説明

再生材、及び、再生材の製造方法

【課題】コンクリート建造物の解体に伴って生じたコンクリート廃材を骨材として再生する際に発生する粉体を軟弱地盤の土壌改良材として使用することが知られている。
しかしながら、上記土壌改良材として使用する粉体の粒径は150μm以下のため粉塵となりやすいので、粉体が風に飛ばされてしまったりして作業性が悪かったり、作業者の健康を損なう等の問題があった。
【解決手段】コンクリート廃材が破砕されて形成されたコンクリート塊同士がすり揉まれて形成された粉体27と汚泥5とが混練されて、資源として利用する再生材を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート塊同士がすり揉まれて形成される粉体と汚泥とを混練して形成する再生材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート建造物の解体に伴って生じたコンクリート廃材を骨材として再生する際に発生する粉体を軟弱地盤の土壌改良材として使用することが知られている。上記粉体は、ジョーククラッシャー等で粉砕したコンクリート塊を加熱して脆弱化させた後にボールミルやローラミルによって粉砕することにより発生する。
【特許文献1】特開2003−96451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記土壌改良材として使用する粉体の粒径は150μm以下のため粉塵となりやすいので、粉体が風に飛ばされてしまったりして作業性が悪かったり、作業者の健康を損なう等の問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、資源として利用する再生材であって、含水性が低く、粉塵とならない再生材、及び、その製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の再生材によれば、資源として利用する再生材であって、コンクリート廃材が破砕されて形成されたコンクリート塊同士がすり揉まれて形成された粉体と汚泥とが混練されたことを特徴とする。
本発明の再生材の製造方法によれば、コンクリート廃材を破砕してコンクリート塊を形成するコンクリート塊形成工程と、コンクリート塊同士をすり揉みして粉体を形成する粉体形成工程と、粉体と汚泥とを混練して再生加工資源として利用する再生材を形成する再生材形成工程とを備えたことを特徴とする。
コンクリート塊を加熱した後に加熱後のコンクリート塊同士をすり揉みしたことも特徴とする。
粉体と汚泥とを混練した混練物を粒状にした再生材を形成したことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の再生材によれば、資源として利用する再生材であって、コンクリート廃材が破砕されて形成されたコンクリート塊同士がすり揉まれて形成された粉体と汚泥とが混練されたので、含水性が低く、粉塵とならない再生材を得ることができる。
当該再生材は土木資材(路盤材、埋め戻し材、盛土、グランド表土等)や、土壌改良材等の資源として用いることができる。
本発明の再生材の製造方法によれば、コンクリート廃材を破砕してコンクリート塊を形成するコンクリート塊形成工程と、コンクリート塊同士をすり揉みして粉体を形成する粉体形成工程と、粉体と汚泥とを混練して資源として利用する再生材を形成する再生材形成工程とを備えたことにより、含水性が低く、粉塵とならない再生材を製造できる。
コンクリート塊を加熱した後に加熱後のコンクリート塊同士をすり揉みしたことにより水分吸収率の高い粉体を形成できる。
粉体と汚泥とを混練した混練物を粒状にした再生材を形成したので、再生材を使用する際に再生材を細かく砕く必要がない。このため、取扱いが容易な再生材を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
最良の形態1
図1は再生材の製造工程を示し、図2は再生材の製造工程のフローチャートを示し、図3はコンクリート塊の断面図を示す。
図1に示すように、再生材の製造方法は、コンクリート廃材を破砕して40φmm以下のコンクリート塊を形成する粉砕手段1によるコンクリート塊形成工程と、当該コンクリート塊同士、又は、コンクリート塊をすり揉むすり揉み材とコンクリート塊とをすり揉みするすり揉み手段2により粉体を形成する粉体形成工程と、粉体と汚泥とを混練する混練手段3により再生加工資源として利用する再生材として1mm以上の塊状の土4を形成する再生材形成工程を備える。
汚泥5は水泥、土泥、浚渫汚泥、トンネル掘削や基礎工事等により発生した建設汚泥等を用いる。コンクリート塊形成工程と粉体形成工程と再生材形成工程とによって形成された再生材としての塊状の土4は、混練手段3が未混練の部位を生じないように汚泥5中に粉体27を分散させることにより形成される。このため、含水性が低く、粉塵とならない再生材を製造でき、作業性を良くでき、作業者の健康を害さない。
【0007】
粉砕手段1は、例えば筐体10と回転体11と衝突板13とにより構成される。筐体10に投入されたコンクリート廃材が、筐体10内部に設置された回転体11より突出する突起12と、筐体10内部の上部に設置された衝突板13とに衝突することによって粉砕される。このようにして、細かく粉砕されたコンクリート廃材が、筐体10の排出口14を介して図外の振動ふるい手段に供給される。図外の振動ふるい手段では40φmm以下に破砕されたコンクリート塊15と40φmm以上のコンクリート廃材とを篩い分ける。40φmm以上に篩い分けされたコンクリート塊15は、40φmm以下になるまで繰返し粉砕手段1に投入される。40φmm以下に篩い分けられたコンクリート塊15は、図外の磁選機及び作業員による選別作業によって鉄くず、鉄筋などの不純物を取り除いて後述のすり揉み手段2に供給される。
粉砕手段1としては、例えば、遠心破砕機等の乾式破砕機を用いる。
【0008】
コンクリート塊15は粗骨材25と細骨材26とセメントペースとを含有する。コンクリート塊15は図3に示すように水分16を含有した微細な孔17を多数備える。尚、粗骨材25は5mm以上のものが重量で85%以上含まれる骨材であり、細骨材26は10mm篩をすべて通過して、5mm以下のものが重量で85%以上含まれる骨材である。セメントペーストはセメントと水とを混合して形成される。
【0009】
すり揉み手段2は、例えば筒形状に形成された粗骨材ミル20と筒形状に形成された細骨材ミル21とを備える。
粗骨材ミル20は、耐摩耗性を有する複数の球体により形成されるすり揉み材22と、周面の内外を貫通した直径5mm程度の複数の図外のふるい孔とを備える。粗骨材ミル20は、40φmm以下に粉砕されたコンクリート塊15とすり揉み材22とをすり揉む。すり揉むとは複数のコンクリート塊15同士、又は、複数のすり揉み材22とコンクリート塊15とを互いに接触させた状態でこすり合わせるように動かすことである。つまり、コンクリート塊15が複数のコンクリート塊15同士、又は、コンクリート塊15以外の複数の媒体でコンクリート塊15がこすられることを言う。これにより、粗骨材ミル20の内部では直径5mm以下のモルタル24(細骨材とセメントペーストの構成物)と粗骨材25と粉体27とが混ざり合う状態となる。後述の粉体回収手段18が、粗骨材ミル20に設置された粉体排出路28を経由して排出される粉体27を回収する。
【0010】
細骨材ミル21が、粗骨材ミル20で発生した粗骨材25とモルタル24とをすり揉むことによりモルタル24の内のセメントペーストが破砕、摩擦されて粗骨材25と細骨材26と粉体27とが形成される。後述の粉体回収手段18が、細骨材ミル21に設置された粉体排出路29を経由して排出される粉体27を回収する。
粉体27は、セメントペーストを主成分として形成されるが、骨材の粉末も含まれる。粉体27はセメントペーストを主成分としているのでセメントの固化作用が残存している。
振動ふるい手段23が、すり揉み手段2で形成された粗骨材25と細骨材26とを分離する。粉体回収手段18は、吸引機構を有する図外の集塵装置により粗骨材ミル20と細骨材ミル21とで発生した粉体27を回収する。回収された粉体27はサイロ等に貯蔵される。
【0011】
混練手段3は、再生材としての塊状の土4を形成する装置である。
混練手段3は、例えば上部開口、下方閉塞の剛体により形成された筒形状のドラム30と、ドラム30の内底面に設置された回転軸31と、回転軸31の周りを公転するように回転軸31に取り付けられる板状の混練部32とによって構成される。再生材を形成する場合には、ドラムの上部開口に汚泥5と粉体27とを投入して回転軸31と接続された図外のモータにより回転軸31を回転させる。回転軸31が回転することにより板状の混練部32がドラム30内部に設置された回転軸31の周りを公転する。回転軸31の周りを公転する混練部32は、ドラム30の内周壁内により形成されたドラム30の内部空間に投入された汚泥5と粉体27とを混練して径が例えば1mm以上の再生材としての塊状の土4を形成する。
再生材としての塊状の土4の大きさを変更したい場合には、粉体量や汚泥中の水分量や吸水により調整すればよい。このようにして形成された再生材は再生材排出口34よりドラム30の外に供給される。
【0012】
汚泥5と粉体27とを混練する再生材において汚泥の違いによる再生材の測定実験を行った。
実験例
含水率40%程度のくい汚泥を試料とした。
1)出来上がり製品の含水量から検討
石分の少ない砂質系やローム系の改良土は、通常出来上がり後の含水率は25%位である。このため、40%の含水率を、粉体27によって吸水させて、相対的に含水率を下げて25%に近づけるためには粉体27を約50%の添加する必要がある。
2)出来上がりの再生材の性状から検討
粉体27とくい汚泥とを混ぜ合わせた再生材の土の粘性や保水力がなくなると、再生材は粉状となり締め固めが困難となる。このため、くい汚泥と粉体27との混合物は移動や保管の際に粉塵を発生する場合があることがわかった。
シルト分の多い汚泥に対して粉体27を混入できる上限は40%位とみられる。水分を除外した汚泥に対して土そのものの割合は66%であった。粉体27は土よりも多い割合で汚泥に混入できないことがわかった。
砂礫分が多い汚泥の場合の粉体27の混合量は、砂礫は含水量が下がるため40%よりも低い粉体混合量となることがわかった。
【0013】
本形態によれば、混練手段3が粉体27と汚泥5とを混練することにより、1mm以上の径の再生材が得られるので、含水性が低く、粉塵とならず、作業性を良くでき、作業者の健康を害さなくすることができる。また、汚泥5と粉体27とは混練手段3を介して再生材としての塊状の土4を形成することができるので、汚泥5に直接粉体27を投入することによって発生していた粉体27の飛散を防ぐことができるので環境に良い。当該再生材は土木資材(路盤材、埋め戻し材、盛土、グランド表土等)や、土壌改良材等の資源として用いることができる。
【0014】
最良の形態2
図4乃至図6に示すようにコンクリート塊形成工程と粉体形成工程との間にコンクリート塊15の加熱を行う加熱手段40による加熱工程を備えた。
加熱手段40は、コンクリート塊15を300度から400度以内に加熱することによりコンクリート塊15を脆弱化させるものである。
加熱手段40は、例えば投入路43側より排出路44側に向かって低くなるように傾斜する筒体により形成される加熱炉41と加熱炉内部を加熱するバーナ等の熱源45とを備える。加熱炉41は、図外のモータにより回転されることにより壁面によって囲まれた内部空間に投入されたコンクリート塊を加熱する。加熱されたコンクリート塊15は排出路44側に向かって排出される。
加熱手段40としては、例えば、回転式の窯であるロータリーキルンを用いる。加熱されたコンクリート塊15は図6に示すように、熱によりコンクリート塊15の含有する水分16が膨張することにより多数のクラック42が発生する。コンクリート塊15の微細な孔17に含有された水分16はクラック42抜け出ることにより蒸発する。つまり、加熱手段40はコンクリート塊15を脆弱化して多孔質のコンクリート塊15を形成する。加熱されたコンクリート塊15は粉体形成工程に送られる。加熱工程によればコンクリート塊15を脱水して脆弱化するので、コンクリート塊15に含有される粗骨材25と細骨材26と粉体27とを取り除きやすくなる。また、多孔質なコンクリート塊15を形成できるので粉体27により高い吸水作用を備えさせることができる。
これにより、加熱手段40により加熱されたコンクリート塊15同士をすり揉み手段2がすり揉みすることにより加熱せずに製造された粉体27よりも水分吸収率の高い粉体を形成することができる。
加熱手段40とすり揉み手段2とにより発生した粉体27は固化作用と吸水作用とを備えるので、固化と吸水に優れた粉体とすることができる。よって、コンクリート塊形成工程と加熱工程と粉体形成工程とによって形成された粉体27は、加熱工程と粉体形成工程とを経ないで形成された粉体よりも吸水量と固化量とを多くすることができる。
【0015】
最良の形態3
図7,図8に示すように、再生材形成工程の後に、粉体27と汚泥5とを混練した混練物を粒状にした再生材を形成する造粒手段50による造粒工程を備えた。
造粒手段50は例えば、上部開口、下方閉塞の剛体に形成された筒形状のドラム51と、ドラム51の内底面に設置された回転軸52と、回転軸52を中心として回転軸52の周りを自転しながら公転する自転軸54と回転翼55とからなる攪拌翼部53を備える。攪拌翼部53がドラム内部の塊状の土4を細かく切断することにより再生材としての粒状の土56を形成する。
すなわち、図外のモータにより回転軸52が回転されて、図外の接続部により回転軸52に自転可能に固定された棒体により形成された自転軸54が、図外のモータにより回転駆動することによりドラム51内部を自転しながら回転軸52の回りを公転する。これにより、自転軸54の軸心上の周面に沿って所定間隔を隔てて互いに隣り合う複数の薄板状の回転翼55によりドラム51内部に供給された塊状の土4を切断してより細かな粒状の土56に造粒する。攪拌翼部53は、この粒状の土56の径を例えば1mm未満に形成するように造粒する。粒状の土56は再生材排出口57より外部に供給される。
粒状の土56の大きさを変更したい場合には自転軸54の回転速度を速めたり、隣り合う回転翼55の間隔を狭めたりすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
粒状の土56と塊状の土4とを合わせた土を再生材としてもよい。
造粒手段50は攪拌翼部53と混練手段3の混練部32とが接触しないように混練手段3に造粒手段50を設置した一体型としてもよい。
再生材としての塊状の土4の大きさを変更したい場合には、造粒手段50の運転時間や、セメント等の固化材の量を調整してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】再生材の製造工程を示す模式図(最良の形態1)。
【図2】再生材の製造工程のフローチャート(最良の形態1)。
【図3】コンクリート塊の断面図(最良の形態1)。
【図4】加熱工程を加えた再生材の製造工程を示す模式図(最良の形態2)。
【図5】加熱工程を加えた再生材の製造工程のフローチャート(最良の形態2)。
【図6】加熱工程時のコンクリート塊の断面図(最良の形態2)。
【図7】造粒工程を加えた再生材の製造工程を示す模式図(最良の形態3)。
【図8】造粒工程を加えた再生材の製造工程のフローチャート(最良の形態3)。
【符号の説明】
【0018】
1 コンクリート塊形成工程(粉砕手段)、2 粉体形成工程(すり揉み手段)、
3 再生材形成工程(混練手段)、5 汚泥、15 コンクリート塊、27 粉体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資源として利用する再生材であって、コンクリート廃材が破砕されて形成されたコンクリート塊同士がすり揉まれて形成された粉体と汚泥とが混練されて形成されたことを特徴とする再生材。
【請求項2】
コンクリート廃材を破砕してコンクリート塊を形成するコンクリート塊形成工程と、コンクリート塊同士をすり揉みして粉体を形成する粉体形成工程と、粉体と汚泥とを混練して再生加工資源として利用する再生材を形成する再生材形成工程とを備えたことを特徴とする再生材の製造方法。
【請求項3】
コンクリート塊を加熱した後に加熱後のコンクリート塊同士をすり揉みしたことを特徴とする請求項2に記載の再生材の製造方法。
【請求項4】
粉体と汚泥とを混練した混練物を粒状にした再生材を形成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の再生材の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−119992(P2010−119992A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298352(P2008−298352)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(508346619)成友興業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】