説明

分散配置機能を有する測定システム

【課題】分析装置と試験要素のマガジンの連結を簡素化し、その信頼性が向上するよう設計し、電子部品の廃棄を回避し、再利用によってコストを低減する。
【解決手段】体液中の被分析物を測定するための分析装置と試験片マガジン(134)とを有する分析システム(300)において、分析システムは、再利用可能な要素のグループ(120)と廃棄可能な要素のグループ(140)とを内蔵し、電子素子をまったく有しない要素(132、134)は、切離し点(302)においてグループ(120)から切離し可能であることを特徴とする分析システム(300)。クリティカルインターフェイス(150、160)は、装置の製造時に組立て・検査される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血中グルコース測定のための統合システムは、かなり前から市販されている。これらの統合システムは、測定装置、その中に挿入可能な電池、および試験片マガジンを有する。試験片マガジンは、ディスクの形状(Bayer Dex)またはドラムの形状(AccuChek Compact)である。試験片マガジンは、バッチ固有の情報を試験片マガジンが使用される測定装置に転送するために、たとえばバーコードの形態のコーディング手段を一般に内蔵する。コストの理由から、コーディング手段に格納される情報量には限界がある。大量の情報を格納し、よって本質的にそれ相応に高い自由度の、ROMキーのような電子的コーディング手段は、使用されていない。
【背景技術】
【0002】
高度な情報コンテンツを有するこのようなコーディング手段が、最近では使用することが意図されている。その結果、コストの低減の問題と、家庭ごみとともに放置された電子部品廃棄物の問題が解決すべき課題となっている。
【0003】
コーディング手段を、高い信頼性を備えるよう装置に連結するためには、1つのクリティカルインターフェイスが必要である。ROMキーまたはスマートカードの電気接点は、機械的誤差範囲が小さいとともに、多数回繰返し使用できるようになっていることが求められる。RFIDチップは接触させることなく読み取ることが可能であるが、最終分析において、コストが高く、また、エネルギー消費がかなり大きい。
【0004】
国際公開第2005/006985A2号は、体液の分析装置と分析方法に関する。分析装置は、身体の部位を保持する保持部、および身体の部位に対向して配置され、保持部に対して解放点と有効位置の間で動くことができる支承部が設けられた筐体を有する。分析装置は、また、対向支承部に支持されている身体の部位に直線穿刺運動により挿入可能な穿刺部材、および身体の部位から出てくる体液を塗布する試験リボンを有する。試験リボンは、試験リボンユニットに収容されている。さらに、分析装置は、試験リボンの一部に塗布された体液を検査するための検出ユニットを有する。
【0005】
国際公開第2004/047642A1号は、内部に体液を吸収する試験片リボンが設けられている、体液の分析装置に関する。試験片リボンの未使用部分は、供給領域に収容されている。試験片リボンの体液で汚染された部分は、保管領域に保管される。試験片リボンの一部が、供給領域と保管領域の間に露出されて体液を吸収し、この露出部は、体液に対する試験媒体が塗布された点を有する。
【0006】
同様に、国際公開第2004/056269号パンフレットは、体液の分析装置に関する。分析装置は、体液を塗布する試験片リボンを有する。試験片リボンは、リボンと、複数の試験媒体部間に延びた非試験媒体部を備えた試験媒体から構成されている。分析装置は、また、リボン形状の汚染されていない新しい試験片を収容するとともに、開口が設けられた筐体を備える供給領域を有する。供給領域は、環境に対して開口を封止する密封装置をさらに有する。開口を密封したとき、試験片リボンの試験媒体非塗布部は、密封要素と、通常は筐体の壁である面との間に配置される。
【0007】
先行技術から周知の、とりわけ国際公開第2005/006985号パンフレットによる分析装置の場合、分析装置は、試験片を収容するマガジンの一体化に大きく依存している。分析装置には、また、穿刺補助具が設けられており、これにより分析装置が不必要に大きくなる。
【0008】
ユーザが取り扱い可能な分析装置の開発の傾向としては、今後、リボンカセットの形態を有する試験要素の容器に向かうことになろう。試験媒体は、たとえばグルコース判定のための1層または複数層の被覆が所々に施されたリボンとして、カセットに収容されている。さらに、これらのカセットは、リボン形状の試験片を搬送するための機械要素、およびマガジン内の供給区画から未使用のリボンを取り出す、特に開口のためのキーを有する。国際公開第2005/006985A2号から周知の態様の場合には、マガジンを分析装置に挿入しなければならないために、特に国際公開第2005/006985A2号による分析装置は、比較的大型になる。
【0009】
国際公開第2006/002432A1号は、試験片を供給するための装置に関する。機器の筐体には、少なくとも1つの開口が設けられている。積層した試験片が、送り機構によって第1の方向に、筐体に対して押圧されており、筐体内に積層して収容されている試験片の1つは、筐体から取り出すことができるように配置されている。多数の可動式シールが、閉鎖位置にあるとき少なくとも1つの開口を密封するとともに、パッケージを本質的に耐湿かつ気密にするように設けられている。可動式シールの1つは、開放位置にあるとき、多数の試験片の1つが通過できるように設計されている。
【0010】
先行技術から周知のほぼ全ての装置において、廃棄可能な要素(試験片と試験片マガジンを意味すると解される)と測定装置の間のクリティカルインターフェイスは、顧客が確立する。インターフェイスの複雑さと要するコストは大きいものであるが、それなくしては、全てのケースにおいて、実効的な機能上の信頼性を確保することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、分析装置と試験要素のマガジンの連結を簡素化する、その信頼性が向上するよう設計する、電子部品の廃棄を回避する、および再利用によってコストを低減するという目的に基づく。
【0012】
本発明は、ヒトの体液で濡らした試験要素の評価のための測定ユニットを、試験片がリボンの形状に収容されているマガジンと一体化することを提案する。測定ユニットは、LED、フォトダイオード、および少なくとも1つのエーシック(ASIC)を備える電子部品に接続された光学素子を有する。少なくとも1つのASICは、たとえばマガジンの筐体の背面に取り付けることができるシリアルインターフェイスを含むことが好ましく、これにより、シリアルインターフェイスにある、たとえばグルコース測定に関する処理データの送信が、分析装置を単にシリアルインターフェイスに接続するだけで可能になる。本発明によって提案された、リボン形状の試験片を収容する大きく統合されたマガジンは、分析装置に対してより簡単に機械的連結ができるようになっている。信号は、大きく統合されたマガジンとそれに容易に連結可能な分析装置の間を、シリアルプロトコルによる、マガジンの筐体の背面またはその側面の1つに設けられるシリアルインターフェイスを介して確実に送信される。これにより、分析装置とカセット形態のマガジン両方の物理的形状を小型化する基礎ができる。本発明によって提案された、より大きく統合されたマガジンは、最早分析装置に挿入するつまり押し込む必要がなく、それに対して簡単に接続できるという事実のために、物理的大きさに対する設計上の大きい自由度が得られる。
【0013】
本発明の態様は、未使用の試験片がコイル状に巻いて収容されるマガジン区画内の湿気は、カセットと一体化された電子部品により構成される湿度センサによっても測定できることを意味する。湿気の浸入は、試験片の長期使用に悪影響を及ぼす。本発明の態様は、湿気が、製造過程でこの試験片に含まれるようになったのか、若しくは使用中にまたは試験片を供給区画から供給する間にそれに浸入したのかを判定できるために、供給区画に収容されている試験片の残りの有効期間を予測することを可能にする。従って、本発明によって提案された、より大きく統合されたマガジンは、品質および未使用の新しい試験片の残りの有効期間についての情報をユーザに提供することができる。
【0014】
本発明によって提案された、リボン形状の試験片を収容するマガジンには、着脱可能に取り付けられた基板上に、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素が収容されている。基板を、たとえばそれを押進させて、たとえば案内レールまたはバヨネット取付金具によりマガジンの筐体に取り付けたとき、基板上に配置されたエネルギー貯蔵要素と、より大きく統合されたマガジンの筐体内の、たとえばASICのような電子部品の間が電気的に接続される。コーディング用のROMキーも、また、基板上に配置されている。本発明によれば、ROMキーとエネルギー貯蔵要素を備える基板は、廃棄前に、リボン形状の試験片を収容するカセットから取り外すことが可能である。汚染された試験片は、家庭ごみと一緒に処分することができるが、基板は、電子部品の処分時に廃棄するか、またはユーザが各々の基板を収集して、それらをリサイクルすることが好ましい任意の手段である。最早再利用不可能な試験片は取り外し、たとえば基板のようなリサイクル可能な要素は、材料循環のサイクルに送り返して再利用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面を参照しつつ、以下の文章において本発明についてより詳細に説明する。
【0016】
ここでは、マガジンの表記は、多数の試験要素が収容されている収容要素を意味する。マガジンは、カセットの形態であり、その場合、試験要素の供給は、たとえば未使用の試験要素のコイル1つと、使用済み試験要素のコイル1つを備える巻取りコイルの形態にして行うことができる。マガジンは、また、積層の形態であってもよく、その場合、各々の試験要素を、たとえば垂直に、水平にまたは互いに角度を付けて配置された帯片の形状に収容することができる。マガジンは、また、各々の試験要素が周囲の溝に収容されているディスク型であってもよく、駆動装置が、ディスク型に構成されたマガジンを、1つの試験要素から次の試験要素へと動かす。
【0017】
リボン状帯片の形状の新しい試験要素および光学的評価能力を有する装置を参照しつつ、本発明について説明するが、本発明を、このような実施形態に限定する意図はない。本発明は、電気化学的に評価可能な帯片の形状であるとともに、マガジンに積層して収容されている試験要素も同様に、他の実施形態によることもできる。
【0018】
試験要素は、たとえばマガジンに帯片の形状で収容されていて、たとえば血中グルコース、乳酸塩、コレステロール等の、ヒトの体液の被分析物を測定するために用いられる医療用使い捨て要素を意味すると解されるものとする。以下、開口の表記は、たとえば試験片の形状の医療用使い捨て要素をマガジンから取り出すための開口であり、試験要素が収容されているマガジン内部への望ましくない湿気の浸入を防止するための、たとえばマガジンの筐体に取り付けられたシールの形態であり、または、密封用リップを備えた長さ方向の溝を意味すると解されるものとする。
【0019】
図1は、先行技術から周知の分析装置を示す。一例として、この分析装置は、出願人が製作したAccuChek Compactシステムである。その主な要素が図1では模式的に示されているが、装置100は、通常はプラスチックの射出成形部品である装置の筐体102を有する。装置の筐体102にはディスプレイ104が設けられており、それにより、ユーザは、たとえば血中グルコース濃度、コレステロール濃度等の得られた結果を読むことができる。ディスプレイ104は、装置の筐体102と一体化されていて、ディスプレイ制御部106によって制御される。ディスプレイ制御部106それ自体は、参照符号108が付され、ディスプレイ104に表示されるデータを演算する演算素子に接続されている。装置の筐体102内の演算素子108それ自体は、装置の筐体102に同様に収容されている測定素子110に接続されている。第1のクリティカルインターフェイス150は、廃棄可能な要素(即ち廃棄可能な部品)と測定装置とを互いに接続する。第1のクリティカルインターフェイスは、未使用の廃棄可能な要素が新たに挿入される毎に、顧客が再度確立しなければならないために、それ相応の厳しい誤差範囲が求められ、製造コストが増大する。
【0020】
測定素子110は、第2のクリティカルインターフェイス160を介して測定周辺素子112に接続されている。一例として、図1に示したように、装置100の装置の筐体102の測定周辺素子は、光学的評価システム、およびその他の、たとえば電流値を測定するための電位差計および電流計のような他の電子部品を含む。装置の筐体102の測定周辺素子112の内部で一体化されている電気部品(前述の部品の全てを含んではいない)は、試験片マガジン134に収容され、たとえば先にヒトの皮膚に形成された開口からの、血液のような体液で湿らされた試験片を評価するために用いられるが、該体液は、化学的または光学的手法を用いて、少なくとも1つの被分析物について検査される。
【0021】
装置の筐体102は、たとえば試験片マガジン134から試験片を送り出すために用いられる駆動装置114をさらに収容する。一般に電気的駆動装置である駆動装置114は、付随した駆動制御部116を有する。
【0022】
図1の例から判るように、上述した要素、即ち装置の筐体102、ディスプレイ104、ディスプレイ制御部106、演算素子108、測定素子110、光学素子や電流計や電位差計等を含む測定周辺素子112、および駆動制御部116を含む駆動装置114は、全て装置100の要素を構成し、図1に示した例ではグループ120として統合されている。
【0023】
また、図1の例は、コーディング手段130および試験片マガジン134から取り出して使用した試験片を収容するために用いられる廃棄物容器132が、図1の例においては、参照符号140が付されている廃棄可能な要素であることを示す。エネルギー貯蔵要素136は、分離したエネルギー貯蔵要素である。この場合、日常使用されるその他多くの装置の場合と同様に、好ましくは電池の形態であるエネルギー貯蔵要素と接触する電池接点は、しばしば故障の発生源になる。
【0024】
図1に示した態様においては、第1のインターフェイス150は、廃棄可能な要素のグループ140と、装置の要素であるグループ120の間に配置され、第2のクリティカルインターフェイス160は、装置の要素であるグループ120に配置されている。グループ140の要素、即ち廃棄可能な要素であるコーディング手段130は、本発明においてはきわめて簡素で、結果として限定された情報だけを格納するものでなければならない。これは、コーディング手段130が、廃棄可能な要素を特徴付けるグループ140の要素であるからである。さらに、一般には電池であるエネルギー貯蔵要素136は、消耗品であり、また、ユーザにとって取り扱い易いとはいえない、さらなる廃棄可能な要素である。装置100に基づき、また、図1に模式的に示した態様は、一般に高価であり、それ故に高い価値の部品が再利用されるという明らかな利点を有し、この利点は、相当する大きさの不都合な点によって相殺はされない。
【0025】
図2の例は、全体が廃棄可能システムとして構成されている、別の実施形態の変形例を示す。
【0026】
図2の例から判るように、装置の筐体102は、それに統合されたディスプレイ104、ディスプレイ制御部106、演算素子108およびこれらの電子素子と相互に作用するコーディング手段130、測定素子110、測定周辺素子112は第2のクリティカルインターフェイス160によって互いに接続されている、および駆動装置114、駆動制御部116、エネルギー貯蔵要素136、および第1のクリティカルインターフェイスによって測定周辺素子112に接続されている試験片マガジン134は、廃棄物容器132とともに廃棄可能システム200である。図2に模式的に示したこの廃棄可能システム200は、電子素子、ディスプレイおよび装置の筐体のような高価な要素も、また、何回かの測定の後に廃棄されるという不都合な点を有するが、このことは、電子要素の大きい統合を可能にするという利点を有する。
【0027】
図3は、機能が分散して配置されている、本発明により提案された分析システムを示しており、このシステムは図1と図2に示した公知例と比較される。
【0028】
図3から判るように、分析装置の要素を含むグループ120は、装置の筐体102、ディスプレイ104、そのディスプレイの制御部106、演算素子108、および駆動装置114とその制御部116を有する。このことは、駆動装置114、その制御部、制御部106を備えたディスプレイ、および演算素子108のような装置の高価な要素は、図3に示すとともに分散された機能300を有する分析システムが新しい試験片マガジン134に取り付けられたとき、再利用されることを意味する。
【0029】
図3の例からも同様に判るように、廃棄可能な要素を含むグループ140は、廃棄物容器132、上述した試験片マガジン134、このケースにおいてはコーディング手段130に接続されている測定周辺素子112と測定素子110、およびエネルギー貯蔵要素136を有する。これらの要素は、使用後別々に廃棄可能なグループ140の要素である。図3において参照符号140が付されるとともに、廃棄可能な要素を含むグループは、第1のクリティカルインターフェイス150と第2のクリティカルインターフェイス160を有する。本発明によって提案された分析システムにおいて、第1のクリティカルインターフェイス150は、ユーザが付随する廃棄物容器132とともに試験片マガジン134を測定周辺素子112に連結する切離し点302と一致する。第1のクリティカルインターフェイス150に一致する切離し点302は、本発明によって提案された分析システムの廃棄可能な要素であるグループ140を切り離すことを可能にし、有利である。たとえば廃棄物容器132と試験マガジン134のような電子素子を含まない消耗品は、家庭ごみと一緒に廃棄可能であり、また、切離し点302においてグループ140を切り離したとき、電子要素、即ち測定周辺素子112、それに第2のクリティカルインターフェイス130によって接続された測定素子110、および特に電池式貯蔵要素136のような、これらの電子素子に接続されたコーディング手段130は、リサイクルされるまたは少なくとも電子ストラップ廃棄システムに供給されるが、このことは、図1と図2に示した装置100または図2に示した廃棄可能システム200の場合には不可能であった。
【0030】
また、図3に模式的に示した、本発明の態様から判るように、第1と第2のクリティカルインターフェイス150、160は、製造時に接続される要素、即ちグループ140に配置される。全てのクリティカルインターフェイスは、製造元により接続と検査が行われる。機械的な誤差範囲に対する要求を緩めたときにも、機能上の信頼性が向上するために、製造コストが低下する。
【0031】
切離し点302を備えるとともに、廃棄可能な要素を含むグループ140の構成を採用することにより、図3に示した分析システムのユーザは、問題を生じることなく、廃棄可能な要素のグループ140内の電子要素112、110、136を別途廃棄する、またはそれらをリサイクルのために送ることが可能になる。廃棄可能な廃棄物容器132および中に試験片が存在しない試験片マガジン134と、電子要素110、112、130、136の間の切離しは、インターフェイス132において行われ、これは、ユーザにとってきわめて簡単かつ便利である。
【0032】
図3の模式図から判るように、コーディング手段130は、測定素子110に直接連結されている。コーディング手段130を測定素子110に直接接続することは、一例だけを挙げると、欠陥を生じる恐れがあるプラグ接続がないために、より高いレベルの統合、即ちより高い機能を持ち、コストが安い装置の物理的サイズを縮小できることである。さらに、使用中の装置100をユーザが再利用できるように、新しい廃棄可能な要素を備えた測定素子と測定装置を、開発の最新状況に合わせるとともに、測定素子と測定装置の廃棄可能な要素を更新することが可能である。この場合、廃棄可能な要素は、新しい情報が装置100に伝達される媒体となる。
【0033】
図3の例から判るように、廃棄可能な要素のグループ140は、コーディング手段130を含む。コーディング手段130が限定量の情報だけを格納していた先行技術の態様と比較すると、本発明による、廃棄可能な要素のグループ140に統合されているコーディング手段130は、たとえばROMキー等の形態であるために、情報量について自由度が高い。電子記憶媒体の場合、コストは、一般に記憶チップに1/3、筐体に1/3および電気接点に1/3が割り振られる。本発明によれば、これらコストの2/3の節約が可能になる。
【0034】
本発明による、機能が分散配置されている分析装置の廃棄可能な要素を示す、図3に示したグループ140の変形例において、廃棄物容器132および空のつまり試験片を使い切ったマガジン134を、電子要素112、110、136から切離し点302に沿って切り離すとともに、未使用の試験片を収容した新しい試験片マガジン134を廃棄物容器132と一緒に、使用可能な電子要素112、110、136に取り付け、このような廃棄可能な要素のグループ140を、機能が分散配置されているシステム300内でもう一度使用することが可能である。
【0035】
機能が分散配置されているとともに、図3に示したシステム300は、駆動部114、それに付随したモータ制御部116、ディスプレイ104、ディスプレイ制御部106、演算素子108および装置の筐体102のような高価な要素の再利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】先行技術から周知の装置(AccuChek Compact)の構成を示し、装置の要素が一つのグループに統合され、廃棄可能な要素が他の一つのグループに統合されている。
【図2】全体が廃棄可能システムの形態である分析装置を示す。
【図3】本発明によって提案された、分散機能を有する測定システムを模式的に示し、分析装置の要素は一つのグループに統合され、延在する廃棄可能な要素は、他の一つの、分離されたグループに統合されているとともに、廃棄可能グループは、互いに切離し可能な2つの部分から形成されている。
【符号の説明】
【0037】
100 装置
102 装置の筐体
104 ディスプレイ
106 ディスプレイ制御部
108 演算素子
110 測定素子
112 測定周辺素子
114 駆動装置(電動モータ)
116 駆動制御部
120 分析装置の要素
130 コーディング手段
132 廃棄物容器
134 試験片マガジン
136 エネルギー貯蔵要素(廃棄可能な要素2)
140 廃棄可能な要素(廃棄可能な要素1)
150 第1のクリティカルインターフェイス
160 第2のクリティカルインターフェイス
200 廃棄可能システム
300 機能が分散配置されている分析システム
302 切離し点(=第1のクリティカルインターフェイス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液中の被分析物を測定するための分析装置と試験片マガジン(134)とを有する分析システム(300)であって、
再利用可能な要素のグループ(120)と廃棄可能な要素のグループ(140)とを備え、電子素子を有しない要素(132、134)と電子要素(110、112、136)とを有し、前記電子素子を有しない要素(132、134)は、切離し点(302)において切離し可能であることを特徴とする分析システム。
【請求項2】
前記廃棄可能な要素のグループ(140)は、コーディング手段(130)が統合されている測定素子(110)を有することを特徴とする請求項1記載の分析システム(300)。
【請求項3】
前記コーディング手段(130)は、電子メモリチップの形態であることを特徴とする請求項2記載の分析システム(300)。
【請求項4】
測定周辺素子(112)と試験片マガジン(134)の間の第1のクリティカルインターフェイス(150)が、前記廃棄可能な要素のグループ(140)内に配置されていることを特徴とする請求項1記載の分析システム(300)。
【請求項5】
前記測定素子(110)と前記測定周辺素子(112)の間の第2のクリティカルインターフェイス(160)は、前記廃棄可能な要素のグループ(140)内に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分析システム(300)。
【請求項6】
前記試験片マガジン(134)と前記測定周辺素子(112)の間、
前記測定周辺素子(112)と前記測定素子(110)の間、および前記測定素子(110)と少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の間の少なくとも1つのクリティカルインターフェイス(150、160)は、
前記分析システム(300)の製造時に、製造・検査されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分析システム(300)。
【請求項7】
測定素子(110)と測定周辺素子(112)は、未使用の廃棄可能な要素のグループ(140)を用いて、取付け時に更新できることを特徴とする請求項1記載の分析システム(300)。
【請求項8】
前記分析装置の前記再利用可能な要素のグループ(120)は、再利用可能なディスプレイ(104)、ディスプレイ制御部(106)および演算素子(108)を備えた装置の筐体(102)を有することを特徴とする請求項1記載の分析システム(300)。
【請求項9】
前記測定周辺素子(112)は、試験片部(134)に収容されていて、ヒトの体液で濡らすことができる試験片を光学的に評価するための光学評価システムを内蔵することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の分析システム(300)。
【請求項10】
前記測定周辺素子(112)は、前記試験片部(134)に収容されていて、ヒトの体液で濡らすことができる試験片を電気化学的に評価するための電気化学評価システム、とりわけ電流計または電位差計を内蔵することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の分析システム(300)。
【請求項11】
前記試験片マガジン(134)と前記測定周辺素子(112)の間の前記第1のクリティカルインターフェイス(150)と、前記測定周辺素子(112)と前記測定素子(110)の間の前記第2のクリティカルインターフェイス(160)とは、製造時に接続される要素に配置されていることを特徴とする請求項4または5記載の分析システム(300)。
【請求項12】
前記廃棄可能な要素のグループ(140)の一部である少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素(136)を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の分析システム(300)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素(136)は、前記廃棄可能な要素のグループ(140)の外部にある廃棄可能な要素であることを特徴とする請求項12記載の分析システム(300)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−292476(P2008−292476A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−117324(P2008−117324)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】