説明

再生可能なブタジエンおよび再生可能なイソプレンの製造方法

イソブテン、イソプレン、およびブタジエンは、脱水素化によりCおよび/またはCオレフィンの混合物から得られる。Cおよび/またはCオレフィンは、CおよびCアルコール、たとえば、熱化学的プロセスまたは発酵プロセスによりバイオマスから製造される再生可能なCおよびCアルコールの脱水により得ることができる。イソプレンまたはブタジエンは、ポリイソプレン、ポリブタジエン、合成ゴムたとえばブチルゴムなどのようなポリマーを形成するよう重合させることができ、加えて、ブタジエンは、メチルメタクリレート、アジピン酸、アジポニトリル、1,4−ブタジエンなどのようなモノマーに変換することができ、これは、次いで、ナイロン、ポリエステル、ポリメチルメタクリレートなどを形成するよう重合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年2月24日出願の米国仮特許出願第61/155,029号(その全体がすべての目的で参照により本明細書に組み入れられるものとする)に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ブタジエンおよびイソプレンは、合成ゴムをはじめとするさまざまな合成ポリマーを製造するためのモノマーとして典型的に使用される重要な工業化学物質である。ブタジエンは、従来法では、水蒸気分解プロセス(エチレンおよび他のオレフィンを製造するために石油精製で使用される)の副生成物として製造される。水蒸気分解では、典型的には、ブタジエンを含む不飽和炭化水素の複合混合物が製造され、製造されるブタジエンの量は、使用される特定の石油原料さらには利用される操作条件に依存する。ブタジエンは、典型的には、得られた比較的複雑な炭化水素混合物から極性非プロトン性溶媒(たとえばアセトニトリルまたはジメチルホルムアミド)中への抽出により取り出され、次に、蒸留によりストリッピングされる。ブタジエンは、n−ブタンおよびn−ブテンの接触脱水素化により製造することも可能である(n−ブタンもまた、石油精製プロセスで軽質炭化水素の複合混合物の一部として製造される)。
【0003】
イソプレンもまた、石油精製時に典型的には熱分解プロセスの副生成物としてまたはエチレンの製造時に副生成物として製造される(典型的にはエチレン収率の2〜5%)。このほかに、イソプレンは、ヒドロホルミル化と脱水との組合せプロセス(たとえば、米国特許第3,662,016号に記載のもの)を介してまたはホルムアルデヒドとの縮合(たとえば、Prins縮合、図1参照)を介してイソブテンから製造可能である。しかしながら、分解操作により製造されたC炭化水素は、一般的には、イソプレンに類似した沸点を有する多量のシクロペンタジエンを含有する。したがって、従来の蒸留方法を用いてイソプレンをシクロペンタジエンから分離することは困難である。多くの場合、蒸留前に最初にシクロペンタジエン成分を熱二量化するかまたは極性溶媒を用いてイソプレンを抽出蒸留するなどの代替技術が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブタジエンおよびイソプレンは、商業上有用なポリマー(たとえばゴムおよびエラストマー)の主成分である。しかしながら、そのような材料の製造に使用される重合触媒は、典型的には、不純物に対する耐性がないので、比較的純粋なブタジエンおよびイソプレン(および他のモノマー)を必要とする。石油化学由来のブタジエンおよびイソプレンは、複合炭化水素混合物から得られるため、通常は重合前に大規模な(かつ高価な)精製を行う必要がある。したがって、比較的純粋なブタジエンまたはイソプレンを直接提供することが可能で追加の精製をほとんど、もしくはまったく必要としないプロセスが望ましいであろう。
【0005】
さらには、基礎原料としての石油由来の炭化水素(たとえばブタジエンまたはイソプレン)の使用は、環境劣化(たとえば、地球温暖化、大気汚染および水質汚染など)に寄与し、世界の政情不安定地域からの信頼性のない石油供給への過剰依存を助長するとの懸念が高まっている。したがって、ブタジエンおよびイソプレンなどの工業上重要なモノマーの再生可能な(すなわち生物由来の)資源を得ることが望ましいであろう。
【0006】
本発明は、単純で、経済的で、発酵液からの出発材料の困難かつ高価な抽出やブタジエンまたはイソプレンの大規模な精製を必要としない、ブタジエンおよびイソプレンとくに再生可能なブタジエンおよびイソプレンの改良された製造方法に関する。本発明に係る方法により製造されるブタジエンおよびイソプレンは、再生可能なポリマー、コポリマー、およびそれらから誘導される他の材料を製造するのに好適である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
一実施形態では、本発明は、(a)1種以上のブタノールを含むアルコール混合物を提供する工程と、(b)アルコール混合物を脱水触媒と接触させることにより1種以上の直鎖状ブテンおよびイソブテンを含むオレフィン混合物を形成する工程と、(c)工程(b)のオレフィン混合物を脱水素化触媒と接触させることによりブタジエンとイソブテンとを含むジオレフィン混合物を形成する工程と、(d)(c)のジオレフィン混合物からブタジエンを単離する工程と、を含む、ブタジエンの製造方法に関する。
【0008】
もう一つの実施形態では、本発明は、(a)1種以上のペンテンを含むオレフィン混合物を提供する工程であって、ただし、オレフィン混合物の少なくとも一部分が1種以上のメチルブテンを含む工程と、(b)(a)のオレフィン混合物を脱水素化触媒と接触させることによりイソプレンを含む混合物を形成する工程と、(c)(b)の混合物からイソプレンを単離する工程と、を含む、イソプレンの製造方法に関する。
【0009】
さらにもう一つの実施形態では、本発明は、(a)1種以上の直鎖状ブテンおよびイソブテンを含むオレフィン混合物を提供する工程と、(b)工程(a)のオレフィン混合物を脱水素化触媒と接触させることによりブタジエンおよびイソブテンを含むジオレフィン混合物を形成する工程と、(c)工程(b)の混合物からイソブテンを単離する工程と、(d1)イソブテンをメチルt−ブチルエーテル、エチルt−ブチルエーテル、イソオクタン、メタクロレイン、メチルメタクリレート、ブチルゴム、ブチル化ヒドロキシトルエン、またはブチル化ヒドロキシアニソールに変換する工程と、を含む、モノマーの製造方法に関する。
【0010】
さらに他の実施形態では、本発明は、本明細書中に記載のイソブテンまたはイソプレンの製造方法であって、オレフィン混合物が、1種以上の再生可能なCもしくはCアルコールを含む再生可能なアルコール混合物の脱水により製造される製造方法に関する。
【0011】
そのほかのさらなる実施形態では、本発明は、再生可能なイソブテン、再生可能なイソプレン、再生可能なブタジエン、再生可能なメチルメタクリレート、再生可能な1,4−ブタンジオール、再生可能なTHF、再生可能なN−ビニルピロリジノン、再生可能なラウリルラクタム、再生可能なクロロプレン、再生可能なアジピン酸、再生可能なヘキサメチレンジアミン、再生可能なカプロラクタム、および再生可能なエチリデンノルボルネン、さらにはこれらの再生可能なモノマーから製造される再生可能なポリマーおよびコポリマーに関する。
【0012】
さらなるもう一つの実施形態では、本発明は、(a)1種以上の直鎖状ブテンおよびイソブテンを含むオレフィン混合物を提供する工程と、(b)(a)のオレフィン混合物を脱水素化触媒と接触させることによりブタジエンとイソブテンとを含むジオレフィン混合物を形成する工程と、(c)(b)の混合物から高純度イソブテンを単離する工程と、を含む、イソブテンの製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面の簡潔な説明
【図1】Prins反応によるイソプレン製造の概略図。
【図2】イソブタノール脱水の概略図。
【図3】脱水反応器構成の一実施形態の概略図。
【図4】温度の関数としての種々のC−オレフィンの平衡濃度。
【図5】n−ブタンから1−および2−ブテンへの脱水素化の概略図。
【図6】1−ブテンから1,3−ブタジエンへの脱水素化の概略図。
【図7】イソブテンの骨格転位の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本明細書中で引用された文献はすべて、それぞれ個々の文献が参照により組み入れられたことが具体的かつ個別的に示されたのと同程度まで、すべての目的でそれらの全体が参照により組み入れられるものとする。
【0015】
ブタジエンを製造するための従来の石油化学プロセスでは、ブタジエンは、ナフサおよびガス油画分の水蒸気分解時に生成される共生成物であるか、またはn−ブタンもしくはn−ブテン(それら自体は水蒸気分解により得られる)の接触脱水素化により製造される。粗1,3−ブタジエン含有画分は、プロセスおよび条件の詳細に依存して、プロピレン、プロパン、イソブチレン、1−ブテン、n−ブタン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、Cアセチレン、1,2−ブタジエン、種々のC炭化水素などをはじめとする種々のC〜C炭化水素を含む。ポリマー(たとえば合成ゴム)の製造でモノマーとして使用するには、ブタジエンは、従来の重合触媒の不活性化を防止したりまたは反応性不純物(たとえばアセチレン)に起因する副反応を防止したりするために比較的純粋(たとえば少なくとも約99.0wt.%)でなければならない。製造された粗ブタジエンを化学資源用として精製するための種々の方法が使用されてきた。たとえば、水性スクロースアンモニウムアセテートを用いた選択的抽出または種々の溶媒を用いた抽出蒸留などである。そのような精製方法の必要性により、重合グレードのブタジエンの製造で追加の費用および複雑さが加わる。
【0016】
同様に、イソプレンは、典型的には、ナフサおよびガス油の熱分解によりCストリームから得られる。イソプレンの収率は、一般的には小さく、しかもイソプレンは、ブタジエンと同様、モノマーとして使用可能になる前にきわめて複雑な炭化水素混合物から精製しなければならない。
【0017】
再生可能な1,3−ブタジエンをブタンジオールから製造するための種々の方法が提案されてきた。すなわち、糖類を発酵させて2,3−ブタンジオールにし、次に、脱水して1,3−ブタジエンにする方法(たとえば、米国特許第2,529,061号およびSyu MJ ら、Applied Microbiology and Biotechnology 2001, 55, 10-18)、糖類を発酵させて1,4−ブタンジオールにし、続いて、脱水して1,3−ブタジエンにする方法(たとえば、Genomatica, Inc.によるプレスリリース)、および糖類を発酵させてスクシネートにし、スクシネートを水素化して1,4−ブタンジオールにし、次に、1,4−ブタンジオールを脱水して1,3−ブタジエンにする方法(たとえば、Delhomme Cら、Green Chemistry 2009, 11, 13-26)である。しかしながら、これらの経路によるブタジエンの商業スケールの製造は、発酵液からジオールおよび二酸を取り出すことが困難であること(その結果として費用がかかること)が知られているので、一般的には、困難かつ高コストであると考えられる。
【0018】
本発明に係る方法は、比較的純粋なブタノール(またはペンタノール)原料たとえばイソブタノール(または3−メチル−1−ブタノール)から逐次的な脱水反応および脱水素化反応によりブタジエン(またはイソプレン)を製造するための改良された方法を提供する。本明細書中に記載されるように、脱水工程で比較的単純なブテン異性体混合物が提供され、これは脱水素化によりブタジエンに直接変換可能である。ブタジエン(またはイソプレン)に直接変換できない脱水の副生成物はいずれも、直鎖状ブテン異性体(またはメチルブテン異性体)の混合物から、または脱水素化工程の生成物流のブタジエン(またはイソプレン)からのいずれかから容易に取り出すことが可能である。ブタジエン(またはイソプレン)の収率は、これらの副生成物の適切な変換(たとえば、本明細書中に記載の再循環および/または転位)によりさらに増大可能であるか、または副生成物は、他の目的で(たとえば、燃料または燃料添加剤として)使用可能である。したがって、本発明は、ブタノールから比較的純粋なブタジエン(またはペンタノールからイソプレン)を得るための単純なプロセスを提供する。さらには、ブタノール(またはペンタノール)がバイオマス由来である場合(たとえば、好適な微生物を用いたバイオマス由来の炭水化物の発酵によるものである場合)、ブタノール(またはペンタノール)は、比較的純粋な(通常は水性の)原料として得られる。バイオマス由来のブタノール(またはペンタノール)は、商業上重要なモノマーであるブタジエン(またはイソプレン)の再生可能な資源を提供するという追加の利点を有する。それに加えて、予期せずして、本明細書中に記載されるように、バイオマス由来のブタノール(またはペンタノール)から脱水により製造されたオレフィンは、たとえば、従来の石油化学プロセスから得られた(たとえば、「分解」により得られた)ブテンまたはペンテンよりも、実質的に純粋であることを見いだした。
【0019】
「再生可能ベース」または「再生可能」とは、再生可能なアルコール(およびオレフィン、ジオレフィンなど、または本明細書中に記載されるような、再生可能なアルコール、オレフィン、ジオレフィンなどから製造される後続の生成物)の炭素分が、ASTM試験法D 6866−05、「Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis」(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)により測定したときに「新しい炭素」源に由来することを意味する。この試験方法では、サンプル中の14C/12C同位体比を測定して標準の100%バイオベースの材料中の14C/12C同位体比と比較することにより、サンプルのバイオベース含有率パーセントを得る。「バイオベース材料」とは、炭素が、太陽光エネルギーを用いて最近(人類的時間尺度で)固定された、大気中に存在するCO(光合成)に由来する有機材料のことである。陸上では、このCOは、植物体(たとえば、農作物または林業資材)により捕獲または固定される。海洋中では、COは、光合成細菌または植物プランクトンにより捕獲または固定される。たとえば、バイオベース材料は、0超の14C/12C同位体比を有する。反対に、化石ベース材料は、約0の14C/12C同位体比を有する。アルコールまたは炭化水素(オレフィン、ジオレフィン、ポリマーなど)などのような化合物に関しての「再生可能」という用語は、また、熱化学的方法(たとえばFischer-Tropsch触媒)、バイオ触媒(たとえば発酵)、または他のプロセス(たとえば本明細書中に記載のもの)を用いてバイオマスから製造された化合物も意味する。
【0020】
大気中の二酸化炭素の少量の炭素原子は、放射性同位体14Cである。この14C二酸化炭素は、宇宙線により生成された中性子が大気中窒素に衝突することにより窒素から陽子を喪失させて原子質量14の炭素(14C)を生成させ、次に、これが直ちに二酸化炭素に酸化される場合に生成される。大気中炭素の少量であるが測定可能な部分は、14COの形態で存在する。大気中二酸化炭素は、光合成として知られている過程で有機分子を生産する緑色植物により処理される。地球上の実質上すべての生命体は、生育および繁殖を促進する化学エネルギーを生成するためにこの緑色植物による有機分子生産に依存する。したがって、大気中で生成する14Cは、最終的には、すべての生命体およびそれらの生物生産物の一部になって、バイオマスおよびバイオマスを食べて生きる生物に14Cを濃縮する。これとは対照的に、化石燃料由来の炭素は、大気中二酸化炭素由来の再生可能な有機分子の特徴的な14C:12C比を有していない。さらには、COに生分解する再生可能な有機分子は、大気に放出される炭素の純増加がないので、地球温暖化に寄与しない。
【0021】
材料の再生可能ベース炭素含有率の評価は、標準的試験方法により、たとえば、放射性炭素および同位体比質量分析を用いて実施可能である。ASTM International(正式にはAmerican Society for Testing and Materialsとして知られる)は、材料のバイオベース含有率を評価するための標準的方法を確立した。このASTM法は、ASTM−D6866と称される。
【0022】
「バイオベース含有率」を導出するためのASTM−D6866の適用は、放射性炭素年代測定(rediocarbon dating)と同一の概念で構築されているが、年齢方程式の使用を伴わない。分析は、現代の参照標準のものと比較して未知サンプル中の放射性炭素(14C)の量の比を導出することにより行われる。この比は、「pMC」(現代の炭素のパーセント)という単位を有するパーセントとして報告される。分析される材料が現代の放射性炭素と化石炭素(ごく低レベルの放射性炭素を含有する)との混合物である場合、得られるpMC値は、サンプル中に存在するバイオマス材料の量に直接相関付けられる。
【0023】
本明細書全体を通じて、アルコール、オレフィン、ジオレフィンなど、およびそのような化合物から製造されるより高分子量の材料(たとえば、イソオクテン/イソオクタン、ポリマー、コポリマーなど)への参照は、とくに指定がないかぎり、「再生可能な」アルコール、「再生可能な」オレフィン、「再生可能な」ジオレフィンなど、および「再生可能な」材料(たとえば、「再生可能な」イソオクテン/イソオクタン、「再生可能な」ポリマー、「再生可能な」コポリマーなど)と同義である。
【0024】
本明細書全体を通じて、「ブタジエン」という用語は、とくに指定がないかぎり、1,3−ブタジエンを意味する。
【0025】
本明細書中に記載されるように、本発明に係る方法は、比較的高純度を必要とする重合反応または他のプロセスで使用するのに好適なブタジエン、イソプレン、イソブテンなどを製造するために使用可能である。「高純度」という用語は、すべての範囲およびそれらの間の部分範囲を含めて、少なくとも約95%の純度、少なくとも約96%の純度、少なくとも約97%の純度、少なくとも約98%の純度、少なくとも約99%の純度、少なくとも約99.9%の純度、または少なくとも約99.99%の純度を意味する。
【0026】
本発明に係る再生可能なアルコール、オレフィン、ジオレフィン、ポリマーなどは、すべての値およびそれらの間の部分範囲を含めて、少なくとも約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100のpMC値を有する。
【0027】
再生可能なブタノールおよびペンタノールを製造するために任意の好適な微生物を使用することが可能である。ブタノールは、たとえば、米国特許出願公開第2007/0092957号、同第2008/0138870号、同第2008/0182308号、同第2007/0259410号、同第2007/0292927号、同第2007/0259411号、同第2008/0124774号、同第2008/0261230号、同第2009/0226991号、同第2009/0226990号、同第2009/0171129号、同第2009/0215137号、同第2009/0155869号、同第2009/0155869号、同第2008/02745425号などに記載の微生物により、選択的に生産される。このほかに、ブタノールおよびイソブタノールならびに種々のペンタノール(イソペンタノールを含む)は、エタノールへの糖類の発酵時に酵母により生産される。これらのフーゼルアルコールは、ビールおよびワインの製造のための工業的発酵の技術分野で公知であり、これらの製品の味および安定性に及ぼすそれらの影響に関して広範に研究されてきた。最近、操作された(engineered)微生物を用いたフーゼルアルコールの製造が報告された(米国特許出願公開第2007/0092957号およびNature, 2008, 451, p. 86-89)。
【0028】
発酵(または再生可能なブタノールもしくはペンタノールを製造するための本明細書中に記載の他のプロセス)時に生成されるブタノールやペンタノール以外の高級アルコールは、後続の単位操作(たとえば脱水)を行う前にブタノール原料またはペンタノール原料から除去可能である。ブタノール(たとえばイソブタノール)またはペンタノール(たとえばイソペンタノール)からのこれらの高級アルコールの分離は、蒸留、抽出などのような公知の方法を用いて実施可能である。他の選択肢として、これらの高級アルコールをブタノール中またはペンタノール中に混合状態で残存させ、後続処理の後で除去することが可能である。たとえば、イソブタノールと混合された任意の高級アルコールを脱水して対応するオレフィンにし、次に、ブテンから分離することが可能である。そのような高級アルコールを脱水前に除去するか脱水後に対応するオレフィン(または対応する脱水素化副生成物/共生成物)を除去するかの決定は、それぞれの分離の相対的容易性および副生成物/共生成物の相対値に依存するであろう。
【0029】
再生可能なブタノールまたはペンタノールはまた、熱化学的方法によるバイオマスの変換などのような種々の他の方法を用いて、たとえば、バイオマスから合成ガスへのガス化、それに続いて、銅、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、または他の金属およびアルカリ金属、たとえば、リチウム、ナトリウム、および/またはカリウムなどのような元素を含有する触媒の存在下での合成ガスからアルコールへの接触変換を用いて、製造することも可能である(Energy and Fuels, 2008, 22, p. 814-839)。ブタノールおよびペンタノールを含む種々のアルコールは、蒸留により混合物から分離して、再生可能なブタジエンもしくはイソプレンまたは本明細書中に記載されるような再生可能なブタジエンもしくはイソプレンから誘導される化合物を製造するために使用可能である。イソブタノールやイソペンタノール以外のアルコールは、回収して、他のプロセスの原料として利用するか、燃料として燃焼させるか、または燃料添加剤として使用するなどが可能である。
【0030】
他の選択肢として、光合成により、たとえば、イソブタノール、イソペンタノール、および/または他のアルコールを生産するように操作されたシアノバクテリアまたは藻類を用いて、再生可能なアルコールを製造することが可能である(たとえば、Synechococcus elongatus PCC7942およびSynechocystis PCC6803、Angermayrら、Energy Biotechnology with Cyanobacteria, Current Opinion in Biotechnology 2009, 20, 257-263、AtsumiおよびLiao, Nature Biotechnology, 2009, 27, 1177-1182)、およびDexterら、Energy Environ. Sci., 2009, 2, 857-864、ならびにこれらの文献中に引用されている文献を参照されたい)。光合成により製造する場合、得られる再生可能なアルコールを製造するための「原料」は、光合成生物(たとえば、シアノバクテリアまたは藻類)に提供される光およびCOである。
【0031】
生化学的または熱化学的な製造経路により得られた再生可能かつ純粋なブタノールおよびペンタノールは、脱水触媒を用いてアルコールを反応させることによりそれらの対応するオレフィンに変換可能である。再生可能なブタノールは、典型的には、1−ブタノール、2−ブタノール、またはイソブタノールを含むが、熱化学的経路によりtert−ブタノールを得てもよい。再生可能なペンタノールは、典型的には、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、および3−メチル−1−ブタノールを含むが、ほとんどのペンタノール異性体は、熱化学的経路およびそれほど一般的ではないが発酵経路により製造される。
【0032】
再生可能なブタノール(たとえばイソブタノール)またはペンタノール(たとえば3−メチル−1−ブタノール)を発酵により製造する場合、イソブタノールは、種々の方法により、たとえば、減圧下、気相中で発酵槽から取り出すことが可能である(たとえば、米国特許出願公開第2009/0171129号に記載されるように水との共沸混合物として)。いくつかのそのような実施形態では、発酵槽自体は、追加の熱(微生物に最適な発酵条件を提供するために使用された熱以外)を加えたり蒸留装置を用いたりすることなく減圧下で操作され、その際、イソブタノールは、水性蒸気(または共沸混合物)として取り出される。他のそのような実施形態では、発酵槽は、ほぼ大気圧(または発酵時のCOなどのガスの発生に起因してわずかに高い圧力)下で操作され、イソブタノールを含有する原料の一部は、減圧下で操作されるフラッシュタンクを介して連続的に再循環され、その際、イソブタノールは、フラッシュタンクのヘッドスペースから水性蒸気または水共沸混合物として取り出される。これらの後者の実施形態は、エネルギー消費量の多い単位操作や装置に負担のかかる単位操作を用いることなくイソブタノールの分離を提供することに加えて、発酵の代謝副産物を連続的に取り出すことにより発酵プロセスの生産性を改良するという利点を有する。得られた湿潤イソブタノールは、乾燥させてから脱水するかまたは湿潤状態で脱水し(本明細書中に記載のとおり)、その後、乾燥させることが可能である。
【0033】
炭水化物の発酵による再生可能なイソブタノールの製造では、少量(5%w/w未満)の3−メチル−1−ブタノールおよび2−メチル−1−ブタノールならびにはるかに低レベルの他のフーゼルアルコールが共生成される。これらの副生成物が形成される機序の1つは、宿主微生物中に操作により導入されたイソブタノール生産代謝経路による疎水性アミノ酸生合成における中間体の使用である。3−メチル−1−ブタノールおよび2−メチル−1−ブタノールに変換される中間体の生成に関与する遺伝子は、公知であり、これらの発酵で生成される3−メチル−1−ブタノールの量を抑制するように操作可能である(たとえば、Connor MRおよびLiao JC, Applied and Environmental Microbiology 2008, 74, p. 5769)。これらの遺伝子の除去により、3−メチル−1−ブタノールおよび/または2−メチル−1−ブタノールの生成を無視しうる量に低減させることが可能であるが、一方、これらの遺伝子の過剰発現により、典型的な発酵で任意の量の3−メチル−1−ブタノールを生成するように調整することが可能である。他の選択肢として、バイオマスから混合アルコールへの熱化学的変換では、イソブタノールおよびこれらのペンタノールの両方が生成される。これらのアルコールの相対量は、特定の触媒および反応条件を用いて調整可能である。
【0034】
アルコールは、適切な条件下で好適な脱水触媒との反応によりオレフィンに変換可能である(たとえば、図2を参照されたい)。ブタノールやペンタノールなどのアルコールをオレフィンに変換する典型的な脱水触媒としては、種々の酸処理および未処理のアルミナ(たとえばγアルミナ)触媒およびシリカ触媒ならびにゼオライトを含めてクレー(たとえば、β型ゼオライト、ZSM-5またはY型ゼオライト、フッ化物処理βゼオライト触媒、フッ化物処理クレー触媒など)、スルホン酸樹脂(たとえば、Amberlyst(登録商標)15などのスルホン化スチレン系樹脂)、リン酸や硫酸などの強酸、三フッ化ホウ素や三塩化アルミニウムなどのルイス酸、ならびに金属酸化物(たとえば、酸化ジルコニウムまたは二酸化チタン)および金属塩化物を含めて多種多様なタイプの金属塩が挙げられる(たとえば、Latshaw BE, Dehydration of Isobutanol to Isobutylene in a Slurry Reactor, Department of Energy Topical Report, February 1994)。
【0035】
脱水反応は、多種多様な反応器構成(たとえば、図3を参照されたい)で不均一触媒系および均一触媒系の両方を用いて気相および液相の両方で実施可能である。典型的には、使用される触媒は、反応により生成される水に対して安定である。水は、通常、生成物と共に反応ゾーンから取り出される。得られたアルケンは、気相または液相のいずれかの状態で(たとえば、反応器条件に依存して)反応器から出て、下流の精製プロセスにより捕獲されるか、または本明細書中に記載されるように反応器内で他の化合物(たとえば、ブタジエンまたはイソプレンなど)にさらに変換される。脱水反応により生成された水は、未反応アルコールおよびアルケン生成物と共に反応器から出て、蒸留または相分離により分離される。脱水工程で水が大量に生成されるので、使用される脱水触媒は、一般的には、水に対して耐性があり、基質および生成物から水を除去するためのプロセスは、脱水工程を含む任意のプロセスの一部でありうる。このため、脱水反応の基質としてアルコールを湿潤状態(すなわち、約95重量%または98重量%までの水)で使用して、脱水反応により生成された水と共にこの水を除去することが可能である(たとえば、米国特許第4,698,452号および同第4,873,392号に記載のゼオライト触媒を用いて)。このほかに、中性のアルミナおよびゼオライトは、アルコールを脱水してアルケンにするであろうが、一般的には、これらの触媒の酸性のものよりも高い温度および圧力で脱水するであろう。
【0036】
1−ブタノール、2−ブタノール、またはイソブタノールを脱水する場合、4種のCオレフィン、すなわち、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、およびイソブテンの混合物が生成される。各オレフィンの正確な濃度は、出発材料によって、熱力学によって(図4)、ならびに使用した反応条件および触媒によって決まる。これらの因子が最終生成物中のオレフィンの分布にどのように影響を及ぼすかを理解し、この知識を利用して特定のオレフィンに富んだ混合物を得ることが可能である。しかしながら、これらのアルコールのうちの1つを脱水することにより単一のオレフィンを生成することは、一般的には困難である。たとえば、γアルミナ触媒を用いた280℃でのイソブタノールの脱水は、その温度での予想平衡濃度が約57%であるにもかかわらず、97%までのイソブテンを生成するように最適化可能である(図3)。しかしながら、清浄な形でイソブタノールを脱水して99+%のイソブテンにする公知の方法は存在しない(Saad LおよびRiad M, Journal of the Serbian Chemical Society 2008, 73, p. 997)。
【0037】
同様に、ペンタノールの脱水では、複数のC−オレフィン異性体が生成される。たとえば、3−メチル−1−ブタノールの脱水では、他のオレフィン異性体に加えて3−メチル−1−ブテンおよび2−メチル−2−ブテンの両方が生成される(たとえば、米国特許出願公開第2007/0135665A1号を参照されたい)。2−メチル−1−ブタノールの脱水では、主に、2−メチル−1−ブテンおよび2−メチル−2−ブテンが生成されるであろうが、いくらかの骨格転位が起こって直鎖状の1−ペンテンおよび2−ペンテンが生成されるであろう。これらのペンテン混合物の脱水素化では、イソプレンおよび直鎖状ペンタジエンが生成され、これらは、かなり容易に分離されて純粋なイソプレンが生成される。
【0038】
以上で述べたように、ブタジエンやイソプレンなどのジオレフィンは、従来法では、石油化学的用途に供されるCおよびCオレフィン流を生成する分解反応で製造される。追加のジオレフィンが必要であれば、それらは、CおよびCモノオレフィンの脱水素化により製造可能である。たとえば、ブタジエンは、ラフィネート−2を脱水素化触媒上に通すことにより製造される。イソプレンは、同様に、イソペンタンおよび/または3−メチル−1−ブテンおよび2−メチル−2−ブテンを脱水素化触媒上に通すことにより製造される。他の選択肢として、イソプレンは、イソブテンのヒドロホルミル化および脱水により製造可能である。
【0039】
脱水素化触媒は、有機分子中の飽和炭素−炭素結合を不飽和二重結合に変換する(図5参照)。典型的な脱水素化触媒は、特定のオレフィンに対してさまざまな度合いの選択率を有する金属酸化物の混合物である。たとえば、鉄−亜鉛酸化物混合物は、1−ブテンの脱水素化に有利なようであり、一方、コバルト−鉄−ビスマス−モリブデン酸化物混合物は、2−ブテンの脱水素化に有利である(たとえば、Jung JCら、Catalysis Letters 2008, 123, p. 239)。脱水素化触媒の他の例としては、バナジウム含有触媒およびクロム含有触媒(たとえば、Toledo-Antonio JAら、Applied Catalysis A 2002, 234, p. 137)、フェライト型触媒(たとえば、Lopez Nieto JMら、Journal of Catalysis 2000, 189, p. 147)、酸化マンガンドープモレキュラーシーブ(たとえば、Krishnan VVおよびSuib SL, Journal of Catalysis 1999, 184, p. 305)、銅−モリブデン触媒(たとえば、Tiwari PNら、Journal of Catalysis 1989, 120, p. 278)、ならびにビスマス−モリブデンベース触媒(たとえば、Batist PAら、Journal of Catalysis 1966, 5, p. 55)が挙げられる。
【0040】
オレフィンからジオレフィンへの脱水素化は、オレフィン分子が追加の二重結合を収容可能であれば起こる(図6参照)。たとえば、1−ブテンは、脱水素化してブタジエンにすることが可能であるが、イソブテンは、分子中の炭素原子の骨格転位が起こらなければ脱水素化できない。脱水素化触媒は、骨格転位が必要とされなければ分子中のオレフィン結合を転位させて第2のオレフィン結合を収容可能であるが(たとえば、1つ以上の水素移動により)、この触媒は、典型的には、脱水素化条件下で骨格転位(たとえば、C−C結合の切断および再形成)を触媒しない。たとえば、2−ブテンは、脱水素化してブタジエンにすることが可能である。同様に、2−メチル−2−ブテンは、二重結合の転位後、イソプレンに変換可能である。
【0041】
飽和材料からオレフィンを製造するために、従来法では、2つの主要なタイプの脱水素化反応が使用される(Buyanov RA, Kinetics and Catalysis 2001, 42, p. 64)。吸熱脱水素化では、脱水素化触媒(たとえば、クロミア−アルミナベース、スピネル担持白金ベース、リン酸塩ベース、および酸化鉄ベースの触媒)、高熱(典型的には、480〜700℃)、および反応を進行させるための水素ガスの生成に有利な反応器構成(典型的には、固定床および流動床の反応器)が使用され、かつ反応時に形成される任意の水素の分圧を低下させるためにヘリウム、窒素、水素、もしくは水蒸気などのガスで原料を希釈するか、または反応を減圧下(0.1〜0.7atm)に置く。吸熱脱水素化触媒は、典型的には、酸素の不在下で機能し、メタクロレインやメタクリレートなどの酸化ブテン生成物の形成を最小限に抑える。酸化的脱水素化では、典型的には、混合金属酸化物ベースの脱水素化触媒(典型的には、モリブデン、バナジウム、またはクロムを含有する)、より低い温度(300〜500℃)、および水素と反応させて水を形成することにより反応を促進するための反応系への酸素の添加を含む、固定床または流動床の反応器構成が使用される。両方のタイプの脱水素化反応は、本明細書に記載の本発明に適用可能である。
【0042】
以上で述べたように、ブタノールおよびペンタノールの脱水では、通常、モノオレフィン(たとえば、直鎖状ブテンおよびイソブチレンまたは種々のペンテン)の混合物が生成される。したがって、たとえば、イソブタノールの脱水では、一般的には、直鎖状ブテン(1−ブテンおよび2−ブテン)とイソブテンとの混合物が生成される。本明細書中に論述されるように、直鎖状ブテンは、容易に脱水素化されてブタジエンになるが、典型的な脱水素化条件下では、イソブテンは、比較的不活性である。したがって、いくつかの実施形態では、脱水生成物/脱水素化原料からイソブテンを除去することが望ましいこともある。他の選択肢として、直鎖状ブテンとイソブテンとの混合物を脱水素化して、ブタジエン、未反応イソブテン、および任意選択により未反応直鎖状ブテンを含む脱水素化生成物流を生成することが可能である。ほとんどの実施形態では、直鎖状ブテンは、直鎖状ブテンをブタジエンにさらに変換するために(それによりブタジエンの実効収率を増大させる)、再循環されて脱水素化反応器に戻される。未反応イソブテンは、容易にブタジエンから分離され、個別の転位工程に再循環させるか(すなわち、図7に示されるように直鎖状ブテンを生成する)または本明細書中に記載されるように他のプロセス(たとえば、バイオ燃料、アクリレート、芳香族化合物などを製造するためのオリゴマー化、酸化など)に転用することが可能である。未反応イソブテンを転位させて直鎖状ブテンにするのであれば、直鎖状ブテンを再循環させて脱水素化工程に戻し、追加のブタジエンを生成することが可能である。
【0043】
さらに他の実施形態では、イソブテンをイソオクテンに選択的に変換するが(たとえば、Kamath RSら、Industrial Engineering and Chemistry Research 2006, 45, 1575-1582の方法を用いる)直鎖状ブテンを本質的に未反応の状態で残存させる条件下で酸性イオン交換樹脂を用いて混合ブテンをオリゴマー化することにより、本質的にイソブテンを含まない直鎖状ブテン混合物(たとえば、約1%未満のイソブテンを含有する)を提供することが可能である。次に、本質的にイソブテンを含まない再生可能な直鎖状ブテンを脱水素化触媒の存在下で反応させて、再生可能なブタジエンを形成することが可能である。
【0044】
第2のオレフィン結合を収容可能なオレフィンに対する脱水素化触媒の選択性は、ブタジエンもしくはイソプレンを製造するためにまたは他の選択肢としてオレフィン混合物を精製するために(たとえば、非反応性モノオレフィンからのジエンの分離を容易にすることにより)使用可能である。本明細書中に記載されるように、たとえば、イソブタノールの脱水では、典型的には、イソブテンならびに1−および2−ブテンの両方が生成される。この生成物混合物を脱水素化触媒で処理すると、1−および2−ブテンは、選択的にブタジエンに変換されるが、イソブテンは変換されない。イソブテンのいくつかの骨格転位は、脱水素化反応時に起こりうるが、この転位された材料は、脱水素化されてブタジエンを形成する。完全な脱水素化(これは、未反応ブテンを再循環させて脱水素化原料に戻すことを必要としうる)の後、ブタジエンおよび未反応イソブテンは、ブタジエンの抽出蒸留により容易に分離され、たとえば、重合用のモノマー原料として使用するのに好適な高純度(約80〜100%、たとえば、>約80%、>約85%、>約90%、>約95%、>約98%、>約99%、もしくは>約99.8%)のイソブテンおよびブタジエンが生成される。
【0045】
もう一つの実施形態では、1−および2−ブタノールは、脱水されて、少量(<15%w/w)のイソブテンと共に主に直鎖状ブテンを含むブテン混合物を生成する。イソブテンは、とくにブタジエンが所望の生成物である場合、以上に記載したのと類似の方法を用いて脱水素によりこれらの混合物から分離可能である。イソブタノールが唯一の入手可能な原料でありかつブタジエンが所望の生成物である場合、イソブタノールの脱水で生成される1−および2−ブテンの量は、反応温度で利用可能な平衡量まで増大させることが可能である(たとえば、図3を参照されたい)。たとえば、いくつかの実施形態では、脱水触媒は、350℃でのイソブタノールの脱水により50%のイソブテンならびに50%の1−および2−ブテンが生成されるように選択される。得られた混合物は、脱水素化触媒で処理されて、50%の収率でイソブタノールからブタジエンを生成する。
【0046】
種々の実施形態では、イソブテンは、脱水素化前に直鎖状ブテンの混合物から除去可能であるか、または他の選択肢として、脱水素化の条件および触媒がイソブテンのいかなる望ましくない副反応をも最小限に抑えるように選択されるのであれば、イソブテンは、脱水素化反応工程後に生成物流から除去可能である。他の実施形態では、イソブテンの一部または全部は、他の価値ある炭化水素を形成するために転用可能である(たとえば、バイオ燃料用のイソオクテン/イソオクタンを形成するためにオリゴマー化したり、燃料用の芳香族化合物、フタレートなどを形成するために脱水素環化したりすることが可能である)。イソブテンはまた、転位させて直鎖状ブテン(1−および2−ブテン)にすることが可能であり、次に、再循環させて脱水素化反応工程に戻し、追加のブタジエンを形成することにより、50%を優に超えるようにブタジエンの実効収率を増大させることが可能である。イソブテンのすべてを再循環させるのであれば、本発明に係る種々のプロセスにおけるブタジエンの実効収率は、約100%に近づきうる。しかしながら、脱水素化時にいくらかの分解および「コーキング(coking)」が起こりうるので、本発明に係るプロセスのブタジエン収率は、約90%以上、約95%以上、または約98%以上でありうる。イソブテンの転位は、脱水素化生成物からブタジエンを取り出した後で個別の異性化工程で(たとえば、個別の異性化反応器内で)実施可能であるか、または触媒を適切に選択することにより(もしくは触媒混合物を使用することにより)脱水素化反応器内で脱水素化反応時にin−situで実施可能である。たとえば、イソブテンから直鎖状イソブテンへの転位も触媒する脱水触媒を選択することが可能であるか、または脱水触媒を異性化触媒と混合することが可能である。イソブテンの転位に好適な少数の代表的な酸触媒としては、CBV-3020、ZSM-5、βゼオライトCP 814C、ZSM-5 CBV 8014、ZSM-5 CBV 5524 G、およびYCBV 870などのゼオライト、フッ素化アルミナ、酸処理シリカ、酸処理シリカ−アルミナ、酸処理チタニア、酸処理ジルコニア、ヘテロポリ酸(ジルコニア、チタニア、アルミナ、シリカに担持されたもの)、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0047】
特定の実施形態では、イソブテンは、イソブテンを実質的に含まない脱水素化反応工程用の供給物流を提供するために脱水反応工程後に生成物流から実質的に除去される(すなわち、脱水素化供給物流のブテン成分は、実質的に直鎖状ブテンのみを含む)。「実質的に除去される」とは、除去後、供給物流中または生成物流中のイソブテンが、指定の供給物流中または生成物流中のブテンの約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満を占めるように、指定の供給物流中または生成物流中からイソブテンが除去されることを意味する。脱水素化供給物流の組成に関して「実質的に〜のみ」とは、直鎖状ブテンが、脱水素化供給物流中のブテンの少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%を占めることを意味する。
【0048】
特定の実施形態では、再生可能なブタジエンは、本明細書中に記載されるように、発酵により製造された再生可能なイソブタノールから製造される。次に、こうして生成されたイソブタノールを、本明細書中に記載されるように、直鎖状ブテンの収率を最大化する条件下で(たとえば、約350℃でγアルミナなどの不均一系酸性触媒下で)脱水する。次に、得られた約1:1の直鎖状ブテン/イソブテン混合物を脱水素化触媒(たとえば、約450〜600℃で、酸化クロム処理アルミナ、白金およびスズ含有ゼオライトおよびアルミナ、コバルトおよびモリブデン含有アルミナなど)と接触させて、ブタジエンと未反応イソブテンとの混合物を形成する。特定の実施形態では、脱水素環化触媒は、アルミナ担体に担持された酸化クロムをベースとする市販の触媒である。イソブテンは、追加のブタジエンを生成するために(それによりブタジエンの実効収率を増大させる)、本明細書中に記載されるように異性化させて直鎖状ブテンにし、再循環させて脱水素化工程に戻すことが可能であるか、または本明細書中に記載されるように他のプロセス用または材料用の原料として使用可能である。
【0049】
次に、こうして得られた再生可能なブタジエンは、たとえば、ほとんどの公知の重合方法により多種多様な再生可能なポリマーおよびコポリマーに変換して多くの商業用途で使用可能である。本明細書中に記載されるように、再生可能なブタジエンは、重合または他のモノマー(それ自体は、再生可能なモノマーであっても従来の再生不能な資源から得られたモノマーであってもよい)との共重合が可能である。たとえば、米国特許第4,331,823号および米国特許第3,356,754号に教示されるように、n−ブチルリチウムなどの開始剤を、多くの場合、カリウムtert−ブトキシドやtert−アミンなどの共開始剤と共に用いて、アニオン重合により、テロマーまたは液状ポリブタジエンと呼ばれるブタジエンの非常に低分子量のポリマーおよびコポリマーを製造することが可能である。これらの低分子量オリゴマー(MW500〜3000)は、感圧接着剤および熱硬化性ゴムの用途で使用可能である。ブタジエンはまた、エマルジョンプロセスでビニルピリジンおよび他のビニルモノマー(たとえば、再生可能なビニルモノマー)と共重合または三元共重合して、床磨き剤、テキスタイル化学物質、および自動車タイヤ用の配合ゴム組成物に有用なポリマーを形成可能である。ブタジエンはまた、たとえば米国特許第3,891,721号に教示されるように、スチレン(たとえば、再生可能なスチレン)およびビニルピリジンとアニオン重合して、膜および他のゴム用途に有用なトリブロックポリマーを形成可能である。ブタジエンおよびスチレンは、ヘキサンなどの非極性溶媒中で逐次的にアニオン重合して、高スチレン含有率を有する剛性プラスチックから高ブタジエン含有率を有する熱可塑性エラストマーまでにわたるジブロックおよびトリブロックポリマー(SBエラストマーとも呼ばれる)を形成可能である。これらのポリマーは、透明な成形カップ、ボトル、脆性プラスチック用の耐衝撃性改良剤、射出成形玩具、さらには接着剤の成分に有用である。溶液ポリブタジエンはまた、コモノマーを利用することなく非極性溶媒中でn−ブチルリチウムなどの開始剤を用いて、同様にアニオン重合により、ブタジエンから製造可能である。これらのエラストマーは、重合時に架橋されず、高耐衝撃性ポリスチレンおよびバルク重合ABS樹脂でさらには接着剤およびコーキング材で耐衝撃性改良剤として使用可能である。溶液重合ポリブタジエンはまた、加硫前に他のエラストマーおよび添加剤と配合して自動車タイヤで使用可能である。また、エマルジョン(ラテックス)重合を用いて、ブタジエンおよび任意選択により他のモノマー、たとえば、スチレン、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、および他のビニルモノマーを、特定の最終用途に好適な特有の化学構造および設計された物理構造の両方を有するポリマーに変換することが可能である。エマルジョン重合では、重合用の連続相としての水、成長を安定化させるための界面活性剤、分散されたポリマー粒子、および重合を開始させるフリーラジカルを発生する化合物が利用される。自動車タイヤに使用されるスチレン−ブタジエンエマルジョンゴムは、このプロセスにより製造可能である。アクリル酸やメタクリル酸などのビニル酸は、スチレンブタジエンゴム中に共重合させることが可能である。低レベル(0.5〜3%)のビニル酸は、ラテックスの安定性を改良し、とくに極性充填剤を含有する場合、タイヤなどの配合ゴム製品で有益でありうる。ゴムラテックス中のより高レベルの酸(カルボキシル化ラテックスと呼ばれることが多い)は、紙のコーティングで効果的に使用される。ラテックス重合はまた、ゴム強化プラスチックおよび耐衝撃性改良剤を製造するために使用される。ラテックス重合により製造される耐衝撃性改良剤はまた、ポリマーを構成するモノマーを重合する際に形成される構造が理由で、コア−シェル型改良剤とも呼ばれる。MBS樹脂は、米国特許第6,331,580号に教示されるように、逐次的エマルジョンプロセスにより製造され、この際、ブタジエン(B)およびスチレン(S)が最初に重合されて、典型的には直径が0.1〜0.5マイクロメートルのゴム粒子コアを形成し、次に、メチルメタクリレート(M)が重合されて、SBゴムコアの外表面上に化学的にグラフトされたシェルを形成する。この耐衝撃性改良材料は、ラテックスから単離され、靭性を改良するためにプラスチックとブレンドされる。アクリロニトリル(A)をメチルメタクリレートの代わりに使用するのであれば、米国特許第3,509,237号および米国特許第4,385,157号に開示されるように、プロセスにわずかな変更を加えれば、エマルジョンABSが生成物になる。ABSは、玩具、自動車部品、電子機器筐体、および家庭用品を製造するために、射出成形プロセスおよび押出しプロセスで使用される。ニトリルゴムは、類似のエマルジョン重合プロセスで製造され、この際、ブタジエンおよびアクリロニトリルが共重合されて一体化され、溶媒に対して非常に耐性のある極性エラストマーを生成する。エラストマー中のブタジエン含有率が高いほど、より軟質で可撓性のある生成物が得られ、一方、アクリロニトリルの含有率が高いほど、耐溶剤性が高くなる。ゴムは、凝析によりラテックスから単離され、高い耐溶剤性が利点となる手袋、自動車用ホース、およびガスケットの形態に作製可能である。
【0050】
本明細書に記載のプロセスにより製造された再生可能なブタジエンはまた、たとえば、特開平10−237017号および特開2001−002600号に記載のプロセスを用いて、再生可能な1,4−ブタンジオール(BDO)および/または再生可能なテトラヒドロフラン(THF)に変換可能であり(以下のスキーム1に例示される)、この際、ブタジエンは、パラジウム触媒の存在下で酢酸および酸素と反応して(Sb、Bi、Se、またはTeなどの促進剤を用いた約70℃かつ70barの液相)、1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを形成し、次に、水素化されて(Pd/Cなどの従来の水素化触媒を用いた約50℃かつ50barの液相)、1,4−ジアセトキシブタンになる。1,4−ジアセトキシブタンの酸加水分解により(たとえば、酸性イオン交換樹脂を用いて)、高収率でBDOおよびTHFが得られる。
スキーム1:
【化1】

【0051】
再生可能なBDOおよびTHFは、さまざまな再生可能な生成物に変換可能である。たとえば、再生可能なBDOは、好適なジイソシアネートと反応して、再生可能なLycraTMおよびSpandexTMの生成物さらには熱可塑性ウレタンエラストマーを形成可能である。再生可能なBDOはまた、再生可能なBDOをテレフタル酸またはテレフタル酸エステルと反応させることにより再生可能なポリブチレンテレフタレートを形成するために使用可能であるか、またはアジピン酸やコハク酸などの再生可能な脂肪族二酸と共重合してポリブチレンアジペートやポリブチレンスクシネートなどの再生可能な脂肪族ポリエステルを形成可能である。いくつかの実施形態では、たとえば、米国特許出願第12/327,723号および米国仮特許出願第61/295,886号に記載の方法により、再生可能なキシレンの酸化により製造されたテレフタル酸またはテレフタル酸エステルは、再生可能でありうる。再生可能なBDOはまた、以下のスキーム2に例示されるように、再生可能なγ−ブチロラクトン(GBL)、再生可能なピロリドン溶媒、たとえば、N−メチルピロリドン(NMP)、再生可能なN−ビニルピロリジノン(NVP)などを製造するために使用可能である。
スキーム2:
【化2】

【0052】
再生可能なGBLおよびNMPは、溶媒として使用可能であり、再生可能なNVPは、ヘアスプレーなどのパーソナルケア製品で使用可能である。
【0053】
本明細書に記載のプロセスにより製造された再生可能なブタジエンはまた、中間体シクロドデカノンのオキシムを形成してからオキシムを転位させてラウリルラクタムにすることにより(たとえば、米国特許第6,649,757号の方法を用いて)再生可能なドデカン二酸(DDDA)または再生可能なラウリルラクタムを形成するために使用可能である。次に、以下のスキーム3に示されるように、ラウリルラクタムを重合させて再生可能なナイロン−12を形成することが可能である。
スキーム3:
【化3】

【0054】
本明細書に記載のプロセスにより製造された再生可能なブタジエンはまた、重合して再生可能な合成ゴムを提供しうる再生可能なクロロプレンを製造するために使用可能である。再生可能なクロロプレンは、再生可能なブタジエンを塩素化することにより製造可能である(たとえば、250℃かつ1〜7barでClを用いてフリーラジカル気相塩素化を行って、シス−およびトランス−1,4−DCBの混合物さらには3,4−DCBを得ることが可能である)。10〜25%のブタジエン転化率で、DCBのこの混合物に対する選択率は、85〜95%でありうる。以下のスキーム4に示されるように、3,4−ジクロロ−1−ブテン(3,4−DCB)を脱塩化水素してクロロプレンを形成することが可能である(たとえば、85℃で希アルカリ触媒を用いて)。銅触媒を用いて1,4−DCB副生成物を3,4−DCBに異性化することが可能である。それに加えて、反応時に3,4−DCBを留去することにより(沸点は1,4−異性体の155℃に対して123℃である)、反応の平衡をシフトさせて95〜98%の選択率を得ることが可能である。
スキーム4:
【化4】

【0055】
本明細書に記載のプロセスにより製造された再生可能なブタジエンはまた、再生可能なナイロン−6,6を製造するために使用可能である(スキーム5)。たとえば、ゼロ価ニッケル触媒の存在下で再生可能なブタジエンをHCNと反応させてアジポニトリルを提供することにより、再生可能なナイロン−6,6を製造することが可能である。アジポニトリルを水素化してヘキサメチレンジアミン(HMD)を形成することが可能であり、加水分解してアジピン酸を形成することが可能である。次に、HMDおよびアジピン酸を重合させてナイロン−6,6を形成することが可能である。
スキーム5:
【化5】

【0056】
他の選択肢として、スキーム6に示されるように、たとえば、ドープRaney Niを用いて、再生可能なアジポニトリルをヒドロシアノ化および環化し再生可能なカプロラクタム(CL)にすることが可能であり(米国特許第5,801,286号の方法を用いて)、水の存在下で環化してCLにすることが可能である(米国特許第5,693,793号の方法を用いて)。次に、当技術分野で公知の方法を用いて再生可能なカプロラクタムを重合させて再生可能なナイロン−6を形成することが可能である。
スキーム6:
【化6】

【0057】
本明細書に記載のプロセスにより製造された再生可能なブタジエンはまた、スキーム7に例示される方法を用いて再生可能なスルホレンおよびスルホランを製造するために使用可能である。
スキーム7:
【化7】

【0058】
本明細書に記載のプロセスにより製造された再生可能なブタジエンはまた、再生可能なスチレン、再生可能なポリスチレン、および再生可能なスチレン系ポリマー(たとえば、再生可能なSBRゴム)を製造するために使用可能である。再生可能なスチレンは、たとえば、再生可能なブタジエンを二量化してビニルシクロヘキセンを形成し、これを段階的に脱水素化してエチルベンゼンを形成し(たとえば、国際公開第2003/070671号の方法を用いて)、次に、スチレンを形成することにより(たとえば、米国特許第4,229,603号の方法を用いて)、製造可能である。他の選択肢として、ビニルシクロヘキセンを脱水素化して直接、スチレンにすることが可能である。再生可能なスチレンは、単独重合して再生可能なポリスチレンを形成したり、再生可能なブタジエンと共重合してSBRゴムを形成したりすることなどが可能である。
【0059】
本明細書に記載のプロセスにより製造された再生可能なブタジエンはまた、完全再生可能もしくは部分再生可能なエチレン−プロピレン−ジエンゴム(再生可能なエチレンおよび/またはプロピレンを使用するかどうかに依存して)を製造するための再生可能なエチリデンノルボルネン(ENB)を製造するために使用可能である。再生可能なエチレンは、再生可能なエタノールを脱水素化することにより製造可能であり(たとえば、発酵法または熱化学的方法により製造可能であり)、再生可能なプロピレンは、たとえば米国仮出願特許第61/155,029号に記載の方法により製造可能である。再生可能なENBは、たとえば、四工程プロセスで再生可能なブタジエンおよびジシクロペンタジエンを反応させることにより、製造可能である。第1の工程では、ジシクロペンタジエンをシクロペンタジエンにデカップリングし、Diels-Alder縮合により再生可能なブタジエンと反応させてビニルノルボルネン(VNB)にする。この後、蒸留により精製VNBを取得し、これを接触異性化(米国特許第4,720,601号)してENBにする。
【0060】
本明細書に記載のプロセスにより製造された再生可能なブタジエンはまた、たとえば米国特許第4,396,787号の方法を用いて熱二量化させることにより、再生可能な1,5−シクロオクタジエン(COD)を形成可能である。再生可能なCODは、Ni(COD)などの再生可能なエチレンオリゴマー化触媒の製造で使用可能である。ブタジエンはまた、二量化させることにより1−オクテンおよび1−オクタノールを生成可能である。
【0061】
他の実施形態では、3−メチル−1−ブタノールの脱水によりメチルブテンと少量の他のペンテンとの混合物が生成され、これを脱水素化触媒で処理すると、メチルペンテン(たとえば、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン)、たとえば、3−メチル−1−ブテンから主にイソプレンが生成され、他のペンテンから他のペンタジエン、たとえば、1,3−ペンタジエンが生成される。ペンタジエンは、蒸留により互いに分離される。脱水の触媒および条件は、脱水素化触媒で処理したときにさまざまな量の特定のオレフィンおよびそれから得られるジオレフィンが生成されるように最適化される。
【0062】
以上に記載されるようにイソブテンを精製することにより、すべての現在の工業仕様を満たしかつたとえば従来の石油ベースイソブテンから現在製造されているすべての化学物質および材料を製造するために使用可能である再生可能なイソブテンが生成される。たとえば、再生可能もしくは部分再生可能なポリイソブチレン、ブチルゴム、メチルメタクリレート、イソプレン、および他の化学物質を本発明に係る方法により製造することが可能である。再生可能なイソブテンはまた、好適な条件下で酸化することによりメタクリル酸およびメタクリル酸エステルを提供可能である(スキーム8)。イソブテンは、約300〜500℃の温度で好適な金属酸化物触媒を用いて(たとえば、特開2005−253415号に記載の方法により)メタクロレイン(MAL)に酸化可能であり、これは、次に、約350〜500℃の温度でメタクリル酸(MMA)にさらに酸化される(国際公開第2003/053570号)。得られたメタクリル酸はさらに、メチルメタクリレートにエステル化可能である。イソブテンからMMAへの酸化は、単一工程で達成してもよい(たとえば、国際公開第2003/053570号に記載のとおり)。
スキーム8:
【化8】

【0063】
MMAを製造するための代替プロセスは、Pd/Pb/Mg−Al(たとえば、特開2006−306731号に記載のとおり)やPdBiFe/CaCOなどの触媒を用いてMALからMMAへの酸化的エステル化(たとえば、米国特許第4,518,796号に記載のとおり)によるものである(スキーム9。
スキーム9:
【化9】

【0064】
このほかに、ブタジエンから現在製造されているすべての材料、たとえば、合成ゴムやナイロンなどは、本発明に従って再生可能なブテンの脱水素化により製造された再生可能なブタジエンから製造可能である。たとえば、ブタジエンは、合成ゴムを製造するためのモノマーおよびコモノマーとして直接使用される。それはまた、ポリエステル材料およびナイロン材料を製造するために、本明細書中に記載されるように、「酸化された」モノマー、たとえば、1,4−ブタンジオール、アジポニトリル、およびアジピン酸などに変換可能である(たとえば、アジピン酸は、好適な触媒、CO、および水の存在下でブタジエンをヒドロカルボキシル化することにより製造され、たとえば、アジポニトリルは、好適な触媒の存在下でブタジエンをヒドロシアノ化することにより製造される)。メチルブテンの脱水素化または再生可能なイソブテンのヒドロホルミル化および脱水からの再生可能なイソプレンの製造により、イソプレンから製造されるすべての化学物質および材料、特定的には合成ゴムおよび他のポリマーの再生可能もしくは部分再生可能な形態のものを製造することが可能である。
【0065】
イソブテンの主要な工業用途の1つは、主に自動車タイヤで使用するためのブチルゴムの製造である。ブチルゴムは、ブタジエンやイソプレンなどのジオレフィンで架橋された高純度イソブテンで構成された高性能ポリマーである(たとえば、米国特許第2,984,644号、Dhaliwal GK, Rubber Chemistry and Technology 1994, 67, p. 567)。典型的には、1〜3%のイソプレンがイソブテンとブレンドされ、塩化アルミニウムおよび他の金属塩などの重合触媒の存在下で共重合される。
【0066】
いくつかの実施形態では、再生可能なイソプレンは、再生可能なブタジエンを製造するための本明細書中に記載のものに類似した条件下で、3−メチル−1−ブタノールまたは2−メチル−1−ブタノールを脱水触媒および脱水素化触媒と接触させることにより製造される。次に、こうして生成された再生可能なイソプレンは、以上に記載の方法によりまたは従来法(たとえば、イソブチレンからt−ブタノールへの水化およびそれに続くイソブテンへの脱水)により得られた再生可能なイソブテンとブレンドされて、再生可能なブチルゴムを製造するための再生可能なモノマー原料を形成する。石油ベースのイソプレンおよびイソブテンもまた、部分再生可能なブチルゴムを製造するために再生可能なイソプレンおよび/またはイソブテンと共に使用可能である。精製イソプレンを精製イソブテンとブレンドしてブチルゴムを製造することに加えて、イソブタノールと3−メチル−1−ブタノール(または2−メチル−1−ブタノール)との混合物を脱水触媒と接触させてイソブチレンおよび3−メチルブテン(または2−メチルブテン)を形成し、次に、このオレフィン混合物を脱水素化触媒と接触させてイソブテンおよびイソプレンを形成することにより、イソブテンとイソプレンとの再生可能なブレンドを製造することが可能である。副生成物、たとえば、ブタジエンならびに他のCオレフィンおよびジオレフィンなどを抽出蒸留により除去すると、イソブテンおよびイソプレンのみ含有する混合物が得られる。混合物中のイソプレンの量は、宿主微生物中の3−メチル−1−ブタノール生産経路を操作することによりまたはバイオマスの熱化学的変換の触媒を適切に選択することにより制御可能である。いくつかの実施形態では、3−メチル−1−ブタノール(または2−メチル−1−ブタノール)の濃度は、得られたイソブテン/イソプレン混合物を直接使用してブチルゴムを製造できるように、生成されるイソブタノールの1〜3%に調整される。他の選択肢として、他の実施形態では、より高濃度の3−メチル−1−ブタノールを生成してイソブテンとイソプレンとの混合物を形成し、次に、ブチルゴム製造を最適化するように純粋なイソブテンで希釈する。イソブタノールを含有する3−メチル−1−ブタノール(または2−メチル−1−ブタノール)から製造されたイソプレンはまた、個別に取り出され、適正濃度になるようにイソブテンとブレンドされる。他の選択肢として、1−および2−ブテンの脱水素化により製造されたブタジエンは、ブチルゴム生成物中で架橋剤として使用される。
【実施例】
【0067】
実施例1
45%のセルロース、25%のヘミセルロース、22%のリグニン、および8%の他の材料よりなるセルロース系材料を予備処理して、溶液中に約4%の不溶性リグニン、1%のグルコース、40g/Lのキシロース、2g/Lのマンノース、2g/Lのガラクトース、1g/Lのアラビノース、5g/Lの酢酸を含む8%の不溶性セルロースのスラリーを得る。スラリーを撹拌された糖化・発酵槽に供給し、セルロースの80%を72時間で加水分解するのに十分なセルラーゼ酵素を仕込む。グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、およびアラビノースを発酵させてイソブタノールにする公知の微生物を発酵系に添加し、槽を72時間撹拌する。発酵により生成されたイソブタノールを蒸留により発酵液から分離する。第1のイソブタノール含有蒸留画分は、20%w/wのイソブタノールと80%w/wの水とを含有し、凝縮すると、2つの相、すなわち、85%のイソブタノールと15%の水とを含有する軽質相および8%のイソブタノールと92%の水とを含有する重質相を形成する。軽質相をもう一度蒸留し、イソブタノールの2つの低含水画分を得る。一方の画分は、99.5%のイソブタノールと0.5%の水とで構成され、第2の画分は、98.8%のイソブタノールと1%の3−メチル−1−ブタノールと0.2%の水とで構成される。
【0068】
実施例2
実施例1で得られたイソブタノールを、予熱器を介して、市販の脱水触媒(BASF AL3996)が充填された固定床管型反応器に供給した。内部反応器温度は300℃に保持され、反応器圧力は大気圧であった。イソブタノールのWHSVは6/時間であった。主にイソブテンおよび水が反応器内で生成され、20℃で気液分離器内にて分離され、水は1%の未反応イソブタノールを有し、転化率は99.8%であった。気相流出物のGC−MSにより、96%のイソブテン、2.5%の2−ブテン(シスおよびトランス)、および1.5%の1−ブテンであることが示された。
【0069】
実施例3
実施例1で得られたイソブタノールを、予熱器を介して、市販の脱水触媒(例えば、X型ゼオライト)が充填された固定床管型反応器に供給した。内部反応器温度は370℃に保持し、反応器圧力は大気圧である。イソブタノールのWHSVは3/時間である。Cオレフィンおよび水の混合物が反応器内で生成され、20℃で気液分離器内にて分離され、水は1%未満の未反応イソブタノールを有し、転化率は99.8%超である。気相流出物のGC−MSにより、50%のイソブテン、40%の2−ブテン(シスおよびトランス)、および10%の1−ブテンであることが示される。
【0070】
実施例4
50%の2−メチル−1−ブタノールと50%の3−メチル−1−ブタノール(v/v)の混合物を、予熱器を介して、市販の脱水触媒(例えば、BASF AL3996)が充填された固定床管型反応器に供給した。内部反応器温度は400℃に保持し、反応器圧力は大気圧である。アルコール流のWHSVは2/時間である。Cオレフィンおよび水の混合物が反応器内で生成され、50℃で気液分離器内にて分離される。おおよそ50%の未反応Cアルコールと50%の水の、2相の液体が得られ、90%の全転化率であることが示される。気相流出物のGC−MSにより、40%の2−メチル−1−ブテン、30%の3−メチル−1−ブテン、および30%の2−メチル−2−ブテンであることが示される。
【0071】
実施例5
99%のイソブタノールと1%の3−メチル−1−ブタノールの混合物を、予熱器を介して、市販の脱水触媒(例えば、BASF AL3992)が充填された固定床管型反応器に供給した。内部反応器温度は350℃に保持し、反応器圧力は大気圧である。1−ブタノールのWHSVは5/時間である。Cオレフィン、Cオレフィンおよび水の混合物が反応器内で生成され、50℃で気液分離器内にて分離される。水は1%未満の未反応イソブタノールおよび痕跡量の3−メチル−1−ブタノールを有し、99.8%超の転化率であることが示される。気相流出物のGC−MSにより、70%のイソブテン、20%の2−ブテン(シスおよびトランス)、9%の1−ブテン、0.7%の3−メチル−1−ブテン、および0.3%の2−メチル−2−ブテンであることが示される。
【0072】
実施例6
1−ブタノールを、予熱器を介して、市販の脱水触媒(たとえばBASF AL3996)が充填された固定床管型反応器に供給する。内部反応器温度は370℃に保持され、反応器圧力は大気圧である。1−ブタノールのWHSVは2/時間である。Cオレフィンと水との混合物が反応器内で生成され、20℃で気液分離器内にて分離される。水は5%の1−ブタノールを有することから、99%の全転化率であることが示される。気相流出物のGC−MSにより、40%の2−ブテン(シスおよびトランス)、35%の1−ブテン、および25%のイソブテンであることが示される。
【0073】
実施例7
2−ブタノールを、予熱器を介して、市販の脱水触媒(たとえばBASF AL3996)が充填された固定床管型反応器に供給する。内部反応器温度は350℃に保持され、反応器圧力は大気圧である。2−ブタノールのWHSVは2/時間である。Cオレフィンと水との混合物が反応器内で生成され、20℃で気液分離器内にて分離される。水は2.5%の2−ブタノールを有することから、99.5%の全転化率であることが示される。気相流出物のGC−MSにより、50%の2−ブテン(シスおよびトランス)、30%の1−ブテン、および20%のイソブテンであることが示される。
【0074】
実施例8
96%のイソブテン、2.5%の2−ブテン(シスおよびトランス)および1.5%の1−ブテンを含有する実施例2からの混合ブテン流を、10:1のブテン:空気の相対供給速度で、空気と混合する。得られる混合物は、1.9%の酸素および3.6%の直鎖状ブテンである。混合物は400℃に予熱され、2つの触媒床が順次充填された固定床管型反応器に300/時間のGHSVで供給される。第1の触媒床はZnFeを含有し、第2の触媒床はCoFeBiMoO51を含有する。反応器からの流出物は、水を除去するためにモレキュラーシーブカラムで乾燥される。窒素および酸素は、−78℃(ドライアイス浴)でC流を気液分離器に通すことにより除去される。C生成物はGC−MSにより分析される。組成物は、96%のイソブテン、3.9%のブタジエン、および0.1%の直鎖状ブテンであることがわかる。ブタジエンは、アセトニトリルで抽出することによりガス流からストリッピングされる。得られる流れは、痕跡量のブタジエン(<0.01%)を有して99.9%のイソブテンおよび0.1%の直鎖状ブテンである。
【0075】
実施例9
50%のイソブテン、40%の2−ブテン(シスおよびトランス)および10%の1−ブテンを含有する実施例3からの混合ブテン流を、4:5のブテン:空気の相対供給速度で、空気と混合する。得られる混合物は、11.7%の酸素および22.2%の直鎖状ブテンである。混合物は400℃に予熱され、2つの触媒床が順次充填された固定床管型反応器に300/時間のGHSVで供給される。第1の触媒床はZnFeを含有し、第2の触媒床はCoFeBiMoO51を含有する。反応器からの流出物は、水を除去するためにモレキュラーシーブカラムで乾燥される。窒素および酸素は、−78℃(ドライアイス浴)でC流を気液分離器に通すことにより除去される。C生成物はGC−MSにより分析される。組成物は、50%のイソブテン、49.9%のブタジエンおよび0.1%の直鎖状ブテンであることがわかる。ブタジエンは、アセトニトリルで抽出することによりガス流からストリッピングされる。得られる流れは、痕跡量のブタジエン(<0.01%)を有して99.9%のイソブテンおよび0.1%の直鎖状ブテンである。
【0076】
実施例10
70%のイソブテン、20%の2−ブテン(シスおよびトランス)、9%の1−ブテン、0.7%の3−メチル−1−ブテンおよび0.3%の2−メチル−2−ブテンを含有する実施例5からの流れを、4:3のオレフィン:空気の相対供給速度で、空気と混合する。得られる混合物は、9%の酸素および17.1%の直鎖状ブテン+Cオレフィンである。混合物は400℃に予熱され、2つの触媒床が順次充填された固定床管型反応器に300/時間のGHSVで供給される。第1の触媒床はZnFeを含有し、第2の触媒床はCoFeBiMoO51を含有する。反応器からの流出物は、水を除去するために乾燥される。窒素および酸素は、−78℃(ドライアイス浴)でC流を気液分離器に通すことにより除去される。炭化水素生成物はGC−MSにより分析される。組成物は、70%のイソブテン、28.9%のブタジエン、0.1%の直鎖状ブテンおよび1%のイソプレンであることがわかる。ブタジエンおよびイソプレンは、アセトニトリルで抽出することによりガス流からストリッピングされる。得られる流れは、痕跡量のブタジエン(<0.01%)を有して99.9%のイソブテンおよび0.1%の直鎖状ブテンである。イソプレンおよびブタジエンは蒸留に分離され、精製されたブタジエンおよびイソプレンが生成される。
【0077】
実施例11
120sccmの窒素および120sccmの2−ブテン(シスおよびトランスの混合物)を、予熱器を介して、15gの市販のアルミナ担持Cr脱水素化触媒(BASF Snap触媒)が充填された固定床管型反応器に供給した。内部反応器温度は600℃に保持され、反応器圧力は大気圧であった。2−ブテンのWHSVは約1/時間であった。気相流出物のGC−FIDにより、74%の直鎖状ブテン(1−、シス−2−、およびトランス−2−の混合物)、16%のブタジエン、2.5%のn−ブタン、および7.5%のC〜C炭化水素であることが示された。2−ブテンの得られた転化率は、%炭素を基準にして、26%であり(1−ブテンへの転位を無視した)、ブタジエンに対する選択率は61.5%であった。
【0078】
実施例12
120sccmの窒素および120sccmのイソブチレンを、予熱器を介して、15gの市販のアルミナ担持Cr脱水素化触媒(BASF Snap触媒)が充填された固定床管型反応器に供給した。内部反応器温度は600℃に保持され、反応器圧力は大気圧であった。イソブチレンのWHSVは約1/時間であった。気相流出物のGC−FIDにより、78.8%のイソブチレン、13.6%のイソブタン、および7.6%のC〜C炭化水素であることが示された。イソブチレンからブタジエンは生成されなかった。
【0079】
実施例13
発酵から得られた再生可能な湿潤イソブタノール(15%の水および約4%のエタノールを含有する)を、予熱器を介して、市販のγアルミナ脱水触媒(BASF Snap触媒)が充填された固定床管型反応器に供給した。内部反応器温度は400℃に保持され、反応器圧力は大気圧であった。イソブタノールのWHSVは約0.1/時間であった。生成物は20℃で気液分離器内にて分離され、比較的純粋な水が液体生成物として除去された。気相生成物はモレキュラーシーブ床で乾燥させた。脱水反応器からの気相流出物のGC−FIDは、82%のイソブチレン、13%の直鎖状ブテン(1−ブテンならびにシス−およびトランス−2−ブテンの混合物)、4.5%のエチレン、および0.5%のプロピレンであった。気相流の流量は約120sccmであった。この流れを120sccmの窒素と組み合わせて、予熱器を介して、15gの市販のアルミナ担持Cr脱水素化触媒が充填された固定床管型反応器に供給した。内部反応器温度は600℃に保持され、反応器圧力は大気圧であった。混合ブテン流のWHSVは約1/時間であった。気相流出物のGC−FIDにより、2.5%のイソブタンを有する78.5%のイソブチレン、7.5%の直鎖状ブテン、0.6%のエタンを有する3.7%のエチレン、2.9%のブタジエンであり、残りが4.4%のメタンおよびプロピレンであることが示された。このことから、脱水素化反応器に供給された直鎖状ブテンを基準にしてブタジエンの収率が約22%であることが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1種以上のブタノールを含むアルコール混合物を提供する工程と、
(b)前記アルコール混合物を脱水触媒と接触させることにより1種以上の直鎖状ブテンおよびイソブテンを含むオレフィン混合物を形成する工程と、
(c)(b)のオレフィン混合物を脱水素化触媒と接触させることによりブタジエンおよびイソブテンを含むジオレフィン混合物を形成する工程と、
(d)(c)のジオレフィン混合物からブタジエンを単離する工程と、
を含む、ブタジエンの製造方法。
【請求項2】
アルコール混合物が1種以上の再生可能なブタノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルコール混合物がイソブタノールを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1種以上の再生可能なブタノールが発酵により製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
発酵が、遺伝子改変微生物を用いて発酵する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1種以上の再生可能なブタノールが、バイオマスの嫌気性消化により生産された1種以上の酪酸の水素化により製造される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
(b)のオレフィン混合物が少なくとも約10%の直鎖状ブテンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)に先立ってイソブテンがオレフィン混合物から実質的に除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記脱水素化が、不活性担体ガスの存在下で行われるか、または約0.1atm〜約0.7atmの圧力で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記脱水素化が酸素の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記単離する工程が抽出蒸留を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(a)1種以上のペンテンを含むオレフィン混合物を提供する工程であって、ただし、オレフィン混合物の少なくとも一部分が1種以上のメチルブテンを含む工程と、
(b)(a)のオレフィン混合物を脱水素化触媒と接触させることによりイソプレンを含む混合物を形成する工程と、
(c)工程(b)の混合物からイソプレンを単離する工程と、
を含む、イソプレンの製造方法。
【請求項13】
前記工程(a)のオレフィン混合物を提供する工程が、
(a1)1種以上のペンタノールを含むアルコール混合物を提供する工程と、
(a2)前記アルコール混合物を脱水触媒と接触させることによりオレフィン混合物を形成する工程と、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a2)のオレフィン混合物が少なくとも約50%のメチルブテンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)の混合物が少なくとも約50%のイソプレンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
アルコール混合物が再生可能なアルコールを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
再生可能なアルコールが発酵により製造される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
発酵が、遺伝子改変微生物を用いて発酵する工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アルコール混合物が3−メチル−1−ブタノールまたは2−メチル−1−ブタノールを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
アルコール混合物が3−メチル−1−ブタノールを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
アルコール混合物が2−メチル−1−ブタノールを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記単離する工程が抽出蒸留を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記脱水素化が、不活性担体ガスの存在下で行われるか、または約0.1atm〜約0.7atmの圧力で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記脱水素化が酸素の存在下で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項25】
(a)1種以上の直鎖状ブテンおよびイソブテンを含むオレフィン混合物を提供する工程と、
(b)(a)のオレフィン混合物を脱水素化触媒と接触させることによりブタジエンおよびイソブテンを含むジオレフィン混合物を形成する工程と、
(c)(b)の混合物からイソブテンを単離する工程と、
を含む、イソブテンの製造方法。
【請求項26】
前記工程(a)のオレフィン混合物を提供する工程が、
(a1)1種以上のブタノールを含むアルコール混合物を提供する工程と、
(a2)前記アルコール混合物を脱水触媒と接触させることによりオレフィン混合物を形成する工程と、
を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(a)1種以上の直鎖状ブテンおよびイソブテンを含むオレフィン混合物を提供する工程と、
(b)(a)のオレフィン混合物を脱水素化触媒と接触させることによりブタジエンおよびイソブテンを含むジオレフィン混合物を形成する工程と、
(c)工程(b)の混合物からブタジエンを単離する工程と、
(d1)前記ブタジエンを、1,4−ブタンジオール、THF、N−ビニルピロリジノン、ラウリルラクタム、クロロプレン、アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン、カプロラクタム、およびエチリデンノルボルネンからなる群から選択されるモノマーに変換する工程と、
を含む、モノマーの製造方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法により製造される、再生可能なブタジエン。
【請求項29】
請求項12に記載の方法により製造される、再生可能なイソプレン。
【請求項30】
請求項25に記載の方法により製造される、再生可能なイソブテン。
【請求項31】
前記モノマーが、メチルメタクリレート、1,4−ブタンジオール、THF、N−ビニルピロリジノン、ラウリルラクタム、クロロプレン、アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン、カプロラクタム、およびエチリデンノルボルネンからなる群から選択される、請求項27に記載の方法により製造される再生可能なモノマー。
【請求項32】
請求項28に記載の再生可能なブタジエンの重合または共重合により製造される、再生可能なポリマー。
【請求項33】
請求項29に記載の再生可能なイソプレンの重合または共重合によって製造される、再生可能なポリマー。
【請求項34】
請求項30に記載の再生可能なイソブテンを重合または共重合することにより製造される、再生可能なポリマー。
【請求項35】
請求項31に記載の再生可能なモノマーの1つ以上の重合または共重合により製造される、再生可能なポリマー。
【請求項36】
液状ポリブタジエン、SBエラストマー、MBS樹脂、ABS樹脂、およびニトリルゴムからなる群から選択される、請求項32に記載の再生可能なポリマー。
【請求項37】
ポリイソプレン、スチレン−イソプレンブロックコポリマー、およびイソプレン含有ブチルゴムからなる群から選択される、請求項33に記載の再生可能なポリマー。
【請求項38】
ポリイソブチレンおよびブチルゴムからなる群から選択される、請求項34に記載の再生可能なポリマー。
【請求項39】
前記ポリマーが、ポリエステル、ナイロン、ナイロン−12、ナイロン−6,6、ポリイソシアネート、ポリクロロプレン、ポリスチレン、SBRゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、およびポリメチルメタクリレートからなる群から選択される、請求項35に記載の再生可能なポリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−518658(P2012−518658A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551312(P2011−551312)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/025234
【国際公開番号】WO2010/099201
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(510153973)ジーヴォ,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】