説明

再生条件制御方法、光ディスク、光ディスク・ドライブ装置及びプログラム

【課題】書き込み可能な光ディスクの再生耐久性を確保する。
【解決手段】本願の再生条件制御方法は、光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射し、光ディスクからの戻り光による信号状態の変化を検出するステップと、信号状態の変化に応じて、光ディスクに対する再生条件を変更して設定するステップとを含む。このように再生条件を適応的に制御することによって、光ディスクの再生耐久性を確保することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク・ドライブ装置において、書き込み可能な光ディスクの記録状態の劣化を防止又は抑制するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2006−309921号公報には、光記録媒体の再生耐久性の評価が短時間で精度高く評価することができる光記録媒体の評価方法が開示されている。具体的には、記録層を記録動作温度に加熱するための動作レーザパワーを求め、データ再生時に所定の再生レーザパワーのレーザビームを照射した際の記録層の温度を、データ再生時の周囲温度及び再生レーザパワー並びに動作レーザパワーに基づいて求め、データ再生時の再生レーザパワーと再生耐久回数との関係を求め、データ再生時の再生レーザパワーと再生耐久回数との関係からデータ再生時の記録層の温度と上記再生耐久回数との関係を求める。しかしながら、どのようにすれば耐久性を保持しつつ再生を行うことができるかについて考察されていない。
【特許文献1】特開2006−309921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光ディスクに記録された情報を再生するには当該光ディスクに再生パワーのレーザ光を照射するが、規格の上、100万回以上の、再生パワーによるレーザ照射に耐えられるようにしなければならない。これまでCDやDVDにおいては、さほど大きな問題とはならなかったが、Blu-ray規格やHD−DVD規格のような高容量光ディスクに対して、より短波長のレーザを用いるようになると、書き込み可能な光ディスクにおいて、繰り返し再生による記録状態の劣化が発生しやすくなり、再生耐久性の問題が大きくなる。
【0004】
本来、商品化される全ての光ディスク・ドライブと全ての光ディスク自体の組み合わせにおいて、十分な再生耐久性を持ち、いかなる再生環境においても再生劣化を生じない、又は記録再生システムにおいて問題となるレベルに達しないといった形が理想であるが、実際には、光ディスク・ドライブのレーザや光ディスクには生産時の個体ばらつきや経時変化が存在し、外環温度変動等の外乱も影響するので、従来技術で、十分なマージンを確保することは難しい。
【0005】
従って、本発明の目的は、書き込み可能な光ディスクの再生耐久性を確保するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る再生条件制御方法は、光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射し、光ディスクからの戻り光による信号状態の変化を検出するステップと、信号状態の変化に応じて、光ディスクに対する再生条件を変更して設定するステップとを含む。このように再生条件を適応的に制御することによって、光ディスクの再生耐久性を確保することができるようになる。
【0007】
本発明の第2の態様に係る再生条件制御方法は、光ディスクの所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出するステップと、光ディスクの所定のトラックに対して所定時間又は所定回数マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出するステップと、初期信号状態と第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、信号状態の変化量又は変化率と光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、算出された信号状態の変化量又は変化率に対応する再生条件の補償量を特定するステップと、特定された再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップとを含む。信号状態の変化量又は変化率が大きいほど、この光ディスクの再生耐久性が低いことが分かる。従って、信号状態の変化量又は変化率と光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用意すれば、適切な再生条件に調整することができ、再生耐久性を確保することができるようになる。
【0008】
本発明の第3の態様に係る再生条件制御方法は、光ディスクの所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出する第1検出ステップと、光ディスクの所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する第2検出ステップと、初期信号状態と第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えている場合には、時間又はレーザ照射回数(ディスクが1回転して、同一位置にレーザー光が繰り返し照射される回数をレーザー照射回数とする。以下同じ。)と光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、第1検出ステップと第2検出ステップとの間の時間又はレーザ照射回数に対応する再生条件の補償量を特定するステップと、特定された再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップとを含む。レーザの照射時間又はレーザ照射回数が短いうちに信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えた場合には、この光ディスクの再生耐久性が低いことが分かる。従って、時間又はレーザ照射回数と光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用意すれば、適切な再生条件に調整することができ、再生耐久性を確保することができるようになる。
【0009】
本発明の第4の態様に係る再生条件制御方法は、光ディスクの所定のトラックに所定の記録条件でデータ記録を行うステップと、所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出するステップと、光ディスクの所定のトラックに対して所定時間又は所定回数マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出するステップと、初期信号状態と第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、信号状態の変化量又は変化率と光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、算出された信号状態の変化量又は変化率に対応する再生条件の補償量を特定するステップと、特定された再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップとを含む。例えばテスト記録領域に実際に所定の符号パターンを記録することによって、実際の再生に近い環境において信号状態の変化量又は変化率を取得することができるようになる。すなわち、より適切に再生条件の調整を行うことができるようになる。
【0010】
本発明の第5の態様に係る再生条件制御方法は、光ディスクの所定のトラックに所定の記録条件でデータ記録を行うステップと、所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出する第1検出ステップと、所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する第2検出ステップと、初期信号状態と第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えている場合には、時間又はレーザ照射回数と光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、第1検出ステップと第2検出ステップとの間の時間又はレーザ照射回数に対応する再生条件の補償量を特定するステップと、特定された再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップとを含む。
【0011】
また、本発明の第1乃至第3の態様における信号状態が、反射率レベルである場合もある。また、本発明の第1、第4及び第5の態様における信号状態が、データ記録における所定符号の電圧レベル、β値、アシンメトリ値、ジッタ値、エラー値のいずれかである場合もある。
【0012】
さらに、上で述べた再生条件が、再生時のレーザパワーのレベル又はスピンドルモータの回転速度である場合もある。
【0013】
本発明の第6の態様に係る再生条件制御方法は、光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射した結果生ずる、光ディスクからの戻り光による信号状態の変化に関する情報を、当該信号状態の変化に関する情報を格納する光ディスクドライブ内のメモリ又は光ディスクから読み出すステップと、信号状態の変化に関する情報に応じて、光ディスクに対する再生条件を変更して設定するステップとを含む。このように信号状態の変化に関する情報を光ディスク・ドライブ装置で算出することなく、光ディスク・ドライブ装置内のメモリ又は光ディスクから読み出す場合もある。なお、再生耐久性が考慮された再生条件が、光ディスク・ドライブ装置内のメモリ又は光ディスクから読み出され、設定される場合もある。
【0014】
本発明の第7の態様に係る光ディスクは、当該光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射した結果生ずる、光ディスクからの戻り光による信号状態の変化量又は変化率と、光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータが記録されたものである。このような光ディスクが用意されれば、上で述べたような処理を行うことができ、適切な再生条件が設定されて、再生耐久性を確保できるようになる。
【0015】
本発明の第8の態様に係る光ディスクは、当該光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射した結果生ずる、所定のトラックからの戻り光による信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えた場合におけるレーザ照射開始からの時間又はレーザ照射回数と、光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータが記録されたものである。
【0016】
本発明の第9の態様に係る光ディスク・ドライブ装置は、光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射した結果生ずる、光ディスクからの戻り光による信号状態の変化量又は変化率と、光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータが記録されているメモリを有する。
【0017】
本発明の第10の態様に係る光ディスク・ドライブ装置は、光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射した結果生ずる、所定のトラックからの戻り光による信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えた場合におけるレーザ照射開始からの時間又はレーザ照射回数と、光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータが記録されているメモリを有する。
【0018】
本発明の第11の態様に係る光ディスクは、光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射した結果生ずる、光ディスクからの戻り光による信号状態の変化に関する情報と光ディスクに対するデータ再生条件とのうち少なくともいずれかが記録されたものである。このようにすれば、上で述べたような処理を行うことができ、適切な再生条件が設定されて、再生耐久性を確保できるようになる。
【0019】
本発明の第12の態様に係る光ディスク・ドライブ装置は、光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射した結果生ずる、光ディスクからの戻り光による信号状態の変化に関する情報と、信号状態の変化に応じて決定され且つ前記光ディスクの再生品位を劣化させることのない又は前記光ディスクの再生品位を劣化を抑制し得る前記光ディスクに対するデータ再生条件とのうち少なくともいずれかを格納するメモリを有する。
【0020】
本発明の方法をプロセッサに実行させるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROMなどの光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置若しくはプロセッサの不揮発性メモリに格納される。また、ネットワークを介してディジタル信号にて頒布される場合もある。なお、処理途中のデータについては、プロセッサのメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、書き込み可能な光ディスクの再生耐久性を確保することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[実施の形態1]
本発明の第1の実施の形態におけるドライブ・システムの機能ブロック図を図1を用いて説明する。本発明の実施の形態に係るドライブ・システムは、光ディスク・ドライブ装置100と、テレビ受像器などの表示部とリモートコントローラなどの操作部とを含む入出力システム(図示せず)とを含む。
【0023】
光ディスク・ドライブ装置100は、処理途中のデータ、処理結果のデータ、処理における参照データなどを格納するメモリ127と、以下で説明する処理を行わせるためのプログラムが記録されるメモリ回路126を含むCPU(中央演算装置:Central Processing Unit)などから構成される制御回路125と、入出力システムとのインターフェースであるインターフェース部(I/F)128と、再生信号であるRF信号の振幅レベル(最大振幅レベル又は最小振幅レベル)等を検出する特性値検出部124と、再生信号であるRF信号から2T乃至8T符号(例えばBlu-ray規格の場合。Blu-ray規格の場合同期符号の9Tも識別する。また、HD−DVD規格の場合、2T乃至11T符号と同期符号の13Tを識別する。)のいずれが読み出されたかを復号するための処理などを行う等化器131及びデータ復調回路123と、ピックアップ部110と、制御回路125から出力される記録すべきデータに対して所定の変調を行い、レーザ・ダイオード(LD)ドライバ121に出力するデータ変調回路129と、LDドライバ121と、光ディスク150の回転制御部及びスピンドルモータ133並びにピックアップ部110用のサーボ制御回路132等を含む。
【0024】
また、ピックアップ部110は、対物レンズ114と、ビームスプリッタ116と、検出レンズ115と、コリメートレンズ113と、LD111と、フォトディテクタ(PD)112とを含む。ピックアップ部110では、サーボ制御回路132の制御に応じて図示しないアクチュエータが動作し、フォーカス及びトラッキングが行われる。
【0025】
制御回路125は、メモリ127、特性値検出部124、I/F128、LDドライバ121、データ変調回路129、サーボ制御回路132などに接続されている。また、特性値検出部124は、PD112、制御回路125などに接続されている。LDドライバ121は、データ変調回路129、制御回路125及びLD111に接続されている。制御回路125は、I/F128を介して入出力システムにも接続されている。
【0026】
次に、光ディスク150に対してデータを記録する場合における処理の概要を説明する。まず、制御回路125は、データ変調回路129に、光ディスク150に記録すべきデータに対して所定の変調処理を実施させ、データ変調回路129は変調処理後のデータをLDドライバ121に出力する。なお、制御回路125は、サーボ制御回路132を介してスピンドルモータ133を所定の回転速度で回転するように制御している。LDドライバ121は、指定の記録条件(ストラテジ及びパラメータ)に従って、受信したデータでLD111を駆動してレーザ光を出力させる。レーザ光は、コリメートレンズ113、ビームスプリッタ116、対物レンズ114を介してディスク150に照射され、光ディスク150にマークとスペースを形成する。なお、本実施の形態では、データ記録ができない光ディスク・ドライブ装置100であってもよい。
【0027】
また、光ディスク150に記録されたデータを再生する場合における処理の概要を説明する。制御回路125からの指示に従ってLDドライバ121は、LD111を駆動してレーザ光を出力させる。なお、制御回路125は、サーボ制御回路132を介してスピンドルモータ133を所定の回転速度で回転するように制御している。レーザ光は、コリメートレンズ113、ビームスプリッタ116、対物レンズ114を介して光ディスク150に照射される。光ディスク150からの反射光は、対物レンズ114、ビームスプリッタ116、検出レンズ115を介してPD112に入力される。PD112は、光ディスク150からの反射光を電気信号に変換し、特性値検出部124等に出力する。等化器131及びデータ復調回路123等は、出力された再生信号に対して所定の復号処理を行い、復号されたデータを制御回路125及びI/F128を介して、入出力システムの表示部に出力して、再生データを表示させる。特性値検出部124は、通常の再生では用いられない。
【0028】
次に図2乃至図5を用いて本実施の形態に係る処理について説明する。まず、ユーザは、再生すべきデータが記録された光ディスク150(少なくとも1度はデータ書き込み可能な光ディスク)を光ディスク・ドライブ装置100にセットする。そして、制御回路125は、予めメモリ127等に格納されている、データ再生位置(例えばテスト領域内の所定のトラック)、レーザパワーレベル、及びスピンドルモータ133の回転速度等の初期設定情報を読み出し、LDドライバ121やサーボ制御回路132等に設定する(ステップS1)。なお、レーザパワーレベルは、通常の再生レーザパワーレベルより高い値を採用することが好ましい。これは、短時間で以下で説明する再生信号の変化が生ずるようにするためである。
【0029】
次に、制御回路125は、LDドライバ121に、上で述べたデータ再生位置に対してレーザ照射を開始させる(ステップS3)。レーザ照射は連続して行われる。レーザ照射が開始されると、光ディスク150からの戻り光がPD112で電気信号に変換され、特性値検出部124に出力される。特性値検出部124は、戻り光による信号状態を検出し、制御回路125に出力すると共に、制御回路125は、メモリ127に格納する(ステップS5)。ステップS5は、ステップS3の直後と、所定時間経過後(又は所定回数レーザ照射後)の少なくとも2回実施される。但し、より多くの回数ステップS5を実施することによって、信号状態の変動態様(例えば直線型、飽和型や指数関数型など)を特定するようにしても良い。
【0030】
なお、再生劣化が生じていない場合、図3(縦軸は電圧レベルを表し、横軸は時間を表す)の実線Ref.で示すように、特性値検出部124では、ほぼ一定の電圧レベルが検出される。電圧レベルは、光ディスク150の反射率レベルを反映した者であり、ここでは、反射率は一定ということを示している。これに対して、繰り返し再生を行うことによって信号劣化が生ずると、電圧レベルは変化する。一般的には、光ディスク150がLow to Highタイプの場合には、点線で表すように高電圧側に変化する。また、光ディスク150がHigh to Lowタイプの場合には、一点鎖線で表すように低電圧側に変化する。すなわち、反射率が変化する。
【0031】
なお、光ディスク150からの戻り光による電圧レベルを直接用いるのではなく、何らかの他の指標を算出するようにして、当該指標値を信号状態として用いるようにしても良い。
【0032】
従って、ステップS3の直後に検出した電圧レベルを基準信号状態又は初期信号状態としてメモリ127に格納しておき、所定時間経過後にどのような信号状態となるかを特定する。
【0033】
ステップS5の検出が終了した時点で、制御回路125はLDドライバ121にレーザ照射を終了させる。そして、制御回路125は、検出された信号状態の変動特性を導出する(ステップS7)。具体的には、基準信号状態である第1の電圧レベルと、所定時間経過後の信号状態である第2の電圧レベルとの差(即ち変化量)又は変化率(=差/第1の電圧レベル)を算出する。上でも述べたように、信号状態の変動態様を併せて特定するようにしても良い。
【0034】
その後、制御回路125は、導出された信号状態の変動特性に応じた、再生条件の補償量を特定する(ステップS9)。例えば、メモリ127に、信号状態の変動特性と適用すべき補償量との対応テーブル、又は信号状態の変動特性から適用すべき補償量を算出する式のデータを格納しておき、当該対応テーブル又は式を用いて、導出された信号状態の変動特性に応じた補償量を特定する。変動特性に変動態様を含む場合には、例えば各タイプに応じた対応テーブル又は式を用意する。なお、以下でも述べるが、メモリ127ではなく、光ディスク150に対応テーブル又は式を記録しておき、光ディスク150から読み出すようにしても良い。
【0035】
例えば、再生劣化が大きい光ディスク150に対しては、レーザパワーレベルをより大きく下げる必要があり、再生劣化があまりない光ディスク150に対しては、レーザパワーレベルをあまり下げないという方式を採用しても良い。具体的には、図4(縦軸は再生パワー補償量を表し、横軸は信号状態変化量を表す))に示すように、信号状態変化量と再生パワー補償量(通常の再生条件に「加算」することを前提としているので、負の方向に大きくなる。)との関係は右下がりの曲線で表される。すなわち、信号状態変化量が増加すれば、再生パワー補償量の絶対値は増加する。なお、信号状態変化量が所定の閾値以下である場合には、再生パワーを変更する必要がないので、補償量が0となっている。また、補償を大きくし過ぎるとデータ再生時の再生信号のC/N比が悪化するので、補償の上限も設定することが好ましい。なお、図4の曲線は一例であって、他の形状カーブで表される場合もある。
【0036】
また、再生劣化が大きい光ディスク150に対しては、スピンドルモータ133の回転速度(又は回転数)をより大きくしてレーザ照射の時間を短縮し、再生劣化があまりない光ディスク150に対しては、スピンドルモータ133の回転速度をあまり大きくしないという方式を採用しても良い。具体的には、図5(縦軸は再生時スピンドル回転速度補償量を表し、横軸は信号状態変化量を表す)に示すように、信号状態変化量と再生時のスピンドル回転速度補償量との関係は右上がりの曲線で表される。なお、信号状態変化量が所定の閾値以下である場合は、スピンドルモータ133の回転速度を変更する必要がないので、補償量が0となっている。また、補償量を大きくし過ぎるとデータ再生時の再生信号のC/N比が悪化するので、補償量の上限も設定することが好ましい。なお、図5の曲線は一例であって、他の形状カーブで表される場合もある。
【0037】
このように再生条件には、再生時のレーザパワーレベルの場合やスピンドルモータ133の回転速度の場合もあるが、その他の再生条件を調整するようにしても良い。また、図4又は図5に示すような関係を、テーブル状のデータで保持しても良いし、式の形式で保持するようにしても良い。
【0038】
そして、制御回路125は、特定された再生条件の補償量を通常の再生条件に反映させた再生条件を、LDドライバ121又はサーボ制御回路132に設定する(ステップS11)。すなわち、通常の再生条件に補償量を加算して、この後のデータ再生のための再生条件を特定し、レーザパワーレベルが再生条件である場合にはLDドライバ121に設定し、スピンドルモータ133の回転速度が再生条件である場合にはサーボ制御回路132に設定する。
【0039】
このような処理を、データ再生の実施前に実施することにより、再生劣化を防止又は抑制することができる。すなわち、データ書き込みが可能な光ディスク150に対する再生耐久性を確保することができるようになる。
【0040】
[実施の形態2]
本発明の第2の実施の形態に係るドライブ・システムの機能ブロック図は図1に示した第1の実施の形態のものと同じである。但し、図6で示すような処理を実施する。
【0041】
まず、ユーザは、再生すべきデータが記録された光ディスク150(少なくとも1度はデータ書き込み可能な光ディスク)を光ディスク・ドライブ装置100にセットする。そして、制御回路125は、予めメモリ127等に格納されている、データ再生位置(例えばテスト領域内の所定のトラック)、レーザパワーレベル、及びスピンドルモータ133の回転速度等の初期設定情報を読み出し、LDドライバ121やサーボ制御回路132等に設定する(ステップS21)。なお、レーザパワーレベルは、通常の再生レーザパワーレベルより高い値を採用することが好ましい。
【0042】
次に、制御回路125は、LDドライバ121に、上で述べたデータ再生位置に対してレーザ照射を開始させる(ステップS23)。レーザ照射は連続して行われる。レーザ照射が開始されると、光ディスク150からの戻り光がPD112で電気信号に変換され、特性値検出部124に出力される。特性値検出部124は、戻り光による信号状態を検出し、制御回路125に出力すると共に、制御回路125は、メモリ127に格納する(ステップS25)。信号状態については第1の実施の形態で説明したものと同様である。まず、ステップS23の直後の信号状態を基準信号状態又は初期信号状態として検出する。また、初めてのステップS23実行から経過時間の測定又はレーザ照射回数の計数を開始する。
【0043】
そして、制御回路125は、経過時間が所定時間に達したか又はレーザ照射回数が所定回数に達したか判断する(ステップS27)。経過時間が所定時間に達していない場合、又はレーザ照射回数が所定回数に達していない場合、ステップS25に戻る。一方、経過時間が所定時間に達した場合、又はレーザ照射回数が所定回数に達した場合には、制御回路125はLDドライバ121にレーザ照射を終了させる。そして、制御回路125は、検出された信号状態の変動特性を導出する(ステップS29)。具体的には、基準信号状態である第1の電圧レベルと、所定時間経過後の信号状態である第2の電圧レベルとの差(即ち変化量)又は変化率(=差/第1の電圧レベル)を算出する。第1の実施の形態で説明したように、信号状態の変動態様を併せて特定するようにしても良い。
【0044】
その後、制御回路125は、導出された信号状態の変動特性に応じた、再生条件の補償量を特定する(ステップS31)。例えば、メモリ127に、信号状態の変動特性と適用すべき補償量との対応テーブル、又は信号状態の変動特性から適用すべき補償量を算出する式のデータを格納しておき、当該対応テーブル又は式を用いて、導出された信号状態の変動特性に応じた補償量を特定する。変動特性に変動態様を含む場合には、例えば各タイプに応じた対応テーブル又は式を用意する。なお、メモリ127ではなく、光ディスク150に対応テーブル又は式を記録しておき、光ディスク150から読み出すようにしても良い。ステップS31についても、第1の実施の形態におけるステップS9と同様である。
【0045】
第1の実施の形態と同様に、再生条件には、再生時のレーザパワーレベルの場合やスピンドルモータ133の回転速度の場合もあるが、その他の再生条件を調整するようにしても良い。
【0046】
そして、制御回路125は、特定された再生条件の補償量を通常の再生条件に反映させた再生条件を、LDドライバ121又はサーボ制御回路132に設定する(ステップS33)。すなわち、通常の再生条件に補償量を加算して、この後のデータ再生のための再生条件を特定し、レーザパワーレベルが再生条件である場合にはLDドライバ121に設定し、スピンドルモータ133の回転速度が再生条件である場合にはサーボ制御回路132に設定する。
【0047】
このような処理を、データ再生の実施前に実施することにより、再生劣化を防止又は抑制することができる。すなわち、データ書き込みが可能な光ディスク150に対する再生耐久性を確保することができるようになる。
【0048】
[実施の形態3]
本発明の第3の実施の形態に係るドライブ・システムの機能ブロック図は図1に示した第1の実施の形態のものと同じである。但し、図7で示すような処理を実施する。
【0049】
まず、ユーザは、再生すべきデータが記録された光ディスク150(少なくとも1度はデータ書き込み可能な光ディスク)を光ディスク・ドライブ装置100にセットする。そして、制御回路125は、予めメモリ127等に格納されている、データ再生位置(例えばテスト領域内の所定のトラック)、レーザパワーレベル、及びスピンドルモータ133の回転速度等の初期設定情報を読み出し、LDドライバ121やサーボ制御回路132等に設定する(ステップS41)。なお、レーザパワーレベルは、通常の再生レーザパワーレベルより高い値を採用することが好ましい。
【0050】
次に、制御回路125は、LDドライバ121に、上で述べたデータ再生位置に対してレーザ照射を開始させる(ステップS43)。レーザ照射は連続して行われる。レーザ照射が開始されると、光ディスク150からの戻り光がPD112で電気信号に変換され、特性値検出部124に出力される。特性値検出部124は、戻り光による信号状態を検出し、制御回路125に出力すると共に、制御回路125は、メモリ127に格納する(ステップS45)。信号状態については第1の実施の形態で説明したものと同様である。まず、ステップS43の直後の信号状態を基準信号状態又は初期信号状態として検出する。また、初めてのステップS43実行から経過時間の測定又はレーザ照射回数の計数を開始する。
【0051】
そして、制御回路125は、信号状態がターゲットレベルに達したか判断する(ステップS47)。ターゲットレベルは、Low to Highの光ディスク150の場合には基準信号状態に所定割合α(例えば5%)だけ上乗せされたレベルである。High to Lowの光ディスク150の場合には、基準信号状態を所定割合αだけ減じたレベルである。すなわち、再生劣化が生じていて、基準信号状態から所定割合α以上信号状態が変化したか判断する。
【0052】
信号状態がターゲットレベルに達していない場合には、制御回路125は、経過時間が所定時間に達したか又はレーザ照射回数が所定回数に達したか判断する(ステップS49)。経過時間が所定時間に達していない場合、又はレーザ照射回数が所定回数に達していない場合、ステップS45に戻る。一方、経過時間が所定時間に達した場合、又はレーザ照射回数が所定回数に達した場合には、再生劣化が小さいため、所定時間又は所定回数に達しても、信号状態がターゲットレベルまで変化しない場合であり、そのような場合レーザ照射を中止してステップS51に移行する。
【0053】
また、信号状態がターゲットレベルに達した場合には、制御回路125はLDドライバ121にレーザ照射を終了させる。そして、制御回路125は、光ディスク150の再生耐久性指標を導出する(ステップS51)。
【0054】
図8(縦軸は正規化した電圧を表し、横軸は時間を表す)の曲線aやbで示すように、光ディスク150がLow to Highの場合には、再生劣化が生じていると、レーザの照射時間(又は回数)が増加すると電圧が上昇する。再生劣化しやすい光ディスク150の場合には、曲線bで示すようにターケットレベル(例えば1+α)に達する時間b(劣化時間と呼ぶ)が短くなる。一方、再生劣化しにくい光ディスク150の場合には、曲線aで示すようにターゲットレベル(例えば1+α)に達する劣化時間aが長くなる。従って、劣化時間(又は回数を計数する場合には劣化回数)は、再生耐久性指標として用いることができる。なお、High to Lowの光ディスク150の場合にも、劣化時間又は劣化回数は、再生耐久性指標として用いることができる。
【0055】
但し、ステップS49で所定時間又は所定回数に達したと判断された場合には、所定時間又は所定回数に適切な値(0を含む)を加えた値を劣化時間又は劣化回数として用いる。
【0056】
その後、制御回路125は、導出された再生耐久性指標に応じた、再生条件の補償量を特定する(ステップS53)。例えば、メモリ127に、再生耐久性指標と適用すべき補償量との対応テーブル、又は再生耐久性指標から適用すべき補償量を算出する式のデータを格納しておき、当該対応テーブル又は式を用いて、導出された再生耐久性指標に応じた補償量を特定する。なお、メモリ127ではなく、光ディスク150に対応テーブル又は式を記録しておき、光ディスク150から読み出すようにしても良い。
【0057】
再生条件がレーザパワーの場合には図9に示すような補償量の特定が行われる。図9は、縦軸は再生パワー補償量を表し、横軸は再生耐久性指標を表す。このように、再生耐久性指標が小さい値の場合には再生パワー補償量の絶対値は大きくなり、再生耐久性指標が増加すると比例して再生パワー補償量の絶対値は減少して、ある程度再生耐久性指標が増加すると再生パワー補償量は0となる。なお、補償を大きくし過ぎるとデータ再生時の再生信号のC/N比が悪化するので、補償の上限も設定することが好ましい。なお、図9の曲線は一例であって、他の形状カーブで表される場合もある。
【0058】
再生条件がスピンドルモータ133の回転速度(又は回転回数)の場合には図10のような補償量の特定が行われる。図10は、縦軸が再生スピンドル回転速度補償量を表し、横軸は再生耐久性指標を表す。このように、再生耐久性指標が小さい値の場合には再生スピンドル回転速度補償量は大きな値となり、再生耐久性指標が増加するとそれに応じて再生スピンドル回転速度補償量は0に近づく。そして、ある程度再生耐久性指標が増加すると再生スピンドル回転速度補償量は0となる。なお、補償を大きくし過ぎるとデータ再生時の再生信号のC/N比が悪化するので、補償の上限も設定することが好ましい。なお、図10の曲線は一例であって、他の形状カーブで表される場合もある。
【0059】
そして、制御回路125は、特定された再生条件の補償量を反映させた再生条件を、LDドライバ121又はサーボ制御回路132に設定する(ステップS55)。すなわち、通常の再生条件に補償量を加算して、この後のデータ再生のための再生条件を特定し、レーザパワーレベルが再生条件である場合にはLDドライバ121に設定し、スピンドルモータ133の回転速度が再生条件である場合にはサーボ制御回路132に設定する。
【0060】
このような処理を、データ再生の実施前に実施することにより、再生劣化を防止又は抑制することができる。すなわち、データ書き込みが可能な光ディスク150に対する再生耐久性を確保することができるようになる。
【0061】
[実施の形態4]
本発明の第4の実施の形態に係るドライブ・システムの機能ブロック図は図1に示した第1の実施の形態のものと同じである。第1乃至第3の実施の形態では、データ記録がなされていない領域に対してレーザを照射して、再生劣化の程度を擬似的に特定していたが、本実施の形態では、テスト記録を行って実際に所定の符号を書き込んだ上で再生を行って、再生劣化の程度を実際に特定する。以下、図11及び図12を用いて処理を説明する。
【0062】
まず、ユーザは、再生すべきデータが記録された光ディスク150(少なくとも1度はデータ書き込み可能な光ディスク)を光ディスク・ドライブ装置100にセットする。そして、制御回路125は、予めメモリ127等に格納されている、データ記録位置(例えばテスト領域内の所定のトラック)、記録レーザパワーレベル、再生レーザパワーレベル、及びスピンドルモータ133の回転速度等の初期設定情報を読み出し、LDドライバ121やサーボ制御回路132等に設定する(ステップS61)。なお、再生レーザパワーレベルは、通常の再生レーザパワーレベルより高い値を採用することが好ましい。
【0063】
次に、制御回路125は、所定の符号列をデータ変調回路129に出力し、LDドライバ121及びLD111を介して所定の符号列を光ディスク150の所定のトラックに記録させる(ステップS63)。
【0064】
そして、制御回路125は、LDドライバ121に、上で述べた所定のトラックに対して上で述べたように設定された再生レーザパワーレベルでレーザ照射を開始させることによって、データ再生を開始させる(ステップS65)。レーザ照射は連続して行われる。レーザ照射が開始されると、光ディスク150からの戻り光がPD112で電気信号に変換され、特性値検出部124に出力される。特性値検出部124は、戻り光による再生信号の信号状態を検出し、制御回路125に出力する。
【0065】
例えば、Blu-ray規格のLow to Highの場合における再生信号(2T乃至8T符号)の電圧レベルは図12に示されるようなものである。図12では、縦軸は電圧を表し、横軸は時間を表す。Low to Highタイプであれば、2Tマークを再生するとI2Hレベルを、2Tスペースを再生するとI2Lレベルを得ることができ、3Tマークを再生するとI3Hレベルを3Tスペースを再生するとI3Lレベルを得ることができる。8Tマークを再生するとI8Hレベルを、8Tスペースを再生するとI8Lレベルとを得ることができる。繰り返しデータ再生を行って再生劣化が生ずれば、これらの電圧レベルは、データ記録がない実施の形態と同様に、光ディスク150がLow to Highの場合には高電圧側に変化し、光ディスク150がLow to Highの場合には低電圧側に変化する。なお、符号によってその変動量は異なる場合が多く、符号間のバランスが崩れ、記録品位が劣化した形となる。そこで、例えば1つの符号について特性値検出部124で電圧レベル(振幅レベルとも呼ぶ)を検出し、そのまま信号状態評価指標として採用するようにしても良い。複数の符号について電圧レベルを検出し、それらの値に対して何らかの演算を施し信号状態評価値を算出するようにしても良い。
【0066】
また、単なる電圧レベルではなく、周知のβ値、アシンメトリ値、ジッタ値、エラーレート値などの評価指標を信号状態評価指標として採用するようにしても良い。そのような場合には、それらを制御回路125で算出するのに必要な特性値を特性値検出部122で検出して、制御回路125に出力する。
【0067】
制御回路125は、特性値検出部124からの出力を用いて、予め定められた信号状態評価指標を算出し、メモリ127に格納する(ステップS67)。ステップS65を実施した直後に算出された信号状態評価指標の値を、信号状態評価指標の基準値又は初期値として取り扱う。
【0068】
また、ステップS65の実施から経過時間の測定又はレーザ照射回数の計数を開始する。
【0069】
そして、制御回路125は、経過時間が所定時間に達したか又はレーザ照射回数が所定回数に達したか判断する(ステップS69)。経過時間が所定時間に達していない場合、又はレーザ照射回数が所定回数に達していない場合、ステップS67に戻る。一方、経過時間が所定時間に達した場合、又はレーザ照射回数が所定回数に達した場合には、制御回路125はLDドライバ121にレーザ照射を終了させる。そして、制御回路125は、信号状態評価指標の変動特性を導出する(ステップS71)。具体的には、信号状態評価指標の基準値と、最後に実施したステップS67で算出された信号状態評価指標の値との差(即ち変化量)又は変化率(=差/信号状態評価指標の基準値)を算出する。例えば、信号状態評価指標の変動カーブの形など、変動態様についても特定するようにしても良い。
【0070】
その後、制御回路125は、導出された信号状態評価指標の変動特性に応じた、再生条件の補償量を特定する(ステップS73)。例えば、メモリ127に、信号状態評価指標の変動特性と適用すべき補償量との対応テーブル、又は信号状態評価指標の変動特性から適用すべき補償量を算出する式のデータを格納しておき、当該対応テーブル又は式を用いて、導出された信号状態評価指標の変動特性に応じた補償量を特定する。変動特性に変動態様を含む場合には、各タイプに応じた対応テーブル又は式を用意する。なお、メモリ127ではなく、光ディスク150に対応テーブル又は式を記録しておき、光ディスク150から読み出すようにしても良い。
【0071】
再生条件については、第1の実施の形態と同様に再生時のレーザパワーレベルやスピンドルモータ133の回転速度などである。従って、図4で述べた信号状態変化量と再生パワー補償量と、信号状態評価指標の変動特性と再生パワー補償量との関係はほぼ同じである。同様に、図5で述べた信号状態変化量と再生時のスピンドル回転速度補償量との関係と、信号状態評価指標の変動特性と再生時のスピンドル回転速度補償量との関係は、ほぼ同様である。
【0072】
第1の実施の形態と同様に、再生条件には、再生時のレーザパワーレベルの場合やスピンドルモータ133の回転速度の場合もあるが、その他の再生条件を調整するようにしても良い。
【0073】
そして、制御回路125は、特定された再生条件の補償量を通常の再生条件に反映させた再生条件を、LDドライバ121又はサーボ制御回路132に設定する(ステップS75)。すなわち、通常の再生条件に補償量を加算して、この後のデータ再生のための再生条件を特定し、レーザパワーレベルが再生条件である場合にはLDドライバ121に設定し、スピンドルモータ133の回転速度が再生条件である場合にはサーボ制御回路132に設定する。
【0074】
このような処理を、データ再生の実施前に実施することにより、再生劣化を防止又は抑制することができる。すなわち、データ書き込みが可能な光ディスク150に対する再生耐久性を確保することができるようになる。
【0075】
[実施の形態5]
本発明の第5の実施の形態に係るドライブ・システムの機能ブロック図は図1に示した第1の実施の形態のものと同じである。本実施の形態でもテスト記録を行って実際に所定の符号を書き込んだ上で再生を行って、再生劣化の程度を実際に特定する。以下、図13を用いて処理を説明する。
【0076】
まず、ユーザは、再生すべきデータが記録された光ディスク150(少なくとも1度はデータ書き込み可能な光ディスク)を光ディスク・ドライブ装置100にセットする。そして、制御回路125は、予めメモリ127等に格納されている、データ記録位置(例えばテスト領域内の所定のトラック)、記録レーザパワーレベル、再生レーザパワーレベル、及びスピンドルモータ133の回転速度等の初期設定情報を読み出し、LDドライバ121やサーボ制御回路132等に設定する(ステップS81)。なお、再生レーザパワーレベルは、通常の再生レーザパワーレベルより高い値を採用することが好ましい。
【0077】
次に、制御回路125は、所定の符号列をデータ変調回路129に出力し、LDドライバ121及びLD111を介して所定の符号列を光ディスク150の所定のトラックに記録させる(ステップS83)。
【0078】
そして、制御回路125は、LDドライバ121に、上で述べた所定のトラックに対して上で述べたように設定された再生レーザパワーレベルでレーザ照射を開始させることによって、データ再生を開始させる(ステップS85)。レーザ照射は連続して行われる。レーザ照射が開始されると、光ディスク150からの戻り光がPD112で電気信号に変換され、特性値検出部124に出力される。特性値検出部124は、戻り光による再生信号の信号状態を検出し、制御回路125に出力する。この処理は第4の実施の形態のステップS65と同じである。すなわち、例えば1つの符号について特性値検出部124で電圧レベルを検出し、そのまま信号状態評価指標として採用するようにしても良い。複数の符号について電圧レベルを検出し、それらの値に対して何らかの演算を施し信号状態評価値を算出するようにしても良い。また、単なる電圧レベルではなく、周知のβ値、アシンメトリ値ジッタ値、エラーレート値などの評価指標を信号状態評価指標として採用するようにしても良い。
【0079】
制御回路125は、特性値検出部124からの出力を用いて、予め定められた信号状態評価指標を算出し、メモリ127に格納する(ステップS87)。ステップS85を実施した直後に算出された信号状態評価指標の値を、信号状態評価指標の基準値又は初期値として取り扱う。
【0080】
また、ステップS85の実施から経過時間の測定又はレーザ照射回数を開始する。
【0081】
そして、制御回路125は、信号状態評価指標の値がターゲットレベルに達したか判断する(ステップS89)。ターゲットレベルは、再生劣化が進むと増加するような信号状態評価指標の場合には信号状態評価指標の基準値に所定割合α(例えば5%)だけ上乗せされたレベルである。再生劣化が進むと減少するような信号状態評価指標の場合には信号状態評価指標の基準値を所定割合αだけ減じたレベルである。すなわち、再生劣化が生じていて、信号状態評価指標の基準値から所定割合α以上信号状態が変化したか判断する。
【0082】
信号状態評価指標の値がターゲットレベルに達していない場合には、制御回路125は、経過時間が所定時間に達したか又はレーザ照射回数が所定回数に達したか判断する(ステップS91)。経過時間が所定時間に達していない場合、又はレーザ照射回数が所定回数に達していない場合、ステップS87に戻る。一方、経過時間が所定時間に達した場合、又はレーザ照射回数が所定回数に達した場合には、再生劣化が小さいため、所定時間又は所定回数に達しても、信号状態がターゲットレベルまで変化しない場合であり、そのような場合レーザ照射を中止してステップS93に移行する。
【0083】
また、信号評価指標の値がターゲットレベルに達した場合には、制御回路125はLDドライバ121にレーザ照射を終了させる。そして、制御回路125は、光ディスク150の再生耐久性指標を導出する(ステップS93)。再生耐久性指標については、第3の実施の形態と同様の考え方を採用する。すなわち、再生劣化が大きい場合には信号状態評価指標の値が早くターゲットレベルに到達し、再生劣化が小さい場合には信号状態評価指標の値がなかなかターゲットレベルに到達しないという性質から、ターゲットレベルに到達するまでの時間である劣化時間又はターゲットレベルに到達するためのレーザ照射回数である劣化回数を、再生耐久性指標として採用する。
【0084】
但し、ステップS91で所定時間又は所定回数に達したと判断された場合には、所定時間又は所定回数に適切な値(0を含む)を加えた値を劣化時間又は劣化回数として用いる。
【0085】
その後、制御回路125は、導出された再生耐久性指標に応じた、再生条件の補償量を特定する(ステップS95)。例えば、メモリ127に、再生耐久性指標と適用すべき補償量との対応テーブル、又は再生耐久性指標から適用すべき補償量を算出する式のデータを格納しておき、当該対応テーブル又は式を用いて、導出された再生耐久性指標に応じた補償量を特定する。なお、メモリ127ではなく、光ディスク150に対応テーブル又は式を記録しておき、光ディスク150から読み出すようにしても良い。この処理は、第3の実施の形態におけるステップS53と同様である。すなわち、再生条件が再生レーザパワーレベルである場合には、再生耐久性指標が小さい値ほど補償量の絶対値が大きくなるように、再生耐久性指標の値が大きくなれば補償量が0に近づくようにする。再生条件がスピンドルモータ133の回転速度である場合には、再生耐久性指標が小さい値の場合には再生スピンドル回転速度補償量は大きな値となり、再生耐久性指標が増加するとそれに応じて再生スピンドル回転速度補償量は0に近づく。
【0086】
そして、制御回路125は、特定された再生条件の補償量を反映させた再生条件を、LDドライバ121又はサーボ制御回路132に設定する(ステップS97)。すなわち、通常の再生条件に補償量を加算して、この後のデータ再生のための再生条件を特定し、レーザパワーレベルが再生条件である場合にはLDドライバ121に設定し、スピンドルモータ133の回転速度が再生条件である場合にはサーボ制御回路132に設定する。
【0087】
このような処理を、データ再生の実施前に実施することにより、再生劣化を防止又は抑制することができる。すなわち、データ書き込みが可能な光ディスク150に対する再生耐久性を確保することができるようになる。
【0088】
[その他の実施の形態]
上で述べた実施の形態ではレーザ照射を連続して実施し、再生信号の変化を検出して各種処理を実施している。しかし、この処理は比較的時間が長く掛かる。そこで、例えば、光ディスク・ドライブ装置100のメモリ127に、光ディスク150の種別毎に、例えばステップS7(第1の実施の形態)又はS29(第2の実施の形態)における変動特性、ステップS51(第3の実施の形態)又はステップS93の再生耐久性指標、ステップS71(第4の実施の形態)の信号状態評価指標の変動特性に相当する値を、格納しておき、当該値を読み出して用いるようにしても良い。同様に、光ディスク150に、その光ディスク150についての値を記録しておくようにしても良い。
【0089】
さらに、再生条件の補償量自体又は補償後の再生条件自体を、メモリ127又は光ディスク150に格納しておくようにしても良い。
【0090】
また、ターゲットレベルを決定するための割合や、所定時間又は所定回数の値も、メモリ127又は光ディスク150に格納しておくようにしてもよい。
【0091】
上で述べたように光ディスク150に保持させる場合には、図14に示すようなLead−in領域の中に保持しておく。Lead−in領域は、システムLead−in領域と、コネクション領域と、データLead−in領域とに大きく分かれており、システムLead−in領域は、イニシャル・ゾーン、バッファ・ゾーン、コントロールデータ・ゾーン、バッファ・ゾーンを含む。また、コネクション領域は、コネクション・ゾーンを含む。さらに、データLead−in領域は、ガードトラック・ゾーン、ディスクテスト・ゾーン、ドライブテスト・ゾーン、ガードトラック・ゾーン、RMDデュープリケーション・ゾーン、レコーディングマネジメント・ゾーン、R−フィジカルフォーマットインフォメーション・ゾーン、リファレンスコード・ゾーンを含む。本実施の形態では、システムLead−in領域のコントロールデータ・ゾーンに、レコーディングコンディションデータ・ゾーン170を含むようにする。例えば、レコーディングコンディションデータ・ゾーン170に、上で述べたようなデータを保持しておく。
【0092】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図1の機能ブロック図は、実施の形態を説明するために示したもので、必ずしも実際の回路やモジュール構成と一致しない場合もある。また、処理フローについても処理結果が同じであれば処理順番を入れ替えたり、並列に実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態におけるドライブ・システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における処理フローを示す図である。
【図3】再生信号の電圧レベルの時間変化を模式的に示した図である。
【図4】信号状態変化量と再生パワー補償量との関係を示す模式図である。
【図5】信号状態変化量と再生時スピンドル回転速度補償量との関係を示す模式図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における処理フローを示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における処理フローを示す図である。
【図8】再生劣化が生じている場合における電圧レベルの時間変化を表す模式図である。
【図9】再生耐久性指標と再生パワー補償量との関係を示す模式図である。
【図10】再生耐久性指標と再生時スピンドル回転速度補償量との関係を示す模式図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態における処理フローを示す図である。
【図12】再生信号の電圧レベルを表す図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態における処理フローを示す図である。
【図14】光ディスクに格納されるデータ構造を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
100 光ディスク記録再生装置
110 ピックアップ部 111 LD
112 PD 113 コリメートレンズ
114 対物レンズ 115 検出レンズ
116 ビームスプリッタ 121 LDドライバ
123 データ復調回路 124 特性値検出部
125 制御回路 126 メモリ回路
127 メモリ 128 I/F 129 データ変調回路
131 等化器 132 サーボ制御回路
133 スピンドルモータ
150 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射し、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化を検出するステップと、
前記信号状態の変化に応じて、前記光ディスクに対する再生条件を変更して設定するステップと、
を含む再生条件制御方法。
【請求項2】
光ディスクの所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出するステップと、
前記光ディスクの所定のトラックに対して所定時間又は所定回数前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出するステップと、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、
信号状態の変化量又は変化率と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、算出された前記信号状態の変化量又は変化率に対応する前記再生条件の補償量を特定するステップと、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップと、
を含む再生条件制御方法。
【請求項3】
光ディスクの所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出する第1検出ステップと、
前記光ディスクの所定のトラックに対して前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する第2検出ステップと、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、
前記信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えている場合には、時間又はレーザ照射回数と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、前記第1検出ステップと前記第2検出ステップとの間の時間又はレーザ照射回数に対応する前記再生条件の補償量を特定するステップと、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップと、
を含む再生条件制御方法。
【請求項4】
光ディスクの所定のトラックに所定の記録条件でデータ記録を行うステップと、
前記所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出するステップと、
前記光ディスクの所定のトラックに対して所定時間又は所定回数前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出するステップと、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、
信号状態の変化量又は変化率と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、算出された前記信号状態の変化量又は変化率に対応する前記再生条件の補償量を特定するステップと、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップと、
を含む再生条件制御方法。
【請求項5】
光ディスクの所定のトラックに所定の記録条件でデータ記録を行うステップと、
前記所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出する第1検出ステップと、
前記所定のトラックに対して前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する第2検出ステップと、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、
前記信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えている場合には、時間又はレーザ照射回数と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、前記第1検出ステップと前記第2検出ステップとの間の時間又はレーザ照射回数に対応する前記再生条件の補償量を特定するステップと、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップと、
を含む再生条件制御方法。
【請求項6】
前記信号状態が、反射率レベルである請求項1乃至3のいずれか1つ記載の再生条件制御方法。
【請求項7】
前記信号状態が、前記データ記録における所定符号の電圧レベル、β値、アシンメトリ値、ジッタ値、エラー値のいずれかである請求項1、4又は5記載の再生条件制御方法。
【請求項8】
前記再生条件が、再生時のレーザパワーのレベル又はスピンドルモータの回転速度である請求項1乃至5のいずれか1つ記載の再生条件制御方法。
【請求項9】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射した結果生ずる、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化に関する情報を、当該信号状態の変化に関する情報を格納する光ディスクドライブ内のメモリ又は前記光ディスクから読み出すステップと、
前記信号状態の変化に関する情報に応じて、前記光ディスクに対する再生条件を変更して設定するステップと、
を含む再生条件制御方法。
【請求項10】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射した結果生ずる、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化量又は変化率と、前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータが記録された光ディスク。
【請求項11】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射した結果生ずる、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えた場合におけるレーザ照射開始からの時間又はレーザ照射回数と、前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータが記録された光ディスク。
【請求項12】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射した結果生ずる、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化量又は変化率と、前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータが記録されているメモリを有する光ディスク・ドライブ装置。
【請求項13】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射した結果生ずる、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えた場合におけるレーザ照射開始からの時間又はレーザ照射回数と、前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータが記録されているメモリを有する光ディスク・ドライブ装置。
【請求項14】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射した結果生ずる、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化に関する情報と前記光ディスクに対するデータ再生条件とのうち少なくともいずれかが記録された光ディスク。
【請求項15】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射した結果生ずる、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化に関する情報と、前記信号状態の変化に応じて決定され且つ前記光ディスクの再生品位を劣化させることのない又は前記光ディスクの再生品位を劣化を抑制し得る前記光ディスクに対するデータ再生条件とのうち少なくともいずれかを格納するメモリを有する光ディスク・ドライブ装置。
【請求項16】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射し、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化を検出する手段と、
前記信号状態の変化に応じて、前記光ディスクに対する再生条件を変更して設定する手段と、
を有する光ディスク・ドライブ装置。
【請求項17】
光ディスクの所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出する手段と、
前記光ディスクの所定のトラックに対して所定時間又は所定回数前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する手段と、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出する手段と、
信号状態の変化量又は変化率と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、算出された前記信号状態の変化量又は変化率に対応する前記再生条件の補償量を特定する手段と、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定する手段と、
を有する光ディスク・ドライブ装置。
【請求項18】
光ディスクの所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出する第1検出処理と、前記光ディスクの所定のトラックに対して前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する第2検出処理とを実施する手段と、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出する手段と、
前記信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えている場合には、時間又はレーザ照射回数と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、前記第1検出処理と前記第2検出処理との間の時間又はレーザ照射回数に対応する前記再生条件の補償量を特定する手段と、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定する手段と、
を有する光ディスク・ドライブ装置。
【請求項19】
光ディスクの所定のトラックに所定の記録条件でデータ記録を行う手段と、
前記所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出し、前記光ディスクの所定のトラックに対して所定時間又は所定回数前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する手段と、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出する手段と、
信号状態の変化量又は変化率と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、算出された前記信号状態の変化量又は変化率に対応する前記再生条件の補償量を特定する手段と、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定する手段と、
を有する光ディスク・ドライブ装置。
【請求項20】
光ディスクの所定のトラックに所定の記録条件でデータ記録を行う手段と、
前記所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出する第1検出処理と、前記所定のトラックに対して前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する第2検出処理とを実施する手段と、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出する手段と、
前記信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えている場合には、時間又はレーザ照射回数と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、前記第1検出処理と前記第2検出処理との間の時間又はレーザ照射回数に対応する前記再生条件の補償量を特定する手段と、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定する手段と、
を有する光ディスク・ドライブ装置。
【請求項21】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射した結果生ずる、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化に関する情報を、当該信号状態の変化に関する情報を格納する光ディスクドライブ内のメモリ又は前記光ディスクから読み出す手段と、
前記信号状態の変化に関する情報に応じて、前記光ディスクに対する再生条件を変更して設定する手段と、
を有する光ディスク・ドライブ装置。
【請求項22】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射し、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化を検出するステップと、
前記信号状態の変化に応じて、前記光ディスクに対する再生条件を変更して設定するステップと、
を、プロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項23】
光ディスクの所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出するステップと、
前記光ディスクの所定のトラックに対して所定時間又は所定回数前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出するステップと、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、
信号状態の変化量又は変化率と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、算出された前記信号状態の変化量又は変化率に対応する前記再生条件の補償量を特定するステップと、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップと、
をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
光ディスクの所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出する第1検出ステップと、
前記光ディスクの所定のトラックに対して前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する第2検出ステップと、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、
前記信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えている場合には、時間又はレーザ照射回数と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、前記第1検出ステップと前記第2検出ステップとの間の時間又はレーザ照射回数に対応する前記再生条件の補償量を特定するステップと、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップと、
をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項25】
光ディスクの所定のトラックに所定の記録条件でデータ記録を行うステップと、
前記所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出するステップと、
前記光ディスクの所定のトラックに対して所定時間又は所定回数前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記光ディスクの所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出するステップと、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、
信号状態の変化量又は変化率と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、算出された前記信号状態の変化量又は変化率に対応する前記再生条件の補償量を特定するステップと、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップと、
をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項26】
光ディスクの所定のトラックに所定の記録条件でデータ記録を行うステップと、
前記所定のトラックに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である初期信号状態を検出する第1検出ステップと、
前記所定のトラックに対して前記マーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続して照射し、前記所定のトラックからの戻り光による信号状態である第2の信号状態を検出する第2検出ステップと、
前記初期信号状態と前記第2の信号状態とから信号状態の変化量又は変化率を算出するステップと、
前記信号状態の変化量又は変化率が所定の閾値を超えている場合には、時間又はレーザ照射回数と前記光ディスクに対する再生条件の補償量との関係を表すデータを用いて、前記第1検出ステップと前記第2検出ステップとの間の時間又はレーザ照射回数に対応する前記再生条件の補償量を特定するステップと、
特定された前記再生条件の補償量を反映させた後の再生条件を設定するステップと、
をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項27】
光ディスクに対してマーク形成レベルより低いパワーレベルのレーザを連続的に照射した結果生ずる、前記光ディスクからの戻り光による信号状態の変化に関する情報を、当該信号状態の変化に関する情報を格納する光ディスクドライブ内のメモリ又は前記光ディスクから読み出すステップと、
前記信号状態の変化に関する情報に応じて、前記光ディスクに対する再生条件を変更して設定するステップと、
をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項28】
請求項22乃至27のいずれか1つ記載のプログラムを格納したメモリを有するプロセッサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−87493(P2009−87493A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258731(P2007−258731)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】