説明

再生可能な原料から発酵培地を調製する方法

【課題】 再生可能な原料から、高純度の代謝物、好ましくは有機酸、ビタミン、アミノ酸および抗生物質からなる群から選択された代謝物を調製するために適した培地を調製する方法を提供すること。
【解決手段】 任意に、当該再生可能な原料を処理し、微生物により直接的に同化されうる炭素源又は窒素源を豊富にし、不溶性の不純物を除去する工程;ナノ濾過及び電気透析からなる群より選択される技術を、単独又は組合せで使用して、低分子量の不純物を当該再生可能な原料より除去しつつも、直接同化されうる炭素源の濃度を変化させない工程;低分子量の不純物が上記のように除去された当該原料を処理して、微生物によって直接的に同化されうる窒素源又は炭素源で補充する工程;上記のようにして得られる発酵培地を回収する工程からなる方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再生可能な原料から発酵培地を調製する具体的な方法に関する。
【0002】より正確には、本発明は、再生可能な原料を加工する具体的な方法に関し、よって、それを発酵に直接使用して、代謝物を単離するための数多くの長く費用のかかる精製段階を実施する必要なく、高純度の代謝物を製造できる。
【0003】本発明の内容において、「再生可能な原料」なる表現は、安く、未精錬で、一般的に無毒性で、窒素および炭素源の豊富な、食品工業からの廃棄物を意味する。
【0004】本発明の内容において、「代謝物」なる語は、微生物により直接同化できる炭素源の発酵による変換産物を意味する。これらは、有利には、有機酸、ビタミン、アミノ酸および抗生物質からなる群から選択された代謝物であり、好ましくはL−乳酸などの有機酸である。
【0005】
【従来の技術】前記の再生可能な原料の選択は、その入手可能性、費用、および高生産性の可能性に基づくことが一般に認められている。
【0006】また発酵培地には、炭素源だけでなく、窒素源も含まなければならず、これにミネラルおよび有機塩を加えることも認められている。
【0007】「炭素源」は、糖蜜、コムギ、トウモロコシ、イネ、キャッサバまたはジャガイモのデンプン加水分解産物などの再生可能な原料から得ることができるが、「直接同化できる炭素源」は、前記炭素源から精錬または精製された糖、例えばグルコース、フルクトース、マルトース、サッカロース、ラクトースおよびデキストリンである。
【0008】「窒素源」またはタンパク質をベースとした栄養分の例は、酵母抽出物、コーンスティープリカー、非変性ミルク、糖蜜タンパク質、肉抽出物またはダイズ粉である。しかし、窒素源として酵母抽出物を使用し、また追加のビタミンおよびミネラルを提供することがしばしば好ましい。
【0009】「直接同化できる炭素源」、すなわちグルコースまたはサッカロース、または酵母抽出物からなる発酵培地は、基本的に、例えば、乳酸、プロピオン酸、グルコン酸、クエン酸等の有機酸、リジンなどの必須アミノ酸、抗生物質または工業目的の任意の他の代謝物を産生する発酵プロセスなどの、多種類の発酵プロセスに使用できる。
【0010】これらの培地はまた、バイオマスの産生に(例えば、乳酸発酵体の調製に)も適している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの培地は、それから、同じく経済的に実行可能な代謝物の工業的規模での産生にまで外挿することが不可能である(その組成物に関して標準化された培地を提供することが困難であるため、および、その後の精製段階から追加の費用が生じるため)という欠点を有することが認められている。
【0012】費用を減少するために、それ故、窒素または炭化水素源の一方が安い原料により提供され、発酵培地の他方の成分が精錬または精製されている、発酵培地を使用する選択がなされてきた。
【0013】乳酸などの有機酸の産生について、例えば、米国特許第5,416,020号は、乳清および乳清透過物からL−乳酸を産生する方法を記載するが、酵母抽出物も、二価マンガンの存在下で、実質的にL−乳酸を産生するLactobacillus delbrueckii sub.bulgaricus ATCC55163の変異株と共に加える。
【0014】乳清透過物は、75重量%から80重量%のラクトースを含むが、大きなタンパク質は全く含まない。それ故、微生物の増殖に必須な窒素源が欠乏している。そのために酵母抽出物を加える必要がある。添加された乳清は、実質的に、65重量%から70重量%の程度のラクトースを含む。
【0015】次いで、酵母抽出物は、発酵培地に、乳清透過物または乳清それ自体により適切に提供されない栄養分を供給する。
【0016】米国特許第4,467,034号は、新しいLactobacillus bulgaricus DSM2129株を使用して、原料としての乳清から乳酸を産生することが可能であることを示す。
【0017】しかし、乳清には、依然として、追加の窒素源、すなわち肉抽出物、コーンスティープリカーまたはダイズ粉、並びに、ビタミンおよびミネラル塩を提供しなければならない。
【0018】これらの発酵培地を上記の条件下で使用することにより、使用する原料の費用は僅かに減少するが、窒素/炭素比に関して慎重に選択した組合せと、効率的な産生に必要な添加物質が必要である。
【0019】さらに、これらの「再構成」培地は、例えば、膜分離、イオン交換、溶媒による抽出、電気透析およびラクテート塩の沈降などの多くの標準的な技術のいずれかによりその後単離および精製しなければならない、乳酸などの高純度の代謝物の製造には適していない。
【0020】Lactobacillusを用いて光学的に純粋な乳酸を調製することに関連して、米国特許第4,769,329号は、微生物の増殖を促進するためには、それ自体が生産できない多くの物質、例えば、ビオチン、チアミン、ニコチン酸、ピリドキサミン、p−アミノ安息香酸、パントテン酸およびシアノコバラミンを添加することが必要であることを説明する。
【0021】上記の成分は、MANROGOSAおよびSHARPEにより開発されたMRS培地などの複合培地の形で添加しなければならないが、このプロセスは、工業的な乳酸の製造には使用できない(過大な費用がかかり、標準的な組成の培地を得ることが困難であるため)。
【0022】砂糖大根またはサトウキビ糖蜜またはコーンスティープリカーなどの複合培地は、細菌の増殖を刺激するが、それ自体かなりの量のラセミ体の乳酸を含むので、光学的に純粋な乳酸の調製には使用できない。
【0023】光学的に純粋な酸は、前記のラセミ混合物から、D−およびL−乳酸の塩を沈降させ再結晶することのみにより得ることができるが、これは複雑で費用がかかる。
【0024】光学的に純粋な乳酸を得るために、米国特許第4,769,329号は、ベーカー酵母を、ビタミン、窒素、糖および微量ミネラル元素の供給源として使用することを推奨する。培地はまた、直接同化でき、乳酸に変換できる炭素源としてグルコース、サッカロースまたはラクトースも含む。
【0025】従って、高純度の代謝物、この場合は光学的に活性な高純度乳酸を産生するための、精錬され、それ故非常に費用のかかる培地に戻すことが必要である。
【0026】以前に列挙した従来技術の問題を解決しようと多くの解決法が提案された。
【0027】第一の解決法は、ある発酵条件に特に耐性である微生物の使用または微生物の混液の使用である。第二の解決法は、再生可能な原料を前処理することである。これらの2つの解決法は合わせることもできる。
【0028】米国特許第4,963,486号では、例えば、再生可能な原料としてのトウモロコシの使用は、原料を糖化する酵素およびそれを発酵してL−乳酸を産生する酵素の両方に寄与する独特の能力を有する、Rhizopus oryzaeとそれとの会合に限定される。
【0029】発酵は、20℃から40℃の範囲の温度で、好ましくは30℃で実施する。中和剤を加えて、pHを安定化させなければならない。炭酸カルシウムを好ましくは選択する。なぜなら、これは、4℃で沈降し、高純度の乳酸の選択的な回収を可能とする、乳酸カルシウムを形成するという特異な特徴を有するからである。
【0030】しかし、乳酸の精製法は最適化されていない。なぜなら、環境に有害な大量の石膏を生じるからである。
【0031】米国特許第5,464,760号は、一般に無毒性で直接発酵できる、食品廃棄物の豊富な供給は、様々な好気性および嫌気性細菌の豊富で濃縮された炭素および窒素源を提供すると指摘する。次いで、乳酸は、乳清透過物、サトウキビまたは砂糖大根から、Lactobacillus型の様々な乳酸菌により、高収率で、トウモロコシ、ジャガイモまたはイネからのデンプンを加水分解し、次いで前記微生物内で生物変換することにより直接産生できる。
【0032】しかし、5株の乳酸菌の混合培養物を使用し、糖化および発酵を実施することが必要である。
【0033】デンプンを部分的に液化し、次いで、グルコアミラーゼを乳酸菌と同時に導入できる特定のpHおよび温度条件にかける。
【0034】しかしこの解決法は薦められない。なぜなら、ジャガイモ廃棄物から産生されたジャガイモ加水分解物などの加水分解デンプンまたは任意のデンプン製造業者から入手可能なグルコースシロップは、通常、5%以下の「糖不純物」、すなわちペントース、マルトースおよびオリゴ糖を含み、これは、発酵の終了時に使用されずに留まるか、または他の副産物、例えば酢酸に変換され、これはその後の精製段階に問題を引き起こすからである。
【0035】有機およびミネラル塩および酵母抽出物をベースとしたさらなる栄養分を添加することが依然として必要である。
【0036】MOTOYOSHIら、Appl.Environ.Microbiol.198652(2)314〜319によると、乳酸が、発酵培地内に形成された場合には、連続的な電気透析によりこれを除去し、導入された微生物の個体群の不均衡を回避することがさらに必要である。
【0037】同様に、TIWARIらZbl.Bakt.II.Abt.Bd.134544〜546(1970)は乳酸を産生するためのLactobacillus bulgaricus、L.delbrueckiiを含むまたは含まないL.caseiの混合培養物と希釈糖蜜の使用を記載する。
【0038】この技術は、糖蜜からの乳酸の産生収率を増加させる試みで使用される。
【0039】しかし、この収率は、最善でも57.9%を超えず、株は通常互いに、そのそれぞれの産生能について干渉する。
【0040】再生可能な原料の特定の処理からなる、第二の解決法について、米国特許第3,429,777号の主題を構成する発明の1つの目的は、乳酸マグネシウムから高純度の乳酸の産生を可能とするに十分な純度の状態の糖蜜を含む発酵培地から、自発的に結晶化する乳酸マグネシウムの顕著な特性を活用することである。
【0041】このように、マグネシウムを使用するプロセスは、例えばカルシウムを使用するなどの文献に通常記載のもの程、複雑でなく、費用もかからないようである。しかし、「砂糖で甘くした生アルコール飲料(liquor)」中の乳酸マグネシウムの純度は、乳酸カルシウムよりも良い品質であっても、使用した再生可能な原料の性質および品質の関数として変化することは、それでもなお依然として真実である。
【0042】最後に、第三の解決法は、微生物、および、発酵培地に導入された再生可能な原料の処理の両方を可能とすることからなる。
【0043】例えば、デンプンは、しばしば、安い炭素源として推奨されるが、全ての微生物がそれを代謝できるわけではなく、一方大半の微生物はグルコースを代謝できる。
【0044】従って、仏国特許第2,635,534号に記載のプロセスは、少なくとも1つの糖化デンプン分解酵素の存在下で乳酸発酵を実施するが、このように処理した発酵培地から不純物を削除する手段は全く開示していない。
【0045】MANHEIMおよびCHERYAMはJAOCSS69121992で、加水分解酵素の制御使用およびコムギグルテンの特異的画分を単離するための膜の技術を記載する。これらの技術は、ダイズにも外挿できる。
【0046】ヒト食物におけるコムギグルテン粉由来タンパク質のより大量の使用を刺激するために、研究チームは、その機能的特性のいくつかを修飾するためにプロテアーゼの使用を開発した。
【0047】しかし、発酵工業にこれらのタンパク質を使用する、または、前記発酵培地から容易に精製された代謝物を調製する、記載または示唆は全くない。
【0048】使用された他の戦略は、発酵培地を過剰に修飾せず、その代わりに、産生株の増殖が微生物産生速度を加速すること、および高濃度の乳酸に対する耐性を確実にする。
【0049】このための慣用的な手段は、バイオマス再循環および固定細胞である。
【0050】この場合、乳酸を、それが産生された場合には回収して、それが細菌増殖および産生を阻害するのを防がなければならない。
【0051】発酵と連結させた様々な技術、すなわち、透析、電気透析、イオン交換レジン、2粒子流動床バイオリアクター、逆浸透および液-液抽出が使用され、発酵培地から連続的に乳酸を除去されている。
【0052】しかし、培地の費用は、全産生費用の30%以上を示す。それ故、安い栄養分が不可欠である。
【0053】それ故、乳酸などの高純度の代謝物を産生する費用を減少させる多くの試みがなされてきたことは明らかである。
【0054】しかし、前記の議論全体から、発酵培地を調製するためにまたは発酵培地から代謝物を回収するために多くの複雑で費用のかかるプロセス段階を使用することなく、精製の容易な代謝物を発酵により産生する簡単で効率的な方法の必要性は充足されていないことが分かる。
【0055】それ故、通常経済的に実行可能な代謝物の産生に伴い、最も重要には、その精製を複雑化させる全ての不純物を排除する発酵条件を開発することが必要である。
【0056】乳酸の場合、これは、再生可能な出発原料にすでに存在するD−およびL−乳酸のラセミ混合物、およびまた、発酵終了時に培地を凝結させる(clog)上記した全ての「糖不純物」を意味する。
【0057】
【課題を解決するための手段】実際的な制約に対して既存の方法よりも良好な応答から構成される方法を開発することを切望して、本出願人は、この目的は、再生可能な原料を、微生物により直接同化できる炭素および窒素源を再生可能な原料から遊離するための酵素段階の組合せにより処理することからなるプロセス、および、単離する代謝物の品質を変化させるような、およびその後の精製を妨害および/または複雑化させ得る全ての成分を培地から排除するための、マイクロろ過およびナノろ過または電気透析による特定の分離段階により達成できることを発見した。
【0058】
【発明の実施の形態】本出願人により開発されたプロセスは、有利には、任意の経済的に実行可能な代謝物、好ましくは有機酸、ビタミン、アミノ酸および抗生物質からなる群から選択された代謝物の産生に選択できる。
【0059】本発明に記載のプロセスは、特に、有機酸、好ましくはL−乳酸から選択された代謝物を調製するのに適している。
【0060】本出願人により開発されたプロセスは、経済的に実行可能な微生物個体群の産生に等しく選択できる。なぜなら、それは、前記個体群を汚染するような全ての不純物を含まない、または、上記のある増殖阻害剤を含まない発酵培地を提供するからである。
【0061】再生可能な原料から高純度の代謝物を産生するための発酵培地を調製する、本出願人の発明に記載の方法は、それが:a)所望により、前記の再生可能な原料を処理して、微生物により直接同化できる炭素または窒素源でそれを豊富化し、そして、不溶性不純物を排除し、b)ナノろ過および電気透析からなる群から選択した技術を、単独でまたは組合せて使用して、低分子量不純物を、前記の再生可能な原料から、直接同化可能な炭素源のその濃度を変化させることなく排除し、c)このように低分子量不純物を排除した原料を処理して、微生物により直接同化できる窒素または炭素源でそれを補充し、そしてd)このように得られた発酵培地を回収することからなることを特徴とする。
【0062】本発明に記載のプロセスの第一段階は、所望により、再生可能な原料を処理して、微生物により直接同化できる窒素または炭素源でそれを豊富化し、それから不溶性不純物を排除することからなる。
【0063】上記の処理は、再生可能な原料の性質の関数として適応される。
【0064】本発明に記載のプロセスの第一の実施形態において、再生可能な原料は、コムギ、トウモロコシ、キャッサバ、ジャガイモのデンプンなどの、デンプン製造の副産物、または、オオムギ、エンドウマメ等の加工の副産物からなる群から選択される。
【0065】例えば、L−乳酸の産生には、有利には、コムギデンプンの製造の副産物、より特定するとコムギ可溶性物質、または、コーンスターチ製造の副産物、より特定するとコーンスティープリカーが選択される。
【0066】ここで、再生可能な原料は、残留グルコース源または炭素源としてのデンプンと、高分子量のタンパク質を、窒素源としてのアミノ酸およびペプチドと共に含む。
【0067】しかし、分解するに必要な酵素装置を有しているので、それ自体の増殖および経済的に実行可能な代謝物の産生のために、デンプンまたは高分子量のタンパク質を直接同化できる微生物もあるが、炭素および水素源を直接同化できるようにそれらを処理する条件を必要とする微生物もある。
【0068】コムギ可溶性物質は、例えば、湿式コムギデンプン産生プロセスのデンプン分離から生じる、Bコムギデンプンの分離フローに由来する。Bデンプンは、第二デンプンとしても知られるが、これは、実質的に、圧倒的に比率の小さい、または傷害を受けた穀粒のデンプンからなり、ペントサン、タンパク質および脂質などの不純物を含む。
【0069】これらの不純物は、そのいくつかは慣用的な精製および脱塩プロセスにより回避されるが、これは、これらのデンプンの加水分解物に見られ、それ故、例えば、食物等級のデキストロースを製造するにはBデンプンは不適切である。それ故、これらの種類のBデンプンは、工業小売店で見つけるのは困難である。
【0070】本出願人は、それらを、少なくとも60℃の温度に加熱し、発酵できる糖をそれらから遊離するためのα−アミラーゼおよびグルコアミラーゼで処理し、そして所望により、上記のヘミセルラーゼ、ペプチナーゼおよびキシラナーゼを含む群から選択された、植物繊維を分解できる酵素で処理することを推奨する。
【0071】約9%から約10%の乾燥物質含量を有する、コーンスティープサイロから直接採取したコーンスティープリカーについては、スティープリカーの必須成分である、タンパク質が35重量%から40重量%であるという欠点は、同化が困難であることである。
【0072】本出願人は、これらのタンパク質は、アルカリプロテアーゼからなる群から選択したタンパク質分解酵素を使用して、その後の発酵段階でこれらのタンパク質の代謝をより容易にするpHおよび温度の条件下で処理できることを示した。1%/乾燥物の比、pH7および温度60℃での約6時間の処理を有利には使用できる。
【0073】本発明に記載のプロセスの第二の実施形態において、再生可能な原料は、ミルク、オオムギ、ダイズ、サトウキビ、砂糖大根を単独でまたは組合せて加工する上での副産物からなる群から選択される。
【0074】例えば、L−乳酸を産生するために、ミルク、より特定すると乳清(lactoserum)の加工から生じる副産物、および砂糖大根、より特定すると糖蜜の加工から生じる副産物を選択することが有利である。
【0075】ここで、使用する再生可能な原料は、大半の微生物により、より容易に同化される炭素源を含む。
【0076】従って、砂糖大根糖蜜は、例えば乳酸を産生する微生物により直接同化できる炭素源としてサッカロースを実質的に含む。
【0077】同じように、乳清の必須な糖化成分である、ラクトースは容易に同化される。
【0078】しかし、これらのタンパク質は、ある微生物については同化が困難である。
【0079】例えば乳酸を産生するためにミルク加工の副産物を使用する場合、それ故、微生物での処理前にラクトース含有ミルクから本来の副産物のタンパク質分解を実施することが有利であり得る。
【0080】タンパク質分解段階は、乳酸を産生する微生物に対する、活性化作用を有するペプチドを形成する。
【0081】ラクトースを含有するミルクからの出発物質は、例えば、穏やかなまたは酸性の乳清、乳清の超ろ過の透過物、ラクトース、ラクトース結晶化源リカーであり得、これらの出発物質はさらにセリックタンパク質(seric protein)またはカゼインを含むことができる。
【0082】タンパク質分解に使用できるプロテアーゼは、パンクレアチン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン等を含む群から選択される。
【0083】選択した再生可能な原料に応じて、それは、その後、直接同化できる炭素または窒素源でこのように豊富化した前記原料から、高分子量の不溶性不純物を排除することが必要であり得る。
【0084】不溶性不純物は大半は繊維であり得る。
【0085】例えば、不溶性物質は、有利には、後記のように単独でまたは組合せで、遠心分離およびミクロろ過などの当業者に公知の任意の技術により、デンプンを液化または糖化する酵素で処理したコムギ可溶性物質のために分離する。
【0086】その必須な特徴の1つを構成する、本発明に記載のプロセスの第二段階は、単独でまたは組合せで、ナノろ過および電気透析からなる群から選択された技術を使用して、直接同化できる炭素源の濃度を変化させることなく、原料を処理して、原料から大半の低分子量の不純物を排除することからなる。
【0087】本出願人は、このように、ナノろ過および/または電気透析は、発酵培地それ自体の上ではなく、発酵の終了時に乳酸産生培地上で、それを微生物で接種する前に、実施しなければならないという影響に対する技術的偏見を克服した。
【0088】再生可能な原料に基づいた発酵培地は、多くの「低分子量不純物」、すなわち、本発明の内容において、前記発酵培地から産生された代謝物のその後の精製段階を妨害する小分子を含む。
【0089】小分子は、例えば、微生物により同化できない糖残基、例えばC5糖であり得、これはそれ故、発酵培地を汚染する。
【0090】それらはまた、有機酸、例えばラセミDおよびL−乳酸であり得、これは、経済的に実行可能な代謝物として乳酸を産生する場合に、光学的に純粋な乳酸の容易な回収を妨げる。
【0091】これらの小分子の排除に慣用的に使用される技術は当業者に公知であり、例えば膜ろ過技術、または低分子量不純物のサイズ範囲に適応された慣用的な電気透析からなる。
【0092】しかし、当業者は、通常、発酵培地の処理に上記の技術的解決法を採用しない。なぜなら、カットオフ域値により、微生物により直接同化でき、そのサイズが不純物のサイズ範囲内である、炭素原子も排除されるためである。
【0093】すでに上記したように、全ての上記技術は、事実、発酵培地にすでに使用されるが、発酵終了時にのみ使用される。
【0094】それ故、本出願人は、文献の規範として捉えられるものとは対照的に、これらの膜ろ過技術およびより特定するとナノろ過、または慣用的な透析技術は、低分子量不純物を排除でき、驚くべきことにそして意外なことに、微生物により直接同化可能な炭素源の内容物を変化させることなく、排除できることを示した。
【0095】本出願人により実施された研究により、所望の結果の達成を可能とする上記の技術の適用の条件が確立された。
【0096】例えば、コムギ可溶性物質から乳酸を産生するために、本出願人は、ナノろ過による分離については、本発明に記載のプロセスの以下の最初の2段階により調製したミクロろ過ろ液の乾燥物質含量を、2%から10%の範囲、好ましくは4%程度の数値に、または、電気透析による処理については、5%から30%の範囲、好ましくは20%程度の数値にすることにより、全ての炭素原子を無傷で保存し、実質的に全てのD−およびL−乳酸のラセミ混合物を排除することができることを示した。
【0097】例えば、本発明に記載のプロセスの最初の段階のように、アルカリホスファターゼで処理したコーンスティープリカーから乳酸を産生するために、1%から16%の、好ましくは2%程度の乾燥物質を得るための処理、および後記した慣用的な電気透析処理も、直接同化可能な炭素源の濃度を修飾することなく、D−およびL−乳酸の全ラセミ混合物を実質的に排除する。
【0098】本発明に記載のプロセスの第三段階は、低分子量不純物をこのように除去しておいた原料を処理して、微生物により直接同化できる炭素または窒素源を補充することからなる。
【0099】不純物をこのように除去しておいた再生可能な原料の窒素源は、例えばナノろ過段階後に補充できる。
【0100】コムギ可溶性物質の場合、ナノろ過からの保持物を、下記したようなNOVO社のALCALASE(商標)アルカリプロテアーゼで処理して、それからペプチドを遊離する。
【0101】コーンスティープリカーの場合、追加の炭素源は、グルコースにより、または、本発明に記載のプロセスにより処理した再生可能な原料により提供できる。
【0102】本発明に記載のプロセスの最後の段階は、このように変換した再生可能な原料を回収し、発酵培地としてそれを直接使用することからなる。
【0103】このように炭素同化できる炭素および窒素源での豊富化、および、ナノろ過膜または慣用的な電気透析モジュールでの安価な分離技術による不溶性不純物および低分子量不純物の排除により、経済的に実行可能な代謝物の産生に、さらには不純物を除去しておいた微生物の個体群の産生にも完全に適した培地が産生される。
【0104】それ故、有機酸、より特定するとL−乳酸を産生する場合においては、医薬純度基準(「米国薬局方」の熱的安定性試験)を満たす光学的に純粋な乳酸を得、「食品用公定化学品集」の基準に一致することは、限定数の精製段階以上は必要としない。
【0105】本発明の他の特徴および利点は、以下の説明的であって非制限的な実施例を読めば明らかとなろう。
【0106】実施例1「B」コムギデンプンの分離フローから得られた4%乾燥物を含むコムギ可溶性物質を、60℃まで15時間加熱し、0.05%/乾燥物の比のNOVO社製TERMAMYL LCα-アミラーゼで処理し、そして、1%/乾燥物の比のGENENCOR社製OPTIDEX L300Aアミログルコシダーゼで処理して、発酵可能な糖を遊離した。不溶性物質を、0.14μmの膜上でのミクロろ過により排除した。
【0107】3.3%の乾燥物を含む、得られたろ液は、以下の表1に示した組成を有した。
【0108】
【表1】


【0109】次いで、ミクロろ過のろ液は、20バール程度の圧力でDL2540ナノろ過膜を備えた2.5m2EURODIAパイロットモジュール上でナノろ過し;温度を、外部冷却により30℃に調節した。透過物は、0.3%乾燥物を含み、原則的に、1g/lのD−およびL−乳酸および1g/l程度のC5糖(キシロースおよびアラビノース)から構成された。
【0110】係数4.5のナノろ過による濃縮後の保持物は、16%の乾燥物を含み、以下の表2で示した組成を有した。
【0111】
【表2】


【0112】またこの段階により、コムギ可溶性物質からラセミD−およびL−乳酸がかなり排除された。
【0113】ヘミセルロースは、発酵終了時に、バイオマスと共に排除されるが、それは有利には、ナノろ過段階前に当業者には公知のエンド−およびエキソ−キシラナーゼを使用して加水分解され得る。
【0114】ナノろ過段階後に、以下の条件下でのプロテアーゼによる処理が実施され、発酵培地の直接同化可能な窒素源を構成するのに必要なペプチドを遊離できる。それ故、外部起源のペプチドの追加は、この場合には全く必要ではない。
【0115】pHは7に調整し、温度は60℃に調整した。NOVO社製ALCALASE(商標)プロテアーゼを、1%/乾燥物の比で加え、60℃で4時間インキュベートした。
【0116】プロテアーゼによる加水分解のこの段階後、培地を、120℃まで10分間加熱することにより滅菌し、その後、発酵培地として直接使用できる。
【0117】以下の表3は、処理および未処理の16%の乾燥物と共に13リットルのコムギ可溶性物質を含む、利用可能容量15リットルの発酵槽で得られたD−およびL−乳酸に関しての組成を示す。
【0118】Lactobacillus lactis株の7時間プレ培養物からなる1.5リットルの培地を使用して、これらの発酵槽に接種した。
【0119】pHを6.5に設定し、12NのNH4OHで調節した。温度は40℃であった。
【0120】
【表3】


【0121】このように、ナノろ過により前処理した培地と共に、発酵培地の最終組成は、痕跡量のD−乳酸しか示さなかった。
【0122】それ故、上記のように処理したコムギ可溶性物質は、L−乳酸への効率的な発酵を確実にし、その後の精製を妨害し得る有意な量の不純物はなかった。
【0123】また、はるかに高い生産性が、培地をALCALASE(登録商標)2.4.Lで前処理した場合に得られた。
【0124】実施例2「B」コムギデンプンの分離フローからの20%乾燥物を含むコムギ可溶性物質を60℃まで12時間加熱し、0.05%/乾燥物の比のNOVO社製TERMAMYL LCα−アミラーゼ、1%/乾燥物の比のGENENCOR社製OPTIDEX L300Aアミログルコシダーゼ、および0.5%/乾燥物の比のGENENCOR社製SPEZYME CPヘミセルロースで処理して、発酵可能な糖を遊離した。不溶性物質は、0.14μm膜上でのミクロろ過により排除した。
【0125】16%乾燥物と共に得られたろ液は、以下の表4に示した組成を有した。
【0126】
【表4】


【0127】次いで、このミクロろ過のろ液は、製造業者の説明書に従って、有効表面積5.6m2のCMX−Sカチオン性またはAMX SBアニオン性イオン交換膜を備えたEUR6B EURODIA電気透析モジュール(NEOSEPTA-TOKUYAMA SODA)での慣用的な電気透析により処理し、これにより、13.6%の乾燥物まで希釈され、以下の表5に示した組成を有する画分が得られた。
【0128】
【表5】


【0129】従って、コムギ可溶性物質により導入されるラセミD−およびL−乳酸は、この段階の手段により有意に排除できる。
【0130】この電気透析段階後に、発酵培地により直接同化できる窒素源を構成するのに必要なペプチドを遊離するために、以下の条件下でプロテアーゼ処理を実施することが可能であった。
【0131】それ故、外部起源のペプチドの添加はここでは必要ではなかった。pHを7の値に調整し、温度を60℃に上昇した。NOVO社製1%/乾燥のALCALASE(商標)2.4リットルの量を加え、60℃で4時間インキュベートした。
【0132】このプロテアーゼ加水分解段階後に、この培地を、10分間120℃で加熱することにより滅菌し、次いで、発酵培地として直接使用できる。
【0133】以下の表6は、処理済および未処理の15%乾燥物質と共に13リットルのコムギ不溶性物質を含む、15リットルの利用可能な容量の発酵槽で得られたD−およびL−乳酸組成を示す。Lactococcus lactis株の7時間プレ培養物からなる1.5リットルの培地を使用して、これらの発酵槽に接種した。6.5に設定したpHを12NのNH4OHで制御した。温度は40℃であった。
【0134】
【表6】


【0135】それ故、発酵培地の最終組成は、電気透析により処理した培地について、痕跡量のD−乳酸しか示さなかった。
【0136】それ故、このように処理したコムギ可溶性物質は、その後の精製を別様に妨害する有意な量の不純物を含まないL−乳酸への効率的な発酵を確実にする。
【0137】実施例33.3%乾燥物を有する、中間のコーンスティープサイロから採取した、コーンスティープリカーは、以下の表7に示した組成を有した。
【0138】
【表7】


【0139】トウモロコシタンパク質は同化が困難なので、前処理は、NOVO社製ALCALASE(商標)の1%/乾燥物を用いてpH7および60℃で6時間実施した。
【0140】次いで、このように得られた加水分解物は、製造業者の説明書に従って、有効表面積5.6m2のCMX−Sカチオン性またはAMX SBアニオン性イオン交換膜(NEOSEPTA-TOKUYAMA SODA)を備えたEURODIA EUR6B電気透析モジュールでの慣用的な電気透析により処理し、これにより、2%の乾燥物まで希釈され、以下の表8に示した組成を有する画分が得られた。
【0141】
【表8】


【0142】ALCALASE(商標)での前処理および慣用的な電気透析によるアミノ酸の排除により、非処理アルコールの36に比べて、全窒素に対するアミン化窒素の比により決定したところ、発酵開始時の加水分解度44の、トウモロコシタンパク質加水分解物が提供された。
【0143】以下の表9は、60g/lのグルコースを、直接同化できる炭素源として加えた、処理および未処理の、2%乾燥物と共に8.8リットルのコーンスティープリカーを含む利用可能な容量15リットルの発酵槽で得られたD−およびL−乳酸に関する組成を示す。
【0144】Lactobacillus lactis株の7時間のプレ培養物からなる1.5リットルの培地を使用して、これらの発酵槽を接種した。
【0145】pHを6.5に設定し、12NのNH4OHで制御した。温度は40℃であった。
【0146】
【表9】


【0147】このように、電気透析により前処理したスティープリカーは、その後の精製を別様に妨害する有意な量の不純物をここでも含まない、乳酸への効率的な発酵を確実にした。生産性は、ここでも、ALCALASE(登録商標)で発酵培地を処理することにより向上した。
【0148】実施例410%乾燥物質に再希釈した濃縮砂糖大根糖蜜を、実施例2と同じ条件下で慣用的な電気透析により処理した。
【0149】電気透析前の産物の乾燥物質の組成を、以下の表10に示した。
【0150】
【表10】


【0151】電気透析段階により、糖の強化が70%以上であり、タンパク質含量が16%程度である、5.3%の乾燥物を含む溶液が得られた。
【0152】このように、90%以上の望ましくない有機酸を、発酵培地から排除した。
【0153】実施例5実施例4と同じ条件下で、今回20%の乾燥物に再希釈した濃縮砂糖大根糖蜜を、ミクロろ過後に、慣用的な電気透析により、実施例2のと同じ条件下で処理した。
【0154】電気透析前の産物の組成を、以下の表11に示した。
【0155】
【表11】


【0156】電気透析段階により、この場合、糖の強化は70%以上であり、タンパク質含量は11%程度である、16.5%の乾燥物を用いて解決法が得られた。
【0157】このように、90%以上の望ましくない有機酸を、発酵培地から排除した。
【0158】上記の方法で電気透析した(培地B)または電気透析していない(培地A)80g/lの糖蜜、5g/lの(NH42SO4、2g/lのKH2PO4および0.5g/lのMgSO4を含む、発酵培地を調製した。
【0159】これらの産生培地に、50g/lのグルコースおよび5g/lの酵母抽出物を含む培地中で24時間プレ培養物から得られた10%ベーカー酵母(S.cerevisiae)を接種した。
【0160】pHを1N NaOHで5に調整し、温度は30℃であり、バイオマスの産生は、17時間、600ppmでの撹拌下で1vvmの通気で、15リットルの利用可能な容量のリアクター中で実施した。
【0161】以下の表12および表13は、それぞれ培地AおよびB中でのS.cerevisiaeの産生について得られた結果を示す。
【0162】
【表12】


【0163】
【表13】


【0164】これらの結果から、バイオマスを電気透析した培地では、初期増殖速度は0.29h-1であり、バイオマス収率は24%であり、一方、非電気透析糖蜜を使用する場合、僅か0.26h-1の増殖速度が得られ、バイオマス収率は17%であると推論し得る。
【0165】したがって、本発明のプロセスに記載の糖蜜処理は、酵母の効率的な産生に非常に適していることがわかる。
【0166】実施例6乳清は、実施例2と同じ条件下で慣用的な電気透析により処理した。
【0167】6.6%の乾燥物を有する乳清の初期組成を、以下の表14に示した。
【0168】
【表14】


【0169】慣用的な電気透析段階により、4.3%の乾燥物を有する溶液が得られた。
【0170】糖の強度は80%以上であり、タンパク質含量は14%程度であった。
【0171】全ての汚染有機酸を培地から排除した。
【0172】実施例7乳清を、実施例6のと同じ条件下で慣用的な電気透析により処理した。
【0173】この場合の初期乳清組成は、16.2%の乾燥物であり、以下の表15に示した通りであった。
【0174】
【表15】


【0175】14.6%の乾燥物を有する溶液を、慣用的な電気透析段階により得た。糖の強度は80%以上であり、タンパク質含量は9%程度であった。全ての汚染有機酸をかくして培地から排除した。
【0176】このように電気透析した乳清を、バイオマス産生培地、すなわち乳酸発酵体(Streptococcus lactis)および酵母発酵体(S.cerevisiae)中に、以下の条件下で取り込んだ。
【0177】ペトリ皿で培養したコロニーから採取した細胞の「ose」等価体を、S.cerevisiaeについては30℃の温度で好気性条件下でStreptococcus lactisについては40℃で嫌気性条件下で、150rpmの撹拌下、電気透析したまたは電気透析していない(対照)、80g/lの乳清からなる500mlの産生培地を含む、2リットルのエーレンマイヤーフラスコに導入した。
【0178】バイオマスの強化は、細胞の数のモニタリングにより確立した。
【0179】表16は、24時間培養後に得られた結果を示す。
【0180】
【表16】


【0181】このように、本発明による電気透析による処理は、試験した2つの株の培養物に非常に効果的である。慣用的な酵母の場合、電気透析した培養培地により、産生されるバイオマスが実際的に倍化し、一方、乳酸発酵の場合、ミクロろ過した乳清はさらに、電気透析は排除できる増殖阻害剤を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 高純度の代謝物を再生可能な原料から調製するための発酵培地を調製する方法であって、a)任意に、当該再生可能な原料を処理し、微生物により直接的に同化されうる炭素源又は窒素源を豊富にし、不溶性の不純物を除去する工程;
b)ナノ濾過及び電気透析からなる群より選択される技術を、単独又は組合せで使用して、低分子量の不純物を当該再生可能な原料より除去しつつも、直接同化されうる炭素源の濃度を変化させない工程;
c)低分子量の不純物が上記のように除去された当該原料を処理して、微生物によって直接的に同化されうる窒素源又は炭素源で補充する工程;
d)上記のようにして得られる発酵培地を回収する工程からなることを特徴とする方法。
【請求項2】 前記の発酵により調製される代謝物が、有機酸、ビタミン、アミノ酸、及び抗生物質からなる群より選択され、好ましくは有機酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記の有機酸が、L-乳酸であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】 前記の再生可能な原料が、デンプン生産の副産物、好ましくはコムギ、トウモロコシ、キャッサバ、ジャガイモからのデンプン生産の副産物、又はオオムギ、エンドウを処理する際の副産物からなる群より選択され、そして好ましくはコムギの可溶成分又はコーンスティープリカーからなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】 前記の原料が、ミルク、ダイズ、サトウキビ、テンサイを処理する際の副産物からなる群より、そして好ましくは乳清及び糖ミツからなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】 前記の再生可能な原料が、デンプンを溶解し且つ糖化する酵素と、任意に、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、及びキシラナーゼを含む群より選択される植物繊維を分解する酵素とを使用して、微生物により同化されうる炭素源を豊富にすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】 アルカリプロテアーゼ及び酸性プロテアーゼからなる群より選択される蛋白分解性酵素を使用して、前記再生可能な原料を、同化可能な窒素源で豊富にするか、又は補充することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】 グルコースを添加して、再生可能な原料を、同化可能な炭素源で補充することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】 請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法により得られる発酵培地。
【請求項10】 微生物の個体群を産生するための、請求項9に記載の発酵培地の使用。

【公開番号】特開2002−171960(P2002−171960A)
【公開日】平成14年6月18日(2002.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−343266(P2001−343266)
【出願日】平成13年11月8日(2001.11.8)
【出願人】(592097428)ロケット・フルーレ (58)
【Fターム(参考)】