分析システム
【課題】
分析処理にかかる時間と消耗品の量を低減する。
【解決手段】
分析システムは、複数の分析モジュールと、搬送モジュールと、分割モジュールと、親分析対象について要求される分析処理の種類と当該親分析対象について要求される優先度を管理する管理部とを有している。管理部は、分析処理の種類と優先度とに基づいて、親分析対象から作成される分析対象の数と各分析対象に対して実行される分析処理の種類を含む処理計画を、分析対象の数がなるべく小さくなるよう決定する。そして分析対象の数に従って親分析対象から一又は複数の分析対象作成するよう分割モジュールを制御する。更に管理部は、各分析対象に対して処理計画に従った分析処理が実行されるよう搬送モジュールと複数の分析モジュールとを制御する。
分析処理にかかる時間と消耗品の量を低減する。
【解決手段】
分析システムは、複数の分析モジュールと、搬送モジュールと、分割モジュールと、親分析対象について要求される分析処理の種類と当該親分析対象について要求される優先度を管理する管理部とを有している。管理部は、分析処理の種類と優先度とに基づいて、親分析対象から作成される分析対象の数と各分析対象に対して実行される分析処理の種類を含む処理計画を、分析対象の数がなるべく小さくなるよう決定する。そして分析対象の数に従って親分析対象から一又は複数の分析対象作成するよう分割モジュールを制御する。更に管理部は、各分析対象に対して処理計画に従った分析処理が実行されるよう搬送モジュールと複数の分析モジュールとを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
検体検査に代表される自動分析システムに関し、とくに処理対象が分割して処理可能な場合に、処理対象を分割処理する前処理モジュールを有する自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、患者の血液や尿といった検体の検査業務は、遠心、開栓、分注といった処理を行う前処理モジュール、検査項目に応じた分析を行うモジュール、分類、収納、廃棄といった後処理を行うモジュール、それらを接合する搬送モジュールや一時待機させるバッファモジュール、それらモジュールを管理するサーバ、検査情報を管理したりや処理計画を作成するサーバ、検査技師が装置管理を行うための端末から構成される自動分析システムによって前処理・後処理、搬送、分析の各種処理の自動化が進んでいる。
【0003】
この自動分析システムを用いた検査業務では、さらなる迅速化が求められている。昨今の迅速化の主な課題の1つには、一般的な優先度の検体(通常検体)に対して優先度の高い検体(緊急検体)を迅速に検査することが挙げられる。病院の方針によっても異なるが、たとえば通常検体は40分〜50分、緊急検体は20〜30分で検査することが求められる。
【0004】
迅速化の要求に対して、たとえば特許文献1では、搬送ラインと搬送ラインから引き込んだ作業用ラインとの両方で分注処理できる分注機構を設け、通常は検体を作業用ラインに引き込んでから処理を行うのに対し、緊急検体は搬送ライン上で先に分注処理を行うことできるようにすることで緊急検体を迅速に分注する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−8552
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動分析システムを用いた検査業務では、処理の迅速化と共にコスト低減も求められている。コスト低減のための具体的な課題としては、例えば試薬や分注用カップ・チップなどの消耗品の使用量を減らすことが挙げられる。しかしながら、特許文献1記載の技術では、緊急検体を優先処理できるものの分注数を変えて検査にかかる時間と使用する消耗品の量を調節するといったことはできない。すなわち、免疫項目と生化学項目を測定する場合、検査時間に余裕のある通常検体は1分注(1本の子検体に小分け)して、免疫と生化学の分析モジュールへ順番に搬送することで消耗品を抑制し、検査時間に余裕のない緊急検体は2分注あるいはそれ以上に分注して、免疫と生化学の分析モジュールへ別々に搬送することで検査時間を短縮するといったことはできない。また、緊急検体であっても自動分析システムが混雑しておらず1分注でも短い時間で検査できる場合には1分注で処理し、混雑してきたら動的に2分注あるいはそれ以上に変更することで検査の目標時間を守りながら、できる限り消耗品を抑制することもできない。
【0007】
上記の問題を鑑み、検体ごとに定められた目標時間までに検査を完了させ、かつ、消耗品を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
分析システムは、各々分析対象の分析を行う複数の分析モジュールと、複数の分析モジュールへの分析対象の搬送を実行する搬送モジュールと、システムに投入された親分析対象を用いて一又は複数の分析対象を作成する分割モジュールと、親分析対象について要求される分析処理の種類と当該親分析対象について要求される優先度を管理する管理部とを有している。管理部は、分析処理の種類と優先度とに基づいて、親分析対象から作成される分析対象の数と各分析対象に対して実行される分析処理の種類を含む処理計画を、分析対象の数がなるべく小さくなるよう決定する。そして分析対象の数に従って親分析対象から一又は複数の分析対象作成するよう分割モジュールを制御する。更に管理部は、各分析対象に対して処理計画に従った分析処理が実行されるよう搬送モジュールと複数の分析モジュールとを制御する。
【発明の効果】
【0009】
分析処理対象を、優先度に応じた時間内に分析しかつ消耗品の消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】自動分析システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】自動分析システムの機能と動作の一例を示す説明図である。
【図3(a)】自動分析システムの分注および搬送の一例を示す説明図である。
【図3(b)】自動分析システムの分注および搬送の他の一例を示す説明図である。
【図4】検体を架設する検体ホルダと各モジュールの搬送機構の構造の例を示す図である。
【図5】検知ホルダのRFIDタグのデータの構造の例を示す図である。
【図6(a)】モジュールの検体に対する処理の完了報告データの構造の例を示す図である。
【図6(b)】モジュールの状態報告データの構造の例を示す図である。
【図7(a)】モジュールに対する処理指示データの構造の例を示す図である。
【図7(b)】モジュールに対する分注指示データの構造の例を示す図である。
【図8(a)】検体に対する処理の完了状況データの構造の例を示す図である。
【図8(b)】モジュールの状態データの構造の例を示す図である。
【図9(a)】検体の搬送計画テーブルの構造の例を示す図である。
【図9(b)】検体の分注計画テーブルの構造の例を示す図である。
【図10】搬送経路テーブルの構造の例を示す図である。
【図11】管理装置が管理する処理指示テーブルの構造の例を示す図である。
【図12】検査情報管理サーバが管理する検査依頼テーブルの構造の例を表す図である。
【図13】検査情報管理サーバが管理する計画候補ファイルの例を示す図である。
【図14(a)】検査情報管理サーバが管理する目標時間テーブルの構造の例を示す図である。
【図14(b)】検査情報管理サーバが管理する目標補正テーブルの構造の例を示す図である。
【図15】検査情報管理サーバが管理する処理時間テーブルの構造の例を示す図である。
【図16(a)】自動分析システムが分注および搬送の計画を立案し実行する処理の内、検査情報管理サーバによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図16(b)】自動分析システムが分注および搬送の計画を立案し実行する処理の内、装置管理サーバによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図16(c)】自動分析システムが分注および搬送の計画を立案し実行する処理の内、各モジュールによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】分注・搬送の計画立案対象となる検体の候補を選択するための処理の一例を示すフローチャートである。
【図18】進捗具合の算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】指示生成の対象となる検体の候補を選出するための処理の一例を示すフローチャートである。
【図20】操作端末に表示される処理実績の一例を示す図である。
【図21】処理時間および消耗品の消費に関し従来方法との違いを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら本発明を実施するための代表的な形態を説明する。なお、これらの図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を与えることにより、繰り返して利用する場合には重複する説明を省略する。
<システム構成>
図1は実施形態に係る自動分析システムのシステム構成図である。図1に示すとおり、自動分析システム10は、モジュール群11と、装置管理サーバ12と、検査情報管理サーバ13と、操作端末14とを有して成る。モジュール群11の各モジュールと装置管理サーバ12とはEthernet(登録商標)などを用いたLAN(Local Area Network)で構成される装置情報ネットワーク17を介して接続される。装置管理サーバ12と、検査情報管理サーバ13と、操作端末14は、同様に検査情報ネットワーク18を介して接続される。検査情報管理サーバ13は、病院ネットワーク19を介して、電子カルテシステムなどの病院のほかのシステムと接続される。
【0012】
モジュール群11は、前処理を行う投入モジュール101、遠心モジュール102、開栓モジュール103、分注モジュール104、後処理を行う収納モジュール105、検体を一時待機させるバッファモジュール113、114、115、116、分析を行う凝固分析モジュール121、123、生化学分析モジュール122、124、免疫分析モジュール125、126、および、これらのモジュールを接合する搬送ラインモジュール111(a〜h)、方向転換モジュール112(a〜d)とから成っており、図1で示すような配置で設置される。
【0013】
これらの各モジュールはそれぞれが検体の搬入出を行う複数本の搬送路を内部に備えており、隣接するモジュールの搬送路同士が連結されることで、モジュール間の検体の受け渡しを可能としている。たとえば、投入モジュール101の下から1本目(101a)と2本目(101b)の搬送路は左から右に搬送が可能であり、一番上の3本目(101c)の搬送路は右から左に搬送が可能となっている。同様にほかのモジュールも行きと戻りの方向に検体を搬送することができる。また、方向転換モジュール112は、内部に4つの方向転換機構を有しており、搬入した検体を任意の方向に搬出可能である。なお、本実施形態におけるモジュールは開栓や分注といった処理を行うためには1本目(処理機構に最も近い搬送路)を通る必要があるとする。
【0014】
基本的な検査の流れを説明する。まず検査技師が検体(血液や尿を入れた試験管)を投入モジュール101のトレイに設置する。設置された検体は、ロボットアーム等で検体をホルダに架設された後、遠心モジュール102に搬送される。遠心モジュール102に運ばれた検体は3〜5分遠心分離が実施され、開栓モジュール103に搬送される。遠心が不要な場合は実施せずに開栓モジュール103に搬送される。開栓モジュール103に運ばれた検体は、栓を外され分注モジュール104に搬送される。遠心かつ開栓が不要な場合は実施せずに分注モジュール104に搬送される。分注モジュール104に搬送された検体は検査項目に応じて所定量をカップやチップなど別の容器に分注する。分注元となった親検体は、戻りの搬送路を介して収納モジュール105に搬送される。分注された子検体は、たとえば生化学項目を検査する場合には、搬送ライン111、方向転換モジュール112、バッファモジュール113を経由して検査項目に応じた生化学分析モジュール122に搬送される。そして、生化学分析モジュール122に搬送された検体は試薬と混合、反応された後、所定の分析が実施される。検査が終了した子検体は廃棄処分される。
【0015】
なお、本実施形態では、投入モジュール1台、遠心モジュール1台、開栓モジュール1台、分注モジュール1台、収納モジュール1台、バッファモジュール4台、凝固分析モジュール2台、生化学分析モジュール2台、免疫分析モジュール2台としたが、それより多くても少なくてもよい。このほか、閉栓行うモジュールや外注向けに分類処理を行うモジュール、親検体を冷蔵しておくモジュールなどがあってもよい。さらに、ほかの種類、たとえば遺伝子分析などのモジュールがあってもよく、複数の項目を一度に分析可能なモジュールがあってもよい。また、検査室のレイアウトに応じて搬送ラインモジュールや方向転換モジュールの数や配置を変更してもよい。
【0016】
また、本実施形態のモジュールでは各モジュールについて、1本目で搬送するときにのみ検体に各種処理を施すことができるとしたが、長いロボットアーム等を用いて2本目や3本目の検体を処理できるモジュールがあってもよい。また、モジュールのラインの数は3本(前処理、分析、後処理)もしくは2本(搬送・方向転換)から構成されるとしたが、処理内容等に合わせて多くてしても少なくしても良い。
【0017】
また、装置管理サーバ12や検査情報管理サーバ13は、処理負荷等に応じて2台以上を備える構成としてもよい。また、操作端末14は、検査室のレイアウトや運用に応じて2台以上あってもよいし、装置管理サーバ12や検査情報管理サーバ13を代用しても良い。また、装置情報ネットワーク17と検査情報ネットワーク18は同じネットワークであっても良い。
【0018】
<機能構成>
図2は、本実施例形態に係る自動分析システム10の機能と動作を説明する図である。はじめに図2を用いて、自動分析システムの機能構成を説明する。
【0019】
モジュール群11を構成する投入モジュール101、遠心モジュール102、開栓モジュール103、分注モジュール104、収納モジュール105、バッファモジュール113、114、115、116、凝固分析モジュール121、123、生化学分析モジュール122、124、免疫分析モジュール125、126、搬送ライン111、方向転換モジュール112は、制御部201を有して成る。
【0020】
装置管理サーバ12は、収集部211、指示用変化検出部212、指示部213、および、装置管理DB(Database)214を有して成る。
【0021】
検査情報管理サーバ13は、計画用変化検出部221、進捗評価部222、計画部223、および、検査情報管理DB224を有して成る。
【0022】
操作端末14は、操作管理部231を有して成る。
<動作概要>
次に図2、図3を用いて自動分析システム10の動作の概要を説明する。ここでは、免疫と生化学の分析項目を測定するために1分注での処理を計画されていた緊急検体が、システムが混雑してきたことを受けて2分注に計画を変更して処理される場合を例に説明する。なお、自動分析システム10の稼動に先立って、各モジュールの制御部201は、検体の位置と処理の進み具合、モジュールの異常や消耗品の残量、混雑具合を装置管理サーバ12の収集部に送信しているとする。また、検査依頼も随時最新のデータに更新されるものとする。
【0023】
まず、検査情報管理サーバ13の計画変化検出部221は、検査情報管理DB224で管理されている検査依頼のデータ、装置管理DB214で管理されている検体の投入、モジュールの異常有無、消耗品の残量、混雑具合のデータを監視し、変化があれば関連する検体を計画の変更がある候補として選出する。この例では、システムが混雑してきたことを受けて、前記の緊急検体が候補に選ばれる。
【0024】
次に、検査情報管理サーバ13の進捗評価部222は、選出された検体について、モジュールの混雑具合で補正された目標時間と予測完了時間を使って進捗具合を評価する。その結果、目標時間までに十分余裕があるのであれば分注を減らし、余裕がなかったり、間に合いそうになかったりするのであれば分注を増やした計画を立案するように計画部223に要求する。この例では、前記の緊急検体は、前回計画された時点では1分注で目標時間通り処理できると予測されていたが、今回計算すると目標時間より長くかかることがわかり、分注数を増やした計画の立案を計画部223に要求する。
【0025】
検査情報管理サーバ13の計画部223は、当初の計画に対して分注数を増減させた新しい計画候補を立案して進捗評価部222に送信する。この例では、前記の緊急検体に対して、たとえば2分注して免疫1個と生化学1個で処理する計画と、3分注して免疫1個と生化学2個で処理する計画の候補が立案されたとする。
【0026】
新しい計画候補を受け取った進捗評価部222は、先の手順で計画を評価し、目標時間に間に合い、かつ、分注数の少ない計画を選択し、検査情報管理DB224と装置管理サーバ12の装置管理DB214に保存する。この例では2個以上分注すれば目標時間通り処理できるとすると、消耗品の使用量が多い3分注の計画ではなく、消耗品の使用量が少ない2分注の計画が選ばれる。
【0027】
装置管理サーバ12の指示用変化検出部212は、装置管理DB214で管理されている分注・搬送計画、モジュールの異常や消耗品の残量、混雑具合のデータを監視しており、モジュールへの指示を更新する必要がある検体の候補を選出する。この例では、システムが混雑してきたことを受けて、前記の緊急検体が候補に選ばれる。
【0028】
次に、指示部213は、選出された検体について、検体の検査項目とモジュールの種別に応じた処理指示を作成する。この例では、前記緊急検体になされた2分注の計画に従い、各モジュールに対する処理指示が作成される。
【0029】
最後に、モジュール群11を構成する各モジュールの制御部201は、処理が必要な検体を検出した時点で装置管理サーバ12の指示部213に処理指示を問い合わせ、受け取った応答に従いアクチュエータを制御して処理を実施する。たとえば分注モジュールにおいて、前記の緊急検体(親検体)は2つの子検体に分注される。
【0030】
前記のような動作によって、自動分析システム10は、混雑具合に応じて図3に示す1分注を用いた検査(図3(a))301と2分注を用いた検査(図3(b))302を切り替えながら処理することができる。
【0031】
<機能とハードウェアの対応>
次に図2に示す自動分析システム10の各構成要素と、当該構成要素を実現しているハードウェアおよびソフトウェアとの対応を説明する。
【0032】
モジュール群11を構成するモジュールの制御部201は、各モジュールのCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)や外部記憶装置に格納されたプログラムをRAM(Read Access Memory)に読み込み、通信I/F(Interface)、搬送や分析処理を行うためセンサ、コントローラ、アクチュエータ等のハードウェアを制御することで実現される。
【0033】
装置管理サーバ12の収集部211、指示用変化検出部212、指示部213、装置管理DB214は、装置管理サーバ12のCPUがROMや外部記憶装置に格納されたプログラムをRAMに読み込み、通信I/F、マウス、キーボード、ディスプレイ等を制御することで実現される。
【0034】
検査情報管理サーバ13の計画用変化検出部221、進捗評価部222、計画部223、検査情報管理DB224は、検査情報管理サーバ13のCPUがROMや外部記憶装置に格納されたプログラムをRAMに読み込み、通信I/F、マウス、キーボード、ディスプレイ等を制御することで実現される。
【0035】
操作端末14の操作感リブ231は、操作端末14のCP
UがROMや外部記憶装置に格納されたプログラムをRAMに読み込み、通信I/F、マウス、キーボード、ディスプレイ等を制御することで実現される。
【0036】
<搬送機構>
次に図4を用いて検体と各モジュールの搬送機構を説明する。投入モジュールや収納モジュールから搬出されるとき、もしくは、分注モジュールで分注されるときに検体401は、ホルダ402へ架設される。このホルダ402はデータを書き込み可能なRFID (Radio Frequency Identification)タグ403を有しており、検体が架設される際に架設バーコード404に記載されている検体の識別情報(検体ID)を内部に記録する。架設されたホルダ402は、ベルトライン405によってモジュール内、モジュール間を搬送される。またモジュール内において、検体はストッパ406によって一時停止されRFIDリーダ407による識別処理がなされる。そして、その認識結果に応じた搬送や処理がなされる。
【0037】
なお、本実施形態では、ベルトライン405によって搬送する手段を用いているが、ロボットアームやXYZテーブル機構を使って搬送しても良い。また、ストッパ405で止めるのではなく、ベルトライン405の動作を停止させることでホルダ402を停止させてもよい。また、ホルダはRFIDタグ403によって識別されるものとしたが、検体のバーコード404を直接読み取っても良いし、ホルダ402にバーコードを付けて識別してもよい。
【0038】
<データ構造>
次に図5を用いてホルダ402のRFIDタグ404のタグデータD1000を説明する。
【0039】
タグデータD1000は、どのホルダにどの検体が架設されているかを表すものであって、ホルダの識別情報であるホルダID(D1001)と検体の識別情報である検体ID(D1002)からなる。なおホルダIDとはRFIDタグが製造されるときに付与される固有のIDである。また、検体IDは検体が作成された時点で付与される固有のIDである。
【0040】
次に図6を用いて制御部201から収集部211に送信される処理状況データD2000と、モジュール状態データD3000を説明する。
【0041】
処理状況データD2000は、検体の現在位置と処理の進み具合を表すものであって、検体ID(D2001)とモジュールID(D2002)と処理状況D2003から成る。ここで各モジュールには固有のモジュールIDがあらかじめ付与されているものとする。たとえば、検体IDが10001である検体が遠心モジュールで遠心分離を完了した場合、{10001、遠心、完了}といったデータが設定される。
【0042】
モジュールデータD3000は、モジュールの機構の異常、消耗品の状態、混雑具合を表すものであって、モジュールID(D3001)と搬送機構異常(D3002)と処理機構異常(D3003)と消耗品残量(D3004)と混雑具合(D3005)から成る。ここで、搬送機構異常とは、搬入出するためのベルトラインやストッパが正常に動作しているかを表し、処理機構異常は分注や分析といった処理が正常に実施できるかを表す。また、消耗品残量とは、カップの残量や試薬マガジンの残数といった消耗品があとどれくらい残っているかを表す。混雑具合は、モジュールの許容検体数に対して現在の検体の数から算出される値(−1、0〜1)である。混雑具合はモジュールが10個以上の検体を待機させる領域を持つモジュールについて有効とし、最大許容検体数に関する現在の検体数の商として定義する。10個未満の検体を待機させる領域しか持たないモジュールの場合は常に−1が設定される。たとえばバッファモジュールについて、100検体を待機させることができ、35検体待機しているとすれば、混雑具合は0.35とする。また、分注モジュールについて、異常はないがカップが切れそうな場合、{分注、異常なし、異常なし、カップ残量小、−1}といったデータが設定される。
【0043】
次に図7を用いて指示部213から制御部201に送信される処理指示データD4000と分注指示データD5000を説明する。
【0044】
処理指示データD4000は、各モジュールが検体に処理を施し、次のモジュールへ搬送するための指示を表すものであって、検体ID(D4001)と項目グループID(D4002)とモジュール内経路ID(D4003)から成る。ここで、項目グループIDとは、複数の検査項目をまとめたIDであり、モジュールはこの項目グループIDによって施すべき処理を判断できる。また、モジュール内経路IDは、モジュール内の搬送経路を表すIDであり、モジュールはこのモジュール内経路IDによってどの経路に搬送すべきかを判断できる。たとえば、検体IDが10001で、免疫・生化学1という項目グループIDの検体が遠心モジュールで遠心分離され、経路IDが1の経路で搬送される場合、{10001、免疫・生化学1、1}といったデータが設定される。
【0045】
分注指示データD5000は、分注モジュールの分注処理における分注数と分注量を表すパラメータであって、検体ID(D5001)と10個分の子検体ID(D5011a〜D5020a)と分注量(D5020b〜D5020b)から成る。ここで、分注数が10未満の場合、分注しない子の領域には0を設定する。たとえば、検体IDが10001の親検体を検体ID10002(分注量100)と検体ID10003(分注量50)に分注する場合、{10001、10002、100、10003、50、0、0、・・・、0、0}といったデータが設定される。なお、本実施形態では分注数を10個までとしたが10個以上としてもよい。
【0046】
次に図8を用いて装置管理DB214で管理される検体データテーブルT1100とモジュールデータテーブルT1200を説明する。
検体データテーブルT1100は、検体の処理の完了状況を表すものであって、検体の識別情報である検体ID(T1101)と完了済みの処理を表す完了状況(T1102)と検体の検査を始めた時刻(より具体的には、投入モジュールや収納モジュールへの検体の投入、即ち自動分析システムへの検体の投入時刻)をあらわす開始時刻(T1103)から成る。たとえば、検体IDが10001の検体について、収納モジュール105に搬送する計画で、搬送完了した場合には、{10001、収納、9:25:22}といったデータが設定される。また、他の例として、検体IDが10002で免疫分析モジュール125(免疫1)から生化学分析モジュール124(生化学2)へ搬送し、最後に収納モジュール105に搬送する計画で、生化学分析モジュール124まで搬送が完了している場合には、{10002、免疫1→生化学1、9:26:19}といったデータが設定される。ここで、“→”は搬送順序を表す。なお、まだ処理の計画が立てられていない場合、完了状況は不明とする。たとえば、検査依頼がまだ登録されていない検体を投入した場合は不明とする。
【0047】
モジュールデータテーブルT1200は、各モジュールの現在の状態を表すものであって、モジュールID(T1201)と搬送機構異常(T1202)と、処理機構異常(T1203)と消耗品残量(T1204)と混雑具合(T1205)から成る。データの内容はモジュールデータD3000と同じであり、各モジュールについて最新データだけが保持される。
【0048】
次に図9を用いて、装置管理DB214で管理される搬送計画テーブルT1300と分注計画テーブルT1400を説明する。なお、検査情報管理DB224で管理される搬送計画テーブルT2600と分注計画テーブルT2700は処理性能を考慮して実体を分けているが、内容は同じであるので説明は省略する。
【0049】
搬送経路テーブルT1300は、各検体の検査項目と主要な搬送先を表すものであって、検体ID(T1301)と項目グループID(T1302)と搬送先(T1303)から成る。ここで、主要な搬送先は必ず行き方向で立ち寄る必要がモジュールを意味する。たとえば、検体IDが10001であって、何も処理は行わず収納モジュール105に搬送する場合には、{10001、なし、収納[1, 手前]}といったデータが設定される。ここで、[]は収納するトレイの分類IDと並べる場所を指定する。この例では[1, 手前]と指定することで、分類1の手前に並べられることになる。このほか[1, 奥]を指定すると奥から順にならべられ、 [1, 自動]と指定すると、緊急検体(優先度がHigh)のみ手前から配置し、それ以外を奥に配置する。
【0050】
また、別の例として検体IDが10002であって、免疫・生化学2の項目を処理するために免疫分析モジュール125(免疫1)に搬送した後、生化学分析モジュール122(生化学1)か生化学分析モジュール124(生化学2)の空いている方へ搬送する場合には、{10002、免疫・生化学2、免疫1→生化学1|生化学2[空]}といったデータが設定される。ここで、“→”は順序を表す。また、“|”はどちらかに搬送することを意味し、[]内にその決定条件を指定する。ここで[空]は“|”の左右のモジュールの内、混雑具合の低いモジュールに搬送することを意味する。逆に混雑具合の高いモジュールに搬送する場合は[込]とする。このほか、1:2の割合で振り分けて搬送するのであれば[1:2]と指定する。
【0051】
分注計画テーブルT1400は、各親検体の分注数と分注量を表すものであって、親検体ID(T1401)と子の検体ID(T1411a〜T1420a)と分注量(T1411b〜T1420b)から成る。このテーブルは、分注計画データD5000のデータを複数管理するテーブルである。分注計画データD5000に合わせてこのテーブルでも分注数を10までとしたが、それ以上であってもよい。
【0052】
次に図10を用いて、装置管理DB214で管理される搬送経路テーブルT1500を説明する。なお、検査情報管理DB224で管理される搬送経路テーブルT2300は処理性能を考慮して分けているが、内容は搬送経路テーブルT1500と同じであるので説明は省略する。
【0053】
搬送経路テーブルT1500は、現在のモジュールから目的のモジュールに向かうために次にどのモジュールへ向かえばよいかを表したものであって、目的のモジュール(T1501)と目的のモジュールの向き(T1502)と現在のモジュール(T1503)と現在のモジュールの向き(T1503)と次のモジュール(T1505)と現在のモジュールの向き(T1506)から成る。たとえば、分注モジュール104の行きラインにある検体を収納モジュールに105に格納するため経路を表現するために、「分注(行き)→分注(戻り)」、「分注(戻り)→開栓(戻り)」、「開栓(戻り)→遠心(戻り)」、「遠心(戻り)→投入(戻り)」、「投入(戻り)→収納(戻り)」、「収納(戻り)→収納(行き)」という6つのデータが登録されることになる。
【0054】
次に図11を用いて、装置管理DB214で管理される処理指示テーブルT1600を説明する。
【0055】
処理指示テーブルT1600は、各モジュールに関する検体の処理と搬送の処理指示を表すものであって、検体ID(T1601)とモジュールID(T1602)と項目グループID(T1603)とモジュール内経路ID(T1604)から成る。ここで、モジュール内経路IDは、対象とするモジュールで使用する搬送路の番号(1本目:1、2本目:2、3本目:3)×10と次のモジュールで使用する搬送路の番号とする。たとえば、検体IDが10001で、免疫・生化学1という項目グループIDの検体が遠心モジュール102で遠心分離され、遠心モジュールでは1本目を用い、次の開栓モジュールでも1本目を用いるとすると、{10001、遠心、免疫・生化学1、11}といったデータが設定される。各モジュールは、このモジュール内経路IDを受け取ることで検体の搬送のタイミングや経路を制御するストッパを制御できる。
【0056】
次に図12を用いて、検査情報管理サーバ224で管理される検査依頼テーブルT2100を説明する。
【0057】
検査依頼テーブルT2100は、検体の検査項目と優先度を表すものであって、検体ID(T2101)と項目グループID(T2102)と優先度(T2103)から成る。たとえば、検体IDの項目グループIDが免疫・生化学1で優先度が通常(Mid)ならば{10001、免疫・生化学1、Mid}といったデータが登録される。
【0058】
次に図13を用いて、検査情報管理サーバ224で管理される計画候補ファイルT2200を説明する。
【0059】
計画候補ファイルT2200は、項目グループIDごとの分注の数量、親子の検体に分けられた後の項目グループIDと搬送先で構成される分注と搬送の計画の候補を表すものであって、図13に示すようにXML(Extensible Markup Language)形式のファイルである。1つの候補タグが1つの計画の候補を表し、項目タグと有効条件タグと分注タグ(それぞれ1つずつ)から成る。
【0060】
項目タグは、計画を実行したとき全体で検査する項目グループIDを表す。有効条件タグは、候補を計画時に使うかどうかの条件を記載するものであり、必要に応じて曜日と時刻と検体の優先度を指定する。全条件が真であるとき候補を計画時に使う。
【0061】
分注タグは、分注の数量と搬送先を記載するものであり、親タグと子タグに分かれる。親タグには親検体の処理グループIDと主要な搬送先を記載する。子タグは分注数分作成する。子タグには属性として子のNo.(Number)を付与した上で、子検体の処理グループIDと分注量と主要な搬送先を記載する。
【0062】
たとえば、図13に示した候補No.1では、免疫・生化学1を検査するための計画であり、全曜日、全日、すべての優先度の検体に有効となる。この計画では親検体を1つの子検体に分注して、免疫の分析モジュールと生化学の分析モジュールに順番に搬送・処理する。一方、候補No.2ではNo.1同様に免疫・生化学1を検査するための計画であるが、平日(月〜金)の9時から17時までの緊急検体にのみ有効となる。この計画では親検体を2つの子検体に分注して、免疫の分析モジュールと生化学の分析モジュールにそれぞれ搬送・処理する。したがって、通常検体であれば図3に示した(パターンA)301が採用され、緊急検体であれば図3に示した(パターンA)301か(パターンB)302のどちらかが採用されることになる。
【0063】
次に図14を用いて、検査情報管理サーバ224で管理される目標時間テーブル2400と目標補正テーブル2500を説明する。
【0064】
目標時間テーブル2400は、検体の検査項目と優先度に対する検査完了の目標時間を表すものであって、項目グループID(T2401)と優先度(T2402)と目標時間(T2403)から成る。たとえば項目グループIDが免疫・生化学1の検体を検査する際に、優先度が3段階(緊急、通常、通常以下)あるならば、高い順に25分、40分、60分以内に検査することが目標とすると、{免疫・生化学1、High、25}、{免疫・生化学1、Mid、40}、{免疫・生化学1、Low、60}といったデータが設定される。
【0065】
目標補正テーブルT2500は、目標時間テーブルT2400に登録された目標時間を混雑時に補正するためのものであって、混雑度(T2501)と補正率(T2502)から成る。混雑具合に応じて目標を厳しくする際には、{Low、1}、{Mid、0.9}、{High、0.8}といったデータが記載される。
【0066】
次に図15を用いて、検査情報管理サーバ224で管理される処理時間テーブルT2800を説明する。
【0067】
処理時間テーブルT2800は、各モジュールが検体を処理するために必要な時間の平均値を表すものであって、モジュールID(T2801)と項目グループID(T2802)と優先度(T2803)と混雑度(T2804)と平均処理時間(T2805)から成る。たとえば、バッファモジュール113(バッファ1)について、項目グループIDが免疫・生化学1の検体に対して、通常検体(Mid)と緊急検体(High)の各混雑具合(Low, Mid, High)での処理時間は図15に示すようになる。
【0068】
<処理フロー>
次に図16を用いて、自動分析システム10が検体の優先度とモジュールの混雑具合に応じた分注と搬送の計画を立案・実行する処理の全体の流れを説明する。
【0069】
なお、本実施形態における各モジュールは随時処理完了報告データD2000とモジュールデータD3000を装置管理サーバ12に送信し、装置管理サーバ12はそれをもとに検体データテーブルT1100とモジュールデータテーブルT1200を最新のデータに更新しているとする。また、各モジュールは搬入された検体に対して、装置管理サーバ12から得た処理指示データD4000と分注計画データD5000をもとに処理を施し、搬出するものとする。また、検査依頼テーブルT2100は、電子カルテシステム等から随時最新のデータに更新されるものとする。
【0070】
モジュール群11の各モジュール、検査情報管理サーバ12、検査情報管理サーバ13が各々並行して以下に説明する処理を行うことで達成される。自動分析システム10が稼働中である限り、各々が並行して繰り返し以下に説明する処理を行う。
【0071】
まず、検査情報管理サーバ13の処理を説明する。
【0072】
計画用変化検出部221は、検査情報管理DB224で管理されている検査依頼テーブルT2100、装置管理DB224で管理されている検体データテーブルT1100、モジュールデータテーブルT1200を監視し、一度も計画していない検体、異常や消耗品切れとなったモジュールに関係する検体、混雑具合が変化したモジュールで処理予定の検体を計画立案の候補として選出する(ステップS201)。
【0073】
次に、進捗評価部222は、計画が必要か判断していない検体がある場合はステップS203に処理を進め、そうでない場合は処理を終了する(ステップS202)。
【0074】
計画が必要か判断していない検体がある場合、進捗評価部222は、選出された検体について、現在の計画と搬送経路上のモジュールの混雑具合を使って算出される(予測完了時間)と、予め登録された目標時間に混雑具合に応じた補正を行った(補正済み目標時間)を使って、式1に従い進捗具合を算出する(ステップS203)。なお、一度も計画されていない検体については算出しない。
【0075】
【数1】
次に、進捗評価部222は、選出された検体の(進捗具合)が(1)正かつ5分以上である(十分間に合う)、もしくは(2)負である(間に合わない)場合は計画が必要であるとしてステップS205に処理を進め、そうでない場合はステップS202に戻る(ステップ204)。なお、本実施形態では(1)について正かつ5分以上を計画するようにしたが、モジュールの性能に応じて5分より短くても長くてもかまわない。同様に(2)について、−5分以上でなければ計画しないものとしてもよい。
【0076】
次に、計画部223は、選出された検体の項目グループIDを検査依頼テーブル2100から検体IDをキーとして取得する。なお、子検体の場合は、予め計画テーブルT2500から親検体IDを取得し、前記手順で項目グループIDを取得する。そして、計画候補ファイルT2200の候補の中で、項目グループIDが一致し、かつ、有効条件が真である計画の候補を取得し、進捗評価部222に返却する(ステップS205)。
【0077】
そして、進捗評価部222は、立案されたすべての計画候補について、ステップS203と同様の手順で進捗具合を算出する。そして、進捗具合が正である計画候補の中で、最小の分注数となる計画を選択する。最小の分注数の計画が複数ある場合は、より進捗具合が大きいものを選択する。該当する計画が一つもない場合は、進捗具合が0分か負となる計画の中でもっとも大きいものを選択する。最後に選択した計画の内容を搬送に関しては搬送計画テーブル(T1300、T2600)、分注に関しては分注計画テーブル(T1400、T2700)に保存する(ステップS206)。なお、データを保存する際は、装置管理サーバ12が参照中のレコードを変更しないようにする。
【0078】
次に装置管理サーバ12の処理を説明する。
【0079】
指示用変化検出部212は、装置管理DB224で管理されている検体データテーブルT1100、モジュールデータテーブルT1200、搬送計画テーブルT1300、分注計画テーブル1400を監視し、計画が変更された検体、異常や消耗品切れ、混雑具合となったモジュールに関係する検体を指示生成の候補として選出する(ステップS211)。
【0080】
次に、指示部213は、全ての選出された候補の指示を生成したかどうかを確かめ、全ての候補について指示を生成した場合は処理を終了し、候補が残っている場合、はステップS213に処理を進める(ステップS212)。
【0081】
候補が残っている場合、指示部213は、まず搬送経路テーブルT1500を参照して、計画で指定された主要な搬送先に搬送するために経由するモジュールを抽出する。そして、抽出したモジュールの内部の搬送経路を選択する(ステップS213)。ここで、本実施形態における構成では3本搬送路を持つモジュールと2本搬送路を持つモジュールがある。3本の搬送路(行きx2、戻りx1)を持つモジュールの場合、行き方向は2系統あり選択の必要がある。本実施形態では処理を施すことができる搬送路を1本目に限定している。そこで、検体の項目グループIDを参照し、その検体に処理を施す必要があれば1本目の搬送路、処理を施す必要がなければ2本目の搬送路を通るように搬送路を選択するものとする。2本の搬送路(行きx1、戻りx1)を持つモジュールの場合、次に搬出するモジュールによって内部の搬送経路は確定されるので選択の必要はない。
【0082】
そして、指示部213は、処理指示テーブルT1600に、対象の検体の検体IDとモジュールIDと項目グループIDと選択した搬送路に対応するモジュール内経路IDを保持する新しいレコードを追加する(ステップS214)。この処理が終わると、ステップS212に戻る。
【0083】
上記の処理において、モジュールの異常や消耗品切れによって搬送できない搬送先がある場合には、その搬送先を飛ばして、可能な搬送先に搬送する経路を算出し指示を生成する。すべての搬送先に搬送できない場合は収集モジュール105など、予め定めた異常時の搬送先に向けた指示を生成する。
【0084】
次に、モジュール群11を構成する各モジュールの処理を説明する。
【0085】
各モジュールの制御部201は、処理を行う直前、もしくは、分岐の直前に設置されたストッパとRFIDリーダを使って搬入した検体を一時停止させ、検体IDを取得する(ステップS221)。
【0086】
次に、各モジュールの制御部201は、取得した検体IDに関する指示を装置管理サーバ12に問合せ、処理指示データD4000を取得する。分注モジュールの場合は分注計画データD5000も取得する(ステップS222)。
【0087】
そして、各モジュールの制御部201は、取得した指示に基づいて、コントローラ、アクチュエータを制御し検体に処理を施し、次の搬送先となっているモジュールに搬出する(ステップS223)。
【0088】
次に、図17を使って計画立案の候補となる検体の選出処理(ステップS201)を詳しく説明する。
【0089】
まず、計画用変化検出部221は、検査依頼テーブルT2100を参照し、新しい依頼が追加されたどうかを確認する。その結果、追加されているならばステップS302に処理を進め、追加されていないならばステップ303に処理を進める(ステップS301)。
【0090】
追加されているならば、計画用変化検出部221は、新しい依頼に対応する検体を計画の候補に追加する(ステップS302)。
【0091】
次に、計画用変化検出部221は、検体データテーブルT1100を参照し、投入モジュール101から新たに搬入された検体があるかどうかを確認する。その結果、新たに搬入された検体があるならばステップS304に処理を進め、なければステップS305に処理を進める(ステップS303)。
【0092】
新たに搬入された検体があるならば、計画用変化検出部221は、新たに搬入された検体を計画の候補に追加する(ステップS304)。
【0093】
次に、計画用変化検出部221は、モジュールデータテーブルT1200を参照し、搬送機構異常T1202、処理機構異常T1203が1回前の状態と変化しているかどうかを確認する。なお、初回の場合は異常となっているものをすべて変化したとする。その結果、変化していると判断されるならば、処理中の全検体についてそのモジュールに搬送する可能性があるかどうかを確認し、搬送する可能性があるならばステップS306に処理を進め、搬送する可能性がないならばステップS307に処理を進める(ステップS305)。前記では、各検体の計画に記載された主要な搬送先について、搬送経路テーブルT2300を用いて主要な搬送先の間で経由するモジュールを取得し、異常のあるモジュールではないかを一つずつ調べる必要がある。検査情報管理サーバ13の計算性能上この処理負荷が問題となる場合には、計画した時点で転置インデックステーブルを作成しておくことで軽減できる。すなわち、各モジュールのモジュールIDをインデックスとして、モジュールを経由する検体の検体IDを保持するテーブルを作成すればよい。
【0094】
搬送する可能性があるならば、計画用変化検出部221は、異常のあったモジュールを利用する可能性のある検体を計画の候補に追加する(ステップS306)。
【0095】
次に、計画用変化検出部221は、モジュールデータテーブルT1200を参照し、消耗品残量が50未満となっているかどうかを確認する。その結果、50未満となっているならば、処理中の全検体についてそのモジュールに搬送する可能性があるかどうかを確認し、搬送する可能性があるならばステップS308に処理を進め、搬送する可能性がないならばステップS309に処理を進める(ステップS307)。
【0096】
搬送する可能性があるならば、計画用変化検出部221は、消耗品切れ(切れかけ)のモジュールを利用する可能性がある検体を計画の候補に追加する(ステップS308)
次に、計画用変化検出部221は、直前の混雑具合と現在の混雑具合を比較し、0.7を閾値として、閾値を上回ったか下回ったときに変化があったとして、処理中の全検体についてそのモジュールに搬送する可能性があるかどうかを確認し、搬送する可能性があるならばステップS310に処理を進め、そうでなければ処理を終了する(ステップS309)。なお、本実施形態では閾値を0.7としたがそれより大きくても小さくてもかまわない。また、閾値はモジュールに依らず固定としたが、モジュールごとに個別の閾値を設定してもよい。さらには、直前の値と現在の値の差分値に対して閾値を設けるなどしてもよい。
【0097】
搬送する可能性があるならば、計画用変化検出部221は、混雑具合が変化したモジュールを利用する可能性がある検体を計画の候補に追加し、処理を終了する(ステップS310)。
【0098】
次に、図18を使って進捗具合の算出処理(ステップS203)を詳しく説明する。
【0099】
まず、進捗評価部222は、式2に基づいて(補正済み目標時間)を算出する(ステップS401)。ここで式2の(目標時間)は目標時間テーブルT2400に登録された目標時間T2403である。また、式2の(補正率の平均)は、式3に基づいて算出される値で値であって、検体が経由する可能性があるモジュールの中で、モジュールデータテーブルT1200の混雑具合T1205が0〜1までの値となっているモジュールの補正率の和をそのモジュールの数で割った値である。
【0100】
ここで、生化学分析モジュール122と124のどちらかに行けばよいなど冗長性のある場合には、まず、通りうるすべての経路の組合せについて個別に補正率の平均を求める。そして、さらにその平均値を(補正率の平均)とする。なお、本実施形態では平均値を用いるが、最大値や最小値、中央値などを用いても良い。
【0101】
【数2】
【0102】
【数3】
次に予測完了時刻を式4に基づいて算出する(ステップS402)。ここで式4の(開始時刻)は、該当する検体に関する検体データテーブルT1100の開始時刻T1103を参照することで得られる。またΣ(平均処理時間)は、現在位置から経由するモジュールの(平均処理時間)の総和である。各モジュールの(平均処理時間)は、処理時間テーブルT2800において、該当するモジュールID、項目グループID、優先度、混雑度の平均処理時間T2805を参照することで得られる。
【0103】
なお、評価を行う検体が親検体で、子検体に分注してから分析を行う場合、子検体の(予測完了時間)は、親検体を分注し終わるまでの(予測完了時間)と子検体が分注されてから分析が終わるまでの(予測完了時間)の和とし、親と子(複数)の検体のなかでもっとも時間のかかるものを最終的な(予測完了時間)とする。
【0104】
【数4】
最後に、式1に従って、(補正済み目標時間)と(予測完了時間)の差を(進捗具合)とする。
【0105】
たとえば、直接生化学分析を行う分注された緊急検体が、今分注モジュール104にあって、搬送ラインモジュール111a、方向転換モジュール112b、搬送ラインモジュール111e、バッファモジュール113を経由して生化学分析モジュール121に搬送される場合を例に具体的に説明する。ここで、この緊急検体の目標時間は20分であるとする。また、混雑具合はバッファモジュール113と生化学分析モジュール121について考慮されるとし、混雑具合は順番にMid、Highとする。また、混雑具合に対する補正率は、Lowが1、Midが0.9、Highが0.8とする。また、処理時間テーブルT2800に登録された現在の項目グループID、優先度、混雑具合に対応する平均処理時間は、搬送ラインモジュール111aが5秒、方向転換モジュール112bが10秒、搬送ラインモジュール111eが5秒、バッファモジュール113が40秒、生化学分析モジュール121が600秒であるとする。このとき、(補正率の平均)は、1/2×(0.9+0.8)=0.85となるため、(補正済み目標時間)は(20×0.85)=17分である。これに対し、(予測完了時間)は、(現在時刻)が10:00、開始時刻が9:55として、(10:00−9:55))分+(5+10+5+40+600)秒=16分となる。よって(進捗具合)は(17−16)=1分と算出される。なお、この場合、目標時間通り処理が進んでいるとして、進捗評価部222は計画を変更しない。
次に、図19を使って指示生成の候補 となる検体の選出処理(ステップS211)を詳しく説明する。
【0106】
まず、指示用変化検出部212は、搬送計画テーブルT1300、分注計画テーブル1400を参照し、新しい計画が登録されたあるいは計画が更新されたかを確認する。その結果、登録もしくは更新されているならばステップS502に処理を進め、そうでないならばステップS503に処理を進める(ステップS501)。
【0107】
登録もしくは更新されているならば、指示用変化検出部212は、登録もしくは更新された計画に関する検体を指示生成の候補に追加する(ステップS502)。
【0108】
次に、指示用変化検出部212は、前記した図17のステップS305と同じ手順で、モジュールに異常があったかどうかを確認し、異常があったモジュールに検体を利用する可能性があるならばステップS504に処理を進め、そうでないならばステップS504に処理を進める(ステップS503)。
【0109】
異常があったモジュールに検体を利用する可能性があるならば、指示用変化検出部212は、異常のあったモジュールを利用する可能性のある検体を計画の候補に追加する(ステップS504)。
【0110】
次に、指示用変化検出部212は、前記した図17のステップS307と同じ手順で、モジュールデータテーブルT1200を参照し、消耗品残量が50未満となっているかどうかを確認する。その結果、50未満となっているならば、処理中の全検体についてそのモジュールに搬送する可能性があるかどうかを確認し、搬送する可能性があるならばステップS506に処理を進め、搬送する可能性がないならばステップS507に処理を進める(ステップS505)。
【0111】
搬送する可能性があるならば、指示用変化検出部212は、消耗品切れ(切れかけ)のモジュールを利用する可能性がある検体を計画の候補に追加する(ステップS506)
次に、指示用変化検出部212は、前記した図17のステップS309と同じ手順で、直前の混雑具合と現在の混雑具合の変化を確認し、変化したと判断されるモジュールに搬送する可能性があるならばステップS508に処理を進め、そうでなければ処理を終了する(ステップS507)。
【0112】
搬送する可能性があるならば、指示用変化検出部212は、混雑具合が変化したモジュールを利用する可能性がある検体を計画の候補に追加し、処理を終了する(ステップS508)。
【0113】
次に、図20を用いて、検査技師等が処理の実績の表示方法を説明する。
【0114】
操作端末14の操作管理部231は、搬送計画テーブル2600、分注計画テーブルT2700、検体データテーブルT1100、モジュールデータテーブルT1200を参照してディスプレイに実績表示GUI(Graphical User Interface)5000を表示する。
【0115】
実績表示GUI5000は、検体リスト5010と分注・搬送状況パネル5020とアラームパネル5030を有する。検体リスト5010は、各検体の検体ID、項目、親子関係、処理の完了状況、計画に対して搬送先が変更されたかどうかを周期的に更新しながら一覧表示する。
【0116】
検査技師等の操作者が、検体リスト5010の中から情報を得たい検体の行をクリックすることをきっかけとして、操作管理部231は、分注・搬送状況パネル5020に、選択された検体の計画を計画パネル5021に表示し、実際に搬送された検体の実績を実績パネル5022に表示し、計画と実績が異なった理由を5023に表示する。
【0117】
たとえば図20に示す例では、もともと親検体(親)から子検体を1つ作成し分析する計画だったところをシステムの混雑具合に合わせて子検体を2つ作成し分析する計画に変更したことが計画パネル5021に表示されている。また、実際にはバッファモジュール113(バッファ1)が停止したことを受けて、子2は収納モジュールに急遽搬送されたこと実績パネル5022に表示している。また、その経過が「システムの混雑具合に合わせて計画を見直し。」「バッファ1が停止中しているため免疫1を飛ばして搬送。 」として、インフォーメーションパネル5023に表示している。検査技師は、この情報を確認することで、どの検体がなぜ計画を変更されたのか、あるいは、計画どおり進んでいないかを把握することができ、その原因(試薬切れやモジュールの異常)に迅速に対処できる。
【0118】
上述と並行して操作管理部231は、アラームパネル5030に現在のモジュール状況と、必要に応じて消耗品交換の必要性を促す通知を行う。消耗品の交換に関する通知は、消耗品の残量が減少した場合と、図20に示したように、モジュールに異常が発生したことによって分析モジュールの使用状況に偏りが見られたときに行う。
【0119】
なお、上記の処理の手順で分注数が変更された計画が立案・実行されるが、検査技師が最適な分注数とそれに応じた搬送先を判断し、操作端末14を介して新しい計画を直接装置管理サーバ12の搬送計画テーブルT1300、分注計画テーブル1400に登録しても構わない。その場合は、検査情報管理サーバ13の該当するレコードへの書き込みを制限する。
【0120】
また、本実施形態では検査依頼テーブルT2100に優先度に従って上記処理を行うものとしたが、たとえば投入モジュール101に緊急検体用のトレイや搬入口がある場合には、そこから搬入された検体は検査依頼テーブルT2100上で優先度がHighとなっていなくともHigh、すなわち緊急検体として処理してもよい。
<本実施例による効果の例>
次に図21を用いて、緊急検体の検査に関して、分注数を従来のように固定した場合と本実施例のように分注数を変更できるようにした場合の処理時間と消耗品(子検体用のカップやチップ)の使用量の違いを簡単に説明する。
従来方法では予め定めた分注数を設定することになる。たとえば、常に1分注すると図21の下段で示すように消耗品の使用量は低減するが、図21上段で示すように依頼が多くシステムが混雑する時間帯では目標時間をオーバーしかねない。一方、常に2分注すると図21の上段で示すように目標時間は守られるが、図21下段で示すように多くの消耗品を使用することになる。これに対し、本実施例では、忙しい時間帯だけ分注数を多くする。したがって、図21上段で示すように目標時間を守りつつ、かつ、図21下段で示すように消耗品の使用量も常に2分注することに比べれば低減させることができる。
【0121】
以上に説明したように、本実施例によれば、時間に余裕のない検体は分注数を増やして迅速に検査することができる。また、進捗状況に余裕のある検体は分注数を減らしてカップやチップといった消耗品を抑制できる。さらに、上記の効果に加え次の効果もある。
【0122】
優先度に応じて分注や搬送の計画の候補を指定することができるので、緊急検体だけを前記のように分注数を変更して処理するといったこともできる。
【0123】
また、曜日や時刻に応じて分注や搬送の計画の候補を指定することができるので、検査室の運用(装置の稼働時間)に応じた計画を設定できる。
【0124】
また、前記計画に緊急検体をトレイの前に収納するなどの付加項目を設定することができるので、緊急検体を直接分析モジュールに投入して迅速化したり、搬送ラインのつながっていない分析モジュールに投入したりすることにも柔軟に対応できる。
【0125】
また、検査技師の判断によって、操作端末を介して直接登録することもできるので、特定の検体を特急で処理するといった場合でも柔軟に対応できる。
【0126】
また、分注や搬送の計画を変更するだけでなく、それと連動して検体の進捗状況、システムの混雑具合とその影響、消耗品の交換を促す通知などを検査技師に操作端末を介して提示することによって、検査全体の作業の効率化を図ることができる。
【0127】
また、検査依頼、検体の投入、モジュールの異常、モジュールの消耗品、モジュールの混雑具合に変化があったときに、関係する検体のみ計画を実行するので、検査情報管理サーバ13の処理負荷を低減させることができる。
【0128】
また、計画の変更、ジュールの異常、モジュールの消耗品、モジュールの混雑具合に変化があったときに、関係する検体のみ指示を生成するので、装置管理サーバ12の処理負荷を低減させることができる。
【符号の説明】
【0129】
10・・・自動分析システム
11・・・モジュール群
12・・・装置管理サーバ
13・・・検査情報管理サーバ
14・・・操作端末
17・・・装置情報ネットワーク
18・・・検査情報ネットワーク
19・・・病院ネットワーク
101・・・投入モジュール
102・・・遠心モジュール
103・・・開栓モジュール
104・・・分注モジュール
105・・・収納モジュール
111・・・搬送ラインモジュール
112・・・方向転換モジュール
113、114、115、116・・・バッファモジュール
121、123・・・凝固分析モジュール
122、124・・・生化学分析モジュール
125、126・・・免疫分析モジュール
【技術分野】
【0001】
検体検査に代表される自動分析システムに関し、とくに処理対象が分割して処理可能な場合に、処理対象を分割処理する前処理モジュールを有する自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、患者の血液や尿といった検体の検査業務は、遠心、開栓、分注といった処理を行う前処理モジュール、検査項目に応じた分析を行うモジュール、分類、収納、廃棄といった後処理を行うモジュール、それらを接合する搬送モジュールや一時待機させるバッファモジュール、それらモジュールを管理するサーバ、検査情報を管理したりや処理計画を作成するサーバ、検査技師が装置管理を行うための端末から構成される自動分析システムによって前処理・後処理、搬送、分析の各種処理の自動化が進んでいる。
【0003】
この自動分析システムを用いた検査業務では、さらなる迅速化が求められている。昨今の迅速化の主な課題の1つには、一般的な優先度の検体(通常検体)に対して優先度の高い検体(緊急検体)を迅速に検査することが挙げられる。病院の方針によっても異なるが、たとえば通常検体は40分〜50分、緊急検体は20〜30分で検査することが求められる。
【0004】
迅速化の要求に対して、たとえば特許文献1では、搬送ラインと搬送ラインから引き込んだ作業用ラインとの両方で分注処理できる分注機構を設け、通常は検体を作業用ラインに引き込んでから処理を行うのに対し、緊急検体は搬送ライン上で先に分注処理を行うことできるようにすることで緊急検体を迅速に分注する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−8552
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動分析システムを用いた検査業務では、処理の迅速化と共にコスト低減も求められている。コスト低減のための具体的な課題としては、例えば試薬や分注用カップ・チップなどの消耗品の使用量を減らすことが挙げられる。しかしながら、特許文献1記載の技術では、緊急検体を優先処理できるものの分注数を変えて検査にかかる時間と使用する消耗品の量を調節するといったことはできない。すなわち、免疫項目と生化学項目を測定する場合、検査時間に余裕のある通常検体は1分注(1本の子検体に小分け)して、免疫と生化学の分析モジュールへ順番に搬送することで消耗品を抑制し、検査時間に余裕のない緊急検体は2分注あるいはそれ以上に分注して、免疫と生化学の分析モジュールへ別々に搬送することで検査時間を短縮するといったことはできない。また、緊急検体であっても自動分析システムが混雑しておらず1分注でも短い時間で検査できる場合には1分注で処理し、混雑してきたら動的に2分注あるいはそれ以上に変更することで検査の目標時間を守りながら、できる限り消耗品を抑制することもできない。
【0007】
上記の問題を鑑み、検体ごとに定められた目標時間までに検査を完了させ、かつ、消耗品を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
分析システムは、各々分析対象の分析を行う複数の分析モジュールと、複数の分析モジュールへの分析対象の搬送を実行する搬送モジュールと、システムに投入された親分析対象を用いて一又は複数の分析対象を作成する分割モジュールと、親分析対象について要求される分析処理の種類と当該親分析対象について要求される優先度を管理する管理部とを有している。管理部は、分析処理の種類と優先度とに基づいて、親分析対象から作成される分析対象の数と各分析対象に対して実行される分析処理の種類を含む処理計画を、分析対象の数がなるべく小さくなるよう決定する。そして分析対象の数に従って親分析対象から一又は複数の分析対象作成するよう分割モジュールを制御する。更に管理部は、各分析対象に対して処理計画に従った分析処理が実行されるよう搬送モジュールと複数の分析モジュールとを制御する。
【発明の効果】
【0009】
分析処理対象を、優先度に応じた時間内に分析しかつ消耗品の消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】自動分析システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】自動分析システムの機能と動作の一例を示す説明図である。
【図3(a)】自動分析システムの分注および搬送の一例を示す説明図である。
【図3(b)】自動分析システムの分注および搬送の他の一例を示す説明図である。
【図4】検体を架設する検体ホルダと各モジュールの搬送機構の構造の例を示す図である。
【図5】検知ホルダのRFIDタグのデータの構造の例を示す図である。
【図6(a)】モジュールの検体に対する処理の完了報告データの構造の例を示す図である。
【図6(b)】モジュールの状態報告データの構造の例を示す図である。
【図7(a)】モジュールに対する処理指示データの構造の例を示す図である。
【図7(b)】モジュールに対する分注指示データの構造の例を示す図である。
【図8(a)】検体に対する処理の完了状況データの構造の例を示す図である。
【図8(b)】モジュールの状態データの構造の例を示す図である。
【図9(a)】検体の搬送計画テーブルの構造の例を示す図である。
【図9(b)】検体の分注計画テーブルの構造の例を示す図である。
【図10】搬送経路テーブルの構造の例を示す図である。
【図11】管理装置が管理する処理指示テーブルの構造の例を示す図である。
【図12】検査情報管理サーバが管理する検査依頼テーブルの構造の例を表す図である。
【図13】検査情報管理サーバが管理する計画候補ファイルの例を示す図である。
【図14(a)】検査情報管理サーバが管理する目標時間テーブルの構造の例を示す図である。
【図14(b)】検査情報管理サーバが管理する目標補正テーブルの構造の例を示す図である。
【図15】検査情報管理サーバが管理する処理時間テーブルの構造の例を示す図である。
【図16(a)】自動分析システムが分注および搬送の計画を立案し実行する処理の内、検査情報管理サーバによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図16(b)】自動分析システムが分注および搬送の計画を立案し実行する処理の内、装置管理サーバによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図16(c)】自動分析システムが分注および搬送の計画を立案し実行する処理の内、各モジュールによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】分注・搬送の計画立案対象となる検体の候補を選択するための処理の一例を示すフローチャートである。
【図18】進捗具合の算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】指示生成の対象となる検体の候補を選出するための処理の一例を示すフローチャートである。
【図20】操作端末に表示される処理実績の一例を示す図である。
【図21】処理時間および消耗品の消費に関し従来方法との違いを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら本発明を実施するための代表的な形態を説明する。なお、これらの図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を与えることにより、繰り返して利用する場合には重複する説明を省略する。
<システム構成>
図1は実施形態に係る自動分析システムのシステム構成図である。図1に示すとおり、自動分析システム10は、モジュール群11と、装置管理サーバ12と、検査情報管理サーバ13と、操作端末14とを有して成る。モジュール群11の各モジュールと装置管理サーバ12とはEthernet(登録商標)などを用いたLAN(Local Area Network)で構成される装置情報ネットワーク17を介して接続される。装置管理サーバ12と、検査情報管理サーバ13と、操作端末14は、同様に検査情報ネットワーク18を介して接続される。検査情報管理サーバ13は、病院ネットワーク19を介して、電子カルテシステムなどの病院のほかのシステムと接続される。
【0012】
モジュール群11は、前処理を行う投入モジュール101、遠心モジュール102、開栓モジュール103、分注モジュール104、後処理を行う収納モジュール105、検体を一時待機させるバッファモジュール113、114、115、116、分析を行う凝固分析モジュール121、123、生化学分析モジュール122、124、免疫分析モジュール125、126、および、これらのモジュールを接合する搬送ラインモジュール111(a〜h)、方向転換モジュール112(a〜d)とから成っており、図1で示すような配置で設置される。
【0013】
これらの各モジュールはそれぞれが検体の搬入出を行う複数本の搬送路を内部に備えており、隣接するモジュールの搬送路同士が連結されることで、モジュール間の検体の受け渡しを可能としている。たとえば、投入モジュール101の下から1本目(101a)と2本目(101b)の搬送路は左から右に搬送が可能であり、一番上の3本目(101c)の搬送路は右から左に搬送が可能となっている。同様にほかのモジュールも行きと戻りの方向に検体を搬送することができる。また、方向転換モジュール112は、内部に4つの方向転換機構を有しており、搬入した検体を任意の方向に搬出可能である。なお、本実施形態におけるモジュールは開栓や分注といった処理を行うためには1本目(処理機構に最も近い搬送路)を通る必要があるとする。
【0014】
基本的な検査の流れを説明する。まず検査技師が検体(血液や尿を入れた試験管)を投入モジュール101のトレイに設置する。設置された検体は、ロボットアーム等で検体をホルダに架設された後、遠心モジュール102に搬送される。遠心モジュール102に運ばれた検体は3〜5分遠心分離が実施され、開栓モジュール103に搬送される。遠心が不要な場合は実施せずに開栓モジュール103に搬送される。開栓モジュール103に運ばれた検体は、栓を外され分注モジュール104に搬送される。遠心かつ開栓が不要な場合は実施せずに分注モジュール104に搬送される。分注モジュール104に搬送された検体は検査項目に応じて所定量をカップやチップなど別の容器に分注する。分注元となった親検体は、戻りの搬送路を介して収納モジュール105に搬送される。分注された子検体は、たとえば生化学項目を検査する場合には、搬送ライン111、方向転換モジュール112、バッファモジュール113を経由して検査項目に応じた生化学分析モジュール122に搬送される。そして、生化学分析モジュール122に搬送された検体は試薬と混合、反応された後、所定の分析が実施される。検査が終了した子検体は廃棄処分される。
【0015】
なお、本実施形態では、投入モジュール1台、遠心モジュール1台、開栓モジュール1台、分注モジュール1台、収納モジュール1台、バッファモジュール4台、凝固分析モジュール2台、生化学分析モジュール2台、免疫分析モジュール2台としたが、それより多くても少なくてもよい。このほか、閉栓行うモジュールや外注向けに分類処理を行うモジュール、親検体を冷蔵しておくモジュールなどがあってもよい。さらに、ほかの種類、たとえば遺伝子分析などのモジュールがあってもよく、複数の項目を一度に分析可能なモジュールがあってもよい。また、検査室のレイアウトに応じて搬送ラインモジュールや方向転換モジュールの数や配置を変更してもよい。
【0016】
また、本実施形態のモジュールでは各モジュールについて、1本目で搬送するときにのみ検体に各種処理を施すことができるとしたが、長いロボットアーム等を用いて2本目や3本目の検体を処理できるモジュールがあってもよい。また、モジュールのラインの数は3本(前処理、分析、後処理)もしくは2本(搬送・方向転換)から構成されるとしたが、処理内容等に合わせて多くてしても少なくしても良い。
【0017】
また、装置管理サーバ12や検査情報管理サーバ13は、処理負荷等に応じて2台以上を備える構成としてもよい。また、操作端末14は、検査室のレイアウトや運用に応じて2台以上あってもよいし、装置管理サーバ12や検査情報管理サーバ13を代用しても良い。また、装置情報ネットワーク17と検査情報ネットワーク18は同じネットワークであっても良い。
【0018】
<機能構成>
図2は、本実施例形態に係る自動分析システム10の機能と動作を説明する図である。はじめに図2を用いて、自動分析システムの機能構成を説明する。
【0019】
モジュール群11を構成する投入モジュール101、遠心モジュール102、開栓モジュール103、分注モジュール104、収納モジュール105、バッファモジュール113、114、115、116、凝固分析モジュール121、123、生化学分析モジュール122、124、免疫分析モジュール125、126、搬送ライン111、方向転換モジュール112は、制御部201を有して成る。
【0020】
装置管理サーバ12は、収集部211、指示用変化検出部212、指示部213、および、装置管理DB(Database)214を有して成る。
【0021】
検査情報管理サーバ13は、計画用変化検出部221、進捗評価部222、計画部223、および、検査情報管理DB224を有して成る。
【0022】
操作端末14は、操作管理部231を有して成る。
<動作概要>
次に図2、図3を用いて自動分析システム10の動作の概要を説明する。ここでは、免疫と生化学の分析項目を測定するために1分注での処理を計画されていた緊急検体が、システムが混雑してきたことを受けて2分注に計画を変更して処理される場合を例に説明する。なお、自動分析システム10の稼動に先立って、各モジュールの制御部201は、検体の位置と処理の進み具合、モジュールの異常や消耗品の残量、混雑具合を装置管理サーバ12の収集部に送信しているとする。また、検査依頼も随時最新のデータに更新されるものとする。
【0023】
まず、検査情報管理サーバ13の計画変化検出部221は、検査情報管理DB224で管理されている検査依頼のデータ、装置管理DB214で管理されている検体の投入、モジュールの異常有無、消耗品の残量、混雑具合のデータを監視し、変化があれば関連する検体を計画の変更がある候補として選出する。この例では、システムが混雑してきたことを受けて、前記の緊急検体が候補に選ばれる。
【0024】
次に、検査情報管理サーバ13の進捗評価部222は、選出された検体について、モジュールの混雑具合で補正された目標時間と予測完了時間を使って進捗具合を評価する。その結果、目標時間までに十分余裕があるのであれば分注を減らし、余裕がなかったり、間に合いそうになかったりするのであれば分注を増やした計画を立案するように計画部223に要求する。この例では、前記の緊急検体は、前回計画された時点では1分注で目標時間通り処理できると予測されていたが、今回計算すると目標時間より長くかかることがわかり、分注数を増やした計画の立案を計画部223に要求する。
【0025】
検査情報管理サーバ13の計画部223は、当初の計画に対して分注数を増減させた新しい計画候補を立案して進捗評価部222に送信する。この例では、前記の緊急検体に対して、たとえば2分注して免疫1個と生化学1個で処理する計画と、3分注して免疫1個と生化学2個で処理する計画の候補が立案されたとする。
【0026】
新しい計画候補を受け取った進捗評価部222は、先の手順で計画を評価し、目標時間に間に合い、かつ、分注数の少ない計画を選択し、検査情報管理DB224と装置管理サーバ12の装置管理DB214に保存する。この例では2個以上分注すれば目標時間通り処理できるとすると、消耗品の使用量が多い3分注の計画ではなく、消耗品の使用量が少ない2分注の計画が選ばれる。
【0027】
装置管理サーバ12の指示用変化検出部212は、装置管理DB214で管理されている分注・搬送計画、モジュールの異常や消耗品の残量、混雑具合のデータを監視しており、モジュールへの指示を更新する必要がある検体の候補を選出する。この例では、システムが混雑してきたことを受けて、前記の緊急検体が候補に選ばれる。
【0028】
次に、指示部213は、選出された検体について、検体の検査項目とモジュールの種別に応じた処理指示を作成する。この例では、前記緊急検体になされた2分注の計画に従い、各モジュールに対する処理指示が作成される。
【0029】
最後に、モジュール群11を構成する各モジュールの制御部201は、処理が必要な検体を検出した時点で装置管理サーバ12の指示部213に処理指示を問い合わせ、受け取った応答に従いアクチュエータを制御して処理を実施する。たとえば分注モジュールにおいて、前記の緊急検体(親検体)は2つの子検体に分注される。
【0030】
前記のような動作によって、自動分析システム10は、混雑具合に応じて図3に示す1分注を用いた検査(図3(a))301と2分注を用いた検査(図3(b))302を切り替えながら処理することができる。
【0031】
<機能とハードウェアの対応>
次に図2に示す自動分析システム10の各構成要素と、当該構成要素を実現しているハードウェアおよびソフトウェアとの対応を説明する。
【0032】
モジュール群11を構成するモジュールの制御部201は、各モジュールのCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)や外部記憶装置に格納されたプログラムをRAM(Read Access Memory)に読み込み、通信I/F(Interface)、搬送や分析処理を行うためセンサ、コントローラ、アクチュエータ等のハードウェアを制御することで実現される。
【0033】
装置管理サーバ12の収集部211、指示用変化検出部212、指示部213、装置管理DB214は、装置管理サーバ12のCPUがROMや外部記憶装置に格納されたプログラムをRAMに読み込み、通信I/F、マウス、キーボード、ディスプレイ等を制御することで実現される。
【0034】
検査情報管理サーバ13の計画用変化検出部221、進捗評価部222、計画部223、検査情報管理DB224は、検査情報管理サーバ13のCPUがROMや外部記憶装置に格納されたプログラムをRAMに読み込み、通信I/F、マウス、キーボード、ディスプレイ等を制御することで実現される。
【0035】
操作端末14の操作感リブ231は、操作端末14のCP
UがROMや外部記憶装置に格納されたプログラムをRAMに読み込み、通信I/F、マウス、キーボード、ディスプレイ等を制御することで実現される。
【0036】
<搬送機構>
次に図4を用いて検体と各モジュールの搬送機構を説明する。投入モジュールや収納モジュールから搬出されるとき、もしくは、分注モジュールで分注されるときに検体401は、ホルダ402へ架設される。このホルダ402はデータを書き込み可能なRFID (Radio Frequency Identification)タグ403を有しており、検体が架設される際に架設バーコード404に記載されている検体の識別情報(検体ID)を内部に記録する。架設されたホルダ402は、ベルトライン405によってモジュール内、モジュール間を搬送される。またモジュール内において、検体はストッパ406によって一時停止されRFIDリーダ407による識別処理がなされる。そして、その認識結果に応じた搬送や処理がなされる。
【0037】
なお、本実施形態では、ベルトライン405によって搬送する手段を用いているが、ロボットアームやXYZテーブル機構を使って搬送しても良い。また、ストッパ405で止めるのではなく、ベルトライン405の動作を停止させることでホルダ402を停止させてもよい。また、ホルダはRFIDタグ403によって識別されるものとしたが、検体のバーコード404を直接読み取っても良いし、ホルダ402にバーコードを付けて識別してもよい。
【0038】
<データ構造>
次に図5を用いてホルダ402のRFIDタグ404のタグデータD1000を説明する。
【0039】
タグデータD1000は、どのホルダにどの検体が架設されているかを表すものであって、ホルダの識別情報であるホルダID(D1001)と検体の識別情報である検体ID(D1002)からなる。なおホルダIDとはRFIDタグが製造されるときに付与される固有のIDである。また、検体IDは検体が作成された時点で付与される固有のIDである。
【0040】
次に図6を用いて制御部201から収集部211に送信される処理状況データD2000と、モジュール状態データD3000を説明する。
【0041】
処理状況データD2000は、検体の現在位置と処理の進み具合を表すものであって、検体ID(D2001)とモジュールID(D2002)と処理状況D2003から成る。ここで各モジュールには固有のモジュールIDがあらかじめ付与されているものとする。たとえば、検体IDが10001である検体が遠心モジュールで遠心分離を完了した場合、{10001、遠心、完了}といったデータが設定される。
【0042】
モジュールデータD3000は、モジュールの機構の異常、消耗品の状態、混雑具合を表すものであって、モジュールID(D3001)と搬送機構異常(D3002)と処理機構異常(D3003)と消耗品残量(D3004)と混雑具合(D3005)から成る。ここで、搬送機構異常とは、搬入出するためのベルトラインやストッパが正常に動作しているかを表し、処理機構異常は分注や分析といった処理が正常に実施できるかを表す。また、消耗品残量とは、カップの残量や試薬マガジンの残数といった消耗品があとどれくらい残っているかを表す。混雑具合は、モジュールの許容検体数に対して現在の検体の数から算出される値(−1、0〜1)である。混雑具合はモジュールが10個以上の検体を待機させる領域を持つモジュールについて有効とし、最大許容検体数に関する現在の検体数の商として定義する。10個未満の検体を待機させる領域しか持たないモジュールの場合は常に−1が設定される。たとえばバッファモジュールについて、100検体を待機させることができ、35検体待機しているとすれば、混雑具合は0.35とする。また、分注モジュールについて、異常はないがカップが切れそうな場合、{分注、異常なし、異常なし、カップ残量小、−1}といったデータが設定される。
【0043】
次に図7を用いて指示部213から制御部201に送信される処理指示データD4000と分注指示データD5000を説明する。
【0044】
処理指示データD4000は、各モジュールが検体に処理を施し、次のモジュールへ搬送するための指示を表すものであって、検体ID(D4001)と項目グループID(D4002)とモジュール内経路ID(D4003)から成る。ここで、項目グループIDとは、複数の検査項目をまとめたIDであり、モジュールはこの項目グループIDによって施すべき処理を判断できる。また、モジュール内経路IDは、モジュール内の搬送経路を表すIDであり、モジュールはこのモジュール内経路IDによってどの経路に搬送すべきかを判断できる。たとえば、検体IDが10001で、免疫・生化学1という項目グループIDの検体が遠心モジュールで遠心分離され、経路IDが1の経路で搬送される場合、{10001、免疫・生化学1、1}といったデータが設定される。
【0045】
分注指示データD5000は、分注モジュールの分注処理における分注数と分注量を表すパラメータであって、検体ID(D5001)と10個分の子検体ID(D5011a〜D5020a)と分注量(D5020b〜D5020b)から成る。ここで、分注数が10未満の場合、分注しない子の領域には0を設定する。たとえば、検体IDが10001の親検体を検体ID10002(分注量100)と検体ID10003(分注量50)に分注する場合、{10001、10002、100、10003、50、0、0、・・・、0、0}といったデータが設定される。なお、本実施形態では分注数を10個までとしたが10個以上としてもよい。
【0046】
次に図8を用いて装置管理DB214で管理される検体データテーブルT1100とモジュールデータテーブルT1200を説明する。
検体データテーブルT1100は、検体の処理の完了状況を表すものであって、検体の識別情報である検体ID(T1101)と完了済みの処理を表す完了状況(T1102)と検体の検査を始めた時刻(より具体的には、投入モジュールや収納モジュールへの検体の投入、即ち自動分析システムへの検体の投入時刻)をあらわす開始時刻(T1103)から成る。たとえば、検体IDが10001の検体について、収納モジュール105に搬送する計画で、搬送完了した場合には、{10001、収納、9:25:22}といったデータが設定される。また、他の例として、検体IDが10002で免疫分析モジュール125(免疫1)から生化学分析モジュール124(生化学2)へ搬送し、最後に収納モジュール105に搬送する計画で、生化学分析モジュール124まで搬送が完了している場合には、{10002、免疫1→生化学1、9:26:19}といったデータが設定される。ここで、“→”は搬送順序を表す。なお、まだ処理の計画が立てられていない場合、完了状況は不明とする。たとえば、検査依頼がまだ登録されていない検体を投入した場合は不明とする。
【0047】
モジュールデータテーブルT1200は、各モジュールの現在の状態を表すものであって、モジュールID(T1201)と搬送機構異常(T1202)と、処理機構異常(T1203)と消耗品残量(T1204)と混雑具合(T1205)から成る。データの内容はモジュールデータD3000と同じであり、各モジュールについて最新データだけが保持される。
【0048】
次に図9を用いて、装置管理DB214で管理される搬送計画テーブルT1300と分注計画テーブルT1400を説明する。なお、検査情報管理DB224で管理される搬送計画テーブルT2600と分注計画テーブルT2700は処理性能を考慮して実体を分けているが、内容は同じであるので説明は省略する。
【0049】
搬送経路テーブルT1300は、各検体の検査項目と主要な搬送先を表すものであって、検体ID(T1301)と項目グループID(T1302)と搬送先(T1303)から成る。ここで、主要な搬送先は必ず行き方向で立ち寄る必要がモジュールを意味する。たとえば、検体IDが10001であって、何も処理は行わず収納モジュール105に搬送する場合には、{10001、なし、収納[1, 手前]}といったデータが設定される。ここで、[]は収納するトレイの分類IDと並べる場所を指定する。この例では[1, 手前]と指定することで、分類1の手前に並べられることになる。このほか[1, 奥]を指定すると奥から順にならべられ、 [1, 自動]と指定すると、緊急検体(優先度がHigh)のみ手前から配置し、それ以外を奥に配置する。
【0050】
また、別の例として検体IDが10002であって、免疫・生化学2の項目を処理するために免疫分析モジュール125(免疫1)に搬送した後、生化学分析モジュール122(生化学1)か生化学分析モジュール124(生化学2)の空いている方へ搬送する場合には、{10002、免疫・生化学2、免疫1→生化学1|生化学2[空]}といったデータが設定される。ここで、“→”は順序を表す。また、“|”はどちらかに搬送することを意味し、[]内にその決定条件を指定する。ここで[空]は“|”の左右のモジュールの内、混雑具合の低いモジュールに搬送することを意味する。逆に混雑具合の高いモジュールに搬送する場合は[込]とする。このほか、1:2の割合で振り分けて搬送するのであれば[1:2]と指定する。
【0051】
分注計画テーブルT1400は、各親検体の分注数と分注量を表すものであって、親検体ID(T1401)と子の検体ID(T1411a〜T1420a)と分注量(T1411b〜T1420b)から成る。このテーブルは、分注計画データD5000のデータを複数管理するテーブルである。分注計画データD5000に合わせてこのテーブルでも分注数を10までとしたが、それ以上であってもよい。
【0052】
次に図10を用いて、装置管理DB214で管理される搬送経路テーブルT1500を説明する。なお、検査情報管理DB224で管理される搬送経路テーブルT2300は処理性能を考慮して分けているが、内容は搬送経路テーブルT1500と同じであるので説明は省略する。
【0053】
搬送経路テーブルT1500は、現在のモジュールから目的のモジュールに向かうために次にどのモジュールへ向かえばよいかを表したものであって、目的のモジュール(T1501)と目的のモジュールの向き(T1502)と現在のモジュール(T1503)と現在のモジュールの向き(T1503)と次のモジュール(T1505)と現在のモジュールの向き(T1506)から成る。たとえば、分注モジュール104の行きラインにある検体を収納モジュールに105に格納するため経路を表現するために、「分注(行き)→分注(戻り)」、「分注(戻り)→開栓(戻り)」、「開栓(戻り)→遠心(戻り)」、「遠心(戻り)→投入(戻り)」、「投入(戻り)→収納(戻り)」、「収納(戻り)→収納(行き)」という6つのデータが登録されることになる。
【0054】
次に図11を用いて、装置管理DB214で管理される処理指示テーブルT1600を説明する。
【0055】
処理指示テーブルT1600は、各モジュールに関する検体の処理と搬送の処理指示を表すものであって、検体ID(T1601)とモジュールID(T1602)と項目グループID(T1603)とモジュール内経路ID(T1604)から成る。ここで、モジュール内経路IDは、対象とするモジュールで使用する搬送路の番号(1本目:1、2本目:2、3本目:3)×10と次のモジュールで使用する搬送路の番号とする。たとえば、検体IDが10001で、免疫・生化学1という項目グループIDの検体が遠心モジュール102で遠心分離され、遠心モジュールでは1本目を用い、次の開栓モジュールでも1本目を用いるとすると、{10001、遠心、免疫・生化学1、11}といったデータが設定される。各モジュールは、このモジュール内経路IDを受け取ることで検体の搬送のタイミングや経路を制御するストッパを制御できる。
【0056】
次に図12を用いて、検査情報管理サーバ224で管理される検査依頼テーブルT2100を説明する。
【0057】
検査依頼テーブルT2100は、検体の検査項目と優先度を表すものであって、検体ID(T2101)と項目グループID(T2102)と優先度(T2103)から成る。たとえば、検体IDの項目グループIDが免疫・生化学1で優先度が通常(Mid)ならば{10001、免疫・生化学1、Mid}といったデータが登録される。
【0058】
次に図13を用いて、検査情報管理サーバ224で管理される計画候補ファイルT2200を説明する。
【0059】
計画候補ファイルT2200は、項目グループIDごとの分注の数量、親子の検体に分けられた後の項目グループIDと搬送先で構成される分注と搬送の計画の候補を表すものであって、図13に示すようにXML(Extensible Markup Language)形式のファイルである。1つの候補タグが1つの計画の候補を表し、項目タグと有効条件タグと分注タグ(それぞれ1つずつ)から成る。
【0060】
項目タグは、計画を実行したとき全体で検査する項目グループIDを表す。有効条件タグは、候補を計画時に使うかどうかの条件を記載するものであり、必要に応じて曜日と時刻と検体の優先度を指定する。全条件が真であるとき候補を計画時に使う。
【0061】
分注タグは、分注の数量と搬送先を記載するものであり、親タグと子タグに分かれる。親タグには親検体の処理グループIDと主要な搬送先を記載する。子タグは分注数分作成する。子タグには属性として子のNo.(Number)を付与した上で、子検体の処理グループIDと分注量と主要な搬送先を記載する。
【0062】
たとえば、図13に示した候補No.1では、免疫・生化学1を検査するための計画であり、全曜日、全日、すべての優先度の検体に有効となる。この計画では親検体を1つの子検体に分注して、免疫の分析モジュールと生化学の分析モジュールに順番に搬送・処理する。一方、候補No.2ではNo.1同様に免疫・生化学1を検査するための計画であるが、平日(月〜金)の9時から17時までの緊急検体にのみ有効となる。この計画では親検体を2つの子検体に分注して、免疫の分析モジュールと生化学の分析モジュールにそれぞれ搬送・処理する。したがって、通常検体であれば図3に示した(パターンA)301が採用され、緊急検体であれば図3に示した(パターンA)301か(パターンB)302のどちらかが採用されることになる。
【0063】
次に図14を用いて、検査情報管理サーバ224で管理される目標時間テーブル2400と目標補正テーブル2500を説明する。
【0064】
目標時間テーブル2400は、検体の検査項目と優先度に対する検査完了の目標時間を表すものであって、項目グループID(T2401)と優先度(T2402)と目標時間(T2403)から成る。たとえば項目グループIDが免疫・生化学1の検体を検査する際に、優先度が3段階(緊急、通常、通常以下)あるならば、高い順に25分、40分、60分以内に検査することが目標とすると、{免疫・生化学1、High、25}、{免疫・生化学1、Mid、40}、{免疫・生化学1、Low、60}といったデータが設定される。
【0065】
目標補正テーブルT2500は、目標時間テーブルT2400に登録された目標時間を混雑時に補正するためのものであって、混雑度(T2501)と補正率(T2502)から成る。混雑具合に応じて目標を厳しくする際には、{Low、1}、{Mid、0.9}、{High、0.8}といったデータが記載される。
【0066】
次に図15を用いて、検査情報管理サーバ224で管理される処理時間テーブルT2800を説明する。
【0067】
処理時間テーブルT2800は、各モジュールが検体を処理するために必要な時間の平均値を表すものであって、モジュールID(T2801)と項目グループID(T2802)と優先度(T2803)と混雑度(T2804)と平均処理時間(T2805)から成る。たとえば、バッファモジュール113(バッファ1)について、項目グループIDが免疫・生化学1の検体に対して、通常検体(Mid)と緊急検体(High)の各混雑具合(Low, Mid, High)での処理時間は図15に示すようになる。
【0068】
<処理フロー>
次に図16を用いて、自動分析システム10が検体の優先度とモジュールの混雑具合に応じた分注と搬送の計画を立案・実行する処理の全体の流れを説明する。
【0069】
なお、本実施形態における各モジュールは随時処理完了報告データD2000とモジュールデータD3000を装置管理サーバ12に送信し、装置管理サーバ12はそれをもとに検体データテーブルT1100とモジュールデータテーブルT1200を最新のデータに更新しているとする。また、各モジュールは搬入された検体に対して、装置管理サーバ12から得た処理指示データD4000と分注計画データD5000をもとに処理を施し、搬出するものとする。また、検査依頼テーブルT2100は、電子カルテシステム等から随時最新のデータに更新されるものとする。
【0070】
モジュール群11の各モジュール、検査情報管理サーバ12、検査情報管理サーバ13が各々並行して以下に説明する処理を行うことで達成される。自動分析システム10が稼働中である限り、各々が並行して繰り返し以下に説明する処理を行う。
【0071】
まず、検査情報管理サーバ13の処理を説明する。
【0072】
計画用変化検出部221は、検査情報管理DB224で管理されている検査依頼テーブルT2100、装置管理DB224で管理されている検体データテーブルT1100、モジュールデータテーブルT1200を監視し、一度も計画していない検体、異常や消耗品切れとなったモジュールに関係する検体、混雑具合が変化したモジュールで処理予定の検体を計画立案の候補として選出する(ステップS201)。
【0073】
次に、進捗評価部222は、計画が必要か判断していない検体がある場合はステップS203に処理を進め、そうでない場合は処理を終了する(ステップS202)。
【0074】
計画が必要か判断していない検体がある場合、進捗評価部222は、選出された検体について、現在の計画と搬送経路上のモジュールの混雑具合を使って算出される(予測完了時間)と、予め登録された目標時間に混雑具合に応じた補正を行った(補正済み目標時間)を使って、式1に従い進捗具合を算出する(ステップS203)。なお、一度も計画されていない検体については算出しない。
【0075】
【数1】
次に、進捗評価部222は、選出された検体の(進捗具合)が(1)正かつ5分以上である(十分間に合う)、もしくは(2)負である(間に合わない)場合は計画が必要であるとしてステップS205に処理を進め、そうでない場合はステップS202に戻る(ステップ204)。なお、本実施形態では(1)について正かつ5分以上を計画するようにしたが、モジュールの性能に応じて5分より短くても長くてもかまわない。同様に(2)について、−5分以上でなければ計画しないものとしてもよい。
【0076】
次に、計画部223は、選出された検体の項目グループIDを検査依頼テーブル2100から検体IDをキーとして取得する。なお、子検体の場合は、予め計画テーブルT2500から親検体IDを取得し、前記手順で項目グループIDを取得する。そして、計画候補ファイルT2200の候補の中で、項目グループIDが一致し、かつ、有効条件が真である計画の候補を取得し、進捗評価部222に返却する(ステップS205)。
【0077】
そして、進捗評価部222は、立案されたすべての計画候補について、ステップS203と同様の手順で進捗具合を算出する。そして、進捗具合が正である計画候補の中で、最小の分注数となる計画を選択する。最小の分注数の計画が複数ある場合は、より進捗具合が大きいものを選択する。該当する計画が一つもない場合は、進捗具合が0分か負となる計画の中でもっとも大きいものを選択する。最後に選択した計画の内容を搬送に関しては搬送計画テーブル(T1300、T2600)、分注に関しては分注計画テーブル(T1400、T2700)に保存する(ステップS206)。なお、データを保存する際は、装置管理サーバ12が参照中のレコードを変更しないようにする。
【0078】
次に装置管理サーバ12の処理を説明する。
【0079】
指示用変化検出部212は、装置管理DB224で管理されている検体データテーブルT1100、モジュールデータテーブルT1200、搬送計画テーブルT1300、分注計画テーブル1400を監視し、計画が変更された検体、異常や消耗品切れ、混雑具合となったモジュールに関係する検体を指示生成の候補として選出する(ステップS211)。
【0080】
次に、指示部213は、全ての選出された候補の指示を生成したかどうかを確かめ、全ての候補について指示を生成した場合は処理を終了し、候補が残っている場合、はステップS213に処理を進める(ステップS212)。
【0081】
候補が残っている場合、指示部213は、まず搬送経路テーブルT1500を参照して、計画で指定された主要な搬送先に搬送するために経由するモジュールを抽出する。そして、抽出したモジュールの内部の搬送経路を選択する(ステップS213)。ここで、本実施形態における構成では3本搬送路を持つモジュールと2本搬送路を持つモジュールがある。3本の搬送路(行きx2、戻りx1)を持つモジュールの場合、行き方向は2系統あり選択の必要がある。本実施形態では処理を施すことができる搬送路を1本目に限定している。そこで、検体の項目グループIDを参照し、その検体に処理を施す必要があれば1本目の搬送路、処理を施す必要がなければ2本目の搬送路を通るように搬送路を選択するものとする。2本の搬送路(行きx1、戻りx1)を持つモジュールの場合、次に搬出するモジュールによって内部の搬送経路は確定されるので選択の必要はない。
【0082】
そして、指示部213は、処理指示テーブルT1600に、対象の検体の検体IDとモジュールIDと項目グループIDと選択した搬送路に対応するモジュール内経路IDを保持する新しいレコードを追加する(ステップS214)。この処理が終わると、ステップS212に戻る。
【0083】
上記の処理において、モジュールの異常や消耗品切れによって搬送できない搬送先がある場合には、その搬送先を飛ばして、可能な搬送先に搬送する経路を算出し指示を生成する。すべての搬送先に搬送できない場合は収集モジュール105など、予め定めた異常時の搬送先に向けた指示を生成する。
【0084】
次に、モジュール群11を構成する各モジュールの処理を説明する。
【0085】
各モジュールの制御部201は、処理を行う直前、もしくは、分岐の直前に設置されたストッパとRFIDリーダを使って搬入した検体を一時停止させ、検体IDを取得する(ステップS221)。
【0086】
次に、各モジュールの制御部201は、取得した検体IDに関する指示を装置管理サーバ12に問合せ、処理指示データD4000を取得する。分注モジュールの場合は分注計画データD5000も取得する(ステップS222)。
【0087】
そして、各モジュールの制御部201は、取得した指示に基づいて、コントローラ、アクチュエータを制御し検体に処理を施し、次の搬送先となっているモジュールに搬出する(ステップS223)。
【0088】
次に、図17を使って計画立案の候補となる検体の選出処理(ステップS201)を詳しく説明する。
【0089】
まず、計画用変化検出部221は、検査依頼テーブルT2100を参照し、新しい依頼が追加されたどうかを確認する。その結果、追加されているならばステップS302に処理を進め、追加されていないならばステップ303に処理を進める(ステップS301)。
【0090】
追加されているならば、計画用変化検出部221は、新しい依頼に対応する検体を計画の候補に追加する(ステップS302)。
【0091】
次に、計画用変化検出部221は、検体データテーブルT1100を参照し、投入モジュール101から新たに搬入された検体があるかどうかを確認する。その結果、新たに搬入された検体があるならばステップS304に処理を進め、なければステップS305に処理を進める(ステップS303)。
【0092】
新たに搬入された検体があるならば、計画用変化検出部221は、新たに搬入された検体を計画の候補に追加する(ステップS304)。
【0093】
次に、計画用変化検出部221は、モジュールデータテーブルT1200を参照し、搬送機構異常T1202、処理機構異常T1203が1回前の状態と変化しているかどうかを確認する。なお、初回の場合は異常となっているものをすべて変化したとする。その結果、変化していると判断されるならば、処理中の全検体についてそのモジュールに搬送する可能性があるかどうかを確認し、搬送する可能性があるならばステップS306に処理を進め、搬送する可能性がないならばステップS307に処理を進める(ステップS305)。前記では、各検体の計画に記載された主要な搬送先について、搬送経路テーブルT2300を用いて主要な搬送先の間で経由するモジュールを取得し、異常のあるモジュールではないかを一つずつ調べる必要がある。検査情報管理サーバ13の計算性能上この処理負荷が問題となる場合には、計画した時点で転置インデックステーブルを作成しておくことで軽減できる。すなわち、各モジュールのモジュールIDをインデックスとして、モジュールを経由する検体の検体IDを保持するテーブルを作成すればよい。
【0094】
搬送する可能性があるならば、計画用変化検出部221は、異常のあったモジュールを利用する可能性のある検体を計画の候補に追加する(ステップS306)。
【0095】
次に、計画用変化検出部221は、モジュールデータテーブルT1200を参照し、消耗品残量が50未満となっているかどうかを確認する。その結果、50未満となっているならば、処理中の全検体についてそのモジュールに搬送する可能性があるかどうかを確認し、搬送する可能性があるならばステップS308に処理を進め、搬送する可能性がないならばステップS309に処理を進める(ステップS307)。
【0096】
搬送する可能性があるならば、計画用変化検出部221は、消耗品切れ(切れかけ)のモジュールを利用する可能性がある検体を計画の候補に追加する(ステップS308)
次に、計画用変化検出部221は、直前の混雑具合と現在の混雑具合を比較し、0.7を閾値として、閾値を上回ったか下回ったときに変化があったとして、処理中の全検体についてそのモジュールに搬送する可能性があるかどうかを確認し、搬送する可能性があるならばステップS310に処理を進め、そうでなければ処理を終了する(ステップS309)。なお、本実施形態では閾値を0.7としたがそれより大きくても小さくてもかまわない。また、閾値はモジュールに依らず固定としたが、モジュールごとに個別の閾値を設定してもよい。さらには、直前の値と現在の値の差分値に対して閾値を設けるなどしてもよい。
【0097】
搬送する可能性があるならば、計画用変化検出部221は、混雑具合が変化したモジュールを利用する可能性がある検体を計画の候補に追加し、処理を終了する(ステップS310)。
【0098】
次に、図18を使って進捗具合の算出処理(ステップS203)を詳しく説明する。
【0099】
まず、進捗評価部222は、式2に基づいて(補正済み目標時間)を算出する(ステップS401)。ここで式2の(目標時間)は目標時間テーブルT2400に登録された目標時間T2403である。また、式2の(補正率の平均)は、式3に基づいて算出される値で値であって、検体が経由する可能性があるモジュールの中で、モジュールデータテーブルT1200の混雑具合T1205が0〜1までの値となっているモジュールの補正率の和をそのモジュールの数で割った値である。
【0100】
ここで、生化学分析モジュール122と124のどちらかに行けばよいなど冗長性のある場合には、まず、通りうるすべての経路の組合せについて個別に補正率の平均を求める。そして、さらにその平均値を(補正率の平均)とする。なお、本実施形態では平均値を用いるが、最大値や最小値、中央値などを用いても良い。
【0101】
【数2】
【0102】
【数3】
次に予測完了時刻を式4に基づいて算出する(ステップS402)。ここで式4の(開始時刻)は、該当する検体に関する検体データテーブルT1100の開始時刻T1103を参照することで得られる。またΣ(平均処理時間)は、現在位置から経由するモジュールの(平均処理時間)の総和である。各モジュールの(平均処理時間)は、処理時間テーブルT2800において、該当するモジュールID、項目グループID、優先度、混雑度の平均処理時間T2805を参照することで得られる。
【0103】
なお、評価を行う検体が親検体で、子検体に分注してから分析を行う場合、子検体の(予測完了時間)は、親検体を分注し終わるまでの(予測完了時間)と子検体が分注されてから分析が終わるまでの(予測完了時間)の和とし、親と子(複数)の検体のなかでもっとも時間のかかるものを最終的な(予測完了時間)とする。
【0104】
【数4】
最後に、式1に従って、(補正済み目標時間)と(予測完了時間)の差を(進捗具合)とする。
【0105】
たとえば、直接生化学分析を行う分注された緊急検体が、今分注モジュール104にあって、搬送ラインモジュール111a、方向転換モジュール112b、搬送ラインモジュール111e、バッファモジュール113を経由して生化学分析モジュール121に搬送される場合を例に具体的に説明する。ここで、この緊急検体の目標時間は20分であるとする。また、混雑具合はバッファモジュール113と生化学分析モジュール121について考慮されるとし、混雑具合は順番にMid、Highとする。また、混雑具合に対する補正率は、Lowが1、Midが0.9、Highが0.8とする。また、処理時間テーブルT2800に登録された現在の項目グループID、優先度、混雑具合に対応する平均処理時間は、搬送ラインモジュール111aが5秒、方向転換モジュール112bが10秒、搬送ラインモジュール111eが5秒、バッファモジュール113が40秒、生化学分析モジュール121が600秒であるとする。このとき、(補正率の平均)は、1/2×(0.9+0.8)=0.85となるため、(補正済み目標時間)は(20×0.85)=17分である。これに対し、(予測完了時間)は、(現在時刻)が10:00、開始時刻が9:55として、(10:00−9:55))分+(5+10+5+40+600)秒=16分となる。よって(進捗具合)は(17−16)=1分と算出される。なお、この場合、目標時間通り処理が進んでいるとして、進捗評価部222は計画を変更しない。
次に、図19を使って指示生成の候補 となる検体の選出処理(ステップS211)を詳しく説明する。
【0106】
まず、指示用変化検出部212は、搬送計画テーブルT1300、分注計画テーブル1400を参照し、新しい計画が登録されたあるいは計画が更新されたかを確認する。その結果、登録もしくは更新されているならばステップS502に処理を進め、そうでないならばステップS503に処理を進める(ステップS501)。
【0107】
登録もしくは更新されているならば、指示用変化検出部212は、登録もしくは更新された計画に関する検体を指示生成の候補に追加する(ステップS502)。
【0108】
次に、指示用変化検出部212は、前記した図17のステップS305と同じ手順で、モジュールに異常があったかどうかを確認し、異常があったモジュールに検体を利用する可能性があるならばステップS504に処理を進め、そうでないならばステップS504に処理を進める(ステップS503)。
【0109】
異常があったモジュールに検体を利用する可能性があるならば、指示用変化検出部212は、異常のあったモジュールを利用する可能性のある検体を計画の候補に追加する(ステップS504)。
【0110】
次に、指示用変化検出部212は、前記した図17のステップS307と同じ手順で、モジュールデータテーブルT1200を参照し、消耗品残量が50未満となっているかどうかを確認する。その結果、50未満となっているならば、処理中の全検体についてそのモジュールに搬送する可能性があるかどうかを確認し、搬送する可能性があるならばステップS506に処理を進め、搬送する可能性がないならばステップS507に処理を進める(ステップS505)。
【0111】
搬送する可能性があるならば、指示用変化検出部212は、消耗品切れ(切れかけ)のモジュールを利用する可能性がある検体を計画の候補に追加する(ステップS506)
次に、指示用変化検出部212は、前記した図17のステップS309と同じ手順で、直前の混雑具合と現在の混雑具合の変化を確認し、変化したと判断されるモジュールに搬送する可能性があるならばステップS508に処理を進め、そうでなければ処理を終了する(ステップS507)。
【0112】
搬送する可能性があるならば、指示用変化検出部212は、混雑具合が変化したモジュールを利用する可能性がある検体を計画の候補に追加し、処理を終了する(ステップS508)。
【0113】
次に、図20を用いて、検査技師等が処理の実績の表示方法を説明する。
【0114】
操作端末14の操作管理部231は、搬送計画テーブル2600、分注計画テーブルT2700、検体データテーブルT1100、モジュールデータテーブルT1200を参照してディスプレイに実績表示GUI(Graphical User Interface)5000を表示する。
【0115】
実績表示GUI5000は、検体リスト5010と分注・搬送状況パネル5020とアラームパネル5030を有する。検体リスト5010は、各検体の検体ID、項目、親子関係、処理の完了状況、計画に対して搬送先が変更されたかどうかを周期的に更新しながら一覧表示する。
【0116】
検査技師等の操作者が、検体リスト5010の中から情報を得たい検体の行をクリックすることをきっかけとして、操作管理部231は、分注・搬送状況パネル5020に、選択された検体の計画を計画パネル5021に表示し、実際に搬送された検体の実績を実績パネル5022に表示し、計画と実績が異なった理由を5023に表示する。
【0117】
たとえば図20に示す例では、もともと親検体(親)から子検体を1つ作成し分析する計画だったところをシステムの混雑具合に合わせて子検体を2つ作成し分析する計画に変更したことが計画パネル5021に表示されている。また、実際にはバッファモジュール113(バッファ1)が停止したことを受けて、子2は収納モジュールに急遽搬送されたこと実績パネル5022に表示している。また、その経過が「システムの混雑具合に合わせて計画を見直し。」「バッファ1が停止中しているため免疫1を飛ばして搬送。 」として、インフォーメーションパネル5023に表示している。検査技師は、この情報を確認することで、どの検体がなぜ計画を変更されたのか、あるいは、計画どおり進んでいないかを把握することができ、その原因(試薬切れやモジュールの異常)に迅速に対処できる。
【0118】
上述と並行して操作管理部231は、アラームパネル5030に現在のモジュール状況と、必要に応じて消耗品交換の必要性を促す通知を行う。消耗品の交換に関する通知は、消耗品の残量が減少した場合と、図20に示したように、モジュールに異常が発生したことによって分析モジュールの使用状況に偏りが見られたときに行う。
【0119】
なお、上記の処理の手順で分注数が変更された計画が立案・実行されるが、検査技師が最適な分注数とそれに応じた搬送先を判断し、操作端末14を介して新しい計画を直接装置管理サーバ12の搬送計画テーブルT1300、分注計画テーブル1400に登録しても構わない。その場合は、検査情報管理サーバ13の該当するレコードへの書き込みを制限する。
【0120】
また、本実施形態では検査依頼テーブルT2100に優先度に従って上記処理を行うものとしたが、たとえば投入モジュール101に緊急検体用のトレイや搬入口がある場合には、そこから搬入された検体は検査依頼テーブルT2100上で優先度がHighとなっていなくともHigh、すなわち緊急検体として処理してもよい。
<本実施例による効果の例>
次に図21を用いて、緊急検体の検査に関して、分注数を従来のように固定した場合と本実施例のように分注数を変更できるようにした場合の処理時間と消耗品(子検体用のカップやチップ)の使用量の違いを簡単に説明する。
従来方法では予め定めた分注数を設定することになる。たとえば、常に1分注すると図21の下段で示すように消耗品の使用量は低減するが、図21上段で示すように依頼が多くシステムが混雑する時間帯では目標時間をオーバーしかねない。一方、常に2分注すると図21の上段で示すように目標時間は守られるが、図21下段で示すように多くの消耗品を使用することになる。これに対し、本実施例では、忙しい時間帯だけ分注数を多くする。したがって、図21上段で示すように目標時間を守りつつ、かつ、図21下段で示すように消耗品の使用量も常に2分注することに比べれば低減させることができる。
【0121】
以上に説明したように、本実施例によれば、時間に余裕のない検体は分注数を増やして迅速に検査することができる。また、進捗状況に余裕のある検体は分注数を減らしてカップやチップといった消耗品を抑制できる。さらに、上記の効果に加え次の効果もある。
【0122】
優先度に応じて分注や搬送の計画の候補を指定することができるので、緊急検体だけを前記のように分注数を変更して処理するといったこともできる。
【0123】
また、曜日や時刻に応じて分注や搬送の計画の候補を指定することができるので、検査室の運用(装置の稼働時間)に応じた計画を設定できる。
【0124】
また、前記計画に緊急検体をトレイの前に収納するなどの付加項目を設定することができるので、緊急検体を直接分析モジュールに投入して迅速化したり、搬送ラインのつながっていない分析モジュールに投入したりすることにも柔軟に対応できる。
【0125】
また、検査技師の判断によって、操作端末を介して直接登録することもできるので、特定の検体を特急で処理するといった場合でも柔軟に対応できる。
【0126】
また、分注や搬送の計画を変更するだけでなく、それと連動して検体の進捗状況、システムの混雑具合とその影響、消耗品の交換を促す通知などを検査技師に操作端末を介して提示することによって、検査全体の作業の効率化を図ることができる。
【0127】
また、検査依頼、検体の投入、モジュールの異常、モジュールの消耗品、モジュールの混雑具合に変化があったときに、関係する検体のみ計画を実行するので、検査情報管理サーバ13の処理負荷を低減させることができる。
【0128】
また、計画の変更、ジュールの異常、モジュールの消耗品、モジュールの混雑具合に変化があったときに、関係する検体のみ指示を生成するので、装置管理サーバ12の処理負荷を低減させることができる。
【符号の説明】
【0129】
10・・・自動分析システム
11・・・モジュール群
12・・・装置管理サーバ
13・・・検査情報管理サーバ
14・・・操作端末
17・・・装置情報ネットワーク
18・・・検査情報ネットワーク
19・・・病院ネットワーク
101・・・投入モジュール
102・・・遠心モジュール
103・・・開栓モジュール
104・・・分注モジュール
105・・・収納モジュール
111・・・搬送ラインモジュール
112・・・方向転換モジュール
113、114、115、116・・・バッファモジュール
121、123・・・凝固分析モジュール
122、124・・・生化学分析モジュール
125、126・・・免疫分析モジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々分析対象の分析を行う複数の分析モジュールと、
前記複数の分析モジュールへの分析対象の搬送を実行する搬送モジュールと、
システムに投入された親分析対象を用いて一又は複数の分析対象を作成する分割モジュールと、
前記親分析対象について要求される分析処理の種類と、当該親分析対象について要求される優先度を管理する管理部とを有しており、
前記管理部は、前記分析処理の種類と前記優先度とに基づいて、前記親分析対象から作成される分析対象の数が小さくなるよう当該分析対象の数と各分析対象に対して実行される分析処理の種類を含む処理計画を決定し、前記分析対象の数に従って前記親分析対象から一又は複数の分析対象作成するよう前記分割モジュールを制御し、前記各分析対象に対して前記処理計画に従った分析処理が実行されるよう前記搬送モジュールと前記複数の分析モジュールとを制御することを特徴とする分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の分析システムであって、
更に、前記管理部によって決定された前記処理計画の内容を表示する表示手段を有することを特徴とする分析システム。
【請求項3】
請求項1に記載の分析システムであって、
前記管理部は、前記複数の分析モジュール各々から当該分析モジュールが分析すべき分析対象の混雑度合いに関する情報を収集し、当該混雑の度合いに関する情報と前記優先度とに基づいて、当該管理部が決定した前記処理計画を変更することを特徴とする分析システム。
【請求項4】
請求項1記載の分析システムであって、
前記管理部は、前記複数の分析モジュール各々から当該分析モジュールが分析すべき分析対象の混雑度合いに関する情報を収集しており、前記優先度と前記混雑度合いに関する情報とに基づいて、当該優先度に応じて定められる所定の時間内に前記親分析対象について要求される全ての分析処理が完了するようスケジュールされた処理計画を複数作成し、
前記管理部は、複数の前記処理計画の内、前記親処理対象から作成される前記処理対象の数が最も少ない処理計画を選択することを特徴とする分析システム。
【請求項5】
請求項1記載の分析システムであって、
更に前記一又は複数の処理対象を収納するための収納モジュールを有しており、
前記管理部は、前記優先度に基づいて、前記収納モジュールの中のどの位置に前記処理対象を収納するかを決定することを特徴とする分析システム。
【請求項6】
請求項3記載の分析システムであって、
前記管理部は、予め登録された目標時間内に、前記親分析対象について要求される全ての分析処理が完了するよう処理計画を作成しており、
前記混雑度合いに関する情報に基づいて、前記目標時間内に前記全ての分析処理が完了できないと判断した場合に、前記処理計画を変更することを特徴とする分析システム。
【請求項7】
請求項6記載の分析システムであって、
前記混雑度合いに関する情報には、前記管理部が収集した前記搬送モジュールの混雑度合いに関する情報も含まれることを特徴とする分析システム。
【請求項8】
請求項3記載の分析システムであって、
前記管理部は更に、前記複数の分析モジュールの状態を監視しており、いずれか一の分析モジュールに異常が生じた場合に、前記処理計画を変更することを特徴とする分析システム。
【請求項9】
請求項3記載の分析システムであって、
前記管理部は更に、前記複数の分析モジュールで用いられる消耗品の数の情報を当該複数の分析モジュールから収集しており、当該消耗品の数に応じて前記処理計画を変更することを特徴とする分析システム。
【請求項10】
請求項1記載の分析システムであって、
更に、処理計画を入力するための入力端末を備え、
前記管理部は、前記入力端末から前記処理計画を受信した場合には、当該処理計画に従って前記分割モジュール、前記搬送モジュール、及び前記複数の分析モジュールを制御することを特徴とする分析システム。
【請求項11】
請求項9記載の分析システムであって、
更に表示手段を有しており、
前記処理計画の変更によって消耗品の使用頻度が高くなることが予測される場合に、前記表示手段は消耗品の交換または追加を促す通知を行うことを特徴とする分析システム。
【請求項1】
各々分析対象の分析を行う複数の分析モジュールと、
前記複数の分析モジュールへの分析対象の搬送を実行する搬送モジュールと、
システムに投入された親分析対象を用いて一又は複数の分析対象を作成する分割モジュールと、
前記親分析対象について要求される分析処理の種類と、当該親分析対象について要求される優先度を管理する管理部とを有しており、
前記管理部は、前記分析処理の種類と前記優先度とに基づいて、前記親分析対象から作成される分析対象の数が小さくなるよう当該分析対象の数と各分析対象に対して実行される分析処理の種類を含む処理計画を決定し、前記分析対象の数に従って前記親分析対象から一又は複数の分析対象作成するよう前記分割モジュールを制御し、前記各分析対象に対して前記処理計画に従った分析処理が実行されるよう前記搬送モジュールと前記複数の分析モジュールとを制御することを特徴とする分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の分析システムであって、
更に、前記管理部によって決定された前記処理計画の内容を表示する表示手段を有することを特徴とする分析システム。
【請求項3】
請求項1に記載の分析システムであって、
前記管理部は、前記複数の分析モジュール各々から当該分析モジュールが分析すべき分析対象の混雑度合いに関する情報を収集し、当該混雑の度合いに関する情報と前記優先度とに基づいて、当該管理部が決定した前記処理計画を変更することを特徴とする分析システム。
【請求項4】
請求項1記載の分析システムであって、
前記管理部は、前記複数の分析モジュール各々から当該分析モジュールが分析すべき分析対象の混雑度合いに関する情報を収集しており、前記優先度と前記混雑度合いに関する情報とに基づいて、当該優先度に応じて定められる所定の時間内に前記親分析対象について要求される全ての分析処理が完了するようスケジュールされた処理計画を複数作成し、
前記管理部は、複数の前記処理計画の内、前記親処理対象から作成される前記処理対象の数が最も少ない処理計画を選択することを特徴とする分析システム。
【請求項5】
請求項1記載の分析システムであって、
更に前記一又は複数の処理対象を収納するための収納モジュールを有しており、
前記管理部は、前記優先度に基づいて、前記収納モジュールの中のどの位置に前記処理対象を収納するかを決定することを特徴とする分析システム。
【請求項6】
請求項3記載の分析システムであって、
前記管理部は、予め登録された目標時間内に、前記親分析対象について要求される全ての分析処理が完了するよう処理計画を作成しており、
前記混雑度合いに関する情報に基づいて、前記目標時間内に前記全ての分析処理が完了できないと判断した場合に、前記処理計画を変更することを特徴とする分析システム。
【請求項7】
請求項6記載の分析システムであって、
前記混雑度合いに関する情報には、前記管理部が収集した前記搬送モジュールの混雑度合いに関する情報も含まれることを特徴とする分析システム。
【請求項8】
請求項3記載の分析システムであって、
前記管理部は更に、前記複数の分析モジュールの状態を監視しており、いずれか一の分析モジュールに異常が生じた場合に、前記処理計画を変更することを特徴とする分析システム。
【請求項9】
請求項3記載の分析システムであって、
前記管理部は更に、前記複数の分析モジュールで用いられる消耗品の数の情報を当該複数の分析モジュールから収集しており、当該消耗品の数に応じて前記処理計画を変更することを特徴とする分析システム。
【請求項10】
請求項1記載の分析システムであって、
更に、処理計画を入力するための入力端末を備え、
前記管理部は、前記入力端末から前記処理計画を受信した場合には、当該処理計画に従って前記分割モジュール、前記搬送モジュール、及び前記複数の分析モジュールを制御することを特徴とする分析システム。
【請求項11】
請求項9記載の分析システムであって、
更に表示手段を有しており、
前記処理計画の変更によって消耗品の使用頻度が高くなることが予測される場合に、前記表示手段は消耗品の交換または追加を促す通知を行うことを特徴とする分析システム。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図15】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図16(c)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図15】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図16(c)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−37346(P2012−37346A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176920(P2010−176920)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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