出力制御装置
【解決手段】CPUは、部屋RM1の内部空間に存在する1または2以上の人物を部屋RM1の内部空間を捉えるカメラ12から出力された被写界像に基づいて探索し、部屋RM1の内部空間に向けて出力を発生する空調装置D_1〜D_6の出力動作を探索処理によって発見された1または2以上の人物と空調装置D_1〜D_6との位置関係に基づいて制御する。CPUはまた、カメラ12から出力された被写界像を空調制御と並列してモニタ画面に再現し、空調装置D_1〜D_6の動作状態を示すグラフィック画像をモニタ画面に再現された被写界像に多重する。
【効果】初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【効果】初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出力制御装置に関し、特に、空間に存在する特定物体を検出して装置の出力を制御する、出力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、センサ部は、少なくとも検出エリア内の人間等の温度を計測する。画像処理部は、センサ部からの出力である検出温度を画素値とする熱画像を処理して、特徴量を抽出する。画像情報検出部は、画像処理部からの信号を基に、ニューラルネットまたはパターン認識機構を用いて、センサ部からの出力信号より同等もしくは詳細な人間の個人情報信号、環境情報信号等を出力する。空気調和機の動作は、このような信号に基づいて制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−117836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、空気調和機の動作が的確に制御されているか否かを判別することは容易でははく、初期設定作業やメンテナンス作業に掛かる負荷が増大するおそれがある。つまり、人物が検知されたこと、および検知結果に応答して空気調和機が作動することは、検知結果に応答した空気調和機の動作の変化から分かる。しかし、検知された人物の位置と空気調和機の稼働範囲とを正しく合わせるには、経験と熟練を要する。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる、出力制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う出力制御装置は、次のものを備える:空間に存在する1または2以上の特定物体を空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索する探索手段;空間に向けて出力を発生する複数の装置の出力動作を探索手段によって発見された1または2以上の特定物体と複数の装置との位置関係に基づいて制御する制御手段;カメラから出力された被写界像を制御手段の制御処理と並列してモニタ画面に再現する再現手段;および複数の装置の動作状態を示す状態情報を再現手段によって再現された被写界像に多重する多重手段。
【0007】
好ましくは、試運転モードを含む複数のモードを代替的に選択する選択手段、および試運転モードに対応して多重手段を起動する起動手段がさらに備えられる。
【0008】
好ましくは、カメラはUV座標系に沿って定義された撮像面を有し、空間はXY座標系に沿って定義された平面を有し、制御手段は、UV座標系とXY座標系との対応関係を示す校正パラメータと探索手段によって発見された画像とを参照して特定物体のXY座標を算出する算出手段、および算出手段によって算出されたXY座標を参照して位置関係を検出する検出手段を含む。
【0009】
さらに好ましくは、状態情報の多重位置を校正パラメータを参照して定義する定義手段がさらに備えられる。
【0010】
好ましくは、複数の装置の各々は空調制御装置に相当し、状態情報は温度,湿度,風量,風向きおよび消費電力の少なくとも1つをパラメータとして有する。
【0011】
好ましくは、状態情報は複数の装置の各々の出力が及ぶ位置および/または広さをパラメータとして有する。
【0012】
好ましくは、被写界像および状態情報を携帯通信端末に向けて送信する送信手段がさらに備えられ、モニタ画面は携帯通信端末のモニタ画面に相当する。
【0013】
この発明に従う出力制御装置は、次のものを備える:空間に存在する1または2以上の特定物体を空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索する探索手段;カメラから出力された被写界像を探索手段の探索処理と並列してモニタ画面に再現する再現手段;探索手段によって発見された1または2以上の特定物体との位置関係に応じて異なる出力を空間に向けて発生する複数の装置の動作状態を検出する検出手段;および検出手段によって検出された動作状態を示す状態情報を再現手段によって再現された被写界像に多重する多重手段。
【0014】
この発明によれば、複数の装置は空間に向けて出力を発生し、空間に存在する特定物体は空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索され、そして複数の装置の出力動作は探索処理によって発見された特定物体と複数の装置との位置関係に基づいて制御される。これによって、特定物体の位置を考慮した適応的な出力制御が実現される。
【0015】
また、カメラから出力された被写界像は複数の装置の出力制御と並列してモニタ画面に再現され、複数の装置の動作状態を示す状態情報は再現された被写界像に多重される。複数の装置の出力が適応的に制御されているか否かは、多重された状態情報に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0016】
この発明によれば、カメラから出力された被写界像は、複数の装置の動作状態を示す状態情報とともにモニタ画面に再現される。複数の装置の出力が空間に存在する特定物体との位置関係を考慮して適応的に制御されているか否かは、多重された状態情報に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0017】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)はこの発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図であり、(B)はこの発明の他の実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例に適用されるカメラの設置状態の一例を示す図解図である。
【図4】図2実施例のモニタに表示されるカメラ画像の一例を示す図解図である。
【図5】図2実施例のモニタに表示されるマップ画像の一例を示す図解図である。
【図6】図2実施例に適用されるエリアレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図7】図2実施例に適用される代表点レジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図8】図2実施例に適用される重み付け量レジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図9】(A)はマップ画像上での分割エリアの割り当て状態の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像上での測定エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図10】(A)はマップ画像に多重されたグラフィック画像の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像に多重されたグラフィック画像の一例を示す図解図である。
【図11】カメラ画像の一例を示す図解図である。
【図12】(A)は風量“小”に対応して描画されたグラフィック画像の一例を示す図解図であり、(B)は風量“中”に対応して描画されたグラフィック画像の一例を示す図解図であり、(C)は風量“大”に対応して描画されたグラフィック画像の一例を示す図解図である。
【図13】(A)はカメラ画像に多重されたグラフィック画像の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像に多重されたグラフィック画像の一例を示す図解図である。
【図14】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図16】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図17】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図18】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図19】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図20】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図21】(A)はマップ画像に多重されたグラフィック画像の他の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像に多重されたグラフィック画像の他の一例を示す図解図である。
【図22】他の実施例のモニタ画面に表示される被写界像およびグラフィック画像の一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1(A)を参照して、この発明の一実施例の出力制御装置は、基本的に次のように構成される。探索手段1aは、空間に存在する1または2以上の特定物体を空間を捉えるカメラ5aから出力された被写界像に基づいて探索する。制御手段2aは、空間に向けて出力を発生する複数の装置6a,6a,…の出力動作を探索手段1aによって発見された1または2以上の特定物体と複数の装置6a,6a,…との位置関係に基づいて制御する。再現手段3aは、カメラ5aから出力された被写界像を制御手段2aの制御処理と並列してモニタ画面7aに再現する。多重手段4aは、複数の装置6a,6a,…の動作状態を示す状態情報を再現手段3aによって再現された被写界像に多重する。
【0020】
複数の装置6a,6a,…は空間に向けて出力を発生し、空間に存在する特定物体は空間を捉えるカメラ5aから出力された被写界像に基づいて探索され、そして複数の装置6a,6a,…の出力動作は探索処理によって発見された特定物体と複数の装置6a,6a,…との位置関係に基づいて制御される。これによって、特定物体の位置を考慮した適応的な出力制御が実現される。
【0021】
また、カメラ5aから出力された被写界像は複数の装置6a,6a,…の出力制御と並列してモニタ画面7aに再現され、複数の装置6a,6a,…の動作状態を示す状態情報は再現された被写界像に多重される。複数の装置6a,6a,…の出力が適応的に制御されているか否かは、多重された状態情報に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0022】
図1(B)を参照して、他の実施例の出力制御装置は、基本的に次のように構成される。探索手段1bは、空間に存在する1または2以上の特定物体を空間を捉えるカメラ5bから出力された被写界像に基づいて探索する。再現手段2bは、カメラ5bから出力された被写界像を探索手段1bの探索処理と並列してモニタ画面6bに再現する。検出手段3bは、探索手段1bによって発見された1または2以上の特定物体との位置関係に応じて異なる出力を空間に向けて発生する複数の装置7b,7b,…の動作状態を検出する。多重手段4bは、検出手段3bによって検出された動作状態を示す状態情報を再現手段2bによって再現された被写界像に多重する。
【0023】
カメラ5bから出力された被写界像は、複数の装置7b,7b,…の動作状態を示す状態情報とともにモニタ画面に再現される。複数の装置7b,7b,…の出力が空間に存在する特定物体との位置関係を考慮して適応的に制御されているか否かは、多重された状態情報に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0024】
図2を参照して、この実施例の空調制御装置10は、撮像面で捉えられた被写界(3次元空間)を表す画像データを繰り返し出力するカメラ12を含む。カメラ12から出力された画像データは、画像処理回路14によって表示処理を施される。処理後の画像データはモニタ16に与えられるとともに、通信I/F20を介して携帯通信端末30に向けて送信される。被写界を表す画像つまりカメラ画像がモニタ16および携帯通信端末30の各々の画面に表示される。
【0025】
図3を参照して、部屋RM1は、床面FL1および天井HV1と4つの壁面WL1〜WL4とによって仕切られる。カメラ12は、壁面WL1の幅方向中央の上部に設けられ、部屋RM1の内部空間を斜め上方から捉える。したがって、カメラ画像は、図4に示す要領でモニタ画面に表示される。図3および図4に示すように、部屋RM1の内部空間は互いに直交するX軸,Y軸およびZ軸によって定義され、カメラ12の撮像面は互いに直交するU軸およびV軸によって定義される。
【0026】
天井HV1には、空調装置D_1〜D_6が既定の距離を隔てて設置される。空調装置D_1〜D_6の各々は指定された温度および湿度を有する空気を指定された風量および風向きで出力し、部屋RM1の温度および湿度はこうして出力された空気によって調整される。
【0027】
入力装置18の操作によってエリア設定モードが選択されると、CPU14pによって次の処理が実行される。なお、エリア設定モードにおいては、カメラ12は停止状態にある。
【0028】
まず、図5に示すマップ画像がモニタ16に表示される。マップ画像は、平面FL1を鳥瞰した状態を模式的に表す画像に相当する。マップ画像にはまた、空調装置D_1〜D_6をそれぞれ表すマークM_1〜M_6が、空調装置D_1〜D_6の位置に対応して表示される。
【0029】
マップ画像の表示が完了すると、変数Kが“1”に設定される。入力装置18に設けられたマウスポインタによってマークM_Kがクリックされると、クリックされた位置を示す座標つまりクリック座標が算出される。算出されたクリック座標は変数Kに対応して図6に示すエリアレジスタ14r1に記述され、変数Kはその後にインクリメントされる。クリック操作はマークM_1〜M_6に対応して合計6回受け付けられ、これによってマークM_1〜M_6にそれぞれ対応する6つのクリック座標がエリアレジスタ14r1に設定される。
【0030】
マップ画像は、こうして設定された6つのクリック座標を基準として、図9(A)に示す要領で分割される。境界線BL_1〜B_L3は、マークM_1〜M_6を囲むようにマップ画像上に描かれる。この結果、分割エリアMP_1〜MP_6がマークM_1〜M_6の周辺に割り当てられ、部屋RM1の内部空間が分割エリアMP_1〜MP_6にそれぞれ対応する複数の小空間に分割される。エリアレジスタ14r1には、分割エリアMP_K(K:1〜6)を定義する複数のXY座標が記述される。
【0031】
続いて、分割エリアMP_Kを定義する複数のXY座標の各々が、数1に従ってUV座標に変換される。
【0032】
【数1】
数1に示す校正パラメータP11〜P33は、平面FL1を定義するXY座標系とカメラ12の撮像面つまりカメラ画像を定義するUV座標系との間で平面射影変換を行うための行列に相当する。したがって、所望のXY座標を数1に適用することで、カメラ画像上の対応するUV座標が算出される。こうして変換された複数のUV座標は、変換元の複数のXY座標に対応してエリアレジスタ14r1に記述される。分割エリアMP_Kに対応する測定エリアDT_Kは、図9(B)に示す要領でカメラ画像上に定義される。
【0033】
続いて、空調装置D_Kの稼働状況を示すグラフィック画像G_Kの描画位置がマップ画像上で定義される。グラフィック画像G_Kは、空調装置D_KのXY座標を中心として描かれた複数の円によって表現される。したがって、グラフィック画像G_Kの描画位置は、グラフィック画像G_Kが図10(A)に示す要領でマップ画像上に描画されるように定義される。定義された描画位置を示す複数のXY座標は、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。
【0034】
記述されたXY座標はその後、数1に従ってUV座標に変換される。これによって、グラフィック画像G_Kの描画位置がカメラ画像上で定義され、グラフィック画像G_Kは図10(B)に示す要領でカメラ画像上に描画される。カメラ画像上で定義された描画位置を示す複数のUV座標もまた、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。
【0035】
入力装置18の操作によって混雑度測定モードが選択されると、カメラ12が起動され、測定周期が到来する毎に次の処理がCPU14pによって実行される。
【0036】
まず、パターンマッチングまたは動き検出によってカメラ画像から人物像が探索される。1または2以上の人物像が発見されると、変数Lが“1”〜“Lmax”(Lmax:発見された人物像の総数)の各々に設定され、発見された1または2以上の人物像のうちL番目の人物像の代表点が“RP_L”として決定される。決定された代表点RP_LのXY座標は、変数Lに対応して図7に示す代表点レジスタ14r2に記述される。
【0037】
人物H1〜H3が図11に示す要領で部屋RM1に存在するとき、人物H1を表す画像上で代表点RP_1が決定され、人物H2を表す画像上で代表点RP_2が決定され、そして人物H3を表す画像上で代表点RP_3が決定される。代表点RP_1〜RP_3のXY座標は、L=1〜3に対応して代表点レジスタ14r2に記述される。
【0038】
続いて、変数Lが“1”〜“Lmax”の各々に設定されるとともに、変数Kが“1”〜“6”の各々に設定され、代表点RP_Lから空調装置D_Kまでの距離が“DS_K”として測定される。こうして測定された距離DS_1〜DS_6によって、“Lmax”に相当する人物の各々と空調装置D_1〜D_6との位置関係が明らかとなる。
【0039】
変数Kは再度“1”〜6“の各々に設定され、分割エリアMP_Kに対応する重み付け量W_Kが数2に従って算出される。算出された重み付け量W_Kは、変数Kに対応して図8に示す重み付け量レジスタ14r3に記述される。
【数2】
数2において、“a_K”および“b_K”は空調装置D_Kの現時点の出力や室内環境に依存する変数である。関数値f(D_K)は、変数a_Kおよびb_Kと距離DS_Kとによって定義される。重み付け量W_Kは、空調装置D_1〜D_6にそれぞれ対応する関数値f(D_1)〜f(D_6)の総和に対する関数値f(D_K)の割合を“1”から減算することで導き出される。なお、変数a_Kおよびb_Kは、重み付け量W_1〜W_6の総和が“1.0”となるように調整される。
【0040】
重み付け量がこうして決定されると、変数Kが“1”〜“6”の各々に設定され、混雑度CR_Kが算出される。混雑度CR_Kは、分割エリアMP_Kに割り当てられた重み付け量の総和に相当する。空調装置D_1〜D_6の各々の出力(=風量)は、こうして算出された混雑度CR_1〜CR_6に基づいて制御される。具体的には、混雑度が大きい分割エリアに対応する空調装置の風量が強められ、混雑度が小さい分割エリアに対応する空調装置の風量が弱められる。
【0041】
空調装置D_1〜D_6を運転するモードとしては、試運転モードおよび通常運転モードの2つが準備される。ここで、試運転モードは、空調制御装置10の設置が完了しかつ分割エリアMP_1〜MP_6の設定が完了した後に、空調装置D_1〜D_6の出力動作が混雑度測定タスクの下で適応的に制御されるか否かを確認するためのモードである。一方、通常運転モードは、試運転モードによって空調装置D_1〜D_6の適応制御が確認された後の通常の使用段階で選択されるモードである。試運転モードおよび通常運転モードは、入力装置18の操作によって代替的に選択される。
【0042】
試運転モードでは、変数Kが“1”〜“6”の各々に設定され、空調装置D_Kの稼働状況(稼働状況:温度,湿度,風量および風向き)が検出される。グラフィック画像G_Kは、検出された稼働状況に応じた描画態様でカメラ画像に多重される。なお、描画位置は、エリアレジスタ14r1の記述を参照して決定される。
【0043】
グラフィック画像G_Kの描画態様は、空調装置D_Kの風量に応じて、図12(A)〜図12(C)に示す要領で変化する。グラフィック画像G_Kは、風量“小”に対応して図12(A)に示す要領で描画され、風量“中”に対応して図12(B)に示す要領で描画され、そして風量“大”に対応して図12(C)に示す要領で描画される。また、グラフィック画像G_Kの色相は空調装置D_Kの設定温度の上昇に伴って“青”から“赤”に変化し、グラフィック画像G_Kの彩度は空調装置D_Kの設定湿度の上昇に伴って増大し、そしてグラフィック画像G_Kの形状は風向きに沿って歪む。
【0044】
図13(A)に示すように人物H1が測定エリアDT_4に存在するとき、空調装置D_4の風量は“大”に設定され、空調装置D_1,D_2およびD_5の風量は“中”に設定され、そして空調装置D_3およびD_6の風量は“小”に設定される。グラフィック画像G_1〜G_6は、このような風量設定を示す態様で描画される。
【0045】
図13(B)に示すように人物H1が測定エリアDT_1に移動すると、空調装置D_1の風量が“中”から“大”に変更され、空調装置D_4の風量が“大”から“中”に変更される。この結果、グラフィック画像G_1およびG_4の描画態様もまた変化する。
【0046】
カメラ画像およびグラフィック画像G_1〜G_6は、携帯通信端末30の画面にも表示される。このため、携帯通信端末30を携帯して部屋RM1を移動することで、人物H1は空調装置D_1〜D_6の出力動作が適応的に制御されるか否かを容易に確認することができる。これによって、初期設定作業やメンテナンス作業の効率化が図られる。
【0047】
また、カメラ12の向きがずれると、グラフィック画像G_1〜G_6の描画位置にもずれが生じる。このため、グラフィック画像G_1〜G_6を見ながら空間を移動することで、人物H1は、カメラ12の向きにずれが生じていることを認識することができる。
【0048】
CPU14pは、図14に示すメインタスク,図15〜図16に示すエリア設定タスク,図17〜図19に示す混雑度測定タスク,および図20に示す表示制御タスクを含む複数のタスクを実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、記録媒体22に保存される。
【0049】
図14を参照して、ステップS1では現時点の動作モードがエリア設定モードであるか否かを判別し、ステップS5では現時点の動作モードが混雑度測定モードであるか否かを判別する。
【0050】
ステップS1でYESであれば、ステップS3でエリア設定タスクを起動し、その後にステップS15に進む。ステップS5でYESであれば、分割エリアMP_1〜MP_6が設定済みであるか否かをステップS7で判別する。判別結果がYESであればステップS9およびS11で混雑度測定タスクおよび表示制御タスクを起動してからステップS15に進み、判別結果がNOであればそのままステップS15に進む。ステップS1およびS5のいずれもNOであれば、ステップS13で他の処理を実行し、その後にステップS15に進む。
【0051】
ステップS15ではモード変更操作が行われたか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、起動中のタスクをステップS17で終了し、その後にステップS1に戻る。
【0052】
図15を参照して、ステップS21ではマップ画像をモニタ16に表示し、ステップS23では変数Kを“1”に設定する。ステップS25ではエリア指定のためのクリック操作が行われたか否かを判別し、判別結果がNOからYESに更新されるとステップS27でクリック座標を算出する。算出された座標は、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。ステップS29では変数Kが“6”に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS31で変数KをインクリメントしてからステップS25に戻る一方、判別結果がYESであればステップS33に進む。
【0053】
ステップS33では、クリック座標を参照してマップ画像を分割する。この結果、6個の分割エリアMP_1〜MP_6がマップ画像上に割り当てられる。ステップS35では分割画像MP_1〜MP_6を仕切る境界線をマップ画像上に描画する。
【0054】
ステップS37では変数Kを“1”に設定し、ステップS39では分割エリアMP_Kを定義する複数のXY座標を算出する。算出されたXY座標は、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。ステップS41では、分割エリアMP_Kを定義する複数のXY座標の各々を数1に従ってUV座標に変換する。変換されたUV座標は変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述され、これによって分割エリアMP_Kに対応する測定エリアDT_Kがカメラ画像に割り当てられる。
【0055】
ステップS43では、グラフィック画像G_Kの描画位置をマップ画像上で定義する。定義された描画位置を示す複数のXY座標は、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。ステップS45では、ステップS43で定義された描画位置を示すXY座標を数1に従ってUV座標に変換する。この結果、グラフィック画像G_Kの描画位置がカメラ画像上で定義される。こうして定義された描画位置を示す複数のUV座標もまた、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。
【0056】
ステップS47では、変数Kが“6”に達したか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS49で変数KをインクリメントしてからステップS39に戻る一方、判別結果がYESであれば処理を終了する。
【0057】
図17を参照して、ステップS51では測定周期が到来したか否かを判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS53に進み、パターンマッチングまたは動き検出によってカメラ画像から人物像を探索する。ステップS55では1または2以上の人物像が発見されたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS51に戻る一方、判別結果がYESであればステップS57に進む。
【0058】
ステップS57では変数Lを“1”に設定し、ステップS59では発見された1または2以上の人物像のうちL番目の人物像の代表点を“RP_L”として決定し、そしてステップS61では決定された代表点RP_LのXY座標を上述の数1を参照して算出する。算出されたXY座標は、変数Lに対応して代表点レジスタ14r2に記述される。ステップS63では変数Lが最大値Lmax(=発見された人物像の総数)に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS65で変数LをインクリメントしてからステップS59に戻る一方、判別結果がYESであればステップS67に進む。
【0059】
ステップS67では変数Lを再度“1”に設定し、ステップS69では変数Kを“1”に設定し、そしてステップS71では代表点RP_Lから空調装置D_Kまでの距離を“DS_K”として測定する。ステップS73では変数Kが“6”に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS75で変数KをインクリメントしてからステップS71に戻る一方、判別結果がYESであればステップS77に進む。こうして測定された距離DS_1〜DS_6によって、L番目の人物と空調装置D_1〜D_6との位置関係が明らかとなる。
【0060】
ステップS77では変数Kを再度“1”に設定し、ステップS79では数2に従って分割エリアMP_Kに対応する重み付け量W_Kを算出する。算出された重み付け量W_Kは、変数Kに対応して重み付け量レジスタ14r3に記述される。
【0061】
ステップS81では変数Kが“6”に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS83で変数KをインクリメントしてからステップS79に戻る一方、判別結果がYESであればステップS85に進む。
【0062】
ステップS85では、変数Lが最大値Lmaxに達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS87で変数LをインクリメントしてからステップS69に戻る一方、判別結果がYESであればステップS89に進む。ステップS89では変数Kを“1”に設定し、ステップS91では混雑度CR_Kを算出する。混雑度CR_Kは、分割エリアMP_Kに割り当てられた重み付け量の総和に相当する。
【0063】
ステップS93では変数Kが“6”に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS95で変数KをインクリメントしてからステップS91に戻る一方、判別結果がYESであればステップS97に進む。ステップS97では、ステップS91で算出された混雑度CR_1〜CR_6を参照して空調装置D1〜D6の出力を制御する。具体的には、混雑度が大きい分割エリアに対応する空調装置の出力を強め、混雑度が小さい分割エリアに対応する空調装置の出力を弱める。
【0064】
図20を参照して、ステップS101ではカメラ12を起動し、ステップS103ではカメラ画像の表示を開始する。カメラ12によって捉えられた被写界を表す画像データは、モニタ16に与えられるとともに、通信I/F20を介して携帯通信端末30に送信される。この結果、カメラ画像は、モニタ16および携帯通信端末の画面に表示される。
【0065】
ステップS105では、現在のモードが通常運転モードおよび試運転モードのいずれであるかを判別する。現在のモードが通常運転モードであれば表示制御タスクを終了する一方、現在のモードが試運転モードであればステップS107に進む。ステップS107では変数Kを“1”に設定し、ステップS109では空調装置D_Kの稼働状況(稼働状況:温度,湿度,風量,風向き)を検出する。ステップS111では、グラフィック画像G_Kを測定エリアDT_Kに対応してカメラ画像に多重する。グラフィック画像G_Kの描画態様は、検出された稼働状況に対応する。
【0066】
ステップS113では、変数Kが“6”に達したか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS117で変数KをインクリメントしてからステップS109に戻る一方、判別結果がYESであればステップS115で変数Kを“1”に設定してからステップS109に戻る。
【0067】
以上の説明から分かるように、CPU14pは、部屋RM1の内部空間に存在する1または2以上の人物を部屋RM1の内部空間を捉えるカメラ12から出力された被写界像に基づいて探索し(S53)、部屋RM1の内部空間に向けて出力を発生する空調装置D_1〜D_6の出力動作を探索処理によって発見された1または2以上の人物と空調装置D_1〜D_6との位置関係に基づいて制御する(S57〜S97)。CPU14pはまた、カメラ12から出力された被写界像を空調制御と並列してモニタ16または携帯通信端末30のモニタ画面に再現し(S101〜S103)、空調装置D_1〜D_6の動作状態を示すグラフィック画像G_1〜G_6をモニタ画面に再現された被写界像に多重する(S107〜S117)。
【0068】
空調装置D_1〜D_6は部屋RM1の内部空間に向けて出力を発生し、部屋RM1の内部空間に存在する人物は部屋RM1の内部空間を捉えるカメラ12から出力された被写界像に基づいて探索され、そして空調装置D_1〜D_6の出力動作は探索処理によって発見された人物と空調装置D_1〜D_6との位置関係に基づいて制御される。これによって、人物の位置を考慮した適応的な出力制御が実現される。
【0069】
また、カメラ12から出力された被写界像は空調装置D_1〜D_6の出力制御と並列してモニタ画面に再現され、空調装置D_1〜D_6の動作状態を示すグラフィック画像G_1〜G_6は再現された被写界像に多重される。空調装置D_1〜D_6の出力が適応的に制御されているか否かは、多重されたグラフィック画像G_1〜G_6に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0070】
なお、この実施例では、マウスポインタのクリック操作によってマークM_1〜M_6の各々の座標を指定するようにしている。しかし、これに代えて、マークM_1〜M_6の各々の座標値を直接的に指定するようにしてもよい。
【0071】
また、この実施例では空調装置の出力を適応的に制御することを想定しているが、空調装置の出力に代えて或いは空調装置の出力とともに、照明装置の出力(つまり明るさ)を適応的に制御するようにしてもよい。この場合、グラフィック画像の描画態様は、照明装置の明るさに応じて異なるように変化する。
【0072】
さらに、この実施例では、数1を参照した平面射影変換を想定しているが、これに代えて透視射影変換を行うようにしてもよい。
【0073】
また、この実施例では、床面FL1を鳥瞰した状態を模式的に表す画像をマップ画像として採用している。しかし、マップ画像は、上述した数1を参照した鳥瞰変換をカメラ画像に対して施すことで生成するようにしてもよい。
【0074】
さらに、この実施例では、図20に示すステップS109で検出される空調装置D_Kの稼働状況として、“温度”,“湿度”,“風量”および“風向き”を想定している。しかし、空調装置D_Kの消費電力を稼働状況として“消費電力”を追加的に想定するようにしてもよい。
【0075】
また、この実施例では、図13(A)〜図13(B)に示す要領でグラフィック画像G_Kをモニタ画面に多重するようにしている。しかし、空調装置D_Kから出力された風が及ぶ広がりを示す数値(たとえば“1m”,“3m”のキャラクタを追加的に表示するようにしてもよい。この場合、グラフィック画像G_Kは、図21(A)〜図21(B)に示すように表示される。
【0076】
さらに、この実施例では、カメラ12によって捉えられた被写界像をカメラ12の視点でモニタ画面に表示し、こうして表示された被写界像に適合するようにグラフィック画像G_Kの形状および/またはサイズを調整するようにしている(図10(B)参照)。しかし、カメラ12によって捉えられた被写界像を俯瞰画像に変換した状態でモニタ画面に表示し、この俯瞰画像に適合するようにグラフィック画像G_Kの形状および/またはサイズを調整するようにしてもよい。この場合、モニタ画面には、図22に示す要領で俯瞰画像およびグラフィック画像G_Kが表示される。
【0077】
この発明が詳細に説明され図示されたが、それは単なる図解および一例として用いたものであり、限定であると解されるべきではないことは明らかであり、この発明の精神および範囲は添付されたクレームの文言によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0078】
10 …空調制御装置
12 …カメラ
14 …画像処理回路
14p …CPU
16 …モニタ
18 …入力装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、出力制御装置に関し、特に、空間に存在する特定物体を検出して装置の出力を制御する、出力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、センサ部は、少なくとも検出エリア内の人間等の温度を計測する。画像処理部は、センサ部からの出力である検出温度を画素値とする熱画像を処理して、特徴量を抽出する。画像情報検出部は、画像処理部からの信号を基に、ニューラルネットまたはパターン認識機構を用いて、センサ部からの出力信号より同等もしくは詳細な人間の個人情報信号、環境情報信号等を出力する。空気調和機の動作は、このような信号に基づいて制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−117836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、空気調和機の動作が的確に制御されているか否かを判別することは容易でははく、初期設定作業やメンテナンス作業に掛かる負荷が増大するおそれがある。つまり、人物が検知されたこと、および検知結果に応答して空気調和機が作動することは、検知結果に応答した空気調和機の動作の変化から分かる。しかし、検知された人物の位置と空気調和機の稼働範囲とを正しく合わせるには、経験と熟練を要する。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる、出力制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う出力制御装置は、次のものを備える:空間に存在する1または2以上の特定物体を空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索する探索手段;空間に向けて出力を発生する複数の装置の出力動作を探索手段によって発見された1または2以上の特定物体と複数の装置との位置関係に基づいて制御する制御手段;カメラから出力された被写界像を制御手段の制御処理と並列してモニタ画面に再現する再現手段;および複数の装置の動作状態を示す状態情報を再現手段によって再現された被写界像に多重する多重手段。
【0007】
好ましくは、試運転モードを含む複数のモードを代替的に選択する選択手段、および試運転モードに対応して多重手段を起動する起動手段がさらに備えられる。
【0008】
好ましくは、カメラはUV座標系に沿って定義された撮像面を有し、空間はXY座標系に沿って定義された平面を有し、制御手段は、UV座標系とXY座標系との対応関係を示す校正パラメータと探索手段によって発見された画像とを参照して特定物体のXY座標を算出する算出手段、および算出手段によって算出されたXY座標を参照して位置関係を検出する検出手段を含む。
【0009】
さらに好ましくは、状態情報の多重位置を校正パラメータを参照して定義する定義手段がさらに備えられる。
【0010】
好ましくは、複数の装置の各々は空調制御装置に相当し、状態情報は温度,湿度,風量,風向きおよび消費電力の少なくとも1つをパラメータとして有する。
【0011】
好ましくは、状態情報は複数の装置の各々の出力が及ぶ位置および/または広さをパラメータとして有する。
【0012】
好ましくは、被写界像および状態情報を携帯通信端末に向けて送信する送信手段がさらに備えられ、モニタ画面は携帯通信端末のモニタ画面に相当する。
【0013】
この発明に従う出力制御装置は、次のものを備える:空間に存在する1または2以上の特定物体を空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索する探索手段;カメラから出力された被写界像を探索手段の探索処理と並列してモニタ画面に再現する再現手段;探索手段によって発見された1または2以上の特定物体との位置関係に応じて異なる出力を空間に向けて発生する複数の装置の動作状態を検出する検出手段;および検出手段によって検出された動作状態を示す状態情報を再現手段によって再現された被写界像に多重する多重手段。
【0014】
この発明によれば、複数の装置は空間に向けて出力を発生し、空間に存在する特定物体は空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索され、そして複数の装置の出力動作は探索処理によって発見された特定物体と複数の装置との位置関係に基づいて制御される。これによって、特定物体の位置を考慮した適応的な出力制御が実現される。
【0015】
また、カメラから出力された被写界像は複数の装置の出力制御と並列してモニタ画面に再現され、複数の装置の動作状態を示す状態情報は再現された被写界像に多重される。複数の装置の出力が適応的に制御されているか否かは、多重された状態情報に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0016】
この発明によれば、カメラから出力された被写界像は、複数の装置の動作状態を示す状態情報とともにモニタ画面に再現される。複数の装置の出力が空間に存在する特定物体との位置関係を考慮して適応的に制御されているか否かは、多重された状態情報に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0017】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)はこの発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図であり、(B)はこの発明の他の実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例に適用されるカメラの設置状態の一例を示す図解図である。
【図4】図2実施例のモニタに表示されるカメラ画像の一例を示す図解図である。
【図5】図2実施例のモニタに表示されるマップ画像の一例を示す図解図である。
【図6】図2実施例に適用されるエリアレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図7】図2実施例に適用される代表点レジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図8】図2実施例に適用される重み付け量レジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図9】(A)はマップ画像上での分割エリアの割り当て状態の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像上での測定エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図10】(A)はマップ画像に多重されたグラフィック画像の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像に多重されたグラフィック画像の一例を示す図解図である。
【図11】カメラ画像の一例を示す図解図である。
【図12】(A)は風量“小”に対応して描画されたグラフィック画像の一例を示す図解図であり、(B)は風量“中”に対応して描画されたグラフィック画像の一例を示す図解図であり、(C)は風量“大”に対応して描画されたグラフィック画像の一例を示す図解図である。
【図13】(A)はカメラ画像に多重されたグラフィック画像の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像に多重されたグラフィック画像の一例を示す図解図である。
【図14】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図16】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図17】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図18】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図19】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図20】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図21】(A)はマップ画像に多重されたグラフィック画像の他の一例を示す図解図であり、(B)はカメラ画像に多重されたグラフィック画像の他の一例を示す図解図である。
【図22】他の実施例のモニタ画面に表示される被写界像およびグラフィック画像の一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1(A)を参照して、この発明の一実施例の出力制御装置は、基本的に次のように構成される。探索手段1aは、空間に存在する1または2以上の特定物体を空間を捉えるカメラ5aから出力された被写界像に基づいて探索する。制御手段2aは、空間に向けて出力を発生する複数の装置6a,6a,…の出力動作を探索手段1aによって発見された1または2以上の特定物体と複数の装置6a,6a,…との位置関係に基づいて制御する。再現手段3aは、カメラ5aから出力された被写界像を制御手段2aの制御処理と並列してモニタ画面7aに再現する。多重手段4aは、複数の装置6a,6a,…の動作状態を示す状態情報を再現手段3aによって再現された被写界像に多重する。
【0020】
複数の装置6a,6a,…は空間に向けて出力を発生し、空間に存在する特定物体は空間を捉えるカメラ5aから出力された被写界像に基づいて探索され、そして複数の装置6a,6a,…の出力動作は探索処理によって発見された特定物体と複数の装置6a,6a,…との位置関係に基づいて制御される。これによって、特定物体の位置を考慮した適応的な出力制御が実現される。
【0021】
また、カメラ5aから出力された被写界像は複数の装置6a,6a,…の出力制御と並列してモニタ画面7aに再現され、複数の装置6a,6a,…の動作状態を示す状態情報は再現された被写界像に多重される。複数の装置6a,6a,…の出力が適応的に制御されているか否かは、多重された状態情報に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0022】
図1(B)を参照して、他の実施例の出力制御装置は、基本的に次のように構成される。探索手段1bは、空間に存在する1または2以上の特定物体を空間を捉えるカメラ5bから出力された被写界像に基づいて探索する。再現手段2bは、カメラ5bから出力された被写界像を探索手段1bの探索処理と並列してモニタ画面6bに再現する。検出手段3bは、探索手段1bによって発見された1または2以上の特定物体との位置関係に応じて異なる出力を空間に向けて発生する複数の装置7b,7b,…の動作状態を検出する。多重手段4bは、検出手段3bによって検出された動作状態を示す状態情報を再現手段2bによって再現された被写界像に多重する。
【0023】
カメラ5bから出力された被写界像は、複数の装置7b,7b,…の動作状態を示す状態情報とともにモニタ画面に再現される。複数の装置7b,7b,…の出力が空間に存在する特定物体との位置関係を考慮して適応的に制御されているか否かは、多重された状態情報に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0024】
図2を参照して、この実施例の空調制御装置10は、撮像面で捉えられた被写界(3次元空間)を表す画像データを繰り返し出力するカメラ12を含む。カメラ12から出力された画像データは、画像処理回路14によって表示処理を施される。処理後の画像データはモニタ16に与えられるとともに、通信I/F20を介して携帯通信端末30に向けて送信される。被写界を表す画像つまりカメラ画像がモニタ16および携帯通信端末30の各々の画面に表示される。
【0025】
図3を参照して、部屋RM1は、床面FL1および天井HV1と4つの壁面WL1〜WL4とによって仕切られる。カメラ12は、壁面WL1の幅方向中央の上部に設けられ、部屋RM1の内部空間を斜め上方から捉える。したがって、カメラ画像は、図4に示す要領でモニタ画面に表示される。図3および図4に示すように、部屋RM1の内部空間は互いに直交するX軸,Y軸およびZ軸によって定義され、カメラ12の撮像面は互いに直交するU軸およびV軸によって定義される。
【0026】
天井HV1には、空調装置D_1〜D_6が既定の距離を隔てて設置される。空調装置D_1〜D_6の各々は指定された温度および湿度を有する空気を指定された風量および風向きで出力し、部屋RM1の温度および湿度はこうして出力された空気によって調整される。
【0027】
入力装置18の操作によってエリア設定モードが選択されると、CPU14pによって次の処理が実行される。なお、エリア設定モードにおいては、カメラ12は停止状態にある。
【0028】
まず、図5に示すマップ画像がモニタ16に表示される。マップ画像は、平面FL1を鳥瞰した状態を模式的に表す画像に相当する。マップ画像にはまた、空調装置D_1〜D_6をそれぞれ表すマークM_1〜M_6が、空調装置D_1〜D_6の位置に対応して表示される。
【0029】
マップ画像の表示が完了すると、変数Kが“1”に設定される。入力装置18に設けられたマウスポインタによってマークM_Kがクリックされると、クリックされた位置を示す座標つまりクリック座標が算出される。算出されたクリック座標は変数Kに対応して図6に示すエリアレジスタ14r1に記述され、変数Kはその後にインクリメントされる。クリック操作はマークM_1〜M_6に対応して合計6回受け付けられ、これによってマークM_1〜M_6にそれぞれ対応する6つのクリック座標がエリアレジスタ14r1に設定される。
【0030】
マップ画像は、こうして設定された6つのクリック座標を基準として、図9(A)に示す要領で分割される。境界線BL_1〜B_L3は、マークM_1〜M_6を囲むようにマップ画像上に描かれる。この結果、分割エリアMP_1〜MP_6がマークM_1〜M_6の周辺に割り当てられ、部屋RM1の内部空間が分割エリアMP_1〜MP_6にそれぞれ対応する複数の小空間に分割される。エリアレジスタ14r1には、分割エリアMP_K(K:1〜6)を定義する複数のXY座標が記述される。
【0031】
続いて、分割エリアMP_Kを定義する複数のXY座標の各々が、数1に従ってUV座標に変換される。
【0032】
【数1】
数1に示す校正パラメータP11〜P33は、平面FL1を定義するXY座標系とカメラ12の撮像面つまりカメラ画像を定義するUV座標系との間で平面射影変換を行うための行列に相当する。したがって、所望のXY座標を数1に適用することで、カメラ画像上の対応するUV座標が算出される。こうして変換された複数のUV座標は、変換元の複数のXY座標に対応してエリアレジスタ14r1に記述される。分割エリアMP_Kに対応する測定エリアDT_Kは、図9(B)に示す要領でカメラ画像上に定義される。
【0033】
続いて、空調装置D_Kの稼働状況を示すグラフィック画像G_Kの描画位置がマップ画像上で定義される。グラフィック画像G_Kは、空調装置D_KのXY座標を中心として描かれた複数の円によって表現される。したがって、グラフィック画像G_Kの描画位置は、グラフィック画像G_Kが図10(A)に示す要領でマップ画像上に描画されるように定義される。定義された描画位置を示す複数のXY座標は、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。
【0034】
記述されたXY座標はその後、数1に従ってUV座標に変換される。これによって、グラフィック画像G_Kの描画位置がカメラ画像上で定義され、グラフィック画像G_Kは図10(B)に示す要領でカメラ画像上に描画される。カメラ画像上で定義された描画位置を示す複数のUV座標もまた、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。
【0035】
入力装置18の操作によって混雑度測定モードが選択されると、カメラ12が起動され、測定周期が到来する毎に次の処理がCPU14pによって実行される。
【0036】
まず、パターンマッチングまたは動き検出によってカメラ画像から人物像が探索される。1または2以上の人物像が発見されると、変数Lが“1”〜“Lmax”(Lmax:発見された人物像の総数)の各々に設定され、発見された1または2以上の人物像のうちL番目の人物像の代表点が“RP_L”として決定される。決定された代表点RP_LのXY座標は、変数Lに対応して図7に示す代表点レジスタ14r2に記述される。
【0037】
人物H1〜H3が図11に示す要領で部屋RM1に存在するとき、人物H1を表す画像上で代表点RP_1が決定され、人物H2を表す画像上で代表点RP_2が決定され、そして人物H3を表す画像上で代表点RP_3が決定される。代表点RP_1〜RP_3のXY座標は、L=1〜3に対応して代表点レジスタ14r2に記述される。
【0038】
続いて、変数Lが“1”〜“Lmax”の各々に設定されるとともに、変数Kが“1”〜“6”の各々に設定され、代表点RP_Lから空調装置D_Kまでの距離が“DS_K”として測定される。こうして測定された距離DS_1〜DS_6によって、“Lmax”に相当する人物の各々と空調装置D_1〜D_6との位置関係が明らかとなる。
【0039】
変数Kは再度“1”〜6“の各々に設定され、分割エリアMP_Kに対応する重み付け量W_Kが数2に従って算出される。算出された重み付け量W_Kは、変数Kに対応して図8に示す重み付け量レジスタ14r3に記述される。
【数2】
数2において、“a_K”および“b_K”は空調装置D_Kの現時点の出力や室内環境に依存する変数である。関数値f(D_K)は、変数a_Kおよびb_Kと距離DS_Kとによって定義される。重み付け量W_Kは、空調装置D_1〜D_6にそれぞれ対応する関数値f(D_1)〜f(D_6)の総和に対する関数値f(D_K)の割合を“1”から減算することで導き出される。なお、変数a_Kおよびb_Kは、重み付け量W_1〜W_6の総和が“1.0”となるように調整される。
【0040】
重み付け量がこうして決定されると、変数Kが“1”〜“6”の各々に設定され、混雑度CR_Kが算出される。混雑度CR_Kは、分割エリアMP_Kに割り当てられた重み付け量の総和に相当する。空調装置D_1〜D_6の各々の出力(=風量)は、こうして算出された混雑度CR_1〜CR_6に基づいて制御される。具体的には、混雑度が大きい分割エリアに対応する空調装置の風量が強められ、混雑度が小さい分割エリアに対応する空調装置の風量が弱められる。
【0041】
空調装置D_1〜D_6を運転するモードとしては、試運転モードおよび通常運転モードの2つが準備される。ここで、試運転モードは、空調制御装置10の設置が完了しかつ分割エリアMP_1〜MP_6の設定が完了した後に、空調装置D_1〜D_6の出力動作が混雑度測定タスクの下で適応的に制御されるか否かを確認するためのモードである。一方、通常運転モードは、試運転モードによって空調装置D_1〜D_6の適応制御が確認された後の通常の使用段階で選択されるモードである。試運転モードおよび通常運転モードは、入力装置18の操作によって代替的に選択される。
【0042】
試運転モードでは、変数Kが“1”〜“6”の各々に設定され、空調装置D_Kの稼働状況(稼働状況:温度,湿度,風量および風向き)が検出される。グラフィック画像G_Kは、検出された稼働状況に応じた描画態様でカメラ画像に多重される。なお、描画位置は、エリアレジスタ14r1の記述を参照して決定される。
【0043】
グラフィック画像G_Kの描画態様は、空調装置D_Kの風量に応じて、図12(A)〜図12(C)に示す要領で変化する。グラフィック画像G_Kは、風量“小”に対応して図12(A)に示す要領で描画され、風量“中”に対応して図12(B)に示す要領で描画され、そして風量“大”に対応して図12(C)に示す要領で描画される。また、グラフィック画像G_Kの色相は空調装置D_Kの設定温度の上昇に伴って“青”から“赤”に変化し、グラフィック画像G_Kの彩度は空調装置D_Kの設定湿度の上昇に伴って増大し、そしてグラフィック画像G_Kの形状は風向きに沿って歪む。
【0044】
図13(A)に示すように人物H1が測定エリアDT_4に存在するとき、空調装置D_4の風量は“大”に設定され、空調装置D_1,D_2およびD_5の風量は“中”に設定され、そして空調装置D_3およびD_6の風量は“小”に設定される。グラフィック画像G_1〜G_6は、このような風量設定を示す態様で描画される。
【0045】
図13(B)に示すように人物H1が測定エリアDT_1に移動すると、空調装置D_1の風量が“中”から“大”に変更され、空調装置D_4の風量が“大”から“中”に変更される。この結果、グラフィック画像G_1およびG_4の描画態様もまた変化する。
【0046】
カメラ画像およびグラフィック画像G_1〜G_6は、携帯通信端末30の画面にも表示される。このため、携帯通信端末30を携帯して部屋RM1を移動することで、人物H1は空調装置D_1〜D_6の出力動作が適応的に制御されるか否かを容易に確認することができる。これによって、初期設定作業やメンテナンス作業の効率化が図られる。
【0047】
また、カメラ12の向きがずれると、グラフィック画像G_1〜G_6の描画位置にもずれが生じる。このため、グラフィック画像G_1〜G_6を見ながら空間を移動することで、人物H1は、カメラ12の向きにずれが生じていることを認識することができる。
【0048】
CPU14pは、図14に示すメインタスク,図15〜図16に示すエリア設定タスク,図17〜図19に示す混雑度測定タスク,および図20に示す表示制御タスクを含む複数のタスクを実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、記録媒体22に保存される。
【0049】
図14を参照して、ステップS1では現時点の動作モードがエリア設定モードであるか否かを判別し、ステップS5では現時点の動作モードが混雑度測定モードであるか否かを判別する。
【0050】
ステップS1でYESであれば、ステップS3でエリア設定タスクを起動し、その後にステップS15に進む。ステップS5でYESであれば、分割エリアMP_1〜MP_6が設定済みであるか否かをステップS7で判別する。判別結果がYESであればステップS9およびS11で混雑度測定タスクおよび表示制御タスクを起動してからステップS15に進み、判別結果がNOであればそのままステップS15に進む。ステップS1およびS5のいずれもNOであれば、ステップS13で他の処理を実行し、その後にステップS15に進む。
【0051】
ステップS15ではモード変更操作が行われたか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、起動中のタスクをステップS17で終了し、その後にステップS1に戻る。
【0052】
図15を参照して、ステップS21ではマップ画像をモニタ16に表示し、ステップS23では変数Kを“1”に設定する。ステップS25ではエリア指定のためのクリック操作が行われたか否かを判別し、判別結果がNOからYESに更新されるとステップS27でクリック座標を算出する。算出された座標は、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。ステップS29では変数Kが“6”に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS31で変数KをインクリメントしてからステップS25に戻る一方、判別結果がYESであればステップS33に進む。
【0053】
ステップS33では、クリック座標を参照してマップ画像を分割する。この結果、6個の分割エリアMP_1〜MP_6がマップ画像上に割り当てられる。ステップS35では分割画像MP_1〜MP_6を仕切る境界線をマップ画像上に描画する。
【0054】
ステップS37では変数Kを“1”に設定し、ステップS39では分割エリアMP_Kを定義する複数のXY座標を算出する。算出されたXY座標は、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。ステップS41では、分割エリアMP_Kを定義する複数のXY座標の各々を数1に従ってUV座標に変換する。変換されたUV座標は変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述され、これによって分割エリアMP_Kに対応する測定エリアDT_Kがカメラ画像に割り当てられる。
【0055】
ステップS43では、グラフィック画像G_Kの描画位置をマップ画像上で定義する。定義された描画位置を示す複数のXY座標は、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。ステップS45では、ステップS43で定義された描画位置を示すXY座標を数1に従ってUV座標に変換する。この結果、グラフィック画像G_Kの描画位置がカメラ画像上で定義される。こうして定義された描画位置を示す複数のUV座標もまた、変数Kに対応してエリアレジスタ14r1に記述される。
【0056】
ステップS47では、変数Kが“6”に達したか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS49で変数KをインクリメントしてからステップS39に戻る一方、判別結果がYESであれば処理を終了する。
【0057】
図17を参照して、ステップS51では測定周期が到来したか否かを判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS53に進み、パターンマッチングまたは動き検出によってカメラ画像から人物像を探索する。ステップS55では1または2以上の人物像が発見されたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS51に戻る一方、判別結果がYESであればステップS57に進む。
【0058】
ステップS57では変数Lを“1”に設定し、ステップS59では発見された1または2以上の人物像のうちL番目の人物像の代表点を“RP_L”として決定し、そしてステップS61では決定された代表点RP_LのXY座標を上述の数1を参照して算出する。算出されたXY座標は、変数Lに対応して代表点レジスタ14r2に記述される。ステップS63では変数Lが最大値Lmax(=発見された人物像の総数)に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS65で変数LをインクリメントしてからステップS59に戻る一方、判別結果がYESであればステップS67に進む。
【0059】
ステップS67では変数Lを再度“1”に設定し、ステップS69では変数Kを“1”に設定し、そしてステップS71では代表点RP_Lから空調装置D_Kまでの距離を“DS_K”として測定する。ステップS73では変数Kが“6”に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS75で変数KをインクリメントしてからステップS71に戻る一方、判別結果がYESであればステップS77に進む。こうして測定された距離DS_1〜DS_6によって、L番目の人物と空調装置D_1〜D_6との位置関係が明らかとなる。
【0060】
ステップS77では変数Kを再度“1”に設定し、ステップS79では数2に従って分割エリアMP_Kに対応する重み付け量W_Kを算出する。算出された重み付け量W_Kは、変数Kに対応して重み付け量レジスタ14r3に記述される。
【0061】
ステップS81では変数Kが“6”に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS83で変数KをインクリメントしてからステップS79に戻る一方、判別結果がYESであればステップS85に進む。
【0062】
ステップS85では、変数Lが最大値Lmaxに達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS87で変数LをインクリメントしてからステップS69に戻る一方、判別結果がYESであればステップS89に進む。ステップS89では変数Kを“1”に設定し、ステップS91では混雑度CR_Kを算出する。混雑度CR_Kは、分割エリアMP_Kに割り当てられた重み付け量の総和に相当する。
【0063】
ステップS93では変数Kが“6”に達したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS95で変数KをインクリメントしてからステップS91に戻る一方、判別結果がYESであればステップS97に進む。ステップS97では、ステップS91で算出された混雑度CR_1〜CR_6を参照して空調装置D1〜D6の出力を制御する。具体的には、混雑度が大きい分割エリアに対応する空調装置の出力を強め、混雑度が小さい分割エリアに対応する空調装置の出力を弱める。
【0064】
図20を参照して、ステップS101ではカメラ12を起動し、ステップS103ではカメラ画像の表示を開始する。カメラ12によって捉えられた被写界を表す画像データは、モニタ16に与えられるとともに、通信I/F20を介して携帯通信端末30に送信される。この結果、カメラ画像は、モニタ16および携帯通信端末の画面に表示される。
【0065】
ステップS105では、現在のモードが通常運転モードおよび試運転モードのいずれであるかを判別する。現在のモードが通常運転モードであれば表示制御タスクを終了する一方、現在のモードが試運転モードであればステップS107に進む。ステップS107では変数Kを“1”に設定し、ステップS109では空調装置D_Kの稼働状況(稼働状況:温度,湿度,風量,風向き)を検出する。ステップS111では、グラフィック画像G_Kを測定エリアDT_Kに対応してカメラ画像に多重する。グラフィック画像G_Kの描画態様は、検出された稼働状況に対応する。
【0066】
ステップS113では、変数Kが“6”に達したか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS117で変数KをインクリメントしてからステップS109に戻る一方、判別結果がYESであればステップS115で変数Kを“1”に設定してからステップS109に戻る。
【0067】
以上の説明から分かるように、CPU14pは、部屋RM1の内部空間に存在する1または2以上の人物を部屋RM1の内部空間を捉えるカメラ12から出力された被写界像に基づいて探索し(S53)、部屋RM1の内部空間に向けて出力を発生する空調装置D_1〜D_6の出力動作を探索処理によって発見された1または2以上の人物と空調装置D_1〜D_6との位置関係に基づいて制御する(S57〜S97)。CPU14pはまた、カメラ12から出力された被写界像を空調制御と並列してモニタ16または携帯通信端末30のモニタ画面に再現し(S101〜S103)、空調装置D_1〜D_6の動作状態を示すグラフィック画像G_1〜G_6をモニタ画面に再現された被写界像に多重する(S107〜S117)。
【0068】
空調装置D_1〜D_6は部屋RM1の内部空間に向けて出力を発生し、部屋RM1の内部空間に存在する人物は部屋RM1の内部空間を捉えるカメラ12から出力された被写界像に基づいて探索され、そして空調装置D_1〜D_6の出力動作は探索処理によって発見された人物と空調装置D_1〜D_6との位置関係に基づいて制御される。これによって、人物の位置を考慮した適応的な出力制御が実現される。
【0069】
また、カメラ12から出力された被写界像は空調装置D_1〜D_6の出力制御と並列してモニタ画面に再現され、空調装置D_1〜D_6の動作状態を示すグラフィック画像G_1〜G_6は再現された被写界像に多重される。空調装置D_1〜D_6の出力が適応的に制御されているか否かは、多重されたグラフィック画像G_1〜G_6に基づいて判別できる。これによって、初期設定作業および/またはメンテナンス作業に掛かる負荷を低減することができる。
【0070】
なお、この実施例では、マウスポインタのクリック操作によってマークM_1〜M_6の各々の座標を指定するようにしている。しかし、これに代えて、マークM_1〜M_6の各々の座標値を直接的に指定するようにしてもよい。
【0071】
また、この実施例では空調装置の出力を適応的に制御することを想定しているが、空調装置の出力に代えて或いは空調装置の出力とともに、照明装置の出力(つまり明るさ)を適応的に制御するようにしてもよい。この場合、グラフィック画像の描画態様は、照明装置の明るさに応じて異なるように変化する。
【0072】
さらに、この実施例では、数1を参照した平面射影変換を想定しているが、これに代えて透視射影変換を行うようにしてもよい。
【0073】
また、この実施例では、床面FL1を鳥瞰した状態を模式的に表す画像をマップ画像として採用している。しかし、マップ画像は、上述した数1を参照した鳥瞰変換をカメラ画像に対して施すことで生成するようにしてもよい。
【0074】
さらに、この実施例では、図20に示すステップS109で検出される空調装置D_Kの稼働状況として、“温度”,“湿度”,“風量”および“風向き”を想定している。しかし、空調装置D_Kの消費電力を稼働状況として“消費電力”を追加的に想定するようにしてもよい。
【0075】
また、この実施例では、図13(A)〜図13(B)に示す要領でグラフィック画像G_Kをモニタ画面に多重するようにしている。しかし、空調装置D_Kから出力された風が及ぶ広がりを示す数値(たとえば“1m”,“3m”のキャラクタを追加的に表示するようにしてもよい。この場合、グラフィック画像G_Kは、図21(A)〜図21(B)に示すように表示される。
【0076】
さらに、この実施例では、カメラ12によって捉えられた被写界像をカメラ12の視点でモニタ画面に表示し、こうして表示された被写界像に適合するようにグラフィック画像G_Kの形状および/またはサイズを調整するようにしている(図10(B)参照)。しかし、カメラ12によって捉えられた被写界像を俯瞰画像に変換した状態でモニタ画面に表示し、この俯瞰画像に適合するようにグラフィック画像G_Kの形状および/またはサイズを調整するようにしてもよい。この場合、モニタ画面には、図22に示す要領で俯瞰画像およびグラフィック画像G_Kが表示される。
【0077】
この発明が詳細に説明され図示されたが、それは単なる図解および一例として用いたものであり、限定であると解されるべきではないことは明らかであり、この発明の精神および範囲は添付されたクレームの文言によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0078】
10 …空調制御装置
12 …カメラ
14 …画像処理回路
14p …CPU
16 …モニタ
18 …入力装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間に存在する1または2以上の特定物体を前記空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索する探索手段、
前記空間に向けて出力を発生する複数の装置の出力動作を前記探索手段によって発見された1または2以上の特定物体と前記複数の装置との位置関係に基づいて制御する制御手段、
前記カメラから出力された被写界像を前記制御手段の制御処理と並列してモニタ画面に再現する再現手段、および
前記複数の装置の動作状態を示す状態情報を前記再現手段によって再現された被写界像に多重する多重手段を備える、出力制御装置。
【請求項2】
試運転モードを含む複数のモードを代替的に選択する選択手段、および
前記試運転モードに対応して前記多重手段を起動する起動手段をさらに備える、請求項1記載の出力制御装置。
【請求項3】
前記カメラはUV座標系に沿って定義された撮像面を有し、
前記空間はXY座標系に沿って定義された平面を有し、
前記制御手段は、前記UV座標系と前記XY座標系との対応関係を示す校正パラメータと前記探索手段によって発見された画像とを参照して前記特定物体のXY座標を算出する算出手段、および前記算出手段によって算出されたXY座標を参照して前記位置関係を検出する検出手段を含む、請求項1または2記載の出力制御装置。
【請求項4】
前記状態情報の多重位置を前記校正パラメータを参照して定義する定義手段をさらに備える、請求項3記載の出力制御装置。
【請求項5】
前記複数の装置の各々は空調制御装置に相当し、
前記状態情報は温度,湿度,風量および風向きの少なくとも1つをパラメータとして有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の出力制御装置。
【請求項6】
前記状態情報は前記複数の装置の各々の出力が及ぶ位置および/または広さをパラメータとして有する請求項1ないし3のいずれかに記載の出力制御装置。
【請求項7】
前記被写界像および前記状態情報を携帯通信端末に向けて送信する送信手段をさらに備え、
前記モニタ画面は前記携帯通信端末のモニタ画面に相当する、請求項1ないし4のいずれかに記載の出力制御装置。
【請求項8】
空間に存在する1または2以上の特定物体を前記空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索する探索手段、
前記カメラから出力された被写界像を前記制御手段の制御処理と並列してモニタ画面に再現する再現手段、
前記探索手段によって発見された1または2以上の特定物体との位置関係に応じて異なる出力を前記空間に向けて発生する複数の装置の動作状態を検出する検出手段、および
前記複数の装置の動作状態を示す状態情報を前記再現手段によって再現された被写界像に多重する多重手段を備える、出力制御装置。
【請求項1】
空間に存在する1または2以上の特定物体を前記空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索する探索手段、
前記空間に向けて出力を発生する複数の装置の出力動作を前記探索手段によって発見された1または2以上の特定物体と前記複数の装置との位置関係に基づいて制御する制御手段、
前記カメラから出力された被写界像を前記制御手段の制御処理と並列してモニタ画面に再現する再現手段、および
前記複数の装置の動作状態を示す状態情報を前記再現手段によって再現された被写界像に多重する多重手段を備える、出力制御装置。
【請求項2】
試運転モードを含む複数のモードを代替的に選択する選択手段、および
前記試運転モードに対応して前記多重手段を起動する起動手段をさらに備える、請求項1記載の出力制御装置。
【請求項3】
前記カメラはUV座標系に沿って定義された撮像面を有し、
前記空間はXY座標系に沿って定義された平面を有し、
前記制御手段は、前記UV座標系と前記XY座標系との対応関係を示す校正パラメータと前記探索手段によって発見された画像とを参照して前記特定物体のXY座標を算出する算出手段、および前記算出手段によって算出されたXY座標を参照して前記位置関係を検出する検出手段を含む、請求項1または2記載の出力制御装置。
【請求項4】
前記状態情報の多重位置を前記校正パラメータを参照して定義する定義手段をさらに備える、請求項3記載の出力制御装置。
【請求項5】
前記複数の装置の各々は空調制御装置に相当し、
前記状態情報は温度,湿度,風量および風向きの少なくとも1つをパラメータとして有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の出力制御装置。
【請求項6】
前記状態情報は前記複数の装置の各々の出力が及ぶ位置および/または広さをパラメータとして有する請求項1ないし3のいずれかに記載の出力制御装置。
【請求項7】
前記被写界像および前記状態情報を携帯通信端末に向けて送信する送信手段をさらに備え、
前記モニタ画面は前記携帯通信端末のモニタ画面に相当する、請求項1ないし4のいずれかに記載の出力制御装置。
【請求項8】
空間に存在する1または2以上の特定物体を前記空間を捉えるカメラから出力された被写界像に基づいて探索する探索手段、
前記カメラから出力された被写界像を前記制御手段の制御処理と並列してモニタ画面に再現する再現手段、
前記探索手段によって発見された1または2以上の特定物体との位置関係に応じて異なる出力を前記空間に向けて発生する複数の装置の動作状態を検出する検出手段、および
前記複数の装置の動作状態を示す状態情報を前記再現手段によって再現された被写界像に多重する多重手段を備える、出力制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−42197(P2012−42197A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158643(P2011−158643)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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