説明

冷却装置

【課題】電力を消費することなく、かつ、局舎からの制御無しで筐体内の温度を設定範囲に維持することができる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置10は、凝縮した冷媒を室内熱交換器20へ導く液戻り管50には、流量調整弁60が設けられる。流量調整弁60は、筐体12内の気温に応じて液戻り管50内の冷媒流量を調節する。流量調整弁60は、弁体63を備える。弁体63は、動作流体67が凝固するときの体積変化に応じて移動し、移動することによって液戻り管50内の流路断面積を阻止するまで調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の発熱機器を収納する筐体内を冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱する電子機器、たとえば通信機器を密閉化された筐体内に収容して使用する場合がある。筐体が密閉されているので、筐体内に直接外気を取り入れて、換気することによって通信機器を冷却することができない。
【0003】
そこで特許文献1に記載の冷却装置では、筐体内に通信機器にて加熱された空気から吸熱して冷媒を沸騰させる吸熱器を設置するとともに、吸熱器より上方側に吸熱器にて沸騰蒸発した気相冷媒と筐体外の空気とを熱交換して気相冷媒を冷却凝縮させる放熱器を設置している。したがって吸熱器によって、筐体内を冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−140464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の冷却装置では、外気が低温(たとえば氷点下)で強風の場合には、冷却装置によって筐体内の温度が下がりすぎて、通信機器が停止してしまうおそれがある。このような筐体内の低温下を防止するため、冷却装置あるいは筐体内にヒータを備えると、コストが増加するという問題がある。また問題を解決するために、特許文献1に記載の電磁式の開閉弁によって、循環する冷媒流量を制御して、外気低温の場合には冷却装置の動作を停止することも考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、温度と湿度を検知するためのセンサ、検知データを判断し冷却装置を制御する信号を出すための回路、および電磁弁への動力供給源が局舎側に必要である。このため局舎側の構造が複雑になり、コストが増加する。また、停電時のバックアップ電源の容量に限界があり、所定の時間バックアップ運転させるために冷却装置の消費電力削減が求められている。したがって開閉弁を制御するための電力消費も低減することが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、電力を消費することなく、かつ、局舎側からの制御無しで筐体内の温度を設定範囲に維持することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、発熱機器(11)を収納する筐体(12)の内部に設けられ、筐体内の空気と内部を流れる冷媒との間で熱交換が行われる室内熱交換器(20)と、
筐体の外部に設けられ、内部を流れる冷媒と外気との間で熱交換が行われる室外熱交換器(30)と、
室内熱交換器で筐体内の空気と熱交換して沸騰した冷媒を、室外熱交換器へ導く蒸気流通管(40)と、
室外熱交換器で外気と熱交換して凝縮した冷媒を、室内熱交換器へ導く液戻り管(50)と、を備え、
冷媒は、室内熱交換器内において沸騰し室外熱交換器内で凝縮することによって室内熱交換器と室外熱交換器との間を循環し、室内熱交換器で吸熱し室外熱交換器で放熱して筐体内を冷却する冷却装置(10)であって、
冷媒が循環する流路に設けられ、筐体内の気温に応じて冷媒が循環する冷媒流量を調節する流量調整手段(60)を含み、
流量調整手段は、
動作流体(67)と、
動作流体を内部に封止する封止体(68)と、
封止体内の動作流体と筐体内の空気との間で熱交換が行われる熱交換部(70)と、
熱交換部における熱交換によって動作流体が凝固するときの体積変化に応じて移動し、移動することによって冷媒が循環する流路の流路断面積を冷媒の循環を阻止するまで調節する作動部(63)と、を備えることを特徴とする冷却装置である。
【0009】
請求項1に記載の発明に従えば、冷媒が循環する流路には、流量調整手段が設けられる。流量調整手段は、筐体内の気温に応じて循環する冷媒流量を調節する。流量調整手段は、作動部を備える。作動部は、熱交換部における熱交換によって動作流体が凝固するときの体積変化に応じて移動し、移動することによって冷媒が循環する流路の流路断面積を冷媒の循環を阻止するまで調節する。したがって外気温が低くなり、筐体内の温度も低くなると、動作流体が凝固し、凝固することによって、冷媒の循環を阻止することができる。冷媒の循環が阻止されると、冷却装置は冷却機能を発揮しない。したがって外気低温に起因して、筐体内が冷却装置の冷却によって低温になりすぎることを防止することができ、発熱機器が停止することを防止することができる。また流量調整手段によって冷媒の循環が阻止されているときに、筐体内の気温が発熱機器によって上昇して動作流体が融解すると、冷媒の流れが許容される。これによって冷媒が循環するので冷却装置は冷却能力を発揮することができる。
【0010】
このような流量調整手段は、動作流体が凝固するときの体積変化に応じて移動し、移動することによって冷媒が循環する流路の流路断面積を調節する作動部を備える。したがって流量調整手段は、電力をなんら消費することなく、動作流体の体積変化によって冷媒の流れを許容または阻止することができる。しかも筐体内の温度変化によって阻止するタイミングを決定することができるので、流量調整手段を制御するためのマイクロコンピュータなども不要である。したがって流量調整手段を制御するための電力も不要である。これによって冷却装置は、外部からの電気、信号および動力などの供給が無くても自律で冷媒流量を調整し、筐体内を適切な温度に維持することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明では、封止体は、予め定める軸方向に延び、軸方向の一端が閉塞し、軸方向の他端が開放している有底筒状体であり、
熱交換部は、封止体における閉塞している閉塞部分(68b)であり、
作動部は、動作流体が封止された封止体の開放部分(68a)を塞ぐように配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明に従えば、熱交換部が封止体における閉塞部分であるので、動作流体が凝固するときは、閉塞部分から凝固が開始される。そして、順次、凝固部分が閉塞部分から開放部分に広がっていくことなる。作動部は、開放部分を塞ぐように配置されるので、動作流体の凝固量の増加につれて、動作流体の総体積が増加し、作動部を徐々に押し出すように移動させることができる。そして開放部分における動作流体が凝固したときには、封止体内の全ての動作流体が凝固しているので、作動部を所定の位置へ確実に移動させることができる。これによって作動部の動作の信頼性を向上することができる。また動作流体が、たとえば封止体の全外周面から徐々に凝固するような構成であると、先に凝固した動作流体によって後から凝固する部分の体積増加が妨げられ、封止体を変形させるおそれもあるが、本発明のように凝固する方向を制御することによって、封止体の変形を抑制するという効果も達成することができる。
【0013】
さらに請求項3に記載の発明では、断熱性を有し、封止体における閉塞部分の外周面を除いた部分を覆うカバー体(69)をさらに含むことを特徴とする。請求項3に記載の発明に従えば、断熱性を有し、封止体における閉塞部分の外周面を除いた部分(以下、「断熱部分」ということがある)を覆うカバー体をさらに含む。したがって断熱部分が筐体内の空気と動作流体とが熱交換することを妨げることができ、断熱部分の内方に位置する動作流体が、閉塞部分よりも先に凝固することを防止することができる。これによって閉塞部分から動作流体の凝固を確実に開始させることができる。したがって作動部の動作の信頼性をさらに向上することができる。
【0014】
さらに請求項4に記載の発明では、動作流体は、水であることを特徴とする。請求項4に記載の発明に従えば、動作流体は水であるので、凝固による水の体積増加によって作動部を動作させることができる。このように安価で手に入りやすい水を動作流体に使用することによって、本発明の冷却装置を実現することができる。
【0015】
さらに請求項5に記載の発明では、動作流体は、油脂であることを特徴とする。請求項5に記載の発明に従えば、動作流体は油脂であるので、凝固による油脂の体積減少によって作動部を動作させることができる。このように安価で手に入りやすい油脂動作流体に使用することによって、本発明の冷却装置を実現することができる。
【0016】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の冷却装置10が搭載された携帯電話基地局90の構成図である。
【図2】流量調整弁60を示す断面図である。
【図3】水の比容積を示すグラフである。
【図4】第2実施形態の流量調整弁60Aを示す断面図である。
【図5】ノルマルペンタデカンの比容積を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各実施形態で先行する実施形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。また各実施形態にて構成の一部を説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している実施形態と同様とする。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図3を用いて説明する。図1は、第1実施形態の冷却装置10が搭載された携帯電話基地局90の概略構成図である。携帯電話基地局90は、密閉空間を形成する筐体12の内部に通信機器11が収納されて構成される。本実施形態の冷却装置10は、通信機器11が設置される筐体12内を冷却する。携帯電話基地局90は、無線通信のエリアが広範囲になるように、屋外の高所、たとえばビルなどの建物の屋上の床面および建物の外壁に設置される。
【0020】
通信機器11は、内部に作動によって発熱する送受信機やパワーアンプ等の電気機器を備える。このような電気機器は、外部に向けて放熱する発熱機器である。筐体12は、断熱性を有し、具体的には複数のアルミニウム板の間にウレタン発泡断熱材を介在させた部材によって形成された箱体である。また、筐体12の側部には、ドア部13が設けられる。ドア部13は、メンテナンスのため開閉自在に筐体12に設けられる。
【0021】
冷却装置10は、筐体12内の空気(内気ともいう)から吸熱した冷媒によって熱を運び、この冷媒が筐体12外の空気(外気ともいう)に対して放熱することにより、内気を冷却する装置である。冷却装置10は、筐体12内の空気と冷媒との間で熱交換する室内熱交換器20と、冷媒と外気との間で熱交換する室外熱交換器30とを備えている。室内熱交換器20と室外熱交換器30とは、蒸気流通管40と液戻り管50とによって接続され、内部を冷媒が流通して循環する循環流路中に設置されている。循環流路中の冷媒は、室内熱交換器20と室外熱交換器30との間を循環し、室内熱交換器20で吸熱し室外熱交換器30で放熱して筐体12内の空気を冷却し、通信機器11等の発熱機器を冷却する。室内熱交換器20の内部に封入される冷媒は、例えばHFCを用いる。HFC以外には、低圧封入された水、エチレングリコール水溶液等を用いてもよい。
【0022】
室内熱交換器20は、鉛直方向に対して傾斜した姿勢で筐体12の内部に設けられる。また室外熱交換器30は、鉛直方向に対して傾斜した姿勢で筐体12の外部に設けられる。鉛直方向は、本実施の形態では筐体12が起立する方向と平行である。筐体12が起立する方向は、筐体12を形成する上下方向であり、各熱交換器20,30はこの上下方向側面に対して傾いた状態で設置されている。
【0023】
室内熱交換器20は、内部を流れる冷媒と筐体12内の空気との間で熱交換が行われるコア部21,22を有し、本実施形態ではコア部21,22は空気流れの上流側に位置する上流側コア部21と空気流れの下流側に位置する下流側コア部22とで構成されている。上流側コア部21と下流側コア部22とは、筐体12に対して傾斜する姿勢であり、かつコア部21,22を通過する空気の通過方向に対して重なって配置されている。室内熱交換器20は、筐体12の天井内面12aに装着された室内ケーシング部材14に固定されて、通信機器11上方の所定の設置空間に配置されている。室内熱交換器20の横には、室内熱交換器20のコア部21,22に対して筐体12内の空気を送る室内ファン23が設けられている。
【0024】
室外熱交換器30は、内部を流れる冷媒と筐体12外の外気との間で熱交換が行われるコア部31,32を有し、本実施形態ではコア部31,32は空気流れの上流側に位置する上流側コア部31と空気流れの下流側に位置する下流側コア部32とで構成されている。上流側コア部31と下流側コア部32とは、筐体12に対して傾斜する姿勢であって、さらにコア部31,32を通過する空気の通過方向に対して重なって配置されている。室外熱交換器30は、筐体12の天面12bに装着された室外ケーシング部材15に固定されて所定の設置空間に配置されている。室外熱交換器30の横には、室外熱交換器30のコア部31,32に対して外気を送る室外ファン33が設けられている。
【0025】
冷却装置10は、室内熱交換器20と室内熱交換器20の上方に配置された室外熱交換器30とが蒸気流通管40と液戻り管50とによって接続されることにより、冷媒が各熱交換器20,30の内部を流通し循環するように構成されている。
【0026】
蒸気流通管40は、室内熱交換器20の上流側コア部21および下流側コア部22の各端部に設けられる上部側ヘッダタンク24に接続されるとともに、室外熱交換器30の上流側コア部31および下流側コア部32の各端部に設けられる上部側ヘッダタンク34に接続されて、室内熱交換器20と室外熱交換器30とを連絡する管である。蒸気流通管40は、室内熱交換器20で内気と熱交換して沸騰気化した気化冷媒を室外熱交換器30の上部へ導く管である。
【0027】
液戻り管50は、室外熱交換器30の上流側コア部31および下流側コア部32の各端部に設けられる下部側ヘッダタンク35に接続されるとともに、室内熱交換器20の上流側コア部21および下流側コア部22の各端部に設けられる下部側ヘッダタンク25に接続されて、室内熱交換器20と室外熱交換器30とを連絡する管である。液戻り管50は、室外熱交換器30で液化凝縮した液冷媒を室内熱交換器20の下部へ戻す管である。
【0028】
次に、各熱交換器20,30のヘッダタンク24,25,34,35に関して説明する。室外熱交換器30の下部側ヘッダタンク35は、プレス等で成形された2つの椀状板材を互いに最中合わせに組み立てて一体化した筒状部材で構成される。2つの椀状板材のうち他方の側面(コア部31,32側の側面)には、筒状部材の延びる長手方向に所定の間隔を設けて一列に開口され、コア部31,32を構成するチューブ(図示せず)が挿入可能な開口である複数の挿入穴(図示せず)が形成されている。複数の挿入穴は、コア部31,32に配列されるチューブの数量と同一の数量設けられている。
【0029】
室外熱交換器30の下部側ヘッダタンク35には、長手方向の両端部が必要に応じて蓋部材等により塞がれて、液戻り管50を接続するための穴やチューブの挿入穴等の開口部を除いて閉鎖した所定の空間が形成されている。そして複数の挿入穴に所定本数のチューブを挿入して設置すると、チューブの内部および下部側ヘッダタンク35の内部が連通する通路が形成されるようになる。このように室外熱交換器30の下部側ヘッダタンク35が構成されている。
【0030】
室外熱交換器30の上部側ヘッダタンク34は、蒸気流通管40との接続部を備え、室外熱交換器30の下部側ヘッダタンク35と同様の構成の筒状部材である。室内熱交換器20の上部側ヘッダタンク24は、室外熱交換器30の上部側ヘッダタンク34と同様の構成の筒状部材である。室内熱交換器20の下部側ヘッダタンク25は、液戻り管50との接続部を備え、蒸気流通管40との接続部を備えない点を除いて室内熱交換器20の上部側ヘッダタンク24と同様の構成の筒状部材である。
【0031】
次に、各熱交換器20,30のコア部21,22,31,32に関して説明する。各コア部21,22,31,32は、構成が互いに略等しいので、室外熱交換器30の上流側コア部31に関して説明し、室外熱交換器30の下流側コア部32、室内熱交換器20の上流側コア部21および下流側コア部22に関しての説明を省略する。上流側コア部31は、図示は省略するが、所定の間隔を設けて配列された複数本のチューブと、各チューブ間に介在されたコルゲートタイプのフィンとで構成されている。また、これらのチューブとフィンはコア部31の両側からサイドプレートにより支持されて一体になり、ろう付け接合によって固定されている。
【0032】
フィンが配置されている隣り合うチューブ間は、チューブ内を流れる冷媒と熱交換される空気が通過する通路を構成する。フィンの形状は、たとえば平面部には部分的にプレス加工で切り起こされた複数個の切り起こし部が形成されている。複数個の切り起こし部は、熱交換面積を増加し、伝熱性向上のために、空気通過方向に並ぶように形成されている。冷媒と熱交換される空気は、複数個の切り起こし部によってフィンの平面部に形成された部分を通ってフィンの両面側を蛇行するように流れるため、乱流が形成されて熱交換量が増加することになる。
【0033】
また、室外熱交換器30および室内熱交換器20における上記各部材は、アルミニウム材からなり、表面に施されたろう材を介して上記各部材間をろう付けすることにより一体に接合されている。
【0034】
次に、液戻り管50に設けられる流量調整弁60に関して図2を用いて説明する。図2は、流量調整弁60を示す断面図である。流量調整弁60は、液戻り管50に設けられ、筐体12内の温度(内気温ともいう)に応じて液戻り管50内を流れる冷媒量を調節する。流量調整弁60は、筐体12内の気温に応じて液戻り管50内の冷媒流量を調節し、筐体12内の気温が低下すると、液戻り管50内の冷媒の流れを阻止するように構成された流量調整手段である。
【0035】
流量調整弁60は、冷媒が流通する本体部65、動作流体67、動作流体67が封止される封止体68、動作流体67の体積変化による応力が作用する弁体63、弁体63を押圧するスプリング64、および封止体68の外周面を覆うカバー体69を含んで構成される。流量調整弁60は、動作流体67の凝固による体積変化を動力源として動作する。換言すると、流量調整弁60は、電力を何ら消費することなく、動作流体67の凝固による体積変化を動力源として動作する。
【0036】
次に、流量調整弁60の各構成要素に関して説明する。本体部65は、冷媒が流通する冷媒流路65aが内部に形成される。冷媒流路65aは、図2の上下方向に延び、内壁の断面が円形状である。冷媒流路65aは、図1に示すように液戻り管50内に連通する。冷媒流路65aの一端は室外熱交換器30からの冷媒が流入する入口部61であり、冷媒流路65aの他端は室内熱交換器20へ冷媒を流出する出口部62である。本体部65の内壁には、左右方向に貫通する貫通孔66が形成される。また本体部65の貫通孔66に対向する内壁には、スプリング64が配置される凹部65bが形成される。
【0037】
封止体68は、図2における左右方向を軸方向として延びるような断面円形状の筒状体である。封止体68は、具体的には軸方向の一端(図2における右方側の端)が閉塞し、軸方向の他端(図2における左方の端)が開放している有底筒状体である。封止体68は、熱伝導性に優れる材料、たとえば銅からなる。封止体68の開放している一端である開放部分68aは、本体部65の貫通孔66と連通するように本体部65に連結される。封止体68の開放部分68aの開口形状および寸法と、貫通孔66の形状および寸法は略等しくなるように、開放部分68aおよび貫通孔66の形状が選択される。貫通孔66の内壁と、開放部分68aの内壁とは面一となるように、封止体68が本体部65に固定される。動作流体67は、封止体68に封止される。動作流体67は、本実施の形態では水(HO)であり、凝固点は0℃である。
【0038】
カバー体69は、断熱性を有する材料、たとえば樹脂からなる。カバー体69は、封止体68の閉塞している一端である閉塞部分68bの外周面を除いた部分を覆うように構成される。したがってカバー体69は、筒状であって、有底筒状ではなく、カバー体69の長さが封止体68よりも短い。したがって封止体68は、閉塞している閉塞部分68bが内気に露出している。この閉塞部分68bが、封止体68内の動作流体67と内気とが熱交換を行うための熱交換部70となる。
【0039】
弁体63は、封止体68の開放部分68aを塞ぐように配置される。また弁体63は、貫通孔66を挿通するように配置される。弁体63は、円柱状であって、貫通孔66の内壁および封止体68の内壁に沿って左右方向にスライド可能に構成される。また弁体63は、冷媒流路65aの内径よりも長くなるように構成される。弁体63の左方の端部が、凹部65bに収容されている図2に示す状態では、弁体63によって冷媒の流れが阻止される。換言すると、弁体63によって冷媒流路65aが塞がれている。
【0040】
弁体63の左方に位置する端部には、凹部65bに配置されたスプリング64の一端が当接し、スプリング64が弁体63を右方に押圧している。弁体63の外周面には内方に環状に凹となる環状溝63aが形成される。環状溝63aには、Oリング71が収容されて、封止体68の内壁に密に当接する。これによって動作流体67が、封止体68の開放部分68aから漏出することを防止している。
【0041】
次に、動作流体67である水に関して説明する。図3は、水の比容積を示すグラフである。図3に示すように、水は、0℃で凝固し、凝固すると体積が9%増加する。弁体63の変位幅(ストローク)は、少なくとも本体部65の冷媒流路65aの内径以上である。たとえば冷媒流路65aの内径が15mmである場合に、弁体63のストロークT1を16mmに設定する場合について説明する。16mmを体積増加の9%で除算することによって、液体の動作流体67を封止する部分の長さT2が約177mmと算出される。これによって177mmに封止体68の底面積を乗算することによって、動作流体67として必要な水の体積が求められる。したがって単位底面積当たり177mmの水が氷となって、凝固すると、単位面積当たり16mm膨張することとなる。氷となったときの封止体68が動作流体67を封止している部分の長さT3は、約193mm(=177+16)となる。
【0042】
次に、弁体63の動作に関して説明する。弁体63の左方への移動は、動作流体67である水が氷になるときの体積膨張が弁体63に作用することによって開始される。筐体12内の温度が0℃以下、または室内ファン23によって閉塞部分68bの外周面が0℃に近くなると、内気と水との熱交換によって封止体68内の水が氷になる。水から氷になると体積が膨張するので、動作流体67の体積膨張に伴って開放部分68aに位置する弁体63が左方に変位しようとする。弁体63は、スプリング64によって右方へ向かって押圧されているが、体積膨張による弁体63の左方への押圧力がスプリング64の押圧力を上回り、弁体63が左方へスライド変位する。弁体63が左方へスライド変位すると、徐々に弁体63が冷媒流路65aを塞ぎ、流路断面積を小さくする。そして図2に示すように、弁体63の左方の端部が凹部65bに収容された状態では、冷媒流路65aを完全に塞ぎ、流路断面積は0となる。これによって筐体12内の温度が0℃以下になると、冷媒の流れが弁体63によって阻止される。
【0043】
また弁体63の右方への移動は、動作流体67である氷が水になり、体積が減少すると開始される。筐体12内の温度が0℃よりも大きく、または室内ファン23によって閉塞部分68bの外周面が0℃よりも大きくなると、内気と氷との熱交換によって氷が水になる。氷から水になると体積が減少するので、弁体63の右方を支えていた部分が徐々になくなり、動作流体67の体積減少に伴って、スプリング64の右方への押圧力によって右方へ変位する。弁体63が右方へスライド変位すると、徐々に流路断面積が大きくなる。そして弁体63の左方の端部が貫通孔66内に完全に収容された状態では、流路断面積が最大となる。したがって筐体12内の温度が0℃よりも大きくなると冷媒の流れが許容される。
【0044】
次に、冷却装置10の動作に関して説明する。冷媒の蒸発気化および凝縮液化が起こる状態では、冷媒は、室内熱交換器20のチューブ→室内熱交換器20の上部側ヘッダタンク24→蒸気流通管40→室外熱交換器30の上部側ヘッダタンク34→室外熱交換器30のチューブ→室外熱交換器30の下部側ヘッダタンク55→液戻り管50→流量調整弁60→液戻り管50→室内熱交換器20の下部側ヘッダタンク25→室内熱交換器20のチューブの順に流れ、室内熱交換器20と室外熱交換器30との間を循環する。そして、室内熱交換器20のチューブ内で沸騰気化し、室外熱交換器30のチューブ内で凝縮することで、室内熱交換器20が設けられた筐体12内を冷却するようになる。
【0045】
筐体12内の温度が低く、動作流体67の凝固点(0℃)よりも低くなると、動作流体67が水から氷へと凝固して、体積が増加する。体積が増加するので、弁体63が凹部65b側に押される。そして流路断面積が徐々に小さくなり、冷媒流量が低下し、冷却装置10の冷却性能も低下する。そして、弁体63が完全に冷媒流路65aを塞ぐと冷媒流量がゼロになり、冷媒が循環せずに、冷却装置10はいわば動作停止状態となる。したがって冷却装置10の過冷却による内気温の低下を防ぎ、通信機器11の停止を防ぐことができる。
【0046】
しかし通信機器11は常に動作状態にあるので、通信機器11は発熱している。冷却装置10が動作停止状態であるので筐体12の内気温は、通信機器11によって上昇する。このような冷却装置10の機能停止状態がしばらく続くと、筐体12内の温度が上昇し、筐体12の内気温が凝固点よりも大きくなると、熱交換部70において内気と動作流体67(氷)とが熱交換し、氷が徐々に融解して水になり、体積が減少する。すると弁体63はスプリング64によって右方に変位し、流路断面積が大きくなり、冷媒流量が増える。換言すると、筐体12内の温度上昇によって動作流体67の凝固点を超えると弁体63が右方へ移動し、流路断面積が0から大きくなり冷媒が流れる。これによって冷却装置10の動作が開始されるので、冷却機能を発揮し、内気温が下がる。このようにして通信機器11の停止を招くような筐体12内の温度の上昇を防ぐことができる。
【0047】
したがって内気温が下がって凝固点以下になると再び流量調整弁60が閉じ、冷媒流量がゼロになる。そして内気温度が上昇すると、流量調整弁60が開き、冷媒が再び循環する。このように流量調整弁60は、内気温に応じて、この挙動を繰り返すことにより、筐体12内の温度を適切な範囲(たとえば摂氏0度以上20度以下)に調整することができる。
【0048】
以上説明したように本実施の形態の冷却装置10は、凝縮した冷媒を室内熱交換器20へ導く液戻り管50には、流量調整弁60が設けられる。流量調整弁60は、筐体12内の気温に応じて液戻り管50内の冷媒流量を調節する。流量調整弁60は、弁体63を備える。弁体63は、作動部として機能し、動作流体67が凝固するときの体積変化に応じて移動し、移動することによって液戻り管50内の流路断面積を阻止するまで調節する。したがって外気温が低くなり、筐体12内の温度も低くなると、動作流体67が凝固し、凝固することによって冷媒の循環が阻止することができる。冷媒の循環が阻止されると、冷却装置10は冷却機能を発揮しない。したがって外気低温に起因して、筐体12内が冷却装置10の冷却によって低温になりすぎることを防止することができ、通信機器11が停止することを防止することができる。また流量調整弁60によって冷媒の循環が阻止されているときに、筐体12内の気温が通信機器11によって上昇して、動作流体67が融解すると、冷媒の流れが許容される。これによって冷媒が循環するので冷却装置10は冷却能力を発揮することができる。
【0049】
したがって流量調整弁60は、電力をなんら消費することなく、動作流体67の体積変化によって冷媒の流れを許容または阻止することができる。しかも筐体12内の温度変化によって冷媒流れを阻止するタイミングを決定することができるので、流量調整弁60を制御するためのマイクロコンピュータなども不要である。したがって流量調整弁60を制御するための電力も不要である。これによって冷却装置10は、外部からの電気、信号および動力などの供給が無くても自律で冷媒流量を調整し、筐体12内を適切な温度に維持することができる。
【0050】
換言すると、携帯電話基地局90側からの電源・信号・動力の供給無しで冷却性能を調整することができ、携帯電話基地局90全体の製造コストを下げることができる。また流量調整弁60が内気温に応じて開閉するため、センサーおよび制御装置等を使う必要がない。さらに流量調整弁60の構造が簡単なため故障が少なく、信頼性が高い構造を得ることができる。
【0051】
また本実施の形態では、熱交換部70が封止体68における閉塞部分68bであるので、動作流体67が凝固するときは、閉塞部分68bから凝固が開始される。そして、順次、凝固部分が閉塞部分68bから開放部分68aに広がっていくことなる。弁体63は、開放部分68aを塞ぐように配置されるので、動作流体67の凝固量の増加につれて、動作流体67の総体積が増加し、弁体63を徐々に押し出すように移動させることができる。そして開放部分68aにおける動作流体67が凝固したときには、封止体68内の全ての動作流体67が凝固しているので、弁体63を所定の位置へ確実に移動させることができる。これによって弁体63の動作の信頼性を向上することができる。また動作流体67が、たとえば全外周面から徐々に凝固するような構成であると、先に凝固した動作流体67によって後から凝固する部分の体積増加が妨げられ、封止体68を変形させるおそれもあるが、本実施の形態のように凝固する方向を制御することによって、封止体68の変形を抑制するという効果も達成することができる。
【0052】
また本実施の形態では、断熱性を有し、封止体68における閉塞部分68bの外周面を除いた部分を覆うカバー体69をさらに含む。したがってカバー体69に覆われた部分が筐体12内の空気と動作流体67とが熱交換することを妨げることができ、カバー体69の内側に位置する動作流体67が、閉塞部分68bよりも先に凝固することを防止することができる。これによって閉塞部分68bから動作流体67の凝固を確実に開始させることができる。したがって弁体63の動作の信頼性をさらに向上することができる。
【0053】
また本実施の形態では、動作流体67は水であるので、凝固による水の体積増加によって弁体63を動作させることができる。このように安価で手に入りやすい水を動作流体67に使用することによって、本実施の形態の冷却装置10を実現することができる。
【0054】
さらに本実施の形態では、冷却装置10において冷媒は室内熱交換器20内において沸騰気化し室外熱交換器30内で凝縮することにより室内熱交換器20と室外熱交換器30との間を循環して、筐体12内を冷却する構成である。この構成によれば、室内熱交換器20および室外熱交換器30を沸騰冷却式の冷却装置10に適用することにより、限られた設置スペースの中で高い冷却能力を確保できる熱交換器を設置できるとともに、冷媒を強制的に循環するための駆動部品を不要にできるため、駆動部品を備える場合に比べてフリーメンテナンスの冷却装置10が得られる。これにより、例えば寒冷地、山中等の環境条件の厳しい場所に設置される携帯電話基地局90にとって有用な冷却装置10を提供できる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に関して、図4および図5を用いて説明する。図4は、第2実施形態の流量調整弁60Aを示す断面図である。本実施の形態では、前述の第1実施形態とは動作流体67Aが水ではなく、油脂であり、具体的にはノルマルペンタデカン(C1532)である点に特徴を有する。
【0056】
図5は、動作流体67Aであるノルマルペンタデカンの比容積を示すグラフである。図5に示すように、ノルマルペンタデカンは、9℃で凝固し、凝固すると体積が約3%減少する。水の場合は凝固すると体積が増加するが、ノルマルペンタデカンの場合は凝固すると体積が減少するので、弁体63の変位する方向が第1実施形態における流量調整弁60の弁体63とは逆になる。
【0057】
図4に示すように、弁体63には上下方向に貫通する冷媒孔63bが形成される。冷媒孔63bは、ノルマルペンタデカンが液体の状態(図4に示す状態)では、冷媒流路65aと連通し、ノルマルペンタデカンが固体の状態では冷媒流路65aと連通しないように封止体68内の位置に配置される。
【0058】
弁体63の変位幅(ストローク)は、少なくとも本体部65の冷媒流路65aの内径以上である。たとえば冷媒流路65aの内径が15mmである場合に、弁体63のストロークT1を16mmに設定する場合について説明する。16mmを体積減少の3%で除算することによって、液体の動作流体67Aを封止する部分の長さT2が約533mmと算出される。これによって533mmに封止体68の底面積を乗算することによって、動作流体67Aとして必要な液体のノルマルペンタデカンの体積が求められる。したがって単位底面積当たり533mmのノルマルペンタデカンが凝固すると、単位面積当たり16mm膨張することとなる。したがって固体となったときの封止体68が動作流体67Aを封止している部分の長さT3は、約517mm(=533−16)となる。
【0059】
次に、弁体63の動作に関して説明する。弁体63の左方への移動は、動作流体67Aであるノルマルペンタデカンが液体になるときの体積膨張が弁体63に作用することによって開始される。筐体12内の温度が凝固点の9℃よりも大きく、または室内ファン23によって閉塞部分68bの外周面が9℃よりも大きくなると、内気とノルマルペンタデカンとの熱交換によって封止体68内のノルマルペンタデカンが液化する。液化すると体積が膨張するので、動作流体67Aの体積膨張に伴って弁体63が左方に変位しようとする。弁体63は、スプリング64によって右方へ向かって押圧されているが、体積膨張による弁体63の左方への押圧力がスプリング64の押圧力を上回り、弁体63が左方へスライド変位する。弁体63が左方へスライド変位すると、冷媒孔63bと冷媒流路65aとの重なっている領域が徐々に大きくなり、弁体63が冷媒流路65aと連通し、流路断面積を大きくする。そして弁体63の冷媒孔63bと冷媒流路65aとが完全に重なった図4に示す状態では、流路断面積が最大となる。したがって筐体12内が9℃よりも大きくなると、冷媒の流れが許容される。
【0060】
また弁体63の右方への移動は、動作流体67Aであるノルマルペンタデカンが凝固し、体積が減少すると開始される。筐体12内の温度が9℃よりも小さく、または室内ファン23によって閉塞部分68bの外周面が9℃よりも小さくなると、内気とノルマルペンタデカンとの熱交換によってノルマルペンタデカンが固体になる。固体になると体積が減少するので、弁体63の右方を支えていた固体の部分が徐々になくなり、動作流体67Aの体積減少に伴って、スプリング64の右方への押圧力によって右方へ変位する。弁体63が右方へスライド変位すると、徐々に流路断面積が小さくなる。そして弁体63の冷媒孔63bが封止体68内に収容された状態では、流路を完全に塞ぎ、流路断面積は0となる。これによって筐体12内が9℃よりも小さくなると、冷媒の流れが弁体63によって阻止される。
【0061】
このように本実施の形態では、動作流体67Aがノルマルペンタデカンであっても、前述の第1実施形態と同様の作用および効果を達成することができる。また動作流体67Aがノルマルペンタデカンであるので、凝固点が9℃となり、動作流体67Aが水の場合と比べて高くすることができる。このように動作流体67Aを選択することによって、所定の温度範囲内となるように、冷却装置10を構成することができる。
【0062】
また本実施の形態では、油脂の一例としてノルマルペンタデカンを動作流体67Aとして用いているが、ノルマルペンタデカンに限るものではなく、他の油脂、たとえばノルマルヘキサデカンおよびノルマルヘプタタデカンなどであってもよい。
【0063】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0064】
前述の第1実施形態では、発熱機器は通信機器11であったが、通信機器11に限るものではなく、他の電子機器であってもよい。また前述の第1実施形態では、室外熱交換器30および室内熱交換器20は、2個のコア部21,22,31,32を重ねるように配置した構成であったが、このような構成に限るものではなく、1個のコア部であってもよく、3個以上のコア部を重ねて配置してもよい。
【0065】
また前述の第1実施形態および第2実施形態では、動作流体67,67Aは水または油脂であったが、これらの材料に限るものではなく、他の材料を用いて動作流体としてもよい。動作流体の選択にあたっては、凝固点と体積変化量に基づいて、流量調整弁60を設計することによって、所定の温度範囲内で動作する冷却装置10を実現することができる。
【0066】
また前述の第1実施形態の流量調整弁60においては、たとえばスプリング64に代えて、重りを用いて押圧するような構成であってもい。また流量調整弁60は、動作流体67が全て凝固すると、冷媒の流通を阻止する構成であるが、動作流体67の全てが凝固したときに流通を阻止する構成に限るものではなく、動作流体67の一部、たとえば半分が凝固したときに流通を阻止するように動作流体67の量を調節してもよい。
【0067】
また前述の第1実施形態では、液戻り管50内に流量調整弁60を設置しているが、このような場所に限るものではなく、冷媒の循環流路であればよく、たとえば同様の構造の機構を室内熱交換器20に組み込み、熱交換部70のみを筐体12内に突き出させる形状でも同様の作用および効果を達成することができる。
【0068】
また前述の第1実施形態では、封止体68、本体部65および弁体63が一体に構成されるが、熱交換部70と弁体63とが一体にするように構成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…冷却装置
11…通信機器(発熱機器)
12…筐体
20…室内熱交換器
30…室外熱交換器
40…蒸気流通管
50…液戻り管
60…流量調整弁
63…弁体(作動部)
67,67A…動作流体
68…封止体
68a…開放部分
68b…閉塞部分
69…カバー体
70…熱交換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱機器(11)を収納する筐体(12)の内部に設けられ、前記筐体内の空気と内部を流れる冷媒との間で熱交換が行われる室内熱交換器(20)と、
前記筐体の外部に設けられ、内部を流れる冷媒と外気との間で熱交換が行われる室外熱交換器(30)と、
前記室内熱交換器で前記筐体内の空気と熱交換して沸騰した冷媒を、前記室外熱交換器へ導く蒸気流通管(40)と、
前記室外熱交換器で前記外気と熱交換して凝縮した冷媒を、前記室内熱交換器へ導く液戻り管(50)と、を備え、
前記冷媒は、前記室内熱交換器内において沸騰し前記室外熱交換器内で凝縮することによって前記室内熱交換器と前記室外熱交換器との間を循環し、前記室内熱交換器で吸熱し前記室外熱交換器で放熱して前記筐体内を冷却する冷却装置(10)であって、
前記冷媒が循環する流路に設けられ、前記筐体内の気温に応じて前記冷媒が循環する冷媒流量を調節する流量調整手段(60)を含み、
前記流量調整手段は、
動作流体(67)と、
前記動作流体を内部に封止する封止体(68)と、
前記封止体内の前記動作流体と前記筐体内の空気との間で熱交換が行われる熱交換部(70)と、
前記熱交換部における熱交換によって前記動作流体が凝固するときの体積変化に応じて移動し、移動することによって前記冷媒が循環する流路の流路断面積を前記冷媒の循環を阻止するまで調節する作動部(63)と、を備えることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記封止体は、予め定める軸方向に延び、前記軸方向の一端が閉塞し、前記軸方向の他端が開放している有底筒状体であり、
前記熱交換部は、前記封止体における前記閉塞している閉塞部分(68b)であり、
前記作動部は、前記動作流体が封止された前記封止体の開放部分(68a)を塞ぐように配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
断熱性を有し、前記封止体における前記閉塞部分の外周面を除いた部分を覆うカバー体(69)をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記動作流体は、水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項5】
前記動作流体は、油脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−15375(P2012−15375A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151294(P2010−151294)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】