説明

写真処理装置

【課題】写真処理装置における処理工程の進行状況に応じて、オーダー情報表示画面もしくは機械情報表示画面の何れか適切な方の画面を自動的に選択表示する機能を実現すること。
【解決手段】本発明の写真処理装置においては、露光部および現像部の処理状況を認識する認識手段と、前記認識手段にて認識している処理状況に基づいて機械情報もしくはオーダー情報の何れの情報を情報表示手段に表示すべきか判断して、機械情報を表示すべきと判断したときには情報表示手段に機械情報を表示させ、前記判断手段がオーダー情報を表示すべきと判断したときには情報表示手段にオーダー情報を表示させるように情報表示手段を制御する表示制御手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マガジンの残量などの機械情報や、オーダー情報などを切り換え表示する機能を備えた写真処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルムスキャナや各種記録媒体から読み取った写真用画像データを、印画紙などの感光材料に露光する露光部と、露光済の感光材料を薬液処理によって現像処理する現像部とを備えた写真処理装置において、前記感光材料はロール状に巻かれたマガジンから随時必要に応じて引き出されて露光され、露光済の印画紙は現像部中の複数種類の薬液中を順次搬送されて化学的に現像処理された後、乾燥処理等施されて順次排出される。
このような写真処理装置において、前記マガジンの残量などの状況は外部から視認することはできないので、各種センサーや積算処理量等に基づいて算出された残量を、モニター画面に表示する機能を備えたものがある。
また、露光済の印画紙が現像部のどの部分を搬送されて処理中であるかを、オーダーごとにモニター画面に表示する機能を備えたものがある。
以上のような写真処理装置の機械的な状況をモニター表示する機能を機械情報表示機能と称し、機械情報を表示する画面を機械情報表示画面と称する。
また、現在処理中のオーダーがどのような条件で処理されているかに関する情報、すなわちオーダー情報(オーダーナンバー、プリント枚数、インデックスの出力枚数等)を、モニター画面に表示する機能を備えたものがある。このようなオーダー情報をモニター表示する機能をオーダー情報表示機能と称し、オーダー情報を表示する画面をオーダー情報表示画面と称する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述したような従来の写真処理装置の情報表示用のモニター画面は広くはなく、その上、処理条件などを設定するためのメニュー画面なども表示しなければならないので、機械情報とオーダー情報とを同時に並べて表示することは困難であった。
そのため、操作者が必要に応じて、どちらの情報を表示させるかを、タッチパネルやマウスやキーボードなどを操作して指示しなければならないという問題があった。
例えば、ジャッジ(各コマ画像の補正など)が終わったときには、DP袋に記入するためにオーダー情報を表示させるようにオーダー情報表示画面に切り換え操作し、オーダーの受け付け時には、マガジンの残量の確認や、前のオーダーの処理がどのあたりまで進んでいるかを確認するために機械情報を表示させるように機械情報表示画面に切り換え操作しなければならないという手間がかかっていた。
【0004】
そこで、本発明は、写真処理装置における処理工程の進行状況に応じて、オーダー情報表示画面もしくは機械情報表示画面の何れか適切な方の画面を自動的に選択表示する機能を実現することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる写真処理装置においては、
ロール状に巻かれた感光材料が収納されたマガジンから順次引き出した感光材料に、写真用画像データを露光する露光部と、露光済の感光材料を薬液処理によって現像処理する現像部と、前記マガジンの感光材料の状況もしくは薬液処理中の感光材料の状況の少なくとも何れか一方の状況に応じた情報を表示する機械情報表示機能およびオーダーごとの処理枚数に応じた情報を表示するオーダー情報表示機能を実現する情報表示手段と、を備えた写真処理装置において、
前記露光部および前記現像部の処理状況を認識する認識手段と、
前記認識手段にて認識している処理状況に基づいて機械情報もしくはオーダー情報の何れの情報を情報表示手段に表示すべきか判断して、機械情報を表示すべきと判断したときには情報表示手段に機械情報を表示させ、前記判断手段がオーダー情報を表示すべきと判断したときには情報表示手段にオーダー情報を表示させるように情報表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えるという手段を講じた。
【0006】
請求項2では、
前記認識手段は、少なくとも、マガジン中の感光材料の残量が所定量以下になったことと、1オーダー分の処理が終了する状態になったことを個別に認識し、
前記表示制御手段は、前記認識手段がマガジン中の感光材料の残量が所定量以下になったことを認識したときには、機械情報を情報表示手段に表示すべきであると判断して情報表示手段に機械情報を表示させ、1オーダー分の処理が終了する状態になったことを認識したときには、オーダー情報を情報表示手段に表示すべきであると判断して情報表示手段にオーダー情報を表示させるように構成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明の写真処理装置によれば、前記認識手段にて認識している処理状況に基づいて機械情報もしくはオーダー情報の何れの情報を情報表示手段に表示すべきか判断して、機械情報を表示すべきと判断したときには情報表示手段に機械情報を表示させ、前記判断手段がオーダー情報を表示すべきと判断したときには情報表示手段にオーダー情報を表示させるので、操作者がいちいち切り換え操作をしなくても、必要なタイミングで必要な情報が自動的に表示され、操作性が向上し、重要な情報も見落としも防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる写真処理装置を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
図1にブロック図で示した写真処理装置1において、
2は露光部であり、図示しないフィルムスキャナや各種記録媒体から読み取った写真用画像データを、レーザー露光エンジンなどの露光機構によって印画紙などの感光材料に露光する。
3はマガジン部であり、例えば3つのマガジン3A,3B,3Cをセットすることが可能であり、各マガジンから感光材料をそれぞれ順次引き出して前記露光部2に供給する。
4は現像部であり、前記露光部2において露光処理された感光材料を、複数の薬液を用いて順次化学処理して現像処理する。
5は乾燥排出部であり、前記現像部4で現像処理された感光材料を乾燥させて順次排出トレイ上に排出する。
6は制御部であり、前記露光部2、マガジン部3、現像部4、および乾燥排出部5を系統的に制御する。
7は入力部であり、少なくともオーダーごとにプリント枚数やインデックスプリントの要否などの処理条件を、操作者が前記制御部6に入力するように構成されている。
8は表示部であり、前記制御部6から出力される各種情報を文字および図形で表示するように構成されている。
【0009】
前記マガジン部3には各マガジンの装着状態を認識するセンサ類3Sが配設され、前記現像部4には各搬送工程の途中の数カ所に処理中の感光材料の有無を認識するセンサ類4Sが配設され、前記乾燥排出部5には排出準備中の感光材料の有無を認識するセンサ類5Sが配設されている。
これらの各センサ類4S,5Sにて認識される感光材料の存在位置に関する情報と、処理中のオーダーごとのプリント枚数や、露光部2における露光処理中の写真用画像データのコマ番号に関する情報とに基づいて、前記制御部6は、各オーダーごとに最初のプリントおよび最後のプリントが現像部4もしくは乾燥排出部5の何れの位置にあるかを判断して位置情報として出力する。
【0010】
また、前記制御部6は、前記センサ類3Sにて認識されるマガジンの装着状態と、新規マガジンの全長データと、プリント処理枚数の積算処理量などに基づいて、各マガジンごとに、感光材料の残量を算出して残量情報として出力する。
前記表示部8においては、このようにして出力された各オーダーごとのプリントの位置情報や、各マガジンごとの残量情報を機械情報として前記表示部8の所定領域に設定された機械情報表示画面に表示することができる。このような機能を機械情報表示機能と称する。
【0011】
また、前記表示部8においては、現在処理中のオーダーがどのような条件で処理されているかに関する情報、すなわちオーダー情報(オーダーナンバー、プリント枚数、インデックスの出力枚数等)を、前記表示部8における機械情報表示画面に代えてオーダー情報表示画面として表示することができる。このような機能をオーダー情報表示機能と称する。
なお、前記表示部8の表示画面に、機械情報表示画面もしくはオーダー情報表示画面の何れの画面を表示するかは表示制御部81が決定する。
【0012】
この表示制御部81は、前記制御部6から出力される位置情報が、各オーダーの最後のプリントが乾燥排出部5の位置にあることを示しているときには、オーダーが変わりDP袋にオーダー番号などを記入するタイミングであるので、オーダー情報を情報表示手段に表示すべきであると判断して、前記表示部8の表示画面に自動的にオーダー情報表示画面に切り換えて表示させる。
そして、上記以外の場合、例えば、処理中のプリントのうち、最初のプリントまたは最後のプリントが乾燥排出部5の位置にあることを示しているときや、何れかのマガジンの残量が予め設定された基準量以下になったときには、マガジンの残量などを確認すべきタイミングであるので、機械情報を表示すべきであると判断して、前記表示部8の表示画面を自動的に機械情報表示画面に切り換えて表示させる。
【0013】
このように、表示制御部81は、当該写真処理装置1の内部における処理状況を認識して、処理状況に応じて表示すべき情報が機械情報であるのか、またはオーダー情報であるのかを、予め設定された判断条件に基づいて自動的に判断して、機械情報表示画面もしくはオーダー情報表示画面の何れかに自動的に切り換え表示するので、操作者は情報表示画面の切り換え操作をする手間が省けるのである。
【実施例1】
【0014】
図2は表示部8の表示画面の1例を示したものであり、画面上部のメニュー画面86には、種々の処理パターンを選択するための選択ボタンが表示されている。
画面の左下部には、情報表示領域82が設定されており、図2の例では機械情報が表示される機械情報表示画面8Aに切り換えられている状態を示している。
画面の最下部には、表示切り換えボタン83が表示されている。
【0015】
図3は前記情報表示領域82に表示された機械情報表示画面8Aの1例を示したものであり、右部には当該写真処理装置1の概略図が模式的に図示され、マガジン部に装着されている2つのマガジン3A,3Bが模式的に図示され、現像部および乾燥排出部の処理工程を順次搬送されている各プリントが丸印で模式的に表示されている。
また、左部には前記2つのマガジン3A,3Bの状況が数値で表示されている。この表示例では、マガジン3Aは現在使用中であり、感光材料のサイズが89ミリ、残量が240メートルであることが表示され、マガジン3Bは現在使用中でないことが示され、サイズが127ミリ、残量が120メートルであることが表示されている。
また、各マガジンの情報を変更する画面を呼び出すための変更ボタン84も表示されている。
【0016】
オーダー情報表示画面が表示されているときに、前記表示切り換えボタン83の「機械表示」の部分をタッチパネルやマウスやキーボードで指定して切り換え操作すると、強制的に機械情報表示画面に切り換えられる。
機械情報表示画面が表示されているときに、前記表示切り換えボタン83の「オーダー情報」の部分をタッチパネルやマウスやキーボードで指定して切り換え操作すると、強制的にオーダー情報表示画面に切り換えられる。
【0017】
図4は前記情報表示領域82に表示されたオーダー情報表示画面8Bの1例を示したものであり、ここでは、確定しているオーダー情報の内、最新のオーダーに関するオーダー情報が表示され、次のオーダーが確定するまで表示される。
図4の例では、処理中のオーダーナンバーが「263」であること、プリント枚数がトータルで50枚であること、サービスサイズが40枚、パノラマサイズが6枚プリントされていることが表示され、インデックスプリントが2枚、記録メディアが1枚、価格シートが1枚出力されていることが表示されている。
また、処理済のオーダーの履歴情報を表示させるための履歴ボタン85も表示されている。
【0018】
以上のように操作者が任意に表示画面を切り換えることができるが、本発明の場合には、前述したように表示画面を自動的に切り換えることができる。
すなわち、前記表示制御部81は、前記制御部6から出力される位置情報が、各オーダーの最後のプリントが乾燥排出部5の位置にあることを示しているときには、オーダーが変わりDP袋にオーダー番号などを記入するタイミングであるので、オーダー情報を情報表示手段に表示すべきであると判断して、前記表示部8の表示画面に自動的に、図4のオーダー情報表示画面8Bを表示させる。
そして、上記以外の場合、例えば、処理中のプリントのうち、最初のプリントまたは最後のプリントが乾燥排出部5の位置にあることを示しているときや、何れかのマガジンの残量が予め設定された基準量以下になったときには、マガジンの残量などを確認すべきタイミングであるので、機械情報を表示すべきであると判断して、前記表示部8の表示画面を自動的に、図3の機械情報表示画面8Aを表示させる。
【0019】
なお、何れかのマガジンの残量が前記基準量以下の交換要求量以下になったときには、前記表示画面の全面に、例えば赤色などで「警告!マガジンを交換して下さい。」などと表示する。
また、図2,3,4に示した表示例はあくまでも1例であって、表示内容、表示文字フォント、表示位置、表示図形などは図示したものに限定されるものではない。また、表示制御部における表示切り換えタイミングは適宜変更できるものであって、いずれにしても処理状況を認識した結果に基づいて自動的に表示内容を切り換えるものであれば本発明の技術的範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にかかる写真処理装置の実施の形態のブロック図である。
【図2】前記写真処理装置の表示画面の1例である。
【図3】前記表示画面に表示される機械情報表示画面の1例である。
【図4】前記表示画面に表示されるオーダー情報表示画面の1例である。
【符号の説明】
【0021】
1 写真処理装置
2 露光部
3 マガジン部、マガジン3A,3B,3C
4 現像部
5 乾燥排出部
6 制御部
7 入力部
8 表示部、情報表示手段
81 表示制御部、表示制御手段
3S,4S,5S センサ類、認識手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれた感光材料が収納されたマガジンから順次引き出した感光材料に、写真用画像データを露光する露光部と、露光済の感光材料を薬液処理によって現像処理する現像部と、前記マガジンの感光材料の状況もしくは薬液処理中の感光材料の状況の少なくとも何れか一方の状況に応じた情報を表示する機械情報表示機能およびオーダーごとの処理枚数に応じた情報を表示するオーダー情報表示機能を実現する情報表示手段と、を備えた写真処理装置において、
前記露光部および前記現像部の処理状況を認識する認識手段と、
前記認識手段にて認識している処理状況に基づいて機械情報もしくはオーダー情報の何れの情報を情報表示手段に表示すべきか判断して、機械情報を表示すべきと判断したときには情報表示手段に機械情報を表示させ、前記判断手段がオーダー情報を表示すべきと判断したときには情報表示手段にオーダー情報を表示させるように情報表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする写真処理装置。
【請求項2】
前記認識手段は、少なくとも、マガジン中の感光材料の残量が所定量以下になったことと、1オーダー分の処理が終了する状態になったことを個別に認識し、
前記表示制御手段は、前記認識手段がマガジン中の感光材料の残量が所定量以下になったことを認識したときには、機械情報を情報表示手段に表示すべきであると判断して情報表示手段に機械情報を表示させ、1オーダー分の処理が終了する状態になったことを認識したときには、オーダー情報を情報表示手段に表示すべきであると判断して情報表示手段にオーダー情報を表示させることを特徴とする請求項1に記載の写真処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−171618(P2007−171618A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369987(P2005−369987)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】