説明

出力調整回路、超音波振動装置用部品及び超音波振動装置

【課題】発振器本体の内部の調整又は発振器本体を交換することなく、同一周波数の振動子又は異なる周波数の振動子に交換できる超音波振動装置用部品を提供する。
【解決手段】本発明に係る超音波振動装置用部品は、被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与える際に用いられ、超音波振動用信号を発振させる発振器本体24に接続するための接続ユニット25と、前記接続ユニットに接続される振動子26と、を具備し、前記接続ユニットは、前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランス33と、前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサ34と、前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器35と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与える超音波振動装置等に係わり、特に、発振器本体の内部の調整又は発振器本体を交換することなく、同一周波数の振動子又は異なる周波数の振動子に交換できる出力調整回路、超音波振動装置用部品及び超音波振動装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来の超音波振動装置の構成を示す模式図である。この超音波振動装置は、超音波洗浄機の一部を構成するものであり、被洗浄物(図示せず)を洗浄液(図示せず)により洗浄する際に前記洗浄液に超音波振動を与えるための装置である。この装置は、発振器本体38と、この発振器本体38にコネクタ48,49によって接続される振動子39とを有している。
【0003】
前記超音波洗浄機は、発振器本体38から超音波振動用信号が発振され、その超音波振動用信号が振動子39に伝達され、その振動子39によって発生させた超音波振動が前記洗浄液に与えられることで被洗浄物を洗浄する装置である。
【0004】
発振器本体38は信号発生器41を有しており、この信号発生器41はドライバ42に電気的に接続されている。ドライバ42はアンプ43に電気的に接続されており、アンプ43は出力トランス44に電気的に接続されている。出力トランス44はコイル・コンデンサ45に電気的に接続されており、コイル・コンデンサ45は電流検出器46に電気的に接続されている。電流検出器46及びコイル・コンデンサ45それぞれは電圧検出器47に電気的に接続されており、電圧検出器47はコネクタ48に電気的に接続されている。また、信号発生器41、ドライバ42、アンプ43、電流検出器46及び電圧検出器47それぞれは制御部40に電気的に接続されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、振動子39は、その形状や周波数により電気的な特性が大きく異なっている。そのため、振動子39の種類毎に発振器本体38の駆動回路を大幅に変更する必要がある。また、振動子39の種類が同一であっても、その個体差による電気的特性のバラツキが存在するため、振動子39を取り替える際には発振器本体38の内部に調整が必要な箇所が発生する。
【0006】
このようなことから、上記従来の超音波振動装置では、振動子が故障した場合に、故障した振動子を同一周波数の他の振動子に交換するだけでは修理することができず、振動子39の交換とともに発振器本体38の内部の調整が必要となる。また、例えば洗浄レシピの変更により超音波の周波数を変更する場合に、使用している振動子をそれと異なる周波数の振動子に交換するだけでは周波数を変更できず、振動子39の交換とともに発振器本体38も交換することが必要となる。
【0007】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、発振器本体の内部の調整又は発振器本体を交換することなく、同一周波数の振動子又は異なる周波数の振動子に交換できる出力調整回路、超音波振動装置用部品及び超音波振動装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る出力調整回路は、被洗浄物を洗浄する洗浄液に振動子から超音波振動を与える際に用いられ、前記振動子に超音波振動用信号を発振させる発振器本体に着脱可能に形成されることを特徴とする。
【0009】
また、前記出力調整回路は、前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有することも可能である。
【0010】
本発明に係る超音波振動装置用部品は、被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与える際に用いられ、超音波振動用信号を発振させる発振器本体に接続するための接続ユニットと、
前記接続ユニットに接続される振動子と、
を具備し、
前記接続ユニットは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る超音波振動装置は、被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与えるための超音波振動装置において、
超音波振動用信号を発振させる発振器本体と、
前記発振器本体に着脱可能に接続される接続ユニットと、
前記接続ユニットに接続される振動子と、
を具備し、
前記接続ユニットは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る超音波振動装置は、被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与えるための超音波振動装置において、
第1乃至第3のモードのいずれかのモードで超音波振動用信号を発振させる発振器本体と、
前記発振器本体に着脱可能に接続される第1乃至第3の接続ユニットのいずれかの接続ユニットと、
前記いずれかの接続ユニットに接続される振動子と、
を具備し、
前記第1乃至第3の接続ユニットそれぞれは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有し、
前記第1のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第1の接続ユニットが接続され、
前記第2のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第2の接続ユニットが接続され、
前記第3のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第3の接続ユニットが接続されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る超音波振動装置において、前記接続ユニットは電圧検出器を有し、前記電圧検出器は前記電流検出器及び前記コイル・コンデンサに電気的に接続されることも可能である。
【0014】
本発明に係る超音波振動装置は、被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与えるための超音波振動装置において、
第1乃至第3のモードのいずれかのモードで超音波振動用信号を発振させる発振器本体と、
前記発振器本体に電気的に接続された切換スイッチと、
前記切換スイッチに電気的に接続された第1乃至第3の接続回路と、
前記第1乃至第3の接続回路及び前記切換スイッチに電気的に接続された振動子と、
前記切換スイッチを制御する制御部と、
を具備し、
前記第1乃至第3の接続回路それぞれは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有し、
前記制御部は、前記第1のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第1の接続回路が接続され且つ前記第1の接続回路が前記振動子に接続されるように前記切換スイッチを制御し、前記第2のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第2の接続回路が接続され且つ前記第2の接続回路が前記振動子に接続されるように前記切換スイッチを制御し、前記第3のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第3の接続回路が接続され且つ前記第3の接続回路が前記振動子に接続されるように前記切換スイッチを制御することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る超音波振動装置は、被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与えるための超音波振動装置において、
第1乃至第3の周波数のいずれかで超音波振動用信号を発振させる発振器本体と、
前記発振器本体に電気的に接続された切換スイッチと、
前記切換スイッチに電気的に接続された第1乃至第3の接続回路と、
前記第1の接続回路に電気的に接続された第1の振動子と、
前記第2の接続回路に電気的に接続された第2の振動子と、
前記第3の接続回路に電気的に接続された第3の振動子と、
前記切換スイッチを制御する制御部と、
を具備し、
前記第1乃至第3の接続回路それぞれは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有し、
前記制御部は、前記第1の周波数で前記第1の振動子を振動させる場合は前記発振器本体に前記第1の接続回路が接続されるように前記切換スイッチを制御し、前記第2の周波数で前記第2の振動子を振動させる場合は前記発振器本体に前記第2の接続回路が接続されるように前記切換スイッチを制御し、前記第3の周波数で前記第3の振動子を振動させる場合は前記発振器本体に前記第3の接続回路が接続されるように前記切換スイッチを制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る超音波振動装置において、前記発振器本体は、
信号発生器と、
前記信号発生器に電気的に接続されたドライバと、
前記ドライバに電気的に接続されたアンプと、
前記信号発生器、前記ドライバ及び前記アンプそれぞれに電気的に接続された制御部と、
を有することも可能である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、発振器本体の内部の調整又は発振器本体を交換することなく、同一周波数の振動子又は異なる周波数の振動子に交換できる超音波振動装置用部品及び超音波振動装置等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による超音波振動装置の構成を示す概略図である。
【0019】
図1に示す超音波振動装置は、超音波洗浄機の一部を構成するものであり、被洗浄物(図示せず)を洗浄液(図示せず)により洗浄する際に前記洗浄液に超音波振動を与えるための装置である。この装置は、発振器本体1と、この発振器本体1に着脱可能に取り付けられる第2の出力調整回路7と、第2の出力調整回路7に接続される振動子8とを有している。
【0020】
前記超音波洗浄機は、発振器本体1から第2の出力調整回路7を通して超音波振動用信号が発振され、その超音波振動用信号が振動子8に伝達され、その振動子8によって発生させた超音波振動が前記洗浄液に与えられることで被洗浄物を洗浄する装置である。
【0021】
発振器本体1は信号発生器(可変)1を有しており、この信号発生器1は複数の周波数の振動子に対応する信号を発生する発生器である。信号発生器1はドライバ3に電気的に接続されている。ドライバ3はアンプ4に電気的に接続されており、アンプ4は第1の出力調整回路5に電気的に接続されている。第1の出力調整回路5は振動子8の周波数に依存しない部分(共通部分)の回路を有している。また、信号発生器2、ドライバ3及びアンプ4それぞれは制御部6に電気的に接続されている。
【0022】
第2の出力調整回路7が発振器本体1に取り付けられることにより、第2の出力調整回路7は第1の出力調整回路5及び制御部6それぞれに電気的に接続される。第2の出力調整回路7は振動子8の周波数に依存する部分の回路を有している。また、発振器本体1は、振動子8の周波数に依存しない部分の回路などによって構成されている。
【0023】
前記超音波振動装置は、信号発生器2によって発生させた信号が、ドライバ3によって駆動され、アンプ4によって増幅され、第1及び第2の出力調整回路5,7によって出力調整され、それによって超音波振動用信号が振動子8に出力されるように構成されており、制御部6が信号発生器2、ドライバ3、アンプ4及び第2の出力調整回路7それぞれを制御するように構成されている。
【0024】
上記超音波振動装置によれば、発振器本体1から第2の出力調整回路7及び振動子8を取り外すことが可能に構成している。これにより、洗浄レシピの変更により超音波の周波数を変更する場合に、使用している振動子をそれと異なる周波数の振動子に交換する際に、第2の出力調整回路7及び振動子8だけを交換することで周波数を変更することが可能となる。従って、洗浄工程の複雑化・精密化により、頻繁に洗浄レシピを変更することに容易に対応することが可能となる。
【0025】
詳細には、振動子8の周波数により電気的な特性が大きく異なるために異なる周波数の振動子に交換する際に大幅に変更する必要がある回路を、第2の出力調整回路7として形成し、この第2の出力調整回路7を振動子8とともに取り外し可能としている。従って、周波数の異なる振動子に交換する際に、発振器本体1を交換することなく、第2の出力調整回路7及び振動子8だけを交換することで周波数を変更することが可能となる。
【0026】
また、振動子8が故障した場合に、故障した振動子を同一周波数の他の振動子に交換する際に、第2の出力調整回路7及び振動子8だけを交換することで修理することが可能となる。
【0027】
詳細には、振動子の種類が同一であっても、その個体差による電気的特性のバラツキが存在するために振動子を交換する際に調整が必要とされる回路は、第2の出力調整回路(周波数依存部分)7に含まれている。従って、第2の出力調整回路7を振動子8とともに取り外し可能とすることにより、故障した振動子を他の振動子に交換する際に、発振器本体1を交換することなく、第2の出力調整回路7及び振動子8だけを交換することで修理することが可能となる。
【0028】
なお、上記第1の実施形態では、第2の出力調整回路7に振動子8が接続されており、発振器本体1から第2の出力調整回路7及び振動子8を取り外すことが可能な構成としているが、発振器本体1に振動子8が着脱可能に取り付けられており、発振器本体1から第2の出力調整回路7だけを取り外すことが可能な構成としても良い。この場合は、第2の出力調整回路7を発振器本体1に取り付けることにより、第2の出力調整回路7は第1の出力調整回路5、制御部6及び振動子8それぞれと電気的に接続されることになる。
【0029】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図である。この超音波振動装置は、超音波洗浄機の一部を構成するものであり、被洗浄物(図示せず)を洗浄液(図示せず)により洗浄する際に前記洗浄液に超音波振動を与えるための装置である。この装置は、発振器本体24と、この発振器本体24に着脱可能に取り付けられる接続ユニット25と、この接続ユニット25に着脱可能に接続される振動子26とを有している。
【0030】
前記超音波洗浄機は、発振器本体24から接続ユニット25を通して超音波振動用信号が発振され、その超音波振動用信号が振動子26に伝達され、その振動子26によって発生させた超音波振動が前記洗浄液に与えられることで被洗浄物を洗浄する装置である。
【0031】
発振器本体24は信号発生器28を有しており、この信号発生器28は複数の周波数の振動子に対応する信号を発生する発生器である。信号発生器28はドライバ29に電気的に接続されている。ドライバ29はアンプ30に電気的に接続されており、アンプ30はコネクタ31に電気的に接続されている。また、信号発生器28、ドライバ29、アンプ30及びコネクタ31それぞれは制御部27に電気的に接続されている。
【0032】
接続ユニット25はコネクタ32を有しており、このコネクタ32は出力トランス33及び電流検出器35に電気的に接続されている。出力トランス33はコイル・コンデンサ34に電気的に接続されており、コイル・コンデンサ34は電流検出器35及びコネクタ36それぞれに電気的に接続されている。
【0033】
発振器本体24と接続ユニット25はコネクタ31,32によって電気的に接続されるように構成されており、接続ユニット25と振動子26はコネクタ36,37によって電気的に接続されるように構成されている。
【0034】
接続ユニット25は振動子26の周波数に依存する部分の回路を有している。また、発振器本体24は、振動子26の周波数に依存しない部分の回路などによって構成されている。
【0035】
前記超音波振動装置は、信号発生器28によって発生させた信号が、ドライバ29によって駆動され、アンプ30によって増幅され、出力トランス33及びコイル・コンデンサ34によって出力調整され、それによって超音波振動用信号が振動子26に出力されるように構成されており、電流検出器35によって検出された電流値を参照しつつ制御部27が信号発生器28、ドライバ29及びアンプ30それぞれを制御するように構成されている。
【0036】
上記超音波振動装置によれば、発振器本体24から接続ユニット25及び振動子26を取り外すことが可能に構成している。これにより、洗浄レシピの変更により超音波の周波数を変更する場合に、使用している振動子をそれと異なる周波数の振動子に交換する際に、接続ユニット25及び振動子26だけを交換することで周波数を変更することが可能となる。従って、洗浄工程の複雑化・精密化により、頻繁に洗浄レシピを変更することに容易に対応することが可能となる。
【0037】
詳細には、振動子26の周波数により電気的な特性が大きく異なるために異なる周波数の振動子に交換する際に大幅に変更する必要がある回路は、出力トランス33及びコイル・コンデンサ34である。これら出力トランス33及びコイル・コンデンサ34を有する接続ユニット25を振動子26とともに発振器本体24から取り外し可能としている。従って、周波数の異なる振動子に交換する際に、発振器本体24を交換することなく、接続ユニット25及び振動子26だけを交換することで周波数を変更することが可能となる。
【0038】
また、振動子26が故障した場合に、故障した振動子を同一周波数の他の振動子に交換する際に、接続ユニット25及び振動子26だけを交換することで修理することが可能となる。
【0039】
詳細には、振動子の種類が同一であっても、その個体差による電気的特性のバラツキが存在するために振動子を交換する際に調整が必要とされる回路は、出力トランス33及びコイル・コンデンサ34である。これら出力トランス33及びコイル・コンデンサ34を有する接続ユニット25を振動子26とともに発振器本体24から取り外し可能としている。従って、故障した振動子を他の振動子に交換する際に、発振器本体24を交換することなく、接続ユニット25及び振動子26だけを交換することで修理することが可能となる。
【0040】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図であり、図2と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0041】
接続ユニット25は電圧検出器20を有しており、この電圧検出器20はコネクタ32に電気的に接続されている。
【0042】
前記超音波振動装置は、電流検出器35及び電圧検出器20それぞれによって検出された電流値及び電圧値を参照しつつ制御部27が信号発生器28、ドライバ29及びアンプ30それぞれを制御するように構成されている。
【0043】
上記超音波振動装置においても第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、接続ユニット25が電圧検出器20を有することにより、制御部27によって信号発生器28、ドライバ29及びアンプ30をより精度良く制御することが可能となる。
【0044】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図であり、図2及び図3と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
第1の周波数で振動する第1の振動子(振動子A)26aと、第2の周波数で振動する第2の振動子(振動子B)26bと、第3の周波数で振動する第3の振動子(振動子C)26cを用意する。第1乃至第3の周波数は互いに異なる周波数である。第1の振動子26aには第1の接続ユニット(接続ユニットA)25aが接続されている。第2の振動子26bには第2の接続ユニット(接続ユニットB)25bが接続されている。第3の振動子26cには第3の接続ユニット(接続ユニットC)25cが接続されている。
【0046】
上記第4の実施形態においても第2及び第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、第1の周波数の超音波振動を洗浄液に与える際は第1の接続ユニット25aを発振器本体24に接続し、第2の周波数の超音波振動を洗浄液に与える際は第2の接続ユニット25bを発振器本体24に接続し、第3の周波数の超音波振動を洗浄液に与える際は第3の接続ユニット25cを発振器本体24に接続する。これにより、超音波の周波数を変更する場合に、従来技術では発振器本体も交換しなければならなかったのに対し、本実施形態では、発振器本体を交換することなく、接続ユニット及び振動子だけを交換することで実現することができる。
【0048】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図であり、図4と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0049】
図5に示す超音波振動装置は、一つの振動子61で3つの周波数による駆動を行うものである。このような振動子の高次駆動を行う概念を図6に示す。
【0050】
図5に示す第1の接続ユニット(接続ユニットA)58は、図6に示す1次モードで超音波振動用信号を発振させるための接続ユニットであり、図5に示す第2の接続ユニット(接続ユニットB)59は、図6に示す3次モード(3倍波)で超音波振動用信号を発振させるための接続ユニットであり、図5に示す第3の接続ユニット(接続ユニットC)60は、図6に示す5次モード(5倍波)で超音波振動用信号を発振させるための接続ユニットである。
【0051】
第1乃至第3の接続ユニット58〜60それぞれは振動子61に着脱可能且つ接続可能に構成されている。
【0052】
上記第5の実施形態においても第2及び第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
さらに、本実施形態では、1次モードの周波数(例えば30kHz)の超音波振動を洗浄液に与える際は第1の接続ユニット58を発振器本体24に接続し、3次モードの周波数(例えば90kHz)の超音波振動を洗浄液に与える際は第2の接続ユニット59を発振器本体24に接続し、5次モードの周波数(例えば150kHz)の超音波振動を洗浄液に与える際は第3の接続ユニット60を発振器本体24に接続する。これにより、超音波の周波数を1次モード、3次モード及び5次モードのいずれかに変更する場合に、従来技術では発振器本体も交換しなければならなかったのに対し、本実施形態では、発振器本体を交換することなく、接続ユニットだけを交換することで実現することができる。
【0054】
なお、上記第5の実施形態では、1次モード、3次モード及び5次モードそれぞれの周波数で振動させる際の振動子61を共通にしているが、1次モード、3次モード及び5次モードそれぞれの周波数で振動させる際の振動子をそれぞれ別々に用意しても良い。
【0055】
また、上記第5の実施形態では、1次モード、3次モード及び5次モードの3つの周波数で振動させるように構成しているが、1次モード、3次モード、5次モード、7次モード・・・の4つ以上の周波数で振動させるように構成することも可能である。
【0056】
(第6の実施形態)
図7は、本発明の第6の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図であり、図5と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
接続ユニット64は発振器本体24に電気的に接続されている。接続ユニット64は、第1の接続回路(接続回路A)68、第2の接続回路(接続回路B)69、第3の接続回路(接続回路C)70、第1及び第2の切換スイッチ67,71からなる切換スイッチを有している。
【0058】
第1及び第2の切換スイッチ67,71それぞれは、発振器本体24に電気的に接続されており、発振器本体24の制御部から制御信号66によってスイッチの切換が制御されている。第2の切換スイッチ71は振動子61に電気的に接続されている。
【0059】
第1の切換スイッチ67は第1乃至第3の接続回路68〜70それぞれに電気的に接続されており、第1乃至第3の接続回路68〜70それぞれは第2の切換スイッチ71に電気的に接続されている。つまり、第1及び第2の切換スイッチ67,71によって発振器本体24及び振動子61それぞれを第1乃至第3の接続回路68〜70のいずれに接続するかを制御している。
【0060】
第1乃至第3の接続回路68〜70それぞれは、第5の実施形態のように互いに異なる周波数で振動子61を振動させる回路である。詳細には、第1の接続回路68は、図6に示す1次モードで超音波振動用信号を発振させるための回路であり、第2の接続回路69は、図6に示す3次モード(3倍波)で超音波振動用信号を発振させるための回路であり、第3の接続回路70は、図6に示す5次モード(5倍波)で超音波振動用信号を発振させるための回路である。
【0061】
上記第6の実施形態においても第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
詳細には、1次モードの周波数(例えば30kHz)の超音波振動を洗浄液に与える際は第1の接続回路68を発振器本体24に接続するように切換スイッチを制御し、3次モードの周波数(例えば90kHz)の超音波振動を洗浄液に与える際は第2の接続回路69を発振器本体24に接続するように切換スイッチを制御し、5次モードの周波数(例えば150kHz)の超音波振動を洗浄液に与える際は第3の接続回路70を発振器本体24に接続するように切換スイッチを制御する。これにより、超音波の周波数を1次モード、3次モード及び5次モードのいずれかに変更する場合に、従来技術では発振器本体も交換しなければならなかったのに対し、本実施形態では、切換スイッチを制御信号66によって制御するだけで実現することができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、第6の実施形態における切換スイッチをリレーに変更して実施することも可能である。
【0063】
上記実施形態を互いに組み合わせて実施することも可能であり、例えば、第4の実施形態と第6の実施形態を組み合わせて実施することも可能である。詳細には、第4の実施形態における発振器本体24に第1乃至第3の接続ユニットのいずれかを接続するところを切換スイッチによって切換えることで実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態による超音波振動装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第5の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図である。
【図6】振動子の高次駆動を行う概念図である。
【図7】本発明の第6の実施形態による超音波振動装置の構成を示す模式図である。
【図8】従来の超音波振動装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1,24…発振器本体
2,28…信号発生器
3,29…ドライバ
4,30…アンプ
5…第1の出力調整回路
6,27…制御部
7…第2の出力調整回路
8,26,61…振動子
20…電圧検出器
25,64…接続ユニット
25a〜25c,58〜60…第1〜第3の接続ユニット(接続ユニットA〜C)
26a〜26c…第1〜第3の振動子(振動子A〜C)
31,32,36,37…コネクタ
33…出力トランス
34…コイル・コンデンサ
35…電流検出器
66…制御信号
67…第1の切換スイッチ
68〜70…第1〜第3の接続回路(接続回路A〜C)
71…第2の切換スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄する洗浄液に振動子から超音波振動を与える際に用いられ、前記振動子に超音波振動用信号を発振させる発振器本体に着脱可能に形成されることを特徴とする出力調整回路。
【請求項2】
請求項1に記載の出力調整回路は、前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有することを特徴とする超音波振動装置用部品。
【請求項3】
被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与える際に用いられ、超音波振動用信号を発振させる発振器本体に接続するための接続ユニットと、
前記接続ユニットに接続される振動子と、
を具備し、
前記接続ユニットは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有することを特徴とする超音波振動装置用部品。
【請求項4】
被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与えるための超音波振動装置において、
超音波振動用信号を発振させる発振器本体と、
前記発振器本体に着脱可能に接続される接続ユニットと、
前記接続ユニットに接続される振動子と、
を具備し、
前記接続ユニットは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有することを特徴とする超音波振動装置。
【請求項5】
被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与えるための超音波振動装置において、
第1乃至第3のモードのいずれかのモードで超音波振動用信号を発振させる発振器本体と、
前記発振器本体に着脱可能に接続される第1乃至第3の接続ユニットのいずれかの接続ユニットと、
前記いずれかの接続ユニットに接続される振動子と、
を具備し、
前記第1乃至第3の接続ユニットそれぞれは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有し、
前記第1のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第1の接続ユニットが接続され、
前記第2のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第2の接続ユニットが接続され、
前記第3のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第3の接続ユニットが接続されることを特徴とする超音波振動装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、前記接続ユニットは電圧検出器を有し、前記電圧検出器は前記電流検出器及び前記コイル・コンデンサに電気的に接続されることを特徴とする超音波振動装置。
【請求項7】
被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与えるための超音波振動装置において、
第1乃至第3のモードのいずれかのモードで超音波振動用信号を発振させる発振器本体と、
前記発振器本体に電気的に接続された切換スイッチと、
前記切換スイッチに電気的に接続された第1乃至第3の接続回路と、
前記第1乃至第3の接続回路及び前記切換スイッチに電気的に接続された振動子と、
前記切換スイッチを制御する制御部と、
を具備し、
前記第1乃至第3の接続回路それぞれは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有し、
前記制御部は、前記第1のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第1の接続回路が接続され且つ前記第1の接続回路が前記振動子に接続されるように前記切換スイッチを制御し、前記第2のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第2の接続回路が接続され且つ前記第2の接続回路が前記振動子に接続されるように前記切換スイッチを制御し、前記第3のモードで超音波振動用信号を前記発振器本体によって発振させる場合は前記発振器本体に前記第3の接続回路が接続され且つ前記第3の接続回路が前記振動子に接続されるように前記切換スイッチを制御することを特徴とする超音波振動装置。
【請求項8】
被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を与えるための超音波振動装置において、
第1乃至第3の周波数のいずれかで超音波振動用信号を発振させる発振器本体と、
前記発振器本体に電気的に接続された切換スイッチと、
前記切換スイッチに電気的に接続された第1乃至第3の接続回路と、
前記第1の接続回路に電気的に接続された第1の振動子と、
前記第2の接続回路に電気的に接続された第2の振動子と、
前記第3の接続回路に電気的に接続された第3の振動子と、
前記切換スイッチを制御する制御部と、
を具備し、
前記第1乃至第3の接続回路それぞれは、
前記超音波振動用信号の出力を調整するための出力トランスと、
前記出力トランスに電気的に接続されたコイル・コンデンサと、
前記コイル・コンデンサに電気的に接続された電流検出器と、
を有し、
前記制御部は、前記第1の周波数で前記第1の振動子を振動させる場合は前記発振器本体に前記第1の接続回路が接続されるように前記切換スイッチを制御し、前記第2の周波数で前記第2の振動子を振動させる場合は前記発振器本体に前記第2の接続回路が接続されるように前記切換スイッチを制御し、前記第3の周波数で前記第3の振動子を振動させる場合は前記発振器本体に前記第3の接続回路が接続されるように前記切換スイッチを制御することを特徴とする超音波振動装置。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれか一項において、前記発振器本体は、
信号発生器と、
前記信号発生器に電気的に接続されたドライバと、
前記ドライバに電気的に接続されたアンプと、
前記信号発生器、前記ドライバ及び前記アンプそれぞれに電気的に接続された制御部と、
を有することを特徴とする超音波振動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−75867(P2010−75867A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247971(P2008−247971)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【特許番号】特許第4421664号(P4421664)
【特許公報発行日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000124959)株式会社カイジョー (83)
【Fターム(参考)】