説明

写真処理装置

【課題】 印画紙に付着した異物を効果的に除去する。
【解決手段】 プリンタにおける印画紙2を収容する供給マガジンの近傍に、印画紙2に付着した異物を除去する異物除去機構30が配置されている。異物除去機構30は、印画紙2の搬送経路上に配置されており、印画紙2が通過可能な進入口31b及び排出口31cが形成された筐体31と、筐体31内において印画紙2の幅方向に沿って配列されていると共に、印画紙2の面に垂直な方向に延びており、コロナ放電を生じさせることによりイオンを発生させる複数の放電針33bと、印画紙2と放電針33bとの間に配置されていると共に印画紙2の幅方向に延びており、モータによって回転駆動される回転軸34、35にそれぞれ取り付けられた、印画紙2と当接可能なブラシ38、39と、筐体31内の空気を装置外に導くような空気の流れを発生させる空気流発生機構とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印画紙に露光処理を施すことによって写真プリントを作成する写真処理装置、より詳細には、印画紙に付着している異物を除去する機構を有する写真処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
写真処理装置では、巻回された長尺の印画紙(ロールペーパー)を供給マガジンから引き出し、露光部で印画紙に対して露光処理を施すことによって潜像を形成した後、現像部で現像処理を施すことによって印画紙に形成された潜像を顕在化させ、写真プリントを作成する。かかる写真処理装置で用いられるロールペーパーは、写真処理装置で使用可能な印画紙の幅よりも広い幅の印画紙を巻回してロール状に形成した後、写真処理装置で使用可能な幅となるように切断することによって製造される。この製造方法は、複数本のロールペーパーを同時に製造することができるので効率的であるが、幅広のロールペーパーを切断する際に生じる紙粉が、ロールペーパーの切断面、ひいては印画紙の表面に付着する。また、印画紙表面には、紙粉の他に埃等の異物が付着していることがある。
【0003】
印画紙表面に上述のような異物が付着している場合には、異物によって露光の光線が遮られ、仕上がり画像に斑点が生じるなどして画質が劣化する。また、印画紙を搬送するためのローラに異物が付着して印画紙が滑ることによって搬送精度が低下する。そこで、印画紙に付着している異物をブラシ等でかき取ることも考えられるが、このような場合には、かき取られた異物が装置内に拡散する。装置内に異物が拡散すると、装置内に配置されている各種の光学式の検出センサや電子部品等に異物が付着する。これにより、検出センサでは、発光素子から出射された光が異物によって遮られることに起因する誤作動が、電子部品では、異物により放熱性が低下することに起因する誤作動がそれぞれ生じる。
【0004】
特許文献1には、供給マガジンの印画紙排出口近傍に、印画紙に付着した異物を吸引するための吸引装置が配置された写真プリント装置が開示されている。これにより、印画紙に付着している異物を装置内に拡散させることなく除去することができる。
【特許文献1】特開2003−330122号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
装置内を搬送される印画紙は、ロール状態から巻き解かれる際の印画紙同士の剥離やペーパガイドとの接触により、静電気を帯びている。この静電気によって、異物は印画紙に吸着しているので、従来の方法では、異物を効果的に除去することはできない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、印画紙に付着した異物を効果的に除去することが可能な写真処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の写真処理装置は、巻回された長尺の印画紙を収容する供給マガジンと、前記供給マガジンから印画紙を引き出して搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送される印画紙に対して露光処理を施す露光部と、前記供給マガジンと前記露光部との間において、前記搬送機構による印画紙の搬送経路上に配置されており、印画紙が通過可能な進入口及び排出口が形成された筐体と、前記筐体内において、前記搬送機構によって搬送される印画紙の面と平行且つ印画紙の搬送方向と直交する方向に沿って配列されており、印画紙の面に垂直な方向に延びていると共に、コロナ放電を生じさせることによりイオンを発生させる複数の放電針と、前記搬送機構による印画紙の搬送経路と前記放電針との間に配置されており、前記筐体内を通過する印画紙の表面から異物を除去する異物除去部材と、前記筐体内を搬送される印画紙の周囲の空気を装置外に導くような空気の流れを発生させる空気流発生機構とを備えている。
【0008】
この構成によると、放電針から発生したイオンによって印画紙の静電気を除去すると共に、例えばブラシ等の異物除去部材によって印画紙表面から異物を除去し、空気流発生機構により発生された空気の流れによって異物を装置外に排出することができる。したがって、印画紙に付着した異物を装置内に拡散させることなく、効果的に除去することができる。その結果、異物により露光の光線が遮られることによる露光不良、搬送機構に含まれるローラ等に異物が付着することによる搬送精度の低下、各種の光学式の検出センサに異物が付着することによるセンサの誤作動、及び電子部品に異物が付着し放熱性が低下することによる電子部品の誤作動等を効果的に防止することができる。また、筐体内に飛散する異物によって放電針でスパークが生じる場合があるが、筐体内を搬送される印画紙と放電針との間には、異物除去部材が配置されているので、スパークによって印画紙が感光するのを防止することができる。
【0009】
本発明の写真処理装置では、前記複数の放電針及び前記異物除去部材が、前記搬送機構による印画紙の搬送経路の両側にそれぞれ配置されていることが好ましい。この構成によると、印画紙の両面に付着している異物をそれぞれ効果的に除去することができる。
【0010】
本発明の写真処理装置では、前記筐体が前記供給マガジンの近傍に配置されていることが好ましい。異物が付着したままの印画紙が装置内を搬送されると、搬送による振動等によって印画紙から剥がれ落ちた異物が、装置内に拡散する。この構成によると、供給マガジンから引き出された印画紙に付着した異物を速やかに除去することができるので、装置内に異物が拡散するのをより確実に防止することができる。
【0011】
本発明の写真処理装置は、前記異物除去部材が、前記筐体内を通過する印画紙と当接可能であり、且つ導電性を有する素材で作製されていると共に、接地されているブラシであってもよい。この構成によると、接地電位とされたブラシが印画紙と接触することによって、印画紙の静電気をより確実に除去することができる。
【0012】
本発明の写真処理装置は、前記空気流発生機構が、前記筐体の印画紙の幅方向一端部近傍から前記筐体内に空気を送り込む吸気ファンと、前記筐体の印画紙の幅方向他端部近傍から前記筐体内の空気を装置外に排出する排気ファンとを有していてもよい。この構成によると、筐体内に印画紙の面と実質的に平行な方向の空気の流れを発生させることができるので、印画紙面から除去された筐体内の異物を確実に排出することができる。
【0013】
本発明の写真処理装置は、前記異物除去部材が、前記筐体内を通過する印画紙の乳剤面と当接可能であり、且つ印画紙の幅方向に延びる軸を中心に回転可能であるブラシであり、前記ブラシが、前記搬送機構による印画紙の搬送方向と同じ方向に、印画紙の搬送速度よりも速い速度で回転してもよい。ブラシが、回転方向に対して疎らに取り付けられている場合に、ブラシを印画紙の搬送速度よりも遅く回転させると、印画紙の一部分はブラシと当接することなく筐体を通過する。この構成によると、ブラシが、回転方向に対して疎らに取り付けられている場合でも、ブラシと印画紙とを効率よく当接させることができる。したがって、より確実に異物をかき取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態に係る写真処理装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の写真処理装置1には、プリンタプロセッサ10が備えられている。
【0015】
プリンタプロセッサ10は、印画紙2に対して露光処理を施して潜像を形成するプリンタ20と、潜像が形成された印画紙2に対して現像、漂白、安定化などの処理を施して画像を顕在化させるプロセッサ28と、プロセッサ28から排出された印画紙2を乾燥させる仕上げ処理部29とを有している。
【0016】
プリンタ20は、巻回された長尺の印画紙2を収納する2つの供給マガジン3から印画紙2を引き出しつつ搬送する複数の搬送ローラ対21a及び搬送ローラ対21aを駆動させるモータ(図示せず)からなる搬送機構21と、供給マガジン3の近傍にそれぞれ配置されており、供給マガジン3から引き出された印画紙に付着している異物を除去するための異物除去機構30(後で詳述する)と、印画紙2をプリントサイズにカットするカッター25と、搬送経路に沿って搬送される印画紙2に対して後述するコントローラ90で補正処理が施された画像データに対応する潜像を形成する露光部26とを備えている。そして、プリンタ20において露光処理が施された印画紙2は、プロセッサ28を経て仕上げ処理部29へと搬送され、仕上がりの写真プリントとして排出される。
【0017】
なお、プリンタ20には、プリンタプロセッサ10で行われている処理の状態を把握するために、印画紙2が所定箇所を通過するタイミング等を検出するセンサが設けられている。例えば、図1に示すように、プロセッサ28への印画紙2の供給口近傍には、プロセッサ28に供給された印画紙2の枚数を検出するためのセンサ23が配置されている。センサ23は、LEDなどの発光素子23a及び発光素子23aから出射される光を受光可能な位置に配置されたフォトダイオードなどの受光素子23bからなる。発光素子23a及び受光素子23bは、印画紙2の搬送経路を挟んで対向するように配置される。よって、センサ23において、発光素子23aから出射された光を受光素子23bで受光することができた場合には、両者の間に印画紙2が存在していないことになり、受光することができなかった場合には、両者の間に印画紙2が存在していることになる。従って、センサ23の出力信号の変化を検知することによって、センサ23に対応する位置を通過する印画紙2の枚数を知ることができる。
【0018】
ここで、図2〜図5を参照しつつ、異物除去機構30について詳細に説明する。図2は、異物除去機構30の外観斜視図である。図3は、図2のIII-III断面図である。図4は、図2のIV-IV断面図の一部分を示す図である。図5は、異物除去機構30の(図2において紙面右手前側から見た)側面図である。なお、図2〜図5において、印画紙2の幅方向を矢印X、印画紙2の搬送方向を矢印Y、印画紙2の面と垂直な方向を矢印Zで示す。
【0019】
図2に示すように、異物除去機構30は、搬送機構21による印画紙2の搬送経路(図2においては破線で示す)上に配置された、印画紙2の幅方向(X方向)に延びる略直方体形状の筐体31と、筐体31の長手方向一端部(図2においては、紙面右手前側)近傍に配置されており、図示しないフィルタによって埃やゴミが取り除かれた清浄な空気を筐体31内に送り込む吸気ファン32a、及び筐体31の長手方向他端部(図2においては、紙面左奥側)近傍に配置されており筐体31内の空気を図示しないダクトを介して装置外に排出する排気ファン32bからなり、筐体31内の空気を装置外に導くような空気の流れを発生させる空気流発生機構32とを備えている。また、筐体31の上面には、後述する回転軸34、35(図3〜図5参照)を回転させるためのモータ37が配置されている。
【0020】
また、筐体31の長手方向に沿う両側面には、それぞれイオナイザ33が配置されている。図3、及び図4に示すように、イオナイザ33は、印画紙2の幅方向(X方向)に延びる略直方体形状のケージング33aと、ケージング33aに取り付けられた放電針33bとを有している。放電針33bは、ケージング33aの印画紙2の面に平行な面において、印画紙2の幅方向(X方向)に沿って複数配列されており、印画紙2の面に垂直な方向(Z方向)に延びている。筐体31の長手方向に沿う両側面には、その長手方向に沿う細長形状の開口31aが形成されている。イオナイザ33の放電針33bは、開口31aを介して筐体31の内部へ突出している。放電針33bには、図示しない電源装置から電流が供給されるようになっている。そして、放電針33bに溜まった電荷が一定量を超えると、放電針33bにおいてコロナ放電が生じ、筐体31内にイオンを発生させることができる。
【0021】
さらに、図2、及び図3に示すように、筐体31の上下面(筐体31内を搬送される印画紙2の面に垂直な面)には、印画紙2が通過可能な進入口31b及び排出口31cがそれぞれ形成されている。また、進入口31b及び排出口31cには、それぞれ印画紙2の面に平行な一対の板状部材からなるペーパガイド27が設けられているので、印画紙2は筐体31の内部をスムーズに通過することができる。
【0022】
また、図3、及び図4に示すように、筐体31内には、印画紙2の搬送経路を挟んだ両側において、印画紙2の搬送経路と放電針33bとの間に、印画紙2の幅方向(X方向)に延びる回転軸34、35が配置されている。回転軸34は、印画紙2の乳剤面側(図3においては紙面右側、図4においては紙面上方)に配置されており、回転軸35は、印画紙2のベース面側(図3においては紙面左側、図4においては紙面下方)に配置されている。なお、回転軸34、35は、いずれも接地されている。
【0023】
加えて、図2、及び図5に示すように、回転軸34、35の一端部近傍(図2においては、紙面右手前側端部近傍)は、筐体31の側面から突出しており、この回転軸34、35の筐体31からの突出部分には、プーリ34a、35aがそれぞれ嵌合固定されている。そして、上述のモータ37の駆動が、モータ37の駆動軸37aと、プーリ34a、35aとに巻き掛けられた無端ベルト36を介してプーリ34a、35aに伝達されるようになっている。これによって、回転軸34、35は回転可能となっている。なお、本実施の形態では、モータ37の駆動軸37aは、図2、及び図5において反時計回りに回転することとする。したがって、回転軸34、35も図2、3、及び図5において反時計回りに回転する。
【0024】
さらに、図3に示すように、回転軸34、35には、印画紙2の幅方向(X方向)に延在するブラシ38、39が、筐体31内を通過する印画紙2と当接可能に、それぞれ4本ずつ取り付けられている。ブラシ38、39は、導電性を有する素材で作製されており、回転軸34、35を介して接地されている。上述のように、回転軸34、35は図3において反時計回りに回転するので、印画紙2の乳剤面側に配置された回転軸34に取り付けられたブラシ38の印画紙2(の乳剤面)との当接部分は、印画紙2の搬送方向(Y方向)と同じ方向に移動し、印画紙2のベース面側に配置された回転軸35に取り付けられたブラシ39の印画紙2(のベース面)との当接部分は、印画紙2の搬送方向(Y方向)と反対の方向に移動する。
【0025】
図1に戻って、写真処理装置1には、写真処理装置1全体の制御を行うコントローラ90が備えられている。そして、コントローラ90は、上述のプリンタプロセッサ10の他、現像済みのフィルムのコマ画像を読み取るフィルムスキャナ80やセットされたメディアに記録された画像データを読み出すメディアドライブ81に接続されている。また、コントローラ90には、写真処理装置1に関する様々な情報を表示してオペレータに報知するディスプレイ97と、オペレータがコントローラ90に対して指示を与えるキーボード98及びマウス99とが接続されている。
【0026】
コントローラ90は、例えば汎用のパーソナルコンピュータによって構成されている。かかるコンピュータには、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、当該コンピュータをコントローラ90として機能させるためのプログラム(このプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体に記録しておくことにより、任意のコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、後述の各部91〜96が構築されている。
【0027】
コントローラ90は、フィルムスキャナ80が取得した画像データやメディアドライブ81によってメディアから読み出された画像データを記憶する画像記憶部91と、画像記憶部91に記憶されている画像データに対して濃度補正や色補正等の各種補正処理を施す画像処理部92と、搬送機構21の複数の搬送ローラ対21aを駆動させるモータを制御する搬送制御部93と、異物除去機構30の回転軸34、35を回転させるモータ37の駆動を制御するモータ駆動制御部94(後で詳述する)と、印画紙2が所定の大きさに切断されるようにカッター25の駆動を制御する切断制御部95と、画像処理部92によって処理された画像データに基づいて印画紙2に潜像が形成されるように露光部26を制御する露光制御部96とを有している。
【0028】
モータ駆動制御部94は、上述のように、回転軸34、35が図2、3、及び図5において反時計回りに回転するように制御する。また、モータ駆動制御部94は、印画紙2の乳剤面側に配置された回転軸34が、回転軸34に取り付けられたブラシ38の印画紙2(の乳剤面)との当接部分が、印画紙2の搬送速度よりも速い速度で移動するように回転するようにモータ37の駆動を制御する。
【0029】
以上のように、本実施の形態の写真処理装置1では、巻回された長尺の印画紙2が収容された供給マガジン3から引き出された印画紙2に対して露光部26によって露光処理を施すプリンタ20の供給マガジン3と露光部26との間に、供給マガジン3から引き出された印画紙2に付着した異物を除去する異物除去機構30が配置されている。異物除去機構30は、印画紙2の搬送経路上に配置されており、印画紙2が通過可能な進入口31b及び排出口31cが形成された筐体31と、印画紙2の幅方向に沿って配列されており、筐体31の長手方向に沿う側面に形成された開口31aから筐体31内に突出していると共に、印画紙2の面に垂直な方向に延びており、コロナ放電を生じさせることによりイオンを発生させる複数の放電針33bと、印画紙2の搬送経路と放電針33bとの間に配置されていると共に印画紙2の幅方向に延びる回転軸34、35にそれぞれ取り付けられた、印画紙2と当接可能なブラシ38、39と、回転軸34、35を回転させるモータ37と、筐体31内の空気を装置外に導くような空気の流れを発生させる空気流発生機構32とを備えている。これにより、放電針33bから発生したイオンによって印画紙2の静電気を除去すると共に、ブラシ38、39によって印画紙2に付着した異物をかき取り、空気流発生機構32により発生された空気の流れによって異物を装置外に排出することができる。したがって、印画紙2に付着した異物を装置内に拡散させることなく、効果的に除去することができる。その結果、異物により露光の光線が遮られることによる露光不良、搬送ローラ対21aに異物が付着することによる搬送精度の低下、光学式のセンサ23に異物が付着することによるセンサ23の誤作動、及びモータ37等の電子部品に異物が付着し放熱性が低下することによる電子部品の誤作動等を効果的に防止することができる。また、筐体31内に飛散する紙粉や埃によって放電針33bでスパークが生じる場合があるが、筐体31内を搬送される印画紙2と放電針33bとの間には、ブラシ38、39が取り付けられた回転軸34、35が配置されているので、スパークによって印画紙2が感光するのを防止することができる。
【0030】
また、本実施の形態の写真処理装置1では、複数の放電針33b及びブラシ38、39が取り付けられた回転軸34、35は、印画紙2の搬送経路の両側にそれぞれ配置されている。したがって、印画紙2の両面に付着している異物をそれぞれ効果的に除去することができる。
【0031】
さらに、本実施の形態の写真処理装置1では、筐体31は、供給マガジン3の近傍に配置されている。したがって、供給マガジン3から引き出された印画紙2に付着した異物を速やかに除去することができるので、装置内に異物が拡散するのをより確実に防止することができる。
【0032】
加えて、本実施の形態の写真処理装置1では、ブラシ38、39が導電性を有する素材で作製されていると共に、回転軸34、35を介して接地されている。したがって、接地電位とされたブラシ38、39が印画紙2と接触することによって、印画紙2の静電気をより確実に除去することができる。
【0033】
また、本実施の形態の写真処理装置1では、空気流発生機構32は、筐体31の長手方向一端部近傍に配置されており筐体31内に空気を送り込む吸気ファン32a、及び筐体31の長手方向他端部近傍に配置されており筐体31内の空気を装置外に排出する排気ファン32bとを有している。したがって、空気流発生機構32によって、筐体31内に印画紙2の面と実質的に平行な方向の空気の流れを発生させることができるので、印画紙面からかき取られた筐体31内の異物を確実に排出することができる。
【0034】
また、本実施の形態の写真処理装置1では、モータ駆動制御部94が、印画紙2の乳剤面側に配置された回転軸34が、回転軸34に取り付けられたブラシ38の印画紙2(の乳剤面)との当接部分が、印画紙2の搬送方向と同じ方向に、印画紙2の搬送速度よりも速い速度で移動するように回転するようにモータ37の駆動を制御する。したがって、ブラシ38、39が、回転軸34、35の回転方向に対して疎らに取り付けられている場合でも、ブラシ38、39と印画紙2とを効率よく当接させることができる。よって、より確実に異物をかき取ることができる。
【0035】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、複数の放電針33b及びブラシ38、39が取り付けられた回転軸34、35が、印画紙2の搬送経路の両側にそれぞれ配置されている場合について説明したが、複数の放電針33b及びブラシ38、39が取り付けられた回転軸34、35は、印画紙2の搬送経路の片側、例えば、印画紙2の乳剤面側にのみ配置されていてもよい。
【0036】
また、上述の実施の形態では、筐体31が、供給マガジン3の近傍に配置されている場合について説明したが、これには限られない。筐体31は、供給マガジン3と露光部26との間に配置されていればよい。
【0037】
また、上述の実施の形態では、ブラシ38、39が導電性を有する素材で作製されていると共に、回転軸34、35を介して接地されている場合について説明したが、ブラシ38、39は接地されていなくてもよいし、絶縁性を有する素材で作製されていてもよい。
【0038】
さらに、上述の実施の形態では、空気流発生機構32が、筐体31の長手方向一端部近傍に配置されており筐体31内に空気を送り込む吸気ファン32a、及び筐体31の長手方向他端部近傍に配置されており筐体31内の空気を装置外に排出する排気ファン32bとを有している場合について説明したが、空気流発生機構32の構成はこれには限られない。空気流発生機構32は、筐体31内の空気を装置外に導くような空気の流れを発生させればよいので、例えば吸気ファン32aのみを備えており、吸気ファン32aによって筐体31内に送り込まれた空気が、筐体31に設けられた排出口から装置外に排出されるような構成にしてもよい。また、排気ファン32bのみを備えており、排気ファン32bによって筐体31内の空気を装置外に排出することによって、筐体31に設けられた吸気口から筐体31に空気が送り込まれるような構成にしてもよい。
【0039】
加えて、上述の実施の形態では、モータ37の駆動軸37aの回転力が、回転軸34、35に嵌合固定されたプーリ34a、35aと、駆動軸37a及びプーリ34a、35aに巻き掛けられた無端ベルト36を介して、回転軸34、35に伝達される場合について説明したが、駆動軸37aの回転力を回転軸34、35に伝達するための機構はこれには限られない。例えば、ギア機構等であってもよい。
【0040】
加えて、上述の実施の形態では、モータ駆動制御部94が、印画紙2の乳剤面側に配置された回転軸34が、回転軸34に取り付けられたブラシ38の印画紙2(の乳剤面)との当接部分が、印画紙2の搬送方向と同じ方向に、印画紙2の搬送速度よりも速い速度で移動するように回転するようにモータ37の駆動を制御する場合について説明したが、これには限られない。回転軸34が、回転軸34に取り付けられたブラシ38の印画紙2との当接部分が、印画紙2の搬送方向と逆方向に移動するように回転するように制御してもよい。また、回転軸34が、回転軸34に取り付けられたブラシ38の印画紙2との当接部分が、印画紙2の搬送速度よりも遅い速度で移動するように回転するように制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態に係る写真処理装置の概略構成を示す図である
【図2】図1に示す異物除去機構の外観斜視図である。
【図3】図2のIII-III断面図である。
【図4】図2のIV-IV断面図の一部分を示す図である。
【図5】図2に示す異物除去機構を紙面右手前側から見た側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 写真処理装置
2 印画紙
3 供給マガジン
21 搬送機構
27 露光部
30 異物除去機構
31 筐体
31b 排出口
31c 進入口
32 空気流発生機構
32a 吸気ファン
32b 排気ファン
33 イオナイザ
33b 放電針
34、35 回転軸
37 モータ
38、39 ブラシ(異物除去部材)
94 モータ駆動制御部(モータ駆動制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回された長尺の印画紙を収容する供給マガジンと、
前記供給マガジンから印画紙を引き出して搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送される印画紙に対して露光処理を施す露光部と、
前記供給マガジンと前記露光部との間において、前記搬送機構による印画紙の搬送経路上に配置されており、印画紙が通過可能な進入口及び排出口が形成された筐体と、
前記筐体内において、前記搬送機構によって搬送される印画紙の面と平行且つ印画紙の搬送方向と直交する方向に沿って配列されており、印画紙の面に垂直な方向に延びていると共に、コロナ放電を生じさせることによりイオンを発生させる複数の放電針と、
前記搬送機構による印画紙の搬送経路と前記放電針との間に配置されており、前記筐体内を通過する印画紙の表面から異物を除去する異物除去部材と、
前記筐体内を搬送される印画紙の周囲の空気を装置外に導くような空気の流れを発生させる空気流発生機構とを備えていることを特徴とする写真処理装置。
【請求項2】
前記異物除去部材が、前記筐体内を通過する印画紙と当接可能であり、且つ導電性を有する素材で作製されていると共に、接地されているブラシであることを特徴とする請求項1に記載の写真処理装置。
【請求項3】
前記異物除去部材が、前記筐体内を通過する印画紙の乳剤面と当接可能であり、且つ印画紙の幅方向に延びる軸を中心に回転可能であるブラシであり、
前記ブラシが、前記搬送機構による印画紙の搬送方向と同じ方向に、印画紙の搬送速度よりも速い速度で回転することを特徴とする請求項1または2に記載の写真処理装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−34109(P2007−34109A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220109(P2005−220109)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】