説明

出入口装置及びエレベータ装置

【課題】簡潔な構成で2つの開口部双方の扉挟み込みのおそれのある異物を床面近傍の死角を生じることなく検出可能な出入口装置及びエレベータ装置を提供する。
【解決手段】出入口装置及びエレベータ装置に関し、第1の出入口2及び第2の出入口8の2つの開口部が相互に連通することにより出入りが可能となり、その際、第1の出入口と第2の出入口との間に隙間空間が形成される出入口において、第1の出入口側に設けられ、第2の出入口側の第1の出入口に対向する反射面11aに向けて光を出射し、反射面での反射光により隙間空間を照らす発光手段13と、第1の出入口側に設けられ、発光手段から出射された光の反射面での反射光15を隙間空間を通して受光し撮像する受光撮像手段16と、受光撮像手段により撮像された画像に基づいて、障害物の有無を判断する物体検知装置制御手段と、を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出入口装置及びエレベータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における出入口装置においては、エレベータの出入口に設けられ、検出領域内で隙間なく乗客や荷物を確実に検出しようとするものとして、水平方向に所定の間隔を隔てて開口部を形成するように対向して設けられた左右の縦枠と、これら左右の縦枠の上下端を互いにそれぞれ連結する上部水平面及び下部水平面と、前記開口部を水平に横切って前記開口部を開閉する扉とを備えたエレベータ装置において、前記縦枠に設けられ、長尺かつ連続な発光面を有する発光器と、前記発光面を撮像するカメラと、このカメラの出力画像を入力とする画像処理部と、を備え、前記発光器の前記発光面は、前記開口部を臨むように配置され、前記カメラは、前記発光器が設けられた前記縦枠の対向する側の前記縦枠の前記上部水平面又は前記下部水平面の近傍に配置されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−338846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示された従来における出入口装置においては、発光面を撮像するカメラを、下部水平面の近傍といえども、下部水平面からある一定の距離だけ離間した位置に配置することになるため、このカメラの位置より下方側の床面(下部水平面)近傍において障害物を検出できない死角が生じ、例えば床面に落ちた小さな異物等を検出することが困難であるという課題がある。
【0005】
また、発光器及びカメラは、開口部を形成する縦枠に設けられるため、当該開口部を開閉する扉に対して当該縦枠側にある障害物しか検出することができない。
従って、エレベータの出入口のようにかご出入口及び乗場出入口の2つの開口部が相互に連通することにより利用者の出入り等が可能となる出入口においては、扉に対して、発光器及びカメラが設けられた側における扉による挟み込みのおそれがある障害物等は検出可能であるが、他方側においては扉による挟み込みのおそれがある障害物等の検出をすることができないという課題がある(例えば、発光器及びカメラが乗場出入口の縦枠に設けられている場合、乗場側における扉挟み込みのおそれのある障害物等は検出可能であるが、かご側における扉挟み込みのおそれのある障害物等は検出することができない)。
【0006】
また、乗場側及びかご側の双方における扉挟み込みのおそれのある障害物等を検出するためには、乗場出入口及びかご出入口双方の縦枠に発光器及びカメラをそれぞれ設ける必要があるため、設置部品数が増加し構成が複雑となり、設置コストもかさんでしまうという課題もある。
この課題については、高層ビル等エレベータの停止する階床が多い場合に特に大きな問題となる。
【0007】
この発明は、これらのような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、床面近傍においても死角を生じることなく異物等を検出することができ、扉挟み込みのおそれのある障害物等を検出することが可能である出入口装置及びエレベータ装置を得るものである。
また、第2の目的は、簡潔な構成で2つの開口部双方における扉挟み込みのおそれのある障害物等を検出することができる(エレベータの出入口の場合、乗場側及びかご側双方における扉挟み込みのおそれのある障害物等を検出することができる)出入口装置及びエレベータ装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る出入口装置は、第1の出入口及び第2の出入口の2つの開口部が相互に連通することにより出入りが可能となり、その際、前記第1の出入口と前記第2の出入口との間に隙間空間が形成される出入口において、前記第1の出入口側に設けられ、前記第2の出入口側の前記第1の出入口に対向する反射面に向けて光を出射し、前記反射面での反射光により前記隙間空間を照らす発光手段と、前記第1の出入口側に設けられ、前記発光手段から出射された光の前記反射面での反射光を前記隙間空間を通して受光し撮像する受光撮像手段と、前記受光撮像手段により撮像された画像に基づいて、障害物の有無を判断する物体検知装置制御手段と、を備えた構成とする。
【0009】
また、この発明に係るエレベータ装置においては、前述の出入口装置を備えたエレベータであって、前記第1の出入口は、前記エレベータの乗りかごに設けられたかご出入口であり、前記第2の出入口は、前記エレベータの乗場に設けられた乗場出入口である構成とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る出入口装置及びエレベータ装置においては、床面近傍においても死角を生じることなく異物等を検出することができ、扉挟み込みのおそれのある障害物等を検出することが可能であるという効果を奏する。
また、簡潔な構成で2つの開口部双方における扉挟み込みのおそれのある障害物等を検出することができる(エレベータ装置の場合、乗場側及びかご側双方における扉挟み込みのおそれのある障害物等を検出することができる)という効果も併せ奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータにおける出入口装置の側面断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータにおける出入口装置の正面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエレベータにおける出入口装置の要部構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るエレベータにおける出入口装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るエレベータにおける出入口装置の正面図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るエレベータにおける出入口装置の側面断面図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係るエレベータにおける出入口装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1から図4は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1はエレベータにおける出入口装置の側面断面図、図2はエレベータにおける出入口装置の正面図、図3はエレベータにおける出入口装置の要部構成を示すブロック図、図4はエレベータにおける出入口装置の動作の流れを示すフロー図である。
図において1はエレベータの昇降路内に昇降自在に配置された乗りかごであり、この乗りかご1の正面部にはこの乗りかご1内に利用者が出入り等するための開口部であるかご出入口2(第1の出入口)が設けられている。
このかご出入口2の左右両側には一対のかご側縦枠3(第1の縦枠)がそれぞれ立設されており、すなわち、これらのかご側縦枠3によりかご出入口2の左右両側縁が形成されている。
【0014】
また、一対のかご側縦枠3の上端部間にはかご出入口2の上縁を形成するかご側上部水平枠4(第1の上部水平枠)が架設されており、一対のかご側縦枠3の下端部間にはかご出入口2の下縁を形成するかご側下部水平枠5(第1の下部水平枠)が設けられている。
このかご側下部水平枠5は、その奥行方向について、かご側縦枠3及びかご側上部水平枠4と比較して乗りかご1の外側へと突出しており、この突出部分には間口方向に亘って敷居溝が設けられている。
【0015】
そして、かご出入口2には、このかご出入口2を開閉自在に塞ぐ一対の両開き引戸からなるかご扉6(第1の扉)が設けられており、これらのかご扉6の下端部はかご側下部水平枠5の敷居溝に摺動自在に係合するようにして取付けられている。
【0016】
乗りかご1が停止する階床には乗場7が設けられており、この乗場7の壁面の、乗りかご1が当該乗場7のある階床に停止した際にかご出入口2と対向する位置には開口部である乗場出入口8(第2の出入口)が設けられている。
この乗場出入口8の左右両側には一対の乗場側縦枠9(第2の縦枠)がそれぞれ立設されており、すなわち、これらの乗場側縦枠9により乗場出入口8の左右両側縁が形成されている。
【0017】
また、一対の乗場側縦枠9の上端部間には乗場出入口8の上縁を形成する乗場側上部水平枠10(第2の上部水平枠)が架設されており、一対の乗場側縦枠9の下端部間には乗場出入口8の下縁を形成する乗場側下部水平枠11(第2の下部水平枠)が設けられている。
この乗場側下部水平枠11は、乗場側縦枠9及び乗場側上部水平枠10と比較して昇降路側へと突出しており、この突出部分には間口方向に亘って敷居溝が設けられている。
【0018】
そして、乗場出入口8には、この乗場出入口8を開閉自在に塞ぐ一対の両開き引戸からなる乗場扉12(第2の扉)が設けられており、これらの乗場扉12の下端部は乗場側下部水平枠11の敷居溝に摺動自在に係合するようにして取付けられている。
【0019】
乗りかご1が乗場7に停止している際に、かご側下部水平枠5と乗場側下部水平枠11との間には、所定の間隔寸法以上の間隔寸法を有する隙間領域が形成されるようになっている。この隙間領域は、かご側下部水平枠5の乗場側下部水平枠11側の垂直面であるかご側下部水平枠垂直面5aと、乗場側下部水平枠11のかご側下部水平枠5側の垂直面である乗場側下部水平枠垂直面11aと、で挟まれる領域である。
【0020】
かご側下部水平枠垂直面5aには、当該出入口装置が有する物体検知装置の発光部13が取付けられている。この発光部13は乗場側下部水平枠11側に垂直面を有し、この垂直面に光出射窓13aが設けられている。
そして、発光部13は、この光出射窓13aから出射光14を、乗場側下部水平枠垂直面11aへと出射する(より詳細には、発光部13内に設けられた後述する発光体13bが発する光を、光出射窓13aから出射光14として乗場側下部水平枠垂直面11aへと出射する)。
【0021】
乗場側下部水平枠垂直面11aの表面は、鏡面ではなく、光がある入射角に対して様々な反射角で反射する拡散反射(乱反射)特性を有している。発光部13からの出射光14は、乗場側下部水平枠垂直面11aの表面において拡散反射され、反射光15が生じる。
【0022】
ここで、発光部13は、かご側下部水平枠5と乗場側下部水平枠11との間に形成される前記隙間領域をまんべんなく照らすべく、発光体13bを発光部13内に複数個配置し、乗場側下部水平枠垂直面11aの表面を照らすことが望ましい。
さらに望ましくは、前記隙間領域を一様に照らすべく、発光体13bを発光部13内に等間隔に配置する、又は、線状の発光体13bを前記隙間領域に対し平行にすなわちかご側下部水平枠垂直面5aや乗場側下部水平枠垂直面11aと平行な略平面を形成するようにして配置する。
【0023】
物体検知装置の受光部16(カメラ部)は、かご側上部水平枠4に、支持金具17を介して乗場側上部水平枠10側へと突出するようにして取付けられており、この受光部16は、下方に向けて設けられた受光窓16aを有している。
そして、発光部13からの出射光14が乗場側下部水平枠垂直面11aの表面で拡散反射されて生じた反射光15は、この受光窓16aから受光部16内の受光素子16bへと到達し、受光部16において反射光15の像が撮像される。
【0024】
図2は、エレベータにおける出入口装置の正面を示すもので、乗りかご1の正面図である。
かご出入口2は一対のかご扉6が左右に移動することで開閉される。これらのかご扉6は全閉時において出入口中心線18上で互いに当接する。また、同様に、乗場出入口8は、一対の乗場扉12が左右に移動することで開閉され、これらの乗場扉12は全閉時において出入口中心線18上で互いに当接する。ここで、かご出入口2における出入口中心線18と乗場出入口8における出入口中心線18とは同一である。
【0025】
そして、物体検知装置の発光部13及び受光部16は、それぞれかご側下部水平枠5及びかご側上部水平枠4の、この出入口中心線18上に位置するように配置されている。
なお、乗りかご1の乗場7への停止時において、かご扉6及び乗場扉12は連動して開閉動作する。
【0026】
エレベータにおける出入口装置の要部は、図3に示すブロック図のごとく構成されている。
乗りかご1の動作全般はかご制御部19により制御されており、特にかご扉6の開閉動作は、このかご制御部19からの開閉指令信号に基づいて開閉制御部20により駆動制御される。
発光部13は内部に光を発する発光体13bを有しており、この発光体13bの点灯及び消灯は、発光部13の備える駆動部13cにより駆動される。
【0027】
受光部16は、受光窓16aを通過した乗場側下部水平枠垂直面11aの表面からの反射光15を受光素子16bにより受け、撮像された反射光15の像を物体検知装置制御部16cへと出力する。
この物体検知装置制御部16cは、受光部16の撮像タイミングと発光部13の発光タイミングとの同期処理、並びに、乗場側下部水平枠垂直面11aからの反射光15の画像処理及びこの反射光15の画像処理に基づく障害物有無の判定処理を行う。
【0028】
物体検知装置制御部16cは、発光部13の駆動部13cに対して、発光部13の点灯及び消灯を司る発光タイミング信号を出力し、また、反射光15の画像処理に基づく障害物有無の判定結果に応じて、物体検知信号をかご制御部19へと出力する。
そして、発光部13の駆動部13cは、物体検知装置制御部16cからの発光タイミング信号に応じて、発光体13bの点灯及び消灯を駆動制御する。
また、かご制御部19は、物体検知装置制御部16cからの物体検知信号に応じて、開閉制御部20へと開閉指令信号を出力し、この開閉指令信号に基づいて開閉制御部20によりかご扉6の開閉が駆動制御される。
【0029】
物体検知装置制御部16cによる物体(障害物)検知処理、すなわち、反射光15の画像処理に基づく障害物有無の判定処理は、次のようにして行われる。
まず、物体検知装置制御部16cは、発光部13が点灯しておらず消灯しているときに受光部16により撮像された画像A及び発光部13が点灯しているときに受光部16により撮像された画像Bを取込み、画像Aに対する画像Bの差分である差分画像Cを演算する。このような差分処理を行うことにより、差分画像Cには発光部13の光源像が抽出される。
【0030】
受光部16を頂点とし、かご側下部水平枠5と乗場側下部水平枠11との間に形成される前記隙間領域を底辺とする略三角形状の領域(以下、「物体検知領域」という。)内に光を遮る不透明な物体(障害物)が存在しない場合には、乗場側下部水平枠垂直面11aからの反射光15は遮られずに受光部16へと到達し、差分画像Cの光源像は連続した一つの像になる。
これに対し、前記物体検知領域内に光を遮る不透明な物体(障害物)が存在する場合には、乗場側下部水平枠垂直面11aからの反射光15は部分的に遮られるため、当該物体の位置に応じて、差分画像Cの光源像は不連続な像又は障害物が存在しないときの光源像と比べて長さの短い像となる。
【0031】
このように、物体検知装置制御部16cは、予め前記物体検知領域内に障害物が存在しないときにおける差分画像Cを取得しておき、差分画像Cの光源像が連続した一つの像でないとき、又は、障害物が存在しないときと比較して長さが短い像であるときに、前記物体検知領域内に障害物や異物が存在すると判断し、障害物を検知したと判定する。
【0032】
この実施の形態にあっては、出入口装置は、戸閉時において図4に示す一連のフローに従って動作する。
すなわち、まず、初期状態において出入口(かご出入口2)の戸(かご扉6)は全開した状態である。そして、ステップS1において物体検知装置により前記物体検知領域内に物体が検知されたか否かについて確認され、物体が検知された場合には、戸全開状態が維持されこのステップS1の確認が繰返される。
【0033】
一方、ステップS1の確認において前記物体検知領域内に物体が検知されない場合には、ステップS2へと移行して戸閉動作が開始される。そして、戸閉動作開始後、次のステップS3において物体検知装置により前記物体検知領域内に物体が検知されたか否かについて確認がなされる。
このステップS3において物体が検知されなければ、ステップS4へと進み戸閉動作が継続され、続くステップS5において戸(かご扉6)が全閉位置にあるか否かについて確認がなされる。
【0034】
このステップS5において戸がまだ全閉位置にないことが確認された場合には、ステップS3へと戻りステップS3からステップS5の動作フローが繰返される。そして、ステップS5において戸が全閉位置にあることが確認された場合にはステップS7へと至り一連の動作フローは終了する。
【0035】
一方、戸閉動作中のステップS3において、物体検知装置により前記物体検知領域内に物体が検知された場合には、ステップS6へと移行して戸(かご扉6)反転動作が行われ、戸開する。そして、戸が全開した後ステップS1へと戻り、ステップS1からの動作フローが繰返される。
【0036】
なお、以上の説明においては、発光部13内の発光体13bを用いて、かご側下部水平枠5と乗場側下部水平枠11との間に形成される前記隙間領域をまんべんなく照らすのが望ましいとしたが、例えば、発光部13を発光体13bと集光レンズとで構成し、前記隙間領域の一部の一箇所のみを、又は、複数箇所を離散的に照らすようにしてもよい。この場合においては、障害物を検知する領域は、発光体13bにより照らされる箇所に応じたものになる。
【0037】
以上のように構成された出入口装置は、第1の出入口であるかご出入口及び第2の出入口である乗場出入口の2つの開口部が相互に連通することにより出入りが可能となり、その際、第1の出入口と第2の出入口との間に隙間空間が形成される出入口において、第1の出入口側に設けられ、第2の出入口側の第1の出入口に対向する反射面である乗場側下部水平枠垂直面に向けて光を出射し、反射面での反射光により隙間空間を照らす発光手段である発光部と、第1の出入口側に設けられ、発光手段から出射された光の反射面での反射光を隙間空間を通して受光し撮像する受光撮像手段である受光部と、受光撮像手段により撮像された画像に基づいて、障害物の有無を判断する物体検知装置制御手段である物体検知装置制御部と、を備えたことで、床面近傍においても死角を生じることなく異物等を検出することができ、扉挟み込みのおそれのある障害物等を検出することが可能であるとともに、簡潔な構成で2つの開口部双方における扉挟み込みのおそれのある障害物等を検出することができる。
【0038】
また、発光手段である発光部は、第1の出入口の下縁を形成する第1の下部水平枠であるかご側下部水平枠に設けられるとともに、第2の下部水平枠である乗場側下部水平枠に対向する垂直面に設けられた光出射窓を有し、この光出射窓から反射面へと光を出射し、受光撮像手段である受光部は、第1の出入口の上縁を形成する第1の上部水平枠であるかご側上部水平枠に設けられるとともに、下方に向けて設けられた受光窓を有し、この受光窓を介して反射光を受光し、反射面は、第2の出入口の下縁を形成する第2の下部水平枠の、第1の下部水平枠に対向する面である乗場側下部水平枠垂直面であることで、発光手段の光出射窓や受光撮像手段の受光窓にゴミや埃等が付着・堆積しにくく、ゴミや埃等の影響により発生する動作不良等を未然に防止することができる。
【0039】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に係るもので、エレベータにおける出入口装置の正面図である。
前述した実施の形態1は、出入口の戸が、互いに左右逆方向に移動して戸開閉する一対の両開き引戸であったが、ここで説明する実施の形態2は、出入口の戸を、二枚の戸が左右同方向に移動して戸開閉するいわゆる二枚片開き引戸としたものである。
【0040】
すなわち、かご出入口2には、このかご出入口2を開閉自在に塞ぐ二枚片開き引戸からなるかご扉6が設けられており、乗場出入口8には、この乗場出入口8を開閉自在に塞ぐ二枚片開き引戸からなる乗場扉12が設けられている。
ここで、左右一対のかご側縦枠3のうち、一方は戸全開時にかご扉6が引込まれて収納される戸袋側であり、他方は戸全閉時にかご扉6の側端部が当接する戸当り側となる。また、乗場側縦枠9においては、乗りかご1が当該乗場7に停止した状態において、戸袋側のかご側縦枠3に対向する乗場側縦枠9が戸袋側であり、戸当り側のかご側縦枠3に対向する乗場側縦枠9が戸当り側である。
【0041】
そして、物体検知装置の発光部13及び受光部16(カメラ部)は、それぞれかご側下部水平枠5及びかご側上部水平枠4の、戸当り側のかご側縦枠3のごく近くに位置するように配置されている。
他の構成及び動作については実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
【0042】
以上のように構成された出入口装置及びエレベータ装置においては、実施の形態1と同様の効果を奏することができるとともに、物体検知装置の発光部及び受光部(カメラ部)が、戸当り側の縦枠のごく近くに位置するように配置されていることにより、実施の形態1と同様、戸の全閉直前まで障害物の検知を行うことが可能である。
【0043】
実施の形態3.
図6及び図7は、この発明の実施の形態3に係るもので、図6はエレベータにおける出入口装置の側面断面図、図7はエレベータにおける出入口装置の正面図である。
前述した実施の形態1及び実施の形態2は、物体検知装置の発光部を下側に配置すなわちかご側下部水平枠に取付け、受光部(カメラ部)を上側に配置すなわちかご側上部水平枠に取付けて構成したが、ここで説明する実施の形態3は、発光部及び受光部の位置を交換し、物体検知装置の発光部を上側に配置すなわちかご側上部水平枠に取付け、受光部(カメラ部)を下側に配置すなわちかご側下部水平枠に取付けるようにしたものである。
ここでは、実施の形態1を元にして、発光部及び受光部の位置を交換した場合について説明する。
【0044】
すなわち、物体検知装置の発光部13は、かご側上部水平枠4に、支持金具17を介して乗場側上部水平枠10側へと突出するようにして取付けられており、この発光部13は、下方に向けて設けられた光出射窓13aを有している。
そして、発光部13は、この光出射窓13aから、出射光14を乗場側下部水平枠垂直面11aへと出射する(より詳細には、発光部13内に設けられた発光体13bが発する光を、光出射窓13aから出射光14として乗場側下部水平枠垂直面11aへと出射する)。
【0045】
また、かご側下部水平枠垂直面5aには、物体検知装置の受光部16(カメラ部)が取付けられている。この受光部16は乗場側下部水平枠11側に垂直面を有し、この垂直面に受光窓16aが設けられている。
乗場側下部水平枠垂直面11aの表面は、実施の形態1や実施の形態2と同様、鏡面ではなく拡散反射(乱反射)特性を有している。従って、発光部13からの出射光14は、乗場側下部水平枠垂直面11aの表面において拡散反射され、反射光15が生じる。
そして、この反射光15は、受光窓16aから受光部16内の受光素子16bへと到達し、受光部16において反射光15の像が撮像される。
他の構成及び動作については実施の形態1又は実施の形態2と同様であり、その説明は省略する。
【0046】
なお、以上の実施の形態1から実施の形態3においては、エレベータにおいて本発明の出入口装置を適用した例について説明したが、本発明の適用はエレベータに限られるものではなく、第1及び第2の出入口の2つの開口部が相互に連通することにより利用者の出入り等が可能となる出入口を有する、建物等の建造物の出入口装置や、列車等の交通手段の車両等に設けられた出入口装置に対してもエレベータの場合と同様に本発明を適用することが可能である。
【0047】
以上のように構成された出入口装置及びエレベータ装置においては、実施の形態1又は実施の形態2と同様の効果を奏することが可能であるとともに、発光手段である発光部は、第1の出入口の上縁を形成する第1の上部水平枠であるかご側上部水平枠に設けられるとともに、下方に向けて設けられた光出射窓を有し、この光出射窓から反射面へと光を出射し、受光撮像手段である受光部は、第1の出入口の下縁を形成する第1の下部水平枠であるかご側下部水平枠に設けられるとともに、第2の下部水平枠である乗場側下部水平枠に対向する垂直面に設けられた受光窓を有し、この受光窓を介して反射光を受光し、反射面は、第2の出入口の下縁を形成する第2の下部水平枠の、第1の下部水平枠に対向する面である乗場側下部水平枠垂直面であることで、実施の形態1と同様、発光手段の光出射窓や受光撮像手段の受光窓にゴミや埃等が付着・堆積しにくく、ゴミや埃等の影響により発生する動作不良等を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 乗りかご
2 かご出入口
3 かご側縦枠
4 かご側上部水平枠
5 かご側下部水平枠
5a かご側下部水平枠垂直面
6 かご扉
7 乗場
8 乗場出入口
9 乗場側縦枠
10 乗場側上部水平枠
11 乗場側下部水平枠
11a 乗場側下部水平枠垂直面
12 乗場扉
13 発光部
13a 光出射窓
13b 発光体
13c 駆動部
14 出射光
15 反射光
16 受光部
16a 受光窓
16b 受光素子
16c 物体検知装置制御部
17 支持金具
18 出入口中心線
19 かご制御部
20 開閉制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の出入口及び第2の出入口の2つの開口部が相互に連通することにより出入りが可能となり、その際、前記第1の出入口と前記第2の出入口との間に隙間空間が形成される出入口において、
前記第1の出入口側に設けられ、前記第2の出入口側の前記第1の出入口に対向する反射面に向けて光を出射し、前記反射面での反射光により前記隙間空間を照らす発光手段と、
前記第1の出入口側に設けられ、前記発光手段から出射された光の前記反射面での反射光を前記隙間空間を通して受光し撮像する受光撮像手段と、
前記受光撮像手段により撮像された画像に基づいて、障害物の有無を判断する物体検知装置制御手段と、を備えたことを特徴とする出入口装置。
【請求項2】
前記反射面は、拡散反射特性を有することを特徴とする請求項1に記載の出入口装置。
【請求項3】
前記発光手段は、前記第1の出入口の下縁を形成する第1の下部水平枠に設けられ、
前記受光撮像手段は、前記第1の出入口の上縁を形成する第1の上部水平枠に設けられ、
前記反射面は、前記第2の出入口の下縁を形成する第2の下部水平枠の、前記第1の下部水平枠に対向する面であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の出入口装置。
【請求項4】
前記発光手段は、前記第2の下部水平枠に対向する垂直面に設けられた光出射窓を有し、この光出射窓から前記反射面へと光を出射し、
前記受光撮像手段は、下方に向けて設けられた受光窓を有し、この受光窓を介して前記反射光を受光し、
前記反射面は、垂直面であることを特徴とする請求項3に記載の出入口装置。
【請求項5】
前記発光手段は、前記第1の出入口の上縁を形成する第1の上部水平枠に設けられ、
前記受光撮像手段は、前記第1の出入口の下縁を形成する第1の下部水平枠に設けられ、
前記反射面は、前記第2の出入口の下縁を形成する第2の下部水平枠の、前記第1の下部水平枠に対向する面であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の出入口装置。
【請求項6】
前記発光手段は、下方に向けて設けられた光出射窓を有し、この光出射窓から前記反射面へと光を出射し、
前記受光撮像手段は、前記第2の下部水平枠に対向する垂直面に設けられた受光窓を有し、この受光窓を介して前記反射光を受光し、
前記反射面は、垂直面であることを特徴とする請求項5に記載の出入口装置。
【請求項7】
前記第1の出入口に開閉自在に設けられ、互いに左右逆方向に移動して戸開閉し、全閉時において出入口中心線上で互いに当接する一対の両開き引戸をさらに備え、
前記発光手段及び前記受光撮像手段は、前記出入口中心線上に配置されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の出入口装置。
【請求項8】
前記第1の出入口に開閉自在に設けられた片引戸をさらに備え、
前記発光手段及び前記受光撮像手段は、前記片引戸の戸当り側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の出入口装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の出入口装置を備えたエレベータであって、
前記第1の出入口は、前記エレベータの乗りかごに設けられたかご出入口であり、
前記第2の出入口は、前記エレベータの乗場に設けられた乗場出入口であることを特徴とするエレベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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