説明

冷凍機用作動流体組成物

【課題】二酸化炭素冷媒の存在下において、冷凍機油の潤滑性と冷媒相溶性とを両立することが可能な冷凍機用作動流体組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の冷凍機用作動流体組成物は、40℃における動粘度が50〜1000mm/sであり且つ100℃における動粘度が5〜50mm/sであるエーテル系潤滑油基油と、二酸化炭素冷媒と、ジメチルエーテル冷媒と、を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍機用作動流体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のオゾン層破壊の問題から、従来冷凍機器の冷媒として使用されてきたCFC(クロロフルオロカーボン)およびHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が規制の対象となり、これらに代わってHFC(ハイドロフルオロカーボン)が冷媒として使用されつつある。しかしながら、このようなHFC冷媒においても、地球温暖化能が高いなどの問題があり、これらのフロン系冷媒に代わる代替冷媒として自然系冷媒の使用が検討されている。中でも二酸化炭素(CO)は環境に対して無害であり安全性の点で優れている上、オイルや機械材料との適合性や入手性のなどの利点を有しており、従来から冷凍機などの冷媒として使用されてきたものである。また近年、開放型圧縮機あるいは密閉型電動圧縮機を用いたカーエアコン、ル−ムエアコン、給湯用ヒートポンプ等の冷媒としてその適用が検討されている。
【0003】
このような背景の下、二酸化炭素冷媒用冷凍機油として、炭化水素系潤滑油基油を用いたもの(特許文献1)、ポリアルキレングリコールやポリビニルエーテル等のエーテル系基油を用いたもの(特許文献2、特許文献3)、エステル系基油を用いたもの(特許文献4〜7)などの使用が提案されている。
【特許文献1】特開平10−46168号公報
【特許文献2】特開平10−46169号公報
【特許文献3】特開2002−155290号公報
【特許文献4】特開2000−104084号公報
【特許文献5】特開2000−169868号公報
【特許文献6】特開2000−169869号公報
【特許文献7】特開2002−220595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の二酸化炭素冷媒用冷凍機油であっても、以下の点で未だ改善の余地がある。
【0005】
すなわち、従来、冷凍空調機器の分野では、上述のように、冷凍機油の性能評価の一つとして冷媒相溶性が重視されている。しかし、冷凍機油の冷媒相溶性が良好であると、冷媒の溶解により冷凍機油の粘度が低下して潤滑性が不十分となりやすい。より具体的には、冷凍システム内で冷媒が冷凍機油に溶解することにより冷凍機油と冷媒との混合物である流体組成物の粘度(冷媒溶解粘度)が低下すると、冷媒圧縮機の圧縮部での吹き抜け、潤滑不良などの問題が懸念される。
【0006】
なお、潤滑性を改善する方法の一つとして高粘度化があるが、冷凍機油の高粘度化は省エネルギー性や取り扱い性の観点から望ましくないと考えられている。特に、冷凍空調機器において冷凍機油の側から省エネルギー対策に貢献するためには、冷凍機油を低粘度化してエネルギー効率の向上並びに冷媒圧縮機内での撹拌抵抗の低減を図る必要があり、冷凍機油の高粘度化はこのような省エネルギー対策のコンセプトに逆行することになる。
【0007】
また、冷凍機油は、冷媒存在下で使用されるという点で、空気雰囲気等で使用される他の潤滑油とはその使用環境が大きく異なる。そして、このことが他の潤滑油分野における潤滑性の改善技術をそのまま冷凍機油に適用できない一因となっている。
【0008】
また、冷凍機油の高粘度化により冷媒溶解粘度を維持するとその分冷媒相溶性は損なわれることになるが、この場合は別の理由により潤滑不良が懸念される。つまり、冷凍空調機器の冷媒循環システムにおいては、その機構上、冷媒圧縮機内の冷凍機油の一部が冷媒と共に循環流路に吐出される。ここで、冷媒圧縮機内の冷凍機油の量が不足することによる潤滑不良等を防ぐためには、吐出された冷凍機油が循環流路を通って冷媒圧縮機に戻ること(オイル戻り性)が重要であり、オイル戻り性の観点からは冷媒相溶性の低下は望ましいとはいえない。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素冷媒の存在下において、冷凍機油の潤滑性と冷媒相溶性とを両立することが可能な冷凍機用作動流体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の動粘度を有するエーテル系潤滑油基油と二酸化炭素冷媒とジメチルエーテル冷媒とを組み合わせることによって上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、40℃における動粘度が50〜1000mm/sであり且つ100℃における動粘度が5〜50mm/sであるエーテル系潤滑油基油と、二酸化炭素冷媒と、ジメチルエーテル冷媒と、を含有することを特徴とする冷凍機用作動流体組成物を提供する。
【0012】
本発明の冷凍機用作動流体組成物においては、従来の二酸化炭素冷媒用冷凍機油に用いられているエステル等の合成系基油と比べて、二酸化炭素冷媒に対する相溶性が低いエーテル系潤滑油基油を敢えて採用し、さらに当該エーテル系潤滑油基油の40℃及び100℃における動粘度を従来の冷凍機油よりも高粘度化している。このようなエーテル系潤滑油基油と二酸化炭素冷媒との組み合わせは、冷凍機油の冷媒相溶性と冷媒溶解粘度の維持との両立の観点から好ましくないというのが従来の一般的認識であり、これらの組み合わせについては必ずしも十分な検討がなされていなかった。しかし、驚くべきことに、上記特定のエーテル系潤滑油基油及び二酸化炭素系冷媒にジメチルエーテル系冷媒を更に組み合わせることによって、二酸化炭素冷媒の存在下において、冷凍機油の潤滑性と冷媒相溶性とを両立することが可能となることを本発明者らは見出した。このように、本発明の冷凍機用作動流体組成物を完成するに至った根底には、所定の冷媒と共に使用される冷凍機油の特性を冷凍機油の改良のみによって達成しようとしてきた従来の技術思想からみて極めて異質の技術思想があり、また、本発明による上記の効果も非常に予想外の効果であるといえる。
【0013】
本発明の冷凍機用作動流体組成物においては、二酸化炭素冷媒とジメチルエーテル冷媒との混合比率が、質量比で、95:5〜60:40であることが好ましい。二酸化炭素冷媒とジメチルエーテル冷媒との混合比率を上記範囲内とすることによって、潤滑性と冷媒相溶性とをより高水準で両立することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二酸化炭素冷媒の存在下において、冷凍機油の潤滑性と冷媒相溶性とを両立することが可能な冷凍機用作動流体組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に含まれるエーテル系潤滑油基油としては、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテルなどが例示されるが、この中でもポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテルおよびこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0017】
ポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
−〔(OR−OR (I)
(式(I)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアシル基又は水酸基を2〜8個有する化合物の残基、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアシル基、aは1〜80の整数、bは1〜8の整数を示す。)
【0018】
上記一般式(I)において、R、Rにおけるアルキル基は直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状または分枝状のブチル基、直鎖状または分枝状のペンチル基、直鎖状または分枝状のヘキシル基、直鎖状または分枝状のヘプチル基、直鎖状または分枝状のオクチル基、直鎖状または分枝状のノニル基、直鎖状または分枝状のデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。このアルキル基の炭素数が10を超えると冷媒との相溶性が低下し、相分離を生じる場合がある。好ましいアルキル基の炭素数は1〜6である。
【0019】
また、R、Rにおけるアシル基のアルキル基部分は直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アシル基のアルキル基部分の具体例としては、上記アルキル基の具体例として挙げた炭素数1〜9の種々の基を同様に挙げることができる。このアシル基の炭素数が10を超えると冷媒との相溶性が低下し、相分離を生じる場合がある。好ましいアシル基の炭素数は2〜6である。
【0020】
及びRが、いずれもアルキル基又はアシル基である場合には、RとRは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。さらにgが2以上の場合は、1分子中の複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
が水酸基を2〜8個有する化合物の残基である場合、この化合物は鎖状のものであってもよいし、環状のものであってもよい。水酸基を2個有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2ーメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。
【0022】
水酸基を3〜8個有する化合物としては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜6量体)、1,3,5ーペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトールなどの多価アルコール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトースなどの糖類、ならびにこれらの部分エーテル化物、およびメチルグルコシド(配糖体)などが挙げられる。
【0023】
なお、本発明において、水酸基を有する化合物の残基とは、当該水酸基を除いた残基を意味する。
【0024】
本発明においては、上記R及びRは少なくとも一つがアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、とりわけメチル基であることが粘度特性の点から好ましい。更には、上記と同様の理由からR及びRの両方がアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、とりわけメチル基であることが好ましい。
【0025】
上記一般式(I)中のRは炭素数2〜4のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。(OR)で表される繰り返し単位のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。1分子中のオキシアルキレン基は同一であってもよいし、2種以上のオキシアルキレン基が含まれていてもよい。
【0026】
冷媒相溶性および吸湿性の観点からは、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)を含む共重合体が好ましく、このような場合、焼付荷重、粘度特性の点からEO/(PO+EO)の値が0.1〜0.8の範囲にあることが好ましく、0.3〜0.6の範囲にあることがより好ましい。
【0027】
また、吸湿性や熱酸化安定性の点ではEO/(PO+EO)の値が0〜0.5の範囲にあることが好ましく、0〜0.2にあることがより好ましく、PO単独重合体が最も好ましい。
【0028】
上記一般式(I)中のaは1〜80の整数である。また、前記一般式(I)中のbは1〜8の整数である。例えばRがアルキル基やアシル基の場合、aは1である。また、Rが水酸基を2〜8個有する化合物の残基である場合、bは当該水酸基の数となる。
【0029】
また、a×bについては特に制限されないが、前記した冷凍機用作動流体組成物としての要求性能をバランスよく満たすためには、a×bの平均値が6〜80となるようにすることが好ましい。
【0030】
一般式(I)で表されるポリオキシアルキレングリコールは、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレングリコールを包含するものであり、水酸基の含有量が全末端基に対して50モル%以下になるような割合であれば、含有していても好適に使用することができる。この水酸基の含有量が50モル%を超えると吸湿性が増大し、粘度指数が低下するので好ましくない。
【0031】
本発明にかかるポリオキシアルキレングリコールとしては、下記一般式(I−1)で表されるポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル、下記一般式(I−2)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテルが経済性及び効果の点で好適であり、また、下記一般式(I−3)で表されるポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテル、さらにはポリオキシプロピレングリコールジアセテートなどが、経済性等の点で好適である。
CHO−(CO)−CH (I−1)
(式中、cは6〜80の数を示す。)
CHO−(CO)−(CO)−CH (I−2)
(式中、d及びeは、それぞれ1以上で、かつそれらの合計が6〜80となる数を示す。)
O−(CO)−H (I−3)
(式中、fは6〜80の数を示す。)
【0032】
また、本発明においては、上記ポリオキシアルキレングリコールとして、一般式(II)で表される構成単位を少なくとも1個有するポリオキシアルキレングリコール誘導体を使用することができる。
【化1】


[式(II)中、R〜Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の一価の炭化水素基または下記一般式(III):
【化2】


(式(III)中、R及びRはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の一価炭化水素基又は炭素数2〜20のアルコキシアルキル基を示し、R10は炭素数2〜5のアルキレン基、アルキル基を置換基として有する総炭素数2〜5の置換アルキレン基又はアルコキシアルキル基を置換基として有する総炭素数4〜10の置換アルキレン基を示し、pは0〜20の整数、R11は炭素数1〜10の一価炭化水素基を示す。)
で表される基であり、R〜Rの少なくとも1つが一般式(III)で表される基である。]
【0033】
ここで、式(II)中R〜Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の一価の炭化水素基または上記一般式(III)で表わされるものであるが、炭素数1〜10の一価炭化水素基としては、具体的には例えば、炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状または分枝状のアルケニル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基またはアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基またはアルキルアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基などが含まれる。この中でも、炭素数6以下の一価の炭化水素基を好ましく使用でき、特に炭素数3以下のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が最適である。
【0034】
また一般式(III)において、RおよびRはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の一価の炭化水素基または炭素数2〜20のアルコキシアルキル基を示すが、これらの中で炭素数3以下のアルキル基または炭素数6以下のアルコキシアルキル基が好ましい。炭素数3以下のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。また、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基には、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、ペントキシメチル基(すべての異性体を含む)、メトキシエチル基(すべての異性体を含む)、エトキシエチル基(すべての異性体を含む)、プロポキシエチル基(すべての異性体を含む)、ブトキシエチル基(すべての異性体を含む)、メトキシプロピル基(すべての異性体を含む)、エトキシプロピル基(すべての異性体を含む)、プロポキシプロピル基(すべての異性体を含む)、メトキシブチル基(すべての異性体を含む)、エトキシブチル基(すべての異性体を含む)、メトキシペンチル基(すべての異性体を含む)などが包含される。
【0035】
10は炭素数2〜5のアルキレン基、アルキル基を置換基として有する総炭素数2〜5の置換アルキレン基又はアルコキシアルキル基を置換基として有する総炭素数4〜10の置換アルキレン基を示すが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基及び総炭素数6以下の置換エチレン基である。炭素数2〜4のアルキレン基としては、具体的にはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。また、総炭素数6以下の置換エチレン基としては、具体的には1−(メトキシメチル)エチレン基、2−(メトキシメチル)エチレン基、1−(メトキシエチル)エチレン基、2−(メトキシエチル)エチレン基、1−(エトキシメチル)エチレン基、2−(エトキシメチル)エチレン基、1−メトキシメチル−2−メチルエチレン基、1,1−ビス(メトキシメチル)エチレン基、2,2−ビス(メトキシメチル)エチレン基、1,2−ビス(メトキシメチル)エチレン基、1−メチル−2−メトキシメチルエチレン基、1−メトキシメチル−2−メチルエチレン基、1−エチル−2−メトキシメチルエチレン基、1−メトキシメチル−2−エチルエチレン基、1−メチル−2−エトキシメチルエチレン基、1−エトキシメチル−2−メチルエチレン基、1−メチル−2−メトキシエチルエチレン基、1−メトキシエチル−2−メチルエチレン基などが挙げられる。
【0036】
11は炭素数の1〜10の一価炭化水素基を示すが、具体的には例えば、炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状または分枝状のアルケニル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基またはアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基またはアルキルアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基などが含まれる。この中でも、炭素数6以下の一価の炭化水素基を好ましく使用でき、特に炭素数3以下のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が最適である。
【0037】
なお、前述の一般式(II)におけるR〜Rのうち少なくとも1つは一般式(III)で表される基である。特に、R、Rのいずれか一つが一般式(III)の基であって、R、Rの残りの一つ及びR、Rがそれぞれ水素原子または炭素数1〜10の一価炭化水素基であることが好ましい。
【0038】
上記ポリオキシアルキレングリコール誘導体は、前記一般式(II)で表される構成単位を少なくとも1つ含有するものであるが、より詳しくはこの一般式(II)の構成単位からなる単独重合体、一般式(II)に含まれる2つ以上の異なる構成単位からなる共重合体、及び一般式(II)の構成単位と他の構成単位、例えば下記一般式(IV)で表される構成単位からなる共重合体の三種類に大別することができる。
【化3】


(式(IV)中、R12〜R15はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
【0039】
上記単独重合体の好適例は、一般式(II)で表される構成単位Aを1〜200個有するとともに、末端基がそれぞれ水酸基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはアリーロキシ基からなるものを挙げることができる。一方、共重合体の好適例は、一般式(II)で表される二種類の構成単位A、Bをそれぞれ1〜200個有するか、あるいは一般式(II)で表される構成単位Aを1〜200個と一般式(IV)で表される構成単位Cを1〜200個有するとともに、末端基がそれぞれ水酸基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはアリーロキシ基からなるものを挙げることができる。これらの共重合体は、構成単位Aと構成単位B(あるいは構成単位C)との交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合体あるいは構成単位Aの主鎖に構成単位Bがグラフト結合したグラフト共重合体など様々なものがある。
【0040】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物に使用されるポリビニルエーテルとしては、例えば下記一般式(V)で表される構成単位を有するポリビニルエーテル系化合物が挙げられる。
【化4】


(式(V)中、R16、R17及びR18はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、R19は炭素数1〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基、R20は炭素数1〜20の炭化水素基、qはその平均値が0〜10の数を示し、R16〜R20は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよく、またR19Oが複数ある場合には、複数のR19Oは同一でも異なっていてもよい。)
【0041】
また、上記一般式(V)で表される構成単位と、下記一般式(VI)で表される構成単位とを有するブロック又はランダム共重合体からなるポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
【化5】


(式(VI)中、R21〜R24は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またR21〜R24は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよい。)
【0042】
上記一般式(V)におけるR16、R17及びR18はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。ここで炭化水素基とは、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基などのアリール基、ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基などのアリールアルキル基を示す。なお、これらのR16、R17、R18としては、特に水素原子が好ましい。
【0043】
一方、一般式(V)中のR19は、炭素数1〜10、好ましくは2〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を示すが、ここで炭素数1〜10の二価の炭化水素基とは、具体的にはメチレン基、エチレン基、フェニルエチレン基、1,2−プロピレン基、2−フェニル−1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種ヘプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、各種デシレン基などの二価の脂肪族基、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンエチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素に2個の結合部位を有する脂環式基、各種フェニレン基、各種メチルフェニレン基、各種エチルフェニレン基、各種ジメチルフェニレン基、各種ナフチレン基などの二価の芳香族炭化水素基、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどのアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分と芳香族部分にそれぞれ一価の結合部位を有するアルキル芳香族基、キシレン、ジエチルベンゼンなどのポリアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分に結合部位を有するアルキル芳香族基などがある。これらの中で炭素数2から4の脂肪族基が特に好ましい。
【0044】
また、炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基の具体例としては、メトキシメチレン基、メトキシエチレン基、メトキシメチルエチレン基、1,1−ビスメトキシメチルエチレン基、1,2−ビスメトキシメチルエチレン基、エトキシメチルエチレン基、(2−メトキシエトキシ)メチルエチレン基、(1−メチル−2−メトキシ)メチルエチレン基などを好ましく挙げることができる。なお、一般式(V)におけるqはR19Oの繰り返し数を示し、その平均値が0〜10、好ましくは0〜5の範囲の数である。R19Oが複数ある場合には、複数のR19Oは同一でも異なっていてもよい。
【0045】
さらに、一般式(V)におけるR20は炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基を示すが、この炭化水素基とは、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種プロピルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基などのアリールアルキル基などを示す。なお、R16〜R20は構成単位毎に同一であっても異なっていてもよい。
【0046】
上記一般式(V)で表されるポリビニルエーテル系化合物(以下、「ポリビニルエーテル系化合物(1)」という。)は、その炭素/酸素モル比が4.2〜7.0の範囲にあるものが好ましい。このモル比が4.2未満では、吸湿性が高く、また7.0を超えると、冷媒との相溶性が低下する場合がある。上記一般式(VI)において、R21〜R24は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記一般式(V)におけるR20の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。なお、R21〜R24は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよい。
【0047】
一般式(V)で表される構成単位と一般式(VI)で表される構成単位とを有するブロック又はランダム共重合体からなるポリビニルエーテル系化合物(以下、「ポリビニルエーテル系化合物(2)」という。)は、その炭素/酸素モル比が4.2〜7.0の範囲にあるものが好ましく用いられる。このモル比が4.2未満では、吸湿性が高く、7.0を超えると、冷媒との相溶性が低下する場合がある。さらに本発明においては、上記ポリビニルエーテル系化合物(1)と上記ポリビニルエーテル系化合物(2)との混合物も使用することができる。本発明に用いられるポリビニルエーテル系化合物(1)及び(2)は、それぞれ対応するビニルエーテル系モノマーの重合、及び対応するオレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーと対応するビニルエーテル系モノマーとの共重合により製造することができる。本発明に用いられるポリビニルエーテル系化合物としては、次の末端構造を有するもの、すなわちその一つの末端が、一般式(VII)又は(VIII)で表され、かつ残りの末端が一般式(IX)又は(X)で表される構造を有するもの、及びその一つの末端が、上記一般式(VII)又は(VIII)で表され、かつ残りの末端が一般式(XI)で表される構造を有するものが好ましい。
【化6】


(式(VII)、(VIII)中、R25、R26及びR27は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R25、R26及びR27はたがいに同一でも異なっていてもよく、R30、R31、R32及びR33は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R30、R31、R32及びR33はたがいに同一でも異なっていてもよい。R28は炭素数1〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基、R29は炭素数1〜20の炭化水素基、rはその平均値が0〜10の数を示し、R28Oが複数ある場合には、複数のR28Oは同一でも異なっていてもよい。)
【化7】


(式(IX)、(X)中、R34、R35及びR36は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R34、R35及びR36はたがいに同一でも異なっていてもよく、R39、R40、R41及びR42は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R39、R40、R41及びR42はたがいに同一でも異なっていてもよい。R37は炭素数1〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基、R38は炭素数1〜20の炭化水素基、sはその平均値が0〜10の数を示し、R37Oが複数ある場合には、複数のR37Oは同一でも異なっていてもよい)
【化8】


(式(XI)中、R43、R44及びR45は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。)
【0048】
このようなポリビニルエーテル系化合物の中で、特に次に挙げるものが本発明においては好適である。
(1)その一つの末端が一般式(VII)又は(VIII)で表され、かつ残りの末端が一般式(IX)又は(X)で表される構造を有し、一般式(V)におけるR16、R17及びR18が共に水素原子、qが0〜4の数、R19が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR20が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
(2)一般式(V)で表される構成単位のみを有するものであって、その一つの末端が一般式(VII)で表され、かつ残りの末端が一般式(IX)で表される構造を有し、一般式(V)におけるR16、R17及びR18が共に水素原子、qが0〜4の数、R19が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR20が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
(3)その一つの末端が一般式(VII)又は(VIII)で表され、かつ残りの末端が一般式(XI)で表される構造を有し、一般式(V)におけるR16、R17及びR18が共に水素原子、qが0〜4の数、R19が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR20が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
(4)一般式(V)で表される構成単位のみを有するものであって、その一つの末端が一般式(VII)で表され、かつ残りの末端が一般式(X)で表される構造を有し、一般式(V)におけるR16、R17及びR18が共に水素原子、qが0〜4の数、R19が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR20が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
【0049】
また、本発明においては、前記一般式(V)で表される構成単位を有し、その一つの末端が一般式(VII)で表され、かつ残りの末端が下記一般式(XII)で表される構造を有するポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
【化9】


(式(XII)中、R46、R47及びR48は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよく、R49及びR51はそれぞれ炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、R50及びR52はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、t及びuはそれぞれその平均値が0〜10の数を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、また複数のR49Oがある場合には複数のR49Oは同一であっても異なっていてもよいし、複数のR51Oがある場合には複数のR51Oは同一であっても異なっていてもよい。)
【0050】
さらに、本発明においては、下記一般式(XIII)又は(XIV)で表される構成単位からなり、かつ重量平均分子量が300〜5,000であって、一方の末端が下記一般式(XV)又は(XVI)で表される構造を有するアルキルビニルエーテルの単独重合物又は共重合物からなるポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
【化10】


(式(XIII)、(XIV)中、R53及びR54はそれぞれ炭素数1〜8の炭化水素基を示す。)
【化11】


(式(XV)、(XVI)中、R55は炭素数1〜3のアルキル基、R56及びR57はそれぞれ炭素数1〜8の炭化水素基を示す。)
【0051】
本発明の冷凍機用作動流体組成物は、上記したエーテル系潤滑油基油から選ばれる1種のみを含有するものであってもよく、また2種以上のエーテル系潤滑油基油を含有するものであっても良い。
【0052】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に含まれるエーテル系潤滑油基油の動粘度は、潤滑性の性能に優れる点から、40℃において50mm/s以上であることが必要であり、70mm/s以上であることが好ましく、90mm/s以上であることが最も好ましい。また、同様の理由により、100℃における動粘度は、5mm/s以上であることが必要であり、6mm/s以上であることが好ましく、7mm/s以上であることがより好ましい。
【0053】
また、冷媒相溶性の性能に優れる点から、エーテル系潤滑油基油の40℃における動粘度は、1000mm/s以下であることが必要であり、500mm/s以下であることが好ましく、300mm/s以下であることがより好ましい。また、同様の理由により、100℃における動粘度は、50mm/s以下であることが必要であり、30mm/s以下であることが好ましく、40mm/s以下であることがより好ましい。
【0054】
40℃及び100℃における動粘度がそれぞれ前記下限値未満であると潤滑性が不十分となり、また、前記上限値を超えると冷媒との相溶性が悪くなり好ましくない。
【0055】
本発明の冷凍機用作動流体組成物におけるエーテル系潤滑油基油の含有量は特に制限されないが、潤滑性、冷媒相溶性、熱・化学安定性、電気絶縁性等の各種性能により優れる点から、組成物全量基準で50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましく、70質量%以上含有することがさらにより好ましく、80質量%以上含有することが最も好ましい。
【0056】
本発明の冷凍機用作動流体組成物は、上記したエーテル系潤滑油基油を含有するものであるが、これに加えて鉱油、オレフィン重合体、ナフタレン化合物、アルキルベンゼン等の炭化水素系油、エステル、ケトン等の含酸素合成油を更に含有しても良い。
【0057】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物は、添加剤未添加の状態でも好適に用いることができるが、必要に応じて各種添加剤を配合した形で使用することもできる。
【0058】
本発明の冷凍機用作動流体組成物の耐摩耗性、耐荷重性をさらに改良するために、リン酸エステル、チオリン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステルおよび亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物を配合することができる。これらのリン化合物は、リン酸または亜リン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体である。
【0059】
リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。
【0060】
チオリン酸エステルとしては、トリブチルホスフォロチオネート、トリペンチルホスフォロチオネート、トリへキシルホスフォロチオネート、トリヘプチルホスフォロチオネート、トリオクチルホスフォロチオネート、トリノニルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオネート、トリウンデシルホスフォロチオネート、トリドデシルホスフォロチオネート、トリトリデシルホスフォロチオネート、トリテトラデシルホスフォロチオネート、トリペンタデシルホスフォロチオネート、トリへキサデシルホスフォロチオネート、トリへプタデシルホスフォロチオネート、トリオクタデシルホスフォロチオネート、トリオレイルホスフォロチオネート、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネート、キシレニルジフェニルホスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(−n−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート等、が挙げられる。より具体的には、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネートなどが挙げられる。
【0061】
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアト、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
【0062】
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミンなどのアミンとの塩が挙げられる。
【0063】
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェートなどが挙げられる。
【0064】
亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイトなどが挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
【0065】
これらのリン化合物を本発明の冷凍機用作動流体組成物に配合する場合、その配合量は特に制限されないが、潤滑油基油と添加剤の合計量を基準として、リン化合物の含有量は、好ましくは0.01〜5.0質量%、より好ましくは0.02〜3.0質量%である。
【0066】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物において、その安定性をさらに改良するために、
下記(1)〜(8)からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を配合することができる。
(1)フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物
(2)アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物
(3)グリシジルエステル型エポキシ化合物
(4)アリルオキシラン化合物
(5)アルキルオキシラン化合物
(6)脂環式エポキシ化合物
(7)エポキシ化脂肪酸モノエステル
(8)エポキシ化植物油。
【0067】
(1)フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル型エポキエーテルまたはアルキルフェニルグリシジルエーテルが例示できる。ここでいうアルキルフェニルグリシジルエーテルとは、炭素数1〜13のアルキル基を1〜3個有するものが挙げられ、中でも炭素数4〜10のアルキル基を1個有するもの、例えばn−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテルなどが好ましいものとして例示できる。
【0068】
(2)アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルなどが例示できる。
【0069】
(3)グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエステル、アルキルグリシジルエステル、アルケニルグリシジルエステルなどが挙げられ、好ましいものとしては、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが例示できる。
【0070】
(4)アリルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポキシスチレンなどが例示できる。
【0071】
(5)アルキルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,1,21,2−エポキシイコサンなどが例示できる。
【0072】
(6)脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサンなどが例示できる。
【0073】
(7)エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、具体的には、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコールまたはフェノール、にエポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニルおよびブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
【0074】
(8)エポキシ化植物油としては、具体的には、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物などが例示できる。
【0075】
これらのエポキシ化合物の中でも好ましいものは、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物およびエポキシ化脂肪酸モノエステルである。中でもフェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物およびグリシジルエステル型エポキシ化合物がより好ましく、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステルもしくはこれらの混合物が特に好ましい。
【0076】
これらのエポキシ化合物を本発明の冷凍機用作動流体組成物に配合する場合、その配合量は特に制限されないが、エポキシ化合物の含有量は、潤滑油基油と添加剤の合計量を基準として、好ましくは0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.2〜2.0質量%である。
【0077】
上記リン化合物およびエポキシ化合物は、それぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
さらに、本発明の冷凍機用作動流体組成物に対して、その性能をさらに高めるため、必要に応じて従来より公知の冷凍機油添加剤、例えばジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール系の酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛などの摩耗防止剤、塩素化パラフィン、硫黄化合物等の極圧剤、脂肪酸等の油性剤、シリコーン系等の消泡剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等の添加剤を単独で、または数種類組み合わせて配合することも可能である。これらの添加剤の合計配合量は特に制限されないが、潤滑油基油と添加剤の合計量基準を基準として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0079】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物を調製する際には、好ましくは、40℃における動粘度が50〜1000mm/sであり且つ100℃における動粘度が5〜50mm/sであるエーテル系潤滑油基油、並びに必要に応じて配合されるその他の潤滑油基油及び添加剤を含有する冷凍機油(以下、「本発明にかかる冷凍機油」という。)を調製し、次いで、本発明にかかる冷凍機油と二酸化炭素冷媒及びDME冷媒とを混合する。ここで、本発明にかかる冷凍機油は、以下の性状を有することが好ましい。
【0080】
本発明にかかる冷凍機油の体積抵抗率は、好ましくは1.0×1012Ω・cm以上、より好ましくは1.0×1013Ω・cm以上、最も好ましくは1.0×1014Ω・cm以上とすることができる。特に、密閉型の冷凍機用に用いる場合には高い電気絶縁性が必要となる傾向にある。なお、本発明において、体積抵抗率とは、JIS C 2101「電気絶縁油試験方法」に準拠して測定した25℃での値を表す。
【0081】
本発明にかかる冷凍機油の水分含有量は、冷凍機油全量基準で、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下とすることができる。特に密閉型の冷凍機用に用いる場合には、油の安定性や電気絶縁性への影響の観点から、水分含有量が少ないことが求められる。
【0082】
また、本発明にかかる冷凍機油の酸価は特に限定されないが、冷凍機または配管に用いられている金属への腐食を防止するため、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下とすることができる。なお、本発明において、酸価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」に準拠して測定した酸価の値を表す。
【0083】
また、本発明にかかる冷凍機油の灰分は特に限定されないが、本発明にかかる冷凍機油の安定性を高めスラッジ等の発生を抑制するため、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。なお、本発明において、灰分とは、JIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」に準拠して測定した灰分の値を表す。
【0084】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物は二酸化炭素冷媒とジメチルエーテル(DME)冷媒との混合冷媒を含有するが、二酸化炭素冷媒とDME冷媒との混合比率は、質量比で、好ましくは95:5〜60:40であり、より好ましくは95:5〜70:30であり、最も好ましくは、95:5〜75:25である。前記混合冷媒において、DMEの混合比が5質量%未満であると、冷媒相溶性が低下する傾向にあり、また、40質量%を超えると潤滑性が低下する傾向にある。
【0085】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物は、冷媒として、二酸化炭素冷媒とDME冷媒との混合冷媒のみを含有するものであっても良く、あるいは、当該混合冷媒以外の冷媒をさらに含有しても良い。当該混合冷媒以外の冷媒としては、ハイドロフルオロカーボン、炭化水素、アンモニア等が挙げられる。
【0086】
ハイドロフルオロカーボン冷媒としては、炭素数1〜3のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。具体的には例えば、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,3,3,3,−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3,−テトラフルオロプロペンなどのHFC、またはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。これらの冷媒は用途や要求性能に応じて適宜選択されるが、例えばHFC−32単独;HFC−23単独;HFC−134a単独;HFC−125単独;HFC−134a/HFC−32=60〜80質量%/40〜20質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/60〜30質量%の混合物;HFC−125/HFC−143a=40〜60質量%/60〜40質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=60質量%/30質量%/10質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/15〜35質量%/5〜40質量%の混合物;HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=35〜55質量%/1〜15質量%/40〜60質量%の混合物などが好ましい例として挙げられる。
【0087】
さらに具体的には、HFC−134a/HFC−32=70/30質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=60/40質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=50/50質量%の混合物(R410A);HFC−32/HFC−125=45/55質量%の混合物(R410B);HFC−125/HFC−143a=50/50質量%の混合物(R507C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=30/10/60質量%の混合物;HFC−32/HFC−125/HFC−134a=23/25/52質量%の混合物(R407C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=25/15/60質量%の混合物(R407E);HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=44/4/52質量%の混合物(R404A)などが挙げられる。
【0088】
また、炭化水素冷媒としては、25℃、1気圧で気体のものが好ましく用いられる。具体的には炭素数1〜5、好ましくは1〜4のアルカン、シクロアルカン、アルケンまたはこれらの混合物である。具体的には例えば、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパンまたはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。これらの中でも、プロパン、ブタン、イソブタンまたはこれらの混合物が好ましい。
【0089】
二酸化炭素冷媒とDME冷媒との混合冷媒に対する、ハイドロフルオロカーボンおよび/または炭化水素の混合比については特に制限はないが、二酸化炭素冷媒とDME冷媒との混合冷媒100質量部に対してハイドロフルオロカーボンと炭化水素の合計量として好ましくは1〜200質量部、より好ましくは10〜100質量部を配合して用いられる。
【0090】
本発明の冷凍機用流体組成物において、本発明にかかる冷凍機油と冷媒との配合割合は特に制限されないが、冷媒100質量部に対して、本発明にかかる冷凍機油が1〜500質量部であることが好ましく、2〜400質量部であることがより好ましい。
【0091】
本発明の冷凍機用作動流体組成物は、往復動式や回転式の密閉型圧縮機を有するエアコンや冷蔵庫に好ましく用いられる。また、本発明の冷凍機用作動流体組成物は、自動車用エアコンや除湿機、冷凍庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラント等の冷却装置等に好ましく用いられる。更に、本発明の冷凍機用作動流体組成物は、遠心式の圧縮機を有するものにも好ましく用いられる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0093】
[実施例1〜4、比較例1〜8]
実施例1〜4及び比較例1〜8においては、それぞれ表1に示す基油1〜8を用いて、表2〜5に示す冷凍機油組成物を調製した。
【0094】
【表1】

【0095】
次に、実施例1〜4及び比較例1〜8の冷凍機油組成物について以下の試験を行った。
【0096】
(冷媒相溶性)
JIS−K−2211「冷凍機油」の「冷媒との相溶性試験方法」に準拠して、二酸化炭素/ジメチルエーテル=80重量%/20重量%の混合冷媒(以下「混合冷媒」)または二酸化炭素冷媒19gに対して冷凍機油を1g配合し、上記混合冷媒と冷凍機油とが0℃において相互に溶解しているかを観察し、「相溶」、「白濁」、「分離」として評価した。得られた結果を表2〜5に示す。
【0097】
(潤滑性(摩耗量))
ASTM D 2670“FALEXWEAR TEST”に準拠して、冷凍機油の温度100℃の条件下で、慣らし運転を150lb荷重の下に1分間行った。次いで、二酸化炭素/ジメチルエーテル=80重量%/20重量%の混合冷媒10L/hを吹き込みながら、250lb荷重の下に2時間試験機を運転し、試験後のテストジャーナル(ピン)の摩耗量を測定した。得られた結果を表2〜5に示す。
【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
【表4】

【0101】
【表5】

【0102】
表2〜5に示した結果から明らかなように、実施例1〜4の冷凍機油は、COとDMEの混合冷媒と共に用いた場合に、潤滑性と冷媒相溶性の性能がバランスよく優れていることがわかる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
40℃における動粘度が50〜1000mm/sであり且つ100℃における動粘度が5〜50mm/sであるエーテル系潤滑油基油と、
二酸化炭素冷媒と、
ジメチルエーテル冷媒と、
を含有することを特徴とする冷凍機用作動流体組成物。
【請求項2】
前記二酸化炭素冷媒と前記ジメチルエーテル冷媒との混合比率が、質量比で、95:5〜60:40であることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍機用作動流体組成物。



【公開番号】特開2008−247992(P2008−247992A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88371(P2007−88371)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】