説明

冷却庫

【課題】収納室に収納された被冷却物を全域に亘ってむらなく冷却する。
【解決手段】冷却庫本体10内における間口方向の一側に寄った位置にダクトパネル15が張られ、その両側に収納室16と冷却器室17とが形成される。収納室16には、複数の棚網20が張られて蓄冷剤25の収納スペース23が複数段に亘って形成される。冷却器室17内の下部領域に冷却器30が配され、ダクトパネル15における冷却器30の正面に吸込口35が形成されるとともに、吸込口35よりも上方の領域に、庫内ファン40が上下2段に配設される。上段の庫内ファン40uが、最上段の収納スペース23dの略中央高さ位置に対応した位置に、下段の庫内ファン40dが、吸込口35よりも上方側において吸込口35に最も近い上から2段目の棚網20cと対応した位置に配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄冷剤凍結庫等の冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄冷剤凍結庫の一例として、特許文献1に記載されたものが知られている。このものは、前面開口でかつ同前面開口に断熱扉を装着してなる断熱性の冷却庫本体の内部において、間口方向の一側に寄った位置にダクトパネルが張られることにより、同ダクトパネルを挟んだ間口の広い側に収納室が、狭い側に冷却器室が形成され、収納室には、複数の棚網が上下方向に間隔を開けて配設されることで、蓄冷剤を収納する収納スペースが複数段に亘って形成されている一方、冷却器室内の下部領域には冷却器が配されて、ダクトパネルにおける冷却器の正面に吸込口が形成されているとともに、同ダクトパネルにおける吸込口の形成領域の上下両側に庫内ファンが設けられた構造である。そして、庫内ファンが駆動されると、吸込口を通して吸引された庫内空気が上下に分かれるようにして冷却器を通過する間に冷気が生成され、この冷気が上下の庫内ファンから収納室の上部位置と下部位置とに吹き出されるといった循環流が生じ、棚網上に収納された蓄冷剤が凍結されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−11931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで蓄冷剤を収納室に収納する一形態として、コンテナと称する上面開口で周壁に多数の通孔を開けた収容箱内に、複数の蓄冷剤を整列して入れ、コンテナごと棚網に載せて同棚網上の収納スペースのほぼ一杯に詰めて収納する形態が挙げられる。
このような収納形態を採って凍結運転を行った場合、冷気は元々下方に沈みやすいし、コンテナの壁が邪魔になることも手伝って、特に最上段の収納スペースに載置された蓄冷剤に冷気が当たり難い嫌いがある。また、吸込口に近い高さの収納スペースでは、吹き出された冷気の一部がコンテナの壁に当たって跳ね返りつつ直ちに吸込口から吸い込まれてしまう、いわゆるショートサイクルが生じ、同収納スペースの蓄冷剤も冷やされ難い嫌いがあり、結果、収納箇所によって凍結具合にむらができるおそれがあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、収納室に収納された被冷却物を全域に亘ってむらなく冷却できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の冷却庫は、前面開口でかつ同前面開口に断熱扉を装着してなる断熱性の冷却庫本体の内部には、間口方向の一側に寄った位置にダクトパネルが張られて、同ダクトパネルを挟んだ間口の広い側に収納室が、狭い側に冷却器室が形成され、前記収納室には、複数の棚網が上下方向に間隔を開けて配設されることで、被冷却物を収納する収納スペースが複数段に亘って形成されている一方、前記冷却器室内の下部領域に冷却器が配されて、前記ダクトパネルにおける前記冷却器の正面に吸込口が形成されているとともに、同ダクトパネルにおける前記吸込口よりも上方の領域には、前記吸込口を通して吸引された庫内空気が前記冷却器を通過する間に生成された冷気を前記収納室に向けて吹き出す庫内ファンが複数段に亘って配設され、かつ、最上段の前記庫内ファンが、最上段の前記収納スペースの略中央高さ位置に対応した位置に、最下段の前記庫内ファンが、前記吸込口よりも上方側において同吸込口に最も近い前記棚網と対応した位置に配されている構成としたところに特徴を有する。
【0006】
庫内ファンを複数段に分けて配して、その内の最上段の庫内ファンを最上段の収納スペースに正対させて配したから、最上段の収納スペースに収納された被冷却物に向けて冷気を確実に吹き付けることができる。また、最下段の庫内ファンは、吸込口の上方で同吸込口に最も近い棚網と正対させて配したから、同庫内ファンから吹き出された冷気は、その棚網と、その棚網の下側の収納スペースに収納された被冷却物の上面の間を通って、ショートサイクルを生じることなく収納室の反対側の端部まで吹き抜け、被冷却物が有効に冷却される。
結果、従来冷気が当たり難い等で冷却され難いとされていたところの、最上段の収納スペースや、吸込口に近い高さの収納スペースに収納された被冷却物に対して冷却能力を向上させることができ、収納室に収納された被冷却物を全域に亘ってむらなく冷却することができる。
【0007】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)各段における前記庫内ファンは、奥行方向において複数個が並んで配設されている。被冷却物の手前側や奥側を通って冷気が流れやすくなり、被冷却物をより冷却しやすくなる。
【0008】
(2)ファン装着板に対して前記庫内ファンを所定の配置で装着したファンユニットが備えられるとともに、前記ダクトパネルにおける庫内ファンの装着領域には装着開口が形成され、前記ファンユニットの前記ファン装着板が、前記装着開口に対して着脱可能に被着されるようになっている。
例えば、大きさの異なる被冷却物を収納すること等に対応して、棚網の数と装着高さとを異にした複数の態様で使用することがあり、その場合は、ダクトパネルにおける庫内ファンの配設位置も変更する必要がある。そのため、ファン装着板に対して、棚網の各種配設態様に適合した配置で庫内ファンを装着したファンユニットを各種備え、棚網の配設態様に応じて適正なファンユニットをダクトパネルの装着開口に対して取り付けるようにする。
冷却庫の使用形態に応じて庫内ファンの配設位置を適合させる場合に、ファンユニットを選択して装着するだけでよいから、ダクトパネルごと変更する場合と比べて、安価にかつ簡単な作業で対応することができる。
【0009】
(3)前記被冷却物が蓄冷剤であって、通気性の周壁を有する収容箱内に複数の前記蓄冷剤が整列して入れられ、前記収容箱ごと前記棚網に載せられて同棚網上の収納スペースに収納されるようになっている。
冷気が回り難いとされる蓄冷剤を収納した場合も、全域に亘って満遍なく、かつ有効に冷気を当てることができて、効率の良い凍結機能を発揮することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、収納室に収納された被冷却物を全域に亘ってむらなく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1に係る蓄冷剤凍結庫の開扉状態の斜視図
【図2】蓄冷剤凍結庫の一部切欠正面図
【図3】その側面から見た断面図
【図4】蓄冷剤を収容したコンテナの概略平面図
【図5】ダクトパネルからの除霜水の受け面の形成部分を示す斜視図
【図6】ドレンシュータの配設構造を示す部分断面図
【図7】除霜水の排水経路を示す部分正面図
【図8】その拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図8によって説明する。この実施形態では、蓄冷剤凍結庫を例示している。
図1ないし図3において、符号10は、前面開口の縦長の断熱箱体からなる凍結庫本体であって、底面の四隅に設けられた脚11で支持されているとともに、前面開口部12には断熱扉13が揺動開閉可能に支持されている。
本体10内には、図2に示すように、正面から見た右側面に寄った位置に、ステンレス鋼板等の金属板からなるダクトパネル15が縦向きに張られており、ダクトパネル15を挟んだ左側の約3/4の領域が収納室16とされ、右側の残りの領域が冷却器室17とされている。冷却器室17の手前側の開口は、前面板18で閉鎖されている。
【0013】
収納室16には、奥面の左右両端部と、左右の側面(右側面はダクトパネル15)の手前側の端部との都合4箇所に棚柱21が取り付けられ、4枚の棚網20が、それぞれの四隅を各棚柱21に装着された棚受金22で受けられることにより、上下方向に一定間隔を開けて配されており、各棚網20の上方に、蓄冷剤25を収納する収納スペース23が4段に亘って形成されている。各収納スペース23はほぼ同じ高さを有し、収納室16内の高さ領域をほぼ4等分するようにして設けられている。
なお、棚網20と収納スペース23について、段ごとに区別する場合には、最下段から最上段に向けて、それぞれ符号20,23に添え字a〜dを付して区別する。
【0014】
蓄冷剤25はコンテナ26に収容された形態で、収納スペース23に収納される。蓄冷剤25は、ポリエチレン等の合成樹脂製のハードケース内にゲル化剤が充填された公知のものであって、全体としては平面長方形の厚板形状をなしている。
コンテナ26は、同じく合成樹脂製で上面開口の箱形に形成されており、図3に示すように、各収納スペース23に対して奥行方向に2個並んでほぼすっぽりと収納し得る縦横の幅と、収納スペース23の全高よりも少し低い高さ寸法とを有している。コンテナ26の周壁には、それぞれの全面に亘り、例えば丸孔からなる多数の通孔27が整列して開口されているとともに、前後の面には把手口28が形成されている。
【0015】
コンテナ26内には、図4に示すように、複数(例えば18個)の蓄冷剤25が、左右2列に亘って若干の隙間を開けつつ並んで収容されるようになっている。このように蓄冷剤25を収容したコンテナ26が、棚網20に載せられて、上記のように奥行方向に2個並んで収納スペース23に収納されるようになっている。
【0016】
一方、冷却器室17内には、図2に示すように、その下部領域において冷却器30が配設されている。冷却器30は、冷却器室17の奥行寸法よりも少し狭い横幅と、各収納スペース23の高さよりも少し大きい縦幅とを持ったやや扁平な方形のブロック状をなしており、エンドプレートから背面側に延出された取付板31を、冷却器室17における右側面(ダクトパネル15の裏面と対向した面)にねじ止めする等で取り付けられている。より詳細には、冷却器30は、冷却器室17の奥行方向のほぼ中央部に位置し、かつ同冷却器30の中央高さ位置が、下から2段目の棚網20bの少し上方に来る配置で設置されている。
冷却器30は、本体10の上面に設けられた機械室33内に格納された冷凍装置(図示せず)と冷媒配管34により循環接続され、周知の冷凍サイクルが構成されている。
【0017】
収納室16と冷却器室17とを仕切る上記したダクトパネル15には、冷却器30の正面と対応する位置において、同冷却器30の正面全面よりも一回り小さい範囲に亘って吸込口35が形成されている。同吸込口35は詳細には、多数の縦向きのスリット36を縦横に整列して開口することにより、正面ほぼ正方形をなすように形成されている。
このダクトパネル15における吸込口35よりも所定寸法下方には、図5及び図7に示すように、収納室16側に段差状に張り出した張出部15aが形成されている。張出部15aの上面の位置は、図2に示すように、最下段の収納スペース23aのほぼ1/4高さ位置に対応している。
【0018】
ダクトパネル15における吸込口35よりも上方の領域には、庫内ファン40が装着されている。庫内ファン40はファンモータであって、表面側がカバー41で覆われている。庫内ファン40は4基備えられ、収納室16の奥行方向に2基並び、かつ上下2段に亘って配されている。
上段側の2基の庫内ファン40uは、最上段の収納スペース23dの略中央高さ位置に対応した位置に配されている。一方、下段側の2基の庫内ファン40dは、上から2段目の棚網20cと対応した位置に配されている。
また、上下各段の2個の庫内ファン40u,40dにおける収納室16の奥行方向の位置は、図3に示すように、収納スペース23に2個のコンテナ26が収納された場合に、手前側と奥側の庫内ファン40u,40dがそれぞれ、手前側と奥側のコンテナ26における奥行方向のほぼ中央位置に対応するようになっている。
【0019】
基本的な冷却運転は、冷凍装置と庫内ファン40が駆動されることで行われ、図2の矢線に示すように、吸込口35を通して吸引された庫内空気が冷却器30を上方に向けて通過する間に熱交換により冷気が生成され、この冷気が庫内ファン40u,40dから収納室16に吹き出されるといった循環流が生じ、棚網20上に収納された蓄冷剤25が冷却(凍結)されるようになっている。本実施形態では、収納室16内が「−40℃」程度まで冷却される。
【0020】
上記のように庫内温度を「−40℃」程度といった極低温域まで下げるためには、冷却器30は相応の低温状態に維持される必要があり、着霜が生じやすいと言える。そのため適宜に除霜運転が行われ、冷却器30の下面と正面とに、シーズヒータからなる除霜ヒータ42が装着されている。
【0021】
一方、冷却器30の下方には、冷却器30からの除霜水を受けて庫外へ排出するためのドレンシュータ45が配設されている。ドレンシュータ45の配設位置はより詳細には、冷却器室17内の底部側であるダクトパネル15の張出部15aが設けられた拡幅部17a内において、奥行並びに幅一杯に配されるようになっている。
ドレンシュータ45は、ステンレス鋼板等の金属板製であって、図6に示すように、手前側から奥側に向けて下り勾配となった底板46の左右並びに奥縁に側板(側面板47a,47bと奥面板47c)を立ち上がり形成した形状となっている。
【0022】
このドレンシュータ45が、左右の側面板47a,47bと奥面板47cを、冷却器室17の拡幅部17aにおける左右の側壁と奥壁にそれぞれ当て、左右の側面板47a,47bをねじ48で止めることによって固定されている。
特筆すべきは、ドレンシュータ45における正面から見た左側面板47aが、拡幅部17aの左側壁であるダクトパネル15の張出部15aの裏面に密着して取り付けられていることであり、その際、左側面板47aが張出部15aの上面と干渉しないように、右側面板47bよりも背が低く形成されている。
ドレンシュータ45の奥面板47cの下端位置には、排水管49が突出して設けられ、同排水管49が、本体10の背面壁10aの下端部に設けられた排水路52に進入して接続されている。
【0023】
なおドレンシュータ45上には、冷却器30から霜が塊となって落下する可能性があり、この霜の塊が排水管49に詰まって凍結するおそれがある。そのため、ドレンシュータ45の底板46の下面(外面)には、コードヒータからなる補助ヒータ50が装着され、霜の塊が落下した場合にこれを速やかに融かすようになっている。
除霜ヒータ42と補助ヒータ50とは、共に除霜運転の開始時にオンされる一方、除霜ヒータ42は除霜運転終了時にオフされ、補助ヒータ50は除霜運転の終了後に設定される水切り時間(10分程度)の経過後にオフされるようになっている。
【0024】
また、当該凍結庫では、上記のように庫内が「−40℃」程度といった極低温域にまで冷却され、庫内の一壁面を構成するダクトパネル15も相応に低温となっているため、例えば冷却(凍結)運転中に断熱扉13が開閉されて外気が導入されると、冷却器30に着霜することに加えて、ダクトパネル15における吸込口35の形成領域15b付近の表面にも着霜しやすいという事情がある。
そこで上記した除霜運転時には、冷却器30に装備された除霜ヒータ42の輻射熱等により、ダクトパネル15における吸込口35の形成領域15b付近の裏面側が加熱され、表面側の着霜が併せて融かされるようになっている。
【0025】
この吸込口35の形成領域15b付近の表面からの除霜水の排出経路は、以下のようである。上記したように、ダクトパネル15における吸込口35よりも所定寸法下方には、収納室16側に段差状に張り出した張出部15aが形成されており、この張出部15aの上面が、吸込口35の形成領域15b付近の表面からの除霜水を受ける受け面55とされている。
上記のように、ドレンシュータ45の左側面板47aがダクトパネル15の張出部15aの裏面に密着して固定されているのであるから、張出部15aの上面である受け面55は、ダクトパネル15の表面に繋がった基端側の大部分の面が、ドレンシュータ45の内部の上方に臨んでいることになる。
【0026】
受け面55における基端側の隅部には、断面L字形をなす排水孔57が、同受け面55における収納室16側から見た横幅方向のほぼ全幅に亘って形成されている。より詳細には、排水孔57は、図3及び図5に示すように、小幅の仕切部58で仕切られつつ、横幅方向に沿って、複数に分割されて形成されている。また、受け面55における各仕切部58から内側に入った位置ごとに、補助排水孔59が開口されている。上記した排水孔57と補助排水孔59の全てが、ダクトパネル15寄りの端部ではあるがドレンシュータ45の内部の上方に臨んでいることになる。
また上記したように、ドレンシュータ45の左側面板47aが、受け面55の直ぐ下の位置において張出部15aの裏面に密着されているから、ドレンシュータ45の下面に配された補助ヒータ50が発熱した場合、その熱が、ドレンシュータ45の左側面板47aから張出部15aを介して受け面55まで伝導されるようになっている。
【0027】
続いて、本実施形態の凍結庫の使用例を説明する。蓄冷剤25はほぼ一昼夜を掛けて凍結され、例えば当日の朝に、前日から収納されて凍結された蓄冷剤25を取り出し、そののち別途保管されていた凍結前の蓄冷剤25を収納し、次の日の朝に亘って完全凍結するようになっている。
蓄冷剤25を凍結するには、図4に示すようにコンテナ26内に蓄冷剤25を整列して収容したのち、コンテナ26を棚網20に載せつつ、奥行方向に2個並べて各段の収納スペース23に収納する。
【0028】
この状態で、冷凍装置並びに各庫内ファン40が駆動されると、図2の矢線に示すように、収納室16の庫内空気が、ダクトパネル15の下部領域に設けられた吸込口35を通って冷却器30に向けて吸引され、同冷却器30を上方に向けて通過する間に熱交換されて冷気が生成される。この冷気が、ダクトパネル15の上部領域に上下2段に亘って設けられた庫内ファン40u,40dから収納室16に向けて吹き出されるといった循環流が生じ、冷気が通孔27や上面開口からコンテナ26内を流通しつつ収容された蓄冷剤25が冷却され、ついには凍結されることになる。
【0029】
ここで、ダクトパネル15に配された4基の庫内ファン40のうち、上側の2基の庫内ファン40uは、最上段の収納スペース23dに収納された前後2個のコンテナ26の略中央部にそれぞれ正対した形態で配されているから、両コンテナ26に向けて確実に冷気を吹き付けてその内部に流通させることができ、また、奥側のコンテナ26と奥壁との間、手前側のコンテナ26と断熱扉13との間の隙間を通って、冷気がスムーズに収納室16の反対側の端部(正面から見た左端部)側に流れる。
【0030】
また、下側の2基の庫内ファン40dは、吸込口35の上方で同吸込口35に最も近い上から2段目の棚網20cと正対して配されていて、言い換えると、両庫内ファン40dの下半分の吹出領域が、同棚網20cと、その下の収納スペース23bに収納されたコンテナ26の上端との間の隙間と正対している。そのため、両庫内ファン40dの下半分の吹出領域から吹き出された冷気は、上記した隙間を通り、吸込口35に直ぐに吸い込まれるショートサイクルを生じることなく、収納室16の反対側の端部まで吹き抜ける。
【0031】
なお、下側の2基の庫内ファン40dの上半分の吹出領域から吹き出された冷気は、その一部が上から2段目の収納スペース23cに収納されたコンテナ26の底部に当たって跳ね返るが、その下方には収納室16の左端部まで吹き抜ける冷気の流れがあるから、跳ね返った冷気も、エゼクタ効果によって吹き抜ける流れに乗り、ショートサイクルを起こすことはない。下側の2基の庫内ファン40dについても、前後に分かれて配されていることで、上から2段目の収納スペース23cに収納された奥側のコンテナ26の奥と、手前側のコンテナ26の手前の隙間にスムーズに冷気を回すことができる。
【0032】
このように、従来冷気が当たり難い等で冷却され難いとされていたところの、最上段の収納スペース23dに収納されたコンテナ26(蓄冷剤25)や、吸込口35に近い高さの上から2段目と3段目の収納スペース23c,23bに収納されたコンテナ26(蓄冷剤25)に対しても冷気が当たりやすくなり、すなわち冷却能力を向上させることができ、収納室16に収納された蓄冷剤25が全域に亘ってむらなく冷却(凍結)される。
【0033】
このような冷却(凍結)運転の間、冷却器30や、ダクトパネル15における吸込口35の形成領域15b付近の表面に着霜する可能性が高く、そのため適宜に除霜運転が行われる。
除霜運転は、冷凍装置と庫内ファン40の駆動が停止された状態で、冷却器30の下面と正面に装備された除霜ヒータ42に通電され、併せてドレンシュータ45の底板46の外底面に装着された補助ヒータ50に通電されることで行われる。
【0034】
除霜ヒータ42の発熱により冷却器30が加熱されることで、同冷却器30に付着した霜が融かされ、冷却器30から滴下した除霜水はドレンシュータ45で受けられたのち、下端の排水管49から排水路52を通って庫外に排水される。このときドレンシュータ45上に霜の塊が落下する場合があるが、ドレンシュータ45の底板46が補助ヒータ50で加熱されているために、落下した霜の塊も速やかに融かされ、排水管49等に詰まることなく同様に庫外に排水される。
【0035】
上記の除霜運転の際、主に冷却器30の正面に配された除霜ヒータ42の発熱を受けて、ダクトパネル15における吸込口35の形成領域15bの裏面側が併せて加熱される。そのため、表面側に着霜があった場合にはこれが融かされ、図8の矢線に示すように、除霜水がダクトパネル15の表面を伝って受け面55に達したのち、同受け面55の基端側の隅部に開口された排水孔57を通ってドレンシュータ45に滴下して受けられる。このとき、吸込口35の形成領域15b付近の着霜量が多いと、例えば吸込口35の前後両側から霜の塊が受け面55上に落下する可能性がある。しかしながら、ドレンシュータ45の左側面板47aがダクトパネル15の張出部15aの裏面に接触していることから、補助ヒータ50の熱が伝導して受け面55が加熱され、同受け面55に落下した霜の塊も速やかに融かされて排水孔57に詰まることなくドレンシュータ45内に滴下する。
【0036】
なお、排水孔57は仕切部58で仕切られつつ分割して形成されているから、受け面55に流下した除霜水の一部が仕切部58上に残るおそれがあるが、受け面55上における仕切部58の内側に入った位置には補助排水孔59が開口されているから、仕切部58に残ろうとした除霜水も補助排水孔59を通ってドレンシュータ45に滴下する。
【0037】
本実施形態によれば、4基の庫内ファン40が、前後2個ずつ上下2段に亘って配され、そのうち上側の2基の庫内ファン40uは、最上段の収納スペース23dに収納された前後2個のコンテナ26の中央部にそれぞれ正対した形態で配されているから、両コンテナ26に向けて確実に冷気を吹き付けてその内部に流通させることができ、また、奥側のコンテナ26と奥壁との間、手前側のコンテナ26と断熱扉13との間の隙間を通して、冷気をスムーズに収納室16の反対の端部側に流すことができる。
【0038】
また、下側の2基の庫内ファン40dは、上から2段目の棚網20cと正対して配され、言い換えると、両庫内ファン40dの下半分の吹出領域が、同棚網20cと、その下の収納スペース23bに収納されたコンテナ26の上端との間の隙間と正対しているから、両庫内ファン40dの下半分の吹出領域から吹き出された冷気は、上記した隙間を通り、シュートサイクルを生じることなく収納室16の反対側の端部まで吹き抜ける。下側の2基の庫内ファン40dの上半分の吹出領域から吹き出されて跳ね返った冷気も、エゼクタ効果によって上記の吹き抜ける流れに乗り、ショートサイクルを起こすことが回避される。下側の2基の庫内ファン40dについても、前後に分かれて配されていることで、上から2段目の収納スペース23cに収納された奥側のコンテナ26の奥と、手前側のコンテナ26の手前の隙間にスムーズに冷気を回すことができる。
【0039】
以上のように、従来冷気が当たり難い等で冷却され難いとされていたところの、最上段の収納スペース23dに収納されたコンテナ26(蓄冷剤25)や、吸込口35に近い高さの上から2段目と3段目の収納スペース23c,23bに収納されたコンテナ26(蓄冷剤25)に対しても冷気が当たりやすくなり、すなわち冷却能力を向上させることができ、収納室16に収納された蓄冷剤25を全域に亘ってむらなく冷却(凍結)することができる。
【0040】
<実施形態2>
蓄冷剤凍結庫によっては、蓄冷剤25すなわちコンテナ26の大きさが異なるものを収納すること等に対応して、棚網20の数と装着高さとを異にした態様で使用することがある。その場合は、実施形態1で説明したように、最上段のコンテナ26に確実に冷気を当て、また吸込口35に近い箇所でのショートサイクルを防止するためには、ダクトパネル15上における庫内ファン40の配設位置も変更する必要がある。
【0041】
そこで、図1の鎖線で概念的に示すように、ダクトパネル15における庫内ファン40の装着領域に装着開口60を形成する一方、ファン装着板63に対して、棚網20の各種配設態様に適合した配置で庫内ファン40を装着したファンユニット62を各種備え、棚網20の配設態様に応じて適正なファンユニット62を選択して、装着開口60に対して取り付けるようにするとよい。
凍結庫の使用形態に応じて庫内ファン40の配設位置を適合させる場合に、ファンユニット62を選択して装着するだけでよいから、ダクトパネル15ごと変更する場合と比べて、安価にかつ簡単な作業で対応することができる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)棚網の配設態様等の条件に応じ、庫内ファンの装着段数は2段以上任意である。
(2)各段における庫内ファンの奥行方向の数は、1基でもよく、また3基以上であってもよい。また、段ごとに庫内ファンの数を変更するようにしてもよい。
(3)本発明は上記実施形態に例示した蓄冷剤凍結庫に限らず、加熱調理した食品等を急速に凍結する急速凍結庫等、要は、ダクトパネルを挟んだ一側に、複数の棚網が多段に配された収納室が設けられる一方、他側の冷却器室内に冷却器が配されて、ダクトパネルにおける冷却器の正面に吸込口が形成され、かつ同吸込口よりも上方の領域に庫内ファンが複数段に亘って配設された冷却庫全般に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10…凍結庫本体(冷却庫本体) 13…断熱扉 15…ダクトパネル 16…収納室 17…冷却器室 20,20a〜20d…棚網 21…棚柱 23,23a〜23d…収納スペース 25…蓄冷剤(被冷却物) 26…コンテナ(収容箱) 27…通孔 30…冷却器 35…吸込口 40,40u,40d…庫内ファン 60…装着開口 62…ファンユニット 63…ファン装着板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口でかつ同前面開口に断熱扉を装着してなる断熱性の冷却庫本体の内部には、間口方向の一側に寄った位置にダクトパネルが張られて、同ダクトパネルを挟んだ間口の広い側に収納室が、狭い側に冷却器室が形成され、
前記収納室には、複数の棚網が上下方向に間隔を開けて配設されることで、被冷却物を収納する収納スペースが複数段に亘って形成されている一方、
前記冷却器室内の下部領域に冷却器が配されて、前記ダクトパネルにおける前記冷却器の正面に吸込口が形成されているとともに、同ダクトパネルにおける前記吸込口よりも上方の領域には、前記吸込口を通して吸引された庫内空気が前記冷却器を通過する間に生成された冷気を前記収納室に向けて吹き出す庫内ファンが複数段に亘って配設され、
かつ、最上段の前記庫内ファンが、最上段の前記収納スペースの略中央高さ位置に対応した位置に、最下段の前記庫内ファンが、前記吸込口よりも上方側において同吸込口に最も近い前記棚網と対応した位置に配されていることを特徴とする冷却庫。
【請求項2】
各段における前記庫内ファンは、奥行方向において複数個が並んで配設されていることを特徴とする請求項1記載の冷却庫。
【請求項3】
ファン装着板に対して前記庫内ファンを所定の配置で装着したファンユニットが備えられるとともに、前記ダクトパネルにおける庫内ファンの装着領域には装着開口が形成され、前記ファンユニットの前記ファン装着板が、前記装着開口に対して着脱可能に被着されるようになっていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷却庫。
【請求項4】
前記被冷却物が蓄冷剤であって、通気性の周壁を有する収容箱内に複数の前記蓄冷剤が整列して入れられ、前記収容箱ごと前記棚網に載せられて同棚網上の収納スペースに収納されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の冷却庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−47389(P2012−47389A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189532(P2010−189532)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】