説明

再生装置

【課題】インデックス情報が誤って記述されていても、この誤りを補正し、正常な特殊再生を実行できるようにした再生装置を提供する。
【解決手段】制御部6は、DivXファイル90から読み込んだオフセット情報が、DivXファイル90内におけるチャンクの記録位置を、画像音声ストリーム情報の先頭を原点とした第1位置、ヘッダ情報の先頭を原点とした第2位置、の内のどちらで示しているか判定する。オフセット情報がそのチャンクの記録位置を第2位置で示されている時、制御部6は、そのオフセット情報から減算値を減算した補正値を算出する。そして、制御部6は、DivXファイル90の再生中に特殊再生が指示されると、算出した補正値に基づいて特殊再生を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッダ情報と動画データと動画ファイル内における動画データの記録位置を示すインデックス情報とをこの順番で格納する動画ファイルを再生する再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、性能の高いコンピュータの普及やメディアの大容量化によって、動画ファイルを取り扱う再生装置が増加してきている。しかし、動画ファイルの容量は大きいため、動画ファイルを再生するために再生装置は膨大な量のデータを処理することになる。
【0003】
そこで、動画ファイルの容量を小さくし、かつ画像の劣化を少なくする圧縮技術として考案されたものにDivXがある。DivXは、MPEG4を基にした画像や音声データを圧縮・伸張する圧縮技術の一種であり、最近では、DivXファイルの再生に対応した家庭用DVDプレーヤ等の再生装置が市場に登場しつつある。
【0004】
DivXファイルには、ヘッダ情報と、画像および音声が記述された動画データと、DivXファイル内における動画データの記録位置を示すインデックス情報と、がこの順に格納されている。さらに、DivXファイルでは、その記録位置を動画データの先頭を原点とした第1位置で示すことが定義されているフォーマットでインデックス情報が記述される。
【0005】
再生装置は、早送り再生等の特殊再生がユーザから指示されると、このインデックス情報に基づいて特殊再生を実行する。これによりユーザは、再生装置に接続されるテレビジョン等において、特殊再生される画像や音声を視聴できる。
なお、特許文献1では、フォーマットデータ生成方法が提案されている。
【特許文献1】特開2008−47168公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インデックス情報において、DivXファイル内におけるバイナリデータの記録位置がヘッダ情報の先頭を原点とした第2位置で記述されていることがあった。その主な原因には、画像データや音声データをエンコードしてDivXファイルを作成する際のエンコードミスが挙げられる。
このようにインデックス情報が誤って記述されている場合に早送り再生等がユーザから指示されると、再生装置は、インデックス情報が正確で無いため正常な特殊再生を実行できない。例えば、画像や音声がテレビジョンで再生されている時にユーザが早送り再生を指示すると、その指示した地点(再生経過時間)と全く異なる地点から早送り再生されてしまう。そのため、従来の再生装置では、DivXファイルに欠陥があるにも係わらず、再生装置が故障してしまったのではないかとユーザに誤解されるおそれがあった。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決しようとするものであり、インデックス情報が誤って記述されていても、この誤りを補正し、正常な特殊再生を実行できるようにした再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の再生装置は、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0009】
(1)メディアに記録されている動画ファイルを、予め定められた通常の再生速度で再生する再生手段を備え、
前記動画ファイルは、前記動画ファイルの種類を示すヘッダ情報と、動画データと、前記動画ファイル内における前記動画データの記録位置を示すインデックス情報と、をこの順番で格納するファイルであって、前記記録位置を前記動画データの先頭を原点とした第1位置で示すことが定義されているフォーマットで前記インデックス情報が記述されるファイルである、再生装置において、
前記動画ファイルの再生が指示されると、前記インデックス情報が前記記録位置を前記ヘッダ情報の先頭を原点とした第2位置で示しているかどうか判定する判定手段と、
前記インデックス情報が前記記録位置を前記第2位置で示していると前記判定手段が判定した時、前記ヘッダ情報の長さを前記第2位置から減算し、前記第1位置を算出する算出手段と、を備え、
前記再生手段は、前記動画ファイルの再生中に、前記インデックス情報を用いる再生である特殊再生が指示されると、前記算出手段で算出した前記第1位置に基づいて前記動画データの前記特殊再生を実行することを特徴とする。
【0010】
この構成において、前記メディアは、例えば光ディスク、半導体メモリ、磁気ディスクである。光ディスクは、DVDとブルーレイディスクを含む。また、再生装置は、再生される動画ファイルの画像を表示する表示装置に接続される。
この構成では、動画ファイル内における動画データの記録位置が第1位置で示されている場合、インデックス情報は正常に記述されていることになる。
一方、動画ファイル内における動画データの記録位置が第2位置で示されている場合、インデックス情報が誤って記述されていることになる。そこで、この構成における算出手段は、第2位置から上記長さの分を減算して、第1位置を算出する補正処理を行う。そして再生中に特殊再生が指示されると、再生手段は、算出手段で算出した第1位置に基づいて特殊再生を実行する。ここで、第1位置は上記フォーマットで定義されている位置であるため、再生装置は、正常な特殊再生を実行できる。
以上より、ユーザは、特殊再生される動画ファイルの画像と音声を視聴することができる。従って、再生装置では、動画ファイルのインデックス情報が誤って記述されていても、この誤りを補正し、正常な特殊再生を実行できる。また、再生装置が故障しているのではないかとユーザに誤解されるのを防ぐこともできる。
【0011】
(2)前記特殊再生は、前記通常の再生速度より再生速度の速い早送り再生、前記通常の再生速度より再生速度の遅いスロー再生、前記通常の再生速度による再生と逆方向に再生するリバース再生、指定された再生経過時間から再生を開始するタイムサーチ再生、のいずれかであることを特徴とする。
【0012】
(3)前記インデックス情報が前記記録位置を前記第2位置で示していると前記判定手段が判定した時、前記動画ファイルが前記フォーマットに従って記録されていない旨を表示する表示手段を備えことを特徴とする。
【0013】
この構成により、再生装置でなく動画ファイルが壊れていることをユーザに知らせることができる。従って、再生装置が故障しているのではないかとユーザに誤解されるのを一層防ぐことができる。
【0014】
(4)前記判定手段を有効とするか無効とするかを切り替える切替手段を備えことを特徴とする。
【0015】
この構成では、切替手段において判定が無効とされている場合、判定手段は上記判定処理を実行せず、算出手段は上記補正処理を実行しない。これにより、判定処理および補正処理にかかる時間、即ちユーザを待たせてしまう時間を短縮することができる。よって、判定処理、及び補正処理にかかる時間を短縮するか、動画ファイルのインデックス情報が誤って記述されていても正常な特殊再生を実行できるようにするか、をユーザは自分の使用方法に応じて切り替えできる。従って、ユーザの使い勝手を向上できる。
【0016】
(5)前記動画ファイルは、DivXファイルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、動画ファイルのインデックス情報が誤って記述されていても、この誤りを補正し、正常な特殊再生を実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態である光ディスク装置について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態である光ディスク装置の主要な構成を示すブロック図である。光ディスク装置1は、所謂DVDプレーヤであり、DVD100に対しデータの読取を行うピックアップヘッド2(以下、PUヘッド2と称する。)と、RFアンプなどの再生回路3と、音声データを再生音声信号に変換して出力する音声出力部4と、OSD画像を生成するOSD処理部7と、画像データを再生画像信号に変換して出力する画像出力部8と、を備えている。さらに、光ディスク装置1は、情報を表示する表示部9と、ユーザの操作入力を受け付ける操作部10と、データを記憶する記憶部11と、装置本体1を遠隔操作するリモコン12と、装置本体1の各部の動作を制御する制御部6と、を備えている。DVD100には、後述の図2に示すファイル構造を有するDivXファイル90が記録されている。
なお、この実施形態では、DVD100を用いているが、実施の際は、ブルーレイディスクでも構わない。
【0020】
PUヘッド2は、図示しないレーザダイオード(LD)、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズ、フォトディテクタ、スレッドモータ、及びアクチュエータを備えている。
PUヘッド2は、DVD100の半径方向に延びる軸に移動自在に取り付けられている。スレッドモータが、PUヘッド2をDVD100の半径方向に移動する。
LDは、レーザ光を出力する光源であり、フォトディテクタは、複数の受光素子で形成されており、DVD100からの反射光を検出する。
対物レンズは、DVD100に対するレーザ光の照射時間を調節する。また、アクチュエータは、対物レンズをDVD100に接離する方向、及びDVD100の半径方向に移動させる。
【0021】
PUヘッド2は、DVD100に対して読取パワーのレーザ光を照射し、DVD100からの反射光をフォトディテクタで検出する。これにより、DVD100に記録されている情報を光学的に読み出す。
【0022】
再生回路3は、PUヘッド2における複数の受光素子の出力に基づいてRF信号を生成し、該RF信号を増幅する。そして、再生回路3は、該RF信号を処理して画像と音声のデータを取り出す。ここで、取り出される画像と音声のデータは、MPEG4でエンコードされているので、再生回路3は、これらのデータをMPEG4でデコードする。そして、再生回路3は、音声データを音声出力部4に、画像データを画像出力部8に、これらのデータの同期を取りながら、それぞれ出力する。
【0023】
音声出力部4は、音声データをアナログの再生音声信号に変換し、その再生音声信号を外部のテレビジョン101に出力する。
なお、テレビジョン101がディジタル対応(例えばHDMI規格)であれば、ディジタルで出力しても構わない。
【0024】
OSD処理部7は、不図示のOSD画像メモリ(不図示)を内蔵する。OSD画像メモリは、例えばフラッシュメモリで構成される。OSD処理部7は、制御部6から与えられる制御信号に基づいて、OSD画像メモリが記憶しているデータに基づいて文字又は図形のOSD画像を示すOSD信号を生成し、画像出力部8へ出力する。
【0025】
画像出力部8は、制御部6から与えられる制御信号に基づいて、再生回路3から出力された画像データに基づく画像に、OSD処理部7から出力されたOSD信号に基づくOSD画像を合成した合成画像を生成する。
【0026】
そして、画像出力部8は、この合成画像の信号をアナログの再生画像信号に変換し、外部のテレビジョン101に出力する。又は、画像出力部8は、再生回路3から出力された画像データをアナログの再生画像信号に変換し、外部のテレビジョン101に出力する。又は、画像出力部8は、OSD処理部7から出力されたOSD画像のデータをアナログの再生画像信号に変換し、外部のテレビジョン101に出力する。ここで、これらの3パターンの動作は、制御部6の指示によって切り替わる。
なお、テレビジョン101がディジタル対応(例えばHDMI規格)であれば、ディジタルで出力しても構わない。
【0027】
音声出力部4及び画像出力部8には、それぞれの接続端子を介してテレビジョン101が接続される。テレビジョン101は、光ディスク装置1から出力された信号を処理して、画像を画面上に表示したり音声を放音したりする。
ユーザは、このテレビジョン101において、DivXファイル90に格納されている画像と音声を視聴することができる。
【0028】
操作部10は、ユーザが光ディスク装置1に対して各種の命令(コマンド)を入力するためのものである。操作部10には、ユーザの操作を受け付ける複数のキーが設けられている。光ディスク装置1に対してユーザが入力したコマンドは制御部6に伝送される。
複数のキーの中には、DVD100に記録されている全ファイルの内から再生すべきファイルの選択を受付けるファイル選択キー、通常の再生速度の再生を受け付ける再生キー、通常再生より再生速度の速い高速再生を受付ける早送り再生キー、通常再生より再生速度の遅いスロー再生を受付けるスロー再生キー、通常再生と逆向きに再生するリバース再生を受付けるリバースキー、再生を開始したい再生経過時間の指定(即ちタイムサーチ再生)を受付けるタイムサーチキー、が含まれる。
操作部10には、リモコン信号検出部(不図示)が設けられている。リモコン信号検出部に対し、装置本体の外部からリモコン12を用いて、電源のON/OFF、音量の調整等の命令が入力されると、リモコン信号検出部は、リモコン12からの命令信号を受信して制御部6に伝送する。なお、リモコン12には、操作部10と同様のキーが設けられている。
【0029】
表示部9は、現在時刻、光ディスク装置1の設定状態などを表示する。
【0030】
記憶部11は、例えばハードディスクやEEPROMで構成されており、装置本体1の制御プログラムを記憶する。
【0031】
制御部6は、例えばマイクロコンピュータで構成される。また、制御部6は、上記の制御プログラムで処理されるデータを展開するワークフィールドとしてのRAM6Aを内蔵する。制御部6は、光ディスク装置1にユーザから入力された命令に応じて光ディスク装置1の各部を制御する。
【0032】
ここで、PUヘッド2、再生回路3、音声出力部4、及び画像出力部8が、本発明の「再生手段」に相当する。また、制御部6が、本発明の「判定手段」「算出手段」に相当する。また、操作部10及びリモコン12が、本発明の「切替手段」に相当する。また、OSD処理部7又は表示部9が、本発明の「表示手段」に相当する。
【0033】
次に、DivXファイル90のファイル構造について説明する。
【0034】
図2(A)は、DivXファイルのファイル構造を示した図である。DivXファイル90は、その先頭部分に記述されているヘッダ情報と、その後ろに画像や音声等のデータを示す画像音声ストリーム情報と、最後に特殊再生制御を行なうために用いるインデックス情報と、をこの順で格納しているファイルである。
【0035】
ヘッダ情報は、“RIFF”(Resource Interchange File Format)という4文字から始まり、“avih”(Audio Video InterleaveHeader)等の文字が続く情報である。制御部6は、これらの文字を再生回路3を介して読み込み、解析することによって、読み取ったファイルがDivXファイルであることを認識する。
【0036】
また、画像音声ストリーム情報の先頭には、識別子としての“movi”という文字が記述されている。この文字の後ろには、画像データが記述された画像チャンク、音声データが記述された音声チャンク、およびディジタル著作権管理チャンクが、それぞれ複数記録されている。また、各チャンクには、それぞれのチャンクを特定する識別子が記述されており、識別子の先頭2文字はストリーム番号、識別子の後ろ2文字はデータのタイプを示している。図2(A)に示す、“wb”は画像チャンクであること、“dc”は音声チャンクであること、“drm”はディジタル著作権管理チャンクであること、をそれぞれ示している。例えば“01wb”の場合、「ストリーム番号01の画像チャンク」であることを意味する。このように画像データ及び音声データは、時分割多重化されて記録されている。
【0037】
図2(B)は、図2(A)で示されるDivXファイル90の構成中における最後の部分のインデックス情報における詳細を示した図である。
【0038】
インデックス情報の先頭には、識別子である“idx1”という文字が記述されている。識別子“idx1”に続いてIDが記述されている。IDには、画像チャンクまたは音声チャンクの識別子等が記録されている。例えば、“01dc”、“01wb”、“02dd”等の情報がIDとして記録されている。
【0039】
IDに続いて、IDによって特定されるチャンクがDivXファイル90内のどの位置に記録されているかを示すオフセット情報が記録されている。このオフセット情報は、DivXファイル90内におけるチャンクの記録位置を画像音声ストリームの先頭を原点とした第1位置で示すことが定義されているフォーマットで記述される。
【0040】
さらに、オフセット情報に続いて、そのチャンクがどの程度の大きさであるかを示すサイズ情報が記述されている。
【0041】
制御部6は、ID、オフセット情報、及びサイズ情報を再生回路3を介して予め読み込む。そして、制御部6は、ID及びオフセット情報を解析することによって、読み取ったIDによって特定される画像チャンク、音声チャンク又はディジタル情報管理チャンクが、DivXファイル90内のどの位置にあるかを認識する。
【0042】
例えば早送り再生キーが押下されて早送り再生が指示されると、制御部6は、図2(B)で示されるインデックス情報を解析し、ID及びオフセット情報から各画像チャンクの位置を認識する。そして、制御部6は、通常再生時のように全画像チャンクを先頭から順番に読み出すのではなく、ID及びオフセット情報に基づいて各画像チャンクを飛び飛びに再生する。これにより、飛び飛びの画像がテレビジョン101において表示される。ここで、制御部6は、インデックス情報に記録されている各画像チャンクのサイズ情報と、操作部10で入力された早送り速度等の情報とによって、飛び越す画像チャンク数を決定する。
【0043】
また、スロー再生キーが押下されてスロー再生が指示されると、制御部6は、図2(B)で示されるインデックス情報を解析し、ID及びオフセット情報から各画像チャンクの位置を認識する。そして、制御部6は、通常再生時より遅い再生速度で全画像チャンクを先頭から順番に読み出す。これにより、ゆっくり再生される画像がテレビジョン101において表示される。
【0044】
また、リバース再生キーが押下されて逆方向再生が指示されると、制御部6は、図2(B)で示されるインデックス情報を解析し、ID及びオフセット情報から各画像チャンクの位置を認識する。そして、制御部6は、ID及びオフセット情報に基づいて通常再生時とは逆向きに各画像チャンクを読み出す。操作部10で入力された巻き戻し速度によっては、制御部6は、ID及びオフセット情報に基づいて通常再生時とは逆向きに各画像チャンクを飛び飛びに読み出す。これにより、逆方向に再生される画像がテレビジョン101において表示される。
【0045】
ここで、上記オフセット情報が、図2に示すように、DivXファイル90内におけるチャンクの記録位置をヘッダ情報の先頭0×0000からの第2位置で示していることがある。その主な原因には、画像データや音声データをエンコードしてDivXファイル90を作成する際のエンコードミスが挙げられる。
【0046】
そこで、この実施形態では、インデックス情報が誤って記述されていても、この誤りを補正し、正常な特殊再生を実行できるようにしている。具体的には、以下のように補正する。
【0047】
図3は、本発明の実施形態である光ディスク装置の制御部が行う動作を示すフローチャートである。この動作は、光ディスク100に記録されている全ファイルの中からDivXファイル90をユーザがファイル選択キーで選択し、再生キーを押下した時の動作である。
【0048】
DivXファイル90が選択されて再生が指示されると、制御部6は、DivXファイル90を再生するためのコーデックを確認する(S1)。
【0049】
次に、制御部6は、DivXファイル90からインデックス情報をPUヘッド2に読み取らせる(S2)。これにより、インデックス情報は再生回路3を介して制御部6に入力され、RAM6Aに展開される。制御部6は、ID及びオフセット情報を解析することによって、読み取ったIDによって特定される画像チャンク、音声チャンク又はディジタル情報管理チャンクが、DivXファイル90内のどの位置にあるかを認識する。
【0050】
そして、制御部6は、オフセット情報が、DivXファイル90内におけるチャンクの記録位置を、画像音声ストリーム情報の先頭を原点(即ち「0×0000」)とした第1位置、ヘッダ情報の先頭を原点(即ち「0×0000」)とした第2位置、の内のどちらで示しているか判定する(S3)。この判定は、例えば、一番先頭に記述されているIDに対応するチャンクの記録位置であって、画像音声ストリーム情報の先頭からの記録位置を実際に調査し、調査した記録位置と、一番先頭に記述されているIDに対応するオフセット情報と、が一致するか否かにより行われる。両者が一致すれば、制御部6は、オフセット情報が、DivXファイル90内におけるチャンクの記録位置を第1位置で示していると判定する。一方、両者が異なれば、制御部6は、オフセット情報が、DivXファイル90内におけるチャンクの記録位置を第2位置で示していると判定する。
【0051】
なお、S3のその他の判定方法としては、一番後ろに記述されているIDに対応するオフセット情報を参照して、画像音声ストリーム情報の先頭を原点に、そのオフセット情報に示されるチャンクにアクセスする方法もある。オフセット情報が画像音声ストリーム情報の先頭を原点(即ち「0×0000」)とした第1位置で記述されている場合、即ち基準とすべき位置が正しい場合、アクセスしたチャンクが画像チャンク、音声チャンク又はディジタル情報管理チャンクのいずれかとなる。しかし、オフセット情報がヘッダ情報の先頭を原点(即ち「0×0000」)とした第2位置で記述されている場合、オフセット情報に示されるチャンクにアクセスしても、ヘッダ情報の先頭から画像音声ストリーム情報の先頭までの長さの分、後ろにアクセスしてしまう。即ち、画像音声ストリーム情報より後ろ(例えばインデックス情報)にアクセスしてしまう。
【0052】
S3において記録位置が第1位置で示されている場合、インデックス情報は正常に記述されているため、制御部6は、後述S4のオフセット情報の補正処理を省略してDivXファイル90の再生を開始する(S5)。再生中に特殊再生が指示されれば、制御部6は、このインデックス情報に基づいて特殊再生を実行する。
【0053】
一方、S3においてDivXファイル90内におけるチャンクの記録位置が第2位置で示されている場合、制御部6は、オフセット情報の補正処理を実行する(S4)。この補正処理について図2から図4を用いて以下詳述する。
【0054】
図4は、本発明の実施形態である光ディスク装置の制御部が行うオフセット情報の補正処理の概略を示す図である。図4に示すように、RAM6Aには、S2で読み取られたID及びオフセット情報が対応付けて展開されている。S4の補正処理において制御部6は、まず、ヘッダ情報の先頭から末端までの長さを示す減算値を展開する。例えば図2では、ヘッダ情報の先頭の記録位置が「0×0000」で、画像音声ストリーム情報の先頭の記録位置が「0×1000」であるため、減算値は、「1000」となる。
【0055】
次に、制御部6は、S4の補正処理において、DivXファイル90内におけるチャンクの記録位置を第2位置で示すオフセット情報から減算値を減算した補正値を算出する。この補正値は、オフセット情報から減算値を減算した値であるため、フォーマットで定義されている第1位置を示す。例えば図2では、IDが「01wb」でオフセット情報が「0×1500」であるとき、減算値が「1000」であるため、補正値は、「0×0500」となる。同様に、IDが「02wb」でオフセット情報が「0×3000」であるとき、減算値が「1000」であるため、補正値は、「0×2000」となる。
【0056】
そして、制御部6は、DivXファイル90の再生を開始する(S5)。そして再生中に特殊再生が指示されると、制御部6は、S4で算出した補正値に基づいて特殊再生を実行する。特殊再生とは、前記通常の再生速度と再生速度の異なる再生である。ここで、補正値はフォーマットで定義されている第1位置を示す値であるため、光ディスク装置1は、正常な特殊再生を実行できる。例えば、画像や音声がテレビジョンで再生されている時にユーザが早送り再生を指示すると、その指示した地点(再生経過時間)と同じ地点から早送り再生される。
【0057】
以上より、ユーザは、このテレビジョン101において、特殊再生されるDivXファイル90の画像と音声を視聴することができる。従って、光ディスク装置1では、DivXファイル90のインデックス情報が誤って記述されていても、この誤りを補正し、正常な特殊再生を実行できる。また、光ディスク装置1が故障しているのではないかとユーザに誤解されるのを防ぐこともできる。
【0058】
また、本発明の実施形態は、以下の変形例を採用することができる。
【0059】
図5は、本発明の実施形態の変形例である光ディスク装置の制御部が行う動作を示すフローチャートである。この動作は、図3に示すS2とS3の間にS11を追加するとともに、S4とS5の間にS12を追加した動作であり、その他の処理については図3の動作と同じである。さらに、この変形例では、S3における判定を有効とするか無効とするかを切り替える切替キーを操作部10に設け、S3における判定を光ディスク装置1に実行させるかどうかユーザに予め切り替えさせる。
【0060】
制御部6は、S2の後、S3における判定が無効とされているかどうか判定する(S11)。そして、S3における判定が無効とされている場合、制御部6は、判定処理(S3)、補正処理(S4)、及び表示処理(S12)を省略し、S5に進む。これにより、S3における判定が無効とされている場合、判定処理、補正処理、及び表示処理にかかる時間、即ちユーザを待たせてしまう時間を短縮することができる。よって、判定処理、補正処理、及び表示処理にかかる時間を短縮するか、DivXファイル90のインデックス情報が誤って記述されていても正常な特殊再生を実行できるようにするか、をユーザは自分の使用方法に応じて切り替えできる。従って、ユーザの使い勝手を向上できる。
【0061】
また、制御部6は、S4の後、DivXファイル90がフォーマットに従って記録されていない旨を示すOSD画像のデータを出力するようOSD処理部7に指示する(S12)。これにより、テレビジョン101において「DivXファイル90がフォーマットに従って記録されていません。エンコードミス等が考えられます。」等のメッセージがOSD表示される。これにより、光ディスク装置1でなくDivXファイル90が壊れていることをユーザに知らせることができる。従って、光ディスク装置1が故障しているのではないかとユーザに誤解されるのを一層防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態である光ディスク装置の主要な構成を示すブロック図
【図2】DivXファイルのファイル構造を示す図
【図3】本発明の実施形態である光ディスク装置の制御部が行う動作を示すフローチャート
【図4】本発明の実施形態である光ディスク装置の制御部が行うオフセット情報の補正処理の概略を示す図
【図5】本発明の実施形態の変形例である光ディスク装置の制御部が行う動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0063】
1…光ディスク装置
2…ピックアップヘッド
3…再生回路
4…音声出力部
6…制御部
6A…RAM
7…OSD処理部
8…画像出力部
9…表示部
10…操作部
11…記憶部
12…リモコン
90…DivXファイル
100…光ディスク
101…テレビジョン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアに記録されている動画ファイルを、予め定められた通常の再生速度で再生する再生手段を備え、
前記動画ファイルは、前記動画ファイルの種類を示すヘッダ情報と、動画データと、前記動画ファイル内における前記動画データの記録位置を示すインデックス情報と、をこの順番で格納するファイルであって、前記記録位置を前記動画データの先頭を原点とした第1位置で示すことが定義されているフォーマットで前記インデックス情報が記述されるファイルである、再生装置において、
前記動画ファイルの再生が指示されると、前記インデックス情報が前記記録位置を前記ヘッダ情報の先頭を原点とした第2位置で示しているかどうか判定する判定手段と、
前記インデックス情報が前記記録位置を前記第2位置で示していると前記判定手段が判定した時、前記ヘッダ情報の長さを前記第2位置から減算し、前記第1位置を算出する算出手段と、を備え、
前記再生手段は、前記動画ファイルの再生中に、前記インデックス情報を用いる再生である特殊再生が指示されると、前記算出手段で算出した前記第1位置に基づいて前記動画データの前記特殊再生を実行することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記特殊再生は、前記通常の再生速度より再生速度の速い早送り再生、前記通常の再生速度より再生速度の遅いスロー再生、前記通常の再生速度による再生と逆方向に再生するリバース再生、指定された再生経過時間から再生を開始するタイムサーチ再生、のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記インデックス情報が前記記録位置を前記第2位置で示していると前記判定手段が判定した時、前記動画ファイルが前記フォーマットに従って記録されていない旨を表示する表示手段を備えことを特徴とする請求項1又は2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記判定手段を有効とするか無効とするかを切り替える切替手段を備えことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の再生装置。
【請求項5】
前記動画ファイルは、DivXファイルであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−109511(P2010−109511A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277613(P2008−277613)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】