説明

分散型電源供給システム

【課題】太陽光発電装置等分散型電源装置の単独運転が検出された場合には、電気事業者側の系統に分散型電源装置からの電源が供給されることを防止しつつ、需要者の安全、安心、快適性を損なうことなく、分散型電源装置の経時的に変化する発電量に応じて継続的に、需要者側に分散型電源からの電源供給が行える分散型電源供給システムを提供する。
【解決手段】商用電源系統から負荷回路へ至る電路に介在し、負荷回路及び分散型電源系統を共に商用電源系統と解列させる電路開閉器と、商用電源系統からの電源供給が途絶えたことが検出された場合には、電路開閉器に商用電源系統停電検出信号を出力する系統保護手段とを備え、電路開閉器は、前記信号をトリガ信号として自身の接点を開離させ、商用電源系統から解列させる一方、負荷回路に対する給電は分散型電源から保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源系統に分散型電源系統を連系させて、商用電源系統及び分散型電源系統の両方から負荷回路に電源供給を行う分散型電源供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、分散型電源電力供給システムの普及が進んでいる。例えば、太陽電池、燃料電池、マイクロガスタービン、風力発電装置などの分散型電源を、一般家庭や集合住宅、小規模事業所など、ユーザ負荷に近接して設置し、ユーザに電力供給を行なうことが多い。
【0003】
特許文献1の図2には、太陽電池を発電源とした分散電源システムの一例が示されている。この図2において、分散電源システムは太陽電池アレイ1とこの太陽電池アレイ1から出力される直流電力を交流電力に変えるインバータ24を内蔵した電力変換手段4とを備えている。この電力変換手段4は商用電力系統11から分散型電力を切り離す遮断器25と、周波数変動や電圧変動に基づいて商用電力系統11の遮断器26の解列を検知して遮断器25を解列させる単独運転検知手段27とを含む系統連系保護装置を内蔵した構成となっている。
【0004】
そして、特許文献2に開示されたように、太陽光発電装置に備えられるインバータは、内包される制御回路によりインバータの交流側出力電圧を一定電圧に制御する機能、即ち電圧上昇を抑制する機能、および単独運転を検出する機能を有している。
【0005】
インバータの単独運転を検出する機能については、特許文献2に示されているように、インバータの出力電圧が電力系統に接続された状態で、工事等のために系統停電が発生した場合に、インバータを停止させるものである。仮に、インバータが運転状態のままであるとすると、インバータの単独運転により電力系統の工事区間にインバータの出力電圧が印加され、工事作業者等が感電する危険性がある。そのため、単独運転を検出する機能は、系統停電状態において、インバータの出力電圧が印加されたことによる電圧の変化を検出して、インバータを停止させるものである。
【0006】
単独運転の検出機能について、特に、電力系統における同一の柱上変圧器に複数の自家発電装置が接続されている場合には、この検出機能が有効に働くか否かは重要な課題である。即ち、電力系統の柱上変圧器を同じくする地域(「バンク」という)内に2つの自家発電装置が設置されている場合、系統停電が発生しても、一方の自家発電装置から電力系統に電力が供給されることにより、他方のインバータは、出力電圧が印加されたことによる電圧の変化を検出してインバータを停止させることが困難となる場合がある。そのため、同一バンク内の既存の自家発電装置と新設の自家発電装置との間で、単独運転を検出する機能が確実に働くか否かを事前に確認しておく必要がある。この確認作業は、専ら、電気事業者により行われることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−152976号公報
【特許文献2】特開2008−77369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、太陽光発電装置の普及に当たっては、従来では電気事業者から商用電力が供給されていたところ、需要者側にて発電がなされるため、該電気事業者側と需要者側における発電状況の連携と把握が重要になってくる。特に、同一バンク内において、2つ以上の太陽光発電装置が設置される場合においては、電気事業者側の系統停電が発生した状態において需要者側の発電装置のみが発電運転を続ける単独運転が続くと、電気事業者側の電力系統の工事区間に出力電力が印加され工事作業者等が感電するおそれがあるから、単独運転を検出した場合には、インバータの動作を停止させ、電気事業者側の電力系統に太陽光発電装置からの出力電圧が印加されないようにする機能を備えることが重要な課題となっている。
【0009】
しかしながら、前記単独運転を検出した場合には、前記インバータを停止させることにより前記電気事業者側の電力系統に出力電圧が印加されないようになるが、同時に需要者側においても太陽光発電装置からの電源供給が行われなくなるため、需要者にとっては、商用電力が停電した場合には、太陽光発電装置からの電源供給も停止することになり、結果的には全停電となる。電気事業者側の系統停電が発生したから直ちに太陽光発電装置を停止させると、太陽光発電装置の発電運転が正常な場合であっても発電した電力を有効に使うことができず、停電に伴い、需要者の暮らしの安全、安心、快適性が低減することが考えられる。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、電気事業者側の系統から需要者側への電源供給が途切れ、太陽光発電装置等分散型電源装置の単独運転が検出された場合には、前記電気事業者側の系統に前記分散型電源装置からの電源が供給されることにより該系統側における工事作業者が感電する等の電気事故を防止しつつ、需要者の安全、安心、快適性を損なうことなく、分散型電源装置の経時的に変化する発電量に応じて継続的に、需要者側に分散型電源からの電源供給が行える分散型電源供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る分散型電源供給システムは、上述の課題を解決すべく構成されたもので、
負荷回路への給電が、商用電源系統及び該商用電源系統に対して系統連系がなされる分散型電源系統の両方から行われる分散型電源供給システムであって、前記分散型電源供給システムは、前記商用電源系統から負荷回路へ至る電路に介在し、該負荷回路及び分散型電源系統を共に前記商用電源系統と接続若しくは解列させる電路開閉器と、前記分散型電源供給システムに備えられて前記商用電源系統からの電源供給が途絶えたことを検出し、前記商用電源系統からの電源供給が途絶えたことが検出された場合には、商用電源系統停電検出信号を前記電路開閉器に出力する系統保護手段と、を備え、前記系統保護手段から出力される商用電源系統停電検出信号を受けた前記電路開閉器は、該商用電源系統停電検出信号をトリガ信号として電路開閉器が有する接点を開離させて電路を遮断し、前記負荷回路及び分散型電源系統を共に商用電源系統から解列させる一方、前記負荷回路に対する給電は分散型電源から継続して行い、該負荷回路への給電を保つことを特徴として分散型電源供給システムを構成するとよい。
【0012】
かかる構成によれば、商用電源系統側が停電して、需要者側における分散型電源系統の単独運転が検出されると、単独運転検出信号を受けた電路開閉器により、商用電源系統側と、負荷回路及び分散型電源系統側とを解列させることができ、商用電源系統側には分散型電源系統からの電源を印加させない一方、需要者側においては、分散型電源からの発電電力は供給させることができるため、商用電源系統側における工事作業者が感電する等の電気事故を防止しつつ、需要者の安全、安心、快適性を損なうことなく、継続的に需要者側に分散型電源からの電源供給が行える分散型電源供給システムを提供することができる。
【0013】
また、本発明に係る分散型電源供給システムは、
前記分散型電源供給システムは、前記商用電源を供給する電気事業者側の電力系統に設けられて、該電力系統における電力供給が停止したことを検出して、他の電力系統に向けて電力供給を停止させる遮断信号を出力する商用電源系統に備えられた転送遮断信号送信装置から出力される転送遮断信号を受けて、前記電路開閉器に前記商用電源系統停電検出信号を出力する転送遮断信号受信装置を備え、負荷回路及び分散型電源系統を共に商用電源系統と接続又は解列させる電路開閉器を駆動させるトリガ信号を、前記分散型電源系統に備えられた系統保護手段から出力される商用電源系統停電検出信号に代えて、前記転送遮断信号受信装置から出力される商用電源系統停電検出信号を用いて構成し、前記転送遮断信号受信装置から出力される商用電源系統停電検出信号を受けた前記電路開閉器は、該商用電源系統停電検出信号をトリガ信号として電路開閉器が有する接点を開離させて、前記負荷回路及び分散型電源系統を共に商用電源系統から解列させることを特徴として分散型電源供給システムを構成するとよい。
【0014】
かかる構成によれば、電気事業者側からの転送遮断信号を電路開閉器の解列のトリガ信号として用いることにより、商用電源系統において停電が発生した場合はもちろん、停電が発生する前であっても、雷発生などにより停電が発生しそうな場合や、商用電源系統において工事が予定されている場合などにおいて能動的に、電気事業者側の所望に応じて適宜需要者側の分散型電源系統を解列させることができる分散型電源供給システムを提供することができる。
【0015】
また、本発明に係る分散型電源供給システムは、
前記請求項1又は請求項2に記載の電路開閉器を電線引込部近傍に配設するとともに、前記電路開閉器の負荷側に、該電路開閉器と接続される主開閉器と、該主開閉器の負荷側に接続される母線と、該母線から各負荷回路に電力を分岐する複数の分岐開閉器と、前記母線に接続される分散型電源系統用開閉器と、を配設した住宅用分電盤を備えて構成し、
前記電路開閉器が動作した場合には、商用電源系統から前記主開閉器を含む2次側の回路が全て解列されることを特徴として分散型電源供給システムを構成してもよい。
【0016】
かかる構成によれば、現在の分電用の配線を大きく変えることなく、商用電源系統側の電気安全性、需要者側の安全、安心、快適性を併せ持つ分散型電源供給システムを、一般家庭や集合住宅などの住戸、小規模事業所等において、容易に導入することができる。
【0017】
また、本発明に係る分散型電源供給システムは、更に、前記分散型電源系統の発電可能な電力を演算する発電可能電力演算手段と、前記分散型電源系統用開閉器を通じて分岐回路に流れる電流を計測する電流監視手段と、各々の分岐回路に流れる電流を計測する電流監視手段と、前記電流監視手段から得られる電流値からその時々の負荷回路における消費電力値を演算するとともに前記発電可能電力演算手段により求められた発電可能電力値と比較演算して、発電可能電力値に対する使用可能電力値を求め、前記発電可能電力値に対する使用可能電力値の割合を演算し、その割合が所定の割合以下になった場合には、分岐回路を遮断する信号を出力し、分岐回路における消費電力を低減させる制御を行う負荷回路制御器と、を備え、前記商用電源系統から負荷回路及び分散型電源系統が解列された場合に、常に、分散型電源系統における発電可能電力値が負荷回路における消費電力値に対して余裕を持つよう負荷回路における消費電力を制御することを特徴として分散型電源供給システムを構成してもよい。
【0018】
かかる構成によれば、分散型電源装置の経時的に変化する発電量に応じて、継続的に分散型電源からの電源供給が行える分散型電源供給システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の如く、本発明によれば、電気事業者側の系統から需要者側への電源供給が途切れ、太陽光発電装置等分散型電源装置の単独運転が検出された場合には、前記電気事業者側の商用電源系統に前記分散型電源装置からの電源が供給されることにより該商用電源系統側における工事作業者が感電する等の電気事故を防止しつつ、需要者の安全、安心、快適性を損なうことなく、分散型電源装置の経時的に変化する発電量に応じて継続的に、需要者側に分散型電源からの電源供給が行える分散型電源供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態を示す分散型電源供給システムの概略構成図を示す。
【図2】第2の実施形態を示す分散型電源供給システムの概略構成図を示す。
【図3】第3の実施形態を示す分散型電源供給システムに用いる住宅用分電盤のブロック構成図を示す。
【図4】同実施形態に係る住宅用分電盤の構成図を示す。
【図5】第4の実施形態を示す分散型電源供給システムの概略構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明の実施形態を図1乃至図5を用いて詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明における分散型電源供給システムの第1の実施形態を示した概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る分散型電源供給システム1は、負荷回路300への電源供給が、商用電源系統100と分散型電源系統200との両方から行われるものである。
【0023】
負荷回路300としては、電気機器が接続された回路を想定しており、一戸建住宅やマンション等の住戸のように分電盤を用いて入力電源が複数の分岐回路に分配された回路や、単独の回路を用いる。また、住居以外にも事務所や工場等種々場所における回路が該当する。
【0024】
商用電源系統100から負荷回路300へ至る電路10においては、電路開閉器400を介在させている。前記商用電源系統100から見た場合には、電路開閉器400の下流側(2次側)に、負荷回路300及び分散型電源系統200が配置される。電路開閉器400が動作した場合には、負荷回路300及び分散型電源系統200が共に、商用電源系統100から解列される。
【0025】
前記商用電源系統100は、電力会社等電気事業者側の電源系統であり、現在では交流による配電方式が一般的である。
【0026】
前記分散型電源系統200は、需要者側に設けられる電源系統であり、現在では太陽光発電装置や燃料電池、マイクロガスタービン、風力発電装置などから発生される直流電源を用いる配電方式が一般的である。
【0027】
該分散型電源系統200で発生される電源は、直流電源であるから、該直流電源を交流電源で駆動する負荷に適した電源に変換するために、分散型電源系統200にはインバーター装置210が接続されている。該インバータ装置210により変換された電源は、電路20を介して負荷回路300に供給される。
【0028】
また、インバーター装置210には、商用電源系統100からの電源供給が途絶えたことを検出する系統保護手段220が接続されている。該系統保護手段220は、例えば太陽光発電装置であればパワーコンディショナーに用いられる系統保護手段のように、商用電力系統100からの電源供給が途絶え、該太陽光発電装置が単独運転を行うことを検知するものである。
【0029】
通常のパワーコンディショナーに用いられる系統保護手段は、単独運転を検知した場合には、商用電源系統にインバータの電源出力が印加されないように、インバータ装置の動作を停止させるようインバータ装置に作用する。本実施形態における系統保護手段220は、単独運転を検知した場合には商用電源系統停電検出信号を外部に出力する出力部を備えたものであり、該商用電源系統停電検出信号が信号線30を介して前記電路開閉器400に出力される。
【0030】
電路開閉器400は、前記商用電源系統停電検出信号が入力された場合には、接点装置を開動作させるものである。該電路開閉器400は、電路を入切する接点装置と、該接点装置を開閉させる接点開閉機構と、該接点開閉機構に外部から作用して接点装置を入切操作する操作部と、外部信号入力部と、該外部信号が入力されたときに駆動し前記開閉機構に作用して接点装置を開動作させるトリップコイルと、該トリップコイルを励磁させる制御回路とを備えた駆動手段を備えている。
【0031】
このような分散型電源供給システムは、通常の状態においては、商用電源系統100と分散型電源系統200との両方から負荷回路300に電源の供給が行われるが、商用電源系統100側に停電等が発生し、商用電源系統側からの電源供給が途絶えた場合に、需要者側における分散型電源系統200の単独運転が検出された場合には、前記商用電源系統停電検出信号を受けた電路開閉器400が接点を開く動作を行い、商用電源系統100から分散型電源系統200を負荷回路300とともに解列させる。
【0032】
したがって、商用電源系統100側には、分散型電源系統200側からの電源が印加されず、商用電源系統において停電復旧のための工事等がなされている場合であっても、工事作業者が感電するおそれが回避できる。
また、商用電源系統において、柱上変圧器を同じくする地域内に複数の分散型電源系統が設置されているような場合、本願における分散型電源供給システムにおいては、負荷回路とともに分散型電源系統を商用電源系統から解列させるため、他の分散型電源系統が発生する電力の流れ込みを完全に防止することができる。同一バンク内における他の分散型電源系統からの発電の影響を受けず、電源が不安定になることを未然に予防できる。一方で、同一バンク内における他の分散型電源系統からみると、単独運転を行う分散型電源系統の数が減ることとなり、単独運転を検出することが容易になるという効果がある。
【0033】
なお、商用電源系統100側が停電しているか否かの検出のために、前記電路開閉器400の1次側に、電圧が印加されたことを検出する電圧変成器(PT)や電圧検出器等を備えて、系統保護手段は、該電圧検出器等からの検出出力を信号線等を介して受けて、商用電源系統100が停電したことを検出するようにしてもよい。
【0034】
本願における分散型電源供給システムにおいては、商用電源系統が停電等により電源供給が途切れた場合には、該商用電源系統から負荷回路とともに分散型電源系統を解列させる一方、負荷回路からは分散型電源系統を解列させないため、太陽光発電装置等の分散型電源の発電運転が正常な場合には、発電した電力により負荷回路への給電状態を継続的に保て、需要者の暮らしの安全、安心、快適性を低減させることがなく、また、商用電源系統側が停電等している場合においては、単独運転状態の分散型電源から商用電源系統側に電源が印加されることがないため、工事作業者が感電する等の電気事故を防止できる。
【0035】
なお、需要者の暮らしの安全、安心、快適性とは、電気の供給が行われていることで動作している電気機器が、電気の供給が途絶えることで停止し、その結果生ずる事柄を想定している。例えば、停電することにより生ずる、セキュリティ装置の動作停止、調理器具の不動作、照明器具の消灯、水道ポンプの給水動作停止、浄化槽の排水動作停止、冷暖房装置の動作停止、換気装置の動作停止、サーバー/クライアントコンピュータの動作停止、インターネット網を利用するためのモデム装置・電話装置の動作停止など、電気機器の動作が停止することにより、様々な弊害の発生が予想される。快適性はもちろんであるが、特に、安全性に係る電気機器の停止は回避されることが望ましい。
【0036】
(第2の実施形態)
図2は、本発明における分散型電源供給システムの第2の実施形態を示した概略構成図である。図2に示すように、本実施形態に係る分散型電源供給システム1は、図1と同様に、負荷回路300への電源供給が、商用電源系統100と分散型電源系統200との両方から行われるものである。
【0037】
ここで、第1の実施形態においては、前記分散型電源系統200において、商用電源系統100からの電源供給が途絶え、分散型電源系統が単独運転を行うことを検知した場合には、パワーコンディショナーに設けられた系統保護手段220から、前記電路開閉器400に対して商用電源系統停電検出信号の出力を行い、該電路開閉器400を遮断動作させるものであったが、
本実施形態においては、商用電源系統100側に設けられた転送遮断信号受信装置110が、電気事業者側の転送遮断信号送信装置から出力される転送遮断信号を受取り、該転送遮断信号を受けた該転送遮断信号受信装置110から商用電源系統停電検出信号が電路開閉器400に入力されて該電路開閉器400を遮断動作させるものである。
【0038】
ここで、転送遮断信号送信装置とは、一般的に、電気事業者側の配電系統における停電等を検出した場合に、該配電系統よりも下流に設けられた配電系統における発電装置が動作し続け単独運転状態となることを防止するために、該発電装置を配電系統から解列させる若しくは停止させる指示を行う信号を出力する装置である(特開2004−187442号 段落番号0021 参照)。該転送遮断信号送信装置(転送遮断装置)は、変電所用遮断器の動作状態を監視する監視手段と、変電所用遮断器が開放状態にあると監視手段によって判定された場合に、配電系統に解列指令信号を注入する信号注入手段から構成されている。そして、前記解列指令信号を受信する信号受信手段と信号受信手段が解列指令信号を受信した場合に、発電装置用遮断器の開放操作を行って発電装置を配電系統から解列する制御手段により発電装置用遮断器が開放操作される。
【0039】
前記転送遮断装置から出力される転送遮断信号は、商用電源周波数と区別可能な所定の周波数のパルス信号として、前記配電系統に対して注入される。
【0040】
本発明における転送遮断信号送信装置101は、前記転送遮断装置の構成に加えて、電気事業者側の電力系統における電力供給が停止したことを監視手段によって検出して、他の電力系統に向けて電力供給を停止させる遮断信号を出力する出力手段を備えた装置で、商用電源を供給する電気事業者側の電力系統に設けられている。
【0041】
前記転送遮断信号送信装置101は電気事業者側の配電系統に設けられるため、該転送遮断信号送信装置101と需要者側近傍に設けられる転送遮断信号受信装置110との間の電路10は概して長距離に亘ることが多い。このため、前述した転送遮断装置同様に、転送遮断信号送信装置101から出力される遮断信号を、商用電源周波数と区別可能な所定の周波数のパルス信号として、前記配電系統に対して注入する方式として構成してもよいが、転送経路や中継トランスを経由すること等により夫々の信号が配電系統を伝送する間に減衰して信号の取出しが行えなくなるなど想定される場合には、信号を伝送する通信線を配電系統と並行して設けて、前記転送遮断信号送信装置101と転送遮断信号受信装置110との間を結んでもよい。
【0042】
また、全ての経路に通信線を設けることはコストの上昇を招くおそれがあることから、転送遮断信号受信装置110が設置される近傍の電柱に通信線が接続される信号受信手段を設けるとともに、該信号受信手段から転送遮断信号受信装置110に至る短距離の配電系統に信号を注入する信号注入手段を設ける一方、転送遮断信号受信装置110に注入信号の受信手段を設けて構成し、転送遮断信号送信装置101からの信号を転送遮断信号受信装置110に伝送させる構成としてもよい。
【0043】
本実施例における転送遮断信号受信装置110は、商用電源系統100と電路開閉器400との間の電路10に介在し、前記転送遮断装置が出力する転送遮断信号を受けとる受信手段を備えるものである。転送遮断信号を受信した場合には、前記電路開閉器400に向けて、商用電源系統停電検出信号を信号線31を通じて出力する。即ち、電気事業者側からの転送遮断信号を電路開閉器を遮断動作させるためのトリガ信号として用いる。
【0044】
このような分散型電源供給システムは、第1の実施形態と同様、通常の状態においては、商用電源系統100と分散型電源系統200との両方から負荷回路300に電源の供給が行われるが、商用電源系統100側に停電等が発生し、商用電源系統側からの電源供給が途絶えた場合には、電気事業者側の転送遮断装置から出力される転送遮断信号を転送遮断信号受信装置110により受けて、電路開閉器400を動作させることにより、商用電源系統100から分散型電源系統200を負荷回路300とともに解列させる。
【0045】
したがって、電気事業者側からの転送遮断信号を、電路開閉器の遮断用のトリガ信号として用いることにより、商用電源系統において停電が発生した場合はもちろん、停電する前であっても、雷発生などにより停電が発生しそうな場合や、商用電源系統において工事が予定されている場合などにおいて能動的に、電気事業者側の所望に応じて適宜需要者側の分散型電源系統を解列させることができる。商用電源系統100側に、電気事業者にとって分散型電源系統200側からの電源が印加されることが好ましくない場合には、分散型電源系統を解列させることができ、商用電源系統において停電復旧のための工事等がなされている場合には、工事作業者が感電するおそれが回避できる。
【0046】
また、商用電源系統において、柱上変圧器を同じくする地域内に複数の分散型電源系統が設置されているような場合、本願における分散型電源供給システムにおいては、電気事業者側からの転送遮断信号を用いて、負荷回路とともに分散型電源系統を商用電源系統から解列させるため、パワーコンディショナー側にて単独運転検出を行う場合に問題となりやすい、同一バンク内に複数の分散型電源がある場合に互いの発電の影響を受けて単独運転の検出が行いにくくなるといったことがなく、より確実に単独運転の検出が行えるというメリットがある。
【0047】
また、本願における分散型電源供給システムにおいては、負荷回路とともに分散型電源系統を商用電源系統から解列させる一方、負荷回路からは分散型電源系統を解列させないため、太陽光発電装置等の分散型電源の発電運転が正常な場合には、発電した電力により負荷回路への給電状態を継続的に保て、需要者の暮らしの安全、安心、快適性を低減させることがなく、また、単独運転状態の分散型電源から商用電源系統側に電源が印加されないため、商用電源系統側における工事作業者が感電する等の電気事故を防止できる。
【0048】
(第3の実施形態)
図3は、本発明における分散型電源供給システムの第3の実施形態を示した概略構成図である。本実施形態に係る分散型電源供給システム1は、住宅用分電盤500を用いて構成されたものである。第2の実施形態と異なるところは、負荷回路300として、住宅用分電盤500を用いて構成されたものである。第1、第2の実施形態と同様のものについては同符号を付している。
【0049】
前記住宅用分電盤500には、商用電源系統側からの電線引込部近傍において電路開閉器400を配設している。該電路開閉器400の負荷側には主開閉器301が配設され、該主開閉器301の負荷側には各負荷回路に接続されて電力を分岐する母線303と、該母線に接続される複数の分岐開閉器302と、母線に接続される分散型電源系統用開閉器304が配設されている。
【0050】
分散型電源系統200は、直流電源を交流電源に変換するインバータ装置210と接続される。該インバータ装置210の出力は電路20を介して前記分散型電源系統用開閉器304に入力される。また、インバーター装置210には、商用電源系統100からの電源供給が途絶えたことを検出する系統保護手段220が接続されている。
【0051】
電気事業者側の商用電源系統100側に設けられた転送遮断信号受信装置110から出力される商用電源系統停電検出信号は、信号線31を介して電路開閉器400に入力される。また、前記系統保護手段220から出力される商用電源系統停電検出信号を信号線30を介して電路開閉器400に入力してもよい。さらに、転送遮断信号受信装置110及び系統保護手段220両方から商用電源系統停電検出信号が入力されるように電路開閉器400に信号入力端子を設けて、転送遮断信号受信装置110及び系統保護手段220何れかからの商用電源系統停電検出信号を受けたときに動作するよう電路開閉器400を構成してもよい。
【0052】
図4は、本発明に係る分散型電源供給システム1を具体的に住宅用分電盤500に適用した図を示したものである。住宅用分電盤500のケース内には、商用電源系統の電線引込部に設けられる電気事業者との契約により設置する電流制限器600と、該電流制限器600の負荷側に接続される電路開閉器400と、該電路開閉器400の負荷側に接続される主開閉器301と、該主開閉器の負荷側に接続される母線(図示しない)と、該母線に接続されて各負荷回路に電力を分岐する分岐開閉器302と、前記母線に接続されて、分散型電源系統からの電源が入力される分散型電源用開閉器304と、電路開閉器400の一次側の各極に設けられる信号受信手段111と、該信号受信手段からの信号が入力される転送遮断信号受信装置110と、該転送遮断信号受信装置110から出力される商用電源系統停電検出信号が伝送される信号線30とが設けられている。この場合、商用電源系統は前記電流制限器600と接続される。電流制限器を設けない場合には、商用電源系統は前記電路開閉器400と接続される。また、前記負荷回路300は、主開閉器301、母線、分岐開閉器302、該分岐開閉器302の負荷側に接続される電気機器、分散型電源系統用開閉器304、から構成されている。
【0053】
ここで、電路開閉器400としては、外部からの信号入力(商用電源系統停電検出信号)を受けて接点装置を開動作させる回路遮断器を用いている。外部からの信号入力は信号線30を介して行う。該信号線30は、前記回路遮断器の側面から回路遮断器外部に引き出されている。また、分散型電源用開閉器20への分散型電源の入力は、電路20を介して行われる。
【0054】
また、信号受信手段111としては、変流器を用いており、該変流器に電路開閉器400の一次側電線を貫挿させて配設し、転送遮断信号復旧信号送信装置101により電路に注入された遮断信号を検出している。
【0055】
商用電源系統100から見た場合には、電路開閉器400の下流側に、負荷回路300及び分散型電源系統200が配置される。電路開閉器400が動作した場合には、他の実施形態と同様に、負荷回路300及び分散型電源系統200の両方が商用電源系統から解列される。
【0056】
(第4の実施形態)
図5は、本発明における分散型電源供給システムの第4の実施形態を示した概略構成図である。本発明に係る分散型電源供給システム1は、商用電源系統が停電等により電源供給が途切れた場合には、該商用電源系統から負荷回路とともに分散型電源系統を解列させるものであるが、本実施形態においては、解列された後、分散型電源系統により負荷回路への電源供給を行う場合に、分散型電源系統にて発電可能な電力の範囲内で電源供給が行えるよう負荷回路への電源供給を制御することにより、需要者の安全、安心、快適性を損なうことなく、分散型電源装置の経時的に変化する発電量に応じて、継続的に需要者側に分散型電源からの電源供給が行えるものである。
【0057】
本実施形態において、第3の実施形態と異なるところは、まず、分散型電源系統で発生させる直流電力を交流電力に変換する電力変換手段201に、分散型電源装置200における発電可能な電力を計測する発電可能電力演算手段230を設けたことである。
【0058】
また、住宅用分電盤500には、分散型電源系統用開閉器304を通じて分岐回路に流れる電流を計測する電流監視手段306aと、各々の分岐回路に流れる電流を計測する電流監視手段306bと、前記電流監視手段から得られる電流値からその時々の負荷回路における消費電力値を演算するとともに前記発電可能電力演算手段230により求められた発電可能電力値と比較演算して、発電可能電力値に対する使用可能電力値を求める一方、発電可能電力値に対する使用可能電力値の割合を演算し、その割合が所定の割合以下になった場合には、分岐回路を遮断する信号を出力し、分岐回路における消費電力を低減させる制御を行う負荷回路制御器305と、該負荷回路制御器からの信号を受けて電路を遮断/投入する分岐開閉器307を設けたことである。
【0059】
ここで、分散型電源装置200が太陽光発電装置である場合には、例えば、発電可能電力演算手段230として、前記太陽光発電装置200の出力電圧及び出力電流に基づいて発電電力を演算する演算手段と、太陽光発電装置200の出力電圧を変化させる出力可変手段と、該出力可変手段を制御して太陽光発電装置の出力電圧を変化させる制御手段とを、マイクロコンピュータによって構成するとよい。前記制御手段は、出力可変手段を制御して太陽光発電装置の出力電圧を変化させることにより、所定時間毎に演算手段で演算された発電電力が最大となる出力電圧値を探索する探索動作を行う。また、探索した出力電圧値により演算される最大となる発電電力値データを外部に出力する出力部を設けて構成するとよい。
【0060】
また、電流監視手段306a,306bは、電路に貫挿させて用い、該電路に流れる電流の大きさに応じた出力信号を出力する変流器(CT)により構成するとよい。CTを用いる他、電路に近接させて用いるホール素子を用いてもよい。
【0061】
前記負荷回路制御器305は、各々の電流監視手段306a、305bから出力される出力信号、並びに前記発電可能電力演算手段230から出力される出力信号が入力される信号入力部と、入力された信号を比較演算処理し、発電可能電力値に対する使用可能電力値を求め、発電可能電力値に対する使用可能電力値の割合を演算処理し、その割合が所定の割合以下(好ましくは、安全を見込み20%以下)となった場合には、分岐回路を遮断する信号を出力し、前記所定の割合より大きくなった場合には分岐回路を復帰する信号を出力するマイクロコンピュータからなる演算処理部と、これら分岐回路を遮断/復帰制御する信号を外部に向けて出力するる信号出力部とを備えて構成するとよい。
【0062】
前記負荷回路制御部305は、住宅用分電盤の分岐開閉器と略互換サイズに構成されており、住宅用分電盤における分岐開閉器取付け部に取付けて用いるものである。
【0063】
前記分岐開閉器307は、負荷回路制御器からの信号を受けて電路を遮断/投入するものであって、リモコンブレーカを用いて構成している。
【0064】
尚、図示していないが、前記負荷回路制御器305と、前記電流監視手段306a,306b、発電可能電力演算手段230、分岐開閉器307との間には、互いに信号を授受する信号線が引き回されて構成されている。
【0065】
また、分散型電源系統用開閉器304としては、漏電遮断器を用いて構成している。前記商用電源系統から負荷回路とともに分散型電源系統が解列された場合に、分散型電源系統側で漏電が発生したときには該漏電を検出して、負荷回路への分散型電源系統からの電源供給を遮断するためである。
【0066】
本実施形態における分散型電源供給システムの動作について説明を行う。前記商用電源系統から負荷回路とともに分散型電源系統が解列された場合においては、引き続き分散型電源系統から負荷回路に電源が供給される。前記負荷回路制御器305では、該分散型電源系統における発電可能電力値と負荷回路における消費電力値とから、所定の時間間隔毎に、発電可能電力値に対する使用可能電力値の割合を求め、所定の割合(20%)を閾値として遮断/復帰制御を行う。
【0067】
発電可能電力値に対する使用可能電力値の割合が、前記所定の割合よりも大きな場合には、制御を行わず、所定の時間間隔ごとの使用可能電力値の割合を求める演算処理を繰り返す。発電可能電力値に対する使用可能電力値の割合が、前記所定の割合以下になる場合には、前記負荷回路制御器305から分岐開閉器307に対して遮断信号を出力し、負荷回路全体としての消費電力を低減させる制御を行う。
【0068】
分散型電源系統の発電可能電力値並びに負荷回路の消費電力値は刻々と変化することが見込まれるため、このような制御を繰り返し、常に、前記発電可能電力値に所定の割合だけ余裕がある状態に保つものである。
【0069】
尚、遮断制御を行う分岐回路については、予め負荷回路制御器305に登録した分岐回路について順番に遮断制御を行ってもよいし、各々の電流監視手段306bから得た出力信号に基づき、その時々において遮断効果が見込まれる分岐回路について遮断制御を行うように構成してもよい。ここで前記遮断効果が見込まれるとは、演算処理により求めた使用可能電力が増加するよう、実際に電力消費がある回路について遮断動作を行うという意味である。
【0070】
また、分岐開閉器の復帰制御について説明を行う。分岐開閉器の復帰制御のタイミングについては、使用可能電力が発電可能電力に対する所定の割合よりも大きくなった時点で直ちに復帰させると、その後発電可能電力が下がった場合には、再び遮断制御されることが予想される。即ち、負荷回路に接続された電気機器について見ると、遮断された後、一旦復帰し、またすぐに遮断されてしまうこととなり、利用者にとっては不便を被ることが予想される。このため、一旦遮断制御した後は、しばらくの間は復帰制御を行わないことが好ましい。
【0071】
より好ましくは、前記負荷回路制御器305に、時刻計測手段(RTC:リアルタイムクロック)と、遮断/復帰制御を行った時刻と、対象となる分岐開閉器(負荷回路)を識別して記憶する記憶部とを設けて構成し、発電可能電力値に対する使用可能電力値の割合が、前記所定の割合よりも大きくなった場合には、過去に遮断制御を行った分岐開閉器について十分程度(少なくとも数分間)は復帰制御を行わず、他の分岐回路について復帰制御を行うとよい。
【0072】
また、前記電流監視手段306bを全ての分岐回路に設けることはコストの上昇を招くため、例えば、電流監視手段306bを全ての分岐回路ではなく、制御対象とした一部の分岐回路(約2割程度の分岐回路,数箇所程度)に電流監視手段306bを設けて、負荷回路に流れる全体の電流は前記電流監視手段306aにより測定し、遮断制御を行う場合に、実際に消費電流がある回路について遮断制御を行うように構成してもよい。このような構成によれば、遮断/復帰制御を行う分岐回路のみをリモコンブレーカを用いる一方、他の分岐回路については外部信号による遮断/復帰制御機能を持たない通常の分岐開閉器を使用することが可能となり、電流監視手段306aの使用数の低減と相まって、コストの上昇を招きにくくして、分散型電源装置の経時的に変化する発電量に応じて、継続的に需要者側に分散型電源からの電源供給が行える分散型電源供給システムを提供することができる。
【0073】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、本発明における分散型電源供給システムにおいて、分散型電源が複数設けられているときには(太陽光発電装置や燃料電池、マイクロガスタービンなど)、夫々の分散型電源系統が接続される分散型電源用開閉器を夫々設けて前記母線と接続して住宅用分電盤を構成するとよい。分散型電源の単独運転状態を検出する系統保護手段220を夫々設ける場合には、該系統保護手段から出力される商用電源系統停電検出信号の入力信号線30を夫々設けて電路開閉器40に接続してもよいし、複数の系統保護手段から出力される商用電源系統停電検出信号を取りまとめる信号出力集中制御装置を設けて、該信号出力集中制御装置から電路開閉器400に向けて商用電源系統停電検出信号を入力するように構成してもよい。
【0075】
また、電路開閉器400には、外部からの信号を受けて接点装置を開動作させる回路遮断器を用いて構成したが、回路遮断器としての配線用遮断器、漏電遮断器の他、電磁接触器やリモコンリレーやリモコンブレーカ等外部からの制御信号を受けて接点装置を開閉動作させるものを用いて構成してもよい。

【符号の説明】
【0076】
1 分散型電源供給システム
100 商用電源系統
110 転送遮断信号受信装置
111 信号受信手段
200 分散型電源系統
201 電力変換手段
210 インバータ装置
220 系統保護手段
230 発電可能電力演算手段
300 負荷回路
301 主開閉器
302 分岐開閉器
303 母線
304 分散型電源系統用開閉器
305 負荷回路制御器
306 電流検出手段
307 分岐開閉器
400 電路開閉器
500 住宅用分電盤
600 電流制限器



【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷回路への給電が、
商用電源系統及び該商用電源系統に対して系統連系がなされる分散型電源系統の両方から行われる分散型電源供給システムであって、
前記分散型電源供給システムは、
前記商用電源系統から負荷回路へ至る電路に介在し、該負荷回路及び分散型電源系統を共に前記商用電源系統と接続若しくは解列させる電路開閉器と、
前記分散型電源供給システムに備えられた前記商用電源系統からの電源供給が途絶えたことを検出し、前記商用電源系統からの電源供給が途絶えたことが検出された場合には、商用電源系統停電検出信号を前記電路開閉器に出力する系統保護手段と、を備え、
前記系統保護手段から出力される商用電源系統停電検出信号を受けた前記電路開閉器は、該商用電源系統停電検出信号をトリガ信号として電路開閉器が有する接点を開離させて、
前記負荷回路及び分散型電源系統を共に商用電源系統から解列させる一方、
前記負荷回路に対する給電は分散型電源から継続して行われ、該負荷回路への給電を保つことを特徴とする分散型電源供給システム。

【請求項2】
前記分散型電源供給システムは、
前記商用電源を供給する電気事業者側の電力系統に設けられて、
該電力系統における電力供給が停止したことを検出して、他の電力系統に向けて電力供給を停止させる遮断信号を出力する商用電源系統に備えられた転送遮断信号送信装置から出力される転送遮断信号を受けて、前記電路開閉器に前記商用電源系統停電検出信号を出力する転送遮断信号受信装置を備え、
負荷回路及び分散型電源系統を共に商用電源系統と接続又は解列させる電路開閉器を駆動させるトリガ信号を、
前記分散型電源系統に備えられた系統保護手段から出力される商用電源系統停電検出信号に代えて、前記転送遮断信号受信装置から出力される商用電源系統停電検出信号を用いて構成し、
前記転送遮断信号受信装置から出力される商用電源系統停電検出信号を受けた前記電路開閉器は、該商用電源系統停電検出信号をトリガ信号として電路開閉器が有する接点を開離させて、
前記負荷回路及び分散型電源系統を共に商用電源系統から解列させることを特徴とする請求項1記載の分散型電源供給システム。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電路開閉器を商用電線引込部近傍に配設するとともに、
前記電路開閉器の負荷側に、
該電路開閉器と接続される主開閉器と、
該主開閉器の負荷側に接続される母線と、
該母線から各負荷回路に電力を分岐する複数の分岐開閉器と、
前記母線に接続される分散型電源系統用開閉器と、
を配設した住宅用分電盤を備えて構成し、
前記電路開閉器が動作した場合には、商用電源系統から前記主開閉器を含む2次側の回路が全て解列されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の分散型電源供給システム。

【請求項4】
前記分散型電源供給システムは、
更に、前記分散型電源系統の発電可能な電力を演算する発電可能電力演算手段と、
前記分散型電源系統用開閉器を通じて分岐回路に流れる電流を計測する電流監視手段と、各々の分岐回路に流れる電流を計測する電流監視手段と、
前記電流監視手段から得られる電流値からその時々の負荷回路における消費電力値を演算するとともに前記発電可能電力演算手段により求められた発電可能電力値と比較演算して、発電可能電力値に対する使用可能電力値を求め、前記発電可能電力値に対する使用可能電力値の割合を演算し、その割合が所定の割合以下になった場合には、分岐回路を遮断する信号を出力し、分岐回路における消費電力を低減させる制御を行う負荷回路制御器と、を備え、
前記商用電源系統から負荷回路及び分散型電源系統が解列された場合に、常に、
分散型電源系統における発電可能電力値が負荷回路における消費電力値に対して余裕を持つよう負荷回路における消費電力を制御することを特徴とする請求項3記載の分散型電源供給システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−223852(P2011−223852A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119942(P2010−119942)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000109598)テンパール工業株式会社 (217)
【Fターム(参考)】