説明

冷却剤通路検査装置及び車両用シリンダヘッド冷却剤通路の詰まり検知方法

【課題】シリンダヘッドの冷却剤通路の詰まりを目視せずに検査する方法及びそのような検査を行うための装置を提供する。
【解決手段】車両用シリンダヘッド冷却剤通路検査装置及び該装置を用いて車両用シリンダヘッドの冷却剤通路を検査する方法が提供される。本発明に係る装置及び方法によって、冷却剤通路内に存在する詰まりが検知可能となる。本発明に係る装置及び方法は、発光及び受光可能な1以上の光ファイバプローブを使用する。該プローブは、冷却剤通路において詰まりによって反射され且つプローブによって受光される光を測定することが可能なセンサと共に用いられる。センサによって記録された反射光の測定値を用いて詰まりが存在するか否かが判断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シリンダヘッドの内部冷却剤通路の詰まりを検査する装置及び方法に関し、より詳細には、車両用シリンダヘッドの内部冷却剤通路の詰まりを目視せずに検査する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シリンダヘッドにおいては、一般的に過熱防止のために冷却剤を流すことが知られている。通常、冷却剤は、一般的にラジエータ及び水ポンプを有する車両の冷却システムによって供給される。冷却剤は、いくつかある経路のうち、シリンダヘッド内部にある一連の冷却剤通路を流れる。
【0003】
シリンダヘッド内の内部冷却剤通路は、実際は迂回しており、シリンダヘッドのバルブ領域等の周りを冷却剤が流れるように複数の経路が設けられていることが多い。シリンダヘッドの設計が複雑になると、冷却剤通路は迂回の程度が多くなる傾向にある。
【0004】
シリンダヘッドの設計がより複雑になると、シリンダヘッドを製造するために用いる鋳型も複雑にする必要がある。特に、シリンダヘッドの完成品の冷却剤通路を形成するために用いる砂型は、より複雑になってきている。これら砂型に欠陥があるとそれに対応するシリンダヘッドの冷却剤通路に欠陥が発生する。例えば、成形過程において砂型における割れ目やその他の欠陥に溶融アルミニウムが入り込むと、シリンダヘッド完成品の冷却剤通路に詰まりが発生する。
【0005】
シリンダヘッドの冷却剤通路が一部詰まっただけでも、そのようなシリンダヘッドと最終的に結合するエンジン及び/又は車両には問題が発生する。例えば、冷却剤通路の詰まりが冷却剤の流れを阻害したり妨げたりするので、エンジン過熱、バルブやピストンへのダメージ、及び/又はHVACの問題が発生することになる。従って、そのような問題を回避するために、シリンダヘッドの冷却剤通路の詰まりを検出することが明らかに望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリンダヘッドの構造上の特徴により、内部冷却剤通路の内部を観察することは本質的に難しい。さらに、冷却剤通路の一部が目視観察できたとしても、その大きさ及び/又は全体が曲がりくねった形状によって、通路の残りの部分を観察することは制限されてしまう。従って、冷却剤通路の詰まりの目視検査では、一般に全体の長さのうち極わずかな部分のみに制限されてしまう。
【0007】
この目的を達成するために、シリンダヘッドの冷却剤通路の詰まりを目視せずに検査する方法、及びそのような検査を行うための装置が必要とされている。本発明に係る装置及び方法によれば、この要求が満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る装置及び方法によって、シリンダヘッドの冷却剤通路を目視せずに検査することが可能となる。より詳細には、本発明に係る装置及び方法は、1以上の光ファイバプローブを用いて、車両用シリンダヘッドの冷却剤通路を検査し、通路内に存在するいかなる詰まりも示す。
【0009】
使用する光ファイバプローブの数は、シリンダヘッドにある冷却剤通路の入口の数と一致させることが好ましい。若しくは、効率は落ちるが、光ファイバプローブの数を少なくし、検査が必要なだけ冷却剤通路から冷却剤通路へとプローブを単に移動させてもよい。
【0010】
光ファイバプローブは、全てのプローブが同時に移動可能となるように中心取り付けプレートに取り付けられることが好ましい。該取り付けプレート及びプローブは本発明に係る装置の一部品を構成し、電気機械式或いは気体圧式や液体圧式シリンダ等の移動装置を利用した移動組立体と組み合わせることにより、被検査冷却剤通路に対して該プローブの挿入及び引き戻しを行うことができる。又は、取り付けプレート及びプローブをロボットと組み合わせて、被検査冷却剤通路に対して光ファイバプローブの挿入及び引き戻しを行うことができる。
【0011】
光ファイバプローブは、散乱タイプのものが好ましい。すなわち、光ファイバプローブは、冷却剤通路に挿入された後、光を出射し、詰まりが存在する場合、関連付けられた光電スイッチ又はその他の光検知素子を動作させる程度の反射光量を受光する。
【0012】
また、本発明に係る装置は、プロセッサと、ソフトウェアと、それらに対応したユーザーインターフェースとディスプレイとを使用する1以上のモニタ部を備えるか、或いはそのようなモニタ部と結合される。該モニタ部によって、装置の使用者は、冷却剤通路の詰まりの存在に関する警告を受け取れるようにしてもよい。また、モニタ部によって使用者に詰まり箇所の画像表示を提供するようにしてもよい。種々のしきい値を設定することによって、詰まりが存在していてもそのシリンダヘッドが使用可能か否かを、モニタ部が判断できるようにしてもよい(例えば、詰まりが十分に小さい場合)。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る装置及び方法はオフラインで使用可能であり、又はシリンダヘッドの製造組立若しくは検査に係る区域における組立ラインでも使用することができる。使用方法に関わらず、本発明に係る装置及び方法を用いることにより、車両用シリンダヘッドの冷却剤通路が詰まっているか否かを迅速且つ正確に判断できることは上述の記載により理解されるであろう。従って、本発明に係る装置及び方法を用いることにより、欠陥のあるシリンダヘッドのエンジン及び車両への取り付け発生を最小限に抑えるか、又は除去可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上述の態様に加えて、図面及び実施形態に関する以下の記載から本発明の他の態様が可能なことは明らかである。また、図における共通の参照符号は、同一又は同等の構成要素を示す。
【0015】
図1及び図2に示すように、車両用シリンダヘッドの冷却剤通路には、複数の場所において程度の異なる詰まりがある。例えば、図1では、シリンダヘッド5内の略入口に冷却剤通路10の略完全な詰まり15が発生している。
【0016】
図2a及び図2bでは、詰まりのない冷却剤通路と詰まりのある冷却剤通路とがコントラストをつけて示されている。図2aでは、車両用シリンダヘッドの冷却剤通路20における完全に詰まりのない内部が左側に、完全な詰まり25がある同一の部分が右側に示されている。同様に、図2bでは、車両用シリンダヘッドの冷却剤通路30における完全に詰まりのない内部が左側に、略60%の詰まり35がある同一の部分が右側に示されている。このような詰まりが、冷却剤通路を冷却剤が流れることに対してどのような悪影響を与えるかは、図1及び図2から容易に理解できよう。
【0017】
図3は、車両用シリンダヘッド40を例示した底面図である。図に示されているように、冷却剤通路入口があるシリンダヘッド40の側部は、エンジンブロックと係合する取り付け面を有する。このシリンダヘッド40は4つのシリンダ(ピストン)を収容し、シリンダ1つあたり4つのバルブを有している。明らかであるが、実際にはいかなるシリンダヘッドでも本発明によって検査が行われる。複数の冷却剤通路入口部45(強調表示されている)は、各ピストンの位置の周りに配置され、シリンダヘッド40内へ延在している。シリンダヘッドの内部において、各冷却剤通路は多数の迂回経路を有してもよい。いずれにおいても、シリンダヘッド40の底面(取り付け面)にある入口部45よりも奥のある点において冷却剤通路を目視検査することは、不可能ではないとしても、一般には非常に難しい。
【0018】
本発明に係る組み立てられたシリンダヘッドの冷却剤通路検査装置50(検査装置)の一実施形態が図4a〜図4cに示されている。この検査装置50は自動運転するように設計されており、例えば、シリンダヘッド組立体又はコンベア240の一部と協働するように設計されている。一般に、検査装置50は、筐体55と結び付けられた複数の光ファイバプローブ60を有しており、シリンダヘッド(図示されていない)がコンベア240上を下流へ移動し、これら複数のプローブが、シリンダヘッドの冷却剤通路に対して挿入され、また引き戻される。
【0019】
図に示されるように、筐体55は検査装置50を構成する種々の部品を収容することが好ましい。筐体55は、少なくとも光ファイバプローブ65及びそれらが取り付けられた取り付けプレート70を収容するように構成されていることが好ましい。また、筐体55は、接続ブロック230及び/又は光ファイバセンサアンプ235のような種々の電子部品を収容してもよい。さらに、光ファイバプローブの延伸/引き戻しを行う装置を筐体55内に配置することも好ましい。筐体は、光ファイバプローブが伸びてくる側に沿って略開放しているか、又は部分的に開放している。この実施形態では、筐体55は底部55bにおいて開放しているが、他の実施形態では開放面は異なっていてもよい。また、筐体55は、ドア60やその他のアクセスパネルを備えてもよい。そのようなドア60やパネルは開口のない設計でも、一部開口のある設計でもよい。
【0020】
本実施形態の検査装置50は、光ファイバプローブ65を延伸し、シリンダヘッドの冷却剤通路へそれら端部を挿入する2段階移動を採用している。より詳細には、本実施形態において、筐体55はコンベア240に対して可動に取り付けられ、光ファイバプローブ65は筐体及びシリンダヘッドに対して可動に取り付けられる。
【0021】
図4a〜図4c及び図5からわかるように、筐体55は、コンベア240から延在するフレーム75又はコンベアに取り付けられた構造体に可動に取り付けられる。筐体55は、コンベア240及びコンベアに配置されたシリンダヘッドに近接及び離間するように可動に取り付けられる。この実施形態では、筐体55の移動は鉛直方向で行われるが、その他の方向でも可能なことは理解されよう。
【0022】
筐体55の移動は、当業者が理解するであろう種々の方法によって実現することができる。しかしながら、この実施形態において、筐体55の移動は、気体圧式シリンダ80(図4c及び図5参照)移動装置を用いた筐体移動組立体78によって実現される。筐体55が直線運動するようにリニアガイドシステム、例えばリニアガイドレール85及びそれに対応したガイドブロック90が設けられることが好ましい。停電等の場合に移動を防止するため、図6の光ファイバプローブ組立体に示されたロッキング装置160のような移動防止装置を筐体55と組み合わせてもよい。
【0023】
シリンダヘッドは一部の機械加工工程を経る前に検査点に到達することもあるので、冷却剤通路入口を含むシリンダヘッドの面が筐体55の底面55bに対して平行とならないで、シリンダヘッドがコンベア上に配置されることもあり得る。そのため、検査装置50は、シリンダヘッドの合わせ面と筐体55が自動で位置合わせできるように設計される。
【0024】
図5で示されているように、中間取り付けプレート組立体95が筐体55と気体圧式シリンダ80との間に設けられる。取り付けプレート組立体95は、筐体55を気体圧式シリンダ80及びリニアガイドシステムに対して浮動状態で接続する機能をする。
【0025】
より詳細には、取り付けプレート組立体95は、一方の側にガイドブロック90が取り付けられた第1取り付けプレート100を少なくとも備え、これにより取り付けプレートはガイドレール85に沿って可動となる。取り付けプレート100の他方の側には略円錐状である複数の支持部材105が取り付けられる。支持部材105は、筐体55の背部から突出する対応する支持ブラケット110によって受容される。支持ブラケット110は、筐体55に直接取り付けてもよいし、プレート115又はその他の部材に取り付けて、プレート115又はその他の部材が支持ブラケット110と筐体55との間に介在するようにしてもよい。
【0026】
いずれの場合でも、各支持ブラケット110は、筐体を取り付けプレート100に取り付ける際に略円錐状の支持部材105のうち対応する支持部材の全体若しくは一部を受容できる程度の直径を有する貫通孔を備える。従って、筐体55は、取り付けプレート組立体95によって支持され、かつ略円錐状の支持部材105によって取り外し自在に保持されることが理解されよう。
【0027】
検査動作中、筐体55は、気体圧式シリンダ80によって下げられ、被検査シリンダヘッドの合わせ面に当接される。特に上述の記載を考慮すると理解できるように、シリンダヘッドの合わせ面に筐体を位置決めする際に略円錐状の支持部材105を使用することは非常に効果的である。すなわち、略円錐状の支持部材105によって、筐体55全体をシリンダヘッドの合わせ面と自動で位置合わせすることが可能となる。従って、シリンダヘッドの合わせ面が筐体55の底面と平行でない場合でも、筐体の底面をシリンダヘッドの合わせ面と密接させることができる。
【0028】
これは、シリンダヘッドとの接触の際、筐体55を取り付けプレート組立体95の支持から解除することによって実現される。筐体55とシリンダヘッドとの間で最初の接触が起きた後も気体圧式シリンダ80を下方向へ移動させ続けることによって、略円錐状の支持部材105が、筐体に取り付けられたそれに対応する支持ブラケット110から(少なくとも一部が)離間し、筐体はシリンダヘッドの合わせ面のみによって支持されるようになる。続いて気体圧式シリンダ80を鉛直上方向に移動させ、略円錐状支持部材105と筐体の支持ブラケットの貫通孔とを再度係合させる。筐体55がかなりの角度で傾斜している若しくはシリンダヘッド上において幾分の位置ズレを起こしている場合であっても、筐体は通常の支持位置へと戻る。
【0029】
好ましくは、筐体55をシリンダヘッドに対して適切に位置決めするために、1以上の筐体位置決め部材120をさらに用いてもよい。筐体位置決め部材120は筐体55の底面下方側を下方向に延伸し、シリンダヘッドの対応する構成要素と係合するように配置される。例えば、筐体位置決め部材120は、シリンダヘッドの合わせ面に位置付けられた対応する開口部に入る位置決めピンであってもよい。筐体位置決め部材120は、筐体55又は筐体と一体に移動する別の部品に直接取り付けられてもよい。筐体位置決め部材120によって、光ファイバプローブ65を延伸させる前に筐体55をシリンダヘッドに対して適切に位置決めすることが確実に行える。
【0030】
筐体55がシリンダヘッドに対して適切に位置決めされたかどうかは、近接センサ125等を使用することによって確認することができる。図に示されるように、複数の近接センサ125が筐体55の底部に沿って配置され、筐体の底面とシリンダヘッドの合わせ面との間が適切に接触しているかどうかを知らせる。こうして、筐体55がシリンダヘッドに対して適切に位置決めされているかどうかを判断することができる。例えば、シリンダヘッドが適切な位置から大きくずれているために1以上の筐体位置決め部材120がシリンダヘッドの対応の開口部に入らない場合、近接センサ125は起動せず、それに伴い検査工程が停止又は中止される。
【0031】
一旦シリンダヘッドに対する筐体55の位置合わせが確認されると、光ファイバプローブ65が延伸される。この実施形態において、光ファイバプローブ65の延伸は、光ファイバプローブ移動組立体130によって行われる。図4a、図4b及び図5において、光ファイバプローブ移動組立体130は筐体55内に配置されている。図6は、光ファイバプローブ移動組立体130の分解図である。
【0032】
図に示されるように、光ファイバプローブ移動組立体130は、プローブ取り付けプレート70に取り付けられた複数の光ファイバプローブ65を備える。図7に詳細に示されているプローブ取り付けプレート70は、被検査シリンダヘッドの冷却剤通路入口の配置と一致する配置で光ファイバプローブ65を保持するように機能する。プローブ取り付けプレート70は、筐体55内において可動に取り付けられ、光ファイバプローブ65を被検査シリンダヘッドに対して延伸及び引き戻しできる。
【0033】
この実施形態では、光ファイバプローブ65の延伸及び引き戻しは、光ファイバプローブ移動組立体130のプローブ取り付けプレート70と気体圧式シリンダ135とを組み合わせることによって行われる。より詳細には、プローブ取り付けプレート70は、気体圧式シリンダ135と接続されるスライド式取り付けプレート140によって支持される。筐体55の移動に関する上述の方法と同様に、プローブ取り付けプレート70と光ファイバプローブ65の移動はリニアガイドシステムによって行われることが好ましい。この実施形態では、上記目的のためにリニアガイドレール145と対応するガイドブロック150が使用される。気体圧式シリンダ135のようなリニアガイドレール145を筐体55の内壁に取り付けてもよいし、図示されるように中間取り付けプレート155に取り付けてもよい。ガイドブロック150は、スライド式取り付けプレート140の適当な面に取り付けられる。筐体55と同様に、図示されているロッキング装置160のような移動防止装置を可動の光ファイバプローブ組立体130と組合せ、停電等の場合に移動を防止するようにしてもよい。
【0034】
支持フレーム165を筐体55の底部55bの壁に沿って随意設けてもよい。図示されているように、支持フレーム165を中間取り付けプレート155に接続してもよいし、筐体55のみに取り付けてもよい。支持フレーム165を用いて、筐体55及び/又は筐体55内に収容されたその他の部品の強度及び/又は剛性を強めてもよい。この実施形態において、支持フレーム165は、被検査シリンダヘッドと当接し、かつシリンダヘッド上で筐体55を支持する面を構成する。他の実施形態では、支持フレーム165を、筐体55の合わせ面部分を補強するように機能させてもよい。目的を達成するため、上述の筐体位置決め部材120及び近接センサ125のうちの少なくともいくつかを、支持フレーム165に取り付け、支持フレーム165から筐体55の底壁55bの対応する開口部を通るように延伸させてもよい。
【0035】
動作において、(上述したように)光ファイバプローブ65の延伸/引き戻しは、筐体55が被検査シリンダヘッドに対して適切に接触したことが確認された後にのみ、行われる。それに引き続き、気体圧式シリンダ135が稼動されてプローブ取り付けプレート70及び関係する光ファイバプローブ65が延伸される。図8に示されるように、光ファイバプローブ65は、筐体55の底壁55bに位置付けられた対応するプローブ開口170を通って延伸する。光ファイバプローブ65は、被検査シリンダヘッドの冷却剤通路内に十分に進入できる程度の所定量だけ延伸する。検査工程完了時又はそれ以前のある時点において、光ファイバプローブ65は、気体圧式シリンダ135によって引き戻される。好ましくは、光ファイバプローブ65は、筐体55内部のある位置まで引き戻される。
【0036】
光ファイバプローブ移動組立体130とシリンダヘッドの冷却剤通路との間でより確実に適切な位置合わせを行うために、また光ファイバプローブ65に対するダメージを最小限にするために、本実施形態に係る検査装置50は、また、浮動(floating)プローブ取り付けプレート構造175(図4a、図6及び図8参照)を備えている。この実施形態において、浮動プローブ取り付けプレート構造175は、3つのプローブ取り付けプレート支持アーム180を用いて対応するスライド式取り付けプレート支持アーム185からプローブ取り付けプレート70を吊り下げることによって実現される。もちろん、3つ以外の個数の支持アームを設けてもよい。
【0037】
好ましくは、プローブ取り付けプレート支持アーム180及びスライド式取り付けプレート支持アーム185は対応する端部を有しており、それらの端部間にツーリングボール(tooling ball)190や同様の部材を配置できるようになっている。ツーリングボール190によって、支持アーム180、185の分離が容易に行われる。また、近接検知器195又は同様のセンサがツーリングボール190の1つ又は全ての近傍に配置されることが好ましい。
【0038】
動作において、1以上の光ファイバプローブ65と被検査シリンダヘッドとの間の接触が十分であれば、プローブ取り付けプレート70が上方へと変位する。プローブ取り付けプレート70の上方への変位が所定量を超えると、近接センサ195がそれと関連付けられたプロセッサに信号を送り、プローブ取り付けプレートの移動を停止又は逆行させる。従って、シリンダヘッドとの接触による光ファイバプローブ65へのダメージは最小限になるか又は防止される。
【0039】
光ファイバプローブ65の個数及び位置は様々であってよい。好ましくは、光ファイバプローブ65の個数及び場所は被検査シリンダヘッドの冷却剤通路入口の個数及び場所に対応させる。この場合、光ファイバプローブ65が略同時に各冷却剤通路に挿入され、プローブを抜いて再び挿入することをせずに検査を行うことができる。光ファイバプローブ65は止めピンで固定されるか又はプローブ取り付けプレート70に固定されることによって、プローブの回転を防止し、また光ファイバプローブが検査工程中に冷却剤通路を検査できるように適切な方向へと向けることが確実に行える。
【0040】
本発明においては種々の光ファイバプローブ設計が用いられるが、そのような光ファイバプローブ65のうち特に使用に適したプローブを図9に示す。図からわかるように、この光ファイバプローブ65は、プローブ軸を略囲む保護用ハウジング200を備える。シリンダヘッドの冷却剤通路へプローブを伸ばす際及び/又は検査の際にダメージから保護するため、保護用ハウジング200は光ファイバプローブ65の略先端65bまで延在していることが好ましい。この実施形態において、保護用ハウジング200は、光ファイバプローブ65の発光/受光窓Wの周りに切欠部又は開口部205を備える。あるいは、この例であれば、保護用ハウジングは、光ファイバプローブ65の発光/受光窓Wの手前まででもよい。
【0041】
検査装置50には、汚染によるダメージ又は故障から光ファイバプローブ65をさらに保護するため、他の構成要素を設けてもよい。例えば、ワイパ部材(拭取り部材)210を各光ファイバプローブの開口部の外側及び/又は内側に設けてもよい。このようなワイパ部材210は、光ファイバプローブ65や保護用ハウジング200の露出した外側表面にある汚れを拭き取ることができる。ワイパ部材に代って、又はワイパ部材に加えて、汚染の侵入を最小限にするため又は防止するために筐体55内を加圧してもよい。
【0042】
上述の記載と併せて、図10のフローチャートを参照することによって検査装置50の動作をよりよく理解することができよう。上で述べたように、まず、シリンダヘッド(図示せず)はコンベア240上の検査位置に移動される。シリンダヘッドを適切な位置に合わせ、筐体55を下げて、シリンダヘッドの合わせ面と接触させ、合わせ面上で支持されるようにする。筐体55がシリンダヘッドと適切に接触していれば、その状態を示す信号が関連付けられたプロセッサに送信され、検査工程が以下のように続く。
【0043】
筐体55がシリンダヘッドと適切に接触していない場合は、その状態を示す信号が関連付けられたプロセッサに送信され、検査工程は中止または再び初期化される。後者の場合、通常、筐体55は登録位置まで又は登録位置の近傍まで引き戻され、続いてシリンダヘッドと再び接触させる。この工程は、筐体55が適切に位置決めされるまで、又は適切な位置決めが不可能であると判断されるまで、何回も繰り返してよい。筐体55の適切な位置決めが不可能であるとみなされる場合は、使用者に対して警報が出される等にしてもよい。
【0044】
一旦筐体55がシリンダヘッド上で適切に位置決めされれば、光ファイバプローブ65が上述したように延伸する。光ファイバプローブ65が対応する冷却剤通路に入り、その中で光を出射する。一実施形態において、光は光ファイバプローブ65によって継続的に出射されるが、分析は、プローブが被検査冷却剤通路内で位置決めされた場合にのみ行われる。他の実施形態において、関連付けられた光ファイバプローブ光源は、光ファイバプローブ65を延伸させる場合にのみ発光するようにしてもよい。
【0045】
光ファイバプローブ65を被検査冷却剤通路内に延伸した状態で、光が出射され、反射光が光ファイバプローブによって受光されて、分析が行われる。図11a及び図11bを参照に以下で詳細に述べるが、反射光が検知されない場合又は検知された光量があるしきい値よりも低い場合、その冷却剤通路は詰まりに関して容認可能な状態であるとみなされる。これに対して、反射光が、あるしきい値を超える量として検知される場合、その冷却剤通路は容認できない詰まりを有するとみなされる。
【0046】
上記分析の完了した時点又は光ファイバプローブ65による発光、この例であれば、さらに反射光の受光の完了後のある時点で、光ファイバプローブは上述のように引き戻される。そして、筐体55は図4a〜図4cに示されるように登録位置まで引き戻される。検査工程によって得られた詰まりの評価結果が、検査されたシリンダヘッドと対応付けられる。
【0047】
検査されたシリンダヘッドの処理は一般には検査工程の結果で異なる。例えば、検査工程において、詰まりがない又は容認可能な小さな詰まりのみであることが示された場合、そのシリンダヘッドは次工程又は製造工程の組立段階へ搬送される。検査工程において、容認できない詰まりがあることが示された場合、そのシリンダヘッドは追加のオフライン検査のために印がつけられてもよいし、廃棄区域へ移動されてもよい。もちろん、他の処理でもよい。
【0048】
図11a及び図11bには冷却剤通路CP内への延伸後の本発明に係る光ファイバプローブ215の一例がより詳細に示される。図11aは、光ファイバプローブ215が詰まりのない冷却剤通路CPか又は検地できないほどに小さい詰まりのみがある冷却剤通路CPに挿入された状態を示す。図から了解されるように、光ファイバプローブ215から出射された光Leは、光ファイバプローブへと反射されずに冷却剤通路CPを通り抜ける。従って、詰まりのない冷却剤通路であることが示される。
【0049】
別の状態が図11bに示される。この場合、光ファイバプローブ215は、検知可能な詰まりB(実際には図示した詰まりほど大きくなくともよい)を有する冷却剤通路CPへ挿入されている。従って、光ファイバプローブ215から出射した光Leは詰まりBにぶつかり、反射光Lrとしてプローブへ戻っていく。光ファイバプローブ215は反射光Lrを受光し、フォトディテクタやその他の適した装置等のセンサ(図示せず)へ反射光Lrを送る。このセンサによって、反射光が評価され、プロセッサと協働して詰まりの存在及び/又は大きさが判断される。
【0050】
一般に、反射光Lrの量がセンサと関連させたあるしきい値を超える場合、詰まりの存在が示される。しきい値は計算によって決めてもよいし、実験で決めてもよいし、また別の方法で決定してもよい。ある特定のサイズの詰まりによって光が反射した場合のみ、本発明に係る装置/システムが、問題有りと示されるように、しきい値を設定してもよい。この場合、動作に悪影響を与えない程度に小さい詰まりがある冷却剤通路を有するシリンダヘッドは、検査合格とすることができる。又は、本発明の光ファイバプローブ215及びセンサによって検知可能なサイズの詰まりがある場合、アラームを鳴らしてもよいし、その他の方法で詰まりの存在を知らせるようにしてもよい。
【0051】
上述したように、詰まりを検知した際、種々のアクションを起こすようにすることができる。例えば、本発明に係る装置及び方法では、使用者に詰まりの存在を警告し、及び/又は対応のシリンダヘッドに印等を付けることができる。また、本発明に係る装置及び方法において、他の設備を起動させて製造工程から対応のシリンダヘッドを取り除くか又はシリンダヘッドに対して行われる下流工程の動作を中止させるようにしてもよい。
【0052】
必ずしも必要ではないが、本発明に係るモニタ部が、詰まりの存在、さらに随意ではあるが相対位置を示すことが好ましい。図12a及び図12bに示されるように、本発明の一実施形態では、そのような表示動作は画像で行われる。
【0053】
図12a及び図12bで示されるように、本発明は、検査中のシリンダヘッド40の画像(又は模式図)を伝えるためのディスプレイ220を備えてもよい。図12aにおいて、画像(例えば、強調される冷却剤通路入口は全て緑色で示される)及び文字で、シリンダヘッド検査工程では、冷却剤通路の詰まりが検知されなかったことを示している。
【0054】
図12bによる他方の状態では、画像(例えば、詰まりのある冷却剤通路入口に対応して強調色が変更されることによって示される)及び文字で、シリンダヘッド検査工程では、冷却剤通路の詰まりが検知されたことを示している。詰まりの存在に加えて、詰まり225の概略位置が詰まりのある冷却剤通路の入口に対応して変更した強調色(例えば、赤)によってシリンダヘッドの画像上に示されている。
【0055】
明らかであるが、冷却剤通路の詰まりの存在及び/又は位置を使用者に警告するには種々の方法が可能であり、上述の例は本発明を制限するように意図されてはいない。図12a及び図12bの上述の実施形態においても、他の方法が可能である。例えば、異なる強調色を使用できることは明らかであるし、また詰まりのある冷却剤通路又は詰まりのない冷却剤通路を示すためのみに強調を行ってもよい。
【0056】
ディスプレイ220は、コンピュータの一体部分であってもよいし、コンピュータ又は他の演算処理装置によって駆動されてもよい。光ファイバプローブの初期化、動作或いは通信を行うために必要な、また所望の警告及び/又はシリンダヘッドの画像を提供するために必要なソフトウェアをコンピュータ又は他のプロセッサと関連付けてもよい。グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)をそのようなソフトウェアと関連付けて、使用者がそれらを通信させるようにすることが好ましい。
【0057】
また、他の機能をソフトウェアに関連付けてもよい。例えば、ソフトウェアによって、詰まりに関するデータを監視或いは保持しておくことが可能となる。種々の手段を用いて、シリンダヘッドとそのシリンダヘッドを作製した鋳型とを対応付けることも可能である。本発明に係る1以上の検査装置からのデータが、ある特定の鋳型に対応した1以上のシリンダヘッド冷却剤通路において繰り返し問題が起きていることを示す場合、検査装置は対応する成形装置に信号を送って、警告の発生、成形工程の中止等を行わせることが考えられる。本発明に係る検査装置は、上記目的のために有線又は無線通信で1以上の成形装置と通信するように構成することができる。従って、本発明に係る検査装置からのデータは、特定の成形型、成形装置等と関連付けることが可能となる。そのようなデータは、検査装置と関連付けられたコンピュータ又は他のプロセッサの内部又は外部にある1以上のデータベースに記憶させてもよい。
【0058】
多くの種類のシリンダヘッドの検査を可能とするために、本発明に係る検査装置50及び他の検査装置の実施形態には、容易に交換できるような構成要素を設けることができる。例えば、筐体全体をそれに関連付けられた移動装置から取り外し可能にするための円錐状支持部材の使用に加えて、筐体には、手による取り外し、又は他の装置や設備による取り外しを容易にするハンドルや他の同様の部材を設けてもよい。さらに、電気接続部や気体圧接続部を、筐体の取り外しが容易になるような素早く交換できるタイプの接続部等として設計してもよい。従って、取り付けられている検査装置における光ファイバプローブの現在の配置と異なる冷却剤通路の配置を有するシリンダヘッドを検査したい場合、現在の筐体及びそれに対応した部品を取り外し、適切に配置された光ファイバプローブを有する別の筐体と交換することができる。
【0059】
本発明に係る他の実施形態において、複数の検査装置をコンベアに沿って、或いは異なる位置に設けることで異なるシリンダヘッドの検査を行うようにしてもよい。例えば、十分なスペースがあれば、図4a〜図4cの検査装置50のような検査装置をコンベア240に沿って多数配置してもよい。各検査装置は、ある特定のシリンダヘッドに対応させてもよいし、いくつかのシリンダヘッドに対応させてもよい。その際、コンベアには異なるシリンダヘッド停止/配置箇所を設けて、所定のシリンダヘッドは、それに対応する検査装置の位置に常に配置させるようにすることができる。また、できる限り効率よくオフライン検査を行うため、そのような構成をオフライン検査領域に配置してもよい。
【0060】
本発明に係る検査装置及び該検査装置の使用方法には種々の実施形態が可能である。例えば、上述の筐体及び移動装置に代えて、多数の光ファイバプローブをロボットによって被検査シリンダヘッドに対して接近及び離間させてもよい。この実施形態において、ロボットは、ここで示し又上述したプローブ取り付けプレート70と共通或いは異なる光ファイバプローブ取り付けプレートと接続されてもよい。ロボットを使用する場合、ロボットが種々の異なる光ファイバプローブ組立体間で素早く交換を行える治具交換装置とロボットとを関連付けてもよい。このような治具交換装置は当業者にはよく知られており、そのためここでは詳細な説明は行わない。このような実施形態は、2種類以上のシリンダヘッドを検査する検査工程に対して適している。
【0061】
ロボット或いは他のフレキシブル移動手段を用いる場合、本発明に係る検査装置が有する光ファイバプローブの個数は、被検査シリンダに存在する冷却剤通路の個数よりも少なくできる(或いは多くできる)。前者の場合、光ファイバプローブは、同数の冷却剤通路を検査した後に引き抜かれ、シリンダヘッドに沿って別の場所へ動かされ、引き続き検査を行う別の冷却剤通路へ挿入される。この工程は、検査すべき冷却剤通路全ての検査を行うまで繰り返される。後者の場合、光ファイバプローブは、被検査冷却剤通路と対応させて配置する必要があり、また、検査動作中に余分なプローブが障害物に接触しないようにする必要がある。若しくは、余分なプローブは取り外せるようにしてもよい。
【0062】
本発明に係る検査装置及び方法は、様々な態様で用いることができる。簡単な実施形態では、本発明に係る装置及び方法は組立ラインや他の製造区域から離して、例えば検査区域や品質管理区域に配置してもよい。このような実施形態では、本発明に係る装置を、シリンダヘッド冷却剤通路のオフライン検査を行うために用いることができる。この場合に行われる検査は、シリンダヘッド製造工程によって設定される時間枠内に終了させる必要はない。従って、そのような実施形態における検査装置は、自動化してもよいし、手動で動作させてもよいと考えられる。
【0063】
他の実施形態においては、ここで示され又上述されているが、本発明に係る検査装置及び方法は組立ライン又は他の製造区域に配置されてもよい。この実施形態では、本発明に係る装置を用いて、製造工程中にリアルタイムでシリンダヘッド冷却剤通路のオンライン検査を行うことができる。このように行う検査は、シリンダヘッド製造工程によって設定される時間枠内で完了させる必要があるので、必須ではないが、この実施形態の検査装置の動作は自動化されることが好ましい。
【0064】
また、検査装置及び/又は上述のソフトウェアとプロセッサは、冷却剤通路検査が確実に適時開始終了するように、組立ライン又はシリンダヘッド製造に係るその他の設備と通信してもよい。この実施形態において、使用者は、問題が起きた場合のみ検査工程に関わることになる(検査が不合格のシリンダヘッドに対する自動対応手段が設けられている場合は関わらない)。
【0065】
従って、本発明に係る検査装置及び方法を用いれば、シリンダヘッドのタイプ或いは冷却剤通路の個数にかかわらず、1以上の車両用シリンダヘッド冷却剤通路において詰まりが存在するかどうかを迅速に且つ容易に判断することが可能となることは上記記載から理解できよう。本発明に係る装置及び方法は、手動或いは自動で使用することができる。本発明に係る装置及び方法は、製造現場で直接に、或いはオフラインで使用することができる。従って、本発明のある特定の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明の範囲は、上述の開示によって制限されると考えるべきではない。また、以下の請求の範囲で示される本発明の趣旨から逸脱せずに変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、車両用シリンダヘッドの冷却剤通路の入口における実際の詰まりを示す。
【図2】図2aは、詰まりのない状態及び完全に詰まった状態にあるシリンダヘッドの冷却剤通路の一部を示す。図2bは、詰まりのない状態及び一部が詰まった状態にあるシリンダヘッドの冷却剤通路の他の部分を示す。
【図3】図3は、冷却剤通路の入口を強調した一例である車両用冷却剤通路の底面図である。
【図4a】図4aは、複数の光ファイバプローブが引き戻された位置にある場合の本発明に係る冷却剤通路検査装置の一実施形態を示す。
【図4b】図4bは、複数の光ファイバプローブが引き戻された位置にある場合の本発明に係る冷却剤通路検査装置の一実施形態を示す。
【図4c】図4cは、複数の光ファイバプローブが引き戻された位置にある場合の本発明に係る冷却剤通路検査装置の一実施形態を示す。
【図5】図5は、図4a〜図4cの装置の一部分解図である。
【図6】図6は、図4a〜図4cの装置の一部拡大分解図である。
【図7】図7は、図4a〜図4cの冷却剤通路検査装置の光ファイバプローブを取り付けるために用いられる取り付けプレートの拡大平面図である。
【図8】図8は、本発明に係る装置と共に用いられる光ファイバプローブ組立体の一実施形態の詳細図である。
【図9】図9は、光ファイバプローブが延伸(検査)位置にある場合の図4a〜図4cの装置の一部を示す。
【図10】図10は、図4a〜図4cの装置の一実施形態において取り得る動作モードのうち、あるモードを示すブロック図である。
【図11】図11aは、本発明に係る光ファイバプローブからの光が詰まりのない冷却剤通路を伝達する様子を示す。図11bは、本発明に係る光ファイバプローブからの光が冷却剤通路の詰まりによって反射され、該光ファイバプローブへ戻って受光される様子を示す。
【図12a】図12aは、詰まりのない冷却剤通路を有するシリンダヘッド及び詰まりのある冷却剤通路を有するシリンダヘッドがそれぞれ検査されている場合の本発明に係るモニタリングシステムディスプレイの一実施形態を示す。
【図12b】図12bは、詰まりのない冷却剤通路を有するシリンダヘッド及び詰まりのある冷却剤通路を有するシリンダヘッドがそれぞれ検査されている場合の本発明に係るモニタリングシステムディスプレイの一実施形態を示す。
【符号の説明】
【0067】
5、40…シリンダヘッド
10、20、30、CP…冷却剤通路 15…略完全な詰まり
25…完全な詰まり 35…略60%の詰まり
45…冷却剤通路入口部
50…シリンダヘッド冷却剤通路検査装置 55…筐体
55b…筐体底部 60…ドア
65、215…光ファイバプローブ 65b…光ファイバプローブ先端
70…プローブ取り付けプレート 75…フレーム
80、135…気体圧式シリンダ 85、145…リニアガイドレール
90、150…ガイドブロック 95…中間取り付けプレート組立体
100…第1取り付けプレート 105…支持部材
110…支持ブラケット 115…プレート
120…筐体位置決め部材 125、195…近接センサ
130…光ファイバプローブ移動組立体
140…スライド式取り付けプレート 155…中間取り付けプレート
160…ロッキング装置 165…支持フレーム
170…プローブ開口
175…浮動プローブ取り付けプレート構造
180…プローブ取り付けプレート支持アーム
185…スライド式取り付けプレート支持アーム
190…ツーリングボール 200…保護用ハウジング
205…切欠部又は開口部 210…ワイパ部材
220…ディスプレイ 225、B…詰まり
230…接続ブロック 235…光ファイバセンサアンプ
240…コンベア
e…出射光 Lr…反射光
W…発光/受光窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光及び受光可能な少なくとも1つの光ファイバプローブと、
被検査冷却剤通路に対して前記少なくとも1つの光ファイバプローブの挿入及び引き抜きを行うための手段と、
前記少なくとも1つの光ファイバプローブと通信するセンサと、
を備えた車両用シリンダヘッドの冷却剤通路内の詰まりを検知する装置であって、
前記センサは、前記少なくとも1つの光ファイバプローブに向かって反射し且つ前記少なくとも1つの光ファイバプローブによって受光される出射光を記録するように動作可能であり、
前記センサによって記録された反射光量があるしきい値レベルを超えた場合に前記冷却剤通路内に詰まりが存在するとみなされることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、複数の光ファイバプローブが設けられ、前記複数の光ファイバプローブを同時に用いて複数の冷却剤通路の検査を行うことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、前記少なくとも1つの光ファイバプローブは、被検査冷却剤通路に対して手動で挿入及び引き抜きが行われることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、前記少なくとも1つの光ファイバプローブは、電気機械式シリンダ、気体圧式シリンダ、液体圧式シリンダ及びロボットからなる群から選択された移動装置によって、被検査冷却剤通路に対して挿入及び引き抜きが行われることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、前記少なくとも1つの光ファイバプローブを少なくとも収容する筐体をさらに備え、前記少なくとも1つの光ファイバプローブは、検査位置にある場合、前記筐体の対応する開口部を通って延在することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、前記筐体は、被検査シリンダヘッドに対して接近及び離間できることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、前記筐体は、前記筐体と前記被検査シリンダヘッドの合わせ面とを接触させる際に前記筐体が前記合わせ面と自動で位置合わせできるように、移動組立体により浮動状態で吊り下げられることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5記載の装置において、前記少なくとも1つの光ファイバプローブは、前記筐体内で、被検査シリンダヘッドに対して接近及び離間できることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項5記載の装置において、前記シリンダヘッドに対して前記筐体を位置決めするための少なくとも1つの位置決め部材をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、前記少なくとも1つの光ファイバプローブを前記冷却剤通路に挿入している間、ダメージから保護するために前記少なくとも1つの光ファイバプローブを略囲む保護用ハウジングをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1記載の装置において、詰まりの存在を表示するディスプレイをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、前記詰まりの相対位置が前記ディスプレイに表示されることを特徴とする装置。
【請求項13】
移動可能な筐体と、
プローブ取り付けプレートによって固定配置で保持される複数の発光/受光光ファイバプローブと、
筐体を移動させて被検査シリンダヘッドの合わせ面と接触させ、及び筐体を引き抜いて前記合わせ面から離間させる第1移動組立体と、
前記筐体内に配置され、前記被検査シリンダヘッドの冷却剤通路に対して前記光ファイバの挿入及び引き抜きを行うように動作する第2移動組立体と、
前記光ファイバプローブと通信する少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサと通信するプロセッサと、
を備えた車両用シリンダヘッドの複数の冷却剤通路内の詰まりの存在を検知する装置であって、
前記光ファイバプローブは、非検査位置にある場合は少なくとも前記筐体の略内部に位置付けられ、検査位置にある場合は前記筐体の対応する光ファイバプローブ開口部を通って延在し、
前記少なくとも1つのセンサは、前記冷却剤通路の検査中に前記光ファイバプローブに向かって反射し且つ前記光ファイバプローブによって受光される出射光を記録するように動作し、
前記プロセッサは、前記センサによって記録された反射光の測定値をしきい値と比較して前記被検査シリンダヘッドの前記冷却剤通路内に詰まりが存在するかどうかを判断するように動作することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、使用される光ファイバの個数は、前記被検査シリンダヘッド内に存在する冷却剤通路入口部の個数と等しいことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項13記載の装置において、前記プローブ取り付けプレートは、1以上の前記光ファイバプローブと前記被検査シリンダヘッドとの十分な接触によって前記プローブ取り付けプレートが変位するように、前記筐体内に吊り下げられていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、前記プローブ取り付けプレートに関連付けられた1以上のセンサをさらに備え、前記1以上のセンサは、前記プローブ取り付けプレートが変位する場合、対応するプロセッサに信号を送るように動作することを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16記載の装置において、前記1以上のセンサからの信号によって、前記光ファイバプローブの延伸が停止、又は前記光ファイバプローブが引き戻されることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項13記載の装置において、前記筐体は、前記筐体と前記被検査シリンダヘッドの合わせ面とを接触させる際に前記筐体が前記合わせ面と自動で位置合わせできるように、前記筐体と関連付けられた移動組立体に対して浮動状態で取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18記載の装置において、前記筐体は、対応する位置決めブラケットの開口部に受容される複数の略円錐状位置決め部材を用いて、対応する移動組立体に取り付けられ、前記略円錐状位置決め部材は、前記筐体と前記被検査シリンダヘッドとを接触させる際に前記位置決め部材から少なくとも部分的に引き戻されることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項13記載の装置において、前記被検査シリンダヘッドに対して前記筐体を適切に位置決めするための少なくとも1つの位置決め部材をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項13記載の装置において、前記被検査シリンダヘッドに対する前記筐体の適切な位置を知らせるための少なくとも1つのセンサをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項13記載の装置において、前記移動組立体のいずれかは、電気機械式シリンダ、気体圧式シリンダ及び液体圧式シリンダからなる群から選択された移動装置を備えることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項13記載の装置において、各光ファイバプローブを略囲む保護用ハウジングをさらに備え、前記保護用ハウジングは、前記シリンダヘッドとの接触による潜在的なダメージ及び/又は対応の冷却剤通路に存在する詰まり物質から前記光ファイバプローブを保護することを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項13記載の装置において、前記筐体内の各光ファイバプローブ開口部の周りに配置された内部及び/又は外部拭取り部材をさらに備え、前記拭取り部材は、対応する光ファイバプローブハウジングを前記筐体に引き戻す際に前記光ファイバプローブハウジングから汚れを取り除くために設けられることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項13記載の装置において、前記筐体は、前記筐体への汚れの侵入を最小限にするため又は防止するために加圧されていることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項13記載の装置において、前記筐体の移動組立体からの前記筐体の分離及び取り外しを容易にする素早く交換可能な電気コネクタ及び/又は気体圧コネクタをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項13記載の装置において、冷却剤通路の詰まりの存在を表示するディスプレイをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項27記載の装置において、前記詰まりの相対位置が前記ディスプレイに表示されることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項13記載の装置において、冷却剤通路の詰まりの検知によって、影響を受けるシリンダヘッドの製造及び/又は使用に関するさらなるアクションを引き起こすか、又は阻止することが可能なように、1以上の他のシリンダヘッド製造関連装置との通信回線を備えることを特徴とする装置。
【請求項30】
発光及び受光可能な光ファイバプローブを設けるステップと、
被検査冷却剤通路に前記光ファイバプローブを挿入するステップと、
前記冷却剤通路内へ前記光ファイバプローブによって光を出射させるステップと、
出射された光が前記光ファイバプローブへ反射して戻り且つ前記光ファイバプローブによって受光される場合、前記光ファイバプローブと通信するセンサを用いて前記反射光を記録するステップと、
前記光ファイバプローブを前記冷却剤通路から引き抜くステップと、
前記センサによって記録された反射光の測定値としきい値とを比較して、前記冷却剤通路内に詰まりが存在するか否かを判断するステップと、
を備える車両用シリンダヘッドの冷却剤通路内の詰まりを検知する方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法において、複数の光ファイバプローブが設けられ、前記複数の光ファイバプローブを同時に用いることにより複数の冷却剤通路を検査することを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項32記載の方法において、前記光ファイバプローブの個数は前記シリンダヘッドに存在する冷却剤通路の個数と等しいことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項30記載の方法において、前記被検査冷却剤通路に対する前記光ファイバプローブの挿入及び引き抜きは、手動で行われることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項30記載の方法において、前記被検査冷却剤通路に対する前記光ファイバプローブの挿入及び引き抜きは、電気機械式シリンダ、気体圧式シリンダ、液体圧式シリンダ及びロボットからなる群から選択された移動装置によって行われることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項1記載の方法において、少なくとも前記光ファイバプローブを収容する筐体をさらに備え、前記少なくとも1つの光ファイバプローブは、検査位置にある場合、前記筐体の対応する開口部を通って延在することを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、前記筐体は、被検査シリンダヘッドに対して接近及び離間可能であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36記載の方法において、前記筐体は、前記筐体と前記被検査シリンダヘッドの合わせ面とを接触させる際に前記筐体が前記合わせ面と自動で位置合わせできるように、移動組立体によって浮動状態で吊り下げられることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項35記載の方法において、前記少なくとも1つの光ファイバプローブは、前記筐体内で、被検査シリンダヘッドに対して接近及び離間できることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項30記載の方法において、反射光の前記しきい値は、問題にならないサイズの詰まりの存在を許容できるように調整可能であることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項30記載の方法において、使用者に対して詰まりの存在を警告する手段をさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項30記載の方法において、シリンダヘッドの検査状態を表示するディスプレイをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項41記載の方法において、検知された詰まりの相対位置が表示されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【公開番号】特開2008−256683(P2008−256683A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−73558(P2008−73558)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】