説明

分圧整流回路

【課題】商用交流電源より低い電圧の直流電圧を効率良く得られるようにする。
【解決手段】交流電源電圧を全波整流する整流回路と、前記整流回路から出力される整流出力を充電するために直列に接続されたN個の分圧充電用コンデンサと、前記N個の分圧充電用コンデンサ間に接続された(N−1)個のコンデンサ分離用ダイオードとからなる分圧充電回路と、前記分圧充電回路と並列に接続された出力コンデンサと、前記出力コンデンサと直列に接続された駆動回路と、前記交流電源電圧が所定の電圧値よりも低下した際に、前記駆動回路をON動作させるスイッチング回路と、前記駆動回路がON動作されたときに、前記直列に接続されたN個の分圧充電用コンデンサのそれぞれに蓄積された電荷を前記出力コンデンサに移動させる放電回路とを設け、N個の分圧充電用コンデンサに蓄積した電荷を所定のタイミングごとに出力コンデンサに移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分圧整流回路に関し、特に、商用交流電圧を分圧整流して直流電圧に変換する分圧整流回路に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用交流電源より低い電圧の直流電圧を得るには、概略、次の方法がある。
(a)商用電源電圧の交流をトランスにより低電圧の交流に変換してから整流して直流にする。(b)商用電源電圧の交流を整流して得た直流から、抵抗を使って分圧して低い直流電圧を得る。(c)商用電源電圧の交流を高周波に変換した後、フェライトを使った小型のトランスにより低電圧に変換してから整流して直流を得る、等がある。
【0003】
しかしながら、これらの従来技術には次のような問題点がある。すなわち、(a)の商用交流電源に使用するトランスには珪素鋼を使うため、重く大きくなり、また、鉄損、銅損による損失が大きい。また、(b)では、例えば100Vの交流から10Vの直流を得ようとすると、抵抗による損失は90%に達し、エネルギーの損失が極めて大きい。また、電流が大きければ放熱等の対策も必要となる。さらに、(c)はコンデンサの容量が小さくて済むため、小型化が可能である。しかしながら、回路的に複雑なものとなり、高価になるだけでなく、常時使用する電源としては損失も大きい。
【0004】
前述のような問題点を解消するために、トランスを用いることなく簡単な回路構成で商用交流電源から直流低電圧を得ることができる電源分圧整流回路が特許文献1において提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1において提案されている電源分圧整流回路の場合は、商用電源電圧を半波整流しているので、交流電圧の正の半周期部分を取り出すだけであり、負の半周期はダイオードを電流が通過できず、効率が悪い問題点があった。そこで、負の半周期においても電流を通過できるようにした、分圧整流回路が特許文献2に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−14239号公報
【特許文献2】特開平11−215830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2にて提案されている分圧整流回路は、交流電圧の正の半周期において電源電圧を分圧する回路と、交流電圧の負の半周期において電源電圧を分圧する回路とを別々に設けている。このため、部品点数が多く必要であり、回路規模が大がかりになってしまう不都合があった。
本発明は前述の問題点に鑑み、商用交流電源より低い電圧の直流電圧を効率良く得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の分圧整流回路は、交流電源電圧の整流出力を分圧して出力する分圧整流回路であって、前記交流電源電圧を全波整流する第1の整流回路と、前記第1の整流回路から出力される整流出力を充電するために直列に接続されたN個の分圧充電用コンデンサと、前記N個の分圧充電用コンデンサを分離するために各コンデンサ間に接続された(N−1)個のコンデンサ分離用ダイオードとからなる分圧充電回路と、前記分圧充電回路と並列に接続された出力コンデンサと、前記出力コンデンサと直列に接続された駆動回路と、前記N個の分圧充電用コンデンサのそれぞれと前記出力コンデンサとを、放電用ダイオードを介して接続されたN個の放電経路と、前記交流電源電圧を全波整流する第2の整流回路と、前記第1の整流回路の整流出力と前記第2の整流回路の整流出力とを比較して、前記第2の整流回路の出力が前記第1の整流回路の整流出力よりも所定の値以上低くなった場合に、前記駆動回路をON動作させるスイッチング回路とを備え、前記駆動回路がON動作されたときに、前記直列に接続されたN個の分圧充電用コンデンサのそれぞれに蓄積された電荷を前記出力コンデンサに前記放電回路と前記駆動回路を介して移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の分圧整流回路によれば、交流電源電圧を整流回路により全波整流した整流出力を分圧充電する分圧充電回路は1個であるので、構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、分圧用のコンデンサを充電する電流が流れ る経路を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示し、分圧充電回路に蓄積された電荷を出力コンデンサに移動させる経路を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示し、分圧充電用コンデンサに充電されていた電荷を出力コンデンサに移動させるタイミングを説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示し、1個の整流回路で構成した例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を示し、電力線搬送通信システムの概略構成を説明する図である。
【図6】調光制御されるLED回路の構成例を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施形態を示し、放電回路での電圧降下を減らしたものを示すブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施形態を示し、分圧充電回路に蓄積された電荷を出力コンデンサに移動させる経路を説明する図である
【図9】本発明の第5の実施形態を示し、放電回路での電圧降下をさらに減らしたものを示すブロック図である。
【図10】本発明の第5の実施形態を示し、分圧充電回路に蓄積された電荷を出力コンデンサに移動させる経路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、本実施形態の分圧整流回路は、交流電源100を第1の整流回路101と第2の整流回路102で全波整流している。そして、第1の整流回路101と並列に、分圧充電回路103が接続されている。
【0012】
本実施形態においては、同じ容量の3個の分圧充電用コンデンサC1〜C3を直列に接続するとともに、各コンデンサ間に、コンデンサ分離用ダイオードD1、D2を接続して分圧充電回路103を構成している。コンデンサの数は3個以外のN個(Nは2以上の整数)でよく、接続個数に応じた電圧値に第1の整流回路101の整流出力電圧を分圧する。本実施形態のように、3個のコンデンサC1〜C3を直列に接続した場合には、第1の整流回路101の整流出力電圧を3分の1に分圧する。コンデンサ分離用ダイオードD1、D2は、第1の整流回路101により整流された電流を充電電流として、3個のコンデンサC1〜C3に通流させる方向で接続されている。
【0013】
分圧充電回路103と並列に負荷回路104が接続されている。また、負荷回路104と並列に出力コンデンサC4が接続されている。そして、負荷回路104及び出力コンデンサC4の並列回路と直列に、3個のコンデンサC1〜C3に蓄積された電荷を出力コンデンサC4に移動させるための駆動回路105が接続されている。本実施形態においては、駆動用トランジスタQ2を用いて駆動回路105を構成した例を示している。この駆動用トランジスタQ2は電界効果トランジスタを用いており、そのゲート電極はスイッチング回路106に接続されている。本実施形態においては、負荷として発光ダイオードLEDを直列に複数個接続した例を示している。図1には、6個のLEDを直列に接続しているが、接続個数は任意である。また、複数のLEDと直列に動作安定化抵抗RSを接続している。
【0014】
スイッチング回路106は、第1の整流回路101の整流電圧の値が所定の値まで低下したときに、駆動用トランジスタQ2をON動作させるために配設されているものである。本実施形態においては、PNP型のバイポーラトランジスタQ1を用いて構成した例を示している。
【0015】
図1の例では、抵抗器R1、R2よりなる第1の抵抗分圧回路の接続点とトランジスタQ1のベース電極とを接続している。第1の抵抗分圧回路は、その一端が第1の整流回路101の+端子に接続され、他端が第2の整流回路102の+端子に接続されている。第2の整流回路102の、+端子と−端子とは抵抗器R5を介して接続されている。これにより、第2の整流回路102の整流出力電圧VDD2が、第1の整流回路101の出力電圧VDD1よりも所定の値まで低くなるとトランジスタQ1がONする様になっている。
【0016】
また、トランジスタQ1のエミッタ電極を第1の整流回路101の+端子に接続している。また、コレクタ電極を抵抗器R3、R4よりなる第2の抵抗分圧回路を介して第1の整流回路101の−端子に接続し、抵抗器R3、R4の接続点と駆動用トランジスタQ2のゲート電極とを接続している。
【0017】
前述のように、第1の整流回路101の出力電圧VDD1と異なる電圧VDD2を生成するのは、VDD1とVDD2との差で駆動用トランジスタQ2をONさせるタイミングを作成するためである。抵抗器R5は、電源の交流電圧の絶対値が小さくなった時にVDD2の電位が保持されず小さくなる様にするためのものである。
【0018】
第1のコンデンサC1の正電位側は第1の整流回路101の+端子に接続され、負電位側は放電用ダイオードD3を介して第1の整流回路101の−端子に接続されている。第2のコンデンサC2の正電位側は放電用ダイオードD5を介して第1の整流回路101の+端子に接続され、負電位側は放電用ダイオードD4を介して第1の整流回路101の−端子に接続されている。第3のコンデンサC3の正電位側は放電用ダイオードD6を介して第1の整流回路101の+端子に接続され、負電位側は第1の整流回路101の−端子に接続されている。
【0019】
図3(a)に示すように、本実施形態の第1の整流回路101の出力電圧VDD1の電位は、第1〜第3のコンデンサC1〜C3に充電されている電荷と放電回路の放電用ダイオードD3、4、5、6のために、交流電源100のピーク電圧PV(略140V)の略1/3の閾値電圧SV(略46V)までしか下がらない。一方、第2の整流回路102の整流出力電圧VDD2は基準電圧近くまで下がる。図3(b)に示す様にVDD2が基準電位まで下がらないのは第1の抵抗分圧回路を介してVDD1から電流が供給されるためである。
【0020】
第2の整流回路102の整流出力電圧VDD2が第1の整流回路101の出力電圧VDD1よりも所定の電圧分だけ低い期間t1、t2、t3・・・において、トランジスタQ1がON動作するようにしている。これにより、トランジスタQ1のコレクタ電極に接続されている第2の抵抗分圧回路における抵抗器R3とR4との接続点に電圧VGが発生し、この電圧VGが駆動用トランジスタQ2のゲート電極に印加されて、駆動用トランジスタQ2が動作状態となる。
【0021】
駆動用トランジスタQ2が動作状態となると、出力コンデンサC4に充電電流が流れる状態となる。これにより、3個のコンデンサC1〜C3に充電されていた電荷が放電され、出力コンデンサC4に充電される。本実施形態における放電回路は3つの放電ルート(放電経路)を有している。第1のコンデンサC1の放電ルートは、図2において矢印Y1で示すように、第1のコンデンサC1→出力コンデンサC4→駆動用トランジスタQ2→放電用ダイオードD3のルートである。
【0022】
また、第2のコンデンサC2の放電ルートは、図2において矢印Y2で示すように、第2のコンデンサC2→放電用ダイオードD5→出力コンデンサC4→駆動用トランジスタQ2→放電用ダイオードD4のルートである。さらに、第3のコンデンサC3の放電ルートは、図2において矢印Y3で示すように、第3のコンデンサC3→放電用ダイオードD6→出力コンデンサC4→駆動用トランジスタQ2のルートである。
【0023】
各コンデンサC1〜C3には、整流出力電圧を3分の1に分圧した電圧になる電荷が蓄積されていたので、出力コンデンサC4に蓄積される電圧は、整流出力電圧のピーク値の3分の1である。すなわち、第1の整流回路101の整流出力電圧を3分の1に分圧した電圧を負荷回路104に印加して駆動することができる。
【0024】
なお、3つの放電ルートにおいて、第2の放電ルート(矢印Y2)のみに放電用ダイオードが2個入るが出力コンデンサC4への充電時にその分遅れるだけであり、問題はない。また、3つのコンデンサC1、C2、C3の容量値に多少のばらつきが存在しても、その差は出力コンデンサC4の充電時において、高い電圧まで充電されたコンデンサから順次放電を開始して同じ電位に揃うことで動作時に吸収される。
【0025】
前述したように、本実施形態においては、平滑コンデンサの直列回路を用いた軽量な構造で、電源電圧を平滑コンデンサの個数に応じた分圧比で発生可能となる。これにより、スイッチングレギュレータのように高周波のパルス状スイッチング雑音を発生することもない。ダイオードによる損失を伴うだけであり、トランス式或はスイッチングレギュレータに比べて高効率となる。さらに、スイッチングレギュレータの電源として使用する場合でも、100V又は200V等の高い直流電源電圧によるスイッチング動作でなく、低い直流電源電圧でスイッチング回路を作動させ得るために、その回路からの放射雑音を低減できる。
【0026】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態を説明するためのブロック図である。図4に示すように、本実施形態においては第2の整流回路102を省略し、逆流防止ダイオードD7を介してから分圧充電回路103を充電するための電圧VDD1とし第1の整流回路101の出力を整流出力電圧VDD2としている。
【0027】
すなわち、電源の交流電圧の絶対値が小さくなると、整流出力電圧VDD2の電圧が下がるのでVDD1の電圧点から、抵抗器R1→R2→R5→第1の整流回路101の−電極に電流が流れトランジスタQ1が動作する。これにより、電圧VDD1よりも電圧VDD2が所定の値だけ低くなったことを検出している。このように構成することにより、整流用ダイオードブリッジが1個で良い利点が得られる。なお、逆流防止ダイオードD7は各コンデンサC1、C2、C3に蓄積した電荷が直接、第1の整流回路101と抵抗器5に流れるのを防止するためのものである。抵抗器R5は図1,2の例と同様に電源の交流電圧の絶対値が小さくなった時にVDD2の電位が保持されず小さくなる様にするためのものである。
【0028】
(第3の実施形態)
前述した第1及び第2の実施形態においては、電圧VDD2が電圧VDD1よりも所定の電圧分だけ低い期間t1、t2、t3・・・に於いてトランジスタQ1をON動作させている。これらの期間t1、t2、t3・・・においては、整流回路には電流が流れないので電源線に重畳するノイズ分が少ない。
【0029】
そこで、本実施形態においては、期間t1、t2、t3・・・に通信信号を重畳して電力線通信を行う実施形態を説明する。
図5は、本実施形態の電力線搬送通信システム10の概略構成を説明する図である。図5に示すように、本実施形態の電力線搬送通信システム10は、電力搬送ライン300を介して、電力供給源ACから第1の負荷501及び第2の負荷502に供給する電力のオン/オフ制御を行う。図5においては、第3の負荷503が電力搬送ライン300に接続されているが、本実施形態の電力線搬送通信システム10は第3の負荷503については電力のオン/オフ制御を行わない。
【0030】
本実施形態の電力線搬送通信システム10においては、電力線通信制御領域500を構成し、この電力線通信制御領域500に出入りする電力搬送ライン300にラインフィルターを配設することにより、電力線通信制御領域500内の電力搬送ライン300a、300bにはノイズが重畳されないようにしている。
【0031】
図5の例では、電力供給源ACから電力線通信制御領域500に電力を供給する電力搬送ライン300に重畳しているノイズを除去する入力ラインフィルター200、電力線通信制御領域500から第1の負荷501に電力を供給する電力供給線301に配設された第1のラインフィルター201、電力線通信制御領域500から第2の負荷502に電力を供給する電力供給線302に配設された第2のラインフィルター202、電力線通信制御領域500から第3の負荷503に電力を供給する電力線に配設された第3のラインフィルター203を示している。
【0032】
入力ラインフィルター200〜第3のラインフィルター203は、電力搬送ライン300を介して入力されるノイズをカットし、コントローラ400と応答端末110、120との間で行われるデータ通信において誤作動が発生しないようにする。また、コントローラ400と応答端末110、120との間で行われるデータ通信の周波数信号をカットして、データ通信を行うことによる外部装置への影響を少なくする。ラインフィルターの構成例としては、コントローラ400から出力する制御信号近辺の周波数をカット可能である公知のフィルターを使用することができる。
【0033】
前述のように構成された電力線通信制御領域500の内部には、第1の応答端末110、第2の応答端末120、コントローラ400が配設されている。
第1の応答端末110は、第1の負荷501に供給する電力を制御するための装置であり、応答機111及び第1のスイッチ112を有している。第2の応答端末120は、第2の負荷502に供給する電力を制御するための装置であり、応答機121及び第2のスイッチ122を有している。コントローラ400は、通信回線11を介して外部のコンピュータ(PC)12と情報の送受信を行い、第1の応答端末110及び第2の応答端末120の動作を個別に制御する。
【0034】
図6に、調光制御されるLED回路の構成例を示す。
図6(a)は、複数のLEDと直列に動作安定化抵抗RSとして可変抵抗器を用い、抵抗値を制御することによりLEDを調光可能にした例を示している。
【0035】
図6(b)は、動作安定化抵抗RSと複数のLEDとの直列回路にスイッチSWを直列に接続し、スイッチSWを断続することにより点灯させるLED数を制御して調光可能にした例を示している。
【0036】
(第4の実施形態)
図7を参照しながら本発明の第4の実施形態を説明する。
第4の実施形態は、第1の実施形態で示した図1に対応し、図1における駆動用のトランジスタとして用いられていたPNP型のバイポーラトランジスタQ1を、MOSトランジスタ(電界効果トランジスタ)に変更している。また、放電用ダイオードD3と並列にMOSトランジスタQ3を接続し、放電用ダイオードD4と並列にMOSトランジスタQ4を接続したものである。MOSトランジスタQ3、Q4のゲート電極は、駆動用トランジスタQ2のゲート電極と共通に接続されている。
【0037】
このような構成により、各コンデンサC1、C2、C3に蓄積した電荷を放電する際には、図8に示すように、分圧充電回路に蓄積された電荷を出力コンデンサに移動させる場合には、MOSトランジスタQ3、Q4を通る放電パスが形成される。これにより、放電用ダイオードD3、D4での電圧降下をなくすことができるので、放電回路での電圧降下を減らすことができる。したがって、分圧比を上げた場合に大きな効果を得ることができる。
【0038】
(第5の実施形態)
図9は、図7及び図8に示した第4の実施形態の回路よりも放電回路での電圧降下をさらに減らした実施形態を示すブロック図である。
図9に示すように、本実施形態においては、放電用ダイオードD5と並列にMOSトランジスタQ5を接続し、放電用ダイオードD6と並列にMOSトランジスタQ6を接続している。また、第2の抵抗分圧回路の抵抗器R3とR4との接続点にゲート電極を接続し、MOSトランジスタQ7が接続されている。このMOSトランジスタQ7のドレイン電極は抵抗器R6を介して第1の整流回路101の+端子に接続され、ソース電極は第1の整流回路101の−端子に接続されている。
【0039】
前述のような構成により、本実施形態においては、抵抗器R1、R2よりなる第1の抵抗分圧回路、PMOSトランジスタQ1、抵抗器R3、R4よりなる第2の抵抗分圧回路、抵抗器R6、NMOSトランジスタQ7により、スイッチング回路106が構成されている。
【0040】
MOSトランジスタQ7のドレイン電極に、駆動用トランジスタQ2のゲート電極が接続されている。前述した第1の実施形態〜第3の実施形態においては、駆動用トランジスタQ2としてNMOSトランジスタを用いたが、本実施形態においてはPMOSトランジスタを用いており、そのソース電極が第1の整流回路101の+端子に接続し、ドレイン電極を負荷回路104及び出力コンデンサC4の並列回路に接続されている。
【0041】
このように構成された第5の実施形態においては、図10に示すように、第1の整流回路101の出力電圧VDD1が放電できるまで低下したときに、スイッチング回路106により、MOSトランジスタQ3、Q4、Q5、Q6、Q2をON動作させる。これにより、第1〜第3のコンデンサC1〜C3に充電されている電荷を出力コンデンサC4に放電する際に、放電用ダイオードD3〜D6での電圧降下をなくすことができる。
【0042】
なお、本実施形態において、NMOSトランジスタQ7、抵抗器R6をスイッチング回路106に追加したのはPMOSトランジスタQ2、Q5、Q6を駆動するためである。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、交流電源電圧を整流回路により全波整流した整流出力を分圧充電する分圧充電回路は1個であるので、構成を簡素化することができる。
また、2種類の電圧VDD1とVDD2とを生成し、VDD2がVDD1よりも所定の電圧分だけ低い期間t1、t2、t3・・・において、トランジスタQ1がON動作するようにした。これにより、トランジスタQ2がON動作することにより、分圧充電回路103の各コンデンサC1、C2、C3に蓄積した電荷を出力コンデンサC4に確実に移すことができる。
【符号の説明】
【0044】
100 交流電源、
101 第1の整流回路
102 第2の整流回路
103 分圧充電回路
104 負荷回路
105 駆動回路
106 スイッチング回路
C1、C2、C3 3個の充電用コンデンサ
D1、D2 コンデンサ分離用ダイオード
C4 出力コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源電圧の整流出力を分圧して出力する分圧整流回路であって、
前記交流電源電圧を全波整流する第1の整流回路と、
前記第1の整流回路から出力される整流出力を充電するために直列に接続されたN個の分圧充電用コンデンサと、前記N個の分圧充電用コンデンサを分離するために各コンデンサ間に接続された(N−1)個のコンデンサ分離用ダイオードとからなる分圧充電回路と、
前記分圧充電回路と並列に接続された出力コンデンサと、
前記出力コンデンサと直列に接続された駆動回路と、
前記N個の分圧充電用コンデンサのそれぞれと前記出力コンデンサとを、放電用ダイオードを介して接続されたN個の放電経路と、
前記交流電源電圧を全波整流する第2の整流回路と、
前記第1の整流回路の整流出力と前記第2の整流回路の整流出力とを比較して、前記第2の整流回路の出力が前記第1の整流回路の整流出力よりも所定の値以上低くなった場合に、前記駆動回路をON動作させるスイッチング回路とを備え、
前記駆動回路がON動作されたときに、前記直列に接続されたN個の分圧充電用コンデンサのそれぞれに蓄積された電荷を前記出力コンデンサに前記放電回路と前記駆動回路を介して移動させることを特徴とする分圧整流回路。
【請求項2】
交流電源電圧の整流出力を分圧して出力する分圧整流回路であって、
前記交流電源電圧を全波整流する第1の整流回路と、
前記第1の整流回路から出力される整流出力を充電するために直列に接続されたN個の分圧充電用コンデンサと、前記N個の分圧充電用コンデンサを分離するために各コンデンサ間に接続された(N−1)個のコンデンサ分離用ダイオードとからなる分圧充電回路と、
前記分圧充電回路と並列に接続された出力コンデンサと、
前記出力コンデンサと直列に接続された駆動回路と、
前記N個の分圧充電用コンデンサのそれぞれと前記出力コンデンサとを、放電用ダイオードを介して接続されたN個の放電経路と、
前記第1の整流回路と前記分圧充電回路との間に配設され、前記分圧充電回路に蓄積された電荷が前記第1の整流回路に逆流するのを防止する逆流防止ダイオードと、
前記逆流防止ダイオードの出力側の電圧よりも入力側の電圧が所定の値以上低くなった場合に、前記駆動回路をON動作させるスイッチング回路とを備え、
前記駆動回路がON動作されたときに、前記直列に接続されたN個の分圧充電用コンデンサのそれぞれに蓄積された電荷を前記出力コンデンサに、前記放電回路と前記駆動回路を介して移動させることを特徴とする分圧整流回路。
【請求項3】
前記放電経路の1部あるいは全ての放電用ダイオードと並列にSW素子を接続し、放電動作時にSW素子を前記スイッチング回路によりONさせることを特徴とする請求項1または2に記載の分圧整流回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−157104(P2012−157104A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12058(P2011−12058)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(599098851)吉川アールエフシステム株式会社 (23)
【Fターム(参考)】