説明

再生装置

【課題】再生装置において、製造コストと消費電力を抑制すると共に、ユーザによる使い勝手を良くする。
【解決手段】ハードディスクレコーダは、コンテンツ再生開始から監視時間が経過した時に(S3でYES)、警告メッセージを表示する(S4)。そして、リモコンによる再生停止操作がされた場合(S10でYES)、再生を停止し(S11)、スタンバイ監視処理(S12)を行う。一方、監視時間が経過した時からさらに無操作監視時間が経過するまでの間に、リモコン装置が操作されないとき(S5でNO)、コンテンツの再生停止し(S6)レジューム情報を生成して記憶し(S7)、制御用マイコンの周辺回路を電源オフするスタンバイモードに移行する(S8)。スタンバイ監視処理は、無操作監視時間が経過するまでにリモコン操作がない場合、スタンバイモードに移行する処理である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を低減可能な再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AV機器の消費電力を抑制したい要望が多く、特許文献1には、ユーザによって利用される時間と利用されない時間とを自動的に検出して、利用されない時間であると判断したときに、自機器を待機状態に移行させることにより消費電力を抑制することができるハードディスクレコーダが開示されている。しかしながら、この種の機器では、例えばコンテンツを再生状態から待機状態に移行させた後、再度、再生状態に復帰させたときに、コンテンツが最初から再生されるため、ユーザにとって使い勝手が悪い。
【0003】
また、特許文献2には、ハードディスクが停止状態(待機状態)のときに機器の前方を撮像してユーザを検出し、この検出の結果、ユーザを検出できない状況が所定の時間続いた場合に、自機器を、ハードディスクが安定して回転する状態(スタンバイ状態)にするハードディスクレコーダが開示されている。このハードディスクレコーダによれば、ユーザによる操作があったときに直ぐに機器を実行可能な状態にすることができる。しかしながら、この種の機器では、機器前方のユーザを検出するための撮像装置が必要となるため、製造コストを抑制することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−123460号公報
【特許文献2】特開2007−214651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、製造コストを抑制し、消費電力を抑制すると共に、ユーザによる使い勝手が良い再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、動画像のコンテンツデータを再生する再生手段と、ユーザによって操作され、各種動作指示を行うための操作手段と、装置各部の制御を行う制御手段とを備える再生装置において、前記再生手段によって再生中のコンテンツデータを再生停止したときの再生停止位置を示すレジューム情報を生成するレジューム情報生成手段と、各種メッセージをユーザに報知する報知手段と、コンテンツデータの再生時間を監視するための監視時間と、ユーザによる前記操作手段の操作の有無を監視するための無操作監視時間とを記憶する時間記憶手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記再生手段によるコンテンツデータの再生中に、コンテンツデータの再生開始から前記監視時間が経過した時に、前記報知手段を用いてユーザに、自装置を、周辺回路の電源をオフした状態で待機する動作モードであるスタンバイモードに移行させる旨の警告メッセージを報知し、前記監視時間が経過した時からさらに前記無操作監視時間が経過するまでの間に、ユーザによる前記操作手段の操作がなされない場合、前記再生手段によるコンテンツデータの再生を停止すると共に、前記レジューム情報生成手段を用いて、このコンテンツデータのレジューム情報を生成して、生成されたレジューム情報を前記記憶手段に記憶した後、自装置を前記スタンバイモードに移行させるものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の再生装置において、前記制御手段は、コンテンツデータの再生を停止しているときに、前記無操作監視時間が経過するまでの間に、ユーザによる前記操作手段の操作がなされない場合、自装置を前記スタンバイモードに移行させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンテンツデータの再生中に、コンテンツデータの再生開始から監視時間が経過した時に、ユーザにスタンバイモードに移行させる旨の警告メッセージを報知し、さらに無操作監視時間が経過するまでの間に、ユーザによる操作手段の操作がなされない場合、自装置をスタンバイモードに移行させる。そのため、例えば、ユーザが装置の電源をオフにすることを忘れた場合であっても自動的にスタンバイモードに移行するので、装置の消費電力を抑制することができる。
【0009】
また、レジューム情報を生成して、生成されたレジューム情報を記憶手段に記憶した後、自装置をスタンバイモードに移行させるので、スタンバイモードからコンテンツの再生を行うモードに復帰した場合に、前回の再生位置からコンテンツデータを再生することができる。従って、ユーザによる使い勝手が良い。また、従来と異なり、装置の前方に位置するユーザを検出するための装置を備える必要がないため、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るハードディスクレコーダの構成を示すブロック図。
【図2】上記ハードディスクレコーダのオートパワーオフ機能設定画面の一例を示す説明図。
【図3】上記ハードディスクレコーダのコンテンツデータ再生処理の手順を示すフローチャート。
【図4】上記ハードディスクレコーダの警告メッセージの一例を示す説明図。
【図5】上記コンテンツ再生動作におけるスタンバイ監視処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るハードディスクレコーダ(再生装置)について、図1を参照して説明する。図1は、ハードディスクレコーダ1の内部構成を示すブロック図である。ハードディスクレコーダ1は、放送局から放送されるテレビジョン(以下、TVという)番組等のコンテンツデータの録画再生を行うことができる。ハードディスクレコーダ1によって再生されたコンテンツデータの映像信号及び音声信号は、伝送ケーブル3を介してTV受像機2に出力される。TV受像機2は、例えば液晶テレビやプラズマテレビ等の表示装置であり、映像を表示するディスプレイ21と、音声を出力するスピーカ22とを有する。
【0012】
ハードディスクレコーダ1は、放送局から放送されるTV放送信号に基づくTV番組を受信するチューナ11と、リモコン装置(操作手段)4から送信されるリモコン信号を受信するリモコン信号受信部12とを備える。また、ハードディスクレコーダ1は、筐体外部に露出するように設けられたHDMI端子等から構成される端子部13と、各種情報が記憶されるメモリ(時間記憶手段)14と、TV番組等のコンテンツデータを記録するハードディスク(以下、HDDという)15と、アクセス部16と、装置各部の制御を行う制御用マイコン(制御手段)17とをさらに備える。
【0013】
リモコン装置4は、ユーザによって操作される複数の操作ボタン(図示せず)を有し、ユーザによる操作ボタンの操作に応じたリモコン信号をハードディスクレコーダ1に送信する。ユーザは、リモコン装置4の操作ボタンを操作することにより、ハードディスクレコーダ1に対してコンテンツデータの再生や、コンテンツデータの再生停止等の動作の指示を行う。
【0014】
メモリ14は、制御用マイコン17を動作させるためのプログラム14aと、再生時間監視モード設定情報14bと、監視時間情報14cと、スタンバイ監視モード設定情報14dと、無操作監視時間情報14eと、レジューム情報14fとを記憶する。
【0015】
再生時間監視モード設定情報14bは、後述する再生時間監視モードのオン/オフ設定を記憶する。監視時間情報14cは、コンテンツデータの再生時間を監視するための閾値時間を記憶する。スタンバイ監視モード設定情報14dは、後述するスタンバイ監視モードのオン/オフ設定を記憶する。無操作監視時間情報14eは、ユーザによるリモコン装置4の操作ボタンが操作されたか否かを監視するための閾値時間を記憶する。レジューム情報14fは、再生中のコンテンツデータを再生停止したときに、その再生停止位置を示すレジューム情報を記憶する。
【0016】
アクセス部16は、HDD15に対してTV番組等のコンテンツデータの読み出しや書き込みを行う。制御用マイコン17は、再生処理部(再生手段)17aと、録画処理部17bと、レジューム情報生成部(レジューム情報生成手段)17cと、警告表示部(報知手段)17dとを有する。制御用マイコン17は、コンテンツデータを再生する再生モードや、コンテンツデータをHDD15に記録する録画モードや、再生時間監視モードや、スタンバイ監視モードや、スタンバイモード等の複数の動作モードを有する。
【0017】
再生時間監視モードは、予め設定された監視時間が経過したか否かを監視する動作を行うモードである。スタンバイ監視モードは、予め設定された無操作監視時間が経過するまでの間にリモコン装置4の操作ボタンが操作された否かを監視する動作を行うモードである。なお、以下、再生時間監視モードと、スタンバイ監視モードとを含むモードの総称をオートパワーオフモードと呼ぶ。
【0018】
スタンバイモードは、リモコン装置4から送信されるリモコン信号を受信可能としつつ、制御用マイコン17の周辺回路の電源をオフした状態とする動作を行うモードである。スタンバイモードにおいて電源をオフされた周辺回路は、ユーザがリモコン装置4の操作ボタンを操作することによって電源がオンされる。
【0019】
再生処理部17aは、チューナ11によって受信されたTV番組のコンテンツデータや、アクセス部16を介してHDD15から読み出したコンテンツデータの再生を行い、再生されたコンテンツデータの映像信号及び音声信号をTV受像機2に出力する。録画処理部17bは、チューナ11から受信されたTV番組のコンテンツデータをHDD15に記録する。
【0020】
レジューム情報生成部17cは、再生処理部17aによって再生中であるHDD15から読み出したコンテンツデータを再生停止したときの再生停止位置を示すレジューム情報14fを生成し、生成したレジューム情報14fをメモリ14内に記憶する。
【0021】
警告表示部17dは、各種メッセージを表示するための映像信号をTV受像機2に出力する。TV受像機2は、警告表示部17dから出力された警告メッセージをディスプレイ21上に表示する。
【0022】
次に、オートパワーオフモードの設定画面について、図2を参照して説明する。図2は、TV受像機2のディスプレイ21に表示されるオートパワーオフモード(つまり、再生時間監視モードと、スタンバイ監視モード)の各種設定画面を示す。これらの各種設定は、ユーザによりリモコン装置4の操作ボタンが操作されることにより行われる。
【0023】
本設定画面には、再生時間監視モードのON/OFF設定項目31と、再生時間監視モードがオン設定にされた場合の監視時間を設定するための監視時間設定バー32とが表示される。監視時間は、ユーザがリモコン装置4を操作してカーソルC1を左右に移動させることによって任意の時間に設定される。制御用マイコン17は、ON/OFF設定項目31に設定された情報を、メモリ14の再生時間監視モード設定情報14bとして記憶し、監視時間設定バー32に設定された時間情報を、監視時間情報14cとして記憶する。
【0024】
また、本設定画面には、スタンバイ監視モードのON/OFF設定項目41と、スタンバイ監視モードがオン設定にされた場合の無操作監視時間を設定するための無操作時間設定バー42とがさらに表示される。無操作時間設定バー42は、上記監視時間設定バー32と同様にユーザがカーソルC2を左右に移動して任意の時間を設定される。制御用マイコン17は、ON/OFF設定項目41に設定された情報を、メモリ14のスタンバイ監視モード設定情報14dとして記憶し、無操作時間設定バー42に設定された時間を、無操作監視時間情報14eとして記憶する。
【0025】
次に、コンテンツデータの再生処理について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、コンテンツデータの再生処理の手順を示すフローチャートであり、図4は、警告表示部17dによって表示される警告メッセージ表示の一例を示す。なお、ここでは、予め、再生時間監視モードと、スタンバイ監視モードとがオンに設定されているものとし、監視時間情報14cとして記憶されている監視時間が60分であり、無操作監視時間情報14eとして記述されている無操作監視時間が1分とする。
【0026】
まず、制御用マイコン17は、再生処理部17aを用いて、例えばHDD15に記録されているコンテンツデータを再生中(S1)であり、コンテンツデータの再生が終了していない場合(S2でNO)、コンテンツデータの再生が開始されてから監視時間(ここでは60分)が経過した時に(S3でYES)、警告表示部17dを用いてTV受像機2のディスプレイ21に警告メッセージを表示する(S4)。具体的には例えば図4に示すように、オートパワーオフ、つまりスタンバイモードに移行させるまで1分である旨の警告メッセージをディスプレイ21に表示させる。
【0027】
そして、制御用マイコン17は、監視時間(60分)が経過した時からさらに無操作監視時間(ここでは1分)が経過するまでの間に、リモコン装置4上のいずれかの操作ボタンが操作され(S5でYES)、その操作が再生を停止する操作である場合(S10でYES)、コンテンツデータの再生を停止し(S11)、ディスプレイ21条の警告メッセージを消して、再生開始時からの経過時間を0にクリアした上で、スタンバイ監視処理(S12)を行う。なお、スタンバイ監視処理の詳細については後述する。また、リモコン装置4を用いた操作が再生を停止する操作ではない場合(S10でNO)、ディスプレイ21上の警告メッセージを消して、再生開始時からの経過時間を0にクリアした上で、上記S1以降の処理を繰り返す。
【0028】
一方、制御用マイコン17は、ユーザによるリモコン装置4の操作ボタンが操作されないと(S5でNO)、コンテンツデータの再生を停止する(S6)。
【0029】
そして、制御用マイコン17は、レジューム情報生成部17cを用いてこのコンテンツデータの再生停止位置のレジューム情報14fを生成して、メモリ14に記憶し(S7)、自装置1をスタンバイモードによる動作に移行させる(S8)。
【0030】
上記S2において、コンテンツデータの再生が終了した場合(S2でYES)、制御用マイコン17は、スタンバイ監視処理(S12)を行う。
【0031】
次に、上記スタンバイ監視処理の詳細について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。制御用マイコン17は、再生停止から無操作監視時間(例えば1分)が経過するまでの間に、ユーザによるリモコン装置4上の操作ボタンのいずれも操作されない場合(S21でNO)、スタンバイモードによる動作に移行させる(S22)。一方、リモコン装置4上の操作ボタンのいずれかが操作された場合(S21でYES)、上記S22の処理を行わない。
【0032】
上述したように、本実施形態に係るハードディスクレコーダ1によれば、コンテンツデータの再生中に、コンテンツデータの再生開始から60分(監視時間)が経過した時に、制御用マイコン17は、TV受像機2のディスプレイ21に、あと1分でスタンバイモードに移行させる旨の警告メッセージを表示する。また、さらに1分(無操作監視時間)が経過するまでの間に、ユーザによるリモコン装置4の操作ボタンの操作がなされない場合、制御用マイコン17は、スタンバイモードによる動作に移行させる。そのため、例えば、ユーザがハードディスクレコーダ1の電源をオフにすることを忘れた場合であっても自動的にスタンバイモードに移行するので、ハードディスクレコーダ1の消費電力を抑制することができる。
【0033】
また、制御用マイコン17は、レジューム情報17fを生成して、生成されたレジューム情報17fを記憶した後、スタンバイモードによる動作に移行させるので、スタンバイモードからコンテンツの再生を行うモードに復帰した場合に、前回の再生位置からコンテンツデータを再生することができる。従って、ユーザによる使い勝手が良い。また、従来と異なり、ハードディスクレコーダ1の前方に位置するユーザを検出するための装置を備える必要がないため、ハードディスクレコーダ1の製造コストを抑制することができる。
【0034】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明をハードディスクレコーダに適用した場合を示したが、これに限られずDVDプレーヤに適用してもよい。また、図5に示したスタンバイ監視処理は、コンテンツの再生停止や、再生が終了した後に行う場合に限られず、例えば、ハードディスクレコーダ1の電源をオンにした後、無操作時間が経過するまでにリモコン装置4の操作が行われない場合に実行されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 ハードディスクレコーダ(再生手段)
4 リモコン装置(操作手段)
14 メモリ(時間記憶手段)
17 制御用マイコン(制御手段)
17a 再生処理部(再生手段)
17c レジューム情報生成部(レジューム情報生成手段)
17d 警告表示部(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像のコンテンツデータを再生する再生手段と、
ユーザによって操作され、各種動作指示を行うための操作手段と、
装置各部の制御を行う制御手段とを備える再生装置において、
前記再生手段によって再生中のコンテンツデータを再生停止したときの再生停止位置を示すレジューム情報を生成するレジューム情報生成手段と、
各種メッセージをユーザに報知する報知手段と、
コンテンツデータの再生時間を監視するための監視時間と、ユーザによる前記操作手段の操作の有無を監視するための無操作監視時間とを記憶する時間記憶手段とをさらに備え、
前記制御手段は、
前記再生手段によるコンテンツデータの再生中に、コンテンツデータの再生開始から前記監視時間が経過した時に、前記報知手段を用いてユーザに、自装置を、周辺回路の電源をオフした状態で待機する動作モードであるスタンバイモードに移行させる旨の警告メッセージを報知し、
前記監視時間が経過した時からさらに前記無操作監視時間が経過するまでの間に、ユーザによる前記操作手段の操作がなされない場合、前記再生手段によるコンテンツデータの再生を停止すると共に、前記レジューム情報生成手段を用いて、このコンテンツデータのレジューム情報を生成して、生成されたレジューム情報を前記記憶手段に記憶した後、自装置を前記スタンバイモードに移行させることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記制御手段は、コンテンツデータの再生を停止しているときに、前記無操作監視時間が経過するまでの間に、ユーザによる前記操作手段の操作がなされない場合、自装置を前記スタンバイモードに移行させることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−267343(P2010−267343A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119059(P2009−119059)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】