説明

分析システム

【課題】命令信号の入力操作にかかる負担を軽減しつつ、複数の分析ユニットを統括して制御することができる分析システムを提供することを目的とする。
【解決手段】試料の分析を行う複数の分析ユニットA11〜A14と、各分析ユニットA11〜A14に対する命令信号の入力をする入力操作部33を有し、命令信号に応じた制御信号を分析ユニットA11〜A14に出力することによって分析ユニットA11〜A14を制御する制御装置A31と、命令信号の入力をする入出力部43と、中継装置50を介して制御装置A31との間で無線での信号の送受信を行う送受信部42とを有し、入出力部43によって入力された命令信号を無線で制御装置A31に送信する外部装置40と、を備え、制御装置A31は、入力操作部33によって入力された命令信号を優先する設定と、外部装置40から受信した命令信号を優先する設定との切り換えを行う切換部37とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の分析を行う複数の分析ユニットを制御装置によって制御する分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、試料の分析を行う複数の分析ユニットと、各分析ユニットに制御信号を出力することによって複数の分析ユニットを制御する制御装置とを有した分析システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、制御装置が、入力操作部によって入力された命令信号に応じた制御信号を複数の分析ユニットに出力する分析システムが記載されている。この分析システムは、オペレータが制御装置に設けられたキーボードあるいはマウスを用いて分析ユニットに対する命令信号の入力操作を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−309743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の分析システムは、例えば、メンテナンスあるいは試薬交換の際、オペレータが命令信号の入力操作のために各分析ユニットと制御装置との間を頻繁に往復しなければならないので、命令信号の入力操作にかかる負担が大きいという問題があった。
【0006】
そこで、オペレータが、PDA等の外部装置を用いて各分析ユニットの近傍で命令信号の入力操作を行うことも考えられる。しかしながら、複数の分析ユニットのなかのいずれか1つでも制御装置の入力操作部によって入力された命令信号に応じた制御信号が入力されると、外部装置を用いて複数の分析ユニットを統括して制御することが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、命令信号の入力操作にかかる負担を軽減しつつ、複数の分析ユニットを統括して制御することができる分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析システムは、試料の分析を行う複数の分析ユニットと、前記各分析ユニットに対する命令信号の入力をする入力操作部を有し、前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットに出力することによって前記複数の分析ユニットを制御する制御装置と、前記命令信号の入力をする入力手段と、前記制御装置との間で無線での信号の送受信を行う第1送受信手段とを有し、前記入力手段によって入力された前記命令信号を前記第1送受信手段によって無線で前記制御装置に送信する外部装置と、を備え、前記制御装置は、前記外部装置との間で無線での信号の送受信を行う第2送受信手段と、前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先する設定と、第2送受信手段が前記外部装置から受信した前記命令信号を優先する設定との切り換えを行う切換手段と、を有し、前記切換手段の設定に基づいて前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットに出力することによって前記複数の分析ユニットを制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる分析システムは、上記発明において、前記外部装置は、前記入力手段によって入力する前記命令信号を前記分析ユニット毎の前記命令信号に切り換えるユニット切換手段を有したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる分析システムは、上記発明において、前記外部装置は、前記入力手段によって入力された前記命令信号を優先する旨の第1要求信号を取得する要求取得手段を有し、前記制御装置は、前記切換手段の設定に基づいて、前記外部装置から受信した前記第1要求信号による要求を許可するか否かを判断する判断手段を有し、該判断手段によって前記第1要求信号による要求を許可した場合、前記入力手段によって入力された前記命令信号に応じた制御信号を優先して前記各分析ユニットに出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる分析システムは、上記発明において、前記切換手段は、前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先する設定を、前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先し、且つ前記外部装置から受信した前記分析ユニット毎の前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットへ出力可能とする設定とし、前記要求取得手段は、前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先し、且つ前記外部装置から前記制御装置に送信する前記分析ユニット毎の前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットに出力する旨の第2要求信号を取得し、前記判断手段は、前記切換手段による設定に基づいて、前記外部装置から受信した前記第2要求信号による要求を許可するか否かを判断し、前記制御装置は、前記判断手段によって前記第2要求信号による要求を許可した場合、前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先しつつ、前記外部装置から受信する前記分析ユニット毎の前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットに出力することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる分析システムは、上記発明において、前記制御装置は、通信手段を介して複数接続され、前記外部装置は、前記入力手段によって入力する前記命令信号を前記制御装置毎の前記命令信号に切り換える装置切換手段を有したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる分析システムは、上記発明において、前記入力手段は、前記命令信号の入力操作を行う押しボタンを有したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる分析システムは、上記発明において、前記押しボタンは、保護用シートによって被着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる分析システムにおいては、複数の分析ユニットは、試料の分析を行い、制御装置は、前記各分析ユニットに対する命令信号の入力をする入力操作部を有し、前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットに出力することによって前記複数の分析ユニットを制御し、外部装置は、該外部装置が有する入力手段によって入力された前記命令信号を無線によって制御装置に送信し、前記制御装置は、前記外部装置から受信した前記命令信号を優先する設定に切り換えた場合、前記外部装置から受信した前記命令信号に応じた制御信号を優先して前記各分析ユニットに出力して前記複数の分析ユニットを制御するので、外部装置を用いて分析ユニットの近傍で複数の分析ユニットを統括して制御することが可能となる。従って、命令信号の入力操作にかかる負担を軽減しつつ、複数の分析ユニットを統括して制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、この発明にかかる分析システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかる分析システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる分析システム1は、試料の分析を行う複数の分析ユニットA11〜A14、検体搬送ユニットA21、制御装置A31および中継装置50が通信手段としての通信ネットワークNを介して接続され、外部装置40が中継装置50を介して通信ネットワークNに接続されている。
【0018】
分析ユニットA11は、反応テーブル12、試薬テーブル13およびユニット制御部14を有しており、その他の分析ユニットA12〜A14は、分析ユニットA11と同様に構成されている。なお、分析システム1は、4つの分析ユニットA11〜A14を有するものを例示したが、これに限らず、複数の分析ユニットを有していればよい。
【0019】
反応テーブル12は、試料としての検体と試薬との反応を行わせる反応容器12aを複数保持し、図示しない駆動機構によって回転して反応容器12aを周方向に移送する間に反応容器12aに検体分注機構12bによって検体が分注され、試薬分注機構12cによって試薬が分注される。また、反応テーブル12には、検体と試薬とが反応した反応液の光学的特性を測定する測光部12d、反応容器12aに収容された液体を攪拌する攪拌部12e、反応容器12a内の洗浄を行う洗浄部12fが設けられている。
【0020】
試薬テーブル13は、試薬を収容した複数の試薬容器13aを着脱自在に複数収納し、図示しない駆動機構によって、試薬テーブル13の中心を通る鉛直線を回転軸として回転される。
【0021】
ユニット制御部14は、制御装置A31から入力された制御信号に基づいて分析ユニットA11の制御を行う。ユニット制御部14は、図2に示すように、ユニット主制御部14a、入出力部14b、反応テーブル制御部14c、検体分注機構制御部14d、試薬分注機構制御部14e、測光部制御部14f、攪拌部制御部14g、洗浄部制御部14hおよび試薬テーブル制御部14iを有する。ユニット制御部14内の上述した各部は、ユニット主制御部14aに接続される。
【0022】
ユニット主制御部14aは、CPU、RAMおよびROM等によって実現され、制御装置A31から入力される制御信号に基づいて分析ユニットA11の各部の処理および動作を制御する分析ユニットA11の主制御部として機能する。
【0023】
入出力部14bは、分析ユニットA11に対する命令信号の入力および分析ユニットA11に関する情報の出力機能を有する。反応テーブル制御部14c、検体分注機構制御部14d、試薬分注機構制御部14e、測光部制御部14f、攪拌部制御部14g、洗浄部制御部14hおよび試薬テーブル制御部14iのそれぞれは、CPU、RAMおよびROM等によって実現され、ユニット主制御部14aから入力される制御信号に基づいて上述した分析ユニットA11の要素構成の動作を個別に制御する副制御部として機能する。例えば、試薬分注機構制御部14eは、試薬分注機構12cが備える分注プローブの動作を個別に制御する。
【0024】
検体搬送ユニットA21は、ラック搬送部21を有する。ラック搬送部21は、並列する複数の分析ユニットA11〜A14の側部に配置され、検体を収容した複数の検体容器21aを保持した検体ラック21bを分析ユニットA11〜A14に沿って搬送する。
【0025】
制御装置A31は、図1に示すように、制御部32、入力操作部33、解析部34、出力部35、記憶部36、切換部37および判断部38を有する。複数の分析ユニットA11〜A14、検体搬送ユニットA21および制御装置A31内の上述した各部は、制御部32に接続される。
【0026】
制御部32は、CPU、RAMおよびROM等よって実現され、複数の分析ユニットA11〜A14、検体搬送ユニットA21および制御装置A31内の上述した各部の処理および動作を制御する。制御部32は、制御装置A31の各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
【0027】
入力操作部33は、分析ユニットA11〜A14に対する命令信号、あるいは分析項目の選択情報等の分析情報を示す旨の信号を入力する操作部である。入力操作部33は、例えば、キーボードやマウス等によって実現される。
【0028】
解析部34は、測光部12dでの測定結果をもとに、検体の成分分析等を行う。出力部35は、ディスプレイパネルやスピーカー等によって実現され、分析結果を含む分析内容や警報等の各種情報を出力する。
【0029】
記憶部36は、制御装置A31が制御する分析ユニットA11〜A14の数、制御装置A31および分析ユニットA11〜A14固有の入力インタフェース情報、分析ユニットA11〜A14のアドレス等の制御装置A31の情報を記憶する。分析ユニットA11〜A14固有の入力インタフェース情報は、例えば、各分析ユニットに対応した入力インタフェース画面等の情報である。記憶部36は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、制御装置A31が処理を実行する際にこの処理にかかわる各種プログラムをハードディスクから読み出して電気的に記憶するメモリとを有する。
【0030】
切換部37は、中継装置50を介して外部装置40から受信した命令信号を優先する設定と、入力操作部33によって入力された命令信号を優先し、且つ外部装置40から受信した分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットA11〜A14へ出力可能とする設定との切り換えを行う。
【0031】
判断部38は、切換部37の設定に基づいて、外部装置40から受信した入出力部43によって入力された命令信号を優先する旨の要求信号による要求を許可するか否か、または入力操作部33によって入力された命令信号を優先し、且つ外部装置40から制御装置A31に送信する分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットに出力する旨の要求信号による要求を許可するか否かを判断する。
【0032】
外部装置40は、各分析ユニットA11〜A14に対する命令信号を取得し、取得した命令信号を制御装置A31に送信する機能を有する。外部装置40は、図1に示すように、制御部41、送受信部42、入出力部43、記憶部44、要求取得部45、およびユニット切換部46を有する。
【0033】
制御部41は、CPU、RAMおよびROM等によって実現され、外部装置40の各部の処理および動作を制御する。制御部41は、外部装置40の各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
【0034】
送受信部42は、アンテナ42aを有しており、アンテナ42aを介して中継装置50との間で無線での信号の送受信を行うインタフェースとしての機能を有する。
【0035】
入出力部43は、各分析ユニットA11〜A14に対する命令信号、あるいは分析項目の選択情報等の分析情報を示す旨の信号を入力する操作部である。また、入出力部43は、制御装置A31から外部装置40に送信される制御装置A31の処理情報等を出力する。
【0036】
中継装置50は、例えば、無線LANアクセスポイントによって実現され、アンテナ50aを介して外部装置40との間で所定の形式に従った信号の送受信を無線で行うインタフェースとしての機能を有する。
【0037】
図3は、入出力部43の一例を示す図である。入出力部43は、命令信号の入力操作を行うための複数の押しボタン43d1〜43d13およびタッチパネルとして機能する出力画面43eを有する。なお、押しボタン43d1〜43d13は、頻繁に使用する命令に対して設定され、汚れの付着を防止する保護用シート43fが被着されている。
【0038】
また、出力画面43e上にはメニューバー43g8〜43g13が押しボタン43d8〜43d13に並ぶ位置に表示され、各押しボタン43d8〜43d13は、メニューバー43g8〜43g13に表示された内容の命令に対して設定される。メニューバー43g8〜43g13の表示は、制御装置A31固有の入力インタフェース情報あるいは分析ユニットA11〜A14固有の入力インタフェース情報に基づいて変更される。なお、押しボタンの数は、13個に限らない。
【0039】
記憶部44は、制御装置A31に固有に割り当てられたアドレスを記憶する。記憶部44は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、外部装置40が処理を実行する際にこの処理にかかわる各種プログラムをハードディスクから読み出して電気的に記憶するメモリとを有する。
【0040】
要求取得部45は、入出力部43によって入力された命令信号を優先する旨の要求信号または、入力操作部33によって入力された命令信号を優先し、且つ外部装置40から制御装置A31に送信する分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットA11〜A14に出力する旨の要求信号を取得する。
【0041】
ユニット切換部46は、入出力部43によって入力する命令信号を分析ユニット毎の命令信号に切り換える。
【0042】
次に、図4を参照して、外部装置40が入出力部43を制御装置A31の入力インタフェースに切り換える処理手順を説明する。まず、外部装置40は、制御装置A31に制御装置A31の装置情報の送信を要求する装置情報要求信号を送信する(ステップS101)。装置情報要求信号は、図3に示す、装置ボタン43d2をオペレータが押下することによって制御装置A31に送信される。その後、外部装置40は、制御装置A31から装置情報を受信する(ステップS102)。装置情報は、制御装置A31が制御する分析ユニットA11〜A14の数、制御装置A31および分析ユニットA11〜A14固有の入力インタフェース情報、分析ユニットA11〜A14に固有に割り当てられたアドレス等の情報である。
【0043】
その後、外部装置40は、受信した装置情報を記憶部44に記憶し(ステップS103)、制御装置A31の入力インタフェース画面を出力画面43eに表示する(ステップS104)。この表示は、記憶部44に記憶された制御装置A31の情報に基づいて行われる。これにより、入出力部43によって入力される命令信号は、制御装置A31に対応した命令信号となる。その後、外部装置40は、この処理を終了する。
【0044】
次に、図5を参照して、制御装置A31が外部装置40から受信した要求信号による要求を許可するか否かを判断する処理手順について説明する。まず、外部装置40は、入出力部43によって入力された命令信号を優先する旨の外部装置優先要求信号を取得したか否かを判断する(ステップS301)。外部装置優先要求信号を取得したか否かの判断は、例えば、オペレータが図3に示した優先要求ボタン43d6を押下したか否かによって行われる。外部装置優先要求信号を取得した場合(ステップS301:Yes)、外部装置40は、外部装置優先要求信号を制御装置A31に送信する(ステップS302)。
【0045】
制御装置A31は、外部装置40から外部装置優先要求信号を受信した後、外部装置優先要求信号による要求を許可するか否かを判断する(ステップS201)。外部装置優先要求信号による要求を許可するか否かの判断は、切換部37による設定に基づいて行う。外部装置優先要求信号による要求を許可する場合(ステップS201:Yes)、すなわち、切換部37による設定が、外部装置40から受信した命令信号を優先する設定の場合、制御装置A31は、この処理を終了する。一方、外部装置優先要求信号による要求を許可しない場合(ステップS201:No)、すなわち、切換部37による設定が、入力操作部33によって入力された命令信号を優先し、且つ外部装置40から受信した分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットへ出力可能とする設定の場合、制御装置A31は、外部装置優先要求信号による要求を拒絶する旨の要求拒絶信号を外部装置40に送信し(ステップS202)、この処理を終了する。
【0046】
外部装置40は、ステップS301で外部装置優先要求信号を取得しない場合(ステップS301:No)、入力操作部33によって入力された命令信号を優先し、且つ外部装置40から制御装置A31に送信する分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットA11〜A14に出力する旨のユニット単位入力要求信号を取得する(ステップS303)。ユニット単位入力要求信号は、例えば、オペレータが図3に示したユニット単位要求ボタン43d7を押下するよって取得される。その後、外部装置40は、ユニット単位入力要求信号を制御装置A31に送信する(ステップS304)。
【0047】
制御装置A31は、ユニット単位入力要求信号を受信した後、ユニット単位入力要求信号による要求を許可するか否かを判断する(ステップS201)。ユニット単位入力要求信号による要求を許可するか否かの判断は、切換部37による設定に基づいて行う。ユニット単位入力要求信号による要求を許可する場合(ステップS201:Yes)、すなわち、切換部37による設定が、入力操作部33によって入力された命令信号を優先し、且つ外部装置40から受信した分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットへ出力可能とする設定の場合、制御装置A31は、この処理を終了する。一方、ユニット単位入力要求信号による要求を許可しない場合(ステップS201:No)、すなわち、切換部37による設定が、外部装置40から受信した命令信号を優先する設定の場合、制御装置A31は、ユニット単位入力要求信号による要求を拒絶する旨の要求拒絶信号を外部装置40に送信し(ステップS202)、この処理を終了する。
【0048】
外部装置40は、ステップS302またはステップS304で制御装置A31に要求信号を送信した後、制御装置A31から要求拒絶信号を受信したか否かを判断する(ステップS305)。要求拒絶信号を受信した場合(ステップS305:Yes)、外部装置40は、要求信号による要求が拒絶されたことを示す旨の要求拒絶情報を出力画面43eに表示し(ステップS306)、この処理を終了する。一方、要求拒絶信号を受信しない場合(ステップS305:No)、外部装置40は、この処理を終了する。
【0049】
次に、図6を参照して、制御装置A31が、外部装置40から受信した命令信号に応じた制御信号を優先して分析ユニットA11〜A14に出力して分析ユニットA11〜A14を制御する処理手順について説明する。この処理は、上述した、制御装置A31が外部装置40から受信した要求信号による要求を許可するか否かを判断する処理において、外部装置優先要求信号による要求が許可された場合に行う。まず、外部装置40は、分析ユニットA11〜A14を選択するか否かを判断する(ステップS501)。この判断は、例えば、図3に示したUNITボタン43d3をオペレータが押下したか否かによって判断する。分析ユニットA11〜A14を選択する場合(ステップS501:Yes)、すなわち、オペレータがUNITボタン43d3を押下した場合、外部装置40は、分析ユニットのリストを出力画面43eに表示する(ステップS502)。分析ユニットのリストは、上述した処理で記憶部44に記憶された制御装置A31の情報に基づいている。オペレータは、出力画面43eに表示された分析ユニットのリストから例えば、分析ユニットA11を選択する。
【0050】
その後、外部装置40は、分析ユニットA11を選択した旨の分析ユニット選択信号を取得し(ステップS503)、分析ユニットA11の入力インタフェース画面を出力画面43eに表示する(ステップS504)。これにより、入出力部43によって入力された命令信号は分析ユニットA11に対応する命令信号となる。一方、分析ユニットA11〜A14を選択しない場合(ステップ501:No)、外部装置40は、ステップS505に移行する。その後、外部装置40は、命令信号を取得する(ステップS505)。命令信号の取得は、例えば、図3に示した分析ユニットA11〜A14に診断処理を実行させる命令に対応したDIAGボタン43d5をオペレータが押下して命令信号を入力することによって行われる。
【0051】
ここで、制御装置A31の入力インタフェース画面の表示状態でDIAGボタン43d5を押下した場合は、複数の分析ユニットA11〜A14を統括した診断処理を実行させる命令信号が取得できる。一方、分析ユニットA11の入力インタフェース画面の表示状態でDIAGボタン43d5を押下した場合は、分析ユニットA11の診断処理を実行させる命令信号が取得される。その後、外部装置40は、取得した命令信号を制御装置A31に送信し(ステップS506)、この処理を終了する。
【0052】
制御装置A31は、ステップS401で外部装置40からの命令信号の受信待ち状態であり、外部装置40から命令信号を受信すると(ステップS401:Yes)、受信した命令信号に応じた制御信号を複数の分析ユニットA11〜A14あるいは、分析ユニットA11へ出力する(ステップS402)。これにより、分析ユニットA11〜A14は入出力部43によって入力された命令信号に応じた制御信号に基づいて制御される。その後、制御装置A31は、この処理を終了する。
【0053】
次に、図7を参照して、制御装置A31が、入力操作部33によって入力された命令信号を優先しつつ、外部装置40から受信する分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットに出力して各分析ユニットA11〜A14を制御する処理手順について説明する。この処理は、上述した、制御装置A31が外部装置40から受信した要求信号による要求を許可するか否かを判断する処理において、ユニット単位入力要求信号による要求が許可された場合に行う。まず、外部装置40は、分析ユニットのリストを出力画面43eに表示する(ステップS701)。分析ユニットのリストは、例えば、オペレータが図3に示したUNITボタン43d3を押下すことによって出力画面43eに表示される。分析ユニットのリストは、上述した処理で記憶部44に記憶された制御装置A31の情報に基づいて表示される。オペレータは、出力画面43eに表示された分析ユニットのリストから例えば、分析ユニットA11を選択する。
【0054】
その後、外部装置40は、分析ユニットA11を選択した旨の分析ユニット選択信号を取得し(ステップS702)、分析ユニットA11の入力インタフェース画面を出力画面43eに表示する(ステップS703)。これにより、入出力部43によって入力された命令信号は分析ユニットA11に対応した命令信号となる。その後、外部装置40は、命令信号を取得する(ステップS704)。命令信号の取得は、例えば、図3に示したDIAGボタン43d5を押下することによって行われる。その後、外部装置40は、取得した命令信号を制御装置A31に送信する(ステップS705)。
【0055】
制御装置A31は外部装置40から命令信号を受信すると、分析ユニットA11に入力操作部33によって入力された命令信号に応じた制御信号の入力があるか否かを判断する(ステップS601)。分析ユニットA11に入力操作部33によって入力された命令信号に応じた制御信号の入力がある場合(ステップS601:Yes)、制御装置A31は、外部装置40から受信した命令信号を拒絶する旨の命令拒絶信号を外部装置40に送信し(ステップS602)、この処理を終了する。一方、入力操作部33によって入力された命令信号に応じた制御信号の入力がない場合(ステップS601:No)、外部装置40から受信した命令信号に応じた制御信号を分析ユニットA11へ出力する(ステップS603)。これにより、分析ユニットA11は入出力部43によって入力された命令信号に応じた制御信号に基づいて制御される。その後、制御装置A31は、この処理を終了する。
【0056】
外部装置40は、ステップS705で命令信号を制御装置A31に送信した後、制御装置A31から命令拒絶信号を受信したか否かを判断する(ステップS706)。命令拒絶信号を受信した場合(ステップS706:Yes)、外部装置40は、制御装置A31によって命令信号が拒絶されたことを示す命令拒絶情報を表示する(ステップS707)。その後、この処理を終了する。一方、制御拒絶信号を受信しない場合(ステップS706:No)、外部装置40は、この処理を終了する。
【0057】
この実施の形態1では、外部装置40は、入出力部43によって入力された命令信号を無線によって制御装置A31に送信し、制御装置A31は、外部装置40から受信した命令信号を優先する設定に切り換えた場合、外部装置40から受信した命令信号に応じた制御信号を優先して各分析ユニットA11〜A14に出力して複数の分析ユニットA11〜A14を制御するので、外部装置40を用いて分析ユニットA11〜A14の近傍で複数の分析ユニットA11〜A14を統括して制御することが可能となる。従って、制御信号の入力操作にかかる負担を軽減しつつ、複数の分析ユニットA11〜A14を統括して制御することができる。
【0058】
また、押しボタン43d1〜43d13は、頻繁に使用する命令に対して設定され、かつ保護用シート43fによって被着されているので、外部装置40の操作性を損なうことなく汚れの付着を防止することが可能となる。
【0059】
また、切換部37は、入力操作部33によって入力された命令信号を優先し、且つ外部装置40から受信した分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットA11〜A14へ出力可能とする設定を有しているため、複数の外部装置40からそれぞれ異なる分析ユニットに対して命令信号を送信することが可能である。
【0060】
(変形例)
ここで、上述した実施の形態1の変形例について説明する。この変形例では、複数の分析ユニットは、生化学分析、免疫分析あるいは遺伝子分析を行う分析ユニットの少なくとも2以上の組み合わせからなる。例えば、図8に示すように、分析システム2は、生化学分析を行う分析ユニットA11〜A13、免疫分析を行う分析ユニットA15、分析ユニットA11〜A13,A15の制御を行う制御装置A31を有する。なお、この変形例では、1つの制御装置A31が、分析ユニットA11〜A13,A15の制御を行うものを例示したが、これに限らず、生化学分析、免疫分析あるいは遺伝子分析のそれぞれに対応させて制御装置を設けてもよい。例えば、分析システム2が二つの制御装置を有し、1つの制御装置が分析ユニットA11〜A13を制御し、もう1つの制御装置が分析ユニットA15の制御を行う。この場合、二つの制御装置のうちのどちらか一方が複数の分析ユニットA11〜A13,A15を統括した制御を行う。
【0061】
(実施の形態2)
次に、この発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2の分析システム3では、図9に示すように、複数の制御装置A1,…,An(nは自然数)を有し、各制御装置A1,…,Anが複数の分析ユニットA11〜A14を制御している。複数の制御装置A1,…,An、複数の分析ユニットA11〜A14、検体搬送ユニットA21および中継装置50は、通信ネットワークNを介して接続され、複数の制御装置A1,…,Anは、中継装置50を介して外部装置60との間で無線での信号の送受信を行う。また、外部装置60は、装置切換部61を有する。その他の構成で実施の形態1と同一構成部分には同一符号を付している。
【0062】
装置切換部61は、入出力部43によって入力する命令信号を制御装置A1,…,An毎の命令信号に切り換える。
【0063】
次に、図10を参照して、装置切換部61が入出力部43を所望の制御装置の入力インタフェースに切り換える処理手順について説明する。まず、装置切換部61は、制御装置A1,…,Anの装置リストを出力画面43eに表示する(ステップS801)。制御装置A1,…,Anの装置リストは、例えば図3に示した装置ボタン43d2をオペレータが押下することによって出力画面43eに表示される。制御装置A1,…,Anの装置リストは、アドレスを記憶部44に記憶されている制御装置のリストである。オペレータは、出力画面43eに表示された装置リストから例えば、制御装置A1を選択する。制御装置A1が選択されると、装置切換部61は、制御装置A1を選択した旨の装置選択信号を取得する(ステップS802)。
【0064】
その後、装置切換部61は、制御装置A1の装置情報の送信を要求する装置情報要求信号を制御装置A1に送信する(ステップS803)。その後、外部装置60は、制御装置A1から制御装置A1の装置情報を受信する(ステップS804)。制御装置A1の装置情報は、制御装置A1が制御する分析ユニットA11〜A14の数、制御装置A1および分析ユニットA11〜A14固有の入力インタフェース情報、分析ユニットA11〜A14に固有に割り当てられたアドレス等である。その後、装置切換部61は、受信した制御装置A1の情報を記憶部44に記憶し(ステップS805)、制御装置A1の入力インタフェース画面を出力画面43eに表示する(ステップS806)。これにより、入出力部43によって入力された命令信号は制御装置A1に対応した命令信号となる。その後、外部装置60は、この処理を終了する。
【0065】
この実施の形態2では、実施の形態1と同様な効果を有するとともに、外部装置60は、入出力部43によって入力される命令信号を制御装置A1,…,An毎の命令信号に切り換えることができるので、複数の制御装置A1,…,Anに共有して用いることができる。
【0066】
なお、実施の形態1では、切換部37が、入力操作部33によって入力された命令信号を優先し、且つ外部装置40から受信した分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットへ出力可能とする設定を例示したが、これに限らず、入力操作部33によって入力された命令信号を優先する設定であればよい。
【0067】
また、実施の形態1および2では、外部装置40,60が制御装置A31,A1,…,Anの装置情報を制御装置A31,A1,…,Anから取得するものを例示したが、これに限らず、制御装置A31,A1,…,Anの装置情報を外部装置40,60に予め記憶させるようにしてもよい。
【0068】
また、実施の形態1および2では、制御装置A31,A1,…,Anが、中継装置50を介して外部装置40,60との間で無線での信号の送受信を行うものを例示したが、これに限らず、制御装置A31,A1,…,Anが外部装置40,60との間で無線での信号の送受信を可能とする送受信手段を備えるようにしてもよい。例えば、制御装置A31,A1,…,Anが、赤外線通信によって外部装置40,60との間で信号の送受信を行う。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる分析システムの全体構成を示す摸式図である。
【図2】図1に示したユニット制御部の概要構成を示す図である。
【図3】図1に示した外部装置の入出力部の一例を示す図である。
【図4】図1に示した外部装置が入出力部を制御装置の入力インタフェースに切り換える処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した制御装置が外部装置から受信した要求信号による要求を許可するか否かを判断する処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図1に示した制御装置が、外部装置から受信した命令信号に応じた制御信号を優先して分析ユニットに出力して分析ユニットを制御する処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示した制御装置が入力操作部によって入力された命令信号を優先しつつ、外部装置から受信する分析ユニット毎の命令信号に応じた制御信号を各分析ユニットに出力して分析ユニットを制御する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図1に示した分析システムの変形例の全体構成を示す摸式図である。
【図9】この発明の実施の形態2にかかる分析システムの全体構成を示す摸式図である。
【図10】図9に示した装置切換部が入出力部を所望の制御装置の入力インタフェースに切り換える処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1,2,3 分析システム
12 反応テーブル
12a 反応容器
12b 検体分注機構
12c 試薬分注機構
12d 測光部
12e 攪拌部
12f 洗浄部
13 試薬テーブル
13a 試薬容器
14 ユニット制御部
14a ユニット主制御部
14c 反応テーブル制御部
14d 検体分注機構制御部
14e 試薬分注機構制御部
14f 測光部制御部
14g 攪拌部制御部
14h 洗浄部制御部
14i 試薬テーブル制御部
21 ラック搬送部
21a 検体容器
21b 検体ラック
32,41 制御部
33 入力操作部
34 解析部
35 出力部
36,44 記憶部
37 切換部
38 判断部
40,60 外部装置
42 送受信部
42a,50a アンテナ
43 入出力部
43d1〜43d13 押しボタン
43e 出力画面
43f 保護用シート
43g8〜43g13 メニューバー
45 要求取得部
46 ユニット切換部
50 中継装置
61 装置切換部
A11〜A15 分析ユニット
A21 検体搬送ユニット
A31,A1,…,An 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の分析を行う複数の分析ユニットと、
前記各分析ユニットに対する命令信号の入力をする入力操作部を有し、前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットに出力することによって前記複数の分析ユニットを制御する制御装置と、
前記命令信号の入力をする入力手段と、前記制御装置との間で無線での信号の送受信を行う第1送受信手段とを有し、前記入力手段によって入力された前記命令信号を前記第1送受信手段によって無線で前記制御装置に送信する外部装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記外部装置との間で無線での信号の送受信を行う第2送受信手段と、
前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先する設定と、第2送受信手段が前記外部装置から受信した前記命令信号を優先する設定との切り換えを行う切換手段と、を有し、前記切換手段の設定に基づいて前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットに出力することによって前記複数の分析ユニットを制御することを特徴とする分析システム。
【請求項2】
前記外部装置は、前記入力手段によって入力する前記命令信号を前記分析ユニット毎の前記命令信号に切り換えるユニット切換手段を有したことを特徴とする請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記外部装置は、
前記入力手段によって入力された前記命令信号を優先する旨の第1要求信号を取得する要求取得手段を有し、
前記制御装置は、
前記切換手段の設定に基づいて、前記外部装置から受信した前記第1要求信号による要求を許可するか否かを判断する判断手段を有し、該判断手段によって前記第1要求信号による要求を許可した場合、前記入力手段によって入力された前記命令信号に応じた制御信号を優先して前記各分析ユニットに出力することを特徴とする請求項2に記載の分析システム。
【請求項4】
前記切換手段は、前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先する設定を、前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先し、且つ前記外部装置から受信した前記分析ユニット毎の前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットへ出力可能とする設定とし、
前記要求取得手段は、前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先し、且つ前記外部装置から前記制御装置に送信する前記分析ユニット毎の前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットに出力する旨の第2要求信号を取得し、
前記判断手段は、前記切換手段による設定に基づいて、前記外部装置から受信した前記第2要求信号による要求を許可するか否かを判断し、
前記制御装置は、前記判断手段によって前記第2要求信号による要求を許可した場合、前記入力操作部によって入力された前記命令信号を優先しつつ、前記外部装置から受信する前記分析ユニット毎の前記命令信号に応じた制御信号を前記各分析ユニットに出力することを特徴とする請求項3に記載の分析システム。
【請求項5】
前記制御装置は、通信手段を介して複数接続され、
前記外部装置は、前記入力手段によって入力する前記命令信号を前記制御装置毎の前記命令信号に切り換える装置切換手段を有したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の分析システム。
【請求項6】
前記入力手段は、前記命令信号の入力操作を行う押しボタンを有したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の分析システム。
【請求項7】
前記押しボタンは、保護用シートによって被着されることを特徴とする請求項6に記載の分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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