説明

分散処理システム、そのジョブ振り分け方法及びプログラム

【課題】ジョブを振り分ける全てのタイミングにおいて、常時システム全体の消費電力を最小にすることができ、電源種別/構成に依存せず、常にシステム消費電力を最小にすることができる。
【解決手段】分散処理システムは、複数の電源部と、複数の情報処理部と、システム共通処理部とを有する。システム共通処理部は、各電源部の電力−変換効率特性を記憶する記憶部と、各情報処理部の消費電力を監視する消費電力監視部と、クライアントからのジョブを各情報処理部へ振り分けるときに、各情報処理部の消費電力と各電源部の電力−変換効率特性との情報から、システム全体の電源変換効率が最大となるようにジョブ振り分け先の情報処理部を決定するジョブ振り分け先決定部(電力算出/比較部)と、決定されたジョブ振り分け先の情報処理部へクライアントからのジョブを振り分けるジョブ制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散処理システム、そのジョブ振り分け方法及びプログラムに係り、とくに省電力化に適した分散処理システム、そのジョブ振り分け方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分散処理システムでは、情報処理装置にさせる仕事の単位であるジョブ(JOB)について、ジョブ振り分け先である情報処理装置の稼動状況に応じてジョブを振り分けるような、各情報処理装置の処理能力や空き具合等から、システム全体の処理性能を考慮した管理を行っている。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1では、マルチサーバ環境においてバッチジョブを分散させる手法が記載されている。この手法は、バッチジョブ特性と入力データの件数からそのバッチジョブの実行にかかる時間を予測し、その時間の範囲全体で各実行サーバの負荷状況を予測し、それにもとづいてバッチジョブを実行させる実行サーバを選択するものである。また、バッチジョブを実行するたびに、そのバッチジョブの実行により生じた負荷を計測し、その実測値にもとづいてバッチジョブ特性を更新している。これによれば、バッチジョブ特性の確度および実行サーバの選択の精度を高めることができるとされている。
【0004】
しかし、このような分散処理の手法では、各情報処理装置に電源供給する各々の電源の特性は考慮していないため、システム全体の消費電力が最適化されずにシステム稼動されているという問題点があった。
【0005】
これに関連して、電源変換効率を考慮した分散処理手法も知られている。例えば、特許文献2では、割り当てられた処理の量に応じて消費電力が変化する複数の処理ユニットであって、各処理ユニットがそれぞれ電源モジュールを有する装置において、複数の処理ユニットへ処理を振り分ける方法が記載されている。この方法は、電源モジュールの入力電流を測定し、複数の処理ユニットの1つへの処理の割り当て量を変更したときの、該1つの処理ユニットが有する電源モジュールの入力電流の変化を測定し、測定された入力電流の変化に基づき、新たに発生した処理を割り当てる処理ユニットを決定するものである。これによれば、電源の電圧変換効率を考慮した処理の振り分けを行うことのできるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−249491号公報
【特許文献2】特開2009−060171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、従来の分散処理の手法においては、ジョブ振り分け先である情報処理装置の稼動状況に応じてジョブを振り分けるような、各情報処理装置の処理能力や空き具合から、システムの全体の性能を向上するための分散処理が行われていた。このような手法では、各情報処理装置に電源供給する各々の電源の特性は考慮しておらず、システム全体の消費電力が最適化されずにシステム稼動されているという問題点があった。
【0008】
また、電源変換効率を考慮した分散処理手法としては、特許文献2のように振り分け先の電源変換効率が悪化したら、別の振り分け先へ乗り換えるといった手法も知られているが、この手法では、システム全体の様々な稼動状態を考慮したとき、ジョブを振り分ける全てのタイミングにおいて、システム全体の電源変換効率が必ずしも最大とはならず、消費電力が最小とならないという問題点がある。
【0009】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、ジョブを振り分ける全てのタイミングにおいて、常時システム全体の消費電力を最小にすることができ、電源種別/構成に依存せず、常にシステム消費電力を最小にすることができる分散処理システム、そのジョブ振り分け方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る分散処理システムは、複数の電源部と、前記各電源部の配下のいずれかに接続され、各電源部から電源供給される複数の情報処理部と、クライアントと前記各情報処理部との間に共通に接続されるシステム共通処理部とを有し、前記システム共通処理部は、前記各電源部の電力−変換効率特性を記憶する記憶部と、前記各情報処理部の消費電力を監視する消費電力監視部と、前記クライアントからのジョブを前記各情報処理部へ振り分けるときに、前記消費電力監視部により監視される前記各情報処理部の消費電力と前記記憶部に記憶されている前記各電源部の電力−変換効率特性との情報から、システム全体の電源変換効率が最大となるようにジョブ振り分け先の情報処理部を決定するジョブ振り分け先決定部と、決定されたジョブ振り分け先の情報処理部へ前記クライアントからのジョブを振り分けるジョブ制御部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る分散処理システムのジョブ振り分け方法は、複数の電源部と、前記各電源部の配下のいずれかに接続され、各電源部から電源供給される複数の情報処理部と、クライアントと前記各情報処理部との間に共通に接続されるシステム共通処理部とを有する分散処理システムのジョブ振り分け方法であって、前記システム共通処理部が、前記各電源部の電力−変換効率特性を記憶し、前記各情報処理部の消費電力を監視し、前記クライアントからのジョブを前記各情報処理部へ振り分けるときに、前記消費電力監視部により監視される前記各情報処理部の消費電力と前記記憶部に記憶されている前記各電源部の電力−変換効率特性との情報から、システム全体の電源変換効率が最大となるようにジョブ振り分け先の情報処理部を決定し、決定されたジョブ振り分け先の情報処理部へ前記クライアントからのジョブを振り分けることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る分散処理システムのジョブ振り分け用プログラムは、複数の電源部と、前記各電源部の配下のいずれかに接続され、各電源部から電源供給される複数の情報処理部と、クライアントと前記各情報処理部との間に共通に接続されるシステム共通処理部とを有する分散処理システムのジョブ振り分け用プログラムであって、前記システム共通処理部を構成するコンピュータを、前記各電源部の電力−変換効率特性を記憶する記憶部と、前記各情報処理部の消費電力を監視する消費電力監視部と、前記クライアントからのジョブを前記各情報処理部へ振り分けるときに、前記消費電力監視部により監視される前記各情報処理部の消費電力と前記記憶部に記憶されている前記各電源部の電力−変換効率特性との情報から、システム全体の電源変換効率が最大となるようにジョブ振り分け先の情報処理部を決定するジョブ振り分け先決定部と、決定されたジョブ振り分け先の情報処理部へ前記クライアントからのジョブを振り分けるジョブ制御部として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ジョブを振り分ける全てのタイミングにおいて、システム全体の電源変換効率を最大にすることで、常時システム全体の消費電力を最小にすることが可能になると共に、各電源の電力−変換効率特性情報を持つことで、電源種別/構成に依存せず、常にシステム消費電力を最小にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る分散処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す分散処理システムの動作を説明するシーケンス図である。
【図3】図1に示す記憶部に記憶される各電源部の電力−変換効率特性を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る分散処理システム、方法及びプログラムの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る分散処理システムの全体の基本構成を説明するものである。図1に示す分散処理システムは、複数の電源部(電源装置)1〜nと、各電源部1〜nのいずれかに接続される複数の情報処理部(情報処理装置)11〜nmと、複数の情報処理部11〜nmに共通に接続される共通制御部となるシステム共通処理部100とを有し、システム共通処理部100に複数のクライアント1000−1〜1000−kが接続されている。この分散処理システムでは、クライアント1000−1〜1000−kからのリクエストに応じてジョブ処理要求が振り分けられる。
【0017】
情報処理部11〜nmは、各電源部1〜nから各々電源供給される。図1の例では、複数の情報処理部11〜nmは、電源部1の配下に接続される情報処理部11、12と、電源部2の配下に接続される情報処理部21、22、23と、以下同様にして、電源部nの配下に接続される情報処理部n1、…、nmとから構成される。各電源部1〜nの配下に接続される情報処理部の数は、図1の例に限定されず、いずれでも適用可能である。
【0018】
システム共通処理部100は、ジョブ(JOB)制御部101、電力算出/比較部(ジョブ振り分け先決定部)102、消費電力監視部103を含んで構成される。
【0019】
ジョブ制御部101は、クライアント1000−1〜1000−kからのジョブ処理要求を受け、電力算出/比較部102へジョブの振り分け先となる情報処理部指定を要求する。また、電力算出/比較部102よりジョブの振り分け先情報を受け取ることで、指定された情報処理部11〜nmへとジョブを振り分ける。
【0020】
電力算出/比較部102は、複数ある電力−変換効率特性の異なる電源部1〜nの電源変換効率を記憶させた記憶部104を持つ。電力算出/比較部102は、ジョブ制御部101、消費電力監視部103に接続され、ジョブ制御部101からのジョブの振り分け先となる情報処理部1〜nmの指定要求を受け取ると、消費電力監視部103へ情報処理部11〜nmの消費電力の情報を要求し、各情報処理部1〜nmの消費電力を取得する。情報を取得した電力算出/比較部102は、各電源部1〜nの電源変換効率を記憶させた記憶部104の情報と、取得した各情報処理部11〜nmの消費電力の情報からシステム全体の電源変換効率が最大、すなわちシステム全体の消費電力が最小となるようなジョブの振り分け先となる情報処理部11〜nmを決定し、ジョブ制御部101へジョブの振り分け先となる情報処理部11〜nmを指定する。
【0021】
消費電力監視部103は、情報処理部11〜nmの消費電力を監視しており、電力算出/比較部102から要求を受け、電力算出/比較部102へと情報処理部11〜nmの消費電力の情報を送る。
【0022】
次に、図1の各部構成における動作の中で、電力算出/比較部102の動作に注目して図2と図3を用いて説明する。
【0023】
まず、ジョブ制御部101は、クライアント1000−1〜1000−kからジョブ処理要求を受け取る(ステップS0)と、ジョブ振り分け対象となる情報処理部11〜nmの指定要求を電力算出/比較部102に要求する(ステップS1)。
【0024】
次いで、要求を受けた電力算出/比較部102は、消費電力監視部103へ情報処理部11〜nmの消費電力の情報を要求し(ステップS2)、情報処理部11〜nmの消費電力W11〜Wnmの情報を取得する(ステップS3)。
【0025】
次いで、ステップS3で取得した消費電力W11〜Wnmの情報から、電源部1〜nから出力されている電力Wo1〜Wonを求める(ステップS4)。すなわち、電源部1〜nの出力電力Wo1〜Wonは、電源部1〜nから電源供給されている情報処理部11〜nmの消費電力W11〜Wnmの和と等しいことから、
【0026】
【数1】

となる。
【0027】
次いで、ステップS4で求めた電源部1〜nの出力電力Wo1〜Wonと記憶部104に記憶させた電源部1〜nの電力−変換効率特性(図3)の情報を基に、変換効率E1〜Enを索引する(ステップS5)。電源の変換効率特性は、出力される電力によって変化する。図3のような電力−変換効率特性の情報を記憶部104に記憶させておくことで、電源部1〜nの出力電力Wo1〜Wonの情報から変換効率E1〜Enを索引することが可能となる。
【0028】
次いで、ステップS5の結果である電源部1〜nの変換効率E1〜Enから、電源部1〜nの入力電力Wi1〜Winを求める(ステップS6)。例えば、電源部nの出力電圧Wonは、電源部nの入力電力Winとその変換効率Enとの積に等しく、
【0029】
【数2】

となる。この式を変形すると、電源部nの入力電力Winは、電源部nの出力電圧Wonとその変換効率Enとの商に等しく、
【0030】
【数3】

となる。
【0031】
次に、電源部1配下の情報処理部11又は12にジョブを振り分けた場合、電源部2配下の情報処理部21、22又は23にジョブを振り分けた場合などのように、電源部1〜n配下の情報処理部11〜nmにジョブを振り分けた場合において、ジョブの種別に応じた電力増加分WA(ある固定値でもよい)を考慮した予想される電源部1〜nの出力電力(以下、予想出力電力)WAo1〜WAonを、ステップS4での結果である電源部1〜nの出力電力Wo1〜Wonから求める(ステップS7)。例えば、電源部nの予想出力電力WAonは、出力電力Wonとジョブの種別に応じた電力増加分WAとの和に等しく、
【0032】
【数4】

となる。
【0033】
次いで、ステップS7で求めた電源部1〜nの予想出力電力WAo1〜WAonと記憶部104に記憶させた電源部1〜nの電力−変換効率特性(図3)の情報を基に、予想される変換効率(以下、予想変換効率)EA1〜EAnを索引する(ステップS8)。
【0034】
次いで、ステップS8での結果である予想変換効率EA1〜EAnから電源部1〜nの予想される入力電力(以下、予想入力電力)WAi1〜WAinを求める(S9)。例えば、電源部nの予想入力電力WAinは、電源部nの出力電圧Wonとその予想変換効率EAnとの商に等しく、
【0035】
【数5】

となる。
【0036】
次いで、ステップS6で求めた電源部1〜nの入力電力Wi1〜Winと、ステップS9で求めた電源部1〜nの予想入力電力WAi1〜WAinから、電源部1配下の情報処理部11又は12にジョブを振り分けた場合、電源部2配下の情報処理部21、22又は23にジョブを振り分けた場合などのように、電源部1〜n配下の情報処理部11〜nmにジョブを振り分けた場合に予想されるシステム全体の入力電力(以下、予想入力電力)T1〜Tnを求める(ステップS10)。
【0037】
例えば、電源部1配下の情報処理部11又は12にジョブを振り分けた場合のシステム全体の予想入力電力T1は、電源部1の予想入力電力WAi1、電源部2の入力電力Wi2、…、電源部nの入力電力Winの和となる。また、電源部2配下の情報処理部21、22又は23にジョブを振り分けた場合のシステム全体の予想入力電力T2は、電源部1の入力電力Wi1、電源部2の予想入力電力WAi2、…、電源部nの入力電力Winの和となる。以下同様にして、電源部n配下の情報処理部n1〜nmにジョブを振り分けた場合のシステム全体の予想入力電力Tnは、電源部1の入力電力Wi1、電源部2の入力電力Wi2、…、電源部nの予想入力電力WAinの和となる。すなわち、システム全体の予想入力電力T1、T2、…、Tnは、
【0038】
【数6】

となる。
【0039】
次いで、ステップS10での結果であるシステム全体の予想入力電力T1〜Tnの中でその値が最小となる電源部1〜nを決定する(ステップS11)。
【0040】
次いで、ステップS10で決定した電源部1〜nから電源供給されている情報処理部11〜nmの消費電力が最小の情報処理部11〜nmを決定する(ステップS12)。消費電力が最小の情報処理部11〜nmを決定する場合、所定の番号(予め設定された識別番号等)順、例えば番号の若い順(若番)に決定したり、或いはランダム(任意)に決定したりしてもよい。
【0041】
そして、電力算出/比較部102は、ステップS12で決定したジョブの振り分け先の情報処理部11〜nmの指定をジョブ制御部101に送信し(ステップS13)、ジョブ制御部101は、指定された情報処理部11〜nmへジョブを振り分ける(ステップS14)。
【0042】
以上のように、本実施の形態では、消費電力監視部103が、各情報処理部11〜nmの消費電力を監視し、電力算出/比較部へ報告する。そして、各電源部1〜nの電力−変換効率特性を記憶させた記憶部104を持つ電力算出/比較部102が、クライアント1000−1〜1000−kからのジョブを情報処理部11〜nmへ振り分けるジョブ制御部101からのリクエストに応じて、その時点での消費電力と電源変換効率を考慮してジョブを振り分ける情報処理部11〜nmを決定する。
【0043】
すなわち、本実施の形態では、複数の電源部1〜nと、情報処理部11〜nmから構成される分散処理システムにおいて、各情報処理部11〜nmの消費電力と各電源部1〜nの電力−変換効率特性との情報から、システム全体の電源変換効率が最大、すなわちシステム全体の消費電力が最小となるようなジョブを振り分ける情報処理部11〜nmを決定している。
【0044】
すなわち、本実施の形態では、各電源部1〜nの電力−変換効率特性を持たせ、その情報と各情報処理部11〜nmの消費電力との情報から、システム全体の消費電力を最小となるようなジョブを振り分ける情報処理部11〜nmを決定することができる。
【0045】
従って、本実施の形態によれば、ジョブを振り分ける全てのタイミングにおいて、システム全体の電源変換効率を最大にすることで、常時システム全体の消費電力を最小にすることが可能となると共に、各電源部1〜nの電力−変換効率特性情報を持つことで、電源種別/構成に依存せず、常にシステム消費電力を最小にすることができる。
【0046】
なお、上記の分散処理システム及びそのジョブ振り分け方法は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。
【0047】
例えば、上記の分散処理システムは、ハードウェアによって実現することもできるが、コンピュータをその分散処理システムとして機能させるためのプログラムを、コンピュータが記録媒体から読み出して、実行することによっても実現することができる。
【0048】
また、上記の分散処理方法のジョブ振り分け方法は、ハードウェアによって実現することもできるが、コンピュータにそのジョブ振り分け方法を実行させるためのプログラムを、コンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み出して、実行することによっても実現することができる。
【0049】
また、上述したハードウェア及びソフトウェア構成は特に限定されるものではなく、上述した各部の機能を実現可能であれば、いずれのものでも適用可能である。例えば、上述した各部の機能毎に回路や部品等を独立させて個別に構成したものでも、複数の機能を1つの回路や部品等に組み入れて一体的に構成したものでも、いずれでもよい。
【0050】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明は、省電力化に適した分散処理システム、そのジョブ振り分け方法及びプログラムに利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1〜n 電源部
11〜2m 情報処理部
100 システム共通処理部
101 ジョブ(JOB)制御部
102 電力算出/比較部(ジョブ振り分け先決定部)
103 消費電力監視部
104 記憶部
1000−1〜1000−k クライアント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源部と、
前記各電源部の配下のいずれかに接続され、各電源部から電源供給される複数の情報処理部と、
クライアントと前記各情報処理部との間に共通に接続されるシステム共通処理部とを有し、
前記システム共通処理部は、
前記各電源部の電力−変換効率特性を記憶する記憶部と、
前記各情報処理部の消費電力を監視する消費電力監視部と、
前記クライアントからのジョブを前記各情報処理部へ振り分けるときに、前記消費電力監視部により監視される前記各情報処理部の消費電力と前記記憶部に記憶されている前記各電源部の電力−変換効率特性との情報から、システム全体の電源変換効率が最大となるようにジョブ振り分け先の情報処理部を決定するジョブ振り分け先決定部と、
決定されたジョブ振り分け先の情報処理部へ前記クライアントからのジョブを振り分けるジョブ制御部とを有することを特徴とする分散処理システム。
【請求項2】
前記ジョブ振り分け先決定部は、
前記各情報処理部の消費電力の情報から、前記各電源部から出力されている出力電力を求め、
前記各電源部の出力電力と前記記憶部に記憶している前記各電源部の電力−変換効率特性の情報を基に変換効率を索引し、その結果から前記各電源部の入力電力を求め、
前記各電源部の配下の前記各情報処理部にジョブを振り分けた場合において、ジョブの種別に応じた電力増加分を考慮した前記各電源部の予想される予想出力電力を求め、
前記各電源部の予想出力電力と前記記憶部に記憶されている前記各電源部の電力−変換効率特性との情報を基に、予想される予想変換効率を索引し、その結果から前記各電源部の予想される予想入力電力を求め、
前記各電源部の入力電力と前記各電源部の予想入力電力とから、前記各電源部の配下の情報処理部にジョブを振り分けた場合に予想される予想システム全体の予想入力電力を電源部毎に求め、
前記システム全体の予想入力電力の値が最小となる電源部を決定し、
決定した電源部から電源供給されている情報処理部のうち消費電力が最小のものをジョブ振り分け先の情報処理部として決定することを特徴とする請求項1記載の分散処理システム。
【請求項3】
複数の電源部と、
前記各電源部の配下のいずれかに接続され、各電源部から電源供給される複数の情報処理部と、
クライアントと前記各情報処理部との間に共通に接続されるシステム共通処理部とを有する分散処理システムのジョブ振り分け方法であって、
前記システム共通処理部が、
前記各電源部の電力−変換効率特性を記憶し、
前記各情報処理部の消費電力を監視し、
前記クライアントからのジョブを前記各情報処理部へ振り分けるときに、前記消費電力監視部により監視される前記各情報処理部の消費電力と前記記憶部に記憶されている前記各電源部の電力−変換効率特性との情報から、システム全体の電源変換効率が最大となるようにジョブ振り分け先の情報処理部を決定し、
決定されたジョブ振り分け先の情報処理部へ前記クライアントからのジョブを振り分けることを特徴とする分散処理システムのジョブ振り分け方法。
【請求項4】
前記ジョブ振り分け先の情報処理部を決定するとき、
前記各情報処理部の消費電力の情報から、前記各電源部から出力されている出力電力を求め、
前記各電源部の出力電力と前記記憶部に記憶している前記各電源部の電力−変換効率特性の情報を基に変換効率を索引し、その結果から前記各電源部の入力電力を求め、
前記各電源部の配下の前記各情報処理部にジョブを振り分けた場合において、ジョブの種別に応じた電力増加分を考慮した前記各電源部の予想される予想出力電力を求め、
前記各電源部の予想出力電力と前記記憶部に記憶されている前記各電源部の電力−変換効率特性との情報を基に、予想される予想変換効率を索引し、その結果から前記各電源部の予想される予想入力電力を求め、
前記各電源部の入力電力と前記各電源部の予想入力電力とから、前記各電源部の配下の情報処理部にジョブを振り分けた場合に予想される予想システム全体の予想入力電力を電源部毎に求め、
前記システム全体の予想入力電力の値が最小となる電源部を決定し、
決定した電源部から電源供給されている情報処理部のうち消費電力が最小のものをジョブ振り分け先の情報処理部として決定することを特徴とする請求項3記載の分散処理システムのジョブ振り分け方法。
【請求項5】
複数の電源部と、
前記各電源部の配下のいずれかに接続され、各電源部から電源供給される複数の情報処理部と、
クライアントと前記各情報処理部との間に共通に接続されるシステム共通処理部とを有する分散処理システムのジョブ振り分け用プログラムであって、
前記システム共通処理部を構成するコンピュータを、
前記各電源部の電力−変換効率特性を記憶する記憶部と、
前記各情報処理部の消費電力を監視する消費電力監視部と、
前記クライアントからのジョブを前記各情報処理部へ振り分けるときに、前記消費電力監視部により監視される前記各情報処理部の消費電力と前記記憶部に記憶されている前記各電源部の電力−変換効率特性との情報から、システム全体の電源変換効率が最大となるようにジョブ振り分け先の情報処理部を決定するジョブ振り分け先決定部と、
決定されたジョブ振り分け先の情報処理部へ前記クライアントからのジョブを振り分けるジョブ制御部として機能させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項6】
前記ジョブ振り分け先決定部は、
前記各情報処理部の消費電力の情報から、前記各電源部から出力されている出力電力を求め、
前記各電源部の出力電力と前記記憶部に記憶している前記各電源部の電力−変換効率特性の情報を基に変換効率を索引し、その結果から前記各電源部の入力電力を求め、
前記各電源部の配下の前記各情報処理部にジョブを振り分けた場合において、ジョブの種別に応じた電力増加分を考慮した前記各電源部の予想される予想出力電力を求め、
前記各電源部の予想出力電力と前記記憶部に記憶されている前記各電源部の電力−変換効率特性との情報を基に、予想される予想変換効率を索引し、その結果から前記各電源部の予想される予想入力電力を求め、
前記各電源部の入力電力と前記各電源部の予想入力電力とから、前記各電源部の配下の情報処理部にジョブを振り分けた場合に予想される予想システム全体の予想入力電力を電源部毎に求め、
前記システム全体の予想入力電力の値が最小となる電源部を決定し、
決定した電源部から電源供給されている情報処理部のうち消費電力が最小のものをジョブ振り分け先の情報処理部として決定することを特徴とする請求項5記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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