説明

分割工程を含むスライダー付包装袋の製造方法

【課題】 ラインの流れを停止させることなく、連続して運転することができ、また、包装袋全体の排除を防止することが出来る、スライダー付包装袋の製造方法を提供する。
【解決手段】 スライダー付包装袋を形成するための袋形成工程と、一連のスライダー(4)を具備した開閉用のレールを袋に接合する接合工程と、接合工程後に、袋に取り付けた状態のレールを分割する分割工程とを含み、該分割工程により、分割部の分割長(70)が、各スライダー(4)のスライダー長(40)を上回るように凹状の分割部を形成し、さらに、一つの袋に複数のスライダーが取り付けられた場合に、分割工程で形成された分割部を利用して、レールから余分なスライダー(4)を取り除くことで、スライダー(4)を排除する排除工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダーを備えた開閉用のレールを具備するスライダー付包装袋の製造方法及びスライダー付包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スライダーを備えた開閉用のレールを具備するスライダー付包装袋では、多くの製造方法が知られている。
【0003】
図1は、これらの方法の中で、巻かれた状態から連続して引き出されたフィルム1により包装袋2を形成するための袋形成工程と、こうして形成された包装袋2に、一連の作動用のスライダー4を具備した開閉用のレール3を接合する接合工程を含んでいるものを示している。
【0004】
一般的に、開閉用のレール3は、相補的な形状を有しており、各スライダー4によって、該スライダー4がレール3に沿って移動するときに、レール3を協働させて、また、させないことで、包装袋2を開くこと、または閉めることができるようになっている。
【0005】
いくつかのパッケージング機では、レール3を連続で接合することが好ましいことがある。
【0006】
レール3におけるスライダー4のスライダーピッチ5の長さの変化と、製造時における包装袋2の袋ピッチ6の長さの変化を考えると、包装袋2の望まれる袋ピッチ6に各スライダー4の位置を再調整することが必要である。
【0007】
すなわち、スライダー4を備えたレール3が包装袋2に接合される際に、該スライダー4のスライダーピッチ5が包装袋2の袋ピッチ6をわずかに下回るように調整される。
つまり、スライダーピッチ5および袋ピッチ6で多少の誤差を伴いつつ、スライダー4を備えたレール3の最大長さは、常に包装袋2の最小の袋ピッチ6を下回るようになっている。
【0008】
しかしながら、図2に示すように、n個の包装袋の製造後に、袋ピッチ6にスライダー4を再び位置付けることで、列nの一つの包装袋の対応箇所に、二つのスライダー4が位置する場合が生じる。
このような場合は、包装袋の望まれる袋ピッチ6から逸脱した包装袋の幅6’になっている。
【0009】
すると、現状では、列nの包装袋が欠陥であると認識され、二つのスライダー4を備えた包装袋が、製造ラインから排除されることになる。
このことは、連続して運転することが望まれる製造ラインにおいて、製造ラインの停止を引き起こすものである。
また、二つのスライダーを備えた包装袋の全体を排除しなければならず、包装袋の損失も引き起こす。
したがって、頻繁に起こるようであれば、追加の製造コストが必要になる。
【0010】
ここで、包装袋全体の排除を防止するスライダー付き合成樹脂製袋の製造方法として、特許文献1が知られている。
該特許文献1には、チャック付き合成樹脂製袋を機械的に流れ作業によって、制作する工程中において、ラインの流れを一時的に停止させて、チャックの嵌合を解放し、且つこの解放した部分をラインの流れ方向に対して直交する方向に切り込みをいれ、この切り込みを入れた直後、この部分にスライダーを位置させ、流れを復旧させて、チャックにスライダーを挿入させて、製造する方法が開示されている。
この特許文献1に記載の方法によれば、ラインの流れを一時的に停止させて、切り込みを入れた直後にスライダーを位置させるので、二つのスライダーを備えた包装袋の製造を防ぎ、不良品の包装袋全体の損失を防止することはできる。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、ラインの流れを一時的に停止させる必要があり、連続した運転ができないものである。
【特許文献1】特開平6−270296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、先行技術における不都合を改善することを提案するものである。
すなわち、本発明の解決しようとする課題は、ラインの流れを停止させることなく、連続して運転することができ、また、包装袋全体の排除を防止することが出来る、スライダー付包装袋の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのため、本発明によって包装袋の製造方法が提案されるのだが、該方法は、
巻かれた状態から連続して引き出されたフィルムから少なくとも一つの包装袋を形成する袋形成工程と、
巻かれた状態から連続して引き出されたフィルムに、一連の作動スライダーを具備した開閉用のレールを接合する接合工程と、
レールにおいて少なくとも一回の分割が行われ、分割部の長さが各スライダーの長さを上回ることからなる分割工程とを含むものであって、
さらに、分割によって、レールからスライダーを排除する排除工程を含むことを特徴とする方法である。
本発明は、好適には、単独でのまたは技術的に可能な任意の組み合わせによる以下の特徴によって補完されるものであり、該特徴とは、
レールの分割工程が、レールに沿って規則的に行われ、各分割が他の分割から、包装袋のピッチの倍数分離れた間隔を置いていることと、
該方法がさらに、レールにおいて分割箇所の近くにスライダーを位置付けることからなる位置付工程を含むことと、
排除工程が、一つの包装袋についてレールに一つより多い数のスライダーがあるときに行われることである。
【0014】
すなわち、本発明の課題を解決するための手段は、添付の図面に付された番号を参照すると、次のとおりである。
第1に、
フィルム(1)により、包装袋(2)を形成するための袋形成工程と、
フィルムに、一連のスライダー(4)を具備した開閉用のレール(3)を接合する接合工程と、
接合工程後に、レール(3)を分割する分割工程とを含み、
該分割工程により、各スライダー(4)のスライダー長(40)を上回る分割長(70)を有する分割部(7)が形成され、
さらに、分割工程で形成された分割部(7)によって、レール(3)からスライダー(4)を排除する排除工程を含むことを特徴とする、スライダー付包装袋の製造方法。
ここで、分割部(7)は、レール(3)を部分的に凹状に裁断する等により形成され、該裁断した部分の長さが、分割長(70)になる。
また、裁断する箇所が、分割箇所となる。
第2に、
レール(3)の分割工程が、レール(3)に沿って規則的に行われ、各分割部(7)の分割が、他の分割から包装袋(2)の袋ピッチ(6)の倍数分離れた間隔を空けていることを特徴とする、上記第1に記載の方法。
第3に、
レール(3)において、分割部(7)の端部である分割箇所の近くに、スライダーを位置付けする位置付工程をさらに含んでいる、上記第1または上記第2に記載の方法。
第4に、
排除工程が、一つの包装袋(2)に対するレール(3)の対応部分に、一つより多い数である複数のスライダー(4)があるときに行われる、上記第1〜上記第3のいずれか一つに記載の方法。
特に、図3を参照すると、本発明の課題を解決するための手段は、スライダー付包装袋を形成するための袋形成工程と、一連のスライダー(4)を具備した開閉用のレールを袋に接合する接合工程と、接合工程後に、袋に取り付けた状態のレールを分割する分割工程とを含み、該分割工程により、分割部の分割長(70)が、各スライダー(4)のスライダー長(40)を上回るように凹状の分割部を形成し、さらに、一つの袋に複数のスライダーが取り付けられた場合に、分割工程で形成された分割部を利用して、レールから余分なスライダー(4)を取り除くことで、スライダー(4)を排除する排除工程を含むものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は多数の利点を有するものである。
【0016】
本発明によって、一つの包装袋において作動スライダーを一つだけ得ることが可能になる。
【0017】
本発明によって、製造ラインにおける停止を避け、したがって製造の追加コストを避けることが可能になる。
ここで、本発明によると、不良品に係る包装袋のスライダーだけが失われ、先行技術のように、包装袋全体の損失を防止できる。
【0018】
また、包装袋における定数を超えたスライダーの排除を、容易に行うことができる。
レールの裁断によって、包装袋側面の接合区域の部位で余分な厚みが生じないようにすることができる。
したがって、接合はより効果的に行われ、包装袋の気密性は強化される。
【0019】
すなわち、本発明によると、ラインの流れを停止させることなく、連続して運転することができ、また、包装袋全体の排除を防止することが出来る、スライダー付包装袋の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のその他の特徴、目的および利点は以下の説明から明らかになるものであり、該説明は単に例示的なものであって限定的ではなく、添付図面を参照しながら読むべきものである。
図1は、既に言及したものだが、包装袋の先行技術による製造方法におけるいくつかの工程を概略的に示した概略図である。
図2は、既に言及したものだが、垂直方向で連続的に示されたn+3個の包装袋についての、包装袋の先行技術による製造方法の実施を概略的に示した概略図である。
図3は、垂直方向で連続的に示されたn+3個の包装袋に対する、本発明による製造方法の実施を概略的に示した概略図である。
図4は、本発明による方法によって製造された包装袋の正面図である。
【0021】
図面の全体において、類似要素には同一の符号がついている。
【0022】
背景技術の欄で説明したように、先行技術と同様に、本発明によるスライダー付包装袋の製造方法は、巻かれた状態から連続して引き出されたフィルム1から少なくとも一つの包装袋2を形成する袋形成工程と、巻かれた状態から連続して引き出されたフィルムに、一連の作動用のスライダー4を具備する開閉用のレール3を接合する接合工程を含んでいる。
このような工程は、図1を参照することで明らかになったことにしたがっており、簡潔さのためにここでは、説明しない。
【0023】
同様に、レール3およびスライダー4も従来通りであるため、本欄では詳述しない。
スライダー4は、スライダーピッチ5にしたがってレール3に位置している。
【0024】
巻かれた状態から連続して引き出されたフィルム1にレール3を接合した後に、本発明による製造方法は、各々の包装袋2に分けるために、包装袋2を閉じる閉止工程と側面を接合する側面接合工程を含んでいる。
閉止工程および側面接合工程は、互いにどの順序で行っても良く、同一の機械または異なった機械で行うこともできる。
【0025】
側面の接合は、包装袋2の袋ピッチ6にしたがって行われるが、特に、誤差のために、包装袋2は、望まれるピッチ6とは異なる幅6’を有する場合がある。
【0026】
図3及び図4を参照すると、本方法が、好適には閉止工程と側面接合工程の前に、フィルムに接合されたレール3において、少なくとも一回の分割により分割部7を形成する分割工程を含んでいることを示している。
【0027】
特に、図3は、連続するn+3個の包装袋を垂直方向に重ねて示すことで、レール3の分割工程が、レールに沿って規則的に行われることを示している。
各分割部7の分割は、他の分割から、包装袋2の袋ピッチ6の倍数分離れた間隔を空けている。
【0028】
非常に好適には、分割部7は、側面の接合区域に対応している。
したがって、図4が示しているように、本発明による方法によって製造されたスライダー付の包装袋2は、レール3の各端部に分割部7の分割箇所を含んでいる。
レール3の分割によって、包装袋2の側面接合区域20の部位で、余分な厚みが生じないようにすることができる。
したがって、接合はより効果的に行われ、包装袋の気密性は強化される。
【0029】
本発明方法は、さらに、レール3に各スライダー4を位置付する位置付工程を含んでいる。
好適には、スライダー4は、分割部7の分割箇所に近い再位置決定区域60に位置付けられる。
【0030】
図3は、包装袋の間における包装袋の異なった幅6’を引き起こす包装袋の袋ピッチ6の変化と、スライダー4のスライダーピッチ5の変化のために、複数のスライダー4が同一の包装袋に対するレールに位置付けられることがあるのを示している。
たとえば、図3における列nの包装袋が対象となる。
【0031】
この場合、本方法はさらに、分割工程によって形成された分割部7によって、レール3から余分なスライダー4を排除する工程を含んでいる。
余分なスライダー4を排除することによって、一つの包装袋について、作動用のスライダーは一つしかなくなる。
【0032】
排除工程によって、製造ラインにおけるラインの停止を避け、したがって製造の追加コストを避けることが可能になる。
ここで、本発明によると、不良品に係る包装袋の余分なスライダーだけが失われのであり、先行技術のように、包装袋全体の損失を防止できる。
【0033】
従って、包装袋における一より多い数である定数外のスライダーの排除は、容易に行うことができる。
すなわち、分割部7の分割長70は、各スライダー4のスライダー長40を上回っているので、分割部7を利用して余分なスライダー4を容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】先行技術による製造方法における、いくつかの工程を概略的に示した概略図である。
【図2】先行技術による製造方法における、垂直方向で連続的に示されたn+3個の包装袋についての製造方法の概略図である。
【図3】本発明による製造方法における、垂直方向で連続的に示されたn+3個の包装袋についての製造方法の概略図である。
【図4】本発明による方法によって製造された包装袋の正面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 フィルム
2 包装袋
20 側面接合区域
3 レール
4 スライダー
40 スライダー長
5 スライダーピッチ
6 袋ピッチ
60 再位置決定区域
7 分割部
70 分割長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム(1)により、包装袋(2)を形成するための袋形成工程と、
フィルムに、一連のスライダー(4)を具備した開閉用のレール(3)を接合する接合工程と、
接合工程後に、レール(3)を分割する分割工程とを含み、
該分割工程により、各スライダー(4)のスライダー長(40)を上回る分割長(70)を有する分割部(7)が形成され、
さらに、分割工程で形成された分割部(7)によって、レール(3)からスライダー(4)を排除する排除工程を含むことを特徴とする、スライダー付包装袋の製造方法。
【請求項2】
レール(3)の分割工程が、レール(3)に沿って規則的に行われ、各分割部(7)の分割が、他の分割から包装袋(2)の袋ピッチ(6)の倍数分離れた間隔を空けていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レール(3)において、分割箇所の近くにスライダーを位置付けする位置付工程をさらに含んでいる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
排除工程が、一つの包装袋(2)に対するレール(3)の対応部分に、一つより多い数のスライダー(4)があるときに行われる、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−118605(P2007−118605A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293925(P2006−293925)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(506118607)
【氏名又は名称原語表記】S2F FLEXICO
【Fターム(参考)】