説明

冷凍機用作動流体組成物

【課題】冷媒の存在下において、冷凍機油の潤滑性と冷媒相溶性とを両立することが可能な冷凍機用作動流体組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の冷凍機用作動流体組成物は、40℃における動粘度が50mm/s以上の含酸素油と、フッ素原子数が水素原子数より少ないハイドロフルオロカーボン冷媒と、を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍機用作動流体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のオゾン層破壊の問題から、従来冷凍空調機器の冷媒として使用されてきたCFC(クロロフルオロカーボン)及びHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が規制の対象となり、これらに代わってHFC(ハイドロフルオロカーボン)が冷媒として使用されている。
【0003】
HFC冷媒用の冷凍機油としては、HFC冷媒と相溶するエステル、炭酸エステル、PAG(ポリアルキレングリコール)、ポリビニルエーテル等が検討あるいは使用されている(例えば、下記特許文献1〜10を参照。)。特に、HFC−134aはこれらの含酸素油とは適度な相溶性を有しておりカーエアコン等で実用化されている。
【特許文献1】特表平3−505602号公報
【特許文献2】特開平3−88892号公報
【特許文献3】特開平3−128991号公報
【特許文献4】特開平3−128992号公報
【特許文献5】特開平3−200895号公報
【特許文献6】特開平3−227397号公報
【特許文献7】特開平4−20597号公報
【特許文献8】特開平4−72390号公報
【特許文献9】特開平4−218592号公報
【特許文献10】特開平4−249593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、オゾン層破壊の問題に加えて地球温暖化の問題が深刻化してきており、さらに地球温暖化係数の低い冷媒が求められるようになってきている。HFC−134aはオゾン破壊係数(ODP:Ozone−Depleting Potential)は0であるものの、地球温暖化係数(GWP : Global. Warming Potential)が1,300と高い。
【0005】
そこで、HFC−134aの代替冷媒の検討が進められているが、上述したCFC及びHCFCからHFCへの冷媒代替化の例をみても分かるように、冷媒ごとに最適な冷凍機油を選定することは必ずしも容易ではない。
【0006】
冷媒代替化に伴う冷凍機油の開発を困難としている要因の一つとして、冷凍機油の冷媒相溶性と冷媒溶解粘度とが相反する関係にあることが挙げられる。
【0007】
つまり、冷凍空調機器の冷媒循環システムにおいては、その機構上、冷媒圧縮機内の冷凍機油の一部が冷媒と共に循環流路に吐出されるため、冷媒圧縮機内の冷凍機油の量が不足することによる潤滑不良等を防ぐためには、吐出された冷凍機油が循環流路を通って冷媒圧縮機に戻ること(オイル戻り性)が重要である。そのため、冷凍機油には冷媒に対する相溶性が求められる。
【0008】
しかし、冷凍機油の冷媒相溶性が高い場合には、冷凍システム内で冷媒が冷凍機油に溶解することにより冷凍機油と冷媒との混合物である流体組成物の粘度(冷媒溶解粘度)が低下する傾向にある。そして、冷媒溶解粘度が低下すると、冷媒圧縮機の圧縮部での吹き抜け、潤滑不良などの問題が懸念される。
【0009】
また、冷凍機油は、冷媒存在下で使用されるという点で、空気雰囲気等で使用される他の潤滑油とはその使用環境が大きく異なる。そして、このことが他の潤滑油分野における潤滑性の改善技術をそのまま冷凍機油に適用できない一因となっている。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、冷媒の存在下において、冷凍機油の潤滑性と冷媒相溶性とを両立することが可能な冷凍機用作動流体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の動粘度を有する含酸素油と、フッ素原子数と水素原子数とが特定条件を満たすハイドロフルオロカーボン冷媒とを組み合わせることによって上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、40℃における動粘度が50mm/s以上の含酸素油と、フッ素原子数が水素原子数より少ないハイドロフルオロカーボン冷媒と、を含有することを特徴とする冷凍機用作動流体組成物を提供する。
【0013】
本発明の冷凍機用作動流体組成物は、上記ハイドロフルオロカーボンとして、1,1−ジフルオロエタンを含有することが好ましい。
【0014】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物は、上記含酸素油として、エステル、ポリグリコール及びポリビニルエーテルから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、冷媒の存在下において、冷凍機油の潤滑性と冷媒相溶性とを両立することが可能な冷凍機用作動流体組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に使用される含酸素油としては、エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ケトン、ポリフェニルエーテル、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテルなどが例示されるが、この中でもエステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル及びこれらの混合物などであって、40℃における動粘度が50mm/s以上のものが好ましく用いられる。なお、本発明で用いられる含酸素油は天然物又は合成物のいずれであってもよい。例えば、エステルは、動植物由来の油脂から抽出されるものであってもよく、合成エステルであってもよい。
【0018】
エステルとしては、例えば、芳香族エステル、二塩基酸エステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル、炭酸エステル及びこれらの混合物などが例示される。
【0019】
芳香族エステルとしては、1〜6価、好ましくは1〜4価、より好ましくは1〜3価の芳香族カルボン酸と炭素数1〜18、好ましくは1〜12の脂肪族アルコールとのエステルなどが用いられる。1〜6価の芳香族カルボン酸としては、具体的には例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの混合物などが挙げられる。また、炭素数1〜18の脂肪族アルコールとしては、直鎖状のものでも分枝状のものであってもよく、具体的には例えば、メタノール、エタノール、直鎖状又は分枝状のプロパノール、直鎖状又は分枝状のブタノール、直鎖状又は分枝状のペンタノール、直鎖状又は分枝状のヘキサノール、直鎖状又は分枝状のヘプタノール、直鎖状又は分枝状のオクタノール、直鎖状又は分枝状のノナノール、直鎖状又は分枝状のデカノール、直鎖状又は分枝状のウンデカノール、直鎖状又は分枝状のドデカノール、直鎖状又は分枝状のトリデカノール、直鎖状又は分枝状のテトラデカノール、直鎖状又は分枝状のペンタデカノール、直鎖状又は分枝状のヘキサデカノール、直鎖状又は分枝状のヘプタデカノール、直鎖状又は分枝状のオクタデカノール及びこれらの混合物などが挙げられる。芳香族エステルとしては、具体的には例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノニル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジドデシル、フタル酸ジトリデシル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリノニル、トリメリット酸トリデシル、トリメリット酸トリドデシル、トリメリット酸トリトリデシルなどが挙げられる。なお、当然のことながら、2価以上の芳香族カルボン酸を用いた場合、1種の脂肪族アルコールからなる単純エステルであってもよいし、2種以上の脂肪族アルコールからなる複合エステルであってもよい。
【0020】
二塩基酸エステルとしては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの炭素数5〜10の二塩基酸と、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノールなどの直鎖又は分枝アルキル基を有する炭素数1〜15の一価アルコールとのエステル及びこれらの混合物が好ましく用いられ、より具体的には例えば、ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ2−エチルヘキシルセバケート、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0021】
また、ポリオールエステルとしては、ジオールあるいは水酸基を3〜20個有するポリオールと、炭素数6〜20の脂肪酸とのエステルが好ましく用いられる。ここで、ジオールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2ーメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。ポリオールとしては、具体的には例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜20量体)、1,3,5ーペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトールなどの多価アルコール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトースなどの糖類、ならびにこれらの部分エーテル化物、及びメチルグルコシド(配糖体)などが挙げられる。これらの中でもポリオールとしては、より加水分解安定性に優れることから、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)などのヒンダードアルコールが好ましい。
【0022】
脂肪酸としては、特に炭素数は制限されないが、通常炭素数1〜24のものが用いられる。炭素数1〜24の脂肪酸の中でも、潤滑性の点から炭素数3以上のものが好ましく、炭素数4以上のものがより好ましく、炭素数5以上のものがさらにより好ましく、炭素数10以上のものが最も好ましい。また、冷媒との相溶性の点から、炭素数18以下のものが好ましく、炭素数12以下のものがより好ましく、炭素数9以下のものがさらにより好ましい。
【0023】
また、直鎖状脂肪酸、分枝状脂肪酸の何れであっても良く、潤滑性の点からは直鎖状脂肪酸が好ましく、加水分解安定性の点からは分枝状脂肪酸が好ましい。更に、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の何れであっても良い。
【0024】
脂肪酸としては、具体的には例えば、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、オレイン酸などの直鎖又は分枝のもの、あるいはα炭素原子が4級であるいわゆるネオ酸などが挙げられる。さらに具体的には、吉草酸(n−ペンタン酸)、カプロン酸(n−ヘキサン酸)、エナント酸(n−ヘプタン酸)、カプリル酸(n−オクタン酸)、ペラルゴン酸(n−ノナン酸)、カプリン酸(n−デカン酸)、オレイン酸(cis−9−オクタデセン酸)、イソペンタン酸(3−メチルブタン酸)、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、などが好ましい。
【0025】
好ましいポリオールエステルの具体例としては、ネオペンチルグリコールと吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのジエステル、トリメチロールエタンと吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのトリエステル、トリメチロールプロパンと吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのトリエステル、トリメチロールブタンと吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのトリエステル、ペンタエリスリトールと吉草酸、イソペンタン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、オレイン酸、の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのテトラエステルが挙げられる。
【0026】
なお、2種以上の脂肪酸とのエステルとは、1種の脂肪酸とポリオールのエステルを2種以上混合したものでも良く、2種以上の混合脂肪酸とポリオールのエステルであっても良い。なお、2種以上の脂肪酸とのエステル、特に混合脂肪酸とポリオールとのエステルは、低温特性や冷媒との相溶性に優れる。
【0027】
なお、ポリオールエステルとしては、ポリオールの全ての水酸基がエステル化されずに残った部分エステルであっても良く、全ての水酸基がエステル化された完全エステルであっても良く、また部分エステルと完全エステルの混合物であっても良いが、完全エステルであることが好ましい。
【0028】
また、コンプレックスエステルとは、脂肪酸及び二塩基酸と、一価アルコール及びポリオールとのエステルのことであり、脂肪酸、二塩基酸、一価アルコール、ポリオールとしては、二塩基酸エステル及びポリオールエステルに関する説明において例示したものと同様のものが使用できる。
【0029】
また、炭酸エステルとは、分子内に下記式(A)で表される炭酸エステル構造を有する化合物である。なお、炭酸エステル構造は一分子内に1つでも良いし複数有していも良い。
【化1】

【0030】
炭酸エステルを構成するアルコールとしては、前述の脂肪族アルコール、ポリオールなどが使用でき、またポリグリコールやポリオールにポリグリコールを付加させたものも使用できる。また、炭酸と脂肪酸及び/又は二塩基酸を用いたものを使用しても良い。
【0031】
また、当然のことながら本発明でいうエステルとしては、単一の構造のエステル1種からなるものであっても良く、構造の異なる2種以上のエステルの混合物であっても良い。
【0032】
これらのエステル系潤滑油基油の中でも、冷媒との相溶性に優れることから、ポリオールエステル、炭酸エステルが好ましい。
【0033】
また、ポリオールエステルの中でも、より加水分解安定性に優れることから、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)などのヒンダードアルコールのエステルがより好ましく、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン及びペンタエリスリトールのエステルがさらにより好ましく、冷媒との相溶性及び加水分解安定性に特に優れることからペンタエリスリトールのエステルが最も好ましい。
【0034】
好ましいポリオールエステルの具体例としては、ネオペンチルグリコールと吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのジエステル、トリメチロールエタンと吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのトリエステル、トリメチロールプロパンと吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのトリエステル、トリメチロールブタンと吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのトリエステル、ペンタエリスリトールと吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の中から選ばれる1種又は2種以上の脂肪酸とのテトラエステルが挙げられる。
【0035】
なお、2種以上の脂肪酸とのエステルとは、1種の脂肪酸とポリオールのエステルを2種以上混合したものでも良く、2種以上の混合脂肪酸とポリオールのエステルであっても良い。なお、2種以上の脂肪酸とのエステル、特に混合脂肪酸とポリオールとのエステルは、低温特性や冷媒との相溶性に優れる。
【0036】
また、炭酸エステルの中でも、下記一般式(1)で表される構造のものが好ましい。
【化2】


[上記式(1)中、Xは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は下記一般式(2):
−(OA)e− (2)
(上記式(2)中、Yは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を示し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、eは1〜50の整数を示す)で表される基を示し、A及びAは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Yは水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を示し、Bは水酸基3〜20個を有する化合物の残基を示し、aは1〜20、bは0〜19でかつa+b=3〜20となる整数を示し、cは0〜50の整数、dは1〜50の整数をそれぞれ示す]
【0037】
上記一般式(1)において、Xは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は上記一般式(2)で表される基を示す。ここでいう、アルキル基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜24、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12である。また、直鎖のものであっても分枝のものであっても良い。
【0038】
炭素数1〜24のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝ペンチル基、直鎖又は分枝ヘキシル基、直鎖又は分枝ヘプチル基、直鎖又は分枝オクチル基、直鎖又は分枝ノニル基、直鎖又は分枝デシル基、直鎖又は分枝ウンデシル基、直鎖又は分枝ドデシル基、直鎖又は分枝トリデシル基、直鎖又は分枝テトラデシル基、直鎖又は分枝ペンタデシル基、直鎖又は分枝ヘキサデシル基、直鎖又は分枝ヘプタデシル基、直鎖又は分枝オクタデシル基、直鎖又は分枝ノナデシル基、直鎖又は分枝イコシル基、直鎖又は分枝ヘンイコシル基、直鎖又は分枝ドコシル基、直鎖又は分枝トリコシル基、直鎖又は分枝テトラコシル基などが挙げられる。
【0039】
また、シクロアルキル基としては、具体的には例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。
【0040】
上記一般式(2)において、Aで表される炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基などが例示される。
【0041】
また、上記一般式(2)におけるYは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキルキル基である。ここでいうアルキル基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜24、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12である。また、直鎖のものであっても分枝のものであっても良い。炭素数1〜24のアルキル基としては、具体的には例えば、Xに関する説明において列挙した基が挙げられる。
【0042】
また、シクロアルキル基としては、具体的には例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。
【0043】
これらの中でも、Yとしては、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ノニル基、iso−ノニル基、n−デシル基、iso−デシル基、n−ウンデシル基、iso−ウンデシル基、n−ドデシル基又はiso−ドデシル基の何れかであることがより好ましい。また、eは1〜50の整数を表す。
【0044】
また、Xとしては、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は一般式(2)で表される基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ノニル基、iso−ノニル基、n−デシル基、iso−デシル基、n−ウンデシル基、iso−ウンデシル基、n−ドデシル基、iso−ドデシル基又は一般式(2)で表される基の何れかであることがより好ましい。
【0045】
Bを残基とする3〜20個の水酸基を有する化合物としては、具体的には、前述のポリオールが挙げられる。
【0046】
また、A及びAは同一でも異なっていても良く、それぞれ炭素数2〜4のアルキレン基を表す。具体的には例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基などが例示される。
【0047】
また、Yは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキルキル基である。ここでいうアルキル基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜24、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12である。また、直鎖のものであっても分枝のものであっても良い。炭素数1〜24のアルキル基としては、具体的には例えば、Xに関する説明において列挙した基が挙げられる。
【0048】
また、シクロアルキル基としては、具体的には例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。
【0049】
これらの中でも、Yとしては、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ノニル基、iso−ノニル基、n−デシル基、iso−デシル基、n−ウンデシル基、iso−ウンデシル基、n−ドデシル基又はiso−ドデシル基の何れかであることがより好ましい。
【0050】
なお、上記一般式(1)及び(2)においてc、d及びeはポリオキシアルキレン部分の重合度を表すが、このポリオキシアルキレン部分としては、分子中同じでも異なっていても良く、複数の異なるポリオキシアルキレン部分を有する場合、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していてもブロック共重合していてもよい。
【0051】
本発明に用いられる炭酸エステルの製造法は任意であるが、例えば、ポリオール化合物にアルキレンオキサイドを付加せしめてポリアルキレングリコールポリオールエーテルを製造し、これとクロロフォーメートとを水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、あるいは金属ナトリウムなどのアルカリの存在下、0〜30℃で反応せしめることにより得られる。あるいはポリアルキレングリコールポリオールエーテルに、炭酸ジエステル、ホスゲンなどの炭酸の供給源及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、あるいは金属ナトリウムなどのアルカリの存在下、80〜150℃で反応せしめることにより得られる。この後、必要に応じて遊離の水酸基をエーテル化せしめる。
【0052】
上記のような原料より得られた生成物を精製して副生成物や未反応物を除去してもよいが、少量の副生成物や未反応物は、本発明の潤滑油の優れた性能を損なわない限り、存在していても支障はない。
【0053】
本発明において、炭酸エステルは、混合物の形で用いても、単品で用いてもよい。本発明に係る炭酸エステルの分子量は特に限定されるものではないが、圧縮機の密閉性をより向上させる点から、数平均分子量が200〜4000のものが好ましく使用され、数平均分子量が300〜3000のものがより好ましく使用される。
【0054】
本発明においては、上記のエステル系潤滑油基油のうちの1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に使用されるポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
−〔(OR−OR (3)
(式(3)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアシル基又は水酸基を2〜8個有する化合物の残基、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、R は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアシル基、fは1〜80の整数、gは1〜8の整数を示す)
【0056】
上記一般式(3)において、R、Rにおけるアルキル基は直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分枝状のブチル基、直鎖状又は分枝状のペンチル基、直鎖状又は分枝状のヘキシル基、直鎖状又は分枝状のヘプチル基、直鎖状又は分枝状のオクチル基、直鎖状又は分枝状のノニル基、直鎖状又は分枝状のデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。このアルキル基の炭素数が10を超えると冷媒との相溶性が低下し、相分離を生じる場合がある。好ましいアルキル基の炭素数は1〜6である。
【0057】
また、R、Rにおけるアシル基のアルキル基部分は直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アシル基のアルキル基部分の具体例としては、上記アルキル基の具体例として挙げた炭素数1〜9の種々の基を同様に挙げることができる。このアシル基の炭素数が10を超えると冷媒との相溶性が低下し、相分離を生じる場合がある。好ましいアシル基の炭素数は2〜6である。
【0058】
及びRが、いずれもアルキル基又はアシル基である場合には、RとRは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。さらにgが2以上の場合は、1分子中の複数のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
が水酸基を2〜8個有する化合物の残基である場合、この化合物は鎖状のものであってもよいし、環状のものであってもよい。水酸基を2個有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2ーメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。
【0060】
水酸基を3〜8個有する化合物としては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜6量体)、1,3,5ーペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトールなどの多価アルコール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトースなどの糖類、ならびにこれらの部分エーテル化物、及びメチルグルコシド(配糖体)などが挙げられる。
【0061】
なお、本発明において、水酸基を有する化合物の残基とは、当該水酸基を除いた残基を意味する。
【0062】
本発明においては、上記R及びRは少なくとも一つがアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、とりわけメチル基であることが粘度特性の点から好ましい。更には、上記と同様の理由からR及びRの両方がアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、とりわけメチル基であることが好ましい。
【0063】
前記一般式(3)中のRは炭素数2〜4のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。(OR)で表される繰り返し単位のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。1分子中のオキシアルキレン基は同一であってもよいし、2種以上のオキシアルキレン基が含まれていてもよい。
【0064】
冷媒相溶性及び吸湿性の観点からは、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)を含む共重合体が好ましく、このような場合、焼付荷重、粘度特性の点からEO/(PO+EO)の値が0.1〜0.8の範囲にあることが好ましく、0.3〜0.6の範囲にあることがより好ましい。
【0065】
また、吸湿性や熱酸化安定性の点ではEO/(PO+EO)の値が0〜0.5の範囲にあることが好ましく、0〜0.2にあることがより好ましく、PO単独重合体が最も好ましい。
【0066】
前記一般式(3)中のfは1〜80の整数である。また、前記一般式(3)中のgは1〜8の整数である。例えばRがアルキル基やアシル基の場合、gは1である。また、Rが水酸基を2〜8個有する化合物の残基である場合、gは当該水酸基の数となる。
【0067】
また、f×gについては特に制限されないが、前記した冷凍機用潤滑油としての要求性能をバランスよく満たすためには、f×gの平均値が6〜80となるようにすることが好ましい。
【0068】
前記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレングリコールは、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレングリコールを包含するものであり、水酸基の含有量が全末端基に対して50モル%以下になるような割合であれば、含有していても好適に使用することができる。この水酸基の含有量が50モル%を超えると吸湿性が増大し、粘度指数が低下するので好ましくない。
【0069】
本発明にかかるポリオキシアルキレングリコールとしては、下記一般式(I−1)で表されるポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル、下記一般式(I−2)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテルが経済性及び効果の点で好適であり、また、下記一般式(I−3)で表されるポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテル、さらにはポリオキシプロピレングリコールジアセテートなどが、経済性等の点で好適である。
CHO−(CO)−CH (I−1)
(式中、hは6〜80の数を示す。)
CHO−(CO)−(CO)−CH (I−2)
(式中、i及びjは、それぞれ1以上で、かつそれらの合計が6〜80となる数を示す。)
O−(CO)−H (I−3)
(式中、kは6〜80の数を示す。)
【0070】
本発明においては、上記ポリオキシアルキレングリコールとして、一般式(II)で表される構成単位を少なくとも1個有するポリオキシアルキレングリコール誘導体を使用することができる。
【化3】


[式(II)中、R〜Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の一価の炭化水素基又は一般式(III):
【化4】


(式(III)中、R及びRはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の一価炭化水素基又は炭素数2〜20のアルコキシアルキル基を示し、R10は炭素数2〜5のアルキレン基、アルキル基を置換基として有する総炭素数2〜5の置換アルキレン基又はアルコキシアルキル基を置換基として有する総炭素数4〜10の置換アルキレン基を示し、pは0〜20の整数、R11は炭素数1〜10の一価炭化水素基を示す)で表される基であり、R〜Rの少なくとも1つが一般式(III)で表される基である]
【0071】
ここで、式(II)中R〜Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の一価の炭化水素基又は上記一般式(III)で表わされるものであるが、炭素数1〜10の一価炭化水素基としては、具体的には例えば、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又はアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又はアルキルアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基などが含まれる。この中でも、炭素数6以下の一価の炭化水素基を好ましく使用でき、特に炭素数3以下のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が最適である。
【0072】
また一般式(III)において、R及びRはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の一価の炭化水素基又は炭素数2〜20のアルコキシアルキル基を示すが、これらの中で炭素数3以下のアルキル基又は炭素数6以下のアルコキシアルキル基が好ましい。炭素数3以下のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。また、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基には、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、ペントキシメチル基(すべての異性体を含む)、メトキシエチル基(すべての異性体を含む)、エトキシエチル基(すべての異性体を含む)、プロポキシエチル基(すべての異性体を含む)、ブトキシエチル基(すべての異性体を含む)、メトキシプロピル基(すべての異性体を含む)、エトキシプロピル基(すべての異性体を含む)、プロポキシプロピル基(すべての異性体を含む)、メトキシブチル基(すべての異性体を含む)、エトキシブチル基(すべての異性体を含む)、メトキシペンチル基(すべての異性体を含む)などが包含される。
【0073】
10は炭素数2〜5のアルキレン基、アルキル基を置換基として有する総炭素数2〜5の置換アルキレン基又はアルコキシアルキル基を置換基として有する総炭素数4〜10の置換アルキレン基を示すが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基及び総炭素数6以下の置換エチレン基である。炭素数2〜4のアルキレン基としては、具体的にはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。また、総炭素数6以下の置換エチレン基としては、具体的には1−(メトキシメチル)エチレン基、2−(メトキシメチル)エチレン基、1−(メトキシエチル)エチレン基、2−(メトキシエチル)エチレン基、1−(エトキシメチル)エチレン基、2−(エトキシメチル)エチレン基、1−メトキシメチル−2−メチルエチレン基、1,1−ビス(メトキシメチル)エチレン基、2,2−ビス(メトキシメチル)エチレン基、1,2−ビス(メトキシメチル)エチレン基、1−メチル−2−メトキシメチルエチレン基、1−メトキシメチル−2−メチルエチレン基、1−エチル−2−メトキシメチルエチレン基、1−メトキシメチル−2−エチルエチレン基、1−メチル−2−エトキシメチルエチレン基、1−エトキシメチル−2−メチルエチレン基、1−メチル−2−メトキシエチルエチレン基、1−メトキシエチル−2−メチルエチレン基などが挙げられる。
【0074】
11は炭素数の1〜10の一価炭化水素基を示すが、具体的には例えば、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又はアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又はアルキルアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基などが含まれる。この中でも、炭素数6以下の一価の炭化水素基を好ましく使用でき、特に炭素数3以下のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が最適である。
【0075】
なお、前述の一般式(II)におけるR〜Rのうち少なくとも1つは一般式(III)で表される基である。特に、R、Rのいずれか一つが一般式(III)の基であって、R、Rの残りの一つ及びR、Rがそれぞれ水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基であることが好ましい。
【0076】
上記ポリオキシアルキレングリコール誘導体は、前記一般式(II)で表される構成単位を少なくとも1つ含有するものであるが、より詳しくはこの一般式(II)の構成単位からなる単独重合体、一般式(II)に含まれる2つ以上の異なる構成単位からなる共重合体、及び一般式(II)の構成単位と他の構成単位、例えば下記一般式(IV)で表される構成単位からなる共重合体の三種類に大別することができる。
【化5】


(式(IV)中、R12〜R15はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
【0077】
上記単独重合体の好適例は、一般式(II)で表される構成単位Aを1〜200個有するとともに、末端基がそれぞれ水酸基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはアリーロキシ基からなるものを挙げることができる。一方、共重合体の好適例は、一般式(II)で表される二種類の構成単位A、Bをそれぞれ1〜200個有するか、あるいは一般式(II)で表される構成単位Aを1〜200個と一般式(IV)で表される構成単位Cを1〜200個有するとともに、末端基がそれぞれ水酸基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはアリーロキシ基からなるものを挙げることができる。これらの共重合体は、構成単位Aと構成単位B(あるいは構成単位C)との交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合体あるいは構成単位Aの主鎖に構成単位Bがグラフト結合したグラフト共重合体など様々なものがある。
【0078】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物に使用されるポリビニルエーテルとしては、例えば下記一般式(V)で表される構成単位を有するポリビニルエーテル系化合物が挙げられる。
【化6】


(式(V)中、R16、R17及びR18はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、R19は炭素数1〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基、R20は炭素数1〜20の炭化水素基、qはその平均値が0〜10の数を示し、R16〜R20は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよく、またR19Oが複数ある場合には、複数のR19Oは同一でも異なっていてもよい。)
【0079】
また、上記一般式(V)で表される構成単位と、下記一般式(VI)で表される構成単位とを有するブロック又はランダム共重合体からなるポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
【化7】


(式(VI)中、R21〜R24は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またR21〜R24は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよい。)
【0080】
上記一般式(V)におけるR16、R17及びR18はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。ここで炭化水素基とは、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基などのアリール基、ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基などのアリールアルキル基を示す。なお、これらのR16、R17、R18としては、特に水素原子が好ましい。
【0081】
一方、一般式(V)中のR19は、炭素数1〜10、好ましくは2〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を示すが、ここで炭素数1〜10の二価の炭化水素基とは、具体的にはメチレン基、エチレン基、フェニルエチレン基、1,2−プロピレン基、2−フェニル−1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種ヘプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、各種デシレン基などの二価の脂肪族基、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンエチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素に2個の結合部位を有する脂環式基、各種フェニレン基、各種メチルフェニレン基、各種エチルフェニレン基、各種ジメチルフェニレン基、各種ナフチレン基などの二価の芳香族炭化水素基、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどのアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分と芳香族部分にそれぞれ一価の結合部位を有するアルキル芳香族基、キシレン、ジエチルベンゼンなどのポリアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分に結合部位を有するアルキル芳香族基などがある。これらの中で炭素数2から4の脂肪族基が特に好ましい。
【0082】
また、炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基の具体例としては、メトキシメチレン基、メトキシエチレン基、メトキシメチルエチレン基、1,1−ビスメトキシメチルエチレン基、1,2−ビスメトキシメチルエチレン基、エトキシメチルエチレン基、(2−メトキシエトキシ)メチルエチレン基、(1−メチル−2−メトキシ)メチルエチレン基などを好ましく挙げることができる。なお、一般式(V)におけるqはR19Oの繰り返し数を示し、その平均値が0〜10、好ましくは0〜5の範囲の数である。R19Oが複数ある場合には、複数のR19Oは同一でも異なっていてもよい。
【0083】
さらに、一般式(V)におけるR20は炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基を示すが、この炭化水素基とは、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種プロピルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基などのアリールアルキル基などを示す。なお、R16〜R20は構成単位毎に同一であっても異なっていてもよい。
【0084】
上記一般式(V)で表されるポリビニルエーテル系化合物(1)は、その炭素/酸素モル比が4.2〜7.0の範囲にあるものが好ましい。このモル比が4.2未満では、吸湿性が高く、また7.0を超えると、冷媒との相溶性が低下する場合がある。上記一般式(VI)において、R21〜R24は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記一般式(V)におけるR20の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。なお、R21〜R24は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよい。
【0085】
一般式(V)で表される構成単位と一般式(VI)で表される構成単位とを有するブロック又はランダム共重合体からなるポリビニルエーテル系化合物(以下、「ポリビニルエーテル系化合物(2)」という。)は、その炭素/酸素モル比が4.2〜7.0の範囲にあるものが好ましく用いられる。このモル比が4.2未満では、吸湿性が高く、7.0を超えると、冷媒との相溶性が低下する場合がある。さらに本発明においては、上記ポリビニルエーテル系化合物(1)と上記ポリビニルエーテル系化合物(2)との混合物も使用することができる。本発明に用いられるポリビニルエーテル系化合物(1)及び(2)は、それぞれ対応するビニルエーテル系モノマーの重合、及び対応するオレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーと対応するビニルエーテル系モノマーとの共重合により製造することができる。本発明に用いられるポリビニルエーテル系化合物としては、次の末端構造を有するもの、すなわちその一つの末端が、一般式(VII)又は(VIII)で表され、かつ残りの末端が一般式(IX)又は(X)で表される構造を有するもの、及びその一つの末端が、上記一般式(VII)又は(VIII)で表され、かつ残りの末端が一般式(XI)で表される構造を有するものが好ましい。
【化8】


(式(VII)、(VIII)中、R25、R26及びR27は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R25、R26及びR27はたがいに同一でも異なっていてもよく、R30、R31、R32及びR33は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R30、R31、R32及びR33はたがいに同一でも異なっていてもよい。R28は炭素数1〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基、R29は炭素数1〜20の炭化水素基、rはその平均値が0〜10の数を示し、R28Oが複数ある場合には、複数のR28Oは同一でも異なっていてもよい。)
【化9】


(式(IX)、(X)中、R34、R35及びR36は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R34、R35及びR36はたがいに同一でも異なっていてもよく、R39、R40、R41及びR42は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R39、R40、R41及びR42はたがいに同一でも異なっていてもよい。R37は炭素数1〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基、R38は炭素数1〜20の炭化水素基、sはその平均値が0〜10の数を示し、R37Oが複数ある場合には、複数のR37Oは同一でも異なっていてもよい)
【化10】


(式(XI)中、R43、R44及びR45は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。)
【0086】
このようなポリビニルエーテル系化合物の中で、特に次に挙げるものが本発明においては好適である。
(1)その一つの末端が一般式(VII)又は(VIII)で表され、かつ残りの末端が一般式(IX)又は(X)で表される構造を有し、一般式(V)におけるR16、R17及びR18が共に水素原子、qが0〜4の数、R19が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR20が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
(2)一般式(V)で表される構成単位のみを有するものであって、その一つの末端が一般式(VII)で表され、かつ残りの末端が一般式(IX)で表される構造を有し、一般式(V)におけるR16、R17及びR18が共に水素原子、qが0〜4の数、R19が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR20が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
(3)その一つの末端が一般式(VII)又は(VIII)で表され、かつ残りの末端が一般式(XI)で表される構造を有し、一般式(V)におけるR16、R17及びR18が共に水素原子、qが0〜4の数、R19が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR20が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
(4)一般式(V)で表される構成単位のみを有するものであって、その一つの末端が一般式(VII)で表され、かつ残りの末端が一般式(X)で表される構造を有し、一般式(V)におけるR16、R17及びR18が共に水素原子、qが0〜4の数、R19が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR20が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
【0087】
また、本発明においては、前記一般式(V)で表される構成単位を有し、その一つの末端が一般式(VII)で表され、かつ残りの末端が下記一般式(XII)で表される構造を有するポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
【化11】


(式(XII)中、R46、R47及びR48は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよく、R49及びR51はそれぞれ炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、R50及びR52はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、t及びuはそれぞれその平均値が0〜10の数を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、また複数のR49Oがある場合には複数のR49Oは同一であっても異なっていてもよいし、複数のR51Oがある場合には複数のR51Oは同一であっても異なっていてもよい。)
【0088】
さらに、本発明においては、下記一般式(XIII)又は(XIV)で表される構成単位からなり、かつ重量平均分子量が300〜5,000であって、一方の末端が下記一般式(XV)又は(XVI)で表される構造を有するアルキルビニルエーテルの単独重合物又は共重合物からなるポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
【化12】


(式(XIII)、(XIV)中、R53及びR54はそれぞれ炭素数1〜8の炭化水素基を示す。)
【化13】


(式(XV)、(XVI)中、R55は炭素数1〜3のアルキル基、R56及びR57はそれぞれ炭素数1〜8の炭化水素基を示す。)
【0089】
本発明の冷凍機用作動流体組成物における含酸素油の動粘度は、潤滑性に優れる点から、40℃において50mm/s以上であることが必要であり、60mm/s以上であることが好ましく、80m/s以上であることがより好ましい。
【0090】
また、冷媒相溶性の性能に優れる点から、含酸素油の40℃における動粘度は500mm/s以下であることが好ましく、400mm/s以下であることがより好ましく、300mm/s以下であることが最も好ましい。
【0091】
本発明の冷凍機用流体組成物は、その耐摩耗性、耐荷重性をさらに改良するために、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、チオリン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物を配合することができる。これらのリン化合物は、リン酸又は亜リン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体である。
【0092】
リン酸エステルとしては、トリブチルフォスフェート、トリペンチルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェート、トリヘプチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリノニルフォスフェート、トリデシルフォスフェート、トリウンデシルフォスフェート、トリドデシルフォスフェート、トリトリデシルフォスフェート、トリテトラデシルフォスフェート、トリペンタデシルフォスフェート、トリヘキサデシルフォスフェート、トリヘプタデシルフォスフェート、トリオクタデシルフォスフェート、トリオレイルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、キシレニルジフェニルフォスフェートなどが挙げられる。
【0093】
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドフォスフェート、モノペンチルアシッドフォスフェート、モノヘキシルアシッドフォスフェート、モノヘプチルアシッドフォスフェート、モノオクチルアシッドフォスフェート、モノノニルアシッドフォスフェート、モノデシルアシッドフォスフェート、モノウンデシルアシッドフォスフェート、モノドデシルアシッドフォスフェート、モノトリデシルアシッドフォスフェート、モノテトラデシルアシッドフォスフェート、モノペンタデシルアシッドフォスフェート、モノヘキサデシルアシッドフォスフェート、モノヘプタデシルアシッドフォスフェート、モノオクタデシルアシッドフォスフェート、モノオレイルアシッドフォスフェート、ジブチルアシッドフォスフェート、ジペンチルアシッドフォスフェート、ジヘキシルアシッドフォスフェート、ジヘプチルアシッドフォスフェート、ジオクチルアシッドフォスフェート、ジノニルアシッドフォスフェート、ジデシルアシッドフォスフェート、ジウンデシルアシッドフォスフェート、ジドデシルアシッドフォスフェート、ジトリデシルアシッドフォスフェート、ジテトラデシルアシッドフォスフェート、ジペンタデシルアシッドフォスフェート、ジヘキサデシルアシッドフォスフェート、ジヘプタデシルアシッドフォスフェート、ジオクタデシルアシッドフォスフェート、ジオレイルアシッドフォスフェートなどが挙げられる。
【0094】
チオリン酸エステルとしては、トリブチルホスフォロチオネート、トリペンチルホスフォロチオネート、トリヘキシルホスフォロチオネート、トリヘプチルホスフォロチオネート、トリオクチルホスフォロチオネート、トリノニルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオネート、トリウンデシルホスフォロチオネート、トリドデシルホスフォロチオネート、トリトリデシルホスフォロチオネート、トリテトラデシルホスフォロチオネート、トリペンタデシルホスフォロチオネート、トリヘキサデシルホスフォロチオネート、トリヘプタデシルホスフォロチオネート、トリオクタデシルホスフォロチオネート、トリオレイルホスフォロチオネート、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネート、キシレニルジフェニルホスフォロチオネートなどが挙げられる。
【0095】
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミンなどのアミンとの塩が挙げられる。
【0096】
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルフォスフェート、トリス・クロロエチルフォスフェート、トリス・クロロフェニルフォスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]フォスフェートなどが挙げられる。亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイトなどが挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
【0097】
本発明のHFC冷媒用冷凍機用流体組成物が上記リン化合物を含有する場合、リン化合物の含有量は特に制限されないが、含酸素油全量基準(基油と全配合添加剤の合計量基準)で、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.02〜3.0質量%であることがより好ましい。なお、上記リン化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0098】
また、本発明のHFC冷媒用冷凍機用流体組成物は、その安定性をさらに改良するために、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、アリルオキシラン化合物、アルキルオキシラン化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステル及びエポキシ化植物油から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を含有することができる。
【0099】
フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエーテル又はアルキルフェニルグリシジルエーテルが例示できる。ここでいうアルキルフェニルグリシジルエーテルとは、炭素数1〜13のアルキル基を1〜3個有するものが挙げられ、中でも炭素数4〜10のアルキル基を1個有するもの、例えばn−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテルなどが好ましいものとして例示できる。
【0100】
アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルなどが例示できる。
【0101】
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエステル、アルキルグリシジルエステル、アルケニルグリシジルエステルなどが挙げられ、好ましいものとしては、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが例示できる。
【0102】
アリルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポキシスチレンなどが例示できる。
【0103】
アルキルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,1,2−エポキシオクタデカン、2−エポキシノナデカン、1,2−エポキシイコサンなどが例示できる。
【0104】
脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサンなどが例示できる。
【0105】
エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、具体的には、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコール又はフェノール、アルキルフェノールとのエステルなどが例示できる。特にエポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニル及びブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
【0106】
エポキシ化植物油としては、具体的には、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物などが例示できる。
【0107】
これらのエポキシ化合物の中でも好ましいものは、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及びエポキシ化脂肪酸モノエステルである。中でもフェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物及びグリシジルエステル型エポキシ化合物がより好ましく、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステルもしくはこれらの混合物が特に好ましい。
【0108】
本発明の冷凍機用流体組成物が上記エポキシ化合物を含有する場合、エポキシ化合物の含有量は特に制限されないが、含酸素油全量基準で、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.2〜2.0質量%であることがより好ましい。なお、上記エポキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0109】
さらに本発明の冷凍機用流体組成物は、その性能をさらに高めるため、必要に応じて従来より公知の冷凍機油添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、例えばジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール系の酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛などの摩耗防止剤、塩素化パラフィン、硫黄化合物等の極圧剤、脂肪酸等の油性剤、シリコーン系等の消泡剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの添加剤の含有量は特に制限されないが、含酸素油全量基準で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0110】
また、本発明の冷凍機用流体組成物の水分含有量は特に限定されないが、含酸素油全量基準で好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下とすることができる。特に密閉型の冷凍機用に用いる場合には、含酸素油の安定性への影響の観点から、水分含有量が少ないことが求められる。
【0111】
本発明の冷凍機用流体組成物は、フッ素原子数が水素原子数より少ないHFC冷媒と共に用いられる場合にその優れた効果を発揮するものであるが、使用される冷媒は、フッ素原子数が水素原子数より少ないHFC冷媒単独であってもよく、それ以外のHFC冷媒との混合冷媒、あるいはフッ素原子数が水素原子数より少ないHFC冷媒とHFC以外の冷媒との混合冷媒であってもよい。HFC以外の冷媒としては、パーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ジメチルエーテル、アンモニア,炭化水素冷媒などが挙げられる。
【0112】
フッ素原子数が水素原子数より少ないHFC冷媒としては、炭素数1〜3、好ましくは1〜2のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。具体的には例えば、フルオロメタン(HFC−41:CHF)、1,2−ジフルオロエタン(HFC−152:CHF−CHF)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a:CHF−CH)などのHFCが挙げられ、中でも、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)が特に好ましい。
【0113】
フッ素原子数が水素原子数より少ないHFC冷媒以外のHFC冷媒としては、好ましくは炭素数1〜2のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。具体的には例えば、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)などのHFC冷媒が挙げられる。
【0114】
含フッ素エーテル系冷媒としては、具体的には例えば、HFE−134p、HFE−245mc、HFE−236mf、HFE−236me、HFE−338mcf、HFE−365mc−f、HFE−245mf、HFE−347mmy、HFE−347mcc、HFE−125、HFE−143m、HFE−134m、HFE−227meなどが挙げられる。
【0115】
また、炭化水素冷媒としては、25℃、1気圧で気体のものが好ましく用いられる。具体的には炭素数1〜5、好ましくは1〜4のアルカン、シクロアルカン、アルケン又はこれらの混合物である。具体的には例えば、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン又はこれらの2種以上の混合物などが挙げれる。これらの中でも、プロパン、ブタン、イソブタン又はこれらの混合物が好ましい。
【0116】
フッ素原子数が水素原子数より少ないHFC冷媒と他の冷媒(フッ素原子数が水素原子数より少ないHFC冷媒を除くHFC冷媒、含フッ素エーテル系冷媒、ジメチルエーテル、アンモニア,炭化水素冷媒)との混合比は、フッ素原子数が水素原子数より少ないHFC冷媒100重量部に対して、100質量部以下、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下で配合しても良い。
【0117】
本発明の冷凍機用流体組成物の冷媒と冷凍機油との配合割合は、特に制限されないが、冷媒100質量部に対して冷凍機油が好ましくは1〜500質量部、より好ましくは2〜400質量部である。
【0118】
本発明の冷凍機用流体組成物は、往復動式や回転式の自動車用エアコンに好ましく用いられる。また、本発明のHFC冷媒用冷凍機用流体組成物は、冷蔵庫、ルームエアコン、パッケージエアコン、除湿機、給湯器、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラント等の冷却装置等に好ましく用いられる。さらに、HFC冷媒用冷凍機用流体組成物は、遠心式の圧縮機を有するものにも好ましく用いられる。
【実施例】
【0119】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0120】
[実施例1〜12、比較例1〜8]
実施例1〜12及び比較例1〜8においては、それぞれ以下に示す潤滑油基油及び添加剤を用いて冷凍機油を調製した。基油1〜16の性状を表1に示す。また、得られた冷凍機油の各種性状を表2〜6に示す。
(潤滑油基油)
基油1:ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル
基油2:ポリプロピレングリコールジメチルエーテル
基油3:ポリエチレンポリプロピレングリコールジメチルエーテル(オキシエチレン基/オキシプロピレン基=20重量%/80重量%)
基油4:2−エチルヘキサン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸の等モル混合物)とペンタエリスリトールとのエステル
基油5:炭素数12〜20の混合脂肪酸(混合脂肪酸全量に占める分岐脂肪酸は、61モル%)とトリメチロールプロパンとのエステル
基油6:炭素数12〜20の混合脂肪酸(混合脂肪酸全量に占める分岐脂肪酸は、46モル%)とペンタエリスリトールとのエステル
基油7:炭素数12〜20の混合脂肪酸(混合脂肪酸全量に占める分岐脂肪酸は、79モル%)とジ−(ペンタエリスリトール)とのエステル
基油8:ビニルエチルエーテルとビニルイソブチルエーテルとのランダム共重合体(ビニルエチルエーテルとビニルイソブチルエーテルとのモル比:8/1)
基油9:ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル
基油10:ポリプロピレングリコールジメチルエーテル
基油11:2−エチルヘキサン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸の等モル混合物とトリメチロールプロパンとのエステル
基油12:ヘキサン酸とペンタエリスリトールとのエステル
基油13:ペンタン酸とペンタエリスリトールとのエステル
基油14:ビニルエチルエーテルとビニルイソブチルエーテルとのランダム共重合体(ビニルエチルエーテルとビニルイソブチルエーテルとのモル比:8/1)
基油15:ナフテン系鉱油
基油16:直鎖型アルキルベンゼン。
(添加剤)
添加剤1:トリクレジルフォスフェート
添加剤2:グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート。
【0121】
【表1】

【0122】
次に、実施例1〜12及び比較例1〜8の冷凍機油を用いて以下の評価試験を実施した。
【0123】
(冷媒相溶性)
JIS−K−2211「冷凍機油」の「冷媒との相溶性試験方法」に準拠して、1,1−ジフルオロエタン冷媒18gに対して冷凍機油を2g配合し、1,1−ジフルオロエタン冷媒と冷凍機油とが0℃において相互に溶解しているかを観察し、「相溶」、「白濁」、「分離」として評価した。得られた結果を表2〜6に示す。
【0124】
(熱安定性(酸価))
オートクレーブ中に、冷凍機油90gと1,1−ジフルオロエタン冷媒10gと触媒(鉄、銅、アルミの各線)を封入した後、200℃に加熱して2週間保持した。2週間後の冷凍機油について酸価を測定した。得られた結果を表2〜6に示す。
【0125】
(潤滑性(磨耗量))
ASTM D 2670“FALEXWEAR TEST”に準拠して、冷凍機油の温度100℃の条件下で、慣らし運転を150lb荷重の下に1分間行った。次いで、1,1−ジフルオロエタン冷媒10L/hを吹き込みながら、250lb荷重の下に2時間試験機を運転し、試験後のテストジャーナル(ピン)の摩耗量を測定した。得られた結果を表2〜6に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
【表4】

【0129】
【表5】

【0130】
【表6】

【0131】
表2〜6に示した結果から明らかなように、実施例1〜12の冷凍機油は、1,1−ジフルオロエタン冷媒と共に用いた場合に、潤滑性、冷媒相溶性、熱安定性、電気絶縁性及び動粘度の全ての性能がバランスよく優れていることがわかる。特に、実施例1〜12の冷凍機油は、比較例の冷凍機油と比較して、1,1−ジフルオロエタン冷媒の共存下での潤滑性に優れていることがわかる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
40℃における動粘度が50mm/s以上の含酸素油と、
フッ素原子数が水素原子数より少ないハイドロフルオロカーボン冷媒と、
を含有することを特徴とする冷凍機用作動流体組成物。
【請求項2】
前記ハイドロフルオロカーボンとして、1,1−ジフルオロエタンを含有することを特徴とする、請求項1に記載の冷凍用作動流体組成物。
【請求項3】
前記含酸素油として、エステル、ポリグリコール及びポリビニルエーテルから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の冷凍機用作動流体組成物。

【公開番号】特開2008−247993(P2008−247993A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88393(P2007−88393)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】