説明

冶金処理を実施するための方法及び装置

冶金処理は、原料収納器を提供する工程と、第1材料の複数の粒体を該原料収納器内に配置する工程とを含む。第1材料は冶金処理における第1原料を含む。冶金処理のための原料が加えられるチャンバを有する冶金処理用の炉が提供され、原料収納器及び第1材料が該チャンバへ加えられる。材料収納器及び第1材料をチャンバへ加えた後にチャンバは加熱されるが、チャンバはこのように材料収納器及び第1材料がチャンバへ加えられる前に加熱されてもよい。一形態においては、粒体はミルスケールからなり、冶金処理用の炉は高炉である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、有益な経済的及び環境的利益を得ることができる、鉄を豊富に含むミルスケールを製鉄及び/又は製鋼処理の流れに再導入するための方法、装置、及び技術について説明する。ミルスケール(基本的には酸化鉄)は、ほとんど活用されていないが、標準的な生産方法の副産物として非常に入手しやすい。本願においては、ミルスケール(又は他の廃棄材料を含め、他の材料)を従来の高炉(BF)又は他の冶金処理(例えば金属の製造もしくは精錬、又は合金の製造もしくは合成)に導入するためのシステム及び方法に関してより詳細に説明する。記載されるシステム及び方法は、冶金処理の熱源としての可燃物質及び有用な化学元素を含む廃棄物の利用にも好適である。
【背景技術】
【0002】
製鉄及び製鋼処理は、酸化鉄微粒子ならびにその他のいわゆる「微粉」及び屑(前者は、酸化物を豊富に含む砂様粒子やより大きな又はより小さな大きさの脆弱片に代表される)からなる大量の廃棄材料を生じさせる。このような材料を経済的にリサイクルするための困難な試みを行うために、多くの技術が使用されてきた。一般的に、これらの回収及びリサイクル方法は、廃棄物を破砕して比較的小さな寸法にすること、融剤や炭素含有還元剤(例えばコークス粉)を含むことができる種々の化学物質を鉄含有材料と混合すること、水とセメント等の結合剤を加えること、前記混合物をペレット化すること、いわゆるグリーンペレットを熟成及び乾燥処理すること、及びホットブリケットとして知られる特殊な工程においてペレットを高温に暴露して酸化物を変換することを含む。このような方法を用いる主要な理由は、微粉材料が硬質かつ機械的耐性を有するペレット又は同様の形態に変えられていない場合には、下流リサイクル工程(例えば高炉や他の精錬及び製鋼装置において行われるリサイクル工程)中に材料が衝突する高速ガス流が粉塵による極めて重大な問題を起こすからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ミルスケールの主要特性は、大部分が酸化鉄を豊富に含む小さな粒子「微粉」からなることである。高炉内へ単に落下させた場合、これらの「微粉」は、高炉を通り抜ける高速の送風に捕らえられて、システム外へ急速に排出されることが多い。システム外へ排出されなかった微粉の一部は、深刻な目詰まりを引き起こしうるとともに、高炉内を上昇するガスの通過をひどく妨げうるため、高炉の効率を低下させる虞がある。これらの問題から、限られた量のミルスケールをリサイクルするために現在使用されている種々の方法は、非常に高価であり、かつエネルギーを消費するものとなっている。例えばブリケット法では、ミルスケールと結合剤を成形して、比較的高炉環境に適したほぼビスケットサイズの凝塊とする。しかしながら、ミルスケール中の鉄を回収するこのような方法は、本願に開示されるシステム及び方法に比較して非効率的であるとともに費用がかかるのみならず、通常は比較的清浄なスケールについてのみ行われる。世界中で数十年にわたって大量に蓄積されてきた油やグリースが付着したミルスケールは、結合剤がこのような材料に対して十分に作用しないため、このような方法に適しているとはいえない。
【0004】
これらの技術上及びコスト上の問題のために、米国のみでも何億トンものミルスケールが蓄積されている。ミルスケールを埋め立て地又は「ごみ集積場」に配置する単純なコストは、現在、1米トン(約907kg)あたり17〜35米ドルに達する。他の冶金廃棄物微粉にも同様の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示される方法は、微粉をリサイクルするための経済的な方法を提供することにより廃棄コストをなくすものであり、該方法は、結合剤又は焼結法を用いず、かつ粉塵の分散や、油が付着した微粉からの気化した炭化水素による汚染を回避し、かつ炭素含有微粉を冶金微粉と組み合わせて用いて、酸化物還元等の所望される化学反応のための処理エネルギー(熱量)及び成分に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
保護を求める発明主題の理解を容易にするために、添付の図面には実施形態が示されており、図面を見て以下の説明を考慮することにより、保護を求める発明主題、その構造及び作用、ならびのその効果の多くについて容易に理解されるであろう。
【0007】
(詳細な説明)
本明細書に開示される概念は、理想的には鉄微粉単独のリサイクルに適しているが、これに限定されるものではない。従来のリサイクル方法に比較して、本明細書に記載される技術は、清浄な微粉、油/グリースが付着した微粉、及びこれらの組み合わせのいずれにも用いることができる。開示されるバルクの容器封入コストは低く、準備工程は簡単かつ迅速、そして拡張可能であると考えられる。本明細書に開示される原理は、広範な収納器又は容器(例えばカプセル)、様々な大きさ(例えば1カプセルあたりに100ポンド〜数米トン(約45.36kg〜数トン)の個々の充填物を収容する直径6インチ〜数フィート(約15.24cm〜2m))、異なる形状(例えば球状、「サンドバッグ」状、長尺状円筒形、ソーセージ状等の形状を含むが、これらの形状に限定されるものではない)に経済的に適合可能であると考えられる。異なる形状とは、真珠を縒ったものやバナナの束のように、縛ったものや一続きにされたものであってもよい。したがって高炉の操作者は、例えば、ミルスケールを収容するカプセルの高炉投入物及び融液中での分配を制御するための方法及び手段の使用において、所望される自由度を得ることができる。
【0008】
本明細書に開示される収納器の基本的な二つの形態は、消耗収容器と再使用可能な収容器である。
[消耗容器]
消耗容器は、鉄微粉(及び高炉等における冶金処理において添加することが所望されるコークス粉等、他の添加される材料)を封入する。消耗容器は、高炉投入物中の残りの材料に加えられ、(投入物中の他の材料が溶融し、又は消費されるため)緩やかに下降する。高炉の温度は深さを増すほど高く、容器は最終的に、容器が分解され又は溶融して鉄微粉又は他の材料を放出する深さの領域へ、あるいは実質的には高炉内における送風によって吹き飛ばされない液体金属内へと下降する。消耗容器が液体のその水準に到達する前であって、かつ微粉が送風により吹き飛ばされないように鉄微粉及び/又は他の材料が軟化して若干結合する時間を有するように消耗容器が十分な時間高炉の高温に暴露された後に、消耗容器が溶融、破裂、又はその他の破壊を起こすように設計することができる。
【0009】
[再使用可能な容器]
他の形態においては、鉄微粉(及び/又は他の材料)を封入した再使用可能な容器の使用を含み、再使用可能な容器は高温液体金属内へ下降させられて、容器内の材料が高温液体金属の液面下に投入される。再使用可能な容器の使用については最初に(図1乃至9を参照して)大部分を説明し、消耗容器の使用については図10に関して後に詳細を述べる。しかしながら、説明は(図面のいくつかを取り混ぜながら説明するため)幾分混じるものである。
【0010】
本発明の主要な物理的特徴及び作動機構は添付の図面に示されている。本明細書の後述する記載においては、好適な材料、封入成分の関連コスト条件、特定の物理的な変更例及び方法の変更例について説明される。
【0011】
本明細書においては、制御された熱分解特性、熱伝達制御、通気特性、可溶密封体、処理への次表層投入(sub-surface injection) 、液体金属シールの使用といった特徴を有する容器詰め設計により、ミルスケール及び他の微粉(及び他の廃棄材料)のリサイクルを行うための新規な方法及び装置が開示される。
【0012】
本発明は、以下の工程及び要素の一部又は全部を使用することができる。
・(必要に応じ)微粉径スペクトルの調整
・他の化学物質、材料、又は炭素含有物質(例えば石炭、コークス、ポリマー、又はエラストマー)等の廃棄物と微粉との混合
・容器容積の形成
・微粉及び添加化学物質(及び/又は材料)の容器容積内への配置及び閉鎖部の設置
・内容物を容器壁内に密封する固定具を備える容器の製造
・容器壁が破壊される温度よりも低い温度にて熱によって破壊される固定材料の使用
・容器壁材料が破壊される温度以上の温度にて熱によって破壊される溶接部又は圧着部等の固定具技術の使用
・容器壁材料が破壊される温度程度の温度にて熱によって破壊される溶接部又は圧着部等の固定具技術の使用
・所定の温度に到達すると開口する又は溶融する(「溶解する」)少なくとも一領域(閉鎖部であってもよい)を備える容器の製造
・外部環境に通じるガス透過性を有する領域を少なくとも一つ有する容器の構成
・ガス透過性を有する領域を介して粉塵が漏出することを防止するための高温用織布の構成
・ガス透過性を有する領域を介して粉塵が漏出することを防止するための高温用不織フェルトの構成
・充填した容器の高炉上部領域への運搬
・高炉内への容器の導入
・高炉へ進入する容器の横方向における分布を変化させること
・沈降しつつある高炉装入原料に容器が沈み込む際の容器の垂直方向における分布を制御すること
・外部環境へ通じる熱伝導通路(ガス透過性を有していてもよい)を有する容器
・(必要に応じて)熱及びガスによる容器詰めされた微粉の前処理(例えば乾燥)
・乾燥及び前処理のための廃熱利用を行うために容器を配置すること
・閉鎖部を熱によって開口させる際(「次表面投入」時)に、容器を予め存在する高温材料の近傍に配置することにより、又は容器の一部もしくは全部を該高温材料に沈めることにより、粉塵の飛散及び/又は内容物の再酸化を回避するように容器を配置すること
・開口時に容器が内部に配置される、開口底部を有する装入ベル
・図1に示されるように開口を熱的に作動させることによって容器が内容物を排出するときに、容器が内部に配置された装入ベルの底部を高温液体金属内へ到達させ、これにより外部環境に材料が漏出することを防止するシールに影響を与えること
・ヒートシンクの導入により装入ベルと接触する液体金属が冷却されることを防止するために予熱される、液体金属の液面下へ沈む装入ベルの一部の構成
・高温用粉塵フィルタ布からなる覆いの下で熱に暴露した後に容器に材料を充填することにより、容器詰め前に微粉(及び還元に必要とされる化学物質)層の前処理を行うための移動床炉の使用
・上述した高炉での処理工程において、バーナ爆風の影響を最小限にするために、粉塵フィルタ近傍に格子状流れシールド及び空力翼等の境界層流動効果を使用すること
・流出溶融を制御するために、異なる流れ特性及び/又は熱によって開口する複数の温度を有する複数のノズル管(又は他の開口部)を容器に具備させること
本発明の他の特徴及び態様は、図面及び明細書に記載される説明から明らかになるであろう。
【0013】
[再使用可能な容器システム]
図1には、ミルスケールをリサイクルするための装置及び方法が簡素化して示されている。熱により作動させられる開口部/閉鎖部106は、オープンレードル又は同様の溶融容器104に用いられる。一形態においては、開口部/閉鎖部106は、非常に高い温度に一定時間暴露されると溶融するように設計される可融性リンク103により容器104に取り付けられた中実体の金属障壁又はドア108を備える。
【0014】
使用の一形態においては、溶融容器104は、再使用可能な装入ベル102とともに用いられる。溶融容器104は、溶融容器104を装入ベル102に連結するカップリング105を用いて装入ベル102内に吊下されてもよい。このように溶融容器104及び装入ベル102を連結することにより、融液111等の液体金属の液面下の投入深さに近い温度まで温度が上昇したときに、装入ベル102内に発生するガスを捕捉できる。これにより、例えば、溶融容器104が熱により作動する開口部/閉鎖部106より上方にガス透過性開口部107を備える場合には、投入を行いやすくなる。この段階において、水冷パイプを介して更にガスを加えてもよい。下降部材(図示しない)を用いて、装入ベルが融液111に進入する際に装入ベルに対してさらに降下させ、かつ安定させる力を加えることができる。
【0015】
装入ベルは、ヒータ101等の局所的熱源をその下縁近傍に備えていてもよい。この熱源10は、炭化ケイ素ロッドアセンブリ等の電気的に駆動されるものであってもよく、必要に応じて、融液111と直接接触しないように、耐火物質により保護されていてもよい。ガスにより駆動される熱源も使用することができる。この局所的な加熱の目的は、融液111が凝固して装入ベルの下部領域に金属が付着することを最小限にすること、及び投入される材料の局所的な冷却効果を補償することである。
【0016】
使用時においては、投入材料109(金属微粉及び/又は他の材料(例えば廃棄物、プラスチック、又は炭素含有材料))を溶融容器104に加えることができる。好適な材料(金属等)で形成されるドア108は、溶融容器104の底部に配置することができ、可融性リンク103(例えば溶融金属又は溶接部)により溶融容器の底部をシールし、熱的に作動させられる開口部/閉鎖部106を形成することができる。該開口部/閉鎖部106を介して、投入材料109が融液111等の液体金属に導入される。
【0017】
溶融容器104は、カップリング105により装入ベル102に対して連結され、例えばトーピードカー(図2において符号202にて示される)又はホットメルトカー内の融液111に向かって下降させられる(例えば装入ベル102に連結される支持部(例えばリング112)に連結される鎖(図示しない)を用いて下降させられる)。装入ベル102が下降させられると、融液からの熱により投入材料109が加熱され、ガス透過性開口部107を介してガスが放出されるため、投入材料109は幾分乾燥させられる。装入ベル102が融液111内へ下降させられると、これらのガスが装入ベル102内に生じ、装入ベル102が融液111内へ下降させられるにつれてガスの圧力が上昇する。溶融容器104も融液111に進入し始め、開口部/閉鎖部106が開口されたときに投入材料が空気中に流れ込むことを防止する液体金属シール110を形成する。容器104が下降させられるときに、熱的に作動させられる開口部/閉鎖部106を作動させて該開口部/閉鎖部106が開口される臨界温度に到達するまで熱が生成され続ける。装入ベル102内部に生じたガスの圧力は、ガス透過性開口部107内を流れるとともに、投入材料109に対して圧力を付与して該投入材料109を融液111内へ押し込むことにより、投入材料109を溶融容器104から放出して投入材料109が融液111のより深い部分へ進むように補助する。
【0018】
図2は、高炉(図4参照)から出銑された溶鉄(又は融液111)を運搬するトーピードカー202の溶融内容物に微粉を投入するために使用することができるバッチシステム200の特徴の幾つかを示している。同様の方法はオープンレードル(図示しない)にも使用することができる。本明細書において説明される再使用可能な様々な溶融容器及び装入ベルは、このように使用することができる。図2に示されるように、投入材料109は、熱的に作動させられる開口部/閉鎖部106に加工される開口部204を介して溶融容器104に加えることができる。図示されるように、投入材料109を溶融容器104の元々の上端から加え、溶融容器のその上端が最初に融液111に進入する底部となるように該溶融容器を回転させることが最も容易である場合が多い。溶融容器及び装入ベル102は、図1に関して説明したものと同様のものとすることができ、方法も既に述べた方法に非常に類似している。特定の用途においてはトーピードカーに既に収容されている融液に対する冷却効果を補償するために、容器に含まれる炭素の燃焼が重要となりうる。
【0019】
[消耗容器システム]
図3は、使用時に溶融容器104の大部分が消耗される(すなわち融液内へ溶融する)用途に特に使用できる基本的な溶融容器104の特徴及び作動要素を示している。例えば、このような消耗溶融容器は、新規な又は使用済の55ガロン(約209リットル)鋼鉄ドラム缶302から、あるいは鉄又はコンクリートパイプ304から、あるいはスープ缶等のブリキ缶から形成することができる。固体鉄微粉(密度7.85を有する)が55ガロン(約209リットル)ドラム缶内に配置される場合、ドラム缶は約1630Kg又は1.6ロングトンの微粉を保持する。適切な場合には、鉄微粉はボイド又は鉄微粉とは異なる密度を有する他の材料と混合することができる。例えば、投入材料(鉄微粉と別の材料又はボイドとを含む)の密度が約5である場合、ドラム缶は約1.0ロングトン(約1016Kg)の投入材料を保持する。予定よりも早く破壊される可能性を最小限にするために、充填されたドラム缶の重量を減少させる目的にて、又は鋼鉄の製造に有益となりうる炭素含有材料等、他の材料を含ませる目的にて、他の材料を加えてもよい。石炭、石炭微粉、コークス粉、もしくは他の熱量を生成する炭素含有材料といった材料、又は熱生成を目的とする他の材料(例えばビチューメンやタール)、酸化物還元、含有する化学元素の回収、もしくはこのような材料の廃棄さえも目的とする他の材料を添加することができる。例えば、ポリマーやエラストマーを炭素が含まれる投入材料に添加することができるが、これは同時に埋め立てゴミとなりうるであろう廃棄材料を用いることにもなる。多くのプラスチックは石油製品であるため、特定のプラスチック及び/又はゴムの添加は、融液111へのエネルギー付与に寄与する。このような消耗容器は、同様に形成される容器に乾燥材料を充填するように設計される市販の設備を用いて、機械的に充填することができる。
【0020】
図4は、溶融容器104を典型的な高炉400内へ導入することができる場合について示している。可能な投入点のいくつかを図面中符号X,Y,Zにて示している。例えば、溶融容器104は、鉄鉱石及び他の材料とともに典型的な高炉400の充填機構(符号Xにて示される)に導入される。この方法は、消耗溶融容器104とともにおそらく最も良好に使用されており、この場合、装入ベルは再生可能なものでなくてもよく、あるいは装入ベルを用いなくてもよい。別の形態においては、溶融容器104は、高炉400からの廃熱を放出する配管402(符号Y)に導入することができる。別の形態においては、溶融容器104は、図2に関して説明したように、トーピードカー202(符号Z)に導入することができる。この形態は、再生可能な容器又は再生可能な装入ベルにおいておそらく最も良好に使用されている。
【0021】
[サブシステム及び特徴]
図5及び5Aは、伝熱促進、ガス排出、再使用可能な部品の腐食防止等が求められる場合に使用可能な、様々なサブシステムの選択可能な特徴及び構造要素のいくつかを示している。ここで説明する要素及び機能の多くは、溶融容器104及び/又は装入ベル102に付随させることができる。これらの設計要素の多くは、容器及び該容器に関連する付属品が全体として消耗される(例えば高炉内に投下される)のか、あるいは(例えばトーピードカー又は他の液体金属シール工程において)部分的に再使用可能であるのかに応じて、別個に又は互いに組み合わせて使用することができることは明らかである。通気される上端502は、ガスが排気される通気口504を備えることができる。通気口504の大きさと用途とに応じて、強化グラスファイバー布、ワイヤ、グラスファイバーメッシュといった粉塵フィルタカバー506を用いて、投入材料109が通気口504を介して溶融容器104から漏出しないようにしてもよい。
【0022】
溶融容器104が液体金属シール工程において目標の投入深さに到達するまでの間溶融容器104を保護し、なおかつ熱を溶融容器104に伝えるために、高い熱伝導率を有するセラミックや合金等の好適な材料から形成されるセラミックまたは金属の収納器(ケージ)等、再使用可能な保護具508を用いてもよい。断熱材料510で溶融容器104を包囲して、断熱材として機能させたり、時間の経過とともに溶融容器104に伝わる熱の量を制御してもよい。溶融容器が消耗品である場合には、断熱材料510は、溶融容器104が融液111又は高炉内で消費される深さの制御に用いることができる。再使用可能な、かつ/又は、交換可能な防食性の潜降可能なカラー512を用いて、融液111の溶融金属と接触する再使用可能な保護具508の底部を保護してもよい。
【0023】
熱により作動させられる再使用可能な底部開口部/閉鎖部106を設けることができる。一形態においては、熱により作動させられる再使用可能な底部開口部/閉鎖部106は、カラー512、保護具508、及び/又は溶融容器104のうち一つ以上に連結される再使用可能な底部ドア108を備える。再使用可能な底部ドア108をカラー512、保護具508、及び/又は溶融容器104に対して連結するために、可融性閉鎖システム514(例えば可融性リンク底部クランプ又は消耗インサート(あるいは他の可融性閉鎖部))を用いてもよい。一形態においては、可融性閉鎖システム514は、不融性カップリング(図示しない)とともに用いられる。使用時には、溶融容器104が融液111内へ下降させられると、可融性閉鎖システム514の加熱及び溶融が開始され、これにより底部開口部/閉鎖部106が作動させられて開口する。不融性カップリングは、再使用可能な底部ドア108と他の再使用可能な部品(例えば再使用可能なカラーや再使用可能な保護具508)とを連結するため、再使用可能な部品をより効率よく回収することができる。別の形態においては、消耗底部開口部/閉鎖部106は、適切な温度まで加熱されると溶融又は燃焼するように使用される。例えば、消耗底部開口部/閉鎖部106は、鉄、又は高い溶融温度を有する適切な布(例えばネクステル(Nextel、登録商標)布。鉄の融点が1535℃であるのに対し、ネクステル布は1370℃を超える温度にまで到達することができる)で構成することができる。このような布は、本願に記載されるように、粉塵フィルタとしても使用することができる。一形態においては、開放金属格子又はメッシュでネクステル布からなる底部を覆うことにより、強度を向上させ、かつ投入材料の重量によって布が早期に劣化することを防止しやすくしてもよい。
【0024】
可融性閉鎖システム514は、再使用可能な底部ドア108を再使用可能な保護具508又は再使用可能なカラー512に連結することにより二重の機能を果たすことができ、可融性閉鎖システム514が溶融して溶融容器104を融液111内へ放出するまでの間、溶融容器104は構造の残りの部分によって支持される。別の形態においては、磁場が減少して(又はなくなって)溶融容器104を融液111内へ放出するまでの間溶融容器104を支持するために磁性カップリング(例えば電磁カップリング)を用いる。
【0025】
いずれにおいても、可融性閉鎖システム514又は磁性支持部材は、特定の投入温度範囲において、又は融液111の液面上の特定の高さ範囲において、又は融液111の液面下の特定の深さ範囲において、溶融して開口部/閉鎖部106を開口させる(又は溶融容器114を解放する)ように設計することができる。一形態においては、底部開口部/閉鎖部106は、溶融容器114内部を延びて高炉からの輻射熱が投入材料109に伝わる表面積を増大させる加熱管520を備えることができる。
【0026】
図6は、上端まで充填(top-filled)できる再使用可能な容器614(投入材料又は鉄「微粉」を保持するための溶融容器114と同様の容器である)とともに用いる再使用可能な装入ベル602の一形態を示している。再使用可能な容器614は、再使用可能な装入ベル602を有する1個の独立したユニットとして一体的に設けられてもよく、あるいは好適な方法を用いて装入ベル602に連結されてもよい。再使用可能な装入ベル602は、取り外し可能な上端部630を備える。上端部630は、投入材料109が装入ベル602の上端部において再使用可能な容器614の開放上端へ挿入されるときに取り外される。取り外し可能な上端部630は、装入ベル602の本体634及び上端部630のうち少なくとも一方に螺入されるアイボルト636等の連結器を用いて、装入ベル602の本体634に対して連結される。アイボルト636は、装入ベル602の昇降操作にも使用することが可能である。装入ベル602は、防食用及び機械的シールドを備えることができ、該シールドは、装入ベル602の一部をなすように一体的に形成されてもよく、あるいは任意の好適な方法を用いて装入ベル602に連結されてもよい。
【0027】
一形態においては、再使用可能な容器614は、有孔フランジ又はウェブ638を用いて装入ベル602に対して連結される。ウェブ638は、一連の熱通路、すなわち開口640を介してガスを通すことができ、本体602と上端部630の一部とを連通させる。再使用可能な容器614内には熱伝導シリンダ642等の追加の熱通路が設けられ、投入材料109への熱伝導をさらに高めることができる。一形態においては、シリンダ642はウェブ644により支持されており、ガス透過性であってもよい。投入材料109が再使用可能な容器614から落下する又は吹き飛ばされることを防止するために、粉塵フィルタ646が好適な場所に設けられる。図示される形態においては、粉塵フィルタ646は、クランプ648により再使用可能な容器614の上端部に連結される。しかしながら、熱伝導シリンダ642が比較的大きな開口を有している場合には、粉塵フィルタは、熱伝導シリンダ642を包囲するように配置することができる。開口部/閉鎖部は、消耗されるもの又は再使用可能なもののどちらを使用してもよい。図示される形態においては通常、各回の使用後において、粉塵フィルタ及び可融性閉鎖部(又は消耗される開口部/閉鎖部)のみを交換する必要がある。
【0028】
図7は、特定の性能目標及び能力を達成するために複数の組み合わせを用いることができる多くの容器設計のうちの幾つかを示している。例えば、消耗溶融容器704は、基本的には袋のように縛るか、袋体768となるように形成される高温用布764や網状材料等の可撓性を有する材料から形成することができる。金属網又はワイヤ格子等の強化材料766を用いて高温用布を包囲し、支持すべき重量に耐えうるように強度を高め、早期に破壊されることを防止するようにしてもよい。消耗袋体768には、特定の製鋼処理に合わせた化学反応を得られるように、鉄微粉に加えて破砕されたコークス又は他の材料を提供する等により、投入材料109(予め混合されていてもよい)が充填される。袋体は、周囲温度と放出特性の関係を調整するために、又は袋体768が特定の温度に到達するまで内容物の放出を遅延させるために使用可能な保護用断熱材を備えることができる。このような断熱材料は、袋体768や断熱材料の強度を高めるために使用されるより安価な材料(熱に暴露されると分解する材料)の使用を可能にし、たとえ安価な材料の温度が予定よりも早く臨界温度に到達したとしても早期に破壊されることを防止する。一形態においては、消耗袋体768は、消耗容器(例えば符号104にて示される)や装入ベル702に充填するために使用することができる。他の例と同様に、装入ベル702は、可融性リンク103又は可融性クランプを用いる開口/閉鎖システム706を備えることができる。このような可融性リンク又は可融性クランプ(この例で使用されるもの、又は他の例で使用されるもの)は、装入ベル702の内容物の放出を遅延させるために、周囲温度と放出特性の関係を調整することができる保護用断熱材を備えていてもよい。
【0029】
幾つかの用途においては、高炉からの熱風に接触する表面積が広くなるように、かつ消耗容器704内の投入材料709への熱伝導量を増大させるために最終的には溶融する(111)ように設計される消耗容器704を用いることが有用な場合がある。場合によっては、表面積を増大させた消耗容器は、断面形状が星形のような形状を有する。このような消耗容器704は、他の例において説明される様々な選択可能物(例えば装入ベル702、防食用及び機械的遮蔽を行うための再使用可能かつ潜降可能なカラー712、ガス透過性布からなる粉塵カバー746)とともに用いることができる。
【0030】
図8は、次表層投入及び液体金属シールを用いて液体金属プールへ投入される装入ベル容器の充填を行う連続処理装置の概略図である。この処理は、本願に記載される様々な消耗容器及び装入ベルの例に適合させることができる。装入ベル102及び溶融容器104は液体金属融液111と接触すると、融液111の液面下に位置する装入ベル102の一部と溶融容器104は、投入材料から回収される金属を得るために連続的に材料を放出するシーリング機構として機能する。このシーリング機構により、投入材料は融液111の液面下に導入され、そこから出る微粉が周囲に撒き散らされることを防止する。化学反応は、回分ごとに調整することができる。これは、標準的な高速化学分析器具と組み合わせて閉ループ生産システムを使用するために用いることができる。
【0031】
図9は、ベルの「煙突」すなわちダクト982において予熱されるというさらなる効果を有する、一連の溶融容器102を供給する装入ベル104構造を用いた一構成を示している。この構成は、他の形態と同様に、全体又は一部が消耗される溶融容器902部品を用いることができる。また、この構成は、他の形態とは異なり、長尺状ダクト982又は昇降機を有する長尺状装入ベル904を用いており、該ダクト982又は昇降機を介して(例えばループ984をワイヤ(図示しない)に連結して容器902を下降させることにより)複数の溶融容器902を順に下降させる。任意の溶融容器902が融液911に進入するにつれて、先行する溶融容器902に続いてダクト982内を進む少なくとも1個の別の溶融容器902がダクト982内で予熱される。このため、より高速で投入作業を反復することができ、かつ投入材料909の予熱を行うことができる。投入材料909の予熱は、投入材料909の乾燥及び予熱を行うことができるため、有益となりうる場合がある。容器内の炭素含有材料の燃焼は、予熱中及び実際の投入中に温度が上昇するため、スケール酸化物の短時間での還元に寄与する。状況に応じて、乾燥及び予熱が必要でない場合もあり、また単に速度を高めるために前記構成を使用してもよい。このような場合には、水冷機構(図示しない)を用いて、ダクト内を下降する溶融容器902を冷却してもよい。粉塵フィルタは、所望される場合には装入ベル904の上端部に設けることができる。一形態においては、熱伝達の目的のために表面積を増大させた溶融容器902を用いることができる。一形態においては、スライスしたパンのような形状を有する容器を用いることが実用的な場合があり、これは、破砕されたミルスケール及び同様の材料の鋭い角を有する粒子特性によって高い内部摩擦を示すという効果を有する。換言すれば、溶融容器は、スライスしたパンのような、(特に他の2つの形態と比較した場合に)比較的薄い寸法を有することができる。一形態においては、熱伝達を高めるためにスライスしたパンのような形状の平坦な面を波形に加工し、クロス部材で補強してもよい。これらの扁平な溶融容器902は、かなり脆弱に形成することができ、かつ消耗品とすることができ、かつセラミック及び/又は高温用合金からなる再使用可能なフレーム984内へ嵌入することができる。
【0032】
[高炉処理]
本明細書に記載される(前述及び後述される)様々な消耗容器は、任意の好適な方法及びアクセス点を用いて、高炉(又は他の冶金処理)に導入することができる。このような投入経路の一形態は、高炉の筒状構造物内で処理するために準備された鉄鉱石を充填するために使用されるものと同一の、高炉の上端部において「ベル」に付随する機械的アクセス及び充填機構を経由するものである(図4の進入点X参照)。ミルスケールが充填されたカプセルを備える溶融容器は、鉱石と共に、単に高炉内へ落下させられる。図1等に示されるように、他の投入方法も用いることができる。
【0033】
図4は、典型的な高炉を示している。どのように高炉が作動するかについてのより詳細な説明は、ジョン・A.リケッツ(John A. Ricketts)著、「いかに高炉は作動するか(How a Blast Furnace Works) 」、イスパット・インランド・インク(Ispat Inland, Inc.)に開示されている。これは、米国鉄鋼協会製鋼所(American Iron and Steel Institute Steel Works) のウェブサイトhttp: //www.steel.org/learning/howmade/blast_furnace.htmにおいて無料で入手できる。この文献の内容は本明細書において開示されたものとし、我々は該情報がリケッツ氏によるものであることを認め、以下の記載において該情報を公正に使用するものである。典型的な高炉は、大きな耐火煉瓦で内張りした筒状構造物を有しており、該筒状構造物は、高炉からの熱に暴露されるときに原料が処理されるチャンバを形成する。製鋼原料(鉄鉱石、コークス、石灰石等)は、高炉の上端部に位置する受けホッパまでレール上を移動するスキップカー内に配置される。原料は、装入まで保持される。装入とは通常、金属成分(鉱石、ペレット、又は焼結物)、コークス、及び融剤(石灰石)が堆積されることを含む。装入物の充填順序は、高炉内部におけるガス流及び化学反応を制御するために細心の注意を払って管理される。原料は通常、ガス内で密封する工程及び原料を高炉の円周の周囲において均一に分布させる工程からなる円錐状ベルを介した二段階の工程を用いて高炉のチャンバ内へ装入される。ベルに代えて、2個又は3個のエアロック型ホッパを有する高炉もある。エアロック型ホッパは、原料を旋回式シュート上に排出する。旋回式シュートは角度を変更することができ、高炉内での材料の正確な配置をより自由に行いやすくする。
【0034】
高炉の底部には予熱された空気が吹き込まれ、該空気は上端部に向かって上昇する。原料が高炉の底部に下降するまでには6〜8時間かかりうる。高炉の底部において原料は液体スラグ及び溶鉄となって、規則的な間隔をおいて排出される(したがって、上部の原料が下降することができる)。
【0035】
酸化鉄は、鉄鉱石、ペレット、又は焼結物の形態で高炉へ導入される。鉄鉱石は通常、0.5〜1.5インチ(1.27〜3.81cm)の大きさの寸法とされる。酸化鉄が筒状構造物内を下降するにつれて、鉄鉱石、ペレット、及び焼結物は溶鉄となり、不純物は液体スラグの一部となる。コークスは通常、石炭を破砕及び粉砕して粉体とし、これを炉に装入することにより製造される。異なる寸法を有するコークスは、例えば1〜4インチ(2.54〜10.16cm)の範囲等、異なる大きさに選り分けることにより選別される。石灰石は、破砕して、例えば0.5〜1.5インチ(1.27〜3.81cm)の範囲等、異なる大きさに選り分けることにより選別されて準備される。石灰石は高炉用融剤として使用され、不純物を取り除くスラグとなる。異なる大きさの原料はその後、冶金処理を行うために、かつ筒状構造物の底部からの熱風流を遮断しないように、好適な(材料及び材料の寸法の)比率にて高炉上部に装入される。
【0036】
酸化鉄中の酸素が一連の化学反応により除去されると、鉄鉱石、ペレット、及び焼結物は還元される。この反応は以下のように起こる。
1)3Fe+CO=CO+2Feの反応が華氏850度(摂氏454.4度)にて開始される。
2)Fe+CO=CO+3FeOの反応が華氏1100度(摂氏593.3度)にて開始される。
3)FeO+CO=CO+Fe又はFeO+C=CO+Feの反応が華氏1300度(摂氏704.4度)にて開始される。
【0037】
酸化鉄はこれらの反応を行う際に軟化して溶融し、溶鉄がコークスを通過して筒状構造物の底部まで移動する。コークスも高炉の底部まで下降し、熱を生成するために高炉底部からの熱風によって燃焼させられ、鉄鉱石を還元するために使用される一酸化炭素に還元される。
C+O=CO+熱
CO+C=2CO
【0038】
石灰石は筒状構造物内を下降し、華氏約1600度(摂氏約871.1度)において以下の反応を起こす。
CaCO=CaO+CO
生成されたCaOは鉄から硫黄を除去するために使用される。
FeS+CaO+C=CaS+FeO+CO
CaSはスラグの一部となる。スラグは他に、鉄鉱石、ペレット、焼結物、又はコークスとともに導入されたシリカ(SiO)、アルミナ(Al),マグネシア(MgO)、又はカルシア(CaO)等、残りの不純物も含む。液体スラグは、コークスベッドを通って高炉底部まで移動し、溶鉄の上で浮遊する。
【0039】
本明細書に開示される容器詰め工程の基本的な一形態において、鉄スケールは、低コストの消耗カプセル内へ充填された後に、カプセルを投入物に含ませるか、あるいはカプセルを通常の投入物とは別にチャンバ内の残りの装入原料に対して加えることにより、高炉または他の冶金処理に直接加えられる。単純かつ信頼性の高いシステム、材料、及び熱設計を用いて、微粉が送風によって吹き飛ばされることを防止するために、高炉の筒状構造物内の固体材料の上端よりも十分に下に位置する該筒状構造物内における制御された深さにおいて分解するようにカプセルを設計することができる。
【0040】
図10Aを参照すると、必要に応じて清浄なスケール1110が粒体となるように破砕され、所望される場合には他の物質(例えば炭素含有化合物(又は他の添加物))の粒子と混合されて、投入材料が生成される。清浄なスケール1110(清浄なスケールのみであってもよく、あるいは混合の結果得られたものであってもよい)は、好ましくはガス透過性を有する強固な高温用布1112で包まれる。布1112は、織布であってもよく、マットであってもよく、フェルトであってもよい。包み工程は、(図11eに示されるように)適切な量のスケール1110を予め切断された十分な寸法を有する布1112上に堆積し、布の角を持ち上げて好適な余白を有するように角を合わせ、最後に余剰材料を一緒にねじって、強固に閉鎖された「袋のような」カプセル1120又は粒状投入材料を封入した溶融容器を形成する、というような単純な方法で行うことができる。ねじられた袋体の「ネック部」は、結ぶ、高温用ロープで縛る、クランプで締め付ける、又はその他の方法でねじられていない部分及び/又は開口部を固定する等、任意の好適な方法で閉鎖することができる。充填及び包み工程は、自動化又は半自動化することができ、動力で補助して最小限の人間の作業量を用いるように設計することができる。
【0041】
この例においては、カプセル1120は非常に強固な閉鎖部を有する縫い目のない収納器であり、閉鎖部自体がループ、リング、連結点、ハンドル、又は取り扱いを容易にする他の部材1122を備えることができる。後述するように、特定の高温用布を縫製することはカプセル1120に脆弱な部分を設けることになる場合があり、不必要にコストも増大させてしまうため、縫い目をなくすことが望ましい。高温用布を用いる他の包む技術の多くを用いることも可能であり、例えば平坦な織布ではなく管状体を用いて、作動する(ソーセージの連結部分に類似する)2つのねじられた端部をカプセル1120が有するようにしてもよい。
【0042】
一形態においては、カプセル1120は、窓網戸に類似する安価な鉄又は鋼鉄からなる網等、高温に耐えうる材料で製造された可撓性を有するメッシュシートの形態をとる布1112で形成することができる。これよりも粗い又は微細なメッシュも用いることができるが、メッシュは、過剰な量のミルスケール粒子1110がこぼれ落ちることを防止できるだけの細かさであることが好ましい。一形態においては、微細なミルスケール粒子がカプセル1120から漏出することを防止するために、2層以上のメッシュ層を用いてより透過しにくい二重壁、三重壁、又はその他の多重壁を形成する。ミルスケール微粉の漏出を低減するために、カプセル1120は、繊維からなるフィルタ様マット材料(図示しない)から形成してもよい。該フィルタ様マット材料は、例えばより粗いメッシュ(例えば金属網材料)層の間にグラスファイバーストランドからなる不織布を挟んでもよい。このような材料は、細かく織られた布よりもコストを低く抑えることができる。一形態においては、メッシュシートと繊維様マット材料を組み合わせて使用することができる。これは、繊維状フィルタ様材料では十分な強度が得られず、かつメッシュシートでは網目が十分に微細ではない場合に有用である。別の形態においては、カプセル1120を補強するために、ストラップ、ウェブ、又は他の材料を使用することができる。布を閉鎖するために可融性接着剤ジョイントを用いることができ、該接着剤は、溶融金属内の特定の深さにおいて溶融してカプセル1120内の材料を放出するように選択することができる。
【0043】
カプセル1120の壁部は、高炉内においてカプセル1120が下方に進むときに一部が溶融するガラス粒子や他の物質等の材料を含んでいてもよい。このような材料は、カプセルが下方へ沈むに従って上昇する温度によりカプセルがその一体性を失いつつあるときでさえも、ミルスケールの放出を遅延させる接着性かつ「粘着性」の半溶融層内に含まれるミルスケールの外層を覆うことができる。
【0044】
図10Bは、必要に応じて設けられるガス透過性を有する耐磨耗性及び/又は強化層1114により被覆されるカプセルの断面図である。実際に必要とされる場合には(これは、関連する特定の高炉設計を知ることができる簡単な実験により決定される)、この層は開口を有するように織られる(open-weave)グラスファイバーネットもしくは網、数本のグラスファイバーストラップもしくはロープ、又は粗い窓網戸に類似する柔らかい鉄製網の形態、あるいはシリコーンコーティング等のコーティングの形態さえとることができる。この追加の保護を行う必要性は、高炉内で使用されるカプセルが比較的大きい場合に生じ、このような場合には、高炉内におけるベルから筒状構造物内の装入材料の上端までの自由落下距離が非常に長いため、瞬間的に大きな破裂力が生じうる。
【0045】
高炉のベルの構成が容易に適合できる場合には、単純な機械的な送り台(図13の符号3100を参照)を用いて、自由落下の距離を縮めてもよい。別の形態においては、このような送り台は、離間して配置される複数のレールからなっていてもよく、カプセルはガス流の妨げを最小限とするためにレールに沿って摺動することができる。投入時においては、(ミルスケールからなる充填物のヒートシンクと良好に熱的に接触している)布の温度が周囲温度に近くなる。周囲温度においては、布の繊維の強度は鋼鉄の約3倍の強度となる。また、後述するように、非常に簡単かつ低コストの表面処理を用いて、効果的な布強度を弱める可能性のある繊維同士の接触による磨耗を軽減してもよい。
【0046】
図10Cには、油状炭化水素及びグリースが付着したミルスケール1116を処理する一方法が示されている。前述した分散の問題は別として、このような汚染された物質1116を高炉へ投入する場合の基本的な問題は、保護されていない炭化水素が高炉の上部(温度は華氏600〜800度(摂氏315.6〜426.7度))において急速に揮発して、急速に送風ガスとともに高炉上端部を介して出ることである。これは、プラントの下流のガス処理及び洗浄システムを著しく汚染する可能性がある。
【0047】
一形態においては、油が付着した又は汚染されたミルスケール1116は布1112に封入され、清浄なスケール1110を収容する囲袋(すなわちカプセル)1118内にさらに入れられる。この構成では、清浄なスケール1110を鉄源として使用するとともに、油が付着したスケール1116用の遮熱材及び断熱材としても使用しており、炭化水素が加熱されて布製収容器から逃げる前に、組み合わされたカプセルが高炉の筒状構造物内の非常に深いレベルまで潜降することができるようにしている。このようなより深い放出深さにおいては、抜け出た炭化水素が高炉装入材料の上端に到達して下流で問題を生じさせる前に炭化水素を分解及び焼却するために十分な高さの温度、及び十分な長さの上方移動時間を有することができる。汚染されたミルスケール1116を清浄なスケール1110で包囲するこの技術は、本願に開示される任意の容器設計及び任意の材料とともに使用することができる。
【0048】
これらの炭化水素の燃焼は、高炉処理全体のヒートバランスの向上にも寄与する。油が付着したスケールが浅すぎる位置において加熱される場合には、断熱材1119(図10Dに示される)の包囲層等、熱制御を行う被覆を用いることができる。重大なことに、この断熱層1119(必要に応じてスリット又は穴を設けることにより透過性を高めてもよい)は、筒状構造物の底部近傍における非常に高い温度が到達するよりもずっと前にその目的を達成するため、断熱材は長期間又は非常に高い温度に対する耐性を有する必要はなく、よって法外なコストもかからない。断熱層1119は任意の好適な材料で形成することができる。特殊な状況においては、よりコストが低く一般的な断熱材料に加えて、ハイテックス(HYTEX、登録商標)1000からなる布、エアロゲル、及び高温用布(例えば3M社のネクステル(Nextel、登録商標)440等)を適切な用途に使用することができる。
【0049】
[カプセル封入材料及びコスト検討]
既存の高炉において使用するための理想的な容器設計と材料の組み合わせを得るための特に単純な方法は図18に示されて(さらに後述されて)いるものと考えられるが、以下の説明は、一般的な方法の汎用性を示し、非金属材料及び他の構造も適宜使用可能であることを強調するものである。
【0050】
(材料例)
布からなる壁部を有するカプセル及び上述した目的のための他の付属品を製造するための様々な耐高温性セラミック繊維及びグラスファイバーが入手可能である。セラミック繊維は、グラスファイバーよりもかなり高価であるが、特定の状況において有用な場合がある。しかしながら、一般的には、グラスファイバーで形成される布、マット、フェルト、ロープ、ストラップ、断熱材、マット等や金属メッシュを用いることができる。このカテゴリー中には、利点を有する多くの選択肢がある。より高い性能を得るために、種々の均等な形態によるアドバンストセラミックス材料を用いてもよい。
【0051】
グラスファイバーは、最も一般的には、いわゆる「E」ガラス又は「S2」ガラスを用いて織られる。どちらの材料も、常温において、鋼鉄の約3倍の単位質量あたりの引張強さを示す。特殊な状況においては、これよりも非常に高性能の、かつ一般的に費用がよりかかる他のグラスファイバー組成物も封入用途に利用できる。これらについては、主として高炉のベル式装入用のカプセルに関する本説明においてはこれ以上の説明を行う必要はないであろう。
【0052】
いわゆる「Eガラス」で形成される布等は、深刻な強度の低下を招くことなく、華氏700〜800度(摂氏371.1〜426.7度)において数日間使用できる。一方で、S2ガラスは、華氏1200〜1400度(摂氏648.9〜760度)で機能することができる。これらのガラスは、交わるストランドの摩擦によって個々のストランドが破損する可能性を低減するために、布を織るときに非常に薄い潤滑フィルムでコーティングされることが多い。コーティングは徐々に長時間の暴露によって布からなくなり、種々のコーティングも多かれ少なかれなくなる。例えばアクリルコーティングは、華氏800度(摂氏426.7度)にて10日まで良好な状態を保つとされる。テフロン(登録商標)も用いることができる。
【0053】
非常に手軽な実施方法は、何ら処理を施していない「織機で織っただけの(off-the-loom)」布に単にシリコーンを噴霧することであり、この方法は、耐磨耗性を有する表面を提供しやすくすることができる。この結果、華氏650度(摂氏343.3度)を越える温度に10日間暴露された後にも良好な性能を有する(50%を超える強度を保持する)。それよりかなり高い温度においても24時間以上十分に耐えうる。高炉の筒状構造物内でカプセルとして機能するときには、布又はマットは大きなヒートシンク(カプセル内のミルスケールの大きな塊)と密着することとなり、これによってヒートシンクが温度の上昇を遅延させるため、温度による劣化を抑制することができる。
【0054】
いかなる場合においても、本発明の用途において、材料には、投入による機械的な衝撃とカプセルが筒状構造物内へ潜降するときに加わる力とに耐えうるだけの強度のみが求められる。一定時間(おそらく数時間以下)の間に、筒状構造物内における温度が十分に高い(カプセルが分解されてその内容物を筒状構造物内へ放出する)温度となる深さまでカプセルが下降する。放出深さは、カプセル内容物(鉄を含有する粒子、又は存在する場合には分解されていない炭化水素)がほぼ全く(又は最小限の量しか)高炉の筒状構造物上端部から漏出しないだけの十分な深さであることが好ましい。
【0055】
筒状構造物内を下降する一方で、カプセルは近接する本体(すなわちカプセル)、鉱石片、及び他の固形物から外力を受ける。筒状構造物内においては、布は、ある程度はカプセル内容物によって支持されるため、カプセル布に対する支持されない正味の荷重はかなり少ないと考えられる。実際のところ、当産業界においては、小さな鋼球を支持されていない布に対して押し付けるいわゆるミューレン破裂試験を用いている。ここで関係する温度及び暴露時間において、関係する布の貫通又は破裂抵抗は、数百psi(例えば500〜700psiの場合、約3.45〜4.83MPa)を超える。考慮が必要とされうる高炉環境の第2の特徴は、摩擦によって、又は筒状構造物内を送風によって上方へ運ばれる粒子による「サンドブラスト」によってさえも、布が侵食をうける可能性である。梱包は、これら粒子の平均自由行程が非常に短くなり、よってその衝突時の速度が低くなるように行われる。さらには、流れ場における流体力学的な遮蔽効果も有益な場合がある。特定の状況下においてこのような問題が重要となる場合には、布又はマット(あるいはカプセル壁を構成する他の材料)を幾分厚くすることによって、これらの問題の全てではなくてもその大部分を解決するものと考えられる。
【0056】
(例示的な設計)
他に多くの布及び材料の選択肢があるが、米国ノースカロライナ州グリーンズボロ(Greensborough) に所在するBGFコーポレーションにより製造されるグラスファイバー布ナンバー7628の仕様及び特徴を使用した場合について説明する。
【0057】
・布
重量:1ヤードあたり6オンス(1mあたり約189g)
ロール幅:50インチ(1.27m)
ロール長:3000ヤード(約2700m)
織機で織っただけの状態(未コーティング):1ヤード(約0.9m)あたり1.50米ドル
50インチ(1.27m)四方のシートの材料コスト:2.08米ドル
【0058】
・カプセル
単壁カプセル(図10a)の想定寸法:
球形(およそ):半径R=30cm(12インチ)
容積:3/4×3.14×(30cm)=113000cm
表面積:4×3.14×(30cm)=11300cm=1752平方インチ
50インチ(1.27m)四方の布シート(2500平方インチ(約1.61m))は直径24インチ(約61cm)の球を完全に包むに十分である。(「ねじって」閉鎖するために必要とされる布の少量の余白については無視している)
1カプセルあたりのスケールの重量(密度は2.0以下と考える)226kg=500ポンド
1米トン(約907kg)あたり4個のカプセル=8.32米ドル
【0059】
・カプセル封入材料コストに関する結論
図10Aの設計−材料のみ−スケール1米トン(約907kg)あたり10米ドル程度
図10Cの設計−材料のみ−1米トン(約907kg)あたり約16米ドル程度
図10b及び10dに示される特徴(推定25%)がこれらのコストに加えられる。
コストは球の半径の逆関数となる(表面積/体積の比は1/Rに基づく)。
図10Aの設計(直径30インチ(76.2cm))の材料コストは1米トン(約907kg)あたり6.60米ドル以下と考えられる
図10Cの設計(直径18インチ(45.72cm))の材料コストは1米トン(約907kg)あたり11米ドル以下と考えられる
【0060】
[充填機構]
図11は、カプセル1120の充填準備及びミルスケール1110の封入準備を行うことが可能な多くの変更例のうちの一つを概略的に示すものである。一形態においては、標準的な機械設計実施を、充填されたカプセル1120を生産するために用いることができる。多数の実験、ならびに食料の高速缶詰及び他の材料の処理分野における高度に発達した技術から導き出される技術及び装置は、特に関連が高い。図11(単に低技術の例が意図されている)においては、好適に構成される凹部1130内にライナーとして予め配置される、予めカットされた布1112(又はマット、スクリーン、もしくはその他の好適な可撓性を有する材料)シートの上面にミルスケール1110を制御された量にて積み重ねる。布1112は、単純な平坦シートであってもよく、あるいは連結点又はハンドルを有するように予め形成されていてもよい。布の大きな連続ロールを用いて、充填作業と切断作業を統合した他の技術も可能である。スケールは、凹部1130内へ放出される前に、(例えばマグネタイトである場合には)磁気的に分離されるか、(例えば磁気的な方法が適切でない場合には)機械的に選別され、破砕される。
【0061】
24日間で1000米トン(約907185kg)のスケールを処理し、各カプセルが500ポンド(約227kg)のスケールを収容する場合には、図10Aに示されるタイプのカプセル20に対して4000枚の布が必要である。これらは、任意の好適な手段を用いて、効率よく、かつ経済的に充填されなければならない。
【0062】
(単純生産システム)
好適な凹部1130が配列される大きな平坦面1132(マフィン用プレートのような形状)は、カプセル1120を充填するための単純な一方法の基本となる。図11に示されるように、凹部1130は、布シート1112を凹部に配置して布の角を引っ掛ける又はその他の方法で所定の位置に布を保持することにより、予め裏打ちされる。破砕され、ふるい分けされたスケール1110を次いで面1132上に単に落とし、機械化されたプラウ又は圧縮空気の「刃」(図示しない)によってスケールを凹部1130内へ掃きこむ/押しやる。まだ露出されている布の余白部分を外して上部をねじって縛る工程は、手動で行ってもよく、機械により自動化されていてもよい。例えば、120個の凹部1130が使用され、2人がそれぞれカプセル1120を1分あたり1個縛ることができる場合、生産速度は1時間あたり120カプセル、又は8時間シフトあたり約960カプセルとなる。このようなシステムの資本費用は非常に安く、方法は明らかに適宜調整可能である。
【0063】
[高炉充填及びカプセル分布制御]
カプセル投入方法及び装置に関する別の事項は、各図面及びこれらに関する本明細書中の説明に見ることができる。
【0064】
(カプセル1120を地表面からベル領域まで移動させるための他の処理方法と同様に特殊な装備がなされたスキップカー又はそこに取り付けられる付属品を用いて)標準的な鉱石充填経路にて、(図4において矢印xにて示されるように)典型的な高炉の上端部に配置される公知のベル機構を介して、ミルスケールカプセルを搬送することができる。しかしながら、例えば図4に示されるように、上端円錐部を介した、又は排気管壁を介した、又はホットメタルカー内といった他の経路も利用可能である。通常、符号Xにて示される経路は使い捨てのカプセルに使用され、符号Yにて示される経路は、前処理(例えばミルスケールの乾燥及び還元)を行うために廃熱を用いる場合に有用であり、カプセルを回収して再使用することができる。符号Zにて示される経路は、特に再使用可能なカプセルにおいて有用である。
【0065】
これは本発明の教示を実施するための一般的な方法の一つであるが、鉱石の経路の機械的な設計は、使用可能なカプセルの寸法に制限を生じさせることがある。この制限を回避するためにここで開示されているのは図4の投入経路であり、(1)高炉の上端から高温ガスを排出する4本の大径(直径6フィート(約1.8m)まで)の「排気管」のうち1本以上の壁部を通る(矢印Yにて示される)経路、又は(2)高炉の「上端円錐部」の壁部を貫通する開口を介して投入する(図4において矢印「X」にて示される)経路である。好適な蓋付開口は作動時のアクセス用に多くの高炉に既存している。投入されたカプセルの着地場所を分散させるために、高炉内部のガス流を妨げない送り台を構成する開口を有するレール又は格子構造を用いてもよい。これらは、カプセルをより均一に分配するために仰角及び方位角を機械的に変更可能であってもよい。別例では、移動するワイヤケーブルを用いた「物干し用ロープ(clothes line)」構成、又はカプセルが所望される着地位置上にきたときにカプセルを機械的に放出する同様の機構にカプセルを取り付ける。
【0066】
上述した技術はすべて使用可能であるが、空気圧を用いた投入も使用可能である。図12を参照すると、カプセル1120は管1210(この先端は高炉内部1230に対して開放されている)内へ装填され、カプセルの後ろ側で急速に圧力を上昇させることによって射出される。このような「ガスキャノン」管を複数本配列したもの1220を使用してもよい。ガスキャノン管は、高炉の境界内に可動部品を有さず、かつ高炉のガス流を著しく妨げないように設計される。複数のガスキャノン管は、異なる方位角及び仰角にてそれぞれ指向していてもよい。あるいは、回転可能な(基本的に左、右、上、及び/又は下に移動可能な)システムを使用してもよい。射出ポイントは、射出ごとに運ばれるガスによる推進力を変化させることにより変更することができる。射出システム全体は、コンピュータ制御されていてもよく、カプセル1120が所定の三次元的分布に近づくように特定の射出ポイント及びシーケンスにてカプセルを搬送するようにプログラム可能である(図13参照)。種々のカプセル1120を封入する材料は、装入原料の特定の深さにおいて溶融するように、又は破壊されるように選択することができ、内部の全ての材料が同じ深さで装入原料内へ放出されないように破壊されるカプセルの深さの分布を制御すべく、異なる深さにて破壊される種々のカプセル1120の特定の混合を細心の注意を払って調整することができる。
【0067】
システムは、続くカプセルに用いられる発射パラメータを調節するために、この少し前に着地したカプセルの位置座標に関する連続的なデータを提供するために画像装置を用いた「閉ループ」とすることができる。これにより、高炉の操作者は、入来する鉱石の落下、ならびに高炉装入原料の上端における同様の不規則な急落及びランダム化効果によって引き起こされる変化にもかかわらず、最適のカプセル装填パターンを維持することができる。重要なことに、この空気圧による射出方法は、設置及び保守にあたり非常に信頼性が高く、安価である。この空気圧を用いた射出方法では、高温の高炉内部に複雑なシステムを必要とせず、管を介して新しいカプセルを射出するたびに余剰の微粉を一掃することになるため、射出ごとに自浄する。
【0068】
特定の用途においては、熱風流の妨げを最小限にするために、高炉内の原料ベッドの残りの部分の総体積に対するカプセルの比率を(総体積によって)制限することが好ましい。一形態においては、カプセルの総体積を高炉内のベッドの体積の50%未満、又はそれよりも少なく、例えば40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、23%未満、20%未満、18%未満、15%未満、13%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満にさえも制限することが所望される。カプセル(及びカプセル内の材料)の寸法及び送風空気に対する透過性に応じて、カプセルの組成に基づき前記比率は変更することができる。
【0069】
一形態においては、高温用布カプセルは、熱的に分解される固定具、接着剤、ステッチ等により形成される、異なる温度において分解可能な複数の放出シームを有するように形成することができる。これらシームは、カプセルがその次第に高温になる下方への行程に沿って一部の充填物を放出するように設計することができる。温度に対する分散型放出プロファイルを提供するカプセルを形成するために、金属及び/又は高温用プラスチックシートを布及び/または断熱材と組み合わせてもよい。金属及びプラスチック部品は、カプセル内容物へ入る又はそこから出るガスが通過できるように孔を有していてもよい。
【0070】
[カプセル内容物に関する備考]
上述した製造方法又はこれから説明する製造方法を用いて製造されたカプセル又はサブカプセル(例えば図10c及び10dに示される)の内容物は、ミルスケールと、処理中において他のカプセル内容物とは異なる地点において放出することが望ましい他の材料(又は炭素含有化学物質又は融剤等の全く異なる物質を含む)との混合物からなっていてもよい。
【0071】
ミルスケールは(封入されているため)焼結されている必要がなく、よって湿気を含んだスケールを用いることによる問題は、本明細書に開示される方法により、エネルギー効率のよい異なる手法にて解決することができる。水分を減じるために環境大気熱及び重力排水処理が十分な時間行われる(かつ費用のかかる追加エネルギー入力を必要としない)状況下においては、水分含有量が高いスケールは、数インチ(例えば5〜7インチの場合12.7〜17.78cm)厚さの比較的薄い層内へ分散させられる。スケールはその後封入され、高炉へ充填される。油/グリースが存在する場合には、これらが水分蒸発を遅らせる場合がある。一方、これらの物質は、カプセルが燃焼可能な内容物を高炉の筒状構造物内深部で放出し、そこで燃焼可能な内容物が排気管から漏出する前に消費されるときに、高炉エネルギー入力に対して熱量(エネルギー又は熱)を有益に加えることができる。
【0072】
本願の開示は製鉄に焦点をあてているが、本願に開示される方法は、多くの有害廃棄材料に対して、又は分解生成物が高炉又は同様の処理装置内の深部の温度においては(それ自体が)残らない他の廃棄材料に対して用いることができる。これは、(運用コスト及び燃料コストが高いプラズマトーチや特殊な焼却炉等による)費用がかかる処理を必要とする可能性がある封入された廃棄物が、高炉又は同様の目的で建設される設備内で無害になりうることを意味する。
【0073】
例えば、タイヤ、プラスチック、又は他の廃棄材料は、切り刻み、又は細断して、開示される方法にて封入処理を行って、高炉へ加えることにより処分することができる。このように種々の材料を処理することにより、高炉エネルギーに最小限の汚染にて有益に熱量を加えることができる。一形態においては、このような材料は、カプセルの中心に配置された後(油が付着したスケール1116は図10b又は10dに示されている)、カプセル内部で清浄なミルスケールにより包囲されてもよく、また、カプセルが高炉の深部に到達するまで細断された材料に高温の効果が及ぶのを遅延させるために、図10dに示される断熱層を備えていてもよい。しかしながら、本発明は、清浄なミルスケールをカプセルに加えることなく廃棄材料を処分することについても想定している。別の形態においては、廃棄材料(又はプラスチック等の炭素含有材料)及びミルスケールは、同じカプセル内で混合され、これをさらにミルスケール層及び外側容器により封入してもよい。図10dに示されるものと同様に、断熱材の追加層を用いてもよい。
【0074】
[鉄壁カプセル]
消耗ミルスケールカプセルの製造に前述したメッシュ及び耐高温性を有する有孔材料を使用することに加えて、所望される経済的又は他の特徴を有すると考えられる別の設計を以下に説明する。前述した概念及び別例の多くは、必要に応じて以下の設計とともに用いることができる。
【0075】
図14、14A、14B、14Cを参照すると、スープ缶、食料用の大きな缶、又は塗料用缶に類似する鋼鉄又は鉄シートからなる(例えば)「缶」は、ミルスケールを回収するための、又は他の廃棄物処理を行うための消耗カプセル2100として使用することができる。一形態においては、缶状カプセル2100は、ミルスケール回収又は他の廃棄物処理目的のためにより有用となりうる様々な特徴を備えることができる。例えば、カプセル2100は、有孔シート2105又は網もしくは金属製織布材料から形成することができる(孔2101参照)。(前述したものに類似する)可融性ジョイント2102を用いて、高炉内の好適な深さにおいてカプセルが熱により分解され始めるようにしてもよい。
【0076】
フィルタ2103のように機能して鉄微粉2109(及び/又は他の材料)が有孔シートからこぼれ落ちることを防止するように、追加の材料をカプセル壁の一部として、又は該壁の内部もしくは外部近傍に備えてもよい。一形態においては、フィルタは織布とすることができる。別の形態においては、フィルタはマットタイプ又は不織布材料であってもよい。これらの形態のいずれの場合であっても、フィルタは、ガラス、セラミック、鋼綿、耐高温性を有する物質、又は他の好適な材料といった任意の好適な材料で形成することができる。支持部2104は、フィルタを支持するために、内側網支持部として機能するように設けることができる。加えて(又はこれに代えて)、カプセル壁材料はめっきされていてもよく、又は高炉条件下にあって炭化又は他の脆弱化させる効果を及ぼしうる外来物質から壁基材を少なくとも一時的に保護することができる他の好適なコーティングを壁基材に施してもよい。図17及び18に示される鋼綿も同様に処理することができる。
【0077】
図15を参照すると、カプセル2100は、容易に消耗可能なパッド材料2107で包んで、表面(例えば高炉内の溶鉄ベッド)に衝突するときのカプセル2100の衝撃を和らげてもよい。一形態においては、パッド材料2107は、高炉への充填前及び充填中において衝撃からの保護及び微粉の保持の両方を提供するように、ダンボール紙からなる包装材、又は簡素なプラスチックシート包装材から形成することができる。別の形態においては、パッド材料2107は、バルーンに類似していてもよく、基本的に空気を封入した構造であってもよい。
【0078】
図16には、シート材料2202から形成されるカプセル2200が示されている。一形態においては、シート材料2202は、いわゆる「テトラパック(登録商標)」と呼ばれる流体容器に類似する。シート材料は、比較的薄い金属箔から形成することができ、必要に応じて補強することができる。一形態においては、2本の比較的剛性が高いクランプバー2204がカプセルの各端部上に直交して設けられていることにより、高炉内の「装入原料」からの外圧から内部容積を保護しやすくする。これらのカプセルは、整列した一連のカプセル2200が一工程で投入可能であるように、「列車のように」又は連結されるように(列車が互いに連結されるように、又はソーセージ同士をつなぐ部分のように)形成することができる。(図1の可融性ジョイントと同様の)可融性ジョイント2206を設けて、カプセル2200が高炉内の好適な深さにおいて列車のようにつながっている部分を分離してカプセルも熱により分解され始めるようにしてもよい。
【0079】
図17には、波形管2302から形成されるカプセル2300の設計が示されている。一形態においては、カプセル2300は、端部通口2306においてフィルタ2304として機能するステンレス鋼綿(又は他のウール様材料)等の金属を含む。波形管の両端部は、端部閉鎖クランプ(波形管2302に直交するように配置することができる)等の閉鎖部2310を用いて閉鎖することができる。波形形状はカプセル2300に強度を付与する。図示されるように、孔2308を波形溝にも設けることができ、また該孔2308をガス透過性フィルタ材料2304とともに使用することができる。加熱及び内容物の反応によって生じるガスの圧力は、カプセル壁に予め形成された(しかし最初は閉じた状態にある)スリット孔を広げる傾向にある。構造には、高炉内の所望される様々な深さにおける分解温度を決定する可融性ジョイントを備えることができる。
【0080】
図18及び18Aには、非常に安価で作りやすいと考えられるカプセル2400の設計を示している。壁材料は、被包体又はテトラパック(登録商標)を形成する鋼鉄又は鉄からなる薄いシート等の耐高温性ホイル2402である。一形態においては、好適な寸法を有するシートは単に二つに折り畳まれ、三方の開放された縁部のうち二つにステイプラー留め、リベット留め、圧着、又はスポット溶接等を行ったり、あるいは他の方法を用いて閉鎖部2407を提供する。開放縁部は、必要に応じて、混合されたスケール、融剤、炭素含有材料等の内容物2109を詰めるために使用される。その後、閉鎖工程を行う。一形態においては、フィルタ付ポート2404を備え、フィルタ材料2406は、前述したような任意の好適な材料から形成することができる。閉鎖点間の空隙2408は、ガス通気口及び入口として機能することもできる。
【0081】
[磁気的充填装置]
公知の充填機構の多くは、包装された食品を扱う産業において使用されるようなカプセル充填用途で販売されているが、カプセルの鉄を含む内容物は、可動部品等の磨耗がない等、潜在的な利点を有する追加の選択肢を広げている。図19には、ミルスケール等の充填材料2520をカプセル2508へ充填するための計量及び充填システム2500のためのゲートシステム(例えば電磁的に制御されたゲートシステム)が開示されている。電磁石2502a,2502b、2502c又は可動式強力永久磁石等の磁石は、図示されるように、重力により作動する充填管2504に沿って配置される。あるいは、ゲートシステム又は他の機械的に作動されるシステムのために磁力により作動するバルブを用いてもよい。しかしながら、磁気ゲートシステムは、ゲートシステム上の鉄微粉による磨耗を防止でき、かつ鉄微粉が可動部品に詰まることを防止できるため、鉄材料とともに使用する場合に有用である。ゲートシステムは、計量及び充填システム2500の残りの部分から接離するように磁場を移動させるために、可動磁石を用いたシステムを備えた制御機構を用いることができる。電磁石が用いられる場合、制御機構は、電気回路を使用して電磁石に供給される電力を制御してもよい。
【0082】
カプセル2508充填を行うために、電磁石2502a,2502b,2502cは図示されるシーケンス(左から右)にて励起される(図19において、xは閉鎖状態のゲートを示し、oは開放状態のゲートを示す)。例えば、材料2520はリザーバ2522内に収容されており、カプセル2508充填のためのシーケンスは図中左から右に進む。第1に、磁石2502aが消磁されて材料2520が第1区画2532内へ落下でき、かつ磁石2502bが励起されて材料2520が第2区画2534内へ落下しないようにし、かつ磁石2502cも励起されて材料2520が充填シュート2536内へ落下しないようにする。第2に、磁石2502aが励起されて材料2520がリザーバ2522から第1区画2532内へ落下できないようにし、かつ磁石2502bが消磁されて材料2520が第2区画2534内へ落下でき、かつ磁石2502cが励起されて材料2520が充填シュート2536内へ落下しないようにする。第3に、磁石2502aが励起されて材料2520がリザーバ2522から第1区画2532内へ落下できないようにし、かつ磁石2502bが励起されて材料2520が第2区画2534内へ落下しないようにし、かつ磁石2502cが消磁されて材料2520が充填シュート2536及びその下に位置するカプセル2508内へ落下できるようにする。第4に、上記工程が繰り返される。別の形態においては、永久磁石を用いることができ、永久磁石は磁石が「消磁」状態となるように機械的に離間させられる。ミルスケール等の材料の下方への移動を停止するために必要とされる流れをせき止める力は(このような粒状物質の内部摩擦等が高いことから)小さいため、この方法は、可動部品が磨耗又は目詰まりを起こすことなく砥粒材料の効率的かつ簡単な計量及び処理を提供する。図19Aはポート2600を備えた別例を示しており、ポート2600を介して炭素及び/又は融剤もしくは他の化学物質等の他の材料をカプセルに加えることができる。
【0083】
[高炉装入原料にカプセルを加える別の方法]
カプセルを高炉へ導入する別の方法の幾つかにおいては、上昇する高温の高炉ガスの漏出を妨げるために、エアロック構成を備えることができる堆積物上への(top-of-stack)投入機構を複数基備える。開示されるカプセルの多くは、その容器の多くが強磁性材料で形成されるか、あるいは強磁性材料を含むことができるため、磁気を用いた充填技術を用いて処理することができる。さらに、布で形成されるカプセルは、このような方法で処理することができる強磁性材料を十分な量含むものと考えられる。消耗カプセルは、既に明らかにされたように、比較的小さな又は大きな寸法を有するように形成することができる。例えば、最大積載量が5〜20ポンド(約2.3〜9.1kg)となる寸法は、食料用缶産業において使用されるものに類似する鉄又は鋼鉄からなる薄いシートから形成することができる。他のカプセルはより厚い材料を必要とし、数百ポンド(例えば500〜700ポンドの場合、約226.8〜317.5kg)の最大積載量を有する。いずれの場合においても、カプセルを処理するために適切な磁力を生じさせることが可能である。
【0084】
ガス流の妨げを最小限にする可動保護具の類似物(すなわち、開口を有するレール。落下するカプセルは該レールに沿って摺動する。)も、カプセルを装入原料の上端に分配するために、空気圧を用いた発射装置に代えて使用することができる。同様に開口する格子状ガイド面も最も新しく装入された高炉装入材料上にカプセルを静かに摺動させるために使用することができ、別の方法は、カプセルを高炉内へ運搬するために吊下げバケット/移動ケーブル(ミニケーブルカー)を用いる。
【0085】
前述した事項及びこれに関連する図面は、本発明を例示するために提示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。特定の実施形態について図示及び説明されているが、当業者であれば、出願人が寄与したより広い特徴から逸脱することなく、変更及び改変を行うことができることは明らかであろう。請求される実際の保護範囲は、従来技術に基づき考慮した上で、添付の請求の範囲において定義されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】再使用可能な容器及び液体金属からの液体シールを用いて冶金処理において液面下で材料を投入する本発明の一形態を示す図。
【図2】図1の発明の形態のための液体金属源の一例を示す図。
【図3】冶金処理に材料を加えるために消耗容器を使用する本発明の一形態を示す図。
【図4】本発明の一形態で使用される高炉を示す図。
【図5】可融性開口部/閉鎖部を有する再使用可能な容器を使用する本発明の別の形態を示す図。
【図5A】図5の可融性開口部/閉鎖部の別の形態を示す図。
【図6】図1の再使用可能な容器の別の形態を示す図。
【図7】本発明の再使用可能な容器と該再使用可能な容器とともに用いられる消耗容器の別の形態を示す図。
【図8】図1に示される処理の拡張した形態を示す図。
【図9】必要に応じて設けられる昇降機型供給装置とともに使用される本発明の再使用可能な容器の別の形態を示す図。
【図10A】可撓性を有する消耗容器の一形態を示す図。
【図10B】必要に応じて設けられる耐摩耗性コーティングを備えた図10Aの可撓性を有する消耗容器を示す図。
【図10C】図10Aの容器内に配置される可撓性を有する第2の消耗容器を示す図。第2の消耗容器は、該容器内の汚染された材料を包囲する清浄な材料を分離する。
【図10D】図10Cの消耗容器に必要に応じて設けられる断熱層を示す図。
【図11】可撓性を有する容器の内部に材料を充填する一方法を示す図。
【図12】高炉装入原料に消耗容器を分配するための一方法を示す図。
【図13】高炉装入原料に消耗容器を分配するための一方法を示す図。
【図14】通気口を有する消耗容器の一形態を示す図。
【図14A】図14の14A−14A線における容器の一部の断面図。
【図14B】図14に示す容器の別例の断面図。
【図14C】図14に示す容器の別例の断面図。
【図15】必要に応じて設けられる、消耗容器の一形態を包囲する保護具を示す図。
【図16】ソーセージの連結部分のような構成として形成される消耗容器の別の形態を示す図。
【図17】波形材料から形成される消耗容器を示す図。
【図18】通気口を有する収納器の形態をとる消耗容器の一形態を示す図。
【図18A】図18の容器の18A−18A線における断面図。
【図19】磁石を用いた再使用可能な容器又は消耗容器の充填方法を示す図。
【図19A】図19に示される装置の別の形態を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉で行われる冶金方法であって、
鉄、コークス、及び融剤を含む装入原料を高炉内の溶鉄上方に供給する工程と、
原料収納器を提供する工程と、
高炉において冶金方法を実施するための第1原料を含む第1材料を前記原料収納器内に配置する工程と、
前記原料収納器及び第1材料を前記装入原料へ加える工程と、
前記原料収納器及び第1材料がチャンバに加えられた後に装入原料を加熱する工程と、
所定の時間加熱を行うことにより前記原料収納器を開口させる工程と、
前記第1材料を前記溶鉄に露出させる工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記第1収納器は高炉で冶金方法を実施するための第2原料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2原料は金属を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2原料は鉄を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2原料は燃料を含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記燃料は布である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記燃料はポリマーである請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記収納器は通気口を備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1材料は粒子状物質からなり、前記収納器はさらに、前記粒子状物質が前記通気口から容易に漏出しないように構成されるフィルタを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上昇した温度に暴露されると前記収納器の第2の部分が破壊される前に破壊される前記収納器の第1の部分を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記収容器の第1の部分を上昇した温度に第1の時間だけ暴露することにより、前記収容器を開口させる工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶鉄に露出される前に前記第1の材料を装入原料に露出させる工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記収容器を開口させる工程が、前記第1材料が破壊されるときには前記収容器が装入原料内の所定の深さに到達するように予め収容器を選択する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
空気圧式射出システムを提供する工程をさらに含み、該工程においては、原料収容器の第1セットを装入原料の上端に分配する工程に、前記原料収容器の第1セットの少なくとも一部を空気圧式射出システムから装入原料上に射出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記原料収容器の第1セットを装入原料の上端に分配する工程は、一射出毎に空気圧式射出システム内のガス噴射特性を変更することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記空気圧式射出システムは可動管を備え、前記原料収容器の第1セットを分配する工程がさらに、可動管の仰角及び方位角を調節することにより可動管を目標方向に指向させる工程と、適切なガス噴射パルスを決定する工程と、前記目標方向に指向させた可動管を介して少なくとも1個の原料収納器を発射する工程とを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記空気圧式射出システムは回転可能な管を備え、前記原料収容器の第1セットを分配する工程がさらに、回転可能な管を目標方向に指向させる工程と、適切なガス噴射パルスを決定する工程と、前記目標方向に指向させた回転可能な管を介して少なくとも1個の原料収納器を発射する工程とを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
高炉で行われる冶金方法であって、
鉄、コークス、及び融剤を含む装入原料を高炉内の溶鉄上方に供給する工程と、
高炉における冶金方法を実施するための少なくとも一つの原料を収容する複数の原料収納器を提供する工程と、
原料収納器の第1セットの所望される分配を予め決定する工程と、
前記予め決定された所望される分配に基づき装入原料の上端に前記原料収納器の第1セットを分配する工程と、
前記装入原料を加熱する工程と、
所定の時間加熱を行うことにより前記少なくとも1個の原料収納器を開口させる工程と、
前記原料収納器の内容物を前記溶鉄に露出させる工程と
を含む方法。
【請求項19】
前記予め決定された所望される分配に基づいて前記原料収納器の第1セットを前記装入原料の上端に分配した後に、追加の鉄、コークス、及び融剤を前記装入原料に加える工程と、
前記予め決定された所望される分配に基づいて原料の第2セットを前記追加された鉄、コークス、及び融剤の上端に加える工程と
をさらに含む請求項18に記載の冶金方法。
【請求項20】
上昇した温度に暴露されると前記収納器の第2の部分が破壊される前に破壊される前記収納器の第1の部分を提供する工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記収容器の第1の部分を上昇した温度に第1の時間だけ暴露することにより、前記収容器を開口させる工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記溶鉄に露出される前に前記第1の材料を前記装入原料に露出させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記収容器を開口させる工程が、前記第1材料が破壊されるときには前記収容器が装入原料内の所定の深さに到達するように予め収容器を選択する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
空気圧式射出システムを提供する工程をさらに含み、該工程においては、原料収容器の第1セットを装入原料の上端に分配する工程に、前記原料収容器の第1セットの少なくとも一部を空気圧射出システムから装入原料上に射出することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記原料収容器の第1セットを装入原料の上端に分配する工程は、一射出毎に空気圧式射出システム内のガス噴射特性を変更することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記空気圧式射出システムは可動管を備え、前記原料収容器の第1セットを分配する工程がさらに、可動管の仰角及び方位角を調節することにより可動管を目標方向に指向させる工程と、適切なガス噴射パルスを決定する工程と、前記目標方向に指向させた可動管を介して少なくとも1個の原料収納器を発射する工程とを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記空気圧式射出システムは回転可能な管を備え、前記原料収容器の第1セットを分配する工程がさらに、回転可能な管を目標方向に指向させる工程と、適切なガス噴射パルスを決定する工程と、前記目標方向に指向させた回転可能な管を介して少なくとも1個の原料収納器を発射する工程とを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
原料収納器を提供する工程と、
冶金方法に用いられる第1原料を含む第1材料の複数の粒子を前記原料収納器内に配置する工程と、
前記第1材料の複数の粒子を前記原料収納器に封入する工程と、
冶金方法に用いられる原料が加えられる冶金処理チャンバを提供する工程と、
前記原料収納器及び第1材料を前記チャンバに加える工程と、
前記原料収納器及び第1材料を前記チャンバに加えた後に該チャンバを加熱する工程と、
所定の時間加熱することにより前記収納器を開口させる工程と、
前記第1材料を前記チャンバに露出させる工程と
を含む冶金方法。
【請求項29】
融剤を前記チャンバに加える工程をさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1材料は金属成分を含む請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第1材料はミルスケールを含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1材料は鉄微粉を含む請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記金属成分は汚染された金属粒子を含む請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記汚染された金属粒子は、比較的汚染されていない金属粒子によって全体が包囲される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記冶金処理チャンバは高炉の内部の一部からなり、
前記方法はさらに
第1鉄源を前記チャンバに加える工程と、
第1炭素源を前記チャンバに加える工程と、
融剤を前記チャンバに加える工程と
を含み、前記収納器は冶金方法に用いられる第2原料を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記原料収納器内の第1材料は、第1鉄源、第2鉄源、第1炭素源、第2炭素源、及び融剤の中から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第2鉄源がミルスケールを含み、前記第1炭素源が高炉により消費されるときにエネルギーの純増を該高炉に提供する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第2炭素源は、コークス微粉、木炭微粉、石炭微粉、エラストマー、及びポリマーの中から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記エラストマー及び/又はポリマーは、廃棄タイヤ、屑プラスチック、及び廃棄プラスチックの中から選択される請求項38に記載の方法。
【請求項40】
第2原料が冶金方法において有用な原料である請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記第2原料は金属を含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1原料及び第2原料はともに鉄を含む請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記第2原料は燃料源を含む請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記第2原料はポリマーを含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第2原料は廃棄スラグの成分となる廃棄材料である、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
前記収納器は通気口を備える請求項28に記載の方法。
【請求項47】
前記収納器が、前記通気口を介して前記粒子が容易に漏出しないように構成されるフィルタをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項48】
上昇した温度に暴露されると前記収納器の第2の部分が破壊される前に破壊される前記収納器の第1の部分を提供する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項49】
前記収容器の第1の部分を上昇した温度に第1の時間だけ暴露することにより、前記収容器を開口させる工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の材料を前記処理チャンバ内の残りの原料に露出させる工程をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記収容器を開口させる工程が、前記第1材料が破壊されるときには前記収容器が前記処理チャンバの残りの原料内の所定の深さに到達するように予め収容器を選択する工程を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
空気圧式射出システムを提供する工程と、原料収容器の第1セットの少なくとも一部を空圧式射出システムから前記装入原料上に発射することにより、原料収容器の第1セットを前記処理チャンバ内に分配する工程とをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項53】
前記原料収容器の第1セットを分配する工程は、一射出毎に空気圧式射出システム内のガス噴射特性を変更することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記空気圧式射出システムは可動管を備え、前記原料収容器の第1セットを分配する工程がさらに、可動管の仰角及び方位角を調節することにより可動管を目標方向に指向させる工程と、適切なガス噴射パルスを決定する工程と、前記目標方向に指向させた可動管を介して少なくとも1個の原料収納器を発射する工程とを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記空気圧式射出システムは回転可能な管を備え、前記原料収容器の第1セットを分配する工程がさらに、回転可能な管を目標方向に指向させる工程と、適切なガス噴射パルスを決定する工程と、前記目標方向に指向させた回転可能な管を介して少なくとも1個の原料収納器を発射する工程とを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
収納器と該収納器内に収容される材料の複数の粒子とを含み、該粒子は冶金方法において使用される第1原料を含む、冶金方法において使用される原材料。
【請求項57】
前記第1収納器は冶金方法において使用される第2原料を含む請求項56に記載の原材料。
【請求項58】
前記第2原料は金属を含む請求項57に記載の原材料。
【請求項59】
前記第2原料は鉄を含む請求項58に記載の原材料。
【請求項60】
前記第2原料は燃料を含む請求項57に記載の原材料。
【請求項61】
前記燃料は布である請求項60に記載の原材料。
【請求項62】
前記燃料はポリマーである請求項61に記載の原材料。
【請求項63】
前記収納器は通気口を備える請求項56に記載の原材料。
【請求項64】
前記収納器が、前記通気口を介して前記粒子が容易に漏出しないように構成されるフィルタをさらに備える、請求項63に記載の原材料。
【請求項65】
上昇した温度に暴露されると前記収納器の第2の部分が破壊される前に破壊される前記収納器の第1の部分を提供することを含む、請求項56に記載の原材料。
【請求項66】
前記収納器の第1の部分は、上昇した温度に第1の時間だけ露出されると破壊される、請求項65に記載の原材料。
【請求項67】
前記第1原料及び第2原料はともに鉄を含む請求項59に記載の原材料。
【請求項68】
前記材料の粒子は金属成分を含む請求項56に記載の原材料。
【請求項69】
前記材料の粒子はミルスケールを含む請求項68に記載の原材料。
【請求項70】
前記材料の粒子は鉄微粉を含む請求項68に記載の原材料。
【請求項71】
前記金属成分は汚染された金属粒子を含む請求項68に記載の原材料。
【請求項72】
前記汚染された金属粒子は、比較的汚染されていない金属粒子によって全体が包囲される、請求項71に記載の原材料。
【請求項73】
前記汚染された金属粒子を包囲し、かつ該汚染された金属粒子から汚染されていない金属粒子をほぼ分離するサブ収容器をさらに含む、請求項72に記載の原材料。
【請求項74】
前記収納器はガス透過性を有する請求項56に記載の原材料。
【請求項75】
前記収納器及びサブ収納器はともにガス透過性を有する請求項73に記載の原材料。
【請求項76】
前記汚染された金属粒子を包囲する断熱材料をさらに含む、請求項72に記載の原材料。
【請求項77】
前記断熱材料が汚染された金属粒子と汚染されていない金属粒子との間に配置される請求項76に記載の原材料。
【請求項78】
前記材料の粒子によって全体が包囲される廃棄物を収容するサブ収納器をさらに含む、請求項56に記載の原材料。
【請求項79】
前記収納器内に配置されるとともに冶金方法において使用される、前記第1原料とは異なる第3原料をさらに含む、請求項56に記載の原材料。
【請求項80】
前記第1原料及び第3原料は、第1鉄源、第2鉄源、第1炭素源、第2炭素源、及び融剤の中から選択される請求項79に記載の原材料。
【請求項81】
前記第2鉄源がミルスケールを含み、前記第1炭素源が高炉により消費されるときにエネルギーの純増を該高炉に提供する、請求項80に記載の原材料。
【請求項82】
前記第2炭素源は、コークス微粉、木炭微粉、石炭微粉、エラストマー、及びポリマーの中から選択される、請求項80に記載の原材料。
【請求項83】
前記エラストマー及び/又はポリマーは、廃棄タイヤ、屑プラスチック、及び廃棄プラスチックの中から選択される請求項82に記載の原材料。
【請求項84】
前記第1収納器は冶金方法において使用される第2原料を含む請求項79に記載の原材料。
【請求項85】
鉄源を有する容器用の充填装置であって、
鉄源を収容する充填リザーバと、
前記リザーバの上端より下方に位置し、前記容器の開口内に嵌入される、重力により供給を行う充填シュートと、
前記充填リザーバ又は充填シュート近傍の一領域に磁場を形成することができる少なくとも1個の磁石を用いるゲートシステムと、前記磁場は、重力による供給を停止させるように前記鉄源の少なくとも一部を吸引する十分な強さを有することと、
前記磁場の形成を制御するための制御機構と
を備える充填装置。
【請求項86】
前記制御機構は、充填シュートの充填リザーバから接離可能な可動磁石を備える、請求項85に記載の装置。
【請求項87】
前記制御機構が電磁石用の電気回路を備える請求項85に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図18A】
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【図19】
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【図19A】
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【公表番号】特表2008−505253(P2008−505253A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527798(P2007−527798)
【出願日】平成17年6月12日(2005.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/020832
【国際公開番号】WO2005/123896
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506412480)アイアン マウント コーポレーション (2)
【氏名又は名称原語表記】IRON MOUNT CORPORATION
【Fターム(参考)】