分子相互作用を検出するためのナノスケール変換システム
本発明は、検出を促進するための可逆的シグナルを発生するナノスケール変換システムに関する。ある意味で本発明は、高次シグナル発生ナノスケール構築体または「ナノマシーン(nanomachines)」を使用する分子結合事象に関し、これはナノ構造体が、高バックグランドノイズ中でも個々に検出できるようにする。かかるシステムは、まれな標的の検出法の性能を改良するのに特に有用であり、ならびに一般的に検出の感度、区別および信頼性が重要なすべての分野で有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出を促進するための可逆的シグナルを発生するナノスケール変換システムに関する。ある意味で本発明は、高次シグナル発生ナノスケール構築体(signaling nanoscale constructs)または「ナノマシーン(nanomachines)」を使用する分子結合事象に関し、これはナノ構造体を、高バックグランドノイズ中でも個々に検出できるようにする。
【背景技術】
【0002】
フォトニクス(photonics)分野は、発光透過、反射、増幅、および検出に関する新興の集束しつつある種々の技術を含む。光および他の型の放射エネルギーを利用し生成する能力は、同様に広範な機器、例えば光学部品および機器、レーザー、他の光源、光ファイバー、電子光学装置、および関連するハードウェアと電子工学を生み出してきた。かかる多数の技術や装置でも、フォトニクスの進歩は、シグナル入力が意味のある出力に効率的に変換されるという意味でまだ限定されている。
【0003】
シグナル発生ナノ構造体(例えば、量子ドット、フォトニック結晶構造体、および金属ナノ粒子)の開発において大きな進歩がなされており、蛍光性、発光性、または他の光学的性質が改良されている。この進歩により、従来の蛍光顕微鏡や電荷結合素子(CCD)イメージングシステムを用いて容易に検出できるナノ構造体が開発された。これらの進歩は、ある空間中のナノ構造体集団から得られるシグナル情報がナノ/ミクロスケールからマクロスケールレベルに流れることを可能にし、これらを種々の異なる用途で有用にしている。
【0004】
比較的低レベルのシグナルを検出するために設計された光システムでは、追跡される構造体または事象から生成される真の「シグナル」が、あらゆる光システムに固有のバックグランド「ノイズ」から区別できなければならない。このような区別をできないことは、まれな事象の発生とランダムノイズとを区別するために従来の光システムを使用することを制限する。多くの用途で、使用可能な形へのナノ構造体からのシグナルの変換はまだ信頼できないため、「個々に」検出可能なシグナル発生ナノ構造体の使用はまだこの問題を解決していない。特に、単一の標的分子結合事象のような特異的分子相互作用の発生と非特異的結合による発生とを信頼できるように区別するための、ナノ構造体の固有の検出可能性を利用することは困難である。
【0005】
種々の異なる化学的および生物学的用途でナノ構造体のユニークなシグナル発生性を利用する多くの異なる技術やアッセイフォーマットが、現在開発中である。かかる用途は、より高度の結合およびシグナル発生要素を用いて、より複雑な「第2世代」ナノ構造体を利用する。例えば米国特許第6,630,307号は、光の別個の波長を放出する検出可能な標識物としての半導体ナノ結晶(量子ドット)の使用を開示する。さらに米国特許第6,777,186号は、シグナル発生プローブまたは機構を作成するための金属性ナノ粒子および他のレポーター基の使用を開示する。このような努力にもかかわらず、固有の感度の消失の背後にある基礎的理由はまだ克服されておらず、多くのアッセイ条件下で単一分子の検出可能性は確保されていない。
【0006】
従って、単一分子の検出可能性を示すことができる高次のナノスケール変換システムの開発に対するニーズがある。かかるシステムは本発明により、本明細書に記載の「ナノマシーン」の形で提供され、例えばまれな分子結合事象の検出に理想的に適した可逆的なシグナル発生機構を利用する。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
本発明は、単一分子の検出可能性を示すことができる高次のナノスケール変換システム(すなわち「ナノマシーン」)に関する。本発明の1つの態様は、ナノ構造体と関連する構造体とを標的に結合させ、ナノ構造体、関連する構造体、および標的との間の相互作用を可逆的に変化させることを含む方法である。可逆的変化は加えられるエネルギー、例えば電界、DC電界、AC電界、容量電界、熱エネルギー、電気エネルギー、化学エネルギー(例えば、アデノシン三リン酸(ATP)、またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH))などに対して応答してもよい。エネルギーはさらに、光量子、磁気、動力学、音響、超音波、マイクロ波、または放射線でもよい。
【0008】
可逆的変化は、異なる型(例えば変形(弾性、非弾性、または可塑性)、ならびに角運動、分離距離、回転、直線変位、らせん運動など)を取ってもよい。変化はさらに、剪断力または圧力に応答してもよい。
【0009】
ナノマシーンの成分間の変化した相互作用は、共鳴エネルギー(双極子カプリングまたは4極子カプリング)の形を取ってもよく、これは蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)でもよい。あるいは相互作用は、プラスモン、近接場結合、光量子、容量性、磁性、または静電性でもよい。
【0010】
この方法はさらに、相互作用(これは表面増強ラマン散乱(SERS)またはラマンスペクトル、発光、蛍光、光学的性質、色、磁界、電界、温度などでもよい)により生じる空間的に独立した、時間的に変化する特性を検出する工程を含んでよい。ある実施態様において、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的に変化する相互作用は空間的に独立している。さらに、相互作用は溶液中または固体表面(マイクロアレイまたはナノアレイ)で起きてもよい。相互作用は、空間配置についての予めの情報があっても又はなくても起きて良い。例えばこの方法は、均一アッセイでも不均一アッセイでもよい。
【0011】
別の実施態様において本発明は、ナノ構造体と関連する構造体とを有する装置であって、ナノ構造体と関連する構造体は互いにおよび標的と可逆的に相互作用するように改変されることを特徴とする装置に関する。適当なナノ構造体と関連する構造体とには、例えば量子ドット、半導体ナノ粒子、フォトニック結晶、金属ナノ粒子、セラミックナノ粒子、ポリマーナノ粒子、およびナノチューブがある。さらに関連する構造体には、シグナル発生要素、例えばフルオロフォア、消光物質、発色団、フィコビリンタンパク質、発光物質、蛍光タンパク質がある。
【0012】
装置はさらに、相互作用増幅要素を含んでよく、これはナノ構造体または関連する構造体に結合してもよい。かかる増幅要素は、例えば圧力応答要素または変位増幅要素でもよい。
【0013】
装置のナノ構造体はそこに蛍光ドナーが結合していてもよく、この場合関連する構造体は蛍光消光物質を含む。あるいはナノ構造体と関連する構造体とは、そこに蛍光エネルギー移動(FRET)対の個々のメンバーが結合してもよい。
【0014】
別の実施態様においてナノ構造体と関連する構造体とは、互いにおよび標的と可逆的かつ空間的に独立に相互作用するように改変され、これは溶液、または表面(例えばマイクロアレイまたはナノアレイ上の)でおこってもよい。
【0015】
別の実施態様において本発明は、ナノ構造体、関連する構造体、および標的を提供する工程と;ナノ構造体、関連する構造体、および標的により提供される時間的に変化し空間的に独立した情報シグナルを検出する工程とを含む方法である。本方法はさらに、ナノ構造体、関連する構造体、および標的にエネルギーを適用する工程を含み、エネルギーは光量子、電気、熱、磁気、周期的、連続的インパルス、単一のインパルスであるか、または一定でもよい。情報シグナルは、蛍光、色、温度、電界強度、または磁界強度の変化でも、またはナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せに特有の周波数の変化でもよい。この方法はさらに、例えば神経ネットワーク、Bayesianネットワーク、またはM-ary検出を使用して分子結合事象を分類するために、検出された情報を処理することを含む。この方法はまた、ナノ構造体、関連する構造体、および情報シグナルを含む標的の間の可逆的に変化する相互作用を発生させる駆動力を適用することを含む。
【0016】
本発明のさらなる実施態様は、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的に変化する相互作用を発生させるように改変した、標的を検出するためのシステムであり;ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せにエネルギーまたは駆動力を付与するように改変され、こうして可逆的に変化する相互作用を発生させる、入力源と;可逆的に変化する相互作用により発生される変換された出力を検出するように作成した検出器とを含む。システムの他の態様(例えば付与されたエネルギーおよび変換された出力)は上記した通りである。
【0017】
上記実施態様以外に本発明は、少なくとも1つの標的結合領域と少なくとも1つのシグナル影響領域とを有するシグナル発生ナノ構造体を含み、ここでシグナル影響領域は、そこにナノ構造体のシグナル発生特性を変化させるシグナル影響要素が結合し、標的結合領域は所定の標的に対して選択的である。シグナル影響要素はシグナル阻害要素でもよい。さらにシグナル発生ナノ構造体が蛍光性で、シグナル阻害要素が蛍光消光物質でもよい。
【0018】
このナノ構造体のある変更態様において標的結合領域とシグナル影響領域は、シグナル発生ナノ構造体の表面に非対称にパターン化されている。ナノ構造体は1つまたは多くの標的結合領域を含有してもよい。さらにシグナル影響要素は金属ナノ粒子でもよい。
【0019】
別の変更態様においてシグナル発生ナノ構造体は、ナノ構造体のシグナル発生特性を変化させるシグナル影響要素をそこに結合して有する少なくとも1つのシグナル影響領域を有し、ここでシグナル影響要素はまた、標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの標的結合領域を有し、標的結合要素は所定の標的に対して選択的である。
【0020】
これらの実施態様または変更態様のいずれかの標的結合要素は、結合対の任意のメンバー(例えばオリゴヌクレオチド、抗体、またはポリペプチド)でもよい。シグナル発生ナノ構造体およびシグナル影響要素はまた、標的結合要素を介して結合してもよく、これは本実施態様では構造体間の架橋として作用する機能を果たす。
【0021】
さらに別の変更態様においてシグナル発生ナノ構造体は、第1のシグナル影響要素をそこに結合して有し、ここでシグナル影響要素はまた少なくとも1つの標的結合領域を含有し、シグナル発生ナノ構造体はまた、そこに結合した第2のシグナル影響要素を含有する。
【0022】
本発明はまた:第1の金属ナノ粒子(ここで第1の金属ナノ粒子はまた、第1の標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの第1の標的結合領域を含有し、かつここで第1の標的結合要素は所定の標的に対して選択的である)をそこに結合して有する第1のシグナル発生ナノ構造体;第2の標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの第2の標的結合領域を有する第2の金属ナノ粒子(ここで第2の標的結合要素は同じ所定の標的に対して選択的である)とを、含有するキットを含む。かかるキットにおいては、標的結合要素は上記のようなものであってよい。
【0023】
キットの変更態様は、第1および第2の金属ナノ粒子がつなぎ基(tethering group)(これは、合成ポリマー、1本鎖核酸、脂肪酸、グリコサミノグリカン、またはポリペプチドでもよい)を介して結合する時である。
【0024】
本発明のさらなる実施態様は、以下の工程を含む方法である:ナノ構造体を標的に結合させる工程;関連する構造体を標的に結合させる工程;ナノ構造体、関連する構造体、および標的間の相互作用を可逆的に変化させて情報を発生させる工程;および情報を検出する工程。標的は例えば、核酸、タンパク質、無機表面、ゲノム核酸などでもよい。これはまた、生物学的試料、例えば細胞もしくは組織試料でもよい。
【0025】
本方法の例ではナノ構造体はまた、所定の標的に対して選択的である標的結合要素をそこに結合して有する第1の標的結合領域を有し;ここで、関連する構造体はまた、同じ所定の標的に対して選択的である第2の標的結合要素をそこに結合して有する第2の標的結合領域を含む。ある変更態様において、第1および第2の結合要素の両方とも、核酸または抗体でもよい。
【0026】
本方法の1つの実施態様は均一測定法であり、この場合本方法は、溶液中で実施できるように改変され、検出工程は溶液からナノ構造体または関連する構造体を取り出すことなく行われる。本発明の別の実施態様はインサイチュー測定法であり、この場合、方法は、細胞構造体中で実施できるように改変され、検出工程は細胞構造体からナノ構造体または関連する構造体を取り出すことなく行われる。
【0027】
本発明はまた、シグナル発生要素と標的結合要素とをそこに結合して有する金属ナノ粒子を含み、ここでシグナル発生要素は、例えば量子ドット、フルオロフォア、FRETドナー、またはFRETアクセプターでもよい。
【0028】
さらに別の実施態様において本発明は、以下の工程を含む試料中の標的核酸分子を同定する方法を含む:標的核酸分子に、シグナル発生要素をそこに結合して有する第1の核酸プローブを接触させる工程(ここで第1の核酸プローブは標的分子にハイブリダイズする);標的核酸に、シグナル阻害要素をそこに結合して有する第2の核酸プローブを接触させる工程(ここで第2のプローブは、シグナル阻害要素がシグナル発生要素の近傍にあり、こうしてシグナル発生要素に関連するシグナルを低下させるように、標的核酸分子にハイブリダイズする);パルス電界を、標的核酸とハイブリダイズしたプローブとにより生成される核酸複合体に適用する工程(ここでパルス電界は、シグナル阻害要素がシグナル発生要素に関連するシグナルを低下させる能力を周期的に妨害し、こうして振動するシグナルを生成する);および振動するシグナルを検出する工程。本方法の他の変更態様は後述の実施例2に記載され、これは、野生型状態、病的状態、または遺伝的改変に関連する診断プロフィールを集合させるためにこの方法を使用する能力を含む。
【0029】
本発明の他の態様は、本明細書を通して議論される。
【0030】
発明の説明
本発明は、検出を促進する可逆的シグナルを生成するナノスケール変換システムに関する。ある意味で本発明は、高バックグランドノイズの中でさえもナノ構造体を個々に検出可能にする第3世代シグナル発生ナノ構築体、すなわち「ナノマシーン」を使用する分子結合事象の分析に関する。かかるシステムは、まれな標的の検出法の性能を改良するのに特に有用であり、ならびに一般的に検出の感度、区別および信頼性が重要なすべての分野で有用である。
【0031】
分子測定法の最適化に対する従来のアプローチ
従来の分子測定法は、分子結合測定法のフリーエネルギー背景を越える時間と濃度に依存する。しかし本質的にまれな分子を捜す時は、熱力学的平衡への充分な進行には数時間のインキュベーションが必要である。さらに事態を複雑にすることは、プローブ濃度の上昇により測定法の速度を上昇させる試みはまた、局所的最小の占有が好都合であり、これは感度と特異性の間の反比例の関係と、速度と特異性の間の反比例の関係を作り出す。さらに複雑な生物学的試料内のランダム性は、フリーエネルギー背景を変化させて、間違って結合したプローブを安定化し、均一な洗浄、熱、または塩ストリンジェンシー手段が、標的を見つけたプローブと、同様であるが非特異的エネルギー最小値内に含有されるプローブとの区別を妨害する。
【0032】
これらの要因は、非常に少数しか存在しない標的を検出するために設計された測定法(抗体、蛍光プローブ、分子ビーコン、PCR増幅などに基づく測定法を含む)の検出の基礎的限界を設定する。これらの要因はまた、理想的な実験室条件下では驚くほどうまく機能する測定法が、複雑な生物学的試料が提供される時にはなぜ失敗するかを説明する。
【0033】
従って測定法開発における最近の研究の大部分は、検出感度の向上に焦点を当てている。これは、酵素増幅法、数珠つなぎの光ファイバーアセンブリー、直接および間接の電気化学的検出、多くの光学的方法(例えば、SERS、水晶マイクロ天秤、ナノ粒子蓄積測定法)、および多くのあまり知られていない方法(例えば、DNA結合イオンチャネルを利用)がある。分子検出の分野で特に注目すべき開発は、「個々に検出可能な」蛍光ナノ粒子の出現である。光の回折限界以下では分解できないが、量子ドットのようなナノ粒子は、わずかに数ナノメートルの大きさの対象から特性を検出するための比較的安価な顕微鏡システムを可能にした。
【0034】
しかし、半導体に基づくバイオマーカーの感度上昇は、臨床的な遺伝子型判定測定法のような測定法で遭遇する低いシグナル対ノイズ比を克服するのに不充分であった。多くの試験は理想的な実験室条件下で信頼できる検出を示したが、複雑な生物学的試料に適用した時は、これらの同じ測定法の性能は大幅に低下した。複雑さを改善する試みにおいて、フロントエンド試料前処理システム(すなわち、標的分子の分離、精製、および増幅)を検出法と連結した。このため、最近の労働集約的な時間のかかる高価な方法になり、許容できないほどの偽陽性率及び偽陰性率となる。
【0035】
事を複雑にしているのは、臨床的遺伝子型判定アプリケーションの大変な性能基準である。広く受け入れられるために、プラットホームは速度、感度、および絶対特異性を示さなければならない。これは、間違った読み値が特に好ましくない結果を有する感染症、法医学、癌、および生物テロ物質検出について特に言える。分子診断学は薬剤発見標的評価(すなわち毒性と細胞シグナル発生研究)(ここでは感度と速度が特に重要である)でも重要である。可能であれば検出の自動化はまた、臨床治験の参加基準として患者集団を分けるため、および処方された薬剤の効力を増加させることにより一般人の副作用を低下させるための新しい薬剤開発のコストの低下において、大きな目的を果たすであろう。
【0036】
第1および第2世代の従来のナノ粒子測定法
一般にほとんどの光ナノ粒子は固有の性質を有し、これがこれらを従来の蛍光顕微鏡/CCDイメージングシステムで個々に検出することを可能にしている(すなわち「固有の検出性」)。例えば、蛍光ポリマー(ラテックスおよびポリスチレン)ナノビーズ(20〜500nm)の形のナノ粒子は市販されており、従来の蛍光顕微鏡を用いて個々に検出可能である。比較して、小(約1nmまたはそれ以下)有機発色団/フルオロフォア分子(フルオレセイン、ローダミンなど)は、「個々に検出可能」ではないかまたはかかるシステムで測定できない。これらは特異的な近接場光学システムを用いて「個々に検出」することができるが、かかるシステムはほとんどの従来の実験室環境では実際的ではない。
【0037】
技術的な意味においてナノ粒子は「個々に検出」される(最小のバックグランドノイズの場で観察される)が、これらのサイズが光の回折限界以下であるため顕微鏡システムにより実際に「解像」できない。この性質は、星が実際には解像されないのに、望遠鏡で光の点としてなぜ個々に検出できるかに少し似ている。残念ながら、より一般的なナノ粒子またはより新しい世代の光ナノ粒子を使用しても、特異的分子相互作用の発生(例えば単一の分子結合事象)を信頼できるように表示するために固有の検出性を利用することは困難である。それにもかかわらず多くの研究者は、(溶液中で行われる)均一測定法および(固相に結合している)不均一測定法の両方で、種々のセンサー技術を利用して特異性と感度が改良されたナノ粒子プローブベースの測定法を開発しようとしている。例えば米国特許第6,777,186号、同第6,773,884号;同第6,767,702号;同第6,750,016号;同第6,682,895号;および同第6,778,316号を参照されたい。
【0038】
例えばFritzscheらは、マイクロアレイ表面上の空間的に規定された位置(「試験部位」)に結合した金ナノ粒子プローブ(「プローブ」)を使用した不均一測定法を記載する(Fritzsche W., Taton, T.A., Nanotechnology, 14(12):R63-R73(2003))。この例では、ナノ粒子アレイの詳細な原子間力顕微鏡画像が撮られ、試験部位内の一致したDNA標的間のみでなく、試験部位間の誤ったプローブ、残存タンパク質、および表面の間の結合も、明らかに示した。
【0039】
任意のアレイベースのシステム(マイクロアレイまたはナノアレイ)のように、情報は非ランダムな空間的に閉じこめられた領域内に含有される。アレイ上のある座標(x,y)の試験部位は、標的を検出し同定するためにナノ粒子密度の増加について観察しなければならない。この領域からのシグナルは、標的分子を有さないがナノ粒子プローブ(すなわち、陰性対照)に暴露された同じサイズの領域と比較されなければならない。これは少なくとも2つの欠点を有する:第1にこれは、標的に到達するまれなプローブのために有効な拡散長さが長くなり、これは測定を劇的に遅くして完了するのに1日またはそれ以上かかる;そして第2に、相対的比較は、基礎的なシグナル対ノイズ限界を確立し、これは通常単一分子検出についてのレベルより高いか、または低コピー数検出(<1000コピーの標的)についてのレベルより高い。
【0040】
ほとんどの既存のナノ粒子またはマイクロアレイ法は、特異的プローブがその正しい標的配列に完全に結合することを確認するのに熱力学的平衡に依存する。まれな標的については、これは、複雑なDNAまたはタンパク質試料に関連する問題を克服するには不充分であり、ここで多くのプローブは同様の結合フリーエネルギーを有し、ハイブリダイゼーション効率は強く濃度依存性である(Bhanot G., Louzoun Y., Zhu J., DeLisi C. Arrays. Biophysical Journal, 84:124-135 (2003))。従って多くの研究者はまた、上昇した特異性を提供するのに洗浄または熱ストリンジェンシーに依存する(例えば、米国特許第6,773,884号;同第6,048,690号;および同第5,849,486号)。
【0041】
さらなる洗浄はより非特異的バックグランドを除去するが、これはまた、一致プローブと不一致プローブとのフリーエネルギーの重複のために、特異的標的も除去してしまう。すなわち、改良された特異性の犠牲は感度の消失である。点突然変異または単一ヌクレオチド多型(遺伝子型判定)、抗体を用いる感染性疾患表現型判定、または標的評価試験の単一塩基鑑別分析の場合、非常に高いストリンジェンシー条件が特異性のために絶対必要である(用語「ストリンジェンシー」は、ハイブリダイゼーションが起きる条件を示す。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション中および洗浄操作中の多くの要因(温度、イオン強度、塩基組成物、プローブ長さ、およびホルムアミドの濃度を含む)により決定される。これらの要因は、例えばマニアティス(Maniatis)ら、1982とサムブルーク(Sambrook)ら、1989に概説されている)。これらの試験はヒトのための診断薬にとって非常に重要であるため、これらの応用のほとんどで偽陽性も偽陰性も受け入れられないため、感度のために特異性を犠牲にすることはできない。受動的検出法の限界を避ける試みは、うまくいっていない。
【0042】
米国特許第6,602,400号;同第4,787,963号および同第5,605,662号は、ハイブリダイゼーション反応を進めるための濃度効果を達成するための電界の使用を記載する。これは、微小電極が下にある試験部位を使用することによって、マイクロアレイフォーマットのハイブリダイゼーション速度の問題のためのある程度の手段となっている(米国特許第6,048,690号)。下にある微小電極は、特異的試験部位で標的分子(負荷電したDNA分子)を泳動させ濃縮する電界を与える。電界はまた反転させて、マイクロアレイの表面から非特異的に結合したプローブを除去するためのある種の電界のストリンジェンシーを提供することができる。これらの微小電子アレイでは、ある程度の感度と選択性の改善が与えられるが、低コピー数検出はまだ達成されておらず、その結果これらの方法は、分析の前にPCRによりDNA標的をあらかじめ増幅することが必要である。
【0043】
米国特許第6,048,690号と同第6,403,317号は、古典的マイクロアレイシステムにおける蛍光シグナルの変動を記載する。ハイブリダイゼーション生成物は必ず電子的ストリンジェンシー制御装置に連結されるため、ハイブリダイゼーション速度が犠牲になり、ノイズ限界が付加される。従って追跡されるシグナルは、これらの限界を超えるために数百万以上の蛍光標識プローブ分子の集団から放出され、これは分析前にDNAのPCR増幅を必要とした。
【0044】
多くの検出法を注意深く調べると、一般に、DNA標的をあらかじめ増幅する必要性は不均一測定法でも均一フォーマットでも同様であることがわかる。この障害は、プローブがナノ粒子を用いて設計されたかまたは従来のフルオロフォア、電気化学的、化学発光、またはラジオアイソトープ標識物を用いて設計されたかに無関係に発生するようである。種々の検出法の理想的な感度にもかかわらず、ある程度の数の標的配列(1,000〜100,000コピー)が存在する場合も、試料が複雑(多量の外因性DNA、タンパク質、および他の物質)な場合は、DNA標的の増幅がしばしば必要である。
【0045】
ナノ粒子プローブの固有の検出性を保持する問題はまた、ドナーとアクセプター(または消光物質)プローブの間で単純な蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)機構を作成しても解決できないようである。FRET機構の消光またはエネルギーカプリングは完全ではないため、これらのプローブはその特異性の増加にもかかわらずバックグランドノイズを排除できない。
【0046】
まとめると前記要因は、ナノ粒子、蛍光プローブ、分子ビーコンなどに基づく測定法の検出の基本的限界を設定している。これらの要因はまた、理想的な実験室条件下では驚くほどうまく機能する測定法が、複雑な生物学的試料が提供される時にはなぜ失敗するかを説明する。すなわち固有のナノ粒子感度の消失の基本的な理由は克服されておらず、ほとんどのアッセイ条件下では単一分子検出は確保されない。
【0047】
発明の一般的説明
本発明は、分子結合事象の検出の増強への「パラダイムシフティング(paradigm shifting)」に関し、これは分子結合測定法の改良された性能(信頼性、感度など)を与える。このアプローチは可逆的シグナル発生の検出と処理、およびシグナルの周波数特性の分析に依存し、前記例で説明した強度の差に依存するのではない。
【0048】
さらに詳しくは本発明は、受動的分子測定法の特徴である速度、感度、および特異性の間の逆転関係を避けるナノスケール変換システムに関する。標的にナノ構造体と関連する構造体とを結合させて「ナノマシーン」を生成し、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の相互作用を可逆的に変化させることにより、本発明はナノスケールからマクロスケールへの情報の流れを最大にして信頼できる検出を可能にする。各ナノマシーンはすぐ近くの環境を示す経時変化するシグナルを生成する機械的能力を付与されているため、時間シグナル処理理論の応用は、非特異的に結合したナノ構造体の場中で特異的に結合したナノ構造体を抽出するのに使用することができる。分子シグナルの生成と検出の両方は相関したランダム変数であるため、生成したシグナルの多くの観察は、経時的検出の信頼性と感度を改良する。さらにシグナルの異なる周波数成分は、ナノ構造体が特異的または非特異的に結合しているかどうかの情報を伝える。従来の測定法はこの動力学を利用せず、従って上記バックグランドノイズの基本的な限界に支配される。第2に、ナノ構造体に経時的な情報の流れを加えることは、目的のプローブの存在場所の検出の独立性を可能にする。プローブはマイクロアレイ中で特異的試験部位に結合する必要は無く、これは不均一測定法において劇的な速度の上昇とさらに顕著なことは、液相測定法またさらには均一/不均一組合せ測定法(ここで高濃度のプローブは溶液中の捕捉速度を促進し、次に分析のための表面へ運ばれる)を実施する能力を生じさせた。
【0049】
高バックグランド中の周期的シグナルの検出は、レーダー、通信理論、および天文学の分野で広く研究されている。この確率検出理論の他の分野(例えば生命科学)への拡張は、分子結合測定法(例えば、分子診断薬)の静的性質により限定されている。例えば分子プローブとして使用される時、ナノ構造体の性状解析に動的部分をカプリングさせることにより、高レベルの妨害的バックグランドノイズにもかかわらず、分子プローブの直近の環境についての情報がナノ/ミクロスケールからマクロスケールへ流れる。
【0050】
図1は、上記したように分子相互作用を検出するナノスケール変換システム100のブロック図を示す。このシステム100では、ナノマシーン/標的組合せ102が、入力源104からの駆動エネルギー源を受け取る。ナノマシーン/標的組合せは、上記したようにそれぞれ標的に結合したナノ構造体および関連する構造体を含む。
【0051】
入力源104からのエネルギーは、例えば電気エネルギー、熱エネルギー、光学的エネルギー、磁気エネルギー、またはナノ構造体、関連する構造体、および標的間の相互作用がエネルギーに応答して可逆的に変化するように、ナノマシーンにエネルギーを付与するのに充分な他の物理的現象を含む。ナノマシーン/標的組合せに付与される入力源104からのエネルギーは、周期的(例えばサイン波に特徴を有する)でも,またはインパルスもしくは連続的なインパルスエネルギーでも、または一定のエネルギー源でもよい。
【0052】
上記したように可逆的変化は、多くの異なる種類の変化の1つでもよい。例えば可逆的変化は、変化する直線距離もしくは角距離、回転、可塑性変形、弾性変形、ねじれ、または相互引力(例えば、磁気、イオン性、もしくは電気的引力)を含む。
【0053】
ナノマシーンの可逆的変化は、変換出力106を含むナノマシーンの特性の変化を発生する。変換出力は検出器108により検出される。変換出力は、例えばナノマシーン蛍光、発光、色、双極子配向、温度、電界強度と周波数、または磁界強度の変化または変動を含む。
【0054】
検出器108は、変化した特性を検出することができる(変換出力106)。検出器は、例えばナノマシーンの光学的変化(発光または色を含む)、熱変化、電界、または磁界変化を操作または検出することができる。検出器は、例えばCCDもしくはCMOS型検出器アレイなどのカメラ、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)、電気もしくは磁気エネルギー検出装置、または熱検出装置でもよい。
【0055】
プロセッサー110は検出器108からの出力を受け取り、検出器出力を処理して、その検出が所望される現象を含むナノマシーン/標的102の変化した特性を同定することができる。検出器出力の処理は、当業者に公知の種々のシグナル処理法を用いて行うことができる。例えば「マトラブ(MatLab)」は、マスワークスインク(Mathworks, Inc.)(ナチック(Natick)、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)から入手できるソフトウェアアプリケーションであり、これは、所望の標的の存在を示す意味のある検出器出力を同定するためのデータ処理を行うのに適している。例えばプロセッサー110は、分類物、神経ネットワーク、Bayesianネットワーク、または最大先天確率(MAP)検出を含むことができる。
【0056】
本発明の「高次」測定法
本発明のシグナル発生ナノ構造体は高次「ナノマシーン」を形成し、これは特異的標的分子が結合している基本的光ナノ構造体からのシグナルを調節またはゲート制御することができる。これは、機械的性質をシステムに設計することにより行われ、これが、標的分子の結合により2次構造が基本的光ナノ構造体に影響を与える要素に近似するように結合することを可能にする。「ナノマシーン」はさらに、別のエネルギー源(DC電界など)の入力が、関連する構造体の影響する基と基本的光ナノ構造体との距離を増加させるように設計される。すなわち2次エネルギー入力は、標的分子が結合しているシグナル発生ナノ構造体を特異的に調節またはゲート制御するために使用することができる。
【0057】
例えば量子ドットのような基本的なナノ構造体は従来の顕微鏡検出システムを使用して検出できるため、「本質的に検出可能である」。第2世代ナノ構造体はより複雑であり、異なる結合メンバーおよびシグナル発生要素を取り込み、それでも「本質的に検出可能である」が、これらは通常、単一分子感度を有するほとんどの測定法を可能にしない。
【0058】
本発明で使用される適当なナノ構造体には、例えば量子ドット、半導体ナノ粒子、フォトニック結晶ナノ構造体、金属ナノ粒子、セラミックナノ粒子、ポリマーナノ粒子、ナノチューブ構造体(カーボンナノチューブなど)、蛍光または発光巨大分子(樹状細胞など)、蛍光タンパク質(例えば、フィコビリンタンパク質)または発光タンパク質(例えば、ルシフェラーゼ)を含む生物学的巨大分子、および光合成巨大分子アンテナ構造体がある。かかるナノ構造体は文献に記載されており、公知の方法を使用して作成することができる。
【0059】
他の適当なナノ構造体には以下がある:米国特許第6,344,272号に開示されたナノシェル、米国特許第5,620,584 272号に開示された金属コロイド、米国特許第5,739,376号;同第6,162,926号;同第5,994,410号に開示されたフラーレンおよび誘導体化フラーレン、ならびに米国特許第6,183,714号に開示された単層ナノチューブを含むナノチューブ(これらのすべては誘導体化されてよい)。
【0060】
ある実施態様においてナノ構造体はさらに、標的結合領域を含み、これはある実施態様において、ナノ構造体成分を標的分子および他の要素に結合できるようにする誘導体化を含む。かかる誘導体化は標的結合要素の結合を含んでよい。しかし、本発明の利点の1つは、検出を促進するために目的の正確な標的分子への「特異的」結合を必要とする多くの分子プローブと異なり、本発明では、高ストリンジェンシー条件下でさえ、ナノ構造体に対するある程度の数の不一致DNAまたは非特異結合したタンパク質があることが仮定されることである。従って本発明は、本明細書に記載の方法を使用することにより、標的が結合したナノ構造体は非特異的に結合したナノ構造体から分離できるため、絶対的または相対的標的特異性の必要性さえも回避する。
【0061】
標的結合要素を結合させるための任意の誘導化の例には、特にDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(pNAs)または他のDNA類似体、抗体、タンパク質、ペプチド、または任意の他の特異的生物学的/化学/金属リガンドまたは標的分子に結合できる結合メンバーの結合がある。
【0062】
本発明の「ナノマシーン」はまた、ナノ構造体から放出されるエネルギーが標的の非存在下または存在下で異なるように、ナノ構造体からの光エネルギー移動に影響を与える関連する構造体を含む。例えば蛍光性ナノ構造体について、関連する構造体は、蛍光消光分子または蛍光消光分子がそこに結合した第2のナノ構造体でもよい。またこれは、FRET移動のアクセプターもしくはドナーなどを含むか、または金属−リガンド相互作用により調節することができる。すなわち、「ナノマシーン」の一部である本発明の1つのシグナル発生ナノ構造体は、そこにポリヌクレオチド捕捉プローブが結合している基本的な光ナノ構造体、例えば量子ドットからなる。ポリヌクレオチド捕捉プローブは、特異的「標的」DNA配列とハイブリダイズするように設計される。いったんハイブリダイズすると、標的DNA配列の別の部分が2次オリゴヌクレオチドプローブ(すなわち「関連する構造体」)にハイブリダイズすることができ、これは、シグナル影響要素(例えば消光基)を含む。本明細書において用語「シグナル影響性」は、例えば調節、反射、消光、増強、増幅、調整、または焦点化を示す。消光基が量子ドットに近いことが、量子ドットの蛍光発光を少なくさせる(dim)。
【0063】
2次エネルギー入力(例えばDC電界)を適用すると、消光基と量子ドットは互いに分離し、量子ドット放出が増加する。パルスDC電界の場合、非標的結合シグナル発生ナノ構造体に対して、特異的標的結合シグナル発生ナノ構造体を「点滅させる」ことができる。
【0064】
従って上記したように「関連する構造体」は、シグナル影響的にナノ構造体に「結合する」ように改変されるため、このように命名され、これは通常、ナノ構造体および関連する構造体の両方が近接して標的に結合することを意味する。すなわち関連する構造体は標的結合領域を含むように組み立てられ、これは通常、ナノ構造体について上記したように、そこに結合した標的結合メンバーを有する。
【0065】
第3世代ナノ構造体
本発明の別の態様は、ナノ構造体からのシグナル放出がランダムでないように配置することができるシグナル発生ナノ構造体である。ある実施態様においてシグナルは、非消光領域からのみ放出される。かかるナノ構造体は、パルス出力をより良く分析できるように、情報の直交する面を見る能力を促進するような場で(すなわち異なる方向で)整列されることができる。
【0066】
本発明のある実施態様において単一線配向ナノ構造体は、非対称に位置するナノメカニカル要素と結合した関連する時間的に変化する距離依存性の相互作用要素を含有する基礎的光ナノ構造体からなり、残りの基礎的ナノ構造体はシグナル影響「コーティング」(例えば2次反射性ナノ構造体)に包含される。この特別な実施態様において基礎的ナノ構造体は、量子ドット、蛍光性ポリナノ粒子、金属ナノ粒子、または発色団性タンパク質複合体でもよい。非対称位置ナノメカニカル要素と関連する時間的に変化する距離依存性相互作用要素は結合したポリヌクレオチド配列でもよく、これは標的DNA配列に相補的であり、これは、第2のポリヌクレオチド配列が消光基(またはFRETドナー−アクセプター基)(これは、基礎的光ナノ構造体を消光(またはFRET移動)させるように位置する)を含むことを可能にするように標的配列に結合する。
【0067】
残りの基礎的ナノ構造体表面は、シグナル影響分子などのシグナル影響要素、又は消光分子、他の量子ドット、金属ナノ粒子を含むナノ構造体、または基礎的光ナノ構造体を消光、反射、増強、または調節することができる他の要素に包含される。これらの包含するナノ構造体(分子)はまた、全体のシグナル発生ナノ構築体上の荷電の非対称性(すなわち片側がより正で、片側がより負)を取り込むように使用することができる。しかしかかる荷電は、シグナル発生光ナノ構築体を静電作用により凝集させないように(配置)取り込まれる。図4は、標的DNA配列中の単一塩基差(SNP、突然変異など)のDNAハイブリダイゼーション分析のために設計されたかかるシグナル発生光ナノ構築体の一般的図を示す。かかるシグナル発生光ナノ構築体が均一ベースのハイブリダイゼーション分析で使用され、エネルギーの入力(適用されたパルスDC電界)を受けると、かかる構築体は、標的DNA配列の性質を同定する振動性指向性シグナルを発生する。
【0068】
ナノメカニカル要素
適切な強度と周波数のエネルギーを適用すると、検出可能で分解可能な振動するシグナルを発生させる機械的性質を有するナノマシーンがさらに設計される。パルスエネルギー場に暴露された蛍光性ナノ構造体/関連する構造体−消光物質組合せの場合、これは蛍光シグナルの経時的増加と減少(すなわち「点滅」)の形を取るであろう。
【0069】
振動は、「ナノメカニカル要素」をシステムに取り込むことにより促進される。用語「ナノメカニカル要素」は、関連する構造体に対してナノ構造体の動きを制限するナノマシーンの要素(部分、領域、メンバー)を示す(平面内の角張った、線状、円筒形、らせん形など))。例は、ヒンジ、バネ、ローターなどである。
【0070】
「バネ」の形のナノメカニカル要素を有するナノマシーンの例は、そこに結合したシグナル影響要素(金属ナノ粒子)を有する自己集合性ナノ構造体(量子ドット、蛍光性ビーズなど)を含み、これはさらに、シグナル発生ナノ構造体がシグナル影響要素の裂け目内に含有されるように標的DNAとハイブリダイズするプローブDNA(標的結合要素)でさらに誘導体化される。システムへのフリーエネルギー(溶質主導の入力の形の電気、剪断力、または熱であっても)の適用は、単純な調和運動(図9に示す)で説明される質量/バネシステムのように、システムの優勢な固有振動モードが振動するようにする。2本鎖DNAは1本鎖DNAよりはるかに剛性の性質を有することが公知であるように、プローブ結合における不一致は、固有振動モードの周波数の差として現れる。金属ナノ粒子の近接場カプリングが強力に距離依存性であることも公知である。
【0071】
電界濃度の3オーダー以上の上昇が金属粒子の裂け目内でコンピューターを使用して観察され(図10)、これは、結合DNAのバネ定数により調節されると、検出を促進する光学的シグナルが発生する。FRET対は、金属粒子上に直接取り付けられるか、または裂け目内のDNA上で組み立てられ、赤方偏移したピークが検出される。同様に量子ドットは裂け目内に置かれ、その振幅変動は、近接場作用の結果として検出されるであろう。ナノマシーンからのシグナルはナノ構造体の距離依存性増強に基づくため、増幅は異なって使用される。図9〜13は、この実施態様の異なる構成を示す。
【0072】
前記実施態様はまた、例えばDNAプローブを抗体で置換することにより、タンパク質または小分子を検出するように構成することができる。これは、抗体で誘導体化した金属ナノ粒子と標的リガンドが一緒になって光学的に増幅された振動する裂け目を形成するサンドイッチ測定法の近接場作用について最もよく説明される。非特異的に結合した分析物の場合、近接場裂け目が蛍光基から充分に排除されて増幅効果が大幅に低下する可能性がある。さらにシステムの固有振動モードは、線運動量より多くの角運動量を含有し、これはナノ構築体の周波数応答を劇的に変化させるであろう。図14〜17はこの実施態様の異なる構成を示す。
【0073】
バネ構造の追加の利点は、ある構成では金ナノ粒子が非結合システムを有効に消光させ、近接場増幅を用いて正しく組み立てられた、シグナル発生ナノ構造体周囲のシステムのみが明るいことを示す。これはより強力な照射に対するニーズを小さくし、こうして他の自動蛍光構造体からの分散とバックグランドとを小さくする。他の従来の近接場または高感度のために設計されたささやきモードセンサー(すなわち、Vollmer F, Arnold S, Braun D, Teraoka I, Libchaber A. 2つの微小球キャビティの分光分析シフトによる多重DNA定量、Biophysical Journal, 851:1974-1979, 2003)とは異なり、ナノマシーンからの情報の流れは、標的、関連する構造体、およびナノ構造体の間の力学的相互作用の直接の結果である;特に情報は構造の機械的(形態的)変化の結果でありナノ構造体の電子モードの単純なシフト(多くの第2の世代センサーにおけるように)ではない。結合したナノ構造体の結合および非結合励起の示差的効果は、生物学的分子の劇的により高感度な検出を可能にするであろう。
【0074】
入力
ナノマシーンへの入力に使用可能なエネルギー場または力には、巨視的/微視的なDC/AC電界、電気泳動または誘電泳動場、2層電界(表面)、容量効果(表面)、光学的または光エネルギー場、磁界、pH、熱エネルギー、イオン強度、流れの動き、または剪断力、および圧力がある。例えば伝導性表面の直ぐ近くに並置(すなわち数デバイ長以内)されると、構造を変化させるために電界が使用される。これは、流体中の定常状態イオン勾配の結果である電気泳動場とは異なる。電気泳動場を利用する装置は、電気分解生成物の排除とこれらに伴うpH変化に多大な注意を払う。そのナノスケールの寸法のためにこれらのナノマシーンは、表面の数デバイ長以内の電界からエネルギーを受けることができる。
【0075】
鋭い共鳴モードを有するように設計される時、ナノマシーンを駆動するのにバックグランド熱励起を使用することができる。周囲の液体の温度を変化させることにより、システムへの平均エネルギー入力が行われる。ある実施態様において、バネ構造の共鳴モードを捜す時、熱入力はゆっくり変化させることができ、または別の実施態様において、ヒンジ構造体のハイブリダイゼーションを変化させるようにパルスすることができる。マイクロチャネルへのパルス赤外線により、10kHz以上の第2世代のナノシステムの温度の変動が達成されている(Braun D, Libchaber A. 分子増殖によるロックイン、Applied Physics Letters, 83(26):5554-5556, 2003)。
【0076】
出力
増幅された古典的な蛍光マイクロアレイシステムと異なり、低コピー数ナノ粒子システムは、蛍光の大きな集団の変動とは極めて異なるユニークな課題を提起する。単一の分子機構を観察する時は、単一の周波数がナノ構造体からの主要な発光モードである可能性は低い。すなわち我々の第3世代測定法は、検出のユニークな課題を提示する。
【0077】
例えば、試験部位領域が検出可能である推測確率が試験部位領域間より高い古典的マイクロアレイシステム(すなわち、マイクロアレイについて p(a|b)=f(x,y)、ここで事象aは蛍光が見つかる確率であり、条件bは「空間中の特定の位置が与えられる時、例えば捕捉DNAがスライド上にスポットされる時」という表現に等しく、f(x,y|試験部位)>f(x,y|非試験部位)である)と比較して、本明細書に記載の第3世代システム(p(a|b)=C、捕捉領域の面積(または体積)にほぼ等しい定数がプローブの濃度により正規化される)は一般に試料空間を横切る分布が均一である。本明細書に記載のシステムは、捕捉の推測領域で設計されることを除外できないが、まれな標的の速度を改良する好適な不均一および均一な実施態様(または一般に均一測定法)は、主にまれな標的の拡散経路長を最小化するように広げられる。
【0078】
システムにエネルギーを繰り返し導入することにより、状態間の確率分布を測定することができ、下流の検出アルゴリズム(分類物、Bayesianネットワーク、充分な統計量に基づく検出、MAP検出、神経ネットワーク、Mアレイ検出など)を使用して、出力をナノマシーンから区別することができる。理想的には、エネルギーが導入されると、シグナル発生ナノ構造体は2つの最大に離れた状態の間で振動し、駆動力の変化が安定化状態または不安定化状態の持続時間を左右し、一致または不一致プローブの周波数応答を確立することができる。しかし我々は、多くのナノマシーンが非理想的挙動を示し、周波数応答へのより多くの推測成分があることを認識している。
【0079】
従って本発明の好適な実施態様は、パラメータ推定、推計検出、Bayesian分類物、神経ネットワーク、ロックイン増幅物などを利用して、集団挙動とは大きく異なる分子速度を区別することができる。例えば米国特許第6,048,690号では、異なる振幅(しかし位相が一致した振動)を示した正弦波様挙動は、シグナルを平滑化するのに重複する数百万のガウス分布結合事象の結果のようであった。単一分子の動力学は本来ランダムであり、力(電気、熱など)が加えられると、DNAハイブリダイゼーションの平均挙動が変化するが、一般に、時間の経過にともなう振動の振幅は同じであるように、結合の確率に影響を与える。高密度システムにおける強度の差を決定するのは集団動力学である。理想的なナノスケール振動子は、下流の検出に無関係に初期のシグナル対ノイズ比を最大にするであろう。さらにナノ構造体および関連する構造体の間の可逆的相互作用を正しく駆動する能力が主に、応答の帯域幅を決定するであろう。従って、その機械的性質中に鋭い共鳴モードを有するシステムを設計することは価値がある。
【0080】
例えばある実施態様において、組み立てられたナノマシーンが連続的に処理されてマイクロチャネル中を流れる均一測定法は、これらを検出ビームが通過する時、構造体に応答指令信号を送る。数十kHz領域に共鳴モードを有するように設計されたナノマシーンは視界中を出入りしている時、Mhz帯にサンプリング速度を有するPMTを使用して、応答指令信号を数千回受けることができるであろう。泳動する分子種からの時間特性は、前処理(マルチテーパースペクトル推定、他のフーリエ技術)、次に一般的SVD(Kung Sy, Diamantaras KI, Taur JS. 適応主成分抽出(Adaptive Principal Component EXtraction)(APEX)と応用、IEEE Transactions on Signal Processing, 42(5):1202-1217, 1994)、相互情報抽出、またはヘクト−ニールセン(Hecht-Nielsen)特徴誘引(Hecht-Nielsen R, McKenna T, 神経科学のコンピューターモデル:ヒト皮質情報処理、スプリンガー−フェアラーク(Springer-Verlag)、2003年1月)により、大きさの小さい固有振動モードに分解することができるであろう。次にこれらの特徴は、標準的分類物、ヒドンマルコフ(Hidden Markov)モデル、または検出を促進するためのアンテシデントサポート(Antecedent Support)階層により処理されるであろう。
【0081】
これらの方法はまた、均一/不均一組合せ測定法(ここでまれな標的捕捉の速度は、標的に対してはるかに過剰の複数のナノ構造体および関連する構造体により溶液中で駆動される)に応用される。次に流体処理法が捕捉標的を、(示差的電気、密度、または流体抵抗応答により)組み立てた構築体内に、表面上に、または仮想アレイ中に(すなわち、誘電泳動作用により保持されることにより)蓄積する。画像捕捉装置、例えば高速CMOSカメラまたはCCDは次に、平行したナノ粒子の全場に応答指令信号を送る。この場合駆動シグナルは、場の適用後に電気化学的イオン勾配定常状態を促進するために、および安価なカメラの使用を可能にするために、数十Hz域であろう。
【0082】
本発明の方法はまた、標的および/またはナノ構造体がアレイ上の既知のx,y位置に結合している従来の不均一(マイクロアレイまたはナノアレイ)フォーマットへの応用を含む。
【0083】
図18は、ナノ構造体の場からの情報の流れを示す(丸)。正しく組み立てられたナノマシーンのみが目的のシグナルを示す。正しく組み立てられたナノマシーンは、図面の右図に3つの黒丸で示される。右図は、システムへのエネルギーの導入時のナノ構造体を示す。左の図は、エネルギー導入の無いナノ構造体を示す。システムへのエネルギーの繰り返し導入により、高いバックグランドシグナルにもかかわらず、周期的放出が特異的標的の検出を促進する。従来の分子診断測定法と比較して、非特異的に結合したナノ構造体のバックグランドは、目的のシグナルよりはるかに高いことに注意されたい。これはまれな標的の検出の場合に起き、ここで標的に結合するプローブの確率は、非特異的に捕捉される確率より遙かに低い。非特異的バックグランドを洗い流す試みは、この構成ではあまり重要ではないことに注意されたい。この方法のさらなる実施態様は、二次元特性誘引を使用して場を目的の領域の分割(すなわち、高度に相関する条件付きの確率、一貫した放出などの領域を探索する)した後に検出を行う。上記の時間処理法(特性誘引、分類など)は、目的の各画素または領域に適用されて検出を促進する。
【0084】
図19は、非常に高いバックグランドノイズ内の振動シグナルを示すシミュレーションの結果を示す(上)。図19の上のグラフは、ノイズの中心近くの光の軌跡として示される振動の振幅の時間に基づく曲線である(黒い領域として示される)。記載のように振動の振幅(明るい中央の軌跡)はノイズプロセスの1%である。ノイズプロセス単独の周波数スペクトルプロットは、中央の図に示される。図19の下のプロットは、ノイズと組込みシグナルの周波数スペクトルプロットを示す。下のプロットに示すように、充分な時間観察されると、ノイズ中のピークとしてシグナルが明らかである(原点近くのピーク、左側)。従来の測定法はこの状況のシグナル対ノイズ比を1:100(1%シグナルについて)として測定するであろう。空間的に独立した時間的に変化するシグナルを加えることにより、測定されたシグナル対ノイズはほぼ3:1である。従ってピークの高さはノイズの3倍である。この比率は、システムをより長時間観察することにより、または振動の速度を上昇させ同じ時間観察することにより、増加することができる。
【0085】
時間的に変化する空間的に独立したシグナルは本質的に、その静的対応物より高感度である。図19は、時間処理法の利点を示す。フーリエ法および当業者に公知の同様のシグナル処理法は、周期的シグナルがバックグランドノイズより実質的に低いが、正しく処理されると抽出されることを認識できるであろう。振動を観察するのが長いほど、多く抽出できるであろう。これは、検出決定をするために一般に単一の時点を観察する既存の分子診断測定法とは異なる。例えば後述されるように、ガウスノイズ=N(a,σ2)内に組み込まれたシグナルの試料xの集団が与えられる時のシグナルの検出確率PDは、試料の数nが増加すると、PDの限界は1になる。
【数1】
非ガウスノイズ内に組み込まれたシグナルについて、検出についての同様の議論が行われる。
【0086】
さらにナノマシーンからの情報の流れは可逆的機械的相互作用に密接に関連しているため、ナノ構造体(およびその中の結合したシグナル影響要素)からのシグナルを配向させ整列させる能力は、情報の直行平面(すなわち異なる方向)を見る能力を高めて周期的出力をよりよく分析できる。多くの点でこれは、空の星の中からパルサーが取り上げられることと似ている。こうして、検出を補助するために、大きさ間で最大の直交性を示すベクトル値データを使用することができる。
【0087】
本発明の方法はシグナル処理工程を含み、これはある意味で「数学的洗浄工程」である。このプロセスはバックグランドからの真のシグナルの数学的分離を含み、これは光学的に変換するナノ構築体により放出される振動するシグナルを利用する。例えば米国特許第6,048,690号において、ハイブリダイゼーション測定法(不均一フォーマット)は多くの洗浄工程(20mM リン酸ナトリウム(pH7.2)、室温、各洗浄10分で3回;第21欄第22〜23行)を含む。本発明は、同じ測定法が不均一または均一フォーマットで行われることを可能にし、ここで「数学的洗浄」工程は物理的洗浄を置換し、プロセス全体の速度は大幅に上昇する。標的結合ナノ粒子プローブからの時間的情報内容は、非結合または非特異結合プローブの大部分を除去する必要性無く、特異的および非特異的に結合した粒子を区別することを可能にする。
【0088】
空間的に独立したナノマシーンを検出する能力はまた、測定法の試料調製工程に新しい可能性を与える。例えば、速度を上げるためにナノ構造体および関連する構造体が大過剰で試料中に流れる本明細書に記載の(均一または不均一)測定法において、複雑な生物学的試料は、チャネル内で内容物を電気穿孔または超音波処理し、次に標的を電界(結合した標的とナノマシーンがより小さい体積中に泳動するまでの時間、場を正にして速度を上げる)で濃縮し、次に場を逆転させて体積を拡張することにより、自動的に分析される(これは、非特異物を撹乱するために、熱力学的プロセスを全体として最小に向かわせる;しかし大過剰であっても、複雑な生物学的試料は結合部位の点で標的を圧倒するため、まれな標的の捕捉を推進する)。ナノマシーンは空間的に独立しているため、これらの濃縮/拡張工程は、ナノマシーンが分離される前に、シグナル処理のために仮想アレイ上に結合した標的を採取するために、誘電泳動またはより単純な流体処理法(重量、密度などによる分離)を用いて、溶液中で繰り返し行われる。
【0089】
前記したように経時変化する空間的に独立した構造体に応答指令信号を送る能力は、これまで利用できなかった多数の測定法を可能にする。既存の測定法に多大の改良を実現することもできる。主要な例は、PAPスメアとインサイチューハイブリダイゼーション試験での使用である。
【0090】
同様にナノマシーンは空間的に独立するように設計されているため、これらは離れて置かれた2つのマクロ電極がシステムへのエネルギー入力を推進する横方向の電気泳動場に置くことができる。これは、(サブマリンゲルフォーマットのように)非常に高い電圧が印加されるため、インサイチューハイブリダイゼーション法のような応用に好ましいであろう。本明細書に記載のナノマシーンは、バックグランドを低下させるのに必要な多くの工程の必要性を排除することにより、FISHプラットフォームを大幅に改良するであろう。従来のフルオロフォアを使用する蛍光インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ測定法は以下の方法を示唆する:
1. スライド上に材料を固定(エタノール沈殿またはホルムアルデヒド架橋)
2. 試料の前処理(バックグランドを低下させるため)
3. プレハイブリダイゼーション(プローブを除いたハイブリダイゼーション溶液を用いてインキュベーション)
4. プローブと標的の変性
5. ハイブリダイゼーション温度の決定
6. ハイブリダイゼーションpHの決定
7. ハイブリダイゼーション溶液組成の決定
8. プローブ濃度の決定
9. ハイブリダイゼーション(遅い速度、数時間)
10. ハイブリダイゼーション後のストリンジェンシー洗浄
11. ハイブリダイゼーション特異性対照の決定
12. 検出
【0091】
これらの工程に必要な合計時間は、専門の技師が連続的に注意して何時間も必要である。この操作はプローブを多重化すると、より困難になりより熟練が必要である。これに対して本発明は以下のプロトコールを可能にする:
1. スライド上に材料を固定(エタノール沈殿またはホルムアルデヒド架橋)
2. ハイブリダイゼーション(速い速度、数秒間〜数分間)
3. すすぎ
4. 検出
【0092】
FISHを行うのに必要な工程のほとんどは明らかにバックグランドノイズを低下させるように設計されているため、我々は、特異的に結合したプローブと非特異的に結合したプローブとを区別するために、時間シグナルを使用することにより実質的にすべてのバックグランドを排除することができる。さらにFISHマニュアルはストリンジェントハイブリダイゼーション条件を推奨し、すなわち初期相であってもハイブリダイゼーションを安定となる点まで進めて、従来のFISHのインキュベートに必要な時間を増加している。ナノマシーン発明は、システムを非ストリンジェント条件下であふれさせることにより、凝集の動力学をハイブリダイゼーションの方に向けることを可能にする。ストリンジェンシー緩衝液中のすすぎを最少にして、我々は次に検出を行うことができるであろう。
【0093】
図20に示すように、蛍光インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ(FISH)内のナノマシーンの場からの情報の流れは大幅に増強される。正しく組み立てられたナノマシーンのみが目的のシグナルを示す。正しく組み立てられたナノマシーンは、細胞境界内の黒い丸で示される。
【0094】
本明細書のシグナル処理法は、相互作用の種類に無関係に、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的相互作用を示すシステムについて最適化される。このため本発明は最終的検出法にあまり依存しない;誘導された可逆的機械的変化についての情報を集めることは、蛍光検出、SERS、またはラマンピークシフト、またはささやきモードギャラリーセンサーの場合はスペクトルピーク間の遷移を促進するのに使用することができる。本発明はエネルギーを電気化学的変化(すなわち、測定電極上の酸化還元反応の振動)、インピーダンス変化(ボルタンメトリーベースの検出におけるように)、またはSTM型の測定値(ここで、個々のナノ構造体はナノ電極の先端の間に並置され、組み立てられたナノマシーンの誘導された機械的性質の結果として測定される)に変換できる。これは、標的についての情報がマクロスケールまで通過することを可能にする高次構造体の組み立てである。例えば、均一/不均一組合せ捕捉測定法で使用されるナノ電極の場を包含することができ、ここで組み立てられたナノマシーンは2つのナノ電極の間に捕捉される。マシーンがどの電極の間に捕捉されるかは問題ではないため、時間的に変化する空間的に独立したシグナルは、結合の存在と特異性を同定するであろう。
【0095】
多重検出を実施することも本発明の範囲内である。同じ試料中の異なる標的配列の多重検出は、異なる波長の蛍光発光(青、緑、橙、赤など)を産生する基本的シグナル発生ナノ構造体を使用して達成可能である。この場合検出システムは、標的が結合したシグナル発生ナノ構造体の振動を拾い上げるように設計されるのみではなく、異なる発光波長でも試料を観察するであろう;すなわち第1の標的配列は緑の点滅するシグナルとして現れ、第2の標的配列は赤の点滅するシグナルとして現れるであろう。ナノマシーンの空間的独立性を利用するために、不均一多重測定もまた行われる。線状の流体供給を、それぞれがナノ構造体の均一に分布した芝生(lawn)(均一に分布した色を有する)を有する平行チャネルに分けることにより、同じ基礎的色スキームを有しても多くの標的に多重測定が行われる(各平行チャネルで異なる芝生を有することにより)。
【0096】
さらに、古典的なマイクロアレイフォーマットのナノマシーンを使用することも本発明の範囲内である。所定の(x,y)座標に置かれた時、シグナル発生ナノ構造体は特異性、速度および感度に大いに有利であろう。PCR増幅と洗浄工程を実質的に排除する能力のために、ナノマシーンマイクロアレイの速度は有意に速いであろう。さらに本明細書に記載のシグナル処理法の利点は、標準的アレイの感度を大きく改良するであろう。従って本発明の利点は、古典的なフォーマットならびに本明細書に記載の新規測定法に広く適用される。
【0097】
標的検出
本明細書に記載の実施態様は、いかなる分子標的を検出するのにも有用である。さらに詳しくは本発明は、通常化学的または物理的手段により、互いに特異的に結合する分子結合対(すなわち、2つの分子)のメンバーの検出に関する。したがって、通常の免疫測定法の抗原と抗体の特異的結合対以外に、他の特異的結合対には、ビオチンとアビジン、炭水化物とレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクターと受容体分子、補助因子と酵素、薬剤と受容体、酵素インヒビターと酵素などがある。さらに結合対は、元々の特異的結合メンバーの類似体(例えば分析物−類似体)であるメンバーを含む。
【0098】
さらに本発明の方法は、特異的結合事象、例えばDNAハイブリダイゼーション、免疫化学反応、タンパク質/リガンド結合、薬物/受容体結合、および金属/リガンド結合などの検出に有用である。従って適当な標的には、例えばタンパク質、小分子、ペプチド、受容体、細胞、ウイルス、核酸、ホルモン、抗体、抗原、酵素、基質、リガンド、小分子などがある。
【0099】
本明細書において用語「標的」は、試料(例えば臨床試料)中の未知の標的のみではなく、分子結合対の任意のメンバーも示すことを理解されたい。従って標的は、任意の分子構造体(より大きな巨大分子構造体単独でもまたはその一部でも)でもよく、すなわち本発明は、分子結合対の任意の既知のメンバーに検出可能なシグナルを付与(これは標識と呼ぶこともある)するのに有用である。
【0100】
例えば標的は核酸でもよく、これは任意のポリマーヌクレオチド(すなわち「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」)であり、これは無傷の天然状態では、約10〜500,000またはそれ以上のヌクレオチドを有することができ、単離された状態では約20〜100,000またはそれ以上のヌクレオチド、通常約100〜20,000ヌクレオチド、およびより頻繁には200〜10,000ヌクレオチドを有することができる。例えば測定法は、細胞の種類、細胞形態、病理、細菌、微生物、ウイルスなどの特徴である決定された核酸配列を用いて、標的核酸を検出するように改変することができる。
【0101】
用語「核酸」は、2本鎖DNA、1本鎖DNA、任意の型のRNA(3重、2重または1本鎖RNAを含む)、アンチセンスDNAもしくはRNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、単一のヌクレオチド、キメラ、およびこれらの誘導体や類似体を含む。DNAが例示される時、他のタイプの核酸も適している。核酸は、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、およびウリジンからなるか、またはこれらの塩基の類似体もしくは誘導体からなる公知のデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドからなる。同様に、非リン酸骨格もしくはリン酸誘導体骨格を有する種々の他のオリゴヌクレオチド誘導体も使用される。例えば、通常のホスホジエステルオリゴヌクレオチド(POオリゴヌクレオチドと呼ぶ)は、DNA-およびRNA-特異的ヌクレアーゼに感受性であるため、切断に耐性のオリゴヌクレオチド(例えばリン酸基がホスホトリエステル、メチルホスホネート、またはホスホロチオエートに改変されているもの)が使用される(米国特許第5,218,088号参照)。
【0102】
核酸標的は天然に存在するものでもよく、生物学的試料からのさらなる精製は最小にして測定されるか、または天然の状態(特に、しばしば断片化を起こし、これがサイズが不均一な核酸集団からなる標的となる、多数のヌクレオチドを有するもの)から単離されてもよい。
【0103】
核酸標的には、精製または非精製型の任意の供給源からの核酸を含み、DNA(dsDNAおよびssDNA)とRNA(t-RNA、m-RNA、r-RNAを含む)、ミトコンドリアDNAとRNA、葉緑体DNAとRNA、DNA-RNAハイブリッド、またはこれらの混合物、遺伝子、染色体、プラスミド、(例えば細菌、酵母、ウイルス、ウイロイド、カビ、真菌、植物、動物、ヒトなどの微生物のような)生物学的試料のゲノム、およびこれらの断片などがある。ある実施態様において標的は、2本鎖DNA(dsDNA)又は1本鎖DNA(ssDNA)である。標的は、種々の生物学的試料から当業者に公知の方法により得ることができる。
【0104】
標的はまた抗体により認識することができ、この場合、標的はエピトープもしくは抗原、または抗原断片、抗体、および抗体断片(ここに抗免疫グロブリン抗体が結合する)などを含む任意の免疫反応性分子(モノクローナルとポリクローナルの両方)並びにこれらの複合体(組換えDNA分子により形成されるものを含む)である。本明細書において用語「ハプテン」は、抗体に結合することができるが、担体タンパク質に結合しない限りは抗体生成を誘発できない部分的抗原または非タンパク質結合メンバーを示す。
【0105】
上記したように標的は工業的または臨床的「試験試料」中に存在し、これは本明細書に記載の本発明の方法により試験することができる生物学的試料、並びにヒトや動物体液(例えば全血、血清、血漿、髄液、尿、リンパ液、および種々の呼吸器、小腸および尿生殖器の分泌物、涙、唾液、ミルク、白血球、骨髄腫など)、生物学的流体(例えば細胞培養物上清)、固定組織標本、および固定細胞標本がある。本明細書に記載のアッセイフォーマットで希釈し試験できる任意の物質は、本発明の範囲内であると企図される。
【0106】
応用
本明細書に記載のナノマシーンは、増強検出により促進される任意の状況または応用、特に分子もしくはナノスケールレベルからマクロスケールレベルへの情報の流れを促進するのに有用な応用で特に有用である。従って本発明のナノマシーンは、生体感知、分子生物学的および分子診断分析(プロテオミクス、ゲノミクス、薬剤スクリーニング/同定、遺伝子型判定、遺伝子発現、DNA診断薬(癌、遺伝病、感染性疾患)、感染性因子検出、生物テロ物質検出、およびヒトの同定と法医学的応用を実施するのに有用である。
【0107】
例えば本発明のナノマシーンは、公知の測定法(例えば血漿ベースの測定法)と同じ方法による単一の点突然変異、単一のヌクレオチド多型性(SNP)または短いタンデム繰り返し配列(STR)の遺伝子型判定、タクマン(Taqman)、PCR生成物の制限消化、熱量測定ミニ配列決定測定法、放射活性標識ベースの固相ミニ配列決定法、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、および1本鎖コンフォメーション多型(SSCP)に有用である。
【0108】
ナノマシーンはまた、ナノ光およびナノ電子情報移動応用、ならびにコンピュータまたはデータ保存応用に有用である。
【0109】
実施態様の例
以下の議論において、全体に図2〜8が参照される。これらの図は、後述されるように本発明の代替態様を示す。図2に示すように標的の例は核酸200(L型構造)であり、ナノ構造体の例202はナノ粒子、例えば標的に結合するそこに結合したオリゴヌクレオチド204(捕捉プローブ(Capture Probe))を有する量子ドット(黒丸、ナノ粒子(量子ドット))である。また図2にも示すように、関連する構造体206の例は、ナノ構造体に結合したオリゴヌクレオチドの結合部位の近傍にある標的に結合するそこに結合したオリゴヌクレオチド(消光物質/FRETプローブ)を有する蛍光消光物質(白丸)である。図の他の要素は以下の議論で説明される。
【0110】
かかるナノマシーンがハイブリダイゼーション分析(均一、不均一、または連続的均一/不均一)で使用され、エネルギーが入力される(適用されたパルスDC電界、熱励起、液体からの剪断力、磁気入力など)と、これらは標的DNA配列の性質を画定する振動シグナルを生成する。しかしこれらのナノマシーンは、本明細書の別のところで説明されるように、他の分子結合測定法で使用するように容易に改変することができることを理解されたい。
【0111】
図2:本発明のある実施態様において、ナノマシーンは基礎的光ナノ粒子202、1つ以上のナノメカニカル要素、および関連する構造体206(消光物質/FRETプローブ)からなる。この具体例では、基礎的ナノ構造体は、量子ドット、蛍光ポリマーナノ粒子、金属ナノ粒子、発色団タンパク質複合体などでもよく、記載のように標的DNA配列に相補的な捕捉プローブがそこに結合している。関連する構造体206は、消光物質のようなシグナル影響成分をそこに結合して有する、同じ標的DNA配列に相補的なポリヌクレオチド配列でもよい。記載のように標的に結合している時、関連する構造体は基礎的光ナノ構造体を消光、増強、または調節するように配置され、こうして時間的に変化する距離依存性相互作用を生成する。
【0112】
この例では、ヒンジ210はナノメカニカル要素(場がオンの時、消光物質/FRETプローブのオリゴヌクレオチド中の曲がりとして示される)として機能し、(上端に対して)プローブの下端の親和性を不安定化させることにより、および消光物質とナノ粒子との相互作用を最小にすることにより、関連する構造体206中に設計される。このヒンジ領域内の不一致は、相互作用の動力学に最大の影響を与える。不一致は好ましくは、消光物質から1〜15塩基対(好ましくは1〜5)以内、または5nm以内に配置される。エネルギーの入力(適用されたパルスDC電界、階段状DC電界、熱励起、液体からの剪断力、磁気入力など)を受けると、かかる構築体は周期的シグナルを出し、これが標的DNA配列の性質を画定する。
【0113】
図3:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2に記載した通りである。光はすべての方向に球状波300として放出される(ナノ粒子から外に向かう波状の線により示される)が、関連する構造体が、好ましくはシグナル変動を最大にするように、および直交平面中の構造体に応答指令信号を送るように整列されるように粒子を配向させるのに、場(すなわち、電気泳動または誘電泳動)を使用することができる。ヒンジ302はまた上記のように含まれる。
【0114】
図4:本発明の別の実施態様において、高次シグナル発生ナノ構築体は、図2について記載したように基礎的光ナノ構造体400と、ヒンジ402を有する関連する構造体404からなる。記載のようにナノ構造体400の領域(すなわちシグナル増強領域)は、複数のシグナル影響要素406に含まれる。シグナル影響要素406(五角形の構造で示される)は、2次ナノ構造体、消光分子、他の量子ドット、金属ナノ粒子、または基礎的光ナノ構造体を消光、反射、増強、または調節できる他の成分を含むことができる。シグナル影響要素はまた、全体のシグナル発生ナノ構築体上の荷電の非対称性(すなわち片側がより正で、片側がより負)を取り込むように使用することができる。しかしかかる荷電は、シグナル発生光ナノ構築体を静電作用により凝集させないように(配置)取り込まれる。図4は、標的DNA配列中の単一塩基差(SNP、突然変異など)のDNAハイブリダイゼーション分析のために設計されたかかるシグナル発生光ナノ構築体の一般的図を示す。これらの高次シグナル発生ナノ構築体がエネルギーの入力(適用されたパルスDC電界)を受けると、これらは指向性発光コーンとして記載される振動性指向性シグナル408を生成する。
【0115】
図5:本発明のさらに別の実施態様において、異なる高次シグナル発生ナノ構築体は基礎的光ナノ構造体500と、図2について上記で説明したヒンジ402を有する関連する構造体からなる。この実施態様においてシグナル影響要素504は、ナノレンズの形の金属ビーズ複合体で示される。金属ビーズは、外に向かう波状の線により示されるようにナノ粒子からの出力を劇的に増強する近接場励起中心を作り出すように機能する。ナノレンズの各半分が1対の2つの自己類似の金属ビーズ(灰色の丸)で示されるが、これらのレンズは1つ以上の金属粒子とともに作成することができることを理解されたい。図4で上記したように、これらの高次シグナル発生ナノ構築体がエネルギーの入力を受けると、これらは振動性指向性シグナルを発生する。
【0116】
図6:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2について記載したようにナノ構造体600と関連する構造体602からなる。関連する構造体にはまた、相互作用増幅要素604(白四角)が組み込まれる。相互作用増幅要素は、リンカー分子606(白四角とプローブとの間)に沿って張力を提供することによりナノ粒子から関連する構造体をはずすのを助ける。相互作用増幅要素604は、ナノマシーンへの場の効果の増幅を可能にするための、優先的電荷、流体の引力、磁気モーメントまたはこれらの任意の組合せを示すことができる。図6はこの一般的構築体を示す。
【0117】
図7:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2について記載したようにナノ構造体700と関連する構造体からなる。この実施態様の1つの変更態様は、長いリンカー(エネルギーの適用により開く、左のループ構造)の形の相互作用増幅要素702が、シグナルの経時変化を増加させるように、振動中に消光物質のより大きな置換を与える。この意味で相互作用増幅要素はナノメカニカル要素(ヒンジ)を増強させる。
【0118】
図8:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2について記載したように、基礎的光ナノ構造体800と関連する構造体802からなる高次シグナル発生ナノ構築体からなる。この実施態様においてナノ構築体は、シグナル影響要素804をそこに結合して有する基礎的ナノ構造体800からなる。関連する構造体802はまた、シグナル影響要素806をそこに結合して有する。この実施態様においてシグナル影響要素は金属ビーズで示される。金属ビーズは、関連する構造体の振動に応答してナノ構造体からの出力を劇的に増強する距離依存性近接場励起中心を作り出すように機能する。ナノレンズの各半分は単一の金属ビーズ(灰色の丸)で示されるが、これらのレンズは1つ以上の金属粒子で作成することができることを理解されたい。
【0119】
図9:この図は、質量/バネシステムの機械的類似体900(上半分)を線状ナノメカニカル要素902(下半分)に関連付ける。シグナル影響要素904(これは金属ナノ粒子などでもよい)はまた、ナノ構造体906が結合した基材として作用し、関連するナノ構造体908が集合する。プラスモンビーズ間のDNA 910は、シグナル影響要素間のバネのように作用する。これは、先に示したヒンジ構造とは対照的である。記載のようにDNAは標的912に結合し、これは「一致DNA」と呼ぶ。質量/バネ描写900は明らかに過剰な単純化であるが、ナノマシーンは、線状の質量/バネシステムに類似の優性固有振動モードを有するはずである。
【0120】
図10:この図は、電界閉じこめと焦点化照射源により励起された2つの50nmの金ナノ粒子1002の間の増強とを示すシミュレーションからの結果を示す。これらのビーズは、図9に示す金属ビーズ(904)と類似である。図の下にプロットされるのは、電界増強の電界断面1004である。この図は、ナノマシーンの長軸と直交する平面波源からの励起により電界上昇の有限要素モデルからの結果を示す。
【0121】
図11:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2について記載したように、基礎的光ナノ構造体1100と関連する構造体1102(「尾」を有する小さな白丸)と2つのナノメカニカル要素からなる。この実施態様において、基礎的ナノ構造体1100は、蛍光中心と組合せた共鳴近接場キャビティとして作用する。前記実施態様からの1つの変更は、基礎的ナノ構造体1100の表面が、そこに結合した2つのシグナル影響要素1104により変更されることである。この実施態様においてシグナル影響要素1104は金属ビーズで示される。シグナル影響要素は、関連する構造体の振動に応答してナノ粒子からの出力を劇的に増強する距離依存性近接場励起中心を作り出すように機能する。従ってこの実施態様は、組み込まれた2つのナノメカニカル要素、すなわち、ヒンジとバネ(1つのシグナル影響要素1104から他のシグナル影響要素に延びるDNAは実質的に剛性の2本鎖構造であり、これはDNAの中心軸に沿って線状のバネ様挙動を示して、図9に示すようにナノメカニカル要素を形成する)を含むナノマシーンの例である。この構成は、検出されたシグナルの直交性を最大にするのを補助する。
【0122】
図12:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンはナノメカニカル要素を有する基礎的光ナノ構造体1200と関連する構造体1204からなる。基礎的光ナノ構造体は(図2について記載したように)、1つのシグナル影響領域中で(シグナル影響要素の近傍で)それに結合したシグナル影響要素1202を有し、関連する構造体1204に結合した第2のシグナル影響要素を有する。記載のように、シグナル影響要素は共鳴近接場キャビティとして作用する。この具体例においてシグナル影響要素は、好ましくは10〜50nm範囲の金属ナノ粒子からなる。ナノ構造体と関連する構造体は、近接場キャビティの裂け目内に位置し、カプリングするとFRET応答を発生する。標的(一致DNA 1208または不一致DNA 1210)のハイブリダイゼーションは、実質的に剛性の2本鎖構造体を作り出し、これはDNAの中心軸に沿って線状のバネ様挙動を示して、図9に示すナノメカニカル要素を形成する。シグナル影響要素は距離依存性近接場励起中心を生成し、これは組み立てられた質量/バネシステムの振動に応答してナノ構造体1200からの出力を劇的に増強する。
【0123】
近接場励起は距離とともにほとんど指数的に低下するため、キャビティの小さなたわみがナノ粒子からのシグナルを実質的に変化させるであろう。さらに、非特異的に結合した(すなわち不一致)DNAがナノマシーンにハイブリダイズしていると、不一致塩基1212は対応する一致2本鎖より多くの1本鎖特性を示すであろう。振動子のバネ定数はDNAの差により変化するため、一致および不一致DNA間の機械的振動の周波数差は、2本鎖特性のこの変化により影響を受けるであろう。ナノレンズは一対の自己類似金属ビーズとともに示されるが、これらのレンズは1つ以上の金属粒子を用いて作成できることを理解されたい。ナノマシーンがエネルギーの入力(上記したように)を受けると、これは、標的DNA配列の性質を同定する振動性シグナルを発生する。この実施態様において、システムは溶媒のバックグランド熱エネルギーにより駆動することができることを理解されたい。構造は、金属ビーズの質量を調整することにより、ある温度でのカプリングを最大にするために鋭い共鳴固有振動モードを有するように設計することができる。これらの構造は、kHz−MHz範囲で実質的な振動を発生する可能性がある。
【0124】
図13:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンはナノメカニカル要素を有する基礎的光ナノ構造体1300と関連する構造体1302(2つの金属ビーズはssDNAにより連結される)からなり、関連する構造体1302は共鳴近接場キャビティとして作用する(前の実施態様で記載されたシグナル増強要素の機能とは反対に)。この具体例において結合したナノ構造体は、好ましくは10〜100nm範囲の2つの金属ナノ粒子からなる。基礎的光ナノ構造体1300は上記図2に記載した通りである。この実施態様において基礎的光ナノ構造体1300は、近接場キャビティの裂け目内に結合される。標的のハイブリダイゼーションは、実質的に剛性の2本鎖構造(金属ビーズ間の2重線として示される)を作り出し、これは、図12で上記したようにDNAの中心軸に沿って線状のバネ様挙動を示す。さらにナノマシーンは図12に記載のように機能するであろう。金属ビーズは、距離依存性近接場励起中心を生成し、これは組み立てられた質量/バネシステムの振動に応答して、光活性のナノ粒子からの出力を劇的に増強する。ナノマシーンの他の性質は図13に記載した通りである。
【0125】
図14:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンはナノメカニカル要素を有する基礎的光ナノ構造体1400と関連する構造体1404からなる。(図2について記載したように)基礎的光ナノ構造体は、シグナル影響領域中で(シグナル影響要素の近傍)そこに結合した1つのシグナル影響要素1402と、関連する構造体1404に結合した第2のシグナル影響要素1406とを有する。明らかなようにシグナル影響要素は図12についての記載のように作用する。この実施態様ではシグナル影響要素1402と1406は、抗体1408(すなわち標的結合要素)の結合により機能化されている。ナノ構造体と関連する構造体とは、図12についての記載のように結合するとFRET応答を生じる。標的リガンド(白い菱形)の結合は、抗原/抗体複合体により形成される実質的に剛性の構造を作成し、これは複合体の中心軸に沿って線状のバネ様挙動を示す。この実施態様の他の特徴は、上記図12についての記載のものに似ている。図の下半分に示した非特異的に結合した複合体1412(他のナノ構造体または関連する構造体を含む)は、特異的に結合したナノマシーンとは異なる固有振動モードを含有するであろう。正しく作成されたナノメカニカルバネが欠如しているため、非特異的ナノマシーンは特異的に結合した構造体と異なる周波数スペクトルを与えるであろう。さらに非特異的に結合した複合体1412間の非効率的なプラズマ結合は、光増幅相互作用を低下させる。図12に記載の実施態様とともに、この実施態様は小分子、ペプチドまたはタンパク質検出用に設計されたナノマシーンの一般的図を示す。
【0126】
図15:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図14に記載したように、抗体1506を介してシグナル影響要素1504に結合したナノ構造体1500と関連する構造体1502とを有する。
【0127】
図16:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンはナノメカニカル要素を有する基礎的光ナノ構造体1600と関連する構造体1604からなる。基礎的光ナノ構造体1600(図2について記載したように)は抗体に結合され、これは次に、シグナル影響要素1602に結合する。シグナル影響要素1602は、図14について記載したように抗体で機能化される。シグナル影響要素1602と関連する構造体1604は、共鳴近接場キャビティとして作用する。この具体例ではシグナル影響要素1602と関連する構造体1604は、好ましくは10〜100nm範囲の金属ナノ粒子である。
【0128】
この実施態様において、シグナル影響要素1602と関連する構造体1604はまた、非結合性柔軟性の化学リンカー(すなわち、図の上に波状の線で示すつなぎ構造体1608)により結合される。結合していない時、近接場キャビティはほとんどランダムに配向されている。標的に結合するとキャビティは整列して、今はよく知られているナノメカニカルバネを生成する。柔軟性の化学リンカーは、標的が単一のナノ粒子複合体にのみ拡散するように、サンドイッチ測定法の速度を加速するように機能する。つなぎ構造はまた、シグナル影響性として作用する。例えばつなぎの剛性がナノマシーンの機械的性質に寄与するため、つなぎの側鎖の浸透圧を調節することによってシステムの固有振動モードを改変することができる。ポリエチレングリコール(PEG)のような分岐鎖ポリアルキレンオキシド、親水性ポリマー、アミノ酸鎖、グリコサミノグリカン(GAG)鎖などは、機械的に調整可能なつなぎとして使用することができる。さらに脂肪酸をシグナル影響要素間のつなぎとして使用する時、エネルギー入力によりナノマシーンの機械的応答を調整してもよい。例えば溶媒の温度を改変することは、脂肪酸鎖の剛性に影響を与える。
【0129】
図17:本発明の別の実施態様においてナノマシーンは、単一の結合したシグナル影響要素1702を有する基礎的光ナノ構造体1700、1つ以上のナノメカニカル要素、および単一の結合したシグナル影響要素1706を有する関連する構造体1704からなる。このナノマシーンの他の特徴は、図14について上記した通りである。しかし図14とは対照的にシグナル影響要素1702と1706は、この構造がリガンド1710(これは中央の白い菱形で示される)を用いる1種のサンドイッチ測定法を形成するように、(図14で示した抗体の代わりに)ジグザグ線で示されるポリペプチド1708の結合により機能化される。ポリペプチドは、ナノマシーンの周波数応答を調整するためにバネ定数の正確な制御を可能にする。例えば、プロリンリッチな構造、アルファらせんまたはシートをシグナル影響要素に結合させてバネの剛性を調整することができる。図17は、かかるナノマシーンの一般的図を示す。
【0130】
多重検出を実施することも本発明の範囲内である。同じ試料中の異なる標的配列の多重検出は、異なる波長の蛍光発光(青、緑、橙、赤など)を産生する基本的シグナル発生ナノ構造体を使用して行われる。この場合検出システムは、標的が結合したシグナル発生ナノ構造体の振動を拾い上げるように設計されるのみではなく、異なる発光波長でも試料を観察するであろう;すなわち第1の標的配列は緑の点滅するシグナルとして現れ、第2の標的配列は赤の点滅するシグナルとして現れるであろう。ナノマシーンの空間的独立性を利用するために、不均一多重測定もまた行われる。線状の流体供給を、それぞれがナノ構造体の均一に分布した芝生(均一に分布した色を有する)を有する平行チャネルに分けることにより、(各平行チャネルで異なる芝生を有することにより)同じ基礎的色スキームを有しても多くの標的に多重測定が行われることができる。
【実施例】
【0131】
実施例1
振動性ナノスケールシグナルの生成
ナノスケールの振動シグナルを発生する能力は2つの基本成分を有する;システムをオフにすることとシステムをオンにすること。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)対について、これは赤から緑発光への遷移であり、緑の発光はフリーエネルギー導入の結果「オン」であり、赤の発光は緩和した「オフ」状態である。別の実施態様において、「オフ」状態の蛍光性ナノ粒子/消光物質システムは、近傍にある時、消光活性のために薄暗く、「オン」状態では明るい。本発明の好適な実施態様は、状態間のシグナル変化を最大にするであろう。好適な実施態様はまた、(システムの運動の緩和に関して)特異的に結合および非特異的に結合した分子間の周波数スペクトルの差を確立するであろう。
【0132】
図21に示すように、量子ドットの相補鎖、1塩基不一致と2塩基不一致の消光物質プローブを量子ドットに加えることは、量子ドットを「オフ」状態に置く能力を示す。DNAの51塩基対の捕捉鎖を有するストレプトアビジン誘導体化量子ドットを、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中のQSY-7消光物質で修飾した20bpプローブにハイブリダイズさせた。すべての3つのタイプのプローブが量子ドットの捕捉配列に結合することに注意されたい;分子プローブの特異性の本質的欠如を示している。
【0133】
以下は図22に示す(前;白四角):[a] 対照;酢酸セルロース膜上にスピンコーティングされているセファロースビーズに包埋されたポリマー性ビオチンに結合した捕捉DNAを用いてストレプトアビジン誘導体化した量子ドットの標準化UV透過レベル(明るい)。[b,c] [a]と同等であるが、2bpの不一致20量体QSY-7プローブを加えた消光した量子ドットシステム(暗い、暗い)。(後;黒四角)[a] 標準化対照(明るい)。[b] ストリンジェンシー対照;低塩緩衝液中に約5分間置いた消光したシステム(暗い)。[c] 実験系;ナノ構築体を含有する膜を横断電界中に約1分間置くと、対照膜と比較して消光物質が有意に除去されていることが明らかである(暗い)。
【0134】
図23に示すように、多種類のプローブがナノ粒子システムに結合し、システムにエネルギーを連結させて消光物質相互作用に影響を与えることが可能であることがいったん確立されると、示差的周波数応答の問題が重要になる。3つの異なる種類のプローブについての量子ドット/QSY-7システムの時間応答を図23に示す。時間t=0では、一定の励起l=350nm下で量子ドットナノ構築体を含有するキュベット中に、多量の消光プローブが導入される。これらの曲線はナノ構築体の集団を示すが、これらは、個々の構成分子の結合速度を示す。これらのデータは、システムへのフリーエネルギーの繰り返し導入が、非常に異なる周波数スペクトルを与えることを示す。これはまた、異なる入力周波数でシステムを駆動すると、緩和速度で限定される異なる応答帯域を確立することができることを示す。
【0135】
実施例2
複合試料中の核酸のナノ粒子検出
増幅していない核酸標的の同定は、既存の測定法を使用してはこれまでほとんど不可能であった。非常に低レベルの蛍光(単一の分子蛍光物質または個々の蛍光性ナノ/ミクロ粒子)を検出することは可能であるが、標的DNAをあらかじめ増幅することなく低コピー数DNA/RNA標的を検出することを可能にする必要な速度、特異性、選択性、および感度を有する測定法はほとんど無い。さらにほとんどの蛍光システム(分子ビーコンプローブ、FRETプローブなど)は、PCR増幅したDNA標的を検出するのに使用される。すなわち、検出前にPCRを使用することなく限定量の標的核酸を検出する方法に対するニーズが存在する。
【0136】
ある実施態様において試料中の標的核酸分子を同定する方法が提供される。この方法は、標的核酸分子に、シグナル発生要素を含む第1の核酸プローブを接触させ、標的核酸にシグナル阻害要素を含む第2の核酸プローブを接触させることを含む。第2のプローブは、シグナル阻害要素がシグナル発生要素の近傍にあり、こうしてシグナル発生要素に関連するシグナルを低下させるように、標的核酸分子にハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、標的核酸とハイブリダイズしたプローブにより生成される核酸複合体にパルス電界を適用する。パルス電界は、シグナル阻害要素がシグナル発生要素に関連するシグナルを低下させる能力を周期的に妨害し、こうして振動するシグナルを生成する。かかる振動シグナルは、当業者に公知の無数の方法により検出可能である。
【0137】
以下の議論は以下の図を参照する:
【0138】
図24は、電界による蛍光振動の従来の測定システムを示す。電界状態間の循環は、DNAプローブに結合したドナーとアクセプター間のFRETを妨害するはずである。空間的検出と確定的挙動の組合せは、測定法の特異性を大幅に上昇させる。
【0139】
図25は、振動する蛍光シグナルを発生するより大きな蛍光性ナノ粒子−標的DNA−消光プローブ複合体(すなわち「ナノマシーン」)の例を示す。
【0140】
図26は、蛍光振動作用の例を示すグラフである。約140秒で電界が活性化され、これはDNAから正荷電臭化エチジウムを除去する。約210秒で、電界は脱活性化され、一次の工程応答回復が観察される。動的挙動の各行程は、指数曲線(これは線状のシステム挙動を示す)により充分性状解析される。
【0141】
図27は、周期的電界入力下のシステムの上記振動挙動を示すグラフである。図27では電界強度は図26より遙かに高く、これがより速い低下の原因である。
【0142】
図24に示すように、シグナル発生要素は、蛍光エネルギー移動(FRET)のためのドナー基を含む蛍光標識物でもよい。シグナル阻害要素は、蛍光エネルギー移動(FRET)のためのアクセプター基を含む蛍光消光物質でもよい。別の実施態様において、シグナル阻害要素の代わりにシグナル改変第2プローブが使用され、こうして発生するシグナルを阻害するのではなく変化させる。かかる実施態様においてシグナル発生要素は、(図25に示すように)シグナル改変要素として作用する蛍光エネルギー移動(FRET)のためのアクセプター基に結合する蛍光ナノ粒子でもよい。
【0143】
1つの態様において電界の適用は、シグナル発生要素とシグナル阻害要素との距離の変化を引き起こす。標的核酸分子または核酸プローブはDNAでもRNAでもよい。
【0144】
1つの態様において標的核酸分子は、病的状態(例えば癌)、感染性生物、または遺伝的変化に関連してもよい。パルス電界は交流でも直流でもよい。シグナル発生要素はナノ粒子(例えば、ポリマービーズ、量子ドット、または金粒子)でもよい。
【0145】
別の態様において試料は固体支持体に結合する。固体支持体は、アレイ(例えばマイクロアレイ)でもよい。
【0146】
別の実施態様において、本発明の方法により生成される診断プロフィールが提供される。かかるプロフィールは、そこから試料が得られる対象の野生型状態、病的状態、遺伝的変化と関連することができる。
【0147】
従って本発明の1つの実施態様は、複雑な試料中の非常に低レベルの標的DNA/RNA配列を迅速に検出するために蛍光性ナノ粒子(すなわち、ポリマービーズ、量子ドット、金粒子)および消光(蛍光性)プローブを使用することができる新規電界機構(均一または不均一フォーマット、マイクロアレイ)を含む。この技術の1つの例は、蛍光性ナノ粒子と消光性DNAプローブ(これは特異的標的DNA配列に選択的にハイブリダイズする)の使用を含む。いったんハイブリダイズされると、蛍光性ナノ粒子−標的DNA−消光プローブの組合せは、蛍光シグナルを低下させるであろう。パルス電界(DCまたはAC)を試料に適用すると、蛍光性ナノ粒子−標的DNA−消光プローブ複合体が変化し、適用された電界の直接の結果として振動する蛍光シグナルを発生する。これらの振動する蛍光ナノ粒子複合体は、空間的に分解され、数千の非ハイブリダイズもしくは部分的ハイブリダイズ蛍光性ナノ粒子の中から、蛍光イメージングシステムと時間的シグナル処理法を使用して容易に検出することができる。均一ハイブリダイゼーション測定フォーマットでは多数の蛍光性ナノ粒子と消光プローブを使用できるという事実は、ハイブリダイゼーション速度が大幅に加速されることを意味する。すなわちこの新規機構は、標的DNAをあらかじめ増幅する必要無く、DNAハイブリダイゼーション測定法を実施するための速度、高い感度および特異性を提供する。
【0148】
別の実施態様において本発明の方法により作成される診断プロフィールが提供される。かかるプロフィールは、遺伝的野生型、変異体またはヘテロ接合性状態、または他の多型性遺伝マーカー、遺伝子発現レベル、または感染性因子、タンパク質、リガンド、抗体、抗原、または生体マーカーの存在と関連付けることができる。別の態様において試料は細胞支持体に結合する。細胞支持体はインサイチューハイブリダイゼーションでもよい。別の態様において試料は固体支持体に結合する。固体支持体は、アレイ、例えばマイクロアレイでもよい。
【0149】
本発明は、あらかじめ増幅することなく真に低レベルの標的を迅速に検出することを可能にする蛍光的方法を提供する。詳しくは本発明は、ある測定法で限定量の標的核酸分子を非標的配列から空間的に分離することにより、同定する機会を提供する。パルス電界の適用がハイブリダイズしたプローブと結合した蛍光性粒子を「点滅」させる(すなわち、蛍光性状態から非蛍光性状態に振動する)ため、基本的には標的分子を同定することができる。蛍光の大きな変化を定量するよりは、蛍光性粒子−標的核酸分子−消光プローブ複合体の振動する消光および発光を、非常に多数の他の蛍光性粒子を有する場の中でさえ同定することができる。例えば本分析は、天文学で膨大な数の他の星から、振動する光強度(点滅)を示す「パルサーまたは中性子星」が見つかる方法に少し似ている。
【0150】
上記したように、ほとんどすべての現在の均一(溶液中)および不均一(固体支持体、ドットブロット、DNAマイクロアレイ、バイオチップなど)DNAハイブリダイゼーション測定法は、標的DNAの前増幅を必要とする。ほとんどのフルオロフォア、FRETシステム、分子ビーコン、蛍光ナノ粒子、金粒子および新しい量子ドットの使用が、増幅されたDNA配列を検出するのに使用される。
【0151】
本発明者は、1本鎖DNAと正荷電したフルオロフォア(臭化エチジウム)が、高DC電界の直接の影響下でも再現性のある一次の線形システム挙動を示すことを証明した(図26と27)。他の線形システムへの拡張は容易であり、すなわちシステムを帯域制限しないように適切な周波数の周期的シグナルがあれば、我々は実験の結果を線形システム理論により予測することができる。
【0152】
本発明はナノ粒子の使用を包含する。ナノ粒子には米国特許第6,344,272号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されたナノシェル、米国特許第5,620,584 272号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示された金属コロイド、米国特許第5,739,376号;同第6,162,926号;同第5,994,410号(これらのすべては参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されたフラーレンおよび誘導体化フラーレン、ならびに米国特許第6,183,714号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示された単層ナノチューブを含むナノチューブ(これも誘導体化されてよい)がある。
【0153】
ある例では、p53 軸索8遺伝子の変異を同定するために、DNA消光プローブと蛍光プローブ、標的DNA配列、およびプライマーが得られる。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズした複合体中の蛍光振動を発生するために電界が使用される。「パルス」シグナルはハイブリダイゼーションの指標である。
【0154】
本発明はまた、蛍光性ナノ粒子(量子ドット)ベースのシステムを提供する。本発明の追加の実施態様は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)複合体、時間分解ランタニド複合体、光を反射するために金または他の粒子を回転もしくはスピンさせるためのDCおよびAC電界の使用、磁性ナノ粒子の使用、および他の生体親和性物質(例えばタンパク質、抗体など)の使用を含む。本発明はまた、広範囲のコンピュータを使用する応用またはデータ保存応用を有するナノ光機構と装置の作成への応用を有する。
【0155】
上記実施例は、組成物の好適な実施態様をいかに作成し使用するかを当業者に完全に開示および説明するために提供されているが、本発明者が本発明であるとする範囲を限定するものではない。当業者に明らかな本発明を実施するための上記モードの改変は、以下の請求項の範囲に含まれると考えられる。本明細書で引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願が、かかる各刊行物、特許、および特許出願が、参照することにより本明細書に具体的かつ個々に組み込まれるかのように、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、本発明のナノスケール変換システム(すなわちナノマシーン)のブロック図を示す。
【図2】図2は、本発明のナノマシーンの基礎的実施態様を示す。
【図3】図3は、球面波としてすべての方向に出ている光を示す図2のナノマシーンを示す。
【図4】図4は、ナノ粒子の表面上のシグナル影響領域に結合したシグナル影響要素を有するナノ構造体を利用するナノマシーンを示す。
【図5】図5は、ナノレンズとして機能するシグナル影響要素を用いるナノマシーンを示す。
【図6】図6は、消光物質/FRETプローブに結合した相互作用増幅要素(白四角)を用いるナノマシーンを示す。
【図7】図7は、「ヒンジ」として機能する消光物質/FRETプローブ上のループ構造である、変位増幅要素を用いるナノマシーンを示す。
【図8】図8は、それぞれがそこに結合した金属ナノ粒子(灰色の丸)のようなシグナル影響要素を有するナノ構造体および関連する構造体を有するナノマシーンを示す。
【図9】図9は、線状のナノメカニカル要素の機械的類似体を示す。
【図10】図10は、図9に示すプラスモンビーズのような50nmの金ナノ粒子間の電界閉じこめと増強とをシミュレートする刺激を示す。
【図11】図11は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図12】図12は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図13】図13は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図14】図14は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図15】図15は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図16】図16は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図17】図17は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図18】図18は、ナノ構造体の場からの情報の流れを示す。
【図19】図19は、金属ナノ粒子の裂け目内でコンピューターで観察される電界濃度の3オーダーの上昇を示す。
【図20】図20は、蛍光インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ(FISH)におけるナノマシーンの場からの情報の流れを示す。
【図21】図21は、相補的な、ナノ構造体(量子ドット)への1塩基ミスマッチ(mismatch)の、および2塩基ミスマッチの関連する構造体(消光プローブ)の添加を示し、量子ドットを「オフ」状態に置く能力を示す。
【図22】図22は、本発明の代表的実施態様の電界作用を示す。
【図23】図23は、相補体、1塩基対不一致、および2塩基対不一致とを区別する能力を示す。
【図24】図24は、実施例2で説明される。
【図25】図25は、実施例2で説明される。
【図26】図26は、実施例2で説明される。
【図27】図27は、実施例2で説明される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出を促進するための可逆的シグナルを発生するナノスケール変換システムに関する。ある意味で本発明は、高次シグナル発生ナノスケール構築体(signaling nanoscale constructs)または「ナノマシーン(nanomachines)」を使用する分子結合事象に関し、これはナノ構造体を、高バックグランドノイズ中でも個々に検出できるようにする。
【背景技術】
【0002】
フォトニクス(photonics)分野は、発光透過、反射、増幅、および検出に関する新興の集束しつつある種々の技術を含む。光および他の型の放射エネルギーを利用し生成する能力は、同様に広範な機器、例えば光学部品および機器、レーザー、他の光源、光ファイバー、電子光学装置、および関連するハードウェアと電子工学を生み出してきた。かかる多数の技術や装置でも、フォトニクスの進歩は、シグナル入力が意味のある出力に効率的に変換されるという意味でまだ限定されている。
【0003】
シグナル発生ナノ構造体(例えば、量子ドット、フォトニック結晶構造体、および金属ナノ粒子)の開発において大きな進歩がなされており、蛍光性、発光性、または他の光学的性質が改良されている。この進歩により、従来の蛍光顕微鏡や電荷結合素子(CCD)イメージングシステムを用いて容易に検出できるナノ構造体が開発された。これらの進歩は、ある空間中のナノ構造体集団から得られるシグナル情報がナノ/ミクロスケールからマクロスケールレベルに流れることを可能にし、これらを種々の異なる用途で有用にしている。
【0004】
比較的低レベルのシグナルを検出するために設計された光システムでは、追跡される構造体または事象から生成される真の「シグナル」が、あらゆる光システムに固有のバックグランド「ノイズ」から区別できなければならない。このような区別をできないことは、まれな事象の発生とランダムノイズとを区別するために従来の光システムを使用することを制限する。多くの用途で、使用可能な形へのナノ構造体からのシグナルの変換はまだ信頼できないため、「個々に」検出可能なシグナル発生ナノ構造体の使用はまだこの問題を解決していない。特に、単一の標的分子結合事象のような特異的分子相互作用の発生と非特異的結合による発生とを信頼できるように区別するための、ナノ構造体の固有の検出可能性を利用することは困難である。
【0005】
種々の異なる化学的および生物学的用途でナノ構造体のユニークなシグナル発生性を利用する多くの異なる技術やアッセイフォーマットが、現在開発中である。かかる用途は、より高度の結合およびシグナル発生要素を用いて、より複雑な「第2世代」ナノ構造体を利用する。例えば米国特許第6,630,307号は、光の別個の波長を放出する検出可能な標識物としての半導体ナノ結晶(量子ドット)の使用を開示する。さらに米国特許第6,777,186号は、シグナル発生プローブまたは機構を作成するための金属性ナノ粒子および他のレポーター基の使用を開示する。このような努力にもかかわらず、固有の感度の消失の背後にある基礎的理由はまだ克服されておらず、多くのアッセイ条件下で単一分子の検出可能性は確保されていない。
【0006】
従って、単一分子の検出可能性を示すことができる高次のナノスケール変換システムの開発に対するニーズがある。かかるシステムは本発明により、本明細書に記載の「ナノマシーン」の形で提供され、例えばまれな分子結合事象の検出に理想的に適した可逆的なシグナル発生機構を利用する。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
本発明は、単一分子の検出可能性を示すことができる高次のナノスケール変換システム(すなわち「ナノマシーン」)に関する。本発明の1つの態様は、ナノ構造体と関連する構造体とを標的に結合させ、ナノ構造体、関連する構造体、および標的との間の相互作用を可逆的に変化させることを含む方法である。可逆的変化は加えられるエネルギー、例えば電界、DC電界、AC電界、容量電界、熱エネルギー、電気エネルギー、化学エネルギー(例えば、アデノシン三リン酸(ATP)、またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH))などに対して応答してもよい。エネルギーはさらに、光量子、磁気、動力学、音響、超音波、マイクロ波、または放射線でもよい。
【0008】
可逆的変化は、異なる型(例えば変形(弾性、非弾性、または可塑性)、ならびに角運動、分離距離、回転、直線変位、らせん運動など)を取ってもよい。変化はさらに、剪断力または圧力に応答してもよい。
【0009】
ナノマシーンの成分間の変化した相互作用は、共鳴エネルギー(双極子カプリングまたは4極子カプリング)の形を取ってもよく、これは蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)でもよい。あるいは相互作用は、プラスモン、近接場結合、光量子、容量性、磁性、または静電性でもよい。
【0010】
この方法はさらに、相互作用(これは表面増強ラマン散乱(SERS)またはラマンスペクトル、発光、蛍光、光学的性質、色、磁界、電界、温度などでもよい)により生じる空間的に独立した、時間的に変化する特性を検出する工程を含んでよい。ある実施態様において、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的に変化する相互作用は空間的に独立している。さらに、相互作用は溶液中または固体表面(マイクロアレイまたはナノアレイ)で起きてもよい。相互作用は、空間配置についての予めの情報があっても又はなくても起きて良い。例えばこの方法は、均一アッセイでも不均一アッセイでもよい。
【0011】
別の実施態様において本発明は、ナノ構造体と関連する構造体とを有する装置であって、ナノ構造体と関連する構造体は互いにおよび標的と可逆的に相互作用するように改変されることを特徴とする装置に関する。適当なナノ構造体と関連する構造体とには、例えば量子ドット、半導体ナノ粒子、フォトニック結晶、金属ナノ粒子、セラミックナノ粒子、ポリマーナノ粒子、およびナノチューブがある。さらに関連する構造体には、シグナル発生要素、例えばフルオロフォア、消光物質、発色団、フィコビリンタンパク質、発光物質、蛍光タンパク質がある。
【0012】
装置はさらに、相互作用増幅要素を含んでよく、これはナノ構造体または関連する構造体に結合してもよい。かかる増幅要素は、例えば圧力応答要素または変位増幅要素でもよい。
【0013】
装置のナノ構造体はそこに蛍光ドナーが結合していてもよく、この場合関連する構造体は蛍光消光物質を含む。あるいはナノ構造体と関連する構造体とは、そこに蛍光エネルギー移動(FRET)対の個々のメンバーが結合してもよい。
【0014】
別の実施態様においてナノ構造体と関連する構造体とは、互いにおよび標的と可逆的かつ空間的に独立に相互作用するように改変され、これは溶液、または表面(例えばマイクロアレイまたはナノアレイ上の)でおこってもよい。
【0015】
別の実施態様において本発明は、ナノ構造体、関連する構造体、および標的を提供する工程と;ナノ構造体、関連する構造体、および標的により提供される時間的に変化し空間的に独立した情報シグナルを検出する工程とを含む方法である。本方法はさらに、ナノ構造体、関連する構造体、および標的にエネルギーを適用する工程を含み、エネルギーは光量子、電気、熱、磁気、周期的、連続的インパルス、単一のインパルスであるか、または一定でもよい。情報シグナルは、蛍光、色、温度、電界強度、または磁界強度の変化でも、またはナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せに特有の周波数の変化でもよい。この方法はさらに、例えば神経ネットワーク、Bayesianネットワーク、またはM-ary検出を使用して分子結合事象を分類するために、検出された情報を処理することを含む。この方法はまた、ナノ構造体、関連する構造体、および情報シグナルを含む標的の間の可逆的に変化する相互作用を発生させる駆動力を適用することを含む。
【0016】
本発明のさらなる実施態様は、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的に変化する相互作用を発生させるように改変した、標的を検出するためのシステムであり;ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せにエネルギーまたは駆動力を付与するように改変され、こうして可逆的に変化する相互作用を発生させる、入力源と;可逆的に変化する相互作用により発生される変換された出力を検出するように作成した検出器とを含む。システムの他の態様(例えば付与されたエネルギーおよび変換された出力)は上記した通りである。
【0017】
上記実施態様以外に本発明は、少なくとも1つの標的結合領域と少なくとも1つのシグナル影響領域とを有するシグナル発生ナノ構造体を含み、ここでシグナル影響領域は、そこにナノ構造体のシグナル発生特性を変化させるシグナル影響要素が結合し、標的結合領域は所定の標的に対して選択的である。シグナル影響要素はシグナル阻害要素でもよい。さらにシグナル発生ナノ構造体が蛍光性で、シグナル阻害要素が蛍光消光物質でもよい。
【0018】
このナノ構造体のある変更態様において標的結合領域とシグナル影響領域は、シグナル発生ナノ構造体の表面に非対称にパターン化されている。ナノ構造体は1つまたは多くの標的結合領域を含有してもよい。さらにシグナル影響要素は金属ナノ粒子でもよい。
【0019】
別の変更態様においてシグナル発生ナノ構造体は、ナノ構造体のシグナル発生特性を変化させるシグナル影響要素をそこに結合して有する少なくとも1つのシグナル影響領域を有し、ここでシグナル影響要素はまた、標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの標的結合領域を有し、標的結合要素は所定の標的に対して選択的である。
【0020】
これらの実施態様または変更態様のいずれかの標的結合要素は、結合対の任意のメンバー(例えばオリゴヌクレオチド、抗体、またはポリペプチド)でもよい。シグナル発生ナノ構造体およびシグナル影響要素はまた、標的結合要素を介して結合してもよく、これは本実施態様では構造体間の架橋として作用する機能を果たす。
【0021】
さらに別の変更態様においてシグナル発生ナノ構造体は、第1のシグナル影響要素をそこに結合して有し、ここでシグナル影響要素はまた少なくとも1つの標的結合領域を含有し、シグナル発生ナノ構造体はまた、そこに結合した第2のシグナル影響要素を含有する。
【0022】
本発明はまた:第1の金属ナノ粒子(ここで第1の金属ナノ粒子はまた、第1の標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの第1の標的結合領域を含有し、かつここで第1の標的結合要素は所定の標的に対して選択的である)をそこに結合して有する第1のシグナル発生ナノ構造体;第2の標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの第2の標的結合領域を有する第2の金属ナノ粒子(ここで第2の標的結合要素は同じ所定の標的に対して選択的である)とを、含有するキットを含む。かかるキットにおいては、標的結合要素は上記のようなものであってよい。
【0023】
キットの変更態様は、第1および第2の金属ナノ粒子がつなぎ基(tethering group)(これは、合成ポリマー、1本鎖核酸、脂肪酸、グリコサミノグリカン、またはポリペプチドでもよい)を介して結合する時である。
【0024】
本発明のさらなる実施態様は、以下の工程を含む方法である:ナノ構造体を標的に結合させる工程;関連する構造体を標的に結合させる工程;ナノ構造体、関連する構造体、および標的間の相互作用を可逆的に変化させて情報を発生させる工程;および情報を検出する工程。標的は例えば、核酸、タンパク質、無機表面、ゲノム核酸などでもよい。これはまた、生物学的試料、例えば細胞もしくは組織試料でもよい。
【0025】
本方法の例ではナノ構造体はまた、所定の標的に対して選択的である標的結合要素をそこに結合して有する第1の標的結合領域を有し;ここで、関連する構造体はまた、同じ所定の標的に対して選択的である第2の標的結合要素をそこに結合して有する第2の標的結合領域を含む。ある変更態様において、第1および第2の結合要素の両方とも、核酸または抗体でもよい。
【0026】
本方法の1つの実施態様は均一測定法であり、この場合本方法は、溶液中で実施できるように改変され、検出工程は溶液からナノ構造体または関連する構造体を取り出すことなく行われる。本発明の別の実施態様はインサイチュー測定法であり、この場合、方法は、細胞構造体中で実施できるように改変され、検出工程は細胞構造体からナノ構造体または関連する構造体を取り出すことなく行われる。
【0027】
本発明はまた、シグナル発生要素と標的結合要素とをそこに結合して有する金属ナノ粒子を含み、ここでシグナル発生要素は、例えば量子ドット、フルオロフォア、FRETドナー、またはFRETアクセプターでもよい。
【0028】
さらに別の実施態様において本発明は、以下の工程を含む試料中の標的核酸分子を同定する方法を含む:標的核酸分子に、シグナル発生要素をそこに結合して有する第1の核酸プローブを接触させる工程(ここで第1の核酸プローブは標的分子にハイブリダイズする);標的核酸に、シグナル阻害要素をそこに結合して有する第2の核酸プローブを接触させる工程(ここで第2のプローブは、シグナル阻害要素がシグナル発生要素の近傍にあり、こうしてシグナル発生要素に関連するシグナルを低下させるように、標的核酸分子にハイブリダイズする);パルス電界を、標的核酸とハイブリダイズしたプローブとにより生成される核酸複合体に適用する工程(ここでパルス電界は、シグナル阻害要素がシグナル発生要素に関連するシグナルを低下させる能力を周期的に妨害し、こうして振動するシグナルを生成する);および振動するシグナルを検出する工程。本方法の他の変更態様は後述の実施例2に記載され、これは、野生型状態、病的状態、または遺伝的改変に関連する診断プロフィールを集合させるためにこの方法を使用する能力を含む。
【0029】
本発明の他の態様は、本明細書を通して議論される。
【0030】
発明の説明
本発明は、検出を促進する可逆的シグナルを生成するナノスケール変換システムに関する。ある意味で本発明は、高バックグランドノイズの中でさえもナノ構造体を個々に検出可能にする第3世代シグナル発生ナノ構築体、すなわち「ナノマシーン」を使用する分子結合事象の分析に関する。かかるシステムは、まれな標的の検出法の性能を改良するのに特に有用であり、ならびに一般的に検出の感度、区別および信頼性が重要なすべての分野で有用である。
【0031】
分子測定法の最適化に対する従来のアプローチ
従来の分子測定法は、分子結合測定法のフリーエネルギー背景を越える時間と濃度に依存する。しかし本質的にまれな分子を捜す時は、熱力学的平衡への充分な進行には数時間のインキュベーションが必要である。さらに事態を複雑にすることは、プローブ濃度の上昇により測定法の速度を上昇させる試みはまた、局所的最小の占有が好都合であり、これは感度と特異性の間の反比例の関係と、速度と特異性の間の反比例の関係を作り出す。さらに複雑な生物学的試料内のランダム性は、フリーエネルギー背景を変化させて、間違って結合したプローブを安定化し、均一な洗浄、熱、または塩ストリンジェンシー手段が、標的を見つけたプローブと、同様であるが非特異的エネルギー最小値内に含有されるプローブとの区別を妨害する。
【0032】
これらの要因は、非常に少数しか存在しない標的を検出するために設計された測定法(抗体、蛍光プローブ、分子ビーコン、PCR増幅などに基づく測定法を含む)の検出の基礎的限界を設定する。これらの要因はまた、理想的な実験室条件下では驚くほどうまく機能する測定法が、複雑な生物学的試料が提供される時にはなぜ失敗するかを説明する。
【0033】
従って測定法開発における最近の研究の大部分は、検出感度の向上に焦点を当てている。これは、酵素増幅法、数珠つなぎの光ファイバーアセンブリー、直接および間接の電気化学的検出、多くの光学的方法(例えば、SERS、水晶マイクロ天秤、ナノ粒子蓄積測定法)、および多くのあまり知られていない方法(例えば、DNA結合イオンチャネルを利用)がある。分子検出の分野で特に注目すべき開発は、「個々に検出可能な」蛍光ナノ粒子の出現である。光の回折限界以下では分解できないが、量子ドットのようなナノ粒子は、わずかに数ナノメートルの大きさの対象から特性を検出するための比較的安価な顕微鏡システムを可能にした。
【0034】
しかし、半導体に基づくバイオマーカーの感度上昇は、臨床的な遺伝子型判定測定法のような測定法で遭遇する低いシグナル対ノイズ比を克服するのに不充分であった。多くの試験は理想的な実験室条件下で信頼できる検出を示したが、複雑な生物学的試料に適用した時は、これらの同じ測定法の性能は大幅に低下した。複雑さを改善する試みにおいて、フロントエンド試料前処理システム(すなわち、標的分子の分離、精製、および増幅)を検出法と連結した。このため、最近の労働集約的な時間のかかる高価な方法になり、許容できないほどの偽陽性率及び偽陰性率となる。
【0035】
事を複雑にしているのは、臨床的遺伝子型判定アプリケーションの大変な性能基準である。広く受け入れられるために、プラットホームは速度、感度、および絶対特異性を示さなければならない。これは、間違った読み値が特に好ましくない結果を有する感染症、法医学、癌、および生物テロ物質検出について特に言える。分子診断学は薬剤発見標的評価(すなわち毒性と細胞シグナル発生研究)(ここでは感度と速度が特に重要である)でも重要である。可能であれば検出の自動化はまた、臨床治験の参加基準として患者集団を分けるため、および処方された薬剤の効力を増加させることにより一般人の副作用を低下させるための新しい薬剤開発のコストの低下において、大きな目的を果たすであろう。
【0036】
第1および第2世代の従来のナノ粒子測定法
一般にほとんどの光ナノ粒子は固有の性質を有し、これがこれらを従来の蛍光顕微鏡/CCDイメージングシステムで個々に検出することを可能にしている(すなわち「固有の検出性」)。例えば、蛍光ポリマー(ラテックスおよびポリスチレン)ナノビーズ(20〜500nm)の形のナノ粒子は市販されており、従来の蛍光顕微鏡を用いて個々に検出可能である。比較して、小(約1nmまたはそれ以下)有機発色団/フルオロフォア分子(フルオレセイン、ローダミンなど)は、「個々に検出可能」ではないかまたはかかるシステムで測定できない。これらは特異的な近接場光学システムを用いて「個々に検出」することができるが、かかるシステムはほとんどの従来の実験室環境では実際的ではない。
【0037】
技術的な意味においてナノ粒子は「個々に検出」される(最小のバックグランドノイズの場で観察される)が、これらのサイズが光の回折限界以下であるため顕微鏡システムにより実際に「解像」できない。この性質は、星が実際には解像されないのに、望遠鏡で光の点としてなぜ個々に検出できるかに少し似ている。残念ながら、より一般的なナノ粒子またはより新しい世代の光ナノ粒子を使用しても、特異的分子相互作用の発生(例えば単一の分子結合事象)を信頼できるように表示するために固有の検出性を利用することは困難である。それにもかかわらず多くの研究者は、(溶液中で行われる)均一測定法および(固相に結合している)不均一測定法の両方で、種々のセンサー技術を利用して特異性と感度が改良されたナノ粒子プローブベースの測定法を開発しようとしている。例えば米国特許第6,777,186号、同第6,773,884号;同第6,767,702号;同第6,750,016号;同第6,682,895号;および同第6,778,316号を参照されたい。
【0038】
例えばFritzscheらは、マイクロアレイ表面上の空間的に規定された位置(「試験部位」)に結合した金ナノ粒子プローブ(「プローブ」)を使用した不均一測定法を記載する(Fritzsche W., Taton, T.A., Nanotechnology, 14(12):R63-R73(2003))。この例では、ナノ粒子アレイの詳細な原子間力顕微鏡画像が撮られ、試験部位内の一致したDNA標的間のみでなく、試験部位間の誤ったプローブ、残存タンパク質、および表面の間の結合も、明らかに示した。
【0039】
任意のアレイベースのシステム(マイクロアレイまたはナノアレイ)のように、情報は非ランダムな空間的に閉じこめられた領域内に含有される。アレイ上のある座標(x,y)の試験部位は、標的を検出し同定するためにナノ粒子密度の増加について観察しなければならない。この領域からのシグナルは、標的分子を有さないがナノ粒子プローブ(すなわち、陰性対照)に暴露された同じサイズの領域と比較されなければならない。これは少なくとも2つの欠点を有する:第1にこれは、標的に到達するまれなプローブのために有効な拡散長さが長くなり、これは測定を劇的に遅くして完了するのに1日またはそれ以上かかる;そして第2に、相対的比較は、基礎的なシグナル対ノイズ限界を確立し、これは通常単一分子検出についてのレベルより高いか、または低コピー数検出(<1000コピーの標的)についてのレベルより高い。
【0040】
ほとんどの既存のナノ粒子またはマイクロアレイ法は、特異的プローブがその正しい標的配列に完全に結合することを確認するのに熱力学的平衡に依存する。まれな標的については、これは、複雑なDNAまたはタンパク質試料に関連する問題を克服するには不充分であり、ここで多くのプローブは同様の結合フリーエネルギーを有し、ハイブリダイゼーション効率は強く濃度依存性である(Bhanot G., Louzoun Y., Zhu J., DeLisi C. Arrays. Biophysical Journal, 84:124-135 (2003))。従って多くの研究者はまた、上昇した特異性を提供するのに洗浄または熱ストリンジェンシーに依存する(例えば、米国特許第6,773,884号;同第6,048,690号;および同第5,849,486号)。
【0041】
さらなる洗浄はより非特異的バックグランドを除去するが、これはまた、一致プローブと不一致プローブとのフリーエネルギーの重複のために、特異的標的も除去してしまう。すなわち、改良された特異性の犠牲は感度の消失である。点突然変異または単一ヌクレオチド多型(遺伝子型判定)、抗体を用いる感染性疾患表現型判定、または標的評価試験の単一塩基鑑別分析の場合、非常に高いストリンジェンシー条件が特異性のために絶対必要である(用語「ストリンジェンシー」は、ハイブリダイゼーションが起きる条件を示す。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション中および洗浄操作中の多くの要因(温度、イオン強度、塩基組成物、プローブ長さ、およびホルムアミドの濃度を含む)により決定される。これらの要因は、例えばマニアティス(Maniatis)ら、1982とサムブルーク(Sambrook)ら、1989に概説されている)。これらの試験はヒトのための診断薬にとって非常に重要であるため、これらの応用のほとんどで偽陽性も偽陰性も受け入れられないため、感度のために特異性を犠牲にすることはできない。受動的検出法の限界を避ける試みは、うまくいっていない。
【0042】
米国特許第6,602,400号;同第4,787,963号および同第5,605,662号は、ハイブリダイゼーション反応を進めるための濃度効果を達成するための電界の使用を記載する。これは、微小電極が下にある試験部位を使用することによって、マイクロアレイフォーマットのハイブリダイゼーション速度の問題のためのある程度の手段となっている(米国特許第6,048,690号)。下にある微小電極は、特異的試験部位で標的分子(負荷電したDNA分子)を泳動させ濃縮する電界を与える。電界はまた反転させて、マイクロアレイの表面から非特異的に結合したプローブを除去するためのある種の電界のストリンジェンシーを提供することができる。これらの微小電子アレイでは、ある程度の感度と選択性の改善が与えられるが、低コピー数検出はまだ達成されておらず、その結果これらの方法は、分析の前にPCRによりDNA標的をあらかじめ増幅することが必要である。
【0043】
米国特許第6,048,690号と同第6,403,317号は、古典的マイクロアレイシステムにおける蛍光シグナルの変動を記載する。ハイブリダイゼーション生成物は必ず電子的ストリンジェンシー制御装置に連結されるため、ハイブリダイゼーション速度が犠牲になり、ノイズ限界が付加される。従って追跡されるシグナルは、これらの限界を超えるために数百万以上の蛍光標識プローブ分子の集団から放出され、これは分析前にDNAのPCR増幅を必要とした。
【0044】
多くの検出法を注意深く調べると、一般に、DNA標的をあらかじめ増幅する必要性は不均一測定法でも均一フォーマットでも同様であることがわかる。この障害は、プローブがナノ粒子を用いて設計されたかまたは従来のフルオロフォア、電気化学的、化学発光、またはラジオアイソトープ標識物を用いて設計されたかに無関係に発生するようである。種々の検出法の理想的な感度にもかかわらず、ある程度の数の標的配列(1,000〜100,000コピー)が存在する場合も、試料が複雑(多量の外因性DNA、タンパク質、および他の物質)な場合は、DNA標的の増幅がしばしば必要である。
【0045】
ナノ粒子プローブの固有の検出性を保持する問題はまた、ドナーとアクセプター(または消光物質)プローブの間で単純な蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)機構を作成しても解決できないようである。FRET機構の消光またはエネルギーカプリングは完全ではないため、これらのプローブはその特異性の増加にもかかわらずバックグランドノイズを排除できない。
【0046】
まとめると前記要因は、ナノ粒子、蛍光プローブ、分子ビーコンなどに基づく測定法の検出の基本的限界を設定している。これらの要因はまた、理想的な実験室条件下では驚くほどうまく機能する測定法が、複雑な生物学的試料が提供される時にはなぜ失敗するかを説明する。すなわち固有のナノ粒子感度の消失の基本的な理由は克服されておらず、ほとんどのアッセイ条件下では単一分子検出は確保されない。
【0047】
発明の一般的説明
本発明は、分子結合事象の検出の増強への「パラダイムシフティング(paradigm shifting)」に関し、これは分子結合測定法の改良された性能(信頼性、感度など)を与える。このアプローチは可逆的シグナル発生の検出と処理、およびシグナルの周波数特性の分析に依存し、前記例で説明した強度の差に依存するのではない。
【0048】
さらに詳しくは本発明は、受動的分子測定法の特徴である速度、感度、および特異性の間の逆転関係を避けるナノスケール変換システムに関する。標的にナノ構造体と関連する構造体とを結合させて「ナノマシーン」を生成し、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の相互作用を可逆的に変化させることにより、本発明はナノスケールからマクロスケールへの情報の流れを最大にして信頼できる検出を可能にする。各ナノマシーンはすぐ近くの環境を示す経時変化するシグナルを生成する機械的能力を付与されているため、時間シグナル処理理論の応用は、非特異的に結合したナノ構造体の場中で特異的に結合したナノ構造体を抽出するのに使用することができる。分子シグナルの生成と検出の両方は相関したランダム変数であるため、生成したシグナルの多くの観察は、経時的検出の信頼性と感度を改良する。さらにシグナルの異なる周波数成分は、ナノ構造体が特異的または非特異的に結合しているかどうかの情報を伝える。従来の測定法はこの動力学を利用せず、従って上記バックグランドノイズの基本的な限界に支配される。第2に、ナノ構造体に経時的な情報の流れを加えることは、目的のプローブの存在場所の検出の独立性を可能にする。プローブはマイクロアレイ中で特異的試験部位に結合する必要は無く、これは不均一測定法において劇的な速度の上昇とさらに顕著なことは、液相測定法またさらには均一/不均一組合せ測定法(ここで高濃度のプローブは溶液中の捕捉速度を促進し、次に分析のための表面へ運ばれる)を実施する能力を生じさせた。
【0049】
高バックグランド中の周期的シグナルの検出は、レーダー、通信理論、および天文学の分野で広く研究されている。この確率検出理論の他の分野(例えば生命科学)への拡張は、分子結合測定法(例えば、分子診断薬)の静的性質により限定されている。例えば分子プローブとして使用される時、ナノ構造体の性状解析に動的部分をカプリングさせることにより、高レベルの妨害的バックグランドノイズにもかかわらず、分子プローブの直近の環境についての情報がナノ/ミクロスケールからマクロスケールへ流れる。
【0050】
図1は、上記したように分子相互作用を検出するナノスケール変換システム100のブロック図を示す。このシステム100では、ナノマシーン/標的組合せ102が、入力源104からの駆動エネルギー源を受け取る。ナノマシーン/標的組合せは、上記したようにそれぞれ標的に結合したナノ構造体および関連する構造体を含む。
【0051】
入力源104からのエネルギーは、例えば電気エネルギー、熱エネルギー、光学的エネルギー、磁気エネルギー、またはナノ構造体、関連する構造体、および標的間の相互作用がエネルギーに応答して可逆的に変化するように、ナノマシーンにエネルギーを付与するのに充分な他の物理的現象を含む。ナノマシーン/標的組合せに付与される入力源104からのエネルギーは、周期的(例えばサイン波に特徴を有する)でも,またはインパルスもしくは連続的なインパルスエネルギーでも、または一定のエネルギー源でもよい。
【0052】
上記したように可逆的変化は、多くの異なる種類の変化の1つでもよい。例えば可逆的変化は、変化する直線距離もしくは角距離、回転、可塑性変形、弾性変形、ねじれ、または相互引力(例えば、磁気、イオン性、もしくは電気的引力)を含む。
【0053】
ナノマシーンの可逆的変化は、変換出力106を含むナノマシーンの特性の変化を発生する。変換出力は検出器108により検出される。変換出力は、例えばナノマシーン蛍光、発光、色、双極子配向、温度、電界強度と周波数、または磁界強度の変化または変動を含む。
【0054】
検出器108は、変化した特性を検出することができる(変換出力106)。検出器は、例えばナノマシーンの光学的変化(発光または色を含む)、熱変化、電界、または磁界変化を操作または検出することができる。検出器は、例えばCCDもしくはCMOS型検出器アレイなどのカメラ、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)、電気もしくは磁気エネルギー検出装置、または熱検出装置でもよい。
【0055】
プロセッサー110は検出器108からの出力を受け取り、検出器出力を処理して、その検出が所望される現象を含むナノマシーン/標的102の変化した特性を同定することができる。検出器出力の処理は、当業者に公知の種々のシグナル処理法を用いて行うことができる。例えば「マトラブ(MatLab)」は、マスワークスインク(Mathworks, Inc.)(ナチック(Natick)、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)から入手できるソフトウェアアプリケーションであり、これは、所望の標的の存在を示す意味のある検出器出力を同定するためのデータ処理を行うのに適している。例えばプロセッサー110は、分類物、神経ネットワーク、Bayesianネットワーク、または最大先天確率(MAP)検出を含むことができる。
【0056】
本発明の「高次」測定法
本発明のシグナル発生ナノ構造体は高次「ナノマシーン」を形成し、これは特異的標的分子が結合している基本的光ナノ構造体からのシグナルを調節またはゲート制御することができる。これは、機械的性質をシステムに設計することにより行われ、これが、標的分子の結合により2次構造が基本的光ナノ構造体に影響を与える要素に近似するように結合することを可能にする。「ナノマシーン」はさらに、別のエネルギー源(DC電界など)の入力が、関連する構造体の影響する基と基本的光ナノ構造体との距離を増加させるように設計される。すなわち2次エネルギー入力は、標的分子が結合しているシグナル発生ナノ構造体を特異的に調節またはゲート制御するために使用することができる。
【0057】
例えば量子ドットのような基本的なナノ構造体は従来の顕微鏡検出システムを使用して検出できるため、「本質的に検出可能である」。第2世代ナノ構造体はより複雑であり、異なる結合メンバーおよびシグナル発生要素を取り込み、それでも「本質的に検出可能である」が、これらは通常、単一分子感度を有するほとんどの測定法を可能にしない。
【0058】
本発明で使用される適当なナノ構造体には、例えば量子ドット、半導体ナノ粒子、フォトニック結晶ナノ構造体、金属ナノ粒子、セラミックナノ粒子、ポリマーナノ粒子、ナノチューブ構造体(カーボンナノチューブなど)、蛍光または発光巨大分子(樹状細胞など)、蛍光タンパク質(例えば、フィコビリンタンパク質)または発光タンパク質(例えば、ルシフェラーゼ)を含む生物学的巨大分子、および光合成巨大分子アンテナ構造体がある。かかるナノ構造体は文献に記載されており、公知の方法を使用して作成することができる。
【0059】
他の適当なナノ構造体には以下がある:米国特許第6,344,272号に開示されたナノシェル、米国特許第5,620,584 272号に開示された金属コロイド、米国特許第5,739,376号;同第6,162,926号;同第5,994,410号に開示されたフラーレンおよび誘導体化フラーレン、ならびに米国特許第6,183,714号に開示された単層ナノチューブを含むナノチューブ(これらのすべては誘導体化されてよい)。
【0060】
ある実施態様においてナノ構造体はさらに、標的結合領域を含み、これはある実施態様において、ナノ構造体成分を標的分子および他の要素に結合できるようにする誘導体化を含む。かかる誘導体化は標的結合要素の結合を含んでよい。しかし、本発明の利点の1つは、検出を促進するために目的の正確な標的分子への「特異的」結合を必要とする多くの分子プローブと異なり、本発明では、高ストリンジェンシー条件下でさえ、ナノ構造体に対するある程度の数の不一致DNAまたは非特異結合したタンパク質があることが仮定されることである。従って本発明は、本明細書に記載の方法を使用することにより、標的が結合したナノ構造体は非特異的に結合したナノ構造体から分離できるため、絶対的または相対的標的特異性の必要性さえも回避する。
【0061】
標的結合要素を結合させるための任意の誘導化の例には、特にDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(pNAs)または他のDNA類似体、抗体、タンパク質、ペプチド、または任意の他の特異的生物学的/化学/金属リガンドまたは標的分子に結合できる結合メンバーの結合がある。
【0062】
本発明の「ナノマシーン」はまた、ナノ構造体から放出されるエネルギーが標的の非存在下または存在下で異なるように、ナノ構造体からの光エネルギー移動に影響を与える関連する構造体を含む。例えば蛍光性ナノ構造体について、関連する構造体は、蛍光消光分子または蛍光消光分子がそこに結合した第2のナノ構造体でもよい。またこれは、FRET移動のアクセプターもしくはドナーなどを含むか、または金属−リガンド相互作用により調節することができる。すなわち、「ナノマシーン」の一部である本発明の1つのシグナル発生ナノ構造体は、そこにポリヌクレオチド捕捉プローブが結合している基本的な光ナノ構造体、例えば量子ドットからなる。ポリヌクレオチド捕捉プローブは、特異的「標的」DNA配列とハイブリダイズするように設計される。いったんハイブリダイズすると、標的DNA配列の別の部分が2次オリゴヌクレオチドプローブ(すなわち「関連する構造体」)にハイブリダイズすることができ、これは、シグナル影響要素(例えば消光基)を含む。本明細書において用語「シグナル影響性」は、例えば調節、反射、消光、増強、増幅、調整、または焦点化を示す。消光基が量子ドットに近いことが、量子ドットの蛍光発光を少なくさせる(dim)。
【0063】
2次エネルギー入力(例えばDC電界)を適用すると、消光基と量子ドットは互いに分離し、量子ドット放出が増加する。パルスDC電界の場合、非標的結合シグナル発生ナノ構造体に対して、特異的標的結合シグナル発生ナノ構造体を「点滅させる」ことができる。
【0064】
従って上記したように「関連する構造体」は、シグナル影響的にナノ構造体に「結合する」ように改変されるため、このように命名され、これは通常、ナノ構造体および関連する構造体の両方が近接して標的に結合することを意味する。すなわち関連する構造体は標的結合領域を含むように組み立てられ、これは通常、ナノ構造体について上記したように、そこに結合した標的結合メンバーを有する。
【0065】
第3世代ナノ構造体
本発明の別の態様は、ナノ構造体からのシグナル放出がランダムでないように配置することができるシグナル発生ナノ構造体である。ある実施態様においてシグナルは、非消光領域からのみ放出される。かかるナノ構造体は、パルス出力をより良く分析できるように、情報の直交する面を見る能力を促進するような場で(すなわち異なる方向で)整列されることができる。
【0066】
本発明のある実施態様において単一線配向ナノ構造体は、非対称に位置するナノメカニカル要素と結合した関連する時間的に変化する距離依存性の相互作用要素を含有する基礎的光ナノ構造体からなり、残りの基礎的ナノ構造体はシグナル影響「コーティング」(例えば2次反射性ナノ構造体)に包含される。この特別な実施態様において基礎的ナノ構造体は、量子ドット、蛍光性ポリナノ粒子、金属ナノ粒子、または発色団性タンパク質複合体でもよい。非対称位置ナノメカニカル要素と関連する時間的に変化する距離依存性相互作用要素は結合したポリヌクレオチド配列でもよく、これは標的DNA配列に相補的であり、これは、第2のポリヌクレオチド配列が消光基(またはFRETドナー−アクセプター基)(これは、基礎的光ナノ構造体を消光(またはFRET移動)させるように位置する)を含むことを可能にするように標的配列に結合する。
【0067】
残りの基礎的ナノ構造体表面は、シグナル影響分子などのシグナル影響要素、又は消光分子、他の量子ドット、金属ナノ粒子を含むナノ構造体、または基礎的光ナノ構造体を消光、反射、増強、または調節することができる他の要素に包含される。これらの包含するナノ構造体(分子)はまた、全体のシグナル発生ナノ構築体上の荷電の非対称性(すなわち片側がより正で、片側がより負)を取り込むように使用することができる。しかしかかる荷電は、シグナル発生光ナノ構築体を静電作用により凝集させないように(配置)取り込まれる。図4は、標的DNA配列中の単一塩基差(SNP、突然変異など)のDNAハイブリダイゼーション分析のために設計されたかかるシグナル発生光ナノ構築体の一般的図を示す。かかるシグナル発生光ナノ構築体が均一ベースのハイブリダイゼーション分析で使用され、エネルギーの入力(適用されたパルスDC電界)を受けると、かかる構築体は、標的DNA配列の性質を同定する振動性指向性シグナルを発生する。
【0068】
ナノメカニカル要素
適切な強度と周波数のエネルギーを適用すると、検出可能で分解可能な振動するシグナルを発生させる機械的性質を有するナノマシーンがさらに設計される。パルスエネルギー場に暴露された蛍光性ナノ構造体/関連する構造体−消光物質組合せの場合、これは蛍光シグナルの経時的増加と減少(すなわち「点滅」)の形を取るであろう。
【0069】
振動は、「ナノメカニカル要素」をシステムに取り込むことにより促進される。用語「ナノメカニカル要素」は、関連する構造体に対してナノ構造体の動きを制限するナノマシーンの要素(部分、領域、メンバー)を示す(平面内の角張った、線状、円筒形、らせん形など))。例は、ヒンジ、バネ、ローターなどである。
【0070】
「バネ」の形のナノメカニカル要素を有するナノマシーンの例は、そこに結合したシグナル影響要素(金属ナノ粒子)を有する自己集合性ナノ構造体(量子ドット、蛍光性ビーズなど)を含み、これはさらに、シグナル発生ナノ構造体がシグナル影響要素の裂け目内に含有されるように標的DNAとハイブリダイズするプローブDNA(標的結合要素)でさらに誘導体化される。システムへのフリーエネルギー(溶質主導の入力の形の電気、剪断力、または熱であっても)の適用は、単純な調和運動(図9に示す)で説明される質量/バネシステムのように、システムの優勢な固有振動モードが振動するようにする。2本鎖DNAは1本鎖DNAよりはるかに剛性の性質を有することが公知であるように、プローブ結合における不一致は、固有振動モードの周波数の差として現れる。金属ナノ粒子の近接場カプリングが強力に距離依存性であることも公知である。
【0071】
電界濃度の3オーダー以上の上昇が金属粒子の裂け目内でコンピューターを使用して観察され(図10)、これは、結合DNAのバネ定数により調節されると、検出を促進する光学的シグナルが発生する。FRET対は、金属粒子上に直接取り付けられるか、または裂け目内のDNA上で組み立てられ、赤方偏移したピークが検出される。同様に量子ドットは裂け目内に置かれ、その振幅変動は、近接場作用の結果として検出されるであろう。ナノマシーンからのシグナルはナノ構造体の距離依存性増強に基づくため、増幅は異なって使用される。図9〜13は、この実施態様の異なる構成を示す。
【0072】
前記実施態様はまた、例えばDNAプローブを抗体で置換することにより、タンパク質または小分子を検出するように構成することができる。これは、抗体で誘導体化した金属ナノ粒子と標的リガンドが一緒になって光学的に増幅された振動する裂け目を形成するサンドイッチ測定法の近接場作用について最もよく説明される。非特異的に結合した分析物の場合、近接場裂け目が蛍光基から充分に排除されて増幅効果が大幅に低下する可能性がある。さらにシステムの固有振動モードは、線運動量より多くの角運動量を含有し、これはナノ構築体の周波数応答を劇的に変化させるであろう。図14〜17はこの実施態様の異なる構成を示す。
【0073】
バネ構造の追加の利点は、ある構成では金ナノ粒子が非結合システムを有効に消光させ、近接場増幅を用いて正しく組み立てられた、シグナル発生ナノ構造体周囲のシステムのみが明るいことを示す。これはより強力な照射に対するニーズを小さくし、こうして他の自動蛍光構造体からの分散とバックグランドとを小さくする。他の従来の近接場または高感度のために設計されたささやきモードセンサー(すなわち、Vollmer F, Arnold S, Braun D, Teraoka I, Libchaber A. 2つの微小球キャビティの分光分析シフトによる多重DNA定量、Biophysical Journal, 851:1974-1979, 2003)とは異なり、ナノマシーンからの情報の流れは、標的、関連する構造体、およびナノ構造体の間の力学的相互作用の直接の結果である;特に情報は構造の機械的(形態的)変化の結果でありナノ構造体の電子モードの単純なシフト(多くの第2の世代センサーにおけるように)ではない。結合したナノ構造体の結合および非結合励起の示差的効果は、生物学的分子の劇的により高感度な検出を可能にするであろう。
【0074】
入力
ナノマシーンへの入力に使用可能なエネルギー場または力には、巨視的/微視的なDC/AC電界、電気泳動または誘電泳動場、2層電界(表面)、容量効果(表面)、光学的または光エネルギー場、磁界、pH、熱エネルギー、イオン強度、流れの動き、または剪断力、および圧力がある。例えば伝導性表面の直ぐ近くに並置(すなわち数デバイ長以内)されると、構造を変化させるために電界が使用される。これは、流体中の定常状態イオン勾配の結果である電気泳動場とは異なる。電気泳動場を利用する装置は、電気分解生成物の排除とこれらに伴うpH変化に多大な注意を払う。そのナノスケールの寸法のためにこれらのナノマシーンは、表面の数デバイ長以内の電界からエネルギーを受けることができる。
【0075】
鋭い共鳴モードを有するように設計される時、ナノマシーンを駆動するのにバックグランド熱励起を使用することができる。周囲の液体の温度を変化させることにより、システムへの平均エネルギー入力が行われる。ある実施態様において、バネ構造の共鳴モードを捜す時、熱入力はゆっくり変化させることができ、または別の実施態様において、ヒンジ構造体のハイブリダイゼーションを変化させるようにパルスすることができる。マイクロチャネルへのパルス赤外線により、10kHz以上の第2世代のナノシステムの温度の変動が達成されている(Braun D, Libchaber A. 分子増殖によるロックイン、Applied Physics Letters, 83(26):5554-5556, 2003)。
【0076】
出力
増幅された古典的な蛍光マイクロアレイシステムと異なり、低コピー数ナノ粒子システムは、蛍光の大きな集団の変動とは極めて異なるユニークな課題を提起する。単一の分子機構を観察する時は、単一の周波数がナノ構造体からの主要な発光モードである可能性は低い。すなわち我々の第3世代測定法は、検出のユニークな課題を提示する。
【0077】
例えば、試験部位領域が検出可能である推測確率が試験部位領域間より高い古典的マイクロアレイシステム(すなわち、マイクロアレイについて p(a|b)=f(x,y)、ここで事象aは蛍光が見つかる確率であり、条件bは「空間中の特定の位置が与えられる時、例えば捕捉DNAがスライド上にスポットされる時」という表現に等しく、f(x,y|試験部位)>f(x,y|非試験部位)である)と比較して、本明細書に記載の第3世代システム(p(a|b)=C、捕捉領域の面積(または体積)にほぼ等しい定数がプローブの濃度により正規化される)は一般に試料空間を横切る分布が均一である。本明細書に記載のシステムは、捕捉の推測領域で設計されることを除外できないが、まれな標的の速度を改良する好適な不均一および均一な実施態様(または一般に均一測定法)は、主にまれな標的の拡散経路長を最小化するように広げられる。
【0078】
システムにエネルギーを繰り返し導入することにより、状態間の確率分布を測定することができ、下流の検出アルゴリズム(分類物、Bayesianネットワーク、充分な統計量に基づく検出、MAP検出、神経ネットワーク、Mアレイ検出など)を使用して、出力をナノマシーンから区別することができる。理想的には、エネルギーが導入されると、シグナル発生ナノ構造体は2つの最大に離れた状態の間で振動し、駆動力の変化が安定化状態または不安定化状態の持続時間を左右し、一致または不一致プローブの周波数応答を確立することができる。しかし我々は、多くのナノマシーンが非理想的挙動を示し、周波数応答へのより多くの推測成分があることを認識している。
【0079】
従って本発明の好適な実施態様は、パラメータ推定、推計検出、Bayesian分類物、神経ネットワーク、ロックイン増幅物などを利用して、集団挙動とは大きく異なる分子速度を区別することができる。例えば米国特許第6,048,690号では、異なる振幅(しかし位相が一致した振動)を示した正弦波様挙動は、シグナルを平滑化するのに重複する数百万のガウス分布結合事象の結果のようであった。単一分子の動力学は本来ランダムであり、力(電気、熱など)が加えられると、DNAハイブリダイゼーションの平均挙動が変化するが、一般に、時間の経過にともなう振動の振幅は同じであるように、結合の確率に影響を与える。高密度システムにおける強度の差を決定するのは集団動力学である。理想的なナノスケール振動子は、下流の検出に無関係に初期のシグナル対ノイズ比を最大にするであろう。さらにナノ構造体および関連する構造体の間の可逆的相互作用を正しく駆動する能力が主に、応答の帯域幅を決定するであろう。従って、その機械的性質中に鋭い共鳴モードを有するシステムを設計することは価値がある。
【0080】
例えばある実施態様において、組み立てられたナノマシーンが連続的に処理されてマイクロチャネル中を流れる均一測定法は、これらを検出ビームが通過する時、構造体に応答指令信号を送る。数十kHz領域に共鳴モードを有するように設計されたナノマシーンは視界中を出入りしている時、Mhz帯にサンプリング速度を有するPMTを使用して、応答指令信号を数千回受けることができるであろう。泳動する分子種からの時間特性は、前処理(マルチテーパースペクトル推定、他のフーリエ技術)、次に一般的SVD(Kung Sy, Diamantaras KI, Taur JS. 適応主成分抽出(Adaptive Principal Component EXtraction)(APEX)と応用、IEEE Transactions on Signal Processing, 42(5):1202-1217, 1994)、相互情報抽出、またはヘクト−ニールセン(Hecht-Nielsen)特徴誘引(Hecht-Nielsen R, McKenna T, 神経科学のコンピューターモデル:ヒト皮質情報処理、スプリンガー−フェアラーク(Springer-Verlag)、2003年1月)により、大きさの小さい固有振動モードに分解することができるであろう。次にこれらの特徴は、標準的分類物、ヒドンマルコフ(Hidden Markov)モデル、または検出を促進するためのアンテシデントサポート(Antecedent Support)階層により処理されるであろう。
【0081】
これらの方法はまた、均一/不均一組合せ測定法(ここでまれな標的捕捉の速度は、標的に対してはるかに過剰の複数のナノ構造体および関連する構造体により溶液中で駆動される)に応用される。次に流体処理法が捕捉標的を、(示差的電気、密度、または流体抵抗応答により)組み立てた構築体内に、表面上に、または仮想アレイ中に(すなわち、誘電泳動作用により保持されることにより)蓄積する。画像捕捉装置、例えば高速CMOSカメラまたはCCDは次に、平行したナノ粒子の全場に応答指令信号を送る。この場合駆動シグナルは、場の適用後に電気化学的イオン勾配定常状態を促進するために、および安価なカメラの使用を可能にするために、数十Hz域であろう。
【0082】
本発明の方法はまた、標的および/またはナノ構造体がアレイ上の既知のx,y位置に結合している従来の不均一(マイクロアレイまたはナノアレイ)フォーマットへの応用を含む。
【0083】
図18は、ナノ構造体の場からの情報の流れを示す(丸)。正しく組み立てられたナノマシーンのみが目的のシグナルを示す。正しく組み立てられたナノマシーンは、図面の右図に3つの黒丸で示される。右図は、システムへのエネルギーの導入時のナノ構造体を示す。左の図は、エネルギー導入の無いナノ構造体を示す。システムへのエネルギーの繰り返し導入により、高いバックグランドシグナルにもかかわらず、周期的放出が特異的標的の検出を促進する。従来の分子診断測定法と比較して、非特異的に結合したナノ構造体のバックグランドは、目的のシグナルよりはるかに高いことに注意されたい。これはまれな標的の検出の場合に起き、ここで標的に結合するプローブの確率は、非特異的に捕捉される確率より遙かに低い。非特異的バックグランドを洗い流す試みは、この構成ではあまり重要ではないことに注意されたい。この方法のさらなる実施態様は、二次元特性誘引を使用して場を目的の領域の分割(すなわち、高度に相関する条件付きの確率、一貫した放出などの領域を探索する)した後に検出を行う。上記の時間処理法(特性誘引、分類など)は、目的の各画素または領域に適用されて検出を促進する。
【0084】
図19は、非常に高いバックグランドノイズ内の振動シグナルを示すシミュレーションの結果を示す(上)。図19の上のグラフは、ノイズの中心近くの光の軌跡として示される振動の振幅の時間に基づく曲線である(黒い領域として示される)。記載のように振動の振幅(明るい中央の軌跡)はノイズプロセスの1%である。ノイズプロセス単独の周波数スペクトルプロットは、中央の図に示される。図19の下のプロットは、ノイズと組込みシグナルの周波数スペクトルプロットを示す。下のプロットに示すように、充分な時間観察されると、ノイズ中のピークとしてシグナルが明らかである(原点近くのピーク、左側)。従来の測定法はこの状況のシグナル対ノイズ比を1:100(1%シグナルについて)として測定するであろう。空間的に独立した時間的に変化するシグナルを加えることにより、測定されたシグナル対ノイズはほぼ3:1である。従ってピークの高さはノイズの3倍である。この比率は、システムをより長時間観察することにより、または振動の速度を上昇させ同じ時間観察することにより、増加することができる。
【0085】
時間的に変化する空間的に独立したシグナルは本質的に、その静的対応物より高感度である。図19は、時間処理法の利点を示す。フーリエ法および当業者に公知の同様のシグナル処理法は、周期的シグナルがバックグランドノイズより実質的に低いが、正しく処理されると抽出されることを認識できるであろう。振動を観察するのが長いほど、多く抽出できるであろう。これは、検出決定をするために一般に単一の時点を観察する既存の分子診断測定法とは異なる。例えば後述されるように、ガウスノイズ=N(a,σ2)内に組み込まれたシグナルの試料xの集団が与えられる時のシグナルの検出確率PDは、試料の数nが増加すると、PDの限界は1になる。
【数1】
非ガウスノイズ内に組み込まれたシグナルについて、検出についての同様の議論が行われる。
【0086】
さらにナノマシーンからの情報の流れは可逆的機械的相互作用に密接に関連しているため、ナノ構造体(およびその中の結合したシグナル影響要素)からのシグナルを配向させ整列させる能力は、情報の直行平面(すなわち異なる方向)を見る能力を高めて周期的出力をよりよく分析できる。多くの点でこれは、空の星の中からパルサーが取り上げられることと似ている。こうして、検出を補助するために、大きさ間で最大の直交性を示すベクトル値データを使用することができる。
【0087】
本発明の方法はシグナル処理工程を含み、これはある意味で「数学的洗浄工程」である。このプロセスはバックグランドからの真のシグナルの数学的分離を含み、これは光学的に変換するナノ構築体により放出される振動するシグナルを利用する。例えば米国特許第6,048,690号において、ハイブリダイゼーション測定法(不均一フォーマット)は多くの洗浄工程(20mM リン酸ナトリウム(pH7.2)、室温、各洗浄10分で3回;第21欄第22〜23行)を含む。本発明は、同じ測定法が不均一または均一フォーマットで行われることを可能にし、ここで「数学的洗浄」工程は物理的洗浄を置換し、プロセス全体の速度は大幅に上昇する。標的結合ナノ粒子プローブからの時間的情報内容は、非結合または非特異結合プローブの大部分を除去する必要性無く、特異的および非特異的に結合した粒子を区別することを可能にする。
【0088】
空間的に独立したナノマシーンを検出する能力はまた、測定法の試料調製工程に新しい可能性を与える。例えば、速度を上げるためにナノ構造体および関連する構造体が大過剰で試料中に流れる本明細書に記載の(均一または不均一)測定法において、複雑な生物学的試料は、チャネル内で内容物を電気穿孔または超音波処理し、次に標的を電界(結合した標的とナノマシーンがより小さい体積中に泳動するまでの時間、場を正にして速度を上げる)で濃縮し、次に場を逆転させて体積を拡張することにより、自動的に分析される(これは、非特異物を撹乱するために、熱力学的プロセスを全体として最小に向かわせる;しかし大過剰であっても、複雑な生物学的試料は結合部位の点で標的を圧倒するため、まれな標的の捕捉を推進する)。ナノマシーンは空間的に独立しているため、これらの濃縮/拡張工程は、ナノマシーンが分離される前に、シグナル処理のために仮想アレイ上に結合した標的を採取するために、誘電泳動またはより単純な流体処理法(重量、密度などによる分離)を用いて、溶液中で繰り返し行われる。
【0089】
前記したように経時変化する空間的に独立した構造体に応答指令信号を送る能力は、これまで利用できなかった多数の測定法を可能にする。既存の測定法に多大の改良を実現することもできる。主要な例は、PAPスメアとインサイチューハイブリダイゼーション試験での使用である。
【0090】
同様にナノマシーンは空間的に独立するように設計されているため、これらは離れて置かれた2つのマクロ電極がシステムへのエネルギー入力を推進する横方向の電気泳動場に置くことができる。これは、(サブマリンゲルフォーマットのように)非常に高い電圧が印加されるため、インサイチューハイブリダイゼーション法のような応用に好ましいであろう。本明細書に記載のナノマシーンは、バックグランドを低下させるのに必要な多くの工程の必要性を排除することにより、FISHプラットフォームを大幅に改良するであろう。従来のフルオロフォアを使用する蛍光インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ測定法は以下の方法を示唆する:
1. スライド上に材料を固定(エタノール沈殿またはホルムアルデヒド架橋)
2. 試料の前処理(バックグランドを低下させるため)
3. プレハイブリダイゼーション(プローブを除いたハイブリダイゼーション溶液を用いてインキュベーション)
4. プローブと標的の変性
5. ハイブリダイゼーション温度の決定
6. ハイブリダイゼーションpHの決定
7. ハイブリダイゼーション溶液組成の決定
8. プローブ濃度の決定
9. ハイブリダイゼーション(遅い速度、数時間)
10. ハイブリダイゼーション後のストリンジェンシー洗浄
11. ハイブリダイゼーション特異性対照の決定
12. 検出
【0091】
これらの工程に必要な合計時間は、専門の技師が連続的に注意して何時間も必要である。この操作はプローブを多重化すると、より困難になりより熟練が必要である。これに対して本発明は以下のプロトコールを可能にする:
1. スライド上に材料を固定(エタノール沈殿またはホルムアルデヒド架橋)
2. ハイブリダイゼーション(速い速度、数秒間〜数分間)
3. すすぎ
4. 検出
【0092】
FISHを行うのに必要な工程のほとんどは明らかにバックグランドノイズを低下させるように設計されているため、我々は、特異的に結合したプローブと非特異的に結合したプローブとを区別するために、時間シグナルを使用することにより実質的にすべてのバックグランドを排除することができる。さらにFISHマニュアルはストリンジェントハイブリダイゼーション条件を推奨し、すなわち初期相であってもハイブリダイゼーションを安定となる点まで進めて、従来のFISHのインキュベートに必要な時間を増加している。ナノマシーン発明は、システムを非ストリンジェント条件下であふれさせることにより、凝集の動力学をハイブリダイゼーションの方に向けることを可能にする。ストリンジェンシー緩衝液中のすすぎを最少にして、我々は次に検出を行うことができるであろう。
【0093】
図20に示すように、蛍光インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ(FISH)内のナノマシーンの場からの情報の流れは大幅に増強される。正しく組み立てられたナノマシーンのみが目的のシグナルを示す。正しく組み立てられたナノマシーンは、細胞境界内の黒い丸で示される。
【0094】
本明細書のシグナル処理法は、相互作用の種類に無関係に、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的相互作用を示すシステムについて最適化される。このため本発明は最終的検出法にあまり依存しない;誘導された可逆的機械的変化についての情報を集めることは、蛍光検出、SERS、またはラマンピークシフト、またはささやきモードギャラリーセンサーの場合はスペクトルピーク間の遷移を促進するのに使用することができる。本発明はエネルギーを電気化学的変化(すなわち、測定電極上の酸化還元反応の振動)、インピーダンス変化(ボルタンメトリーベースの検出におけるように)、またはSTM型の測定値(ここで、個々のナノ構造体はナノ電極の先端の間に並置され、組み立てられたナノマシーンの誘導された機械的性質の結果として測定される)に変換できる。これは、標的についての情報がマクロスケールまで通過することを可能にする高次構造体の組み立てである。例えば、均一/不均一組合せ捕捉測定法で使用されるナノ電極の場を包含することができ、ここで組み立てられたナノマシーンは2つのナノ電極の間に捕捉される。マシーンがどの電極の間に捕捉されるかは問題ではないため、時間的に変化する空間的に独立したシグナルは、結合の存在と特異性を同定するであろう。
【0095】
多重検出を実施することも本発明の範囲内である。同じ試料中の異なる標的配列の多重検出は、異なる波長の蛍光発光(青、緑、橙、赤など)を産生する基本的シグナル発生ナノ構造体を使用して達成可能である。この場合検出システムは、標的が結合したシグナル発生ナノ構造体の振動を拾い上げるように設計されるのみではなく、異なる発光波長でも試料を観察するであろう;すなわち第1の標的配列は緑の点滅するシグナルとして現れ、第2の標的配列は赤の点滅するシグナルとして現れるであろう。ナノマシーンの空間的独立性を利用するために、不均一多重測定もまた行われる。線状の流体供給を、それぞれがナノ構造体の均一に分布した芝生(lawn)(均一に分布した色を有する)を有する平行チャネルに分けることにより、同じ基礎的色スキームを有しても多くの標的に多重測定が行われる(各平行チャネルで異なる芝生を有することにより)。
【0096】
さらに、古典的なマイクロアレイフォーマットのナノマシーンを使用することも本発明の範囲内である。所定の(x,y)座標に置かれた時、シグナル発生ナノ構造体は特異性、速度および感度に大いに有利であろう。PCR増幅と洗浄工程を実質的に排除する能力のために、ナノマシーンマイクロアレイの速度は有意に速いであろう。さらに本明細書に記載のシグナル処理法の利点は、標準的アレイの感度を大きく改良するであろう。従って本発明の利点は、古典的なフォーマットならびに本明細書に記載の新規測定法に広く適用される。
【0097】
標的検出
本明細書に記載の実施態様は、いかなる分子標的を検出するのにも有用である。さらに詳しくは本発明は、通常化学的または物理的手段により、互いに特異的に結合する分子結合対(すなわち、2つの分子)のメンバーの検出に関する。したがって、通常の免疫測定法の抗原と抗体の特異的結合対以外に、他の特異的結合対には、ビオチンとアビジン、炭水化物とレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクターと受容体分子、補助因子と酵素、薬剤と受容体、酵素インヒビターと酵素などがある。さらに結合対は、元々の特異的結合メンバーの類似体(例えば分析物−類似体)であるメンバーを含む。
【0098】
さらに本発明の方法は、特異的結合事象、例えばDNAハイブリダイゼーション、免疫化学反応、タンパク質/リガンド結合、薬物/受容体結合、および金属/リガンド結合などの検出に有用である。従って適当な標的には、例えばタンパク質、小分子、ペプチド、受容体、細胞、ウイルス、核酸、ホルモン、抗体、抗原、酵素、基質、リガンド、小分子などがある。
【0099】
本明細書において用語「標的」は、試料(例えば臨床試料)中の未知の標的のみではなく、分子結合対の任意のメンバーも示すことを理解されたい。従って標的は、任意の分子構造体(より大きな巨大分子構造体単独でもまたはその一部でも)でもよく、すなわち本発明は、分子結合対の任意の既知のメンバーに検出可能なシグナルを付与(これは標識と呼ぶこともある)するのに有用である。
【0100】
例えば標的は核酸でもよく、これは任意のポリマーヌクレオチド(すなわち「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」)であり、これは無傷の天然状態では、約10〜500,000またはそれ以上のヌクレオチドを有することができ、単離された状態では約20〜100,000またはそれ以上のヌクレオチド、通常約100〜20,000ヌクレオチド、およびより頻繁には200〜10,000ヌクレオチドを有することができる。例えば測定法は、細胞の種類、細胞形態、病理、細菌、微生物、ウイルスなどの特徴である決定された核酸配列を用いて、標的核酸を検出するように改変することができる。
【0101】
用語「核酸」は、2本鎖DNA、1本鎖DNA、任意の型のRNA(3重、2重または1本鎖RNAを含む)、アンチセンスDNAもしくはRNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、単一のヌクレオチド、キメラ、およびこれらの誘導体や類似体を含む。DNAが例示される時、他のタイプの核酸も適している。核酸は、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、およびウリジンからなるか、またはこれらの塩基の類似体もしくは誘導体からなる公知のデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドからなる。同様に、非リン酸骨格もしくはリン酸誘導体骨格を有する種々の他のオリゴヌクレオチド誘導体も使用される。例えば、通常のホスホジエステルオリゴヌクレオチド(POオリゴヌクレオチドと呼ぶ)は、DNA-およびRNA-特異的ヌクレアーゼに感受性であるため、切断に耐性のオリゴヌクレオチド(例えばリン酸基がホスホトリエステル、メチルホスホネート、またはホスホロチオエートに改変されているもの)が使用される(米国特許第5,218,088号参照)。
【0102】
核酸標的は天然に存在するものでもよく、生物学的試料からのさらなる精製は最小にして測定されるか、または天然の状態(特に、しばしば断片化を起こし、これがサイズが不均一な核酸集団からなる標的となる、多数のヌクレオチドを有するもの)から単離されてもよい。
【0103】
核酸標的には、精製または非精製型の任意の供給源からの核酸を含み、DNA(dsDNAおよびssDNA)とRNA(t-RNA、m-RNA、r-RNAを含む)、ミトコンドリアDNAとRNA、葉緑体DNAとRNA、DNA-RNAハイブリッド、またはこれらの混合物、遺伝子、染色体、プラスミド、(例えば細菌、酵母、ウイルス、ウイロイド、カビ、真菌、植物、動物、ヒトなどの微生物のような)生物学的試料のゲノム、およびこれらの断片などがある。ある実施態様において標的は、2本鎖DNA(dsDNA)又は1本鎖DNA(ssDNA)である。標的は、種々の生物学的試料から当業者に公知の方法により得ることができる。
【0104】
標的はまた抗体により認識することができ、この場合、標的はエピトープもしくは抗原、または抗原断片、抗体、および抗体断片(ここに抗免疫グロブリン抗体が結合する)などを含む任意の免疫反応性分子(モノクローナルとポリクローナルの両方)並びにこれらの複合体(組換えDNA分子により形成されるものを含む)である。本明細書において用語「ハプテン」は、抗体に結合することができるが、担体タンパク質に結合しない限りは抗体生成を誘発できない部分的抗原または非タンパク質結合メンバーを示す。
【0105】
上記したように標的は工業的または臨床的「試験試料」中に存在し、これは本明細書に記載の本発明の方法により試験することができる生物学的試料、並びにヒトや動物体液(例えば全血、血清、血漿、髄液、尿、リンパ液、および種々の呼吸器、小腸および尿生殖器の分泌物、涙、唾液、ミルク、白血球、骨髄腫など)、生物学的流体(例えば細胞培養物上清)、固定組織標本、および固定細胞標本がある。本明細書に記載のアッセイフォーマットで希釈し試験できる任意の物質は、本発明の範囲内であると企図される。
【0106】
応用
本明細書に記載のナノマシーンは、増強検出により促進される任意の状況または応用、特に分子もしくはナノスケールレベルからマクロスケールレベルへの情報の流れを促進するのに有用な応用で特に有用である。従って本発明のナノマシーンは、生体感知、分子生物学的および分子診断分析(プロテオミクス、ゲノミクス、薬剤スクリーニング/同定、遺伝子型判定、遺伝子発現、DNA診断薬(癌、遺伝病、感染性疾患)、感染性因子検出、生物テロ物質検出、およびヒトの同定と法医学的応用を実施するのに有用である。
【0107】
例えば本発明のナノマシーンは、公知の測定法(例えば血漿ベースの測定法)と同じ方法による単一の点突然変異、単一のヌクレオチド多型性(SNP)または短いタンデム繰り返し配列(STR)の遺伝子型判定、タクマン(Taqman)、PCR生成物の制限消化、熱量測定ミニ配列決定測定法、放射活性標識ベースの固相ミニ配列決定法、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、および1本鎖コンフォメーション多型(SSCP)に有用である。
【0108】
ナノマシーンはまた、ナノ光およびナノ電子情報移動応用、ならびにコンピュータまたはデータ保存応用に有用である。
【0109】
実施態様の例
以下の議論において、全体に図2〜8が参照される。これらの図は、後述されるように本発明の代替態様を示す。図2に示すように標的の例は核酸200(L型構造)であり、ナノ構造体の例202はナノ粒子、例えば標的に結合するそこに結合したオリゴヌクレオチド204(捕捉プローブ(Capture Probe))を有する量子ドット(黒丸、ナノ粒子(量子ドット))である。また図2にも示すように、関連する構造体206の例は、ナノ構造体に結合したオリゴヌクレオチドの結合部位の近傍にある標的に結合するそこに結合したオリゴヌクレオチド(消光物質/FRETプローブ)を有する蛍光消光物質(白丸)である。図の他の要素は以下の議論で説明される。
【0110】
かかるナノマシーンがハイブリダイゼーション分析(均一、不均一、または連続的均一/不均一)で使用され、エネルギーが入力される(適用されたパルスDC電界、熱励起、液体からの剪断力、磁気入力など)と、これらは標的DNA配列の性質を画定する振動シグナルを生成する。しかしこれらのナノマシーンは、本明細書の別のところで説明されるように、他の分子結合測定法で使用するように容易に改変することができることを理解されたい。
【0111】
図2:本発明のある実施態様において、ナノマシーンは基礎的光ナノ粒子202、1つ以上のナノメカニカル要素、および関連する構造体206(消光物質/FRETプローブ)からなる。この具体例では、基礎的ナノ構造体は、量子ドット、蛍光ポリマーナノ粒子、金属ナノ粒子、発色団タンパク質複合体などでもよく、記載のように標的DNA配列に相補的な捕捉プローブがそこに結合している。関連する構造体206は、消光物質のようなシグナル影響成分をそこに結合して有する、同じ標的DNA配列に相補的なポリヌクレオチド配列でもよい。記載のように標的に結合している時、関連する構造体は基礎的光ナノ構造体を消光、増強、または調節するように配置され、こうして時間的に変化する距離依存性相互作用を生成する。
【0112】
この例では、ヒンジ210はナノメカニカル要素(場がオンの時、消光物質/FRETプローブのオリゴヌクレオチド中の曲がりとして示される)として機能し、(上端に対して)プローブの下端の親和性を不安定化させることにより、および消光物質とナノ粒子との相互作用を最小にすることにより、関連する構造体206中に設計される。このヒンジ領域内の不一致は、相互作用の動力学に最大の影響を与える。不一致は好ましくは、消光物質から1〜15塩基対(好ましくは1〜5)以内、または5nm以内に配置される。エネルギーの入力(適用されたパルスDC電界、階段状DC電界、熱励起、液体からの剪断力、磁気入力など)を受けると、かかる構築体は周期的シグナルを出し、これが標的DNA配列の性質を画定する。
【0113】
図3:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2に記載した通りである。光はすべての方向に球状波300として放出される(ナノ粒子から外に向かう波状の線により示される)が、関連する構造体が、好ましくはシグナル変動を最大にするように、および直交平面中の構造体に応答指令信号を送るように整列されるように粒子を配向させるのに、場(すなわち、電気泳動または誘電泳動)を使用することができる。ヒンジ302はまた上記のように含まれる。
【0114】
図4:本発明の別の実施態様において、高次シグナル発生ナノ構築体は、図2について記載したように基礎的光ナノ構造体400と、ヒンジ402を有する関連する構造体404からなる。記載のようにナノ構造体400の領域(すなわちシグナル増強領域)は、複数のシグナル影響要素406に含まれる。シグナル影響要素406(五角形の構造で示される)は、2次ナノ構造体、消光分子、他の量子ドット、金属ナノ粒子、または基礎的光ナノ構造体を消光、反射、増強、または調節できる他の成分を含むことができる。シグナル影響要素はまた、全体のシグナル発生ナノ構築体上の荷電の非対称性(すなわち片側がより正で、片側がより負)を取り込むように使用することができる。しかしかかる荷電は、シグナル発生光ナノ構築体を静電作用により凝集させないように(配置)取り込まれる。図4は、標的DNA配列中の単一塩基差(SNP、突然変異など)のDNAハイブリダイゼーション分析のために設計されたかかるシグナル発生光ナノ構築体の一般的図を示す。これらの高次シグナル発生ナノ構築体がエネルギーの入力(適用されたパルスDC電界)を受けると、これらは指向性発光コーンとして記載される振動性指向性シグナル408を生成する。
【0115】
図5:本発明のさらに別の実施態様において、異なる高次シグナル発生ナノ構築体は基礎的光ナノ構造体500と、図2について上記で説明したヒンジ402を有する関連する構造体からなる。この実施態様においてシグナル影響要素504は、ナノレンズの形の金属ビーズ複合体で示される。金属ビーズは、外に向かう波状の線により示されるようにナノ粒子からの出力を劇的に増強する近接場励起中心を作り出すように機能する。ナノレンズの各半分が1対の2つの自己類似の金属ビーズ(灰色の丸)で示されるが、これらのレンズは1つ以上の金属粒子とともに作成することができることを理解されたい。図4で上記したように、これらの高次シグナル発生ナノ構築体がエネルギーの入力を受けると、これらは振動性指向性シグナルを発生する。
【0116】
図6:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2について記載したようにナノ構造体600と関連する構造体602からなる。関連する構造体にはまた、相互作用増幅要素604(白四角)が組み込まれる。相互作用増幅要素は、リンカー分子606(白四角とプローブとの間)に沿って張力を提供することによりナノ粒子から関連する構造体をはずすのを助ける。相互作用増幅要素604は、ナノマシーンへの場の効果の増幅を可能にするための、優先的電荷、流体の引力、磁気モーメントまたはこれらの任意の組合せを示すことができる。図6はこの一般的構築体を示す。
【0117】
図7:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2について記載したようにナノ構造体700と関連する構造体からなる。この実施態様の1つの変更態様は、長いリンカー(エネルギーの適用により開く、左のループ構造)の形の相互作用増幅要素702が、シグナルの経時変化を増加させるように、振動中に消光物質のより大きな置換を与える。この意味で相互作用増幅要素はナノメカニカル要素(ヒンジ)を増強させる。
【0118】
図8:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2について記載したように、基礎的光ナノ構造体800と関連する構造体802からなる高次シグナル発生ナノ構築体からなる。この実施態様においてナノ構築体は、シグナル影響要素804をそこに結合して有する基礎的ナノ構造体800からなる。関連する構造体802はまた、シグナル影響要素806をそこに結合して有する。この実施態様においてシグナル影響要素は金属ビーズで示される。金属ビーズは、関連する構造体の振動に応答してナノ構造体からの出力を劇的に増強する距離依存性近接場励起中心を作り出すように機能する。ナノレンズの各半分は単一の金属ビーズ(灰色の丸)で示されるが、これらのレンズは1つ以上の金属粒子で作成することができることを理解されたい。
【0119】
図9:この図は、質量/バネシステムの機械的類似体900(上半分)を線状ナノメカニカル要素902(下半分)に関連付ける。シグナル影響要素904(これは金属ナノ粒子などでもよい)はまた、ナノ構造体906が結合した基材として作用し、関連するナノ構造体908が集合する。プラスモンビーズ間のDNA 910は、シグナル影響要素間のバネのように作用する。これは、先に示したヒンジ構造とは対照的である。記載のようにDNAは標的912に結合し、これは「一致DNA」と呼ぶ。質量/バネ描写900は明らかに過剰な単純化であるが、ナノマシーンは、線状の質量/バネシステムに類似の優性固有振動モードを有するはずである。
【0120】
図10:この図は、電界閉じこめと焦点化照射源により励起された2つの50nmの金ナノ粒子1002の間の増強とを示すシミュレーションからの結果を示す。これらのビーズは、図9に示す金属ビーズ(904)と類似である。図の下にプロットされるのは、電界増強の電界断面1004である。この図は、ナノマシーンの長軸と直交する平面波源からの励起により電界上昇の有限要素モデルからの結果を示す。
【0121】
図11:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図2について記載したように、基礎的光ナノ構造体1100と関連する構造体1102(「尾」を有する小さな白丸)と2つのナノメカニカル要素からなる。この実施態様において、基礎的ナノ構造体1100は、蛍光中心と組合せた共鳴近接場キャビティとして作用する。前記実施態様からの1つの変更は、基礎的ナノ構造体1100の表面が、そこに結合した2つのシグナル影響要素1104により変更されることである。この実施態様においてシグナル影響要素1104は金属ビーズで示される。シグナル影響要素は、関連する構造体の振動に応答してナノ粒子からの出力を劇的に増強する距離依存性近接場励起中心を作り出すように機能する。従ってこの実施態様は、組み込まれた2つのナノメカニカル要素、すなわち、ヒンジとバネ(1つのシグナル影響要素1104から他のシグナル影響要素に延びるDNAは実質的に剛性の2本鎖構造であり、これはDNAの中心軸に沿って線状のバネ様挙動を示して、図9に示すようにナノメカニカル要素を形成する)を含むナノマシーンの例である。この構成は、検出されたシグナルの直交性を最大にするのを補助する。
【0122】
図12:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンはナノメカニカル要素を有する基礎的光ナノ構造体1200と関連する構造体1204からなる。基礎的光ナノ構造体は(図2について記載したように)、1つのシグナル影響領域中で(シグナル影響要素の近傍で)それに結合したシグナル影響要素1202を有し、関連する構造体1204に結合した第2のシグナル影響要素を有する。記載のように、シグナル影響要素は共鳴近接場キャビティとして作用する。この具体例においてシグナル影響要素は、好ましくは10〜50nm範囲の金属ナノ粒子からなる。ナノ構造体と関連する構造体は、近接場キャビティの裂け目内に位置し、カプリングするとFRET応答を発生する。標的(一致DNA 1208または不一致DNA 1210)のハイブリダイゼーションは、実質的に剛性の2本鎖構造体を作り出し、これはDNAの中心軸に沿って線状のバネ様挙動を示して、図9に示すナノメカニカル要素を形成する。シグナル影響要素は距離依存性近接場励起中心を生成し、これは組み立てられた質量/バネシステムの振動に応答してナノ構造体1200からの出力を劇的に増強する。
【0123】
近接場励起は距離とともにほとんど指数的に低下するため、キャビティの小さなたわみがナノ粒子からのシグナルを実質的に変化させるであろう。さらに、非特異的に結合した(すなわち不一致)DNAがナノマシーンにハイブリダイズしていると、不一致塩基1212は対応する一致2本鎖より多くの1本鎖特性を示すであろう。振動子のバネ定数はDNAの差により変化するため、一致および不一致DNA間の機械的振動の周波数差は、2本鎖特性のこの変化により影響を受けるであろう。ナノレンズは一対の自己類似金属ビーズとともに示されるが、これらのレンズは1つ以上の金属粒子を用いて作成できることを理解されたい。ナノマシーンがエネルギーの入力(上記したように)を受けると、これは、標的DNA配列の性質を同定する振動性シグナルを発生する。この実施態様において、システムは溶媒のバックグランド熱エネルギーにより駆動することができることを理解されたい。構造は、金属ビーズの質量を調整することにより、ある温度でのカプリングを最大にするために鋭い共鳴固有振動モードを有するように設計することができる。これらの構造は、kHz−MHz範囲で実質的な振動を発生する可能性がある。
【0124】
図13:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンはナノメカニカル要素を有する基礎的光ナノ構造体1300と関連する構造体1302(2つの金属ビーズはssDNAにより連結される)からなり、関連する構造体1302は共鳴近接場キャビティとして作用する(前の実施態様で記載されたシグナル増強要素の機能とは反対に)。この具体例において結合したナノ構造体は、好ましくは10〜100nm範囲の2つの金属ナノ粒子からなる。基礎的光ナノ構造体1300は上記図2に記載した通りである。この実施態様において基礎的光ナノ構造体1300は、近接場キャビティの裂け目内に結合される。標的のハイブリダイゼーションは、実質的に剛性の2本鎖構造(金属ビーズ間の2重線として示される)を作り出し、これは、図12で上記したようにDNAの中心軸に沿って線状のバネ様挙動を示す。さらにナノマシーンは図12に記載のように機能するであろう。金属ビーズは、距離依存性近接場励起中心を生成し、これは組み立てられた質量/バネシステムの振動に応答して、光活性のナノ粒子からの出力を劇的に増強する。ナノマシーンの他の性質は図13に記載した通りである。
【0125】
図14:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンはナノメカニカル要素を有する基礎的光ナノ構造体1400と関連する構造体1404からなる。(図2について記載したように)基礎的光ナノ構造体は、シグナル影響領域中で(シグナル影響要素の近傍)そこに結合した1つのシグナル影響要素1402と、関連する構造体1404に結合した第2のシグナル影響要素1406とを有する。明らかなようにシグナル影響要素は図12についての記載のように作用する。この実施態様ではシグナル影響要素1402と1406は、抗体1408(すなわち標的結合要素)の結合により機能化されている。ナノ構造体と関連する構造体とは、図12についての記載のように結合するとFRET応答を生じる。標的リガンド(白い菱形)の結合は、抗原/抗体複合体により形成される実質的に剛性の構造を作成し、これは複合体の中心軸に沿って線状のバネ様挙動を示す。この実施態様の他の特徴は、上記図12についての記載のものに似ている。図の下半分に示した非特異的に結合した複合体1412(他のナノ構造体または関連する構造体を含む)は、特異的に結合したナノマシーンとは異なる固有振動モードを含有するであろう。正しく作成されたナノメカニカルバネが欠如しているため、非特異的ナノマシーンは特異的に結合した構造体と異なる周波数スペクトルを与えるであろう。さらに非特異的に結合した複合体1412間の非効率的なプラズマ結合は、光増幅相互作用を低下させる。図12に記載の実施態様とともに、この実施態様は小分子、ペプチドまたはタンパク質検出用に設計されたナノマシーンの一般的図を示す。
【0126】
図15:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンは上記図14に記載したように、抗体1506を介してシグナル影響要素1504に結合したナノ構造体1500と関連する構造体1502とを有する。
【0127】
図16:本発明の別の実施態様において、ナノマシーンはナノメカニカル要素を有する基礎的光ナノ構造体1600と関連する構造体1604からなる。基礎的光ナノ構造体1600(図2について記載したように)は抗体に結合され、これは次に、シグナル影響要素1602に結合する。シグナル影響要素1602は、図14について記載したように抗体で機能化される。シグナル影響要素1602と関連する構造体1604は、共鳴近接場キャビティとして作用する。この具体例ではシグナル影響要素1602と関連する構造体1604は、好ましくは10〜100nm範囲の金属ナノ粒子である。
【0128】
この実施態様において、シグナル影響要素1602と関連する構造体1604はまた、非結合性柔軟性の化学リンカー(すなわち、図の上に波状の線で示すつなぎ構造体1608)により結合される。結合していない時、近接場キャビティはほとんどランダムに配向されている。標的に結合するとキャビティは整列して、今はよく知られているナノメカニカルバネを生成する。柔軟性の化学リンカーは、標的が単一のナノ粒子複合体にのみ拡散するように、サンドイッチ測定法の速度を加速するように機能する。つなぎ構造はまた、シグナル影響性として作用する。例えばつなぎの剛性がナノマシーンの機械的性質に寄与するため、つなぎの側鎖の浸透圧を調節することによってシステムの固有振動モードを改変することができる。ポリエチレングリコール(PEG)のような分岐鎖ポリアルキレンオキシド、親水性ポリマー、アミノ酸鎖、グリコサミノグリカン(GAG)鎖などは、機械的に調整可能なつなぎとして使用することができる。さらに脂肪酸をシグナル影響要素間のつなぎとして使用する時、エネルギー入力によりナノマシーンの機械的応答を調整してもよい。例えば溶媒の温度を改変することは、脂肪酸鎖の剛性に影響を与える。
【0129】
図17:本発明の別の実施態様においてナノマシーンは、単一の結合したシグナル影響要素1702を有する基礎的光ナノ構造体1700、1つ以上のナノメカニカル要素、および単一の結合したシグナル影響要素1706を有する関連する構造体1704からなる。このナノマシーンの他の特徴は、図14について上記した通りである。しかし図14とは対照的にシグナル影響要素1702と1706は、この構造がリガンド1710(これは中央の白い菱形で示される)を用いる1種のサンドイッチ測定法を形成するように、(図14で示した抗体の代わりに)ジグザグ線で示されるポリペプチド1708の結合により機能化される。ポリペプチドは、ナノマシーンの周波数応答を調整するためにバネ定数の正確な制御を可能にする。例えば、プロリンリッチな構造、アルファらせんまたはシートをシグナル影響要素に結合させてバネの剛性を調整することができる。図17は、かかるナノマシーンの一般的図を示す。
【0130】
多重検出を実施することも本発明の範囲内である。同じ試料中の異なる標的配列の多重検出は、異なる波長の蛍光発光(青、緑、橙、赤など)を産生する基本的シグナル発生ナノ構造体を使用して行われる。この場合検出システムは、標的が結合したシグナル発生ナノ構造体の振動を拾い上げるように設計されるのみではなく、異なる発光波長でも試料を観察するであろう;すなわち第1の標的配列は緑の点滅するシグナルとして現れ、第2の標的配列は赤の点滅するシグナルとして現れるであろう。ナノマシーンの空間的独立性を利用するために、不均一多重測定もまた行われる。線状の流体供給を、それぞれがナノ構造体の均一に分布した芝生(均一に分布した色を有する)を有する平行チャネルに分けることにより、(各平行チャネルで異なる芝生を有することにより)同じ基礎的色スキームを有しても多くの標的に多重測定が行われることができる。
【実施例】
【0131】
実施例1
振動性ナノスケールシグナルの生成
ナノスケールの振動シグナルを発生する能力は2つの基本成分を有する;システムをオフにすることとシステムをオンにすること。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)対について、これは赤から緑発光への遷移であり、緑の発光はフリーエネルギー導入の結果「オン」であり、赤の発光は緩和した「オフ」状態である。別の実施態様において、「オフ」状態の蛍光性ナノ粒子/消光物質システムは、近傍にある時、消光活性のために薄暗く、「オン」状態では明るい。本発明の好適な実施態様は、状態間のシグナル変化を最大にするであろう。好適な実施態様はまた、(システムの運動の緩和に関して)特異的に結合および非特異的に結合した分子間の周波数スペクトルの差を確立するであろう。
【0132】
図21に示すように、量子ドットの相補鎖、1塩基不一致と2塩基不一致の消光物質プローブを量子ドットに加えることは、量子ドットを「オフ」状態に置く能力を示す。DNAの51塩基対の捕捉鎖を有するストレプトアビジン誘導体化量子ドットを、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中のQSY-7消光物質で修飾した20bpプローブにハイブリダイズさせた。すべての3つのタイプのプローブが量子ドットの捕捉配列に結合することに注意されたい;分子プローブの特異性の本質的欠如を示している。
【0133】
以下は図22に示す(前;白四角):[a] 対照;酢酸セルロース膜上にスピンコーティングされているセファロースビーズに包埋されたポリマー性ビオチンに結合した捕捉DNAを用いてストレプトアビジン誘導体化した量子ドットの標準化UV透過レベル(明るい)。[b,c] [a]と同等であるが、2bpの不一致20量体QSY-7プローブを加えた消光した量子ドットシステム(暗い、暗い)。(後;黒四角)[a] 標準化対照(明るい)。[b] ストリンジェンシー対照;低塩緩衝液中に約5分間置いた消光したシステム(暗い)。[c] 実験系;ナノ構築体を含有する膜を横断電界中に約1分間置くと、対照膜と比較して消光物質が有意に除去されていることが明らかである(暗い)。
【0134】
図23に示すように、多種類のプローブがナノ粒子システムに結合し、システムにエネルギーを連結させて消光物質相互作用に影響を与えることが可能であることがいったん確立されると、示差的周波数応答の問題が重要になる。3つの異なる種類のプローブについての量子ドット/QSY-7システムの時間応答を図23に示す。時間t=0では、一定の励起l=350nm下で量子ドットナノ構築体を含有するキュベット中に、多量の消光プローブが導入される。これらの曲線はナノ構築体の集団を示すが、これらは、個々の構成分子の結合速度を示す。これらのデータは、システムへのフリーエネルギーの繰り返し導入が、非常に異なる周波数スペクトルを与えることを示す。これはまた、異なる入力周波数でシステムを駆動すると、緩和速度で限定される異なる応答帯域を確立することができることを示す。
【0135】
実施例2
複合試料中の核酸のナノ粒子検出
増幅していない核酸標的の同定は、既存の測定法を使用してはこれまでほとんど不可能であった。非常に低レベルの蛍光(単一の分子蛍光物質または個々の蛍光性ナノ/ミクロ粒子)を検出することは可能であるが、標的DNAをあらかじめ増幅することなく低コピー数DNA/RNA標的を検出することを可能にする必要な速度、特異性、選択性、および感度を有する測定法はほとんど無い。さらにほとんどの蛍光システム(分子ビーコンプローブ、FRETプローブなど)は、PCR増幅したDNA標的を検出するのに使用される。すなわち、検出前にPCRを使用することなく限定量の標的核酸を検出する方法に対するニーズが存在する。
【0136】
ある実施態様において試料中の標的核酸分子を同定する方法が提供される。この方法は、標的核酸分子に、シグナル発生要素を含む第1の核酸プローブを接触させ、標的核酸にシグナル阻害要素を含む第2の核酸プローブを接触させることを含む。第2のプローブは、シグナル阻害要素がシグナル発生要素の近傍にあり、こうしてシグナル発生要素に関連するシグナルを低下させるように、標的核酸分子にハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、標的核酸とハイブリダイズしたプローブにより生成される核酸複合体にパルス電界を適用する。パルス電界は、シグナル阻害要素がシグナル発生要素に関連するシグナルを低下させる能力を周期的に妨害し、こうして振動するシグナルを生成する。かかる振動シグナルは、当業者に公知の無数の方法により検出可能である。
【0137】
以下の議論は以下の図を参照する:
【0138】
図24は、電界による蛍光振動の従来の測定システムを示す。電界状態間の循環は、DNAプローブに結合したドナーとアクセプター間のFRETを妨害するはずである。空間的検出と確定的挙動の組合せは、測定法の特異性を大幅に上昇させる。
【0139】
図25は、振動する蛍光シグナルを発生するより大きな蛍光性ナノ粒子−標的DNA−消光プローブ複合体(すなわち「ナノマシーン」)の例を示す。
【0140】
図26は、蛍光振動作用の例を示すグラフである。約140秒で電界が活性化され、これはDNAから正荷電臭化エチジウムを除去する。約210秒で、電界は脱活性化され、一次の工程応答回復が観察される。動的挙動の各行程は、指数曲線(これは線状のシステム挙動を示す)により充分性状解析される。
【0141】
図27は、周期的電界入力下のシステムの上記振動挙動を示すグラフである。図27では電界強度は図26より遙かに高く、これがより速い低下の原因である。
【0142】
図24に示すように、シグナル発生要素は、蛍光エネルギー移動(FRET)のためのドナー基を含む蛍光標識物でもよい。シグナル阻害要素は、蛍光エネルギー移動(FRET)のためのアクセプター基を含む蛍光消光物質でもよい。別の実施態様において、シグナル阻害要素の代わりにシグナル改変第2プローブが使用され、こうして発生するシグナルを阻害するのではなく変化させる。かかる実施態様においてシグナル発生要素は、(図25に示すように)シグナル改変要素として作用する蛍光エネルギー移動(FRET)のためのアクセプター基に結合する蛍光ナノ粒子でもよい。
【0143】
1つの態様において電界の適用は、シグナル発生要素とシグナル阻害要素との距離の変化を引き起こす。標的核酸分子または核酸プローブはDNAでもRNAでもよい。
【0144】
1つの態様において標的核酸分子は、病的状態(例えば癌)、感染性生物、または遺伝的変化に関連してもよい。パルス電界は交流でも直流でもよい。シグナル発生要素はナノ粒子(例えば、ポリマービーズ、量子ドット、または金粒子)でもよい。
【0145】
別の態様において試料は固体支持体に結合する。固体支持体は、アレイ(例えばマイクロアレイ)でもよい。
【0146】
別の実施態様において、本発明の方法により生成される診断プロフィールが提供される。かかるプロフィールは、そこから試料が得られる対象の野生型状態、病的状態、遺伝的変化と関連することができる。
【0147】
従って本発明の1つの実施態様は、複雑な試料中の非常に低レベルの標的DNA/RNA配列を迅速に検出するために蛍光性ナノ粒子(すなわち、ポリマービーズ、量子ドット、金粒子)および消光(蛍光性)プローブを使用することができる新規電界機構(均一または不均一フォーマット、マイクロアレイ)を含む。この技術の1つの例は、蛍光性ナノ粒子と消光性DNAプローブ(これは特異的標的DNA配列に選択的にハイブリダイズする)の使用を含む。いったんハイブリダイズされると、蛍光性ナノ粒子−標的DNA−消光プローブの組合せは、蛍光シグナルを低下させるであろう。パルス電界(DCまたはAC)を試料に適用すると、蛍光性ナノ粒子−標的DNA−消光プローブ複合体が変化し、適用された電界の直接の結果として振動する蛍光シグナルを発生する。これらの振動する蛍光ナノ粒子複合体は、空間的に分解され、数千の非ハイブリダイズもしくは部分的ハイブリダイズ蛍光性ナノ粒子の中から、蛍光イメージングシステムと時間的シグナル処理法を使用して容易に検出することができる。均一ハイブリダイゼーション測定フォーマットでは多数の蛍光性ナノ粒子と消光プローブを使用できるという事実は、ハイブリダイゼーション速度が大幅に加速されることを意味する。すなわちこの新規機構は、標的DNAをあらかじめ増幅する必要無く、DNAハイブリダイゼーション測定法を実施するための速度、高い感度および特異性を提供する。
【0148】
別の実施態様において本発明の方法により作成される診断プロフィールが提供される。かかるプロフィールは、遺伝的野生型、変異体またはヘテロ接合性状態、または他の多型性遺伝マーカー、遺伝子発現レベル、または感染性因子、タンパク質、リガンド、抗体、抗原、または生体マーカーの存在と関連付けることができる。別の態様において試料は細胞支持体に結合する。細胞支持体はインサイチューハイブリダイゼーションでもよい。別の態様において試料は固体支持体に結合する。固体支持体は、アレイ、例えばマイクロアレイでもよい。
【0149】
本発明は、あらかじめ増幅することなく真に低レベルの標的を迅速に検出することを可能にする蛍光的方法を提供する。詳しくは本発明は、ある測定法で限定量の標的核酸分子を非標的配列から空間的に分離することにより、同定する機会を提供する。パルス電界の適用がハイブリダイズしたプローブと結合した蛍光性粒子を「点滅」させる(すなわち、蛍光性状態から非蛍光性状態に振動する)ため、基本的には標的分子を同定することができる。蛍光の大きな変化を定量するよりは、蛍光性粒子−標的核酸分子−消光プローブ複合体の振動する消光および発光を、非常に多数の他の蛍光性粒子を有する場の中でさえ同定することができる。例えば本分析は、天文学で膨大な数の他の星から、振動する光強度(点滅)を示す「パルサーまたは中性子星」が見つかる方法に少し似ている。
【0150】
上記したように、ほとんどすべての現在の均一(溶液中)および不均一(固体支持体、ドットブロット、DNAマイクロアレイ、バイオチップなど)DNAハイブリダイゼーション測定法は、標的DNAの前増幅を必要とする。ほとんどのフルオロフォア、FRETシステム、分子ビーコン、蛍光ナノ粒子、金粒子および新しい量子ドットの使用が、増幅されたDNA配列を検出するのに使用される。
【0151】
本発明者は、1本鎖DNAと正荷電したフルオロフォア(臭化エチジウム)が、高DC電界の直接の影響下でも再現性のある一次の線形システム挙動を示すことを証明した(図26と27)。他の線形システムへの拡張は容易であり、すなわちシステムを帯域制限しないように適切な周波数の周期的シグナルがあれば、我々は実験の結果を線形システム理論により予測することができる。
【0152】
本発明はナノ粒子の使用を包含する。ナノ粒子には米国特許第6,344,272号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されたナノシェル、米国特許第5,620,584 272号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示された金属コロイド、米国特許第5,739,376号;同第6,162,926号;同第5,994,410号(これらのすべては参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されたフラーレンおよび誘導体化フラーレン、ならびに米国特許第6,183,714号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示された単層ナノチューブを含むナノチューブ(これも誘導体化されてよい)がある。
【0153】
ある例では、p53 軸索8遺伝子の変異を同定するために、DNA消光プローブと蛍光プローブ、標的DNA配列、およびプライマーが得られる。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズした複合体中の蛍光振動を発生するために電界が使用される。「パルス」シグナルはハイブリダイゼーションの指標である。
【0154】
本発明はまた、蛍光性ナノ粒子(量子ドット)ベースのシステムを提供する。本発明の追加の実施態様は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)複合体、時間分解ランタニド複合体、光を反射するために金または他の粒子を回転もしくはスピンさせるためのDCおよびAC電界の使用、磁性ナノ粒子の使用、および他の生体親和性物質(例えばタンパク質、抗体など)の使用を含む。本発明はまた、広範囲のコンピュータを使用する応用またはデータ保存応用を有するナノ光機構と装置の作成への応用を有する。
【0155】
上記実施例は、組成物の好適な実施態様をいかに作成し使用するかを当業者に完全に開示および説明するために提供されているが、本発明者が本発明であるとする範囲を限定するものではない。当業者に明らかな本発明を実施するための上記モードの改変は、以下の請求項の範囲に含まれると考えられる。本明細書で引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願が、かかる各刊行物、特許、および特許出願が、参照することにより本明細書に具体的かつ個々に組み込まれるかのように、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、本発明のナノスケール変換システム(すなわちナノマシーン)のブロック図を示す。
【図2】図2は、本発明のナノマシーンの基礎的実施態様を示す。
【図3】図3は、球面波としてすべての方向に出ている光を示す図2のナノマシーンを示す。
【図4】図4は、ナノ粒子の表面上のシグナル影響領域に結合したシグナル影響要素を有するナノ構造体を利用するナノマシーンを示す。
【図5】図5は、ナノレンズとして機能するシグナル影響要素を用いるナノマシーンを示す。
【図6】図6は、消光物質/FRETプローブに結合した相互作用増幅要素(白四角)を用いるナノマシーンを示す。
【図7】図7は、「ヒンジ」として機能する消光物質/FRETプローブ上のループ構造である、変位増幅要素を用いるナノマシーンを示す。
【図8】図8は、それぞれがそこに結合した金属ナノ粒子(灰色の丸)のようなシグナル影響要素を有するナノ構造体および関連する構造体を有するナノマシーンを示す。
【図9】図9は、線状のナノメカニカル要素の機械的類似体を示す。
【図10】図10は、図9に示すプラスモンビーズのような50nmの金ナノ粒子間の電界閉じこめと増強とをシミュレートする刺激を示す。
【図11】図11は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図12】図12は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図13】図13は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図14】図14は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図15】図15は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図16】図16は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図17】図17は、「実施態様例」に記載のように本発明のナノマシーンのさらに別の実施態様を示す。
【図18】図18は、ナノ構造体の場からの情報の流れを示す。
【図19】図19は、金属ナノ粒子の裂け目内でコンピューターで観察される電界濃度の3オーダーの上昇を示す。
【図20】図20は、蛍光インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ(FISH)におけるナノマシーンの場からの情報の流れを示す。
【図21】図21は、相補的な、ナノ構造体(量子ドット)への1塩基ミスマッチ(mismatch)の、および2塩基ミスマッチの関連する構造体(消光プローブ)の添加を示し、量子ドットを「オフ」状態に置く能力を示す。
【図22】図22は、本発明の代表的実施態様の電界作用を示す。
【図23】図23は、相補体、1塩基対不一致、および2塩基対不一致とを区別する能力を示す。
【図24】図24は、実施例2で説明される。
【図25】図25は、実施例2で説明される。
【図26】図26は、実施例2で説明される。
【図27】図27は、実施例2で説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ構造体および関連する構造体を標的に結合させ、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の相互作用を可逆的に変化させることを含む方法。
【請求項2】
前記可逆的変化が適用されるエネルギーに応答する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記適用されるエネルギーが電界である、請求項2の方法。
【請求項4】
前記適用されるエネルギーがDC電界である、請求項2の方法。
【請求項5】
前記適用されるエネルギーがAC電界である、請求項2の方法。
【請求項6】
前記適用されるエネルギーが容量電界である、請求項2の方法。
【請求項7】
前記適用されるエネルギーが熱である、請求項2の方法。
【請求項8】
前記適用されるエネルギーが電気である、請求項2の方法。
【請求項9】
前記適用されるエネルギーが化学的である、請求項2の方法。
【請求項10】
前記化学的エネルギーがアデノシン三リン酸(ATP)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)である、請求項9の方法。
【請求項11】
前記適用されるエネルギーが光量子性である、請求項2の方法。
【請求項12】
前記適用されるエネルギーが磁性である、請求項2の方法。
【請求項13】
前記適用されるエネルギーが動力学的である、請求項2の方法。
【請求項14】
前記適用されるエネルギーが音響である、請求項2の方法。
【請求項15】
前記適用されるエネルギーが超音波である、請求項14の方法。
【請求項16】
前記適用されるエネルギーがマイクロ波である、請求項2の方法。
【請求項17】
前記適用されるエネルギーが放射線である、請求項2の方法。
【請求項18】
前記可逆的変化が変形である、請求項1の方法。
【請求項19】
前記変形が弾性、非弾性、または可塑性変形である、請求項18の方法。
【請求項20】
前記可逆的変化が角運動である、請求項1の方法。
【請求項21】
前記可逆的変化が分離距離である、請求項1の方法。
【請求項22】
前記可逆的変化が回転である、請求項1の方法。
【請求項23】
前記可逆的変化が直線変位である、請求項1の方法。
【請求項24】
前記可逆的変化がらせん運動である、請求項1の方法。
【請求項25】
前記可逆的変化が剪断力に対する応答である、請求項1の方法。
【請求項26】
前記可逆的変化が圧力に対する応答である、請求項1の方法。
【請求項27】
前記相互作用が共鳴エネルギーである、請求項1の方法。
【請求項28】
前記共鳴エネルギーが双極子カプリングである、請求項27の方法。
【請求項29】
前記共鳴エネルギーが4極子カプリングである、請求項27の方法。
【請求項30】
前記共鳴エネルギーが蛍光共鳴エネルギー移動である、請求項27の方法。
【請求項31】
前記相互作用がプラスモンである、請求項1の方法。
【請求項32】
前記相互作用が近接場カプリングである、請求項1の方法。
【請求項33】
前記相互作用が光量子性である、請求項1の方法。
【請求項34】
前記相互作用が容量性である、請求項1の方法。
【請求項35】
前記相互作用が磁性である、請求項1の方法。
【請求項36】
前記相互作用が静電性である、請求項1の方法。
【請求項37】
前記方法が、前記相互作用から生じる変化した特性を検出することをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項38】
前記変化した特性が発光の変化である、請求項37の方法。
【請求項39】
前記変化した特性が蛍光の変化である、請求項37の方法。
【請求項40】
前記変化した特性が光学的性質の変化である、請求項37の方法。
【請求項41】
前記変化した特性が色である、請求項37の方法。
【請求項42】
前記変化した特性が磁界である、請求項37の方法。
【請求項43】
前記変化した特性が電界である、請求項37の方法。
【請求項44】
前記変化した特性が表面増強ラマン分散(SERS)またはラマンスペクトルである、請求項37の方法。
【請求項45】
前記ナノ構造体、前記関連する構造体、および前記標的の間の前記相互作用を可逆的に変化させることが空間的に独立している、請求項1の方法。
【請求項46】
前記相互作用が溶液中で起きる、請求項45の方法。
【請求項47】
前記相互作用が予めの情報のない固定された位置で起きる、請求項45の方法。
【請求項48】
前記相互作用が均一測定法で起きる、請求項45の方法。
【請求項49】
前記相互作用が不均一測定法で起きる、請求項45の方法。
【請求項50】
前記相互作用がインサイチュ測定法で起きる、請求項45の方法。
【請求項51】
前記相互作用が予めの情報のある固定された位置で起きる、請求項45の方法。
【請求項52】
前記方法がマイクロアレイまたはナノアレイ上で行われる、請求項51の方法。
【請求項53】
ナノ構造体と関連する構造体とが互いにおよび標的と可逆的に相互作用するように改変される、ナノ構造体および関連する構造体を含む装置。
【請求項54】
前記ナノ構造体が量子ドットである、請求項53の装置。
【請求項55】
前記ナノ構造体が半導体ナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項56】
前記ナノ構造体がフォトニック結晶である、請求項53の装置。
【請求項57】
前記ナノ構造体が金属ナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項58】
前記ナノ構造体がセラミックナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項59】
前記ナノ構造体がポリマーナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項60】
前記ナノ構造体がナノチューブである、請求項53の装置。
【請求項61】
前記関連する構造体が量子ドットである、請求項53の装置。
【請求項62】
前記関連する構造体が半導体ナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項63】
前記関連する構造体がフォトニック結晶である、請求項53の装置。
【請求項64】
前記関連する構造体が金属ナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項65】
前記関連する構造体がセラミックナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項66】
前記関連する構造体がポリマーナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項67】
前記関連する構造体がナノチューブである、請求項53の装置。
【請求項68】
前記関連する構造体が、フルオロフォア、消光物質、発色団、フィコビリンタンパク質、発光物質、蛍光タンパク質をさらに含む、請求項53の装置。
【請求項69】
前記装置が相互作用増幅要素をさらに含む、請求項53の装置。
【請求項70】
前記相互作用増幅要素が前記ナノ構造体に結合している、請求項69の装置。
【請求項71】
前記相互作用増幅要素が前記関連する構造体に結合している、請求項69の装置。
【請求項72】
前記相互作用増幅要素が圧力応答要素である、請求項69の装置。
【請求項73】
前記相互作用増幅要素が変位増幅要素である、請求項69の装置。
【請求項74】
前記ナノ構造体が蛍光ドナーをそこに結合して有し、前記関連する構造体が蛍光消光物質をさらに含む、請求項53の装置。
【請求項75】
前記ナノ構造体と前記関連する構造体とが、蛍光エネルギー移動(FRET)対の個々のメンバーをそこに結合して有する、請求項53の装置。
【請求項76】
前記ナノ構造体と前記関連する構造体とが互いにおよび標的と可逆的かつ空間的に独立して相互作用するように改変される、請求項53の装置。
【請求項77】
前記ナノ構造体と前記関連する構造体とが、溶液中で互いにおよび標的と可逆的かつ空間的に独立して相互作用するように改変される、請求項76の装置。
【請求項78】
前記ナノ構造体と前記関連する構造体とが、表面上で互いにおよび標的と可逆的かつ空間的に独立して相互作用するように改変される、請求項76の装置。
【請求項79】
前記表面がマイクロアレイまたはナノアレイ上である、請求項78の装置。
【請求項80】
以下を含んでなる方法:
a. ナノ構造体、関連する構造体、および標的を提供し;そして
b. 前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的により発生される、時間的に変化する空間的に独立した情報シグナルを検出する。
【請求項81】
前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的に駆動力を適用することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項82】
前記駆動力が光量子性である、請求項81の方法。
【請求項83】
前記駆動力が電気である、請求項81の方法。
【請求項84】
前記駆動力が熱である、請求項81の方法。
【請求項85】
前記駆動力が磁性である、請求項81の方法。
【請求項86】
前記駆動力が周期的である、請求項81の方法。
【請求項87】
前記駆動力がインパルスの連続である、請求項81の方法。
【請求項88】
前記駆動力がインパルスである、請求項81の方法。
【請求項89】
前記駆動力が一定である、請求項81の方法。
【請求項90】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの蛍光の変化である、請求項80の方法。
【請求項91】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの色の変化である、請求項80の方法。
【請求項92】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの温度の変化である、請求項80の方法。
【請求項93】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの電界強度の変化である、請求項80の方法。
【請求項94】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの磁界強度の変化である、請求項80の方法。
【請求項95】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの特性の周波数の変化である、請求項80の方法。
【請求項96】
分子結合事象を分類するために、前記検出された情報シグナルを処理することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項97】
神経ネットワークを利用して前記検出された情報シグナルを処理することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項98】
Bayesianネットワークを利用して前記検出された情報シグナルを処理することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項99】
MAP検出を利用して前記検出された情報シグナルを処理することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項100】
情報シグナルを含むナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的に変化する相互作用を発生する駆動力を適用することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項101】
以下を含む標的を検出するためのシステム:
a. ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的に変化する相互作用を発生するように改変した前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的;
b. 前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せにエネルギーを付与するように改変され、こうして前記可逆的に変化する相互作用を発生させる入力供給源;および
c. 前記可逆的に変化する相互作用により生成される変換出力を検出するように構成された検出器。
【請求項102】
前記付与されるエネルギーが光量子性である、請求項101のシステム。
【請求項103】
前記付与されるエネルギーが電気である、請求項101のシステム。
【請求項104】
前記付与されるエネルギーが熱である、請求項101のシステム。
【請求項105】
前記付与されるエネルギーが磁性である、請求項101のシステム。
【請求項106】
前記付与されるエネルギーが周期的である、請求項101のシステム。
【請求項107】
前記付与されるエネルギーがインパルスの連続である、請求項101のシステム。
【請求項108】
前記付与されるエネルギーがインパルスである、請求項101のシステム。
【請求項109】
前記付与されるエネルギーが一定である、請求項101のシステム。
【請求項110】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の蛍光の変化である、請求項101のシステム。
【請求項111】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の色の変化である、請求項101のシステム。
【請求項112】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の温度の変化である、請求項101のシステム。
【請求項113】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の特性の周波数の変化である、請求項101のシステム。
【請求項114】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の電界強度の変化である、請求項101のシステム。
【請求項115】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の磁界強度の変化である、請求項101のシステム。
【請求項116】
少なくとも1つの標的結合領域と少なくとも1つのシグナル影響領域とを含むシグナル発生ナノ構造体であって、前記シグナル影響領域が、前記ナノ構造体のシグナル発生特性を変化させるシグナル影響要素をそこに結合して有し、前記標的結合領域が所定の標的に対して選択的である、上記ナノ構造体。
【請求項117】
前記シグナル影響要素がシグナル阻害要素である、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項118】
前記シグナル発生ナノ構造体が蛍光性であり、前記シグナル阻害要素が蛍光消光物質である、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項119】
前記標的結合領域と前記シグナル影響領域が、前記シグナル発生ナノ構造体の表面で非対称にパターン化されている、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項120】
前記ナノ構造体が1つのみの標的結合領域をさらに含む、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項121】
前記シグナル影響要素が金属ナノ粒子である、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項122】
ナノ構造体のシグナル発生特性を変化させるシグナル影響要素をそこに結合して有する少なくとも1つのシグナル影響領域を有するシグナル発生ナノ構造体であって、前記シグナル影響領域が、標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの標的結合領域をさらに含み、前記標的結合要素が所定の標的に対して選択的である、上記ナノ構造体。
【請求項123】
前記シグナル影響要素が金属ナノ粒子である、請求項121のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項124】
前記標的結合領域が、そこに結合した単一の標的結合要素をさらに含む、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項125】
前記標的結合要素がオリゴヌクレオチドである、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項126】
前記標的結合要素が抗体である、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項127】
前記標的結合要素がポリペプチドである、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項128】
前記シグナル発生ナノ構造体と前記シグナル影響要素が前記標的結合要素を介して結合している、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項129】
第1のシグナル影響要素をそこに結合して有する請求項122のシグナル発生ナノ構造体であって、上記シグナル影響要素が少なくとも1つの標的結合領域をさらに含み、前記シグナル発生ナノ構造体が、そこに結合した第2のシグナル影響要素をさらに含む、上記シグナル発生ナノ構造体。
【請求項130】
前記第1および第2のシグナル影響要素が金属ナノ粒子である、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項131】
以下を含むキット:
a. 第1の金属ナノ粒子をそこに結合して有する第1のシグナル発生ナノ構造体(ここで上記第1の金属ナノ粒子が、第1の標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの第1の標的結合領域を含有し、かつここで前記第1の標的結合要素が所定の標的に対して選択的である);および
b. 第2の標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの第2の標的結合領域を有する第2の金属ナノ粒子(ここで上記第2の標的結合要素が所定の標的に対して選択的である)。
【請求項132】
前記第1および第2の標的結合要素が抗体である、請求項131のキット。
【請求項133】
前記第1および第2の標的結合要素がオリゴヌクレオチドである、請求項131のキット。
【請求項134】
前記第1および第2の標的結合要素がポリペプチドである、請求項131のキット。
【請求項135】
前記第1および第2の標的結合要素がつなぎ基を介して結合している、請求項131のキット。
【請求項136】
前記つなぎ基が合成ポリマー、1本鎖核酸、脂肪酸、グリコサミノグリカン、またはポリペプチドである、請求項131のキット。
【請求項137】
以下の工程を含む方法:
a. ナノ構造体を標的に結合させる工程;
b. 関連する構造体を標的に結合させる工程;
c. 前記ナノ構造体、前記関連する構造体、および前記標的間の相互作用を可逆的に変化させて情報を発生させる工程;および
d. 前記情報を検出する工程。
【請求項138】
前記標的が核酸である、請求項137の方法。
【請求項139】
前記標的がタンパク質である、請求項137の方法。
【請求項140】
前記標的が無機表面である、請求項137の方法。
【請求項141】
前記標的がゲノム核酸である、請求項137の方法。
【請求項142】
生物学的試料中の標的を検出することをさらに含む、請求項137の方法。
【請求項143】
前記生物学的試料が顕微鏡スライド上の細胞または組織試料である、請求項137の方法。
【請求項144】
前記標的が核酸である、請求項143の方法。
【請求項145】
請求項137の方法であって、前記ナノ構造体が、所定の標的に対して選択的である標的結合要素をそこに結合して有する第1の標的結合領域をさらに有し;ここで、前記関連する構造体が、同じ所定の標的に対して選択的である第2の標的結合要素をそこに結合して有する第2の標的結合領域をさらに含んでなる、上記方法。
【請求項146】
前記第1および第2の標的結合要素がオリゴヌクレオチドである、請求項145の方法。
【請求項147】
前記標的が抗原であり、前記第1および第2の標的結合要素が、前記抗原に結合する抗体である、請求項137の方法。
【請求項148】
溶液中で実施できるように改変され、工程c.が前記溶液から前記ナノ構造体または前記関連する構造体を取り出すことなく行われる、請求項137の方法。
【請求項149】
シグナル発生要素と標的結合要素とをそこに結合して有する金属ナノ粒子。
【請求項150】
前記シグナル発生要素が量子ドットである、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項151】
前記シグナル発生要素がフルオロフォアである、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項152】
前記シグナル発生要素がFRETドナーまたはFRETアクセプターである、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項153】
前記標的結合要素が抗体である、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項154】
前記標的結合要素が核酸である、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項155】
前記標的結合要素がポリペプチドである、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項156】
以下を含む、試料中の標的核酸分子を同定する方法:
a. 上記標的核酸分子に、シグナル発生要素を含む第1の核酸プローブを接触させる工程、ここで上記第1の核酸プローブが上記標的分子にハイブリダイズする;
b. 上記標的核酸に、シグナル阻害要素を含む第2の核酸プローブを接触させる工程、ここで上記第2のプローブは、シグナル阻害要素が上記シグナル発生要素の近傍にあり、こうして上記シグナル発生要素に関連するシグナルを低下させるように、上記標的核酸分子にハイブリダイズする;
c. パルス電界を、上記標的核酸とハイブリダイズしたプローブとにより生成される核酸複合体に適用する工程、ここで上記パルス電界は、上記シグナル阻害要素が上記シグナル発生要素に関連する上記シグナルを低下させる能力を周期的に妨害し、こうして振動するシグナルを生成する;および
d. 上記振動するシグナルを検出する工程。
【請求項157】
前記シグナル発生要素が蛍光標識物である、請求項156の方法。
【請求項158】
前記シグナル阻害要素が蛍光消光物質である、請求項156の方法。
【請求項159】
前記蛍光標識物が、蛍光エネルギー移動(FRET)のドナー基を含む、請求項157の方法。
【請求項160】
前記蛍光消光物質が、蛍光エネルギー移動(FRET)のアクセプター基を含む、請求項158の方法。
【請求項161】
前記電界の適用が、前記シグナル発生要素と前記シグナル阻害要素との距離の変化を引き起こす、請求項156の方法。
【請求項162】
前記標的核酸分子がDNAまたはRNAである、請求項156の方法。
【請求項163】
前記第1の核酸プローブがDNAまたはRNAである、請求項156の方法。
【請求項164】
前記第2の核酸プローブがDNAまたはRNAである、請求項156の方法。
【請求項165】
前記標的核酸分子が病的状態または遺伝的変化に関連する、請求項156の方法。
【請求項166】
前記試料が複数の非標的核酸分子を含む、請求項156の方法。
【請求項167】
前記試料が複数の標的核酸分子を含む、請求項156の方法。
【請求項168】
前記パルス電界が交流または直流である、請求項156の方法。
【請求項169】
前記シグナル発生要素がナノ粒子である、請求項156の方法。
【請求項170】
前記ナノ粒子が、ポリマービーズ、量子ドット、および金粒子よりなる群から選択される、請求項169の方法。
【請求項171】
前記試料が固体支持体と結合している、請求項156の方法。
【請求項172】
前記固体支持体がアレイである、請求項171の方法。
【請求項173】
前記アレイがマイクロアレイである、請求項172の方法。
【請求項174】
前記標的核酸分子を増幅することをさらに含む、請求項156の方法。
【請求項175】
請求項156の方法により生成される診断プロフィール。
【請求項176】
前記診断プロフィールが、野生型状態、病的状態、または遺伝的変化と関連する、請求項175の診断プロフィール。
【請求項1】
ナノ構造体および関連する構造体を標的に結合させ、ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の相互作用を可逆的に変化させることを含む方法。
【請求項2】
前記可逆的変化が適用されるエネルギーに応答する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記適用されるエネルギーが電界である、請求項2の方法。
【請求項4】
前記適用されるエネルギーがDC電界である、請求項2の方法。
【請求項5】
前記適用されるエネルギーがAC電界である、請求項2の方法。
【請求項6】
前記適用されるエネルギーが容量電界である、請求項2の方法。
【請求項7】
前記適用されるエネルギーが熱である、請求項2の方法。
【請求項8】
前記適用されるエネルギーが電気である、請求項2の方法。
【請求項9】
前記適用されるエネルギーが化学的である、請求項2の方法。
【請求項10】
前記化学的エネルギーがアデノシン三リン酸(ATP)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)である、請求項9の方法。
【請求項11】
前記適用されるエネルギーが光量子性である、請求項2の方法。
【請求項12】
前記適用されるエネルギーが磁性である、請求項2の方法。
【請求項13】
前記適用されるエネルギーが動力学的である、請求項2の方法。
【請求項14】
前記適用されるエネルギーが音響である、請求項2の方法。
【請求項15】
前記適用されるエネルギーが超音波である、請求項14の方法。
【請求項16】
前記適用されるエネルギーがマイクロ波である、請求項2の方法。
【請求項17】
前記適用されるエネルギーが放射線である、請求項2の方法。
【請求項18】
前記可逆的変化が変形である、請求項1の方法。
【請求項19】
前記変形が弾性、非弾性、または可塑性変形である、請求項18の方法。
【請求項20】
前記可逆的変化が角運動である、請求項1の方法。
【請求項21】
前記可逆的変化が分離距離である、請求項1の方法。
【請求項22】
前記可逆的変化が回転である、請求項1の方法。
【請求項23】
前記可逆的変化が直線変位である、請求項1の方法。
【請求項24】
前記可逆的変化がらせん運動である、請求項1の方法。
【請求項25】
前記可逆的変化が剪断力に対する応答である、請求項1の方法。
【請求項26】
前記可逆的変化が圧力に対する応答である、請求項1の方法。
【請求項27】
前記相互作用が共鳴エネルギーである、請求項1の方法。
【請求項28】
前記共鳴エネルギーが双極子カプリングである、請求項27の方法。
【請求項29】
前記共鳴エネルギーが4極子カプリングである、請求項27の方法。
【請求項30】
前記共鳴エネルギーが蛍光共鳴エネルギー移動である、請求項27の方法。
【請求項31】
前記相互作用がプラスモンである、請求項1の方法。
【請求項32】
前記相互作用が近接場カプリングである、請求項1の方法。
【請求項33】
前記相互作用が光量子性である、請求項1の方法。
【請求項34】
前記相互作用が容量性である、請求項1の方法。
【請求項35】
前記相互作用が磁性である、請求項1の方法。
【請求項36】
前記相互作用が静電性である、請求項1の方法。
【請求項37】
前記方法が、前記相互作用から生じる変化した特性を検出することをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項38】
前記変化した特性が発光の変化である、請求項37の方法。
【請求項39】
前記変化した特性が蛍光の変化である、請求項37の方法。
【請求項40】
前記変化した特性が光学的性質の変化である、請求項37の方法。
【請求項41】
前記変化した特性が色である、請求項37の方法。
【請求項42】
前記変化した特性が磁界である、請求項37の方法。
【請求項43】
前記変化した特性が電界である、請求項37の方法。
【請求項44】
前記変化した特性が表面増強ラマン分散(SERS)またはラマンスペクトルである、請求項37の方法。
【請求項45】
前記ナノ構造体、前記関連する構造体、および前記標的の間の前記相互作用を可逆的に変化させることが空間的に独立している、請求項1の方法。
【請求項46】
前記相互作用が溶液中で起きる、請求項45の方法。
【請求項47】
前記相互作用が予めの情報のない固定された位置で起きる、請求項45の方法。
【請求項48】
前記相互作用が均一測定法で起きる、請求項45の方法。
【請求項49】
前記相互作用が不均一測定法で起きる、請求項45の方法。
【請求項50】
前記相互作用がインサイチュ測定法で起きる、請求項45の方法。
【請求項51】
前記相互作用が予めの情報のある固定された位置で起きる、請求項45の方法。
【請求項52】
前記方法がマイクロアレイまたはナノアレイ上で行われる、請求項51の方法。
【請求項53】
ナノ構造体と関連する構造体とが互いにおよび標的と可逆的に相互作用するように改変される、ナノ構造体および関連する構造体を含む装置。
【請求項54】
前記ナノ構造体が量子ドットである、請求項53の装置。
【請求項55】
前記ナノ構造体が半導体ナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項56】
前記ナノ構造体がフォトニック結晶である、請求項53の装置。
【請求項57】
前記ナノ構造体が金属ナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項58】
前記ナノ構造体がセラミックナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項59】
前記ナノ構造体がポリマーナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項60】
前記ナノ構造体がナノチューブである、請求項53の装置。
【請求項61】
前記関連する構造体が量子ドットである、請求項53の装置。
【請求項62】
前記関連する構造体が半導体ナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項63】
前記関連する構造体がフォトニック結晶である、請求項53の装置。
【請求項64】
前記関連する構造体が金属ナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項65】
前記関連する構造体がセラミックナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項66】
前記関連する構造体がポリマーナノ粒子である、請求項53の装置。
【請求項67】
前記関連する構造体がナノチューブである、請求項53の装置。
【請求項68】
前記関連する構造体が、フルオロフォア、消光物質、発色団、フィコビリンタンパク質、発光物質、蛍光タンパク質をさらに含む、請求項53の装置。
【請求項69】
前記装置が相互作用増幅要素をさらに含む、請求項53の装置。
【請求項70】
前記相互作用増幅要素が前記ナノ構造体に結合している、請求項69の装置。
【請求項71】
前記相互作用増幅要素が前記関連する構造体に結合している、請求項69の装置。
【請求項72】
前記相互作用増幅要素が圧力応答要素である、請求項69の装置。
【請求項73】
前記相互作用増幅要素が変位増幅要素である、請求項69の装置。
【請求項74】
前記ナノ構造体が蛍光ドナーをそこに結合して有し、前記関連する構造体が蛍光消光物質をさらに含む、請求項53の装置。
【請求項75】
前記ナノ構造体と前記関連する構造体とが、蛍光エネルギー移動(FRET)対の個々のメンバーをそこに結合して有する、請求項53の装置。
【請求項76】
前記ナノ構造体と前記関連する構造体とが互いにおよび標的と可逆的かつ空間的に独立して相互作用するように改変される、請求項53の装置。
【請求項77】
前記ナノ構造体と前記関連する構造体とが、溶液中で互いにおよび標的と可逆的かつ空間的に独立して相互作用するように改変される、請求項76の装置。
【請求項78】
前記ナノ構造体と前記関連する構造体とが、表面上で互いにおよび標的と可逆的かつ空間的に独立して相互作用するように改変される、請求項76の装置。
【請求項79】
前記表面がマイクロアレイまたはナノアレイ上である、請求項78の装置。
【請求項80】
以下を含んでなる方法:
a. ナノ構造体、関連する構造体、および標的を提供し;そして
b. 前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的により発生される、時間的に変化する空間的に独立した情報シグナルを検出する。
【請求項81】
前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的に駆動力を適用することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項82】
前記駆動力が光量子性である、請求項81の方法。
【請求項83】
前記駆動力が電気である、請求項81の方法。
【請求項84】
前記駆動力が熱である、請求項81の方法。
【請求項85】
前記駆動力が磁性である、請求項81の方法。
【請求項86】
前記駆動力が周期的である、請求項81の方法。
【請求項87】
前記駆動力がインパルスの連続である、請求項81の方法。
【請求項88】
前記駆動力がインパルスである、請求項81の方法。
【請求項89】
前記駆動力が一定である、請求項81の方法。
【請求項90】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの蛍光の変化である、請求項80の方法。
【請求項91】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの色の変化である、請求項80の方法。
【請求項92】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの温度の変化である、請求項80の方法。
【請求項93】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの電界強度の変化である、請求項80の方法。
【請求項94】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの磁界強度の変化である、請求項80の方法。
【請求項95】
前記情報シグナルが前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せの特性の周波数の変化である、請求項80の方法。
【請求項96】
分子結合事象を分類するために、前記検出された情報シグナルを処理することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項97】
神経ネットワークを利用して前記検出された情報シグナルを処理することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項98】
Bayesianネットワークを利用して前記検出された情報シグナルを処理することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項99】
MAP検出を利用して前記検出された情報シグナルを処理することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項100】
情報シグナルを含むナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的に変化する相互作用を発生する駆動力を適用することをさらに含む、請求項80の方法。
【請求項101】
以下を含む標的を検出するためのシステム:
a. ナノ構造体、関連する構造体、および標的の間の可逆的に変化する相互作用を発生するように改変した前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的;
b. 前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の組合せにエネルギーを付与するように改変され、こうして前記可逆的に変化する相互作用を発生させる入力供給源;および
c. 前記可逆的に変化する相互作用により生成される変換出力を検出するように構成された検出器。
【請求項102】
前記付与されるエネルギーが光量子性である、請求項101のシステム。
【請求項103】
前記付与されるエネルギーが電気である、請求項101のシステム。
【請求項104】
前記付与されるエネルギーが熱である、請求項101のシステム。
【請求項105】
前記付与されるエネルギーが磁性である、請求項101のシステム。
【請求項106】
前記付与されるエネルギーが周期的である、請求項101のシステム。
【請求項107】
前記付与されるエネルギーがインパルスの連続である、請求項101のシステム。
【請求項108】
前記付与されるエネルギーがインパルスである、請求項101のシステム。
【請求項109】
前記付与されるエネルギーが一定である、請求項101のシステム。
【請求項110】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の蛍光の変化である、請求項101のシステム。
【請求項111】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の色の変化である、請求項101のシステム。
【請求項112】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の温度の変化である、請求項101のシステム。
【請求項113】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の特性の周波数の変化である、請求項101のシステム。
【請求項114】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の電界強度の変化である、請求項101のシステム。
【請求項115】
前記変換出力が前記ナノ構造体、関連する構造体、および標的の磁界強度の変化である、請求項101のシステム。
【請求項116】
少なくとも1つの標的結合領域と少なくとも1つのシグナル影響領域とを含むシグナル発生ナノ構造体であって、前記シグナル影響領域が、前記ナノ構造体のシグナル発生特性を変化させるシグナル影響要素をそこに結合して有し、前記標的結合領域が所定の標的に対して選択的である、上記ナノ構造体。
【請求項117】
前記シグナル影響要素がシグナル阻害要素である、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項118】
前記シグナル発生ナノ構造体が蛍光性であり、前記シグナル阻害要素が蛍光消光物質である、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項119】
前記標的結合領域と前記シグナル影響領域が、前記シグナル発生ナノ構造体の表面で非対称にパターン化されている、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項120】
前記ナノ構造体が1つのみの標的結合領域をさらに含む、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項121】
前記シグナル影響要素が金属ナノ粒子である、請求項116のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項122】
ナノ構造体のシグナル発生特性を変化させるシグナル影響要素をそこに結合して有する少なくとも1つのシグナル影響領域を有するシグナル発生ナノ構造体であって、前記シグナル影響領域が、標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの標的結合領域をさらに含み、前記標的結合要素が所定の標的に対して選択的である、上記ナノ構造体。
【請求項123】
前記シグナル影響要素が金属ナノ粒子である、請求項121のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項124】
前記標的結合領域が、そこに結合した単一の標的結合要素をさらに含む、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項125】
前記標的結合要素がオリゴヌクレオチドである、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項126】
前記標的結合要素が抗体である、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項127】
前記標的結合要素がポリペプチドである、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項128】
前記シグナル発生ナノ構造体と前記シグナル影響要素が前記標的結合要素を介して結合している、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項129】
第1のシグナル影響要素をそこに結合して有する請求項122のシグナル発生ナノ構造体であって、上記シグナル影響要素が少なくとも1つの標的結合領域をさらに含み、前記シグナル発生ナノ構造体が、そこに結合した第2のシグナル影響要素をさらに含む、上記シグナル発生ナノ構造体。
【請求項130】
前記第1および第2のシグナル影響要素が金属ナノ粒子である、請求項122のシグナル発生ナノ構造体。
【請求項131】
以下を含むキット:
a. 第1の金属ナノ粒子をそこに結合して有する第1のシグナル発生ナノ構造体(ここで上記第1の金属ナノ粒子が、第1の標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの第1の標的結合領域を含有し、かつここで前記第1の標的結合要素が所定の標的に対して選択的である);および
b. 第2の標的結合要素をそこに結合して有する少なくとも1つの第2の標的結合領域を有する第2の金属ナノ粒子(ここで上記第2の標的結合要素が所定の標的に対して選択的である)。
【請求項132】
前記第1および第2の標的結合要素が抗体である、請求項131のキット。
【請求項133】
前記第1および第2の標的結合要素がオリゴヌクレオチドである、請求項131のキット。
【請求項134】
前記第1および第2の標的結合要素がポリペプチドである、請求項131のキット。
【請求項135】
前記第1および第2の標的結合要素がつなぎ基を介して結合している、請求項131のキット。
【請求項136】
前記つなぎ基が合成ポリマー、1本鎖核酸、脂肪酸、グリコサミノグリカン、またはポリペプチドである、請求項131のキット。
【請求項137】
以下の工程を含む方法:
a. ナノ構造体を標的に結合させる工程;
b. 関連する構造体を標的に結合させる工程;
c. 前記ナノ構造体、前記関連する構造体、および前記標的間の相互作用を可逆的に変化させて情報を発生させる工程;および
d. 前記情報を検出する工程。
【請求項138】
前記標的が核酸である、請求項137の方法。
【請求項139】
前記標的がタンパク質である、請求項137の方法。
【請求項140】
前記標的が無機表面である、請求項137の方法。
【請求項141】
前記標的がゲノム核酸である、請求項137の方法。
【請求項142】
生物学的試料中の標的を検出することをさらに含む、請求項137の方法。
【請求項143】
前記生物学的試料が顕微鏡スライド上の細胞または組織試料である、請求項137の方法。
【請求項144】
前記標的が核酸である、請求項143の方法。
【請求項145】
請求項137の方法であって、前記ナノ構造体が、所定の標的に対して選択的である標的結合要素をそこに結合して有する第1の標的結合領域をさらに有し;ここで、前記関連する構造体が、同じ所定の標的に対して選択的である第2の標的結合要素をそこに結合して有する第2の標的結合領域をさらに含んでなる、上記方法。
【請求項146】
前記第1および第2の標的結合要素がオリゴヌクレオチドである、請求項145の方法。
【請求項147】
前記標的が抗原であり、前記第1および第2の標的結合要素が、前記抗原に結合する抗体である、請求項137の方法。
【請求項148】
溶液中で実施できるように改変され、工程c.が前記溶液から前記ナノ構造体または前記関連する構造体を取り出すことなく行われる、請求項137の方法。
【請求項149】
シグナル発生要素と標的結合要素とをそこに結合して有する金属ナノ粒子。
【請求項150】
前記シグナル発生要素が量子ドットである、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項151】
前記シグナル発生要素がフルオロフォアである、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項152】
前記シグナル発生要素がFRETドナーまたはFRETアクセプターである、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項153】
前記標的結合要素が抗体である、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項154】
前記標的結合要素が核酸である、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項155】
前記標的結合要素がポリペプチドである、請求項149の金属ナノ粒子。
【請求項156】
以下を含む、試料中の標的核酸分子を同定する方法:
a. 上記標的核酸分子に、シグナル発生要素を含む第1の核酸プローブを接触させる工程、ここで上記第1の核酸プローブが上記標的分子にハイブリダイズする;
b. 上記標的核酸に、シグナル阻害要素を含む第2の核酸プローブを接触させる工程、ここで上記第2のプローブは、シグナル阻害要素が上記シグナル発生要素の近傍にあり、こうして上記シグナル発生要素に関連するシグナルを低下させるように、上記標的核酸分子にハイブリダイズする;
c. パルス電界を、上記標的核酸とハイブリダイズしたプローブとにより生成される核酸複合体に適用する工程、ここで上記パルス電界は、上記シグナル阻害要素が上記シグナル発生要素に関連する上記シグナルを低下させる能力を周期的に妨害し、こうして振動するシグナルを生成する;および
d. 上記振動するシグナルを検出する工程。
【請求項157】
前記シグナル発生要素が蛍光標識物である、請求項156の方法。
【請求項158】
前記シグナル阻害要素が蛍光消光物質である、請求項156の方法。
【請求項159】
前記蛍光標識物が、蛍光エネルギー移動(FRET)のドナー基を含む、請求項157の方法。
【請求項160】
前記蛍光消光物質が、蛍光エネルギー移動(FRET)のアクセプター基を含む、請求項158の方法。
【請求項161】
前記電界の適用が、前記シグナル発生要素と前記シグナル阻害要素との距離の変化を引き起こす、請求項156の方法。
【請求項162】
前記標的核酸分子がDNAまたはRNAである、請求項156の方法。
【請求項163】
前記第1の核酸プローブがDNAまたはRNAである、請求項156の方法。
【請求項164】
前記第2の核酸プローブがDNAまたはRNAである、請求項156の方法。
【請求項165】
前記標的核酸分子が病的状態または遺伝的変化に関連する、請求項156の方法。
【請求項166】
前記試料が複数の非標的核酸分子を含む、請求項156の方法。
【請求項167】
前記試料が複数の標的核酸分子を含む、請求項156の方法。
【請求項168】
前記パルス電界が交流または直流である、請求項156の方法。
【請求項169】
前記シグナル発生要素がナノ粒子である、請求項156の方法。
【請求項170】
前記ナノ粒子が、ポリマービーズ、量子ドット、および金粒子よりなる群から選択される、請求項169の方法。
【請求項171】
前記試料が固体支持体と結合している、請求項156の方法。
【請求項172】
前記固体支持体がアレイである、請求項171の方法。
【請求項173】
前記アレイがマイクロアレイである、請求項172の方法。
【請求項174】
前記標的核酸分子を増幅することをさらに含む、請求項156の方法。
【請求項175】
請求項156の方法により生成される診断プロフィール。
【請求項176】
前記診断プロフィールが、野生型状態、病的状態、または遺伝的変化と関連する、請求項175の診断プロフィール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2007−516843(P2007−516843A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535455(P2006−535455)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/034844
【国際公開番号】WO2005/040755
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(592130699)ザ・レジェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/034844
【国際公開番号】WO2005/040755
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(592130699)ザ・レジェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
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