説明

再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法

【課題】 本発明の課題は、熱可塑性樹脂をリサイクルする場合、射出成形機の設計や成形条件をリサイクルのたびに変更することなく、ひけ、ゆがみ、反り等の欠陥のない、更にリサイクルによる成形収縮率の変化に基づく寸法の良いリサイクル成形品を得ることにある。
【解決手段】 成形方法として、金型内の成形材料溶融物に圧力が及ぼされるガスアシスト法や発泡射出成形法を適用する。このような方法にあっては、成形材料溶融物は金型キャビティ内に良好に付き回ると共に、冷却収縮歪が成形品内部のガス孔や機構に吸収され、ひけ、ゆがみ、反り等の欠陥発生が防止され、かつリサイクルによる成形収縮性の変化が解消され、寸法の良い製品を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱可塑性樹脂成形品をリサイクルして再び熱可塑性樹脂成形品を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、熱可塑性樹脂成形品の廃品のリサイクルが関心を集めている。上記熱可塑性樹脂成形品のリサイクルは、該成形品の廃品を粉砕し、該粉砕物をそのまま成形材料とするか、あるいは該粉砕物を溶融押出し切断してペレット化することによって成形材料とする(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
該再生熱可塑性樹脂は、リサイクル時、ペレット化の際あるいは成形時に熱が及ぼされて劣化し、得られるリサイクル成形品の耐衝撃性等の物性が低下する。特にジエン系ゴムを含有する熱可塑性樹脂、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABSおよび/またはHIPS変性のポリフェニレンエーテル(変性PPE)等は、リサイクルの際、該ジエン系ゴムの不飽和結合部分の切断が起こり、物性の低下が著しく、またポリプロピレンのようなα位にメチル基が存在するオレフィン系重合体も、該メチル基の電子排斥力により重合鎖が切断され易く、物性の低下が著しい。
【0004】
そこで、最近、リサイクル時の物性の低下を阻止する手段として、リサイクル時にリサイクル改良剤を添加することが提案されている。該リサイクル改良剤としては、主として該熱可塑性樹脂に相溶するゴム状物質が使用されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】国際公開第97/38838号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/53384号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
熱可塑性樹脂成形品の製造には、主として射出成形が適用されている。
しかし、上記したように熱可塑性樹脂は、リサイクルによって及ぼされる熱履歴によって劣化し、再生熱可塑性樹脂の溶融流動特性が変化する。
【0007】
溶融流動特性の変化は、該再生熱可塑性樹脂を1質量%以上、特に5質量%以上新規熱可塑性樹脂に添加した場合でも起こる。更に物性の低下を阻止するためにリサイクル改良剤を添加しても、熱可塑性樹脂の溶融流動特性が変化する。
【0008】
このような溶融流動特性の変化は、射出成形時に溶融成形材料の型への付き回り性の悪化の原因となり、成形品にひけ、ゆがみ、反り等の欠陥が発生、また成形収縮率が変化することで、製品の出来上がり寸法に差が生じる。
【0009】
上記欠陥を解決する手段としては、射出成形の際の射出充填圧を高くする手段が考えられる。しかし、熱可塑性樹脂は、リサイクルの繰返しの度にその溶融流動特性が変化するので、リサイクルの度に射出成形圧や射出温度等の射出成形条件を新たに設定し、また金型設計も変更する必要が出てくる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、熱可塑性樹脂成形品の廃品から回収した再生熱可塑性樹脂あるいは該再生熱可塑性樹脂を1質量%以上新規熱可塑性樹脂に配合した配合物をガスアシスト法または発泡射出成形法によって射出成形する再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法を提供するものである。
【0011】
ここで、廃品とは、市場から回収した使用済みの樹脂成形品はもとより、成形加工時に発生するバリ、あるいはスプルーやランナー部分に溜まった熱可塑性樹脂、トリミングの際に発生する切削屑、成形不良品、樹脂製品の組立時に発生する切削屑や不良品等を言う。
【0012】
本発明が有用に適用される熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂およびオレフィン系樹脂である。また、熱可塑性樹脂がジエン系ゴムおよび/またはオレフィン系ゴムおよび/またはアクリル系ゴムを含んでいる場合、本発明は更に有用に適用される。
【0013】
前記再生熱可塑性樹脂あるいは前記配合物を射出成形するにあたり、前記再生熱可塑性樹脂あるいは前記配合物に、該熱可塑性樹脂と相溶するゴム状物質をリサイクル改良剤として1〜5質量%添加配合することが望ましい。
【0014】
前記熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂である場合には、該スチレン系樹脂に相溶するゴム状物質としては、ジエン系ゴムおよび/またはオレフィン系ゴムおよび/またはアクリル系ゴムを幹部とし、スチレン系樹脂と相溶性を有する重合鎖をグラフト鎖とするグラフト重合体であることが望ましい。
【0015】
また、前記熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂である場合には、該オレフィン系樹脂に相溶するゴム状物質としては、エチレン−α−オレフィン共重合体であることが望ましい。
【0016】
前記熱可塑性樹脂成形品の表面には、前記熱可塑性樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂をビヒクルとして使用した塗料および/またはインキが塗布されているか、あるいは、前記熱可塑性樹脂成形品の表面には、前記熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂のシートが、前記熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂からなる接着剤によって接着されているか、あるいは、前記熱可塑性樹脂成形品は主部と、該主部に接着剤または溶接棒によって接合されている付属部とからなり、該接着剤は前記熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂からなり、該溶接棒は前記熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂からなると、前記熱可塑性樹脂成形品は塗料膜やインキ膜を剥離除去したり、シートを剥離除去したり、接着剤や溶接棒を剥離除去することなく、そのまま粉砕してリサイクルすることが出来る。
このような成形品は、分別することなくそのまま粉砕してリサイクルすることが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、射出成形時に、ガス圧あるいは発泡剤によって成形材料溶融物が金型内に良好に付き回り、また冷却時の成形物の収縮も抑制され、その結果ひけ、ゆがみ、反り等の欠陥のない寸法の安定した商品価値の高いリサイクル樹脂成形品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明でリサイクルの対象となる熱可塑性樹脂成形品とは、一般的に熱可塑性樹脂が使用されている成形品のことであり、例えば、自動車、輸送機、OA機器、家電製品の筺体や部品、あるいは文房具用品等のあらゆる成形品のことである。
【0019】
上記熱可塑性樹脂成形品の熱可塑性樹脂としては、一般に成形材料として使用される熱可塑性樹脂がすべて包含される。
このような熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS、ASA)、アクリロニトリル・エチレンゴム・スチレン共重合体(AES)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体(ACS)等のスチレン系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート・スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体等の塩素化ビニル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)
ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルフォン(PSF)等のエンジニアリングプラスチック、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、オレフィン系エラストマー、あるいはPPとエチレン・プロピレンゴム(EPMおよび/またはEPDM)とのポリマーアロイ、ABSとPCとのポリマーアロイ、HIPSとPCとのポリマーアロイ、ABSとポリブチレンテレフタレート(PBT)とのポイマーアロイ等のポリマーアロイ等が例示される。
【0020】
上記熱可塑性樹脂には、ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維、セラミック繊維、金属繊維、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、シリカ、メタ珪酸カルシウム、瀝青質微粉末、ゼオライト、珪藻土、ケイ砂、軽石粉、スレート粉、アルミナ、酸化鉄、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、二硫化モリブデン、ゴム粉末、エボナイト粉末、セラック、木粉、ココナット椰子殼粉、コルク粉末、セルロースパウダー、木材パルプ、紙、布や、雲母粉、グラファイト、硝子球(GB)、火山硝子中空体、炭素中空球、無煙炭粉末、人造水晶石、シリコーン樹脂微粉末、シリカ球状微粒子等の充填剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等が添加されてもよい。
【0021】
本発明が有用に適用される熱可塑性樹脂としては、一般に成形用として多用されるスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂があり、特に本発明が有用に適用される熱可塑性樹脂としては、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム等のジエン系ゴムを含む熱可塑性樹脂、およびα−オレフィン樹脂がある。
【0022】
上記ジエン系ゴムを含む代表的な熱可塑性樹脂としては、ABS、HIPS、および変性PPEがあり、α−オレフィン樹脂の代表的なものはポリプロピレンがある。
【0023】
ジエン系ゴムは、不飽和結合を含んでいるので、リサイクルの際に及ぼされる熱あるいは機械的剪断力によって該不飽和結合が切断され易い。
【0024】
また、α−オレフィン樹脂はα位のメチル基の電子排斥力によってリサイクルの際に及ぼされる熱あるいは機械的剪断力によって重合鎖が切断され易く、このようなジエン系ゴムを含む熱可塑性樹脂またはα−オレフィン樹脂は、リサイクルにより物性が低下し易く、溶融流動特性が変化し易い。
【0025】
上記熱可塑性樹脂成形品の廃品は、公知の方法で粉砕され、そのまま再び熱可塑性樹脂成形品を成形する成形材料とされるか、あるいは、所望なれば該粉砕物はペレット化され、成形材料とされる。
【0026】
上記再生熱可塑性樹脂は、新規熱可塑性樹脂と混合されて成形材料と
されてもよい。この場合は、リサイクル効率を高めるため該再生熱可塑性樹脂は新規熱可塑性樹脂に対して、1質量%以上、望ましくは5質量%以上添加されるが、前記したように、この程度の添加量でも溶融流動特性が変化するので、本発明が有用に適用される。
【0027】
〔塗装、印刷〕
上記熱可塑性樹脂成形品には表面に塗料が塗布されたり、インキによって印刷が施されている場合がある。この場合、該塗料やインキのビヒクルとして使用される樹脂として、該成形品の樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂を使用することが望ましい。
【0028】
本発明において、「相溶性を有する」とは、樹脂相互が分子的に混ざり合う状態以外、一方の樹脂が他方の樹脂に海−島状に分散して相分離を起さない状態も含める。
【0029】
上記スチレン系樹脂に相溶する樹脂としては、スチレン系樹脂、PPE、変性PPE、PC等が例示され、PPEあるいは変性PPEに相溶する樹脂としては、PPE、変性PPE、スチレン系樹脂、PC等が例示され、オレフィン系樹脂に相溶する樹脂としては、オレフィン系樹脂、ハロゲン化オレフィン系樹脂等が例示される。
【0030】
特に溶剤に対する溶解性、塗膜乾燥性、塗装作業性、印刷作業性等の塗料あるいはインキ適正を考慮すれば、スチレン系樹脂、PPE、変性PPE、PC等の成形品に対してはスチレン変性アクリル樹脂をビヒクルとする塗料またはインキを使用することが望ましい。
【0031】
該スチレン変性アクリル樹脂とは、スチレンとアクリルエステルからなる共重合体であり、該アクリルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等のアクリレートが例示され、またメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等のメタクリレートが使用される。
【0032】
なお、上記スチレン変性アクリル樹脂は、成形品との相溶性を損なわない程度において、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪族ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のハロゲン含有単量体、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等のジエン類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アトロパ酸、シトラコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアルコール等の水酸基含有単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノ基含単量体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等のエポキシ基含有単量体、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等の加水分解性シリル基含有ビニル単量体等の単量体が共重合されてもよい。なお上記単量体は単独で、または二種以上を組合せて使用されてもよい。
【0033】
更に、上記スチレン変性アクリル樹脂の塗膜乾燥性、塗膜物性を改良するためには、通常、繊維素誘導体が添加されるが、リサイクルの熱によって変色しない無黄変タイプの繊維素誘導体の使用が望ましい。
【0034】
該無黄変タイプの繊維素誘導体としては、例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ベンジルセルロース、セルロース、アセテートブチレート等が例示される。
【0035】
上記スチレン変性アクリル樹脂は、溶剤に対して優れた溶解性を有し、その溶液は、低粘度で糸引きがなく、優れた塗装作業性を有し、かつ成形品に対して優れた接着性を示し、また、スチレン系樹脂と相溶性を有する。
【0036】
オレフィン系樹脂の成形品に対しては、塩素化ポリプロピレンのようなハロゲン化オレフィン系樹脂をビヒクルとする塗料またはインキを使用することが望ましい。
【0037】
上記ハロゲン化オレフィン系樹脂は、溶剤に対して優れた溶解性を示
し、かつ成形品に対して優れた接着性を示し、かつオレフィン系樹脂と相溶性を有する。
【0038】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン共縮合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、メラミン−アルキド樹脂等がある。
【0039】
このような塗料あるいはインキによって塗装または印刷された成形品の廃品は、塗膜を剥離することなくそのまま粉砕してリサイクルすることが出来る。
【0040】
上記相溶性のある樹脂をビヒクルとする塗料またはインキの場合には、該樹脂は、溶融状態で成形品の樹脂と分離することなく相溶するので、再生成形品の物性を劣化させない。
【0041】
また、上記熱硬化性樹脂をビヒクルとする塗料またはインキの場合には、塗膜は、剥離除去されることなく成形品の廃品と共に粉砕され、充填剤として再生成形品内に分散するから、再生成形品の物性を劣化させない。
【0042】
〔複合成形品〕
成形品には熱可塑性樹脂シートをラベル、シール等として接着剤により接着する場合、あるいは、主部と、該主部に接着剤または溶接棒によって接合される付属部とからなる複合成形品がある。
【0043】
該付属部としては、例えば主部に接合されるフレーム、脚部、ボス、ラベル(デカル)等がある。
【0044】
上記複合成形品の場合、主部、付属部、接着剤、あるいは溶接棒は、相互相溶性のある熱可塑性樹脂を材料とすることが望ましく、また、接着剤としては、熱硬化性樹脂の使用も可能である。
【0045】
相互相溶性のある樹脂を例示すれば、スチレン系樹脂に相溶する樹脂としては、スチレン系樹脂、PPE、変性PPE、PC、スチレン変性アクリル樹脂等が例示され、PPEあるいは変性PPEに相溶する樹脂としては、PPE、変性PPE、スチレン系樹脂、PC、スチレン変性アクリル樹脂等が例示され、オレフィン系樹脂に相溶する樹脂としてはオレフィン系樹脂、ハロゲン化オレフィン系樹脂等である。
【0046】
更にスチレン系樹脂、PPE、変性PPE、PC等の成形物に対する接着剤または溶接棒としては、スチレン変性アクリル樹脂が望ましい。
【0047】
上記スチレン変性アクリル樹脂は、前記塗料あるいはインキのビヒクルとして使用されるスチレン変性アクリル樹脂と同様なものであり、接着剤として使用する場合には、溶剤に対する溶解性に優れ、その溶液は、低粘度で糸引きがなく、優れた塗布作業性を有し、また、溶接棒として使用する時には、溶融が容易で優れた溶接作業性を有し、しかも成形品に対して接着性に優れる。
【0048】
上記主部、付属部、接着剤または溶接棒の熱可塑性樹脂が相互相溶性にあるもので構成されている複合成形品の製品は、分解分別することなくそのまま粉砕してリサイクルすることが出来る。
【0049】
更に、該複合成形品は前記した相溶性を有する樹脂をビヒクルとする塗料またはインキで塗装または印刷されることが望ましい。
【0050】
このような複合成形品の廃品は、塗膜を剥離することなく分解分別することなく、そのまま粉砕してリサイクルすることが出来る。
【0051】
更に、接着剤として熱硬化性樹脂を用いた場合には、塗料やインキの場合と同様、粉砕により、充填材として再生成形品内に分散する。
【0052】
熱可塑性樹脂シートを接着剤によって成形品に接着する場合でも、該シートおよび接着剤の熱可塑性樹脂は成形品の熱可塑性樹脂と相溶性のあるものを選択し、あるいは接着剤としては、熱硬化性樹脂からなるものを選択する。
【0053】
〔リサイクル〕
上記熱可塑性樹脂成形品の廃品は、リサイクルに際しては、前記したように粉砕される。粉砕された廃品は、そのまま射出成形されるか、あるいは粉砕物を押出機により溶融し紐状に押出し、回転刄によって切断してペレットとして射出成形される。
【0054】
また、前記したように、上記廃品粉砕物である再生樹脂は、新規熱可塑性樹脂と混合されて射出成形されてもよい。この場合の混合比比率は、前記したように、新規樹脂に対して、1質量%以上、望ましくは5質量
%以上とされる。
【0055】
再生樹脂と新規樹脂とを混合する場合、廃品粉砕物である再生樹脂に新規樹脂粉末を混合し、該混合物をそのまま射出成形するか、あるいは混合物を上記のようにペレット化して射出成形する。
【0056】
上記リサイクルに際しては、製造される再生成形品の物性を改良するためにリサイクル改良剤を添加してもよい。以下に該リサイクル改良剤について説明する。
【0057】
〔リサイクル改良剤〕
スチレン系樹脂、PPE、変性PPE、PCのリサイクル改良剤として使用されるゴム状物質は、幹部分がジエン系ゴム、オレフィン系ゴムまたはアクリル系ゴムであり、上記スチレン系樹脂、PPE、変性PPE、PCと相溶するグラフト鎖を有するグラフトゴムである。
【0058】
上記ゴム状物質のうち、特に熱安定性に優れているオレフィン系ゴムグラフト重合体およびアクリル系ゴムグラフト重合体が好ましい。以下、各ゴム状物質について説明する。
【0059】
(A:オレフィン系ゴムグラフト重合体)
本発明のリサイクル改良剤に使用されるオレフィン系ゴムは、α−オレフィンの一種または二種以上の重合体、あるいは該α−オレフィンの一種または二種以上と共重合可能な他の単量体の一種または二種以上との共重合体であり、特にエチレンと他のα−オレフィンの一種または二種以上との共重合体あるいはさらにそれらと共重合可能な他の単量体、特に非共役ジエン化合物との共重合体である。
【0060】
上記エチレン−α−オレフィン共重合体において、エチレンと共重合される単量体として使用されるα−オレフィンとは、炭素数が3〜12のα−オレフィンがあり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等がある。
【0061】
該非共役ジエン化合物としては、たとえばジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、4,7,8,9−テトラヒドロ−インデン、およびイソプロピリデンテトラヒドロ−インデン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトルエン、6−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、2,2′−ジシクロペンテニル、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ノナジエン等がある。
【0062】
これら非共役ジエン化合物の中で好ましいものは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、および/またはジシクロペンタジエン(DCP)、さらに好ましくはジシクロペンタジエンがある。
【0063】
オレフィン系ゴムグラフト重合体において、その主成分をなすゴムとしてEPMよりもEPDMを用いた方が成形用熱可塑性樹脂の衝撃強度を高くすることができる。
【0064】
上記オレフィン系ゴムの代表的なものは、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン化合物三元共重合ゴム(EPDM)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・ブテン・非共役ジエン化合物三元共重合ゴム(EBDM)である。
【0065】
該EBDMに使用される非共役ジエン化合物は上述したEPDMの場合と同じである。
【0066】
上記オレフィン系ゴムには対象であるスチレン系樹脂に相溶性を付与するためにスチレン系単量体あるいは、特にABS、AAS、ASA、AES、AS、ACS等のアクリロニトリルが共混合されたスチレン系樹脂の場合には、スチレン系単量体とニトリル系単量体がグラフト重合せしめられる。
【0067】
上記オレフィン系ゴムにグラフト重合させるスチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−アルキルモノビニリデン芳香族単量体(たとえばα−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、α−メチルジアルキルスチレン等)、環置換アルキルスチレン(たとえばo、m、またはp−ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−第三級ブチルスチレン等)、環置換ハロスチレン(たとえばo−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−プロモスチレン、2,4−ジクロスチレン等)、環−アルキル,環ハロ−置換スチレン(たとえば2−クロロ−4−メチルスチレン、2,6−ジクロロスチレン等)ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等のスチレン系単量体の一種、またはこれらの混合物が用いられる。
【0068】
また、一般にアルキル置換基は1〜4個の炭素原子を有し、直鎖および分岐アルキル基の両方が含まれる。
【0069】
上記スチレン系単量体と共に上記オレフィン系ゴムにグラフト重合させるニトリル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリルおよびこれらの混合物があげられる。
【0070】
上記スチレン系単量体およびニトリル系単量体以外に他の単量体を共重合させてもよい。
【0071】
(B:アクリル系ゴムグラフト重合体)
本発明で使用されるアクリル系ゴムとは、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の望ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアクリレートの単独重合体、あるいは上記アクリレートの二種以上の共重合体、あるいは上記アクリレートの一種または二種以上とブタジエンあるいはEPDMに使用されているものと同様な非共役ジエン化合物、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、エチレン、プロピレン等の他の単量体の一種または二種以上との共重合体、さらにはアクリル酸、メタクリル酸、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の官能性単量体、あるいはγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシッシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等の重合性シランカップリング剤との共重合体である。
【0072】
汎用のアクリル系ゴムとしては、例えば若干の上記官能性単量体を共重合したポリエチルアクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、n−ブチルアクリレート−ブタジエン共重合体、n−ブチルアクリレート−エチレン共重合体、n−ブチルアクリレート−γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン共重合体、n−ブチルアクリレート−ビニルトリメトキシシラン共重合体等であり、望ましいアクリル系ゴムとしてはn−ブチルアクリレート/ブタジエンのモル比が30/70以上であるn−ブチルアクリレート−ブタジエン共重合体がある。
【0073】
上記アクリル系ゴムは、上記オレフィン系ゴムと同様にしてスチレン系単量体あるいはスチレン系単量体とニトリル系単量体とがグラフト重合され、スチレン系樹脂、PPE系樹脂、PC系樹脂の熱可塑性樹脂との相溶性が付与される。
【0074】
上記リサイクル改良剤は、前記廃品粉砕物に混合してそのまま射出成形されるか、あるいは前記廃品粉砕物に混合し、前記したようにペレット化して射出成形されるが、上記リサイクル改良剤の添加量は、通常廃品粉砕物即ち再生樹脂に対して1〜10質量%程度とする。
【0075】
〔その他の成分〕
その他リサイクルに際しては、充填剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等が補充、添加されてもよい。
【0076】
〔成形〕
本発明にあっては、再生成形品の製造に射出成形法が適用される。
そして、ひけ、そり、ゆがみ等の欠陥の発生を阻止する、また成形収縮率が変化して、製品の出来上がり寸法に差が生じないようにするために、金型キャビティ内の成形材料溶融物に射出圧とは別に略均一な圧力を及ぼす。このような射出成形法には、ガスアシスト法と発泡射出成形法とがある。
【0077】
〔発泡射出成形法〕
発泡射出成形法には、化学発泡法と機械発泡法とがある。
化学発泡法にあっては、上記熱可塑性樹脂に無機系および/または有機系の発泡剤を添加して射出成形を行う。
【0078】
上記発泡剤は、例えば、無機系のものとしては、水、ドライアイス、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩あるいは酸性炭酸塩、リチウムボロンハイドレイト、ソジウムボロンハイドレイト等の水素化合物、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等の金属と酸あるいはアルカリの組合せが例示され、有機系のものとしてはジニトロソペンタメチレンナフタレン、ニトロソペンタメチレンテトラミン、トリニトロソメチレントリアミン、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、ヒドロジカルボンアミド、N,N´−ジメチルN,N´−ジニトロソテレフタルアミド、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、パラトルエンスルホニルヒドラジド、2,4−トルエンスルホニルヒドラジド、p−メチルウレタンベンゼンスルホニルヒドラジド、オキザリルヒドラジド、p,p´−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p,p´−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)、p−トルエンスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、アセトン−p−トルエンスルホニルヒドラゾン、トリヒドラジン、トリアジン、アセトン−p−トルエンスルホニルヒドラゾン、N,N´−ジメチル−N,N−ジニトロソテレフタルアミド、ジアゾアミノベンゼン、1,1´−アゾビスホルムアミド、ニトロウレア、ニトログアニジン等のアゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジ化物、ニトロソ化合物、トリアゾール化合物等の化学発泡剤、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、ガソリン等の炭化水素、ジクロロエタン、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点溶剤、あるいは上記低沸点溶剤を熱可塑性樹脂シェル内に封入した発泡性カプセル等が例示される。
【0079】
機械発泡法にあっては、成形材料の溶融物に空気、窒素ガス、水蒸気、炭酸ガス等の気体を混合する。上記気体の混合は射出成形機の加熱筒内における成形材料溶融域に気体を注入してスクリューによる混練あるいは加熱筒先端のノズル部分において行われる。
【0080】
この場合、加熱筒内の圧力および温度を適当に設定すれば、気体、特に炭酸ガスを超臨界状態とすることが出来る。しかし、あらかじめ超臨界状態にした炭酸ガスを加熱筒内に送り込んでもよい。
【0081】
超臨界状態の気体は、成形材料溶融物に大量、均一に混合溶解させることが容易であり、また超臨界状態の気体は、溶剤となって成形材料溶融物の流動性を改良し、射出成形性を向上せしめる。
【0082】
発泡射出成形にあっては、周知のように射出成形機の加熱筒内あるいはノズル部分で成形材料溶融物は上記化学発泡あるいは機械発泡によって発泡しつつ金型キャビティ内に射出充填されるが、望ましい方法としては気密構造とした金型キャビティ内にあらかじめ空気、あるいは空気との接触で成形材料にガス焼けが生ずるおそれがある場合には不活性な窒素ガス、あるいは炭酸ガス等の気体を封入した上で上記成形材料溶融物を発泡状態で射出充填し、射出途中あるいは射出完了後、あるいは保圧中あるいは保圧完了後に該気体を大気中に放出して発泡構造を形成するガスカウンタープレッシャー法(GCP法)がある。
【0083】
更に、本発明にあっては、成形材料溶融物を発泡状態で複数本のノズルから金型キャビティ内に射出するEx−cell−○法、金型キャビティを拡張可能とし、成形材料溶融物をキャビティ内へ射出した後該キャビティの全部、あるいは一部を若干拡張(リセッション、あるいはリセス)してキャビティ内圧を下げて発泡せしめる米国のUSM(商品名)法あるいは東芝機械と旭ダウとが共同開発した発泡成形法(TAF(商品名)法)、加熱筒内のスクリューを後退可能にし、金型キャビティ内に成形材料溶融物を射出した後、スクリューを所定量後退させてキャビティ内圧を下げて発泡せしめるアライドケミカル社の方法、超臨界の炭酸ガスを用いた米国のトレクセル社Mucel(商品名)プロセス、旭化成工業(株)が開発したGCPに炭酸ガスを用い、さらに炭酸ガスを樹脂の可塑剤として利用して、樹脂の流動性を高め金型への樹脂充填を容易にしたり、金型表面状態を樹脂に高度に転写するAMOTEC(商品名)等が適用される。
【0084】
更に、発泡成形にあっては、金型内成形材料は溶融状態で化学発泡剤の分解ガス圧、低沸点溶剤の蒸気圧、炭酸ガス等の気体の圧力等の発泡圧が及ぼされ、金型内に良好に付き回り、また成形物冷却時の収縮も成形物内部に形成される発泡セルによって吸収抑制され、ひけ、ゆがみ、反り等の欠陥発生が防止される。また得られた成形品はキャビティ内面と接触している外表面にはスキン層が形成され、その内面に発泡構造が形成されている。
【0085】
〔ガスアシスト法〕
ガスアシスト法(成形材料溶融物)は、成形材料溶融物を金型キャビティ内に射出すると共に窒素、空気等の気体(ガス)を圧縮高圧状態として該キャビティ内に導入して成形する方法であり、ガスによって付形と保圧・冷却を行う。
【0086】
該ガスアシスト法は、成形材料溶融物とガスの注入方法・量により、下記の二つの方法がある。
【0087】
1つの方法は、射出成形材料溶融物の量が金型キャビティの空間より少なく(ショートショット)、射出成形材料溶融物の外側に該ガスを導入し、該溶融物を該ガスで遅延、付形する方法で、棒状、厚物、大中空部を有する成形に適し、他の1つの方法は、金型内にキャビティの空間と略同じ量の成形材料溶融物を射出し(フルショット)、該ガスを溶融物内へ導入して該ガスで保圧する方法で、成形材料溶融物の冷却固化に伴う体積収縮量に匹敵する量のガスが圧入され、薄物板状成形品の成形に適する。
【0088】
成形材料溶融物にガスを圧入する位置は、加熱筒のノズル、あるいは金型のキャビティに直接、およびランナーを介してキャビティに圧入する。
【0089】
上記ガスアシスト法としては、旭化成工業(株)のAsahi Gas Injection(AGI(商品名)法)、Running(あるいはRP東プラ)Floating
Core Mold(Molding)(RFM(商品名)法)、Gas Press Injection(GPI(商品名)法)、High Hollow Mold(Molding)(H2M(商品名)法)、三菱ガス(瓦斯)化学(株)のシンプレス(商品名)法、米国のGAIN Technology、ドイツBattenfeld社のエアーモールド法、コンツール(商品名)法、出光石油化学(株)のGas
Injection Mold(GIM(商品名)法)、新日鐵化学(株)のPartial Frame Process(PFP(商品名)法)等が代表的なものであり、いずれも本発明に適用可能である。
【0090】
また、高圧ガスに代えて高圧液体を用いる方法、例えば、米国ヘティンガー社の容易に気化する液体を用いた中空成形法(HELGA(商品名)法)等も適用可能である。また本発明では例えば前記GCP法や超臨界状態の炭酸ガスを使用した発泡射出成形のような発泡射出成形法にガスアシスト法を組合せることも可能である。
【0091】
高圧ガスをキャビティに直接、あるいはランナーに注入するための手段としては、一般にニードルピンが使用されるが、ガス逆流を防ぐためにチェックボール入りノズルも使用できる。
【0092】
また、ニードルピンの先端角度は、100°よりも小さい角度として鋭い形状とすることが望ましく、また、該ニードルピンは、二重筒構造を有し、外筒と内筒との隙間からガスが供給される構造とすることが望ましい。該ニードルピンは成形材料溶融物により容易に加熱され、またニードルピン先端を尖らせることによって、成形材料溶融物の表面部分の固化層が薄くなる傾向があり、低いガス圧でも該固化層が容易に破壊され、ガスが溶融物内部に注入出来る。
【0093】
ガスアシスト法にあっては、キャビティ内の成形材料溶融物にガス圧を及ぼすことによって、ひけ、反り、ゆがみ等の欠陥の発生が防止され、また冷却収縮も成形品内に形成され、ガス孔によって吸収され、ひけ、反り、ゆがみ等の欠陥発生が防止される。
【0094】
以下、本発明を一実施例によって説明する。なお本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0095】
(成形品の形状と成形樹脂)
ABS、HIPS、HIPS(ジエン系ゴム含有)変性のPPEのそれぞれを成形加工して図1に示す板(2)の片面にリブ(3)をゴバン目状に設けた成形品(1)を製造し、該成形品(1)を粉砕、ペレット化して再成形加工し、再び図1に示す成形品(1)を製造した。
【0096】
ソリッド(中実)成形およびガスアシスト法の場合の前記成形品(1)の形状は、L=450mm、W=200mm、t=3mm、縦には高さ15mmで、根元の板厚が2.6mm(板厚t=3mmの約87%)のリブ(3)が縦横に50mmピッチで設けられたリブ構造を有する。
【0097】
射出成形機のゲート位置はサイドゲート1点で、大きさは3×10mmとした。
【0098】
発泡射出成形法の場合の前記成形品(1)の形状は、上記ソリッド成形の場合と略同じで、板厚tだけを6mmとした。
【0099】
(ソリッド成形)
ソリッド成形では射出スピード(溶融樹脂の充填速度)=70%、溶融樹脂の充填圧力(一次圧)=70%として、金型キャビィティに溶融樹脂を完全充填後、ひけのない最適な外観を得るために必要な二次圧(保圧)の条件を確認した。
【0100】
その結果バージン材では65%、リサイクル1ターンでは55%、リサイクル2ターン、およびリサイクル3ターンの材料では45%を10秒間かけ、冷却(冷却の設定時間=30秒)完了後成形品を取り出した。
【0101】
(ガスアシスト法)
上記ソリッド成形と同一の充填速度、充填圧力で金型キャビティに溶融樹脂を完全充填後、直ちに(一次圧完了から、二次圧開始をスタートとして0.5秒)図1に矢印に示す位置に設けられたガスニードルから、窒素を設定圧力15MPaで、10秒間成形品内に注入し、15秒間保持した後、該窒素を大気中に放出した。冷却(冷却の設定はソリッドと同じ30秒)完了後、成形品を取り出した。
【0102】
ガス注入の条件は、バージン材、リサイクル材同じでも、外観(ヒケ)には差が認められなかったので同一条件とした。
【0103】
(発泡射出成形法)
ABS、HIPS、変性PPEのそれぞれに発泡剤として0.2重量部のADCA(アゾジカルボン酸アミド)と、0.1重量部に炭酸水素ナトリウムとを添加混合して発泡性成形材料を調整した。
【0104】
該発泡成形材料を射出成形機加熱筒内で加熱溶融し含有する混合発泡剤を熱分解しつつ、射出スピード=90%、溶融樹脂の充填圧力=90%として、金型キャビィティに溶融樹脂を完全充填後、60%の二次圧(保圧)を0.5秒間かけ、冷却(冷却の設定時間=40秒)完了後取り出した。
【0105】
前記したソリッド成形、ガスアシスト法、発泡射出成形法により、ABS、HIPS、変成PPEを材料とする前記成形品1を成形した場合の成形収縮率の変化を表2に示す。
【0106】
ソリッド成形の場合は、いずれの材料においても成形収縮率が常に変化することがわかる。
【0107】
【表1】

【0108】
(塗装成形品)
ABS、HIPS、変性PPEと相溶するスチレン変性アクリル樹脂を主成分とした塗料(塗料の配合は表2に記載)を用い、図1に示した成形品1の下面に膜厚15μmで塗装した塗装成形品を、塗膜付きのままで粉砕し、ペレット化、再成形加工を行い、再び塗装して粉砕し、ペレット化、再成形加工を繰り返した。
【0109】
前記したソリッド成形、ガスアシスト法、発泡射出成形法により、ABS、HIPS、変成PPEを材料とする前記成形品1を成形した場合の成形収縮率の変化を表3に示す。
【0110】
ソリッド成形の場合は、いずれの材料においても成形収縮率が常に変化することがわかる。
【0111】
【表2】

【0112】
【表3】

【0113】
(物性回復=リサイクル改良剤の添加)
ABSには、オレフィン系ゴムにニトリル系単量体と、スチレン系単量体とをグラフト重合せしめたオレフィン系ゴムグラフト重合体を、
HIPS、および変性PPEには、オレフィン系ゴムに、スチレン系単量体とをグラフト重合せしめたオレフィン系ゴムグラフト重合体を、
リサイクル1,2,3ターンそれぞれに添加し、リサイクルによって低下した材料の物性回復を図った材料を用いて成形加工した。
【0114】
前記したソリッド成形、ガスアシスト法、発泡射出成形法により、ABS、HIPS、変成PPEを材料とする前記成形品1を成形した場合の成形収縮率の変化を表4に示す。
【0115】
ソリッド成形の場合は、いずれの材料においても成形収縮率が常に変化することがわかる。
【0116】
【表4】

【0117】
(バージン材の混合)
ABSのリサイクル2ターン材に、同量のABSバージンペレットをタンブラーで混ぜ合わせ、リサイクル材/バージン材=50/50質量比の混合ペレットを用いて成形加工した。
【0118】
前記したソリッド成形、ガスアシスト法、発泡射出成形法により、前記成形品1を成形した場合の成形収縮率を表5に示す。
【0119】
【表5】

【0120】
また、PC/ABSのリサイクル材(市場回収成形品からリサイクルしたリサイクル材)/バージン材=50/50質量比の混合樹脂を用いて成形加工した。
【0121】
前記したソリッド成形、ガスアシスト法により、前記成形品1を成形した場合の成形収縮率を表6に示す。
【0122】
【表6】

【0123】
(接着剤)
AS/メチルエチルケトン(MEK)=20/80質量比で溶解した接着剤(A)と、同様にPSとMEKからなる接着剤(B)と、スチレン変性アクリル樹脂とMEKを成分とする接着剤(C)とを製造した。
【0124】
前記ABSのリサイクル1ターンの成形品1と、リサイクル2ターンの成形品1とを接着剤(A)、または接着剤(C)を用い接着した。
また、HIPSのリサイクル1ターンの成形品同士を接着剤(B)、および接着剤(C)を用いて接着した。
【0125】
接着した成形品をそれぞれ接着剤が付いたまま、粉砕し、ペレット化し接着剤含有のリサイクル材を用いて成形加工した。
前記したソリッド成形、ガスアシスト法、発泡射出成形法により、前記成形品1を成形した場合の成形収縮率を表7に示す。
【0126】
【表7】

【0127】
(オレフィン系樹脂)
ポリプロピレン(PP)を前記した成形条件と略同じ条件で、ソリッド成形、ガスアシスト法により成形加工し、少し「ヒケ」は認められたが成形品を得た。
【0128】
前記成形品1を繰り返し成形した場合の成形収縮率の違いを表8に示す。ソリッド成形の場合は、成形収縮率が常に変化することがわかる。
【0129】
【表8】

【0130】
(PP用リサイクル改良剤)
PPのリサイクル1,2,3ターンの材料それぞれに、リサイクル改良剤としてエチレン-α-オレフィン(EPM)を10質量部加え、ソリッド成形、ガスアシスト法により再度成形加工した。
【0131】
前記成形品1を繰り返し成形した場合の成形収縮率の違いを表9に示す。ソリッド成形の場合は、成形収縮率が常に変化することがわかる。
【0132】
【表9】

【0133】
(溶接棒)
前記PPでのリサイクル1ターンの成形品同士を、同じPPからなる溶接棒をホットドライヤーで成形品と共に溶融し、互いのに融着させた。
【0134】
融着させた前記成形品を粉砕、ペレット化して、ソリッド成形、ガスアシスト法により再度成形加工した。このときの成形収縮率の違いを表10に示す。
【0135】
【表10】

【0136】
(スプルーランナー、成形不良品)
ABSの成形加工時に発生した、スプルーランナー、成形不良品を粉砕して、バージン材に20質量部混ぜ合わせ、ソリッド成形、ガスアシスト法により再度成形加工した。このときの成形収縮率を表11に示す。
【0137】
【表11】

【0138】
POMの成形加工時に発生した、スプルーランナー、成形不良品を粉砕して、バージン材に20質量部混ぜ合わせソリッド成形、ガスアシスト法により再度成形加工した。このときの成形収縮率を表12に示す。
【0139】
【表12】

【0140】
以上示した表1および表3〜12は、それぞれの成形品を23℃の室温で72時間放置した後、3次元測定機で測定して成形収縮率{成形収縮率=(金型の実寸-成形品の実寸)÷金型の実寸×1000}を求めたものである。
【0141】
以上により、ガスアシスト法、発泡射出成形法を用いて射出成形した場合は、バージン材およびリサイクルターン数に関わらず成形収縮率は一定になり、リサイクルターン数による成形収縮率の差に対する対応が不要となることがわかる。
【0142】
(シート成形)
ASに、AnとStとをグラフト共重合したAnSt−g−ARを20MASS%含む樹脂(AAS)を、260℃で押出成形加工して、シート材を得た。
【0143】
(印刷)
上記シート材に、ABS樹脂等のスチレン系樹脂と相溶性のあるスチレン変性アクリル樹脂をビヒクルとする印刷インクで印刷をし、シールを得た。
【0144】
(成形品)
ABSからなる成形品を製造した。
【0145】
(塗装)
スチレン変性アクリル樹脂をビヒクルとして、酸化チタンを顔料とする白色塗料を用いて成形品表面を塗装し、更に、前記シート材の印刷に使用したインクと同じ印刷インクを使用して、塗装した成形品表面に印刷した。
【0146】
(貼り付け)
上記シールを上記AnSt−g−ARと、スチレン変性アクリル樹脂、および可塑剤と、溶剤(酢酸エチルとトルエン)からなる接着剤を用いて上記成形品の表面に接着した。
【0147】
(リサイクル)
前記ABS成形品は、塗膜、印刷膜を有し、シールが付されているが、該成形品はこれらを分離、剥離することなく、塗膜、印刷膜およびシールを有したまま、粉砕され、ペレット化された。そして、該成形品よりリサイクルペレットが得られた。該リサイクルペレットのIzod衝撃強度を測定したところ、バージン材が19.7kg/cm2であるのに対し、リサイクルペレットのIzod衝撃強度は16.7kg/cm2と低下していた。
【0148】
(物性回復)
前記リサイクルペレットの物性を回復させることを目的として、AnSt−g−EPDM(但し、EPDM中のDは、ジシクロペンタジエン)を5MASS%加え、Izod衝撃強度を測定したところ、該AnSt−g−EPDMが加えられたリサイクルペレットのIzod衝撃強度は、20.7kg/cm2と回復した。
【0149】
(成形加工)
前記したように物性回復させたリサイクルペレットを、一般的な中実成形(ソリッド成形)、ガスアシスト成形(ガスの注入はスプルーランナーから行った)、GCP法を使用した発泡成形、およびGCP法を使用しない発泡成形によってそれぞれ成形加工して成形品を製造した。得られた成形品の成形収縮率を測定し、その結果を表13にまとめた。
【0150】
【表13】

【0151】
(塗装)
前記したそれぞれの成形品に、再び塗装を施し、塗装適性と、塗膜性能の評価を行った。該評価として、通常の碁盤目試験(1次付着性)、および塗装を施した成形品を温水(40℃)に約100時間浸漬した後に行う碁盤目試験(2次付着性)を行った。
【0152】
なお、GCP法を使用しない発泡成形によって得られた成形品は、その表面にスワールマークが発生していたので、表面をエメリーペーパー(#380)でサンディングした後、1回目にスワールマークの影響を小さくするための下塗り塗装を行い、その後、もう一度、2回目の塗装を施した。
【0153】
(変形)
以上のように、成形品の表面のみに塗装を施した場合において、中実成形によって得られた成形品には、塗料中の溶剤により内部応力が緩和されて、反り、変形が発生した。ガスアシスト法と発泡成形法によって得られる成形品には、内部中空層、発泡層が成形品の応力を吸収し、残留応力が少なく、塗装による反り、変形が少ないことが確認された。
【実施例2】
【0154】
燃焼性のグレードがHBであるABS樹脂(サイコラックZFJ5、宇部サイコン株式会社製)と、グレードがV0−5VであるABS樹脂(サイコラックZFJ15、宇部サイコン株式会社製)をそれぞれ成形加工して、成形材を製造し、該成形材を粉砕して粉砕材を得た。
【0155】
それぞれのグレードの粉砕材を、HB/V0−5V=25/75、50/50、75/25の割合で混ぜ合わせてペレット化し、得られたペレットを再び成形加工して成形品(A−1、A−2、A−3)を得た。
【0156】
得られた成形品の成形収縮率を94ULに準拠した燃焼性の試験方法で測定した。測定結果は、表14に示した。
【0157】
一方、上記粉砕材(HBおよびV0−5V)をペレット化し、得られたペレットをHB/V0−5V=25/75、50/50、75/25の割合で混ぜ合わせて、成形加工して成形品(A−4、A−5、A−6)を得た。得られた成形品の成形収縮率を上記方法によって測定した。測定結果は、表14に示した。
【0158】
【表14】

【0159】
上記の結果から、難燃性の異なる材料を混ぜ合わせて得られる成形品の成形収縮率は、新規樹脂材料の場合と略同じであることが確かめられた。
【0160】
また、難燃性の異なる粉砕材を混ぜ合わせて成形品を製造する場合と、難燃性の異なるペレットを混ぜ合わせて成形品を製造する場合においても成形収縮率に殆んど差がないことが確かめられた。
【実施例3】
【0161】
ABS樹脂(スタイラック191(色:白)、旭化成工業株式会社製、(以下191と称する))およびABS樹脂(テクノABS 170(色:ブルー)、株式会社テクノポリマー製(以下、170と称する))を用いて、それぞれ射出成形加工して、成形品を得た。
【0162】
得られたそれぞれの成形品を粉砕し、それぞれの粉砕材を、(191の粉砕材)/(170の粉砕材)=25/75、50/50、75/25の割合で混合してペレット化し、得られたペレットを成形加工して成形品(B−1、B−2、B−3)を得た。
【0163】
得られた成形品(B−1、B−2、B−3)の成形収縮率を上記試験方法によって測定した。測定結果は、表15に示した。
【0164】
一方、上記粉砕材(191と170の粉砕材)をそれぞれペレット化し、得られたペレットを、(191のペレット)/(170のペレット)=25/75、50/50、75/25の割合で混合し、成形加工して成形品(B−4、B−5、B−6)を得た。
【0165】
得られた成形品(B−4、B−5、B−6)の成形収縮率を上記した試験法によって測定した。測定結果は、表15に示した。
【0166】
【表15】

【0167】
上記の結果から、樹脂メーカー、グレード、即ち組成の異なる材料を混ぜ合わせて得られる成形品の成形収縮率は、新規樹脂材料より得られる成形品の成形収縮率が略同じであることが確かめられた。
【0168】
また、組成の異なる粉砕材を混ぜ合わせて成形品を製造する場合と、組成の異なるペレットを混ぜ合わせて成形品を製造する場合においても成形収縮率に殆んど差がないことが確かめられた。
【実施例4】
【0169】
ABS樹脂(スタイラック191)を成形加工して成形材を製造し、得られた成形材を粉砕してペレット化した。このようにして得られたペレットをリサイクル1ターンのペレット(1ターンペレット)とした。該1ターンペレットを使用して成形加工して成形材を製造し、得られた成形材を粉砕し、ペレット化した。
【0170】
このようにして得られたペレットをリサイクル2ターンのペレット(2ターンペレット)とした。以後、同様の操作を繰り返して、3ターンペレット、4ターンペレットを得た。
【0171】
得られた1〜4ターンペレットと新規樹脂とをそれぞれ、新規樹脂/1ターン/2ターン/3ターン/4ターン=20/20/20/20/20、10/10/20/30/30および5/10/25/25/35の割合で混合してそれぞれペレット化した。
【0172】
得られたペレットからそれぞれ成形品(C、DおよびE)を製造し、その成形品の成形収縮率を測定した。なお測定方法は、上記実施例と同様であり、測定結果は表16に示した。
【0173】
【表16】

【0174】
上記の結果から、リサイクルターン数の異なる材料を混ぜ合わせて得られるそれぞれの成形品の成形収縮率は、何れも同じであることが確かめられた。
【0175】
本発明のその他の態様を以下に列挙する。
(1)熱可塑性樹脂成形品の廃品から回収した再生熱可塑性樹脂あるいは該再生熱可塑性樹脂を1質量%以上新規熱可塑性樹脂に配合した配合物をガスアシスト法または発泡射出成形法によって射出成形することを特徴とする再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
(2)前記熱可塑性樹脂はスチレン系樹脂である(1)に記載の再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
(3)前記熱可塑性樹脂はオレフィン系樹脂である(1)に記載の再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
(4)前記熱可塑性樹脂はジエン系ゴムおよび/またはオレフィン系ゴムおよび/またはアクリル系ゴムを含んでいる(1)〜(3)に記載の再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
(5)前記再生熱可塑性樹脂あるいは前記配合物を射出成形するにあたり、前記再生熱可塑性樹脂あるいは前記配合物に、該熱可塑性樹脂と相溶するゴム状物質をリサイクル改良剤として1〜5質量%添加配合する(1)〜(4)に記載の再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
(6)前記熱可塑性樹脂はスチレン系樹脂であり、該ゴム状物質はジエン系ゴムおよび/またはオレフィン系ゴムおよび/またはアクリル系ゴムを幹部とし、スチレン系樹脂と相溶性を有する重合鎖をグラフト鎖とするグラフト重合体である(5)に記載の再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
(7)前記熱可塑性樹脂はオレフィン系樹脂であり、該ゴム状物質はエチレン−α−オレフィン共重合体である(5)に記載の再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
(8)前記熱可塑性樹脂成形品の表面には、前記熱可塑性樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂をビヒクルとして使用した塗料および/またはインキが塗布されている(1)〜(7)に記載の再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
(9)前記熱可塑性樹脂成形品の表面には、前記熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂のシートが、前記熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂からなる接着剤によって接着されている(1)〜(8)に記載の再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
(10)前記熱可塑性樹脂成形品は主部と、該主部に接着剤または溶接棒によって接合されている付属部とからなり、該接着剤は前記熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂からなり、該溶接棒は前記熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂からなる(1)〜(9)に記載の再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明では、射出成形時に注入ガス圧あるいは発泡剤分解時に発生するガス圧によって成形材料溶融物が金型内に良好に付き回り、また冷却時の成形物の収縮も抑制され、その結果、ひけ、ゆがみ、反り等の欠陥のない寸法の安定した商品価値の高いリサイクル樹脂成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の一実施例を示すリサイクル樹脂材料で再成形加工された成形品の斜視図である。
【符号の説明】
【0178】
1 成形品
2 板
3 リブ
4 ガス注入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂成形品の成形加工時に発生したスプルーランナーおよび/または成形不良品を粉砕し、新規熱可塑性樹脂に混ぜ合わせた混合物を用いて再び熱可塑性樹脂成形品を射出成形する再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法において、
該混合物の溶融流動特性が変化する状況下においても、新規熱可塑性樹脂を用いて成形する成形条件と同一の条件によって、ガスアシスト法により成形することを特徴とする再生熱可塑性樹脂成形品の製造方法

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−256339(P2006−256339A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168219(P2006−168219)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【分割の表示】特願2003−561856(P2003−561856)の分割
【原出願日】平成15年1月23日(2003.1.23)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】