説明

冷却装置および冷却装置を備えた産業用車両

【課題】目詰まり部の清掃を好適に行える冷却装置を提供する。
【解決手段】放熱器27と、放熱器27のコア27Aに冷却用空気A,Bを流動させるファン30を有する。コア27Aの冷却用空気通過面27aに対向して清掃用ブラシ40を設け、目詰まりを除去するために清掃用ブラシ40を冷却用空気通過面27a上で摺接駆動させるブラシ駆動装置41を設けた。ファンを駆動回転させ、冷却用空気を放熱器のコアに対して流動(通過)させることで、放熱器において所期の冷却を行える。ブラシ駆動装置により清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させることにより、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去でき、冷却用空気通過面の清掃を行える。掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気に乗せて流動させて排出できる。目詰まり部の清掃を常に好適に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば建築現場のエンジン発電機やトラックに使用される冷却装置、およびホイールローダなど冷却装置を備えた産業用車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の冷却装置としては、次のような構成が提供されている。すなわち、エンジンとは別置きに配置されたクリーニングユニットが、エンジンの冷却水を冷却するラジエータ、および油圧機器の作動油を冷却するオイルクーラと、これらを強制冷却するために下側に取り付けられた専用の冷却ファンとにより構成されている。そして、冷却ファンの逆転駆動により、オイルクーラおよびラジエータにおいて、定期的に逆方向の送風により目詰まり部の清掃が自動的に行われる(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−68142号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した従来構成によると、逆方向の送風だけでは、どうしても目詰まり部の清掃を完全に行えず、すなわちゴミや埃による目詰まりを完全に除去できない。そのため現状では、最終的にエアブローなどで別途に清掃しており、これによると作業が面倒である。
【0004】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、目詰まり部の清掃を好適に行える冷却装置を提供することを目的としたものである。
また請求項7記載の発明は、目詰まり部の清掃を好適に行える冷却装置を備えた産業用車両を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の冷却装置は、放熱器と、この放熱器のコアに冷却用空気を流動させるファンとを有し、前記コアの冷却用空気通過面に対向して清掃用ブラシを設けるとともに、目詰まりを除去するために前記清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させるブラシ駆動装置を設けたことを特徴としたものである。
【0006】
したがって請求項1の発明によると、ファンを駆動回転させ、冷却用空気を放熱器のコアに対して流動(通過)させることで、放熱器において所期の冷却を行える。そして、ブラシ駆動装置により清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させることにより、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去し得、以て冷却用空気通過面の清掃を行える。さらに掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気に乗せて流動させて排出し得る。
【0007】
また本発明の請求項2記載の冷却装置は、上記した請求項1記載の構成において、ブラシ駆動装置は、冷却用空気通過面に平行なシャフトと、このシャフトを一定の角度で往復回転させる駆動部とからなり、前記シャフトに清掃用ブラシを取り付けたことを特徴としたものである。
【0008】
したがって請求項2の発明によると、駆動部によってシャフトを一定の角度で往復回転させることにより、シャフトに取り付けた清掃用ブラシを一定の角度で往復移動させて、冷却用空気通過面上に対して摺接駆動させることになり、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを積極的に掻き落とし状に除去し得る。
【0009】
そして本発明の請求項3記載の冷却装置は、上記した請求項1または2記載の構成において、清掃用ブラシを、ブラシ駆動装置とともに冷却用空気通過面に沿って移動可能に構成したことを特徴としたものである。
【0010】
したがって請求項3の発明によると、清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って往復移動させることにより、清掃用ブラシによる清掃範囲(位置)を変更し得る。
さらに本発明の請求項4記載の冷却装置は、上記した請求項1または2記載の構成において、清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って移動可能に構成し、その移動手段を、正逆駆動部に連動したスクリューと、このスクリューに螺合しかつ清掃用ブラシ側に設けたナット体とにより構成したことを特徴としたものである。
【0011】
したがって請求項4の発明によると、正逆駆動部を正逆駆動してスクリューを正逆回転させることにより、ナット体を介して清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って往復移動し得、以て清掃用ブラシによる清掃範囲(位置)を変更し得る。
【0012】
しかも本発明の請求項5記載の冷却装置は、上記した請求項1または2記載の構成において、清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って移動可能に構成し、その移動手段を、正逆駆動部に連動した駆動輪体と、従動輪体と、両輪体間に巻回しかつ清掃用ブラシ側を連結した無端回動体とにより構成したことを特徴としたものである。
【0013】
したがって請求項5の発明によると、正逆駆動部を正逆駆動して駆動輪体を正逆回転させることにより、無端回動体を正逆回動させて清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って往復移動し得、以て清掃用ブラシによる清掃範囲(位置)を変更し得る。
【0014】
また本発明の請求項6記載の冷却装置は、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成において、ファンは油圧駆動ファンからなり、この油圧駆動ファンを逆転させると同時にブラシ駆動装置を駆動させるように構成したことを特徴としたものである。
【0015】
したがって請求項6の発明によると、通常の運転時においては、ブラシ駆動装置は駆動停止しており、そして油圧駆動ファンを正回転させて、冷却用空気を放熱器のコアに対して一方へと流動(通過)させることで、放熱器において所期の冷却を行える。そして、油圧駆動ファンを逆回転させて、冷却用空気を他方へと流動(通過)させると同時に、ブラシ駆動装置を駆動して清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させることにより、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去し得、以て冷却用空気通過面の清掃を行える。そして掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気に乗せて他方側へと流動させて排出し得る。
【0016】
そして本発明の請求項7記載の冷却装置を備えた産業用車両は、車体側に設けた冷却装置は、放熱器と、この放熱器のコアに冷却用空気を流動させるファンとを有し、前記コアの冷却用空気通過面に対向して清掃用ブラシを設けるとともに、この清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させるブラシ駆動装置を設け、このブラシ駆動装置は、冷却用空気通過面に平行なシャフトと、モータと、このモータの回転によりシャフトを一定の角度で往復回転させるリンク機構とからなり、前記シャフトに清掃用ブラシを取り付けたことを特徴としたものである。
【0017】
したがって請求項7の発明によると、ファンを駆動回転させ、冷却用空気を放熱器のコアに対して流動(通過)させることで、放熱器において所期の冷却を行える。そして、ブラシ駆動装置によって清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させることにより、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去し得、以て冷却用空気通過面の清掃を行える。さらに掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気に乗せて流動させて排出し得る。その際にブラシ駆動装置では、モータの駆動によって、リンク機構を介してシャフトを一定の角度で往復回転させることにより、シャフトに取り付けた清掃用ブラシを一定の角度で往復移動させて、冷却用空気通過面上で摺接駆動させることになる。
【0018】
さらに本発明の請求項8記載の冷却装置を備えた産業用車両は、上記した請求項7記載の構成において、ファンは油圧駆動ファンからなり、この油圧駆動ファンを逆転させると同時にブラシ駆動装置を駆動させるように構成したことを特徴としたものである。
【0019】
したがって請求項8の発明によると、通常の運転時においては、ブラシ駆動装置は駆動停止しており、そして油圧駆動ファンを正回転させて、冷却用空気を放熱器のコアに対して一方へと流動(通過)させることで、放熱器において所期の冷却を行える。そして、油圧駆動ファンを逆回転させて、冷却用空気を他方へと流動(通過)させると同時に、ブラシ駆動装置を駆動して清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させることにより、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去し得、以て冷却用空気通過面の清掃を行える。さらに掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気に乗せて他方側へと流動させて排出し得る。
【発明の効果】
【0020】
上記した本発明の請求項1によると、ファンを駆動回転させ、冷却用空気を放熱器のコアに対して流動(通過)させることで、放熱器において所期の冷却を行うことができる。そして、ブラシ駆動装置により清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させることにより、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去でき、以て冷却用空気通過面の清掃を行うことができる。さらに掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気に乗せて流動させて排出できる。これにより、目詰まり部の清掃を常に好適に行うことができる。
【0021】
また上記した本発明の請求項2によると、駆動部によってシャフトを一定の角度で往復回転させることにより、シャフトに取り付けた清掃用ブラシを一定の角度で往復移動させて、冷却用空気通過面上に対して摺接駆動させることができ、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去できる。
【0022】
そして上記した本発明の請求項3によると、清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って往復移動させることにより、清掃用ブラシによる清掃範囲(位置)を変更でき、大型の放熱器や複数の放熱器に対処できる。
【0023】
さらに上記した本発明の請求項4によると、正逆駆動部を正逆駆動してスクリューを正逆回転させることにより、ナット体を介して清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って往復移動でき、以て清掃用ブラシによる清掃範囲(位置)を変更できる。
【0024】
しかも上記した本発明の請求項5によると、正逆駆動部を正逆駆動して駆動輪体を正逆回転させることにより、無端回動体を正逆回動させて清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って往復移動でき、以て清掃用ブラシによる清掃範囲(位置)を変更できる。
【0025】
また上記した本発明の請求項6によると、通常の運転時においては、ブラシ駆動装置は駆動停止しており、そして油圧駆動ファンを正回転させて、冷却用空気を放熱器のコアに対して一方へと流動(通過)させることで、放熱器において所期の冷却を行うことができる。また、油圧駆動ファンを逆回転させて、冷却用空気を他方へと流動(通過)させると同時に、ブラシ駆動装置を駆動して清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させることにより、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去でき、以て冷却用空気通過面の清掃を行うことができる。そして掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気に乗せて他方側へと流動させて排出できる。
【0026】
そして上記した本発明の請求項7によると、ファンを駆動回転させ、冷却用空気を放熱器のコアに対して流動(通過)させることで、放熱器において所期の冷却を行うことができる。そして、ブラシ駆動装置によって清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させることにより、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去でき、以て冷却用空気通過面の清掃を行うことができる。さらに掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気に乗せて流動させて排出できる。これにより、目詰まり部の清掃を常に好適に行える冷却装置を備えた産業用車両を提供できる。
【0027】
その際にブラシ駆動装置では、モータの駆動によって、リンク機構を介してシャフトを一定の角度で往復回転させることにより、シャフトに取り付けた清掃用ブラシを一定の角度で往復移動させて、冷却用空気通過面上で摺接駆動させることができ、以てブラシ駆動装置としては、産業用車両などに採用されているワイパー駆動モータと同様の物を容易に使用できる。
【0028】
さらに上記した本発明の請求項8によると、通常の運転時においては、ブラシ駆動装置は駆動停止しており、そして油圧駆動ファンを正回転させて、冷却用空気を放熱器のコアに対して一方へと流動(通過)させることで、放熱器において所期の冷却を行うことができる。そして、油圧駆動ファンを逆回転させて、冷却用空気を他方へと流動(通過)させると同時に、ブラシ駆動装置を駆動して清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させることにより、冷却用空気通過面に目詰まり状となっているゴミや埃などを、清掃用ブラシによって積極的に掻き落とし状に除去でき、以て冷却用空気通過面の清掃を行うことができる。さらに掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気に乗せて他方側へと流動させて排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を図1〜図5に基づいて説明する。
図2において、産業用車両の一例である建設車両1は、その車体2が、左右一対の前車輪3が設けられた前車体部2Aと、左右一対の後車輪4が設けられた後車体部2Bとにより構成されている。両車体部2A,2B間は、上下に振り分けられた縦連結軸5により相対回動自在に連結され、そして両車体部2A,2B間には、左右一対のステアリングシリンダ6が配設されている。後車体部2Bの前端上部には、座席、ブーム操作レバー、バケット操作レバー、アクセルなどが配置された運転部10が設けられている。
【0030】
この運転部10の前方で前車体部2Aには、左右一対のブーム11が上下揺動自在に配設され、そして、このブーム11を上下揺動させる左右一対のブームシリンダ12が設けられる。両ブーム11の遊端間には、バケット装置13が回動自在に取り付けられるとともに、その遊端がバケット装置13に相対回動自在に連結されたリンク機構14が設けられている。そしてリンク機構14の基端と前車体部2Aとの間には、その伸縮動によりリンク機構14を介してバケット装置13を回動させるバケットシリンダ15が設けられている。
【0031】
図1〜図4において、後車体部2Bの上部には囲壁体7により空所が形成され、この空所内の前部にはエンジン17が搭載されている。そして、エンジン17の後方には遮蔽板8が設けられ、この遮蔽板8の後方で囲壁体7内には冷却装置20の配設空間9が区画形成されている。なお囲壁体7の配設空間9に対応する部分には、側開口部7Aや後開口部7Bが形成されている。
【0032】
前記配設空間9に配設される冷却装置20は、ラジエータ(放熱器の一例)21と、このラジエータ21の上部前面側に対向されるインタークーラ(放熱器の一例)24と、前記ラジエータ21の下部前面側に対向されるオイルクーラ(放熱器の一例)27と、前記ラジエータ21の後面側に対向される油圧駆動ファン(ファンの一例)30などを有し、この油圧駆動ファン30の回転により、放熱器群のコア21A,24A,27Aに冷却用空気を流動させるように構成されている。
【0033】
前記ラジエータ21のコア21Aには、前記エンジン17からの冷却水排出管22が接続されるとともに、前記エンジン17への冷却水供給管23が接続されている。またエンジン17に対する過給気用の前記インタークーラ24のコア24Aには、エンジン17のターボからの排気管25が接続されるとともに、前記エンジン17のインテークマニホールドへの給気管26が接続されている。そして前記オイルクーラ27のコア27Aには、作動油タンク18からの給油管28が接続されるとともに、作動油タンク18への排油管29が接続されている。
【0034】
前記油圧駆動ファン30は、油圧モータ31と、その駆動軸に設けられたファン32とからなる。そして、油圧モータ31と作動油タンク18との間に一対の油配管33が設けられ、そのうち一方の油配管33にはポンプ34が介在されるとともに、両油配管33に亘って電磁切り換え弁35が介在されている。ここで電磁切り換え弁35は正逆転の切り換え信号36によって切り換え自在に構成され、その際に切り換え信号36は、運転部10における釦操作により発信され、あるいは油圧駆動ファン30の稼動時において定期的に自動的に発信されるように設定されている。
【0035】
前記オイルクーラ27におけるコア27Aの冷却用空気通過面27aに対向して清掃用ブラシ40が設けられるとともに、この清掃用ブラシ40を冷却用空気通過面27a上で摺接駆動させるブラシ駆動装置41が設けられている。ここでブラシ駆動装置41は、冷却用空気通過面27aに平行な左右方向のシャフト42と、このシャフト42を一定の角度で往復回転させる駆動部43とからなり、さらに駆動部43は、モータ44と、このモータ44の回転によりシャフト42を一定の角度θで往復回転させるリンク機構46などにより構成されている。そして、前記シャフト42に清掃用ブラシ40が取り付けられている。
【0036】
すなわちシャフト42は、コア27Aの上下高さ方向の中央部分で冷却用空気通過面27aに対して所定距離離れた位置において、冷却用空気通過面27aに対して平行状として左右方向に配設され、そして複数のブラケット47を介して後車体部2B側に回転自在に支持されている。前記駆動部43のモータ44は、端に位置されたブラケット47側に固定され、その際にモータ44側の出力軸45は前記シャフト42と平行状に位置されている。
【0037】
そして前記リンク機構46は、その基端が出力軸45に固定されたモータ側リンク46Aと、その基端がシャフト42に固定されたシャフト側リンク46Bと、モータ側リンク46Aとシャフト側リンク46Bの遊端間にピン46D,46Eを介して相対回動自在に連結された押し引きリンク46Cなどにより構成されている。これにより、モータ44の回転、すなわちモータ軸45の回転によりモータ側リンク46Aを一体的に回転させることで、押し引きリンク46Cを上下方向に押し引き動させ、以てモータ側リンク46Aを介してシャフト42を一定の角度θで往復回転させることになる。
【0038】
前記シャフト42における周方向の一部分、すなわち一定の角度θで往復回転しているときに、常に冷却用空気通過面27a側に向いている部分には、清掃用ブラシ40がシャフト軸心に対して放射状として取り付けられている。その際に清掃用ブラシ40は、可撓性のある材質からなり、シャフト42の往復回転によって冷却用空気通過面27aの全面に対して清掃(摺接)が行われるように、その一定の角度θやブラシ長さが設定されている。
【0039】
以上の42〜47などによりブラシ駆動装置41の一例が構成される。なお、このブラシ駆動装置41は、前記油圧駆動ファン30を逆転させると同時に駆動させるように構成されている。
【0040】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
通常の運転時においては、ブラシ駆動装置41は駆動停止しており、そして油圧駆動ファン30においては、図4に示すように、正転の切り換え信号36によって電磁切り換え弁35が正転側に切り換えられ、これによりポンプ34からの圧油によって油圧モータ31を正転駆動させ、以てファン32を正回転させている。すなわち、ファン32を正回転させることで後方の後開口部7Bに向けて送風し、これによりラジエータ21の部分に吸引力が作用することになる。
【0041】
この吸引力によって、図1や図3の実線、図4に示すように、側開口部7Aから冷却用空気Aを吸引し、そして冷却用空気Aを、インタークーラ24やオイルクーラ27のコア24A,27Aに対して前部から後部へと流動(通過)させたのち、ラジエータ21のコア21Aに対して前部から後部へと流動(通過)させることになる。これによって、インタークーラ24ではエンジン17に対する過給気の冷却を行い、またオイルクーラ27では作動油タンク18からの作動油の冷却を行い、そしてラジエータ21では前記エンジン17からの冷却水の冷却を行うことになる。
【0042】
そして図5に示すように、逆転の切り換え信号36によって電磁切り換え弁35を逆転側に切り換えたとき、ポンプ34からの圧油によって油圧モータ31を逆転駆動させ、以てファン32を逆回転させる。すなわち、ファン32を逆回転させることで前方に向けて送風し、これによりファン32の後方部分に吸引力が作用することになる。
【0043】
この吸引力によって、図1や図3の仮想線、図5に示すように、後開口部7Bから冷却用空気Bを吸引し、そして冷却用空気Bを、ラジエータ21のコア21Aに対して後部から前部へと流動(通過)させたのち、インタークーラ24やオイルクーラ27のコア24A,27Aに対して後部から前部へと流動(通過)させることになる。これによって、ラジエータ21では前記エンジン17からの冷却水の冷却を行い、またインタークーラ24ではエンジン17に対する過給気の冷却を行い、そしてオイルクーラ27では作動油タンク18からの作動油の冷却を行うことになる。
【0044】
そして、冷却用空気Bを後部から前部へと流動(通過)させることで、ラジエータ21におけるコア21Aの冷却用空気通過面21aや、インタークーラ24におけるコア24Aの冷却用空気通過面24aや、オイルクーラ27におけるコア27Aの冷却用空気通過面27aなどに対して目詰まり状となっているゴミや埃などを、その流動圧により除去し得る。
【0045】
さらに、前記油圧駆動ファン30を逆回転させると同時にブラシ駆動装置41を駆動させている。すなわち、モータ44の駆動による出力軸45の回転によってモータ側リンク46Aを一体的に回転させることで、押し引きリンク46Cを上下方向に押し引き動させ、モータ側リンク46Aを介してシャフト42を一定の角度θで往復回転させることになる。これにより、シャフト42に取り付けた清掃用ブラシ40が一定の角度θで往復移動して、冷却用空気通過面27aの全面に対して摺接駆動することになり、冷却用空気通過面27aに目詰まり状となっているゴミや埃などを積極的に掻き落とし状に除去し得、以て冷却用空気通過面27aの清掃を行える。そして掻き落とし状に除去したゴミや埃などは、冷却用空気Bに乗せて流動させ、側開口部7Aを通して排出し得る。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を図6に基づいて説明する。
【0046】
この実施の形態2では、移動手段50の作動によって清掃用ブラシ40が、インタークーラ24におけるコア24Aの冷却用空気通過面24aからオイルクーラ27におけるコア27Aの冷却用空気通過面27aに沿って移動可能に構成されている。その際に移動手段50は、モータなどの正逆駆動部51に連動したスクリュー(ねじ軸体)52と、このスクリュー52に螺合しかつ清掃用ブラシ40側に設けたナット体53とにより構成されている。
【0047】
すなわち、冷却用空気通過面24a,27aの前方には上下方向のスクリュー52が設けられ、このスクリュー52は、たとえば遮蔽板8側からのブラケット54に回転自在に支持されている。そしてスクリュー52に螺合されたナット体53が、ガイド手段(図示せず。)に案内されて昇降自在な昇降体55に連結されている。さらに昇降体55には、ブラシ駆動装置41のブラケット47が連結されている。
【0048】
以下に、上記した実施の形態2における作用を説明する。
図6に示すように、逆転の切り換え信号36によって電磁切り換え弁35を逆転側に切り換えたとき、ファン32を逆回転させて後開口部7Bから冷却用空気Bを吸引し、そして冷却用空気Bを、ラジエータ21のコア21Aに対して後部から前部へと流動(通過)させたのち、インタークーラ24やオイルクーラ27のコア24A,27Aに対して後部から前部へと流動(通過)させることになる。
【0049】
そして、前記油圧駆動ファン30を逆回転させると同時にブラシ駆動装置41を駆動させることにより、図6実線に示すように、シャフト42に取り付けた清掃用ブラシ40が一定の角度θで往復移動して、冷却用空気通過面27aの全面に対して摺接駆動することになり、冷却用空気通過面27aに目詰まり状となっているゴミや埃などを積極的に掻き落とし状に除去し得、以て冷却用空気通過面27aの清掃を行える。
【0050】
さらに、移動手段50の正逆駆動部51を正駆動させてスクリュー52を正回転させることにより、ナット体53を介して昇降体55を上昇させて、図6仮想線に示すように、ブラシ駆動装置41をインタークーラ24におけるコア24Aの冷却用空気通過面24aに対向し得る。これにより、シャフト42に取り付けた清掃用ブラシ40が一定の角度θで往復移動して、冷却用空気通過面24aの全面に対して摺接駆動することになり、冷却用空気通過面24aに目詰まり状となっているゴミや埃などを積極的に掻き落とし状に除去し得、以て冷却用空気通過面24aの清掃を行える。
【0051】
なお、移動手段50の正逆駆動部51を逆駆動させてスクリュー52を逆回転させることにより、ナット体53を介して昇降体55を下降させて、図6仮想線に示すように、インタークーラ24におけるコア24Aの冷却用空気通過面24aに対向させていたブラシ駆動装置41を、図6実線に示すように、オイルクーラ27におけるコア27Aの冷却用空気通過面27aに対向する位置に戻し得る。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3を図7に基づいて説明する。
【0052】
この実施の形態3では、移動手段60の作動によって清掃用ブラシ40が、インタークーラ24におけるコア24Aの冷却用空気通過面24aからオイルクーラ27におけるコア27Aの冷却用空気通過面27aに沿って移動可能に構成されている。その際に移動手段60は、モータなどの正逆駆動部61に連動した下位の駆動スプロケット(駆動輪体の一例)62と、上位の従動スプロケット(従動輪体の一例)63と、両スプロケット62,63間に巻回しかつ清掃用ブラシ40側を連結したチェーン(無端回動体の一例)64とにより構成されている。
【0053】
すなわち、冷却用空気通過面24a,27aの前方で両側下部にはそれぞれ駆動スプロケット62が設けられ、両駆動スプロケット62は正逆駆動部61からの共通の駆動軸65に取り付けられている。そして両側上部にはそれぞれ従動スプロケット63が設けられ、両従動スプロケット63は共通の支持軸66を介して遮蔽板8側に遊転自在に支持されている。そして左右のチェーン64間に昇降体67が設けられ、この昇降体67にブラシ駆動装置41のブラケット47が連結されている。
【0054】
以下に、上記した実施の形態3における作用を説明する。
図7に示すように、逆転の切り換え信号36によって電磁切り換え弁35を逆転側に切り換えたとき、ファン32を逆回転させて後開口部7Bから冷却用空気Bを吸引し、そして冷却用空気Bを、ラジエータ21のコア21Aに対して後部から前部へと流動(通過)させたのち、インタークーラ24やオイルクーラ27のコア24A,27Aに対して後部から前部へと流動(通過)させることになる。
【0055】
そして、前記油圧駆動ファン30を逆回転させると同時にブラシ駆動装置41を駆動させることにより、図7実線に示すように、シャフト42に取り付けた清掃用ブラシ40が一定の角度θで往復移動して、冷却用空気通過面27aの全面に対して摺接駆動することになり、冷却用空気通過面27aに目詰まり状となっているゴミや埃などを積極的に掻き落とし状に除去し得、以て冷却用空気通過面27aの清掃を行える。
【0056】
さらに、移動手段60の正逆駆動部61を正駆動させてチェーン64を正回転させることにより、昇降体67を上昇させて、図7仮想線に示すように、ブラシ駆動装置41をインタークーラ24におけるコア24Aの冷却用空気通過面24aに対向し得る。これにより、シャフト42に取り付けた清掃用ブラシ40が一定の角度θで往復移動して、冷却用空気通過面24aの全面に対して摺接駆動することになり、冷却用空気通過面24aに目詰まり状となっているゴミや埃などを積極的に掻き落とし状に除去し得、以て冷却用空気通過面24aの清掃を行える。
【0057】
なお、移動手段60の正逆駆動部61を逆駆動させてチェーン64を逆回転させることにより、昇降体67を下降させて、図7仮想線に示すように、インタークーラ24におけるコア24Aの冷却用空気通過面24aに対向させていたブラシ駆動装置41を、図7実線に示すように、オイルクーラ27におけるコア27Aの冷却用空気通過面27aに対向する位置に戻し得る。
【0058】
上記した実施の形態1では、オイルクーラ27に作用する清掃用ブラシ40が、また実施の形態2では、インタークーラ24とオイルクーラ27とに作用する清掃用ブラシ40が示されているが、これは放熱器の数や位置によって任意に変更されるものである。すなわち、ラジエータ21、インタークーラ24、オイルクーラ27におけるコア21A,24A,27Aの各冷却用空気通過面21a,24a,27aに対向して、それぞれ清掃用ブラシ40が設けられた形式、放熱器としてラジエータ21とインタークーラ24とオイルクーラ27とのうち、いずれか1個、または適宜の2個が設けられた形式などであってもよい。
【0059】
上記した実施の形態1〜3では、清掃用ブラシ40を一定の角度θで摺接駆動させる形式が示されているが、これは清掃用ブラシ40を直線状に摺接駆動させる形式、清掃用ブラシ40を、冷却用空気通過面21a,24a,27aに対して垂直または水平で平行な軸回りの回転により摺接駆動させる形式などであってもよい。
【0060】
上記した実施の形態1〜3では、油圧駆動ファン30を正逆転させて、互いに逆方向の冷却用空気A,Bを流動させる形式が示されているが、これはファンにより常に一定方向の冷却用空気を流動させる形式などであってもよい。
【0061】
上記した実施の形態3では、移動手段60の正逆駆動部61として、駆動スプロケット62と従動スプロケット63とチェーン64とからなる形式が示されているが、これは駆動プーリ(駆動輪体の一例)と従動プーリ(従動輪体の一例)とベルト(無端回動体の一例)とからなる形式などであってもよい。
【0062】
上記した実施の形態1〜3では、冷却装置20を建設車両(ホイールローダ)1に組み込んだ形式が示されているが、これは、たとえば建築現場のエンジン発電機やトラックに使用される冷却装置、およびフォークリフトやコンテナ運搬車などの運搬車両に組み込んだ冷却装置などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、冷却装置の斜視図である。
【図2】同産業用車両の側面図である。
【図3】同産業用車両における冷却装置部分の概略平面図である。
【図4】同冷却装置部分の通常時の概略側面図である。
【図5】同冷却装置部分の清掃時の概略側面図である。
【図6】本発明の実施の形態2を示し、冷却装置部分の清掃時の概略側面図である。
【図7】本発明の実施の形態3を示し、冷却装置部分の清掃時の概略側面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 建設車両(産業用車両)
2 車体
7 囲壁体
7A 側開口部
7B 後開口部
8 遮蔽板
9 配設空間
10 運転部
11 ブーム
13 バケット装置
17 エンジン
18 作動油タンク
20 冷却装置
21 ラジエータ(放熱器)
21A コア
21a 冷却用空気通過面
24 インタークーラ(放熱器)
24A コア
24a 冷却用空気通過面
27 オイルクーラ(放熱器)
27A コア
27a 冷却用空気通過面
30 油圧駆動ファン(ファン)
31 油圧モータ
32 ファン
34 ポンプ
35 電磁切り換え弁
36 正逆転の切り換え信号
40 清掃用ブラシ
41 ブラシ駆動装置
42 シャフト
43 駆動部
44 モータ
46 リンク機構
46A モータ側リンク
46B シャフト側リンク
46C 押し引きリンク
50 移動手段
51 正逆駆動部
52 スクリュー
53 ナット体
55 昇降体
60 移動手段
61 正逆駆動部
62 駆動スプロケット(駆動輪体)
63 従動スプロケット(従動輪体)
64 チェーン(無端回動体)
67 昇降体
θ 一定の角度
A 冷却用空気
B 冷却用空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱器と、この放熱器のコアに冷却用空気を流動させるファンとを有し、前記コアの冷却用空気通過面に対向して清掃用ブラシを設けるとともに、目詰まりを除去するために前記清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させるブラシ駆動装置を設けたことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
ブラシ駆動装置は、冷却用空気通過面に平行なシャフトと、このシャフトを一定の角度で往復回転させる駆動部とからなり、前記シャフトに清掃用ブラシを取り付けたことを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
清掃用ブラシを、ブラシ駆動装置とともに冷却用空気通過面に沿って移動可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項4】
清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って移動可能に構成し、その移動手段を、正逆駆動部に連動したスクリューと、このスクリューに螺合しかつ清掃用ブラシ側に設けたナット体とにより構成したことを特徴とする請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項5】
清掃用ブラシを冷却用空気通過面に沿って移動可能に構成し、その移動手段を、正逆駆動部に連動した駆動輪体と、従動輪体と、両輪体間に巻回しかつ清掃用ブラシ側を連結した無端回動体とにより構成したことを特徴とする請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項6】
ファンは油圧駆動ファンからなり、この油圧駆動ファンを逆転させると同時にブラシ駆動装置を駆動させるように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
車体側に設けた冷却装置は、放熱器と、この放熱器のコアに冷却用空気を流動させるファンとを有し、前記コアの冷却用空気通過面に対向して清掃用ブラシを設けるとともに、この清掃用ブラシを冷却用空気通過面上で摺接駆動させるブラシ駆動装置を設け、このブラシ駆動装置は、冷却用空気通過面に平行なシャフトと、モータと、このモータの回転によりシャフトを一定の角度で往復回転させるリンク機構とからなり、前記シャフトに清掃用ブラシを取り付けたことを特徴とする冷却装置を備えた産業用車両。
【請求項8】
ファンは油圧駆動ファンからなり、この油圧駆動ファンを逆転させると同時にブラシ駆動装置を駆動させるように構成したことを特徴とする請求項7記載の冷却装置を備えた産業用車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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