説明

凝固因子の吸入による血友病処置

凝固因子の吸入による、血友病処置。乾燥粉末の第IX因子が、4μm以下の質量中央空気力学直径までエアロゾル化され、このエアロゾルは、少なくとも90%のモノマー含有量、少なくとも80%の活性レベル、および10%以下の水を有する。このエアロゾルは、肺内にゆっくりと深く吸入され、そして引き続いて、最大の呼気が行われる。1つの実施形態において、MMADは、2.8〜3.6μmであり、FPF%<3.3μmは、少なくとも60%であり、モノマー含有量は、少なくとも95%であり、そしてエアロゾル化後活性/エアロゾル化前活性は、少なくとも90%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、凝固因子の吸入による、血友病の処置に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
約450,000人の患者が、世界中で、出血障害(「血友病」として公知)を患って生きている。血友病は、血液中の1つ以上の凝固因子の欠損によって引き起こされ、この凝固因子の欠如は、長期間の出血を引き起こす。小さい挫傷でさえも、内出血を引き起こし得る。いくつかの症例において、内出血は、明白な原因なしで開始し得、関節および組織に広がる。膨潤および強い疼痛が、通常生じ、そして血友病を患う人は、自分の一生にわたって悩まされる。3つの主要な型の血友病が存在し、それぞれが、凝固カスケードにおける異なるタンパク質の変異から生じる。
【0003】
血友病A(時々、古典的血友病と称される)は、最も通常の型の血友病であり、凝固因子欠損を患う患者の約80%において起こる。これは、X染色体に担持されるDNA欠損によって引き起こされ、そして大VIII因子の欠損を生じる。唯一の正常なX染色体は、十分なレベルの第VIII因子を産生する必要がある。従って、ほとんど全ての罹患する患者は、男性である。ほとんどの場合において、この欠損遺伝子は、数世代にわたって継代されるが、症例の約20%において、この欠損は、自発的な変異によって生じる。
【0004】
血友病B(クリスマス病としてもまた公知)は、血友病の症例の12%〜15%を占め、そして第IX凝固因子の欠損によって引き起こされる。血友病Aと同様に、血友病Bは、X染色体上の栄養欠損に関連し、そして通常、保有者の母親の男児に影響を与える。
【0005】
第XI因子の欠損は、凝固因子欠損状態を有する患者のほんの2%〜5%を占める。この欠損は、第IX凝固因子の欠損によって引き起こされ、そして血友病AおよびBとは異なり、X染色体以外の染色体上に遺伝され、そして男児と女児との両方に継代され得る。ヴォン・ヴィレブランド病は、なお別の形態の血友病であり、これは、男性および女性において予防される。失われる他の稀な因子(例えば、第V因子、第X因子、および第XIII因子)もまた、存在する。
【0006】
これらの血友病患者に対する現在の治療は、出血を防止するため、または血友病の事象に対する「オンデマンド」で、予防的に与えられる凝固因子の静脈内(IV)投与を包含する。処置は、診療所または家庭で施され得るが、種々のアクセスを達成することが不可能であることは、治療を、いずれの位置においても非常に困難にし得る。凝固因子の脈管外投与は、この困難を回避し得る。皮下(SC)、筋肉内(IM)、および腹腔内(IP)の投与経路は、治療レベルを達成するが、針が依然として、代表的に、送達のために使用される(1)。
【0007】
吸入治療は、治療レベルが気道から体循環に達し得る場合、凝固因子のための「無針」投与経路を提供する。呼吸系は、胃腸管におけるタンパク質分解に耐えられないタンパク質またはペプチドの全身送達のため、またはIV経路、SC経路、IM経路もしくはIP経路の代替としての、魅力的な経路である。血友病の処置のために、呼吸器官は、いくつかの利点を与える。第一に、吸入によって投与される凝固因子は、肺上皮と体循環との間の比較的短い距離を移行する必要があるのみである。第二に、より小さい気道および肺胞は、非常に透過性かつ吸収性の膜から構成される、大きい表面積を有する。第三に、肺胞は、巨大な脈管床を有し、この脈管床を通して、数リットルの血液が1分間あたりに流れる。第四に、肺は、比較的低い酵素活性を有し、そして気道粘膜および肺胞の薄い界面活性剤の水性層は、高濃度のプロテアーゼインヒビターを含む(2)。この環境は、タンパク質の分解を起こりにくくし、そして体循環への移行の間、V.IX、F.VIIIおよびF.XIのようなタンパク質に、分解からの少なくともいくらかの保護を与え得る(2、3)。
【0008】
エアロゾルタンパク質の、呼吸器道内での堆積の部位を規定する最も重要なパラメータは、そのエアロゾルの粒子特徴である。エアロゾルの液滴の挙動は、その「質量中央空気力学直径」(MMAD)に依存し、この直径は、粒子のサイズ、形状、密度および電荷の関数である。気道内の空気の速度もまた、重要な特性である。
【0009】
粒子のMMADの厳密な制御が、呼吸気道の所望の領域内でのエアロゾルの堆積および保持の再現性を確実にする。肺全体にわたるよい分布は、1μmと5μmとの間の空気力学直径を有する粒子を必要とする。非常に小さい粒子(1μm未満)が、通常のむらのある呼吸の間に吸入される。3μmの粒子は、肺胞領域を標的とし、そして6μmより大きい粒子は、口腔咽頭部に堆積される。
【0010】
ほとんどの疾患の最適な管理は、治療化合物の正確な投薬を必要とする。灰での薬物投与は、送達デバイスに対するストリンジェントな要求を負わせる;このことは、粉末または液滴の粒子サイズは、送達部位、および従って、肺からの薬物吸収の程度に大いに影響を与えるからである。
【0011】
肺での薬物投与のために現在利用可能なデバイスは、主として、伝導性の気道(例えば、喘息において)における薬物の局所効果を達成するために、開発された。これらのデバイスとしては、ネブライザ、軽量要領吸入器(MDI)および乾燥粉末吸入器(DPI)が挙げられる。
【0012】
生物薬物的薬剤を投与するためのネブライザの使用は、多くの重要な制限を有する。このような薬物は、しばしば、水溶液中で非常に不安定であり、そして容易に加水分解される。さらに、噴霧のプロセスは、これらの化合物に高いせん断応力を付与し、これは、タンパク質の変性をもたらし得る。これは、特別な問題である。なぜなら、生じる液滴の99%が、次の投薬の間に噴霧されるように、リザーバー内にリサイクルされるからである(6)。さらに、ネブライザによって生成される液滴は、不均一であり、このことは、下気道への乏しい薬物送達を生じる。タンパク質溶液をMDI中で噴霧するために使用される推進薬(クロロフルオロカーボン、および次第に増加しているものは、ヒドロフルオロアルカン)もまた、タンパク質の変性に寄与し得る。
【0013】
ネブライザおよびMDIに対する有望な代替物は、DPIであり、これは、乾燥形態でタンパク質を送達する。MDIと同様に、現在認可されているほとんどのDPIは、喘息および慢性閉塞性肺疾患の管理のための、局所的に作用する薬物(例えば、喘息治療薬)の肺薬物投与のために製造される。
【0014】
吸入の投薬経路による全身の治療におけるほとんどの努力は、糖尿病に向いてきた。最近まで、研究者らは、非侵襲性に送達されるインスリンが、現実的な臨床アプローチを得るためには低すぎるバイオアベイラビリティに関連すると考えていた。しかし、次第に増えている証拠は、吸入されるインスリンが効果的であり、十分に許容され、注射されるインスリンの非侵襲性の代替物であり、そしてインスリンの吸入治療が第3期の臨床治験であることを示唆する。
【0015】
インスリンは、単一の遺伝子を起源とするαサブユニットおよびβサブユニットから作製される。その機能的組換え酵素は、約5.9〜6.9KDであるが、生理学的条件下では、ネイティブのインスリンは、約31.2〜32.8KDの六量体として存在することを示唆する証拠が存在する。従って、インスリンは、非常に小さいタンパク質であり、このことは、インスリンの、吸入送達における成功の原因であり得る。吸入治療によって送達されている、他の代謝性ホルモンもまた、小さい:カルシトニン(35KD)、HGH(22KD)、TSHα(13KD)、TSHβ(15〜16KD)、FSH(36KD)およびソマトスタチン(2KD)。ヘパリン(20KD)もまた、抗凝固剤として、吸入送達によって試験されている。大きさに加えて、バイオアベイラビリティの程度もまた、肺における加水分解酵素に対する治療タンパク質の感受性に依存し得る。より大きいタンパク質の吸入療法に関しては、ほとんど努力がなされていない。これはおそらく、より大きいタンパク質を首尾よくエアロゾル化すること、送達すること、および吸収することの困難に起因する。
【0016】
本発明者らが知る限り、凝固タンパク質の肺送達には、誰も成功していない。これはおそらく、これらの大きいサイズ、およびこれらの有名な溶液中での不安定性に起因する。グリコシル化第IX因子は、55KDであり、第VIII因子は、200KDであり、そして第XI因子は、140〜150KDである。従って、これらのタンパク質は、上で議論されたタンパク質よりかなり大きい。Gupta(29)は、凝固因子の肺送達を試みたが、ヒト第IX因子は、噴霧の間に分解することが見出された。このことは、ネブライザによって付与されるせん断力、またはこのプロセスの間に生じる大きい空気−水界面に起因することが仮定された。
【0017】
本明細書中に記載される研究より前には、第IX因子と同様に大きくかつ繊細なタンパク質を、誰も首尾よくエアロゾル化し、そして肺系に送達していない。さらに、現在まで、誰も、血友病を吸入療法によって首尾よく処置していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、一般に、エアロゾル化された第IX因子(F.IX)を用いて、血友病を処置する方法に関する。この方法において、エアロゾル化されたF.IXは、2μmと4μmとの間の質量中央空気力学直径(MMAD)を有し、少なくとも50%の3.3μm未満の微細粒子割合百分率(FPF%<3.3μm)を有し、少なくとも90%がモノマータンパク質であり、エアロゾル化後の活性/エアロゾル化前の活性が、少なくとも80%であり;そして20%(wt/wt)未満の水を有する乾燥粉末である。このエアロゾルは、ゆっくりと最大に吸入されて、このF.IXを、肺組織の深部に堆積させ、引き続いて、最大に呼気される。
【0019】
吸入されたF.IXは、吸入投与後に、いくらかの時間にわたって、肺内に封じ込められるようであるので、この方法はまた、血友病の出血の予防的処置のために、出血の事象の前にもまた適用可能である。従って、毎週または2週間後との、F.IXの適用は、蓄積効果を生じ、十分なF.IXが、投与の2〜4日後でさえも、出血を予防するために利用可能なままであることを可能にする。
【0020】
好ましい実施形態において、MMADは、2〜5μm、2.8〜3.6μm、または3〜3.5μmであり、PPP%<3.3μmは、少なくとも60%または64%であり、そしてモノマー含有量は、少なくとも95%または97%である。エアロゾル化後の活性/エアロゾル化前の活性は、少なくとも85%であり、好ましくは、90%または95%である。水含有量は、好ましくは、非常に低く、10%または5%程度である。さらに好ましいのは、F.IXが、アルコールなしでエアロゾル化される方法である。なぜなら、アルコールは、スプレー乾燥された粉末の長期間の貯蔵に対して、ネガティブに影響を与えるようであるからである。組換えF.IXの使用もまた、好ましい。
【0021】
好ましい実施形態は、表面活性なジペプチドまたはトリペプチドを、賦形剤として使用する。本発明において使用するための、ジロイシル含有トリペプチドは、式X−Y−Zを有するトリペプチドであり、ここで、少なくともXおよびY、またはXおよびZは、ロイシル残基である。特に好ましいものは、ジロイシンまたはトリロイシン/F.IXの比が、約0.5〜1.5w/wまたは45/40w/wである、ジロイシン賦形剤またはトリロイシン賦形剤である。
【0022】
エアロゾル化されたF.IXの組成物、および微細な乾燥F.IXを含有するブリスターパックもまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0023】
「ロイシン」とは、単一のアミノ酸として存在しようと、ペプチドのアミノ酸成分として存在しようと、アミノ酸のロイシン、およびロイシンの修飾形態(すなわち、ロイシンの1つ以上の原子が、別の原子または官能基で置換されているロイシン)をいい、このロイシンは、ラセミ混合物であっても、そのD体またはL体のいずれかであってもよい。この修飾形態において、修飾されたアミノ酸またはペプチドの分散増強効果は、未修飾物質の効果からさほど大きくは変わらない。
【0024】
「ジペプチド」とは、2つのアミノ酸からなるペプチドをいう。「トリペプチド」とは、3つのアミノ酸からなるペプチドをいう。
【0025】
「表面活性」材料とは、この材料が溶解した場合に、液体の表面張力を低下させる能力によって特徴付けられる、表面活性(例えば、表面張力によって測定される)を有する材料である。表面張力(これは、液相と別の相との間の界面に関連する)とは、表面分子が内向きの引力を示すために利用される、液体の特性である。
【0026】
「乾燥粉末」とは、特定の処方に依存して、約20%の水分、好ましくは、約10%の水分、より好ましくは、約5〜6%未満の水分、そして最も好ましくは、約3未満%の水分を含有する、粉末組成物をいう。
【0027】
「肺送達に適切な」乾燥粉末とは、(i)吸入デバイスにおいて/吸入デバイスによって、容易に分散されること、および(ii)粒子の一部分が肺に達するように、被験体によって吸入されることが可能な、固体を含有する組成物をいう。このような粉末は、「呼吸可能」であるとみなされる。「エアロゾル化」粒子とは、気体ストリーム中に分散される場合に、この気体内に、粒子の少なくとも一部分が患者によって吸入されるために十分な量の時間にわたって分散され、その結果、これらの粒子の一部分が肺に達する、粒子である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(発明の実施形態の説明)
本発明は、ヒト組換え第IX因子に関して例示される。しかし、本明細書中で得られる知識を用いて、より大きい凝固因子(例えば、F.VIIIおよびF.IX)のエアロゾル課が、試みられる。これらの因子は、F.IXよりかなり大きく、そして吸入療法によって投与することが、より困難であり得る。しかし、これらの短縮型機能的フラグメントを投与することが、可能であり得る。
【0029】
本発明は、3.5μm未満のMMAD、0.50より大きいFPF、および95%より大きいモノマー含有量を有する、乾燥されたエアロゾル化凝固因子粉末の吸入療法によって、血友病を処置する方法を提供する。このような粉末は、肺組織への局在を可能にし、血友病の処置のために理想的な活性凝固因子のゆっくりとした放出を生じる。
【実施例】
【0030】
(実施例1:液体の第IX因子の気管内投与を介する血友病の処置)
概念の確認のために、本発明者らは、液体のヒト組換え第IX因子(rF.IX)を、血友病Bのイヌモデルにおいて、気管内で(IT)堆積させた。液体のIT rF.IXが、バイオアベイラビリティを示した場合、本発明者らは、さらに進み、同じモデル系において、このタンパク質のエアロゾル化された乾燥粉末形態を試験する。
【0031】
血友病Bのイヌ:Chapel HillのUniversity of North CarolinaのFrancis Owen Blood Research Laboratoryの閉じたコロニーからの血友病Bのイヌを、この研究において使用した。これらのイヌにおける原因となる分子欠損は、第IX因子分子の触媒ドメインにおけるミスセンス点変異(ヌクレオチド1477におけるGからA)であり、循環F.IXの完全な非存在を生じる(6)。血友病Bのイヌのこの株は、機能アッセイにおける検出可能なF.IX活性も、ELISAまたは免疫ブロットによる抗原も、有さない(7、8)。全ての動物を、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals(National Institutes of Health出版No.85−23)における標準に従って、処置した。Institutional Animal Care and Use Committeeは、全ての実験を認可した。
【0032】
ヒト組換え第IX因子(rF.IX):rF.IXは、以前に記載されたように(9〜11)、Genetics Institute,Inc.,Andover,MA(現在、Wyeth)によって調製された。この調製物は、非常に濃厚であり、F.IX活性が、約12,500IU/mlであり、そしてタンパク質濃度が、約39mg/mlであった。rF.IXを、投与されるまで、そのビヒクル処方緩衝液中で貯蔵した(12)。
【0033】
インビボ実験:9匹の血友病Bのイヌを、3つの処置群のうちの1つに、無作為に割り当てた:200IU/kg(n=3)もしくは1000IU/kg(n=3)の気管内投与、または200IU/kgの静脈内注入(n=3)。rF.IXの気管内用量を受けたイヌを、プロポフォルまたはメデトミジン塩酸塩で鎮静させ、そして手順の間、示される場合、イソフルオラン(ノーズコーンを介して2〜4%)での麻酔の外科手術面に維持した。気管内(IT)投与については、内視鏡を、左右の気管支に挿入した。7フレンチ(直径約2mm)の三重管腔肺動脈カテーテルを、内視鏡の案内の下で、適切な気管支に挿入した。用量(1mlの体積)を、左右の気管支の間に等しく分配し、そしておよそ2分間にわたって注入した。rF.IXの注入後、このカテーテルを、2mlの0.9%生理食塩水でフラッシュした。比較実験において、静脈内(IV)用量を、ボーラスとして、2〜3分間にわたって、頭部の静脈に注入した。
【0034】
サンプリングプロトコル:血液サンプルを、rF.IXの投与の前後に、以下の時点で採取した:0分、5分、15分、30分、および1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、および72時間。全血を、静脈穿刺によって引き抜き、そして4%クエン酸ナトリウム中に、全血8部に対して抗凝固剤1部の最終濃度で収集した。血漿を調製し、そして分析されるまで、−80℃で凍結させた。抗F.IX抗体利器化に対する血清サンプルを、rF.IX投与の前、ならびに5日後、10日後、15日後、および28日後に採取した。全血凝固時間を実施するための全血を、各群において選択されたイヌから、処置の2時間後に得た。完全な血液計数(CBC)を、rF.IX予備処理を受けた、処理後48〜72時間のイヌに対して実施した。胸部X線写真を、IT群由来のイヌに対する同じ時点において得た。研究の終了時に、これらのイヌを、過剰用量のペントバルビタールによって殺し、そして剖検を実施した。
【0035】
全血凝固時間(WBCT):WBCTを、以前に記載されたように実施した(7、13〜15)。WBCTは、代表的に、Chapel Hillコロニー由来の未処理の血友病Bのイヌにおいて、50分より大きい(14、15)。このコロニーにおける正常な健常なイヌにおけるWBCTについての参照範囲は、8〜12分である。WBCTを、IT群から選択された3匹のイヌにおける処置の2時間後に決定した。これは、200IU/kg ITを受けた1匹のイヌにおいて、23.5分に短縮され、そして1000IU/kg ITを受けた、試験された2匹のイヌのうちの1匹において、21.5分に短縮される。処置の2時間後にアッセイされる場合、IV群からのこれらの全てのイヌにおけるWBCTを、9.5分に補正した。
【0036】
F.IX活性:F.IX凝固アッセイを、Multi−Discrete Analyser 180(MDA−180、ORGANON TEKNIKATM,Durham,NC)(4)での改変したActivated Partial Thromboblasstin Time(APTT)試験を使用して決定した。コントロール標準は、1IUのrF.IXを含有する、1mlのプールされたF.IX欠損イヌ血漿から調製された、希釈物からなった。
【0037】
F.IX活性(図1)は、rF.IXの注入前に、いずれのイヌにおいても検出されなかった。IT投与後、F.IX活性が、注入の18時間目に検出され、そして72時間目にも依然として測定可能であった。血漿レベルにおける小さい差が、2つのIT用量の間で注目された。rF.IXの静脈内投与は、以前の研究(4)において報告されたように、即時の二双性の応答を生じた。F.IX活性は、注入の5分後に、72時間にわたって検出され、そして最大活性は、IV投与によって達成された。
【0038】
F.IX抗原濃度:F.IX抗原濃度を、二重モノクローナル抗体サンドイッチ酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)(12)を使用して、決定した。この研究におけるELISAの下限は、約38ng/mlであった。この限界未満の全ての値を、1ng/ml未満と仮定した。
【0039】
F.IX抗原濃度(図2)は、3つ全ての群におけるF.IX活性についてみられたものと類似のパターンに従った。F.IX抗原は、IV群における第一の血液サンプル(5分)において検出されたが、両方のIT群においては、8時間目まで検出されなかった。予測されたように、検出可能な最も高い抗原濃度は、IV群において見出された。
【0040】
薬物動力学分析:薬物動力学分析を、IV群とIT群との両方について、活性時間データに対して実施した。2区分モデル(WinNonlin,PHARSIGHT CORP.TM,Mountain View CA)は、IVデータ(モデル8)を最もよく説明し、そして遅れ時間を用いる1区画モデルは、ITデータ(モデル4)を最もよく説明した。数値の逆重畳分析もまた、吸収の速度および程度を理解するために、これらのデータに対して実施した(16)。
【0041】
2つのIT群をIV群と比較する表1は、最も高い平均最大血漿濃度(Cmax)が、IV投与を用いて起こることを示した(157.3±29.3IU/dl)。20IU/kgおよび1000IU/kgのIT群におけるCmaxについての平均値は、それぞれ、4.7±0.5IU/dlおよび6.5±0.5IU/dlであった。IV投与後の全曝露(曲線下面積;;AUC0−∞)は、2716+/−164IU/kL×時間であった。対照的に、IT投与後の全曝露は、200IU/kgおよび1000IU/kgのIT群について、それぞれ306+/−20.8IU/dL×時間および666+/−127IU/dL×時間であった。平均T1/2は、IV群、200IU/kgのIT群および1000IU/kgのIT群について、それぞれ24.2±10.7時間、30.7±5.3時間、および46.4±29.2時間であった。
【0042】
【表1】

半減期は、F.IX光源曲線(図2)よりも、F.IX活性曲線(図1)において、より長いようであることが、注目されるべきである。しかし、これらのサンプルは、同時に調製された。F.IX ELISAは、38ng/mlの閾値感度を有すると決定された。活性アッセイは、このELISAよりも感受性であるので、この活性アッセイは、F.IXクリアランスのより正確な表現であるようである。最大濃度までの時間(Tmax(時間))は、2つのIT用量の間で類似であり、それぞれ、21.1±3.4および30.0±6.3であった。IT投与後のバイオアベイラビリティは、200IU/kgのIT群について11.3%、そして1000IU/kgのIT群について4.9%であった。
【0043】
200IU/kgと1000IU/kgとの両方のIT用量群について経時的に吸収された累積量(図3に示される)は、2つの用量についての吸収速度が、類似ことを示す。なぜなら、これらの2つの曲線の傾斜が、類似であるからである。しかし、吸収された総量は、これらの2つの用量について異なった。200IU/kgのIT用量について、吸収された総量は、約21IU/kgであり、そして1000IU/kgのIT群については、吸収された総量は、約37IU/kgであった。従って、これらの2つの用量群の間で、吸収された量の増加は、非比例的である。
【0044】
この観察は、図4においてさらに注目され得る。逆重畳分析によって計算された、吸収された総量の百分率は、200IU/kgおよび1000IU/kgのIT用量群について、それぞれ約1.2%および約3.7%であった。これらのデータは、200IU/kgおよび1000IU/kgの用量群について、それぞれ11.3%および4.9%のAUC0−∞の比較によって計算された、これらの2つの群についてのバイオアベイラビリティ値と類似である。
【0045】
抗ヒトF.IX抗体分析:処理されたイヌ由来のイヌ血清における抗ヒトF.IX抗体についての力価を、イヌ抗ヒトF.IX IgG抗体に特異的なELISAを使用して、決定した(12)。所定のイヌについての抗体力価は、ネガティブコントロールと比較される場合に、光学密度(OD)シグナルの2倍の増加を生じる血漿サンプル希釈として、任意に規定する。このアッセイについての感度の閾値は、20任意単位である。
【0046】
血友病Bの成体イヌは、慣用的に、ヒトF.IXに対する抗体を発生させる。抗ヒトF.IX抗体力価を、投与の10日後までに、両方のIT群由来の全てのイヌにおいて決定した(表2)。IV群由来の3匹のイヌのうちの2匹は、同じ時点で、検出可能な抗体力価を有した。抗ヒトF.IX抗体力価を、15日目までに、これらのイヌのすべてにおいて低下し、これは、この研究の28日目にわたって残存した。
【0047】
【表2】

臨床プロフィールおよび免疫応答:濃縮されたrF.IXの気管内投与は、以前には試みられなかった。従って、これらのイヌを、任意の有害な応答について、臨床的にモニタリングした。咳は、200IU/kg用量のITのイヌにおいても、rF.IXをIVで受けたイヌにおいても、注目されなかった。1000IU/kg用量をITで受けたイヌは、穏やかな、一時的な咳を、注入後約45分〜1時間で有し、これは、1時間より長くは続かなかった。異常な肺音は、いずれの動物においても、聴診の際に注目されなかった。両方のIT群のイヌからの、処置前および処置後の気管支のX線写真は、気道または肺の柔組織の外観において、いかなる変化も検出しなかった。処置の前および48時間後もしくは72時間後のCBCは、3つ全ての処置軍において、顕著ではなかった。気道または肺の柔組織における大きい異常な知見は、処置の1ヵ月後に実施した剖検において、注目されなかった。
【0048】
(実施例2:第IX因子のエアロゾル化)
液体のRF.IXの期間投与は、安全かつ効率的であることが示されたので、本発明者らは、次に、RF.IXを得るゾル化することを試みた。組換えヒト第IX因子は、グリコシル化されなければ47kDであり、そしてグリコシル化されると55kDである、糖タンパク質である。現在の薬学的処方物は、凍結乾燥された粉末である。なぜなら、液体のF.IXは、不安定である傾向があるからである。粉末処方物もなお、周囲のレベルの湿度に曝露される場合、酸化および分解を受けやすい。従って、本発明者らは、予測される不安定性を最小にする試みにおいて、乾燥粉末のエアロゾル化された粉末を使用することを選択する。
【0049】
rF.IX粉末についての目標エアロゾル特性は、50%より大きい初期放出用量(ED)値、3.5μm未満の平均中央空気力学的直径(MMAD)、および0.50より大きい微細粒子割合(FPF<3.3μm)であった。化学的および物理的に安定な粉末を、最初のスプレー乾燥溶液特徴に対して5%未満の純度の損失を有し、形態学的に可視の変化がなく、目標範囲内のED、MMADおよびFPFを有し、そしてブリスターパッケージ中で4週間、40℃/0%相対湿度に曝露された後に、粒子サイズ分布に変化を有さないとして分類した。
【0050】
処方物:研究1および研究2のためのrF.IX溶液は、10mMヒスチジン、260mMグリシン、1%スクロース、0.005%ポリソルベート−80(pH6.8)中での、それぞれ12mg/mLおよび2.26mg/mLの濃度で処方された、Genetics Institute製であった。溶液を、1.25mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6)と一緒に、AMICONTM(MILLIPORETM)ユニットに通してダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーションのために使用した緩衝液の総体積は、もとの溶液体積の約4〜5倍であった。最後の一次ストック溶液の濃度は、UVによって測定した場合、研究1については12mg/mLであり、そして研究2については11.5mg/mLであった。処方物を、表3に記載されるように、水中0.5%の全固形分を使用して、調製した。
【0051】
【表3a】

*1.17グリコシル化/非グリコシル化rF.IX.の比として、グリコシル化rF.IX(g−rF.IX)の重量から計算したrF.IXの重量
**ニート:10mM ヒスチジン/260mM グリシン/1% スクロース/0.005% Tween80
【0052】
【表3b】

KRUSS K12 PROCESSOR TENSIOMETERTMを用いて周囲条件で表面張力測定を行った。水を参照として使用し、これを測定すると、72.5mN/mであった。溶液を、粉体加工(powder processing)する前に分析した。噴霧乾燥する直前に、その溶液のpHを、ORIONTM モデル720A pHメーターを使用して室温でチェックした。pH7.0および10.0の標準物質で、2点補正を行った。結果を表4に示す。
【0053】
【表4】

エアロゾル化。改良型サイクロン、アトマイザーノズルおよび粉体収集容器を備えるBuchi 190 Mini Spray Dryer(BRINKMANTM)で、上記の11の処方物を噴霧乾燥した。そのBuchi噴霧乾燥機のアトマイザーを、研究1については60psi、および研究2については40psiに設定した圧縮乾燥空気で作動させた。そのBuchiへの液体流速は、両方の研究とも、5mL/分であった。出口温度を、研究1については70℃に、および研究2については60℃に設定した。そのBuchiを通る総空気流は、17.8scfmであった。バッチサイズは、675〜1,350mgであり、収率は、11ロットについて、20〜67%であった。その使用した収集器は、硼珪酸ガラスから作製された1/2インチまたは1インチであった。
【0054】
ブリスターパック。その粉体を、資格のある人員により手で全て充填した。その粉体を、相対湿度が5%未満のグローブボックスに移した。その使用されたブリスター形態は、P3.05 PVCブリスターであった。その粉体7.5±0.15mgを、各ブリスターに充填し、ふた(lidstock)を上部に置き、そのブリスターパックを密封した。その密封温度は、1秒の滞留時間で171℃(±5℃)であった。次いで、そのブリスターパックをダイカットして、そのデバイスに適合させた。
【0055】
安定性試験。エアロゾル試験、熱試験、物理的試験および化学的試験を、初期条件下で、ならびに制御温度および相対湿度で2〜3週間保存した後に行った。処方物粉体を、PVCブリスターパックに充填し、放出された用量(emitted dose)、粒径分布および熱分析についてアッセイした。化学的特徴付けおよび走査型電子顕微鏡(SEM)検査を、バルクエアロゾル薬物粉体について、初期条件下で行った。全ての粉体を、相対湿度が5%未満の、湿度制御されたグローブボックス中で扱った。
【0056】
促進保存条件(Accelerated Storage Condition)。研究1の処方物についてのバルクエアロゾル薬物粉体を乾燥させ、2〜8℃および40℃(0% RH)、ならびに25℃(0.33RHおよび75%RH)で保存した。研究2の処方物についてのバルクエアロゾル薬物粉体を、2種類の温度条件(25℃および40℃)および両方の温度条件につき2種類の相対湿度(0%および75%)の条件で保存した。
【0057】
バルクエアロゾル薬物粉体を、グローブボックス中で硼珪酸ガラスバイアル中に秤量した。0% RH安定性サンプルについては、バイアルにキャップをし、乾燥剤を有するホイル上包装パウチに入れ、温度制御チャンバ中で保存する前に熱シールした。湿度制御安定性サンプルについては、バイアルを開いたままにし、適切な温度の湿度制御チャンバ中で保存した。サンプルを、2週間後または3週間後に、UV、SDS−PAGE、SE−HPLCおよびSEMで分析した。
【0058】
エアロゾル試験。米国特許第6,257,233号に記載されるようなデバイスを使用して、全てのエアロゾル試験を行った。そのデバイスを、まず、ブリスターパックをデバイスに挿入し、デバイスハンドルを引っ張り、次いで、そのハンドルを押し下げてそのデバイスを加圧することでチャンバを圧縮することにより、準備される。そのデバイスを、ボタンを押して作動させ、そのブリスターパックを持ち上げ、そのパックを穿刺し、その粉体をデバイスのチャンバに分散させ、エアロゾルの雲(cloud)を形成した。充填したブリスターパックの全てを、エアロゾル試験に使用するまで、乾燥ボックス中で保存した。
【0059】
放出される用量。エアロゾルを、そのデバイスのチャンバのマウスピースの上のホルダに配置されたガラス繊維フィルタ上に収集した。放出された用量%(ED%)を測定するために、ブリスターパックを、そのデバイスを使用してエアロゾルとして分散させ、その粉体サンプルを、空気流速30L/分で2.5秒間にわたり(自動タイマーにより制御した)チャンバからエアロゾルを引き出すことによって、予め秤量したガラス繊維フィルタ(GELMANTM,47mm直径)上に収集した。このサンプリングパターンは、患者のゆっくりとした深呼吸を模倣する。ED%を、そのフィルタ上に収集された粉体の質量を、ブリスターパック中の粉体の質量で除算することにより計算した。報告される各結果は、10回の測定値の平均および標準偏差であった(表5)。
【0060】
粒径。8段階(9.0μm、5.8μm、4.7μm、3.3μm、2.1μm、1.1μm、0.7μm、および0.4μmの孔サイズ)のカスケードインパクター(ANDERSEN CASCADE IMPACTORTM)を使用して、粒径分布を測定した。各測定値を、そのデバイス中に5mg充填重量の5つのブリスターパックを分散させることによって得た。2.5秒間にわたって(自動タイマーにより制御した)補正流速28.5L/分で、そのインパクターを通して真空を引き出した(表5)。MMADは、カスケードインパクションにより決定されたエアロゾル化粉体の空力的粒径分布の中間点またはメジアンである。
【0061】
FPF%<33μmもまた、カスケードインパクターを用いて得た。微細粒子画分%<3.3μmは、流速1立方フィート/分(cfm)(28.3L/分)のみで操作した場合、そのAndersenインパクターの段階3の下で総重量である。(その段階4、5、6、7および8からの合計質量)÷(全ての段階で回収された総質量)が、報告された値である。
【0062】
【表5A】

*RSD=標準偏差/平均×100
【0063】
【表5B】

形態。走査型電子顕微鏡を利用して、噴霧乾燥した粉体に関する初期形態情報を得、安定後の形態における変化を評価した。全てのサンプルを、相対湿度が5%未満のグローブボックス中で調製した。サンプルを、アルミニウムのSEMスタブ上の両側炭素テープに取り付けたシリコンウェハに置いた。次いで、その置かれた粉体を、75mトルおよび38mAにて60〜90秒間、金:パラジウムを用いてDentonスパッターコーティング機でスパッターコーティングした。このことにより、約150オングストロームのコーティング厚が生じる。Everhart−Thornley検出器を用いて高真空モードにおいて作動させたPhilips XL30 ESEMで画像を撮って、画像合成のための二次電子を捕捉した。加速電圧は、LaB供給源を用いて3〜10kVであった。作業距離は、約5μmである。
【0064】
ロット4(エタノール中のニート処方物)以外の全ての粉体は、安定プロトコルに記載される温度およびRH条件において2週間または3週間のいずれかで保存した後で、形態において評価できるほどの変化を何ら示さなかった。そのエタノール粉体は、75% RH、40℃で形態変化を示した。加速保存条件下で、エタノール処方物は、初期と比較した場合、より多くのしわが寄り、いくらかの断片を含んでいた。
【0065】
残留溶媒。噴霧乾燥後の粉体中の残留溶媒含有量を、TA INSTRUMENTSTM(New Castle,DE)TGAを用いて、TGAにより決定した。約3mgの粉体を、相対湿度が5%未満のグローブボックス中で密閉アルミニウムパンにパックした。分析前に、そのパンをピンで穿刺し、装置に装填した。使用した方法を、室温から175℃まで10℃/分で実行した(表6)。
【0066】
【表6】

タンパク質安定性。いくつかの技術を使用して、凝集および分解についてサンプルを分析した。可溶性の凝集物を、SE−HPLCにより定量的に測定した。そのHPLCは、WATERSTMシステム、Allianceモデル2690であった。このクロマトグラフィーシステムは、溶媒送達システム、発光ダイオードアレイ検出器、温度制御自動サンプラーおよびデータ管理システムを装備していた。移動相は、50mM リン酸ナトリウムと150mM 塩化ナトリウム(pH7.0に調節)からなっており、1mL/分で定組成で(isocratically)実施であった。カラムは、TOSOHAASTM TSK G3000SWXLカラム(7.8×300mm、5μm孔サイズ、ガードカラム付き)であった。サンプルを、水で1mgのrF.IXペプチド/mLの濃度に再構成したかまたは希釈した。サンプルを、注入するまで5℃で保存した。クロマトグラムを抽出し、214nmで処理した。噴霧乾燥前の、処方した溶液のモノマー含有量%を、その対応する再構成したエアロゾル薬物粉体と比較した。
【0067】
UV分光光度分析を利用して、サンプルの混濁度(凝集/沈殿)を評価した。HITACHITM U−3000(デュアルビーム分光光度計)で測定を行った。機器のパラメーターを、スキャン速度300nm/分;1.0nmスリット幅;およびスキャン範囲400nm〜200nmに設定した。サンプルを、粒状物質について目視により検査した。不溶性凝集物を、LTVでその溶液の混濁度を測定することにより、定量的に決定した。散乱について補正するための線形回帰を、吸光度値350nm、375nmおよび400nmから行った。光散乱について補正したλ最大での吸光度を、回帰直線についての式から外挿した。不溶性凝集物%は、以下の式1に示されるように、λ最大で補正していない吸光度で割った光散乱について補正した吸光度の%である:
不溶性凝集物%=Absλ最大(光散乱補正)/Absλ最大(光散乱非補正)
5%の不溶性凝集物未満の値を、処方物安定の指標についての基準として設定した。サンプルを、水で0.1mgのrF.IXペプチド/mLの濃度に再構成したかまたは希釈した。
【0068】
噴霧乾燥前(プレSD)および噴霧乾燥後の全ての溶液サンプルは、粒状物質の目に見える兆候は何らなかったか、または5%未満の不溶性凝集物を有した。温度安定および湿度安定に配置した研究1および研究2における全てのサンプルは、粒状不溶性凝集物物質も検出可能な不溶性凝集物も目に見える徴候を何ら示さなかった。5%未満の不溶性凝集物を、全てのバッチについて式1を用いて計算した。従って、表7は、SE−HPLCによってのみ収集されたデータである。
【0069】
【表7】

可溶性凝集物および分解を、SDS−PAGEみにんらすに定性的に測定した。NOVEXTM成形済み4〜20% トリス−グリシンゲルを、NOVEX XCELL IITM電気泳動ミニセルで泳動させた。サンプルを、水で0.1mgのrF.IXペプチド/mLの濃度に再構成したかまたは希釈した。溶液を、還元条件下および非還元条件下で調製して、各レーンに1μgのタンパク質の充填を送達した。還元サンプルは、2−メルカプトエタノールで処理された。ゲルを、ゲルの先頭が底部に達するまで(約1.5時間)125V、25mA/ゲルで泳動させた。増大した感度についてNOVEX SILVER XPRESSTM 染色キットを用いて、銀染色検出を使用した。2週間、25℃および2週間、40℃の安定時間点で研究1および研究2両方の代表的処方物からのサンプルを使用して、還元ゲルおよび非還元ゲルを調製した。これらのゲルを泳動させる目的は、レーンに5μgのタンパク質を負荷して、1μgのタンパク質負荷では見出されなかった任意の弱いバンドを検出することであった。
【0070】
噴霧乾燥する前の処方溶液と再構成したエアロゾル薬物粉体間のゲルプロフィールに何ら変化はなかった(データは示さず)。ゲル上の全てのサンプルのモノマーバンドおよびrF.IXのコントロールは、報告されている値よりも高分子量で泳動し(約65kDa)、広くかつ拡散しているようである。これは、タンパク質のグリコシル化およびrF.IXのゲルを介する移動をもたらすことに寄与する可能性が最も高い。モノマーバンドの他に、rF.IXaおよびc末端ペプチドに寄与する他のバンドが存在した。しかし、噴霧乾燥薬物粉体と再構成したエアロゾル薬物粉体との間に何ら差異はなかった。
【0071】
まとめ。第2のスクリーニング実験に関して低噴霧圧を選択した後、rF.IX粉体処方物のエアロゾル性能は、全ての評価で最良に機能するトリロイシン処方物で事業目的を満たした。その放出された用量は、57%、62%、78%、89%および50%であり、エアロゾルMMAD値は、3.4μm、4.2μm、2.8μm、2.9μmおよび3.5μmであり、ニートrF.IX、5% エタノール:クエン酸中rF.IX、60% ロイシン:クエン酸中rF.IX、40% トリロイシン:クエン酸中rF.IXおよび37℃まで加熱したニートrF.IXについては、それぞれ、49%、36%、60%、58%および44%が3.3μm未満であった。
【0072】
研究2において、エタノール処方物およびロイシン処方物は各々、モノマー含有量において3% 低下を有し、はじめに、噴霧乾燥前溶液を、再構成したエアロゾル薬物粉体と比較した。噴霧乾燥前と比較して、はじめに研究2における他の処方物において何ら変化はなかった。2週間の安定研究に基づいて、湿度は、SE−HPLCによって測定した場合、化学的安定性に関して最も大きな影響を有した。全てのバッチに関して、不溶性凝集物は、UVでは観察されなかった。余分の可溶性凝集物バンドも分解バンドも、SDS−PAGEを使用して観察されなかった。選択した処方物の凝固活性は、噴霧乾燥に起因して損なわれることはなかった。噴霧乾燥後の活性は、F.IXアッセイによって測定される場合、噴霧乾燥前に平均80〜90%の活性であり、最良の処方物は、95%以上で機能した。
【0073】
エタノール(ロット4)噴霧乾燥粉体は、SEMにより観察した場合に、形態変化を示した唯一の処方物であった。40℃/75% RHでの2週間の安定において、そのエタノール処方物は、よりしわが寄り、断片になったフラグメントを含んでいた。同一の保存条件に曝した場合、他の粉体のいずれにおいても、有意な形態変化は示されなかった。このデータは、肺送達に適した乾燥F.IXが、アルコールを用いて噴霧乾燥されるべきではないことを示唆する。
【0074】
(実施例3:インビボでのバイオアベイラビリティー研究)
最初の2つの研究は、1)液体rF.IXの有効レベルが気管内表面を介して全身に送達できること、および2)乾燥粉体rF.IXを酵素活性および安定性を維持しながら首尾よくエアロゾル化できることを示した。次の実験は、インビボイヌモデルにおいて処方物6(トリロイシン賦形剤)を用いて、rF.IXのバイオアベイラビリティーについて試験した。
【0075】
この研究の目的は、ヒト第IX因子に対して以前から寛容であった血友病Bのイヌにおける経口投与後にヒト第IX因子の薬力学的パラメーターおよび薬理学的パラメーターを決定することであった。この研究からのデータを、静脈内注射によりヒト第IX因子を投与するその後の研究からのデータに対して比較する。測定したパラメーターは、以下を含んでいた:1)全血凝固時間(WBCT)、2)F.IX抗原(F.IX:Ag)、3)活性化部分的トロンボプラスチン時間(APTT)、4)F.IX活性、5)ELISAによるF.IX抗体、および6)Bethesdaインヒビターアッセイ。
【0076】
イヌ:Chapel Hillコロニー(実施例1を参照のこと)に由来する5匹の血友病イヌを、この研究において使用した。使用した5匹のイヌのうち、4匹は、ヒトF.IX寛容性血友病イヌであり、予防に関連した(月曜日および木曜日に82IU/Kg SC)。2匹のイヌは、最後の投与(木曜日)を受けなかった。代わりに、1日目に吸入により投薬を受けた。1匹のイヌは、rF.IXを受けなかった。
【0077】
イヌモデルにおけるエアロゾル送達を評価するために、米国特許第6,257,233号に記載されるような改良型デバイスを使用した。簡潔には、レギュレーター、HEPAフィルタおよび一連のバルブを通して、加圧空気(−5psi)により空気を供給した。パーソナルコンピューター(PC)は、そのシステムを通る空気の流れを調節した。空気を、改良されているデバイスに、イヌの肺に、カフを介して適所に保持したETチューブを通して送達した。リリーフバルブは、送達される空気が多すぎないようにし、U字型マノメーターにより、送達空気の圧力を測定した。
【0078】
コンピューターを使用して、加圧空気の既知容積(約800ml)および流速を制御した。その加圧空気を使用して、エアロゾルを気管内チューブを通してイヌに送達した。このシステムにより生成した容積は、麻酔した10kgのイヌの肺機構に基づいた。麻酔したイヌの合計最大肺容積は、約1400mlであり、平均送達ボーラスは、800mlであった。
【0079】
カテーテルを、以下の手順を使用して、研究の比にイヌに入れた。全身麻酔のために、その動物をチオペンタールNaを使用して鎮静させた。動物を静置し、イソフルランを使用して麻酔を維持した(酸素を補給しながら2〜4% 吸入)。動物を、心拍数、呼吸数、血圧、ならびに眼瞼反射、角膜反射および耐薬反射(withdrawal reflex)の持続または不在について評価した。局所麻酔および鎮静を要する手順のために、動物に、メジトミジン(Meditomidine)、バリウム(Valium)、酒石酸ブロルファノール(Butorphanol Tartrate)もしくはプロポフォル(Propofol)または類似の麻酔薬/鎮静剤を与えた。
【0080】
イヌを、2% イソフルランおよび酸素を用いて1〜4分間過換気させた。このことにより、約3分間持続する無呼吸が生じる。無呼吸の間に、そのイヌを、エアロゾル装置に接続し、800mlのボーラスの空気をそのシステムを通して与えた。そのシステムのエアロゾル送達を、レーザー、インラインフィルタ、およびバルーンを用いて再度特徴付けして、イヌの肺を模倣した。エアロゾルボーラスの大部分は、約600mlで送達されたと結論づけられた。
【0081】
比較のために、イヌに、匹敵する用量の組換えヒトF.IXの静脈内注射を与え、同じサンプリングおよび分析プロトコルを用いた。このプロトコルは、吸入研究完了して少なくとも28日後に開始した。これらのイヌは全て、過去において、それらの特徴付けの一部と類似のIVボーラスを有した。
【0082】
【表8】

投薬量:組換えヒト第IX因子を、粉体重量で7.5mgを含むブリスターパックとして供給した。そのうち3.95mgは、糖タンパク質であり、0.55mgは、クエン酸Naであり、3.0mgは、賦形剤(トリロイシン),pH6.4であった。各7.5mgのブリスターは、約5mgの粉体を送達する。その比活性は、約300ユニット/mgタンパク質である。1.0mgの糖タンパク質あたり、85.5%がタンパク質であり、残りは、糖部分である。
【0083】
サンプル収集:血液を、以下に列挙する時点で頸動脈または橈側皮静脈から採取した。第IX因子抗原およびAPTTの血漿濃度を決定するために、血液サンプル(3.0ml)を、以下の時点で3.8% クエン酸含有チューブに回収した:投与直前、投与後0.08時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、28時間、32時間、48時間、72時間、および96時間。さらなる血液サンプルを、抗ヒト第IX因子抗体の形成およびその濃度を決定するために、投与前、月曜日の皮下投与の直前、連続4週間にわたって1週間に1回、回収した。
【0084】
その血漿を、4℃で14分間4500rpmで遠心分離することにより分離した。血清を、室温で15分間3000rpmで遠心分離することにより分離した。その血漿を、12×75mmポリプロピレンクライオバイアルに入れて少なくとも3つのアリコートに分けた。全ての血漿/血清含有チューブを、必要時まで約−80℃で凍結した。
【0085】
データ分析:第IX因子の血漿濃度の薬理学的分析を、最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度までの時間(Tmax)、血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)、および見かけ上の半減期(t1/2)のようなパラメーターを決定するために行った。分析を、WINNONLIN PROFESSIONAL 2.0TM(SCIENTIFIC CONSULTINGTM,Apex,NC)有効のコンピュータープログラムまたは等価物を使用して行った。さらに、APTTの血漿濃度および抗体濃度を、時間に対してプロットした。
【0086】
F.IXバイオアッセイ:第IX因子(F.IX)凝固活性を、イヌF.IX欠損基質血漿を用いて、改変1段階部分的トロンボプラスチン時間アッセイにより決定した。正常のヒト参照血漿は、5〜10名の正常ヒトに由来するプールからなる。その試験サンプルを、数倍に希釈し、正常曲線の同じ希釈倍率に対して比較した。結果を正常の百分率として報告する。
【0087】
APTT:APTTを、大量のサンプルを迅速に処理する性能を有する、ST4TM凝固機器(DIAGNOSTICA STAGOTM,Asnieres,France)またはMULTIPLE DISCRETE ANALYZER(MDA)180TM(ORGANON TEKNIKATM)で決定した。APTTがST4TM凝固器具またはMDA180TMで決定されるか否かに拘わらず、コントロールおよび試薬は、同じ型である。APTT試験については、混合物は、等量部の部分的トロンボプラスチン(AUTOMATED APTTTM,ORGANON TEKNIKATM)、0.025M CaCl、およびクエン酸処理試験血漿からなった。
【0088】
その結果を、図5に示す。APTTは、吸入投与して約100時間後に、90秒から70〜75秒に短縮した。このことは、低用量の予防応答に代表的である。
【0089】
WBCT:WBCTを、以前に記載されているように行った(7,13−15)。WBCTは、代表的には、Chapel Hillコロニー由来の未処置血友病Bのイヌにおいて50分より大きい(14,15)。そのこのコロニーにおける正常な健康なイヌのWBCTについての基準範囲は、8〜12分である。その結果を図6に示す。WBCTは、50+分から約10分にまで減少した。
【0090】
Bethesdaインヒビターアッセイ:第IX因子についてのBethesdaインヒビターアッセイを行った。このアッセイは、元はKasperらによって報告された手順にNijmeganが改変を加えている(34,35)。簡潔には、正常コントロールの50%の残留第IX因子活性を有する患者の血漿を、インヒビターの1 Bethesdaユニット(BU)/mLと規定する。適切なスクリーニング希釈を行って、低力価(2BU)および高力価(>5BU)両方のインヒビターを検出した。インヒビターは見出されなかった(データは示さず)。
【0091】
第IX因子抗原:抗原濃度を、Genetics Instituteによる二重モノクローナル抗体サンドイッチ酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を用いて決定した。
【0092】
(実施例4:第VIII因子)
第VIII因子もまた、血友病Aの処置において重要であり、第XI因子は、第XI因子欠損の処置のために重要である。実験を計画して、F.VIIIもまた、上記の第IX因子と同様に、エアロゾル吸入治療によって送達されうることを確認した。FVIIIを、研究2と同じ処方物および方法を用いて、実施例2に記載されるようにエアロゾル化する。
【0093】
本明細書に引用された全ての参考文献は、全ての目的で本明細書に明示的に参考として援用される。
【0094】
【表9】

【0095】
【表10】

【0096】
【表11】

【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、静脈内または気管内で与えられるrF.IXの単回投与に続く、血友病BのイヌにおけるF.IXの活性である。IVで与えられたrF.IX(200IU/kg)は、F.IX活性において、即時の二双性の応答を生じた。ITで与えられたrF,IX(200IU/kgまたは1000IU/kg)は、8時間目に開始する、発生が遅れた、検出可能なF.IX活性レベルを生じた。F.IX活性を、IV用量と両方のIT用量とを用いて、少なくとも72時間にわたって検出した。200IU/kgと1000IU/kgとでのIT用量の投与は、200IU/kgのIV用量を用いて達成されるより低い、かなりの治療レベルを達成した。各データ点は、IV群における18時間の時点(これは、2匹のイヌからのデータを表す)を除いて、3匹のイヌから計算された平均±標準偏差を表す。
【図2】図2は、図1は、静脈内または気管内で与えられるrF.IXの単回投与に続く、血友病BのイヌにおけるF.IXの活性である。F.IX抗原は、検出の持続時間がより短いようであることを除いて、図1に示される活性アッセイを本質的に反映する。この明らかなより短い持続時間は、おそらく、このアッセイの感度に起因する。
【図3】図3は、血友病Bイヌへの、200IU/kgまたは1000IU/kgの気管内投与とに吸収された、rF.IXの累積総量である。200IU/kgと1000IU/kgとの両方でのIT用量の群についての、経時的に吸収された累積量は、類似であるようである。吸収されるrF.IXの総量は、200IU/kgと1000IU/kgとの両方のIT群について、それぞれおよそ21IU/kgおよび37IU/kgである。これらのデータは、2つの用量の群の間で吸収された量の、比例しない増加(図4を参照のこと)と一致する。
【図4】図4は、200IU/kgおよび1000IU/kgを気管内で受けた、血友病Bのイヌに投与された総用量の百分率としての、吸収されたrF.IXの累積量である。逆重畳分析によって計算された、吸収された総量の百分率は、200IU/kg用量の群と1000IU/kg用量の群とについて、それぞれ、およそ10.2%および3.7%であった。
【図5】図5は、ネイティブな血友病Bのイヌにおける、rF.IX吸入後のAPTT短縮である。
【図6】図6は、ネイティブな血友病Bのイヌにおける、rF.IX吸入後のWBCT短縮である。
【図7】図7は、吸入によってrRF.IX(50IU/kg)を受けた、寛容化された血友病Bのイヌ(n=3)についての、平均で補正されたrF.IX抗原濃度時間曲線である。
【図8】図8は、抗原アッセイによって決定される場合の、寛容化された血友病のイヌ(n=4)における、吸入後に吸収されたrF.IXの累積量である。イヌは、C22(上の線4)、C20(線3)、C25(線2)、C26)(下の線1)である。
【図9】記載なし。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血友病を処置する方法であって、該方法は、以下:
a)第IX因子(F.IX)をエアロゾル化する工程であって、該エアロゾル化されたF.IXが:
i)2μmと4μmとの間の質量中央空気力学直径(MMAD)を有し、少なくとも50%の3.3μm未満の微細粒子割合百分率(FPF%<3.3μm)を有し、
ii)少なくとも90%がモノマーであり、
iii)エアロゾル化後の活性/エアロゾル化前の活性が、少なくとも80%であり;そして
iv)10%(wt/wt)未満の水を有する乾燥粉末である、工程;
b)該エアロゾル化F.IXを吸入して、該エアロゾル化F.IXを肺内に堆積させる工程;
c)引き続いて、呼気を行う工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記MMADが、2.8〜3.6μmであり、前記FPF%<3.3μmが、少なくとも60%であり、前記モノマー含有量が、少なくとも95%であり、そして前記エアロゾル化後活性/エアロゾル化前活性が、少なくとも90%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MMADが、約3〜3.5μmであり、前記FPF%<3.3μmが、少なくとも64%であり、前記モノマー含有量が、少なくとも97%であり、そして前記エアロゾル化後活性/エアロゾル化前活性が、少なくとも95%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記F.IXが、アルコールなしでエアロゾル化される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記F.IXが、組換え体である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記F.IXが、トリロイシン賦形剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記トリロイシン/F.IXの比が、0.5〜0.5wt/wtである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
血友病を処置する方法であって、該方法は、エアロゾル化された乾燥第IX因子(F.IX)の吸入を包含し、該エアロゾル化乾燥F.IXは、以下:
a)表面活性ジペプチドもしくはトリペプチドを含有し、b)2.8μmと3.6μmとの間のMMAD、60%より大きいFPF%<3.3μm、d)少なくとも95%のモノマー含有量、e)少なくとも80%のエアロゾル化後活性/エアロゾル化前活性、そしてf)10%未満の水を有する、
方法。
【請求項9】
前記MMADが、約3〜3.5μmであり、前記FPF%<3.3μmが、少なくとも64%であり、前記エアロゾル化後活性/エアロゾル化前活性が、少なくとも95%であり、前記モノマー含有量が、少なくとも97%であり、そして前記水含有量が、5%未満である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記F.IXが、アルコールを含有しない、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記F.IXが、組換え体である、請求子8に記載の方法。
【請求項12】
前記F.IXが、トリロイシン賦形剤を含有する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記トリロイシン/F.IXの比が、0.5〜1.5wt/wtである、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
血友病の出血を、血友病の襲撃の前に予防する方法であって、該方法は、以下:
a)第IX因子(F.IX)をエアロゾル化する工程であって、該エアロゾル化されたF.IXが:
i)2μmと4μmとの間の質量中央空気力学直径(MMAD)を有し、
ii)少なくとも50%の3.3μm未満の微細粒子割合百分率(FPF%<3.3μm)を有し、
iii)少なくとも90%がモノマーであり、
iv)エアロゾル化後の活性/エアロゾル化前の活性が、少なくとも80%であり;そして
v)10%(wt/wt)未満の水を有する乾燥粉末である、工程;
b)該エアロゾル化F.IXを、1週間当たり少なくとも1回吸入して、該エアロゾル化F.IXを肺内に堆積させる工程;
c)引き続いて、呼気を行う工程、
を包含する、方法。
【請求項15】
前記吸入が、2週間ごとである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記吸入が、2〜3日ごとである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
エアロゾル化乾燥F.IX、および表面活性ジペプチド賦形剤またはトリペプチド賦形剤を含有するが、エタノールを有さない組成物であって、該エアロゾル化乾燥F.IXは、エアロゾル化される場合に、2μmと4μmとの間のMMAD、少なくとも50%のFPF%<3.3μm、少なくとも50%の放出用量(ED)、少なくとも95%のモノマー含有量、少なくとも80%のエアロゾル化後活性/エアロゾル化前活性、10%未満の水を有する、組成物。
【請求項18】
前記MMADが、2.8〜3.6μmであり、前記EDが、少なくとも60%であり、前記エアロゾル化後活性/エアロゾル化前活性が、少なくとも95%であり、前記FPF%<3.3μmが、少なくとも65%であり、そして5%未満が水である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記MMADが、3μmと3.5μmとの間であり、前記FPF%<3.3μmが、少なくとも64%であり、前記EDが、少なくとも80%であり、前記エアロゾル化後活性/エアロゾル化前活性が、少なくとも95%であり、前記モノマー含有量が、少なくとも97%であり、そして前記水含有量が、5%未満である、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
F.IX、および表面活性ジペプチド賦形剤またはトリペプチド賦形剤を含有するが、エタノールを有さないブリスターパックであって、該ブリスターパックは、防水性であり、そして少なくとも90%がモノマーであり、そして10%(wt/wt)未満の水を有する、F.IX、ブリスターパック。
【請求項21】
前記F.IXが、少なくとも95%がモノマーであり、そして5%(wt/wt)未満の水を有し、そして前記賦形剤が、ジロイシルまたはトリロイシンである、請求項20に記載のブリスターパック。
【請求項22】
前記F.IXが、少なくとも97%がモノマーであり、そして5%(wt/wt)未満の水を有し、そして前記賦形剤が、トリロイシンである、請求項20に記載のブリスターパック。
【請求項23】
前記F.IXが、組換えF.IXである、請求項20〜22のいずれか1項に記載のブリスターパック。
【請求項24】
乾燥粉末状のF.IXであって、生物学的に活性な組換え第IX因子、および表面活性ジペプチド賦形剤またはトリペプチド賦形剤を含有するが、エタノールを有さず、該組換え第IX因子は、少なくとも90%がモノマーであり、そして10%未満の水を有する、乾燥粉末状のF.IX。
【請求項25】
前記賦形剤が、トリロイシンである、請求項24に記載の乾燥粉末状のF.IX。
【請求項26】
賦形剤に対するF.IXの比が、0.2〜5.0/1である、請求項25に記載の乾燥粉末状のF.IX。
【請求項27】
乾燥した分散可能な粉末および固体内容物を含有する組成物であって、該固体内容物は、約50wt%のグリコシル化F.IX、約40wt%のトリロイシン、および約10wt%の緩衝剤である、組成物。
【請求項28】
乾燥した分散可能な粉末および固体内容物を含有する組成物であって、該固体内容物は、約40〜60wt%のグリコシル化F.IX、40〜60wt%のトリロイシン、および0〜10wt%の緩衝剤である、組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−524607(P2007−524607A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509813(P2006−509813)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/010833
【国際公開番号】WO2004/091487
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(504299748)
【出願人】(500138043)ネクター セラピューティックス (32)
【Fターム(参考)】