分岐血管接続用の可動外部継手
血管内移植片は、管状本体と可撓ばね性可動外部継手とを含む。管状本体は、移植片材料とこれに結合したステントとを含む。可動外部継手は、管状本体から外方へ延在している。可動外部継手は、移植片材料を含み、略截頭円錐形状をなす。可動外部継手は、管状本体に結合された基部と、管状本体から離間する頂部と、基部と頂部との間に位置する結合内腔とを含み、結合内腔は本体内腔と流体連通する。螺旋形状ステントを可動外部継手に結合し、これを可撓性ならびにばね性とすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、腔内医療装置および処置に関し、より詳細には、主移植片を分岐血管移植片に接続する可動外部継手を有する腔内補綴具あるいは移植片に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内には動脈瘤および/または解離が発生することがあり、最も典型的には大動脈と抹消血管内に発生する。関係する大動脈の領域に応じ、動脈瘤は血管の二分岐箇所あるいはそこからより小さな「分岐」動脈が延びる大動脈の一部に延在することがある。様々な種類の大動脈動脈瘤は、動脈瘤の含まれる領域に基づき分類することができる。例えば、胸部大動脈動脈瘤には、上行胸部大動脈や大動脈弓やそこから発する鎖骨下動脈等の分岐動脈中に存在する動脈瘤が含まれ、また下行胸部大動脈や、そこから発する胸部肋骨動脈および/または腎上腹腔動脈、さらにそこから発する腎上、上部腸間膜、腹腔および/または肋間動脈等の分岐動脈等の分岐動脈内に存在する動脈瘤が含まれる。最後に、腹腔動脈動脈瘤には、横隔膜下側の動脈、例えば腎傍動脈やそこから発する腎臓動脈等の分岐動脈に存在する動脈瘤が含まれる。
【0003】
胸部動脈は、多数の動脈分岐を有する。動脈弓はそこから延出する3本の主要な分岐を有しており、それら全てが弓の凸状上面から立ち上がり、上側胸部開口を介して頸部の付け根まで下行する。腕頭動脈は、気管前部に始端を有する。腕頭動脈は2本の分岐、すなわち右鎖骨下動脈(右腕に血液を供給)と右総頸動脈(頭部と頸部の右側に血液を供給)とに分れる。左総頸動脈は、動脈弓からまさに腕頭動脈の始端左側に立ち上がる。左総頸動脈は、頭部と頸部の左側に血液を供給する。大動脈弓から立ち上がる第3の分岐、すなわち左鎖骨下動脈は、左総頸動脈始端の背後から左側に発し、左腕に血液を供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大動脈弓の胸部動脈瘤を有する患者に対し、大動脈を置換する手術を施すことがあり、この場合、大動脈は人工心肺を用いる手術で織物代用品を用いて置換される。このような場合、大動脈の動脈瘤部分を除去するか切開して、動脈瘤部分を横断して代替管状体を縫合する。この種の手術は極めて侵襲性が高く、長い回復期間を必要とし、それ故に虚弱体質あるいは他の禁忌的要因を抱える患者に施すことはできない。
【0005】
別の選択肢として、大動脈の動脈瘤領域を、管状排除デバイスの使用、例えば血管の動脈瘤部分にまたがる血管内部に配置したステント移植片により迂回させ、動脈瘤部分が大動脈を流れる血液にそれ以上さらされないよう封止することができる。通常は患者の鼠径部領域内の切開を介して動脈瘤内に導入する特別なカテーテルを用い、ステント移植片は胸部切開を用いることなく移植されることができる。大動脈あるいは流管状体内部で動脈瘤箇所を内部迂回するステント移植片の使用もまた、問題が無いわけではない。特に、胸部の一箇所にステント移植片を使用する場合、肝心の分岐動脈がステント移植片によって覆われたり閉塞されたりせず、しかもステント移植片を大動脈壁に対し封止し、動脈瘤箇所を通過して血液が流れる流体導管を提供するよう配慮しなければならない。動脈瘤が分岐動脈に直に隣接して位置する場合、大動脈から分岐動脈の始端の位置を横断して部分的あるいは全体的に延在する位置においてステント移植片を展開させ、動脈壁に対するステント移植片の封止を確実にする必要がある。
【0006】
側枝に対応するため、その側壁の穿孔または開口を有する主血管ステント移植片を利用することができる。主血管ステント移植片は、展開後に穿孔を分岐血管の小孔に整列配置するよう位置決めする。使用時、側方分岐への血流をブロックまたは規制しないようにすべく主血管内で穿孔すなわち開口が配向されかつ配置されるように、1または2以上の側方開口を有するステント移植片の近位端部が位置決めされ且つ適所に配置される。穿孔それ自体は、隣接する側分岐動脈内へ血液を流動させることのできる1つ(または複数)の個別導管を形成せず、あるいは含まない。その結果、動脈移植片の外面と、穿孔を囲繞する移植片の端部と隣接血管壁との間の囲繞動脈壁との間の空間内への血液の漏洩が発生しがちとなる。同様の血液漏洩は、移植後移動すなわちステント移植片の動きから発生し、1つ(または複数)の穿孔と1つ(または複数)の分岐動脈の不整列を引き起こすことがあり、そのことがまた1つ(または複数)の分岐動脈内への欠陥流に帰結することがある。
【0007】
一部事例では、主血管ステント移植片はしばしば分岐移植ステント片と呼ばれる他のステント移植片による補助を受ける。分岐移植片は穿孔を介して分岐血管内へ配置され、分岐血管内への血流のための導管を提供する。分岐ステント移植片は、不要な漏洩をその場で防止するため、主移植片に対し好ましくは密封接続する。分岐移植片と主移植片との間のこの接続をその場で効果的に作成するのは困難なようであり、漏洩の可能性のある箇所となる。
【0008】
一部事例では、分岐移植片延長部(ステント移植片)は主ステント移植片に組み込まれている。このような分岐移植片延長部は移送用に主ステント移植片に対し折り畳むかあるいは圧潰させ、複雑な手順を必要とし、分岐延長部を分岐血管内へ導き、続いて膨張させるのに多くのスリーブとガイドワイヤとを必要とする。さらに、一部事例では、この分岐ステント移植片は、その折り畳みあるいは圧潰した形状に復元しがちであり、したがって、妨害がない流路を分岐血管に対し提供しない。
【0009】
したがって、当分野には、動脈等の主血管から動脈弓の分岐血管等の対応する分岐血管へ流れを導く改善の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
血管内補綴具の一実施形態は、管状本体と可動外部継手とを含む。管状本体は、移植片材料とそこに結合するステントとそこを貫通する内腔形状とを含む。可動外部継手は、管状本体から外方へ延在する。可動外部継手は移植片材料を含み、一般的に截頭円錐形状である。可動外部継手は、管状本体に結合した基部と、管状本体から離間する頂部と、基部と頂部の間に配置される結合本体とを含み、結合内腔は本体内腔と流体連通する。螺旋形状ステントは、結合移植片材料に結合され得る。可動外部継手の構成が、分岐血管補綴具に対する補綴具の結合に対する可撓性をもたらす。
【0011】
血管内補綴具の移送および展開方法では、主補綴具は圧縮形状にて主血管内の標的位置へ移送されるため、一般的に可動外部継手は分岐血管に整列配置される。スリーブが後退させられ、可動外部継手が露出する。可動外部継手を分岐血管により良く整列させるため、その位置に対する微妙な調整が必要となることがある。管状本体が展開され、これが圧縮構成から膨張構成に拡張する。分岐血管補綴具は、圧縮形状にて分岐血管へ移送することができる。分岐血管補綴具は、この分岐血管補綴具を径方向に膨張形状へ膨張させ、分岐血管の一部の外面を可動外部継手の一部の内面に当接させるよう展開させることができる。
【0012】
本発明になる実施形態の前述ならびに他の特徴は、添付図面に例示した下記の説明から明らかとなろう。添付図面は、本願明細書に組み込まれて明細書の一部を形成し、さらに実施形態の原理の説明に役立ち、当業者が本願明細書に記述する実施形態を作成し使用できるようにする。図面は、実寸ではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による腔内ステント移植片の概略側面図である。
【図2】図1のステント移植片の一部の概略拡大図である。
【図3】図1のステント移植片の可動外部継手のステント部分の概略図である。
【図4】図1のステント移植片移送装置の概略図である。
【図5】図4のステント移植片装置の概略斜視図である。
【図6】ステント移植片の一部とステント移植片移送装置の一部の概略図である。
【図7】外筒を後退させた際の図4のステント移植片移送装置を示す概略図である。
【図8】外筒を後退させた際の図4のステント移植片移送装置を示す概略図である。
【図9】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図10】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図11】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図12】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図13】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図14】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図15】本発明の別の実施形態によるステント移植片の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
具体的な実施形態を、図面を参照して説明するが、同様の参照符号は同一のあるいは機能的に類似する要素を示す。特段指示しない限り、移送システムでは、下記の説明で用いられる用語「遠位端」と「近位端」は処置臨床医に対する位置または方向に関して、用いられる。「遠位端」あるいは「遠位端側」は臨床医から離れた位置あるいは離間する方向にあることであり、「近位端」あるいは「近位端側」は臨床医に近い位置あるいは接近する方向にあることである。ステント移植片装置にとって近位端は血流路を介して心臓により近い部分であり、一方で遠位端は血流路を介して心臓から遠いステント移植片の部分である。
【0015】
図1〜図3を参照すると、ステント移植片100は大動脈等の血管内に配置するように構成されている。ステント移植片100は、ステント104に結合された移植片材料102を含んでいる。移植片材料102は、縫合部110あるいは当業者が熟知する他の手段を用いてステント104に結合することができる。図1〜図3に示す実施形態では、ステント104は移植片材料102の外側の表面に結合されている。しかしながら、ステント104は代替的には移植片材料102の内面に結合され得る。移植片材料102は任意の適当な移植片材料、例えばポリエステル織布、DACRON材料、膨張ポリ四フッ化エチレン、ポリウレタン、シリコーンまたは他の適切な材料とすることができるがこれに限らない。ステント104は、任意の従来のステント材料あるいは構成であることができる。図示のように、ステント104は好ましくは、熱処理ステンレス鋼やニッケルチタン合金(ニチノール)等の形状記憶材料から作成され、ジグザグ形状に形成される。ステント移植片100は、近位端106と遠位端108とその間の本体107を含む。近位端ステント112と遠位端ステント114は図示の如く移植片材料102外部に延在し、当分野ではアンカーステントあるいはクラウンステントと一般に記述されることもある。本体107は、そこを貫通して配置された内腔116を有する。ステント移植片100はさらに、下記に詳しく説明する可動外部継手120を含む。可動外部継手120を除き、ステント移植片100はMedtronic, Inc.社のVALIANT(登録商標)胸部ステント移植片あるいは他の公知のステント移植片に類似させることができる。
【0016】
可動外部継手120は、移植片材料102の開口でステント移植片100の外側表面に配置される。可動外部継手120は、略截頭円錐形状をなす。可動外部継手120は、螺旋状ステント122に結合された移植片材料128を含む。移植片材料128は、好ましくは本体107の移植片材料102と同種の移植片材料であり、好ましくは移植片材料102の連続体であるが、移植片材料128は移植片材料102に取付けられた別個の移植片材料片とすることができる。可動外部継手120とステント122は、基部124と頂部126とを含む。可動外部継手120を略截頭円錐形状として記述したが、基部124は好ましくは円形ではなく略楕円形である。基部124は、例示であって限定ではなく、ほぼ20〜30mmの長軸とほぼ15〜20mmの短軸とを有する。さらに、可動外部継手120の高さはほぼ10〜15mmとすることができる。さらに、可動外部継手の頂部126の直径は、大動脈と左総頸動脈の接合部や大動脈と左鎖骨下大動脈の接合部に使用する場合、ほぼ6〜9mmとすることができる。可動外部継手120を大動脈と腕頭大動脈の接合部に使用する場合、頂部126の直径はほぼ8〜12mmとすることができる。
【0017】
可動外部継手120のステント122は略螺旋状であり、截頭円錐形状の外観を作成するように構成されているため、底部124が図3に概略的に示されているように頂部124よりも大きな直径を有する。ステント122は、縫合部(例えば、110)あるいは他の同様の結合手段を用いて移植片材料128に結合される。ステント122は、好ましくはニチノール等の形状記憶材料から作成される。ステント122は、主本体ステント104と同じ材料から作成されることができ、あるいは異なる材料から作成されることもできる。例えば、ステント104はバルーン膨張型であり、ステント122は自力膨張型である。好ましくは、ステント104とステント122はニチノール等の形状記憶材料から作成され、自力膨張型である。
【0018】
可動外部継手120の頂部が移動できるので、可動外部継手120により、ステント移植片100を分岐血管に整列配置するとき相当の可撓性が提供される。この可動性は可動外部継手120の形状に起因するものであり、可動外部継手120の形成時に、いくらかの過剰移植片材料128を用いることでさらに改善することができる。したがって、ステント移植片100が分岐血管に完全に整列配置されていない場合、可動外部継手120の頂部126は移動あるいはシフトされ、可動外部継手120が分岐血管内に延びるようにできる。さらに、形状記憶螺旋状ステント122に蓄積された力のため、可動外部継手120は標的箇所への移送期間中にスリーブから解放されたときにステント移植片100の本体107から飛び出す。このことが、移送システムから解放された際に可動外部継手120の瘤状化あるいは圧潰を阻止する。
【0019】
図4〜図8は、ステント移植片100を血管内の標的位置に移送するのに用いることのできる移送システムの一例を示す。図4は、その中にステント移植片100を有するステント移植片移送システム200の概略的な部分断面図である。ステント移送システム200は、可撓性で密着した蛇行性血管内での追従性を提供することができる先細チップ202を含む。弾丸形状チップ等の他のチップ形状もまた使用しうる。チップ202は、第1のガイドワイヤ220を収容するためにその中に貫通配置された内腔204を含む。
【0020】
先細チップ202は、遠位端方向に漸次縮径する先細の外面216を含む。より具体的には、先細の外面216は近位端に第1の直径を有し、遠位端方向、すなわちオペレータから離間する方向に漸次縮径する。先細の外面216はさらに、図5に最もよく示されているように、第2のガイドワイヤ222を収容する溝218を含む。肩部212は、チップ202の近位端部の直径を縮径し、スリーブ着地面226を提供する。肩部212は略環状であり、ステント移植片移送システム200の長手方向軸に直交する。
【0021】
ステント移植片移送システム200の第1のすなわち外部スリーブ210はスリーブ着地面220の外部筒状面の上に延在し、図4に示すように、ステント移植片移送システム200が展開前形態にあるときに、肩部212に当接する。第2のすなわち内部スリーブ214が、外部スリーブ210内に配置されている。内部スリーブ214は、下記により詳しく説明するように、そこを通って可動外部継手120が延出する開口を含んでいる。
【0022】
ステント移植片移送システム200はまた、チップ内腔204に結合されて第1のガイドワイヤ220が移送システム200の全長にわたって延在できるようにする内管205を含む。移送システム200には、内管205を取り囲む外管206を含んでもよい。ステント移植片100を移送システム200上に搭載したときに、ステント移植片100の遠位端にストップ208が配置される。ストップ208は、外部スリーブ210と内部スリーブ214を後退させるか、そうでなければ取り除いてスリーブ移植片100を解放する際に、ステント移植片100の長手方向の動きを阻止する。ステント移植片100は圧縮形態すなわち移送形態で外部スリーブ210と内部スリーブ214内に配置されており、ここでステント移植片100の直径は、脈管系を介してこれを挿入できるように縮径される。
【0023】
第2のガイドワイヤ222はステント移植片移送システム200を貫通し、ステント移植片100の内腔116を貫通し、可動外部継手120の内腔130を貫通し、内部スリーブ214と外部スリーブ210との間を、さらにチップ202の溝218を通り外部スリーブ210の遠位端から延出する。管224は、この経路に沿ってガイドワイヤ222を案内するよう配設することができ、移送システム200の近位端部に対し手前側へ管224を延在させることができる。移送形態すなわち圧縮形態で、可動外部継手120は、図4と図6に概略的に図示したように近位側に折り畳むことができる。
【0024】
外部スリーブ210は中空管であり、その中に内腔を画成しており、この内腔の中に外管206と内管204と内部スリーブ214とステント移植片100が移送形態で配置される。外部スリーブ210は、外管206に対し近位端側に移動させられ、すなわち後退させられて、可動外部継手120を解放または展開する。図7は、後退させられた外側スリーブ210と伸長(展開)された可動外部継手120を示す。外部スリーブ210が後退させられた後、内部スリーブ214を例えば引っ張りワイヤあるいは当業者に公知の他の方法を用いて取り除く。従来型の後退内部スリーブ214は、可動外部継手120と干渉することになるため望ましくない。しかしながら、後退させる前に内部スリーブ214を分割させる長手方向スリットを作成する引っ張りストリング(図示せず)を用いることができる。別の選択肢として、可動外部継手120に対して遠位の内部スリーブ214内の脆弱化(脆い)領域(線)を用い、後退している内部スリーブ214が脆弱化領域を可動外部継手120周りに分割されるようにできる。当業者には明白であるように、内部スリーブ214の後退時に可動外部継手120を収容する他の手段を用いることができる。内部スリーブ214の後退により、スリーブ移植片100をその圧縮構成から図8に概略示す展開形態すなわち膨張形態へ展開させることができる。
【0025】
本願明細書に記載したステント移植片移送システム200は、ステント移植片100を移送し展開させるのに用いることのできる移送システムの一例に過ぎず、当業者には公知の他の多くの移送システムを用いうる。例えば、ステント移植片100は標的箇所にあるときに膨張させるバルーン上に装着しうる。他のステント移植片システム、例示であって限定はしないが、いずれも参照によりその全体を本願明細書に組み込む米国特許出願公開第2008/0114442号明細書や同公開第2008/0262590号明細書や米国特許第7,264,632号明細書に記載された移送システムが用いられ、ステント移植片100を移送して展開することができる。
【0026】
図9〜図14は、ステント移植片100を主血管内の標的箇所へ移送する方法と分岐ステント移植片を分岐血管へ移送する方法を概略示している。本願明細書に記載する実施例では、ステント移植片100は大動脈300内に移送され展開される。大動脈300の一部には、上行大動脈302や大動脈弓304や下行大動脈306が含まれる。大動脈弓からの分岐は、腕頭動脈308や左総頸動脈314や左鎖骨下動脈316である。腕頭動脈は、右鎖骨下動脈310と右総頸動脈312内へ分岐している。大動脈弓304の領域内の動脈瘤318は、分岐動脈への血流は維持しなければならないため、ステント移植片を用いて迂回あるいは排除するのが困難である場合がある。
【0027】
図9〜図14に示す実施形態では、動脈瘤は腕頭動脈308に十分近く、したがってステント移植片は腕頭動脈308と心臓との間に延在させねばならない。このような場合、単一の可動外部継手120しか持たないステント移植片100を用い、可動外部継手120を腕頭動脈308内へ展開させて腕頭動脈308を一面に覆うよう設計する。ステント移植片100の挿入処置前に、迂回移植片あるいは血管(図示せず)を組み込む迂回処置を実施し、右総頸動脈312を左総頸動脈314に、また左総頸動脈を左鎖骨下動脈316に接続する。この種の処置はステント移植片挿入の1〜2週間前に実施し、大動脈弓内の動脈瘤318を修復する外科的解決策よりも著しい複雑さおよびリスクを低減することができる。こうして、腕頭動脈308と、したがって右総頸動脈312に対する血流を維持することで、左総頸動脈314と左鎖骨下動脈314に対する血流を維持する。したがって、大動脈弓からのこれらの分岐血管に対する開口(あるいは心門)は、ステント移植片100により遮蔽することができる。別の選択肢として、多数の可動外部継手120をステント移植片100内に配設することができる。さらに、動脈瘤が左総頸動脈314と左鎖骨下動脈316だけに影響を及ぼす場合、左総頸動脈314と左鎖骨下動脈の間の一つの迂回だけを実施する必要があり、そこで単一の可動外部継手120を有するステント移植片を用いて左総頸動脈314を一面に覆うことができる。別の選択肢として、この種の状況下で、2個の可動外部継手を有するステント移植片を前記した分岐血管のそれぞれに1つずつ配設することができる。従って、下記に説明する方法のステント移植片100の実施形態は単一の可動外部継手120を含み、可動外部継手を腕頭動脈308内で展開させるが、多数の可動外部継手を用いることができ、1つ(または複数)の可動外部継手を他の分岐動脈内で展開できることが当業者は理解できる。
【0028】
図9は、下行大動脈306から大動脈弓304を通り上行大動脈302内へ前進させた第1のガイドワイヤ220と、下行大動脈306から大動脈弓304を通り腕頭動脈308内へ前進させた第2のガイドワイヤ222を示す。ガイドワイヤ200,222は通常、当分野で公知であるように、大腿動脈内に挿入され、腹大動脈を通り、胸部大動脈内へ上方に経路誘導される。
【0029】
図10は、ステント移植片100がその中で圧縮され、大動脈弓304内の標的位置までガイドワイヤ220,222上を前進した状態のステント移植片移送システム200を示す。ステント移植片移送システム200および/またはステント移植片100の位置はX線撮影で検証することができ、移送システム200および/またはステント移植片100には当分野で公知のX線不透過性マーカを含むことができる。
【0030】
ステント移植片移送システム200が、ステント移植片100の可動外部継手120が分岐血管内の開口に適切に整列配置される適切な箇所に至った後、外部スリーブ210を近位端側に後退させ、図11に示すように可動外部継手120を解放する。可動外部継手120は、展開後に可動外部継手が本体107に対し圧潰される可能性を低減する螺旋状ステント122に起因する正の外向きの力を提供する。そこで移送システム200を移動させ、可動外部継手を分岐動脈、この場合腕頭動脈308に対しより良好に整列配置することができる。さらに、可動外部継手120の構成が故に、たとえそれが腕頭動脈308に完全に整列配置されていない場合でも、可動外部継手120の頂部はそれが接触する際に移動させることができ、分岐血管の開口内にますます接近移動させ、ステント移植片100全体の移動を強いられることなく、腕頭動脈308にそれを適切に整列配置する。同様に、分岐ガイドワイヤ222に対する張力はワイヤのいずれかの端部を引っ張ることで生成することができる。この張力は、MECの遠位端を主移植片から遠位端側へ分岐血管の内腔の中へ付勢することになる。
【0031】
可動外部継手120が一旦展開され、腕頭動脈308内に位置すると、内部スリーブ214は図8について前述したように後退させられることができ、それによってステント移植片100の主本体を図12に示すように展開することができる。可動外部継手120とステント移植片100を一旦展開されると、移送システム200は取り除かれ得る。第2のガイドワイヤ222は腕頭動脈308内の所定の場所に残留することができ、あるいは別のガイドワイヤと交換されることができる。分岐ステント移植片移送システム404は、図13に示すように、第2のガイドワイヤ222上を腕頭動脈308内へ前進さられる。分岐ステント移植片移送システムは、チップ402とスリーブ(図示せず)とを含み、その中に分岐ステント移植片400を収容している。分岐ステント移植片移送システム404と分岐ステント移植片400は、従来型であってよい。分岐ステント移植片移送システム404は腕頭動脈308内へ前進させ、したがって分岐ステント移植片400の近位端部406が可動外部継手120内部に残留する。スリーブ拘束分岐ステント移植片400をそこで近位端側へ後退させ、それによって移送システム404から分岐ステント移植片400を解放する。移送システム404は、そこで図14に示す如く引き抜く。分岐ステント移植片400の近位端406は、分岐ステント移植片400を膨張させたときに可動外部継手120内に配置されるため、近位端部406は可動外部継手120の頂部126にて括れ(幅狭化し)、可動外部継手120の内面に順応する。
【0032】
図15は、ステント移植片100’の代替実施形態を示す。ステント移植片100’は図1に示したステント移植片100に類似するものであり、同一部分の識別に同一の参照符号を用いている。しかしながら、図15に示した可動外部継手120’はその中に配置する螺旋状ステントを含んでいない。可動外部継手120’は、移植片材料128’と、本体107に結合した基部124’と、頂部126’とを含んでいる。頂部126’は、ステントリング(図示はしていないが、図3に示した螺旋状ステント122の頂部126に類似)を含んでいる。可動外部継手120’ は略截頭円錐形状であるが、基部124’は可動外部継手120に関連して前述のように略楕円形であることができる。ステント移植片100に関連して前述した寸法は、ステント移植片100’には同様に適用可能であり、前記した移送システムならびに方法はステント移植片100’についても同様に用いることができる。
【0033】
本発明になる様々な実施形態を上記に説明してきたが、それらは例示と一例としてのみ提示したものであり、限定ではない。形態と細部における様々な変形が、本発明の趣旨ならびに範囲から逸脱することなく本願明細書において可能であることは、当業者には明白である。本願明細書に記載した各実施形態や本願明細書に引用した各引用文献の各特徴が、他の任意の実施形態の特徴と組み合わせて使用できる。本願明細書で言及した全ての特許ならびに出版物は、参照により本願明細書にその全体を援用する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、腔内医療装置および処置に関し、より詳細には、主移植片を分岐血管移植片に接続する可動外部継手を有する腔内補綴具あるいは移植片に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内には動脈瘤および/または解離が発生することがあり、最も典型的には大動脈と抹消血管内に発生する。関係する大動脈の領域に応じ、動脈瘤は血管の二分岐箇所あるいはそこからより小さな「分岐」動脈が延びる大動脈の一部に延在することがある。様々な種類の大動脈動脈瘤は、動脈瘤の含まれる領域に基づき分類することができる。例えば、胸部大動脈動脈瘤には、上行胸部大動脈や大動脈弓やそこから発する鎖骨下動脈等の分岐動脈中に存在する動脈瘤が含まれ、また下行胸部大動脈や、そこから発する胸部肋骨動脈および/または腎上腹腔動脈、さらにそこから発する腎上、上部腸間膜、腹腔および/または肋間動脈等の分岐動脈等の分岐動脈内に存在する動脈瘤が含まれる。最後に、腹腔動脈動脈瘤には、横隔膜下側の動脈、例えば腎傍動脈やそこから発する腎臓動脈等の分岐動脈に存在する動脈瘤が含まれる。
【0003】
胸部動脈は、多数の動脈分岐を有する。動脈弓はそこから延出する3本の主要な分岐を有しており、それら全てが弓の凸状上面から立ち上がり、上側胸部開口を介して頸部の付け根まで下行する。腕頭動脈は、気管前部に始端を有する。腕頭動脈は2本の分岐、すなわち右鎖骨下動脈(右腕に血液を供給)と右総頸動脈(頭部と頸部の右側に血液を供給)とに分れる。左総頸動脈は、動脈弓からまさに腕頭動脈の始端左側に立ち上がる。左総頸動脈は、頭部と頸部の左側に血液を供給する。大動脈弓から立ち上がる第3の分岐、すなわち左鎖骨下動脈は、左総頸動脈始端の背後から左側に発し、左腕に血液を供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大動脈弓の胸部動脈瘤を有する患者に対し、大動脈を置換する手術を施すことがあり、この場合、大動脈は人工心肺を用いる手術で織物代用品を用いて置換される。このような場合、大動脈の動脈瘤部分を除去するか切開して、動脈瘤部分を横断して代替管状体を縫合する。この種の手術は極めて侵襲性が高く、長い回復期間を必要とし、それ故に虚弱体質あるいは他の禁忌的要因を抱える患者に施すことはできない。
【0005】
別の選択肢として、大動脈の動脈瘤領域を、管状排除デバイスの使用、例えば血管の動脈瘤部分にまたがる血管内部に配置したステント移植片により迂回させ、動脈瘤部分が大動脈を流れる血液にそれ以上さらされないよう封止することができる。通常は患者の鼠径部領域内の切開を介して動脈瘤内に導入する特別なカテーテルを用い、ステント移植片は胸部切開を用いることなく移植されることができる。大動脈あるいは流管状体内部で動脈瘤箇所を内部迂回するステント移植片の使用もまた、問題が無いわけではない。特に、胸部の一箇所にステント移植片を使用する場合、肝心の分岐動脈がステント移植片によって覆われたり閉塞されたりせず、しかもステント移植片を大動脈壁に対し封止し、動脈瘤箇所を通過して血液が流れる流体導管を提供するよう配慮しなければならない。動脈瘤が分岐動脈に直に隣接して位置する場合、大動脈から分岐動脈の始端の位置を横断して部分的あるいは全体的に延在する位置においてステント移植片を展開させ、動脈壁に対するステント移植片の封止を確実にする必要がある。
【0006】
側枝に対応するため、その側壁の穿孔または開口を有する主血管ステント移植片を利用することができる。主血管ステント移植片は、展開後に穿孔を分岐血管の小孔に整列配置するよう位置決めする。使用時、側方分岐への血流をブロックまたは規制しないようにすべく主血管内で穿孔すなわち開口が配向されかつ配置されるように、1または2以上の側方開口を有するステント移植片の近位端部が位置決めされ且つ適所に配置される。穿孔それ自体は、隣接する側分岐動脈内へ血液を流動させることのできる1つ(または複数)の個別導管を形成せず、あるいは含まない。その結果、動脈移植片の外面と、穿孔を囲繞する移植片の端部と隣接血管壁との間の囲繞動脈壁との間の空間内への血液の漏洩が発生しがちとなる。同様の血液漏洩は、移植後移動すなわちステント移植片の動きから発生し、1つ(または複数)の穿孔と1つ(または複数)の分岐動脈の不整列を引き起こすことがあり、そのことがまた1つ(または複数)の分岐動脈内への欠陥流に帰結することがある。
【0007】
一部事例では、主血管ステント移植片はしばしば分岐移植ステント片と呼ばれる他のステント移植片による補助を受ける。分岐移植片は穿孔を介して分岐血管内へ配置され、分岐血管内への血流のための導管を提供する。分岐ステント移植片は、不要な漏洩をその場で防止するため、主移植片に対し好ましくは密封接続する。分岐移植片と主移植片との間のこの接続をその場で効果的に作成するのは困難なようであり、漏洩の可能性のある箇所となる。
【0008】
一部事例では、分岐移植片延長部(ステント移植片)は主ステント移植片に組み込まれている。このような分岐移植片延長部は移送用に主ステント移植片に対し折り畳むかあるいは圧潰させ、複雑な手順を必要とし、分岐延長部を分岐血管内へ導き、続いて膨張させるのに多くのスリーブとガイドワイヤとを必要とする。さらに、一部事例では、この分岐ステント移植片は、その折り畳みあるいは圧潰した形状に復元しがちであり、したがって、妨害がない流路を分岐血管に対し提供しない。
【0009】
したがって、当分野には、動脈等の主血管から動脈弓の分岐血管等の対応する分岐血管へ流れを導く改善の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
血管内補綴具の一実施形態は、管状本体と可動外部継手とを含む。管状本体は、移植片材料とそこに結合するステントとそこを貫通する内腔形状とを含む。可動外部継手は、管状本体から外方へ延在する。可動外部継手は移植片材料を含み、一般的に截頭円錐形状である。可動外部継手は、管状本体に結合した基部と、管状本体から離間する頂部と、基部と頂部の間に配置される結合本体とを含み、結合内腔は本体内腔と流体連通する。螺旋形状ステントは、結合移植片材料に結合され得る。可動外部継手の構成が、分岐血管補綴具に対する補綴具の結合に対する可撓性をもたらす。
【0011】
血管内補綴具の移送および展開方法では、主補綴具は圧縮形状にて主血管内の標的位置へ移送されるため、一般的に可動外部継手は分岐血管に整列配置される。スリーブが後退させられ、可動外部継手が露出する。可動外部継手を分岐血管により良く整列させるため、その位置に対する微妙な調整が必要となることがある。管状本体が展開され、これが圧縮構成から膨張構成に拡張する。分岐血管補綴具は、圧縮形状にて分岐血管へ移送することができる。分岐血管補綴具は、この分岐血管補綴具を径方向に膨張形状へ膨張させ、分岐血管の一部の外面を可動外部継手の一部の内面に当接させるよう展開させることができる。
【0012】
本発明になる実施形態の前述ならびに他の特徴は、添付図面に例示した下記の説明から明らかとなろう。添付図面は、本願明細書に組み込まれて明細書の一部を形成し、さらに実施形態の原理の説明に役立ち、当業者が本願明細書に記述する実施形態を作成し使用できるようにする。図面は、実寸ではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による腔内ステント移植片の概略側面図である。
【図2】図1のステント移植片の一部の概略拡大図である。
【図3】図1のステント移植片の可動外部継手のステント部分の概略図である。
【図4】図1のステント移植片移送装置の概略図である。
【図5】図4のステント移植片装置の概略斜視図である。
【図6】ステント移植片の一部とステント移植片移送装置の一部の概略図である。
【図7】外筒を後退させた際の図4のステント移植片移送装置を示す概略図である。
【図8】外筒を後退させた際の図4のステント移植片移送装置を示す概略図である。
【図9】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図10】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図11】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図12】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図13】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図14】外筒を後退させた際の図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程を示す概略図である。
【図15】本発明の別の実施形態によるステント移植片の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
具体的な実施形態を、図面を参照して説明するが、同様の参照符号は同一のあるいは機能的に類似する要素を示す。特段指示しない限り、移送システムでは、下記の説明で用いられる用語「遠位端」と「近位端」は処置臨床医に対する位置または方向に関して、用いられる。「遠位端」あるいは「遠位端側」は臨床医から離れた位置あるいは離間する方向にあることであり、「近位端」あるいは「近位端側」は臨床医に近い位置あるいは接近する方向にあることである。ステント移植片装置にとって近位端は血流路を介して心臓により近い部分であり、一方で遠位端は血流路を介して心臓から遠いステント移植片の部分である。
【0015】
図1〜図3を参照すると、ステント移植片100は大動脈等の血管内に配置するように構成されている。ステント移植片100は、ステント104に結合された移植片材料102を含んでいる。移植片材料102は、縫合部110あるいは当業者が熟知する他の手段を用いてステント104に結合することができる。図1〜図3に示す実施形態では、ステント104は移植片材料102の外側の表面に結合されている。しかしながら、ステント104は代替的には移植片材料102の内面に結合され得る。移植片材料102は任意の適当な移植片材料、例えばポリエステル織布、DACRON材料、膨張ポリ四フッ化エチレン、ポリウレタン、シリコーンまたは他の適切な材料とすることができるがこれに限らない。ステント104は、任意の従来のステント材料あるいは構成であることができる。図示のように、ステント104は好ましくは、熱処理ステンレス鋼やニッケルチタン合金(ニチノール)等の形状記憶材料から作成され、ジグザグ形状に形成される。ステント移植片100は、近位端106と遠位端108とその間の本体107を含む。近位端ステント112と遠位端ステント114は図示の如く移植片材料102外部に延在し、当分野ではアンカーステントあるいはクラウンステントと一般に記述されることもある。本体107は、そこを貫通して配置された内腔116を有する。ステント移植片100はさらに、下記に詳しく説明する可動外部継手120を含む。可動外部継手120を除き、ステント移植片100はMedtronic, Inc.社のVALIANT(登録商標)胸部ステント移植片あるいは他の公知のステント移植片に類似させることができる。
【0016】
可動外部継手120は、移植片材料102の開口でステント移植片100の外側表面に配置される。可動外部継手120は、略截頭円錐形状をなす。可動外部継手120は、螺旋状ステント122に結合された移植片材料128を含む。移植片材料128は、好ましくは本体107の移植片材料102と同種の移植片材料であり、好ましくは移植片材料102の連続体であるが、移植片材料128は移植片材料102に取付けられた別個の移植片材料片とすることができる。可動外部継手120とステント122は、基部124と頂部126とを含む。可動外部継手120を略截頭円錐形状として記述したが、基部124は好ましくは円形ではなく略楕円形である。基部124は、例示であって限定ではなく、ほぼ20〜30mmの長軸とほぼ15〜20mmの短軸とを有する。さらに、可動外部継手120の高さはほぼ10〜15mmとすることができる。さらに、可動外部継手の頂部126の直径は、大動脈と左総頸動脈の接合部や大動脈と左鎖骨下大動脈の接合部に使用する場合、ほぼ6〜9mmとすることができる。可動外部継手120を大動脈と腕頭大動脈の接合部に使用する場合、頂部126の直径はほぼ8〜12mmとすることができる。
【0017】
可動外部継手120のステント122は略螺旋状であり、截頭円錐形状の外観を作成するように構成されているため、底部124が図3に概略的に示されているように頂部124よりも大きな直径を有する。ステント122は、縫合部(例えば、110)あるいは他の同様の結合手段を用いて移植片材料128に結合される。ステント122は、好ましくはニチノール等の形状記憶材料から作成される。ステント122は、主本体ステント104と同じ材料から作成されることができ、あるいは異なる材料から作成されることもできる。例えば、ステント104はバルーン膨張型であり、ステント122は自力膨張型である。好ましくは、ステント104とステント122はニチノール等の形状記憶材料から作成され、自力膨張型である。
【0018】
可動外部継手120の頂部が移動できるので、可動外部継手120により、ステント移植片100を分岐血管に整列配置するとき相当の可撓性が提供される。この可動性は可動外部継手120の形状に起因するものであり、可動外部継手120の形成時に、いくらかの過剰移植片材料128を用いることでさらに改善することができる。したがって、ステント移植片100が分岐血管に完全に整列配置されていない場合、可動外部継手120の頂部126は移動あるいはシフトされ、可動外部継手120が分岐血管内に延びるようにできる。さらに、形状記憶螺旋状ステント122に蓄積された力のため、可動外部継手120は標的箇所への移送期間中にスリーブから解放されたときにステント移植片100の本体107から飛び出す。このことが、移送システムから解放された際に可動外部継手120の瘤状化あるいは圧潰を阻止する。
【0019】
図4〜図8は、ステント移植片100を血管内の標的位置に移送するのに用いることのできる移送システムの一例を示す。図4は、その中にステント移植片100を有するステント移植片移送システム200の概略的な部分断面図である。ステント移送システム200は、可撓性で密着した蛇行性血管内での追従性を提供することができる先細チップ202を含む。弾丸形状チップ等の他のチップ形状もまた使用しうる。チップ202は、第1のガイドワイヤ220を収容するためにその中に貫通配置された内腔204を含む。
【0020】
先細チップ202は、遠位端方向に漸次縮径する先細の外面216を含む。より具体的には、先細の外面216は近位端に第1の直径を有し、遠位端方向、すなわちオペレータから離間する方向に漸次縮径する。先細の外面216はさらに、図5に最もよく示されているように、第2のガイドワイヤ222を収容する溝218を含む。肩部212は、チップ202の近位端部の直径を縮径し、スリーブ着地面226を提供する。肩部212は略環状であり、ステント移植片移送システム200の長手方向軸に直交する。
【0021】
ステント移植片移送システム200の第1のすなわち外部スリーブ210はスリーブ着地面220の外部筒状面の上に延在し、図4に示すように、ステント移植片移送システム200が展開前形態にあるときに、肩部212に当接する。第2のすなわち内部スリーブ214が、外部スリーブ210内に配置されている。内部スリーブ214は、下記により詳しく説明するように、そこを通って可動外部継手120が延出する開口を含んでいる。
【0022】
ステント移植片移送システム200はまた、チップ内腔204に結合されて第1のガイドワイヤ220が移送システム200の全長にわたって延在できるようにする内管205を含む。移送システム200には、内管205を取り囲む外管206を含んでもよい。ステント移植片100を移送システム200上に搭載したときに、ステント移植片100の遠位端にストップ208が配置される。ストップ208は、外部スリーブ210と内部スリーブ214を後退させるか、そうでなければ取り除いてスリーブ移植片100を解放する際に、ステント移植片100の長手方向の動きを阻止する。ステント移植片100は圧縮形態すなわち移送形態で外部スリーブ210と内部スリーブ214内に配置されており、ここでステント移植片100の直径は、脈管系を介してこれを挿入できるように縮径される。
【0023】
第2のガイドワイヤ222はステント移植片移送システム200を貫通し、ステント移植片100の内腔116を貫通し、可動外部継手120の内腔130を貫通し、内部スリーブ214と外部スリーブ210との間を、さらにチップ202の溝218を通り外部スリーブ210の遠位端から延出する。管224は、この経路に沿ってガイドワイヤ222を案内するよう配設することができ、移送システム200の近位端部に対し手前側へ管224を延在させることができる。移送形態すなわち圧縮形態で、可動外部継手120は、図4と図6に概略的に図示したように近位側に折り畳むことができる。
【0024】
外部スリーブ210は中空管であり、その中に内腔を画成しており、この内腔の中に外管206と内管204と内部スリーブ214とステント移植片100が移送形態で配置される。外部スリーブ210は、外管206に対し近位端側に移動させられ、すなわち後退させられて、可動外部継手120を解放または展開する。図7は、後退させられた外側スリーブ210と伸長(展開)された可動外部継手120を示す。外部スリーブ210が後退させられた後、内部スリーブ214を例えば引っ張りワイヤあるいは当業者に公知の他の方法を用いて取り除く。従来型の後退内部スリーブ214は、可動外部継手120と干渉することになるため望ましくない。しかしながら、後退させる前に内部スリーブ214を分割させる長手方向スリットを作成する引っ張りストリング(図示せず)を用いることができる。別の選択肢として、可動外部継手120に対して遠位の内部スリーブ214内の脆弱化(脆い)領域(線)を用い、後退している内部スリーブ214が脆弱化領域を可動外部継手120周りに分割されるようにできる。当業者には明白であるように、内部スリーブ214の後退時に可動外部継手120を収容する他の手段を用いることができる。内部スリーブ214の後退により、スリーブ移植片100をその圧縮構成から図8に概略示す展開形態すなわち膨張形態へ展開させることができる。
【0025】
本願明細書に記載したステント移植片移送システム200は、ステント移植片100を移送し展開させるのに用いることのできる移送システムの一例に過ぎず、当業者には公知の他の多くの移送システムを用いうる。例えば、ステント移植片100は標的箇所にあるときに膨張させるバルーン上に装着しうる。他のステント移植片システム、例示であって限定はしないが、いずれも参照によりその全体を本願明細書に組み込む米国特許出願公開第2008/0114442号明細書や同公開第2008/0262590号明細書や米国特許第7,264,632号明細書に記載された移送システムが用いられ、ステント移植片100を移送して展開することができる。
【0026】
図9〜図14は、ステント移植片100を主血管内の標的箇所へ移送する方法と分岐ステント移植片を分岐血管へ移送する方法を概略示している。本願明細書に記載する実施例では、ステント移植片100は大動脈300内に移送され展開される。大動脈300の一部には、上行大動脈302や大動脈弓304や下行大動脈306が含まれる。大動脈弓からの分岐は、腕頭動脈308や左総頸動脈314や左鎖骨下動脈316である。腕頭動脈は、右鎖骨下動脈310と右総頸動脈312内へ分岐している。大動脈弓304の領域内の動脈瘤318は、分岐動脈への血流は維持しなければならないため、ステント移植片を用いて迂回あるいは排除するのが困難である場合がある。
【0027】
図9〜図14に示す実施形態では、動脈瘤は腕頭動脈308に十分近く、したがってステント移植片は腕頭動脈308と心臓との間に延在させねばならない。このような場合、単一の可動外部継手120しか持たないステント移植片100を用い、可動外部継手120を腕頭動脈308内へ展開させて腕頭動脈308を一面に覆うよう設計する。ステント移植片100の挿入処置前に、迂回移植片あるいは血管(図示せず)を組み込む迂回処置を実施し、右総頸動脈312を左総頸動脈314に、また左総頸動脈を左鎖骨下動脈316に接続する。この種の処置はステント移植片挿入の1〜2週間前に実施し、大動脈弓内の動脈瘤318を修復する外科的解決策よりも著しい複雑さおよびリスクを低減することができる。こうして、腕頭動脈308と、したがって右総頸動脈312に対する血流を維持することで、左総頸動脈314と左鎖骨下動脈314に対する血流を維持する。したがって、大動脈弓からのこれらの分岐血管に対する開口(あるいは心門)は、ステント移植片100により遮蔽することができる。別の選択肢として、多数の可動外部継手120をステント移植片100内に配設することができる。さらに、動脈瘤が左総頸動脈314と左鎖骨下動脈316だけに影響を及ぼす場合、左総頸動脈314と左鎖骨下動脈の間の一つの迂回だけを実施する必要があり、そこで単一の可動外部継手120を有するステント移植片を用いて左総頸動脈314を一面に覆うことができる。別の選択肢として、この種の状況下で、2個の可動外部継手を有するステント移植片を前記した分岐血管のそれぞれに1つずつ配設することができる。従って、下記に説明する方法のステント移植片100の実施形態は単一の可動外部継手120を含み、可動外部継手を腕頭動脈308内で展開させるが、多数の可動外部継手を用いることができ、1つ(または複数)の可動外部継手を他の分岐動脈内で展開できることが当業者は理解できる。
【0028】
図9は、下行大動脈306から大動脈弓304を通り上行大動脈302内へ前進させた第1のガイドワイヤ220と、下行大動脈306から大動脈弓304を通り腕頭動脈308内へ前進させた第2のガイドワイヤ222を示す。ガイドワイヤ200,222は通常、当分野で公知であるように、大腿動脈内に挿入され、腹大動脈を通り、胸部大動脈内へ上方に経路誘導される。
【0029】
図10は、ステント移植片100がその中で圧縮され、大動脈弓304内の標的位置までガイドワイヤ220,222上を前進した状態のステント移植片移送システム200を示す。ステント移植片移送システム200および/またはステント移植片100の位置はX線撮影で検証することができ、移送システム200および/またはステント移植片100には当分野で公知のX線不透過性マーカを含むことができる。
【0030】
ステント移植片移送システム200が、ステント移植片100の可動外部継手120が分岐血管内の開口に適切に整列配置される適切な箇所に至った後、外部スリーブ210を近位端側に後退させ、図11に示すように可動外部継手120を解放する。可動外部継手120は、展開後に可動外部継手が本体107に対し圧潰される可能性を低減する螺旋状ステント122に起因する正の外向きの力を提供する。そこで移送システム200を移動させ、可動外部継手を分岐動脈、この場合腕頭動脈308に対しより良好に整列配置することができる。さらに、可動外部継手120の構成が故に、たとえそれが腕頭動脈308に完全に整列配置されていない場合でも、可動外部継手120の頂部はそれが接触する際に移動させることができ、分岐血管の開口内にますます接近移動させ、ステント移植片100全体の移動を強いられることなく、腕頭動脈308にそれを適切に整列配置する。同様に、分岐ガイドワイヤ222に対する張力はワイヤのいずれかの端部を引っ張ることで生成することができる。この張力は、MECの遠位端を主移植片から遠位端側へ分岐血管の内腔の中へ付勢することになる。
【0031】
可動外部継手120が一旦展開され、腕頭動脈308内に位置すると、内部スリーブ214は図8について前述したように後退させられることができ、それによってステント移植片100の主本体を図12に示すように展開することができる。可動外部継手120とステント移植片100を一旦展開されると、移送システム200は取り除かれ得る。第2のガイドワイヤ222は腕頭動脈308内の所定の場所に残留することができ、あるいは別のガイドワイヤと交換されることができる。分岐ステント移植片移送システム404は、図13に示すように、第2のガイドワイヤ222上を腕頭動脈308内へ前進さられる。分岐ステント移植片移送システムは、チップ402とスリーブ(図示せず)とを含み、その中に分岐ステント移植片400を収容している。分岐ステント移植片移送システム404と分岐ステント移植片400は、従来型であってよい。分岐ステント移植片移送システム404は腕頭動脈308内へ前進させ、したがって分岐ステント移植片400の近位端部406が可動外部継手120内部に残留する。スリーブ拘束分岐ステント移植片400をそこで近位端側へ後退させ、それによって移送システム404から分岐ステント移植片400を解放する。移送システム404は、そこで図14に示す如く引き抜く。分岐ステント移植片400の近位端406は、分岐ステント移植片400を膨張させたときに可動外部継手120内に配置されるため、近位端部406は可動外部継手120の頂部126にて括れ(幅狭化し)、可動外部継手120の内面に順応する。
【0032】
図15は、ステント移植片100’の代替実施形態を示す。ステント移植片100’は図1に示したステント移植片100に類似するものであり、同一部分の識別に同一の参照符号を用いている。しかしながら、図15に示した可動外部継手120’はその中に配置する螺旋状ステントを含んでいない。可動外部継手120’は、移植片材料128’と、本体107に結合した基部124’と、頂部126’とを含んでいる。頂部126’は、ステントリング(図示はしていないが、図3に示した螺旋状ステント122の頂部126に類似)を含んでいる。可動外部継手120’ は略截頭円錐形状であるが、基部124’は可動外部継手120に関連して前述のように略楕円形であることができる。ステント移植片100に関連して前述した寸法は、ステント移植片100’には同様に適用可能であり、前記した移送システムならびに方法はステント移植片100’についても同様に用いることができる。
【0033】
本発明になる様々な実施形態を上記に説明してきたが、それらは例示と一例としてのみ提示したものであり、限定ではない。形態と細部における様々な変形が、本発明の趣旨ならびに範囲から逸脱することなく本願明細書において可能であることは、当業者には明白である。本願明細書に記載した各実施形態や本願明細書に引用した各引用文献の各特徴が、他の任意の実施形態の特徴と組み合わせて使用できる。本願明細書で言及した全ての特許ならびに出版物は、参照により本願明細書にその全体を援用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と遠位端および前記近位端と遠位端の間に位置する内腔とを有する管状本体であって、本体移植片材料とこの本体移植片材料に結合された複数ステントとを含む前記管状本体と、
前記管状本体から外方へ延出する可動外部継手であって、略截頭円錐形状をなし、前記管状本体に結合した基部と、該管状本体から離間する頂部と、基部と頂部の間に配置された結合内腔とを含み、前記結合内腔は前記本体内腔と流体連通しており、さらに前記継手が結合移植片材料と前記結合移植片材料に結合した螺旋形状ステントとを含む前記可動外部継手とを備える、
ことを特徴とする血管内補綴具。
【請求項2】
前記結合移植片材料は前記本体移植片材料の延長である、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項3】
前記結合移植片は、縫合を用いて前記本体移植片材料に取付けた、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項4】
前記基部は略楕円形状であり、前記頂部は略円形形状である、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項5】
前記基部は20〜30mmの範囲の長軸と15〜20mmの範囲の短軸とを含む、
請求項4に記載の補綴具。
【請求項6】
前記頂部は、6〜9mmの範囲の直径を含む、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項7】
前記螺旋形状ステントは形状記憶材料から作成される、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項8】
前記形状記憶材料はニッケルチタン合金である、
請求項7に記載の補綴具。
【請求項9】
主血管内に配置する構成の主補綴具であって、管状本体と可動外部継手とを含み、該管状本体が近位端と遠位端および前記近位端と遠位端の間に位置する本体内腔と本体移植片材料とを有し、前記可動外部継手が前記管状本体から外方へ延出し、さらに前記可動外部継手が略截頭円錐形状の結合移植片材料を含み、前記結合移植片材料に螺旋形状ステントが結合して、本体内腔に流体連通する結合内腔を含む前記主補綴具と、
前記主血管から延出する分岐血管内に配置する構成の分岐補綴具で、前記可動外部継手の内面に当接する外面を含む分岐補綴具と、を備え、
前記可動外部継手が、前記管状本体に結合した基部と、前記管状本体から離間された頂部とを含み、前記可動外部継手の遠位端部が前記分岐補綴具の近位端部と重複する、
ことを特徴とする主補綴具と分岐補綴具組立体。
【請求項10】
前記基部は略楕円形状であり、前記頂部は略円形形状である、
請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
前記基部は、20〜30mmの範囲の長軸と15〜20mmの範囲の短軸とを含む、
請求項10に記載の補綴具。
【請求項12】
前記頂部は、6〜9mmの範囲の直径を含む、
請求項9に記載の補綴具。
【請求項13】
前記螺旋形状ステントは形状記憶材料から作成される、
請求項12に記載の補綴具。
【請求項14】
前記形状記憶材料はニッケルチタン合金である、
請求項13に記載の補綴具。
【請求項15】
主血管と分岐血管の接合部近傍の標的位置の動脈瘤を排除する方法であって、
圧縮構成にある主補綴具を主血管内の標的位置へ移送することであって、前記主補綴具が管状本体と可動外部継手とを含み、螺旋形状ステントが結合移植片材料に結合されており、前記管状本体が近位端と遠位端と前記近位端と遠位端との間に配置した本体内腔と本体移植片材料とを含む前記工程と、第1のスリーブを後退させ、前記可動外部継手を露出させることと、
前記可動外部継手を前記分岐血管に整列配置することと、
前記管状本体を展開し、該管状本体が圧縮構成から膨張構成へ膨張するようにすることというステップを含み、
前記管状本体を前記主血管内に配置し、前記可動外部継手を前記分岐血管内に伸長させ、該可動外部継手を前記管状本体から外方へ延出させ、前記可動外部継手が略截頭円錐形状の結合移植片材料と前記本体内腔に流体連通する結合内腔を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
圧縮構成にある分岐血管補綴具を前記分岐血管に移送する工程と、前記分岐血管補綴具を展開し、該分岐血管補綴具を径方向に膨張構成まで膨張させ、前記分岐血管補綴具の一部の外面を前記可動外部継手の一部の内面に当接させるようにする工程とをさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記可動外部継手は、前記管状本体に結合した基部と前記管状本体から離間された頂部とを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記基部は略楕円形状であり、前記頂部は略円形形状である、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
20〜30mmの範囲の長軸と15〜20mmの範囲の短軸とを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記頂部は、8〜12mmの範囲の直径を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記螺旋形状ステントは形状記憶材料から作成する、
請求項15に記載の補綴具。
【請求項22】
前記形状記憶材料はニッケルチタン合金である、
請求項21に記載の補綴具。
【請求項23】
主血管は大動脈弓である、
請求項15に記載の方法。
【請求項1】
近位端と遠位端および前記近位端と遠位端の間に位置する内腔とを有する管状本体であって、本体移植片材料とこの本体移植片材料に結合された複数ステントとを含む前記管状本体と、
前記管状本体から外方へ延出する可動外部継手であって、略截頭円錐形状をなし、前記管状本体に結合した基部と、該管状本体から離間する頂部と、基部と頂部の間に配置された結合内腔とを含み、前記結合内腔は前記本体内腔と流体連通しており、さらに前記継手が結合移植片材料と前記結合移植片材料に結合した螺旋形状ステントとを含む前記可動外部継手とを備える、
ことを特徴とする血管内補綴具。
【請求項2】
前記結合移植片材料は前記本体移植片材料の延長である、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項3】
前記結合移植片は、縫合を用いて前記本体移植片材料に取付けた、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項4】
前記基部は略楕円形状であり、前記頂部は略円形形状である、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項5】
前記基部は20〜30mmの範囲の長軸と15〜20mmの範囲の短軸とを含む、
請求項4に記載の補綴具。
【請求項6】
前記頂部は、6〜9mmの範囲の直径を含む、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項7】
前記螺旋形状ステントは形状記憶材料から作成される、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項8】
前記形状記憶材料はニッケルチタン合金である、
請求項7に記載の補綴具。
【請求項9】
主血管内に配置する構成の主補綴具であって、管状本体と可動外部継手とを含み、該管状本体が近位端と遠位端および前記近位端と遠位端の間に位置する本体内腔と本体移植片材料とを有し、前記可動外部継手が前記管状本体から外方へ延出し、さらに前記可動外部継手が略截頭円錐形状の結合移植片材料を含み、前記結合移植片材料に螺旋形状ステントが結合して、本体内腔に流体連通する結合内腔を含む前記主補綴具と、
前記主血管から延出する分岐血管内に配置する構成の分岐補綴具で、前記可動外部継手の内面に当接する外面を含む分岐補綴具と、を備え、
前記可動外部継手が、前記管状本体に結合した基部と、前記管状本体から離間された頂部とを含み、前記可動外部継手の遠位端部が前記分岐補綴具の近位端部と重複する、
ことを特徴とする主補綴具と分岐補綴具組立体。
【請求項10】
前記基部は略楕円形状であり、前記頂部は略円形形状である、
請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
前記基部は、20〜30mmの範囲の長軸と15〜20mmの範囲の短軸とを含む、
請求項10に記載の補綴具。
【請求項12】
前記頂部は、6〜9mmの範囲の直径を含む、
請求項9に記載の補綴具。
【請求項13】
前記螺旋形状ステントは形状記憶材料から作成される、
請求項12に記載の補綴具。
【請求項14】
前記形状記憶材料はニッケルチタン合金である、
請求項13に記載の補綴具。
【請求項15】
主血管と分岐血管の接合部近傍の標的位置の動脈瘤を排除する方法であって、
圧縮構成にある主補綴具を主血管内の標的位置へ移送することであって、前記主補綴具が管状本体と可動外部継手とを含み、螺旋形状ステントが結合移植片材料に結合されており、前記管状本体が近位端と遠位端と前記近位端と遠位端との間に配置した本体内腔と本体移植片材料とを含む前記工程と、第1のスリーブを後退させ、前記可動外部継手を露出させることと、
前記可動外部継手を前記分岐血管に整列配置することと、
前記管状本体を展開し、該管状本体が圧縮構成から膨張構成へ膨張するようにすることというステップを含み、
前記管状本体を前記主血管内に配置し、前記可動外部継手を前記分岐血管内に伸長させ、該可動外部継手を前記管状本体から外方へ延出させ、前記可動外部継手が略截頭円錐形状の結合移植片材料と前記本体内腔に流体連通する結合内腔を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
圧縮構成にある分岐血管補綴具を前記分岐血管に移送する工程と、前記分岐血管補綴具を展開し、該分岐血管補綴具を径方向に膨張構成まで膨張させ、前記分岐血管補綴具の一部の外面を前記可動外部継手の一部の内面に当接させるようにする工程とをさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記可動外部継手は、前記管状本体に結合した基部と前記管状本体から離間された頂部とを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記基部は略楕円形状であり、前記頂部は略円形形状である、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
20〜30mmの範囲の長軸と15〜20mmの範囲の短軸とを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記頂部は、8〜12mmの範囲の直径を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記螺旋形状ステントは形状記憶材料から作成する、
請求項15に記載の補綴具。
【請求項22】
前記形状記憶材料はニッケルチタン合金である、
請求項21に記載の補綴具。
【請求項23】
主血管は大動脈弓である、
請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−523906(P2012−523906A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506057(P2012−506057)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/029486
【国際公開番号】WO2010/120548
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511126109)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/029486
【国際公開番号】WO2010/120548
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511126109)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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