説明

冷凍おでんの製造方法

【課題】 温めるだけで美味しいおでんになり、コンビニエンスストアの店頭等では、常に煮込んでおく必要がなく、注文に応じて素早く温めて、美味しいおでんを提供することのできる冷凍おでんの製造方法を提供すること。
【解決手段】 動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類を加えて混練する工程、該混練物を加熱形成して練り物を得る工程、該練り物をおでん汁中にて加熱する工程、および該味が付けられた練り物に高電圧電場ブライン冷凍処置を施す工程、を包含する冷凍おでんの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味済み冷凍おでんの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、おでんは、根強い人気を博し、鍋料理部門では売上高一位の食品となっている。特に、コンビニエンスストア(CVS)で展開されるようになってから人気が飛躍的に拡大した。
【0003】
しかしながら、さらなる拡大に向けて次に示す種々の問題点が指摘されるようになっている。
(1)CVSでの賞味期限切れによる廃棄量の増大
現在、日本での賞味期限切れによる加工食品の廃棄量は年間2千万トンといわれている。
(2)おでんの最も美味しい食べ時は、煮込み後2時間前後と言われている。しかし、CVSでは0〜8時間前後となっている。そのため、おでんの味が一定とはならず、最も美味しい時期を逃している。
(3)CVS内でおでんを煮込むと、店内におでんの臭気がたちこめてしまう。
(4)家庭でおでんを作る場合には、おでんを2時間も煮込む余裕がないので、最も美味しい時期を逃がしている。
(5)家庭用のおでんでは、日持ちを持たせるために通常日持ちの向上剤や防腐剤が使用されたり、レトルト処理される。従って、健康イメージも悪く、品質も著しく低いものが多い。また、調味済みのおでんを冷凍しておいて、必要持に冷凍して食することも行われているが、この方法では、おでんに含まれる水分によって内部に氷結晶が成長するため、解凍したときに食感が低下するという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題を解決するためになされたものである。その目的とするところは、温めるだけで美味しいおでんになり、コンビニエンスストアの店頭等では、常に煮込んでおく必要がなく、注文に応じて素早く温めて、美味しいおでんを提供できる冷凍おでんの製造方法を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、解凍したときにも、冷凍前の状態の食感を呈する冷凍おでんの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷凍おでんの製造方法は、動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類を加えて混練する工程、得られた混練物を加熱形成して練り物を得る工程、該練り物をおでん汁中にて加熱する工程、および該味が付けられた練り物に高電圧電場ブライン冷凍処置を施す工程、を包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【0007】
一つの実施形態では、前記加工澱粉が、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉及び酸化澱粉からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0008】
一つの実施形態では、前記加工澱粉の含有比率が、該練り物の2〜10重量%である。
【0009】
一つの実施形態では、前記糖類が、砂糖、トレハオース、オリゴ糖、糖アルコール、水飴及び還元水飴からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0010】
一つの実施形態では、前記糖類の含有比率が、該練り物の2〜15重量%である。
【0011】
一つの実施形態では、前記練り物が、さらに調味料を含有する。
【0012】
一つの実施形態では、前記高電圧電場プライン冷凍処理が、0℃から−5℃の温度域を15分以内に通過し、−20℃から−40℃の温度範囲に至るまで冷凍する処理である。
【0013】
本発明のおでんの製造方法は、動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類を加えて混練する工程、該混練物を加熱形成して練り物を得る工程、得られた練り物をおでん汁中にて加熱する工程、該味が付けられた練り物に高電圧電場ブライン冷凍処置を施す工程、および該冷凍おでんを解凍する工程、を包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、取り扱いが容易で、保存性も良く、温めるだけで美味しいおでんになり、家庭では簡単におでんができ、コンビニエンスストアの店頭等では、常に煮込んでおく必要がなく、注文に応じて素早く温めて、美味しいおでんを提供することができる。
即ち、必要なときに必要な量を直ぐに提供でき、長時間煮込む必要がなく、また長時間煮込んだために商品価値が低下することを防ぎ、さらに温めた調味液(おでんの煮込み汁)の濁りも抑えられる。
【0015】
しかも、練り物が冷凍耐性を付与する糖類、蛋白質類を含有しており、高電圧電場を与えてこの練り物をブライン冷凍することにより、冷凍の際に低下する練り物の温度が、最大氷結晶生成帯である0〜−5℃をより速く通過させることができる。このため、練り物に含まれる水分によって形成される氷結晶の成長を抑制し、これにより組織破壊を防止し、解凍したとき、練り物の冷凍前の状態を保つことができる。
【0016】
このように、最も優れたおでん汁を用いて、最も適した煮込み時間で調理した調味済みおでんを、新しい冷凍技術にて冷凍し、これを食べる直前にレンジ解凍するので、防腐剤を添加することなく、最も美味しい状態でおでんを食することができ、しかもCVSにおいて臭気の充満、商品の廃棄も防止できる。また、本発明は自動販売機での販売にも適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0018】
本発明の冷凍おでんの製造方法において、はじめに、動物性蛋白質及び/又は植物性蛋白質を主原料とし、これに所定の加工澱粉と所定の糖類を所定量加え、必要であれば、調味料を加えて、混練加熱形成して練り物を得る。
【0019】
動物性蛋白質としては、スケソウ、タラ、ホッケ、グチ、エソ、イワシ、ホタテ等の魚介類のすり身又は落し身、豚、牛、鳥、ウサギ等の畜肉、ゼラチン、コラーゲン等の分離蛋白質が好適に使用でき、植物性蛋白質としては、大豆、小麦、大豆分離蛋白質、小麦グルテンが好適に使用できる。また、これらの原料は混合して使用することも可能である。
【0020】
本発明の冷凍おでんの製造方法では、冷凍耐性を付与するため及びおでんの食感を改良するために、加工澱粉と糖類が併用される。
【0021】
加工澱粉としては、澱粉構成糖のグルコースのフリーな水酸基をエステル化したエステル化澱粉、水酸基の水素原子をアルキル基と置換したエーテル化澱粉、澱粉の水酸基同士が結合した架橋澱粉及び澱粉糖の還元末端を酸化剤で酸化した酸化澱粉等がある。
【0022】
エステル化澱粉としては、松谷化学工業(株)製の松谷ゆり8、フードスターチNE1、グリコ栄養食品(株)製のケミスター210、エーテル化澱粉としては松谷化学工業(株)製の松谷ゆり2、グリコ栄養食品(株)製のケミスター200、架橋澱粉としては松谷化学工業(株)製のパーフェクトオアミールAC75、グリコ栄養食品(株)製のケミスター420、酸化澱粉としてはグリコ栄養食品(株)製のケミスター10T、ケミスター50H等が好適に用いられる。
【0023】
該加工澱粉は単独又は併用して用いられ、その使用量は練り物に対して2〜10重量%が好ましい。さらに好ましくは6〜9重量%である。加工澱粉の使用量が2重量%未満の場合は冷凍変性を起こし易く、また10重量%を超える場合には食感が悪くなる。
【0024】
なお、添加加工澱粉の種類と添加量の品質に対する影響は次の通りである。
【0025】
スケソウすり身60kgに食塩1.8kgを入れて、フードカッターでらいかい後トレハオース5.7kg、本みりん1.5kg、水27.9kgを混合、96.9kgの混合物を調製した。
【0026】
これを5.7kgずつ17区分に分け、区分1〜7にはエーテル化澱粉松谷ゆり8を0〜12.5重量%、区分8,9には無処理の馬鈴薯澱粉を5、10重量%、区分10、11にはエステル化澱粉ケミスター210を5,10重量%、区分12、13には架橋澱粉パーフェクトアミールAC75を5,10重量%、区分14,15には酸化澱粉ケミスター10Hを5,10重量%、区分16、17には松谷ゆり8とケミスター210の50%混合物を5,10重量%添加し、混練後、100gずつカップ容器に充填し、90℃で20分間加熱した。
【0027】
得られた練り物を、次に、おでん汁中にて加熱する。
【0028】
この味付け工程で用いる調味液(おでん汁)としては、通常のおでんの煮込み汁と同じか、それよりも調味料を多く入れた濃い煮込み汁(例えば、2〜3倍濃縮液)を用いることができる。例えば、だし汁に、食塩、醤油、味醂、砂糖、酒等を適宜混合して用いる。
【0029】
味付け工程において、練り物を調味液に加熱、加圧又は減圧状態で漬け込む諸条件については、練り物の種類や調味液の濃度により、更には、加圧減圧状態により、漬け込み温度及び漬け込み時間は相違する。なお、加圧状態にするためには加圧釜で、減圧状態にするには減圧釜を用いて練り物を調味液に漬け込み各条件下で調味液の味を浸透させる。
【0030】
なお、練り物としては、具体的には、魚肉練製品としては、竹輪等の焼き物や、ゴボウ巻き、イカ巻き等の揚げ物、又はつみれ等が等が挙げられる。
【0031】
次に、室温で冷却後、高電圧電場アルコール冷凍機で20分間冷凍し、−25℃の冷凍練り物を得た。
【0032】
この17区分の練り物を1週間後に解凍後、物性検査及び官能検査をしたところ、表1の通りの結果となった。
【0033】
【表1】

すなわち、加工澱粉を2.0〜10.0重量%添加しない区分1、2は冷凍変性をおこし、また区分7は食感が悪くなり、物性及び官能検査が、区分1の冷凍処理を施さなかった物に比べ劣る結果となった。
【0034】
また加工澱粉でない馬鈴薯澱粉を添加した場合も、区分8,9の通り劣る結果となった。
【0035】
なお、物性の判定は、区分1の冷凍処理を施さない物を対照として、10名のパネルで、優:食感が対照に比べ優れている、良:食感が対照に比べ若干優れている、可:食感が対照に比べほぼ同じ、不可:食感が対照に比べ劣る、で実施、最も多い評価で示した。
【0036】
官能検査の判定は、区分1の冷凍処理を施さない物を対照として、10名のパネルで、+1:優れている、0:変わらない、−1:劣っている、で評価し、その平均点で示した。
【0037】
冷凍耐性を付与する糖類としては、砂糖、トレハオース、オリゴ糖、糖アルコール、水飴、還元水飴が好適に使用できる。その使用量は2〜15重量%が好ましい。特に好ましい糖類の使用量は3〜12重量%である。糖類の使用量が2重量%未満である場合、および15重量%を超える場合は、水が分離したり、食感が低下する傾向になる。
【0038】
なお、添加糖類と添加量の練り物の品質に対する影響は次の通りである。
【0039】
スケソウすり身52kgに食塩1.4kgを入れて、フードカッターでらいかい後、加工澱粉(商品名:ケミスター200)6.0kg、本みりん0.6kg、水27.0kgを混合、87.0kgの混合物を調製した。
【0040】
これを5.8kgずつ15区分に分け、区分1〜7にはトレハオースを0〜20重量%、区分8,9には砂糖を5、10重量%、区分10、11にはオリゴ糖を5,10重量%、区分12、13には水飴を5,10重量%、区分14,15には還元水飴を5,10重量%添加し、混練後、カップ容器に100gずつ充填し、90℃で20分間加熱した。
【0041】
室温で冷却後、高電圧電場アルコール冷凍機で20分間冷凍し、−25℃の冷凍ゴマとうふ様練り物を得た。この15区分の練り物を解凍後、物性検査及び官能検査をしたところ、表2の通りの結果となった。
【0042】
【表2】

すなわち、糖類を全く添加しない区分1の試作品は冷凍変性をおこし、水が分離し、ソフト感を有する食感を全く呈していなかった。また、官能検査でも劣る結果となった。
【0043】
トレハオースを添加した区分2〜7においては、区分2は水の分離は観察されなかったが、軟弱な食感を呈し、官能検査では劣る結果となった。区分3〜6は物性も優れており、官能検査でも良好な結果となった。区分7は物性は水の分離は発生していなかったが糊状を呈し、また官能検査でも劣る結果となった。
【0044】
このことより、添加する糖の量は、練り物に対して2〜15重量%が適していると判断された。
【0045】
トレハオース以外のその他の糖類でも5〜10重量%添加した区分8〜15では、物性、官能検査でもいずれも良好な結果となった。
【0046】
なお、物性の判定は、区分1の冷凍処理を施さない物を対照として、10名のパネルで、優:食感が対照に比べ優れている、良:食感が対照に比べ若干優れている、可:食感が対照に比べほぼ同じ、不可:食感が対照に比べ劣る、で実施、最も多い評価で示した。
【0047】
官能検査の判定は、区分1の冷凍処理を施さない物を対照として、10名のパネルで、+1:優れている、0:変わらない、−1:劣っている、で評価し、その平均点で示した。
【0048】
次に、冷凍方法の評価を実施した。
【0049】
スケソウすり身17kgに食塩0.5kgを入れて、フードカッターでらいかい後、トレハオース2kg、加工澱粉(商品名:ファリネックス)1.5kg、本みりん0.2kg、水6.6kgを混合、27.8kgの混合物を調製した。これを5.56kgずつ5等分し、各々100gのカップ容器に充填した後、シールをして90℃で20分間加熱した。
【0050】
区分1は、5℃の冷蔵庫中で冷却したもの、区分2は、高電圧電場アルコール冷凍機の温度を制御することによって、0℃〜−5℃間の冷凍時間を20分に調節して−25℃まで冷凍したもの、区分3は0℃〜−5℃間の冷凍時間を15分に調節して−25℃まで冷凍したもの、区分4は0℃〜−5℃間の冷凍時間を10分に調節して−25℃まで冷凍したもの、区分5は業務用の大型冷凍庫の温度制御をすることによって0℃〜−5℃間の冷凍時間を15分に調節して−25℃まで冷凍したもの、を各々用意し、24時間解凍し区分1を対照として官能検査を実施した。
【0051】
なお、0℃から−5℃への冷凍所要時間は温度センサーで測定した。官能検査は10名のパネルにて、0:対照に比べて差はなし、+1:対照に比べて優れている、−1:対照に比べて劣っている、にて評点し、その平均値を示した。その結果は、表3の通りとなった。
【0052】
【表3】

高電圧電場アルコール冷凍機にて、0℃から−5℃までの冷凍所要時間を15分以下(さらに好ましくは10分以下)にすれば高い評価を得ることがわかった。また単なる大型冷凍庫では当該所要時間を15分にしても初期の効果は得られなかった。
【0053】
なお、本発明において、高電圧電場ブラインとは、電極の1本をブライン内に挿入したブライン冷凍装置及び高電圧電場発生手段を用いて、ブラインに高電圧電場を与えながら調理食品を冷凍する方法をいう。ブラインの温度は、−20℃〜−40℃の範囲で、高電圧電場発生手段の電位は5〜50kVを発生させるものが好ましい。このとき用いる冷凍装置の概略は以下のようなものである。
【0054】
すなわち、ブライン冷凍装置のブライン内に高電圧電場発生手段の2本ある電極の一方を挿入する。電極の他方は、ブライン冷凍装置のブラインに挿入せず、絶縁処理を行い、2本の電極間に電流が流れないようにする。これらの電極は、特公昭38−6106号公報に示されているような高周波電位発生装置の2次側に接続されている。
【0055】
ブラインは冷凍装置に接続した冷凍機を用いて冷却し、駆動モータを使用した循環装置を用いてブラインを循環させることにより、ブラインの入っている槽内の温度を一定に保持する。
【0056】
冷却装置、高電圧電場発生手段、及び循環装置の駆動モータはそれらの設置に際し、床面と各装置との間は絶縁硝子を支持体として用いる。
【0057】
ブラインに用いる不凍剤は、目的の温度で凍結しないものであれば、特に限定はなく、例えば、塩化カルシウム、エチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール等、及びこれらの混合物又はこれらと水との混合物があげられる。例えば、水とエタノールの混合液があげられる。
【0058】
食品の密封装置は、ブライン冷凍するためと、調味液を共に包装することにより、後の解凍及び調理を同時に行うことができるためである。
【0059】
高電圧電場を与えて練り物を冷凍することにより、冷凍の際に低下する冷凍おでんの製造方法の温度が、最大氷結晶生成帯である0〜−5℃をより速く通過させることができる。このため、練り物に含まれる水分によって形成された氷結晶の成長を抑制し、これにより組織破壊を防止し、解凍したとき、食品素材の冷凍前の状態を保つことができる。
【実施例】
【0060】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
鶏肉15kgに食塩0.3kg、加工澱粉(商品名:ケミスター200、グリコ栄養食品(株)製)3kg、本みりん0.5kg、オリゴ糖(商品名:乳果オリゴ、(株)林原社製)3kgと水10kgを混合、サイレントカッターで練り、練り物を得た。
【0061】
昆布とカツオでとっただし汁 10カップ(2リットル)に、食塩 大さじ1杯、みりん 1/2カップ、薄口しょうゆ 1/4カップを混合して調味液を得た。
【0062】
当該練り物をこの調味液を用いて、85℃で2時間調理後、シールした。
【0063】
放冷後、−40℃に設定された高電圧電場アルコール冷凍機(商品名:クイックフリーザー RQF−50型、アルファシステム社製)で20分間冷凍し(0℃〜ー5℃の経過時間5分)、−35℃の冷凍おでんを製造した。
【0064】
冷凍おでんを−35℃に3ヶ月間、6ヶ月間保存後、電子レンジ(500w)で30秒間加熱した。温められた調味済みおでんを試食したところ、冷凍変性は全く認められず、また内部にまで味が染み込んでおり、充分に美味であった。
(実施例2)
大豆分離蛋白質10kgに大豆油0.1kg、加工澱粉(商品名:パーフェクトアミールAC75、松谷化学工業(株)製)1.8kg、還元水飴(商品名:アマミールHS−60、(株)林原社製)1.5kgと水4.5kgを混合、ニーダにて練って練り物を得た。
【0065】
昆布とカツオでとっただし汁 10カップ(2リットル)に、食塩 大さじ1杯、みりん 1/2カップ、薄口しょうゆ 1/4カップを混合して調味液を得た。
【0066】
当該練り物をこの調味液を用いて、85℃で2時間調理後、シールした。
【0067】
冷却後、−40℃に設定された高電圧電場アルコール冷凍機(商品名:クイックフリーザー RQF−50型、アルファシステム社製)で20分間冷凍し(0℃〜ー5℃の経過時間4分)、−35℃の冷凍おでんを製造した。
【0068】
冷凍おでんを−35℃に3ヶ月間、6ヶ月間保存後、電子レンジ(500w)で30秒間加熱した。温められた調味済みおでんを試食したところ、冷凍変性は全く認められず、また内部にまで味が染み込んでおり、充分に美味であった。
(実施例3)
スケソウすり身12kg、グルテン粉末3kg、食塩0.4kg、トレハオース3kg、加工澱粉(商品名:ケミスター300S、グリコ栄養食品(株)製)3kg、本みりん0.6kg、水10kgを混合、ステファンカッターで練った。1個20の団子状に形成した後、90℃で20分間煮沸した。
【0069】
当該団子状練り物10個とおでん汁200mlを袋に入れシール後、85℃で2時間ホールドした。
【0070】
冷却後、−45℃に設定された高電圧電場アルコール冷凍機(商品名:クイックフリーザー RQF−50型、アルファシステム社製)で20分間冷凍し(0℃〜ー5℃の経過時間4分)、−40℃の冷凍おでんを製造した。
【0071】
冷凍おでんを−35℃に3ヶ月間、6ヶ月間保存後、電子レンジ(500w)で30秒間加熱した。温められた調味済みおでんを試食したところ、冷凍変性は全く認められず、また内部にまで味が染み込んでおり、充分に美味であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類を加えて混練する工程、
得られた混練物を加熱形成して練り物を得る工程、
該練り物をおでん汁中にて加熱する工程、および
該味が付けられた練り物に高電圧電場ブライン冷凍処置を施す工程、
を包含する冷凍おでんの製造方法。
【請求項2】
前記加工澱粉が、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉及び酸化澱粉からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1に記載の冷凍おでんの製造方法。
【請求項3】
前記加工澱粉の含有比率が、該練り物の2〜10重量%である請求項1又は2に記載の冷凍おでんの製造方法。
【請求項4】
前記糖類が、砂糖、トレハオース、オリゴ糖、糖アルコール、水飴及び還元水飴からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の冷凍おでんの製造方法。
【請求項5】
前記糖類の含有比率が、該練り物の2〜15重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の冷凍おでんの製造方法。
【請求項6】
前記練り物が、さらに調味料を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の冷凍おでんの製造方法。
【請求項7】
前記高電圧電場プライン冷凍処理が、0℃から−5℃の温度域を15分以内に通過し、−20℃から−40℃の温度範囲に至るまで冷凍する処理である請求項6に記載の冷凍おでんの製造方法。
【請求項8】
動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類を加えて混練する工程、
得られた混練物を加熱形成して練り物を得る工程、
該練り物をおでん汁中にて加熱する工程、
該味が付けられた練り物に高電圧電場ブライン冷凍処置を施して冷凍おでんを得る工程、および
該冷凍おでんを解凍する工程、を包含するおでんの製造方法。

【公開番号】特開2007−97511(P2007−97511A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293051(P2005−293051)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000132172)株式会社スギヨ (23)
【Fターム(参考)】