再生装置および再生方法
【課題】2D映像コンテンツ作成者は、当該2D映像コンテンツを3D映像として表示することを望むことや、何らかの制限を望むことがある。コンテンツ作成者の意思を反映させた良質な3D映像を視聴者に提供する。
【解決手段】コンテンツをデコードするステップと、デコードされたコンテンツを外部の表示装置へ出力するステップとを有し、出力するコンテンツが3D映像の表示を制限されるコンテンツであった場合は、出力するコンテンツに3D映像の表示の制限に関する情報を付加するように構成する。
【解決手段】コンテンツをデコードするステップと、デコードされたコンテンツを外部の表示装置へ出力するステップとを有し、出力するコンテンツが3D映像の表示を制限されるコンテンツであった場合は、出力するコンテンツに3D映像の表示の制限に関する情報を付加するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、映像信号の送受信に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「立体映像受信装置のコストを下げることができ、受信された映像情報をリアルタイムで処理して立体映像を生成することができる立体映像受信装置及び立体映像システムを提供すること」(特許文献1[0008]参照)を課題とし、その解決手段として「送信装置から送信された映像情報に基づいて、立体映像を生成するものにおいて、前記送信装置から送信される2次元映像情報と立体映像を生成するための付加情報とが符号化された信号とを受信する受信手段、この受信手段により受信された信号から前記2次元映像情報と付加情報とをそれぞれ復号化する復号化手段、およびこの復号化手段により復号化された前記2次元映像情報と前記付加情報とを用いて、視差情報を用いた立体映像を生成する生成手段から構成する」(特許文献1[0009]参照)ことが開示されている。
【0003】
また、非特許文献1には、HDMI(High-Definition Multimedia Interfaceの略、HDMI Licensing、 LLCの登録商標)による3D映像を表示するための信号の伝送方法が記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−78611号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】”High-Definition Multimedia Interface Specification Version 1.4a Extraction of 3D Signaling Portion”、 HDMI、LLC発行http://www.hdmi.org/manufacturer/specification.aspx
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2D映像コンテンツ作成者は、当該2D映像コンテンツを3D映像として表示することを望むことや、何らかの制限を望むことがある。しかし、特許文献1に示されるような2Dから3Dに変換する機能を持った映像表示装置では、コンテンツ作成者の意図への配慮ができない課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0008】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、コンテンツをデコードするステップと、デコードされたコンテンツを外部の表示装置へ出力するステップとを有し、出力するコンテンツが3D映像の表示を制限されるコンテンツであった場合は、出力するコンテンツに3D映像の表示の制限に関する情報を付加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記手段によれば、コンテンツ作成者の意思を反映させた良質な3D映像を視聴者に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】映像システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】HDMI Vendor Specific InfoFrameへの記載例を示す図である。
【図3】3D変換を規制する情報をメタデータに記載する例を示す図である。
【図4】HDMI Vendor Specific InfoFrameへの記載例を示す図である。
【図5】3D変換を規制する情報をメタデータに記載する例を示す図である。
【図6】3D変換機能を持つ3D表示装置の動作フローチャートの一例を示す図である。
【図7】3D変換機能を持つ3D表示装置の動作フローチャートの一例を示す図である。
【図8】3D変換機能を持つ3D表示装置の動作フローチャートの一例を示す図である。
【図9】HDMI Vendor Specific InfoFrameへの記載例を示す図である。
【図10】映像システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図11】3D変換機能を持つ3D表示装置の動作フローチャートの一例を示す図である。
【図12】映像システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図13】HDMI Vendor Specific InfoFrameへの記載例を示す図である。
【図14】3D信号の表示を規制する情報をメタデータに記載する例を示す図である。
【図15】映像システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例について説明する。以下の実施例において、3Dとは3次元を、2Dとは2次元を意味する。例えば3D映像とは、左右の眼に視差のある映像を提示することにより、観察者があるオブジェクトを立体的に、自分と同じ空間に存在するかのように知覚することを可能とする映像を意味する。また、例えば3D表示装置とは、3D映像を表示することが可能な表示装置である。また、例えば3Dコンテンツとは、3D表示装置による処理で3D映像の表示が可能となる映像信号を含むコンテンツである。
【0012】
3D表示装置が3D映像を表示する方法としては、アナグリフ方式、偏光表示方式、フレーム・シーケンシャル方式、視差(パララックス)バリア方式、レンチキュラレンズ方式、マイクロレンズアレイ方式、光線再生方式等がある。
【0013】
アナグリフ方式とは、左右異なる角度から撮影した映像をそれぞれ赤と青の光で重ねて再生し、左右に赤と青のカラーフィルタの付いたメガネ(以下、「アナグリフメガネ」ともいう)で見る方式である。
【0014】
偏光表示方式とは、左右の映像に直交する直線偏光をかけて重ねて投影し、これを偏光フィルタの付いたメガネ(以下、「偏光メガネ」ともいう)により分離する方式である。
【0015】
フレーム・シーケンシャル方式とは、左右異なる角度から撮影した映像を交互に再生し、左右の視界が交互に遮蔽される液晶シャッターを備えたメガネ(以下シャッターメガネともいう)で見る方式である。
【0016】
視差バリア方式とは、ディスプレイに「視差バリア」と呼ばれる縦縞のバリアを重ねることで、右眼には右眼用の映像、左眼には左眼用の映像を見せる方式であり、ユーザが特別なメガネ等を着用する必要がない。視差バリア方式は、さらに視聴する位置が比較的狭い2視点方式、視聴する位置が比較的広い多視点方式等に分類することもできる。
【0017】
レンチキュラレンズ方式とは、ディスプレイにレンチキュラレンズを重ねることで、右眼には右眼用の映像、左眼には左眼用の映像を見せる方式であり、ユーザが特別なメガネ等を着用する必要がない。レンチキュラレンズ方式は、さらに視聴する位置が比較的狭い2視点方式、視聴する位置が左右に比較的広い多視点方式等に分類することもできる。
【0018】
マイクロレンズアレイ方式とは、ディスプレイにマイクロレンズアレイを重ねることで、右眼には右眼用の映像、左眼には左眼用の映像を見せる方式であり、ユーザが特別なメガネ等を着用する必要がない。マイクロレンズアレイ方式は、視聴する位置が上下左右に比較的広い多視点方式である。
【0019】
光線再生方式とは、光線の波面を再生することにより、観察者に視差画像を提示する方式であり、ユーザが特別なメガネ等を着用する必要がない。また、視聴する位置も比較的広い。
【0020】
なお、3D映像の表示方式は一例であり、上記以外の方式を採用してもよい。また、アナグリフメガネ、偏光メガネ、シャッターメガネ等、3D映像を視聴するために必要な道具や装置を総称して3Dメガネ、3D視聴装置または3D視聴補助具ともいう。
【実施例1】
【0021】
図1は、本実施例の機器の構成の一例である。映像信号再生装置11が3D表示装置12とHDMIケーブル13を介して接続されている。
【0022】
映像信号再生装置11はサーボモータドライブ111が光ディスクドライブ112(「記録再生部」ともいう)を駆動し、読み出された信号を光ディスクASSP(Application Specific Standard Product:特定用途向け標準製品)113でデコード等の処理がなされた後、映像信号をHDMI出力部からHDMIケーブル13を介して3D表示装置12に伝送される。
【0023】
3D表示装置12ではHDMI入力端部121で映像信号を受け取り、映像プロセッサ122で画像処理を行ったのちTCON(タイミングコントローラ)123を経て表示パネル124で3D映像が表示される。また、シャッターメガネを駆動するための同期信号が映像プロセッサ122から3Dメガネ同期信号発信器125に送られ、3Dメガネ同期信号発信器125からシャッターメガネ126に赤外線や電波等の無線通信で送信される。なお、本実施例ではフレーム・シーケンシャル方式を採用した3D表示装置を例に説明するが、本発明はこれに限定されず、他の方式を採用する3D表示装置にも適用可能である。
【0024】
次に、3D視聴制限情報について説明する。3D視聴制限情報とは、3D表示装置における3D映像の表示に関してなんらかの条件(例えば、条件を満たす場合にのみ3D映像の表示を許可する等)がある場合に、その条件を示す情報である。3D視聴制限情報は、光ディスクメディアに記録されていてもよいし、著作権保護に付随して、所定の光ディスクメディアまたは映像信号再生装置の種別で定義されていてもよい。BDプレーヤ等の映像信号再生装置は、これらの3D視聴制限情報に基づき、コンテンツの3D視聴制限情報メタデータを映像出力に付与して出力する。
【0025】
セットトップボックスなど、映像信号再生装置が放送を受信するチューナを持っている場合は、放送波に含まれる3D視聴制限情報に基づき、コンテンツの3D視聴制限情報メタデータをチューナで受信してデコードした映像信号に付与して出力するように構成してもよい。
【0026】
図2はHDMI伝送時の3D映像フォーマットに関する情報が記述されたHDMI Vendor Specific InfoFrameのデータ構造を示す図である。縦にByte単位のアドレス番号を、横に各Byteのbit単位の構成を表している。まずHDMI Vendor Specific InfoFrameのアドレス番号PB4のHDMI_Video_Formatは映像信号がHDMIが独自に定義した映像フォーマットであることを示しており、「000」は一般の2D映像信号、「001」は4k2kの2D映像信号、「010」は3D映像信号を意味している。なお、4k2kの2D映像信号とは、1フレームの画素数がフルHD1920×1080画素の約2倍の画素(具体的には4096×2160または3840×2160画素)の映像信号である。
【0027】
HDMIでは予約領域(Reserved(0))とされているアドレス番号PB4のbit 4の1bitを、2D映像から3D映像へ変換するいわゆる3D変換に関する3D視聴制限情報の存在を示すものとして図2では「3D_Limit_Present」と定義している。この3D_Limit_Presentが「0」であれば3D視聴制限情報は無し、「1」であれば3D視聴制限情報が別途記載されることを意味する。
【0028】
図2では一般の2D映像伝送を想定しており、HDMI_Video_Formatは「000」が設定される。この場合はPB5以降は予約領域Reserved(0)となるので、この予約領域の最初のPB5を3D視聴制限情報の詳細を記載する領域「3D_Conversion_Condition」に割り当てている。
【0029】
図3は3D_Conversion_Conditionに示される3D視聴制限情報の詳細の例を示している。「3D変換禁止」(Bit7)、「両眼視差量の上限を50mmとした上で3D変換を許可する」(Bit6)、「両眼視差量の上限をFull HD解像度の場合で57ピクセルとした上で3D変換を許可する」(Bit5)、「一定サイズ以下の表示装置であれば3D変換を許可する」(Bit4,3)、「シャッターメガネ方式の3D表示装置でのみ3D変換を許可する」(Bit2,1)、「5.1ch音声システムを備えた3D表示装置でのみ3D変換を許可する」(Bit0)といった場合が挙げられるが、これらの複数が組み合わさった条件を設定することもできる。なお、両眼視差量の上限等の具体的な数値は一例であり、本発明は当該数値に限定されない。
【0030】
また、「3D変換禁止」のみの設定でよい場合は、HDMI Vendor Specific InfoFrameは図2に代えて図4の様に簡略記載するやり方でも良い。アドレス番号PB4のbit 4、3の2bitにより「3D_Convesion」を設定してもよい。図5はこの3D_Convesionの一例である。「3D変換に関する情報無し」「3D変換を許可」「3D変換禁止」を設定している。
【0031】
このように3D変換についての情報が添付された2D信号は図1中の3D表示装置12中の映像プロセッサ122内で処理される。図6は3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信した時の映像プロセッサ122内で処理される動作のフローチャートの一例である。
【0032】
まず3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信する(S601)。この2D信号のHDMI Vendor Specific InfoFrameに記載されたメタデータを解析し、3D変換禁止信号の有無を検出する(S602)。その結果、3D変換禁止がなされていなければ、視聴者は2Dで視聴するか、3D変換後の映像を視聴するかをリモコン操作等により選択することができ(S605)、選択した映像を視聴することができる(S604、606、607)。3D変換禁止信号が検出された場合、3D表示装置は3D変換機能を無効化し、3D変換動作が出来ないようにする(S603)。そのため、視聴者は2D映像の視聴しか選択はできない(S604)。
【0033】
図7は3D変換禁止信号を受けても視聴者の意思により強制的に3D変換を強行できる3D表示装置の場合の動作フローチャートの一例である。この場合、3D変換機能を無効化することは出来ないので、3D変換禁止信号を検出する前に視聴者が2D視聴するか3D視聴をするかを選択する。
【0034】
3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信すると(S701)、ユーザが2D映像の視聴か3D映像の視聴を選択する(S702)。ユーザが2D映像の視聴を選択した場合、3D映像への変換は行わず、2D映像の表示を行う(S708)。
【0035】
S702でユーザが3D映像の視聴を選択した場合、3D変換禁止信号の有無を検出する(S703)。3D変換禁止信号が無い場合、3D映像への変換を行い(S706)、視聴者は3D映像に変換された映像を視聴できる(S707)。
【0036】
S703で3D変換禁止信号が検出された場合、表示画面にOSD(オンスクリーンディスプレイ)等により、「3D変換は推奨されていませんが、3D表示しますか?」等の警告する表示を出す(S704)。その上で、視聴者に3D変換を強行するかどうかの意思を確認し(S705)、視聴者の選択により3D映像への変換の有無を決める。
【0037】
図8は3D変換機能を持つ3D表示装置が条件付3D変換許可2D信号を受信した場合の動作フローチャートの一例である。まず3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信する(S801)。この2D信号のメタデータを解析し、「条件付3D変換許可2D信号」の有無を検出する(S82)。
【0038】
その結果、「条件付3D変換許可」がなされていなければ、視聴者は2Dで視聴するか、3D変換後の映像を視聴するかを選択することができ(S806)、2D映像の視聴が選択されると、3D映像への変換は行わずに2D映像を表示し(S805)、3D映像の視聴が選択されると3D映像への変換を行い(S807)、3D映像を表示する(S808)。
【0039】
「条件付3D変換許可」信号が検出された場合、3D表示装置は表示装置の構成が条件に合っているか、あるいは指定された条件での3D変換を行う能力を備えているかの判断をする(S803)。許可条件に合っていなかった場合、3D変換機能を無効化し(S804)、2D映像の表示を行う(S805)。許可条件に合っていた場合、視聴者は2Dで視聴するか、3D変換後の映像を視聴するかを任意に選択することができる(S806)。
【0040】
当該構成により、映像信号に重畳された3D視聴制限情報に従った3D表示の制限を実行できる。
【実施例2】
【0041】
実施例1では3D視聴制限情報の詳細を図2の「3D_Conversion_Condition」に記載することを想定している。しかしながら、細かく複雑な条件を全て規格化して信号を割り当てることは困難となる可能性がある。
【0042】
そこで、HDMI Vendor Specific InfoFrame には識別番号に相当する情報のみを記載し、詳細な3D視聴制限に関する情報はネットワーク上のサーバー等外部機器に問い合わせるようにしても良い。また、サーバ接続で制限情報を得るにより、コンテンツ保有者が市場動向を見て視聴条件を緩和または強化したり、キャンペーンとの連動といったタイムリーな対応も可能になることも長所として挙げられる。
【0043】
図9は、この場合のHDMI Vendor Specific InfoFrameのデータ構造の例である。HDMI Vendor Specific InfoFrameのアドレス番号PB4のbit3を「3D_Server_Present」と定義し、詳細な制限情報がサーバーに登録されているか否かを示す。
【0044】
ここが「0」であれば、 サーバーへの情報の問い合わせは必要なくなり、「3D_Conversion_Condition」の情報に従う。「1」であれば、制限情報がサーバー上にあることを意味する。この時、表示装置がネットワークに接続されていない等サーバーに情報の問い合わせができない可能性もあるので、その場合は「3D_Conversion_Condition」の情報に従う。
【0045】
従って「3D_Server_Present」が「1」であっても「3D_Conversion_Condition」に制限情報が記載されていることが望ましい。サーバーへの問い合わせが成功した場合にのみサーバー記載の情報が「3D_Conversion_Condition」の情報よりも優先されることになる。
【0046】
「3D_Server_Present」が「1」の場合には、さらにHDMI Vendor Specific InfoFrameのアドレス番号PB6に「3D_Limit_Code」として定義する領域に制限情報の識別番号を記載する。表示機器はこの識別番号を基に制限情報を認識し、その制限に従って処理を行う。
【0047】
図10は制限情報を外部機器に問い合わせる場合の機器の構成の一例である。3D表示装置12はネットワーク接続部126からネットワーク回線を通じて外部サーバーと繋がっている。映像プロセッサにおいて映像信号が「制限情報を外部サーバーに問い合わせよ」を意味する信号と判断した場合、外部サーバーに制限情報を問い合わせ、その制限に従って処理を行う。
【0048】
また、制限情報は表示装置内のメモリに保存され、外部サーバーはその制限情報が更新されると表示装置のメモリ内の情報を上書きするようにしても良い。その場合、映像プロセッサは制限情報を表示装置内のメモリに問い合わせることが出来るので、処理を高速化できる。
【0049】
図11は3D変換機能を持つ3D表示装置が条件付3D変換許可の2D信号であって、条件を外部機器に問い合わせる必要のある信号を受信した場合の動作フローチャートの一例である。
【0050】
まず3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信し(S1101)、3D変換禁止信号を検出する(S1102)。3D変換禁止信号が検出された場合、3D映像へ変換する機能を無効化し(S1109)、2D映像の表示を行う(S1112)。
【0051】
S1102で3D変換禁止信号が検出されなかった場合、「条件付3D変換許可」信号を検出する(S1103)。
【0052】
その結果、「条件付3D変換許可」が検出されなければ、視聴者の選択に応じて(S1110)2D映像の表示(S1112)、または3D映像への変換(S1111)、3D映像の表示(S1108)を行う。
【0053】
「条件付3D変換許可」信号が検出された場合、3D表示装置は「条件」が信号に直接記載されているか否かを判定する(S1104)。その結果、「条件」が信号に直接記載されていなかった場合は、サーバ等の外部機器に「条件」に関する問い合わせを行う(S1105)。
【0054】
続いて、得られた「条件」に表示装置の構成が条件に合っているか否かの判断をする(S1106)。許可条件に合っていなかった場合、3D変換機能を無効化し(S1109)、2D映像の表示を行う(S1112)。許可条件に合っていた場合、「条件」に従って3D映像への変換を行い(S1107)、3D映像を表示する(S1108)。なお、S1106で条件に合っていたとしても、ユーザの選択により2D映像を表示可能な構成にしてもよい。
【0055】
当該構成により、少ないbit数で複雑な3D視聴制限情報の設定が可能となったり、タイムリーに3D視聴制限情報を変更、追加することが可能となる。
【実施例3】
【0056】
実施例1、2は3D変換に関する情報をメタデータとして映像信号に記載することを想定している。しかしながら、メタデータはセットトップボックス等中間機器を経由する間の処理により改変や消失する恐れがある。このようなことを回避するため、メタデータ以外の形で3D変換に関する情報を記載してもかまわない。
【0057】
一例としては、ウォーターマークとして映像信号中の色信号に情報を記載する、等がある。図12はこの場合の機器の構成の例である。映像信号再生装置11から伝送された映像信号を3D表示装置12のHDMI入力端子121が受け取る。HDMI出力端子121からウォーターマーク検索部127に送られた映像信号の色信号の中からウォーターマークの検出が行われる。その検出結果と映像信号が映像プロセッサ122に送られ、映像プロセッサ122は受け取った検出結果を基に処理を行う。
【0058】
当該構成により、3D視聴制限情報をメタデータとしては無く映像信号の色信号中に記載することが可能となり、メタデータを利用せずに3D映像の表示の制限を実現できる。
【実施例4】
【0059】
実施例1〜3は2D映像信号からの3D変換に制約を加えることを想定しているが、3D映像信号を表示する際に制限を加える場合もある。例としては、「コンテンツ作成者が必ず3Dで視聴してもらいたい場合に2D視聴を禁止する」「2D表示する場合には左眼用映像を表示する」「両眼視差量の上限をxx mmとした上で3D変換を許可する」、「両眼視差量の上限をFull HD解像度の場合でxxピクセルとした上で3D変換を許可する」、「一定サイズ以下の表示装置であれば3D変換を許可する」、「裸眼方式の3D表示装置でのみ3D変換を許可する」、「「5.1ch音声システムを備えた3D表示装置でのみ3D変換を許可する」といったことが挙げられる。
【0060】
図13はこの場合のHDMI Vendor Specific InfoFrameの一例である。「HDMI_Video_Format」に3D信号であることを意味する「010」が記載される。さらに「3D_Limit_Present」は「変換制限有り」を示す「1」が記載される。実施例1では前者が「000」、後者が「1」であったが、本実施例のように前者が「010」、後者が「1」の場合は、続く「3D_Conversion_Condition」の定義が図3とは異なるものになる。
【0061】
図14は本実施例のように3Dコンテンツを表示する際に制限を加える、すなわち「HDMI_Video_Format」が「010」、「3D_Limit_Present」が「1」の場合の「3D_Conversion_Condition」の一例を示す図である。3Dコンテンツを2D表示する場合、あるいは3Dコンテンツを3D表示する場合の制限が記載される。
【0062】
当該構成により、3D映像信号を表示する際に3D視聴制限情報に従った表示をすることができる。
【実施例5】
【0063】
図15は2Dや3D表示を規制する信号が付加された映像信号を作成する信号発生器の構成例である。図1に示した構成例における映像信号再生装置11と3D表示装置12の中間に映像信号発生装置16を配置している。
【0064】
この信号発生装置15が映像信号再生装置11から伝送された映像信号をHDMI入力端子161で受け取る。映像信号内容検索部162は受け取った映像信号の色信号の内容を検索する。この検索結果を3D視聴条件判定部163が受け取り、「3D変換した場合に両眼視差の量が過大となる」「短時間に両眼視差の量が急激に変化することから3Dで視聴することは好ましくない」「シーンチェンジが頻繁にあり、3Dで視聴することは好ましくない」といった3D視聴条件に関するデータに基づいて3D変換を規制する必要性を判定する。
【0065】
その判定結果をメタデータ重畳部165が受け取り、2D信号にメタデータを重畳した映像信号を作成する。またコンテンツ作成者の意図などに基づき2D表示や3D表示を規制する必要がある等の場合は、重畳メタデータ作成部164においてキーボード入力等で規制情報が作成され、その規制情報をメタデータ重畳部165が受け取り、2D信号にメタデータとして重畳した映像信号を作成する。3D変換を規制するメタデータが添付された2D信号は3D表示装置12に伝送され、メタデータ記載の3D変換規制情報に従った処理がなされる。
【0066】
当該構成により、元の映像信号には記載されていない3D視聴制限情報を重畳した映像信号を作製・送信することができる。
【0067】
なお、上記の各実施例において、3D映像への変換処理は映像プロセッサ122で行われてもよいし、映像プロセッサとは別の変換処理部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0068】
11 映像信号再生装置、111 光ディスクドライブ、112 光ディスクASSP、113 HDMI出力端子、12 3D表示装置、121 HDMI入力端子、122 映像プロセッサ、 123 TCON、124 表示パネル、125 3Dメガネ同期信号発生器、126 ネットワーク接続部、127 ウォーターマーク検索部、13 HDMIケーブル、14 シャッターメガネ、15 サーバー装置、16 映像信号発生装置、161 HDMI入力端子、162 映像信号内容検索部、163 3D視聴条件判定部、164 重畳メタデータ作成部、165 メタデータ重畳部、166 HDMI出力端子
【技術分野】
【0001】
技術分野は、映像信号の送受信に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「立体映像受信装置のコストを下げることができ、受信された映像情報をリアルタイムで処理して立体映像を生成することができる立体映像受信装置及び立体映像システムを提供すること」(特許文献1[0008]参照)を課題とし、その解決手段として「送信装置から送信された映像情報に基づいて、立体映像を生成するものにおいて、前記送信装置から送信される2次元映像情報と立体映像を生成するための付加情報とが符号化された信号とを受信する受信手段、この受信手段により受信された信号から前記2次元映像情報と付加情報とをそれぞれ復号化する復号化手段、およびこの復号化手段により復号化された前記2次元映像情報と前記付加情報とを用いて、視差情報を用いた立体映像を生成する生成手段から構成する」(特許文献1[0009]参照)ことが開示されている。
【0003】
また、非特許文献1には、HDMI(High-Definition Multimedia Interfaceの略、HDMI Licensing、 LLCの登録商標)による3D映像を表示するための信号の伝送方法が記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−78611号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】”High-Definition Multimedia Interface Specification Version 1.4a Extraction of 3D Signaling Portion”、 HDMI、LLC発行http://www.hdmi.org/manufacturer/specification.aspx
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2D映像コンテンツ作成者は、当該2D映像コンテンツを3D映像として表示することを望むことや、何らかの制限を望むことがある。しかし、特許文献1に示されるような2Dから3Dに変換する機能を持った映像表示装置では、コンテンツ作成者の意図への配慮ができない課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0008】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、コンテンツをデコードするステップと、デコードされたコンテンツを外部の表示装置へ出力するステップとを有し、出力するコンテンツが3D映像の表示を制限されるコンテンツであった場合は、出力するコンテンツに3D映像の表示の制限に関する情報を付加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記手段によれば、コンテンツ作成者の意思を反映させた良質な3D映像を視聴者に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】映像システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】HDMI Vendor Specific InfoFrameへの記載例を示す図である。
【図3】3D変換を規制する情報をメタデータに記載する例を示す図である。
【図4】HDMI Vendor Specific InfoFrameへの記載例を示す図である。
【図5】3D変換を規制する情報をメタデータに記載する例を示す図である。
【図6】3D変換機能を持つ3D表示装置の動作フローチャートの一例を示す図である。
【図7】3D変換機能を持つ3D表示装置の動作フローチャートの一例を示す図である。
【図8】3D変換機能を持つ3D表示装置の動作フローチャートの一例を示す図である。
【図9】HDMI Vendor Specific InfoFrameへの記載例を示す図である。
【図10】映像システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図11】3D変換機能を持つ3D表示装置の動作フローチャートの一例を示す図である。
【図12】映像システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図13】HDMI Vendor Specific InfoFrameへの記載例を示す図である。
【図14】3D信号の表示を規制する情報をメタデータに記載する例を示す図である。
【図15】映像システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例について説明する。以下の実施例において、3Dとは3次元を、2Dとは2次元を意味する。例えば3D映像とは、左右の眼に視差のある映像を提示することにより、観察者があるオブジェクトを立体的に、自分と同じ空間に存在するかのように知覚することを可能とする映像を意味する。また、例えば3D表示装置とは、3D映像を表示することが可能な表示装置である。また、例えば3Dコンテンツとは、3D表示装置による処理で3D映像の表示が可能となる映像信号を含むコンテンツである。
【0012】
3D表示装置が3D映像を表示する方法としては、アナグリフ方式、偏光表示方式、フレーム・シーケンシャル方式、視差(パララックス)バリア方式、レンチキュラレンズ方式、マイクロレンズアレイ方式、光線再生方式等がある。
【0013】
アナグリフ方式とは、左右異なる角度から撮影した映像をそれぞれ赤と青の光で重ねて再生し、左右に赤と青のカラーフィルタの付いたメガネ(以下、「アナグリフメガネ」ともいう)で見る方式である。
【0014】
偏光表示方式とは、左右の映像に直交する直線偏光をかけて重ねて投影し、これを偏光フィルタの付いたメガネ(以下、「偏光メガネ」ともいう)により分離する方式である。
【0015】
フレーム・シーケンシャル方式とは、左右異なる角度から撮影した映像を交互に再生し、左右の視界が交互に遮蔽される液晶シャッターを備えたメガネ(以下シャッターメガネともいう)で見る方式である。
【0016】
視差バリア方式とは、ディスプレイに「視差バリア」と呼ばれる縦縞のバリアを重ねることで、右眼には右眼用の映像、左眼には左眼用の映像を見せる方式であり、ユーザが特別なメガネ等を着用する必要がない。視差バリア方式は、さらに視聴する位置が比較的狭い2視点方式、視聴する位置が比較的広い多視点方式等に分類することもできる。
【0017】
レンチキュラレンズ方式とは、ディスプレイにレンチキュラレンズを重ねることで、右眼には右眼用の映像、左眼には左眼用の映像を見せる方式であり、ユーザが特別なメガネ等を着用する必要がない。レンチキュラレンズ方式は、さらに視聴する位置が比較的狭い2視点方式、視聴する位置が左右に比較的広い多視点方式等に分類することもできる。
【0018】
マイクロレンズアレイ方式とは、ディスプレイにマイクロレンズアレイを重ねることで、右眼には右眼用の映像、左眼には左眼用の映像を見せる方式であり、ユーザが特別なメガネ等を着用する必要がない。マイクロレンズアレイ方式は、視聴する位置が上下左右に比較的広い多視点方式である。
【0019】
光線再生方式とは、光線の波面を再生することにより、観察者に視差画像を提示する方式であり、ユーザが特別なメガネ等を着用する必要がない。また、視聴する位置も比較的広い。
【0020】
なお、3D映像の表示方式は一例であり、上記以外の方式を採用してもよい。また、アナグリフメガネ、偏光メガネ、シャッターメガネ等、3D映像を視聴するために必要な道具や装置を総称して3Dメガネ、3D視聴装置または3D視聴補助具ともいう。
【実施例1】
【0021】
図1は、本実施例の機器の構成の一例である。映像信号再生装置11が3D表示装置12とHDMIケーブル13を介して接続されている。
【0022】
映像信号再生装置11はサーボモータドライブ111が光ディスクドライブ112(「記録再生部」ともいう)を駆動し、読み出された信号を光ディスクASSP(Application Specific Standard Product:特定用途向け標準製品)113でデコード等の処理がなされた後、映像信号をHDMI出力部からHDMIケーブル13を介して3D表示装置12に伝送される。
【0023】
3D表示装置12ではHDMI入力端部121で映像信号を受け取り、映像プロセッサ122で画像処理を行ったのちTCON(タイミングコントローラ)123を経て表示パネル124で3D映像が表示される。また、シャッターメガネを駆動するための同期信号が映像プロセッサ122から3Dメガネ同期信号発信器125に送られ、3Dメガネ同期信号発信器125からシャッターメガネ126に赤外線や電波等の無線通信で送信される。なお、本実施例ではフレーム・シーケンシャル方式を採用した3D表示装置を例に説明するが、本発明はこれに限定されず、他の方式を採用する3D表示装置にも適用可能である。
【0024】
次に、3D視聴制限情報について説明する。3D視聴制限情報とは、3D表示装置における3D映像の表示に関してなんらかの条件(例えば、条件を満たす場合にのみ3D映像の表示を許可する等)がある場合に、その条件を示す情報である。3D視聴制限情報は、光ディスクメディアに記録されていてもよいし、著作権保護に付随して、所定の光ディスクメディアまたは映像信号再生装置の種別で定義されていてもよい。BDプレーヤ等の映像信号再生装置は、これらの3D視聴制限情報に基づき、コンテンツの3D視聴制限情報メタデータを映像出力に付与して出力する。
【0025】
セットトップボックスなど、映像信号再生装置が放送を受信するチューナを持っている場合は、放送波に含まれる3D視聴制限情報に基づき、コンテンツの3D視聴制限情報メタデータをチューナで受信してデコードした映像信号に付与して出力するように構成してもよい。
【0026】
図2はHDMI伝送時の3D映像フォーマットに関する情報が記述されたHDMI Vendor Specific InfoFrameのデータ構造を示す図である。縦にByte単位のアドレス番号を、横に各Byteのbit単位の構成を表している。まずHDMI Vendor Specific InfoFrameのアドレス番号PB4のHDMI_Video_Formatは映像信号がHDMIが独自に定義した映像フォーマットであることを示しており、「000」は一般の2D映像信号、「001」は4k2kの2D映像信号、「010」は3D映像信号を意味している。なお、4k2kの2D映像信号とは、1フレームの画素数がフルHD1920×1080画素の約2倍の画素(具体的には4096×2160または3840×2160画素)の映像信号である。
【0027】
HDMIでは予約領域(Reserved(0))とされているアドレス番号PB4のbit 4の1bitを、2D映像から3D映像へ変換するいわゆる3D変換に関する3D視聴制限情報の存在を示すものとして図2では「3D_Limit_Present」と定義している。この3D_Limit_Presentが「0」であれば3D視聴制限情報は無し、「1」であれば3D視聴制限情報が別途記載されることを意味する。
【0028】
図2では一般の2D映像伝送を想定しており、HDMI_Video_Formatは「000」が設定される。この場合はPB5以降は予約領域Reserved(0)となるので、この予約領域の最初のPB5を3D視聴制限情報の詳細を記載する領域「3D_Conversion_Condition」に割り当てている。
【0029】
図3は3D_Conversion_Conditionに示される3D視聴制限情報の詳細の例を示している。「3D変換禁止」(Bit7)、「両眼視差量の上限を50mmとした上で3D変換を許可する」(Bit6)、「両眼視差量の上限をFull HD解像度の場合で57ピクセルとした上で3D変換を許可する」(Bit5)、「一定サイズ以下の表示装置であれば3D変換を許可する」(Bit4,3)、「シャッターメガネ方式の3D表示装置でのみ3D変換を許可する」(Bit2,1)、「5.1ch音声システムを備えた3D表示装置でのみ3D変換を許可する」(Bit0)といった場合が挙げられるが、これらの複数が組み合わさった条件を設定することもできる。なお、両眼視差量の上限等の具体的な数値は一例であり、本発明は当該数値に限定されない。
【0030】
また、「3D変換禁止」のみの設定でよい場合は、HDMI Vendor Specific InfoFrameは図2に代えて図4の様に簡略記載するやり方でも良い。アドレス番号PB4のbit 4、3の2bitにより「3D_Convesion」を設定してもよい。図5はこの3D_Convesionの一例である。「3D変換に関する情報無し」「3D変換を許可」「3D変換禁止」を設定している。
【0031】
このように3D変換についての情報が添付された2D信号は図1中の3D表示装置12中の映像プロセッサ122内で処理される。図6は3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信した時の映像プロセッサ122内で処理される動作のフローチャートの一例である。
【0032】
まず3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信する(S601)。この2D信号のHDMI Vendor Specific InfoFrameに記載されたメタデータを解析し、3D変換禁止信号の有無を検出する(S602)。その結果、3D変換禁止がなされていなければ、視聴者は2Dで視聴するか、3D変換後の映像を視聴するかをリモコン操作等により選択することができ(S605)、選択した映像を視聴することができる(S604、606、607)。3D変換禁止信号が検出された場合、3D表示装置は3D変換機能を無効化し、3D変換動作が出来ないようにする(S603)。そのため、視聴者は2D映像の視聴しか選択はできない(S604)。
【0033】
図7は3D変換禁止信号を受けても視聴者の意思により強制的に3D変換を強行できる3D表示装置の場合の動作フローチャートの一例である。この場合、3D変換機能を無効化することは出来ないので、3D変換禁止信号を検出する前に視聴者が2D視聴するか3D視聴をするかを選択する。
【0034】
3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信すると(S701)、ユーザが2D映像の視聴か3D映像の視聴を選択する(S702)。ユーザが2D映像の視聴を選択した場合、3D映像への変換は行わず、2D映像の表示を行う(S708)。
【0035】
S702でユーザが3D映像の視聴を選択した場合、3D変換禁止信号の有無を検出する(S703)。3D変換禁止信号が無い場合、3D映像への変換を行い(S706)、視聴者は3D映像に変換された映像を視聴できる(S707)。
【0036】
S703で3D変換禁止信号が検出された場合、表示画面にOSD(オンスクリーンディスプレイ)等により、「3D変換は推奨されていませんが、3D表示しますか?」等の警告する表示を出す(S704)。その上で、視聴者に3D変換を強行するかどうかの意思を確認し(S705)、視聴者の選択により3D映像への変換の有無を決める。
【0037】
図8は3D変換機能を持つ3D表示装置が条件付3D変換許可2D信号を受信した場合の動作フローチャートの一例である。まず3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信する(S801)。この2D信号のメタデータを解析し、「条件付3D変換許可2D信号」の有無を検出する(S82)。
【0038】
その結果、「条件付3D変換許可」がなされていなければ、視聴者は2Dで視聴するか、3D変換後の映像を視聴するかを選択することができ(S806)、2D映像の視聴が選択されると、3D映像への変換は行わずに2D映像を表示し(S805)、3D映像の視聴が選択されると3D映像への変換を行い(S807)、3D映像を表示する(S808)。
【0039】
「条件付3D変換許可」信号が検出された場合、3D表示装置は表示装置の構成が条件に合っているか、あるいは指定された条件での3D変換を行う能力を備えているかの判断をする(S803)。許可条件に合っていなかった場合、3D変換機能を無効化し(S804)、2D映像の表示を行う(S805)。許可条件に合っていた場合、視聴者は2Dで視聴するか、3D変換後の映像を視聴するかを任意に選択することができる(S806)。
【0040】
当該構成により、映像信号に重畳された3D視聴制限情報に従った3D表示の制限を実行できる。
【実施例2】
【0041】
実施例1では3D視聴制限情報の詳細を図2の「3D_Conversion_Condition」に記載することを想定している。しかしながら、細かく複雑な条件を全て規格化して信号を割り当てることは困難となる可能性がある。
【0042】
そこで、HDMI Vendor Specific InfoFrame には識別番号に相当する情報のみを記載し、詳細な3D視聴制限に関する情報はネットワーク上のサーバー等外部機器に問い合わせるようにしても良い。また、サーバ接続で制限情報を得るにより、コンテンツ保有者が市場動向を見て視聴条件を緩和または強化したり、キャンペーンとの連動といったタイムリーな対応も可能になることも長所として挙げられる。
【0043】
図9は、この場合のHDMI Vendor Specific InfoFrameのデータ構造の例である。HDMI Vendor Specific InfoFrameのアドレス番号PB4のbit3を「3D_Server_Present」と定義し、詳細な制限情報がサーバーに登録されているか否かを示す。
【0044】
ここが「0」であれば、 サーバーへの情報の問い合わせは必要なくなり、「3D_Conversion_Condition」の情報に従う。「1」であれば、制限情報がサーバー上にあることを意味する。この時、表示装置がネットワークに接続されていない等サーバーに情報の問い合わせができない可能性もあるので、その場合は「3D_Conversion_Condition」の情報に従う。
【0045】
従って「3D_Server_Present」が「1」であっても「3D_Conversion_Condition」に制限情報が記載されていることが望ましい。サーバーへの問い合わせが成功した場合にのみサーバー記載の情報が「3D_Conversion_Condition」の情報よりも優先されることになる。
【0046】
「3D_Server_Present」が「1」の場合には、さらにHDMI Vendor Specific InfoFrameのアドレス番号PB6に「3D_Limit_Code」として定義する領域に制限情報の識別番号を記載する。表示機器はこの識別番号を基に制限情報を認識し、その制限に従って処理を行う。
【0047】
図10は制限情報を外部機器に問い合わせる場合の機器の構成の一例である。3D表示装置12はネットワーク接続部126からネットワーク回線を通じて外部サーバーと繋がっている。映像プロセッサにおいて映像信号が「制限情報を外部サーバーに問い合わせよ」を意味する信号と判断した場合、外部サーバーに制限情報を問い合わせ、その制限に従って処理を行う。
【0048】
また、制限情報は表示装置内のメモリに保存され、外部サーバーはその制限情報が更新されると表示装置のメモリ内の情報を上書きするようにしても良い。その場合、映像プロセッサは制限情報を表示装置内のメモリに問い合わせることが出来るので、処理を高速化できる。
【0049】
図11は3D変換機能を持つ3D表示装置が条件付3D変換許可の2D信号であって、条件を外部機器に問い合わせる必要のある信号を受信した場合の動作フローチャートの一例である。
【0050】
まず3D変換機能を持つ3D表示装置が2D信号を受信し(S1101)、3D変換禁止信号を検出する(S1102)。3D変換禁止信号が検出された場合、3D映像へ変換する機能を無効化し(S1109)、2D映像の表示を行う(S1112)。
【0051】
S1102で3D変換禁止信号が検出されなかった場合、「条件付3D変換許可」信号を検出する(S1103)。
【0052】
その結果、「条件付3D変換許可」が検出されなければ、視聴者の選択に応じて(S1110)2D映像の表示(S1112)、または3D映像への変換(S1111)、3D映像の表示(S1108)を行う。
【0053】
「条件付3D変換許可」信号が検出された場合、3D表示装置は「条件」が信号に直接記載されているか否かを判定する(S1104)。その結果、「条件」が信号に直接記載されていなかった場合は、サーバ等の外部機器に「条件」に関する問い合わせを行う(S1105)。
【0054】
続いて、得られた「条件」に表示装置の構成が条件に合っているか否かの判断をする(S1106)。許可条件に合っていなかった場合、3D変換機能を無効化し(S1109)、2D映像の表示を行う(S1112)。許可条件に合っていた場合、「条件」に従って3D映像への変換を行い(S1107)、3D映像を表示する(S1108)。なお、S1106で条件に合っていたとしても、ユーザの選択により2D映像を表示可能な構成にしてもよい。
【0055】
当該構成により、少ないbit数で複雑な3D視聴制限情報の設定が可能となったり、タイムリーに3D視聴制限情報を変更、追加することが可能となる。
【実施例3】
【0056】
実施例1、2は3D変換に関する情報をメタデータとして映像信号に記載することを想定している。しかしながら、メタデータはセットトップボックス等中間機器を経由する間の処理により改変や消失する恐れがある。このようなことを回避するため、メタデータ以外の形で3D変換に関する情報を記載してもかまわない。
【0057】
一例としては、ウォーターマークとして映像信号中の色信号に情報を記載する、等がある。図12はこの場合の機器の構成の例である。映像信号再生装置11から伝送された映像信号を3D表示装置12のHDMI入力端子121が受け取る。HDMI出力端子121からウォーターマーク検索部127に送られた映像信号の色信号の中からウォーターマークの検出が行われる。その検出結果と映像信号が映像プロセッサ122に送られ、映像プロセッサ122は受け取った検出結果を基に処理を行う。
【0058】
当該構成により、3D視聴制限情報をメタデータとしては無く映像信号の色信号中に記載することが可能となり、メタデータを利用せずに3D映像の表示の制限を実現できる。
【実施例4】
【0059】
実施例1〜3は2D映像信号からの3D変換に制約を加えることを想定しているが、3D映像信号を表示する際に制限を加える場合もある。例としては、「コンテンツ作成者が必ず3Dで視聴してもらいたい場合に2D視聴を禁止する」「2D表示する場合には左眼用映像を表示する」「両眼視差量の上限をxx mmとした上で3D変換を許可する」、「両眼視差量の上限をFull HD解像度の場合でxxピクセルとした上で3D変換を許可する」、「一定サイズ以下の表示装置であれば3D変換を許可する」、「裸眼方式の3D表示装置でのみ3D変換を許可する」、「「5.1ch音声システムを備えた3D表示装置でのみ3D変換を許可する」といったことが挙げられる。
【0060】
図13はこの場合のHDMI Vendor Specific InfoFrameの一例である。「HDMI_Video_Format」に3D信号であることを意味する「010」が記載される。さらに「3D_Limit_Present」は「変換制限有り」を示す「1」が記載される。実施例1では前者が「000」、後者が「1」であったが、本実施例のように前者が「010」、後者が「1」の場合は、続く「3D_Conversion_Condition」の定義が図3とは異なるものになる。
【0061】
図14は本実施例のように3Dコンテンツを表示する際に制限を加える、すなわち「HDMI_Video_Format」が「010」、「3D_Limit_Present」が「1」の場合の「3D_Conversion_Condition」の一例を示す図である。3Dコンテンツを2D表示する場合、あるいは3Dコンテンツを3D表示する場合の制限が記載される。
【0062】
当該構成により、3D映像信号を表示する際に3D視聴制限情報に従った表示をすることができる。
【実施例5】
【0063】
図15は2Dや3D表示を規制する信号が付加された映像信号を作成する信号発生器の構成例である。図1に示した構成例における映像信号再生装置11と3D表示装置12の中間に映像信号発生装置16を配置している。
【0064】
この信号発生装置15が映像信号再生装置11から伝送された映像信号をHDMI入力端子161で受け取る。映像信号内容検索部162は受け取った映像信号の色信号の内容を検索する。この検索結果を3D視聴条件判定部163が受け取り、「3D変換した場合に両眼視差の量が過大となる」「短時間に両眼視差の量が急激に変化することから3Dで視聴することは好ましくない」「シーンチェンジが頻繁にあり、3Dで視聴することは好ましくない」といった3D視聴条件に関するデータに基づいて3D変換を規制する必要性を判定する。
【0065】
その判定結果をメタデータ重畳部165が受け取り、2D信号にメタデータを重畳した映像信号を作成する。またコンテンツ作成者の意図などに基づき2D表示や3D表示を規制する必要がある等の場合は、重畳メタデータ作成部164においてキーボード入力等で規制情報が作成され、その規制情報をメタデータ重畳部165が受け取り、2D信号にメタデータとして重畳した映像信号を作成する。3D変換を規制するメタデータが添付された2D信号は3D表示装置12に伝送され、メタデータ記載の3D変換規制情報に従った処理がなされる。
【0066】
当該構成により、元の映像信号には記載されていない3D視聴制限情報を重畳した映像信号を作製・送信することができる。
【0067】
なお、上記の各実施例において、3D映像への変換処理は映像プロセッサ122で行われてもよいし、映像プロセッサとは別の変換処理部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0068】
11 映像信号再生装置、111 光ディスクドライブ、112 光ディスクASSP、113 HDMI出力端子、12 3D表示装置、121 HDMI入力端子、122 映像プロセッサ、 123 TCON、124 表示パネル、125 3Dメガネ同期信号発生器、126 ネットワーク接続部、127 ウォーターマーク検索部、13 HDMIケーブル、14 シャッターメガネ、15 サーバー装置、16 映像信号発生装置、161 HDMI入力端子、162 映像信号内容検索部、163 3D視聴条件判定部、164 重畳メタデータ作成部、165 メタデータ重畳部、166 HDMI出力端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを外部の表示装置へ出力する再生装置であって、
コンテンツをデコードするデコード部と、
前記デコード部でデコードされたコンテンツを外部の表示装置へ出力する出力部とを有し、
出力するコンテンツが3D映像の表示を制限されるコンテンツであった場合は、前記出力部から出力されるコンテンツに3D映像の表示の制限に関する情報が付加されていることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
請求項1の再生装置であって、
記録媒体から当該記録媒体に記録されているコンテンツを再生する記録再生部を有し、
前記3D映像の表示を制限されるコンテンツは3D映像の表示の制限を示す情報と共に前記記録媒体に記録されていることを特徴とする再生装置。
【請求項3】
請求項1の再生装置であって、
コンテンツを含む放送波を受信する受信部を有し、
前記3D映像の表示を制限されるコンテンツは3D映像の表示の制限を示す情報と共に前記放送波を介して前記受信部で受信されることを特徴とする再生装置。
【請求項4】
コンテンツを外部の表示装置へ出力する再生方法であって、
コンテンツをデコードするステップと、
前記デコードされたコンテンツを外部の表示装置へ出力するステップとを有し、
出力するコンテンツが3D映像の表示を制限されるコンテンツであった場合は、出力するコンテンツに3D映像の表示の制限に関する情報を付加することを特徴とする再生方法。
【請求項5】
請求項4の再生方法であって、
記録媒体から当該記録媒体に記録されているコンテンツを再生するステップを有し、
前記3D映像の表示を制限されるコンテンツは3D映像の表示の制限を示す情報と共に前記記録媒体に記録されていることを特徴とする再生方法。
【請求項6】
請求項4の再生方法であって、
コンテンツを含む放送波を受信するステップを有し、
前記3D映像の表示を制限されるコンテンツは3D映像の表示の制限を示す情報と共に前記放送波を介して受信されることを特徴とする再生方法。
【請求項1】
コンテンツを外部の表示装置へ出力する再生装置であって、
コンテンツをデコードするデコード部と、
前記デコード部でデコードされたコンテンツを外部の表示装置へ出力する出力部とを有し、
出力するコンテンツが3D映像の表示を制限されるコンテンツであった場合は、前記出力部から出力されるコンテンツに3D映像の表示の制限に関する情報が付加されていることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
請求項1の再生装置であって、
記録媒体から当該記録媒体に記録されているコンテンツを再生する記録再生部を有し、
前記3D映像の表示を制限されるコンテンツは3D映像の表示の制限を示す情報と共に前記記録媒体に記録されていることを特徴とする再生装置。
【請求項3】
請求項1の再生装置であって、
コンテンツを含む放送波を受信する受信部を有し、
前記3D映像の表示を制限されるコンテンツは3D映像の表示の制限を示す情報と共に前記放送波を介して前記受信部で受信されることを特徴とする再生装置。
【請求項4】
コンテンツを外部の表示装置へ出力する再生方法であって、
コンテンツをデコードするステップと、
前記デコードされたコンテンツを外部の表示装置へ出力するステップとを有し、
出力するコンテンツが3D映像の表示を制限されるコンテンツであった場合は、出力するコンテンツに3D映像の表示の制限に関する情報を付加することを特徴とする再生方法。
【請求項5】
請求項4の再生方法であって、
記録媒体から当該記録媒体に記録されているコンテンツを再生するステップを有し、
前記3D映像の表示を制限されるコンテンツは3D映像の表示の制限を示す情報と共に前記記録媒体に記録されていることを特徴とする再生方法。
【請求項6】
請求項4の再生方法であって、
コンテンツを含む放送波を受信するステップを有し、
前記3D映像の表示を制限されるコンテンツは3D映像の表示の制限を示す情報と共に前記放送波を介して受信されることを特徴とする再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−80305(P2012−80305A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223384(P2010−223384)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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