説明

再生可能な資源からポリオールを製造する方法

本発明は、
ポリオールの製造方法であって、
a)天然の不飽和脂肪、天然の不飽和脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルを一酸化二窒素と反応させる工程と、
b)工程a)で得られる生成物を水素化剤と反応させる工程と、
c)工程b)からの反応生成物をアルキレンオキシドと反応させる工程と
を含む製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然油からポリオールを製造する方法、特にポリウレタン製造用のポリオールを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは多くの技術分野で使用されている。これらは、通常発泡剤の存在下で、また必要なら触媒や通常使用されている助剤及び/又は添加物の存在下で、ポリイソシアネートを少なくとも2個のイソシアネート基反応性水素原子をもつ化合物と反応させて製造される。
【0003】
最近では、再生可能原料由来のポリウレタン出発成分の重要度が増加してきている。特に少なくとも2個のイソシアネート基反応性水素原子をもつ化合物の場合、少なくとも2個のイソシアネート基反応性水素原子を導入するのに、天然油脂(通常ポリウレタン用途での使用の前に化学的に変性されている)を用いることができる。化学修飾の間に、多くの場合、天然油脂(脂肪及び/又は油、以下同じ)は、ヒドロキシ官能化され、必要なら一つ以上の他の工程で修飾される。ヒドロキシ−官能化油脂誘導体のPU系での利用の例が、例えばWO2006/116456やWO2007/130524に記載されている。
【0004】
ポリウレタン産業で使用が必要な反応性水素原子が、上述のように化学的な方法により、ほとんどの天然型油脂に導入される。先行技術によれば、このために、実質的に、多くの油の脂肪酸エステル中に存在する二重結合を利用する方法がある。まず、触媒の存在下で脂肪を過カルボン酸との反応で酸化させて、相当する脂肪酸または脂肪酸エポキシドとする。続く、アルコール、水、カルボン酸、ハロゲンまたはヒドロハライドの存在下での酸または塩基触媒によるオキシラン環の開環でヒドロキシ官能化された脂肪または脂肪誘導体を得る(WO2007/127379とUS2008076901)。この方法の欠点は、第一の反応工程(エポキシ化)が腐食性の過蟻酸または過酢酸を用いて工業的スケールで行われるため、非常に耐腐食性の高い材料を使用する必要があることである。また、経済的に実施するためには、得られる希薄な過カルボン酸を蒸留でもう再濃縮して製造後に還流する必要があり、このため、耐腐食性を有し高エネルギーで高コストの蒸留装置が必要となる。
【0005】
もう一つのヒドロキシ官能化法は、まず第一の反応工程でコバルトまたはロジウムを含有する触媒の存在下で一酸化炭素と水素の混合物(合成ガス)で不飽和脂肪または脂肪酸誘導体をヒドロホルミル化し、次いでこの反応工程で得られたアルデヒド官能基を適当な触媒(例えばラネーニッケル)で水素化して、ヒドロキシ基とすることである(WO2006/12344A1、また、J. Mol. Cat. A、2002, 184, 65とJ. Polym. Environm. 2002, 10, 49を参照)。しかしながらこの反応経路の場合、少なくとも第一の反応工程のヒドロホルミル化で触媒と溶媒の使用が必要であり、経済的な製造のためには、これらを同様に回収して精製するか再生する必要があることを考慮する必要がある。
【0006】
EP1170274A1には、大気酸素の存在下で不飽和油脂を酸化してヒドロキシ油を製造する方法が記載されている。この方法の使用上の欠点は、高度に官能化できないことと、反応を高温下で行う必要があり、そのため脂肪構造に部分的な分解が起こることである。
【0007】
脂肪にヒドロキシ官能基を導入する他の方法は、脂肪または脂肪誘導体をオゾンの存在下で切断し、ヒドロキシ脂肪誘導体に還元することである(Biomacromolecules 2005, 6, 713と、J. Am. Oil. Chem. Soc. 2005, 82, 653とJ. Am. Oil. Chem. Soc. 2007, 84, 173を参照)。 このプロセスも溶媒中で通常低温(−10〜0℃)で行う必要があり、このため同様に比較的製造コストが高くなる。 このプロセスの安全面での特徴のため、測定制御技術または区分化などの高コストの安全対策をとる必要がある。
【0008】
Adv. Synth. Catal. 2007,349,1604には、亜酸化窒素による脂肪のケトン化が記載されている。 ケトン基は、ヒドロキシル基に変換可能である。しかしながら、これらの生成物の更なる加工に関しての記載はまったくない。
【0009】
もう一つの再生可能原料からのポリウレタン用ポリオールの製造方法は、大豆油、ひまわり油、ナタネ油などの不飽和天然脂肪またはこれらの脂肪酸またはモノエステルなどの脂肪誘導体を反応させて、ヒドロキシ−官能化脂肪または脂肪酸誘導体を得る方法である。
【0010】
これらの材料は、適当なPU用途に直接利用することもできるし、さらにヒドロキシ−官能化脂肪または脂肪誘導体中のOH官能基にアルキレンオキシドの付加反応を行った後で利用することもできる。ヒドロキシ脂肪誘導体とアルキレンオキシドの反応や反応生成物のポリウレタン用途での利用が、例えばWO2007/143135やEP1537159に見出される。この付加反応は、多くの場合いわゆる二金属シアン化物触媒により進行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2006/116456
【特許文献2】WO2007/130524
【特許文献3】WO2007/127379
【特許文献4】US2008076901
【特許文献5】WO2006/12344A1
【特許文献6】EP1170274A1
【特許文献7】WO2007/143135
【特許文献8】EP1537159
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】J. Mol. Cat. A、2002, 184, 65。
【非特許文献2】J. Polym. Environm. 2002, 10, 49。
【非特許文献3】Biomacromolecules 2005, 6, 713。
【非特許文献4】J. Am. Oil. Chem. Soc. 2005, 82, 653。
【非特許文献5】J. Am. Oil. Chem. Soc. 2007, 84, 173。
【非特許文献6】Adv. Synth. Catal. 2007,349,1604。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、再生可能な原料、特に天然の脂肪や脂肪酸誘導体からポリウレタン用のポリオールであって、経済的に製造が可能で、反応パラメーターの適正化が非常に簡単であるため多彩な官能基を導入可能で、広い用途に生成物が利用可能であるポリオールを提供することである。特に、これらの油脂が、単純な方法で高価な原料(触媒や溶媒)を使用せずに製造できる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本目的は、初めの工程で一酸化二窒素(亜酸化窒素とも呼ばれる)の存在下で大豆油やひまわり油、ナタネ油、または相当する脂肪酸誘導体などの不飽和天然脂肪を酸化してケトン化した脂肪または脂肪酸誘導体を得るとともに、もう一つの反応工程で水素化剤の存在下で、任意に適当な触媒の存在下でヒドロキシ脂肪に還元することとにより達成される。これらのヒドロキシル基は、他の工程でアルキレンオキシドと反応させられる。
【0015】
従って、本発明は、再生可能な原料からポリオールを製造する方法であって、
a)不飽和の天然脂肪、不飽和の天然脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルを一酸化二窒素と反応させる工程と、
b)工程a)で得られた生成物を水素化剤と反応させる工程と、
c)工程b)からの反応生成物をアルキレンオキシドと反応させる工程とを含む製造方法を提供する。
【0016】
これらの材料は、直接にポリオール成分として、幅広い用途で、例えば相当するPU用途で使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましくは、上記天然不飽和脂肪は、ヒマシ油、グレープシード油、黒キャラウェイ油、カボチャ種子油、ルリヂサ種子油、大豆油、小麦胚芽油、ナタネ油、ひまわり油、落花生油、アプリコットカーネル油(杏仁油)、ピスタチオカーネル油、アーモンド油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、シーバックソーン油、ごま油、ヘンプ油、ヘーゼルナッツ油、月見草油、野バラ油、サフラワー油、クルミ油、パーム油、魚油、ヤシ油、トール油、トウモロコシ胚芽油、及びアマニ油からなる群から選ばれる。
【0018】
好ましくは、これらの脂肪酸と脂肪酸エステルは、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−及びγ−リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸、及びセルボン酸、並びにこれらのエステルからなる群から選ばれる
脂肪酸エステルとして、完全にあるいは部分的にエステル化された一価または多価のアルコールを使用することができる。好適な一価または多価のアルコールとしては、メタノールやエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、マンノースがあげられる。
【0019】
特に好ましくは、上記天然不飽和脂肪は、ヒマシ油、大豆油、パーム油、ひまわり油、ナタネ油からなる群から選ばれる。特に大豆油、パーム油、ひまわり油、及びナタネ油が好ましく用いられる。これらの化合物は、工業スケールで、特にバイオディーゼルの製造に用いられている。
【0020】
これら特定の油とは別に、遺伝子組み換え植物から得られる油脂や他の脂肪酸組成物を使用することもできる。これらの特定油に加えて、上述のように、その相当する脂肪酸または脂肪酸エステルも使用可能である。
【0021】
反応工程a)〜c)は相互に独立して実施可能であり、必要なら異なる時に異なる場所で実施可能である、しかしながら、3つの加工工程を相互に連続して実施することもできる。またこの方法を完全に連続的に実施することもできる。
【0022】
工程a)は、加圧下で、特に圧力範囲が10〜300barで、また高温で、特に200〜350℃の温度範囲で行うことが好ましい。この油または脂肪は希釈することなく使用できることもできるし、シクロヘキサン、アセトンまたはメタノールなどの適当な溶媒中の溶液として使用することもできる。この反応は、いかなる設計の攪拌反応器中でも、あるいは円管形状反応器中でも実施できる。いずれか他の所望の反応器システム中での反応も、原理的には可能である。用いる亜酸化窒素は、純物質であってもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴンまたは二酸化炭素などの反応条件下で不活性なガスとの混合物であってもよい。なお、不活性ガスの量は多くとも50体積%である。
【0023】
反応終了後、反応混合物は、他の加工のために冷却され、必要なら溶媒が、例えば蒸留または抽出により除かれて、必要なら他の後処理後に工程b)に移される。
【0024】
工程a)からの反応生成物は、工程b)で水素化される。この反応は、従来から使われている既知の方法で実施される。このために、好ましくは精製後の工程a)の有機相を、好ましくは適当な溶媒の存在下で水素化剤と反応させる。水素化剤として水素を用いる場合には触媒の存在が必要となる。このため、この有機相を次いで、水素化触媒の存在下で、50〜300bar、特に90〜150barの圧力で、50〜250℃、特に50〜120℃の温度で反応させる。使用可能な水素化触媒は、均一触媒または好ましくは不均一触媒である。好ましくはルテニウム含有触媒が使用される。また、これらの触媒は、他の金属を、例えば6〜11族の金属を、より具体的にはニッケル、コバルト、銅、モリブデン、パラジウムまたは白金を含むことができる。これらの触媒は水で濡れていてもよい。水素化は固定床で行うことが好ましい。
【0025】
工程b)での水素化剤として、水素の使用に代えて、水素化リチウムアルミニウムや水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムなどの複合水素化物を使用することもできる。これは、例えば、Organikum − Organischchemisches Grundpraktikum [有機化学−有機化学の基本操作]、VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften、Berlin 1967、第6版. 481−484頁に記載されている。この場合には無水溶媒の存在が必要である。好適な溶媒は水素化剤と反応しないすべての既存溶媒である。例えば、メタノール、エタノール、N−プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールなどのアルコールを使用できる。他の溶媒は、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルなどの鎖状あるいは環状のエーテルである。
【0026】
水素化の後で、有機溶媒と、使用の場合触媒と必要なら水を分離する。必要ならこの生成物を精製する。
【0027】
このようにして得られた生成物を、他の加工工程c)でアルキレンオキシドを反応させる。
【0028】
このアルキレンオキシドとの反応は、通常触媒の存在下で進行する。この点で、原理的にはすべてのアルコキシ化触媒が使用可能であり、例えばアルカリ金属水酸化物やルイス酸が使用可能である。しかしながら、多金属シアン化物化合物、いわゆるDMC触媒の使用が好ましい。
【0029】
用いるDMC触媒は、一般的には公知であり、例えばEP654302やEP862947、WO00/74844に記載されている。
【0030】
アルキレンオキシドとの反応は、通常最終生成物に対して10〜1000ppmのDMC濃度で行われる。この反応は、特に好ましくはDMC濃度が20〜200ppmで行われる。この反応は、極めて好ましくはDMC濃度が50〜150ppmで行われる。
【0031】
アルキレンオキシドの付加反応は、温度が60〜180℃の範囲、好ましくは90〜140℃、特に100〜130℃の範囲であり、圧力が0〜20barの範囲、好ましくは0〜10bar、特に0〜5barの範囲にある通常の条件下で行われる。WO98152689に記載のように、アルコキシ化の開始の前に、出発物質とDMC触媒の混合物をストリッピングで前処理することができる。
【0032】
多くの場合、工程b)からの生成物は、アルキレンオキシドの付加反応の前に乾燥にかけられる。多くの場合は、これは、例えば窒素またはスチームなどの不活性ガスをストリッピングガスとして使用するストリッピングで行われる。使用可能なアルキレンオキシドは、あらゆる既知のアルキレンオキシドであり、例えばエチレンオキシドやプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。特に、用いるアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、あるいはこれらの化合物の混合物である。
【0033】
本発明のある実施様態においては、これらの特定のアルキレンオキシドが、アルキレンオキシド以外のモノマーとの混合物として用いられる。これらの例としては、環状無水物、ラクトン、環状エステル、二酸化炭素またはオキセタンがあげられる。コモノマーとしてラクトンを使用する場合、アルキレンオキシドの付加反応中の反応温度は、>150℃である必要がある。
【0034】
加工工程b)からの酸化及び水素化後の天然脂肪または脂肪誘導体は、そのままでアルキレンオキシドと反応させることが好ましい。
【0035】
しかしながら、いわゆる共開始剤の存在下でアルキレンオキシドとの反応を行うこともできる。使用可能な共開始剤は、好ましくはアルコール、例えば高機能性アルコール、特に糖アルコール、具体的にはソルビトールやヘキシトール、ショ糖であるが、多くの場合二価及び/又は多価アルコールまたは水である。なお、これらは、個別の物質として用いてもよいし、少なくとも2種の特定の共開始剤の混合物として用いてもよい。二官能性出発物質の例としては、エチレングリコールやジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール−1,4、ペンタンジオール−1,5があげられる。三価出発物質の例としては、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール、特にグリセロールがあげられる。これらの出発物質は、アルコキシレート、特に分子量Mnが62〜15000g/molであるアルコキシレートの形で使用することもできる。原則的には、ヒマシ油またはアルコキシル化ヒマシ油の使用も可能である。
【0036】
本発明の方法で用いるポリエーテルアルコールの製造時のアルキレンオキシドの付加反応は、既知の方法で実施可能である。ポリエーテルアルコールの製造に、単一のアルキレンオキシドを使用することもできる。複数のアルキレンオキシドを使用する場合、アルキレンオキシドを相互別々に添加するいわゆるブロック重合的な付加反応が可能であるし、アルキレンオキシドを一緒に加えるランダム重合的な付加(ヘテロ付加とも呼ばれる)も可能である。ポリエーテルアルコールの製造中にポリエーテル鎖中にブロック的領域とランダム的領域の両方を導入することも可能である。また、例えばDE19960148に記載のような、勾配型の反応や交互付加反応も可能である。
【0037】
本発明のある実施様態においては、反応中にこれらの出発物質が連続的に反応に供給される。この実施様態は、例えばWO98/03571に記載されている。併用する共出発物質を連続的に供給することも可能である。またWO98/03571に記載のように、全体の反応をアルキレンオキシドとともに連続的に行うこともできる。
【0038】
本発明の他の実施様態においては、このアルコキシ化を、いわゆるヒール法で行うこともできる。これは、反応器中に、反応生成物を、出発原料と同様に初期供給物として供給することを意味する。
【0039】
アルキレンオキシドの付加反応の終了後、このポリエーテルアルコールを、従来の方法で、通常蒸留、スチームまたはガスでのストリッピング法及び/又は他の脱臭方法で処理して、未反応のアルキレンオキシドと易揮発性成分とを除く。必要なら、濾過を行ってもよい。
【0040】
加工工程c)から得られる本発明のポリエーテルアルコールの平均官能基は、好ましくは2〜6、特に2〜4であり、ヒドロキシル価は、20〜120mg−KOH/gの範囲である。この結果、これらは、特に軟質PU発泡体に好適であり、またPU接着剤やシーラント、エラストマーに好適である。
【0041】
加工工程a)で用いる脂肪または脂肪誘導体の種類によっては、加工工程b)から得られる本発明のポリエーテルアルコールの平均官能基は2〜6、特に2〜4となり、ヒドロキシル価は50〜300mg−KOH/gの範囲となる。これらの構造物は、特にポリウレタンの製造に、特に軟質ポリウレタンフォームや硬質ポリウレタンフォーム、ポリウレタン塗膜の製造に好適である。硬質ポリウレタンフォームとポリウレタン塗膜の製造の際に、原理的には、アルキレンオキシドが付加していないポリオールを、即ち加工工程a)とb)だけが行われた再生可能な原料由来のポリオールを製造に用いることができる。軟質ポリウレタンフォームの製造の場合、この種の化合物は、その小さな鎖長のため好ましくない架橋を引き起こし、このため適当でない。
【0042】
これらのポリウレタンは、本発明の方法で製造されたポリエーテルアルコールをポリイソシアネートと反応させて製造される。
【0043】
本発明のポリウレタンは、ポリイソシアネートをイソシアネート基に反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物と反応させて製造される。発泡体の製造の場合、反応は発泡剤の存在下で行われる。
【0044】
以下、用いる出発化合物について詳細に説明する。
【0045】
好適なポリイソシアネートは、公知の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族イソシアネート、好ましくは芳香族多価イソシアネートである。
【0046】
具体例としては、アルキレン基中に4〜12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート−1,6)や、脂環式ジイソシアネート(例えば、シクロヘキサン1,3−及び1,4−ジイソシアネート)、これらの異性体のいずれか所望の混合物、2,4−及び2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネートと相当する異性体混合物、4,4’−、2,2’−及び2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートと相当する異性体混合物、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,4−キシリレンジイソシアネート)とキシリレンジイソシアネート異性体混合物があげられるが、芳香族ジ−及びポリイソシアネート(例えば、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)と相当する異性体混合物、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と相当する異性体混合物、4,4’−及び2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ポリフェニル−ポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)、粗製MDIとトリレンジイソシアネートの混合物)が好ましい。これらの有機ジイソシアネートやポリイソシアネートは、それぞれ個別に使用しても、混合物の形で使用してもよい。
【0047】
いわゆる変性多価イソシアネート、即ち、有機ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートの化学反応で得られる生成物を用いることもできる。その例としては、イソシアヌレート及び/又はウレタン基を有するジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートがあげられる。好適な具体例は、ウレタン基含有の有機ポリイソシアネート、好ましくは芳香族ポリイソシアネートで、そのNCO含量がポリイソシアネートの総重量に対して33〜15重量%、好ましくは31〜21重量%であるものである。
【0048】
本発明の方法で製造されるポリオールは、イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する他の化合物と併用することができる。
【0049】
イソシアネート反応性の少なくとも2個の水素原子を有する化合物で本発明の方法で製造されるポリオールと併用されるものとしては、特にポリエーテルアルコール及び/又はポリエステルアルコールが用いられる。
【0050】
硬質ポリウレタンフォームの製造の場合、多くの場合、少なくとも一種の、官能価が少なくとも4でヒドロキシル価が250mg−KOH/gより大きなポリエーテルアルコールが使用される。
【0051】
本発明の方法で製造されるポリオールと併用するポリエステルアルコールは、多くの場合、多官能性アルコール、好ましくは2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子をもつジオールと、2〜12個の炭素原子をもつ多官能性カルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二酸、マレイン酸、フマル酸との反応、好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、異性体ナフタレンジカルボン酸混合物との反応で製造される。
【0052】
本発明の方法で製造されるポリオールと共に用いるポリエーテルアルコールの官能価は、多くの場合2〜8であり、特に4〜8である。
【0053】
用いるポリヒドロキシル化合物は、特に既知の方法で、例えばアルカリ金属水酸化物の存在下でアルキレンオキシドをアニオン重合して製造されたポリエーテルポリオールである。
【0054】
用いるアルキレンオキシドは、好ましくはエチレンオキシドと1,2−プロピレンオキシドである。これらのアルキレンオキシドは、個別に用いても、交互に用いても、混合物として用いてもよい。
【0055】
適当な開始剤分子は、例えば、水や、コハク酸やアジピン酸、フタル酸、テレフタル酸などの有機ジカルボン酸、また脂肪族及び芳香族アミンで、必要に応じてN−モノ−、N,N−およびN,N’−ジアルキル置換されたジアミンでアルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するもの、例えば必要に応じてモノ−及びジアルキル置換されたエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3−プロピレンジアミン、1,3−または1,4−ブチレンジアミン、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−及び1,6−ヘキサメチレンジアミン、アニリン、フェニレンジアミン、2,3−、2,4−、3,4−及び2,6−トルエンジアミン、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジアミノジフェニルメタンである。
【0056】
また開始剤分子として好適なのは、エタノールアミンやN−メチル−及びN−エチルエタノールアミンなどの、アルカノールアミンや、ジエタノールアミンやN−メチル−及びN−エチルジエタノールアミンなどのジアルカノールアミン、トリエタノールアミンなどのトリアルカノールアミン、アンモニアである。
【0057】
また、エタンジオールやプロパンジオール−1,2及び−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール−1,4、ヘキサンジオール−1,6、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖などの多価アルコール(特に二価及び/又は三価アルコール)や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンや4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン−2,2などの多価フェノール、フェノールとホルムアルデヒドのオリゴマー縮合生成物やフェノールとホルムアルデヒドとジアルカノールアミンのマンニッヒ縮合物などのレゾール、メラミンである。
【0058】
これらのポリエーテルポリオールの官能価は、好ましくは3〜8、特に3〜6であり、そのヒドロキシル価は、好ましくは120mg−KOH/g〜770mg−KOH/gであり、特に240mg−KOH/g〜570mg−KOH/gである。
【0059】
このイソシアネート基反応性の少なくとも2個の水素原子を有する化合物は、必要に応じて併用される鎖延長剤と架橋剤を含む。しかしながら、機械的性質を変更するためには、二官能性連鎖延長剤、三価および多価の架橋剤または必要ならこれらの混合物を添加することも好ましいことがわかっている。アルカノールアミンと、特に分子量が400未満、好ましくは60〜300であるジオール及び/又はトリオールとが、連鎖延長剤及び/又は架橋剤として好ましく用いられる。
【0060】
ポリウレタンの製造に連鎖延長剤、架橋剤またはこれらの混合物を使用する場合、これらをイソシアネート基反応性の少なくとも2個の水素原子を有する化合物の重量に対して0〜20重量%の量で、好ましくは2〜5重量%の量で使用することが好ましい。
【0061】
発泡剤として水を使うことが好ましく、水はイソシアネート基と反応して二酸化炭素を放出する。水の代わりに、あるいは好ましくは水と共に、いわゆる物理発泡剤を使うことができる。これらは、供給成分に不活性であり、室温で主に液体でウレタン反応条件下では気化する化合物である。これらの化合物の沸点は110℃未満であることが、特に80℃未満であることが好ましい。物理発泡剤はまた、二酸化炭素や窒素、希ガスなどの不活性ガスであり、これらは、供給成分と混合するか及び/又はその中に溶解される。
【0062】
この室温で液体の化合物は、主として、少なくとも4個の炭素原子をもつアルカン及び/又はシクロアルカン、ジアルキルエーテル、エステル、ケトン、アセタール、1〜8個の炭素原子をもつフルオロアルカン、アルキル鎖中に1〜3個の炭素原子をもつテトラアルキルシラン(特にテトラメチルシラン)からなる群から選ばれる。
【0063】
例としては、プロパン、n−ブタン、イソ−及びシクロブタン、n−、iso−及びシクロペンタン、シクロヘキサン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、蟻酸メチル、アセトン、またトリフルオロメタンやジフルオロメタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパンなどの対流圏で分解可能でオゾン層に危害を与えないフルオロアルカンがあげられる。これらの物理発泡剤は単独で用いても、いずれかの所望の組合せで用いてもよい。
【0064】
用いる触媒は、特にイソシアネート基とイソシアネート基反応性基との反応を大幅に加速する化合物である。特に有機金属化合物が、好ましくは有機酸のスズ(II)塩などの有機スズ化合物が用いられる。
【0065】
また、強塩基性アミンを触媒として用いることもできる。これらの例としては、第二級脂肪族アミンやイミダゾール、アミジン、トリアジン、アルカノールアミンがあげられる。
【0066】
これらの触媒は単独で用いてもよく、必要に応じて相互に混合したいずれか所望の混合物として用いてもよい。
【0067】
用いる助剤及び/又は添加物は、本目的のための公知の物質であり、例えば表面活物質、発泡体安定剤、セル調整系、増量剤、顔料、染料、難燃剤、加水分解阻害剤、静電防止、静真菌剤や静菌剤である。
【0068】
本発明の方法の実施の際に用いる出発原料、発泡剤、触媒、また助剤及び/又は添加物の他の詳細が、例えば、Kunststoffhandbuch [プラスチックハンドブック]、Vol.7、「ポリウレタン」、Carl−Hanser−Verlag、Munich、1版、1966、2版、1983、3版、1993に記載されている。
【0069】
オポキシ化/開環またはヒドロホルミル化/水素化に対する本発明の方法の利点は、ケトン化プロセスに溶媒も触媒も不要であることである。結果として、ヒドロキシ官能化脂肪や脂肪酸誘導体を比較的低コストで製造することが可能となる。また、圧力や温度、滞留時間などの反応条件を簡単に適応させることができるため、官能価を容易にかつ思うように調整でき、結果として、材料が、ポリウレタン用途を超えて非常に広い範囲での利用可能性をもつこととなるという利点がある。
【0070】
エポキシ化とオゾン分解と較べると、この方法では、任意のヒドロキシル化度をもつ二重結合を含まないオリゴヒドロキシ脂肪が得られ、このためこのオリゴヒドロキシ脂肪が、既存の脂肪に起こる老化プロセス(DBの酸化、「酸敗」)に直面しないという利点を有している。エポキシ化またはオゾン分解の場合、これは完全変換の場合のみ起こるが、これが官能化の程度を決める。
【0071】
ヒドロホルミル化は第一級のOH基を形成するが、亜酸化窒素酸化は第二級ヒドロキシ基のみを生成するため、ヒドロホルミル化と較べると、亜酸化窒素酸化は相補的反応性の材料の製造が可能である。
【0072】
続くアルキレンオキシドの付加反応により、特定の使用用途にポリオールを最適化することができる。例えば、軟質ポリウレタンフォーム中での使用を目的とするポリオールには、硬質ポリウレタンフォーム中での使用のポリオールの場合より長鎖が付加される。
【実施例】
【0073】
本発明を、以下の実施例を基により詳細に説明する。
【0074】
実施例1:亜酸化窒素での大豆油の酸化
260gの大豆油を、容量が1.2Lのスチール製オートクレーブに入れ、このオートクレーブを閉め、窒素で不活性化した。50barの亜酸化窒素を注入し、攪拌機を700rpmに設定して攪拌した。次いで反応混合物を220℃に加熱した。22時間運転後、この混合物を室温まで冷却し、攪拌機を停止し、この系をゆっくりと環境圧力にまで放圧した。溶媒の除去後、淡黄色の液体生成物を分析した。
分析データ:臭素価:36g−臭素/100g、カルボニル価=173mg−KOH/g、エステル価=196mg−KOH/g、酸価=1.8mg−KOH/g。
元素分析:C=73.6%、H=10.8%、O=15.1%。
【0075】
実施例2:亜酸化窒素での大豆油の酸化
172gの大豆油と172gのシクロヘキサンを容量が1.2Lのスチール製オートクレーブに入れ、このオートクレーブを閉め、窒素で不活性化した。20barの亜酸化窒素を注入し、攪拌機を700rpmに設定して攪拌した。次いで反応混合物を220℃に加熱した。36時間運転後、この混合物を室温まで冷却し、攪拌機を停止し、この系をゆっくりと環境圧力にまで放圧した。溶媒の除去後、淡黄色の液体生成物を分析した。
分析データ:臭素価=57g−臭素/100g、カルボニル価=64mg−KOH/g、エステル価=196mg−KOH/g、酸価=1.8mg−KOH/g。
元素分析:C=75.6%、H=11.5%、O=13.4%。
【0076】
実施例3:円管状反応器中での亜酸化窒素での大豆油の酸化
290℃、100barで円管状反応器(内容量:210ml、滞留時間:約50分)中で、130g/hの50重量%の大豆油と50重量%のシクロヘキサンの混合物を、45g/hの亜酸化窒素と反応させた。この反応生成物をある容器中で放圧し、反応生成物の液体部分を集め、シクロヘキサンを蒸留で除いた。この淡黄色液体生成物を分析した。
分析データ:臭素価=54g−臭素/100g、カルボニル価=81mg−KOH/g、エステル価=199mg−KOH/g、酸価=2.6mg−KOH/g。
元素分析:C=75.0%、H=11.1%、O=13.7%。
【0077】
すべての実施例で用いた大豆油は、アルドリッチから販売されている製品で、その臭素価は80g−臭素/100g、カルボニル価が1mg−KOH/100g、鹸化価が192mg−KOH/g、酸価が<0.1mg−KOH/gであった。
元素分析結果:C=77.6%、H=11.7%、0=11.0%。
【0078】
実施例4:実施例2からの酸化大豆油の水素化
20gの、実施例2からの酸化大豆油(カルボニル価=64、OH価=<5、臭素価=57)の100mlのテトラヒドロフラン溶液をまず、2gの水で濡れた炭素支持体担持5%ルテニウム触媒とともに300mlのスチール製オートクレーブ中に入れた。この溶液を120℃にまで加熱し、120barの水素を注入した。これらの値で、この混合物を12時間攪拌した。次いで反応混合物を冷却し放圧した。この生成物を濾過し、蒸留で溶媒を除いた。この固体残渣(バター状)のOH価は64であり、カルボニル価は<5、臭素価は<5であった。
【0079】
実施例5:実施例3の酸化大豆油の水素化
20gの酸化大豆油(カルボニル価=81、臭素価=54)の100mlのテトラヒドロフラン溶液をまず、20gの水で濡れたAl担持ルテニウム触媒(0.5%)と共に300mlのスチール製オートクレーブ中に入れた。この溶液を120℃にまで加熱し、100barの水素を注入した。これらの値で、この混合物を12時間攪拌した。次いで、反応混合物を冷却し放圧した。この生成物を濾過し蒸留で溶媒を除いた。この固体残渣(バター状)のOH価は80であり、カルボニル価は<5、臭素価は<5であった。
【0080】
実施例6:実施例1からの酸化大豆油の水素化
20gの、実施例2からの酸化大豆油(カルボニル価=64、OH価=<5、臭素価=57)の100mlのテトラヒドロフラン溶液を、2gの水で濡れたた炭素支持体担持5%ルテニウム触媒とともに300mlのスチール製オートクレーブ中に入れた。この溶液を120℃にまで加熱し、120barの水素を注入した。これらの値で、この混合物を12時間攪拌した。次いで、反応混合物を冷却し放圧した。この生成物を濾過し蒸留で溶媒を除いた。この固体残渣(バター状)のOH価は170であり、カルボニル価は<5、臭素価は<5であった。
【0081】
実施例6のポリオールを硬質ポリウレタンフォーム製剤中で用いた。なお、本システムが、発泡剤として用いたペンタンに極めてよく適合していることがわかった。
【0082】
実施例7:実施例6のヒドロキシ大豆油のアルコキシ化
1523gの実施例6からのヒドロキシ油(OH価=170mg−KOH/g)を、まず加圧オートクレーブに入れ、11.5gの、濃度が5.4%の亜鉛ヘキサシアノコバルテートのルプラノール(R)1100懸濁液と混合した。三回窒素で反応混合物を不活性化した後、減圧下20mbarで約30分間、130℃で処理して、この反応混合物から水を除いた。次いで、この触媒を活性化するために、まず150gのプロピレンオキシドを、この反応混合物に10分間かけて供給した。この活性化(温度上昇と大きな圧力降下から明白である)の後、さらに3720gのプロピレンオキシドを反応混合物に160分間かけて供給した。モノマーの供給の終了後、また反応器の圧力が一定となった後、未反応のプロピレンオキシドと他の揮発性成分を真空下で留去し、生成物を抜き出した。このようにして、5300gの目的物が、やや淡黄色の粘稠な、OH価が50.6mg−KOH/gで粘度が842mPasの液体として得られた。
【0083】
実施例7からのポリオールを軟質ポリウレタンフォーム製剤中で用いた。なおこのポリオールが、用いた唯一のポリオールである。この系の加工性とその軟質発泡体の機械的パラメーターに悪影響はまったく無かった。
【0084】
実施例8:実施例5からのヒドロキシ大豆油のアルコキシ化
917gの実施例5からのヒドロキシ油(OH価=80mg−KOH/g)を、まず加圧オートクレーブに入れ、6.42gの、濃度が5.7%の亜鉛ヘキサシアノコバルテートのルプラノール(R)1100懸濁液と混合した。三回窒素で反応混合物を不活性化した後、減圧下20mbarで約30分間、130℃で処理してこの反応混合物から水を除いた。次いで、この触媒を活性化するためにまず、50gのプロピレンオキシドを、この反応混合物に10分間かけて供給した。この活性化(温度上昇と大きな圧力降下から明白)の後、さらに500gのプロピレンオキシドを反応混合物に100分間かけて供給した。モノマーの供給の終了後、また反応器の圧力が一定となった後、未反応のプロピレンオキシドと他の揮発性成分を真空下で留去し、生成物を抜き出した。このようにして、1350gの目的物が、やや淡黄色の粘稠な、OH価が49.8mg−KOH/gで粘度が527mPasの液体として得られた。
【0085】
実施例8のポリオールをポリウレタン製中心靴底用の製剤中で用いた。なお、このポリオールが使用した唯一のポリオールである。得られた生成物は、その改善された表面性状に特徴があった。実施例8からのポリオールは、ポリウレタンシーラント用製剤中で用いた。得られたシーラントは、優れた加水分解安定性に特徴があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールの製造方法であって、
a)天然の不飽和脂肪、天然の不飽和脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルを一酸化二窒素と反応させる工程と、
b)工程a)で得られる生成物を水素化剤と反応させる工程と、
c)工程b)からの反応生成物をアルキレンオキシドと反応させる工程と
を含む製造方法。
【請求項2】
上記天然の不飽和脂肪及び油脂系誘導体が、ヒマシ油、グレープシード油、黒キャラウェイ油、カボチャ種子油、ルリヂサ種子油、大豆油、小麦胚芽油、ナタネ油、ひまわり油、落花生油、アプリコットカーネル油(杏仁油)、ピスタチオカーネル油、アーモンド油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、シーバックソーン油、ごま油、ヘンプ油、ヘーゼルナッツ油、月見草油、野バラ油、サフラワー油、クルミ油、パーム油、魚油、ヤシ油、トール油、トウモロコシ胚芽油、及びアマニ油からなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記脂肪酸及び脂肪酸エステルが、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−及びγ−リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸、及びセルボン酸、並びにこれらのエステルからなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記天然の不飽和脂肪が、大豆油、パーム油、ひまわり油、及びナタネ油からなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程a)において、上記亜酸化窒素が、不活性ガスとの混合物中で用いられる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記水素化剤が、複合金属水素化物である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記水素化剤が、水素化リチウムアルミニウムまたは水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記水素化剤が、水素である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程b)が、触媒の存在下で実施される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程b)が、少なくとも一種の、6〜11族の遷移金属を含む触媒の存在下で行われる請求項8に記載の方法。
【請求項11】
工程b)が、ルテニウム含有触媒の存在下で行われる請求項8に記載の方法。
【請求項12】
工程b)が、ニッケル含有触媒の存在下で行われる請求項8に記載の方法。
【請求項13】
工程c)のアルキレンオキシドの付加反応が、触媒の存在下で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程c)のアルキレンオキシドの付加反応が、多金属シアン化物触媒の存在下で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項の方法により製造されたポリオール。
【請求項16】
請求項15に記載のポリオールのポリウレタン製造への使用方法。
【請求項17】
ポリイソシアネートと、イソシアネート基反応性の少なくとも2個の水素原子を有する化合物とを反応させてポリウレタンを製造する方法であって、請求項15に記載のポリオールを前記イソシアネート基反応性の少なくとも2個の水素原子を有する化合物として用いる方法。

【公表番号】特表2012−532948(P2012−532948A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519009(P2012−519009)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059883
【国際公開番号】WO2011/004004
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】