説明

冷却装置およびそれを備えた空気調和機

【課題】冷却装置が制御部品を十分に冷却できない場合でも制御部品を破損させることのない冷却装置を提供する。
【解決手段】圧縮機22と、室外熱交換器24と、減圧装置26と、室内熱交換器28と、これらを接続して冷媒が流れる配管とを有する空気調和機の制御ボックス内に収容された制御部品を冷却する冷却装置であって、制御部品40と離れた状態で制御ボックス42内に配置され、冷媒との熱交換によって制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニット44と、制御ボックス内の空気を攪拌するファン54と、制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段60と、圧縮機の駆動周波数を制御する周波数制御手段62を備え、制御ボックス内温度検知手段が所定以上の温度を検知すると周波数制御手段が圧縮機の駆動周波数を下げるので、制御部品が所定以上の温度となって破損するのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の制御部品を冷却する冷却装置、およびそれを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機、室外熱交換器、減圧装置、室内熱交換器、およびこれらを接続して冷媒が流れる配管を有する空気調和機において、制御基板などの制御部品は例えば粉塵や水などから保護するために制御ボックス内に収容してある。その際、制御部品が安定して動作するのを保証するために、制御部品の冷却を考慮する必要があった。そこで、制御ボックス内の温度と制御部品の温度を検知して、冷却装置を駆動するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、前記特許文献1に記載された従来の冷却装置を示すものである。図5に示すように発熱体1を収納した電気品箱2と、圧縮機3と凝縮器4と膨張弁5と蒸発器6にて構成された冷凍サイクル7と、この冷凍サイクル7中の低温冷媒にて放熱器12を介して前記発熱体1を冷却する冷却機構8と、前記発熱体1の温度を検出する発熱体温度検出手段9と、前記電気品箱2内の温度を検出する空気温度検出手段10と、前記発熱体温度検出手段9で検出した発熱体温度と前記空気温度検出手段10で検出した電気品箱内空気温度とを比較し前記発熱体温度が前記電気品箱内空気温度以上の所定の温度幅域の上限に達すると前記冷却機構8を作動し、前記所定の温度幅域の下限に達すると前記冷却機構8を停止する制御手段11とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−187725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の空気調和機の場合、冷却装置(冷却機構)が制御部品(発熱体)を十分に冷却できない場合に、制御部品の温度が所定以上の温度になって制御部品を破損させる恐れがあるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、仮に冷却装置が制御部品を十分に冷却できない場合でも制御部品を破損させることのない冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の冷却装置は、制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段と、前記冷媒を循環させる圧縮機の駆動周波数を制御する周波数制御手段を備え、前記制御ボックス内温度検知手段が所定の温度以上の温度を検知すると周波数制御手段が周波数を下げる構成としてある。
【0008】
これによって、仮に冷却ユニットが制御部品を十分に冷却できない場合でも圧縮機の駆動周波数を下げて制御部品が所定以上の温度にならないようにして制御部品を保護することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の冷却装置によれば、仮に冷却装置が制御部品を十分に冷却できない場合でも制御部品が所定以上の温度にならないようにして制御部品を保護することが可能で、高い信頼性を備える冷却装置および空気調和機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係る冷却装置と空気調和機の概略構成図
【図2】図1に示す制御ボックスの内部を示す概略構成図
【図3】図1に示す冷却ユニットの斜視図
【図4】本発明の実施の形態2に係る冷却装置と空気調和機の概略構成図
【図5】従来の冷却装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段と、前記冷媒を循環させる圧縮機の駆動周波数を制御する周波数制御手段を備え、制御ボックス内温度検知手段が所定以上の温度を検知すると周波数制御手段が周波数を下げる構成としたもので、仮に冷却ユニットが制御部品を十分に冷却できない場合でも圧縮機の駆動周波数を所定以下に下げて、制御部品が所定以上の温度にならないようにして制御部品を破損させないようにすることができ、より高い信頼性が確保できる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明においてファンの回転数を検知するファン回転数検知手段をさらに備え、前記ファン回転数検知手段が所定以下の回転数を検知すると周波数制御手段が周波数を下げる構成としてあり、ファンの回転数が何らかの原因で小さくなって制御部品を十分に冷却できない場合でも圧縮機の駆動周波数を所定以下に下げて、制御部品が所定以上の温度にならないようにして制御部品を破損させないようにすることができ、より高い信頼性が確保できる。
【0013】
第3の発明機は、制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段と、前記冷媒を循環させる圧縮機に流れる電流を制御する電流制御手段を備え、制御ボックス内温度検知手段が所定以上の温度を検知すると電流制御手段が電流値を下げる構成としたもので、仮に冷却ユニットが制御部品を十分に冷却できない場合でも圧縮機に流れる電流値を下げて、制御部品が所定以上の温度にならないようにして制御部品を破損させないようにすることができ、より高い信頼性が確保できる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明においてファンの回転数を検知するファン回転数検知手段をさらに備え、前記ファン回転数検知手段が所定以下の回転数を検知すると電流制御手段が電流値を下げる構成としてあり、ファンの回転数が何らかの原因で小さくなって制御部品を十分に冷却できない場合でも圧縮機に流れる電流を所定以下に下げて、制御部品が所定以上の温度にならないようにして制御部品を破損させないようにすることができ、より高い信頼性が確保できる。
【0015】
第5の発明は、第1〜第4の発明において、その冷却ユニットは複数のフィンを有するフィン構造体と、前記フィン構造体の前記フィンとは反対側面に装着した冷媒配管とで構成し、かつ、前記フィンと冷媒配管装着用の溝とは同じ方向に形成した構成としてあり、フィン構造体を引き抜き成形または押し出し成形によって安価に作製することができる。
【0016】
第6の発明は、第1〜第5の発明において、その冷却ユニットは制御部品の下方に配置し、当該冷却ユニットの下方に水受け皿を配置した構成としてあり、仮に結露水が発生したとしてもこの結露水によって制御部品が濡れるのを防止することができる。
【0017】
第7の発明は、第1〜第6の発明において、その冷却ユニットは制御部品の一部となる制御基板の適所に複数のフィンを有するフィン構造体を直接取り付け、このフィン構造体のフィンは冷却ユニットを内蔵した制御ボックスの外部に露出する構成としてあり、制御基板上の特に高熱を発する発熱素子設置部分に前記フィン構造体を設けることによって効果的に冷却することができる。
【0018】
第8の発明は、制御ボックス内の空気を攪拌するファンは冷却ユニットのフィン構造体に向かって送風する配置構成としてあり、冷却ユニットによって冷却された空気が制御ボックス内全体に拡散して冷却効果が向上すると同時に、冷却ユニットまわりの空気の流れが速くなって冷却ユニットの表面に結露水発生し難くなり結露水発生を効果的に防止できる。
【0019】
第9の発明は、圧縮機と、室外熱交換器と、減圧装置と、室内熱交換器と、およびこれらを接続して冷媒が流れる配管とを有する空気調和機であって、当該空気調和機の制御ボックス内に収容された制御部品を冷却する冷却装置として、上記第1〜第8のいずれかの発明に記載の冷却装置を用いた空気調和機としてあり、安価な構成で結露を防止しつつ制御部品の冷却が可能で高い信頼性を有する空気調和機が実現できる。
【0020】
第10の発明は、第9の空気調和機においてその冷却装置における制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットの冷媒は、減圧装置と室内熱交換器との間の配管を流れる冷媒としてあり、減圧装置によって低圧にされた冷媒が流れるので低振動化できるとともに配管の薄肉化によるコスト抑制もでき、かつ、冷却ユニット専用の冷媒通路を別途設ける必要がなく、空気調和機の構成の簡素化をはかることができる。
【0021】
第11の発明は、第9の空気調和機においてその冷却装置における制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットの冷媒は、圧縮機と、室外熱交換器と、減圧装置と、室内熱交換器とで構成される冷凍サイクルの一部から分流する冷媒としてあり、空気調和機の冷房能力の低下を抑制しつつ結露防止と制御部品の冷却が可能となる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明に係る冷却装置と空気調和機の構成を概略的に示す図である。また図2は本発明の実施の形態に係る制御ボックスの内部構成を概略的に示す図である。また図3は本発明の実施の形態に係る冷却ユニットの斜視図である。
【0024】
図1に示すように、空気調和機20は、圧縮機22、室外熱交換器24、減圧装置26、室内熱交換器28、およびこれらを接続する冷媒配管30、32、34、36を有する。減圧装置26としては、膨張弁や銅製の毛細管であるキャピラリーチューブを採用することができる。なお、空気調和機20は、圧縮機22、室外熱交換器24、および減圧装置26を収容する室外機と、室内熱交換器28を収容する室内機とに分かれている。
【0025】
空気調和機20は、冷媒が、冷媒配管30、32、34、36を介して、圧縮機22から順に、室外熱交換器24、減圧装置26、後述する制御ボックス42の冷却ユニット44、室内熱交換器28を経て再び圧縮機22に戻る冷凍サイクルを実現するように構成さ
れている。
【0026】
冷凍サイクルにおいて、冷媒は、圧縮機22によって圧縮された後、気相状態で室外熱交換器24に向かって冷媒配管30内を流れる。次に、冷媒は、室外熱交換器24を介する室外空気との熱交換によって熱を奪われて液相状態になり、減圧装置26に向かって冷媒配管32を流れる。続いて、冷媒は、減圧装置26によって膨張されて圧力が低下し、後述する制御ボックス42の冷却ユニット44を介し室内熱交換器28に向かって冷媒配管34を流れる。そして、冷媒は、室内熱交換器28を介して室内空気から熱を奪って気相状態になり、圧縮機22に向かって冷媒配管36を流れる。
【0027】
また、空気調和機20は、冷凍サイクルを制御する制御部品(制御基板と制御基板上に搭載されている各種電子部品を含む)40と、制御部品40を保護する制御ボックス42とを有する。なお、制御ボックス42は、室外機に設けられている。
【0028】
なお、本発明で言う「制御部品」は、空気調和機20の制御に使用されるための部品、例えば圧縮機22の出力や減圧装置26としての膨張弁の絞り量を制御する電子部品であって、複数の電子部品が実装された制御基板に限定されず、部分的にまたは全体が発熱するために冷却が必要な部品を言う。
【0029】
制御部品40は、制御ボックス42内に収容されることにより、例えば粉塵や水などから保護されている。そのために制御ボックス42は、その内部に粉塵や水が浸入しないように密閉するように構成されている。例えば制御ボックス42において、制御部品40から制御ボックス42の外部に延びるケーブル(図示せず)が通過する穴はシールされている。また制御ボックス42は、上面が開口した本体と、本体の上面を覆う蓋とから構成されていることがメンテナンス性の面から望ましく、さらに本体と蓋との間もシールされていることが望ましい。なお、このようなシールには、EPTシートなどのスポンジ状の樹脂材料を用いることができる。
【0030】
制御部品40は、制御ボックス42内に密閉して収容されているため、冷却を必要とする。そのために、制御ボックス42内に冷却ユニット44が設けられている。
【0031】
冷却ユニット44は、冷凍サイクルの冷媒との熱交換により制御ボックス42内の空気を冷却するように構成され、図2に示すように、冷媒配管34と、冷媒配管34に取り付けられたフィン構造体46とから構成される。
【0032】
具体的には、図1に示すように冷媒配管34の一部分が制御ボックス42内を通過し、図2に示すように制御ボックス42内の冷媒配管34の部分に板形状の複数のフィン46aを備えるフィン構造体46が取り付けられている。冷却ユニット44は、制御部品40とは離れた位置に設けてあり、フィン構造体46を介して制御ボックス42内の空気と冷媒配管34内を流れる冷媒との間で熱交換することにより、制御ボックス42内の空気を冷却する。このような冷却ユニット44により、制御部品40は空気を介して冷却される。
【0033】
なお、冷却ユニット44の一部を構成する冷媒配管は、減圧装置26と室内熱交換器28とを接続する冷媒配管34が好ましい。冷媒配管34を有効的に利用することにより、制御ボックス42内の空気の冷却のためだけに、制御ボックス42内を通過して冷媒が流れる配管を別途設ける必要がなくなる。
【0034】
また、冷媒配管34は、減圧装置26によって低圧にされた冷媒が流れるので、図1に示す他の冷媒配管30、32、36に比べて作用する圧力や発生する振動が小さい。その
ため、冷媒配管34を、制御ボックス42内に配設した方が、他の冷媒配管30、32、36を配設する場合に比べて振動を抑制することができる。また、その結果として制御ボックス42内へ配設する配管を薄肉化することが可能となり、使用する材料を低減できてコストを抑えることができるという副次的なメリットも有する。さらに、別の理由としては、冷媒配管34を流れる冷媒は元々低圧であるため、制御ボックス42を経由することによる(長尺化による)圧力損失の影響が小さいことがある。
【0035】
冷却ユニット44のフィン構造体46は、例えば、図3に示すように、アルミなどの金属によって一体的に形成されている。板形状の複数のフィン46aが、フィン構造体46の本体部46bの一方の表面に、互いに平行に等間隔をあけて並んで設けられている。また、フィン構造体46は、フィン46aが設けられた表面と反対側の表面に、蛇行形状に成形された冷媒配管34の部分と係合する複数の溝46cを備えている。
【0036】
図3に示すように、フィン構造体46の複数の溝46cは、複数のフィン46aの並列方向と同じ方向に延びるように形成されている。これにより、フィン構造体46を、引き抜き成形または押し出し成形によって作製することができ、他の作製方法(例えば切削加工)に比べて安価に作製することができる。
【0037】
なお、可能であれば、冷却ユニット44は図2に示すように、制御部品40と離れた状態で且つ該制御部品40の下方に配置されるのが好ましい。これは制御部品40が、冷却ユニット44の表面(具体的にはフィン構造体46の表面と冷媒配管34の表面)に発生した結露水によって濡れるのを確実に防ぐようにするためである。
【0038】
冷却ユニット44の表面に発生した結露水が滴下する場合に備えて、結露水を受ける皿形状の水受け皿48を冷却ユニット44の下方に設けるのが好ましい。これにより、冷却ユニット44の下方に位置する空気調和機20の構成要素が結露水によって濡れることを防止することができる。なお、図2に示すように、水受け皿48内の結露水を制御ボックス42の外部に排出するための排水管49を、水受け皿48の底に接続してもよい。
【0039】
また、この冷却装置は、冷却ユニット44に加えて、別の制御部品40(制御基板の別の部分)を冷却するための手段がいくつか設けられている。
【0040】
冷却ユニット44のフィン構造体46とは別のフィン構造体52が、制御部品40に、特に制御部品40の一部である制御基板の高熱を発する部分(例えば発熱素子設置部分)に直接取り付けられている。このフィン構造体52は、制御部品40と制御ボックス42の外部の空気との間で熱交換するように構成されている。
【0041】
具体的には、フィン構造体52は、冷却ユニット44のフィン構造体46と同様に、例えばアルミなどから作製されており、複数のフィン52aを備える。フィン構造体52のフィン52aは、制御ボックス42の外部に露出するように構成されている。また、フィン52aは、室外熱交換器24まわりの空気を室外機の外部に排出するためのファン(図示せず)の風下に位置するように設けられている。このようなフィン構造体52を介することにより、制御部品40は室外機のファン(図示せず)によって冷却される。
【0042】
また、制御ボックス42の空気を強制的に攪拌するファン54が、制御ボックス42内に設けられている。このファン54は、制御ボックス42内の空気を攪拌することにより、該制御ボックス42内の温度分布を一様にし、制御部品40の冷却効率を高める役割をする。ファン54の駆動は制御部品40に取り付けたファン駆動制御手段56によって制御される。
【0043】
ファン54はまた、制御ボックス42内の空気を強制的に攪拌することにより、冷却ユニット44の表面に結露水が発生することを抑制することができる。具体的に説明すると、ファン54によって冷却ユニット44周辺の空気が移動するため、ファン54が存在しない場合に比べて、冷却ユニット44の表面に結露水が発生し難く、また結露水が発生しても大きく成長し難い。
【0044】
なおファン54は、図2に示すように、冷却ユニット44のフィン構造体46に向かって送風するように配置するのが好ましい。ファン54がフィン構造体46に向かって送風することにより、冷却ユニット44によって冷却された空気が制御ボックス42内全体に拡散する。また、冷却ユニット44まわりの空気の流れが速くなり、冷却ユニット44の表面に結露水がさらに発生し難くなる。
【0045】
さらに、制御ボックス42の内部への外部からの熱の移動を抑制するために、制御ボックス42の内部空間は断熱材(図示せず)によって断熱されるのが好ましい。断熱材は、例えば制御ボックス42の外側表面に設けられる。この断熱材により、冷却ユニット44による制御部品40に対する冷却効果が、断熱材がない場合に比べて向上する。なお、断熱材は、制御ボックス42の外側表面に設けられることが制御ボックス42内の空間の有効利用の点から望ましいが、制御ボックス42の内側表面に設けてもよい。
【0046】
なお、断熱材として、グラスウールなどの繊維系断熱材、ウレタンフォームなどの発泡系断熱材、真空断熱材などが挙げられる。断熱材に比べて断熱性能が高い真空断熱材を使用するのが好ましい。真空断熱材として、例えば、ガラス繊維をラミネートフィルムでパッキングし、その内部圧力を減圧してなるものが挙げられる。
【0047】
制御部品40には、図1に示すようにファン駆動制御手段56以外に、制御ボックス42内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段60と、圧縮機22の周波数を制御する周波数制御手段62と、圧縮機22に流れる電流を制御する電流制御手段64が備えられている。
【0048】
制御ボックス42内の温度が所定温度T1以上となると、制御ボックス内温度検知手段60がこれを検知して、周波数制御手段62が圧縮機22の周波数を所定の値もしくはそれ以下に下げる。これにより、例えばファン54が何らかの理由で回転数が下がったり停止したりして、ファン54ならびに冷却ユニット44からなる冷却装置が制御部品40を十分に冷却できない場合でも、圧縮機22の駆動周波数を下げて、制御部品40の発熱量を小さくし、その温度を低くするようにして、制御部品40を破損させないようにすることができる。この動作は、ファン駆動制御手段56がきちんと機能してファン44が駆動している場合でも実施する。すなわち、ファン54による制御部品40の冷却が何らかの理由でできなくなったり、冷却ができていてもその冷却度合いが悪い場合には周波数制御手段62が圧縮機22の周波数を所定の値もしくはそれ以下に下げ、制御部品40の発熱量を抑制してその破損を防止する。そして、制御ボックス内温度検知手段60が、上記T1とは異なる別の所定温度T2以下を検知すると、周波数制御手段62は圧縮機22の周波数を所定の値まで上げるか、もしくは元の周波数まで上げて運転を行う。
【0049】
圧縮機22の周波数を変更するための温度閾値として、異なる2つの温度T1、T2を設けているのは、T1とT2が同じ温度の場合、制御ボックス42内の温度がわずかな温度変化を繰り返すと、周波数を下げる動作と上げる動作を頻繁に繰り返すこととなり、空気調和機20の運転が短時間で頻繁に変化するのを繰り返すことにつながるが、これを避けるためである。
【0050】
また、制御部品40の温度上昇を抑える別の手段として、制御ボックス42内の温度が
所定温度T3以上となると、制御ボックス内温度検知手段60がこれを検知して、電流制御手段64が圧縮機22に流れる電流を所定の値もしくはそれ以下に下げる。これにより、例えばファン54が何らかの理由で回転数が下がったり停止したりして、ファン54ならびに冷却ユニット44からなる冷却装置が制御部品40を十分に冷却できない場合でも、圧縮機22に流れる電流を下げて、制御部品40の発熱量を小さくし、その温度を低くするようにして、制御部品40を破損させないようにすることができる。そして、制御ボックス内温度検知手段60が、上記T3とは異なる別の所定温度T4以下を検知すると、電流制御手段64は圧縮機22に流れる電流を所定の値まで上げるか、もしくは元の電流まで上げて運転を行う。
【0051】
圧縮機22に流れる電流を変更するための温度閾値として、異なる2つの温度T3、T4を設けているのは、T3とT4が同じ温度の場合、制御ボックス42内の温度がわずかな温度変化を繰り返すと、圧縮機22に流れる電流を下げる動作と上げる動作を頻繁に繰り返すこととなり、空気調和機20の運転が短時間で頻繁に変化するのを繰り返すことにつながるが、これを避けるためである。
【0052】
本実施の形態によれば、仮にファン54が何らかの理由で回転数が下がったり停止したりして冷却装置が制御部品40を十分に冷却できない場合でも、圧縮機22の駆動周波数を下げたり、圧縮機22に流れる電流を下げて制御部品40の温度を下げるようにして制御部品40を破損させないようにすることができる。
【0053】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。
【0054】
例えば、冷却ユニット44は、制御ボックス42内において、図2に示すように制御部品40の下方に配置されるが、ファン54による制御ボックス42内の空気の強制攪拌によって冷却ユニット44の表面に滴下するような結露水が発生しないのであれば、冷却ユニット44を制御部品40の上方に配置可能である。しかしながら、この場合、冷却ユニット44と制御部品40の間に水受け皿48を配置するのが好ましい。
【0055】
また、上述では、冷媒が、圧縮機22、室外熱交換器24、減圧装置26、室内熱交換器28と順に流れる空気調和機20、すなわち冷房運転を実行する空気調和機20について説明したが、本発明はこれに限らない。冷媒が、圧縮機22、室内熱交換器28、減圧装置26、室外熱交換器24と順に流れる空気調和機20、すなわち暖房運転を実行する空気調和機20に対しても、本発明は適用可能である。
【0056】
さらに、上述の実施の形態の場合、冷却ユニット44は、冷媒配管34内を流れる冷媒全てを利用して制御ボックス42内の空気を冷却するように構成されているが、本発明はこれに限らない。冷媒配管30、32、34、36のいずれか1つに流れる冷媒の一部を、制御ボックス42内の空気の冷却に利用してもよい。
【0057】
例えば、減圧装置26の下流側近傍の冷媒配管34の部分から分枝し、制御ボックス42内を通過し、そして室内熱交換器28の上流側近傍の冷媒配管34の部分に至る、バイパスする配管を設け、このバイパス配管にフィン構造体を取り付けて、冷却ユニット44を構成してもよい。この場合、上述の実施の形態に比べて、制御部品40に対する冷却能力は低下するものの、空気調和機20の冷房能力は向上する。
【0058】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に
含まれると理解されるべきである。
【0059】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る空気調和機の構成を概略的に示す図である。図4において66は、ファン54の回転数を検知するファン回転数検知手段である。以下、実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。
【0060】
ファン回転数検知手段66が所定以下の回転数を検知すると、圧縮機の駆動周波数を制御する周波数制御手段62が周波数を所定の値、もしくはそれ以下にするもので、ファン44の回転数が何らかの原因で小さくなって、あるいはファン44の回転が止まって、制御部品40を十分に冷却できない場合でも圧縮機22の駆動周波数を下げることで、制御部品40の温度が所定温度以上にならないようにして保護することができ、より高い信頼性が確保できる。なおファン44の回転数が、上記とは異なる所定以上の回転数となると、周波数の値は上げられる、もしくは元の周波数に戻される。
【0061】
また、ファン回転数検知手段66が所定以下の回転数を検知すると、圧縮機22に流れる電流を制御する電流制御手段64が電流を所定の値もしくはそれ以下にするもので、ファン44の回転数が何らかの原因で小さくなって、あるいはファン44が止まって、制御部品40を十分に冷却できない場合でも圧縮機22に流れる電流を下げることで、制御部品40の温度が所定以上にならないようにして保護することができ、より高い信頼性が確保できる。なお、ファン44の回転数が上記とは異なる所定以上の回転数となると、電流値は上げる、もしくは元の電流値に戻される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、冷却装置が制御部品を十分に冷却できない場合でも制御部品が所定以上の温度にならないようにして制御部品を保護することが可能で、高い信頼性を備える冷却装置および空気調和機を実現することができ、冷媒を用いて制御ボックス内の空気を冷却するものであれば空気調和機に限らず、例えば冷蔵庫などの冷媒を扱うものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
22 圧縮機
24 室外熱交換器
26 減圧装置
28 室内熱交換器
28 室内熱交換器
40 制御部品
42 制御ボックス
44 冷却ユニット
54 ファン
56 ファン駆動制御手段
60 制御ボックス内温度検知手段
62 周波数制御手段
64 電流制御手段
66 ファン回転数検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって前記制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段と、前記冷媒を循環させる圧縮機の駆動周波数を制御する周波数制御手段を備え、前記制御ボックス内温度検知手段が所定以上の温度を検知すると前記周波数制御手段が周波数を下げる冷却装置。
【請求項2】
ファンの回転数を検知するファン回転数検知手段をさらに備え、前記ファン回転数検知手段が所定以下の回転数を検知すると周波数制御手段が周波数を下げる請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
制御ボックス内に制御部品と離れた状態で配置され、冷媒との熱交換によって前記制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットと、前記制御ボックス内の空気を攪拌するファンと、前記制御ボックス内の温度を検知する制御ボックス内温度検知手段と、前記冷媒を循環させる圧縮機に流れる電流を制御する電流制御手段を備え、前記制御ボックス内温度検知手段が所定以上の温度を検知すると前記電流制御手段が電流値を下げる冷却装置。
【請求項4】
ファンの回転数を検知するファン回転数検知手段をさらに備え、前記ファン回転数検知手段が所定以下の回転数を検知すると電流制御手段が電流値を下げる請求項3記載の冷却装置。
【請求項5】
冷却ユニットは複数のフィンを有するフィン構造体と、前記フィン構造体の前記フィンとは反対側面に装着した冷媒配管とで構成し、かつ、前記フィンと冷媒配管装着用の溝とは同じ方向に形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
冷却ユニットは制御部品の下方に配置し、当該冷却ユニットの下方に水受け皿を配置した請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
冷却ユニットは制御部品の一部である制御基板の適所に複数のフィンを有するフィン構造体を直接取り付け、このフィン構造体のフィンは冷却ユニットを内蔵した制御ボックスの外部に露出する構成とした請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
制御ボックス内の空気を攪拌するファンは冷却ユニットのフィン構造体に向かって送風するように配置した請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項9】
圧縮機と、室外熱交換器と、減圧装置と、室内熱交換器と、およびこれらを接続して冷媒が流れる配管とを有する空気調和機であって、当該空気調和機の制御ボックス内に収容された制御部品を冷却する冷却装置として、請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷却装置を用いた空気調和機。
【請求項10】
冷却装置における制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットの冷媒は、減圧装置と室内熱交換器との間の配管を流れる冷媒とした請求項9に記載の空気調和機。
【請求項11】
冷却装置における制御ボックス内の空気を冷却する冷却ユニットの冷媒は、圧縮機と、室外熱交換器と、減圧装置と、室内熱交換器とで構成される冷凍サイクルの一部から分流する冷媒とした請求項9に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−96641(P2013−96641A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239984(P2011−239984)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】