説明

凍結乾燥材料の製造方法

凍結乾燥材料(111)の製造方法を開示し、この方法では、貫通可能なエンベロープを有し、かつ液状担体中の材料(17)を含む容器(10)を用意し、該貫通可能領域(14)をペネトレーター(20)で貫通することにより、該エンベロープを通る導管を形成し、これによって液状担体を容器(10)から導管を通して蒸発させ、その後ペネトレーター(20)を引き抜く。また、本方法を実施するのに適した装置も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結乾燥材料の製造方法およびこのような方法に用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
凍結乾燥は、医薬およびワクチン産業で周知の方法であり、液状担体(通常は水性)中の材料の分散液(例:溶液または懸濁液)を凍結した後、これを減圧に暴露することにより液体を蒸発させる、例えば、凍結状態から気化状態への昇華遷移を実施するものである。この方法は、材料に含まれる水を除去することにより、周囲温度で該材料をより安定した状態にすることが可能であり、従って、その保存を容易にすることができる。典型的な凍結乾燥方法は、EP-A-0 048 194に開示されている。
【0003】
通常、前記分散液は、容器、典型的にはバイアルに入っており、この容器を減圧に暴露することにより、液体が容器の開口部、例えば、バイアルの開放口から蒸発できるようにする。バイアルのクロージャーは、蒸発する液体を逃がすためのベントを残す上方の第1位置にあるバイアル口と嵌合し、凍結乾燥工程が完了してバイアルを封止する際に、第2位置へと下方に移動できるものが知られている。一般に、ベントを備えた上部位置に上記のようなクロージャーを有するバイアルは、凍結のために棚の上に二次元配置で並べてから、減圧に暴露する。下段の棚に載せたバイアルのクロージャーが上段の棚の下方に位置するように、複数の棚を互いに垂直方向に積み重ね、凍結乾燥工程が完了したら、上段の棚がすぐ下に位置する棚のバイアルのクロージャーまで下がり、クロージャーをさらに下方の閉じた位置まで押し下げる。
【0004】
このような容器を用いた凍結乾燥工程を実施するための様々な種類の装置が知られており、これは、一般に、内部の容器で気密閉鎖することができるチャンバを備え、その内部に、温度および減圧の好適な条件を維持することができる。
【0005】
クロージャーを備えるバイアルの具体的なタイプがWO-A-04/018317に記載されているが、そこには凍結乾燥方法での使用について開示されていない。
【0006】
前記バイアルを用いる公知の凍結乾燥方法に伴ういくつかの問題点は、これら公知のバイアルの開口部およびベントによって、材料の分散液をバイアルに導入した後、例えば、凍結乾燥装置に適した棚に分散液を入れたバイアルを載せる後続の段階、および凍結乾燥装置にこのようなバイアルを輸送する後続の段階の際に、汚染因子が進入する可能性が生じることである。
【発明の開示】
【0007】
本発明の目的は、これらの問題を解決し、以下に開示するように、さらなる利点を提供することである。
【0008】
第1の形態では、本発明は、
貫通可能な領域を有するエンベロープに囲まれ、かつ液状担体中の材料の分散液を含む容器を用意し、
該貫通可能領域をペネトレーターで貫通することにより、ペネトレーターは上記エンベロープを通る導管を形成し、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通したとき容器の内部と外部が連通するようにし、
上記導管を通して上記容器から液状担体を蒸発させ、
上記貫通可能領域からペネトレーターを引き抜く、
ことを含んでなる凍結乾燥材料の製造方法を提供する。
【0009】
このような方法は、貫通可能な領域を有するエンベロープに囲まれ、かつ液状担体中の材料の分散液を含む容器を用意し、該貫通可能領域をペネトレーターで貫通することにより、ペネトレーターが上記エンベロープを通る導管を形成し、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通したとき容器の内部と外部が連通するようにし、上記導管を通して上記容器から液状担体を蒸発させ、その後上記貫通可能領域からペネトレーターを引き抜くことにより、実施することができる。
【0010】
上記容器は、ガラスまたはプラスチック製のバイアル、例えば、典型的な医薬用バイアルでよく、これは、エラストマークロージャー(これを例えば、開口部に差し込む)により閉鎖された開口部を有し、上記貫通可能領域はこの弾性クロージャーの領域からなるものでありうる。このような構成においては、バイアルとクロージャーの組合せが前記エンベロープを構成する。
【0011】
導管を通した容器からの液状担体の蒸発は、一般に通常の凍結乾燥条件により行われ、例えば、液状担体が凍結するような温度で分散液を維持し、減圧を加えて、凍結液体を固体から気化状態へと直接昇華させることにより達成される。温度および減圧の好適な条件については、例えば、EP-A-0 048 194の実施例に開示されている。
【0012】
本明細書で用いる「貫通する」およびそれから派生する用語には、少なくとも部分的に貫通することも含まれ、この用語は、貫通可能領域を通して連絡通路を開くことを含み、例えば、エンベロープの一方の面から他方の面までペネトレーターの実際通路を、例えば、エンベロープの穿孔および物理的破断、ペネトレーターによる既存の孔の拡張、ペネトレーターによるエンベロープの脆弱化箇所の破断により開いて、エンベロープを通して開口部を形成することなどが含まれる。
【0013】
貫通可能領域は、事前に形成された穿刺孔を含んでもよい。例えば、このような事前に形成された穿刺孔は、貫通可能領域に針などの穿孔手段を駆動することにより形成しておくことができる。このような針は、中空の充填針でよく、これをエンベロープに通過させ、この針を通してバイアルに分散液を導入した後、針を引き抜き、その後、このように導入した液体を凍結乾燥のために冷却および凍結することができる。例えば、このような針はバイアルのエラストマークロージャーを通過させることができる。典型的には、クロージャーに好適な厚さのエラストマー材料を用いて、針が引き抜かれたとき、クロージャーの弾性によりエラストマー材料が閉じるようにし、これによって、残存する針孔を閉じ、孔を封止する前に穿刺孔からバイアルに汚染因子が進入する可能性を充分に低減させる。このことにより、充填針で液体をバイアルに導入した後、前述した公知のバイアルの場合と比較して、バイアルに汚染因子が進入する可能性がはるかに低くなる。公知のバイアルの場合、液体をバイアルに導入した後、クロージャーをバイアルの口に挿入するが、部分的に通気孔が開いた状態で実施される。また、このような充填針を用いて充填し、閉じた穿刺孔を残した後、バイアルをその透明な壁から粒子について検査するのが有利であり、公知のバイアルに比べ、汚染の危険性が少ない。
【0014】
従って、本発明の方法は、中空の充填針をエンベロープに通過させ、この針を通して容器に分散液を導入した後、針を引き抜いてクロージャーに残存穿刺孔を残すことにより、貫通可能領域を有するエンベロープに囲まれた容器を用意する、前記工程を含みうる。好ましくは、このような充填針は角錐状の先端を有する。というのは、このような針は制御された方向で孔を切断することがわかっているからである。好ましくは、このような角錐状先端は、3つの制御された方向で穿孔するように3つの面を有する。このような充填針の好ましい構成は、例えば、WO2004/096114に開示されている。
【0015】
このようなバイアルおよびクロージャーの好適な構成は、WO-A-04/018317に開示されるものであり、具体的には、その図6に関して開示されるものである。このようなバイアルは、リムにより囲まれた上向きの開口部と、該開口部と気密に嵌め合うような形状のエラストマークロージャー部からなるクロージャーシステムを含み、該クロージャーシステムは、バイアル内部に向く下面と、バイアルの反対側に向く上面とを備え、針により穿孔することができ、さらには、バイアル、特に開口部のリムと嵌め合うことができ、かつクロージャー部の上面を圧迫することにより開口部と閉じた関係でクロージャー部を保持することができるクランプ部を有し、該クランプ部は、クランプ部がバイアルと嵌め合うとき、クロージャー部の上面の領域を露出させるアパーチャーを備えている。
【0016】
この実施形態では、上記エラストマークロージャーの露出領域は、好ましくは前述のように針で事前に穿孔される場合、貫通可能な領域を含む。このようなバイアルの利点は、クロージャーにより封止された状態で、かつ内部が滅菌された状態(例えば放射線により滅菌された状態、または例えばWO2005/005128に開示される製造方法で滅菌状態にされた場合)で提供されることである。
【0017】
本方法は、好ましくは、貫通可能領域からペネトレーターを引き抜いた後、貫通可能領域を封止する、あるいは他の方法で被覆する、さらなる工程を有する。
【0018】
別の形態では、本発明は、本明細書に記載する方法に用いるのに好適な装置を提供するが、この装置は、
貫通可能な領域を有するエンベロープに囲まれ、かつ液状担体中の材料の分散液を含む容器の貫通可能領域を貫通することができるペネトレーターであって、該ペネトレーターが、貫通可能領域を貫通すると、上記エンベロープを通る導管を形成し、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通したとき該容器の内部と外部が連通するようになる、上記ペネトレーター、
上記ペネトレーターに貫通可能領域を貫通させる手段、
上記導管を通して上記容器から液状担体を蒸発させる手段、および
上記貫通可能領域からペネトレーターを引き抜く手段、
を含んでなる。
【0019】
本方法、および本方法に用いるのに適した容器、および装置の好適な実施形態、ならびにそれら相互の作動関係について、以下に説明する。
【0020】
ペネトレーターは、エンベロープの貫通可能領域を通る(例えば、バイアルのエラストマークロージャーを通る)孔を形成させる、または既存の孔を拡張させるのに適したものでよい。ペネトレーターは、該ペネトレーターがエンベロープを貫通したとき、エンベロープを通る導管が形成されるように(例えば、断面において)造形してもよい。一実施形態では、ペネトレーターは、貫通可能領域を貫通するように設計された先端(例えば、尖った先端)を有するほぼ管状の部材からなる。あるいは、ペネトレーターは、該ペネトレーターと貫通可能領域の隣接面との間に導管を形成するように、その外側面に1以上の凹部を備えてもよい。典型的には、このような先端は一般に尖っている。例えば、ペネトレーターは、ほぼ円錐形の部材、例えば、開放底部またはその底部付近の開口部と、その頂部付近の開口部を有する中空の円錐体からなるものでもよく、これは、ペネトレーターを通る導管(例えば、頂部付近の開口部と開放底部をつなぐ)を備え、その頂部が貫通可能領域を貫通すると、液状担体の蒸気が頂部に進入し、円錐体の中空内部を通過して、導管から排出できるようにする。このような導管は、許容可能な時間内に凍結乾燥を達成できる(すなわち、当業者に公知の凍結乾燥法と同様に)十分な速度で、蒸発する液体の蒸気の流れを可能にするのに適した寸法のものでなければならない。これを達成するために、典型的には、最も狭いもので、導管の横断面は少なくとも1mm、好ましくは2mm以上でなければならない。
【0021】
この導管に、気体は透過させるが、粒子(特に微生物)の通過を阻止するバリアーを設けることにより、容器に汚染因子が進入する可能性を低減することができる。このようなバリアーは薄い透過性膜を含み、例えば、滅菌濾過媒体から作ることができる。
【0022】
本発明の方法および装置の第1実施形態では、ペネトレーターは、容器(例えばバイアル)に取付け可能にし、ペネトレーターが容器の外側にあって貫通可能領域を貫通していない第1位置から、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通する第2位置に、ペネトレーターは移動することができ、好ましくはその後、ペネトレーターが容器の外側にあって貫通可能領域を貫通していない第1位置に戻る(好適には往復する)ようにする。
【0023】
この第1実施形態の一形態では、ペネトレーターを容器に取り付けられるように、ペネトレーターをガイドと組み合わせて設けることができる。このような組合せは、本発明の別の形態を構成し、
容器のエンベロープの貫通可能領域を貫通するように設計されたペネトレーターであって、該ペネトレーターが、貫通可能領域を貫通すると、上記エンベロープを通る導管を形成して、容器の内部と外部を連通させる、上記ペネトレーターと、
容器に取付け可能なガイドであって、ペネトレーターを支持することにより、ペネトレーターが容器の外側にあって貫通可能領域を貫通していない第1位置から、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通する第2位置に、ペネトレーターが移動可能であるようにし、随意に、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通していない第1位置に戻るようにする、上記ガイド、
を含んでなる。
【0024】
例えば、ガイドは、このような運動のためにペネトレーターを支持および案内することができるように、容器に取外し可能に取り付けることができる。一実施形態、特に、前述したほぼ円錐形のペネトレーターに適した実施形態では、また、容器がエラストマークロージャー付きのバイアルである場合には、ガイドはほぼ円筒形のスリーブまたは部分的スリーブ(その内部をペネトレーターが好適には往復運動で移動可能である)を備えている。
【0025】
最後に述べた装置の好ましい構成では、ペネトレーターとガイドは、例えば射出成形によりプラスチック材料で、一体的に製造してもよい。この構成では、ペネトレーターとガイドは、初め、1以上の薄い脆弱な一体型リンクにより接続された状態で製造され(その際、ペネトレーターは第1位置にある)、ペネトレーターが第1位置から第2位置に移動すると、リンクの破断が起こるようにしてもよい。
【0026】
バイアルが、WO-A-04/018317に開示された前記タイプのものである場合、このようなガイドは、クランプ部と取外し可能な嵌合により、バイアルに取り付け可能である。WO-A-04/018317に開示された好ましいタイプでは、クランプ部自体が、カバー部の嵌合手段(WO-A-04/018317の図1に開示された溝37)を備え、ガイドがこの溝とスナップ嵌めで嵌合できるようにしてもよい。スナップ嵌めのような嵌合手段は、凍結乾燥方法で液体を凍結するのに通常用いられる低温で脆くなり、その弾力性を失うため、バイアル中の液体内容物を凍結する前に、上記のような取外し可能なガイドを容器(例えば、バイアル)と嵌め合わせるのが好ましい。
【0027】
ペネトレーターは、貫通可能領域を貫通するように設計されたペネトレーターの先端が、貫通可能領域に接触し、これを貫通するように、ペネトレーターと容器の相対運動により、貫通可能領域を貫通させることができる。例えば、ペネトレーターが、円錐体の尖った先端または頂部を有する管状部材からなる場合には、これは、管状部材の縦軸または円錐体の底部−頂部軸に平行な運動でありうる。
【0028】
この運動は、ペネトレーターに力を加えて、この方向にペネトレーターを駆動することにより起こすことができる。前述したように、減圧に暴露するため、バイアルを棚の上に二次元配置で並べること、また、暴露のために複数の棚を垂直方向に積み重ねることは、凍結乾燥の分野では通常に行なわれている。従って、本方法では、第1位置のペネトレーターを第2位置の方向に向けて駆動するための力をペネトレーターに加えることは、容器(例えばバイアル)を棚の上に二次元配置で並べ、次に、ペネトレーターを圧迫する部材にペネトレーターをこの方向に駆動させることにより達成することができる。このような部材は、ペネトレーターを圧迫して、ペネトレーターをこの方向に駆動させた、垂直方向に上方で隣接する棚の一部からなるものでありうる。液体の蒸発工程中、この部材(例えば上段の棚)は、ペネトレーターを圧迫して、ペネトレーターを所定位置に維持することができる。
【0029】
ペネトレーター、および/またはガイドは、好適なベント手段、例えばアパーチャーを備えることにより、このような棚とペネトレーターの接触が、導管からの液状担体の蒸気の流出を妨害しないようにする。
【0030】
第1実施形態の別の形態では、ペネトレーターが貫通可能領域(例えば、バイアルのエラストマークロージャー)を貫通している位置で、容器(例えば、バイアル)にそれ自体取付け可能であるペネトレーターが提供される。
【0031】
このようなペネトレーターは、前記と同様、ほぼ円錐形の部材からなり、射出成形によりプラスチック材料で製造することができる。このようなペネトレーターは、スナップ嵌めにより、容器(例えば、バイアル)にそれ自体取付け可能である。バイアルが、WO-A-04/018317に開示された前記タイプのものである場合、このようなペネトレーターは、クランプ部との取外し可能な嵌合により、バイアルに取り付けることができる。このクランプは、前述したように、それ自体がカバー部分の嵌合手段(WO-A-04/018317の図1に開示された溝37)を備え、ペネトレーターはこの溝とスナップ嵌めで嵌合することができる。例えば、このようなペネトレーターは、円錐底部−頂部方向に延びるスカートによって少なくとも部分的に周囲を囲まれた円錐形部材からなるものでもよく、このスカートは、円錐底部から最も遠いリム近傍にスナップ嵌め手段を有する。ペネトレーターを通過する導管は、気体を通すが、粒子状の汚染因子は通過させないバリアー膜により閉じられる。
【0032】
スナップ嵌めのような嵌合手段は、凍結乾燥工程で液体を凍結するのに通常用いられる低温で脆くなり、その弾力性を失うことがあるため、上記のようなペネトレーターを容器(例えば、バイアル)と嵌め合わせた後、バイアル中の液体内容物を凍結するのが好ましい。
【0033】
使用に際し、この形のペネトレーターは、例えば、典型的には凍結固体にした後、液体がバイアルから蒸発できるようにエラストマークロージャーを貫通して、バイアルにスナップ嵌めすることにより、取り付けることができる。その後、ペネトレーターをバイアル上の取付け箇所から取り外す。容器へのペネトレーターの取付けを容易にするために、例えばスナップ嵌めが実施されるように、ペネトレーターを圧迫するための取付け手段を設けることができる。また、容器からのペネトレーターの取外しを容易にするために、取外し手段を設けてもよい。ある構成では、ペネトレーターに対するスナップ嵌め手段に、解除手段(例えば、スナップ嵌めを解除するために、取外し手段が圧迫するピボットレバー)を備えてもよい。
【0034】
本発明の方法および装置の第2実施形態では、複数の容器(例えばバイアル)を下段の棚の上側面に載せ、垂直方向に隣接する上段の棚が複数のペネトレーターを備え、上段および下段の棚を互いに向き合う方向に移動させ、これによって、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通していない第1位置から、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通する第2位置に、そしてまた、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通していない第1位置へとペネトレーターを往復運動させることができる。
【0035】
従って、この第2実施形態の方法に特に適した装置が提供され、該装置は、複数の容器(例えばバイアル)を載せるのに適した上側面を有する下段の棚と、これに垂直方向に隣接し、複数のペネトレーターを備える下側面を有する上段の棚とを含み、上段および下段の棚は互いに向き合う方向に移動可能であり、これによって、ペネトレーターは、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通していない第1位置から、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通する第2位置に移動し、そしてまた、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通していない第1位置へと戻って往復運動する。
【0036】
第2実施形態の装置の上段および下段の棚ならびにペネトレーターは、凍結乾燥工程に適した金属、例えば、ステンレス鋼で製造することができる。
【0037】
この第2実施形態では、上段の棚が、下段の棚に向かって下方に運動可能であっても、または下段の棚が、上段の棚に向かって上方に運動可能であってもよいし、あるいは、上段の棚が、下段の棚に向かって下方に運動可能で、しかも下段の棚が、上段の棚に向かって上方に運動可能であってもよい。
【0038】
この第2実施形態では、各ペネトレーターは、その頂部が上段の棚の下側面から下段の棚に向かって尖っているほぼ円錐形の部材、例えば、その頂部付近の開口部と、開放底部を備える中空の円錐体からなるものでもよく、これにより、例えば、前述したように、その頂部が貫通可能領域を貫通し、液状担体の蒸気が頂部に進入して、円錐体の中空内部を通過し、開放底部から排出される。このようなペネトレーターは、上段の棚と一体的に製造してもよいし、上段の棚に取り付けてもよい。
【0039】
この第2実施形態の装置は、複数の容器(例えばバイアル)を載せた上側面を有する上段の棚を備えてもよく、この第1上段の棚に垂直方向に隣接して、この上側面の上方に複数のペネトレーターを備えるさらに上段の棚が存在してもよく、このさらに上段の棚は、前記上段の棚と同様に運動可能にすることができる。このさらに上段の棚自体も、複数のバイアルを載せた上側面を有し、このような複数の棚を互いに垂直方向に積み重ねることができる。
【0040】
上段の棚の重量は、本装置のいずれの実施形態でも、例えばクロージャーの弾性に逆らって弾性クロージャーの貫通可能領域を貫通する第2位置に、ペネトレーターを維持するのに十分なものであり、かつ/または蒸発工程の間、上段および下段の棚を一緒に保持することができる。その後、ペネトレーターが第1位置に向けて移動するように、上段および下段の棚を互いに垂直方向に離隔させることができる。エラストマークロージャーの弾性により、ペネトレーターは第2位置から駆動される。
【0041】
上段の棚の重量を用いて、貫通可能領域を貫通する第2位置にペネトレーターを保持する場合、エラストマークロージャーの弾性は、後にペネトレーターを駆動してクロージャーから第1位置に戻すのに不十分なことがある。このような状況では、上段および下段の棚を互いに接近させたり、互いに離隔させたりするための手段を設けることが可能であり、このような手段は、棚の昇降について知られた通常の手段でありうる。例えば、垂直方向に隣接した棚を第1位置の方向に弾性的に(例えば、両者間のばね手段により)偏らせることができる。
【0042】
ペネトレーターに加える力および/またはペネトレーターの運動の抑制(例えば、ペネトレーターを下方に圧迫する上段の棚の重量)は、クロージャーの弾性に逆らって、弾性クロージャーを貫通する第2位置にペネトレーターを維持するために必要である。このような力または抑制が、例えば、上段の棚がペネトレーターをそれ以上圧迫できなくなるまで上段および下段の棚同士の垂直方向の離隔を増大することにより、解放されると、弾性材料が跳ね返ろうとして、クロージャーからペネトレーターを追い出す。垂直方向の離隔の増大は、エラストマークロージャーが低温度にある間に行い、その後、クロージャーを周囲温度に戻してもよいし、あるいは、垂直方向の離隔を増大させる前に、クロージャーを周囲温度に戻してもよい。
【0043】
ペネトレーターは、容器に対するペネトレーターの相対運動により、貫通可能領域を貫通するように設計された末端を貫通可能領域から引き抜くことにより、貫通可能領域から第1位置のほうに引き抜くことができる。貫通可能領域からペネトレーターを引き抜くのに適した手段は、バイアルクロージャーのエラストマー材料の弾性を利用してもよい。
【0044】
例えば、複数のバイアルを二次元配置で並べる下段の段と、第1棚の上に垂直方向に位置し、下方に移動可能な第2棚とを含む方法および装置では、好適な手段は、上段および下段の棚を離隔する手段を含んでもよい。このような手段は、凍結乾燥工程に用いられるものとして一般に周知である。
【0045】
あるいは、上段および下段の棚は、前記の第1位置に向けて偏っていてもよい。
【0046】
本発明の方法が、液状担体の凍結温度で分散液を維持し、この低温および減圧下で、上記液体を固体から気化状態に直接昇華させる、凍結乾燥方法である場合には、バイアルクロージャーに用いるエラストマーは、その弾性が低下しやすくなり、エラストマークロージャーを貫通するペネトレーターの能力を妨害する可能性がある。従って、液体が低温により凍結してしまう前に、ペネトレーターがこのようなクロージャーを貫通するのが好ましい。バイアルクロージャーのエラストマー材料の弾性を用いて、ペネトレーターが容器の外側にあり、貫通可能領域に延びていない第1位置にペネトレーターを押し戻すことができる。このようなクロージャーの弾性は、ペネトレーターによる貫通から生じる貫通孔を閉じようとし、跳ね返ってペネトレーターをクロージャーから押し出すことになる。バイアルクロージャーのエラストマー材料は、低温でその弾性が低下するようになる。従って、本発明の方法が、前述した凍結乾燥方法である場合には、ペネトレーターを引き抜く前に、クロージャーの温度を好ましくは周囲温度まで上昇させ、これによってクロージャーの弾性をより有効にするのが好ましい。
【0047】
蒸発工程が完了したら、滅菌雰囲気(例えば、空気または不活性ガス)の進入により容器内の圧力を大気圧まで戻すことができる(本明細書において、用語「滅菌」およびその派生語は、微生物などの不要な物質のレベルを、薬剤またはワクチンのような凍結乾燥材料の分野で許容されるレベルにまで低減することを意味する)。これは、そのような雰囲気が導管から容器中に入るようにペネトレーターを引き抜く前に、そして、バイアルの弾性クロージャーが跳ね返って穿刺孔を閉じる前に実施するのが好ましい。
【0048】
本装置はまた、液状担体の温度をそれが凍結固体になる温度まで下げる手段を備えるのが好適である。このような手段は、容器およびペネトレーター、ならびに好適にはペネトレーターに少なくとも部分的に貫通可能領域を貫通させる手段と、貫通可能領域からペネトレーターを引き抜く手段とを密閉することができる、気密封止可能な冷凍エンクロージャーを含んでもよい。
【0049】
本装置はまた、液状担体を容器から導管を通して蒸発させる手段を備えるのが好適である。このような手段として、凍結状態の液体に減圧を加えるために従来の凍結乾燥法で用いるような通常の真空室が挙げられる。
【0050】
本装置はまた、蒸発工程が完了したとき、滅菌雰囲気の進入により圧力を大気圧に戻す手段を備えるのが好適である。
【0051】
本装置はまた、エンベロープ内に穿刺孔を形成することにより、貫通可能領域をもたらす手段を備えるのが好適である。例えば、このような手段は、エンベロープ、例えばバイアルのエラストマークロージャーを通過することができる中空の充填針からなり、この針を経由して分散液をバイアルに充填し、その後針を引き抜くことができる。このような手段については先に記載している。
【0052】
従って、本発明の方法を実施する工程の好ましい順序は、第1に液体を容器に導入し、次に、貫通可能な領域をペネトレーターで貫通し、容器内の液体の温度をそれが凍結するまで下げ、凍結液体を蒸発させることにより内容物を凍結乾燥させ、その後クロージャーの温度を周囲温度まで上昇させ、圧力を大気圧に戻してから、ペネトレーターを引き抜く。
【0053】
好ましくは、上記方法の次の工程で、ペネトレーターにより残された貫通可能領域を通る残存孔を封止する。これは、様々な方法で達成することができる。例えば、一方法では、エンベロープ(例えば、バイアルクロージャー)の材料を、例えば、加熱またはその他の照射により溶融し、冷却して固化させる。このような方法は、例えば、US-A-2002/0023409およびWO-A-2004/026735に開示されている。加えて、またはこれに代わり、カバー手段を容器に取り付けることにより、ペネトレーターが容器を貫通した箇所を閉じることができる。別の封止手段、例えば、後で固化するパッチまたは液状物質のような封止手段を貫通箇所に固定することもできる。この封止工程の前に、前述した取外し可能なガイド(もし使用する場合には)を容器から取り外しておくのが有利である。貫通箇所を封止するために封止工程を実施するステーションまで、コンベヤーのような好適な手段で容器を輸送してもよい。
【0054】
ペネトレーターが残した貫通可能領域を通る残留孔を封止した後、容器がWO-A-2004/018317に開示されたタイプのバイアルである場合には、そこに開示されたカバー部をバイアルと嵌合させて、すでに封止した貫通可能領域を被覆してもよい。
【0055】
本装置はまた、ペネトレーターが残した貫通可能領域を通る残留孔を封止する手段を含むのが好適であり、これは、前述したように、様々な方法で達成することができる。このような手段として、残留孔の箇所にレーザー照射を向ける手段が挙げられる。
【0056】
容器がWO-A-2004/018317に開示されたタイプのバイアルである場合には、本装置は、カバー部をバイアルと嵌合させて、封止済の貫通可能領域を被覆する手段を含むのが好適である。
【0057】
従って、本発明の方法全体は、
中空の充填針をエラストマークロージャーに通過させ、この針から液体を導入することにより、エラストマークロージャーにより閉じられたバイアルに、液状担体中の材料の分散液を導入し、次いで針を引き抜いて、クロージャーを通る残留穿刺孔を残し、
ペネトレーターでエラストマークロージャーを貫通することにより、ペネトレーターがエンベロープに通じる導管を形成して、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通したとき、容器の内部と外部が連通するようにし、
液体が固体に凍結するように、液体の温度を下げ、
減圧を用いて、容器から導管を通して液状担体を蒸発させ、
エラストマークロージャーの温度を、好ましくは周囲温度まで、上昇させると共に、好ましくは滅菌雰囲気でバイアル内部を再加圧し、
貫通可能領域からペネトレーターを引き抜き、
好ましくは、残留穿刺孔を封止する、
各工程を含むことができる。
【0058】
さらに別の形態では、本発明は、前述した第1実施形態の方法または装置に使用するのに適した容器を提供し、該容器は、その上に(例えばバイアル)に可動に取り付けられたペネトレーターを有し、該ペネトレーターは、ペネトレーターが容器の外側にあって、貫通可能領域を貫通していない第1位置から、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通して、エンベロープを通る導管を形成することにより、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通したとき、容器の内部と外部を連通させる第2位置に往復運動が可能であり、好ましくは、ペネトレーターが容器の外側にあって、貫通可能領域を貫通していない第1位置に戻るように取り付けられている。
【0059】
最後に述べたこの装置では、ペネトレーターは、本発明の前述の形態について説明したものと同様であってよく、前述のようにガイドに取り付けてもよい。例えば、容器がバイアルであり、かつ前述した管状または円錐形ペネトレーターが用いられる、特に好適な実施形態では、ガイドは、ほぼ円筒形のスリーブまたは部分的スリーブからなり、その内側をペネトレーターが往復運動可能である。
【0060】
可動に取り付けたペネトレーターを備えるこのような容器の好ましい特徴は前述した通りである。
【0061】
本発明はまた、本発明の第1および第2形態の方法および組成物において、可動に取り付けられたペネトレーターを備えるそのような装置の使用も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
添付の図面を参照しながら、以下に本発明を説明するが、これらは非限定的例として示すにすぎない。
【0063】
図1および2を参照すると、医薬用バイアル10が縦断面で示されているが、これは、WO-A-04/018317に開示されたタイプのバイアルである。このバイアル10は、透明なプラスチック材料で作られたほぼ円筒形の本体11を含み、該本体は、上部口12を有し、この上部口は、上部ドーム領域14を有するエラストマープラグクロージャー13により閉じられている。クロージャー13は、プラスチック材料製クランプ部15によりバイアル本体11の所定位置に保持されており、該クランプ部は、バイアル本体10のフランジ16にスナップ嵌めされている。バイアル本体10とプラグクロージャー13の組合せは、本明細書でエンベロープと呼ぶ要素を構成する。
【0064】
バイアル10は、凍結乾燥しようとするワクチン材料の水溶液17を含み、凍結乾燥は、温度を下げることにより液体を固形物に凍結した後、実施する。クロージャー13は、完全にこれを貫通する穿刺孔18を有する。バイアル10の内部を放射線滅菌し、クロージャー13に中空充填針(図示していない)を通し、この針からバイアル10に溶液17を導入した後、針を引き抜ぬいて穿刺孔18を残す方法により、溶液17を予めバイアル10に導入しておく。クロージャー13は、針を引き抜いた後、クロージャーのエラストマー材料が弾力で戻り、穿刺孔18の両側を互いに押し付けることにより穿刺孔18を物理的に閉じるように、十分な弾性を有する。
【0065】
バイアル10に可動に取り付けたペネトレーター20が図示されている。ペネトレーター20は、ほぼ中空の円錐形部材からなり、その頂部は、クロージャー13の上部外側表面に面して下方に向いている。円錐形部材20は、その頂部に開口部21(最小断面約2mm)を有し、また、開放底部と、中空の内部を有する。円錐形部材20は、円筒形ガイド30内で往復運動が可能な部材20により、バイアル10に可動に取り付けられ、該円筒形ガイド30は、クランプ部15の外側面の溝19とスナップ嵌めすることができるスナップ嵌めビード31(ガイドの下端に隣接)を有するガイド30により、クランプ部15に取外し可能に取り付けられている。ガイド30内の部材20の往復運動を容易にするために、部材20は外側カラー22を一体構造で備え、該カラーは、ガイド30内部での密着適合滑り嵌めとなる。
【0066】
ペネトレーター20は、図1に示す第1位置から往復運動が可能であり、第1位置において、ペネトレーター20は、バイアルの外側にあり、クロージャー13の貫通可能な領域14に全く貫入していない。この位置で、ペネトレーター20は、穿刺孔18付近の領域14の上側面に位置する。ペネトレーター20は、この第1位置から、図2に示す第2位置に移動が可能であり、第2位置では、ペネトレーター20の頂部が、クロージャー13の貫通可能な領域14に少なくとも部分的に貫通している。
【0067】
ペネトレーター20は、バイアル10、ペネトレーター20およびガイド30の集成体の上方に位置する部材40により、図1に示す第1位置から図2に示す第2位置に移動している。実際には、複数のバイアル10を第1棚50に二次元配置で並べ、バイアル10の別の棚(図示していない)を棚50に垂直方向に積み重ねる。部材40は、垂直方向に隣接する棚の部分を構成し、ペネトレーター20を圧迫して、ペネトレーター20を図2に示す第2位置に駆動する。これは、これが達成できるように垂直方向に間隔をあけて棚を支持するラック(図示していない)に棚40、50を載せることにより達成することができる。ペネトレーター20のカラー22は、ガイド30のアパーチャー(図示していない)と連通するアパーチャー24を備えた上方部分23を有する。円錐形部材20の開放底部全体に、気体は透過させるが、粒子の通過は阻止するバリアー膜25が設けられている。加えて、部分23の上部リムに溝をつけてもよい。
【0068】
図2に示すように、この位置では、ペネトレーター20の尖った頂部は、穿刺孔18を押し開き、穿刺孔18にすぐ隣接するクロージャーのエラストマー部を引き離すことにより、クロージャー13のドーム形上部14に部分的に貫入している。これらの隣接エラストマー部110は、バイアル10の内部に向けられる。図2に示す位置では、円錐形部材20の開口部21および中空内部と、アパーチャー24は、バイアル10の内部と外部の間の導管をなしている。
【0069】
図2に示す構成では、バイアル10、ペネトレーター20およびガイド30の集成体は、溶液17を凍結固体に維持する温度まで冷却され、その後減圧に暴露される。溶液17の液状担体を昇華により気化させるが、その蒸気は、円錐形部材20の開口部21および中空内部とアパーチャー24とにより形成される導管から逃げ、その後に該担体に溶解していたワクチンが凍結乾燥固体111の形態で残る。
【0070】
凍結乾燥工程が完了したら、空気などの滅菌ガスをバイアル中に導入することにより、バイアル10の内部を再加圧することができる。
【0071】
次に、棚40を、図1に対応する位置まで持ち上げる。クロージャー13のエラストマー材料の弾性を利用して、図1に対応する第1位置に向けてペネトレーター20を戻す。クロージャーの弾性は、ペネトレーター20による貫通によって生じた図2の穿刺孔を閉じ、図1に示す位置に向けてペネトレーター20を駆動しようとする。上段の棚40によるペネトレーター20に加わる力およびペネトレーター20の運動の抑制は、弾性クロージャー13を通過して延びる図2の位置にペネトレーター20を維持する。ペネトレーター20から離れた位置まで棚40を持ち上げると、この力および抑制は解放され、クロージャー13の弾性により、ペネトレーター20は、図1に示す第1位置にはね返る。また、クロージャー13の弾性によって、穿刺孔18も物理的に閉じる。
【0072】
その後、バイアル10からガイド30を取り外すことができる。クロージャー13を通る残留穿刺孔18は封止することができ、これは、例えば、レーザー照射ビームを穿刺孔18に向けて、隣接するエラストマー材料を溶融させ、その後溶融材料を固化させることにより穿刺箇所を封止する公知の方法により達成することができる。次に、カバー部分(図示していない)をクランプ部15と嵌合させて、すでに封止された貫通可能領域18を被覆してもよい。
【0073】
ペネトレーター20の別の構成(図示していない)は、尖った頂部を有する円錐形部材20を含むが、外側に1以上の凹部(例えば、溝)を備え、この凹部は、部材20が図2に対応する位置にあるとき、孔18の側面とペネトレーター20の間に導管を形成し、この導管を通じて、溶液17の液状担体の逃散が可能になる。
【0074】
図3A〜図3Mは、工程全体を概略的に示す。
【0075】
図3Aには、クロージャー13とクランプ部15を有する空のバイアル10を示し、その内部は、放射線滅菌または滅菌製造の結果、無菌状態である。
【0076】
図3Bでは、充填針60がクロージャー13を通過して、穿刺孔18を形成し、凍結乾燥しようとする材料の溶液17が針60を通してバイアル10内に導入される。
【0077】
図3Cでは、充填針60がクロージャー13から引き抜かれ、残留する穿刺孔18を残しているが、この孔は、クロージャー13の隣接エラストマー材料がその弾性によってはね返ることにより、閉じられている。
【0078】
図3Dでは、ペネトレーター20、ガイド30および膜25が集成されている。図3Dは、上部環状フレーム32と下部弾性スナップ嵌め脚33とを含む部分的円筒形スリーブであるガイド30を示す。
【0079】
図3Eおよび3Fでは、取付け手段70を用いて、ペネトレーター20およびガイド30の組合せを、溶液17を入れたバイアル10と嵌め合わせる。
【0080】
図3Gでは、取付け手段70を集成体20、30から取り外してから、バイアル10および集成体20、30を下段トレー50の上に配置してあるが、その際、上段トレー40にも同様の配列のバイアル10(図示していない)が配置され、両者の間には垂直方向に間隔があけられている。ペネトレーター20は、クロージャー13の上部に位置する。
【0081】
図3Hでは、棚40が下段の棚50に対して下げられ、図2に示すように、ペネトレーター20を圧迫している。ペネトレーター20は少なくとも部分的にクロージャー13に貫入し、穿刺孔18に隣接するクロージャーのエラストマー材料を弾性により押し開けている。
【0082】
図3Hと同様の構成をとる棚40、50を示す図3Iでは、温度が下げられていて、溶液17が凍結した固体となっている。
【0083】
図3Jでは、凍結した溶液17を低温および減圧に暴露することにより、溶液17の凍結液体の蒸気が昇華してペネトレーター20から出て行き、乾燥した凍結乾燥固体111の形態をした材料が残るようにする。
【0084】
図3Kでは、凍結乾燥工程が完了して、液体がすべて凍結溶液17から昇華しており、バイアルを滅菌雰囲気(例えば、窒素)で再加圧すると共に、バイアル10およびそのクロージャーの温度を周囲温度まで上昇させている。棚40が、ペネトレーター20を圧迫する位置から持ち上げられたため、クロージャー13の弾性により、ペネトレーター20が第1位置に向けて上方にはね返される。
【0085】
図3G〜3Kに示す工程は、一般に慣用の凍結乾燥機内で実施することができ、棚40の昇降は、一般的な従来の装置により実施することができる。
【0086】
図3Lでは、集成体20、30がバイアル10から取り外されている。この目的のために取外し手段(図示していない)を用いることができ、バイアル10が下部フランジ112を備えていれば好都合である。このフランジは、上記取外し手段の上方に引っ張る力に逆らって、保持手段(図示していない)がバイアルを下方に保持できるようにする。ここでもクロージャー13の弾性によって、穿刺孔18は閉じられる。
【0087】
図3Mでは、前述したように、この穿刺孔を封止するために、レーザービーム80が穿刺孔18に隣接するエラストマー材料に向け照射されている。
【0088】
図3から、バイアル10が充填された後、バイアル10が凍結乾燥室に入るまで、バイアル10は決して、汚染の恐れがある環境にさらされていないことがわかる。また、図3Cのようにバイアルは、クロージャー13の弾性によって穿刺孔が閉じた状態に保持されるため、さらなる汚染の危険性なしに、微粒子汚染について検査することができる。
【0089】
好適な運搬装置などを用いて、この工程からバイアル10を輸送することができ、また、好適な自動装置を用いて部品20、30を組み立て、この集成体をバイアル10と嵌め合わせることもできる。棚40、50の積み重ねは、公知の手段、例えば、水圧により、垂直方向の昇降運動ができるようにしてもよい。部品20、30は、好適な洗浄または滅菌後に再使用が可能である。
【0090】
図4および5は、第2の実施形態の方法および好適な装置を示す。図4には、WO-A-04/018317に開示されたタイプの複数のバイアル10を示す。バイアル10は、下段の棚41の上側面40に載っている。面40は、心合せプラグ42(典型的には円錐)を備え、このプラグは、バイアル10の底面に設けられた対応するソケットと嵌合して、棚40の予定位置にバイアル10を固定する。その上方には、垂直方向に隣接する上段の棚43がある。棚41、43は、金属、例えば、ステンレス鋼で製造されている。上段の棚43の下側面44から、複数のペネトレーター45A、45B、45C、45D、45Eが延びている。各ペネトレーター45A、45B、45C、45D、45Eは、ほぼ円錐形の部材を含み、その頂部は、上段の棚43の下側面44から下段の棚40に向けて下方に尖っている。ペネトレーター45A、45B、45C、45Dおよび45Eは、各々が中空の円錐体であり、その頂部付近に孔46を有し、かつ底部は開放されており、これにより、前述と同様に、その頂部が、バイアル10のクロージャー13の貫通可能領域に貫入することができ、液状担体の蒸気が該頂部に入り、円錐体の中空内部を通過して、開放底部から出られるようになっている。ペネトレーター45A、45Bおよび45Eは、その構成を説明するために断面で示す。ペネトレーター45A、45B、45C、45Dおよび45Eは、上段の棚と一体的に、金属から製造されている。棚43の上側面47の上方に、これと接触して、滅菌フィルターシート48があるが、これは、気体を透過させるが、粒子の通過は阻止するものであり、フィルターシート48自体は上部プレート49により所定位置に保持され、プレート49には、ペネトレーター45A〜Eの開放底部の位置と一致して該プレートを通過するアパーチャーが設けられている。図4Aでは、ペネトレーター45A〜Cは第1位置にあり、ペネトレーター45A〜Cがバイアル10の外部にあり、従って、バイアル10のクロージャー13を貫通していない。図4Aでは、ペネトレーター45B、Cは、図3Gのペネトレーター20と同様の位置にある。
【0091】
図4Bは、どのようにして、上段の棚43が下段の棚41に対して下方に移動し、ペネトレーター45Dがバイアル10のクロージャー13を貫通する第2位置に到達するかを示している。この位置で、ペネトレーター45Dの中空内部は、バイアル10から円錐体の孔46および開放底部を通して、凍結液状担体の蒸気を逃散させることができる。図4Bでは、ペネトレーター45Dが、図3H〜3Jのペネトレーター20と同様の位置にある。
【0092】
図4Cは、どのようにして、上段の棚43が第1位置に戻るかを示しており、第1位置では、ペネトレーター45Eがバイアル10の外側にあり、従って、クロージャー13を貫通していない。図4Bおよび4Cでは、フィルター48とプレート49は明瞭化のために省略してある。図4Cでは、ペネトレーター45Eは、図3Gのペネトレーター20と同様の位置にある。
【0093】
図5には、図4と同様にバイアル10を載せた下段の棚41の構成を示す。図5Aでは、上段の棚43が持ち上げられ、ペネトレーター45はその第1位置、すなわち、図4Aおよび4Cと同じ位置にある。図5Bでは、上段の棚43が低い位置にあり、ペネトレーター45はその第2位置、すなわち、図4Bと同じ位置にある。図5Aに示すように、上段および下段の棚41、43は、テレスコープ式管状ハウジング51、52内に位置するばね50により、第2位置へと偏っている。図5Bでは、ばね50は圧縮状態にある。図4および5に示す構成では、上段の棚43が存在しない状態で、バイアル10を下段の棚41に載せてから、上段の棚43を下段の棚41の上に配置してもよい。テレスコープ式ばねハウジング51、52は、バイアル10の上方にペネトレーター45を配置し、ばね50の偏りに対して上段の棚43を下段の棚41に向けて下げる際に、バイアル10に向けてペネトレーター45を案内するのに役立つ。上段の棚43は、好適な手段(例えば、停止手段)により、バイアル10から凍結液状担体を蒸発させる工程の間、ばね50の偏りに対して図5Bに示す位置に保持することができる。
【0094】
図6では、上段の棚43は、上側面60を有し、その上に、複数のバイアル10が図4および5と同様に配置されている。上段の棚43に垂直方向に隣接して、さらなる上段の棚61があるが、この棚は、前記上側面の上方に、複数のペネトレーター451を備えている。棚43および61は、図5と同様にテレスコープ式管状ハウジング63、64内に位置するスプリング62により離隔されている。このさらなる上段の棚61は、図5を参照して説明したように、棚43が下段の棚41に向けて下方に移動できるように、棚43に向けて下方に移動することができる。さらなる上段の棚61自体も、複数のバイアル(図示していない)を載せた上側面65を有してもよく、このようにして、複数の棚を互いに対し垂直方向に積み重ねることができる。
【0095】
図4〜6に示す構成は、図3と類似した工程に用いることができる。凍結乾燥しようとする材料の溶液を入れたバイアル10を下段の棚41に配置し、図4Aおよび5Aに示すように、上段の棚43を配置することができる。次に、上段の棚43を、例えば、ばね50の偏りに対して、図4Bおよび5Bに示す位置に下げることにより、ペネトレーター45がバイアル10のクロージャー13を貫通するようにする。バイアル10に入った液状担体を低温に暴露することにより凍結させる。次に、ペネトレーター45を通して、バイアル10から凍結液状担体を蒸発させる。続いて、滅菌雰囲気(例えば、窒素)でバイアル10を再加圧し、その温度を周囲温度まで上昇させる。それから、上段の棚43を下段の棚41に対し持ち上げることにより、棚43、41が図4Cおよび5Aに示す位置に来るようにする。
【0096】
その後、バイアル10を下段の棚41から取り外し、図3Mに示すように、クロージャー13の残留穿刺孔18を集束レーザービームで封止することができる。
【0097】
図3、4、5および6に示す工程および装置は、滅菌エンクロージャー内でそれぞれ実施および配置するのが好適であり、該エンクロージャー内の温度は、周囲温度から、液状担体が凍結する温度まで制御することができ、またその気圧も、周囲圧から減圧まで制御することができる。
【0098】
図7、8および9には、ペネトレーター71とガイド72の組合せ70が示され、図8および9にはバイアル10に取り付けたものが示される。ペネトレーター71は、図8および9から明瞭にわかるように、ほぼ円錐形の部材73を含み、この部材は中空の内部74と、その頂部に開口部75を有する。この円錐形部材の頂部は、バイアル10のエラストマークロージャー13における穿刺孔18である貫通可能領域を貫通するように設計されている。クロージャー80の貫通可能領域は、残留穿刺孔(図示していない)を含み、これは、凍結乾燥のための液体内容物(図示していない)をバイアル81に導入するのに用いられる充填針(図示していない)により形成されたものである。
【0099】
ガイド72は、ほぼ円筒形のスリーブを含み、その中にペネトレーター71が取り付けられている。図8に示すように、ペネトレーター71はその第1位置にあって、図からわかるように、円錐形ペネトレーター73の頂部75は下方に向いており、ペネトレーター71はクロージャー13を貫通しておらず、ペネトレーター71の頂部75とクロージャー13の上部面(図示するように)の間には約1mmの間隔がある。
【0100】
ペネトレーター71とガイド72は、プラスチック材料で一体的に製造され、従って、図8に示す第1位置のペネトレーターの場合、複数(6個示してあるが、増減してもよい)の薄い脆弱な一体型リンク76により結合して初め製造されている。
【0101】
図9では、図1および2に示したのと同様に、ペネトレーター71が第2位置に向けて移動されており、それによりペネトレーター71がクロージャー13を貫通して、残留穿刺孔18を開いている。このとき、リンク76の破断が起こる。図8および9に、バイアル10の液体内容物は示していない。
【0102】
ペネトレーター71は、図1のベント24に対応する開口部77を備えた上部リムを有する。ガイド72は、ガイド72は、バイアル10の溝19と嵌合する弾性フィンガー78を用いて、図1と同様のスナップ嵌め接続により、バイアル10に取外し可能に取り付けられている。気体は透過させるが、粒子の通過を阻止するバリアー膜(図1に示す25と同様)を円錐形部材73の開放底部全体に設けてもよい。
【0103】
図10、11および12には、すでに図示したタイプのバイアル10に取り付けたペネトレーター100を示す。ペネトレーター100は、前文で例示したペネトレーターに類似するほぼ円錐形の部材101を含み、この部材は、射出成形によりプラスチック材料で製造されている。ペネトレーター100は、スナップ嵌めにより、バイアル10のクランプ部15に取り付けられている。スナップ嵌めは、円錐底部−頂部方向に延び、しかも円錐形部材101を取り囲むスカート102により達成され、このスカート102は、円錐底部から最も遠いリムに隣接するスナップ嵌めフィンガー103手段を有し、このフィンガーは、前記と同様に、クランプ部15の溝と嵌合する。ペネトレーターの円錐形部材101からの導管104は、バリアー膜108(例えば、図のように中空円錐形内部の開放底部全体)により閉じられるが、この膜は、気体は透過させるが、粒子状汚染物質の通過を阻止する。バリアー膜は、ペネトレーター100の導管104からバイアル10の内部に汚染因子が進入するのを防止する。
【0104】
図10、11および12に示すように、ペネトレーター100は、前記と同様に、ペネトレーターがバイアル10の弾性クロージャー13における残留穿刺孔(図示していない)を貫通する位置で、バイアル10に取り付けられる。取付けは、ペネトレーター100を下方に圧迫して、スナップ嵌めを作動する取付け手段105により達成する。
【0105】
図11に示す構成のペネトレーター100およびバイアル10の場合、前記のように、バイアル10に入っている凍結液体内容物(図示していない)を導管104から蒸発させることができる。
【0106】
蒸発が完了したら、ペネトレーター100をバイアル10から取り外す。これは、図12に示すように、取外し手段106を用いて達成されるが、この装置は、ピボットレバー107の上方に延びる部分を圧迫し(フィンガー103の一方に対するその動作を図示する)、これによって、スナップ嵌めを解除する。クロージャー13の弾性により、クロージャー13とのその貫通状態からペネトレーターは解放される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1位置にあるペネトレーターを有するバイアルを示す。
【図2】第2位置にあるペネトレーターを有するバイアルを示す。
【図3A−F】全工程を概略的に示す。
【図3G−M】全工程を概略的に示す。
【図4】下段の棚に載せたバイアルと、ペネトレーターを備える上段の棚を示す。
【図5】図4に示す構成の概略図を示す。
【図6】図4に示す別の構成の概略図を示す。
【図7】ペネトレーターとガイドの組合せの斜視図を示す。
【図8】図7の組合せの断面図を示す。
【図9】図7の組合せの断面図を示す。
【図10】バイアルに取り付けたペネトレーターの断面図を示す。
【図11】バイアルに取り付けたペネトレーターの断面図を示す。
【図12】バイアルに取り付けたペネトレーターの断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥材料の製造方法であって、
貫通可能な領域を有するエンベロープに囲まれ、かつ液状担体中の材料の分散液を含む容器を用意し、
該貫通可能領域をペネトレーターで貫通することにより、ペネトレーターが上記エンベロープを通る導管を形成し、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通したとき、容器の内部と外部が連通するようにし、
上記導管を通して上記容器から液状担体を蒸発させ、
上記貫通可能領域からペネトレーターを引き抜く、
ことを含んでなる上記方法。
【請求項2】
貫通可能領域を有するエンベロープに囲まれ、かつ液状担体中の材料の分散液を含む容器を用意し、該貫通可能領域をペネトレーターで貫通することにより、ペネトレーターが上記エンベロープを通る導管を形成し、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通したとき、容器の内部と外部が連通するようにし、上記導管を通して上記容器から液状担体を蒸発させ、その後上記貫通可能領域からペネトレーターを引き抜くことにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記容器が、エラストマークロージャーにより閉じられた開口部を有するバイアルであり、前記貫通可能領域がエラストマークロージャーの領域からなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記容器から導管を通る液状担体の蒸発が、液状担体の凍結温度に分散液を維持し、凍結した液体が固体から気化状態に直接昇華するように減圧を加えることにより達成される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記貫通可能領域が、該貫通可能領域に事前に形成された穿刺孔を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で使用するための装置であって、
貫通可能な領域を有するエンベロープに囲まれ、かつ液状担体中の材料の分散液を含む容器の貫通可能領域を貫通することができるペネトレーターであって、該ペネトレーターが、貫通可能領域を貫通すると、上記エンベロープを通る導管を形成し、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通したとき該容器の内部と外部が連通するようになる、上記ペネトレーター、
上記ペネトレーターに貫通可能領域を貫通させる手段、
上記導管を通して上記容器から液状担体を蒸発させる手段、および
上記貫通可能領域からペネトレーターを引き抜く手段、
を含んでなる上記装置。
【請求項7】
前記ペネトレーターが、貫通可能領域を貫通するように設計された先端を有するほぼ管状の部材からなるか、または、該ペネトレーターと貫通可能領域の隣接面との間に導管を形成するように、その外側面に1以上の凹部を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ペネトレーターが、ほぼ円錐形の部材からなり、該部材は、その頂部付近の開口部、開放底部またはその底部付近の開口部、およびこれら2つの開口部をつなぐ該ペネトレーターを通る導管を備えており、その頂部が貫通可能領域を貫通すると、液状担体の蒸気が頂部に進入し、円錐体の中空内部を通過して、排出される、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記ペネトレーターが容器に取付け可能であり、ペネトレーターが容器の外側にあって貫通可能領域を貫通していない第1位置から、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通する第2位置にペネトレーターが移動可能である、請求項6、7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記ペネトレーターがガイドと組み合わされ、この組合せが、
容器のエンベロープの貫通可能領域を貫通するように設計されたペネトレーターであって、該ペネトレーターが、貫通可能領域を貫通すると、上記エンベロープを通る導管を形成して、容器の内部と外部を連通させる、上記ペネトレーターと、
容器に取付け可能なガイドであって、ペネトレーターを支持することにより、ペネトレーターが容器の外側にあって貫通可能領域を貫通していない第1位置から、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通する第2位置に、ペネトレーターを移動可能にし、随意に、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通していない第1位置に戻るようにする、上記ガイド、
を含んでなる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ペネトレーターがほぼ円錐形の部材からなり、かつ前記ガイドがほぼ円筒形のスリーブまたは部分的スリーブからなり、該スリーブはその内部をペネトレーターが移動可能であり、バイアルに取り付けることができる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ペネトレーターとガイドがプラスチック材料で一体的に製造され、両者は初め、1以上の薄く脆い一体型リンクにより連結された状態で製造され、その際、ペネトレーターは第1位置にあり、ペネトレーターが第1位置から第2位置に移動すると、リンクの破断が起こる、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
複数の容器を載せるための上側面を有する下段の棚と、これに垂直方向に隣接する、複数のペネトレーターを備える下側面を有する上段の棚とを特徴とし、該上段および下段の棚は互いの方向に相対的に移動可能であり、これによって、ペネトレーターは、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通していない第1位置から、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通する第2位置に往復運動し、随意に、ペネトレーターが貫通可能領域を少なくとも部分的に貫通していない第1位置に戻る、請求項6、7または8に記載の装置。
【請求項14】
各ペネトレーターがほぼ円錐形の部材からなり、その頂部が上段の棚の下側面から下段の棚のほうに下方に向かって尖っている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
以下の工程順序:
最初に、液状担体中の材料の分散液を容器に導入すること、
次に、ペネトレーターで貫通可能領域を貫通すること、
次に、容器内の液体の温度を液体が凍結するまで下げること、
次に、凍結液体を蒸発させることにより、内容物を凍結乾燥すること、
次に、クロージャーの温度を周囲温度まで上昇させること、
次に、圧力を大気圧に戻すこと、
ペネトレーターを引き抜くこと、
を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記容器がエラストマークロージャーを備えたバイアルであり、貫通可能領域がエラストマーバイアルクロージャーに穿刺孔を有し、さらに、残留穿刺孔を封止するさらなる工程を特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で用いるための装置であって、
容器のエンベロープの貫通可能領域を貫通するように設計されたペネトレーターであって、該ペネトレーターが、貫通可能領域を貫通すると、上記エンベロープを通る導管を形成して、容器の内部と外部を連通させる、上記ペネトレーターと、
容器に取付け可能なガイドであって、ペネトレーターを支持することにより、ペネトレーターが容器の外側にあって貫通可能領域を貫通していない第1位置から、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通する第2位置に、ペネトレーターが移動可能であるようにし、随意に、ペネトレーターが貫通可能領域を貫通していない第1位置に戻るようにする、上記ガイド、
を含んでなる、上記装置。
【請求項18】
前記ペネトレーターが、貫通可能領域を貫通するように設計された先端を有するほぼ管状の部材からなるか、または、該ペネトレーターと貫通可能領域の隣接面との間に導管を形成するように、その外側面に1以上の凹部を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ペネトレーターがほぼ円錐形の部材からなり、該部材は、その頂部付近の開口部、開放底部またはその底部付近の開口部、および該ペネトレーターを通る導管を備えており、その頂部が貫通可能領域を貫通すると、液状担体の蒸気が頂部に進入し、円錐体の中空内部を通過して、排出される、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記ペネトレーターがほぼ円錐形の部材からなり、かつ前記ガイドがほぼ円筒形のスリーブまたは部分的スリーブからなり、該スリーブはその内部をペネトレーターが移動可能であり、エラストマークロージャーを有するバイアルに取り付けることができる、請求項17、18または19に記載の装置。
【請求項21】
前記ペネトレーターとガイドがプラスチック材料で一体的に製造され、両者は初め、1以上の薄く脆い一体型リンクにより連結された状態で製造され、その際、ペネトレーターは第1位置にあり、ペネトレーターが第1位置から第2位置に移動すると、リンクの破断が起こる、請求項17〜20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
ペネトレーターが容器の貫通可能領域を貫通している位置で容器に取付け可能であるペネトレーターを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で使用するための装置。
【請求項23】
ほぼ円錐形の部材からなり、スナップ嵌めにより容器に取付け可能なペネトレーターを特徴とする、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
ペネトレーターが円錐形部材からなり、該部材は、円錐底部−頂部方向に延びるスカートにより少なくとも部分的に取り囲まれ、該スカートは、円錐底部から最も遠いリム付近にスナップ嵌め手段を有する、請求項22または23に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A−F】
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【図3G−M】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−518189(P2008−518189A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538348(P2007−538348)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011623
【国際公開番号】WO2006/045625
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】