説明

凹版印刷装置及びシールド材の製造方法

【課題】導電性インキを印刷することにより信頼性の高い導電性パターン層を得ることができる凹版印刷装置を提供する。
【解決手段】表面に溝11と凸部12とにより構成される版面PSを備えて回転するシリンダ10に導電性インキ16を供給し、シリンダ10と平行に配置されるドクターブレード14によってシリンダ10の凸部12上の導電性インキ16を掻き落として溝11に残された導電性インキ16を被印刷体20に転写する凹版印刷装置1であって、シリンダ10の溝11は、その回転方向RDから右側に傾いて配置された複数の第1溝11aと、回転方向RDから左側に傾いた複数の第2溝11bとが交差して構成され、溝11内に回転方向RDと同一方向に向けて土手部15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は凹版印刷装置及びシールド材の製造方法に係り、さらに詳しくは、PDP(プラズマディスプレイパネル)から漏洩する電磁波を遮蔽するシールド材の製造方法に適用できる凹版印刷装置及びそれを使用するシールド材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広い視野角をもち、表示品質がよく、大画面化ができるなどの特徴をもつPDP(プラズマディスプレイパネル)は、マルチメディアディスプレイ機器などに急速にその用途を拡大している。PDPはその駆動により電磁波を発生するので、PDPの前方にはPDPからの電磁波を遮蔽するためにシールド材が配置される。
【0003】
従来のシールド材の一例では、ガラスやプラスチックフィルムからなる基板の上に銅メッシュ部とそれに繋がるアース部とにより構成される導電性パターン層(電磁波遮蔽層)が形成されている。さらに、導電性パターン層の上に反射防止/近赤外線吸収フィルムが形成されており、シールド材の周縁部にアース部が露出した状態となっている。
【0004】
そして、反射防止/近赤外線吸収フィルム側が視聴者側になるようにPDPの前方にシールド材が配置される。
【0005】
シールド材の導電性パターン層の形成方法としては、基板上に貼着された銅箔をフォトリソグラフィ及びエッチングにより形成する方法や導電性ペーストを印刷によって形成する方法がある。
【0006】
シールド材の導電性パターン層を印刷によって形成する場合は、凹版印刷が一般的に使用される。凹版印刷では、円筒状のシリンダの表面に印刷パターンに対応する溝が設けられている。そして、シリンダの表面に導電性ペーストが供給され、ドクターブレードによってシリンダの溝以外の凸部の上に塗られた導電性ペーストが掻き取られた後に、シリンダの溝内に残された導電性ペーストが基板の上に転写されて導電性パターン層が形成される。
【0007】
特許文献1には、グラビア印刷板において、細線状の溝に対してそれを横切る土手を一定ピッチで設け、かつ土手の片側あるいは両側に切欠きを設けて、隣接するセル同士を連通させることにより、シャープな印刷画像を得ることが記載されている。
【特許文献1】特許第3026164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
微細で電気抵抗の低い導電性パターン層を凹版印刷で形成する際には、シリンダの溝を微細にする必要があると共に、導電性ペーストの固形分濃度を高くしてその電気抵抗を下げる必要がある。特にそのような凹版印刷では、ドクターブレードでシリンダの凸部上の導電性ペーストを掻き取る際に、シリンダの溝(特に溝と溝との交差部)に溜まった導電性ペーストもドクターブレードで掻き取られてしまうことがある。
【0009】
このため、シリンダから基板上に印刷された導電性パターン層が部分的に欠けたり、ひいては断線したりすることがあり、信頼性の高い導電性パターン層が得られず、シールド材の製造歩留りの低下の要因になる。
【0010】
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、導電性インキを印刷することにより信頼性の高い導電性パターン層を得ることができる凹版印刷装置及びそれを使用するシールド材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は凹版印刷装置に係り、表面に溝と凸部とから構成される版面を備えて回転するシリンダに導電性インキを供給し、前記シリンダと平行に配置されるドクターブレードによって前記シリンダの前記凸部上の前記導電性インキを掻き落として前記溝に残された前記導電性インキを被印刷体に転写する凹版印刷装置であって、前記シリンダの前記溝は、前記シリンダの回転方向から右側に傾いて配置された複数の第1溝と、前記回転方向から左側に傾いた複数の第2溝とが交差して構成され、前記溝内に前記回転方向と同一方向に向けて土手部を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明の凹版印刷装置は、導電性インキ(導電性ペーストなど)を被印刷体の上に印刷する装置であり、表面に溝と凸部とから構成される版面を備えて回転するシリンダ(円筒状など)を備えている。そして、導電性インキをシリンダの版面に供給し、シリンダと平行に配置されるドクターブレードによってシリンダの凸部上の導電性インキを掻き落として、溝に残された導電性インキを被印刷体に転写することにより導電性パターン層を形成する。
【0013】
さらに、シリンダの溝は、シリンダの回転方法(シリンダ及びドクターブレードの長手方向に対して垂直方向)から右側に傾いて配置された複数の第1溝と、回転方向から左側に傾いた複数の第2溝とが交差して構成され、溝内に該回転方向と同一方向に向けて延在する土手部が設けられている。
【0014】
本発明の好適な態様では、土手部は、第1溝と第2溝の交差部に設けられる。あるいは、各交差部の間の領域の溝内に土手部がさらに設けられていてもよい。
【0015】
本発明では、ドクターブレードによって導電性インキが掻き取られやすいシリンダの溝の交差部などに、シリンダの回転方向と同一方向に向けて土手部が延在して配置されている。このため、ドクターブレードによってシリンダの凸部上の不要な導電性インキを掻き落とす際に、溝内の導電性インキが掻き取られることなく溝の全体にわたって導電性インキを十分に残すことができる。
【0016】
従って、導電性パターン層の交差部などでパターン欠けや断線が発生することなく、シリンダの溝に忠実に対応する導電性パターン層が信頼性よく形成される。
【0017】
本発明の凹版印刷装置で導電性インキをプラスチックフィルムなどの被印刷体の上に印刷することにより、パターン部とそれに繋がって周縁部に配置されるアース部とによって構成される導電性パターン層を信頼性よく形成することができる。これによって、電磁波遮蔽機能を有するシールド材が低コストでかつ高歩留りで製造される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の凹版印刷装置を使用することにより、電磁波遮蔽層として機能するメッシュ状の導電性パターン層を低コストで信頼性よく形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0020】
図1は本発明の実施形態の凹版印刷装置を示す模式図、図2は図1の凹版印刷装置を横方向からみた模式図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施形態の凹版印刷装置1は、表面に印刷用の版面PSを備えて回転する円筒状のシリンダ10(版胴)と、シリンダ10の横近傍に配置されたドクターブレード14(掻き落し刃)と、シリンダ10の版面PSに導電性インキ16を供給するインキ供給手段18と、シリンダ10の下側に配置された円筒状の圧着ローラ22(圧胴)とによって基本構成される。
【0022】
図2を加えて参照すると、シリンダ10の版面PSは、その中央主要部に設けられた溝11(凹部)及び凸部12と、溝11に連通してそれらの領域を仕切るように設けられた一連の凹版部13とから構成される。凹版部13の様子を図2のシリンダ10を平面的にみた図3を参照して説明すると、シリンダ10の凹版部13は、溝11に連通して両端側にそれぞれ配置された第1凹版部13aと、溝11に連通し、かつ両端側の第1凹版部13aに繋がった状態でシリンダ10の長手方向に横断する第2凹版部13bとから構成される。
【0023】
シリンダ10の長手方向に横断する第2凹版部13bは1つであってもよいし、複数個形成されていてもよい。これより、後述するように、このシリンダ10を利用して導電性インキ16を印刷すると、メッシュ部(溝11に対応)とそれに繋がってメッシュ部を取り囲む枠状のアース部(凹版部13に対応)とが形成されるようになっている。第2凹版部13bが1つの場合は、シリンダ10が1回転することにより、1つのシールド材領域が得られる。なお、図1ではシリンダ10の凹版部13が省略されて描かれている。
【0024】
図1及び図2に戻って説明すると、ドクターブレード14はシリンダ10の側面に対応する長手状に配置され、シリンダ10の横近傍にそれと平行になって配置されている。そして、ドクターブレード14の先端刃がシリンダ10の長手方向の一側面全体に線状に当接するようになっている。
【0025】
さらに、インキ供給手段18においても、円筒状のシリンダ10の側面に対応する長手状に配置され、シリンダ10の近傍にそれと平行になって配置されている。インキ供給手段18からドクターブレード14の上側のシリンダ10の版面PSに導電性インキ16が噴射されて塗り込まれる。
【0026】
そして、シリンダ10と圧着ローラ22との間に被印刷体20が配置され、被印刷体20は印刷時に所要の圧力でシリンダ10及び圧着ローラ22によって押圧される。なお、シリンダ10と圧着ローラ22として、円筒状のものを例示するが、内部に空洞がない円柱状のものを使用してもよい。
【0027】
被印刷体20に導電性インキ16を印刷する際には、図1に示すように、まず、インキ供給手段18から導電性インキ16を噴出させてシリンダ10の版面PSの領域Aに導電インキ16を塗り込む。このとき、導電性インキ16はシリンダ10の溝11及び凹版部13内ばかりではなく凸部12の上面にも塗られる。
【0028】
その後に、シリンダ10が左側に回転し、シリンダ10の横近傍に配置されたドクターブレード14の先端刃がシリンダ10の版面PSの凸部12の上面に当接して擦ることにより、シリンダ10の凸部12上に塗られた余分な導電性インキ16を掻き取って除去する。これにより、シリンダ10の版面PSにおけるドクターブレード14で擦られた領域Bでは、溝11及び凹版部13のみに導電性インキ16が残される。
【0029】
このとき、被印刷体20はシリンダ10と圧着ローラ22との間に挟まれて押圧されており、シリンダ10のドクターブレード14で擦られた領域Bの溝11及び凹版部13内の導電性インキ16が被印刷体20の上に転写されて印刷される。その後に、被印刷体20の上に印刷された導電性インキ16を加熱して硬化させることにより、被印刷体20の上にシリンダ10の溝11及び凹版部13に対応する導電性パターン層が形成される。
【0030】
本実施形態の特徴の一つは、被印刷体20の上にパターン欠けや断線が発生しない導電性パターン層を形成することにあり、シリンダ10の版面PSの溝11が工夫されている。図4は図2のドクターブレード14の上側近傍のシリンダ10の版面PSを拡大した平面図である。
【0031】
図4に示すように、シリンダ10は、シリンダ10及びドクターブレード14の長手方向LDに対して垂直方向(回転方向RD)に回転するようになっている。シリンダ10の版面PSの溝11は、その回転方向RDから傾斜角度θをもって傾いて配置されており、回転方向RDから右側に傾いた複数の第1溝11aと左側に傾いた複数の第2溝11bとが交差して構成される。溝11の傾斜角度θは、0°を越え、且つ90°未満の範囲に設定されるが、好適には30〜60°に設定される。図4では、溝11の傾斜角度θが45°に設定された形態が例示されている。
【0032】
そして、右側に傾いた複数の第1溝11aと左側に傾いた複数の第2溝11bとの交差部Cに、シリンダ10の回転方向RDと同一方向に向けて延在する土手部15(仕切部)が設けられている。言い換えると、シリンダ10の溝11は、それに当接するドクターブレード14の長手方向LDに対して垂直方向(掻き取り方向)から傾いて配置されており、土手部15はその垂直方向(掻き取り方向)と同一方向に延在して配置されている。
【0033】
図4の例では、上側及び下側の凸部12にそれぞれ繋がった状態で土手部15が形成されているが、上側及び下側の凸部12から分離されて、溝11の交差部Cの中央部のみに配置されていてもよい。あるいは、上側及び下側の凸部12にそれぞれ繋がり、中央部にスリットが設けられていてもよい。
【0034】
例えば、溝11の幅W1は20〜50μmに設定され、土手部15の幅W2は1〜5μm(好適には2〜3μm)に設定される。また、土手部15の高さは凸部12の高さと同等に設定される。後述するように、導電性インキ16は印刷直後には被印刷体20上で横方向に移動するので、印刷によって形成される導電性パターン層が土手部15によって断線するおそれはない。
【0035】
本実施形態と違って、溝11の交差部Cに土手部15が設けられていない場合は、その交差部Cに充填された導電性インキ16がドクターブレード14によって掻き取られてしまうことが多く、被印刷体20に印刷される導電性パターン層の交差部にパターン欠けや断線が発生することがある。
【0036】
しかしながら、本実施形態では、シリンダ10の溝11の交差部Cに土手部15が配置されていることから、ドクターブレード14が溝11の交差部Cを通過する際に、ドクターブレード14が土手部15に当接することで交差部Cにドクターブレード14が食い込むことが防止される。
【0037】
これにより、シリンダ10の溝部11の交差部Cに充填された導電性インキ16がドクターブレード14によって掻き取られることなく、凸部12及び土手部15の上の導電性インキ16のみが選択的に掻き取られるようになる。従って、被印刷体20の上に印刷される導電性パターン層は、その交差部でパターン欠けや断線が発生することが防止される。
【0038】
他の実施形態としては、図5に示すように、溝11の交差部Cだけではなく、各交差部Cの間の領域の溝11に、同様な土手部15をシリンダ10の回転方向RDと同一方向に向けて配置してもよい。これにより、特に、各交差部Cの間の溝11が比較的長く設定される場合であっても、各交差部Cの間の領域の溝部11内の導電性インキ16がドクターブレード14で掻き取られるおそれがなくなる。
【0039】
図5の形態のように、溝11の交差部Cだけではなく、各交差部Cの間の領域の溝11にも土手部15を設けることにより、各種のパターンを採用する場合であっても導電性パターン層を信頼性よく印刷で形成することができる。
【0040】
なお、図5において、各交差部Cの間の領域の溝11に複数の土手部15を配置してもよく、土手部15を溝11内の任意の位置に配置することができる。図5において他の要素は図4と同一であるので、同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
また、本実施形態の凹版印刷装置1のシリンダ10を凹版オフセット印刷装置に適用してもよい。この場合は、図1において、シリンダ10と被印刷体20との間に円筒状のブランケット胴(不図示)が配置され、シリンダ10からブランケット胴に導電性インキ16が転写された後に、ブランケット胴から被印刷体20に導電性インキ16が印刷されて導電性パターン層が形成される。
【0042】
次に、本実施形態の凹版印刷装置1を用いてシールド材を製造する方法について説明する。図6(a)に示すように、まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどからなるプラスチックフィルム30(被印刷体)を用意する。あるいは、プラスチックフィルム30の代りに、ガラスなどの透明基材を使用してもよい。
【0043】
次いで、前述した溝11内に土手部15が設けられた版面PSを備えたシリンダ10を使用する凹版印刷装置1によって、プラスチックフィルム30の上に導電性インキ16を印刷する。これにより、パターン部24aとそれに繋がって周縁部に枠状に配置されるアース部24bとにより構成されるインキパターン層24が形成される。導電性インキ16としては、銀(Ag)ペーストや銅(Cu)ペーストなどの導電性ペーストが使用される。
【0044】
インキパターン層24のパターン部24aは、前述したシリンダ10の溝11内の導電性インキ16が印刷されて形成され、アース部24bはシリンダ10の凹版部13上の導電性インキ16が印刷されて形成される。
【0045】
このとき、図6(b)に示すように、シリンダ10の溝11の交差部Cなどに土手部15が立設しているので、導電性インキ16を印刷した直後ではインキパターン層24の土手部15に対応する部分にスリット19が一瞬設けられた状態となる。図6(b)では、溝11の交差部Cのみに土手部15を設けたシリンダ10を使用してインキパターン層24を印刷した例が示されている。
【0046】
しかしながら、図6(c)に示すように、インキパターン層24は即座になだれるように横方向に移動し、繋がって連続したインキパターン層24となる。前述したように、土手部15の幅W2をかなり太くしない限り、土手部15に対応する部分のインキパターン層24は印刷後に即座に繋がるので、土手部15を設けることに起因してインキパターン層24が断線するおそれはない。
【0047】
次いで、図7に示すように、プラスチックフィルム30の上に印刷されたインキパターン層24を100〜130℃の温度で熱処理して硬化させることにより、導電性パターン層34(電磁波遮蔽層)を得る。導電性パターン層34は中央主要部に配置されたメッシュ状のパターン部34aとそれに繋がって周縁側に枠状に配置されたアース部34bとによって構成される。導電性パターン層34の膜厚は例えば5〜10μmに設定される。
【0048】
本実施形態では、凹版印刷装置1のシリンダ10の溝11の交差部Cなどに、シリンダ10の回転方向RDと同一方向に土手部15が延在して配置されている。このため、ドクターブレード14によってシリンダ10の版面PSの不要な導電性インキ16を掻き落とす際に、溝11内の導電性インキ16が掻き取られるおそれがなく、溝11の全体にわたって導電性インキ16を十分に残すことができる。
【0049】
従って、図7の下図に示すように、導電性パターン層34はその交差部Cなどでパターン欠けや断線が発生することなく、シリンダ10の溝11に忠実に対応する導電性パターン層34が信頼性よく形成される。
【0050】
しかも、微細で電気抵抗の低い導電性パターン層34を形成するために、シリンダ10の溝11の幅W1を細くし、かつ導電性インキ16の固形分濃度を高くする場合であっても、溝11内のドクターブレード14で掻き取られやすい任意の位置に土手部15を配置できるので、微細で電気抵抗の低い導電性パターン層34であっても信頼性よく印刷で形成できるようになる。
【0051】
次いで、図8(a)に示すように、導電性パターン層34のパターン部34aの上にアース部34bが露出するように粘着層26を介して反射防止/近赤外線吸収フィルム28を貼着する。反射防止/近赤外線吸収フィルム28は、PETフィルムの上面に反射防止層が形成され、下面に近赤外線吸収層が形成されて構成される。
【0052】
又は、近赤外線吸収層が形成されたPETフィルムの上に反射防止層が形成されたPETフィルムを貼着して構成してもよい。あるいは、反射防止/近赤外線吸収フィルム28の代わりに反射防止機能のみをもつ反射防止フィルムを使用し、粘着層26などに近赤外線吸収機能をもたせてもよい。
【0053】
なお、プラスチックフィルム30を長尺状に引き出して処理するロールツーロール法を採用する場合は、個々のシールド材が得られるように、反射防止/近赤外線吸収フィルム28を形成する前又は後に、各シールド材形成領域の境界部でアース部34b及びプラスチックフィルム30が切断される。
【0054】
以上により、図8(b)に示すように、本実施形態のシールド材2が得られる。本実施形態のシールド材2では、プラスチックフィルム30がPDP側になり、反射防止/近赤外線吸収フィルム28が視聴者側になるように、PDPの前方に配置され、導電性パターン層34のアース部34bが導電性テープなどによってPDPのアース端子に接続されて、電磁波遮蔽機能を有するシールド材となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は本発明の実施形態の凹版印刷装置を示す模式図である。
【図2】図2は図1の凹版印刷装置を横方向からみた模式図である。
【図3】図3は図2の凹版印刷装置のシリンダの版面を平面的にみた図である。
【図4】図4は図2の凹版印刷装置のドクターブレードの上側近傍のシリンダの版面を拡大した平面図(その1)である。
【図5】図5は図2の凹版印刷装置のドクターブレードの上側近傍のシリンダの版面を拡大した平面図(その2)である。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明の実施形態のシールド材の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図7】図7は本発明の実施形態のシールド材の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図8】図8(a)及び(b)は本発明の実施形態のシールド材の製造方法を示す断面図(その3)である。
【符号の説明】
【0056】
1…凹版印刷装置、2…シールド材、10…シリンダ、11…溝、11a…第1溝、11b…第2溝、12…凸部、13…凹版部、15…土手部、14…ドクターブレード、16…導電性インキ、18…インキ供給手段、20…被印刷体、22…圧着ローラ、24…インキパターン層、24a,34a…パターン部、24b、34b…アース部、30…プラスチックフィルム、26…粘着層、28…反射防止/近赤外線吸収フィルム、34…導電性パターン層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に溝と凸部とから構成される版面を備えて回転するシリンダに導電性インキを供給し、前記シリンダと平行に配置されるドクターブレードによって前記シリンダの前記凸部上の前記導電性インキを掻き落として前記溝に残された前記導電性インキを被印刷体に転写する凹版印刷装置であって、
前記シリンダの前記溝は、前記シリンダの回転方向から右側に傾いて配置された複数の第1溝と、前記回転方向から左側に傾いた複数の第2溝とが交差して構成され、前記溝内に前記回転方向と同一方向に向けて土手部を設けたことを特徴とする凹版印刷装置。
【請求項2】
前記土手部は、前記第1溝と前記第2溝との交差部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の凹版印刷装置。
【請求項3】
前記土手部は、前記交差部の間の領域の前記溝にさらに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の凹版印刷装置。
【請求項4】
前記第1溝及び前記第2溝の前記シリンダの前記回転方向からの傾斜角度は30乃至60°であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の凹版印刷装置。
【請求項5】
前記土手部の両端側は前記凸部に繋がっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の凹版印刷装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項の凹版印刷装置を使用するシールド材の製造方法であって、前記凹版印刷装置の前記シリンダには前記溝に連通して両端側にそれぞれ配置された第1凹版部と、前記溝に連通して、両側の前記第1凹版部に繋がって前記シリンダの長手方向に横断する第2凹版部がさらに設けられており、
前記凹版印刷装置を使用して、前記シリンダの前記溝内及び前記凹版部上の前記導電性インキを透明基材の上に印刷することにより、パターン部と、該パターン部に繋がって周縁部に枠状に配置されるアース部とにより構成される導電性パターン層を形成することを特徴とするシールド材の製造方法。
【請求項7】
前記透明基材はプラスチックフィルムであり、前記導電性インキは導電性ペーストであることを特徴とする請求項6に記載のシールド材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−290312(P2008−290312A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136953(P2007−136953)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】