説明

分岐継手

【課題】 分岐管部を備えた金属製の継手体を利用した合理的な改良により、施工工程数の削減と作業性の容易化とを図りながら、流体管の撓み変形に起因する分岐口の変形を抑制する。
【解決手段】 合成樹脂製の流体管1に対して径方向外方側から装着自在で、且つその装着領域の管壁に貫通形成された分岐口3に連通する分岐管部2を外面側に突設してある金属製の継手体4と、該継手体4を流体管1に固定する固定手段Bとを備えるとともに、前記継手体4に、それの内周面より径方向内方に突出して流体管1の分岐口3に嵌入する金属製の補強体7が一体形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製の流体管の管壁に貫通形成された分岐口に連通する状態で装着される分岐継手に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の流体管に地震や不同沈下等に起因して撓み変形の外力が作用すると、流体管の管壁に貫通形成された分岐口が伸び変形し、分岐口の開口周縁が径方向内方に湾曲変形し、パッキンのシール機能が低下して管内流体の漏洩を招来する問題がある。
【0003】
このような問題を解決する方法として、従来では、例えば、特許文献1に示すように、流体管の外周面の分岐口周縁部分に、該分岐口と同一形状の開口を有し、且つ流体管の外周面との接触面に通電によって加熱される発熱体を設けてある合成樹脂製の補強環体を融着するとともに、前記流体管に対して径方向外方側から装着自在で、且つその装着領域の管壁に貫通形成された分岐口に連通する分岐管部を外面側に突設してある金属製の継手体(サドル)と、該継手体を流体管に固定する固定手段とを備えた分岐継手を設け、前記継手体の内面には、前記流体管の外周面における分岐口周縁部分との間を密封する環状のパッキンを装着するための環状装着凹部と、該環状装着凹部の分岐口中心側となる内周側において前記補強環体に管径方向外方側から嵌合する嵌合凹部を形成してある分岐継手が提案されている。
【0004】
また、他の方法として、特許文献2に示すように、流体管の外周面の分岐口周縁部分に対して径方向外方側から接当可能な半割り筒状のサドルと、該サドルから径方向外方に突出する分岐管部と、サドルから径方向内方に突出する分岐口に内嵌可能な円筒体とを合成樹脂で一体成形してなる継手本体を準備し、この継手本体の円筒体とサドル及び流体管の分岐口の内周面を同時に加熱装置で加熱溶融し、継手本体の円筒体とサドルを流体管の外周面及び分岐口の内周面に融着した分岐継手が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平09−280461号公報
【特許文献2】特開平11−118084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前者の分岐継手の場合は、流体管の分岐口周縁部分をそれの外周面に融着された合成樹脂製の補強環体によって補強し、且つこの補強環体に対して金属製の継手体の嵌合凹部を管径方向外方側から嵌合させることにより、流体管の撓み変形に起因する分岐口の変形を抑制することができる反面、施工現場において流体管の外周面の分岐口周縁部分に、これとの接触面に通電によって加熱される発熱体を設けてある合成樹脂製の補強環体を融着する必要があるため、融着不良を招来しないための厳しい施工管理が要求され、しかも、施工工程数が増大するため、作業能率が悪くなっていた。
【0007】
後者の分岐継手の場合は、継手本体の円筒体を流体管の分岐口に嵌挿するものの、継手本体と流体管とは同じ合成樹脂製であるため、流体管の撓み変形に起因する分岐口の変形を抑制には効果がなく、流体管に対する位置決め機能と融着強度の向上を目的としたものである。しかも、前者と同様に施工現場において流体管に継手本体を融着するため、融着不良を招来しないための厳しい施工管理が要求されるとともに、施工工程数が増大するため、作業能率が悪くなっていた。
【0008】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、分岐管部を備えた金属製の継手体を利用した合理的な改良により、施工工程数の削減と作業性の容易化とを図りながら、流体管の撓み変形に起因する分岐口の変形を抑制することのできる分岐継手を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の特徴構成は、合成樹脂製の流体管に対して径方向外方側から装着自在で、且つその装着領域の管壁に貫通形成された分岐口に連通する分岐管部を外面側に突設してある金属製の継手体と、該継手体を流体管に固定する固定手段とを備えた分岐継手であって、
前記継手体に、それの内周面より径方向内方に突出して流体管の分岐口に嵌入する金属製の補強体が一体形成されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、流体管に対して径方向外方側から当て付けられた継手体を固定手段で固定した状態では、継手体の内周面に一体形成された金属製の補強体が流体管の分岐口に嵌入しているため、流体管の撓み変形に起因する分岐口の変形を金属製の補強体で抑制することができる。
【0011】
従って、従来に比較して施工現場での熱融着工程が不要で、しかも、継手体の内周面に金属製の補強体を一体形成するだけの合理的な改造で済むから、施工工程数の削減と作業性の容易化とを図りながら、流体管の撓み変形に起因する分岐口の変形を抑制することができる。
【0012】
本発明による第2の特徴構成は、前記補強体が、前記分岐口の内周面に沿う筒状又は略筒状に構成されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、流体管に対して径方向外方側から当て付けられた継手体を固定手段で固定した状態では、継手体の内周面に一体形成された筒状又は略筒状の金属製の補強体が流体管の分岐口の内周面に沿って嵌入しているため、流体管の撓み変形に起因する分岐口の変形を金属製の筒状又は略筒状の補強体で効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明による第3の特徴構成は、前記補強体が、前記分岐口の内周面に沿って分散配置される複数の補強突起から構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、流体管に対して径方向外方側から当て付けられた継手体を固定手段で固定した状態では、継手体の内周面に一体形成された金属製の複数の補強突起が流体管の分岐口の内周面に沿って分散配置された状態で嵌入しているため、流体管の撓み変形に起因する分岐口の変形を金属製の複数の補強突起で抑制しながら、継手体の軽量化を図ることができる。
【0016】
本発明による第4の特徴構成は、前記分岐口に対する補強体の嵌合代が、前記流体管の厚みと同一又は略同一に構成されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、前記分岐口の内周面に沿って嵌入する補強体の嵌合代を流体管の厚みと同一又は略同一に構成することにより、流体管の撓み変形に起因する分岐口の変形を効果的に抑制することができると同時に、前記補強体の先端が流体管の内周面と面一又は略面一となるため、前記分岐口の管内周面側での流体の流入抵抗を減少することができる。
【0018】
本発明による第5の特徴構成は、前記継手体の内周面における前記補強体の外周側の環状領域には、前記流体管の外周面における分岐口の開口周縁部分との間を密封する環状のパッキンのリップシール部が入り込む環状凹部が形成されているとともに、前記パッキンのリップシール部の外周側には、流体管の外周面と継手体の内周面との間の隙間に密着状態で入り込む環状偏平部が一体形成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、前記継手体の内周面に形成した環状凹部内にパッキンのリップシール部を簡単に装着することができるばかりでなく、リップシール部の外周側に一体形成された環状偏平部を利用して接着剤で継手体に予め止め付けることが可能になり、リップシール部での皺発生等の装着不良を抑制することができる。
【0020】
しかも、前記環状偏平部は流体管の外周面と継手体の内周面との間の隙間に密着状態で入り込むので、前記接着剤が管内流体に晒されることに起因する接着剤成分の溶出を抑制することができる。
【0021】
さらに、前記流体管の外周面と継手体の内周面との間の隙間を通して環状偏平部の端面が外部から目視できる場合には、環状偏平部の端面の装着状況により、パッキンのリップシール部に皺等が発生した不適切な装着状態にあるか否かを判断することができる。
【0022】
また、前記環状偏平部の端面が流体管の外周面と継手体の内周面との間の隙間内に入り込んでいる場合でも、前記環状偏平部がリップシール部の外周から延出されている分だけ、継手体の装着時に少し持ち上げることにより簡単に目視確認できるので、パッキンが不適切な状態にあるか否かを判断するための手間が少なくなる。
【0023】
本発明による第6の特徴構成は、前記固定手段が、前記流体管の外周面に沿って脱着自在に締結具で固定連結される複数の継手体のうち、前記分岐管部を備えた継手体を除く他の継手体から構成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、前記流体管の外周面に沿って脱着自在に締結具で固定連結される複数の継手体により、流体管の分岐口形成箇所の管壁を周方向で極力均等に締め付けることができる。
【0025】
本発明による第7の特徴構成は、前記固定手段が、前記継手体の管軸芯方向長さよりも小なる幅で流体管に対して径方向外方側から当て付けられる取付け部材と、当該取付け部材と継手体とを互いに径方向内方側に引き寄せて固定連結する締結具から構成されている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、前記流体管の外周面に沿って脱着自在に締結具で固定連結される複数の継手体に一部から構成する場合に比して製造コストの低廉化と軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1〜図6は、ポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹脂等の合成樹脂から製作された水道管等の流体管1の外周面1aに、流体管1の管軸芯Xに対して交差(当該実施形態では直交)する分岐軸芯Y方向に沿って外方に突出する分岐管部2を一体形成してある分岐継手Aを示す。
【0028】
前記分岐継手Aは、図1〜図3に示すように、流体管1に対して径方向外方側から装着自在な略半円筒状で、且つその装着領域の管壁に貫通形成された分岐口3に連通する分岐管部2を外面側に一体的に突設してある鋳鉄製(金属製の一例)の継手体4と、該継手体4を流体管1に締め付け固定する固定手段Bとから構成されているとともに、前記固定手段Bは、継手体4の管軸芯X方向長さよりも小なる幅で、且つ、継手体4の管軸芯X方向両端部に対抗する部位において流体管1に対して径方向外方側から当て付けられる略半円筒状の鋳鉄製(金属製の一例)の取付け部材5と、当該取付け部材5と継手体4とを互いに径方向内方側に引き寄せて固定連結する締結具6の一例である複数本のボルト6A・ナット6Bから構成されている。
【0029】
前記継手体4の管周方向両端部には、径方向外方に突出する連結フランジ部4Aが一体形成され、この連結フランジ部4Aの管軸芯X方向両端部には、前記取付け部材5に対してボルト6A・ナット6Bで脱着自在に固定連結するための連結孔4Bが貫通形成されているとともに、この継手体4の管軸芯X方向中央部に形成された前記分岐管部2の先端部には、分岐管又は仕切弁等の流体機器に連結するための連結フランジ部2Aが一体形成されている。
【0030】
図2、図3、図5に示すように、前記継手体4の内周面4aの管軸芯X方向中央部における前記分岐管部2の基端側の開口周縁部には、流体管1の分岐口3の内径よりも僅かに小なる外径の円筒状で、かつ、その先端7aが流体管1の内周面の形状に合致する曲率の弧状曲面に形成された鋳鉄製(金属製の一例)の補強体7が、流体管1の分岐口3に嵌入する状態で径方向内方側に一体的に突出形成され、前記継手体4を流体管1に固定した状態では、前記補強体7の分岐口3内への嵌合代が前記流体管1の厚みと同一又は略同一に構成され、当該補強体7の先端7a全周が流体管1の内周面と面一又は略面一に位置するように構成されている。
【0031】
そして、図2、図3に示すように、前記流体管1に対して径方向外方側から当て付けられた継手体4を固定手段Bで固定した状態では、継手体4の内周面4aに一体形成された円筒状の鋳鉄製の補強体7が流体管1の分岐口3の内周面に沿って嵌入しているため、流体管1の撓み変形に起因する分岐口3の変形を効果的に抑制することができるとともに、前記流体管1に対する継手体4の管軸芯X方向及び周方向での位置ずれも確実に防止することができる。
さらに、前記補強体7の先端が流体管1の内周面と面一又は略面一となるため、前記分岐口3の管内周面側での流体の流入抵抗を減少することができる。
【0032】
前記継手体4の内周面4aにおける前記補強体7の外周側の環状領域には、図2〜図6に示すように、前記流体管1の外周面1aにおける分岐口3の開口周縁部分との間を密封する合成ゴム製(例えば、スチレンブタジエンゴム等)の環状のパッキン8の構成部分のうち、複数の円環状のリップ突起8aを同芯円状で、且つ、半径方向外方側に位置するリップ突起8aほど突出量が大きくなる状態で連続形成してあるリップシール部8Aが入り込む環状凹部4Cが形成されているとともに、前記パッキン8のリップシール部8Aの外周側には、流体管1の外周面1aと継手体4の内周面4aとの間の隙間に密着状態で入り込む輪郭形状が長方形状の環状偏平部8Bが一体形成されている。
【0033】
前記パッキン8の表裏両側面のうち、継手体4の内周面4aに対面する一側面におけるリップシール部8Aと環状偏平部8Bとの境界相当位置には、継手体4の環状凹部4Cの周壁面4bに嵌合状態で接当する位置決め用の環状段差部8Cが形成されているとともに、前記環状偏平部8Bの一側面をそれの一部に塗布した接着剤を介して継手体4の内周面4aに保持可能に構成されている。
【0034】
前記継手体4の内周面4aに形成した環状凹部4C内にパッキン8のリップシール部8Aを簡単に装着することができるばかりでなく、このパッキン8の環状段差部8Cと環状凹部4Cの周壁面4bとの嵌合によって、パッキン8のリップシール部8Aを所定位置に確実に装着することができる。
しかも、前記リップシール部8Aの外周側に一体形成された環状偏平部8Bを利用して接着剤で継手体4に予め止め付けることが可能になり、リップシール部8Aでの皺発生等の装着不良を抑制することができるとともに、前記環状偏平部8Bは流体管1の外周面1aと継手体4の内周面4aとの間の隙間に密着状態で入り込むので、前記接着剤が管内流体に晒されることに起因する接着剤成分の溶出を抑制することができる。
【0035】
図2〜図4に示すように、前記流体管1の管軸芯X方向に沿って配置される前記環状偏平部8Bの一方の端面である長辺8bは、前記継手体4の管軸芯X方向両端面4b間にわたる長さ、つまり、継手体4の管軸芯X方向長さと同一の長さL1に構成されているとともに、前記流体管1の周方向に沿って配置される前記環状偏平部8Bの他方の端面である短辺8dは、前記リップシール部8Aの外径よりも大で、かつ、前記継手体4の内周面4aにおける両連結フランジ部4Aの基端部P間の周方向長さよりも短い長さL2に構成されている。
【0036】
そして、前記環状偏平部8Bの短辺8dは、流体管1の外周面1aと継手体4の内周面4aとの間の隙間を通して継手体4の管軸芯X方向両端面4bにまで密着状態で延出され、該環状偏平部8Bの短辺8dが外部に露出する状態にあるため、環状偏平部8Bの短辺8dの装着状況を容易に目視確認することができ、これにより、パッキン8のリップシール部8Aに皺等が発生した不適切な状態にあるか否かを外部から間接的に判断することができる。
【0037】
また、前記環状偏平部8Bの長辺8bは、継手体4の連結フランジ部4Aの基端部Pから内方に少し入り込んだ部位に位置し、且つ、継手体4の湾曲箇所に位置するため、流体管1の外周面1aと継手体4の内周面4aとの間の隙間をそのまま通して目視確認することはできないが、前記環状偏平部8Bがリップシール部8Aの外周から延出されている分だけ、継手体4の装着時に少し持ち上げることにより簡単に目視確認できるので、パッキン8のリップシール部8Aに皺等が発生した不適切な状態にあるか否かを判断するための手間が少なくなる。
【0038】
さらに、前記流体管1の外周面1aと継手体4の内周面4aとの間の隙間を通して照射可能な照明手段等を併用することにより、環状偏平部8Bの短辺8d及び長辺8bの装着状況を確認することもできる。
【0039】
尚、前記取付け部材5の管周方向両端部には、径方向外方に突出する連結部5Aが一体形成され、この連結部5Aには、前記継手体4に対してボルト6A・ナット6Bで脱着自在に固定連結するための連結孔5Bが貫通形成されている。
【0040】
また、当該実施形態では、前記ボルト6A・ナット6Bを設定トルクで締め付けることにより、継手体4の内周面4aに形成した環状凹部4Cと流体管1の外周面1aとの間で前記パッキン8のリップシール部8Aを密封状態にまで圧縮すると同時に、継手体4の内周面4aと流体管1の外周面1aとの間の隙間を設定寸法に維持して、前記パッキン8の環状偏平部8Bを継手体4の内周面4aと流体管1の外周面1aとの対面間に密着させてある。
【0041】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記継手体4の内周面4aにおける分岐管部2の基端側の開口周縁部に、流体管1の分岐口3に嵌入する金属製の補強体7を円筒状に形成したが、図7に示すように、前記補強体7を、前記分岐口3の内周面に沿って分散配置される複数の補強突起7Aから構成してもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0042】
〔第3実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記継手体4の内周面4aにおける分岐管部2の基端側の開口周縁部に一体形成される補強体7の内径を、前記分岐管部2の内径よりも補強体7の厚み分だけ小径に構成したが、図8に示すように、前記分岐管部2の内径と補強体7の内径とを同一に構成してもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0043】
〔第4実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記継手体4を流体管1に締め付け固定する固定手段Bを、継手体4の管軸芯X方向長さよりも小なる幅で、且つ、継手体4の管軸芯X方向両端部に対抗する部位において流体管1に対して径方向外方側から当て付けられる略半円筒状の鋳鉄製(金属製の一例)の取付け部材5と、当該取付け部材5と継手体4とを互いに径方向内方側に引き寄せて固定連結する締結具6の一例である複数本のボルト6A・ナット6Bから構成したが、図9、図10に示すように、前記固定手段Bを、継手体4の管軸芯X方向長さよりも小なる幅で、且つ、継手体4の管軸芯X方向両端部に対抗する部位において流体管1に対して径方向外方側から当て付け可能な略半円弧状に折り曲げられた帯状金属板製の取付け部材9と、当該取付け部材9と継手体4とを互いに径方向内方側に引き寄せて固定連結する締結具6の一例で、前記取付け部材9の両端に固着されたボルト6Cとナット6Dとから構成してもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0044】
〔第5実施形態〕
図11に示すように、前記継手体4を流体管1に締め付け固定する固定手段Bを、前記流体管1の外周面に沿って脱着自在に締結具6で固定連結される複数(当該実施形態では二個)の鋳鉄製(金属製の一例)の継手体4,10のうち、前記分岐管部2を備えた継手体4を除く他の継手体10と、前記締結具6の一例である複数本のボルト6A・ナット6Bから構成してもよい。
【0045】
前記他の継手体10の管周方向両端部には、径方向外方に突出する連結フランジ部10Aが一体形成され、この連結フランジ部10Aには、継手体4に対してボルト6A・ナット6Bで脱着自在に固定連結するための連結孔(図示せず)が貫通形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0046】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記継手体4の内周面4aにおける分岐管部2の基端側の開口周縁部に、流体管1の分岐口3に嵌入する金属製の補強体7を円筒状に形成したが、補強体7の周方向一箇所又は二箇所が切断された略筒状に構成してもよい。
【0047】
(2)上述の第1実施形態では、前記継手体4の内周面4aにおける分岐管部2の基端側の開口周縁部に一体形成される補強体7の分岐口3への嵌合代を、前記流体管1の厚みと同一又は略同一に構成したが、この補強体7の嵌合代を前記流体管1の厚みよりも大又は小に構成して実施してもよい。
【0048】
(3)上述の第1実施形態では、前記パッキン8の環状偏平部8Bを接着剤で継手体4に予め止め付けるように構成したが、前記継手体4の内周面に形成した係止爪でパッキン8の環状偏平部8Bを仮止めするように構成してもよい。
【0049】
(4)上述の第1実施形態では、前記ボルト6A・ナット6Bを設定トルクで締め付けることにより、継手体4の内周面4aと流体管1の外周面1aとの間の隙間を設定寸法に維持するように構成したが、継手体4の内周面4aと流体管1の外周面1aとの対面間に、この対面間の隙間を設定寸法に維持する突起等の隙間形成手段を設けて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の分岐継手の第1実施形態を示す全体の正面図
【図2】全体の断面正面図
【図3】全体の断面側面図
【図4】継手体とパッキンの分解図
【図5】継手体と流体管の分解断面図
【図6】図4におけるVI−VI線拡大断面図
【図7】本発明の分岐継手の第2実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【図8】本発明の分岐継手の第3実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【図9】本発明の分岐継手の第4実施形態を示す全体の断面側面図
【図10】第4実施形態を示す全体の正面図
【図11】本発明の分岐継手の第5実施形態を示す全体の正面図
【符号の説明】
【0051】
A 分岐継手
B 固定手段
X 管軸芯
1 流体管
1a 外周面
2 分岐管部
3 分岐口
4 継手体
4C 環状凹部
4a 内周面
5 取付け部材
6 締結具
7 補強体
7A 補強突起
8 パッキン
8A リップシール部
8B 環状扁平部
9 取付け部材
10 継手体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の流体管に対して径方向外方側から装着自在で、且つその装着領域の管壁に貫通形成された分岐口に連通する分岐管部を外面側に突設してある金属製の継手体と、該継手体を流体管に固定する固定手段とを備えた分岐継手であって、
前記継手体に、それの内周面より径方向内方に突出して流体管の分岐口に嵌入する金属製の補強体が一体形成されている分岐継手。
【請求項2】
前記補強体が、前記分岐口の内周面に沿う筒状又は略筒状に構成されている請求項1記載の分岐継手。
【請求項3】
前記補強体が、前記分岐口の内周面に沿って分散配置される複数の補強突起から構成されている請求項1記載の分岐継手。
【請求項4】
前記分岐口に対する補強体の嵌合代が、前記流体管の厚みと同一又は略同一に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の分岐継手。
【請求項5】
前記継手体の内周面における前記補強体の外周側の環状領域には、前記流体管の外周面における分岐口の開口周縁部分との間を密封する環状のパッキンのリップシール部が入り込む環状凹部が形成されているとともに、前記パッキンのリップシール部の外周側には、流体管の外周面と継手体の内周面との間の隙間に密着状態で入り込む環状偏平部が一体形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の分岐継手。
【請求項6】
前記固定手段が、前記流体管の外周面に沿って脱着自在に締結具で固定連結される複数の継手体のうち、前記分岐管部を備えた継手体を除く他の継手体から構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の分岐継手。
【請求項7】
前記固定手段が、前記継手体の管軸芯方向長さよりも小なる幅で流体管に対して径方向外方側から当て付けられる取付け部材と、当該取付け部材と継手体とを互いに径方向内方側に引き寄せて固定連結する締結具から構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の分岐継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−210023(P2009−210023A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53504(P2008−53504)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(397012923)大成機工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】