説明

冷温蔵ショーケース

【課題】送風機の回転数を低下させ冷却領域に対し冷気エアーカーテンの風速を適切な値まで落とし、その際の制御を周囲外気温度に対応した適切な加温もしくは冷却が得られる冷温蔵ショーケースを提供する。
【解決手段】複数の商品棚が多段に設置された商品陳列室の周囲に、送風機により冷却器を通して冷気を循環させる通風路を備え、陳列室内に商品陳列用の棚を複数段架設すると共に、その棚の一部をヒータにより加温される棚とし、該ヒータにて加温される最下段の棚の前部から冷気を吐出して前記開口に冷気エアーカーテンを構成することで、前記陳列室内に前記ヒータにて加温される加温領域と、その下方において前記棚の前部から吐出される冷気により開口に冷気エアーカーテンが構成される冷却領域とを構成可能とした冷温蔵ショーケースにおいて、温度センサにより計測した冷却領域にある棚側から見ての冷却状態で、庫内ファン風量を変更する制御装置を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホット商品とコールド商品とを同時に陳列できる冷温蔵ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに設置される冷/温使用可能なオープンタイプの低温ショーケース(オープンショーケース)は、複数の商品棚が多段に設置された商品陳列室の周囲に、ファンにより冷却器を通して冷気を循環させる通風路を備えるとともに、商品陳列室を上部のホット室と下部のコールド室とに分け、上部ホット室の商品棚に設けられたヒータの通電制御とにより、商品陳列室全体が冷却されるオールコールド運転と、ホット室が加温されコールド室が冷却される冷機温蔵運転とに切換運転されるものである。
【0003】
下記特許文献もその1つであり、図5、図6に示すように、オープンショーケース1はスーパーマーケット等の店舗に設置される冷/温使用可能な低温ショーケースであり、前面に開口する断面略コ字状の断熱壁3と、その両側に取り付けられる側板2、2で本体を構成し、この断熱壁3の内側は間隔を存して背面パネル6、天面パネル7で仕切り、これら背面パネル6、天面パネル7と断熱壁3間に背方から上方に渡る冷気循環ダクト9を形成した。
【特許文献1】特開2006−3021号公報
【0004】
また、背面パネル6の下端には、前方に延在するデッキパン10が設けられており、これら背面パネル6、天面パネル7及びデッキパン10の内側に背面に商品収納庫11を形成する。そして、デッキパン10の下方には冷気循環ダクト9に連通してその一部を構成する下部ダクト14を設ける。
【0005】
冷気循環ダクト9の上端は商品収納庫11の前面開口上縁に位置する上部冷気吐出口16に連通し、下部ダクト14の前端は商品収納庫11の前面開口下縁に位置する冷気吸込口17に連通している。
【0006】
また、デッキパン10の下方の下部ダクト14内には冷気送給用の送風機19を設置し、商品収納庫11の後方の冷気循環ダクト9内には冷却装置の冷凍サイクルを構成する冷却器15を縦設した。
【0007】
商品収納庫11内には棚4、4Aが複数段、図示の例では上下に6段架設した。最下段の棚4Aを除く各棚4(上から5段目まで)は、後端に後方に突出する鉤状の爪を有した左右一対のブラケット21、21を設け、棚板22をこのブラケット21、21上に差し渡して取り付け、棚板22の下面に加温用の電気ヒータ(図示せず)を取り付ける。
【0008】
各棚4は、商品収納庫11内の背面パネル6の前面両側に取り付けた棚支柱23の係合孔に前記ブラケット21の爪を係脱自在に係合させることにより、各商品収納庫11内において上下位置(高さ)を変更可能に架設される。
【0009】
図中24は冷気遮蔽板で、冷気循環ダクト9内に突出し、冷気循環ダクト9を塞ぐことができるように構成されている。
【0010】
まず、商品収納庫11内の全部をクールとする場合は、冷気遮蔽板24は冷気循環ダクト9を塞がず、この状態で送風機19が運転されると、冷却器15を熱交換した冷気は冷気循環ダクト9内を上昇し、上部冷気吐出口16から吐出される。
【0011】
吐出された冷気は商品収納庫11の前面開口部に冷気エアーカーテンを構成しながら商品収納庫11内を冷却する。そして、冷気吸込口17から下部ダクト14に吸引され、再び送風機19に吸い込まれる循環を繰り返す。これによって、陳列室11内の全域が冷蔵(若しくは冷凍)温度に冷却され、全棚板22上の商品が冷却されることになる。
【0012】
次に、上から4段目の棚4から上を加温領域として加温使用し、下を冷却領域として冷却使用する場合には、冷気遮蔽板24を最も後方に移動させ、最上段、上から2段目、上から3段目及び上から4段目の棚4・・・の電気ヒータを発熱させる。
【0013】
冷気遮蔽板24は連通部より上に向かう冷気を遮断するので、上部冷気吐出口16からの冷気吐出は無くなり、代わりに電気ヒータにて加熱されるようになるので、上から4段目の棚4から上の商品収納庫11内は加温領域となる。
【0014】
他方、冷気遮蔽板24に衝突した冷気は前方に曲がり、吐出された冷気は4段目の棚4より下方の商品収納庫11の前面開口部に冷気エアーカーテンを構成しながら4段目の棚4より下方の商品収納庫11内を循環して冷却した後、冷気吸込口17から吸い込まれる。これにより、4段目の棚4より下方の商品収納庫内が冷却領域となる。
【0015】
また、商品収納庫11の全体を加温領域とする場合は、冷却装置及び送風機19を停止し、全段の棚4の電気ヒータを発熱させて棚板22上の商品を加温することになる。最下段の棚4Aも同様のブラケット21と棚板22から構成されるが、棚板22上は加温しないか、別途電気ヒータを設けて加温するものとする。
【0016】
このような冷機温蔵タイプのオープンショーケースでは通常商品収納庫室全体を冷却領域とする場合、即ち、開口上縁の冷気吐出口から冷気を吐出して商品収納庫の開口全域に冷気エアーカーテンを構成する場合を想定して送風機の能力(ファン寸法やモータ出力)を選定している。
【0017】
そのため、冷/温使用する場合には、冷気エアーカーテンを構成する間口が小さくなり、冷気エアーカーテンの風速が適切にならず、早過ぎて外気の巻き込みが増大し、陳列室内壁や棚の先端部等に結露が発生する問題があった。
【0018】
前記特許文献1は、冷却領域を変更した際にも適切な冷気エアーカーテンを構成することを目的として提案されたもので、ヒータにより加温される棚の段数に応じて送風機の回転数を調整する制御装置を設けた。
【0019】
この制御装置により、ヒータにより加温される棚の段数が増加するのに応じて送風機の回転数を低下させれば、冷却領域が縮小されていくに応じて冷気エアーカーテンの風速を適切な値まで落としていくことが可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
前記特許文献1は、冷気エアーカーテンの風速を制御することで、陳列室内の結露軽減と侵入熱負荷低減をより効果的に実現することを目的としたものであるが、このようにヒータにより加温される棚の段数が増加するのに応じて送風機の回転数を低下させるだけでは、十分適切な制御を実現できるものとは言えない。
【0021】
ただし、前記加温機能を有するオープンショーケース機種の冷機温蔵ショーケースでは、特に、ホット&コール運転時の上部ホット室(加温領域)の加温飲料ボトルの商品温度は周囲外気温度に影響される傾向があり、例えば周囲外気温度が低い場合は、飲料温度が低い傾向にあり、周囲外気温度が高い場合には高い傾向にある。
【0022】
また、前記のように冷却器で冷却された冷風をダクトを介して各室(冷却領域)に分配する構造となっているため、各室を区画していても、各室の気密性を十分に確保することが困難で、下部コールド室への冷気が上部ホット室へ悪影響を与えることもあり、余分な冷気がヒータ付加温用棚の加温を妨げてしまう。周囲外気温度が低い場合は、特にこの傾向が強い。
【0023】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、必要以上の冷却をしないで済むように、送風機の回転数を低下させて冷却領域に対して冷気エアーカーテンの風速を適切な値まで落としていくことを可能とするものであり、かつ、その際の制御を単純にヒータにより加温される棚の段数が増加するのに応じて行うのではなく、周囲外気温度に対応した適切な加温もしくは冷却が得られるようにした冷機温蔵ショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、複数の商品棚が多段に設置された商品陳列室の周囲に、送風機により冷却器を通して冷気を循環させる通風路を備え、陳列室内に商品陳列用の棚を複数段架設すると共に、その棚の一部をヒータにより加温される棚とし、該ヒータにて加温される最下段の棚の前部から冷気を吐出して前記開口に冷気エアーカーテンを構成することで、前記陳列室内に前記ヒータにて加温される加温領域と、その下方において前記棚の前部から吐出される冷気により開口に冷気エアーカーテンが構成される冷却領域とを構成可能とした冷機温蔵ショーケースにおいて、温度センサにより計測した冷却領域にある棚側から見ての冷却状態で、庫内ファン風量を変更する制御装置を設けたことを要旨とするものである。
【0025】
請求項1記載の本発明によれば、冷却領域にある棚側が適正に冷却作用をおこなっていることを検知して、庫内ファン風量を変更、例えば、送風機の回転数を低下させて冷却領域に対して冷気エアーカーテンの風速を適切な値まで落としていくことを可能とするものであり、これにより、ヒータにより加温される棚の段数が増加する場合に比べて、現状に即した制御が可能となる。
【0026】
請求項2記載の本発明は、冷却状態は、温度センサにより計測した外気温度=凝縮器入口温度と目標温度の差を計測して把握し、それにより庫内ファンの風量モードを選定することを要旨とするものである。
【0027】
請求項2記載の本発明によれば、冷却状態が適正であるか否かを判断するのに、冷える視点からの制御が可能となり、冷え易いもしくは冷え難いを把握して、庫内ファンの風量モードを選定することができる。
【0028】
請求項3記載の本発明は、加温領域にある棚側から見て、棚温度と目標との差が大きい場合、目標温度への安定状態が悪い場合は、送風量を下げることを要旨とするものである。
【0029】
請求項3記載の本発明によれば、HOTの能力からの制御を加味するものであり、加温領域にある棚のヒータはON/OFF制御を行い、ある温度、例えば6、70度になったらヒータを止めて、さがったらヒータを入れてという制御を行っているが、例えば、30分以内のサーモ作動回で、HOT能力が強い弱いを判断し、温まっているのか、まだ、温まりが足りないのかということを温度差にて検知して、HOT能力が充分であれば、冷やす方を優先という制御を可能とするものである。
【0030】
請求項4記載の本発明は、冷却領域にある棚側から見て、庫内送風量モードがHiの場合は、冷却領域を優先するため、加温領域の要求をキャンセルさせることを要旨とするものである。
【0031】
請求項4記載の本発明によれば、請求項1の制御と請求項3の制御との優先度を明らかにするものであり、HOTの能力が充分であれば、冷やす方(COLD9を優先したい、温まらないようであれば、COLDの能力をあきらめて、送風量を下げることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上述べたように本発明の冷機温蔵ショーケースは、基本的にはHOTの能力を見て、だめだった場合には、送風機の回転数を低下させて冷却領域に対して冷気エアーカーテンの風速を適切な値まで落としていくことを可能とするものであり、かつ、その際の制御を単純にヒータにより加温される棚の段数が増加するのに応じて行うのではなく、周囲外気温度に対応した適切な加温もしくは冷却が得られるようになるものである。
【0033】
本発明によれば、HOTの棚の台数がいくつであるかということは全く関係なく、HOTの棚が多くても、少なくても、冷えやすい場合、つまり、外気が高い場合には送風機の風量が減って、また、外気温度が高くてHOTが出やすい場合には、送風機の風量が減って、外気温度が低くてHOTが出にくい場合にはHOTの割合を上げていくという制御を行うことができる。
【0034】
すなわち、HOTの方、要は温まり難いということは、冷え易いということなので、送風機の風量を下げても実用上問題がないので、HOTの方を優先し、外気温度が高くで、HOTが出やすい場合には、事実上、温まっているのだから、COLDの方を優先するという制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1〜図3は本発明の冷機温蔵ショーケースの1実施形態を示す縦断側面図、同上正面図、同上斜視図で、前記従来例を示す図5、図6と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。
【0036】
図中1はスーパーマーケット等の店舗に設置される冷/温使用可能な低温ショーケースとしてのオープンショーケースであり、その基本的構造は前記従来例を示す図5、図6と同じである。
【0037】
オープンショーケース1は、前面に開口する断面略コ字状の断熱壁3と、その両側に取り付けた側板2、2で本体部分を構成し、断熱壁3の内側を間隔を存して背面パネル6、天面パネル7で仕切り、これら背面パネル6、天面パネル7と断熱壁3間に背方から上方に渡る冷気循環ダクト9を形成した。
【0038】
また、背面パネル6の下端には、前方に延在するデッキパン10を設け、前記背面パネル6、天面パネル7及びデッキパン10の内側に背面に商品収納庫11を形成した。デッキパン10の下方には冷気循環ダクト9に連通してその一部を構成する下部ダクト14を設ける。
【0039】
冷気循環ダクト9の上端は商品収納庫11の前面開口上縁に位置する上部冷気吐出口16に連通させ、下部ダクト14の前端は商品収納庫11の前面開口下縁に位置する冷気吸込口17に連通させる。
【0040】
また、デッキパン10の下方の下部ダクト14内には、冷気送給用の送風機19を設置し、商品収納庫11の後方の冷気循環ダクト9内には冷却装置の冷凍サイクルを構成する冷却器15を縦設する。
【0041】
商品収納庫11内には棚4、4Aが複数段、図示の例では上下に4段架設した。最下段の棚4Aを除く各棚4(上から3段目まで)は、後端に後方に突出する鉤状の爪を有した左右一対のブラケット21、21を設け、棚板22をこのブラケット21、21上に差し渡して取り付け、棚板22の下面に加温用の電気ヒータ(図示せず)を取り付ける。
【0042】
各棚4は、商品収納庫11内の背面パネル6の前面両側に取り付けた棚支柱23の係合孔に前記ブラケット21の爪を係脱自在に係合させることにより、各商品収納庫11内において上下位置(高さ)を変更可能に架設される。
【0043】
図中24は冷気遮蔽板で、冷気循環ダクト9内に突出し、冷気循環ダクト9を塞ぐことができるように構成されている。この冷気遮蔽板24は各棚4にそれぞれスライド自在に設け、必要に応じて冷気循環ダクト9内を閉塞するものを選択することができる。
【0044】
オープンショーケース1の下部に形成された機械室8には、冷却ユニットとしての凝縮器12、凝縮器ファン13、ドレン蒸発装置18、電装ボックス20a、20b、アキュームレーター26、圧縮器27等を設置する。ドレン蒸発装置18は、蒸発板、蒸発皿、オーバーフロータンクからなる。
【0045】
電装ボックス20aは、漏電しゃ断器、デジタル温度計・表示器、ホット・コールド切替スイッチ、冷機温蔵棚割りスイッチ、冷凍機スイッチ(冷却入/切)を備える。
【0046】
この機械室11は周囲をパネル29で囲まれており、ショーケースの前面側もしくは側部側のパネル29には空気取り込み用のスリット25を形成する。
【0047】
なお、図示は省略するが、前記電装ボックス20aもしくは20b内には、棚板22の下面の加温用の電気ヒータの制御と送風機19の制御を行う制御装置(マイコン)が設けられる。
【0048】
また、外気温度を検知するものとして、例えば、凝縮器12の入口側に、温度センサ28を取り付け、この温度センサの検知出力も制御装置(マイコン)に導入し、外気温度により送風機19の風量を制御するものとした。
【0049】
まず、商品収納庫11内の全部をクールとする場合は、冷気遮蔽板24はいずれも冷気循環ダクト9を塞がず、この状態で送風機19が運転されると、冷却器15を熱交換した冷気は冷気循環ダクト9内を上昇し、上部冷気吐出口16から吐出される。
【0050】
吐出された冷気は商品収納庫11の前面開口部に冷気エアーカーテンを構成しながら商品収納庫11内を冷却する。そして、冷気吸込口17から下部ダクト14に吸引され、再び送風機19に吸い込まれる循環を繰り返す。これによって、陳列室11内の全域が冷蔵(若しくは冷凍)温度に冷却され、全棚板22上の商品が冷却される。
【0051】
また、商品収納庫11の全体を加温領域とする場合は、冷却装置及び送風機19を停止し、全段の棚4、4Aの電気ヒータを発熱させて棚板22上の商品を加温する。
【0052】
次に、上から1から3段目までの棚4のいずれかを加温領域として加温使用し、下を冷却領域として冷却使用する場合には、冷気遮蔽板24で冷気循環ダクト9内を閉鎖し、閉鎖した冷気循環ダクト9内の上側の棚4、4Aの電気ヒータを発熱させる。
【0053】
冷気遮蔽板24は連通部より上に向かう冷気を遮断するので、上部冷気吐出口16からの冷気吐出は無くなり、代わりに電気ヒータにて加熱されるようになるので、その部分の商品収納庫11内は加温領域となる。
【0054】
他方、冷気遮蔽板24に衝突した冷気は前方に曲がり、吐出された冷気は下方の商品収納庫11の前面開口部に冷気エアーカーテンを構成しながら電気ヒータにて加熱されない棚4、4Aの商品収納庫11内を循環して冷却した後、冷気吸込口17から吸い込まれる。これにより、下方の商品収納庫内が冷却領域となる。
【0055】
本発明は、第1の制御として、電気ヒータにて加熱されない棚4、4A側から見て、冷却状態より庫内ファンである送風機19の風量を、例えば高域からHi,Mid,Loと区分されたモードから選定する。そして簡易所要冷却能力として、外気温度状態より風量の割合を定める。
【0056】
第2の制御として、加温領域にある棚4側から見て、棚温度と目標との差が大きい場合、目標温度への安定状態が悪い場合は、送風機19の送風量を下げる。
【0057】
ただし、冷却領域(Cold)の棚4、4A側から見て、送風機19の庫内送風量モードがHiの場合は、冷却領域(Cold)を優先するため、加温領域(HOT)の要求をキャンセルさせる。要は、冷えを優先しながらも、HOTの状態で、風量を押さえる。冷えてきたら、HOT能力への配分を強くし、風量調整をする。
【0058】
これら3つの制御をさらに詳細に説明すると、図7はその制御フローを示すもので、
庫内ファン風量(回転速度)の決定は、1.庫内温度の冷え状態の算出→2.庫内の冷え進行状態の算出→3.庫内温度の冷え進行状態と進行状態より→4.庫内ファン風良モードと、外気温度により庫内ファン風量の回転数仮決定→5.HOT棚の温まり状態からの風量抑制の割合を設定、→6.冷す側優先とするかの判定、→7.優先とする場合は、HOT棚からの風演算式による庫内ファン風量の決定という手順になる。
【0059】
制御のタイミングは、庫内ファン(送風機19)の制御周期により回転数変化させる。なお、すべてが加温領域(ALLHOT)時は、庫内ファン(送風機19)は停止とする。
【0060】
下記表1に庫内ファン(送風機19)の制御、各算出表を示す。前記1.庫内が現在どれだけ冷えているかの判定は、庫内温度と目標温度の佐賀大きいほど冷えていない、小さければ冷えている、よって、その差を△tjとして庫内温度−目標温度=△tjとする。
そして、その差の大きさによって、ランク付けを行い、ここでは冷えていないほど大きいランクとして△Tevajとして扱う。そのための変換表が、次の表1である。
【0061】
【表1】

【0062】
前記2.庫内の冷え進行状況のと現在の冷えの状況から、庫内風量の元値の決定については、ここでは3分後とに庫内温度と目標温度の差△tjを測定し、前回のtj-1より冷えているか、いないかで条件分けをする。
【0063】
その条件分けと現在の△tjの下記表2より庫内風量の元となる庫内ファン風量モードを決める。考えは、冷えていなければ風量を増し、冷えていれば風量を絞る。ここでの庫内ファン風量モードが小さいほど、風量を必要としている。下記表2に庫内ファン(送風機19)の風量モードを示す。
【0064】
【表2】

【0065】
前記3.庫内ファン風良モードと、外気により庫内ファンの風量仮決定では、考えは、冷したいほど風量を上げる。外気が高ければ当然冷すためには、風量を上げることが必要。外気が低ければ逆。よってファンの定格風量を100%として、冷すことを低めでよければ、風量を下げていく。下記表3に庫内ファン基準風量割合を示す。
【0066】
【表3】

【0067】
前記4.HOT棚からの風量抑制要求では、HOT棚設定があった場合以下を行う。冷え状態から求めた庫内ファン風量から、棚が暖まっていない場合は風量を下げ、暖めることを促す。また棚はヒータのオンオフで目標温度前後に安定させる。また、オンオフは機会接点を使う場合は、数分間隔で行い、接点磨耗を抑えるため、オフ(サーモ作動中)は、棚温度が冷えている場合がある。更に、サーモの作動がよくある場合は、今の温度が低くても、能力的には暖めることが出来ると判断できる。よって、現在がサーモ作動中か、否か、否の場合は、棚の目標温度よりどれだけ低いかと、サーモ作動回数のマップより、庫内ファン風量の下げる割合をマップ上から定める。
【0068】
ここでのHOT棚と目標温度との差は、棚が複数ある場合は、各棚ごとに算出し、その中の一番差が大きい数値を選ぶ。棚HOT温度加温能力判定した結果の、庫内ファン基準風量割合を下記表4に示す。
【0069】
【表4】

【0070】
棚4、4Aを電気ヒータにて加熱する際の制御は、段数を設定し、この設定により、コントローラは、指定された棚4、4Aの電気ヒータに電気を通電し、暖める機能を発生させる。
【0071】
電気ヒータで加熱した棚4、4Aが目標温度を超えないように、各棚には温度センサ(図示せず)があり、コントローラはその温度を見て通電を制御する。通電の制御は、サーモ(スタット)による単純な温度の閾値をもって止めたり、復活させる。
【0072】
サーモの作動回数のカウントについては下記の通りである。
(1)HOT棚加温段数設定後から、タイマカウントスタートする。
(2)0〜10時間30分間で、COLDとの境界のHOT棚のサーモON回数をカウントし、カウント数によりサーモ作動回数条件判定する。
【0073】
また、COLDとの境界のHOT棚のサーモ状態をフラグ化する。サーモON時はフラグ「1」、サーモOFF時はフラグ「0」とする。
【0074】
COLDとの境界のHOT棚がサーモONの場合は、条件1で、風量割合減算率を算出する。
(3)サーモOFF時はHOT棚温度−目標温度の差で条件2〜4で、風量割合減算率を算出する。
(4)除霜時に、タイマカウントリセット&スタート、サーモカウントリセット&スタートし、(2)に移行する。
【0075】
運転停止にした場合、タイマ&サーモカウントリセット。運転開始で、タイマ&サーモカウントスタートし、(2)に移行する。
※ALLCOLD、ALLHOT時は、タイマカウント、サーモカウントリセット&ストップとする。
(5)HOT棚加温段数設定変更した場合は、(1)から始める。
【0076】
このような検知を行う対象棚は、図4に示すようにColdとの境界のHOT棚である。
【0077】
前記5.冷え優先での風量設定では、運転直後、冷す棚も冷えていない、暖める棚も暖まっていない場合、能力として冷す方が高いので、冷す方を先に済ませる。その後、暖める方を行う。よって風量としては、最初は強く、冷えたらHOTを考慮し落としていく。そのため、強く冷さす場合は、4項で求めた、風量抑制要求をキャンセルさせる。そのための演算定数を庫内ファン風量モードより求める。
【0078】
前記6.風量の決定は、ここまで求めた、各定数を下記式に入れて、庫内ファン風量を決定する。よって前記5.冷え優先での風量設定内項で求めた演算定数が0だと()内は1となり、前記4.HOT棚からの風量抑制要求項で求めた風量抑制要求は0となる。
庫内ファン風量 = 庫内ファン基準回転数 × 庫内ファン基準風量割合 × ( 1 − 庫内ファン演算定数 × 風量割合減算率 )
【0079】
尚ここでの庫内ファン基準回転数とは、製品毎に定めているファンモータの回転速度のことを示している。この計算では、外気が低く、冷えが十分である場合は、庫内ファン風量は基準回転数の30%となる。逆に良く温まっていて外気が高ければ、75%となる。庫内ファンの算出演算は下記表5の定数による。
【0080】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の冷温蔵ショーケースの1実施形態を示す縦断側面図である。
【図2】本発明の冷温蔵ショーケースの1実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明の冷温蔵ショーケースの1実施形態を示す機械室の平面図である。
【図4】検知対象棚を示す表である。
【図5】冷温蔵ショーケースの縦断側面図である。
【図6】冷温蔵ショーケースの斜視図である。
【図7】本発明の風量決定のフロー図である。
【符号の説明】
【0082】
1 オープンショーケース
2 側板
3 断熱壁
4、4A 棚
5 棚ダクト部材
6 背面パネル
7 天面パネル
8 機械室
9 冷気循環ダクト
10 デッキパン
11 商品収納庫
12 凝縮器
14 下部ダクト
15 冷却器
16 上部冷気吐出口
17 冷気吸込口
18 ドレン蒸発装置
19 送風機
20a、20b 電装ボックス
21 ブラケット
22 棚板
23 棚支柱
24 冷気遮蔽板
25 スリット
26 アキュームレーター
27 圧縮器
28 温度センサ
29 パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品棚が多段に設置された商品陳列室の周囲に、送風機により冷却器を通して冷気を循環させる通風路を備え、陳列室内に商品陳列用の棚を複数段架設すると共に、その棚の一部をヒータにより加温される棚とし、該ヒータにて加温される最下段の棚の前部から冷気を吐出して前記開口に冷気エアーカーテンを構成することで、前記陳列室内に前記ヒータにて加温される加温領域と、その下方において前記棚の前部から吐出される冷気により開口に冷気エアーカーテンが構成される冷却領域とを構成可能とした冷温蔵ショーケースにおいて、温度センサにより計測した冷却領域にある棚側から見ての冷却状態で、庫内ファン風量を変更する制御装置を設けたことを特徴とする冷温蔵ショーケース。
【請求項2】
冷却状態は、温度センサにより計測した外気温度は、凝縮器の入口温度であり、この凝縮器の入口温度と目標温度の差を計測して把握し、それにより庫内ファンの風量モードを選定する請求項1記載の冷温蔵ショーケース。
【請求項3】
加温領域にある棚側から見て、棚温度と目標との差が大きい場合、目標温度への安定状態が悪い場合は、送風量を下げる請求項1または請求項2記載の冷温蔵ショーケース。
【請求項4】
冷却領域にある棚側から見て、庫内送風量モードがHiの場合は、冷却領域を優先するため、加温領域の要求をキャンセルさせる請求項3記載の冷温蔵ショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−63197(P2013−63197A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204017(P2011−204017)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(510146137)三菱電機冷熱応用システム株式会社 (33)
【Fターム(参考)】