説明

写真撮影者用ガイダンスシステム

【課題】写真撮影者用ガイダンスシステムを提供する。
【解決手段】システムは、フォトセットアップ記述子として記憶される情報に基づき写真露出の示唆を提供するよう場所、日時、手動ユーザ入力に応答する。時間、場所、天候等の条件とともにユーザ入力に応答して、データベース要求が記憶データに対して実行され、フォトセットアップ記述子のリザルトセットが生成される。記述子は、撮影者が所定のパラメータに一致して写真露出をセットアップするのを助けるよう手動及び自動で使用される。システムはDSLRカメラに直に結合され、その制御部及びインターフェースを介して操作することができる。代替例で、システムは、DSLR制御に結合された出力部を備える独立した制御部及びユーザインターフェースを有する。他の例で、完全手動システムは、リザルトセットで提示されるパラメータに一致して当該技術のカメラをセットアップすることを撮影者に委ねる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、写真撮影装置に関し、より具体的には、種々の実時間の刺激に従ってセットアップ情報を提供する電子写真撮影者用ガイダンスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ技術は、我々の日々の活動に対して驚くべき変化を可能にした。どのように我々が自分たちの家族と連絡をとるのかということから、どのように我々が旅を計画するのかということまで、今日、コンピュータは、我々が多くの活動を行ってきた手法に大いに影響を及ぼしている。写真のように技巧的且つ美しいものでさえ、コンピュータ支援システムにより大いに改善され、一層良くされ得る。デジタルカメラ(とりわけ、ハイエンドの又はプロ仕様のデジタル一眼レフ(DSLR)タイプのカメラ)の出現で、写真撮影者が一般的なコンピュータ技術の前進から恩恵を受ける大きな機会が現れた。
【0003】
1つの表される例で、GPS位置決定システムと結合されているデジタルカメラは、写真が撮影される場所に特有である名称を写真のデジタルデータファイルに与えるコンピュータを有する。このようなシステムは、最初に、コロラド州の発明者Cazier氏による米国特許第6657661号明細書(特許文献1)で詳細に教示された。かかるシステムの特有の欠点として、画像ファイルは、画像対象の場所に関連する名称ではなく、画像が捕捉された場所に関連する名称を与えられる。例えば、カリフォルニア州リッチモンドにあるベイフロント海岸にいる撮影者が、サンフランシスコ、オークランド、アルカトラズ、ソーサリト、マデラ及びサンラファエルの写真を撮ることがある。しかし、全てのファイルは、Cazier氏の教示に従って、画像の誰も実際にはリッチモンド出身でないという事実に関わらず、プレフィックス「リッチモンド」と名付けられうる。Cazier氏の教示は、パリを訪れる旅行者にとっては恐らく有用であるが、かかるシステムは限定的であり、その応用は適用範囲が極めて狭い。
【0004】
高度なコンピューティングシステム及び場所に基づく情報科学を結合しようとする他の重要な実例となる試みは、米国特許第7477295号明細書(特許文献2)で見出される。日本の田中氏による本発明では、GPSモジュールがカメラの位置を決定し、GPSから無線I/Fを介してカメラへ情報が送られる。写真が撮られた後、それはローカルメモリカードに電子ファイルとして記憶される。画像に加えて、サムネイル(極めて縮約された)画像も記憶される。更に、コンピュータは、位置座表データに従ってカメラ姿勢及び範囲(撮影者の位置から撮影対象までの間の距離)を計算する。測定データ、すなわち、位置座標データ、対象位置座標データ、カメラ姿勢、撮影者の位置から対象までの距離は全て、画像を表すデジタルファイルに添付される。このようにして、露出中に測定されたデータは、画像のデジタルファイルに付加されてよい。
【0005】
「Electronic guide system, contents server for electronic guide system, portable electronic guide device, and information processing method for electronic guide system」と題された更なる他の重要な発明において、ソニー株式会社の発明者である昆布谷氏によって提供される発明は、米国特許第7130742号明細書(特許文献3)として2006年10月31日に特許を受けた。電子ツアーガイドは、サーバが地図データのみならず関心のある場所を含むガイド情報を提供するよう旅行者に作用する。更に、サーバは、ユーザの所定の仕様に一致したコンテンツを提供する。カスタマイズされたツアーガイドコンテンツが電子ガイド装置に記憶される。目的地(例えば、空港カウンタ)に到着すると、予めロードされているカスタム情報を有する電子ガイド装置は、カスタムコンテンツの更なる消費のために、選択されている目的地へ持って行くよう、ユーザによって受け取られて使用される。
【0006】
当該技術のシステム及び発明は、特定の目的及び目標(これらのうちの幾つかはそれほど驚くべきものでない。)を達成するよう設計されるが、これらは、現在可能な新しい方法での使用を妨げる制限を有する。これらは使用されず、以下で教示される本発明の効果及び目的を実現するためには使用され得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6657661号明細書
【特許文献2】米国特許第7477295号明細書
【特許文献3】米国特許第7130742号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、写真撮影者用ガイダンスシステムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、写真撮影者からの要求に応答して写真露出に係るパラメータを示す写真撮影装置を提供することを目的とする。
【0010】
更に、本発明は、記憶されている露出データに係る所定のライブラリを備えたコンピュータに基づく写真撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
Peter Ellenby、彼の兄弟であるThomas Ellenby及び彼らの友人であるJoseph Pageは、写真画像を生成する写真撮影装置を有する撮影者用ガイダンスシステムに係る発明を提供する。当該発明において、写真撮影装置は、現在及び将来の条件に関連付けられた露出パラメータに係る示唆を提供する。どのように所定の写真露出が組み立てられて作られるのかという撮影者への示唆を提供することで、種々の刺激(stimuli)に応答するコンピュータベースのシステムを提供することが、かかるガイダンスシステムの本源的機能である。
【0012】
電子写真撮影者用ガイダンスシステムは、記憶されているフォトセットアップ記述子のライブラリからデータを呼び出すよう配置されているプログラムされた特定用途向けコンピュータを有する。フォトセットアップ記述子は、システムの使用より前に、案出されて提供される。フォトセットアップ記述子は、写真露出セットアップパラメータ(撮影に有利な地点(vantage point)、撮影アングル、カメラ設定、環境、日時、その他を含むが、これらに限られない。)の指定を含む。様々なプログラム刺激があると、コンピュータは、問い合わせ(query)エンジンを手段として、少なくとも1つのフォトセットアップ記述子を呼び出す。そのフォトセットアップ記述子の特定の詳細は、ユーザインターフェース(例えば、ディスプレイ又はモニタ)にグラフィックで提示されてよい。示されるフォトセットアップ記述子に従って、撮影者であるユーザは、自身の位置、カメラが向いている方向、カメラ設定を操作して、フォトセットアップ記述子に一致した露出の写真を達成する。
【0013】
関連するフォトセットアップ記述子の組が連続的に与えられる場合に、写真撮影ツアーが実現される。例えば、オランダ国アムステルダムの都市に全て関連付けられている複数のフォトセットアップ記述子が連続的に与えられてよく、これにより、撮影者は、アムステルダムの最も重要な写真ランドマークについて導かれるように次から次へ順に移動するたびに写真露出を実行することができる。代替的に、かかるシステムの写真撮影ツアーは、また、単一のランドマーク(例えば、ローマのコロシアム)のウォーキングツアーを有してよい。
【0014】
コロシアムに夫々関連付けられている複数のフォトセットアップ記述子は、ある程度、論理的なウォーキング経路に関して連続して分配されてよく、これにより、撮影者は、有名なローマのランドマークを訪問したことに係る静止画の視覚的ドキュメンタリを形成するよう、特定のパラメータに従って写真を撮影しながら歩き回ることができる。
【0015】
一般に、かかるシステムは、記載されるように連結されている下記の電子モジュールから形成される。記憶されているアプリケーション特有のプログラムコード及び問い合わせエンジンを有して配置されるプログラムコンピュータは、フォトセットアップ・ライブラリに結合される。問い合わせ要求は、とりわけ写真撮影に有利な地点、カメラ姿勢、及びカメラ設定を含む写真露出仕様を有する少なくとも1つのフォトセットアップ記述子オブジェクトを含むリザルトセット(resultset)の呼び出しを引き起こす。かかるフォトセットアップ記述子はディスプレイタイプのユーザインターフェースで提示されてよく、ユーザインターフェースにおいて、それらの部分的な表示は、視覚的に及び/又はグラフィックで行われてよい。撮影者であるユーザは、更に、例えば、制御モジュールユニットを手段として、多数をスクロールすることでフォトセットアップ記述子のリザルトセットと相互に作用してよい。制御モジュールユニットは、更に、アプリケーションに対してコード実行を駆動する。
【0016】
写真撮影ツアーは、読み出されたフォトセットアップ記述子の組が共通のテーマ又は対象に関わる場合に与えられる。例えば、1つのタイプの写真撮影ツアーは、1つの都市の様々な場所に関して配置される。論理的な順序で与えられると、複数のフォトセットアップ記述子は連続して次々に配置されてよく、これは空間的なパターンに従う。例えば、ある写真撮影ツアーは、所定の可能なルートを辿るよう配置されてよい。撮影者は、バス旅行と同期しながら、自身に与えられるフォトセットアップ記述子詳細に従って写真露出を行う。例えば、よく知られているルートをとるロンドンの有名な二階建てバスツアーが、ここで教示されているシステムの写真撮影ツアーと結びつけられてもよい。すなわち、かかるシステムを備える撮影者は、ロンドンに関しては二階建てバスに乗りながら、写真撮影ガイダンス及びロンドン各地の撮影示唆を提供するために与えられるフォトセットアップ記述子の組を進む。
【0017】
写真撮影ツアーがかかるシステムの本源的機能である一方、更に、写真撮影レッスンは重要な側面である。フォトセットアップ記述子のリザルトセットは、特定の写真撮影レッスンのためにユーザ要求に応答して形成されてよい。例えば、強い反射を伴った画像を形成するために雨上がりの水たまり(rain paddles)を用いる写真撮影レッスンが提供されてよい。撮影アングルについて夫々熟慮する一連の十分に開発されたフォトセットアップ記述子は、反射表面に関して、更に、光源及びその位置に関してランドマークの相対位置を考慮して、最良の撮影位置を撮影者に教えるために提供されてよい。このようにして、かかる写真撮影者用ガイダンスシステムは、写真撮影ツアー及び写真撮影レッスンの両方の目的をサポートするよう設計される。
【0018】
写真撮影ツアー及び写真撮影レッスンは、直接の要求時にユーザに提供されてよい。例えば、ユーザは、「エジプトのランドマークツアー」を指定することができる。コンピュータは、このようなユーザ選択がプログラムロジックに変換され得るアプリケーションを実行するよう配置される。かかる選択に応答して、コンピュータは、その選択に一致する複数のフォトセットアップ記述子、すなわち、エジプトにおけるランドマークに関連するフォトセットアップ記述子を呼び出す。代替案として、ユーザはコンピュータを「ランドマーク」モードに設定してよく、コンピュータは、更に要求クエリを特定するために、GPS位置決定システムに依存してよい。すなわち、「エジプト」の手動による選択よりむしろ、ユーザは、ツアーを構成するフォトセットアップ記述子の呼び出しの前に、コンピュータ自身による位置の決定に依存してよい。実際には、コンピュータは種々のモードで実行されてよく、これにより、ユーザによって設定され、又はデフォルトで与えられ、又は測定によって与えられるオプションは、ツアー又はレッスンを構成するフォトセットアップ記述子の組が呼び出される方法をもたらす。アプリケーションは種々のモードをサポートし、これらのモードの夫々は、異なる問い合わせを、異なる写真撮影ツアー及び写真撮影レッスンをもたらすライブラリに記憶されたデータに対して実行してよい。
【0019】
全ての場合において、プログラムコンピュータは、少なくとも1つのフォトセットアップ記述子のリザルトセットを生じさせるよう、記憶されているフォトセットアップ記述子のライブラリに対して要求クエリを発する。フォトセットアップ記述子のリザルトセットは、そのフォトセットアップ記述子の詳細に従って写真露出を実現するよう自動で又は手動でカメラに適用される。
【発明の効果】
【0020】
本願発明の実施形態によれば、写真撮影者用ガイダンスシステムを提供することが可能となる。
【0021】
また、本発明の実施形態によれば、写真撮影者からの要求に応答して写真露出に係るパラメータを示す写真撮影装置を提供することが可能となる。
【0022】
更に、本発明の実施形態によれば、記憶されている露出データに係る所定のライブラリを備えたコンピュータに基づく写真撮影装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】写真撮影者用ガイダンスシステム及びその主たるサブシステムのブロック図である。
【図2】コンピュータに基づくシステムがデジタルカメラに結合されているところの他の重要なブロック図である。
【図3】協働する関連したシステムとそれらの写真撮影者用ガイダンスシステムとの間の付加的な重要な結合を表す。
【図4】DSLRサブシステムに特に関連した他のブロック図を提示する。
【図5】カメラサブシステム設定との関係を表す同様のブロック図を提示する。
【図6】A〜Cは、特定の実施形態に従う露出示唆の重要な態様を表す一連の特別の画像である。
【図7】A及びBは、本開示の写真撮影者用ガイダンスシステムによって提供される撮影に有利な地点に係る示唆を表す。
【図8】A〜Cは、月の好ましい配置を有する写真露出をどのようにして生成するのかを提案するシステムで恒星時が考慮される重要な例を表す。
【図9】A及びBは、特定の撮影アングル、撮影場所及び日時を選択することによって改善される強い反射を伴う特別の画像を表す。
【図10】A及びBは、インターネット接続により得られる実時間の天気リポートを考慮してかかるシステムによって提案される特別の夕焼け画像を表す。
【図11】時期に応じてかかるシステムによって提案される写真露出を表す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましい実施形態に係る詳細な記載及び添付の図面を参照して、より良い理解が得られるであろう。提示されている実施形態は、本発明を実現する具体的な方法であり、全ての可能な方法を含むわけではない。従って、添付の特許請求の範囲に挙げられている本開示の適用範囲内にある実施形態が存在してよい。当然に、多くの変形例が可能である。
【0025】
本発明のこれらの及び他の特徴、側面及び利点は、以下の記載、添付の特許請求の範囲及び図面に関して、より良く理解されるであろう。
【0026】
本発明の好ましい実施形態の夫々に従って、写真撮影者用ガイダンスシステムが提供される。当然ながら、記載される実施形態の夫々は装置を含み、1つの好ましい実施形態のその装置は、他の実施形態の装置とは異なってよい。従って、1つの例で見られる限定が持ち込まれて、代替の例の位置であると暗に考えられるべきではない。
【0027】
図1を参照して、一般的な写真撮影者用ガイダンスシステムに関する最も完全な理解が得られる。例となる写真撮影者用ガイダンスシステム1は、主に、アプリケーション特有のプログラムコード3を有するプログラムコンピュータ2と、位置決定手段4と、フォトセットアップ記述子ライブラリ5とを有する。
【0028】
アプリケーション特有のプログラムコード3は、様々なシステムコンポーネントの間のトランザクションを規定する制御ロジックを実行するよう設計され提供される。コードは、システム対象及びシステムアーキテクチャの認識及び理解を有して作成される。ここで教示される全ての要素の構造及び性質に特有であるコードは、装置が通常の使用において機能している場合に時々実行されるように、記憶されている。
【0029】
位置決定手段(例えば、GPS受信機)は、装置と結合される基準点を有して配置される。すなわち、それは、カメラがどこにあろうと常に位置/場所を決定するよう設定されている。ほとんどの場合で、これは、単に、システムのプライマリハードウェア内にGPSアンテナを位置付けることを意味する。かかるシステムの要素は分散システムで、すなわち、特に、フォトセットアップ・ライブラリで実施されてよく、一方、必然的に移動体であって且つ協働する部分のための位置基準として働くプライマリハードウェアユニットが存在する。ほとんどの好ましい場合において、プライマリハードウェアユニットは、記載されるシステム要素、更には、内蔵DSLRを有する。
【0030】
フォトセットアップ・ライブラリ5はデータ記憶装置であり、従来のデータベースとして配置されてよい。このようなデータベースは、例えばカスタム設計のスキーマ等のメカニズムを有する。更に、かかるシステムのフォトセットアップ・ライブラリは、プレロードされる記憶データ、具体的に、複数のフォトセットアップ記述子6を有する。フォトセットアップ記述子は、ハンドル、パラメータリスト(例えば、名称−値の組(name-value pairs))、実行可能なコード、及び時々1又はそれ以上の画像を有する。フォトセットアップ記述子の最も重要な要素は、視点又は撮影に有利な地点の幾何学的構成概念及び定義である。フォトセットアップデータ記録と視点との間には一対一の対応がある。すなわち、夫々のフォトセットアップ記述子にはまさに1つの視点が含まれる。
【0031】
フォトセットアップ記述子の他の重要な特性は、その関連付けである。様々なパラメータ又は記録フィールドにより、フォトセットアップ記述子は何らかの基準との関連付けを形成する。これは、ソート(sorting)動作にとって有用である。1つの例で、あるフォトセットアップ記述子は場所(例えばワシントンDC)との関連付けを有してよい。他の例で、フォトセットアップデータ記録は特定のランドマークとの関連付けを有してよい。ワシントンモニュメントは旅行者には有名なランドマークである。ここでの議論のために、フォトセットアップ記述子の「写真設定(photo set)」又は「リザルトセット(resultset)」コレクションは、一般に、ワシントンモニュメントのようなランドマーク等の有効なグラフィック画像を作る何らかの共通の対象に特有である。このようにして、関心のある対象は、そのメンバー、すなわち、セットアップ記述子の夫々に関して情報を含む「写真設定」によって表され得る。何らかのフォトセットアップ記述子又はオブジェクトの視点指定は、一般に、写真対象と同じ場所に配置されないと理解することが重要である。言い換えると、フォトセットアップ視点の位置は、通常、写真の対象がある位置とは異なる。
【0032】
その他多くの関連付けも有用である。例えば、あるフォトセットアップ記述子は、「季節」関連付け(例えば「春」)を有してよい。フォトセットアップ記述子は、写真効果又は特徴(例えば「反射」)として特徴付けられる関連付けを有してよい。その他多くのフォトセットアップ記述子の関連付けは、以下で詳細に表される例を鑑みて、より明らかになるであろう。更に、当然ながら、全ての可能な関連付けが(その数が無限に大きいために)ここで記載されるわけではないが、新しい関連付けが導入されたとしても、本発明の本質及び核心は変わらない。明らかに理解されるべき主たるものは、関連付けがフォトセットアップ記述子に付随するものであることであり、記憶されているフォトセットアップ記述子のこのような関連付けに基づくソーティング及び呼び出しが影響を及ぼされうる。
【0033】
位置決定手段は、初期設定ステップに応答して、時々、動作全体を通して連続的に、位置データをコンピュータに伝える。受け取った位置情報に基づいて、例えば関連付け指定等の他の情報の中から、問い合わせエンジン7は、記憶されている情報を呼び出すようデータベース・クエリを形成する。リザルトセット(複数の記述子)8がコンピュータに返される。このリザルトセットは、クエリのパラメータ定義を満足する全てのフォトセットアップ記述子を含む。リザルトセットは1又はそれ以上のフォトセットアップ記述子を含んでよい。
【0034】
フォトセットアップ記述子は、ユーザによってレビューされて検査されてよい。アプリケーション特有のコードは、例えば、ディスプレイタイプの視覚的なユーザインターフェース9で1つずつフォトセットアップ記述子をパース(parse)して、それらを「再生(play)」するよう配置される。より具体的に、画像10は、グラフィック及びテキスト/数字データで同時に提示されてよい。
【0035】
フォトセットアップ記述子を見ながら、ユーザは、触知性の周辺機器(例えば、キースイッチ12又はサムホイール13)を備える制御モジュール11を用いて、提示されるフォトセットアップ記述子を鑑みてアプリケーションと対話する。例えば、ユーザは、更なる動作のために、特定のフォトセットアップ記述子を「選択」してよい。
【0036】
従って、最も一般的な形態が図1のブロック図として与えられている。かかるシステムは時々如何なるカメラ装置とも無関係に配置されるが、望ましくは、場合により、デジタルカメラと密接に関連して(時々、デジタルカメラと一体化されて)考えられる。
【0037】
図2は、システムが直接にカメラと一体化される重要な形態をブロック図で表す。最新のデジタルカメラは、今日、高性能のコンピュータ設備、大規模メモリ及び(時々)GPSを有するが、通常、それらは、本願明細書に記載される他の要素を欠いている。写真撮影者用ガイダンスシステム21がDSLR22としっかりと一体化されている装置の場合に、DSLRインターフェース23がシステムの部分として配置されてよく、これにより、ユーザにより選択されたフォトセットアップ記述子に一致してシステムによって生成される制御コマンドはDSLR22に送信され、カメラの動作状態はフォトセットアップ記述子のパラメータ詳細に従って調整される。この場合に、GPS24は、記憶されているフォトセットアップデータの所定の配置を考慮してデータベース・クエリを生成するクエリエンジン25に場所データを与える。夫々の一意のフォトセットアップは視点の空間的構成概念と関連付けられる。すなわち、データベース・スキーマ及び準備されているデータ26は、時々、同じ写真が生成される場所及び性質を考慮して提供される。写真撮影の視点又は撮影に有利な地点に関する詳細は、フォトセットアップ記述子27とともに送られる。更に、他のフォトセットアップ情報は、姿勢、レンズ倍率、シャッタースピード、露出情報等を含んでよい。図1に係る記載に戻り、ユーザは、複数のフォトセットアップ記述子から1つを選択することができる。フォトセットアップ記述子が選択されると、それは、DSLRインターフェースを駆動するために、アプリケーション特有のコード28によって使用される。デジタルカメラに適切に結合されているDSLRインターフェースは、フォトセットアップ記述子又はリザルトセットとして呼び出された情報と一致してカメラ22の動作状態を変更する。
【0038】
レビューにおいて、ユーザは、関心がある場所にこのシステムのモバイルユニットを持っていき、(呼び出されたフォトセットアップ記述子によって定義される)提案される画像により写真撮影に係る示唆を自動で受け取ることができる。ユーザは、更に、パラメータを指定して(例えば、「日没時の反射」)、写真撮影に係る示唆として提供される対象の適用範囲を制限し又は狭めることができる。リザルトセットにおける画像のグループから画像を選択すると、コンピュータシステムはユーザに、実際の露出を提案されるものと同じにするために撮影者によって使用される詳細のパラメータ設定を与える。それらの中でも最も重要なのは、撮影に有利な地点又は画像視点である。ユーザは、自身が近くの反射用の水たまりにおける反射を伴ってワシントンモニュメントの写真を撮りたいと指定することができる。選択時に、コンピュータは、基準を満たすこのような写真を取ることができる特定の視点にユーザを誘導する。データベースに記憶されている画像は、記憶されている画像が生成された視点又は撮影に有利な地点に対応するそれらのものの幾何学定義に付加されているので、コンピュータはこの視点について知っている。ユーザがフォトセットアップ記述子によって指定される場所に到着し、記載されるような姿勢でカメラを向けると、DSLRインターフェースは、シャッターのリリース前に全ての追加的な露出設定のためにカメラを調整することができる。
【0039】
図3は、写真撮影者用ガイダンスシステム31の重要な通信態様を表す。かかるシステムの幾つかの包括的なものは極めて完全なフォトセットアップ記述子のライブラリを有するので、それらを遠隔のサーバとして具現する方が、都合がよくなる。無線通信リンク32が確立され、これにより、記載されるモバイル装置はインターネット33と結合されて、インターネット33とメッセージをやり取りする。遠隔に配置されているフォトセットアップ・ライブラリ34(サーバ)への呼びかけは、同じ無線通信リンクを介した応答を生成し、これにより、写真撮影者用ガイダンスシステムのモバイルユニットは、複数の非常に関連性があるフォトセットアップ記述子を含む限定的なデータの組を受け取る。明らかなように、有限なメモリ及びコンピューティング資源のモバイルシステムは、記載されるように遠隔のサーバと結合される場合に、有利である。加えて、オンボードで全てのデータを有する内蔵タイプは、更に、頻繁なアップデートに関して制限される。遠隔のフォトセットアップ・ライブラリは、遠隔サーバとして配置されているライブラリでの単一の1回限りの変化により、結合されている全てのユーザに、実時間の新鮮な更新データを提供する。
【0040】
モバイルユニットが撮影場所又は現場に持ち運ばれる場合に、GPS35は、装置の位置を測定し、位置データをアプリケーション特有のプログラムコンピュータに報告する。1つの特別の代替例で、電子コンパス36が含まれてもよい。装置姿勢情報が、また、より狭義のクエリを介してフォトセットアップ記述子を要求するために、幾つかのデータクエリで使用されてもよい。ワシントンDCでこれらのシステムを使用する写真撮影者が西に面したモール内の9番通りNWに位置する場合に、コンパスは、向いている方向又はモバイルユニットの姿勢を検出し、この情報を問い合わせエンジンに提供することができる。このようにして、単に、この場所から西を向いていることは、画像対象としてワシントンモニュメントを全て有するようフォトセットアップ記述子を呼び出させる。しかし、装置が180度回転して東に向けられる場合は、返されるリザルトセットは、対象である米国連邦議会を有するフォトセットアップ記述子しか含まない。すなわち、指示姿勢は、それがどちらに向けられているのかに関連するデータを呼び出すよう問い合わせエンジンを駆動する。従って、位置及び姿勢の両方が、特定のフォトセットアップ記述子を呼び出すようクエリを形成するために使用され得る。
【0041】
1つの重要な例で、コンパスは基準方向、すなわち、姿勢決定に左右される方向を有する。望ましくは、その基準方向は、幾つかのシステムで、カメラ、より具体的には、カメラのレンズの光軸に結合される。カメラが向けられる場合、コンパスは、モバイルユニットの任意の基準よりむしろ、カメラの指示方向を決定する。従って、呼び出されるフォトセットアップ記録セット(すなわち、複数のフォトセットアップ記述子)は、カメラの瞬間的な位置及び姿勢に依存しうる。
【0042】
第2の重要な無線通信リンクは、また、幾つかの場合に有用である。モバイルユニットは、時々、ブルートュース型の通信リンク38を手段としてカメラに結合される。相補的なブルートュース送受信機を有するDSLR39は、カメラが、直ぐ近くの写真撮影者用ガイダンスシステムのモバイルユニットと連続的なデータ通信を行うことを可能にする。かかる代替例は幾つかのハードウェア変形を提供し、それらの夫々は重要な利点及び欠点を有する。
【0043】
豊富な何らかの特定の写真露出に関連する情報、すなわち、フォトセットアップは、かかるシステムの通常動作で利用できるようになる。例えば、TIFF又はJPEG画像データファイルとともに使用されるIPTCフォーマットに従って、メタデータとともに画素データを有する画像ファイルをセーブすることが当該技術において知られているが、従来、写真の被写体、環境、及び露出特性のあらゆる側面に関連するデータを画像ファイルに自動で付加することは全く不可能であった。例えば、当該技術のシステムで、目下、撮影された対象に関する情報を画像ファイルに自動で付加することは不可能である。例えば、今日の最新のカメラで、ゴールデンゲートブリッジの写真を撮る場合に、ファイルメタデータは「ゴールデンゲートブリッジ(Golden Gate Bridge)」を読み出さない。それは、データ、露出詳細、及び手動で付加されたフィールド(例えば、「サンフランシスコ」又は「サンフランシスコ湾のスナップショット」)を含みうる。しかし、撮影され得るありとあらゆる対象を手動で記述するテキストデータを入力することを止める必要なしに、「ゴールデンゲートブリッジ」と読むフィールドラベルを得ることはできない。写真が撮られたときに各写真にラベルを付すことは、特に厄介である。そのようなものとして、「ゴールデンゲートブリッジ」は、ほとんどの場合に、ゴールデンゲートブリッジを含む一連の写真を撮影しようとしない限り、記述に関して狭すぎ又は詳細すぎる。他の対象を撮ることに決めた場合に、次のテキストラベルは手動で用意されなければならない。しかし、その街への観光旅行の間に撮られる写真に対するテキストラベルとして「サンフランシスコ」で応じることが適当である。観光旅行中に撮影された多くの写真は、正確に「サンフランシスコ」と記述されうる。それは、実際に撮影されるものを問わず、全ての画像に適用される静的なフィールドである。
【0044】
本願で教示されるシステム41で、フォトセットアップ記述子は、撮影された写真の実際の対象に関する情報を含んでよい。アルカトラズ島にいる写真撮影者が自身のカメラ42を西に向けることは、撮影される写真の対象のタイトル(すなわち「ゴールデンゲートブリッジ」)を含むフォトセットアップ記述子の呼び出しを自動で引き起こす。従って、「ゴールデンゲートブリッジ」がメモリ43に記憶される。加えて、特に撮影される対象に関連する他の画像タグ44も画像ファイルの一部としてセーブされてよい(例えば、タイトル、設計者、建築年等)。これらの画像メタデータタグは、従来の画像データ45とともに記憶されてよい。同じ写真撮影者により、今度は東に面するよう180度回転され、他の写真を撮られる場合に、呼び出されるフォトセットアップ記述子は、対象タイトル「トレジャーアイランド」を有しうる。ユーザはこれらを手動で入力する必要はなく、撮影される対象にカメラを向ける動作だけで、画像ファイルとともに記憶されるメタデータは自動で変更される。
【0045】
フォトセットアップ記述子からの情報は、写真撮影者用ガイダンスシステムからDSLRへDSLRインターフェースを介して送られ、これにより、ファイル書き込みシステムは、IPTCスタイルメタデータに従って、データフィールドを画像ファイルに適用する。このようにして、自動化された対象ラベル付けが捕捉された画像に適用される。このスキームは対象タイトルに限定されない。むしろ、多くの情報は、露出時に、同じように適用して、画像ファイルと関連付けられてよい。フォトセットアップ記述子の一部として記憶され得るものはいずれも、写真撮影者用ガイダンスシステムがフォトセットアップ記述子及び全てのその関連データを呼び出すので、最終的に画像として添付され得る。従って、この場合に、画像タグは、フォトセットアップ記述子を呼び出すステップが画像捕捉に先行する場合に、捕捉されるあらゆる画像に関連する更に多くの詳細を含む。ここで記載されるように、このフォトセットアップ記述子を呼び出すステップは、フォトセットアップ・リザルトセット内の複数のフォトセットアップ記述子から撮影者が選択することによって手動で、又は、代替的に、組み合わせて、実時間で動的に測定されるシステム位置及び/又は姿勢の変化時に起こる自動応答によって、引き起こされてよい。
【0046】
図5は、写真撮影者用ガイダンスシステム51の他の重要な態様を表す。DSLRインターフェース52により、カメラ設定データセット53はDSLR(カメラ)54に送られる。DSLRは、受け取ったデータパッケージに含まれるデータに従って、カメラの物理的な動作状態を調整することができる。例えば、呼び出されるフォトセットアップ記述子は、ある特定のシャッタースピードに係る仕様を含んでよい。カメラ設定データセットの一部として、シャッタースピードに係る値がDSLRに送られる。カメラは、シャッタースピード値を含むカメラ設定パッケージに一致してシャッタースピードを設定することで、そのカメラ設定パッケージの受信に応答する。すなわち、次の露出は、カメラ設定データセットに予め記述されているシャッタースピードに従って行われうる。
【0047】
同様に、幾つかあるカメラ設定の中でも特に、開口値、ホワイトバランス、ズーム状態(倍率)、フォーカスパラメータが、呼び出されたフォトセットアップ記述子からDSLRに送られてよい。フォトセットアップ記述子は、ユーザに提供された複数のものの中から選択された1つであっても、又は位置/姿勢の変化に応答して自動で生成されても、あるいは、それらの組み合わせであってもよい。実際には、カメラにおいて可能な如何なる設定も、このようにして、カメラ設定データセットの受信に応答して変更されてよい。
【0048】
このような写真撮影者用ガイダンスシステム、それらの動作及び機能の最も完全な理解のために、実例に基づく幾つかの重要な画像が展開され、以下に提示される。図6〜11の画像を参照する以下の記載は、幾つかの重要なシナリオにおける当該システムの性能を明らかにするために与えられている。
【0049】
1つの重要な場合で、本教示に従う写真撮影者用ガイダンスシステムは、視点(位置及び姿勢)及びカタログ(フォトセットアップ記述子のライブラリ)を介して決定される、撮影される対象に応答するものを含む。対象が動いている要素(水)を含むと決定される場合に、シャッタープログラムが関与する。異なる写真撮影可能性をユーザに提供するよう、予め記憶されている画像の中の3つの個別的な写真の例が、表示インターフェースでのユーザレビューのために、夫々異なるシャッタースピードを有してフォトセットアップ記述子の一部として提供される。落水(falling water)は、高速なシャッタースピードを有して写真露出を行うことで、例えば図6Aにおける画像のように、凍っているようかのように現れることがある。微妙な動作効果(subtle motion effect)は、図6Bのような画像を生成するために、より遅いシャッタースピードを有して実現される。最後に、図6Cは、どのようにして遅いシャッタースピードが画像を極めて不鮮明な水を有するものとするのかを表す。これらの写真を適切に露出するよう、他のカメラ状態、すなわち、開口及び/又は画像検出器感度(ISO)のバランスを取る必要がある。一定の環境において、2つの反比例する露出パラメータ(開口及びシャッタースピード)による露出の操作は、対象の動きによる極めて目に見える外観を与える所望の効果を生じさせうる。露出のバランスを取るよう、fストップ(開口)は、例えば、16、32といった極めて大きな数として選択されてよく、更に、カメラISOは小さくされてよい。従って、シャッタースピードは遅くされ得、すなわち、露出時間は、例えば0.5秒のオーダーといったように、大きくなる。
【0050】
適切に作用する1つの具体例は、動いている水を含む画像対象に関する。ガイダンスシステムは、選択された対象が動いている水(例えば、図6の落水)を含んでいると検出し、又は、その場合に、当該技術の示唆は、遅いシャッタースピードに達するための露出パラメータの調整を含んでよい。
【0051】
あらゆる特定の選択される画像に関して、サンプル画像を含むフォトセットアップ記述子により、露出設定の提案はユーザインターフェースにおいて提示されてよい。露出設定の提案は、以下のように、例えば、ISO、開口及びシャッタースピードを含んでよい:
ISO100
開口−F32
シャッタースピード−1/3秒。
【0052】
設定は手動で設定されてよく、又は、むしろ、制御モジュールの「受諾(accept)」制御部は、示唆に従ってカメラ設定を自動で設定させるよう切り替えられてよい。その後、シャッターリリースボタンを押下することによって写真撮影者の意志で露出が行われる。
【0053】
ユーザインターフェースの部分として、提案されるショットは、適用される設定の結果でありそうなものをより良く予想するよう場面をプレビューする機会を撮影者に与える画像の例を含んでよい。リザルトセットの全記述子のグループは全て、共通の対象により結合され、夫々が、ユーザが選択するのに役立つよう連続的にスクロールされうる画像の例を有してよい。
【0054】
このような装置の1つの重要な例で、写真撮影レッスンは、提案される構図の代替案(composition alternatives)を含む。単一の視点、すなわち、第1の基準視点と比較して位置及び姿勢が極めて相似の視点から、極だって異なった写真に到達することが可能である。写真の構図は、位置及び姿勢を僅かに変更することで、完全に相違しうる。
【0055】
撮影者に構図の代替案を教えるよう、1つの「写真撮影レッスン」モードで動作するシステムの装置は、特定の撮影に有利な地点に関連付けられている写真の変化の例を提示することができる。すなわち、ユーザは、最初に、特に関心のある、撮影に有利な地点を選択する。これは、協同性(cooperative nature)に係る複数の同じような撮影示唆を含むガイド付きツアーの一部である有利な地点である。実際の場所に到着すると、装置はこの条件を検出し、応答を与える。装置が「レッスン/構図」モードで動作する場合に、応答は、現在の場所から又はその近くで撮影される画像の組をディスプレイ・ユーザインターフェースで提示することである。提示される画像の夫々は、ほぼ同じ対象に係る代替の見方を表す。未熟な撮影者は、当然ながら、これらの可能な構図を直感的に見ることはできない。しかし、これらの構図例の再生時に、ユーザは、最も関心があるものとして1つの特定の写真を選択し、それを、実際の露出を行う前に、類似した又は同じ構図を達成するよう自身の実際の撮影視点を再調整するガイドとして用いてよい。このようにして、未熟な撮影者は、どのようにより良い写真に到達すべきかを初心者に教える傾向を有する熟達した構図を紹介される。提案される写真構図は、システムの現在の位置及び姿勢を装置が決定したことに応答して、レビューのためにユーザインターフェースに達する。当然、惑星上の全ての可能な撮影場所がそれらに関連付けられたこのような多数の構図画像を記憶しているほどに大きいデータベースは不可能であり、それでもやはり、かかる画像が関心のある様々な構図を有する重要な観光地及び撮影場所に関連付けられるように画像のデータベースを用意することは、単なるエンジニアリング・エクササイズのままである。
【0056】
以下、例を表す。ワシントンDCにあるベトナム戦没者記念碑壁に対して、特定の壁の端近くの撮影に有利な地点は、我が国の首都の写真撮影ツアーの一部として含まれてよい。写真撮影ツアーで定義される推奨される撮影位置に到着すると、システムは「レッスン/構図」モードに入る。モードがアクティブにされると、特定の撮影場所に関連付けられメモリに記憶されている画像は、代替の構図可能性の組として再生又は提示される。例えば、図7Aの画像は、画像において強い垂直及び水平ライン並びに周囲の公園の景色を含む洗練された構図を表す。この画像はユーザによって学習され、その画像を複製しようとする試みは、カメラ及び撮影者が既に位置している場所からカメラの正確な位置及び角度に対して軽微な調整のみを必要とする。
【0057】
図7Aの画像が写真撮影者にとって興味を起こさせるものでなく、又は満足のいくものでない場合、図7の画像があってもよい。複数の画像の自動化されたスライドショー提示によって、又は代替的に手動サムホイールスクロールによって、装置に表示される提示画像は、撮影構図の著しい変化を有して、ほぼ同じ対象に関して、図7Bに表されるものに変更されてよい。このショットは洗練された反射及び強い放射線状の直線を含む。それは、ほぼ同じ視点から撮られ、ユーザは、単に、ユーザの現在位置からカメラの位置及び角度を微調整することで、この構図を容易に見つけることができる。
【0058】
従って、かかるシステムの写真撮影レッスンは、「構図示唆」モードで動作する装置を含む。予め記録されている画像のデータベースは、装置に対する瞬間的な位置及び姿勢に応答して画像セットを再生する。これらの画像セットは、共通の関連する視点を有するが構図が異なる複数の画像を含む。
【0059】
本願における写真撮影者用ガイダンスシステムは、写真を提案し、ユーザを、位置決定手段による検出によって又は装置への手動入力としての宣言によって、システムの瞬間的な場所に基づいて、撮影詳細を含む写真の特定のパラメータに導くよう配置されてよい。1つの特別の場合において、かかる写真撮影者用ガイダンスシステムは、恒星時(sidereal time)に基づいて露出設定を提案することができる。すなわち、よく知られている宇宙の周期運動が基礎を成してよく、これから、特定の写真撮影者用ガイダンスシステムは可能な露出シナリオを提示することができる。
【0060】
1つの例となる場合において、ユーザは、システムを「ルナ(Luna)モード」に置くことができる。このモードは、システムに、月の画像を含む様々な画像をデータベースから呼び出させる。提示される画像から、ユーザは、特に関心のあるものを選択する。次いで、システムは、ユーザに、明確な撮影に有利な地点又は視点に行くよう、更に、所定の時点にそこに行くよう指示することによって、応答する。提案される時間に、月は、画像において見られたような適切な位置にある(又は、望ましくは、その位置に近づいている)。更に、写真撮影対象の他の要素は、ユーザが選択した画像に表されているように見える。従って、ユーザの場所及び時間に応答して、かかる写真撮影者用ガイダンスシステムは、画像が昇る月から構成されるよう注意して撮影者を導くことができる。これは、簡単なコンピュータアルゴリズムが常に地平上の対象に対して月の位置を予測することができるので、可能である。当然、新月の間のワシントンDCでの撮影者は、新月が必ずしもこのような関心のある被写体ではないので、解決法を提供されない。満月の間にそこにいる撮影者は、月が意図された写真の他の対象と良好な配置を有する特定の場所、更には特定の時間に係るガイダンスを受け取る。
【0061】
図8A〜Cは、他の重要なワシントンDCのランドマークとともに満月を含む幾つかの重要な写真を表す。これらの写真は、米国連邦議会上の見事な月の出イベントの直前に、日中、システムユーザに提示されてよい。画像の1つの選択時に、システムは、同じ露出が作られ得る場所及び時間を含む撮影パラメータの組をユーザに与える。ユーザ撮影者は、撮影の準備をするために、指定された時間より前に、指定された場所に向かうことができる。例えば、撮影者が三脚等の固定機構にカメラを設置したいと望むことがある。その瞬間が訪れると、捕捉される画像がデータベースから再生された画像に極めて近くなるよう露出が行われる。専門家のオブザーバは、月が1年を通じて地平の上を動き回ることに留意しうるが、視点の調整は、プレビュー画像から選択された配置に適応し又は少なくともそれに近づけるよう行われることが好ましい。
【0062】
図8AはワシントンDCの月の出を示し、月は連邦議会とワシントンモニュメントとのまさに間の正確な位置にある。これを達成するよう、ガイダンスシステムは撮影に有利な地点及び日時(より精確には月日も)を提案し、更に、システムは、近く及び遠くの対象の間の適切な相対的サイズを達成するようレンズ倍率を指定してよい。
【0063】
図8Bは、同じ有利な地点から撮られた同じ画像を示す。しかし、この時点で、月は数度上昇しており、空のより高い位置にある。この画像がユーザによって望まれて選択される場合、より遅い撮影時間が、ユーザがライブラリからこの画像を選択することに応答して、コンピュータによって指定される。
【0064】
図8Cは、連邦議会の建物、ワシントンモニュメント及びジェファーソン記念館を伴う月の更なる同じ画像である。しかし、眺望が変更されている。図8Aと比較して月は空の同じ高さにあるが、モニュメントの配置が異なっている。従って、ユーザが提供される画像からこれを選択する場合、コンピュータは、撮影者を、異なる撮影位置又は視点に導く。
【0065】
各スナップショットにおいて、重要な要素には、月の出時に満月を捕捉する日時指定が含まれる。本願で教示される本発明の利点を有していなかった写真撮影者は月の出の時刻を考慮していたが、これは、ムーンチャート(moon chart)等の外部ソースの参照及び注意深い計画を必要とする手動ステップであった。更に、撮影されるスナップショットの何らかのプレビューを生じることは困難又は不可能であり、少なくとも手動ステップである。対照的に、満月が起こる日にワシントンDCに偶然ユーザがいる場合、本開示の写真撮影者用ガイダンスシステムは、この条件に応答して、提案される可能なスナップショットを提供する。それらのショットからの選択時に、システムは、例えば、場所、姿勢、時間及びカメラ設定/状態等の撮影詳細を提供することにより応答する。
【0066】
かかる写真撮影者用ガイダンスシステムが優れた画像セットアップパラメータを提供することを可能にする構造の更なる他の重要な実例において、インターネット天気予報サービスに応答するシステムが、図9A及び図9Bの写真を参照して本願で記載される。
【0067】
かかるシステムの幾つかの好ましい例はインターネットに適切に結合されるので、それらは、例えば天気予報サービス等のウェブ上のサービスを周期的に呼び出すことができる。このようなインターネット呼び出しで受け取られる情報は、提案される写真撮影可能性として提供される方法及び内容に作用しうる。
【0068】
1つの表される例で、写真撮影者用ガイダンスシステムは、天気予報を提供するインターネットウェブサービスの自動電子呼び出しを行う。すなわち、過去、現在及び将来の気象状態に関する詳細が適切な予報サービスから読み出されうる。ある所定の条件が存在する場合に、システムは、これらの条件(又は期待される条件)に応答して特定の画像を提案することができる。すなわち、撮影示唆に対する写真撮影者要求は、インターネット上で入可能な情報によって影響を及ぼされることがあり、これにより、提示されるリザルトセットは、そのようにして受け取られた情報に依存する。
【0069】
かかる露出示唆の中でとりわけ興味を引くものは、雨の期間の後の日照から生じるものである。システムのインターネット呼び出しが、日照が後に続く雨と特徴付けられる天気予報を返す場合に、システムは、見事な反射を有する画像を含む画像の例を、システムのディスプレイ表面に提示する。データベースは、ここで記載される写真撮影ツアー及び写真撮影レッスンをサポートするデータを前もって備えているので、データベースには、大きく且つ持続的な水たまりを生じさせる傾向を有する場所が知られている。気象状態が状況に適している場合に、写真撮影者用ガイダンスシステムは、現在の天候に関連する特性に一致する天候関連特性を有する画像を含む提案される画像を与える。例えば、水たまりはしばしば暴風雨の後に残されて、写真において芸術的に有用な見事な反射を作るので、システムは、オンライン天気予報の受信に応答して、重要なランドマークの反射を有する水たまりを示す提案される画像を与えることができる。データベースは、並外れた反射を周知のごとく提供する水たまりの画像を含む画像ライブラリから成る。これらの画像は暴風雨の後に提供され、ユーザは、画像露出が行われうる水たまりの近くの場所へのガイダンスを受け取るよう、それらの中から選択しうる。図9Aの1つの例となる画像で、ジェファーソン記念館が、水たまりが集まった前景で反射されながら写されている。同様の水たまりは暴風雨の度に形成される可能性があるので、システムは、十分な暴風雨が通る度にこのような画像が生成されると容易に予測することができる。ユーザが画像を選択する場合に、システムは、撮影に有利な地点の場所を提供するとともに、そこに撮影者を導くことができる。僅かに濡れている平坦な歩道等の同じように知られている場所(図9B)は、指示される写真撮影ツアー又はレッスンガイドの一部として素晴らしい写真露出が行われる、洗練された撮影に有利な地点を提供する。
【0070】
本願で教示される写真撮影者用ガイダンスシステムは、気象状態及び日時の両方に応答してもよい。図10A及び10Bは、アマチュア写真家に人気のある画像の例(夕焼けの写真)を提示する。千切れ雲が空にあると知られている(天気予報サービスの自動呼び出しにより知られている)場合に、恒星時及び場所の考慮に従って日没が近づいているならば、システムは、気に入ったランドマークとともに見事な夕焼けを有する画像のセット(複数のフォトセットアップ記述子を有するリザルトセット)を提案することができる。
【0071】
このような写真撮影者用ガイダンスシステムのある例は、更に、より大きなスケールでの時間に応答する。すなわち、システムは、季節に関連する撮影示唆を与えるよう配置されてよい。ユーザが、特定の時期に起こる桜の開花の間にワシントンDCに観光で訪れる場合に、提案されるスナップショットとして与えられる画像は、図11A及び11Bの画像を含みうる。ジェファーソン記念館(図11A)及びワシントンモニュメント(図11B)を含むランドマークは夫々、開花している桜の木を有して、素晴らしいアーティストによって広範囲に撮影されている。そのようなものとして、これらの画像はデータベースに記憶され、特定の撮影視点又は有利な地点と関連付けられてよい。システムが正確な時期に呼びかけられる場合に、システムは、桜に関連してワシントンDCのランドマークに係る潜在的に関心のある画像を提示することにより応答することができる。桜は年ごとに認め得るほどには動かないので、更には、桜は特定の時期に咲いているので、システムは、美しく咲いている木及びお気に入りのランドマークを有する素晴らしい構図を確信して撮影が行われる、優れた撮影に有利な地点を提案することができる。従って、システムは、画像対象(すなわち、落水、構図変化)のみならず、時間、天候、季節等にも応答する。
【0072】
上記の例は、本発明の装置及び方法の好ましい形態を表す実施例を対象とする。完全のために、装置及びそのような装置を構成する要素並びに方法及びそのような方法を構成するステップに係るより一般的な記述が以下で与えられる。
【0073】
ここまでで、提案される画像を生成するよう動作する、カスタマイズされたプロセッシング及び記憶された情報に基づく写真撮影者用ガイダンスシステムがどのように実現され得るかは、十分に明らかであろう。本発明は明りょう且つ簡潔な言葉を用いて、本発明者が考える最良のモードを含む特定の好ましい実施形態を参照してかなり詳細に記載されているが、他の変形例が可能である。従って、本発明の技術的範囲は、本願に含まれる好ましい形態に係る記載によって限定されるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0074】
1,21,31,41,51 写真撮影者用ガイダンスシステム
2 プログラムコンピュータ
3,28 アプリケーション特有のコード
4,24,35 位置決定手段(GPS)
5 フォトセットアップ・ライブラリ
6 フォトセットアップ記述子
7,25 問い合わせエンジン
8 リザルトセット
9 ディスプレイ
10 画像
11 制御モジュール
12 キースイッチ
13 サムホイール
22,42,54 DSLRシステム(カメラ)
23,37,43,52 DSLRインターフェース
26 スキーマ/準備データ
27 フォトセットアップ記述子
32 無線通信リンク
33 インターネット
34 フォトセットアップ・ライブラリ(サーバ)
36 コンパス
38 ブルートュース型通信リンク
43 画像メモリ
44 画像タグ
45 画像データ
53 カメラ設定データセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真撮影者用ガイダンスシステムであって、
プログラムコンピュータと、
フォトセットアップ・ライブラリと、
インタラクティブ式制御モジュールと、
ディスプレイタイプのユーザインターフェースと
を有し、
前記フォトセットアップ・ライブラリは前記プログラムコンピュータに結合され、これにより、記憶されているフォトセットアップ記述子が呼び出されて、前記ディスプレイタイプのユーザインターフェースで提示され、呼び出されたフォトセットアップ記述子は、所定のフォト・オポチュニティの撮影状態を特徴付けて表現する、ガイダンスシステム。
【請求項2】
前記プログラムコンピュータは、写真撮影ツアーを管理するよう配置されるアプリケーション特有のコードを有する、請求項1に記載のガイダンスシステム。
【請求項3】
前記写真撮影ツアーは、論理的な方法で一連のフォトセットアップ記述子の提示として特徴付けられる、請求項2に記載のガイダンスシステム。
【請求項4】
前記論理的な方法は、順序正しい空間的なプランを含む、請求項3に記載のガイダンスシステム。
【請求項5】
前記論理的な方法は、ウォーキングツアーにおける共通のランドマークによって全て結合されている複数の撮影に有利な場所を含む、請求項3に記載のガイダンスシステム。
【請求項6】
前記順序正しい空間的なプランは、市内バスのルート、地図、地下鉄のルート及び市内ツアーを含むグループの中のいずれか1つである、請求項4に記載のガイダンスシステム。
【請求項7】
前記プログラムコンピュータは、写真撮影レッスンを管理するよう配置されるアプリケーション特有のコードを有する、請求項1に記載のガイダンスシステム。
【請求項8】
前記写真撮影レッスンは、可変なカメラ設定の探査として特徴付けられる、請求項7に記載のガイダンスシステム。
【請求項9】
シャッタースピードとして特徴付けられるカメラ設定を有する、請求項8に記載のガイダンスシステム。
【請求項10】
開口として特徴付けられるカメラ設定を有する、請求項8に記載のガイダンスシステム。
【請求項11】
前記写真撮影レッスンは撮影アングルのレッスンとして特徴付けられる、請求項7に記載のガイダンスシステム。
【請求項12】
前記撮影アングルは反射像について最適化される、請求項11に記載のガイダンスシステム。
【請求項13】
前記撮影アングルは構図の代替案について最適化される、請求項11に記載のガイダンスシステム。
【請求項14】
位置決定手段に結合される問い合わせエンジンを更に有し、これにより、呼び出されるフォトセットアップ記述子は装置の現在の位置に依存する、請求項1に記載のガイダンスシステム。
【請求項15】
恒星時計に結合される問い合わせエンジンを更に有し、これにより、呼び出されるフォトセットアップ記述子は宇宙の位置に依存する、請求項1に記載のガイダンスシステム。
【請求項16】
前記宇宙は、より具体的には、月及び太陽を含む、請求項15に記載のガイダンスシステム。
【請求項17】
カレンダに結合される問い合わせエンジンを更に有し、これにより、呼び出されるフォトセットアップ記述子は時期に依存する、請求項1に記載のガイダンスシステム。
【請求項18】
前記時期は、更に、春、夏、秋、冬等として特徴付けられる、請求項17に記載のガイダンスシステム。
【請求項19】
触知性入力システムを備える制御モジュールを更に有する、請求項1に記載のガイダンスシステム。
【請求項20】
前記触知性入力システムは、サムホイール、キースイッチ、ボタン及びタッチスクリーンを含むグループの中のいずれかを有する、請求項19に記載のガイダンスシステム。
【請求項21】
前記触知性入力システムは、前記ユーザインターフェースで提示される複数のフォトセットアップ記述子のリザルトセットと相互に作用するために用いられる、請求項19に記載のガイダンスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−34281(P2012−34281A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173681(P2010−173681)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(500387559)ジオベクター コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】