説明

再生装置

【課題】再生装置が第1の記録媒体に記録されているコンテンツを利用中に、着脱可能な第2の記録媒体を再生装置に追加することで、追加したデータを含めた形でコンテンツを利用することを可能にする。
【解決手段】着脱可能な第1の記録媒体に記録されているコンテンツを再生する再生装置において、着脱可能な第2の記録媒体が接続されたことを検出する検出手段と、該検出手段による検出結果に基づき、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報を、前記第2の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報と統合させて、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報を仮想的に更新する更新手段とを備え、仮想的に更新されたコンテンツを、仮想的に更新されたコンテンツの再生情報を基に再生する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、再生装置において、記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報をもとにコンテンツを再生中に、コンテンツやコンテンツの再生情報等のデータが記録された着脱可能な別の記録媒体を再生装置に追加しても、新規に追加したデータを含めた形でコンテンツを利用することが可能な再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、再生専用映像コンテンツを視聴するためにDVDプレーヤが一般的に使われている。DVDプレーヤでは、単にコンテンツを先頭から再生するだけでなく、好みの位置からの再生、好みの順番での再生、字幕の切り替え、音声言語の切り替えなどユーザがインタラクティブに再生を行う機能を有する。しかしこの場合、ユーザーはDVDプレーヤがロードしたディスクに既に記録されている映像コンテンツ、字幕、音声の範囲内でしか再生を行うことができないという問題点があった。
【0003】
この改善策として、プレーヤに内蔵したローカルストレージに、ネットワーク経由でダウンロードしたアップデート用の音声ファイルを格納して、ディスク上のファイルとローカルストレージ上のファイルを仮想的に統合(マージ)して仮想ファイルシステムを構成することにより、プレーヤがアップデートした音声ファイルを再生することを可能としている(例えば、特許文献1参照。)。
また、プレーヤに内蔵したローカルストレージに、ネットワーク経由でダウンロードしたアップデート用の追加コンテンツを格納して、ディスク上のファイルとローカルストレージ上のファイルを仮想的にマージして仮想ファイルシステムを構成することにより、プレーヤが新規追加したコンテンツを再生することを可能としているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−159589号公報(第27頁、第4図)
【特許文献2】特開2006−33067号公報(第41頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に参照される方式においては、ローカルストレージが常に内蔵されていることを想定している。しかしローカルストレージとして使用可能な記憶メディアは内蔵式のものに限らず、例えば、USBメモリ、USB−HDD、CompactFlashメモリカード等の着脱式の記憶メディアを使用することも可能である。
この場合、ユーザが任意に挿抜する可能性があるため、ディスクをプレーヤがロードした時点ではローカルストレージが装着されておらず、仮想ファイルシステムが構成された後に、アップデートデータを含んだローカルストレージが装着される場合が発生する。この場合、従来の方法では、ユーザがローカルストレージを装着するという事象に呼応してコンテンツ等のデータのアップデートを有効にすることができなかった。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、プレーヤがディスクをロードした後に、着脱式のローカルストレージを装着した場合に、プレーヤがディスクに含まれているコンテンツやコンテンツの再生情報と、新たに装着されたローカルストレージに含まれているコンテンツやコンテンツの再生情報とをマージすることによって、コンテンツのアップデートを有効にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る再生装置は、着脱可能な第1の記録媒体に記録されているコンテンツを再生する再生装置において、着脱可能な第2の記録媒体が接続されたことを検出する検出手段と、該検出手段による検出結果に基づき、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報を、前記第2の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報と統合させて、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報を仮想的に更新する更新手段とを備え、仮想的に更新されたコンテンツを、仮想的に更新されたコンテンツの再生情報を基に再生するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、再生装置がコンテンツおよびコンテンツの再生情報を含んだ第1の記録媒体をロードした後に、着脱式の第2の記録媒体を装着した場合に、新たに装着された第2の記録媒体の検出に呼応して、第1の記録媒体に含まれているコンテンツおよびコンテンツの再生情報と、新たに装着された第2の記録媒体に含まれているコンテンツおよびコンテンツの再生情報とを統合するので、コンテンツのアップデートが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明の再生装置を、映像再生装置を例に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1による映像再生装置のハードウェア構成を示す構成図である。
映像再生装置1はシステムコントローラ2、ROM3、RAM4、ローカルストレージコントローラ5、ネットワークコントローラ6、再生ドライブ8、映像・音声デコーダ9、画像出力制御部10、および音声出力制御部11から構成される。
システムコントローラ2は再生装置全体を制御するためのブロックであり、マイクロプロセッサを内蔵している。ROM3にシステムコントローラ2が動作するためのプログラムおよびデータが格納されている。RAM4はシステムコントローラが動作する際のワークエリア、データ処理を行う際のバッファエリアなどに使用される。
【0010】
再生ドライブ8は光ディスク(第1の記録媒体)12をロードした後、データを読み出し、その読み出したデータをシステムコントローラ2の制御に応じて、映像・音声デコーダ9やシステムコントローラ2に対して送る。
なお、この光ディスク12は一例であり、磁気記録、半導体記録などの方法によるメディアでもかまわない。
音声・映像デコーダ9は多重化された状態で再生ドライブ8から送られてきたデータを、映像ストリーム、音声ストリーム等に分離した上で、それぞれ所定のフォーマットで圧縮符号化された映像ストリームおよび音声ストリームに復号化処理を行う。
復号化された映像データは画像出力制御部10に送られ、復号化された音声データは音声出力制御部11に送られる。
画像出力制御部10は受け取った映像データを映像信号に変換して、表示部13に送る。画像出力制御部10は映像信号に変換する際に、システムコントローラ2が生成したグラフィックスデータを合成したり、スケーリング処理なども同時に実施する場合もある。 表示部13は受け取った映像信号に応じた映像を画面上に表示する。
また同時に、音声出力制御部11は受け取った音声データを音声信号に変換して、音声出力部14に送る。
音声出力部14は受け取った音声信号に応じた音声を出力する。
【0011】
ローカルストレージ(第2の記録媒体)7はローカルストレージコントローラ6を介して映像再生装置1に接続される。ローカルストレージ7は着脱可能であり、ローカルストレージ7とローカルストレージコントローラ6との間の接続インターフェースは、例えば、USB、IEEE1394などのシリアルバス、PCカード、CompactFlashなどホットプラグに対応している方式であれば何でも良い。
システムコントローラ2は、ローカルストレージコントローラ5を経由して、ローカルストレージ7にアクセスすることで、データをローカルストレージ7から読み出したり、書き込んだりすることができる。また、システムコントローラ2は割り込みや、状態ポーリングなどの方法によってローカルストレージ7が接続されたことを速やかに検出する検出手段を持つ。逆にローカルストレージ7が切断されたことも同様に速やかに検出する検出手段も併せて持つ。
【0012】
また、システムコントローラ2はネットワークコントローラ6に接続されており、これを介してインターネットを含むネットワークに接続することが可能となっている。システムコントローラ2はネットワークを介して不図示のサーバなどからアップデート用のデータをダウンロードすることができる。
なお、ネットワークの方式はIEEE802.3などの有線LANをはじめとして、IEEE802.11a/b/gなどの無線LANなどのいずれの方式を使用しても良い。 また、映像再生装置1がネットワークコントローラ6を有さず、直接ネットワークに接続しない構成もありうる。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態1による映像再生装置で再生する光ディスクに記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報の論理的構造を示した図であり、コンテンツはContent InfoとContent Streamとで構成され、コンテンツの再生情報は目次テーブルと、Content Objectと、Playback Infoとで構成される。
目次テーブルは最上位の情報であり、映像再生装置1が光ディスク12をロードした際に一番最初に再生する画面(初期再生画面)「Initial Playback」、メインメニュー画面を示す「Main Menu」、各題名を示す「Entry」という要素が含まれる。上記各要素はそれぞれ、初期再生画面、メインメニュー画面、各表題に対応するプログラムへのエントリーポイントの情報が含まれている。
【0014】
Content Object(1)〜(3)はインタラクティブ再生を実現するためのインタラクティブコマンドを含んだプログラムであり、各Content Object(1)〜(3)は目次テーブルの各要素から参照されている。
映像再生装置1は目次テーブルを検索することによって、Content Object(1)〜(3)を呼び出すことが可能である。Content Object中のインタラクティブコマンドはPlayback Infoによる再生を開始したり(例えば図2のContent Object(1)からPlayback Info(1))、他のContent Objectを起動したりすることができる(例えば図2のContent Object(3)からContent Object(4))。
Playback Infoはコンテンツの再生方法を示すための再生情報であり、実際のコンテンツのストリームデータにおける再生区間を示す情報であるPlayTermを1つもしくは複数含んでいる。PlayTermはストリームデータを時系列で見た場合における再生区間に関する開始時間および終了時間という2つの情報を有する。
【0015】
実際のコンテンツのストリームデータは、図2ではContent Streamとして示している。
Content Streamは、例えばMPEG2−TS(Moving Picture Experts Group2−Transport Stream)の形式で多重化された映像および音声のデータを含んでいる。
このストリームデータが光ディスク12に記録される場合、バイト列のファイルとして記録されるため、そのままでは再生時間をもとに参照することが困難である。このため、開始時間、終了時間などの時間情報と実際のストリームデータファイルの参照情報(アドレス情報)の対応関係を示すContent Infoファイルを使用する。
図2ではPlayback Info(1)は1つのPlayTermを含み、PlayTermが実際のストリームデータの1つであるContent Stream(1)全体をContent Info(1)ファイルを介して参照している。
【0016】
また、Playback Info(2)は2つのPlayTermを含み、おのおののPlayTermが実際のストリームデータの1つであるContent Stream(2)の前半と後半をContent Info(2)ファイルを介して参照している。
また、Playback Info(3)は1つのPlayTermを含み、このPlayTermが実際のストリームデータの1つであるContent Stream(2)の一部をContent Info(2)ファイルを介して参照している。
【0017】
図3は図2で示したコンテンツの論理的構造を実現するためのファイルシステム構造の一例について示したものである。
“root”ディレクトリの下に“MOVIE”ディレクトリが格納されており、その下にIndex情報ファイル、Content Objectファイル、Playback Infoディレクトリ、Content Infoディレクトリ、Content Streamディレクトリ、Extra Dataディレクトリが含まれている。
Index情報ファイルは、目次テーブルを含んだ情報ファイルであり、1枚のディスクに1つのみ含まれる。映像再生装置1は、このIndex情報ファイルの情報に従い、光ディスク12に含まれているコンテンツの再生用のメニュー画面を表示する。ユーザーがメニュー画面から選択した項目に従いIndex情報ファイルの該当する要素から参照されているContent Objectが実行される。
【0018】
Content Objectファイルは全てのContent Objectを含むファイルである。映像再生装置1が、ユーザ操作などによる状態に応じて、Index情報ファイルの情報をもとに、Content Objectを実行することで、Playback Infoによる再生を開始したり、他のContent Objectを起動したりすることができる。
【0019】
“Playback Info”ディレクトリは、その下に1つまたは複数のPlayback Infoファイルを含む。Content Objectは、これらPlayback Infoファイルの中から必要なPlayback Infoを呼び出してコンテンツの再生のために使用する。
【0020】
“Content Info”ディレクトリは、その下に1つまたは複数のContent Infoファイルを含む。
また、“Content Stream”ディレクトリは、その下に1つまたは複数のContent Streamファイルを含む。
前述した通り、Content Streamファイルは実際のコンテンツのストリームデータファイルであり、Content Infoファイルは開始時間、終了時間などの時間情報と実際のストリームデータファイルの参照情報(アドレス情報)との対応関係を示すための情報ファイルである。Content InfoファイルとContent Streamファイルとはそれぞれ1対1で対応している。
【0021】
“Extra Data”ディレクトリは、コンテンツ以外の付加的なデータを格納するディレクトリである。図3の例では字幕などに使用する追加フォントファイルと、ユーザ操作に応じて確認音を出すなどの用途に使用する効果音ファイルとが格納されている。
【0022】
光ディスク12に含まれているコンテンツに対して、ローカルストレージ7に格納されているのコンテンツを追加するために、仮想ファイルシステムを使用する。図4はその概念を示した図である。
映像再生装置1に搭載されているシステムコントローラ2によって実行されるアプリケーションから、光ディスク12上のファイルシステムおよびローカルストレージ7上のファイルシステムにアクセスする場合は、直接それぞれのファイルシステムにアクセスせずに、仮想ファイルシステムを介してアクセスを行う。
【0023】
図5は仮想ファイルシステムを含んだ構成におけるシステムコントローラ2の機能ブロック構成例を示したものである。
図5において、各機能ブロックはシステムコントローラ2があらかじめROM3に格納されている制御ソフトウェアを実行することで実現している。
再生管理部21は、コンテンツの再生シーケンスを制御するブロックであり、ユーザ操作等に応じて、図2の目次テーブルを参照して、対応するアプリケーションである、Content Objectの起動、停止、切り替えなどの処理を行う。
アプリケーション20は、アプリケーション実行部22の上で動作し、図2のPlayback Infoをもとに、仮想ファイルシステム24を経由して、光ディスクファイルシステム部25またはローカルストレージファイルシステム部26からコンテンツのデータを読み出し、デコード・表示制御部23にデータを送る。
デコード・表示制御部23は、受け取ったコンテンツのデータをデコードし、映像を表示部13に、音声を音声出力部14に出力する。
仮想ファイルシステム部(更新手段)24は、光ディスクファイルシステム部25およびローカルストレージファイルシステム部26を制御することによって、両方のファイルシステムのデータをマージした状態でアプリケーション20から読み書き可能とする。両方のファイルシステムのマージ処理は再生管理部21からの指令に従って行う。
【0024】
図6は光ディスク12上のファイルシステムとローカルストレージ7上のファイルシステムとから仮想ファイルシステムを構成する方法の一例を示したものである。
光ディスク12内のファイルシステム構造は、図3にて示した形式に準じている。また、光ディスク12には、このディスクを製作したメーカを区別するための“組織ID”と、コンテンツの内容(タイトル)ごとにディスクを区別するための“ディスクID”という2つの情報が書き込まれており、システムコントローラ2で動作するソフトウェア上から読み出すことが可能となっている。
“組織ID”はグローバルに一意であり、“ディスクID”は同じ“組織ID”のディスクのもとで一意である必要がある。本例では仮に“組織ID”をn、“ディスクID”をmとしている。
【0025】
ローカルストレージ7の内部のファイルシステムは、以下の通りである。追加するデータのトップディレクトリとしての“追加データ”ディレクトリの内部に、光ディスク12の“組織ID”に対応する“組織ID”ディレクトリが格納されている。このディレクトリは、ローカルストレージ7の内部に複数の組織が製造するディスクの追加データが格納されている場合、対応する組織の数だけ存在する。
“組織ID”ディレクトリの下には、光ディスク12の“ディスクID”に対応する“ディスクID”ディレクトリが格納されている。このディレクトリは、ローカルストレージ7の内部に同じ組織が製造する複数の光ディスク12の追加データが格納されている場合、対応する光ディスク12の数だけ存在する。
“ディスクID”ディレクトリの下には、“新コンテンツ”ディレクトリが格納されており、その下に追加するコンテンツに対応するファイルが格納されている。この例では新しいPlayback Info(再生情報)であるPlayback Info(新)ファイルと、新しいContent Info(映像・音声データ)であるContent Info(新)ファイルと、新しいContent Stream(映像・音声データ)であるContent Stream(新)ファイルである。
また、“ディスクID”ディレクトリの下には、マージ方針ファイルとマージ署名ファイルとが格納されている。
マージ方針ファイルは、光ディスク12上のファイルシステムとローカルストレージ7上のファイルシステムとから仮想ファイルシステムを構成する際の方針について明示したファイルである。このファイルは、ローカルストレージ7上のパス情報を含んだファイル名と仮想ファイルシステム上のパス情報を含んだファイル名との対応リストを含む。
マージ署名ファイルは、マージ方針ファイルの真正性を証明するためのファイルであり、内部に電子署名を含んだファイルである。
映像再生装置1(仮想ファイルシステム部24)はマージ署名ファイルで認証できるマージ方針ファイルのみを使用して仮想ファイルシステムを構成する。
さらに、“組織ID”ディレクトリの直下に“共通データ”ディレクトリが含まれる。“共通データ”ディレクトリの下には同じ組織によって製造される、異なるタイトルのディスク共通で使用可能なデータが格納される。本例では日本語フォントファイルが格納されている。
【0026】
ローカルストレージ7中のファイルシステムにおいて、映像再生装置1がロードした光ディスク12の“組織ID”および“ディスクID”に対応したディレクトリの下にマージ方針ファイルが存在しない場合、映像再生装置1(仮想ファイルシステム部24)は、光ディスク12上のファイルシステムの内容をそのまま仮想ファイルシステムの内容に反映する。すなわちアプリケーション20は仮想ファイルシステムを通じて、光ディスク12上のファイルシステムの内容をそのまま読み出すことが可能となる。
【0027】
マージ方針ファイルがローカルストレージ7上に存在する場合、映像再生装置1はマージ署名ファイルでマージ方針ファイルの真正性を確認した後、マージ方針ファイルに記載されている、ローカルストレージ7上のパス情報を含んだファイル名と仮想ファイルシステム上のパス情報を含んだファイル名との対応リストをもとに、光ディスク12上のファイルシステムの内容とローカルストレージ7上のファイルシステムの内容とをマージした上で仮想ファイルシステムの内容を仮想的に更新する。
図6の例ではマージ方針ファイルに4つの対応情報が記載されている。このファイルの内容は概念を示したものであり、実際のマージ方針ファイルの記載形式は、例えばXML(eXtended Markup Language)を用いたり、テキストによる独自の記載方法を用いたり、独自のバイナリフォーマットを用いたりすることができる。
さて、図6のマージ方針ファイルは、各“対応”ごとにファイルの関連を示しており、上の行がローカルストレージ7上のパス情報を含んだファイル名であり、下の行が仮想ファイルシステム上のパス情報を含んだファイル名を示している。
【0028】
映像再生装置1(仮想ファイルシステム部24)は、まず“対応1”の情報に従い、ローカルストレージ7上のファイルシステムにおける「追加データ/n/m/新コンテンツ/Playback Info(新)ファイル」を仮想ファイルシステム上の「root/MOVIE/Playback Info/Playback Info(1)ファイル」として読み出せるようにマージする。この場合、光ディスク12上のファイルシステムに「root/MOVIE/Playback Info/Playback Info(1)ファイル」がすでに存在するために、光ディスク上の「root/MOVIE/Playback Info/Playback Info(1)ファイル」がローカルストレージ7上の「追加データ/n/m/新コンテンツ/Playback Info(新)ファイル」に置き換わることになる。次に、“対応2”の情報に従い、ローカルストレージ7上のファイルシステムにおける「追加データ/n/m/新コンテンツ/Content Info(新)ファイル」を仮想ファイルシステム上の「root/MOVIE/Content Info/Content Info(2)ファイル」として読み出せるようにマージする。この場合は、光ディスク12上のファイルシステムに同名のファイルが存在しないため、ローカルストレージ7上の「追加データ/n/m/新コンテンツ/Content Info(新)ファイル」が新しいContent Info(2)ファイルとして追加されることになる。同様に“対応3”の情報に従い、ローカルストレージ7上のファイルシステムにおける「追加データ/n/m/新コンテンツ/Content Stream(新)ファイル」を仮想ファイルシステム上の「root/MOVIE/Content Info/Content Stream(2)ファイル」として読み出せるようにマージする。この場合は、光ディスク12上のファイルシステムに同名のファイルが存在しないため、ローカルストレージ7上の「追加データ/n/m/新コンテンツ/Content Stream(新)ファイル」が新しいContent Stream(2)ファイルとして追加されることになる。また、“対応4”の情報に従い、ローカルストレージ7上のファイルシステムにおける「追加データ/n/共通データ/日本語フォントファイル」を仮想ファイルシステム上の「root/MOVIE/Extra Data/日本語フォントファイル」として読み出せるようにマージする。この場合は、光ディスク12上のファイルシステムに同名のファイルが存在しないため、ローカルストレージ7上の「追加データ/n/共通データ/日本語フォントファイル」が新しい日本語フォントファイルとして追加されることになる。
【0029】
以上の動作の結果、アプリケーション20は仮想ファイルシステムを通じて、光ディスク12上のファイルシステムの内容がローカルストレージ7上のファイルシステムの内容によって仮想的に更新された内容を読み出すことができるようになる。
上記の例はオリジナルの光ディスク12のコンテンツに新たなコンテンツおよび日本語フォントが追加され、それに応じてPlayback Infoが変更された場合に該当する。
【0030】
さて、上記のような仮想ファイルシステムを使用する例において、ローカルストレージ7が図1で説明した通り着脱式の場合、ユーザがローカルストレージ7を抜いた状態で、映像再生装置1を起動し、光ディスク12を映像再生装置1にロードさせて、コンテンツの視聴を行い、途中でローカルストレージ7を映像再生装置1に接続する可能性がある。
この場合、起動時に構成された、光ディスク12の内容のみによる仮想ファイルシステムの内容を、できるだけ速やかに光ディスク12の内容とローカルストレージ7の内容とをマージした内容に構成しなおすことによって、ユーザが新規に追加されたコンテンツを視聴できるようにすることが望ましい。図7はこの機能を実現するための映像再生装置1の状態遷移例である。
【0031】
映像再生装置1の電源をONした直後の状態はステップS1の「未初期化状態」である。ここでユーザが光ディスク12を映像再生装置1にロードすると、再生管理部21が仮想ファイルシステム部24に対して仮想ファイルシステムの構成指令を発行し、ステップS10に遷移する。
ステップS10では仮想ファイルシステム部24がローカルストレージ7上にマージ方針ファイルを検索し、マージ方針ファイルが見つかった場合は図4にて説明した方法で、仮想ファイルシステムを構成し、映像再生装置1はステップS2の「実行可能状態」に遷移する。ステップS10の時点でローカルストレージ7が再生装置1に接続されていなかった場合、仮想ファイルシステム部24は光ディスク12のファイルシステムの内容のみで仮想ファイルシステムを構成した上でステップS2に遷移する。
【0032】
以降は、ステップS10の時点でローカルストレージ7が映像再生装置1に接続されていなかった場合を前提にして説明する。
ステップS2の状態では、再生管理部21がアプリケーション20を起動することが可能となっている。この状態において、ローカルストレージ7が再生装置1に接続された場合、再生管理部21はローカルストレージコントローラ5とローカルストレージ7とが有するホットプラグの機構を通じて、ローカルストレージ7の接続を検出する。このローカルストレージ接続検出の手段は割り込みを用いても、定期的に状態をモニタするポーリング方式を用いても良い。
再生管理部21は、ローカルストレージ7の接続を検出したら、仮想ファイルシステム部24に対して仮想ファイルシステムの再構成指令を発行し、ステップS11に遷移する。
ステップS11において、仮想ファイルシステム部24がローカルストレージ7上にマージ方針ファイルを検索し、マージ方針ファイルが見つかった場合は図4にて説明した方法で、仮想ファイルシステムを再度構成し直す。映像再生装置1の状態はステップS2「実行可能状態」で変化しない。これ以後はアプリケーション20が光ディスク12上のファイルシステムとローカルストレージ7上のファイルシステムとをマージしたデータを読み出すことが可能となる。
【0033】
さて、以降はステップS2の状態でまだローカルストレージ7が映像再生装置1に接続されていない場合を前提にして説明する。
再生管理部21は目次テーブルを参照してInitial Playbackの要素が有効だった場合、この内容に従って対応するアプリケーション(Content Object)を起動する(ステップS13)。この結果、映像再生装置1の状態はステップS3「実行中」に遷移する。
これ以外にステップS2からステップS3に遷移する条件は、ユーザによるメニュー画面呼び出し操作に従い、再生管理部21が目次テーブルを参照してMain Menuの要素が有効だったら、この内容に従って対応するアプリケーション(Content Object)を起動する場合(ステップS14)、ユーザによるコンテンツサーチ操作に従い、再生管理部21が目次テーブルを参照して該当するするEntryの要素が有効だったら、この内容に従って対応するアプリケーション(Content Object)を起動する場合(ステップS15)、ユーザによるInitial Playback呼び出し操作に従い、再生管理部21が目次テーブルを参照してInitial Playbackの要素が有効だった場合、この内容に従って対応するアプリケーション(Content Object)を起動する(ステップS13)場合などがある。
【0034】
この状態において、ローカルストレージ7が再生装置1に接続された場合、再生管理部21はローカルストレージコントローラ5とローカルストレージ7とが有するホットプラグの機構を通じて、ローカルストレージ7の接続を検出する。
ステップS16において、再生管理部21はデコード・表示制御部23を通じて、ユーザに対して、仮想ファイルシステムの更新を促し、実行のタイミングを選択させるためのメッセージを表示部13に表示する。この選択表示画面をポップアップメニュー形式で追加ウィンドウとして表示した例を図8に示す。ユーザはリモコンなどの入力手段で今すぐ更新するか、後で更新するかを選択する。
【0035】
再生管理部21はステップS17においてユーザの選択を判定し、ユーザが「今すぐ実行する」選択を行った場合、仮想ファイルシステム部24に対して仮想ファイルシステムの再構成指令を発行し、ステップS11に遷移する。
ステップS11において仮想ファイルシステム部24が前述の方法で仮想ファイルシステムを再度構成し直し、映像再生装置1の状態はステップS2に遷移する。
結果としてこれ以後はアプリケーション20が光ディスク12上のファイルシステムとローカルストレージ7上のファイルシステムとをマージしたデータを読み出すことが可能となる。
【0036】
また、ステップS17においてユーザが更新を「あとで実行する」を選択したと判断した場合、再生管理部21はRAM4上の任意の領域に割り当てている「再構成保留フラグ」をONにする(ステップS18)。この際の映像再生装置1の状態はステップS3のままである。
【0037】
ステップS3の状態で、ユーザによる停止操作が行われると、ステップS19で再生管理部21は実行中のアプリケーション20(Content Object)の実行を停止し、ステップS20で「再構成保留フラグ」の状態を判定する。「再構成保留フラグ」がOFFの場合は仮想ファイルシステムを再構成する必要がないため、何もせずにステップS2の「実行可能状態」に遷移する。「再構成保留フラグ」がONの場合は、再生管理部21は仮想ファイルシステム部24に対して仮想ファイルシステムの再構成指令を発行し、ステップS11に遷移する。
ステップS11において仮想ファイルシステム部24が前述の方法で仮想ファイルシステムを再度構成し直し、映像再生装置1の状態はステップS2に遷移する。
結果としてこれ以後はアプリケーション20が光ディスク12上のファイルシステムとローカルストレージ7上のファイルシステムとをマージしたデータを読み出すことが可能となる。
【0038】
なお、本実施の形態では、光ディスク12やローカルストレージ7に映像・音声データが記録され、この映像・音声データを再生する映像再生装置を示したが、映像再生装置に限らず、音声データが再生される再生装置であってもよい。
【0039】
以上説明したように、本発明においては、再生装置がディスクをロードした後に、着脱式のローカルストレージを装着した場合に、着脱式のローカルストレージの装着に呼応して、ディスクに含まれているコンテンツやコンテンツの再生情報と、新たに装着されたローカルストレージに含まれているコンテンツやコンテンツの再生情報とをマージすることによって、コンテンツのアップデートを速やかに行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の活用例としてBlu−rayディスクプレーヤに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施の形態1による映像再生装置のハードウェア構成を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による映像再生装置で再生する光ディスクに記録されているコンテンツの論理的構造を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係わるファイルシステム構造の一例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わる仮想ファイルシステムの概念を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係わるシステムコントローラの機能ブロック構成例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係わる仮想ファイルシステムを構成する方法を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1による映像再生装置の状態遷移例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1による映像再生装置にローカルストレージが接続された際のGUI画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 映像再生装置、2 システムコントローラ、3 ROM、4 RAM、5 ローカルストレージコントローラ、6 ネットワークコントローラ、7 ローカルストレージ、8 再生ドライブ、9 映像・音声デコーダ、10 画像出力制御部、11 音声出力制御部、12 光ディスク、13 表示部、14 音声出力部、20 アプリケーション、21 再生管理部、22 アプリケーション実行部、23 デコード・表示制御部、24 仮想ファイルシステム部、25 光ディスクファイルシステム部、26 ローカルストレージファイルシステム部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な第1の記録媒体に記録されているコンテンツを再生する再生装置において、着脱可能な第2の記録媒体が接続されたことを検出する検出手段と、該検出手段による検出結果に基づき、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報を、前記第2の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報と統合させて、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報を仮想的に更新する更新手段とを備え、仮想的に更新されたコンテンツを、仮想的に更新されたコンテンツの再生情報を基に再生することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
検出手段により第2の記録媒体が接続されたことを検出した際に、再生装置が第1の記録媒体に記録されているコンテンツを再生中であった場合、ユーザに更新処理実行のタイミングの選択を促す手段を備え、更新手段は、ユーザの選択結果に従ったタイミングで、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報を、前記第2の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報と統合させて、前記第1の記録媒体に記録されているコンテンツおよびコンテンツの再生情報を仮想的に更新することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
ユーザに更新処理実行のタイミングの選択を促す手段は、表示画面上に選択画面を追加ウィンドウとして表示することを特徴とする請求項2記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−294057(P2007−294057A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123360(P2006−123360)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】