説明

分割機能付包装用箱

【課題】分割可能な商品の一部を、同じ包装用箱を分割して小形化して収容可能であり、確実に開口を閉鎖して安全に携帯や保管を可能にし、また包装用箱に印刷された情報を保存することができる分割機能付包装用箱を提供する。
【解決手段】一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片12から成り、互いに連接された側面14,16,18,20と、側面18に形成された蓋体切込線64,66,68を備える。蓋体切込線64,66,68が設けられた側面18以外の側面14,16,20に、連通方向に沿って形成された本体切込線32,36,84を備える。蓋体切込線64,66,68は、山形に形成され、蓋体切込線64,66,68の内側が蓋体となる。蓋体切込線64,66,68と本体切込線32,36,84を切断すると、箱体は2分割されて、蓋体70が連続する一方は小形収納箱98となり、他方は破棄片100となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、側面に分離用の切込線が設けられた分割機能付包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分割可能な商品を収容する包装用箱には、内容物の一部を使用して残りを同じ包装用箱に戻して保管するときに、包装用箱を分割してコンパクトにすることができるものがあった。例えば、特開2005−350103号公報に開示されている包装用箱は、この箱体を複数の小形の箱体に分割すると同時に、分割した小形の箱体の開口部に閉蓋可能な部分蓋体を形成する切込線が設けられている。この包装用箱の使用方法は、内容物の一部を使用して小さくなったとき、包装用箱の切込線を切断して小形の箱体に分割し、分割された開口部を閉鎖する部分蓋体を一体に形成し、残りの内容物を再び入れて部分蓋体で閉鎖して保管するものである。
【特許文献1】特開2005−350130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術の包装用箱の場合、部分蓋体の構造が簡単であり、部分蓋体の両端部に設けられている蓋耳片部を、分割した小形の箱体の開口部に差し込んで係止するだけであり、開口部を確実に閉鎖することは出来ないものであった。このため、分割した小形の箱体内の商品が箱体内から容易に出てしまうもので、この小箱を携帯することができず、内容物の錠剤等を外出先に携帯するような商品には不向きであった。
【0004】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、分割可能な商品の一部を、同じ包装用箱を分割して小形化して収容可能であり、確実に開口を閉鎖して安全に携帯や保管を可能にし、また包装用箱に印刷された情報を保存することができる分割機能付包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、この箱体形成片には、互いに連接された側面と、前記側面の1つに形成された蓋体切込線と、前記蓋体切込線が設けられた前記側面以外の側面に連通方向に沿って形成された本体切込線が互いに連続して設けられる分割機能付包装用箱である。前記蓋体切込線は、上記側面の連接方向に交差する一対の側縁部と、連接方向に平行な一方の端縁を有する山形に形成され、前記蓋体切込線の内側は蓋体となる。前記箱体形成片を組み立てた状態で、前記蓋体切込線と前記本体切込線を切断すると、前記箱体は2分割されて前記蓋体が連続する一方は小形収納箱となり、他方は破棄片となる。
【0006】
また、前記蓋体と、前記小形収納箱の側面は折罫線で区切られ、前記蓋体は前記折罫線で折り曲げられて前記小形収納箱の前記側面に対向する他方の側面に重ねられ、前記蓋体には前記折罫線の方へ膨出する切断線で区切られた差込部が形成され、前記蓋体が重ねられる前記側面には、前記差込部が差し込まれる係止穴が設けられている。
【0007】
また、前記箱体形成片には4つの側面が設けられて四角筒に組み立てられ、前記蓋体と前記側面の間には、前記四角筒の開口部を閉鎖する上面部が設けられ、上記上面部は前記側面の、側面どうしが連通する連接方向と同じ幅に形成され、前記上面部の幅方向の側縁部には、上記上面部が連接された側面に対して直角に交差する側面に連続する折畳片が設けられている。前記折畳片は、前記上面部の側縁部と、上記上面部が連接された側面に対して直角に交差する上記側面の端部を放射方向とする中心角が90度の扇形に形成され、中心角を2等分する直線である折罫線が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の分割機能付包装用箱は、分割可能な商品の一部を同じ包装用箱を分割した小形の包装用箱に入れることができ、小形の包装用箱の開口を確実に閉鎖して携帯や保管をすることができる。また、包装用箱に印刷された情報を確実に残して小形の包装用箱に分割することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図4はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の分割機能付包装用箱10は、紙製の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された箱体形成片12を組み立てて設けられている。
【0010】
図4は箱体形成片12を表面から見た展開図であり、箱体形成片12は、側面14,16,18,20が、互いに平行に連接して形成されている。側面14,16,18,20は、連接している幅方向はほぼ同じ長さであり、連接方向の長さは側面14,18が長くて互いにほぼ等しく、側面16,20は短くて互いにほぼ等しい。さらに、側面14の側縁部には、分割機能付包装用箱10の組立状態で側面20の裏面に糊付けされる糊付片22が設けられている。糊付片22、側面14,16,18,20は、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0011】
側面14には、側面どうしの連接方向に対して平行に本体切込線32が設けられている。本体切込線32は、側面どうしの連接している幅方向の中間を通過して形成され、一方の端部は折罫線26に達し、他方の端部は折罫線24を超えて糊付片22を通過して糊付片22の側縁部に達している。側面14の本体切込線32の近傍には、係止穴34が設けられている。係止穴34は、本体切込線32に対して平行な直線の切断線で設けられ、直線の両端部には、本体切込線32から離れる方へほぼ直角に突出する切断線が設けられコの字形となっている。
【0012】
側面16には、側面14の本体切込線32の延長線上に位置する折罫線35が設けられ、折罫線35は、折罫線26から折罫線28に達している。折罫線35の、側面14の係止穴34と反対側には、本体切込線36が設けられている。本体切込線36は、折罫線35と折罫線28の交点を中心とする円形の4分の1の円弧であり、折罫線35と折罫線26の交点から延出し、折罫線35から離れて湾曲しながら折罫線28に達している。折罫線28と折罫線35、本体切込線36で囲まれた扇形の部分は折畳片40となる。折畳片40には、折罫線35と折罫線28の交点から本体切込線36に向かって、折罫線35に対してほぼ45度に延出する直線の折罫線38が設けられている。折罫線38の、折罫線28側の約半分の長さには、折り曲げ易いように切断線が設けられている。側面16の、側面どうしの連接方向に対して直角な方向の一対の端部のうち、本体切込線36が彎曲する方向の端部には矩形のフラップ42が折罫線44で区切られて設けられている。側面16の、折罫線44と反対側の端部には、矩形のフラップ46が折罫線48で区切られて設けられている。
【0013】
側面18の側面16の折罫線44に隣接する端部には、第一上蓋片50が折罫線52で区切られて設けられている。第一上蓋片50の折罫線52と反対側の端部には、差込片54が折罫線56で区切られて設けられている。折罫線56の両端部には、差込片54がフラップ42,88と係止しやすいように短い切込線が設けられている。
【0014】
側面18には、側面16の折罫線35の延長線上に位置する折罫線58が設けられ、折罫線28から折罫線30に達している。そして折罫線28と、側面16の本体切込線36が交差する交点位置から、折罫線58に対して平行な折罫線60が設けられ、折罫線28から折罫線30に達している。折罫線28,30と折罫線58、折罫線60で囲まれた矩形の部分は第二上蓋片62となる。側面18の折罫線52の中間には、第一上蓋片50側に移動し折罫線52に対して平行に形成された蓋体切込線64が設けられている。蓋体切込線64の折罫線28側の端部から、折罫線28と折罫線60の交点に向かって蓋体切込線66が設けられている。蓋体切込線64の折罫線30側の端部から、折罫線30と折罫線60の交点に向かって蓋体切込線68が設けられている。折罫線60と、蓋体切込線64、蓋体切込線66、68で囲まれた台形状の部分は蓋体70となる。蓋体70の中心よりも少し折罫線60に近い部分には、折罫線60の方へ膨出する切断線で区切られた差込部72が設けられている。
【0015】
側面18の、折罫線52と反対側の端部には、底蓋片74が折罫線76で区切られて設けられている。底蓋片74の折罫線76の反対側の端部には、差込片78が折罫線80で区切られて設けられ、両端部には短い切込線が設けられている。
【0016】
側面20には、側面18の折罫線58の延長上に位置する折罫線82が設けられ、折罫線82は折罫線30から折罫線30と反対側の側縁部に達している。折罫線82の、側面18の折罫線52側には、本体切込線84が設けられている。本体切込線84は、折罫線82と折罫線30の交点を中心とする円形の4分の1の円弧であり、折罫線60と折罫線30の交点から延出し、折罫線60から離れて湾曲しながら側面20の側縁部に達している。折罫線30と折罫線82、本体切込線84で囲まれた扇形の部分は折畳片87となる。
折畳片87には、折罫線82と折罫線30の交点から本体切込線84に向かって、折罫線82に対してほぼ45度に延出する直線の折罫線86が設けられている。折罫線86の、折罫線30側の約半分の長さには、折り曲げ易いように切断線が設けられている。側面20の、側面18の折罫線52に隣接する端部には、矩形のフラップ88が折罫線90で区切られて設けられている。側面20の、折罫線90と反対側の端部には、矩形のフラップ92が折罫線94で区切られて設けられている。
【0017】
次に、この実施形態の分割機能付包装用箱10の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは図4が分割機能付包装用箱10の箱体形成片12の表面を見たものであり、箱体形成片12の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。まず、折罫線26を正折りして糊付片22の表面に糊96を塗布する。次に、折罫線30を正折りし、側面20の裏面が糊96により糊付片22の表面に糊付けされる。次に商品を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90度に正折りして四角形の箱体にする。次に、折罫線48,94でフラップ46,92を90度に正折りし、その後折罫線76で底蓋片74を90度に正折りし、差込片78を折罫線80で正折りし、差込片78を側面14の裏面側に差し込んで係止し、底部が形成される。さらに、折罫線44,90でフラップ42,88を90度に正折りし、折罫線52で第一上蓋片50を90度に正折りし、差込片54を折罫線56で正折りし、差込片54を側面14の裏面側に差し込んで係止し、上部が形成される。なお、箱体形成片12を組み立てる順番はこれ以外でも良く、適宜変更可能である。
【0018】
次に、この実施形態の分割機能付包装用箱10の使用方法について説明する。まず、図1に示すように分割機能付包装用箱10を組み立てた最初の大きさで、商品の運搬や保管、展示を行う。
【0019】
そして、商品の購入者が商品の一部を使用し、商品の残りを元の分割機能付包装用箱10に戻して保管するとき、図2に示すように本体切込線32,36,84、蓋体切込線64,66,68を切断して、分割機能付包装用箱10を2個に分割する。蓋体70が設けられる一方は小形収納箱98となり、他方は破棄片100となる。そして小形収納箱98の、側面14,16,18,20で作られた箱体の内側に商品の残りを入れ、図3に示すように、折罫線58で第二上蓋片62を90度に正折りする。このとき折畳片40は、折罫線28,35で90度に正折りされ折罫線38で逆折りされて中表に二つ折りされ、側面16に対して90度に交差して閉鎖する。また折畳片87は、折罫線30,82で90度に正折りされ折罫線86で逆折りされて中表に二つ折りされ、側面20に対して90度に交差して閉鎖する。そして、折罫線60で蓋体70を90度に正折りして側面14の表面に重ね、蓋体70の差込部72を側面14の係止穴34に差し込んで係止する。差込部72は、係止穴34の上方に向き合って側面14の裏面に当接し、蓋体70が上に開こうとすると差込部72がより深く係止穴34に差し込まれ、確実に係止される。
【0020】
この実施形態の分割機能付包装用箱10によれば、簡単な構造で確実に閉鎖されるコンパクトな小形収納箱98を作ることができ、商品の一部を使用した残りを再び入れてコンパクトに保管することができる。分割機能付包装用箱10に印刷された商品名や商品に関する情報等を破棄せずに保存することができ、商品の残りを別の箱に移して内容物を間違えることがなく、安全である。商品が薬剤の場合は、小形収納箱98に薬剤の成分や飲み方等の情報を保存して、最後まで安全に使用することができる。
【0021】
分割機能付包装用箱10を分割して作られた小形収納箱98は、開口部が第二上蓋片62と折畳片40,87で確実に閉鎖され、第二上蓋片62は蓋体70で側面14に確実に係止されるため、不用意に開くことがなく携帯するときに便利である。蓋体70の両脇に折畳片40,87が設けられているため、異物の侵入を防ぎ、衛生的である。蓋体70と折畳片40,87は、本体切込線32に連続する各切込線を切断すると簡単に一体に形成され、分割機能付包装用箱10を分割する工程が簡単である。
【0022】
差込部72と係止穴34は切断線で形成されているため、分割機能付包装用箱10を最初の大きさで使用するときは支障がなく、小形収納箱98として使用するときは、確実に蓋体70を側面14に係止することができる。分割機能付包装用箱10の破棄片100は破棄されるため、小形収納箱98の蓋体70を側面18の広い面積を使用して形成することができるため、確実に閉鎖する小形収納箱98を設けることができる。
【0023】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、蓋体や折畳片の形状や大きさは適宜変更可能であり、蓋体と折畳片が分割されたものでも良く、折畳片がないものでも良い。差込部と係止穴の形状も互いに確実に係止されるものであれば良い。分割機能付包装用箱の素材は、紙以外に、紙と合成樹脂を積層したもの等自由に変更可能であり、各切込線を手で容易に切断することができるものであれば良い。小形収納箱の深さも、各切込線の位置を移動して適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態の分割機能付包装用箱の斜視図である。
【図2】この実施形態の分割機能付包装用箱を分割した状態を示す斜視図である。
【図3】この実施形態の分割機能付包装用箱から作られた小形収納箱の蓋体が開いた状態を示す斜視図(a)と、蓋体が閉じた状態を示す斜視図(b)である。
【図4】この実施形態の分割機能付包装用箱の展開図である。
【符号の説明】
【0025】
10 分割機能付包装用箱
12 箱体形成片
14,16,18,20 側面
32,36,84 本体切込線
34 係止穴
40,87 折畳片
64,66,68 蓋体切込線
70 蓋体
72 差込部
98 小形収納箱
100 破棄片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、この箱体形成片には、互いに連接された側面と、前記側面の1つに形成された蓋体切込線と、前記蓋体切込線が設けられた前記側面以外の側面に連通方向に沿って形成された本体切込線が互いに連続して設けられ、前記蓋体切込線は、上記側面の連接方向に交差する一対の側縁部と、連接方向に平行な一方の端縁を有する山形に形成され、前記蓋体切込線の内側は蓋体となり、前記箱体形成片を組み立てた状態で、前記蓋体切込線と前記本体切込線を切断すると、前記箱体は2分割されて前記蓋体が連続する一方は小形収納箱となり、他方は破棄片となることを特徴とする分割機能付包装用箱。
【請求項2】
前記蓋体と、前記小形収納箱の側面は折罫線で区切られ、前記蓋体は前記折罫線で折り曲げられて前記小形収納箱の前記側面に対向する他方の側面に重ねられ、前記蓋体には前記折罫線の方へ膨出する切断線で区切られた差込部が形成され、前記蓋体が重ねられる前記側面には、前記差込部が差し込まれる係止穴が設けられていることを特徴とする請求項1記載の分割機能付包装用箱。
【請求項3】
前記箱体形成片には4つの側面が設けられて四角筒に組み立てられ、前記蓋体と前記側面の間には、前記四角筒の開口部を閉鎖する上面部が設けられ、上記上面部は前記側面の、側面どうしが連通する連接方向と同じ幅に形成され、前記上面部の幅方向の側縁部には、上記上面部が連接された側面に対して直角に交差する側面に連続する折畳片が設けられていることを特徴とする請求項1記載の分割機能付包装用箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−13129(P2010−13129A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172462(P2008−172462)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(391019500)朝日印刷株式会社 (70)
【Fターム(参考)】