御回路11とからなる。また、信号抽出回路31は、検出回路7と、バッファ回路8とからなる。
【0042】
媒体1は、情報を記録または読み出し(再生)する担体であり、本実施の形態において例では、光ディスクである。媒体1に記録されている情報は、ピックアップ2により記録または読み出される(再生される)。
【0043】
ピックアップ2は、レーザ光を媒体1に照射することにより、媒体1に記録されている情報を取得、または媒体1に情報を記録するためのものである。ピックアップ2は、媒体1から取得した情報を再生信号として、プリアンプ回路3に出力する。また、ピックアップ2は、記録制御回路11の指示に基づき媒体1に情報を記録する。
【0044】
プリアンプ回路3は、再生信号の調整を行うためのものである。プリアンプ回路3は、ピックアップ2から出力される再生信号に対して、適切な振幅(信号レベル)となるように信号の増幅、および不要な直流電位の除去等を行う。そして、プリアンプ回路3は、調整した再生信号である調整再生信号をA/D変換器4に出力する。
【0045】
A/D変換器4は、プリアンプ回路3から出力される調整再生信号をデジタル化するためのものである。A/D変換器4は、調整再生信号をデジタル化すると再生信号データとして、等化回路5およびバッファ回路8へと出力する。なお、再生信号データは、例えば8ビットのA/D変換器4を用いた場合、256段階の離散的なレベルを有する信号である。また、A/D変換器4のサンプリングに用いられるクロック信号は、図示しないPLL(Phase Locked Loop)回路から供給される。再生信号データの詳細については後述する。
【0046】
等化回路5は、再生信号データに対して、減衰した高周波成分を補正する信号処理を行う。そして、等化回路5は、再生信号データの高周波成分を補正した補正再生信号データを復号回路6へ出力する。
【0047】
また、復号回路6は、補正再生信号データを、所定の方法により復号処理し、「1」または「0」の2つのレベルを持つ2値化データへ変換する。復号処理の方法としては種々のものが考案されているが、記録密度の高い光ディスクの再生を行う場合、PRML(Partial Response Maximum Liklyhood)復号が一般に用いられる。PRML復号では、媒体1に記録されている情報の高密度化による符号間干渉を仮定して復号処理を行うので、符号間干渉により信号品質の劣化した再生信号データであっても復号処理が可能である。なお、符号間干渉について詳細は後述する。
【0048】
検出回路7は、復号回路6により復号処理された2値化データの中から所定のデータパターンを検出する。そして、検出回路7は、所定のデータパターンを検出すると、検出した時点を示すタイミング信号であるTrig信号と、検出されたデータパターンの種類を示すType信号を出力する。検出回路7は、Trig信号をバッファ回路8に出力し、Type信号を演算回路10に出力する。
【0049】
バッファ回路8は、再生信号データを一時的に記憶する。復号回路6による復号処理には、一定の時間が必要なため、その時間に相当する間だけ出力を遅延させる必要があるためである。バッファ回路8は、記憶している再生信号データから、検出回路7から出力されたTrig信号を起点として、所定の長さの再生信号データを抽出する。そして、抽出した再生信号データを抽出再生信号データとして補間回路9に出力する。
【0050】
補間回路9は、A/D変換器4のサンプリング間隔の間における再生信号データを補間により求める。そして、抽出再生信号データを補間したデータである補間データを演算回路10に出力する。
【0051】
演算回路10は、検出回路7の出力であるType信号、及び、補間回路9の出力である補間データにより再生信号の評価値を求める。評価値は再生信号の品質を評価するための値であり詳細は後述する。得られた評価値を基にして、記録制御回路11では、再生信号の品質が向上するように、記録パラメータの制御を行う。そして、記録制御回路11は、記録パラメータに基づき、媒体1に情報を記録するための指示をピックアップ2に出力する。
【0052】
〔記録密度と再生信号の変化〕
次に、図2(a)、図2(b)および図3(a)、図3(b)を用い、媒体1に記録されている情報(マーク)が高密度化するにつれ、再生信号の品質が低下することについて説明する。
【0053】
図2(a)は、媒体1に記録されている2Tマーク周辺の再生信号データを表し、記録されている2Tマークの記録密度が低い場合を表すグラフである。
【0054】
図2(b)は、媒体1に記録されている2Tマーク周辺の再生信号データを表し、記録されている2Tマークの記録密度が高い場合を表すグラフである。図2(a)および図2(b)に示す再生信号データは、図1におけるA/D変換器4の出力に相当する。
【0055】
図2(a)および図2(b)では、媒体1として、マークを読み込むと読み込んだ再生信号データの信号レベル(信号の強度)が低下する記録媒体を用いた場合を示している。
【0056】
一般的に、記録密度が高くなった場合、アイパターンの線が太くなり、その結果として、アイパターンの中心のいわゆる「目」の部分が小さくなることが知られている。この点について実験により詳細に調査した。
【0057】
図2(a)および図2(b)では、異なる長さの複数のマーク(ランダムデータ)が記録された媒体1から読み込んだ再生信号のうち、2Tマーク周辺の再生信号データ50個を1つのグラフ中に重ね書きしている。すなわち、図2(a)および図2(b)中の各曲線は、媒体1における異なる地点に記録されている2Tマークを読み込んだ場合の再生信号データを示している。
【0058】
ここで、図2(a)および図2(b)のそれぞれの4の位置に示す矢印は、2Tマーク位置を示す。また、図2(a)および図2(b)に示す各曲線は、矢印の位置が2Tマークである点は共通であるが、上記読み込んだ位置の2Tマークに隣接する位置のマーク長(マーク読み取り方向のマークの長さ)、または、スペース長(マーク読み取り方向であって、互いに隣接するマークとマークとの間の長さ)は様々である。
【0059】
図2(a)に示すように、媒体1に記録されているマークの記録密度が低い場合、2Tマーク位置における再生信号データの信号レベルのばらつきは小さい。一方、図2(b)に示すように、媒体1に記録されているマークの記録密度が高い場合、2Tマーク位置における再生信号データの信号レベルのばらつきは大きくなる。
【0060】
図2(a)および図2(b)に示す結果を得た実験においては、再生光波長λ=405nm、対物レンズのNA=0.85、トラックピッチ(スペース長)=0.32μmについては共通であり、記録密度のみが異なっている。図2(a)においては、最短マーク長、すなわち2Tマーク長が150μmであるのに対して、図2(b)おいては、最短マーク長は100μmであった。すなわち図2(a)に示す実験の記録密度に比べて、図2(b)に示す実験の記録密度は、1.5倍である。また、上記のλとNAにより理論的に計算される解像限界は、マーク長120μmであるが、図2(b)では、それよりも短いマーク長が記録されていることになり、非常に高い記録密度であると言える。
【0061】
つづいて、図2(a)および図2(b)のそれぞれの再生信号データの信号レベルのばらつきを定量的に示すため、2Tマーク位置における再生信号データの信号レベルをヒストグラムとしたものを図3(a)および図3(b)に示す。図3(a)は、記録密度が低い場合の再生信号データの信号レベルのヒストグラムを示すグラフである。また、図3(b)は、記録密度が高い場合の再生信号データの信号レベルのヒストグラムを示すグラフである。そして、再生信号データの信号レベルのばらつきを表す統計値であるσの値を図3(a)、図3(b)のそれぞれのグラフ中に示す。
【0062】
図3(a)のグラフに示すヒストグラムのσは2.8であるのに対し、図3(b)のグラフに示すヒストグラムのσは10.6である。従って、図3(b)に示すσの値の方が大きい。すなわち、記録密度が高い場合、σが大きくなっていることが定量的に示されている。
【0063】
光ディスクの再生信号の評価においては、再生信号データの信号レベル(振幅)を評価値として一般的に用いるが、以上説明したように、記録密度が高い場合、信号レベルのばらつきが大きく、その結果、得られる信号レベルのばらつきも大きくなってしまい、評価値の信頼性が低下してしまう。この結果、再生信号の品質が低下してしまう。この、再生信号データの信号レベルのばらつきの原因については、種々の要因が考えられるが、それらの内、支配的な要因が何であるかについては、これまで明確にされることはなかった。
【0064】
本実施の形態においては、符号間干渉とスポットサイズとの関係、及び、それらと信号レベルのばらつきとの関連性に着目し、信号レベルのばらつきの低減を実現した。このことについて、以下に詳細に説明する。
【0065】
〔マーク長と再生信号について〕
次に、図4(a)および図4(b)を用い、媒体1に記録されているマークのマーク長が相対的に長い場合に、ピックアップ2が出力する再生信号と、媒体1に記録されているマーク長が相対的に短い場合に、ピックアップ2が出力する再生信号とについて説明する。
【0066】
図4(a)は、マーク長が長い場合のマークと、このマークを読み出した場合の再生信号とを示し、図4(b)は、マーク長が短い場合のマークと、このマークを読み出した場合の再生信号とを示している。
【0067】
ピックアップ2はローパスフィルタと等価な特性を有する光学系を含んでいる。このため、媒体1に記録されたマーク長が短くなると、すなわち、ピックアップ2により読み出される情報の空間周波数が高くなると、ピックアップ2から出力される再生信号の信号レベルが低下する。
【0068】
図4(b)に示すマーク長のように、図4(a)に示すマーク長と比較してマーク長が短い場合、再生信号データの信号レベルの変化が小さく、再生信号データの信号レベルが低下する。
【0069】
また、図4(a)および図4(b)に示すように、マーク長の信号レベルの低下のみならず、マーク端部よりも広い範囲に、なだらかに、信号レベルが変化する領域が広がる現象が見られる。この現象は、隣接するマークまたはスペースの信号レベルに影響を与え、一般的には、符号間干渉として知られている。そして、符号間干渉は、図4(a)に示すように、マーク長が長い場合の方が、符号間干渉が広がる幅が広いことが分かる。
【0070】
本実施の形態においては、符号間干渉がスポットサイズとの関係から決まる有限の範囲にしか影響を与えない点に着目し、その範囲に含まれるデータパターンを確定することにより信号レベルのばらつきを低減することを可能とした。
【0071】
この点について図5を用い説明する。
【0072】
図5は、媒体1に記録されているマークと、ピックアップ2が再生信号を取得する領域であるスポットを表す模式図である。
【0073】
図5においては、スポットを破線円で示しており、その中心位置Pに1つだけマークがある場合を示している。そして、ピックアップ2は、上記スポットから媒体1に記録されている情報を再生信号として読み込む。すなわち、スポットの直径(スポットサイズと称す)が検出回路7で検出する所定のデータパターンのビット長となる。
【0074】
ここで、仮に、スポット内に、他のマークも形成されている場合、そのマークを読み出した場合の再生信号には、上述したように符号間干渉が含まれている。従って、中心位置Pに形成されているマークを読み出した場合の再生信号は、スポット内に形成されている他のマークまたはスペースを読み出した場合の再生信号の影響を受ける。
【0075】
すなわち、図5に示すように、スポット内に1つだけマークがある場合と、2つまたはそれ以上のマークが存在する場合では、例え中心位置Pに存在するマーク長が同じであっても、得られる再生信号データの信号レベルが異なる。言い換えると、スポット中に含まれるマークおよびスペースのパターン、すなわちデータパターンが同一であれば、同一の再生信号レベルが得られることになる。更に具体的に言えば、スポット半径をrとすれば、P−rからP+rまでの範囲のデータパターンが同一であれば良い。スポットサイズであるP−rからP+rまでが、再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長である。
【0076】
ここで、図5に示すスポットサイズは、一般に光学分野で用いられるスポットサイズとは異なる。光学分野においては、半値幅、1/e、エアリーディスク径などが用いられるが、いずれも、レーザ光の照射方向に垂直な方向の断面における光強度分布のレベルによりスポットサイズを規定するものである。すなわち、再生信号の信号レベルとスポットサイズとの関係については、全く考慮されていない。
【0077】
一方、本実施の形態では、再生信号(すなわち再生信号データ)の信号レベルに影響を与える範囲のことをスポットサイズと呼んでいるので、これら従来から光学分野において用いられてきたスポットサイズをそのまま用いることはできない。
【0078】
次に、スポットサイズを求める方法について図6、図7を用い説明する。
【0079】
図6は、複数のマークを含むようにレーザ光が照射されている様子を表す説明図である。また、図7は、スペース長と信号レベルとの関係を表すグラフである。
【0080】
スポットサイズを求める方法としては、種々の方法が考えられるが、本実施の形態においては、図6に示す方法を用いた。図6では、スポット中心に1つのマークM2が存在しており、その前後にもスペースを挟んでマークM1およびM3が存在する。
【0081】
ここで、マークM1とマークM2との間、およびマークM2とマークM3との間のスペースのスペース長をdとした場合、スペース長dを徐々に大きくしていくと、最終的には、マークM1およびマークM3はスポット外に位置することになる。
【0082】
そして、スポット中心のマークM2のみがスポット中に残る。それ以上は、いくらスペース長dを大きくしても、マークM2に対して前後のマークM1およびM3はスポット外に存在するので、再生信号データの信号レベルには影響はない。
【0083】
すなわち、スペース長dを徐々に大きくしていき、再生信号データの信号レベルの変化がなくなった点を特定できれば、その時点で、マークM2に対して前後のマークであるマークM1およびマークM3がスポット外となったことがわかる。
【0084】
このように、再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長、およびそれより長いビット長を求めることができる。
【0085】
言い換えると、スポット内にマークM1およびマークM3が存在するスポットサイズは、マークM2がマークM1およびマークM3の符号間干渉の影響を受ける範囲のビット長である。
【0086】
図7に、スペース長dと信号レベルとの関係を表す実験結果を示す。なお、図7に示す実験結果においては、マークM2として最短マークである2Tを用いたが、スポットサイズと比較して短いマーク長であれば良く、最短マークに限定されるものではない。
【0087】
図7に示すように、スペース長dを徐々に大きくしていくと、d=6Tにおいて、再生信号データの信号レベルが飽和している。再生信号データの信号レベルに影響を与えるスペース長dの範囲としては、飽和した再生信号データの信号レベルに比べて、再生信号データの信号レベルが所定の割合となるときのスペース長dにより規定することができる。
【0088】
例えば、d=6Tにおける再生信号データの信号レベル、すなわち飽和した再生信号データの信号レベルは25である。そして、飽和した再生信号データの信号レベルに対して90%の再生信号データの信号レベルとなるスペース長dを求め、それにより再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲を規定できる。この場合、飽和した再生信号データの信号レベルに対する割合は、最終的に得られる再生信号データの信号レベルのバラツキに影響を与えるので重要である。実験による検討の結果、飽和した再生信号データの信号レベルに対して、90%となる範囲とすれば、再生信号のバラツキを低減する効果が認められ、更に望ましくは、95%となる範囲とするのが良いことが判明した。
【0089】
すなわち、再生信号のバラツキを低減する効果を得るために、再生信号データの信号レベルの飽和値に対して90%となるようにスポットサイズを規定することが好ましく、さらに、再生信号データの信号レベルの飽和値に対して95%となるようにスポットサイズを規定することがより好ましい。
【0090】
図7に示す実験結果において、これを適用すると、飽和した再生信号データの信号レベルは25なので、その90%の再生信号レベルは、25×0.9=22.5である。この再生信号データの信号レベルに対応するスペース長dとして、d=4Tが求められる。同様に、最適な条件である95%の再生信号データの信号レベルは、25×0.95=23.75である。この再生信号データの信号レベルに対応するスペース長dとして、図7より、d=5Tが求められる。
【0091】
以下、最適条件であるd=5Tの場合のスポットサイズについて説明する。d=5Tの場合のスポットサイズは、この実験においては、スポット中心のマークM2は2Tマークであったので、5T×2+2T=12Tと求められる。
【0092】
次に、図8、図9を用い、上記のように求めたスポットサイズに相当するデータパターンの再生信号データの信号レベルのバラツキについて説明する。
【0093】
図8は、再生信号データを表すグラフである。そして図9は、図8に示す再生信号データの信号レベルのヒストグラムを表すグラフである。
【0094】
上記のようにして、再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲、すなわちスポットサイズが求められたので、12Tに相当する長さのデータパターンを特定して、再生信号レベルのばらつきを実験により評価した。ここでは、図2(b)に示した実験結果と比較するため、スポット中心のマーク長が2Tとなるデータパターンとして、000001100000という12ビットのパターンの2T位置での再生信号データの信号レベルのばらつきを評価した。結果を図8および図9に示す。図8においては、上記12ビットのパターンに一致する箇所を再生信号中から抽出し、それに対応する再生信号データを重ね書きしている。図8の7の位置に示す矢印の箇所が2Tマーク位置を示している。
【0095】
図8および図9に示す実験結果においては、図2(b)および図3(b)に示す実験結果と同じ記録密度であるにもかかわらず、再生信号データの信号レベルのばらつきが大きく低減できていることがわかる。特に、図9に示すσの値は3.3であり、図3(a)に示す記録密度が低い場合のσの値である2.8とほぼ同程度にまで改善されている。
【0096】
以上の実験結果は、スポットサイズとほぼ等しい範囲のビットパターンを特定した場合であるが、前述のように、スポット外のビットパターンは再生信号データの信号レベルに何ら影響を与えないのであるから、スポットサイズより広い範囲のビットパターンを特定しても同様の結果が得られることは明らかである。
【0097】
以上、詳細に説明したように、再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長のデータパターンを特定し、それに対応する再生信号データを評価に用いるという本発明の原理によれば、記録密度が高い場合であっても、得られる再生信号データの信号レベルのばらつきを大幅に低減できる。
【0098】
〔光ディスク装置20の装置動作〕
次に、図10を用い、本実施の形態の原理を光ディスク装置20に応用した場合の光ディスク装置20の装置動作について詳細に説明する。各部の概略の機能については、前述の通りなので、本発明の特徴に関連する箇所について、更に詳しく説明する。
【0099】
図10は、光ディスク装置20の処理の流れを表すフローチャートである。
【0100】
ピックアップ2は、媒体1にレーザ光を照射することにより、媒体1に形成されているマークから再生信号として情報を取得する。そして取得した再生信号をプリアンプ回路3に出力する。プリアンプ回路3は、ピックアップ2から出力される再生信号を検出すると、検出した再生信号に対し適切な振幅(信号レベル)となるように信号の増幅、および不要な直流電位の除去等の調整を行い、調整再生信号としてA/D変換器4に出力する。
【0101】
A/D変換器4は、プリアンプ回路3から出力される調整再生信号を検出すると、検出した調整再生信号をデジタル化し(S1)、再生信号データとして、等化回路5およびバッファ回路8に出力する。
【0102】
バッファ回路8は、A/D変換器4から出力される再生信号データを検出すると、検出した再生信号データを一時的に記憶し、また、等化回路5は、A/D変換器4から出力される再生信号データを検出すると、検出した再生信号データに対し、減衰した高周波成分を補正し(S2)、補正再生信号データ列として復号回路6へ出力する。
【0103】
復号回路6は、等化回路5から出力される補正再生信号データ列を検出すると、検出した補正再生信号データ列に対し、所定の方法により符号処理を行い、2値化データに変換する(S3)。そして、復号回路6は、2値化データを検出回路7に出力する。
【0104】
検出回路7は、復号回路6から2値化データを検出すると、検出した2値化データに、抽出すべきデータパターンと一致するデータパターンが含まれるか否かを判定する(S4)。なお、S4の処理の詳細は後述する。
【0105】
本実施の形態においては、前記所定のデータパターンは12ビットのデータパターンとする。すなわち、検出回路7には、あらかじめ、再生信号評価のためのデータパターンを検出するために、所定のデータパターンが記憶されている。そして、検出回路7は、記憶されているデータパターンと、復号回路6から出力される2値化データの所定のデータパターンとが一致した場合(S4のYES)、Trig信号をバッファ回路8に出力し、Type信号を演算回路10に出力する(S5)。
【0106】
バッファ回路8は、検出回路7から出力されるTrig信号を検出すると、検出したTrig信号を基に、一時的に記憶していた再生信号データから必要な再生信号データを抽出し(S6)、抽出再生信号データとして補間回路9に出力する。なお、詳細は後述するが、本実施の形態においては、2Tマーク付近の再生信号データとして、D5からD8の4つの再生信号データ(図12(a)参照)を抽出再生信号データとして補間回路9に出力するものとする。
【0107】
補間回路9では、バッファ回路8から出力される抽出再生信号データであるD5からD8の4つの再生信号データを検出すると、D5からD8の4つの再生信号データから補間された再生信号データである補間データを生成する(S7)。そして、補間回路9は、補間データを演算回路10に出力する。
【0108】
ここで、図11を用い、補間回路9における上記補間データの生成方法について説明する。
【0109】
図11は、補間回路9による補間演算の様子を表す説明図である。図11において、補間演算により得られた結果をDとして示している。
【0110】
本実施の形態においては、図11に示すように、D5、D6、D7、D8を曲線でむすび、前記曲線におけるD5〜D8までの時刻の範囲において、信号レベルが一番低下する箇所を結果Dとして取得している。再生信号データの評価には、マークまたはスペースを再生した際のピークレベルまたはボトムレベルを用いることが一般的である。よって、補間回路9により補間演算を行う目的は、再生信号データからピークレベルまたはボトムレベルを得ることである。ここで、補間回路9に入力されたD5からD8のいずれかが2Tマークにより発生するボトムレベルと一致していれば、補間演算を行う必要はないが、A/D変換器4のサンプリング点とボトムレベルが完全に一致していることはまれである。そのため、補間回路9で補間演算を行うことにより、さらに正確にボトムレベルを求めることができる。補間演算の方法としては、スプライン補間、Sinc補間など種々のものが知られているが適宜選択することができる。
【0111】
演算回路10は、補間回路9から補間データを検出する。また、演算回路10は、検出回路7からType信号を検出する。そして、演算回路10は、Type信号により、補間データを識別する(S8)。
【0112】
補間データはピークレベル、または、ボトムレベルに対応した1つのデータのみであるため、演算回路10は、補間回路9から出力された補間データがどの長さのマークまたはスペースのピークレベルか、あるいは、ボトムレベルであるかを、検出回路7のType信号により識別する。例えば、2Tマークのボトムレベルに対してType=1、2Tスペースのピークレベルに対してType=2などと識別番号を割り当てておけば識別が容易である。そして、演算回路10は、上記のようにしてType信号により識別された補間データを、各識別番号別に平均化処理する(S9)。平均化処理によりノイズ成分が低減され評価値の精度が向上する。さらに、演算回路10は、平均化処理された上記補間データを基に評価値を計算する(S10)。この評価値については後述する。そして、演算回路10は、計算した評価値を記録制御回路11に出力する。このように、評価値を取得することができる。
【0113】
また、上記評価値を基に、記録制御回路11の記録パラメータの変更を行い、媒体1に情報を記録する下記ステップを含んでもよい。
【0114】
すなわち、記録制御回路11は、演算回路10から出力される評価値を検出すると記録パラメータの変更を行う(S11)。記録パラメータとは記録制御回路11に記録されており、再生信号の品質を向上させるためのパラメータである。記録制御回路11は、記録パラメータを基に、ピックアップ2に情報を記録するための指示を出力する(S12)。そして、ピックアップ2は、記録制御回路11から出力される情報を記録するための指示を検出すると、上記指示に基づいて媒体1に情報を記録する(S13)。
【0115】
このように光ディスク装置20の処理が行われる。なお、記録パラメータの値が、例えば、予め決められた値となるように値が最適化されるまで、S1〜S13の処理を繰り返すことが好ましい。
【0116】
なお、本実施の形態においては、S3を省略した構成としてもよい。すなわち、復号回路6を省略した構成とし、S4において、検出回路7は、等化回路5から出力される補正再生信号データから、検出すべき所定のデータパターンが含まれているか否かを判定してもよい。
【0117】
また、本実施の形態においては、S7を省略した構成としてもよい。すなわち、補間回路9を省略した構成とし、S8において、演算回路10は、バッファ回路8から出力される抽出される抽出再生信号データをもとに評価値の演算を行ってもよい。
【0118】
〔記録パラメータの変更について〕
次に、記録制御回路11が検出した評価値により記録パラメータを変更する制御動作について説明する。本実施の形態では、評価値として、例えば、アシンメトリを得る場合について説明する。アシンメトリは、マーク長とスペース長のアンバランスを示す評価値であり(詳細は後述する)、後述する(1)式で計算される結果が0となるときマーク長とスペース長が一致していることを示す。また、アシンメトリがプラスであるかマイナスであるかから、マーク長が長いか、あるいは短いのかを判別できる。
【0119】
よって、媒体1に試し書きを行ったマークを読み出して得られるアシンメトリを記録制御回路11に入力し、マーク長が長いことを検知した場合、記録制御回路11では、マーク長が短くなるように、記録制御回路11に記録されている記録パラメータを変更する。
【0120】
そして、記録制御回路11は、ピックアップ2に情報を記録するための指示を出力する。これにより、ピックアップ2は媒体1に情報を記録する。すなわち、試し書きが行われる。その結果、得られるアシンメトリが0でなければ、更に記録制御回路11は、記録パラメータを変更し、情報を記録するための指示をピックアップ2に対して出力することにより、試し書きが行われる。これを繰返し行うことにより最終的にアシンメトリをほぼ0とできる。
【0121】
〔S3〜S5の処理について〕
次に、上述した再生信号データおよび2値化データを具体的に示し、Trig信号、Type信号が出力される処理、すなわち、S3〜S5の処理について図12(a)〜図12(d)を用い説明する。
【0122】
図12(a)は、再生信号データを示し、図12(b)は、図12(a)に示す再生信号データに符号処理を行うことにより変換された2値化データを示す。そして、図12(c)は、Trig信号を示し、図12(d)はType信号を示す。
【0123】
なお、再生信号データは上述したようにA/D変換器4の出力である。そして、図12(a)に示すように、再生信号データは、D1〜D12を含んで構成されている。図12(a)のD1〜D12のそれぞれは、1ビット分のデータに相当するものとする。また、検出回路7により検出される所定のデータパターンは、000001100000であるとし、D1〜D12は検出回路7により検出される所定のデータパターン000001100000に対応するものとする。
【0124】
これら、D1〜D12を含む全ての再生信号データは、S2において、バッファ回路8に一時的に記憶されている。
【0125】
バッファ回路8に含まれるメモリはリングバッファとして動作し、常に最新の再生信号データが、古い再生信号データに上書きされて記憶されている。
【0126】
そして、再生信号データのそれぞれを復号回路6により復号した結果、図12(b)に示すように、2値化データが得られる(S3)。S3において、D1〜D12に対応する2値化データとして、データパターン000001100000が得られる。
【0127】
また、得られた2値化データには、等化回路5および復号回路6による信号処理に要する時間分の遅延が生じる。ここでは、説明の都合上簡略化して、3クロック分の遅延が発生しているものとして図示している。
【0128】
検出回路7では、復号回路6により得られた2値化データが検出すべき所定のデータパターンと一致しているか否かを調べる(S4)。S4において、検出すべき所定のデータパターンが含まれているか否かを判定するために、復号回路6により復号処理された2値化データを用いることにより、セクタマーク等のタイミングマークを基準として再生信号データの抽出を行うよりも、精度のよい抽出が可能である。特に、PRML復号を用いると符号間干渉の影響を受けにくいため、記録密度が高い場合でも、目的とするデータパターンに対応する再生信号データを正確に抽出できる。
【0129】
ここでは、000001100000は検出すべきデータパターンの1つであるので(S4のYES)、検出されたことを示す信号としてTrig信号(図12(c)参照)を出力すると共に、抽出されたデータパターンの種類を示す信号であるType信号(図12(d)参照)を出力する(S5)。一例として、Trig信号は、000001100000のうちの最下位ビットのタイミングを示す信号としている。また、000001100000を示すType信号は「1」であるものとしている。
【0130】
ここで、検出回路7が検出すべきデータパターンのビット等は、前述したように、再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長か、またはそれより長いビット長とする。また、この場合、評価に用いる対象とするマークまたはスペースがデータパターンの中央付近に位置するようなパターンとすることが好ましい。これは、図8から分かるように、信号レベルのばらつきが少ないのは、中央付近である7の位置付近に限られるからである。
【0131】
〔評価値について〕
次に、本実施の形態において得られる評価値について説明する。本実施の形態においては、バラツキの少ない再生信号データの信号レベルが得られるため、評価値としては、再生信号データの信号レベルを用いるもの全般に対して有効である。特に、アシンメトリ、変調度、解像度の評価に用いた場合に、ばらつきの少ない正確な値が得られる。以下、各評価値に必要とされる再生信号データの信号レベルについて説明する。
【0132】
アシンメトリには、短マークのボトムレベル、短スペースのピークレベル、前記短マークより長いマーク長を有する長マークのボトムレベル、および前記短スペースより長いスペース長を有する長スペースのピークレベルが必要である。すなわち、評価値としてアシンメトリの評価値を取得する場合、検出回路7(検出部27)に予め記録されている所定のデータパターンは、短マーク、短スペース、長マーク、および長スペースのそれぞれに対応するデータパターンである。
【0133】
なお、短マーク、短スペースおよび長マーク、長スペースという場合の、短いか、あるいは、長いかの基準は相対的なものであり、採用する変調方式により決まるマーク長およびスペース長の種類の中で相対的に短いか長いかで判断される。
【0134】
すなわち、データとして記録再生されるマーク長、スペース長は、変調方式により制限されており、例えば、1−7変調では、2Tから8Tの7種類となっている。また、EFM変調では、3Tから11Tの9種類である。
【0135】
本実施の形態では、1−7変調を採用しているため、長マークとしては、例えば、7Tまたは8Tを用いることができる。また、短マークとしては、2Tまたは3Tを用いることができる。また、例えば、EFM変調を採用しているのであれば、長マークとしては、例えば、10Tまたは11Tを用いることができ、短マークとしては、3Tまたは4Tを用いることができる。
【0136】
本実施の形態においては、長マークを8Tマーク、長スペースを8Tスペースとし、また、短マークを2Tマーク、短スペースを2Tスペースとする。そして、それぞれのピークレベル、ボトムレベルを、8Tp、8Tb、2Tp、2Tbとする。
【0137】
検出回路7において、検出すべき所定のデータパターンが12ビット長のデータパターンの場合、8Tマークは001111111100、8Tスペースは110000000011、とすれば良く、これらを長ビットデータパターンと呼ぶ。また、2Tマークは000001100000、2Tスペースは111110011111とすれば良く、これらを短ビットデータパターンと呼ぶ。
【0138】
ここで、12ビット長のデータパターンの場合、長ビットデータパターンは上記の2つに一意に決まるが、短ビットデータパターンとしては、他のデータパターンも考えられる。例えば、011001100110などのようなデータパターンであっても、中央に2Tマークが位置しており、かつ、12ビットの長さがあるため、本実施の形態の効果によりばらつきは低減される。
【0139】
しかしながら、このデータパターンでは、再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲に複数の2Tマークが存在するため、それらのマークの影響が再生信号データの信号レベルに反映される。よって、複数のマークの相互作用などを評価する目的でなく、単に2Tマークの信号レベルを測定すればよい場合、例えば、解像度、変調度の評価には、再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲に1つだけ2Tマークが存在するデータパターン(孤立2Tマークパターン)が適している。なお、再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲に1つだけ、短マークもしくは短スペースが存在するデータパターンを孤立短ビットデータパターン(第1のデータパターン)という。また、再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲に1つだけ、長マークもしくは長スペースが存在するデータパターンを長ビットデータパターン(第2のデータパターン)という。そして、演算回路10は、孤立短ビットデータパターンおよび長ビットデータパターンによりバッファ回路8にて抽出される第1の抽出再生信号データおよび第2の抽出再生信号データを基に評価値の演算を行うことになる。
【0140】
一方、アシンメトリ評価では、孤立2Tマークパターンおよび孤立2Tスペースパターンによる評価と同時に、データパターンとして011001100110(単一2Tマークパターン)および100110011001(単一2Tスペースパターン)を用いた評価を行うのが望ましい。ここで、短マークと短スペースが反復的に繰り返されるデータパターンを単一短ビットデータパターン(第3のデータパターン)という。そして、演算回路10は、単一短ビットデータパターンによりバッファ回路8にて抽出される第3の抽出再生信号データを基に評価値の演算を行うことになる。
【0141】
単一短ビットデータパターンにおいても、孤立短ビットデータパターンと同様に、評価対象としているのは、短マークまたは短スペースにおける再生信号の信号レベルである。
【0142】
また、どちらも12ビット長のデータパターンであるため、再生信号データの信号レベルのばらつきが低減されるという本発明の効果についても差はない。2つのデータパターンで異なっているのは、評価対象とするデータパターン中央の短マークおよび短スペースに隣接したマークまたはスペースの長さである。
【0143】
よって、これら2つのデータパターンでの評価結果を比較することにより、評価対象とするデータパターン中央の短マークおよび短スペースに隣接したマークまたはスペースの影響を検知することができる。
【0144】
例えば2Tマークのようにマーク長が短く、かつ、記録密度が高い場合、マークの形成が困難であり、隣接するスペース長により2Tマークの形状が異なる現象が発生しうる。この結果孤立2Tマークパターンと単一2Tマークパターンで2Tマーク長が異なるという現象が発生した場合、これら2つのデータパターンを用いた2つのアシンメトリ測定結果を比較することにより容易にそれを検知できる。
【0145】
すなわち、単一短ビットデータパターンにより得られたアシンメトリ測定結果と、孤立短ビットデータパターンにより得られたアシンメトリ測定結果とを比較し、同一の結果が得られているか否かを確認すればよい。
【0146】
演算回路10により平均化処理された4つの信号レベル8Tb、8Tp、2Tb、2Tpを用いて、アシンメトリは(1)式のように計算できる。
【0147】
【数1】

【0148】
同様に、変調度、解像度は(2)式のように計算できる。
【0149】
【数2】

【0150】
アシンメトリ、変調度、解像度については、感度よく評価できるため、最短マーク、最短スペースを用いるのが望ましいが、2Tマーク、2Tスペースの代わりに3Tマークおよび3Tスペースを用いてもよい。
【0151】
また、上記(1)式で計算される結果が0となるときマーク長とスペース長が一致していることを示す。そして、アシンメトリがプラスであるかマイナスであるかから、マーク長が長いか、あるいは短いのかを判別することができる。
【0152】
〔ソフトウェアによる処理〕
以上のように評価値を求めるためには、図1に示すように、検出回路7、バッファ回路8、補間回路9、演算回路10を個別の回路、すなわちハードウェアとして構成することも可能であるが、これらの回路をCPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)およびメモリの組み合わせとして構成し、ソフトウェアにより処理を実現することも可能である。上記評価値をソフトウェアにより処理を実現する際の、図1に示す検出回路7、バッファ回路8、補間回路9、演算回路10のそれぞれの機能を有する機能ブロックをそれぞれ検出部27、バッファ部28、補間部29、演算部30とする。
【0153】
この場合、バッファ部28は図1の場合と同様にバッファ部28に含まれるメモリをリングバッファとして構成し、そのメモリへCPU等から直接アクセスできるよう構成する。また、CPU等への入力ポートへ復号回路6の出力を接続する。
【0154】
図13に示すのは、図1に示す抽出部27、バッファ部28、補間部29、演算部30をソフトウェアにより処理を実現する場合のソフトウェアの処理のフローチャートである。
【0155】
まず、検出部27は、復号回路6から出力される2値化データを順次読み出し、検出すべきデータパターンか否かを調べる(S20)。検出部27は、検出すべきデータパターンを検出した場合、検出すべきデータパターンを検出した旨の信号をバッファ部28に出力する(S21)。バッファ部28は検出部27から出力される検出すべき所定のデータパターンを検出した旨の信号を検出すると、その所定のデータパターンに相当する再生信号データを補間部29に出力する(S22)。
【0156】
なお、バッファ部28は検出部27の内部に設けてもよい。この場合、S22において、検出部27が、バッファ部28から上記所定のデータパターンに相当する再生信号データを読み出し、補間部29に出力する構成としてもよい。
【0157】
そして、補間部29は、読み出された再生信号データから補間データを演算する(S22)。演算部30は、演算結果をデータパターン種類毎に所定の配列に格納する(S23)。演算部30は、所定のデータ数が得られたか否かを調べ(S24)データ数が不足する場合、S20に戻り、所定のデータ数が得られた場合、S25に進む。S14の終了条件としては、2値化データ中に含まれる終了タイミングを示すデータパターンにより判断するようにしても良い。S25では、演算部30は、配列に格納された補間データを平均化処理する。演算部30は、平均化処理された値を基に評価値を演算する(S26)。
【0158】
そして、S26により得られた評価値により記録パラメータを変更する制御動作については、抽出部27、バッファ部28、補間部29、演算部30をハードウェアで構成した場合と同様である。
【0159】
以上説明した実施の形態においては、本発明を光ディスク装置に対して応用した場合について示したが、本発明は、磁気記録装置等に対しても適用可能である。この場合、符号間干渉は磁気ヘッドの物理的な大きさに起因して発生し、磁気ヘッドサイズが、光ディスク装置におけるスポットサイズに対応する。また、光ディスクにおけるマークは、磁気ディスクにおいては、磁気的なマークに対応する。これらの違いはあるものの、磁気ヘッドにより読み出された再生信号とピックアップに読み出された再生信号との間には本質的な差はなく、従ってプリアンプ回路3以降の構成については、ほぼ同様に構成すればよい。
【0160】
また、符号間干渉は、装置を構成する要素、例えば、ピックアップや磁気ヘッドの有する、高周波を阻止する性質、すなわち帯域制限に起因するものである。よって、帯域制限作用を有する構成要素を含み、その結果として符号間干渉が発生する装置全般に対して本発明は適用可能である。
【0161】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施の形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、信号レベルに影響を受けない長さの2値化されたデータパターンを基に、所定のデータパターンを抽出し、評価値を演算させることができるため、特に高精度な再生信号評価が可能な再生信号評価装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】図1は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置の再生信号データのグラフであり、記録密度が低い場合を表すグラフであり、図2(b)は、図2(a)の記録密度が高い場合を表すグラフである。
【図3】図3(a)は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置の再生信号データのヒストグラムを表すグラフであり、記録密度が低い場合を表すヒストグラムのグラフであり、図3(b)は、図3(a)に示す記録密度が高い場合を表すヒストグラムのグラフである。
【図4】図4(a)は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置の媒体に記録されているマーク長と再生信号との関係を表し、マーク長が長い場合の説明図であり、図4(b)は、図4(a)に示すマーク長が短い場合の説明図である。
【図5】図5は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置の媒体に記録されているマークと、スポットとを表す模式図である。
【図6】図6は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置のスポットに、複数のマークを含む場合を表す説明図である。
【図7】図7は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置の媒体に記録されているスペース長と、信号レベルとの関係を表すグラフである。
【図8】図8は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置の再生信号データを表すグラフである。
【図9】図9は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置の再生信号データの信号レベルのヒストグラムを表すグラフである。
【図10】図10は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置の処理の流れを表すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置における補間演算の処理を説明する説明図である。
【図12】図12(a)は本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置における再生信号データを表す模式図であり、図12(b)は図12(a)に示す再生信号データの2値化データを表す模式図であり、図12(c)は図12(b)に示す2値化データから出力されるTrig信号を表す模式図であり、図12(d)は図12(b)に示す2値化データから出力されるType信号を表す模式図である。
【図13】図13は、本発明の実施の一形態にかかる光ディスク装置をソフトウェアにより実現した場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0164】
1 媒体
2 ピックアップ
3 プリアンプ回路
4 A/D変換器
5 等化回路
6 復号回路(復号手段)
7 検出回路
8 バッファ回路
9 補間回路(補間手段)
10 演算回路(演算手段)
11 記録制御回路
20 光ディスク装置
27 検出部
28 バッファ部
29 補間部(補間手段)
30 演算部(演算手段)
31 信号抽出回路(信号抽出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から再生信号を取得し、取得した再生信号をデジタル変換した再生信号データの信号レベルから、前記取得した再生信号の品質を評価する評価値を計算する再生信号評価装置において、
前記再生信号データから、予め記録されている所定のデータパターンを検出し、検出した所定のデータパターンを基に前記再生信号データから抽出再生信号データを抽出する信号抽出手段と、
前記抽出再生信号データから前記評価値を演算する演算手段とを備え、
前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長、またはそれより長いビット長であることを特徴とする再生信号評価装置。
【請求項2】
前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルが符号間干渉の影響を受ける範囲のビット長、またはそれより長いビット長であることを特徴とする請求項1に記載の再生信号評価装置。
【請求項3】
前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルの飽和値に対して、当該信号レベルが90%となるビット長であることを特徴とする請求項1に記載の再生信号評価装置。
【請求項4】
前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルの飽和値に対して、当該信号レベルが95%となるビット長であることを特徴とする請求項1に記載の再生信号評価装置。
【請求項5】
前記所定のデータパターンは、複数のビットからなり、
前記評価値の演算は、前記複数のビットのうち、略中央に位置するビットを用いることを特徴とする請求項1に記載の再生信号評価装置。
【請求項6】
前記抽出再生信号データに対しデータの補間を行い、前記補間されたデータである補間データを前記演算手段に出力する補間手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の再生信号評価装置。
【請求項7】
前記再生信号データを2値化データに復号し、前記復号した2値化データを前記信号抽出手段に出力する復号手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の再生信号評価装置。
【請求項8】
前記所定のデータパターンは、第1のデータパターンと、第2のデータパターンとを含み、
前記抽出再生信号データは、第1の抽出再生信号データと、第2の抽出再生信号データとを含み、
前記第1のデータパターンは、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲に1つ短マークまたは短スペースを含むデータパターンであり、
前記第2のデータパターンは、前記短マークより長いマーク長を有する長マーク、または前記短スペースより長いスペース長を有する長スペースを、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲に1つ含むデータパターンであり、
前記演算手段は、前記第1のデータパターンにより抽出された前記第1の抽出再生信号データと、前記第2のデータパターンにより抽出された前記第2の抽出再生信号データと
から前記評価値を演算することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の再生信号評価装置。
【請求項9】
前記演算手段によりされる演算値はアシンメトリであることを特徴とする請求項8に記載の再生信号評価装置。
【請求項10】
前記演算手段によりされる演算値は変調度であることを特徴とする請求項8に記載の再生信号評価装置。
【請求項11】
前記所定のデータパターンは第3のデータパターンを含み、
前記抽出再生信号データは、第3の抽出再生信号データを含み、
前記第3のデータパターンは、短マークと短スペースとが反復的に繰り返されるデータパターンであり、
前記演算手段は、前記第3のデータパターンにより抽出された前記第3の抽出再生信号データから評価値を演算することを特徴とする請求項8に記載の再生信号評価装置。
【請求項12】
記録媒体から再生信号を取得し、取得した再生信号をデジタル変換した再生信号データの信号レベルから、前記取得した再生信号の品質を評価する評価値を計算する再生信号評価方法において、
前記再生信号データから、予め記録されている所定のデータパターンを検出し、検出した所定のデータパターンを基に上記再生信号データから抽出再生信号データを抽出する信号抽出ステップと、
前記抽出再生信号データから前記評価値を演算する演算ステップとを備え、
前記所定のデータパターンのビット長は、前記再生信号データの信号レベルに影響を与える範囲のビット長、またはそれより長いビット長であることを特徴とする再生信号評価方法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の再生信号評価装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−276839(P2008−276839A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117771(P2007−117771)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】