説明

処理機械のフィーダにおいてエラーシートを導出する方法および装置

【課題】処理機械、特に印刷機のフィーダにおいてエラーシートを導出する方法を提供する。
【解決手段】エラーシート7aとして識別されたシート7を、搬送ステーション27を通ってずらして搬送し、シート7aを、所定のグリッパ装置28によって引き受けることなく引き続き搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理機械、特に枚葉輪転印刷機のフィーダにおいてエラーシートを導出する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理機械のフィーダにおいてエラーシートを検出する際に、機械を停止させなければならないという問題が生じ、機械の休止によって、エラーシートとして識別されたシートは、機械に搬送されない。ドイツ連邦共和国特許出願公開第10105991号明細書によって、これに応じた方法が公知である。
【0003】
フィーダにおいてシートを導出するための装置は、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第102005004881号明細書に記載されている。ここでは変向装置が、シートを搬送するチェングリッパシステムの2つのグリッパの間の中間室に旋回される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10105991号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005004881号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、エラーシートを導出する方法および装置を改良して、処理機械のフィーダに用いられるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するための本発明の方法によれば、処理機械、特に印刷機のフィーダにおいてエラーシートを導出する方法であって、搬送ステーションが設けられており、該搬送ステーションによって、シートを、処理機械の胴に供給し、エラーシートを検出するためのセンサが設けられている、エラーシートを導出する方法において、エラーシートとして識別されたシートを、搬送ステーションを通ってずらして搬送し、シートを、所定のグリッパ装置によって引き受けることなく引き続き搬送する。
【0007】
有利には、エラーシートを、搬送ステーションによって、トレイに搬送する。
【0008】
有利には、エラーシートを、互いに逆向きに駆動される搬送ローラによって、トレイに搬送する。
【0009】
有利には、処理機械の全てのゴムブランケット胴を、ゴムブランケット胴と圧胴との間の各印刷ニップにおいて、シート所定の到着に応じて時間的に相前後してずらして胴抜きする。
【0010】
この課題を解決するための本発明の装置によれば、処理機械のフィーダにおいてエラーシートを導出する装置であって、処理機械の胴にシートを供給するための搬送ステーションが設けられている、エラーシートを導出する装置において、搬送ステーションが、処理機械のサイクルで、機械駆動装置とは無関係に調整される駆動装置を備えている。
【0011】
有利には、搬送ステーションは、少なくとも1つの搬送ベルトを備えている。
【0012】
有利には、駆動装置は、制御計算機と接続されており、該制御計算機は、エラーシートを検出するためのセンサと協働する。
【0013】
有利には、搬送ステーションに、導出装置が後置されている。
【0014】
有利には、導出装置は、定置に配置された湾曲したガイド板を備えたガイド装置を有している。
【0015】
有利には、ガイド板は、給紙胴の下方で、かつ給紙平面の上方に配置されており、該給紙平面を、ガイド板が交差している。
【0016】
有利には、ガイド板に、シートのためのトレイが後置されている。
【0017】
有利には、ガイド板と平面とによって形成された導出路に、互いに協働して逆向きに駆動される2つの搬送ローラが配置されている。
【0018】
有利には、導出装置を備えた枚葉輪転印刷機に設けられたフィーダが設けられている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の格別な利点によれば、エラーシートとして識別されたシートが処理機械に供給されず、同時に、処理機械の停止が回避される。特に有利には、印刷部に配置されたゴムブランケット胴は、導出されるエラーシートのシート到着に応じて順次圧胴から胴抜きされる。
【0020】
有利には、給紙胴にシートを供給するための搬送手段が、吸着ベルトとして形成されている。このような構成によって、搬送手段は、導出過程に際してシートを搬送するのに用いられる。導出装置は、湾曲したガイド板によって形成され、ガイド板に沿って、エラーシートは、一部では吸着ベルトの駆動力によって、一部ではシートの重力によってトレイにガイドされる。
【0021】
有利な形態では、導出路に、互いに逆向きに駆動可能な搬送ローラが配置されており、搬送ローラは、シートを確実に保持して、搬出する。
【0022】
本発明の実施の形態を図示して、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】枚葉輪転印刷機を概略的に示す断面図である。
【図2】シート導出装置を概略的に示す断面図である。
【図3】搬送ローラユニットを備えたシート導出装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
シート7を処理する機械、たとえば印刷機1は、フィーダ2と少なくとも1つの印刷部3,4とデリバリ6とを備えている。シート7は、シートスタック(パイル)8から取り出されて、個別化されるかまたは刺身状にずれ重なった状態でフィーダボード9を介して給紙装置27に供給され、給紙装置27は、シート7を加速して印刷部3,4に引き渡す。印刷部3,4は、公知の構成で、それぞれ版胴11,12を備えている。版胴11,12は、それぞれフレキシブルな刷版を固定するための装置13,14を備えている。さらに各版胴11,12に、半自動または全自動式の刷版交換のための装置16,17が配設されている。
【0025】
シートスタック8は、昇降制御可能な紙積台10に載設されている。シート7の取出は、シートスタック8の上面から、いわゆるサッカヘッド18によって行われ、サッカヘッド18は、とりわけシート7を個別化するための幾つかの持上サッカ19と送りサッカ21とを備えている。さらに上位のシート層をほぐすための吹込装置22およびスタック後ガイドのための接触エレメント23が設けられている。シートスタック8、特にシートスタック8の上位のシート7を揃える、つまり位置調整するために、側方および後方の幾つかのストッパ24が設けられている。
【0026】
シート搬送方向にみて、いわゆる吸着ベルトとして形成されたフィーダボード9に、第2の搬送ステーション27が後置されており、第2の搬送ステーション27は、シート7が胴26、たとえば給紙胴のグリッパ装置28によって把持されるまえに、シート7を加速する。搬送ステーション27は、たとえば前グリッパであってよく、またはリニア駆動式のグリッパ装置であってよい。
【0027】
図2に示した形態では、搬送ステーション27は、吸着ベルトボードとして形成されている。吸着ベルトボードは、少なくとも1つの搬送ベルト29を備えており、搬送ベルト29は、エンドレスに変向ローラ31,32を介して循環運動し、変向ローラ32は、駆動モータ33によって駆動される。フィーダボード9または搬送ステーション27に配置された、エラーシート検出のためのセンサ34が、制御計算機36によって駆動モータ33と協働する。
【0028】
機械のトラブルのない運転状態では、フィーダボード9を介して搬送されるシート流れの前側に位置するシート7は、搬送ステーション27によって把持され、機械速度もしくは給紙胴26の速度に加速される。給紙胴26のグリッパ装置28は、シート7を前縁で把持して、シート7を、下流側に配置された、つまり後置の胴37、たとえば印刷機1の圧胴に搬送する。
【0029】
給紙胴26の下方で、かつフィーダボード9と第2の搬送ステーション27とによって形成された給紙平面Eの上方で、グリッパ装置28へのシート前縁の引渡箇所の下流側に、有利には定置に配置されたガイド装置38、たとえば湾曲したガイド板が設けられている。ガイド板は、平面Eと交差して、導出されるシート7aのための、トレイ39で終了するガイドを成す。
【0030】
図3に示した形態では、ガイド板38と平面Eとによって形成された導出路にシート搬送装置が配置されており、シート搬送装置は、互いに協働し、有利には互いに逆向きに駆動される2つの搬送ローラ41,42から成っている。
【0031】
センサ34によってエラーシート7aが検出されると、制御計算機36によって信号が形成され、信号によって、搬送ステーション27は、シート7aを僅かに加速するか、または必要な場合は減速して、シート7aがグリッパ装置28によって周期的に把持されず、搬送ステーション27を通って平面Eに沿って引き続き搬送されるようにする。図2に示した有利な形態では、シート7aは、ガイド装置38を通ってトレイ39に導出される。図3に示した形態では、導出しようとするシート7aのシート前縁は、搬送ローラ41,42によって形成されたローラギャップに到達して、搬送ローラ41,42の回転運動によって確実に搬出される。
【0032】
別の方法ステップは、エラーシート7aがゴムブランケット胴と圧胴との間のギャップを通過した時点における、圧胴からのゴムブランケット胴の胴抜きを含み、胴抜きによって、シート7aに関して特定されたゴムブランケット胴の着色が圧胴を汚すことはない。
【符号の説明】
【0033】
1 印刷機、 2 フィーダ、 3 印刷部、 4 印刷部、 6 デリバリ、 7 シート、 7a エラーシート、 8 パイル、 9 フィーダボード、 10 紙積台、 11 版胴、 12 版胴、 13 刷版固定装置、 14 刷版固定装置、 16 刷版交換装置、 17 刷版交換装置、 18 サッカヘッド、 19 持上サッカ、 21 送りサッカ、 22 吹込装置、 23 接触エレメント、 24 ストッパ、 26 給紙胴、 27 搬送ステーション(吸着ベルト)、 28 グリッパ装置(26)、 29 搬送ベルト(27)、 31 変向ローラ、 32 変向ローラ、 33 駆動モータ、 34 センサ、 36 制御計算機、 37 圧胴、 38 ガイド装置、 39 トレイ、 41 搬送ローラ、 42 搬送ローラ、 E 給紙平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理機械、特に印刷機のフィーダにおいてエラーシートを導出する方法であって、
搬送ステーションが設けられており、該搬送ステーションによって、シートを、処理機械の胴に供給し、エラーシートを検出するためのセンサが設けられている、エラーシートを導出する方法において、
エラーシート(7a)として識別されたシート(7)を、搬送ステーション(27)を通ってずらして搬送し、シート(7a)を、所定のグリッパ装置(28)によって引き受けることなく引き続き搬送することを特徴とする、処理機械のフィーダにおいてエラーシートを導出する方法。
【請求項2】
エラーシート(7a)を、搬送ステーション(27)によって、トレイ(39)に搬送する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
エラーシート(7a)を、互いに逆向きに駆動される搬送ローラ(41,42)によって、トレイ(39)に搬送する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
処理機械(1)の全てのゴムブランケット胴を、ゴムブランケット胴と圧胴との間の各印刷ニップにおいて、シート(7a)所定の到着に応じて時間的に相前後してずらして胴抜きする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
処理機械のフィーダにおいてエラーシートを導出する装置であって、
処理機械の胴にシートを供給するための搬送ステーションが設けられている、エラーシートを導出する装置において、
搬送ステーション(27)が、処理機械のサイクルで、機械駆動装置とは無関係に調整される駆動装置(33)を備えていることを特徴とする、処理機械のフィーダにおいてエラーシートを導出する装置。
【請求項6】
搬送ステーション(27)は、少なくとも1つの搬送ベルト(29)を備えている、請求項5記載の装置。
【請求項7】
駆動装置(33)は、制御計算機(36)と接続されており、該制御計算機(36)は、エラーシート(7a)を検出するためのセンサ(34)と協働する、請求項6記載の装置。
【請求項8】
搬送ステーション(27)に、導出装置(38)が後置されている、請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
導出装置は、定置に配置された湾曲したガイド板(38)を備えたガイド装置(38)を有している、請求項8記載の装置。
【請求項10】
ガイド板は、給紙胴(26)の下方で、かつ給紙平面(E)の上方に配置されており、該給紙平面(E)を、ガイド板が交差している、請求項9記載の装置。
【請求項11】
ガイド板(38)に、シート(7a)のためのトレイ(39)が後置されている、請求項10記載の装置。
【請求項12】
ガイド板(38)と平面(E)とによって形成された導出路に、互いに協働して逆向きに駆動される2つの搬送ローラ(41,42)が配置されている、請求項8から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
請求項6から12までのいずれか1項記載の導出装置を備えた枚葉輪転印刷機に設けられたフィーダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−76941(P2010−76941A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216839(P2009−216839)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten−Anlage 52−60, Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】