分光器
【課題】 パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供する。
【解決手段】 分光器1Aは、光入射部6が設けられたパッケージ2と、パッケージ2のうち光入射部6と対向する支持部4を貫通する複数のリードピン8と、パッケージ2内において支持部4上に支持された光検出ユニット20と、光検出ユニット20に対して支持部4側に配置されるように、パッケージ2内において支持部4上に支持された分光ユニット30と、を備える。光検出ユニット20は、光入射部6から入射した光L1を通過させる光通過部22を有する。分光ユニット30は、光通過部22を通過した光L1を分光すると共に光検出部26に反射する分光部35を有する。リードピン8は、光検出ユニット20に設けられた嵌め部29に嵌められ、光検出部26と電気的に接続されている。
【解決手段】 分光器1Aは、光入射部6が設けられたパッケージ2と、パッケージ2のうち光入射部6と対向する支持部4を貫通する複数のリードピン8と、パッケージ2内において支持部4上に支持された光検出ユニット20と、光検出ユニット20に対して支持部4側に配置されるように、パッケージ2内において支持部4上に支持された分光ユニット30と、を備える。光検出ユニット20は、光入射部6から入射した光L1を通過させる光通過部22を有する。分光ユニット30は、光通過部22を通過した光L1を分光すると共に光検出部26に反射する分光部35を有する。リードピン8は、光検出ユニット20に設けられた嵌め部29に嵌められ、光検出部26と電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を分光して検出する分光器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分光器として、光入射部、分光部及び光検出部がパッケージの壁部に固定されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような分光器では、光入射部から入射した光が、分光部において分光されると共に反射されて、光検出部によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000―298066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、様々な測定システムや分光測定装置に適用される分光器の小型化が進められている。分光器の小型化に際しては、パッケージに設けられた光入射部に対する各構成部の高精度な位置決めが必要となる。特に、光入射部に対してスリット等の光通過部がパッケージ内に設けられる場合には、光入射部に対する光通過部の位置決めが重要となる。
【0005】
そこで、本発明は、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の分光器は、光入射部が設けられたパッケージと、パッケージのうち光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンと、パッケージ内において支持部上に支持された光検出ユニットと、光検出ユニットに対して支持部側に配置されるように、パッケージ内において支持部上に支持された分光ユニットと、を備え、光検出ユニットは、光入射部から入射した光を通過させる光通過部を有し、分光ユニットは、光通過部を通過した光を分光すると共に光検出ユニットの光検出部に反射する分光部を有し、リードピンは、光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められ、光検出部と電気的に接続されている。
【0007】
この分光器では、パッケージのうち光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンが、光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められている。これにより、光検出ユニットに設けられた光通過部が、複数のリードピンを介して、パッケージに設けられた光入射部に対し、少なくとも光入射部と支持部とが対向する方向に垂直な方向において位置決めされることになる。よって、この分光器は、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされたものとなる。
【0008】
また、分光ユニットは、支持部と接触した状態で支持部に固定されていてもよい。或いは、分光ユニットは、スペーサを介して支持部に固定されていてもよい。これらの構成によれば、分光ユニットの小型化や分光ユニットの設計の自由度を高めることが可能となる。
【0009】
なお、「支持部に固定された分光ユニット」とは、分光ユニットが支持部に直接的に固定されている場合だけでなく、分光ユニットが支持部に間接的に固定されている場合も含む意味である(ただし、分光ユニットと支持部との接続において光検出ユニットは介されない)。
【0010】
また、光検出ユニットと分光ユニットとの間に配置された遮光部材を更に備え、遮光部材には、光通過部を通過した光、及び分光部において分光されると共に反射された光を通過させる開口部が設けられていてもよい。この構成によれば、迷光が光検出部に入射することを抑制することができる。
【0011】
また、嵌め部は、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔であり、リードピンは、パッケージ内において嵌め部に挿通されていてもよい。或いは、嵌め部は、分光ユニット側に開口する凹部であり、リードピンの端部は、パッケージ内において嵌め部に配置されていてもよい。これらの構成によれば、少なくとも光入射部と支持部とが対向する方向に垂直な方向において、光入射部に対する光通過部の位置決めが容易に且つ確実に実現される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態の分光器の断面図である。
【図2】図1の分光器の平面図である。
【図3】図1の分光器の光検出ユニットの平面図である。
【図4】図1の分光器の分光ユニットの平面図である。
【図5】図1の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】図1の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の分光器の変形例の断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の分光器の変形例の断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の分光器の断面図である。
【図10】図9の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図11】図9の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図12】嵌め部の構造の他の例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
【0015】
図1及び図2に示されるように、分光器1Aは、いわゆるCANパッケージの構成を有するパッケージ2と、パッケージ2内に収容された光検出ユニット20と、パッケージ2内に収容された分光ユニット30と、を備えている。分光器1Aは、パッケージ2外からパッケージ2内に入射した光L1を分光して検出するものである。なお、パッケージ2の一辺の長さは、例えば10〜20mm程度である。
【0016】
パッケージ2は、周縁部に段差部が設けられた矩形板状のステム(支持部)4と、直方体箱状のキャップ5と、を有している。ステム4及びキャップ5は金属からなる。キャップ5は、開口端から外側に向かって突出するフランジ5aを有し、このフランジ5aとステム4の段差部とが溶接により接合され、開口部分が塞がれている。これにより、パッケージ2の気密化が図られ、分光器1Aの信頼性の向上が図られている。
【0017】
キャップ5においてステム4と対向する壁部5bには、光入射部6が設けられている。つまり、ステム4は、光入射部6と対向している。光入射部6は、キャップ5の壁部5bに形成された断面円形状の光通過孔5cが、円形板状の窓部材7によって内側から気密に覆われることで、構成されている。なお、窓部材7は、例えば、石英、硼珪酸ガラス(BK7)、パイレックス(登録商標)ガラス、コバール等、光L1を透過させる材料からなる。また、窓部材7には、必要に応じて、AR(Anti Reflection)コートや、不要な波長をカットする波長カットフィルタ(フィルタレジストや誘電体多層膜等)、バンドパスフィルタ等が施されてもよい。
【0018】
ステム4には、銅等の導電性材料からなる複数のリードピン8が貫通している。各リードピン8は、光入射部6とステム4とが対向する方向(以下、「縦方向」という)に延在しており、電気的絶縁性と遮光性とを有する低融点ガラスからなるハーメティックシール部材9を介して、ステム4の貫通孔4aに固定されている。なお、貫通孔4aは、矩形板状のステム4において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。
【0019】
光検出ユニット20は、パッケージ2内においてステム4上に支持されている。分光ユニット30は、光検出ユニット20に対してステム4側に配置されるように、パッケージ2内においてステム4上に支持されている。
【0020】
図1及び図3に示されるように、光検出ユニット20は、樹脂やセラミック、シリコン、ガラス等からなる矩形板状の基板21を有している。基板21には、所定の方向に延在するスリット(光通過部)22が形成されている。スリット22は、パッケージ2に設けられた光入射部6と縦方向において対向しており、光入射部6から入射した光L1を通過させる。なお、スリット22における分光ユニット30側の端部は、スリット22の延在方向(以下、「奥方向」という)、及び、奥方向に垂直且つ縦方向に垂直な方向(以下、「横方向」という)の両方向において、分光ユニット30側に向かって末広がりとなっている。
【0021】
基板21における分光ユニット30と反対側の表面21aには、光検出素子24が固定されている。光検出素子24は、シリコン等の半導体材料からなる半導体基板25と、半導体基板25における基板21側の面に形成された光検出部26と、を有している。光検出部26は、フォトダイオードアレイ、C−MOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等である。光検出素子24は、基板21に形成された断面矩形状の光通過開口23に光検出部26が対向するように、基板21の表面21aに固定されている。光通過開口23は、横方向においてスリット22と並ぶように形成されている。なお、光通過開口23における分光ユニット30側の端部は、奥方向及び横方向の両方向において、分光ユニット30側に向かって末広がりとなっている。
【0022】
基板21の表面21aには、光検出部26に対する入出力信号等を伝送するための複数の配線27が設けられている。各配線27の一端部は、Auや半田等のバンプ28を介して光検出部26と電気的に接続されている。各配線27の他端部は、パッド部27aとなっており、各パッド部27aは、対応するリードピン8の端部8aと、ワイヤ12によってワイヤボンディングされている。これにより、リードピン8は、光検出部26と電気的に接続されることになる。
【0023】
図1及び図4に示されるように、分光ユニット30は、シリコン、プラスチック、セラミック又はガラス等からなる矩形板状の基板31を有している。基板31における光検出ユニット20側の表面31aには、奥方向及び横方向の両方向において、光検出ユニット20側に向かって末広がりとなる正四角錐台状の凹部32が形成されている。
【0024】
基板31には、光硬化性のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン又は有機・無機ハイブリッド樹脂等のレプリカ用光学樹脂を光硬化させることによって形成された成形層33が、凹部32を覆うように配置されている。成形層33は、凹部32の深さ方向(すなわち、光検出ユニット20側)から見た場合に円形状となっており、成形層33の外縁33dは、凹部32の開口32aの各頂点を通っている。
【0025】
成形層33は、一体的に形成された本体部33a及び乗上げ部33bを有している。本体部33aは、凹部32の深さ方向から見た場合に凹部32内に位置しており、凹部32の底面32b及び側面32cの全体を覆っている。乗上げ部33bは、本体部33aと繋がった状態で基板31の表面31aに位置しており、凹部32の開口32aの各辺の外側に設けられている。つまり、乗上げ部33bは、凹部32を挟んで対向し且つ凹部32を包囲するように複数設けられている。
【0026】
成形層33は、凹部32の所定の内面である底面32bと対向する凹状の曲面33cを有している。曲面33cは、凹部32の底面32bの中心に向かって凹んだ曲面であり、凹部32の開口32aの各辺の中点を通って、本体部33aから各乗上げ部33bに至っている。曲面33cにおける本体部33a上の所定の領域には、鋸歯状断面のブレーズドグレーティング、矩形状断面のバイナリグレーティング、又は正弦波状断面のホログラフィックグレーティング等に対応するグレーティングパターンが形成されている。このグレーティングパターンは、奥方向に延在するグレーティング溝が横方向に複数並設されたものである。
【0027】
成形層33の曲面33c上には、AlやAu等の蒸着膜である反射膜34が形成されている。反射膜34は、曲面33cにおける本体部33a上の所定の領域ではグレーティングパターンに対応するように形成されており、この部分が、反射型グレーティングである分光部35となっている。分光ユニット30が有する分光部35は、光検出ユニット20のスリット22を通過した光L1を分光すると共に、分光した光L2を光検出ユニット20の光検出部26に反射する。
【0028】
図1に示されるように、光検出ユニット20の基板21には、分光ユニット30側からその反対側に貫通する孔(嵌め部)29が複数形成されている。孔29は、矩形板状の基板21において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔29は、分光ユニット30側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分29aと、その部分29aの頂部に接続された円柱状の部分29bと、を含んでいる。
【0029】
また、分光ユニット30の基板31には、光検出ユニット20側からその反対側に貫通する孔36が複数形成されている。孔36は、矩形板状の基板31において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔36は、光検出ユニット20の反対側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分36aと、その部分36aの頂部に接続された円柱状の部分36bと、を含んでいる。
【0030】
光検出ユニット20は、複数のスペーサ11を介して、ステム4におけるパッケージ2内の表面4b上に配置されている。スペーサ11は、金属やプラスチック、セラミック、シリコン、ガラス等により円柱状に形成されており、縦方向において対向するステム4の貫通孔4aと基板21の孔29との間にそれぞれ配置されている。スペーサ11の一端部11aは、対応する孔29の部分29a内に配置され、接着等により基板21に固定されている。スペーサ11の他端部11bは、対応する貫通孔4aを覆うようにステム4の表面4bに配置され、接着等によりステム4に固定されている。各スペーサ11には、縦方向に貫通孔11cが形成されており、各貫通孔11cは、対応する孔29及び貫通孔4aと一続きとなっている。
【0031】
これらの貫通孔11c及び孔29の内径は、リードピン8の外径よりも十分に大きくなっている。そして、一続きとなっている貫通孔11c及び孔29のそれぞれには、ステム4を貫通してパッケージ2内に延在するリードピン8が挿通されている。これにより、リードピン8は、パッケージ2内において、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められることになる。孔29の内面(ここでは部分29bの内面)に対するリードピン8の側面の接触状態には、リードピン8の側面の一部のみが孔29の内面に接触する状態や、リードピン8の側面の全部が孔29の内面に接触する状態だけでなく、リードピン8の側面の全部が孔29の内面に接触しない状態も含まれる。
【0032】
分光ユニット30は、横方向において対向する複数のリードピン8の間の領域において、ステム4の表面4b上に配置されている。当該領域において、ステム4の表面4bには、分光ユニット30の基板31に形成された複数の孔36に対応するように、複数の位置決めピン15が立設されている。各位置決めピン15は、ハーメティックシール部材9を介して、ステム4の貫通孔4cに固定されている。分光ユニット30は、基板31の孔36に位置決めピン15が挿通され且つステム4の表面4bと接触した状態で、接着等によりステム4の表面4bに固定されている。
【0033】
以上のように構成された分光器1Aにおいては、光L1は、パッケージ2の光入射部6からパッケージ2内に入射し、光検出ユニット20のスリット22を通過する。スリット22を通過した光L1は、分光ユニット30の分光部35に到達し、分光部35において分光されると共に光検出ユニット20の光検出部26に反射される。分光部35において分光されると共に反射された光L2は、光検出ユニット20の光通過開口23を通過して光検出素子24の光検出部26に到達し、光検出素子24によって検出される。
【0034】
次に、分光器1Aの製造方法について説明する。まず、図5(a)に示されるように、ステム4を準備し、ステム4の各貫通孔4aにリードピン8を固定すると共に、ステム4の各貫通孔4cに位置決めピン15を固定する。続いて、図5(b)に示されるように、分光ユニット30を準備し、基板31の孔36に位置決めピン15を挿通させ且つ基板31をステム4の表面4bと接触させて、その状態で分光ユニット30を接着等によりステム4の表面4bに固定する。
【0035】
続いて、図6(a)に示されるように、スペーサ11の貫通孔11cにリードピン8を挿通させ、スペーサ11の他端部11bをステム4に固定する。続いて、光検出ユニット20を準備し、基板21の孔29にリードピン8を挿通させて、スペーサ11の一端部11aを基板21に固定する。続いて、図6(b)に示されるように、光検出ユニット20及び分光ユニット30を覆うようにキャップ5をステム4に配置し、ステム4の段差部とキャップ5のフランジ5aとを溶接により接合する。以上により、分光器1Aが製造される。
【0036】
以上説明したように、分光器1Aでは、パッケージ2において光入射部6と対向するステム4を貫通する複数のリードピン8が、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向において位置決めされることになる。特に、分光器1Aでは、スリット22と光検出部26とが並ぶ横方向において複数のリードピン8が所定の距離をとって対向しているため、横方向における位置決めの精度が向上される。よって、分光器1Aは、パッケージ2に設けられた光入射部6に対して、パッケージ2内に設けられたスリット22が位置決めされたものとなる。このように、分光器1Aでは、リードピン8によって、光検出部26とパッケージ2の外部との間の電気的な接続と、光入射部6に対するスリット22の位置決めとが同時に実現される。
【0037】
また、スペーサ11及び光検出ユニット20において一続きとなっている貫通孔11c及び孔29にリードピン8が挿通されているため、スペーサ11及び光検出ユニット20によってリードピン8が保持された状態となり、リードピン8の端部8aへのワイヤボンディングを容易に且つ確実に行うことができる。
【0038】
また、分光ユニット30が、ステム4と接触した状態でステム4に固定されているため、ステム4がヒートシンクとして機能し、分光部35の温度変動を抑制することができる。これにより、温度変動に起因する分光部35の変形が抑制されるので、分光部35の分光特性を安定化させることができる。なお、熱容量の大きいヒートシンクにステム4を実装すれば、分光部35の分光特性をより一層安定化させることが可能となる。
【0039】
また、分光ユニット30をステム4に固定する構成を採用することで、光検出ユニット20に対する分光ユニット30の小型化や分光ユニット30の設計の自由度を高めることが可能となる。一例として、位置決めピン15を利用して、遮光板やガラスフィルタ等の光学機能部材を分光部35上に配置することができる。また、基板31をステム4に固定した後に、成形層33及び反射膜34を形成して、分光部35を形成することができる。この場合、成形層33にグレーティングパターンを形成するための成形型を押し当てる際に、位置決めピン15やリードピン8を利用して、横方向及び奥方向への成形型の位置ずれを防止することができる。
【0040】
また、リードピン8が挿通された基板21や、リードピン8が挿通された他の部材(後述する遮光部材14等)を利用すれば、キャップ5をステム4に対して移動させることで、キャップ5の光入射部6と光検出ユニット20のスリット22との位置関係を保持しつつ、ステム4に固定された分光ユニット30の分光部35に対して、光検出ユニット20のスリット22及び光検出部26を位置合わせすることができる。
【0041】
次に、第1の実施形態の分光器の変形例について説明する。図7に示されるように、分光器1Bは、光検出ユニット20と分光ユニット30との間に配置された遮光部材14を備えている点で、上述した分光器1Aと主に相違している。
【0042】
遮光部材14は、遮光性の材料により矩形板状に形成されており、光検出ユニット20の基板21の裏面21bに接触した状態で固定されている。遮光部材14には、基板21のスリット22及び光通過開口23に対向するように光通過開口(開口部)14aが形成されている。つまり、光通過開口14aは、スリット22を通過した光L1、及び分光部35において分光されると共に反射された光L2を通過させる。
【0043】
また、遮光部材14には、縦方向において対向する基板21の孔29及びスペーサ11の貫通孔11cと一続きとなるように、貫通孔14bが複数形成されている。つまり、各リードピン8は、対応する遮光部材14の貫通孔14bにも挿通させられている。
【0044】
以上のように構成された分光器1Bでは、遮光部材14によって、光検出ユニット20に設けられた光検出部26に迷光が入射することを抑制することができる。また、分光器1B内の多重反射による迷光を低減することができる。
【0045】
なお、遮光部材14は、光検出ユニット20と分光ユニット30との間であれば、光検出ユニット20の基板21の裏面21bに接触した位置以外の位置に配置されていてもよい。また、スリット22を通過した光L1、及び分光部35において分光されると共に反射された光L2を通過させる開口部であれば、光L1を通過させる光通過開口と、光L2を通過させる光通過開口とが遮光部材14に別々に形成されていてもよい。
【0046】
次に、第1の実施形態の分光器の別の変形例について説明する。図8に示されるように、分光器1Cは、光検出ユニット20に設けられた凹部(嵌め部)41にリードピン8の端部8aが配置されている点で、上述した分光器1Aと主に相違している。
【0047】
凹部41は、縦方向においてスペーサ11の貫通孔11cと対向するように、基板21の裏面21bに複数形成され、分光ユニット30側に開口している。各リードピン8の端部8aは、スペーサ11の貫通孔11cに各リードピン8が挿通された状態で、対応する凹部41に配置され、嵌められている。
【0048】
光検出素子24は、光検出部26が分光ユニット30側に向いた状態で、基板21の裏面21bに固定されている。光検出部26と各リードピン8とは、基板21の裏面21bに設けられた配線を介して電気的に接続されている。より具体的には、基板21の裏面21bに設けられた配線は、各凹部41内に至っており、各リードピン8の端部8aと導電性接着剤等により接続されている。光検出部26と基板21の裏面21bの配線とは、ワイヤによって接続されている。
【0049】
以上のように構成された分光器1Cでは、各リードピン8の端部8aが、対応する凹部41に配置され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向においてだけでなく、縦方向においても位置決めされることになる。
[第2の実施形態]
【0050】
図9に示されるように、分光器1Dは、分光ユニット30がスペーサ16を介してステム4に固定されている点で、第1の実施形態の分光器1Aと主に相違している。
【0051】
分光ユニット30は、金属等により円柱状に形成された複数のスペーサ16を介して、ステム4の表面4b上に配置されている。各スペーサ16には、縦方向に貫通孔16cが形成されており、各貫通孔16cには、ステム4の表面4bに立設された位置決めピン15が挿通されている。この状態で、スペーサ16の一端部16aは、対応する孔36の部分36a内に配置され、接着等により基板31に固定されている。スペーサ16の他端部16bは、ステム4の表面4bに配置され、接着等によりステム4に固定されている。
【0052】
次に、分光器1Dの製造方法について説明する。まず、図10(a)に示されるように、ステム4を準備し、ステム4の各貫通孔4aにリードピン8を固定すると共に、ステム4の各貫通孔4cに位置決めピン15を固定する。続いて、図10(b)に示されるように、スペーサ16の貫通孔16cに位置決めピン15を挿通させ、スペーサ16の他端部16bをステム4に固定する。続いて、分光ユニット30を準備し、基板31の孔36に位置決めピン15を挿通させて、スペーサ16の一端部16aを基板31に固定する。
【0053】
続いて、図11(a)に示されるように、スペーサ11の貫通孔11cにリードピン8を挿通させ、スペーサ11の他端部11bをステム4に固定する。続いて、光検出ユニット20を準備し、基板21の孔29にリードピン8を挿通させて、スペーサ11の一端部11aを基板21に固定する。続いて、図11(b)に示されるように、光検出ユニット20及び分光ユニット30を覆うようにキャップ5をステム4に配置し、ステム4の段差部とキャップ5のフランジ5aとを溶接により接合する。以上により、分光器1Dが製造される。
【0054】
以上説明したように、分光器1Dでは、パッケージ2において光入射部6と対向するステム4を貫通する複数のリードピン8が、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向において位置決めされることになる。特に、分光器1Dでは、スリット22と光検出部26とが並ぶ横方向において複数のリードピン8が所定の距離をとって対向しているため、横方向における位置決めの精度が向上される。よって、分光器1Dは、パッケージ2に設けられた光入射部6に対して、パッケージ2内に設けられたスリット22が位置決めされたものとなる。
【0055】
また、スペーサ11及び光検出ユニット20において一続きとなっている貫通孔11c及び孔29にリードピン8が挿通されているため、スペーサ11及び光検出ユニット20によってリードピン8が保持された状態となり、リードピン8の端部8aへのワイヤボンディングを容易に且つ確実に行うことができる。
【0056】
また、分光ユニット30が、スペーサ16を介してステム4から離間した状態でステム4に固定されている。これにより、ステム4の表面4bの形状に左右されずに、分光ユニット30をパッケージ2内の所定の位置に精度良く配置することができる。
【0057】
また、分光ユニット30をステム4に固定する構成を採用することで、光検出ユニット20に対する分光ユニット30の小型化や分光ユニット30の設計の自由度を高めることが可能となる。また、リードピン8が挿通された基板21や、リードピン8が挿通された他の部材(遮光部材14等)を利用すれば、キャップ5をステム4に対して移動させることで、キャップ5の光入射部6と光検出ユニット20のスリット22との位置関係を保持しつつ、ステム4に固定された分光ユニット30の分光部35に対して、光検出ユニット20のスリット22及び光検出部26を位置合わせすることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、光検出ユニットに設けられ且つリードピンが嵌められる嵌め部は、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔や、分光ユニット側に開口する凹部に限定されない。一例として、嵌め部は、リードピンの端部の横方向及び奥方向への移動を規制するように光検出ユニットの基板の裏面に形成された複数の凸部等であってもよい。ただし、嵌め部が、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔や、分光ユニット側に開口する凹部である場合には、横方向及び奥方向において、光入射部に対する光通過部の位置決めが容易に且つ確実に実現される。
【0059】
嵌め部の構造の他の例について説明する。図12に示されるように、基板21には、裏面21b側から表面21a側に貫通する孔(嵌め部)29が形成されている。孔29は、基板21の表面21aに開口した第1の部分29cと、裏面21bに開口した第2の部分29dとを含んでいる。第1の部分29cは表面21aに向かって末広がりとなる形状(例えば四角錘台状の形状)を有し、第2の部分29dは裏面21bに向かって末広がりとなる形状(例えば四角錘台状の形状)を有する。基板21の表面21a上、第1の部分29cの内面29e上、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上には、絶縁膜91が形成されている。基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に形成された絶縁膜91上には、メタル配線92が形成されている。孔29にはリードピン8が挿通されており、このリードピン8は、第2の部分29dに充填された導電性樹脂93により、メタル配線92に電気的に接続されている。
【0060】
次に、上述した孔29を形成する工程について説明する。まず、基板21の表面21a及び裏面21bにエッチングマスクを形成する。次に、フォトワークによりこのエッチングマスクに開口を設ける。このエッチングマスクは酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等からなる。続いて、エッチングマスクを用いて表面21a側からアルカリエッチングを行う。このエッチングにより基板21に第1の部分29cが形成される。続いて、エッチングマスクを用いて裏面21b側からアルカリエッチングを行う。このエッチングにより基板21に第2の部分29dが形成される。続いて、基板21の表面21a上、第1の部分29cの内面29e上、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に絶縁膜91を形成する。この絶縁膜95は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等の絶縁性を有する材料からなる。続いて、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に形成された絶縁膜91上にマスク蒸着法によりメタル配線92を形成する。以上により、孔29が形成される。この孔29に対してリードピン8が挿通される。そして、第2の部分29dに導電性樹脂93が充填され、リードピン8がメタル配線92に電気的に接続される。このように、表面21a及び裏面21bの両面からエッチングして嵌め部を形成する方法によれば、片面からの貫通アルカリエッチングにより嵌め部を形成する方法に比べ、開口部のエッジ部21c、21dの角度が緩やかになるため、基板21の破損を抑制することができる。なお、基板21の両面からエッチングして嵌め部を形成する上記方法は、光通過部(スリット)22の形成に用いてもよい。これによれば、基板21の破損を抑制することができる。
【0061】
また、光入射部から入射した光を通過させる光通過部は、光検出素子24の半導体基板25に形成されたスリット等、光検出ユニットに設けられたものであればよい。
【0062】
また、分光器の各構成部材の材料及び形状には、前述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、リードピンが十分な強度を有するときには、スペーサを用いることなく、少なくとも光検出ユニットがリードピンにより支持されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1A,1B,1C,1D…分光器、2…パッケージ、4…ステム(支持部)、6…光入射部、8…リードピン、8a…端部、11,16…スペーサ、14…遮光部材、14a…光通過開口(開口部)、20…光検出ユニット、22…スリット(光通過部)、26…光検出部、29…孔(嵌め部)、30…分光ユニット、35…分光部、41…凹部(嵌め部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を分光して検出する分光器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分光器として、光入射部、分光部及び光検出部がパッケージの壁部に固定されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような分光器では、光入射部から入射した光が、分光部において分光されると共に反射されて、光検出部によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000―298066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、様々な測定システムや分光測定装置に適用される分光器の小型化が進められている。分光器の小型化に際しては、パッケージに設けられた光入射部に対する各構成部の高精度な位置決めが必要となる。特に、光入射部に対してスリット等の光通過部がパッケージ内に設けられる場合には、光入射部に対する光通過部の位置決めが重要となる。
【0005】
そこで、本発明は、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の分光器は、光入射部が設けられたパッケージと、パッケージのうち光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンと、パッケージ内において支持部上に支持された光検出ユニットと、光検出ユニットに対して支持部側に配置されるように、パッケージ内において支持部上に支持された分光ユニットと、を備え、光検出ユニットは、光入射部から入射した光を通過させる光通過部を有し、分光ユニットは、光通過部を通過した光を分光すると共に光検出ユニットの光検出部に反射する分光部を有し、リードピンは、光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められ、光検出部と電気的に接続されている。
【0007】
この分光器では、パッケージのうち光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンが、光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められている。これにより、光検出ユニットに設けられた光通過部が、複数のリードピンを介して、パッケージに設けられた光入射部に対し、少なくとも光入射部と支持部とが対向する方向に垂直な方向において位置決めされることになる。よって、この分光器は、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされたものとなる。
【0008】
また、分光ユニットは、支持部と接触した状態で支持部に固定されていてもよい。或いは、分光ユニットは、スペーサを介して支持部に固定されていてもよい。これらの構成によれば、分光ユニットの小型化や分光ユニットの設計の自由度を高めることが可能となる。
【0009】
なお、「支持部に固定された分光ユニット」とは、分光ユニットが支持部に直接的に固定されている場合だけでなく、分光ユニットが支持部に間接的に固定されている場合も含む意味である(ただし、分光ユニットと支持部との接続において光検出ユニットは介されない)。
【0010】
また、光検出ユニットと分光ユニットとの間に配置された遮光部材を更に備え、遮光部材には、光通過部を通過した光、及び分光部において分光されると共に反射された光を通過させる開口部が設けられていてもよい。この構成によれば、迷光が光検出部に入射することを抑制することができる。
【0011】
また、嵌め部は、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔であり、リードピンは、パッケージ内において嵌め部に挿通されていてもよい。或いは、嵌め部は、分光ユニット側に開口する凹部であり、リードピンの端部は、パッケージ内において嵌め部に配置されていてもよい。これらの構成によれば、少なくとも光入射部と支持部とが対向する方向に垂直な方向において、光入射部に対する光通過部の位置決めが容易に且つ確実に実現される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態の分光器の断面図である。
【図2】図1の分光器の平面図である。
【図3】図1の分光器の光検出ユニットの平面図である。
【図4】図1の分光器の分光ユニットの平面図である。
【図5】図1の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】図1の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の分光器の変形例の断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の分光器の変形例の断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の分光器の断面図である。
【図10】図9の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図11】図9の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図12】嵌め部の構造の他の例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
【0015】
図1及び図2に示されるように、分光器1Aは、いわゆるCANパッケージの構成を有するパッケージ2と、パッケージ2内に収容された光検出ユニット20と、パッケージ2内に収容された分光ユニット30と、を備えている。分光器1Aは、パッケージ2外からパッケージ2内に入射した光L1を分光して検出するものである。なお、パッケージ2の一辺の長さは、例えば10〜20mm程度である。
【0016】
パッケージ2は、周縁部に段差部が設けられた矩形板状のステム(支持部)4と、直方体箱状のキャップ5と、を有している。ステム4及びキャップ5は金属からなる。キャップ5は、開口端から外側に向かって突出するフランジ5aを有し、このフランジ5aとステム4の段差部とが溶接により接合され、開口部分が塞がれている。これにより、パッケージ2の気密化が図られ、分光器1Aの信頼性の向上が図られている。
【0017】
キャップ5においてステム4と対向する壁部5bには、光入射部6が設けられている。つまり、ステム4は、光入射部6と対向している。光入射部6は、キャップ5の壁部5bに形成された断面円形状の光通過孔5cが、円形板状の窓部材7によって内側から気密に覆われることで、構成されている。なお、窓部材7は、例えば、石英、硼珪酸ガラス(BK7)、パイレックス(登録商標)ガラス、コバール等、光L1を透過させる材料からなる。また、窓部材7には、必要に応じて、AR(Anti Reflection)コートや、不要な波長をカットする波長カットフィルタ(フィルタレジストや誘電体多層膜等)、バンドパスフィルタ等が施されてもよい。
【0018】
ステム4には、銅等の導電性材料からなる複数のリードピン8が貫通している。各リードピン8は、光入射部6とステム4とが対向する方向(以下、「縦方向」という)に延在しており、電気的絶縁性と遮光性とを有する低融点ガラスからなるハーメティックシール部材9を介して、ステム4の貫通孔4aに固定されている。なお、貫通孔4aは、矩形板状のステム4において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。
【0019】
光検出ユニット20は、パッケージ2内においてステム4上に支持されている。分光ユニット30は、光検出ユニット20に対してステム4側に配置されるように、パッケージ2内においてステム4上に支持されている。
【0020】
図1及び図3に示されるように、光検出ユニット20は、樹脂やセラミック、シリコン、ガラス等からなる矩形板状の基板21を有している。基板21には、所定の方向に延在するスリット(光通過部)22が形成されている。スリット22は、パッケージ2に設けられた光入射部6と縦方向において対向しており、光入射部6から入射した光L1を通過させる。なお、スリット22における分光ユニット30側の端部は、スリット22の延在方向(以下、「奥方向」という)、及び、奥方向に垂直且つ縦方向に垂直な方向(以下、「横方向」という)の両方向において、分光ユニット30側に向かって末広がりとなっている。
【0021】
基板21における分光ユニット30と反対側の表面21aには、光検出素子24が固定されている。光検出素子24は、シリコン等の半導体材料からなる半導体基板25と、半導体基板25における基板21側の面に形成された光検出部26と、を有している。光検出部26は、フォトダイオードアレイ、C−MOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等である。光検出素子24は、基板21に形成された断面矩形状の光通過開口23に光検出部26が対向するように、基板21の表面21aに固定されている。光通過開口23は、横方向においてスリット22と並ぶように形成されている。なお、光通過開口23における分光ユニット30側の端部は、奥方向及び横方向の両方向において、分光ユニット30側に向かって末広がりとなっている。
【0022】
基板21の表面21aには、光検出部26に対する入出力信号等を伝送するための複数の配線27が設けられている。各配線27の一端部は、Auや半田等のバンプ28を介して光検出部26と電気的に接続されている。各配線27の他端部は、パッド部27aとなっており、各パッド部27aは、対応するリードピン8の端部8aと、ワイヤ12によってワイヤボンディングされている。これにより、リードピン8は、光検出部26と電気的に接続されることになる。
【0023】
図1及び図4に示されるように、分光ユニット30は、シリコン、プラスチック、セラミック又はガラス等からなる矩形板状の基板31を有している。基板31における光検出ユニット20側の表面31aには、奥方向及び横方向の両方向において、光検出ユニット20側に向かって末広がりとなる正四角錐台状の凹部32が形成されている。
【0024】
基板31には、光硬化性のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン又は有機・無機ハイブリッド樹脂等のレプリカ用光学樹脂を光硬化させることによって形成された成形層33が、凹部32を覆うように配置されている。成形層33は、凹部32の深さ方向(すなわち、光検出ユニット20側)から見た場合に円形状となっており、成形層33の外縁33dは、凹部32の開口32aの各頂点を通っている。
【0025】
成形層33は、一体的に形成された本体部33a及び乗上げ部33bを有している。本体部33aは、凹部32の深さ方向から見た場合に凹部32内に位置しており、凹部32の底面32b及び側面32cの全体を覆っている。乗上げ部33bは、本体部33aと繋がった状態で基板31の表面31aに位置しており、凹部32の開口32aの各辺の外側に設けられている。つまり、乗上げ部33bは、凹部32を挟んで対向し且つ凹部32を包囲するように複数設けられている。
【0026】
成形層33は、凹部32の所定の内面である底面32bと対向する凹状の曲面33cを有している。曲面33cは、凹部32の底面32bの中心に向かって凹んだ曲面であり、凹部32の開口32aの各辺の中点を通って、本体部33aから各乗上げ部33bに至っている。曲面33cにおける本体部33a上の所定の領域には、鋸歯状断面のブレーズドグレーティング、矩形状断面のバイナリグレーティング、又は正弦波状断面のホログラフィックグレーティング等に対応するグレーティングパターンが形成されている。このグレーティングパターンは、奥方向に延在するグレーティング溝が横方向に複数並設されたものである。
【0027】
成形層33の曲面33c上には、AlやAu等の蒸着膜である反射膜34が形成されている。反射膜34は、曲面33cにおける本体部33a上の所定の領域ではグレーティングパターンに対応するように形成されており、この部分が、反射型グレーティングである分光部35となっている。分光ユニット30が有する分光部35は、光検出ユニット20のスリット22を通過した光L1を分光すると共に、分光した光L2を光検出ユニット20の光検出部26に反射する。
【0028】
図1に示されるように、光検出ユニット20の基板21には、分光ユニット30側からその反対側に貫通する孔(嵌め部)29が複数形成されている。孔29は、矩形板状の基板21において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔29は、分光ユニット30側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分29aと、その部分29aの頂部に接続された円柱状の部分29bと、を含んでいる。
【0029】
また、分光ユニット30の基板31には、光検出ユニット20側からその反対側に貫通する孔36が複数形成されている。孔36は、矩形板状の基板31において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔36は、光検出ユニット20の反対側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分36aと、その部分36aの頂部に接続された円柱状の部分36bと、を含んでいる。
【0030】
光検出ユニット20は、複数のスペーサ11を介して、ステム4におけるパッケージ2内の表面4b上に配置されている。スペーサ11は、金属やプラスチック、セラミック、シリコン、ガラス等により円柱状に形成されており、縦方向において対向するステム4の貫通孔4aと基板21の孔29との間にそれぞれ配置されている。スペーサ11の一端部11aは、対応する孔29の部分29a内に配置され、接着等により基板21に固定されている。スペーサ11の他端部11bは、対応する貫通孔4aを覆うようにステム4の表面4bに配置され、接着等によりステム4に固定されている。各スペーサ11には、縦方向に貫通孔11cが形成されており、各貫通孔11cは、対応する孔29及び貫通孔4aと一続きとなっている。
【0031】
これらの貫通孔11c及び孔29の内径は、リードピン8の外径よりも十分に大きくなっている。そして、一続きとなっている貫通孔11c及び孔29のそれぞれには、ステム4を貫通してパッケージ2内に延在するリードピン8が挿通されている。これにより、リードピン8は、パッケージ2内において、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められることになる。孔29の内面(ここでは部分29bの内面)に対するリードピン8の側面の接触状態には、リードピン8の側面の一部のみが孔29の内面に接触する状態や、リードピン8の側面の全部が孔29の内面に接触する状態だけでなく、リードピン8の側面の全部が孔29の内面に接触しない状態も含まれる。
【0032】
分光ユニット30は、横方向において対向する複数のリードピン8の間の領域において、ステム4の表面4b上に配置されている。当該領域において、ステム4の表面4bには、分光ユニット30の基板31に形成された複数の孔36に対応するように、複数の位置決めピン15が立設されている。各位置決めピン15は、ハーメティックシール部材9を介して、ステム4の貫通孔4cに固定されている。分光ユニット30は、基板31の孔36に位置決めピン15が挿通され且つステム4の表面4bと接触した状態で、接着等によりステム4の表面4bに固定されている。
【0033】
以上のように構成された分光器1Aにおいては、光L1は、パッケージ2の光入射部6からパッケージ2内に入射し、光検出ユニット20のスリット22を通過する。スリット22を通過した光L1は、分光ユニット30の分光部35に到達し、分光部35において分光されると共に光検出ユニット20の光検出部26に反射される。分光部35において分光されると共に反射された光L2は、光検出ユニット20の光通過開口23を通過して光検出素子24の光検出部26に到達し、光検出素子24によって検出される。
【0034】
次に、分光器1Aの製造方法について説明する。まず、図5(a)に示されるように、ステム4を準備し、ステム4の各貫通孔4aにリードピン8を固定すると共に、ステム4の各貫通孔4cに位置決めピン15を固定する。続いて、図5(b)に示されるように、分光ユニット30を準備し、基板31の孔36に位置決めピン15を挿通させ且つ基板31をステム4の表面4bと接触させて、その状態で分光ユニット30を接着等によりステム4の表面4bに固定する。
【0035】
続いて、図6(a)に示されるように、スペーサ11の貫通孔11cにリードピン8を挿通させ、スペーサ11の他端部11bをステム4に固定する。続いて、光検出ユニット20を準備し、基板21の孔29にリードピン8を挿通させて、スペーサ11の一端部11aを基板21に固定する。続いて、図6(b)に示されるように、光検出ユニット20及び分光ユニット30を覆うようにキャップ5をステム4に配置し、ステム4の段差部とキャップ5のフランジ5aとを溶接により接合する。以上により、分光器1Aが製造される。
【0036】
以上説明したように、分光器1Aでは、パッケージ2において光入射部6と対向するステム4を貫通する複数のリードピン8が、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向において位置決めされることになる。特に、分光器1Aでは、スリット22と光検出部26とが並ぶ横方向において複数のリードピン8が所定の距離をとって対向しているため、横方向における位置決めの精度が向上される。よって、分光器1Aは、パッケージ2に設けられた光入射部6に対して、パッケージ2内に設けられたスリット22が位置決めされたものとなる。このように、分光器1Aでは、リードピン8によって、光検出部26とパッケージ2の外部との間の電気的な接続と、光入射部6に対するスリット22の位置決めとが同時に実現される。
【0037】
また、スペーサ11及び光検出ユニット20において一続きとなっている貫通孔11c及び孔29にリードピン8が挿通されているため、スペーサ11及び光検出ユニット20によってリードピン8が保持された状態となり、リードピン8の端部8aへのワイヤボンディングを容易に且つ確実に行うことができる。
【0038】
また、分光ユニット30が、ステム4と接触した状態でステム4に固定されているため、ステム4がヒートシンクとして機能し、分光部35の温度変動を抑制することができる。これにより、温度変動に起因する分光部35の変形が抑制されるので、分光部35の分光特性を安定化させることができる。なお、熱容量の大きいヒートシンクにステム4を実装すれば、分光部35の分光特性をより一層安定化させることが可能となる。
【0039】
また、分光ユニット30をステム4に固定する構成を採用することで、光検出ユニット20に対する分光ユニット30の小型化や分光ユニット30の設計の自由度を高めることが可能となる。一例として、位置決めピン15を利用して、遮光板やガラスフィルタ等の光学機能部材を分光部35上に配置することができる。また、基板31をステム4に固定した後に、成形層33及び反射膜34を形成して、分光部35を形成することができる。この場合、成形層33にグレーティングパターンを形成するための成形型を押し当てる際に、位置決めピン15やリードピン8を利用して、横方向及び奥方向への成形型の位置ずれを防止することができる。
【0040】
また、リードピン8が挿通された基板21や、リードピン8が挿通された他の部材(後述する遮光部材14等)を利用すれば、キャップ5をステム4に対して移動させることで、キャップ5の光入射部6と光検出ユニット20のスリット22との位置関係を保持しつつ、ステム4に固定された分光ユニット30の分光部35に対して、光検出ユニット20のスリット22及び光検出部26を位置合わせすることができる。
【0041】
次に、第1の実施形態の分光器の変形例について説明する。図7に示されるように、分光器1Bは、光検出ユニット20と分光ユニット30との間に配置された遮光部材14を備えている点で、上述した分光器1Aと主に相違している。
【0042】
遮光部材14は、遮光性の材料により矩形板状に形成されており、光検出ユニット20の基板21の裏面21bに接触した状態で固定されている。遮光部材14には、基板21のスリット22及び光通過開口23に対向するように光通過開口(開口部)14aが形成されている。つまり、光通過開口14aは、スリット22を通過した光L1、及び分光部35において分光されると共に反射された光L2を通過させる。
【0043】
また、遮光部材14には、縦方向において対向する基板21の孔29及びスペーサ11の貫通孔11cと一続きとなるように、貫通孔14bが複数形成されている。つまり、各リードピン8は、対応する遮光部材14の貫通孔14bにも挿通させられている。
【0044】
以上のように構成された分光器1Bでは、遮光部材14によって、光検出ユニット20に設けられた光検出部26に迷光が入射することを抑制することができる。また、分光器1B内の多重反射による迷光を低減することができる。
【0045】
なお、遮光部材14は、光検出ユニット20と分光ユニット30との間であれば、光検出ユニット20の基板21の裏面21bに接触した位置以外の位置に配置されていてもよい。また、スリット22を通過した光L1、及び分光部35において分光されると共に反射された光L2を通過させる開口部であれば、光L1を通過させる光通過開口と、光L2を通過させる光通過開口とが遮光部材14に別々に形成されていてもよい。
【0046】
次に、第1の実施形態の分光器の別の変形例について説明する。図8に示されるように、分光器1Cは、光検出ユニット20に設けられた凹部(嵌め部)41にリードピン8の端部8aが配置されている点で、上述した分光器1Aと主に相違している。
【0047】
凹部41は、縦方向においてスペーサ11の貫通孔11cと対向するように、基板21の裏面21bに複数形成され、分光ユニット30側に開口している。各リードピン8の端部8aは、スペーサ11の貫通孔11cに各リードピン8が挿通された状態で、対応する凹部41に配置され、嵌められている。
【0048】
光検出素子24は、光検出部26が分光ユニット30側に向いた状態で、基板21の裏面21bに固定されている。光検出部26と各リードピン8とは、基板21の裏面21bに設けられた配線を介して電気的に接続されている。より具体的には、基板21の裏面21bに設けられた配線は、各凹部41内に至っており、各リードピン8の端部8aと導電性接着剤等により接続されている。光検出部26と基板21の裏面21bの配線とは、ワイヤによって接続されている。
【0049】
以上のように構成された分光器1Cでは、各リードピン8の端部8aが、対応する凹部41に配置され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向においてだけでなく、縦方向においても位置決めされることになる。
[第2の実施形態]
【0050】
図9に示されるように、分光器1Dは、分光ユニット30がスペーサ16を介してステム4に固定されている点で、第1の実施形態の分光器1Aと主に相違している。
【0051】
分光ユニット30は、金属等により円柱状に形成された複数のスペーサ16を介して、ステム4の表面4b上に配置されている。各スペーサ16には、縦方向に貫通孔16cが形成されており、各貫通孔16cには、ステム4の表面4bに立設された位置決めピン15が挿通されている。この状態で、スペーサ16の一端部16aは、対応する孔36の部分36a内に配置され、接着等により基板31に固定されている。スペーサ16の他端部16bは、ステム4の表面4bに配置され、接着等によりステム4に固定されている。
【0052】
次に、分光器1Dの製造方法について説明する。まず、図10(a)に示されるように、ステム4を準備し、ステム4の各貫通孔4aにリードピン8を固定すると共に、ステム4の各貫通孔4cに位置決めピン15を固定する。続いて、図10(b)に示されるように、スペーサ16の貫通孔16cに位置決めピン15を挿通させ、スペーサ16の他端部16bをステム4に固定する。続いて、分光ユニット30を準備し、基板31の孔36に位置決めピン15を挿通させて、スペーサ16の一端部16aを基板31に固定する。
【0053】
続いて、図11(a)に示されるように、スペーサ11の貫通孔11cにリードピン8を挿通させ、スペーサ11の他端部11bをステム4に固定する。続いて、光検出ユニット20を準備し、基板21の孔29にリードピン8を挿通させて、スペーサ11の一端部11aを基板21に固定する。続いて、図11(b)に示されるように、光検出ユニット20及び分光ユニット30を覆うようにキャップ5をステム4に配置し、ステム4の段差部とキャップ5のフランジ5aとを溶接により接合する。以上により、分光器1Dが製造される。
【0054】
以上説明したように、分光器1Dでは、パッケージ2において光入射部6と対向するステム4を貫通する複数のリードピン8が、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向において位置決めされることになる。特に、分光器1Dでは、スリット22と光検出部26とが並ぶ横方向において複数のリードピン8が所定の距離をとって対向しているため、横方向における位置決めの精度が向上される。よって、分光器1Dは、パッケージ2に設けられた光入射部6に対して、パッケージ2内に設けられたスリット22が位置決めされたものとなる。
【0055】
また、スペーサ11及び光検出ユニット20において一続きとなっている貫通孔11c及び孔29にリードピン8が挿通されているため、スペーサ11及び光検出ユニット20によってリードピン8が保持された状態となり、リードピン8の端部8aへのワイヤボンディングを容易に且つ確実に行うことができる。
【0056】
また、分光ユニット30が、スペーサ16を介してステム4から離間した状態でステム4に固定されている。これにより、ステム4の表面4bの形状に左右されずに、分光ユニット30をパッケージ2内の所定の位置に精度良く配置することができる。
【0057】
また、分光ユニット30をステム4に固定する構成を採用することで、光検出ユニット20に対する分光ユニット30の小型化や分光ユニット30の設計の自由度を高めることが可能となる。また、リードピン8が挿通された基板21や、リードピン8が挿通された他の部材(遮光部材14等)を利用すれば、キャップ5をステム4に対して移動させることで、キャップ5の光入射部6と光検出ユニット20のスリット22との位置関係を保持しつつ、ステム4に固定された分光ユニット30の分光部35に対して、光検出ユニット20のスリット22及び光検出部26を位置合わせすることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、光検出ユニットに設けられ且つリードピンが嵌められる嵌め部は、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔や、分光ユニット側に開口する凹部に限定されない。一例として、嵌め部は、リードピンの端部の横方向及び奥方向への移動を規制するように光検出ユニットの基板の裏面に形成された複数の凸部等であってもよい。ただし、嵌め部が、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔や、分光ユニット側に開口する凹部である場合には、横方向及び奥方向において、光入射部に対する光通過部の位置決めが容易に且つ確実に実現される。
【0059】
嵌め部の構造の他の例について説明する。図12に示されるように、基板21には、裏面21b側から表面21a側に貫通する孔(嵌め部)29が形成されている。孔29は、基板21の表面21aに開口した第1の部分29cと、裏面21bに開口した第2の部分29dとを含んでいる。第1の部分29cは表面21aに向かって末広がりとなる形状(例えば四角錘台状の形状)を有し、第2の部分29dは裏面21bに向かって末広がりとなる形状(例えば四角錘台状の形状)を有する。基板21の表面21a上、第1の部分29cの内面29e上、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上には、絶縁膜91が形成されている。基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に形成された絶縁膜91上には、メタル配線92が形成されている。孔29にはリードピン8が挿通されており、このリードピン8は、第2の部分29dに充填された導電性樹脂93により、メタル配線92に電気的に接続されている。
【0060】
次に、上述した孔29を形成する工程について説明する。まず、基板21の表面21a及び裏面21bにエッチングマスクを形成する。次に、フォトワークによりこのエッチングマスクに開口を設ける。このエッチングマスクは酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等からなる。続いて、エッチングマスクを用いて表面21a側からアルカリエッチングを行う。このエッチングにより基板21に第1の部分29cが形成される。続いて、エッチングマスクを用いて裏面21b側からアルカリエッチングを行う。このエッチングにより基板21に第2の部分29dが形成される。続いて、基板21の表面21a上、第1の部分29cの内面29e上、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に絶縁膜91を形成する。この絶縁膜95は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等の絶縁性を有する材料からなる。続いて、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に形成された絶縁膜91上にマスク蒸着法によりメタル配線92を形成する。以上により、孔29が形成される。この孔29に対してリードピン8が挿通される。そして、第2の部分29dに導電性樹脂93が充填され、リードピン8がメタル配線92に電気的に接続される。このように、表面21a及び裏面21bの両面からエッチングして嵌め部を形成する方法によれば、片面からの貫通アルカリエッチングにより嵌め部を形成する方法に比べ、開口部のエッジ部21c、21dの角度が緩やかになるため、基板21の破損を抑制することができる。なお、基板21の両面からエッチングして嵌め部を形成する上記方法は、光通過部(スリット)22の形成に用いてもよい。これによれば、基板21の破損を抑制することができる。
【0061】
また、光入射部から入射した光を通過させる光通過部は、光検出素子24の半導体基板25に形成されたスリット等、光検出ユニットに設けられたものであればよい。
【0062】
また、分光器の各構成部材の材料及び形状には、前述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、リードピンが十分な強度を有するときには、スペーサを用いることなく、少なくとも光検出ユニットがリードピンにより支持されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1A,1B,1C,1D…分光器、2…パッケージ、4…ステム(支持部)、6…光入射部、8…リードピン、8a…端部、11,16…スペーサ、14…遮光部材、14a…光通過開口(開口部)、20…光検出ユニット、22…スリット(光通過部)、26…光検出部、29…孔(嵌め部)、30…分光ユニット、35…分光部、41…凹部(嵌め部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射部が設けられたパッケージと、
前記パッケージのうち前記光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンと、
前記パッケージ内において前記支持部上に支持された光検出ユニットと、
前記光検出ユニットに対して前記支持部側に配置されるように、前記パッケージ内において前記支持部上に支持された分光ユニットと、を備え、
前記光検出ユニットは、前記光入射部から入射した光を通過させる光通過部を有し、
前記分光ユニットは、前記光通過部を通過した光を分光すると共に前記光検出ユニットの光検出部に反射する分光部を有し、
前記リードピンは、前記光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められ、前記光検出部と電気的に接続されていることを特徴とする分光器。
【請求項2】
前記分光ユニットは、前記支持部と接触した状態で前記支持部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
【請求項3】
前記分光ユニットは、スペーサを介して前記支持部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
【請求項4】
前記光検出ユニットと前記分光ユニットとの間に配置された遮光部材を更に備え、
前記遮光部材には、前記光通過部を通過した光、及び前記分光部において分光されると共に反射された光を通過させる開口部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分光器。
【請求項5】
前記嵌め部は、前記分光ユニット側からその反対側に貫通する孔であり、
前記リードピンは、前記パッケージ内において前記嵌め部に挿通されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分光器。
【請求項6】
前記嵌め部は、前記分光ユニット側に開口する凹部であり、
前記リードピンの端部は、前記パッケージ内において前記嵌め部に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分光器。
【請求項1】
光入射部が設けられたパッケージと、
前記パッケージのうち前記光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンと、
前記パッケージ内において前記支持部上に支持された光検出ユニットと、
前記光検出ユニットに対して前記支持部側に配置されるように、前記パッケージ内において前記支持部上に支持された分光ユニットと、を備え、
前記光検出ユニットは、前記光入射部から入射した光を通過させる光通過部を有し、
前記分光ユニットは、前記光通過部を通過した光を分光すると共に前記光検出ユニットの光検出部に反射する分光部を有し、
前記リードピンは、前記光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められ、前記光検出部と電気的に接続されていることを特徴とする分光器。
【請求項2】
前記分光ユニットは、前記支持部と接触した状態で前記支持部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
【請求項3】
前記分光ユニットは、スペーサを介して前記支持部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
【請求項4】
前記光検出ユニットと前記分光ユニットとの間に配置された遮光部材を更に備え、
前記遮光部材には、前記光通過部を通過した光、及び前記分光部において分光されると共に反射された光を通過させる開口部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分光器。
【請求項5】
前記嵌め部は、前記分光ユニット側からその反対側に貫通する孔であり、
前記リードピンは、前記パッケージ内において前記嵌め部に挿通されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分光器。
【請求項6】
前記嵌め部は、前記分光ユニット側に開口する凹部であり、
前記リードピンの端部は、前記パッケージ内において前記嵌め部に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分光器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−29325(P2013−29325A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163638(P2011−163638)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]