説明

分子を分離するための方法

本発明は、金属修飾固形支持体の使用により、金属、または、ポリペプチド、核酸、もしくはエンドトキシンなどの分子を分離するための組成物および方法を提供する。該金属および分子は、本発明の修飾固形支持体の使用により出発物質から単離される。併せて、本発明は、本発明の方法に関連して使用し得るキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連する出願の参照
この出願は、2002年10月18日出願の、米国仮出願60/419,614号の利益を要求する。
発明の背景
本発明は、概して、金属イオン、または、(限定をするものではなく)ポリペプチド、核酸、およびエンドトキシンなどの他の標的物質の、非標的物質からの分離に有効な組成物および方法に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
発明の要約
1つの態様によれば、本発明は、出発物質を、ある組成物と接触させて、標的物質の少なくとも一部と該組成物の間に複合体を形成することを含む、出発物質から標的物質を単離する方法を含み、ここで該組成物は、
【化1】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。)、
および、







【0003】
【化2】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
からなる群より選択される。
本発明の、これらおよびその他の態様は、以下の図面および詳細な説明の参照によってさらに理解される。
本明細書において参照する各刊行物または特許出願は、その全体が本明細書に含まれるものとする。本明細書における開示と、援用する文献が抵触する場合は、本明細書における開示が優先する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
発明の詳細な説明
本発明は、標的物質を出発物質から分離するための組成物および方法を提供する。適切な標的物質として、金属イオン、ポリペプチド、核酸、細胞、細胞膜などが挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明は、本発明の方法の実施における使用に適したキットを提供する。
本発明の組成物および方法は、広範な用途において有用であり、具体例としては、混合物中の分子の分画、液体からの金属イオンの除去、細胞懸濁からの細胞の捕獲、膜または膜タンパク質の単離、混合物からの望まれない混入タンパク質の除去などが挙げられる。当業者に理解されるように、本発明の組成物および方法は、単独で使用してもよいし、他の組成物または方法と併せて使用してもよい。
本発明の組成物および方法は、標的物質を容易に単離または精製することを可能にするため、規模の縮小、ロボットを使用した操作、および、ハイスループットアッセイにおける使用、が可能である。また、本発明の組成物および方法は、構造的および機能的ゲノミクスおよびプロテオミクスにおける使用に適している。
本発明の組成物は、ニトリロ三酢酸(NTA)修飾固形支持体および金属修飾固形支持体などの修飾固形支持体を含む。
本発明の方法は、NTA修飾固形支持体、金属修飾固形支持体、またはアミン修飾固形支持体を用いて、金属イオン、分子、細胞内容物、または細胞などの標的物質と複合体を形成するか、あるいは、出発物質の非標的物質からの該標的物質の分離に影響を及ぼす。
【0005】
本発明の修飾固形支持体の作製に適した固形支持体として、ゲルまたは硬質の支持体物質、アガロース、ポリアクリルアミド、セルロース、プラスチック、ポリサッカライド、ナイロン、ポリスチレン、ラテックスメタクリラート、シリカ、酸化アルミニウム、電極、メンブレン、およびこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
適切なシリカ固形支持体として、酸化ケイ素、磁性シリカ粒子、ガラスもしくは珪藻土などの固体シリカ、またはシリカ物質の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Kurt-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, Vol. 21, 4th ed., Mary Howe-Grant, ed., John Wiley & Sons, pub., 1997, p.1021 のシリカの調製に関する記載を参照のこと)。後述の実施例において説明するように、適切なシリカゲルは、Silicycle (カナダ、ケベック市)、J.T. Baker(ニュージャージ州フィリップスバーグ)、およびSigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)などの供給業者から商業的に入手可能である。本発明の組成物および方法に適したシリカゲルについては、後述の実施例においてさらに詳しく説明する。他の適切なシリカ支持体として、結晶またはガラス(vitreous)シリカ、例えば、石英、石英ガラス(vitreous silica)、多孔質ガラス粒子、およびガラス繊維などが挙げられる。
シリカゲルは、細孔径、粒径、または比表面積によって特徴づけられる。適切なシリカゲルは、細孔径が約30から約1000オングストローム、粒径が約2から約300μm、および比表面積が約50m2/gから約1000m2/gである。適切なシリカゲルとしては、例えば、細孔径が約40オングストローム、約60オングストローム、および約150オングストロームであるもの;粒径が約2から約25μm、約5から約25μm、約15μm、約63から約200μm、および約75から約200μmであるもの;並びに、比表面積が約300m2/g、約500m2/g、約550m2/g、約675m2/g、および約750m2/gであるものが挙げられる。
【0006】
便宜上、本発明の固形支持体は磁性シリカ粒子を含み得る。磁性シリカ粒子は、含水の酸化ケイ素吸着性の表面(即ち、シラノール(Si-OH)基を有する表面)でコートされた超常磁性の核を有する。好ましくは、商業的に入手可能な磁性シリカ粒子として、Promega Corporation(ウィスコンシン州マディソン)から入手可能なMagneSil(登録商標)粒子が挙げられる。本発明における支持体としての使用に適した磁性シリカ粒子の調製については、米国特許第6,296,937号に説明されている。
適切なセルロース支持体として、ニトロセルロースおよび酢酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
適切なメンブレンとして、シリカを含浸させたガラス繊維膜が挙げられるが、これに限定されない。
適切な酸化アルミニウム固形支持体として、約150メッシュおよび58オングストロームのBrockmann酸化アルミニウムが挙げられるが、これに限定されない。
【0007】
本明細書において説明するように、アミン修飾固形支持体は、例えば、少なくとも1つの遊離ヒドロキシル基を含む固形支持体を使用して形成し得、それは、固形支持体にアミノシラン化合物が接触すると、少なくとも1つのシラノール結合によってアミノシラン化合物のケイ素原子が固形支持体に共有結合し、アミン修飾固形支持体を形成するというものである。
アミノシラン化合物はUnited Chemical Technologies, Inc.(ペンシルバニア州ブリストル)などの供給業者から商業的に入手可能である。適切なアミノシラン化合物は以下の一般式を持ち、

【0008】
式中、X は、20個までの炭素原子を持つ、飽和、不飽和、分岐鎖、直鎖、もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ノニレン)、20個までの炭素原子を持つアラルキレン基(アルキル部分は飽和、不飽和、分岐鎖、直鎖、もしくは環状であり得る)、または、20個までの炭素原子を持つアリーレン基であり、また、X は置換されていなくても、後述の炭化水素基に関する定義のように置換されていてもよく;
R1は炭化水素基、または置換炭化水素基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、他のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基、または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;そして、
RNは、NH2、NHRN1、NRN1RN2、またはNRN1RN2RN3であり、ここで、RN1、RN2、およびRN3は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子から独立に選択され、好ましくは、RN1、RN2、およびRN3は、独立に、最長鎖に6個までの炭素原子を持つアルキル基、最長鎖に6個までの炭素原子を持つ置換アルキル基、または水素原子であり得る。”最長鎖”とは、IUPAC命名法に使用されるように、アルキル基の最も長い鎖のことである。
【0009】
本明細書で使用する”炭化水素基(hydrocarbon moiety)”という言葉は、20個までの炭素原子を持つ、飽和、不飽和、分岐鎖、直鎖、もしくは環状のアルキル基(即ちアルカン、アルケン、またはアルキン);20個までの炭素原子を持つアラルキル基(アルキル部分は飽和、不飽和、分岐鎖、直鎖、もしくは環状であり得る);または、20個までの炭素原子を持つアリール基を意味する。好ましくは、炭化水素基は、2個から15個、または5個から10個の炭素原子を含む。”置換炭化水素基(substituted hydrocarbon moiety)”という言葉は、本明細書において定義した炭化水素基であって、少なくとも1つの炭素原子が、酸素、硫黄、または窒素原子と置換されているものを意味する。置換基は、例えば、オキソ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、エステル基、チオエーテル基、アミノ基、アルキルアミン基、またはカルバモイル基であり得る。
本発明の実施に有用な適切なアミノシラン化合物の例として、アミノプロピルシラン、プロピルエチレンジアミンシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、およびN-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
本明細書において説明するNTA修飾固形支持体は、遊離NH2基を持つ固形支持体を接触させて、ニトリロ三酢酸と支持体のアミン基の間にアミド結合を形成させることにより生産し得る。ニトリロ三酢酸は、多価金属イオンと安定な複合体を形成する能力を持つキレート剤として作用する。
修飾が可能であるアミン基を有するか、または、修飾可能なアミン基を含むようにできるのであれば、どのような固形支持体をNTA修飾固形支持体の生産に使用してもよい。NTA修飾固形支持体の生産の使用に適した固形支持体は、複数の遊離NH2基をもつ。当業者は、固形支持体の表面を化学的に修飾することによって固形支持体に遊離アミン官能性を付与することができる。例えば、Greg T. Hermason, A. Krishna Mallia, Paul K. Smith, Immobilized Affinity Legand Techniques, Academic Press (1992)を参照のこと。加えて、NTAに結合して本発明のNTA修飾固形支持体を形成することが可能な、遊離NH2基を持つ適切な固形支持体は、商業的に入手可能である。これらの例として、Sigma-Aldrich Inc.(ミズーリ州セントルイス)より販売のアガロースベース支持体;International Dynamics Corporation(フロリダ州ロングウッド)より販売のラテックスベース支持体;Bangs Laboratories Inc.(インディアナ州フィッシャーズ)、Spherotech(イリノイ州リバティービル); およびDynal Biotech(ニューヨーク州レイクサクセス)より販売のポリスチレンベース支持体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
別の態様によれば、本発明は金属修飾固形支持体を提供する。本明細書において説明する金属修飾固形支持体は、上述のNTA修飾固形支持体を金属イオン溶液と接触させて金属修飾固形支持体を形成させることにより生産し得る。金属イオン溶液は、金属イオン塩(塩は、クロリド、スルファート、ホスファート、アセタート、カルボナート、シトラート、アセチルアセトナート、ブロミド、フルオリド、ヨージド、ニトラート、およびオキサラートの塩が挙げられるが、これらに限定されない)を含有し得る。金属濃度は、約10-6M未満から約1Mであり得る。典型的には、溶液の金属イオン濃度は約0.1Mから約1Mの範囲内にあり得る。金属イオン溶液は、ただ1つの金属イオン、または様々な金属の混合物から構成され得ると考えられる。好ましくは、金属イオンとNTA修飾固形支持体の間に四座配位錯体が形成され得る。例えば、Inorganic Chemistry (1974), 13(3), 550-9 の New multidentate ligands. XV. Chelating tendencies of diglycine-N,N-diacetic acid, triglycine-N,N-diacetic acid, and tetraglycine-N,N-diacetic acid を参照のこと。
金属修飾固形支持体の文脈で使用される”金属イオン”とは、酸化状態が+1から+6であるあらゆる金属を意味する。好ましくは、金属は、ニッケル、銅、コバルト、鉄、亜鉛、またはガリウムであり得る。加えて、以下の金属イオン:鉄(III)、銅(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、亜鉛(II)、セリウム(III)、マグネシウム(II)、カルシウム(II)、ガリウム(III)、クロム(III)、インジウム(III)、ランタン(III)、ルテチウム(III)、スカンジウム(III)、タリウム(III)、イッテルビウム(III)、トリウム(IV)、ウラナート(II)、銀(I)、金(I)、および銅(I)、が本発明に適していると考えられる。当業者は、分離しようとする物質に応じて、適切な金属を選択し得る。さらに、結合した金属イオンを、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤を使用して金属修飾支持体から引き離し、NTA固形支持体を再生させることができると考えられる。
【0012】
本発明の修飾固形支持体は、例えば、実施例または本明細書の他のセクションなどに説明されているものなどの、多くの方法(これらに限定されない)において有用である。当業者が理解するように、本発明の支持体は、用途の特定の要求に応じて、多様な種類の形態で供給または使用され得る。例えば、修飾固形支持体は、カラム内で、スピンカラム内で、マイクロタイタープレートのウェル内で、フィルターに組み込まれてもしくはフィルターとして形成して、または、哺乳動物に埋め込み可能な道具として使用し得、あるいは、例えばピペットチップの使用などの、移し替え手段によって廃棄し得る。
本発明の方法に使用される出発物質としては、標的物質を含むまたは含むと推測されるあらゆる物質が挙げられ、該出発物質は場合により非標的物質を含んでいてもよい。出発物質としては、生物学的試料(例えば細胞培養液、使用済の培地、または細胞溶解物)または環境の試料(例えば水または空気)から直接採取したもの、更には、加工もしくは部分的に精製した物質が挙げられる。出発物質は、あらゆる形態(例えば、溶液または懸濁の形態)の標的または非標的物質を含み得る。出発物質は、真核生物または原核生物の試料(培養した真核もしくは原核細胞など)から得てもよく、また、遺伝子組換えまたは天然の生物分子を含んでいてもよい。出発物質はとしては、例えば発現系において使用した溶解物(例えば、大腸菌S-30、小麦麦芽、およびウサギ網状赤血球の溶解物などの無細胞(cell-free)溶解物、ただしこれらに限定されない)などのクルードな細胞溶解物が挙げられる。出発物質は、分泌された標的物質を含む、使用済のバクテリアまたは細胞の培地であり得る。適切な出発物質はタンパク質の複合体混合物を含み得る。出発物質として、バクテリア、酵母、菌類、もしくはウィルス由来の物質、または植物もしくは動物由来の物質(これらの生成物、例えば、全血、血漿、血清、乳などを含む)が挙げられる。出発物質は、水、空気、尿などの流体でもよい。
【0013】
本発明の方法においては、出発物質は、本発明の修飾固形支持体と接触することにより、標的物質と支持体の間に複合体を形成する。簡便のため、接触させた出発物質の物理的分離によって粒子から回収された物質は、”フロースルー”と表し、分離に効果を与えた方法は問わない。
本発明の方法は、特定の効果(即ち、標的物質と出発物質(またはその構成成分)の間の位置関係の変化)の達成は、出発物質中の標的または非標的物質の、本発明の組成物と複合体を形成する能力に依存する。この効果は、標的または非標的物質に関する、除去、分離、単離、精製、分画などによって説明し得る。これらの用語は、本発明の限定を意図するものではない。これらの用語は、絶対的ではなく、むしろ相対的であり、互換性を持って使用されるのは当業者の理解するところである。
いくつかの用途においては、本発明の方法は、出発物質から不必要な標的物質を除去する効果を得るために実施される(例えば、水などの液体からの、毒性を有する可能性のある金属イオンの除去)。他のケースにおいては、本発明の目的は、標的物質および非標的物質を含む複合体混合物から特定の標的物質を単離もしくは精製すること、または、標的物質と非標的物質を分画することにある。
【0014】
本発明の方法によって単離または精製されたポリペプチドなどの標的物質は、その後の用途における使用にも適している。単離した標的物質のさらなる単離、分析、または定量化を、数ある技法(例えば、二次元ゲル電気泳動、質量分析、X線回析、核磁気共鳴、プロテインチップ(アレイベースまたはマトリクスベース)、および酵母ツーハイブリッドシステム、ただしこれらに限定されない)を使用して行い得る。
本明細書において使用する、ポリペプチドという用語は、3個以上のアミノ酸単位がペプチド結合を介してつながったポリマーを含み、タンパク質を含み得る。ポリペプチドは、シングルチェーンでもよいし、または、複数のサブユニットを持つ天然タンパク質の場合またはお互いに相互作用するもしくは複合体を形成する多様化(diverse)ポリペプチド(例えば、抗体−抗原複合体、またはタンパク質を基質とする酵素)のような場合には、2以上のホモログまたはヘテロログポリペプチド鎖を含み得る。ポリペプチドは、変性タンパク質または自然なタンパク質のいずれでもよい。適切なポリペプチドとしては、電子濃度供与体または受容体として機能し得る金属結合基または表面活性(surface-active)アミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸)が挙げられる。表面にヒスチジンまたはシステイン残基を3個より多く持つポリペプチドが、本発明の方法による精製に特によく適している。ヒスチジンまたはシステインは、天然に存在するヒスチジン(例えばヘモグロビン、ミオグロビン、および他のヘム含有タンパク質にみられるもの)でもよいし、または当業者に知られる遺伝子組換え技術を介してポリペプチドに付加してもよい。
適切なポリペプチドとしては、金属タンパク質、ホルモン、レセプター、酵素、貯蔵ポリペプチド、血液ポリペプチド、抗体、膜ポリペプチド、リン酸化されたポリペプチド、細胞質ポリペプチド、分泌ポリペプチド、オルガネラポリペプチド、ポリペプチド−核酸複合体、多タンパク質複合体、当業者に知られる遺伝子組換え技術を使用して作製された突然変異ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
標的ポリペプチドを含む標的物質を、”アフィニティータグ”を含むように修飾または設計することにより、該標的物質の、アフィニティータグを持たない非標的物質からの分離を促進し得る。アフィニティータグを付した標的ポリペプチドは、当技術分野において知られる化学的または組換えDNA技法によって作製し得る。適切には、標的ポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチド配列にアフィニティータグを含ませるように遺伝子組換えを行うことによって、アフィニティータグを、N-末端もしくはC-末端、またはN-末端とC-末端の両方に付加し得る。適切なアフィニティータグをエンコードする配列は、アフィニティータグが標的ポリペプチド上の内部にあるように組換えを行ってもよい。適切なアフィニティータグは例えば、ヒスチジン(His)タグ(例えば、ポリヒスチジンテール)および金属結合ドメインを含み得る。本発明における使用に適した他のアフィニティータグとしては、ポリアルギニンタグ、Strep-タグ、カルモジュリン結合ペプチド、マルトース結合タンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、ユビキチン、またはビオチン/アビジンが挙げられる。
後述の実施例は、特定のヒスチジンタグ付きタンパク質(例えば、His-ルシフェラーゼ、His-RNaseHI、およびHis-メチオニルtRNAトランスフェラーゼ)の分離について説明する。本発明の方法は、他のヒスチジンタグ付きタンパク質(His-エンドスタチン、His-タウ、His-カリオフェリン-アルファ2、His-ユビキチン、His-オステオポンチン、およびHis-カルシニューリンBアルファタンパク質)の単離にも効果的であることが見出された(データは示されていない)。本方法は、どのようなヒスチジンタグ付きタンパク質の精製にも使用し得ることは、当業者に理解される。
標的分子が、出発物質中に存在する少なくとも1種類の非標的物質と比較して、本発明の組成物と複合体を形成する傾向が異なるという前提において、本発明の方法は、あらゆる標的分子の、出発物質中の非標的分子からの単離に使用し得ると推測される。
【0016】
NTA修飾支持体は、水、空気、血液、または目的とする他の流体から有毒金属を除去するのに使用し得る。例えば、NTA修飾固形体は、アルミニウム、ヒ素、ビスマス、アンチモン、過剰なカルシウム、過剰な鉄、金、亜鉛、マグネシウム、水銀、カドミウム、鉛、銅、および銀などの、有害または有毒であり得る金属を、工業廃水および生活用水から除去および/または回収するのに使用し得る。特に関心事とするのは、家庭配管のパイプおよびはんだ接合から浸出し得る鉛の塩である。NTA-修飾固形支持体は、キレート剤と類似する方法により、水からの重金属イオンの除去(例えば、米国特許第4,500,494号)、(キレート化合物を、金属イオンを捕らえるためのフィルターと併せて使用することによる、)水の中の重金属イオンの分析(例えば、米国第特許4,080,171号)、水の精製(例えば、米国特許第4,348,328号)、または、レジンと併せることによる液体からの重金属イオンの回収(例えば、米国特許第4,220,726号)に使用し得る。
【0017】
さらに、本発明のNTA修飾固形支持体は、液体からの金属の抽出、不活性化、または除去が望まれる数々の他の用途、例えば、血漿からカルシウムを取り除いて、血漿を血清に変換させる、または研究施設において、こぼれた放射性金属イオンを拭き取るなどにも有用であり得る。NTA修飾支持体は、鉛または水銀中毒の個人から毒素金属を除去することにも使用し得る。
特定の金属イオンの不足または枯渇が、健康状態に影響を及ぼすとの報告がある。従って、本発明のNTA修飾固形支持体は、病態または疾病素因を示す金属と関係する分子の検出、抽出の診断手段として使用し得る
NTA修飾固形支持体は、例えば、米国特許第6,428,807号に説明されるような一般的なアプローチに類似する方法によって、キレート形成免疫刺激複合体の調製に使用し得る。
【0018】
金属修飾固形支持体は、出発物質の非標的物質から標的物質(例えば、ポリペプチドまたは核酸)を分離するのに使用し得る。例えば、金属修飾固形支持体は、出発物質に存在する他の分子から、hisタグを付したポリペプチドを分離するのに使用し得る。出発物質は、必要により、約0から約60mMの濃度でイミダゾールを含有するように調整してもよい。ヒスチジンタグを付したタンパク質は、あらゆる適切なバッファーを使用して支持体から溶出し得る。適切なバッファーは約60mMから約1Mの濃度でイミダゾールを含有し得る。他の適切な溶出バッファーは、標的タンパク質の等電点(pI)より低いpH、好ましくは約5未満のpHであるものである。他の適切な溶出バッファーとしては、競合的なキレート剤、例えば、EDTAもしくはEGTA、トリフルオロ酢酸、L-ヒスチジン、ジペプチド、ヒスチジンペプチドもしくはポリマー、またはイミダゾール様ポリマーを含むバッファーが挙げられる。
金属修飾固形支持体は単独で使用してもよいし、アミン修飾固形支持体などを使用した他の精製方法と併せて使用してもよい。
また、金属修飾固形支持体は、出発物質からエンドトキシンを除去するのに使用し得る。好ましくは、エンドトキシンという言葉は、大腸菌、サルモネラ菌、シゲラ、緑膿菌、ナイセリア、ヘモフィルス、または、エンドトキシンを生成する他のあらゆる病原菌などのグラム陰性菌の特定の種の外膜に存在するリポ多糖複合体を意味する。
金属修飾固形支持体は、量の少ないタンパク質、膜タンパク質およびリン酸化タンパク質の単離または同定に使用できる。
金属修飾支持体は、WO 02/42398A2において他のIMACレジンについて説明されているように、核酸の分離に使用し得る。
【0019】
後述の実施例に説明するように、本発明の金属修飾固形支持体、および、固定化金属キレート剤(例えば、Qiagenより商業的に入手可能なニッケルアガロースビーズ)を含む他の固形支持体は、検出可能なラベルの使用により、固形支持体と複合体を形成したタンパク質の検出が可能であることを見出した。実施例において、クマシー、フルオレセイン、またはBodipyが、固形支持体に固定化したタンパク質と数量的な方法で複合体を形成することが見出された。あらゆる適切な色素または蛍光ラベルを使用して、固定化金属キレート剤を含む固形支持体と複合体を形成したタンパク質を検出し得ると考えられる。適切な検出可能なラベルの、他の例としては、ラマゾールブリリアントブルーR、エオシンイソチオシアナート、リアクティブオレンジ、プロシオンレッド、エオシンヨードアセトアミド、リアクティブブラック5、リアクティブオレンジ14、マラキトグリーンイソチオシアナート、ローダミンイソチオシアナート、レマゾールブリリアントバイオレット5R、ローダミン、およびクマリンが挙げられるが、これらに限定されない。
また、金属修飾固形支持体は、ポリペプチド−ポリペプチド複合体または相互作用の単離または評価;ポリペプチド機能のスクリーニング;抗体、抗原、または抗体-抗原複合体の単離;アフィニティータグ付きポリペプチドの定量;疾患の診断スクリーニング;抗体のスクリーニング;薬剤の作用薬または拮抗薬のスクリーニング;レポーター遺伝子アッセイ;ポリペプチド発現ライブラリーの作製;細胞からのポリペプチドライブラリーの作製;ポリペプチドマイクロアレイの作製;遺伝子組換え酵素のスクリーニング;相互作用分子(例えば補助因子)の単離(co-isolating);インビボのエンドトキシン濃度の軽減;組織プロファイリング;または細胞プロファイリングにも使用し得る。
【0020】
後述の実施例において詳述するように、アミン修飾固形支持体は様々な用途において有用であること見出した。アミン修飾固形支持体は、出発物質中に存在する他の物質からのヘモグロビンの分離、膜小胞の単離、膜タンパク質の精製、および細胞の濃縮または精製などを容易に行うことを可能にする。
アミン修飾固形支持体を使用することで、出発物質からヘモグロビンを除去し得る。後述の実施例に示すように、ヘモグロビンは、アミン修飾シリカ磁性粒子に結合しない。他のタンパク質からのヘモグロビンの分離は、ヘモグロビンが存在するあらゆる用途において有用である。例えば、網状赤血球溶解物発現系で発現させたタンパク質の精製度は、溶解物をアミン修飾固形支持体と接触させてヘモグロビンを除去することによって高まり得る。蛍光物質ベースの検出を採用する用途においては、ヘモグロビンの除去は特に有用である。なぜなら、ヘモグロビンは、シグナル/ノイズ比を減らすことによって、蛍光ラベルタンパク質の検出と干渉するからである。ヘモグロビンの除去の促進に加えて、本発明の方法は、ミオグロビンなどのヘムグループを含む他のタンパク質の除去を可能にするものと期待される。
アミン修飾固形支持体を使用して膜関連タンパク質を分離し、その後、同定または分析を行うことが可能である。後述の実施例において、膜タンパク質または膜関連タンパク質を、ミクロソーム膜小胞が存在する無細胞溶解物で発現させ、そして、膜と複合体を形成するように該溶解物をアミン修飾固形支持体と接触させることによって、溶解物中に存在する他の物質から分離した。この方法は、インビトロで発現させたタンパク質群のスクリーニングにおける使用に採用して膜タンパク質の単離および同定を促進し得、また、そのようなタンパク質のハイスループットスクリーニングにおける使用に適している。実施例に見られる通り、本方法において、必要により非イオン性界面活性剤を使用し、膜タンパク質の回収を容易にし得る。
【0021】
実施例において説明する通り、アミン修飾固形支持体は、金属修飾固形支持体などの他の精製方法をと併せて使用することによって、変性、非変性条件において、アフィニティータグ付きポリペプチドなどの標的分子を精製し得る。全体の精製操作における他の工程の中で、アミン修飾固形支持体を使用した精製工程を行う順序は、標的物質および存在し得るあらゆる非標的物質の性質に応じて変更し得る。
アミン修飾固形支持体に結合した特定の標的タンパク質は、その特定の標的タンパク質に特有である適切な条件下で、その後溶出し得ると想定される。適切な分画条件は当業者に知られる。実施例において示すように、hisタグなどのヒスチジン残基を含む標的タンパク質は、アミン修飾固形支持体に結合しない。本発明のアミン修飾固形支持体は、アミン修飾固形支持体への結合を軽減する分子部位(moiety)を含むように遺伝子組換えされた標的タンパク質の分離を容易にすると想定される。そのような分子部位としては金属結合基または表面活性アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。hisタグを付された標的ポリペプチドの分離に使用した技術によっては、結合していないhisタグ付きポリペプチドがフロースルーに表れる可能性がある。結合していないhisタグ付きポリペプチドは、金属修飾固形支持体を使用してさらに精製し得る。
以下の実施例は純粋に説明を意図するものであり、限定をするものではない。
【実施例】
【0022】
実施例1
金属修飾 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]-アミノ]プロピルシリカ磁性粒子の調製
a)3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子の調製
3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子は以下のように調製した。3-アミノプロピルトリメトキシシラン50mlを、撹拌されたメタノール溶液(900mL)に加え、次いで水(50mL)を加えた。混合物を、100gの磁性シリカ粒子(MP-50, W.R. Grace、メリーランド州コロンビア)に加えた。粒子は断続的に撹拌しながら、室温で4時間、懸濁状態においた。メタノール/シラン/水の残留液を取り除き、支持体粒子を1.2Lの水で3回洗い、そして1Lのメタノールに再懸濁した。3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子をろ過により集め、真空乾燥した。元素分析の結果、3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子の組成は、C:0.75、H:0.64、N:0.30であった。
b)3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子の調製
3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子は、上述の通りに調製した 3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子(100g)を、まずN,N−ジメチルアセトアミド(600mL)に懸濁し、トリエチルアミン(31mL、210mmol)を加え、そして十分に混合することにより作製した。200mmolの 2,6-ジケト-N-カルボキシメチル-モルホリン(米国特許第3,621,018号に従って調製)を含有する400mlのN,N−ジメチルアセトアミドを加え、得られた混合物を室温で4時間、懸濁状態においた。未反応のN,N−ジメチルアセトアミド/無水物/トリエチルアミンの溶液を取り除き、粒子を1.2Lの水で3回洗った。元素分析の結果、3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル修飾磁性シリカ粒子の組成は、C:1.06、H:0.61、N:0.17であった。
c)ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子の調製
ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子は、上述の通りに調製した3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子(100g)を、250 mMの塩化ニッケル(II)溶液(1 L)に室温で4時間、懸濁することにより調製した。余分のニッケル溶液を取り除き、得られた固形支持体を水で5回洗った。
【0023】
上の実施例1(a)-(c)で説明したものと類似する修飾粒子を、W.R. Graceの磁性シリカ粒子とは別の、出発材料の粒子を使用して調製した。工程(a)-(c)で使用した別のシリカゲルは:Sigma-Aldrich Corp(ミズーリ州セントルイス)(23,681-0、23,682-9、および23,684-5);Silicyle Inc.(カナダ、ケベック)(S10030M、10040M、100300T、S10040T、およびR10030M);またはJ.T. Baker(ニュージャージー州フィリップスバーグ)(7314-02および7315-20)より提供された。市販のシリカゲルは、約5から約500μmの範囲の粒径、および、約40から約1000オングストロームの範囲の細孔径を持つ粒子を含んでいた。
d)コバルト(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子の調製
コバルト(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子は、上述のとおりに調製した 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子100mgを、250mMの塩化コバルト(II)溶液に、室温で2分間懸濁させることにより調製した。余分のコバルト溶液を取り除き、得られた磁性シリカ粒子を水で5回洗った。
e)銅(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子の調製
銅(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子は、上述の通りに調製した 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子100mgを、250mMのCuCl2溶液に、室温で2分間懸濁させることにより調製した。銅溶液を取り除き、得られた磁性シリカ粒子を水で3回洗った。
f)亜鉛(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子の調製
亜鉛(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子は、上述の通りに調製した 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子100mgを、250mMのZnCl2溶液に、室温で2分間懸濁させることにより調製した。亜鉛溶液を取り除き、得られた磁性シリカ粒子を水で3回洗った。
【0024】
実施例2
金属修飾 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]-アミノ]プロピルシリカゲルの調製
(a)3-アミノプロピル修飾シリカゲルの調製
3-アミノプロピルトリメトキシシラン(125ml)を、撹拌されたメタノール溶液(2000mL)に加え、次いで水(125mL)を加えた。この混合物を、250gのシリカゲル(S10040T, 1000オングストローム, Silicycle, Inc、カナダ、ケベック)に加え、得られた混合物を、室温で4時間、懸濁状態においた。レジンを沈ませたあと、メタノール/シラン/水の残留液をデカントし、粒子を2.5Lの水で3回洗い、2Lのメタノールに再懸濁した。アミノシラン修飾固形支持体をろ過により集め、真空乾燥した。元素分析の結果、アミノプロピル修飾固形支持体の組成は、C:0.46、H:0.30、N:0.19であった。
(b)3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピルシリカゲルの調製
上述の通りに調製した 3-アミノプロピル修飾固形支持体(100g)をN,N−ジメチルアセトアミド(100mL)に懸濁し、トリエチルアミン(31mL、210mmol)を混合物に加えた。この懸濁液を十分に混合し、次いで200mmolの2,6-ジケト-N-カルボキシメチルモルホリン(米国特許第3,621,018号に従って調製、この文献のすべてを本明細書に援用する)を含有する400mlのN,N−ジメチルアセトアミドを加え、得られた混合物を、室温で4時間、懸濁状態においた。未反応のN,N−ジメチルアセトアミド/無水物/トリエチルアミンの溶液を取り除き、固形支持体を1.2Lの水で4回洗った。元素分析の結果、3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]プロピル固形支持体の組成は、C:0.94、H:0.32、N:0.28であった。
(c)ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]-アミノ]プロピルシリカゲルの調製
上述の通りに調製した 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]プロピル固形支持体の一部を、250 mMの塩化ニッケル(II)溶液に、室温で4時間懸濁させた。余分のニッケル溶液を取り除き、得られた固形支持体を水で5回洗った。
【0025】
実施例3
プロピルエチレンジアミン修飾磁性シリカ粒子の調製
N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(2 mL)を、撹拌された、磁性シリカ粒子(2g)を含有する95%メタノール(8mL)に加えた。得られた混合物を、室温で4時間、懸濁状態においた。余分のメタノール/シリカの溶液を取り除き、粒子を40mLのメタノールで5回洗い、真空乾燥した。元素分析の結果、アミノプロピルエチレンジアミン修飾シリカ磁性固形支持体の組成は、C:0.97、H:0.70、N:0.45であった。
実施例4
プロピルエチレンジアミン修飾シリカゲルの調製
N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(2 mL)を、撹拌された、シリカ粒子(1.0 gのDavisilグレード644シリカゲル、100-200メッシュ、細孔径150オングストローム)を含有する95%メタノール(8mL)に加えた。得られた混合物を、室温で4時間、懸濁状態においた。余分のメタノール/シリカの溶液を取り除き、粒子を40mLのメタノールで5回洗い、真空乾燥した。元素分析の結果、アミノプロピルエチレンジアミン修飾シリカ固形支持体の組成は、C:5.82、H:1.49、N:2.44であった。
上記の本発明の説明は、例示および説明のための規範例である。本発明の精神および範囲から外れることなく、変更、修飾を加えることが可能であることは当業者の理解するところである。そのようなすべての変更および修飾は、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【0026】
実施例5
3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子の使用による、ヘモグロビンの除去および標的タンパク質の分画
3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子の、タンパク質の分画能力、および、β-ガラクトシダーゼおよび子ウシ腸管アルカリホスファターゼでスパイクしたウサギ網状赤血球溶解物からのヘモグロビンの分離能力を、Q-セファロース(BioRad、カリフォルニア州フォスター市)およびDEAEセファロース(Sigma-Aldrich、ウィスコンシン州ミルウォーキー)と平行して、評価した。未処理のウサギ網状赤血球溶解物(100μl)、20mM Trisバッファー(pH8.3)を1ml、ストックのβ-ガラクトシダーゼ(Promega Corp.)を8μl、子ウシ腸管アルカリホスファターゼ(Promega Corp.)を40μl含有するサンプルを調製した。サンプルの一部(400μl)を、上述の通りに調製した、1.5ml Eppendorfチューブの中の予め平衡化した3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子(40mg)に加え、室温で混合した。磁気スタンドに置くことによって、上清(またはフロースルー)から粒子を分離し、上清を除去、保存した。粒子を、400μlの200mM Trisバッファー(pH8.3)で2回洗浄した。結合したタンパク質(β-ガラクトシダーゼおよび子ウシ腸管アルカリホスファターゼ)は、順に、20mM Pipesバッファー(pH6.7)、20mM クエン酸ナトリウム(pH5.0)、次いで、1M 酢酸アンモニウムを含む20mM Trisバッファー(pH8.3)を2回加えることにより溶出した。上述の、3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子についての分離方法を使用し、Q-セファロースまたはDEAEセファロースでの、ヘモグロビン除去およびタンパク質分画について評価した。
上清の一部を水で1:20に希釈し、415nmにおける吸光度を測定することすることによって、各上清のヘモグロビンの含有量を測定した。
【0027】
β-ガラクトシダーゼ活性は以下のように測定した。プロメガ2x アッセイバッファー[E203A, 14041201]を超純水(nanopure water)で1:1に希釈し、490μlのバッファーを1.5mlのプラスチックマイクロチューブ(microfuge tube)に加えた。各チューブに、10μlのテスト画分を加えた。対照として、テスト画分の代わりに10μlの20mM Trisバッファー(pH8.3)を加えた。チューブを室温で45分間インキュベートした。0.5mlの炭酸ナトリウム溶液[Promega E202A, 14679601]を各チューブに加え、420nmにおける各溶液の吸光度を測定した(対照チューブをブランクとして使用)。
ホスファターゼ活性は以下のように測定した。48mlの100mM Trisバッファー(pH8.3)を、(物質のすべてが溶解したのであれば20mMの溶液を生成する量の100%エタノールに固体p-NPP(Sigma Chemical Co.)を懸濁させることにより作製した)p-ニトロフェニルホスファート溶液と混合することにより、飽和したp-ニトロフェニルホスファート溶液のホスファターゼアッセイ試薬を調製した。900μlの飽和溶液を1.5ml マイクロチューブに入れ、2μlの画分をチューブに加えた。対照として、2μlの20mM Tris(pH8.3)を、テスト画分の代わりに加えた。チューブを37℃で120分間インキュベートし、対照の溶液でスペクトロメーターのブランクを取った後、420nmにおける吸光度を測定した。
図1A(アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子)、図1B(Q-セファロース)、および図1C(DEAE セファロース)において結果を図示する。アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子を使用して出発物質中のタンパク質を分画した場合、ヘモグロビンの大部分は、結合してないフロースルー画分に見られた(図1A)。対照的に、Q-セファロースおよび DEAE セファロースの双方については、レジンに結合したヘモグロビンのうちの最大の割合が、20mM Pipesバッファー(pH6.7)によって溶出され、また、実質的な量のヘモグロビンが20mMクエン酸ナトリウム(pH5.0)によって溶出された。β-ガラクトシダーゼおよび子ウシ腸管アルカリホスファターゼの分画は、異なる溶出バッファーを使用してアミノプロピル修飾磁性シリカ粒子から結合したタンパク質を溶出することにより達成された(図1A)。
【0028】
実施例6
3-アミノプロピルシリカ磁性粒子の使用による、ヘモグロビンからのFluoroTectでラベルしたルシフェラーゼの分離
3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子を使用してウサギ網状赤血球溶解物からタンパク質を分画した。FluoroTect Green インビトロ翻訳ラベリングシステム(Promega Corp., ウィスコンシン州マディソン)を使用し、製造者の説明書に従って、ウサギ網状赤血球溶解物において、FluoroTectラベルしたルシフェラーゼを発現させた。翻訳に続いて、翻訳反応混合物20μlを、1.5ml Eppendorfチューブの中で予め20mM MOPSバッファー(pH6.8)と平衡化させたアミノプロピル修飾シリカ磁性粒子5mgと混合した。粒子を室温で混合して再懸濁した。チューブを磁気スタンドに置いて上清を除去することにより、粒子を上清から分離し、該上清を後の解析のために保存した。粒子を1mlの20mM MOPSバッファー(pH6.8)で2回洗浄した。粒子を、2M酢酸アンモニウム(pH6.5)または1M NaClのいずれかで処理し、精製画分を集めてSDS-PAGEで解析した(図2)。図2に関して、ゲルは以下のようにロードした:レーンM:タンパク質分子量マーカー(Promega Corp.);レーン1および2:10μlの反応混合物+40μlのバッファーを有する対照;レーン4および5:酢酸アンモニウム(pH 6.5)による溶出;レーン6から9:1M NaClによる溶出。
図2に示すゲルのレーン1および2を、レーン4および5と比較することによってみられるように、酢酸アンモニウム(pH6.5)で溶出した画分に回収されたルシフェラーゼは、ヘモグロビンの量が大幅に減少しており、これは、フロースルー画分にみられたヘモグロビンの多くの量は、粒子に結合しなかったことを意味する。
【0029】
実施例7
3-アミノプロピル磁性シリカ粒子の使用による、インビトロ翻訳に使用した膜小胞の捕獲
インビトロタンパク質合成:ウサギ網状赤血球溶解物(Promega Corp. ウィスコンシン州マディソン)を使用して、30℃で60分間、コアグリコシル化(Core glycosylation)の対照 mRNA (出芽酵母αファクター)を翻訳した。表1に要約したように調製した反応混合物(25μl)は、17.5μlの網状赤血球溶解物、0.5μlのRNasin(40 units/μl)、0.5μlの1mM アミノ酸(メチオニンを含まない)、20μCiのL - [35S]メチオニン(Amersham)、2μlの0.1μg/μl のコアグリコシル化対照 RNAを含み、必要によりイヌミクロソーム膜(Promega Corp.)、または HeLa 細胞株(HeLa-S3)(Biovest International Inc.,ニュージャージー州エングルウッドクリフス)からのHeLa ミクロソーム膜小胞(Promega Corp.において調製)のいずれかを含んだ。反応物は、4-20%Novex ゲルでのSDS-PAGEで解析し、PVDFシートにトランスファーし、PhosphorImagerカセットに16時間露光させた。

【0030】
表1

【0031】
表1に示すように、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子(60mg/ml)の一部を、25μlの翻訳反応混合物に加えた。SDSバッファー4X (10μl)を、最大20-25μlの上清(フロースルー)に加え、熱変性し、SDS-PAGEで調べた。粒子を1mlの20mM MOPSバッファー(pH6.8)で1回洗浄し、タンパク質を、1M NaClを含むMOPSバッファー(pH6.8)25μlで溶出した。溶出液を10μlの4X SDSバッファーと混合し、熱変性し、SDS-PAGEで調べた。1M NaClを含むMOPS バッファー(pH6.8)10μlと4X SDS バッファー10μlをアミノプロピル磁性シリカ粒子に加え、熱変性し、SDS-PAGEで調べた。対照として、アミノプロピル磁性シリカ粒子と接触させていない反応混合物の一部(3μl)を、20μlの20mM MOPS(pH6.8)および10μlの4X SDSバッファーで処理し、熱変性し、SDS-PAGEで調べた(図3)。この実験の結果は、インビトロで発現させ、翻訳後修飾したタンパク質を、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子を使用して分離、解析し得ることを示す。
【0032】
実施例8
膜タンパク質の同定および精製
HeLa 細胞株(HeLa-S3)(Biovest International Inc.)からのHeLa ミクロソーム膜小胞(Promega Corporation において調製)の存在下で、ウサギ網状赤血球溶解物(Promega Corp.,ウィスコンシン州マディソン)を使用して、50μlの反応容量で、60分間、出芽酵母αファクターmRNAの翻訳を行った。翻訳反応物(各50μl)は、35.0μlの網状赤血球溶解物、1.0μlのRNasin(40units/μl)、1.0μlの1mM アミノ酸(メチオニンを含まない)、20μCiのL - [35S]メチオニン[Amersham Biosciences, カリフォルニア州サニーベール]、2μlの0.1μg/μl コアグリコシル化対照 RNA、および HeLa ミクロソーム膜小胞を含んだ。反応混合物の一部を、4X SDSバッファーで処理し、熱変性し、4-20% Novex ゲルでSDS-PAGEを行い解析した。ゲルをPVDFシートにトランスファーし、16時間、PhosphorImagerカセットに露光して解析した(図4)。
以下に、SDS-PAGEによる分離の前に、様々な反応混合物に対して行われた別の処理を要約する。
(1)翻訳反応の後、反応混合物を、1:1の比率(即ち、10μlの粒子に対して10μlの混合物)、または1:〜1.7の比率(即ち、50μlの粒子に対して30μlの混合物)のいずれかで、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子に加えた。粒子混合物を、1mlの20mM MOPSバッファーで1回洗浄した。粒子を、20μlの、1N NaClを含む20mM MOPSバッファーおよび10μlの4x SDSバッファーで処理した。図4、レーン1A、1B、および2A、2Bに示すように、粒子混合物を熱変性し、上清をSDS-PAGEによって解析した。
【0033】
(2)翻訳反応の後、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲に続き、プロテイナーゼ K を使用してタンパク質の限定分解を行った。反応混合物を、1:1の比率(即ち、10μlの粒子に対して10μlの混合物)または、1:〜1.2の比率(即ち、50μlの粒子に対して40μlの混合物)のいずれかで、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子に加えた。粒子を、1mlの20mM MOPSバッファーで1回洗浄し、10μlの50mM Tris/CaCl2バッファーおよび2μlの50mM CaCl2で処理した。混合物を氷上で10分間インキュベートした。インキュベーションに続いて、プロテイナーゼ K (1mg/mlのものを1μl)または、代わりに、プロテイナーゼ K (1mg/mlのものを1μl)およびTriton X-100(10%のものを1μl)を加え、得られた混合物を氷上で1時間インキュベートした。プロテイナーゼ K 反応は、2μlの2mg/ml PMSFを加えて停止させた。さらに、5μlの20mM MOPSバッファーおよび10μlの4x SDSを加えた。反応混合物を熱変性し、SDS-PAGEにより解析した。40μlの混合物を反応に使用した場合、以下の試薬:Tris/CaCl2バッファー、50mM CaCl2、1mg/mL プロテイナーゼ K、Triton X-100(10%のものを1μl)、PMSF 2mg/mL、も同様に4倍に増やした。少量の反応混合物をゲル解析に使用した。次いで、反応物粒子に10μlの4X SDSバッファーが加えられた。粒子混合物を熱変性し、図4レーン3A、3B、および4A、4B または 図4レーン7A、7B、および8A、8Bに示すように、Triton X-100を膜タンパク質の可溶化に使用し、上清をSDS-PAGEにより解析した。
【0034】
(3)翻訳反応の後、膜小胞のプロテイナーゼ K 処理、続いて3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲を行った。反応混合物(10μl)を2μlの50mM CaCl2に加えた。混合物を氷上で10分間インキュベートした。プロテイナーゼ K (1mg/mlのものを1μl)、または、プロテイナーゼ K (1mg/mlのものを1μl)およびTriton X-100(10%のものを1μl)を反応混合物に加え、1時間氷上でインキュベートした。反応は、2μlの2mg/ml PMSFを加えて停止させた。3-アミノプロピル磁性シリカ粒子(10μl)を混合物に加えた。粒子懸濁物を沈殿させ、粒子を1mlの20mM MOPSで1回洗浄した。メンブレンに結合したタンパク質を溶出させるため、20μlの、1N NaClを含む20mM MOPSバッファーを粒子に加えた。SDS-PAGE解析のための調製において、10μlの4X SDSバッファーを混合物に加えた。続いて、混合物を熱変性し、SDS-PAGEにより解析した。40μlの混合物を反応に使用した場合、以下の試薬:Tris/CaCl2バッファー、50mM CaCl2、1mg/mL プロテイナーゼ K、Triton X-100(10%のものを1μl)、PMSF 2mg/mL、も同様に4倍の容量に増やした。少量の反応混合物をゲル解析に使用した。反応粒子を10μlの4X SDSバッファーと混合し、粒子混合物を熱変性し、上清をSDS-PAGEにより解析した。図4レーン5A、5B、および6A、6B 、または、Triton X-100を使用して膜タンパク質を可溶化したものについては 図4レーン9A、9B、および10A、10Bに示す通りである。
【0035】
図4に示すゲルは以下のようにロードした:
レーン M; マーカー
レーン 1: RRL+ mRNA
レーン 1A: RRL + mRNA --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (10μlの反応混合物 + 10μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 1B: RRL + mRNA --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (30μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 2: RRL + mRNA + HMM
レーン 2A: RRL + mRNA + HMM --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (10μlの反応混合物 + 10μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 2B: RRL + mRNA + HMM --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (30μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 3A: RRL +mRNA --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 --- プロテイナーゼ K 処理 (10μlの反応混合物 + 10μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 3B: RRL +mRNA --- 3-アミノプロピル磁性シリカによる捕獲 --- プロテイナーゼ K 処理 (40μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 4A: RRL +mRNA + HMM --- 3-アミノプロピル磁性粒子による捕獲---プロテイナーゼ K 処理 (10μlの反応混合物 + 10μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 4B: RRL +mRNA + HMM ---3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 --- プロテイナーゼ K 処理 (40μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 5A: RRL +mRNA --- プロテイナーゼ K 処理 --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (10μlの反応混合物 + 10μlの アミノ-シリカ磁性粒子)
レーン 5B: RRL +mRNA --- プロテイナーゼ K 処理 --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (40μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 6A: RRL + mRNA + HMM --- プロテイナーゼ K 処理 --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲(10μlの反応混合物 + 10μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 6B: RRL + mRNA + HMM --- プロテイナーゼ K 処理 --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (40μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 7A: RRL + mRNA --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 ---プロテイナーゼ K 処理 + Triton X-100 (10μlの反応混合物 + 10μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 7B: RRL + mRNA --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 --- プロテイナーゼ K 処理 + Triton X-100 (40μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 8A: RRL + mRNA + HMM ---3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 --- プロテイナーゼ K 処理 + Triton X-100 (10μlの反応混合物 + 10μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 8B: RRL + mRNA + HMM --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 --- プロテイナーゼ K 処理 + Triton X-100 (40μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 9A: RRL + mRNA --- プロテイナーゼ K 処理 + Triton X-100 --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (10μlの反応混合物 + 10μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 9B: RRL + mRNA --- プロテイナーゼ K 処理 + Triton X-100 --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (40μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 10A: RRL + mRNA + HMM --- プロテイナーゼ K 処理 + Triton X-100 --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (10μlの反応混合物 + 10μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 10B: RRL + mRNA + HMM --- プロテイナーゼ K 処理 + Triton X-100 --- 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による捕獲 (40μlの反応混合物 + 50μlの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子)
レーン 11: RRL
RRL: ウサギ網状赤血球溶解物
HMM: HeLa ミクロソーム膜調製物
この実験の結果は、無細胞タンパク質発現系で発現させた膜タンパク質は、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子の使用により、迅速な同定および分析が可能なことを示す。
【0036】
実施例9
3-アミノプロピル磁性シリカ粒子による、バクテリア細胞の捕獲
バクテリア細胞(大腸菌JM109)を、Luria培地中で、37℃、オーバーナイトで培養した。培養懸濁物(各500μl)を、個別のEppendorffチューブに移した。チューブに150μlの100 %イソプロパノールおよび350μlの滅菌再蒸留水を加えることによって、15%イソプロパノールで処理したサンプルを調製した。30%イソプロパノールで処理したサンプルは、300μlの 100%イソプロパノールと200μlの滅菌再蒸留水を細胞と混合することにより調製した。15%イソプロパノールと1M NaClで処理したサンプルは、150μlの100%イソプロパノール、200μlの5M NaCl、および150μlの滅菌再蒸留水を細胞と混合することにより調製した。30%イソプロパノールおよび1M NaClで処理したサンプルは、300μlの100%イソプロパノールおよび200μlの5M NaClを細胞と混合することにより調製した。3-アミノプロピル磁性シリカ粒子(10mg)を各チューブに加え、1分間混合した。対照には粒子を加えなかった。チューブをマグネット上において磁性シリカ粒子を捕獲することにより、上清中の結合していない細胞取り除き、上清のOD600を測定した。結果は図5にまとめられており、それぞれ: (1)粒子を含まない対照; (2)再蒸留水で処理した培養液; (3)1M NaClで処理した培養液; (4)15%イソプロパノールで処理した培養液;(5)30%イソプロパノールで処理した培養液; (6)15%イソプロパノールおよび1M NaClで処理した培養液;並びに(7)30% イソプロパノールおよび1M NaClで処理した培養液からの、結合していない細胞のOD600を示す。
3-アミノプロピル磁性シリカ粒子は、1分以内に培養液中から直接バクテリア細胞を結合し得た。粒子が結合する細胞の数は、イソプロパノールおよび塩化ナトリウムの添加によって増えた。15または30%イソプロパノールで処理した培養液の上清のOD600は、未処理の細胞のものより相当低く、これは、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子が、イソプロパノールで処理した細胞の結合に効果的であることを示す。
【0037】
実施例10
ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子の使用によるポリペプチドの分離
細胞溶解物の調製
hisタグ付きタンパク質を発現するバクテリア細胞(大腸菌JM109)を、テトラサイクリンを含有する50mlのLB培地で、37℃、オーバーナイトで培養した。これらの細胞を、テトラサイクリンを含有する新鮮なLB培地に1:100に希釈し、0D600が0.4-0.6の間になるまで37℃で培養した。最終濃度1mMとなるようにIPTGを添加し、少なくとも3時間、細胞に誘導をかけた。遠心により細胞を沈殿させ、100mM Hepes(pH7.5)および10mMイミダゾールを含有する結合バッファー100μlに再懸濁した。細胞を超音波処理により破砕し、遠心により非破砕細胞および細胞残渣を取り除いた。上清はその後、後述の精製実験に用いた。いくつかのケースにおいては、超音波処理によって細胞を破砕するのではなく、バクテリア細胞の溶解に一般的に使用される様々な界面活性剤による溶解によって細胞を破砕した。界面活性剤の使用によってタンパク質の単離は干渉されなかった。
【0038】
非変性条件下におけるポリペプチドの精製
上述の通りに調製したニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子(3mg)を、hisタグ付きタンパク質を含む超音波処理した細胞と一緒にし、約1-5分間、ピペッティングまたは振とうによって混合した。チューブを磁気スタンドにおいて上清から粒子を分離し、そして上清を取り除いた。粒子を150μlの結合バッファーで3回洗浄した。粒子に結合したHisタグ付きタンパク質を、溶出バッファー(100mM Hepes pH7.5および0.1-0.5Mイミダゾール)で溶出した。Pierceタンパク質アッセイシステムを使用してタンパク質濃度を測定し、そして、SDS-PAGEによりタンパク質を解析した(図6)。
図6は、粒子を使用した、細胞溶解物中の他のタンパク質からのhis-RNaseHI の分離を示す。レーン1、粒子と接触させていない溶解物;レーン2、粒子と接触させた溶解物のフロースルー;レーン3、0.5M イミダゾールにより粒子から溶出されたタンパク質; および、レーン4、サイズマーカー。
【0039】
変性条件下におけるポリペプチドの精製
超音波処理、または、リシスバッファーによる細胞溶解の前に、最終濃度6Mとなるように尿素またはグアニジン-HClを細胞に加えた。30μlのニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁気シリカ粒子を細胞溶解物に加えた。粒子を、約1-5分間、ピペッティングまたは振とうにより混合した。チューブを磁気スタンドに置いて粒子と上清を分離し、上清を取り除いた。粒子を6M 尿素またはグアニジン-HClを含有する結合バッファーで3回(各150μl)洗浄した。粒子に結合したHisタグ付きタンパク質を、溶出バッファー(100mM Hepes pH7.5,、0.1-0.5Mイミダゾールおよび6M尿素またはグアニジン-HCl)で溶出した。精製したタンパク質を、SDS-PAGEまたは機能アッセイにより解析した。タンパク質濃度はPierce プロテインアッセイシステムを使用して測定した。6M 尿素またはグアニジン-HClの存在は、hisタグ付きタンパク質の結合または溶出を干渉しなかった(データは示されていない)。
【0040】
実施例11
ニッケル/亜鉛/銅/コバルト(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子の使用による、ヘモグロビンの精製および分離
ニッケル 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、銅(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、コバルト 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、および、亜鉛 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を、上述の通りに調製した。ウサギ網状赤血球溶解物(Promega Corporation)(200μl)を、25μlの精製したhis-ルシフェラーゼタンパク質でスパイクした。溶解物のうち50μlを、10mgのニッケル、銅、亜鉛、またはコバルト 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を含む、個別の4本のチューブにそれぞれ加えた。粒子を、溶解物と1-5分間ピペッティングまたは振とうにより混合した。チューブを磁気スタンドにおいて粒子と上清を分離し、そして上清を取り除いた。粒子を、100mM Hepes(pH7.5)を含む結合バッファーで3回(各150μl)洗浄した。タンパク質を100μlの溶出バッファー(100mM Hepes pH7.5、および0.1または0.5Mイミダゾール)で溶出し、SDS-PAGEにより解析した(図7)。結果は、ヘモグロビンが、ニッケル、銅、亜鉛、またはコバルト 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子に結合し、また、これらの粒子を、この粒子に結合しないタンパク質からのヘモグロビンの分離に使用できることを示す。
【0041】
実施例12
Ni(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子および 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子の使用による、標的ポリペプチドの、非標的ポリペプチドからの分離
(a)アミノプロピル修飾固形支持体を用いた標的物質含有混合物の前処理による、標的タンパク質の精製
His-RnaseHIを発現する大腸菌JM109の細胞溶解物(100μl)を、20mM Tris(pH7.5)、0.5M NaCl、および20mMイミダゾールを含有する結合バッファー中で細胞を超音波処理することにより調製した。溶解物を 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子(50mg)と一緒にし、ピペッティングを10回行って混合し、2分間インキュベートした。上清を 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子から分離し、2分間のピペッティング(10回)によって3mgのNi(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と混合した。非標的タンパク質を主に含有する上清を取り除き、そして廃棄した。Ni(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル粒子を、20mM Tris(pH7.5)、0.5M NaCl、および20mMイミダゾールを含有するバッファー 150μlで3回洗浄した。次いで、His- RnaseHIを、20mM Tris (pH7.5)、0.5M NaCl、および0.5M イミダゾールを含有する溶出バッファー(100μl)で溶出した。サンプルをゲル電気泳動により解析した(図8)。図8Aに関して、レーン4はマーカーを含み、レーン5は未分画のバクテリア溶解物を含み、レーン6は、3-アミノプロピル磁性粒子からのフロースルー溶液を含み、レーン7は、Ni(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子からのフロースルーを含み、レーン8は、0.5M イミダゾールによる、Ni(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子からの溶出物を含み、レーン9は、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子からのフロースルー画分を含み、レーン10は、Ni(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子からのフロースルーを含み、そしてレーン11は、0.5M イミダゾールによる、Ni(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子からの溶出物を含む。
【0042】
(b)アミノプロピル修飾固形支持体を用いた標的物質含有混合物の後処理による、標的タンパク質の精製
hisタグ付きルシフェラーゼを発現する大腸菌JM109の細胞溶解物を、20mM Tris(pH7.5)、0.5M NaCl、および20mM イミダゾールを含有する結合溶液中でJM109細胞を超音波処理することにより調製した。2分間のピペッティング(10回)により、溶解物(100μl)を、3mgのNi(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と混合した。マグネットを使用して粒子を結合溶液から分離し、150μlの結合溶液で3回洗浄した。100μlの20mM Tris (pH7.5)、0.5M NaCl、0.5M イミダゾール(pH 7.5)を加えることにより、標的タンパク質を溶出した。溶出した標的タンパク質を3mgの 3-アミノプロピル磁性シリカ粒子と2分間混合し、該標的タンパク質を含有する上清を粒子から分離することにより、該タンパク質を、残りのバックグラウンドのポリペプチドからさらに精製した。ゲル電気泳動によりサンプルを解析した(図8B)。図8Bに関して、レーン1は未分画のバクテリア溶解物を含み、レーン2は、3-アミノプロピル磁性粒子での処理したものからのフロースルー溶液を含み、レーン3は、Ni(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子からのフロースルーを含み、そしてレーン4は、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子からの、Ni(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子から溶出されたタンパク質のフロースルー画分を含む。
これらの結果は、3-アミノプロピル磁性シリカ粒子は、Ni(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と併せて使用することにより、混入したタンパク質の除去を促進させることを示す。
【0043】
実施例13
ニッケル(II) 3[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ-プロピル磁性シリカ粒子の使用による、ポリペプチドの定量方法
his-ルシフェラーゼを発現するバクテリアからの溶解物の一部(100μl)を3本のEppendorffチューブに入れ、上述の通りに調製した50μlニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と、1-2分間のピペッティングにより混合した。溶解物を加えていない粒子を対照として使用した。粒子を、1mlの 100mM Hepes(pH7.5)で洗浄した。1% クマシーブルーを含む100 mM Hepes(pH7.5)の一部(100μ)を、洗浄した粒子および対照の粒子に加えた。洗浄バッファーが透明になるまで、粒子を100mM Hepes(pH7.5)で十分に洗浄した。hisタグ付きルシフェラーゼを、0.1Mイミダゾール、0.2Mイミダゾール、または0.5Mイミダゾールで溶出し、集められた溶出物を写真撮影した(図9A)。595nmの波長における吸光度をスペクトロメーターで測定した(図9B)。回収されたラベルタンパク質の量は、タンパク質の溶出に使用したイミダゾールの濃度と正の相関があった。平行実験において、ニッケルアガロースビーズ(Qiagen)を前記ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子の代わりに使用し、ラベルされたタンパク質を0.5Mイミダゾールで溶出し、そして溶出液を写真撮影した(図9C)。
【0044】
同様の実験において、His-メチオニル tRNA 合成酵素を発現するJM109細胞を、OD600が特定の値になるまで培養し、1mM IPTGで誘導をかけた。誘導後3時間までの間、30分間隔で培養液の一部を回収し、溶解物の調製に使用し、それらを先の段落で述べたように処理した。図23Aは、クマシーで染色した溶出されたタンパク質の写真であり、これは、ラベルタンパク質の回収量が、誘導後の経過時間と正に相関していることを示す。図23Bは、細胞増殖(OD600により測定)およびタンパク質濃度(クマシー染色タンパク質のA595により測定)を、誘導後の時間の関数としてプロットしたグラフを示す。図23Cは、サンプル中の精製タンパク質のSDS-PAGEのゲルである。
精製されたhisタグ付きタンパク質を、ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と接触させ、そしてBODIPY 色素で処理した。タンパク質/粒子を、SDS-PAGEで分離し、蛍光画像装置によるスキャニング(fluorescent imager scanning)を使用して可視化した(図24)。図24に関して、レーン1は、His-ホタルルシフェラーゼ(62kDa)を含み; レーン2は、His-ウミシイタケルシフェラーゼ(36kDa)を含み; レーン3は、His-RNasin インヒビター(45kDa)を含み;そしてレーン4は、His-メチオニル tRNA 合成酵素 (76 kDa)を含む。
この実験は、色素によるタンパク質の粒子内ラベリングを使用した、タンパク質の定量法を説明する。イミダゾールは、ブラッドフォード(Bradford)またはBCAなどのタンパク質アッセイと干渉するため、これらの方法によってタンパク質濃度を測定する前に透析によりイミダゾールを除去しなくてはならない。対照的に、イミダゾールは本アッセイとは干渉しないため、はじめにサンプルを透析することなく直接サンプルのタンパク質濃度を求めることができる。
【0045】
実施例14
蛍光ラベルされたポリペプチドの検出方法
銅(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子またはニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を、上述の通りに調製した。粒子を100mM Hepes(pH7.5)で1回洗浄した。his-ルシフェラーゼを発現するバクテリア溶解物の一部(100μl)またはBSA(10 mg/ml)を含む100mM Hepes (pH7.5)を、個別のEppendorffチューブに入れた。50μlの10%(w/v)ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を各チューブの溶解物中に加え、また50μlの10%(w/v)銅(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を各チューブのBSAに加え、そして1-2分間のピペッティングにより混合した。粒子を1mlの100mM Hepes(pH7.5)で洗浄した。次いで、100μlのフルオレセイン(Fluorescein)またはBodipyを、60%アセトニトリルを含む100 mM Hepes(pH7.5)に溶解し、洗浄した粒子そして対照の粒子に加えた。粒子を、100mM Hepes(pH7.5)で3回、または、遊離の、結合していないフルオレセインまたはBodipyが除去されるまで洗浄した。結合したポリペプチドを0.5Mイミダゾールで溶出した。ポリペプチドの検出は、サンプルをSDS-PAGEで泳動し、次いでfluoroimagerでUV検出することにより行った。図10Aに見られるように、Bodipy(レーン1)またはフルオレセイン(レーン2)でラベルされたhis-ルシフェラーゼが検出可能であった。図10Bに見られるように、Bodipy(レーン1)またはフルオレセイン(レーン2)でラベルされたBSAが検出可能であった。
これらの結果は、タンパク質が粒子に結合している間に蛍光色素でラベルし得ることを示す。これにより、サンプルからの遊離の色素の除去を促進し、ポリペプチドの迅速な検出および定量を可能にする。
【0046】
実施例15
ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子の使用による、tRNA 合成酵素の単離
his-メチオニル tRNA 合成酵素をエンコードするプラスミドDNAを、S-30(Promega Corporation)のインビトロ翻訳反応で発現させた。反応混合物は、8μgのプラスミドDNA、5μgのBodipy f-Met tRNA、アミノ酸(25μl)、S-30プレミックス(100μl)およびS-30抽出液(75μl)を含んでいた。反応は37℃、1時間で行った。各反応混合物を3mgのニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と一緒にし、ピペッティングにより混合した。粒子を100mM Hepes(pH7.5)で3回洗浄した。粒子に結合した物質を10mM酢酸アンモニウムで溶出した。対照としては、粒子を反応混合物に接触させ、洗浄したが、酢酸アンモニウム処理は行わなかった。酢酸アンモニウムによる溶出物、および対照粒子を、100μlのタンパク質変性バッファーで処理し、70℃に5分間置き、そしてSDS-PAGEにより解析した(図11)。図11に関して、レーン1は未処理の溶解物を含み; レーン2は、粒子に加えられた溶解物のフロースルーを含み; レーン3は、酢酸アンモニウムによる溶出物を示し; そしてレーン4は、酢酸アンモニウムで処理されていない粒子を含む。これらの結果は、tRNAは粒子に固く結合し、また、tRNAの一部は、10mM酢酸アンモニウムを含む溶出バッファーの使用によって粒子から溶出し得ることを示す。
【0047】
実施例16
無細胞系で発現させたhisタグ付きGFPの精製
hisタグ付きGFPを発現させるための原核生物インビトロ転写/翻訳反応は、製造者の説明書に従ってRapid Translation System RT 500(Roche)を使用して、15μgのDNA鋳型(pGFP-HIS)を含むT7-S30反応液0.5mlで行い、RTS 500 instrument (Roche)を使用して20時間、30℃でインキュベートした。FluoroTect(登録商標)またはBodipy(登録商標)-fMet-tRNAを使用した場合は、それらをT7-S30反応物50μlあたり1μgの濃度で含有した。
hisタグ付きGFPは、反応混合物をニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と混合することにより精製した。粒子を、100mM Hepes(pH7.5)および10mMイミダゾールで2回洗浄した。次いで、粒子を30%メタノールで洗浄し、そして、50% アセトニトリルおよび0.1 % トリフルオロ酢酸を含む水で溶出した。
【0048】
サンプル(5μl、洗浄または溶出サンプルの場合は10μl)を、20μlの4X SDSサンプルバッファーと混合し、4-20% Novex Tris/グリシンゲルで泳動し、Gel-Codeで染色し、そして、デジタルカメラで蛍光像を捉えた(図12)。図12に関して、レーン1および10はサイズマーカーを含み、レーン2は、DNAを含まないS-30溶解物を含み、レーン3は、プラスミドDNAを含むS-30溶解物を含み、レーン4は、プラスミドDNAおよびBodipy-fMet tRNAを含むS-30溶解物を含み、レーン5は、プラスミドDNAを含むS-30溶解物を含み、レーン4は、プラスミドDNAおよびfluorotect tRNAを含むS-30溶解物を含み、レーン6は、0.1% トリフルオロ酢酸を含む水で溶出された、プラスミドDNAを含まないS-30溶解物を含み、そして、レーン7-9は、50% アセトニトリルおよび0.1 % トリフルオロ酢酸を含む水で溶出された、プラスミドDNAを含むS-30溶解物を含む。
これらの結果は、ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を、無細胞発現系で発現させたhisタグ付きタンパク質の精製に使用し得ることを示す。
【0049】
実施例17
tRNA 合成酵素活性の粒子内(in-particle)機能アッセイ
his-メチオニル tRNA 合成酵素を発現する大腸菌株JM109を、テトラサイクリンを含有するLB培地50mlで、37℃、オーバーナイトで培養した。オーバーナイト培養のうちの15mlを3LのLB培地に加え、37℃で培養した。培養液のOD600が0.4-0.6の間に達したときに、IPTGを最終濃度1mMとなるように加え、細胞に少なくとも3時間誘導をかけた。遠心により細胞を沈殿させ、10mlの10mMHepes バッファー(pH8.0)/5mM MgCl2(バッファーA)に再懸濁した。サンプルを超音波処理し、遠心により沈殿させた。his-メチオニル tRNA 合成酵素を含む上清を、10mlのニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と混合し、1時間、4℃でインキュベートした。粒子をバッファーAで5回洗浄し、後述のように、結合したtRNA 合成酵素の機能アッセイに使用した。アッセイに使用した、結合していない精製tRNA 合成酵素は、結合したタンパク質を0.5Mイミダゾールによって粒子のサンプルから溶出し、溶出液を透析してイミダゾールを除去して得たものである。
【0050】
結合したtRNAの活性は、84μlの、結合したメチオニル tRNA 合成酵素を含む粒子(先の段落で説明した通りに調製したもの)、14.4μlの葉酸(0.01M)、8.0μlの35S Met、7.2μlの(2M)NaCl、12.0μlの(1mM)Met、144.0μlの(1M)Hepes(pH8.0)、14.4μlの(0.1M)MgCl2、57.6μlの(0.1M)ATP、14.4μlの(0.01M)CTP、14.4μlの(0.1M)DTT、および469.6μlの滅菌再蒸留水を、37℃で15分間インキュベートすることにより測定した。対照は、前述のように調製した、遊離のhis-メチオニル tRNA 合成酵素を含んでいた。120μlの10%TCAを加え、混合物を氷上で15分間インキュベートした。0.2μmのガラスマイクロタイターフィルター(Whatman)を通してサンプルをろ過し、10% TCAで洗浄し、そして10% エタノールで洗浄した。次いで、フィルターを乾燥させ、そしてシンチレーションカウンターでカウントした。結果は図13に示されており、これは、結合したhis-メチオニル tRNA 合成酵素の活性が、解離させた精製his-メチオニル tRNA 合成酵素の活性に近いことを示す。
【0051】
実施例18
改変したピペットチップを使用した質量分析のための、タンパク質の調製
質量分析のためのピペットチップを、Promega 200 Barrier Tip 200-μl プラスチックピペットチップ(Promega Corp., ウィスコンシン州マディソン)を使用して調製した。50-100μlの、ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子または銅(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子(100μmから150μmの範囲の粒径を持つシリカ(Sigma-Aldrich Corp., ウィスコンシン州ミルウォーキー)を使用して、上述のようにシリカを修飾することにより調製したもの)でチップをロードした。粒子をピペットチップ内に入れた(図14)。チップの中の粒子は、使用前に、1mlの100mM Hepes バッファー(pH7.5)/10mMイミダゾールで3回洗浄した。ピペットチップは、10μlから1mlの範囲の容量を持つ、プラスチックまたはガラスのピペットチップを含み得る。チップの中のレジンの量は、サンプルの容量または精製するタンパク質の量に応じて調整し得る。
【0052】
タンパク質の精製/分画
複合体タンパク質の解析に用いるため、5μlのウサギ網状赤血球溶解物(Promega)を195μlの100mM Hepes(pH7.5)と混合した。サンプルのうち50μlを、前述のように調製した、100μlの銅(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を含むピペットチップに移した。サンプルをピペッティングでピペットチップから5回または6回出し入れすることにより、サンプルを混合した。タンパク質は1-2分で粒子に結合する。粒子を1mlの100mM Hepes(pH7.5)で3回洗浄した。結合したタンパク質を、0.1% TFAを含む水100μlで溶出した。溶出したサンプルは、Speed Vacで乾燥させ、質量分析計(HT Laboratories)で解析した。
hisタグ付きタンパク質を単離するために、50μlの、hisタグ付きタンパク質を含むバクテリア溶解物を、100μlのニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を含むピペットチップに移した。少なくとも5回または6回ピペッティングで出し入れすることにより、サンプルを粒子と混合した。粒子を、1ml結合バッファーで3回洗浄した。タンパク質を、0.1% TFAを含む水100μlで溶出した。溶出したサンプルをSpeed Vacで乾燥させ、質量分析計(HT Laboratories)で解析した。
【0053】
実施例19
固定化金属キレートクロマトグラフィー(IMAC)の使用による、ポリペプチドの連続的多次元分画および分離
銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、コバルト 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、および亜鉛 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を、上述の通りに調製した。ガリウム 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子および鉄 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子は、磁気スタンドに置くことによって1mlの10% 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子から液体を取り除き、1mlの250mM硝酸ガリウム(III)水溶液またはlmlの250mM硫酸鉄(III)水溶液を該粒子に加えることにより調製した。粒子および金属溶液を、ピペッティングによりよく混合した。磁気スタンドに置くことによって、粒子を金属溶液から分離し、金属溶液を取り除いた。新たな1mlの金属溶液を、各チューブの中の粒子と混合し、2分間インキュベートし、そして、磁気スタンドに置くことによって金属溶液を取り除いた。粒子を1mlのMilliQ水で4回洗浄し、そして、100mM Hepes(pH7.5)で1回洗浄した。タンパク質の分画は、以下のように行った。
【0054】
タンパク質の複合体混合物の結合および溶出
ウサギ網状赤血球溶解物の一部(5μl)(Promega Corp.)を195μlの100mM Hepes(pH7.5)で希釈した。希釈した溶解物を、100μlの 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、または、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉄、もしくはガリウム 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と、Eppendorfチューブ内で、1-2分間のピペッティングにより混合した。次いで、チューブをマグネット上に置き、上清を取り除き、そして粒子を1mlの100mM Hepes(pH7.5)で3回洗浄した。結合したタンパク質を、0.5Mイミダゾールで粒子から溶出し、SDS-PAGEにより解析した(図15)。レーン1、サイズマーカー;レーン2、未分画のウサギ網状赤血球溶解物; レーン3-9、それぞれ、3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉄(III)、またはガリウム(III) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子からのフロースルー画分;レーン10-16、それぞれ、3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉄(III)、またはガリウム(III) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子からの、イミダゾールによる溶出物。これらの結果は、コバルトおよび銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子は、採用した条件下において、ウサギ網状赤血球溶解物中の大部分のタンパク質に比較的固く結合することを示す。
【0055】
1から20μlのウサギ網状赤血球溶解物を、銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と混合し、上述のような操作を行った(図16Aおよび16B)。レーン1、サイズマーカー; レーン2、未分画のウサギ網状赤血球溶解物;レーン3-6、銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子上に分画された、それぞれ3、5、10、または20μlの溶解物からのフロースルー画分; レーン7-10、銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子上の、3、5、10、または20μlの溶解物からの、イミダゾールによる溶出物。各画分のタンパク質濃度は、ブラッドフォード法によって求めた。図16Bは、フロースルーまたは溶出物の吸光度(595nm)を、分画した溶解物の容量の関数で示す。
CHO細胞溶解物は、1mlの100mM Hepes(pH7.5)に8 x 106個の細胞を懸濁し、凍結融解により細胞を破壊することにより調製した。細胞を遠心し、上清を保存した。上清100μlを各実験に使用した。結合、洗浄、溶出、および解析は、ウサギ網状赤血球溶解物のついて説明した通りに行った。結果を図17に示す。図17Aに関して、レーン1は、未分画のCHO細胞溶解物を含み; レーン4はタンパク質分子量マーカーを含み; レーン2、3、5、および6は、それぞれ、3、5、10または20μlのCHO溶解物からのフロースルーを含み; レーン7-9は、3、5、または10μlのCHO溶解物からの、イミダゾールによる溶出物を含む。
小麦麦芽溶解物(Promega)もまた、結合実験に使用した。50μlの小麦麦芽溶解物を50μlの100mM Hepes(pH7.5)バッファーに加え、実験に使用した。結合、洗浄、溶出、および解析は、ウサギ網状赤血球溶解物について説明した通りに行った。結果を図18に示す。
【0056】
タンパク質の連続的多次元分離
ウサギ網状赤血球溶解物(Promega Corp.)の一部(5μl)を、195μlの100mM Hepes(pH7.5)で希釈した。希釈した溶解物を、100μlの銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子と、Eppendorfチューブ内で、1-2分間のピペッティングにより混合した。次いで、チューブをマグネット上に置き、上清を除去し、そして、粒子を1mlの100mM Hepes(pH7.5)で3回洗浄した。粒子を、1、5、10、20、および50 %のアセトニトリルで順に処理することにより、タンパク質を溶出した。次いで、粒子を、再蒸留水で処理し、続いて、0.1および1 % トリフルオロ酢酸(TFA)で溶出した。これらすべてのサンプルをSDS-PAGEで解析した。結果を図19に示す。
別の実験において、タンパク質をまず100、200、500、または1000mMイミダゾールで溶出し、続いて、同じ粒子を、pH 8.5、9.5、10.5、または12.5のバッファーで溶出した。サンプルをSDS-PAGEで解析し、その結果を図20に示す。
【0057】
実施例20
リンタンパク質の分離
上述の通りに調製した、鉄(III)およびガリウム(III) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を、100mM Hepes(pH7.5)で平衡化した。
10mg/mlのオボアルブミン(Sigma)を含有する、100mM Hepes(pH7.5)の溶液を調製した。溶液の一部(100μl)を、鉄(III)およびガリウム(III) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子に加え、ピペッティングによりよく混合した。ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、および、非荷電の 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子は、対照として含まれていた。結合の後、粒子を100mM Hepes(pH7.5)バッファーで3回洗浄した。結合したタンパク質を、2% 水酸化アンモニウムを用いて溶出した。サンプルをSDS-PAGEにより解析した(図21)。平行実験において、ウサギ網状赤血球(100mM Hepes(pH7.5)で1:1に希釈)を使用し、画分をSDS-PAGEで解析した(図22)。
【0058】
実施例21
膜タンパク質を得るための、発現ライブラリーのスクリーニング
上の実施例7および8で説明した膜タンパク質の単離方法を、膜タンパク質を得るための、発現ライブラリーのスクリーニングに使用する。c-DNAクローンのプール(1プールあたり50-100クローン)を、スモールスケール転写/翻訳反応の鋳型として使用し、96ウェルフォーマットで、イヌまたは HeLa ミクロソーム膜の存在下でタンパク質を生成する。アミン修飾シリカ磁性粒子を反応ミックスに加え、膜小胞およびあらゆる関連する膜タンパク質を捕獲する。
上記の本発明の説明は、例示および説明のための規範例である。本発明の精神および範囲から外れることなく、変更、修飾を加えることが可能であることは当業者の理解するところである。そのようなすべての変更および修飾は、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1A】アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子による、ヘモグロビン、アルカリホスファターゼ、およびβ-ガラクトシダーゼの分画を比較するグラフを表す。
【図1B】Q-セファロースレジンによる、ヘモグロビン、アルカリホスファターゼ、およびβ-ガラクトシダーゼの分画を比較するグラフを表す。
【図1C】DEAE レジンによる、ヘモグロビン、アルカリホスファターゼ、およびβ-ガラクトシダーゼの分画を比較するグラフを表す。
【図2】アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子を使用して分画した、FluoroTect-Green でラベルしたルシフェラーゼおよびヘモグロビンのSDS-PAGEゲルである。
【図3A】3-アミノプロピル磁性シリカ粒子により捕獲した、グリコシル化膜タンパク質のSDS-PAGEゲルである。
【図3B】3-アミノプロピル磁性シリカ粒子により捕獲した、グリコシル化膜タンパク質のSDS-PAGEゲルである。
【図4】3-アミノプロピル磁性シリカ粒子を用いて単離した、無細胞発現系で発現させた膜タンパク質の SDS-PAGE ゲルである。
【図5】3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子によるバクテリア細胞の捕獲を表すグラフである。
【図6】ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して精製したhisタグ付き RNase HIのSDS-PAGEゲルである。
【図7】様々な金属 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子の使用によるヘモグロビンの分画を比較するSDS-PAGEゲルである。
【図8A】アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子、次いで、ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して分画されたhisタグ付き RNase HI のSDS-PAGEゲルである。
【図8B】ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子、次いで、アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子により分画されたhisタグ付きルシフェラーゼのSDS-PAGEゲルである。
【図9A】ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子に付着したhisタグ付きルシフェラーゼに、クマシーブルー色素が結合することを示す写真である。
【図9B】イミダゾール濃度を上げて行った、ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子からの、クマシーブルーで染色したhisタグ付きルシフェラーゼの溶出を示す写真である。
【図9C】ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子に付着したhisタグ付きタンパク質へのクマシーブルー色素の結合を、他の金属キレートレジンのそれと比較した写真である。
【図10A】ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子による分画後の、蛍光ラベルしたhisタグ付きルシフェラーゼのSDS-PAGEゲルを示す。
【図10B】銅 -[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子による分画後の、蛍光ラベルしたhisタグ付きBSAのSDS-PAGEゲルである。
【図11】ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して単離したtRNAのSDS-PAGEゲルである。
【図12】ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して単離した、無細胞系発現系からのhisタグ付きタンパク質のSDS-PAGEゲルである。
【図13】遊離したtRNA 合成酵素の酵素活性を、ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子に結合したtRNA 合成酵素の活性と比較したグラフである。
【図14】ポリペプチドの精製および解析に使用する、本発明の固形支持体を含むように改変されたピペットチップを示す。
【図15】様々な金属 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して行った、ウサギ網状赤血球溶解物からの複合体タンパク質混合物の結合および溶出パターンを示すSDS-PAGEゲルである。
【図16A】銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して行った、ウサギ網状赤血球溶解物からの複合体タンパク質混合物の結合および溶出パターンを示すSDS-PAGEゲルである。
【図16B】様々な画分のタンパク質濃度(ブラッドフォード法によるA595の値)を示すグラフである。
【図17A】銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して行った、CHO 細胞溶解物からの複合体タンパク質混合物の結合および溶出パターンを示すSDS-PAGEゲルである。
【図17B】様々な画分のタンパク質濃度(ブラッドフォード法によるA595の値)を示すグラフである。
【図18A】銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して行った、小麦麦芽細胞溶解物からの複合体タンパク質混合物の結合および溶出パターンを示すSDS-PAGEゲルである。
【図18B】様々な画分のタンパク質濃度(ブラッドフォード法によるA595の値)を示すグラフである。
【図19】様々な条件下で、銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して行った、タンパク質の連続的溶出を示すSDS-PAGEゲルである。
【図20】様々な条件下で、銅 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して行った、タンパク質の連続的溶出を示すSDS-PAGEゲルである。
【図21】鉄(III)またはガリウム(III) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して単離したリンタンパク質オボアルブミンのSDS-PAGEゲルである。
【図22】鉄(III)またはガリウム(III) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用してウサギ網状赤血球溶解物から単離したリンタンパク質のSDS-PAGEゲルである。
【図23A】ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を使用して単離された、誘導後の様々な時間で回収された、バクテリア溶解物からのクマシー染色Hisタグ付きタンパク質の写真である。
【図23B】誘導後の時間の関数で示した、細胞増殖(OD600で測定した値)およびタンパク質濃度(クマシー染色タンパク質のA595で測定した値)のグラフである。
【図23C】精製されたサンプル中のタンパク質のSDS-PAGEゲルである。
【図24】ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子を用いて単離し、BODIPYで染色した、hisタグ付きタンパク質のSDS-PAGEゲルの蛍光画像を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、出発物質から標的物質を単離する方法:
(a)出発物質を、以下からなる群から選択される組成物と接触させて、標的物質の少なくとも一部と該組成物の間に複合体を形成する工程。
【化1】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。)、
および、
【化2】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
【請求項2】
X が -(CH2)3- であり、R4 が H であり、M+ が Ni(II)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
方法が、さらに、以下の工程を含む、請求項1に記載の方法:
(b)工程(a)の複合体を洗浄する工程;および
(c)標的物質を溶出する工程。
【請求項4】
標的物質が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、およびエンドトキシンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
標的物質がポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリペプチドがアフィニティータグを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アフィニティータグがポリヒスチジンタグを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ポリペプチドが、検出可能なラベルを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
検出可能なラベルが、フルオロフォアおよび色素からなる群、またはその組み合わせから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
以下の工程を含む、出発物質中の非標的物質から標的物質を分離する方法:
(a)出発物質を、組成物と、該組成物と非標的物質の間に複合体を形成するのに適した条件下で、接触させる工程、ここで、該組成物は以下を含み、

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R1は、炭化水素基または置換炭化水素基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
RNは、NH2、NHRN1、NRN1RN2、またはNRN1RN2RN3(RN1、RN2、およびRN3は、主鎖に6個までの炭素原子を持つ炭化水素基、主鎖に6個までの炭素原子を持つ置換炭化水素基、または水素原子から独立に選択される)である。);
(b)標的物質を含むフロースルーを集める工程;
(c)工程(b)の標的物質を、第2の組成物と、支持体と標的物質の間に複合体を形成するのに適した条件下で、接触させる工程、ここで、該第2の組成物は、以下からなる群から選択される。
【化3】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M は金属イオンであり;そして
nは1以上の整数である。)、
および、
【化4】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+ は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
【請求項11】
固形支持体が、シリカおよび磁性シリカ粒子からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(c)の支持体が、標的物質を可逆的に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
標的物質が、ポリペプチド、核酸、およびエンドトキシンからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
以下の工程を含む、出発物質から膜関連タンパク質を単離する方法:
(a)出発物質を、組成物と、膜と該組成物の間に複合体を形成するのに適した条件下で、接触させる工程、ここで、該出発物質は、ミクロソーム膜小胞を含むインビトロ発現系を含み、そして、該組成物は、以下を含む。

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R1は、炭化水素基または置換炭化水素基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
RNは、NH2、NHRN1、NRN1RN2、またはNRN1RN2RN3(RN1、RN2、およびRN3は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子から独立に選択される)である。)
【請求項15】
RN1、RN2、およびRN3が、最長鎖に6個までの炭素原子を持つアルキル基、最長鎖に6個までの炭素原子を持つ置換アルキル基、および水素原子からなる群から独立に選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
方法が、さらに、工程(a)の複合体を、非イオン性界面活性剤と接触させる工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
以下の工程を含む、出発物質中の非標的物質から標的物質を分離する方法であって、該非標的物質の少なくとも一部は下記組成物と複合体を形成しない、また、該非標的物質は補欠分子族ヘムを含むポリペプチドを含む、方法:
(a)出発物質を、組成物と接触させて、標的物質と該組成物の間に複合体を形成させる工程、ここで、該組成物は、以下を含む。

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R1は、炭化水素基または置換炭化水素基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;そして、
RNは、NH2、NHRN1、NRN1RN2、またはNRN1RN2RN3(RN1、RN2、およびRN3は、主鎖に6個までの炭素原子を持つ炭化水素基、主鎖に6個までの炭素原子を持つ置換炭化水素基、または水素原子から独立に選択される)である。)
【請求項18】
RN1、RN2、およびRN3が、最長鎖に6個までの炭素原子を持つアルキル基、最長鎖に6個までの炭素原子を持つ置換アルキル基、および水素原子からなる群から独立に選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
非標的物質が、ヘモグロビンおよびミオグロビンからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
以下からなる群から選択される固形支持体を含む組成物を含む、出発物質中の非標的物質から標的物質を分離するためのキット。
【化5】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M は金属イオンであり;そして
nは1以上の整数である。)、
および、
【化6】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+ は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
【請求項21】
X が -(CH2)3- であり、R4 が H であり、M+ が Ni(II)である、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
キットが、さらに、結合バッファー、洗浄バッファー、および溶出バッファーの少なくとも1つを含む、請求項20に記載のキット。
【請求項23】
以下の工程を含む、液体中の金属イオンを減らす方法:
(a)該液体を、組成物と接触させて、該金属イオンと該組成物の間に複合体を形成する工程、ここで、該組成物は、以下を含む。
【化7】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;そして、
nは1以上の整数を含む。)、
および、
【化8】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
【請求項24】
前記組成物が以下である、請求項23に記載の方法。
【化9】

(式中、R1は、

であり;
X は -(CH2)3- であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は水素原子であり;そして
nは1以上の整数を含む。)
【請求項25】
以下の工程を含む、出発物質から細胞を取り除く方法:
(a)出発物質を、組成物と、細胞と該組成物の間に複合体を形成するのに適した条件下で、接触させる工程、ここで、該組成物は以下を含む。

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R1は、炭化水素基または置換炭化水素基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
RNは、NH2、NHRN1、NRN1RN2、またはNRN1RN2RN3(RN1、RN2、およびRN3は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子から独立に選択される)である。)
【請求項26】
RN1、RN2、およびRN3が、最長鎖に6個までの炭素原子を持つアルキル基、最長鎖に6個までの炭素原子を持つ置換アルキル基、および水素原子からなる群から独立に選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
RN1、RN2、およびRN3が、最長鎖に6個までの炭素原子を持つアルキル基、最長鎖に6個までの炭素原子を持つ置換アルキル基、および水素原子から独立に選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記条件が、少なくとも約1容量%の濃度で、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールの存在を含むものである、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記条件が、少なくとも約15容量%の濃度でイソプロパノールの存在を含むものである、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
細胞がバクテリア細胞である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
以下の工程を含む、出発物質中のタンパク質を検出する方法:
(a)出発物質を、固定化金属キレート剤を含む固形支持体を含む組成物と接触させて、該タンパク質と該組成物の間に複合体を形成する工程;
(b)工程(a)の複合体を、タンパク質複合体を検出可能なラベルと接触させて、ラベルタンパク質複合体を形成する工程;
(c)支持体を洗浄して、複合体を形成していないラベルを取り除く工程;
(d)ラベルされたタンパク質複合体を検出する工程。
【請求項32】
方法が、さらに、以下の工程を含む、請求項31に記載の方法:
(e)複合体を形成したラベルを測定する工程;および、
(f)複合体を形成した工程(e)のラベルの量を、既知のラベルタンパク質複合体の量と相関させることにより、該タンパク質の濃度を求める工程。
【請求項33】
金属修飾固形支持体が、以下からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【化10】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。)、
および、
【化11】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
【請求項34】
検出可能なラベルが、フルオロフォアおよび色素からなる群、またはその組み合わせから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
以下の工程を含む、出発物質から核酸を分離する方法:
(a)出発物質を、組成物と、該核酸と該組成物の間に複合体を形成するのに適した条件下で、接触させる工程、ここで、該組成物は、以下からなる群より選択される。
【化12】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。)、
および、
【化13】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
【請求項36】
方法が、さらに、以下の工程を含む、請求項35に記載の方法:
(b)工程(a)の核酸を溶出する工程。
【請求項37】
核酸がtRNAを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
金属イオンがニッケルである、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
以下の工程を含む、基質を生成物に転換する触媒作用を持つ、出発物質中の酵素の活性を測定する方法:
(a)出発物質を、組成物と接触させて、該酵素と該組成物の間に複合体を形成する工程、ここで、該組成物は、以下からなる群より選択され、
【化14】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。)、
および、
【化15】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。);
(b)適切な反応条件下で、工程(a)の複合体を、該酵素の基質と接触させる工程;および、
(c)基質の減少または生成物の増加を検出する工程。
【請求項40】
酵素がポリヒスチジンタグを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
以下の工程を含む、出発物質からリンタンパク質を分離する方法:
(a)出発物質を、組成物と接触させて、リンタンパク質と該組成物の間に複合体を形成する工程、ここで、該組成物は、以下からなる群より選択され、金属イオンは、鉄(III)またはガリウム(III)からなる群より選択される。
【化16】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。)、
および、
【化17】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
【請求項42】
以下からなる群から選択される組成物を含む出発物質からリンタンパク質を分離するためのキットであって、金属イオンは、鉄(III)およびガリウム(III)からなる群より選択される前記キット。
【化18】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。)、
および、
【化19】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
【請求項43】
キットが、さらに、結合バッファー、洗浄バッファー、および溶出バッファーの少なくとも1つを含む、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
以下からなる群より選択される組成物を内部に配置されて含む、タンパク質を精製するための装置。
【化20】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。)、
および、
【化21】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。)
【請求項45】
装置がピペットチップを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
請求項44に記載の装置を含む、出発物質から標的物質を単離するためのキット。
【請求項47】
キットが、さらに、結合バッファー、洗浄バッファー、および溶出バッファーの少なくとも1つを含む、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
以下の工程を含む、少なくとも2つの異なる種類のポリペプチドを含む出発物質中のポリペプチドを連続的に分画する方法:
(a)出発物質を、組成物と接触させて、該ポリペプチドと該組成物の間に複合体を形成する工程、ここで、該組成物は、以下からなる群より選択され、金属イオンは、該ポリペプチドと該組成物の間に複合体を形成するために銅およびコバルトからなる群より選択され、
【化22】

(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。)、
および、
【化23】

(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は、金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である。);
および、
(b)pHの変化、少なくとも1つの塩の濃度の変化、有機溶媒の供給、イオン状態の変化、疎水性の条件の変化、および、キレート剤の供給、またはこれらの組み合わせ、からなる群より選択される効果をもたらす少なくとも1つの溶出バッファーに、複合体を接触させることにより、ポリペプチドを連続的に溶出する工程。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16B】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図24】
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【公表番号】特表2006−502857(P2006−502857A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545581(P2004−545581)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/033374
【国際公開番号】WO2004/036189
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(593089149)プロメガ コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
【Fターム(参考)】