説明

分岐装置及び分岐方法

【課題】分岐工事の作業にかかる手間を抑制する分岐装置を提供すること。
【解決手段】流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる分岐装置は、流路を流れる流体を分岐させる分岐開口部3と、流体管の非分岐状態において分岐開口部3を内方から閉塞している閉塞位置に保持されている栓体9と、栓体9を、閉塞位置、及び栓体9が分岐開口部3を内方から閉塞しない退避位置の間で往復移動可能な移動操作部と、を備えることで、流体管の非分岐状態において分岐開口部3からの流体の流れを閉止するために分岐開口部3に外方から取付ける封止手段を特段に設けることなく栓体9で代用できるばかりか、従来のように、別段の制水弁を流体管に取付ける作業や制水弁の開閉作業を行うことなく、不断流状態で流体を分岐させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる分岐装置及び分岐方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分岐装置は、主に、栓体により閉鎖される流体管の分岐開口部に着脱自在であって端部に蓋体を有する制水弁と、蓋体に挿通された移動操作部と、から構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
分岐工事の際、先ず、分岐開口部に制水弁を取付け、制水弁を開状態で移動操作部を栓体と係合させる。そして、移動操作部と係合している栓体を蓋体側に移動した後に、制水弁を閉状態にする。次いで、制水弁から蓋体を取外して制水弁に分岐路部材を連結し、制水弁を開状態にすることで、流体管の流路を流れる流体が不断流状態で分岐される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−332489号公報(第4頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1に記載の分岐装置にあっては、分岐工事の際に、制水弁を流体管に取付ける作業や制水弁の開閉作業を行う必要があるため、分岐工事の作業に手間がかかってしまう虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、分岐工事の作業にかかる手間を抑制する分岐装置及び分岐方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の分岐装置は、
流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる分岐装置であって、
前記流路を流れる流体を分岐させる分岐開口部と、
前記流体管の非分岐状態において前記分岐開口部を内方から閉塞している閉塞位置に保持されている栓体と、
前記栓体を、前記閉塞位置、及び該栓体が前記分岐開口部を内方から閉塞しない退避位置の間で往復移動可能な移動操作部と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、栓体は、移動操作部により、栓体が分岐開口部を内方から閉塞している閉塞位置、及び栓体が分岐開口部を内方から閉塞しない退避位置の間で往復移動可能になっていることで、流体管の非分岐状態において分岐開口部からの流体の流れを閉止するために分岐開口部に外方から取付ける封止手段を特段に設けることなく栓体で代用できるばかりか、分岐開口部に流路から流体を分岐させるための部材を取付けた後に、栓体を閉塞位置から退避位置に移動することで、従来のように、別段の制水弁を流体管に取付ける作業や制水弁の開閉作業を行うことなく、不断流状態で流体を分岐させることができ、更に、栓体を退避位置から閉塞位置に移動することで、流体を流体管の流路のみに流す状態に戻すこともできる。
【0008】
本発明の分岐装置は、
前記栓体は、前記移動操作部の略直線運動により、前記閉塞位置及び前記退避位置の間で移動することを特徴としている。
この特徴によれば、移動操作部を略直線運動させるだけで、栓体を閉塞位置及び退避位置の間で容易に移動させることができる。
【0009】
本発明の分岐装置は、
前記閉塞位置に位置している栓体には、該栓体を前記閉塞位置に保持する保持部材が前記流路の外部から着脱可能に取付けられることを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞位置に位置している栓体に、栓体を閉塞位置に保持する保持部材が流路の外部から着脱可能に取付けられることで、流体管の非分岐状態において栓体により分岐開口部が内方から閉塞されている状態を確実に保持することができる。
【0010】
本発明の分岐装置は、
前記移動操作部は、前記流路の外部と通じる操作開口部を介して前記流路の外部から操作され、前記栓体と着脱可能に取付けられることを特徴としている。
この特徴によれば、移動操作部が栓体と着脱可能に取付けられることで、流体を不断流状態で分岐させるときのみに移動操作部を栓体に取付けて操作開口部を介して流路の外部から操作することができる。
【0011】
本発明の分岐装置は、
前記移動操作部は、回動操作される回動軸部を有しており、
前記回動軸部の回動操作により、前記移動操作部と前記栓体とが着脱可能に切替えられることを特徴としている。
この特徴によれば、回動軸部の回動操作を行うだけで、移動操作部と栓体との取付けまたはその解除を容易に行うことができる。
【0012】
本発明の分岐装置は、
前記流体管には、前記分岐開口部、前記操作開口部、及び前記栓体が設けられる分岐ユニットが備えられることを特徴としている。
この特徴によれば、流体管に、分岐開口部、操作開口部、及び栓体が設けられる分岐ユニットを装備することで、流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる際に、分岐開口部、操作開口部、及び栓体を個別に加工して施工する必要がない。
【0013】
前記課題を解決するために、本発明の分岐方法は、
流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる分岐方法であって、
栓体が前記流路を流れる流体を分岐させる分岐開口部を内方から閉塞している閉塞位置に位置している栓体閉塞段階と、
前記栓体閉塞段階の後に、前記分岐開口部に前記流路を流れる流体を分岐させるための分岐路部材を取付け、その後、前記栓体を、移動操作部により移動させ、前記栓体が前記分岐開口部を内方から閉塞しない退避位置に位置している栓体退避段階と、から成ることを特徴としている。
この特徴によれば、栓体が流路を流れる流体を分岐させる分岐開口部を内方から閉塞している閉塞位置に位置している栓体閉塞段階と、栓体閉塞段階の後に、分岐開口部に流路を流れる流体を分岐させるための分岐路部材を取付け、その後、栓体を、移動操作部により移動させ、栓体が分岐開口部を内方から閉塞しない退避位置に位置している栓体退避段階と、から成ることで、流体管の非分岐状態において分岐開口部からの流体の流れを閉止するために分岐開口部に外方から取付ける封止手段を特段に設けることなく栓体で代用できるばかりか、従来のように、別段の制水弁を流体管に取付ける作業や制水弁の開閉作業を行うことなく、不断流状態で流体を分岐させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例における分岐ユニットが流体管に配設されている状態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】(a)は、栓体を示す正面図であり、(b)は、同じく左側面図であり、(c)は、同じく右側面図であり、(d)は、(b)のB−B断面図である。
【図4】取付部を示す斜視図である。
【図5】操作開口部に移動操作部が取付けられた状態を示す断面図である。
【図6】(a)は、移動操作部により取付部が閉塞位置に向かって移動した状態を示す断面図であり、(b)は、(a)の状態から取付部が栓体に取付けられた状態を示す拡大断面図である。
【図7】分岐路部材が分岐開口部に取付けられた状態を示す断面図である。
【図8】移動操作部により閉塞位置に位置している栓体が退避位置に移動した状態を示す断面図である。
【図9】取付部以外の移動操作部を構成する部材が操作開口部から取外された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る分岐装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0016】
実施例に係る分岐装置につき、図1から図9を参照して説明する。以下、図1の紙面手前側を分岐ユニットの正面側(前方側)として説明する。
【0017】
本実施例は、流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる分岐方法及びこの分岐方法を実施する分岐装置について説明する。
【0018】
図1の符号1,1は、流路を構成する上水道用の流体管であって、流体管1,1の間には、流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる分岐ユニット2が、流体管1,1に対して水密になるように配設されている。
【0019】
図2に示されるように、この分岐ユニット2には、主に、流路を流れる流体を分岐させる分岐開口部3と、分岐開口部3とにより管軸Pを挟む箇所に形成され、流路の外部と通じる操作開口部4と、分岐開口部3を分岐開口部3の内方から閉塞可能な栓体9と、が設けられている。また、操作開口部4の近傍には、取付部16を固定する固定ボルト6が着脱自在に取付けられるボルト孔7が形成されている。
【0020】
分岐開口部3の内周面3cには、内方に膨出する膨出部3dが形成されており、この膨出部3dを、栓体9と、栓体9を保持する保持部材18とが挟持して、保持部材18が、そのボルト18a,18aにより、流路の外部から栓体9に着脱可能に取付けられている。
【0021】
図2及び図3(a)〜(d)に示されるように、栓体9は、本体部9aと、本体部9aを被覆するゴム等の弾性部材から成る被覆部9eと、から成り、この栓体9には、保持部材18のボルト18a,18aと螺合可能な雌ネジ穴9f,9fが形成されている(図3(c)参照)。
【0022】
図2に示されるように、被覆部9eは、分岐開口部3の膨出部3dと当接することで、分岐開口部3が分岐開口部3の内方から閉塞されるようになっている。また、本体部9aが被覆部9eにより被覆されることで、被覆部9eが分岐開口部3の膨出部3dと密着して当接可能になっているとともに、本体部9aの腐食を防止するようになっている。
【0023】
図2に示されるように、本体部9aには、操作開口部4に向かって開口する開口部9cが形成されており、図3(b)に示されるように、この開口部9cは、側面視略小判形状に開口している。また、開口部9cの内奥面9dには、ゴム部材9gが固着されている。
【0024】
操作開口部4における開口側には、後述の移動操作部8の取付部16を水密に挿通可能な挿通孔4aが形成されており、この挿通孔4aとボルト孔7とが連通している。この挿通孔4aは、分岐開口部3の内周面3cと同軸に形成されている。尚、ボルト孔7は、流路の外部と連通して形成された嵌合ネジ孔21と連通しており、この嵌合ネジ孔21は、キャップ22により水密に嵌合されている。
【0025】
次に移動操作部8について説明すると、図5に示されるように、移動操作部8は、分岐ユニット2と共に本発明の分岐装置を構成している。この移動操作部8は、主に、栓体9に着脱自在に取付けられる取付部16と、移動操作部8を分岐ユニット2に取付けるための支持部材13と、支持部材13に螺合された支柱14,14と、取付部16に着脱可能に取付けるために先端に雄ネジ部11aを有する回動軸部としての筒部材11と、筒部材11の開口側内部に設けられた雌ネジ部11bに螺合して筒部材11に螺挿可能なネジ部材12と、筒部材11に固定に取付けられる分割構造の固定部材15と、から成る。
【0026】
図2及び図4に示されるように、取付部16には、この取付部16を固定するボルト10、または筒部材11の雄ネジ部11aが着脱自在に取付けられるためのボルト穴16dが形成されている。
【0027】
更に、取付部16の先端には、短径部25aと、短径部25aよりも長径の長径部25bとから成る、前記した栓体9の開口部9cに対応する略小判形状の係合部25が形成されている。また、取付部16における係合部25の近傍位置には、係合部25の長径部25bの対向位置に配置された短径部26aと、係合部25の短径部25aの対向位置に配置された、短径部26aよりも長径の長径部26bとから成る略小判形状の固着部26が形成されている。
【0028】
固定部材15には、支柱14,14が挿通される挿通孔15a,15aが形成されており、支柱14,14が挿通孔15a,15aを挿通することで、固定部材15は、ネジ部材12に対してその軸方向に移動可能になっている。このため、図5及び図6(a)に示されるように、ネジ部材12を回動することで、固定部材15に取付けられた筒部材11が、ネジ部材12と共回りすることなくネジ部材12の軸方向に略直線移動可能になっている。尚、本実施例では、移動操作部8は、ネジ部材12を回動することで略直線移動可能な筒部材11を有しているが、これに限らず、例えば、軸方向に押圧されることで略直線移動可能な筒部材を有する移動操作部であってもよい。
【0029】
次に、流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる工程について説明する。
【0030】
先ず、図1に示されるように、流体管1,1の間には、分岐ユニット2が配設されている。前述のように、この分岐ユニット2には、分岐開口部3、操作開口部4、及び栓体9が設けられていることで、流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる際に、分岐開口部、操作開口部、及び栓体を個別に加工して施工する必要がない。
【0031】
栓体閉塞段階について説明すると、図2に示されるように、流体管1,1の非分岐状態において、取付部16が挿通孔4aに密封状に挿通された状態で取付部16が保持されているともに、栓体9は、分岐開口部3内に配置されて、ボルト18a,18aが栓体9の雌ネジ穴9f,9f(図3(c)参照)に螺挿する保持部材18により保持されている。つまり、栓体9が流路を流れる流体を分岐させる分岐開口部3を分岐開口部3の内方から閉塞している閉塞位置に位置している。すなわち、栓体9が予め閉塞位置に位置している状態が本発明の栓体閉塞段階を構成している。
【0032】
このように、閉塞位置に位置している栓体9には、この栓体9を閉塞位置に保持する保持部材18が流路の外部から着脱可能に取付けられることで、流体管1の非分岐状態において栓体9により分岐開口部3が分岐開口部3の内方から閉塞されている状態を確実に保持することができる。
【0033】
また、栓体閉塞段階では、固定ボルト6が取付部16と当接するように流路の外部からボルト孔7に螺入されている。同様に、固着部26の長径部26bが、操作開口部4の内方側に形成された端面4bと当接するように、ボルト10の首下部が、ボルト10の頭部が操作開口部4の開口端面との間に配置された水密ワッシャ23を挿通して流路の外部から取付部16のボルト穴16dに螺入されている。これら固定ボルト6及びボルト10の螺入により、取付部16が確実に保持されている。
【0034】
そして、栓体閉塞段階の後に、ボルト10を流路の外部から操作することでボルト穴16dから螺出してボルト10及び水密ワッシャ23を取外し、図5に示されるように、支持部材13を分岐ユニット2に取付けるとともに、筒部材11の雄ネジ部11aをボルト穴16dに螺入して、移動操作部8を操作開口部4に取付ける。
【0035】
この筒部材11を取付部16に取付ける際には、固定ボルト6がボルト孔7に螺入されている状態であるため、取付部16が筒部材11と共回りすることなく筒部材11を取付部16に取付けることができる。
【0036】
次いで、流路の外部から操作して固定ボルト6を緩めて固定ボルト6と取付部16との当接を解除し、ネジ部材12を回動する。この回動により、ネジ部材12の軸方向に略直線移動可能な筒部材11は、挿通孔4aを挿通するとともに、ボルト穴16dが筒部材11の雄ネジ部11aに螺合している取付部16は、回転することなく分岐開口部3へ向かって略直線方向に移動する。
【0037】
そして、更に、取付部16が移動することで、図6(a)に示されるように、係合部25が閉塞位置に位置している栓体9の開口部9c内部に挿入される。より詳しくは、係合部25は、係合部25の略小判形状に対応して略小判形状に開口した開口部9cに合致するように、開口部9c内部に挿入される。この挿入により、係合部25がゴム部材9gと当接するとともに、固着部26の長径部26bが開口部9cの開口端部9hと当接する。
【0038】
次いで、分割構造の固定部材15を筒部材11及び支柱14,14から取外して、筒部材11を図6(a)の状態から略90°回動することで、図6(b)に示されるように、係合部25の長径部25bが開口端部9hと筒部材11の軸方向に係合し、移動操作部8が栓体9に取付けられる。このとき、栓体9が保持部材18により保持されているため、筒部材11を回動しても栓体9が共回りしてしまうことがない。
【0039】
そして、再び固定部材15を筒部材11及び支柱14,14に取付け、保持部材18を栓体9から取外して栓体9を移動可能な状態にする。次いで、図7に示されるように、分岐開口部3に流路を流れる流体を分岐させるための分岐路部材19を取付ける。
【0040】
その後、ネジ部材12を逆回動することで、栓体9を、図8に示されるように、閉塞位置から分岐開口部3を分岐開口部3の内方から閉塞しない退避位置に略直線移動させることで、流路を流れる流体が分岐開口部3を介して分岐路部材19の内部を流れ、不断流状態で流体を分岐させることができる。
【0041】
つまり、図8の状態は、栓体閉塞段階の後に、分岐開口部3に分岐路部材19を取付け、その後、栓体9を、移動操作部8により移動させ、栓体9が分岐開口部3を分岐開口部3の内方から閉塞しない退避位置に位置している状態であって、この栓体9が退避位置に位置している状態が本発明の栓体退避段階を構成している。
【0042】
そして、栓体9が退避位置に位置している状態を保持するために、図9に示されるように、取付部16以外の移動操作部8を構成する部材を操作開口部4から取外し、ボルト10を水密ワッシャ23に挿通して取付部16のボルト穴16dに取付ける。
【0043】
一方、流体を流体管の流路のみに流す状態に戻す場合には、前述の工程で行った作業とは逆に作業を行う。すなわち、図8に示されるように、ボルト10及び水密ワッシャ23を取付部16から取外し、筒部材11の雄ネジ部11aを取付部16のボルト穴16dに螺挿し、移動操作部8を操作開口部4に取付ける。
【0044】
次いで、図7に示されるように、移動操作部8により、栓体9を退避位置から閉塞位置に位置させることで、分岐開口部3を分岐開口部3の内方から閉塞する。そして、分岐開口部3から分岐路部材19を取外し、栓体9に流路の外部から保持部材18を取付ける。
【0045】
その後、分割構造の固定部材15を筒部材11及び支柱14,14から取外して、筒部材11を図7の状態から略90°回動することで、係合部25の長径部25bと開口端部9hとの係合が解除され、移動操作部8が栓体9から取外される。
【0046】
次いで、図5に示されるように、移動操作部8により、取付部16を退避位置へ向かって略直線移動させた後に、固定ボルト6により取付部16を固定し、取付部16以外の移動操作部8を構成する部材を操作開口部4から取外す。そして、図2に示されるように、ボルト10を水密ワッシャ23に挿通してボルト穴16dに取付ける。図9の状態からこれら一連の作業を行うことで、流体を流体管の流路のみに流す状態に戻る。
【0047】
前述のように、ネジ部材12の回動により筒部材11を略直線運動させるだけで、栓体9を閉塞位置及び退避位置の間で容易に移動させることができる。
【0048】
また、前述のように、移動操作部8は、流路の外部と通じる操作開口部4を介して流路の外部から操作され、栓体9と着脱可能に取付けられている。このため、流体を不断流状態で分岐させるときのみに移動操作部8を栓体9に取付けて操作開口部4を介して流路の外部から操作することができる。
【0049】
更に、前述のように、筒部材11の回動操作により、移動操作部8と栓体9とが着脱可能に切替えられる。このように、筒部材11の回動操作を行うだけで、移動操作部8と栓体9との取付けまたはその解除を容易に行うことができる。
【0050】
以上に説明したように、実施例の分岐装置において、栓体9が分岐開口部3を分岐開口部3の内方から閉塞している閉塞位置、及び栓体9が分岐開口部3を分岐開口部3の内方から閉塞しない退避位置の間で往復移動可能になっていることで、流体管1,1の非分岐状態において分岐開口部3からの流体の流れを閉止するために分岐開口部3に分岐開口部3の外方から取付ける封止手段を特段に設けることなく栓体9で代用できるばかりか、分岐開口部3に流路から流体を分岐させるための分岐路部材19を取付けた後に、栓体9を閉塞位置から退避位置に移動することで、従来のように、別段の制水弁を流体管に取付ける作業や制水弁の開閉作業を行うことなく、不断流状態で流体を分岐させることができ、更に、栓体9を退避位置から閉塞位置に移動することで、流体を流体管1,1の流路のみに流す状態に戻すこともできる。
【0051】
また、実施例の分岐方法は、栓体9が閉塞位置に位置している栓体閉塞段階と、栓体閉塞段階の後に、分岐開口部3に分岐路部材19を取付け、その後、栓体9を、移動操作部8により移動させ、栓体9が退避位置に位置している栓体退避段階と、から成ることで、上記と同様の効果が得られる。
【0052】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0053】
例えば、前記実施例では、流体管1,1は上水道用であるが、流体管1,1の内部流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管にも適用可能である。
【0054】
また、前記実施例では、流体管1,1の間には、分岐開口部3、操作開口部4、及び栓体9が設けられる分岐ユニット2が配置されているが、これに限らず、流体管に分岐開口部及び操作開口部が形成されるとともに、栓体が流体管の内部に設けられてもよい。
【0055】
また、前記実施例では、移動操作部8が栓体9に取付けられ、筒部材11を略直線移動することにより、栓体9が閉塞位置と退避位置との間で往復移動するようになっているが、これに限らず、例えば、電源駆動する駆動部からなる移動操作部が栓体と接続されており、該移動操作部を操作することで、電源駆動により生じた押圧力を栓体に与え、閉塞位置と退避位置との間を往復移動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 流体管
2 分岐ユニット
3 分岐開口部
4 操作開口部
8 移動操作部
9 栓体
11 筒部材(回動軸部)
18 保持部材
19 分岐路部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる分岐装置であって、
前記流路を流れる流体を分岐させる分岐開口部と、
前記流体管の非分岐状態において前記分岐開口部を内方から閉塞している閉塞位置に保持されている栓体と、
前記栓体を、前記閉塞位置、及び該栓体が前記分岐開口部を内方から閉塞しない退避位置の間で往復移動可能な移動操作部と、を備えることを特徴とする分岐装置。
【請求項2】
前記栓体は、前記移動操作部の略直線運動により、前記閉塞位置及び前記退避位置の間で移動することを特徴とする請求項1に記載の分岐装置。
【請求項3】
前記閉塞位置に位置している栓体には、該栓体を前記閉塞位置に保持する保持部材が前記流路の外部から着脱可能に取付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の分岐装置。
【請求項4】
前記移動操作部は、前記流路の外部と通じる操作開口部を介して前記流路の外部から操作され、前記栓体と着脱可能に取付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の分岐装置。
【請求項5】
前記移動操作部は、回動操作される回動軸部を有しており、
前記回動軸部の回動操作により、前記移動操作部と前記栓体とが着脱可能に切替えられることを特徴とする請求項4に記載の分岐装置。
【請求項6】
前記流体管には、前記分岐開口部、前記操作開口部、及び前記栓体が設けられる分岐ユニットが備えられることを特徴とする請求項4または5に記載の分岐装置。
【請求項7】
流体管の流路を流れる流体を不断流状態で分岐させる分岐方法であって、
栓体が前記流路を流れる流体を分岐させる分岐開口部を内方から閉塞している閉塞位置に位置している栓体閉塞段階と、
前記栓体閉塞段階の後に、前記分岐開口部に前記流路を流れる流体を分岐させるための分岐路部材を取付け、その後、前記栓体を、移動操作部により移動させ、前記栓体が前記分岐開口部を内方から閉塞しない退避位置に位置している栓体退避段階と、から成ることを特徴とする分岐方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−7252(P2011−7252A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150770(P2009−150770)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】