説明

分散体の純化方法及びインクジェットインクの製造方法

【課題】対イオン及びイオンと遊離種とを有する安定化粒子を含む分散体を純化及び分級する方法を提供する。
【解決手段】溶液は、水性媒体、溶媒媒体、又はそれら両方の組み合わせを含むことができ、1以上のタイプの水性及び/又は溶媒溶液を含むことができる。この方法は、少なくとも1つの、約1μm超、好ましくは0.5μm超の大きさの粒子を実質的に除去する工程、遊離種を実質的に除去する工程、及び安定化粒子の一部である対イオンの少なくとも一部を交換する工程を、任意の順序で含む。開示されている方法は、イオン安定化コロイド状粒子がカーボンブラックである分散体の純化に、特に有益である。ここでこのカーボンブラックには、少なくとも1つのイオン性基、又は少なくとも1つのイオン化可能基、又はそれらの混合物を有する有機基が結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純化及び分級方法、特にコロイド状粒子を含む分散体の純化及び分級方法に関する。
【背景技術】
【0002】
安定化コロイド粒子(例えば、少なくとも1つのイオン性基又は1つのイオン化可能基を有する有機基が結合したカーボンブラック)を製造する方法において、遊離種が分散体中に共に存在することがある。そのような分散体はその後の最終的な用途、例えばインク類又はペイント類及び特にインクジェットインク類で使用することができるが、所望の最終製品の用途において、純化された分散体は性質を改良することができるので、遊離種のような不純物を分散体から除去することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、安定化コロイド粒子と遊離種とを含む分散体の純化及び分級を可能にする方法を開発することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特徴は、遊離種を置換又は除去することによって、遊離種を含有する分散体を純化する方法を提供することである。
【0005】
本発明のもう1つの特徴は、イオン性基及び/又はイオン化可能基を有する少なくとも1つの有機基が結合した改質カーボンブラック製品類のような安定化コロイド粒子の分散体を純化する方法を提供することである。追加の特徴は、大きい、粗の、又は未処理のコロイド状粒子から安定化コロイド粒子を分離又は分級することである。
【0006】
本発明の追加の特徴及び利点は、一部を以下に示し、また一部は本発明の説明から明らかになり、又は本発明の実施によって理解することができる。
【0007】
これらの及び他の利点を達成するために、及びここで具体的に説明しまたおおよそを説明した本発明の目的によれば、本発明は、溶液中の遊離種を伴うカチオン類及びアニオン類を有する安定化コロイド粒子を含有する分散体を純化する方法に関する。特に本発明は、安定化コロイド状粒子を含む分散体を純化する3つの主要な工程に関する。これら3つの工程は、特定のサイズよりも大きい粒子の除去又は分級、分散体からの遊離種の分離、及び安定化コロイド粒子の一部の対イオンの随意の対イオン交換を含む。更なる詳細では例示のように、この方法は約1μm超、好ましくは0.5μm超の粒度の粒子を実質的に除去する工程を含む。この方法は、遊離種を実質的に除去し、随意に1又は複数種類の他の対イオンによって安定化コロイド粒子の一部を形成する対イオンの少なくとも一部を交換する1又は複数の工程を更に含む。更に、本発明の方法を調節して、特定の平均粒度を達成し又は変更し、それによって最終製品の用途における所望の性質を変更すること、並びに約0.5μm超のサイズのコロイド状粒子の数を調節することができる。
【0008】
本発明は更に、溶液中の遊離種及び、少なくとも1つのイオン性基、少なくとも1つのイオン化可能基、又はそれらの混合物を有する少なくとも1つの有機基が結合した改質カーボンブラック製品を含む分散体を純化する方法に関する。この純化工程は、上述の工程と同様である。
【0009】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は例示及び説明のためだけのものであり、特許請求の範囲に示される本発明の更なる説明を提供することを意図していることを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、水性の又は溶媒に基づく(すなわち非水性の)溶液中の、遊離種とカチオン類及びアニオン類を有する安定化コロイド状粒子とを含む分散体の純化及び分級方法に関する。本発明の方法は、遊離種のような不純物を除去し又は減少させて所望のレベルにする。典型的に分散体の媒体は、水性媒体、溶媒に基づく媒体、又はこれら両方の組み合わせの媒体であり、また1種類よりも多いタイプの水性及び/又は溶媒溶液を含むことができる。一般的に、分散体は任意の量の固体、好ましくは約1〜約50wt%、より好ましくは約10〜約25wt%、最も好ましくは約15〜約20wt%の固体を含むことができる。
【0011】
好ましい態様では、分散体は水性であり、任意の溶媒を伴い又は伴わない。特に本発明は、安定化コロイド粒子を含有する分散体を純化及び分級する3つの主要な工程に関する。これら3つの工程は、特定のサイズを超える粒子を除去又は分級すること、分散体から遊離種を除去すること、及び安定化コロイド状粒子の一部である対イオンの随意のイオン交換を行うこと、を含む。
【0012】
例のように更なる詳細では、この方法は、約1μm超、好ましくは0.5μm超のサイズの粒子を実質的に除去する工程を含む。粒度は直径によって特徴付けられ、これは超微細粒子解析装置、例えばMICROTRAC(商標)UPA又はACCUSIZER(商標)光学粒度計によって測定する。この方法は、遊離種を実質的に除去する工程、及び随意に、安定化コロイド粒子の一部を構成する対イオンの少なくとも一部を、1又は複数種の異なる対イオンで交換する工程を更に含む。更に本発明の方法を調節して、特定の粒度を達成又は変更し、及び0.5μm超のサイズを有する粒子の数を調節して、最終的な製品の用途における所望の性質を得ることができる。
【0013】
本発明の説明に関して、「遊離種」とは、分散体中に存在するが、コロイド状粒子に直接に結合していない種を意味している。ここで使用する場合、「結合」とは特定の結合の存在を定義することを意味するのではなく、任意の物理的又は化学的結び付きを意味している。本発明の説明において「種」とは、イオン性(対イオン類及び共イオン類を含む)基、イオン化可能基、及び有機又は未反応基を含むことを意味している。また「安定化」という用語は、イオン的な安定化、静電気的な安定化、並びにイオン的な安定化及び/又は静電気的な安定化と組み合わせた立体的な安定化を含む。
【0014】
安定化コロイド状粒子は、コロイド状粒子にイオン性及び/又はイオン化可能基を有する任意の粒子である。好ましくは安定化は、コロイド状粒子状へのイオン性基又はイオン化可能基の結合の結果である。限定をするわけではないが、コロイド状粒子の例としては、カーボンブラック、グラファイト、ガラス質カーボン、活性炭、及び活性化カーボンの様なカーボン含有カーボン生成物を挙げることができる。好ましくは、コロイド状粒子は微細化されている。限定をするわけではないがコロイド状粒子の他の例としては、金属酸化物(例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ゲルマニア、セリア、ジルコニア、バリウムチタネート)、金属硫化物、ポリマーラテックス物質、及び有機顔料を挙げることができる。コロイド状粒子は好ましくは、カーボン顔料のような顔料である。安定化コロイド粒子は好ましくは、イオン性種を有する少なくとも1つの有機基が結合した顔料、例えばイオン性種を有する有機基が結合したカーボンブラックである。好ましくは、有機基は、カーボンブラックに直接に結合したイオン性種を伴う芳香族基を含む。より好ましくは、有機基は−C−COO;−C−SO;−C−(COO;−C−(COO;−C−(CF;−C−(CF);−(CH−(COO);−C−(CH−(COO)(xは任意のカチオン、例えばNa、H、K、NH、Li、Ca2+、Mg2+等、zは1〜18の整数);−C−(NC(Yは任意のアニオン、例えばNO、OH、CHCOO等);又はそれらの組み合わせである。
【0015】
コロイド状粒子の例及びイオン安定化基の例は、米国特許第5,571,311号、同第5,630,868号、同第5,707,432号、及び同第5,803,959号明細書、並びにPCT国際公開第96/18688号明細書でも示されており、ここで参照することによって、これらの文献の記載の全てを本発明の記載に含める。
【0016】
本発明の方法において、遊離種の実質的な量を、安定化コロイド状粒子を含有する分散体から除去する。また、好ましい態様では、安定化コロイド状粒子の1又は複数の対イオンのうちの少なくとも一部を、所望の又は他の1又は複数の対イオンで交換する。これらの所望の又は他の1又は複数の対イオンは、例えばインクジェットインク分散体に、改良された分散性、改良された分散体安定性、及び/又は改良されたインク性能(例えば比較的早い乾燥時間、促進された印刷の質、印刷の水堅ろう度、添加剤相溶性)を提供し、またペイント分散体に、改良されたペイント性質(例えば、イオンが少ないことによる改良されたフィルム性能及び改良された迅速な乾燥)を提供する。好ましくは、イオン性安定化コロイド状粒子の一部であるカチオンの少なくとも一部は、NHによって置換する。
【0017】
また本発明の方法では、粒度が約1μm超、好ましくは0.5μm超の全ての粒子を除去することが好ましい。
【0018】
上述の工程の順序は、任意の順序でよく、また所望に応じてそれぞれの工程を1又は複数回行うことができる。1つの態様では、粒度が1μm超、好ましくは約0.5μm超の粒子を実質的に除去した後で、遊離種を実質的に除去し、且つ随意に、イオン安定化コロイド状粒子の一部である対イオンの少なくとも一部を、1又は複数の異なる対イオンによって交換する。ここでこの1又は複数の異なるイオンは例えば、Na、H、K、Li、NH、Ca2+、Mg2+、Cl、NO、NO、アセテート、カルボキシレート、及びBrである。
【0019】
約1μm超、好ましくは0.5μm超の粒度の粒子の除去又は分級は、当業者に既知の技術、例えば遠心分離、ろ過、沈殿、及び同様な分級装置によって達成することができる。例えば、約1μm超、好ましくは約0.5μm超の粒度の粒子を除去することができれば、任意の遠心分離装置を使用することができる。限定をするわけではないが適当な例は、ソリッドボウル(solid−bowl)遠心分離装置、管状ボウル(tubular−bowl)遠心分離装置、及び回転分級装置である。遠心分離装置は、Carr Separations、Alfa Lavel Sharples又はBirdから入手することができる。
【0020】
遠心分離装置では、典型的に十分な遠心力によって遠心分離をもたらし、直径が約1μm超、好ましくは約0.5μm超の粒子を除去する。好ましくは約5,000G、より好ましくは少なくとも約15,000Gの遠心力で遠心分離を行う。最も好ましくは、遠心分離は、約15,000G〜約20,000Gの遠心力で行う。
【0021】
約1μm超、好ましくは約0.5μm超のサイズの粒子が実質的に全て除去されるのであれば、任意の供給速度で遠心分離を行うことができる。遠心分離は、半連続供給速度で、バッチ式で、又は連続供給速度で行うことができる。コロイド状粒子の性質及び利用する装置のタイプに依存して、典型的な供給速度は連続遠心分離で、約100ml/分〜約50リットル/分である。好ましい速度は、コロイド状粒子の物理的な性質、並びにタイプ及び処理レベルに依存して変化する。例えばコロイド状粒子がカーボンブラックである場合、供給速度は、使用する特定の遠心分離の遠心力、サイズ、タイプに依存して、好ましくは約500ml/分〜約10リットル/分である。更に、遠心分離は様々な温度で行うことができるが、遠心分離を周囲温度で行うこと、及び遠心分離が再循環浴を含むことが好ましい。また遠心分離の間に、イオン性安定化コロイド状粒子を有する分散体の粘度は、好ましくは約20cP(20×10−2kg/ms)未満、より好ましくは約1cP(1×10−3kg/ms)〜約15cP(15×10−2kg/ms)、最も好ましくは約1cP(1×10−3kg/ms)〜約8cP(8×10−3kg/ms)である。
【0022】
約1μm超、好ましくは約0.5μm超のサイズのコロイド状粒子を除去するもう1つの方法はろ過である。ろ過プロセスは、段階的に又は1段階で、1又は複数のフィルターを使用して達成することができる。フィルターの気孔サイズは、約1μm超の粒度のコロイド状粒子を除去できるべきである。フィルターの気孔サイズは、好ましくは約0.1μm〜約100μm、より好ましくは約0.3μm〜約40μm、最も好ましくは約0.3μm〜約0.6μmである。更に、流量は任意でよく、この流量はフィルター材料のタイプ、気孔サイズ、表面積、及び使用するフィルターの数に依存している。好ましくは流量は約0.14リットル/(ms)〜約0.47リットル/(ms)である。限定をするわけではないが、適当なフィルターの例としては、ポリプロピレンでできたPall Cartridge Depthフィルター、Cunoフィルター、及びOsmonicsフィルターを挙げることができる。ろ過は複数、好ましくは約5〜約10の工程又は段階を使用して行うことができ、連続するそれぞれの工程では、段々と気孔サイズが小さいフィルターを使用する。
【0023】
直径が約1μm超、好ましくは約0.5μm超の粒子を除去した後では、全残留コロイド状粒子の好ましくは1wt%未満、より好ましくは約0.5μm未満、最も好ましくは約0.05wt%未満の粒子の粒度が、約1μm超であることが好ましい。
【0024】
分散体中の遊離種の除去の工程は、膜を使用するフィルターろ過(diafiltration)/限外ろ過によって行うことができる。実質的に全てのコロイド状粒子を残しながら、遊離種を実質的に除去することが可能なプロセスであれば、任意のサイズの膜及び流路サイズを使用することができる。膜を振動させて、閉塞を防ぐこと及び比較的大きい透過速度を可能にすることができる。限定をするわけではないが、膜の形状としては、平面シート状膜、交差流膜、らせん状に巻かれた管、又は中空繊維管を挙げることができる。例えば、コロイド状粒子がカーボンブラックである場合、好ましい膜の分子量分離値(molecular weight cutoff)(MWCO)は、少なくとも1000MWCO、より好ましくは約1,000〜約500,000MWCO、更により好ましくは約10,000MWCO〜約100,000MWCO、最も好ましくは約10,000MWCO〜約50,000MWCOである。更に、膜の流路サイズは約0.5mm(20ミル)〜約1.5mm(60ミル)である。
【0025】
コロイド状粒子を維持しながら、遊離種を実質的に除去できれば、任意のタイプの限外ろ過プロセスを使用することができる。例えば、交差流(cross−flow)膜分離プロセスを使用することができる。限定するわけではないが、限外ろ過装置の特定の例としては、Pall Filtron PFS300(交差流平面シート)及びKoch Membrane HF16(中空繊維配置)を挙げることができる。好ましくは、コロイド状粒子がカーボンブラックである場合、交差流流れ配置で膜を使用して、良好な透過流束を維持する。限外ろ過又はフィルターろ過プロセスでは、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の遊離種を除去する。
【0026】
遊離種が分散体中においてイオン型である場合、実質的に全ての遊離種を除去するためのもう1つの手段は電気透析である。このプロセスは、狭い流れの区画を作る膜積層体からなっている。これらの区画は、交互のカチオン交換膜及びアニオン交換膜で分離されており、これらの交換膜はそれぞれ正イオン及び負イオンを選択的に透過させる。両端部の区画は、電極につながっており、電極は積層体全体に直流電流を通す。カーボンブラック分散体の特定の場合には、分散体は1つ置きの区画にポンプによって通す。水を、カーボンブラック区画の間の区画に通す。電流の作用によるイオン移動は、1つ置きのカーボンブラック区画において塩を減少させ、隣接する水の区画において塩を富化させる。カーボンブラック分散体は、実質的に全ての遊離イオン種が除去されるまで再循環させることができる。
【0027】
分散体から実質的な量の遊離イオン種を除去する他の手段は、望ましくない有機物質を減少させる又は除去するための活性化カーボン層を使用する又は使用しない、イオン交換プロセスによる。そのようなプロセスでは、イオン交換が、OH樹脂でのアニオン交換及びH樹脂でのカチオン交換を含むことが好ましい。アニオン交換及びカチオン交換は同時に行うことができ、又は任意の他の順序で行うことができるが、アニオン交換を行った後でカチオン交換を行うことが好ましい。更に、コロイド状粒子がカーボンブラックである場合、OH樹脂及びH樹脂のサイズは約500μmであり、イオン容量は1meq/ml(ミリ当量/乾燥ビーズml)よりも大きいことが好ましい。
【0028】
好ましくは、上述のイオン交換工程の後で、コロイド状粒子(すなわちカーボンブラック)グラム数の基準に基づいて、分散体中に存在する全遊離種が約3,500ppm未満、より好ましくは約1,000ppm未満である。全残留遊離種の好ましくは約500ppm未満、より好ましくは約300ppm未満が無機イオン性種である。また、全残留遊離種の好ましくは約3,000ppm、より好ましくは約2,000ppm未満、最も好ましくは1,000ppm未満が有機イオン性種である。特定の用途のために必要である場合、全遊離種の量を50ppm未満にすることが本発明では可能である。
【0029】
本発明の最後の工程はイオン交換に関する。
【0030】
少なくとも1つのタイプの対イオンを他の1つのタイプの対イオンで交換すること、例えばNaをNHで交換することは、当業者に既知のイオン交換カラムで行うことができる。限定をするわけではないが、交換することができる特定の対イオンの例としては、Na、K、Li、NH、Ca2+、Mg2+、Cl、NO、NO、アセテート、カルボキシレート、及びBrを挙げることができる。
【0031】
安定化コロイド状粒子の対イオンの、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%を、異なる対イオンで交換する。
【0032】
上述の限外ろ過/フィルターろ過プロセスを適応して、対イオン交換を行うことができる。例えば、粒子のNa又はH対イオンを、NHの様な任意の他のカチオンで交換することは、粒子分散体にNHClのようなNHの塩を加えることによって達成することができる。得られるNaCl又は過剰なNHCl塩は、上述の限外ろ過/フィルターろ過プロセスを使用して除去することができる。
【0033】
対イオンを交換するための他の機構は、変型3区画電気透析装置を使用する。カチオンを交換する装置、例えばナトリウムをアンモニウムで交換する装置のためには、以下の基本的な装置を使用することができる。膜反復単位はアニオン−カチオン−カチオン−であり、アンモニウムに富む流れは区画1、コロイド状粒子流れ(例えばカーボンブラック流れ)は区画2、そして廃棄物収集流れは区画3に入れる。積層体の極性は、アンモニウムイオンを区画1から区画2に移動させ、ナトリウム及びいくらかのアンモニウムイオンを区画2から区画3に移動させることを確実にする。ここで、この区画3は廃棄物流れを保持している。この方法は、ナトリウム対イオンをアンモニウムで部分的に交換することを確実にする。同様な機構をアニオン交換のために使用することができる。
【0034】
コロイド状分散体がインクジェットインク先駆物質である場合、1つの態様では、遠心分離によって粒度を減少させ、その後でフィルターろ過技術を使用して遊離種を除去することが好ましい。もう1つの好ましい態様では、フィルターろ過技術によって遊離種を除去した後で、遠心分離によって粒度を減少させて、コロイド状粒子の固体損失を減少させる。本発明の工程は、1回だけ行うこと、又は所望の性質が達成されるまで複数回繰り返すことができる。
【0035】
インクジェット先駆物質において、イオン及び有機物質のような遊離種の多くの割合を除去し且つサイズを減少させる/分級することは性質を改良する。例えば、安定性を改良し、水堅ろう度を改良し、像の光学的密度を大きくし、分散体の粘度を低下させ、及びプリントを耐拭き取り性にし、印刷の質を改良し、濡れ摩擦性を改良し、及び色間の色泣きを改良することができる。インクの安定性、印刷能力、及び比較的早い乾燥時間も改良することができる。
【実施例】
【0036】
本発明は、以下の例によって更に明確にする。これらの例は単に本発明を例示するためのものである。
【0037】
[例]
以下の方法を使用して、例に示している相対的な性質を決定した:
【0038】
(表面積)
ASTM D−4820に従ってBET窒素表面積を得た。
【0039】
(構造)
ASTM D−2414に従ってDBPAデータを得た。
【0040】
(粒子直径)
平均粒子直径及び最大検知可能直径は、米国フロリダ州セントピーターズバーグのLeeds&Northrup社(現在はHoneywell)のMICROTRAC(商標)Ultrafine Particle Analyzerを使用して測定した。以下の条件を使用した:不透明非球状粒子、粒子密度=1.86g/m:分散液としては水を用いる。試験時間は6分間であった。(MICROTRAC(商標)はLeeds&Northrup社の登録商標)
【0041】
(イオン解析)
表2及び4のためのイオン解析:ASTM D1426−89、EPA350.3に従ってOrionのNH/NH電極でアンモニア解析を行った。言及した場合を除いて、ASTM D2791、AOAC76.25に従ってOrionのNa電極でナトリウム解析を行った。OrionのカタログNo.9746BNに従ってOrionのNO電極で窒素解析を行った。上述のイオンを測定し、そして抽出(イオン性)物質の量の基づくモル数の釣り合い計算を行うことによって、カリウム解析を間接的に行った。
【0042】
表6及び8のためのイオン解析は、イオンクロマトグラフィーカラムによって行った。固体含有率が1.3%の約2.0mlの水性分散体を、0.1μmのMillipore Millex−VVシリンジフィルターを通してろ過し、そしてDionex Q1C解析器に注入した。50μlの部分を溶離剤流れ(0.75mMのNaHCO/3.0mMのNaCO)に注入した。この流れは、イオンクロマトグラフィーの分離カラム(HPIC−ASA)を通って2ml/分で流れている。溶離剤バックグランドは、0.025NのHSO再生剤を伴うアニオンマイクロ膜サプレッサー(AMMS−II)によって減少させた。試料のピークを伝導性によって測定し、それらの面積を標準のピーク面積と比較した。検知限界は、溶液中で0.02ppmであった。
【0043】
(pH解析)
15%分散体のpHは、CorningのpH計215によって測定した。
【0044】
(Kontron測定)
Kontronインク分散試験は、画像解析を使用して、水性媒体中で分散していないカーボンブラックの数及びサイズを測定する。希釈されたカーボンブラック分散体は、カバースライドを使用して、ガラススライドに拡げる。試料は、約500倍の倍率に調節した光学顕微鏡を使用して調べる。この方法では、接続されているCCDカメラを使用して10個の画像を得て、デジタル化し、デジタル的に処理して、凝集体と背景とのコントラストを改良し、そして2元(黒色及び白色)画像に変換する。その後で対象又は「斑点」を計数し測定する。それぞれの斑点の直径、対応するサイズの分布、斑点の数、及び黒色によって覆われる領域(%)を報告する。10個の2元画像を合わせて、まとめた図を作る。0.9〜200μmの大きさの凝集体を、この方法で測定することができる。「斑点の測定数値」は、0.9〜200μmのサイズの粒子の数の直接の指標である。
【0045】
〔例1〕
(工程1)
P−アミノ安息香酸(14.0g)、窒素表面積が200m/gでDBPAが122ml/100gのカーボンブラック(100g)、亜硝酸ナトリウム(6.34g)、及び脱イオン水(110g)をピンペレッタイザーにおいて共に混合して、生成物1を作った。十分な水を加えて、固体含有率が15wt%の試料1aを作った。
【0046】
(工程2)
Carr Separations社のPilotfugeを使用し、15,000Gの遠心力及び600ml/分の流量で操作を行って、この分散体に遠心分離を行った。下記の表1は、MICROTRAC(商標)−UPA測定によって測定した遠心分離の前(1a)及び遠心分離の後(1c)の、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度の様々なパラメーターを示している。工程2又は3で示されるいずれかの技術を使用して、1.0μm超、特に0.5μm超の粒子を除去することができる。
【0047】
(工程3)
Pall Profile IIフィルターを使用して試料1aにろ過を行った。ろ過は6段階で行って、最終的なフィルターの気孔サイズは0.5μmであった。下記の表1は、MICROTRAC(商標)−UPA測定によって測定したろ過の前(1a)及びろ過の後(1b)の、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度の様々なパラメーターを示している。工程2又は3で示されるいずれかの技術を使用して、1.0μm超、特に0.5μm超の粒子を除去することができる。
【表1】

【0048】
Kontron斑点計数値は、劇的な減少を示している。これは、1μm超、特に0.5μm超の粒子の除去の直接の結果である。
【0049】
(工程4)
Pall Filtronの10K Omega膜を使用して、試料1cに限外ろ過を行って、遊離種を除去した。この技術は、交差流膜技術を利用している。全部で5回のフィルターろ過を行って、試料1dを調製した。下記の表2は、限外ろ過の前(1c)と限外ろ過の後(1d)のイオン性種を示している。表の濃度は、固体基準のppmに基づいている。
【表2】

【0050】
表2に示すように、遊離種Na及びNOは実質的に減少した。
【0051】
〔例2〕
(工程1)
スルファニル酸(12.5g)、窒素表面積が200m/gでDBPAが122ml/100gのカーボンブラック(100g)、亜硝酸ナトリウム(5.23g)、及び脱イオン水(100g)を、ピンペレッタイザーにおいて共に混合して、生成物2を作った。十分な水を加えて、固体含有率が15wt%の試料2aを作った。
【0052】
(工程2)
Carr Separations社のPilotfugeを使用し、15,000Gの遠心力及び600ml/分の流量で操作を行って、この分散体に遠心分離を行った。下記の表3は、MICROTRAC(商標)−UPA測定によって測定した遠心分離の前(2a)及び遠心分離の後(2c)の、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度の様々なパラメーターを示している。工程2又は3で示されるいずれかの技術を使用して、1.0μm超、特に0.5μm超の粒子を除去することができる。
【0053】
(工程3)
Pall Profile IIフィルターを使用して試料2aにろ過を行った。ろ過は6段階で行って、最終的なフィルターの気孔サイズは0.5μmであった。下記の表3は、MICROTRAC(商標)−UPA測定によって測定したろ過の前(2a)及びろ過の後(2b)の、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度の様々なパラメーターを示している。工程2又は3で示されるいずれかの技術を使用して、1.0μm超、特に0.5μm超の粒子を除去することができる。
【表3】

【0054】
Kontron斑点計数値は、劇的な減少を示している。これは、1μm超、特に0.5μm超の粒子の除去の直接の結果である。
【0055】
(工程4)
Pall Filtronの10K Omega膜を使用して、試料2cに限外ろ過を行い、遊離種を除去した。この技術は、交差流膜技術を利用している。全部で5回のフィルターろ過を行って、試料2dを調製した。下記の表4は、限外ろ過の前(2c)と限外ろ過の後(2d)のイオン性種を示している。
【0056】
(工程5)
イオン交換を使用して、残留ナトリウムイオンをカリウムイオンで置換した。50gのAmberlite(商標)7 IR120−Hを、蒸留水と28.5gの水酸化カリウムを含有する50mlの溶液に加えて、30分間にわたって撹拌した。樹脂から液体を除去し、200mlの蒸留水で樹脂を3回すすぎ、Kイオンを有する樹脂を得た。200gの試料2dを、K樹脂を保持するビーカーに加えて、30分間にわたってオーバーヘッド撹拌機によって混合した。その後で樹脂を分散体から取り出して、試料2fを調製した。下記の表4は、Kイオン交換の前(2d)及び後(2f)の遊離種を示している。
【0057】
(工程6)
イオン交換を使用して、残留ナトリウムをアンモニウムイオンで置換した。250gの試料2dを、50gのIONAC(商標)C−249(NH)樹脂を保持するビーカーに加えた。オーバーヘッド撹拌機によって、樹脂を30分間にわたって混合し、その後で樹脂を取り除いて、試料2gを得た。下記の表4は、NHイオン交換の前(2d)及び後(2g)の遊離イオン性種を示している。
【表4】

【0058】
〔例3〕
(工程1)
P−アミノ安息香酸(12.0g)、窒素表面積が220m/gでDBPAが112ml/100gのカーボンブラック(100g)、亜硝酸ナトリウム(6.04g)、及び脱イオン水(160g)を、ピンペレッタイザーにおいて共に混合して、生成物3を作った。十分な水を加えて、固体含有率が15wt%の試料3aを作った。
【0059】
(工程2)
Carr Separations社のPilotfugeを使用し、15,000Gの遠心力及び600ml/分の流量で操作を行って、この分散体に遠心分離を行った。下記の表5は、MICROTRAC(商標)−UPA測定によって測定した遠心分離の前(3a)及び遠心分離の後(3c)の、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度の様々なパラメーターを示している。
【表5】

【0060】
(工程3)
Pall Filtronの10K Omega膜を使用して、試料3cに限外ろ過を行い、遊離種を除去した。この技術は、交差流膜技術を利用している。全部で5回のフィルターろ過を行って、試料3dを調製した。下記の表6は、限外ろ過の前(3c)と限外ろ過の後(3d)のイオン性種を示している。表6の濃度は、固体基準のppmに基づいている。
【0061】
(工程4)
イオン交換を使用して、残留ナトリウムイオンをアンモニウムイオンで置換した。Purolite C100−NH樹脂を保持しているカチオンカラムに分散体を通して、試料3gを作った。ここでカラムサイズは3.4×10cm(1.2ft)であった。下記の表6は、カチオン交換の前(3d)及び後(3g)の遊離イオン性種を示している。
【表6】

【0062】
〔例4〕
(工程1)
P−アミノ安息香酸(12.0g)、窒素表面積が220m/gでDBPAが112ml/100gのカーボンブラック(100g)、亜硝酸ナトリウム(6.04g)、及び脱イオン水(160g)を、ピンペレッタイザーにおいて共に混合して、生成物4を作った。十分な水を加えて、固体含有率が15wt%の試料4aを作った。
【0063】
(工程2)
Carr Separations社のPilotfugeを使用し、15,000Gの遠心力及び600ml/分の流量で操作を行って、この分散体に遠心分離を行った。下記の表7は、MICROTRAC(商標)−UPA測定によって測定した遠心分離の前(4a)及び遠心分離の後(4c)の、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度の様々なパラメーターを示している。
【表7】

【0064】
(工程3)
分散体から遊離イオン性種の有意の量を除去するもう1つの手段では、イオン交換プロセスによって、遊離イオン性種を減少させ又は除去した。試料4cの15%以下の分散体40kgを、200ml/分の流量で、1.6kgのAmberlite(商標)IRA−402(OH)イオン交換樹脂(ROHM&HAAS)を保持する7.62cm(内径)×91.44cm(3”(内径)×3’)のステンレス鋼カラムに上向きに通して、試料4eを得た。下記の試料8は、アニオン交換の前(4c)及び後(4e)の遊離イオン性種を示している。表の濃度は、固体基準のppmに基づいている。
【0065】
(工程4)
試料のpHは12以下であった。イオン交換樹脂Amberlite(商標)IR−120Hを滴下して、pHを9.0以下に減少させた。下記の表8は、pH調節の前(4e)と後(4f)の遊離イオン種を示している。
【0066】
(工程5)
イオン交換を使用して、残留ナトリウムイオンをアンモニウムイオンで交換した。19.4kgの試料4fを、200ml/分の流量で、7.1kgのIONAC(商標)C−249(NH)樹脂を保持する10.16cm(内径)×106.68cm(4”(内径)×3.5’)のステンレス鋼カラムに上向きに通して、試料4gを得た。下記の表8は、NHイオン交換の前(4f)と後(4g)の遊離イオン種を示している。
【表8】

【0067】
〔例5〕
(工程1)
P−アミノ安息香酸(7kg/時)、窒素表面積が200m/gでDBPAが122ml/100gのカーボンブラック(50kg/時)、(30%)亜硝酸ナトリウム溶液(10.6kg/時)、及び脱イオン水(50kg/時)を、連続ピンペレッタイザーにおいて共に混合して、生成物5を作った。十分な水を加えて、固体含有率が15wt%の試料5aを作った。
【0068】
(工程2)
Carr Separations社のPilotfugeを使用し、15,000Gの遠心力及び100ml/分の流量で操作を行って、試料5aに遠心分離を行った。下記の表9は、MICROTRAC(商標)−UPA測定によって測定した遠心分離の前(5a)及び遠心分離の後(5b)の、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度の様々なパラメーターを示している。
【表9】

【0069】
(工程3)
Pall Filtronの10K Omega膜を使用して、試料5bに限外ろ過を行い、遊離種を除去した。この技術は、交差流膜技術を利用している。全部で5回のフィルターろ過を行って、試料5cを調製した。上記の表9は、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度のパラメーターを示している。
【0070】
(工程4)
Pall Filtronの10K Omega膜を使用して、試料5aに限外ろ過を行い、遊離種を除去した。この技術は、交差流膜技術を利用している。全部で5回のフィルターろ過を行って、試料5dを調製した。上記の表9は、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度のパラメーターを示している。
【0071】
(工程5)
Carr Separations社のPilotfugeを使用し、15,000Gの遠心力及び100ml/分の流量で操作を行って、試料5dに遠心分離を行った。上記の表9は、MICROTRAC(商標)UPA測定によって測定した遠心分離工程の前(5a)及び遠心分離の後(5e)の、平均粒子直径、標準偏差、及び最大粒度の様々なパラメーターを示している。
【0072】
〔例6〕
上述の例から理解されるように、遊離種(イオン及び有機物質)の実質的な量は、本発明の方法によって除去され、このことは、インク、特にインクジェットインク、及びコーティング組成物に有益な影響を与える。これは、そのような純化された分散体が、インク、特にインクジェットインク、又はコーティング組成物と様々な残留インク若しくはコーティング成分との副反応の危険性を最小化することによる。また、純化された分散体は、副反応が起こった場合に好ましくない影響を与えることがある不純物が比較的少ないので、着色料と他のインク成分との相溶性を改良する。2つの試料3a及び3gを使用し、米国特許第5,571,311号明細書に記載の様式で、インクジェットインクを作った。組成Aは、5wt%のカーボンブラック、10wt%のエチレングリコール、10wt%の2−ピロリジノン、及び4wt%のイソプロピルアルコールを含んでいる。組成Bは、5wt%のカーボンブラック、10wt%のエチレングリコール、10wt%のジ(エチレングリコール)、及び4wt%のイソプロピルアルコールを含んでいる。様々な割合のインクジェットインクを試験して、本発明の方法を使用して純化していない標準対照試料と比較した。結果は下記の表10に示した。ここで、O.D.は光学密度、WFは水堅ろう度(waterfastness)の結果である。
【表10】

【0073】
これらの例は、試料3aと比較して、試料3gで水堅ろう度がかなり改良されていることを示している。
【0074】
ここで説明した本発明の実施例及び明細書の記載を考慮すると、本発明の他の態様は当業者にとって明らかである。明細書の説明及び例は単なる例示であり、本発明の範囲及び本質は特許請求の範囲で示すことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カチオン及びアニオンを有する安定化コロイド状粒子、並びに(b)溶液中の遊離種を含む分散体の純化方法であって、
(a)約1μm超の粒度の粒子を実質的に除去する工程、
(b)前記遊離種を実質的に除去する工程、及び
(c)前記イオン安定化コロイド状粒子の一部を成す前記対イオンの少なくとも一部を、他の対イオンで交換する工程、
を任意の順序で含む、分散体の純化方法。
【請求項2】
約0.5μm超の粒度の粒子を、工程(a)で実質的に除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
遠心分離によって工程(a)を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記遠心分離を、少なくとも約5,000Gの遠心力で行う、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記遠心分離を、少なくとも約15,000Gの遠心力で行う、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記遠心分離を、約15,000〜約20,000Gの遠心力で行う、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記遠心分離が、ソリッドボウル遠心分離である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記遠心分離が、管状ボウル遠心分離である、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)及び(c)の前に、工程(a)を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)又は(c)の後で、工程(a)を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(a)、工程(b)、又は工程(c)を、1又は複数回反復することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記遠心分離を半連続供給速度で行う、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記供給速度が約500ml/分〜約10リットル/分である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記遠心分離を周囲温度で行う、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記遠心分離が再循環浴を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記遠心分離の間の前記分散体の粘度が、約1cP〜約8cPである、請求項3に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)をろ過によって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ろ過が、気孔サイズが約0.1μm〜約100μmの1又は複数のフィルターを使用する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ろ過の流量が、約0.14リットル/ms/分〜約0.47リットル/ms/分である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
工程(b)を、膜を用いるフィルターろ過又は限外ろ過によって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記膜の分子量分離値が少なくとも10,000である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記膜の分子量分離値が約10,000〜約50,000である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記膜の流路サイズが約0.5mm〜約1.5mmである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記膜の透過流束が少なくとも約24.5ml/cm/day(約5gal/ft/day)である、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記膜の透過流束が約24.5〜約146.8ml/cm/day(約5〜約30gal/ft/day)である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
1又は複数回の通過で前記遊離イオン種を実質的に除去するのに十分な表面積を、前記膜が有する、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記限外ろ過又はフィルターろ過が、交差流膜分離である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
工程(b)を電気透析によって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記電気透析が変形電気透析である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
工程(b)をイオン交換によって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記イオン交換が、OH樹脂によるアニオン交換、及びH、K又はNH樹脂によるカチオン交換を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記カチオン交換の前に、前記アニオン交換を行う、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記OH樹脂及び前記H又はK樹脂の大きさが約500μmであり、約2meq/mlの量で存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
アニオン交換がOH樹脂を用い、且つカチオン交換がH、K又はNH樹脂を用い、且つ、前記アニオン及びカチオン交換を同時に行う、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記コロイド状粒子が顔料である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記顔料がカーボン顔料である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記カーボン顔料が、カーボンブラック、グラファイト、ガラス質カーボン、活性炭、活性化カーボン、又はそれらの混合物である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記カーボンブラックに、前記イオン性種を有する有機基が結合している、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記有機基が、前記カーボンブラックに直接に結合した芳香族基を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記有機基が、−C−COO;−C−SO;−C−(COO;−C−(COO;−C−(CF;−C−(CF);−(CH−(COO);−C−(CH−(COO)(xはNa、H、K、NH、Li、Ca2+、Mg2+からなる群より選択されるカチオン、zは1〜18の整数);−C−(NC(YはNO、OH、CHCOOからなる群より選択されるアニオン);又はそれらの組み合わせである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記対イオンがNaであり、且つ前記他の対イオンがNHである、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記溶液が水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
工程(c)をイオン交換プロセスによって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
工程(c)を、変形3区画電気透析プロセスによって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
(a)カチオン及びアニオンを有する安定化コロイド状粒子、並びに(b)溶液中の遊離種を含むインク分散体の純化及び分級方法であって、
(a)膜を用いるフィルターろ過又は限外ろ過によって、前記遊離種を実質的に除去する工程、
(b)遠心分離によって、約0.5μmよりも大きい粒度の粒子を実質的に除去する工程、
を含む、インク分散体の純化及び分級方法。
【請求項46】
前記イオン安定化コロイド状粒子の一部を成す前記対イオンの少なくとも一部を、他の対イオンで交換する更なる工程を、前記分散体に行う、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記分散体中の約1μm超の粒度の粒子の実質的に全てを、工程(a)の前に除去する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
遠心分離によって前記粒子を除去する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記コロイド状粒子が顔料である、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記顔料がカーボンブラックである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記カーボンブラックに、前記イオン性種を有する有機基が結合している、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記有機基が、−C−COO;−C−SO;−C−(COO;−C−(COO;−C−(CF;−C−(CF);−(CH−(COO);−C−(CH−(COO)(xはNa、H、K、NH、Li、Ca2+、Mg2+からなる群より選択されるカチオン、zは1〜18の整数);−C−(NC(YはNO、OH、CHCOOからなる群より選択されるアニオン);又はそれらの組み合わせである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記対イオンがNaであり、且つ前記他の対イオンがNHである、請求項46に記載の方法。

【公開番号】特開2008−274296(P2008−274296A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−166495(P2008−166495)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【分割の表示】特願2000−529385(P2000−529385)の分割
【原出願日】平成11年1月29日(1999.1.29)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】