説明

分析装置および分析システム

【課題】他の分析装置と組み合わせて使用する場合に、制御プログラムを書き換える煩わしさを無くし、または少なくしつつ、検体ラックの受け渡し動作を適切に行なうことが可能な分析装置を提供する。
【解決手段】分析装置A1は、他の分析装置A2との間でデータ通信を実行可能な信号入出力部40を有する制御手段4を備え、この制御手段4は、サンプラ2の終端領域Eaに検体ラック3が移送されたときに、信号入出力部40から第1の信号を出力し、その後に第2の信号を外部から受信したときには、終端領域Eaの検体ラック3をサンプラ2の外部に排出させる動作を指令し、かつ信号入出力部40において第1の信号を受信したときには、始端領域Saに検体ラック3を受け入れる条件が満たされているか否かを判断し、満たされていると判断したときには、第2の信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの所望の検体を分析するのに用いられる分析装置、およびこれを用いた分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液などの検体の分析を行なうための分析装置としては、検体の分析処理が可能とされた分析装置本体と、この分析装置本体の所定箇所に検体ラックを移送するためのサンプラ(移送装置)とを組み合わせたものがある。このような構成によれば、複数の検体ラックを分析装置本体の所定箇所に順次移送する動作を自動化し、検体の分析処理の容易化および迅速化を図ることができる。
【0003】
一方、前記したような分析装置は、それ単独で使用されることに代えて、他の分析装置と接続され、かつこれらの分析装置間において検体ラックの受け渡しが行なわれるようにして用いられる場合もある(たとえば、特許文献1,2を参照)。このような構成によれば、複数項目の分析処理を連続して行なうことができるために、分析処理効率がよい。
【0004】
しかしながら、従来においては、次に述べるように、改善すべき点があった。
【0005】
すなわち、分析装置は、前記したように、単独で使用されるだけではなく、他の分析装置と組み合わされて使用される場合もあるため、この後者の場合にも好適に対処できるように構成することが要望される。ところが、従来においては、そのような要望に的確に対応可能な分析装置は提案されていないのが実情であった。この点をより具体的に説明すると、第1および第2の分析装置を組み合わせて使用する場合、これらの装置の分析処理項目の内容やその他の理由から、第1の分析装置が第2の分析装置の上流側に配置される場合もあれば、下流側に配置される場合もある。したがって、分析装置としては、他の分析装置の上流側と下流側とのいずれに配置される場合であっても、検体ラックを適切なタイミングで受け渡しできる制御機能を有していることが望まれるが、従来の分析装置は、そのような制御機能を有していない。このため、従来においては、複数の分析装置を組み合わせて使用する場合には、そのシステムにおいて検体ラックの受け渡しを適切に行なうための制御プログラムを準備してから、このプログラムを複数の分析装置のメモリに書き込む必要があり、これが煩わしいものとなる。とくに、このような煩わしさは、ユーザが病院などに設置して既に使用されている分析装置を利用する場合であって、制御プログラムの書き込み作業を病院などの現地で行なわなければならないような場合には、より顕著となる。
【0006】
【特許文献1】特許第3616744号公報
【特許文献2】特開平7−92171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、他の分析装置と組み合わせて使用する場合に、検体ラックの受け渡しを制御するための新規なプログラムを書き込む煩わしさを無くし、または少なくしつつ、検体ラックの受け渡し動作を適切に行なうことが可能な分析装置、およびこれを備えた分析システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される分析装置は、検体の分析処理が可能な分析装置本体と、所定の始端領域に供給された検体ラックを、前記分析装置本体に向けて移送させてから所定の終端領域まで移送可能なサンプラと、を備えている、分析装置であって、他の分析装置との間でデータ通信を実行可能な信号入出力部を有する制御手段を備えており、この制御手段は、前記終端領域に検体ラックが移送されたときに、前記信号入出力部から所定の第1の信号を外部に出力し、かつその後に前記信号入出力部において所定の第2の信号を外部から受信したときには、前記終端領域の検体ラックを前記サンプラの外部に排出させる動作を前記サンプラに指令するとともに、前記信号入出力部において前記第1の信号を外部から受信したときには、前記始端領域に検体ラックを受け入れるための所定の条件が満たされているか否かを判断し、かつ前記所定の条件が満たされていると判断したときには、前記第2の信号を前記信号入出力部から出力するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。すなわち、本発明が適用された複数の分析装置どうしを接続する場合には、いずれの分析装置が上流または下流であるか否かには関係なく、上流側の分析装置の終端領域に検体ラックが移送されて第1の信号が出力された後に、下流側の分析装置の始端領域に検体ラックを受け入れる条件が満たされ、第2の信号が上流側の分析装置に送出されたタイミングで、上流側の分析装置から下流側の分析装置に対して検体ラックが引き渡される動作が実行されることとなる。本発明の分析装置は、他の分析装置の上流および下流のいずれに配置された場合にも好適に対処することが可能であり、他の分析装置と組み合わせて使用する際に、検体ラックの受け渡しを制御するためのプログラムを書き換える煩わしさを無くし、または少なくすることができる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記所定の条件は、前記サンプラの始端領域に検体ラックが存在しないこと、および前記始端領域が検体ラックを移送不能な静止状態であることとされている。
【0012】
このような構成によれば、サンプラの始端領域に存在している検体ラックに他の分析装置から供給されてくる検体ラックが衝突することを防止する効果、および他の分析装置から供給されてくる検体ラックの一部が始端領域に進入した途端にサンプラにより移送されて斜めに傾くといった不具合を防止する効果が得られる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記始端領域は、前記サンプラの幅方向一端寄りに位置し、かつ前記終端領域は、前記サンプラの幅方向他端寄りに位置しており、前記サンプラの幅方向両端の側壁には、第1および第2の切欠き凹部、またはこれら第1および第2の切欠き凹部を形成するための脆弱部が設けられており、前記サンプラの外部から前記始端領域に検体ラックを供給する動作は、前記第1の切欠き凹部を介して行なうことが可能であり、かつ前記終端領域から前記サンプラの外部に検体ラックを排出させる動作は、前記第2の切欠き凹部を介して行なうことが可能な構成とされている。
【0014】
このような構成によれば、第1および第2の切欠き凹部を利用して、他の分析装置との間で検体ラックの受け渡しを適切に行なうことができる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記サンプラは、前記終端領域の近傍においてこのサンプラの幅方向に往復動可能な可動部材を備えており、この可動部材の動作によって前記終端領域の検体ラックを前記第2の切欠き凹部を介して外部に排出可能な構成とされている。
【0016】
このような構成によれば、サンプラの終端領域から検体ラックを外部に排出する動作を、可動部材および第2の切欠き凹部を利用して好適に行なわせることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記サンプラとは別体に構成され、かつ前記サンプラを他の分析装置のサンプラに接続するための接続部材をさらに備えており、この接続部材を介して前記サンプラが他の分析装置のサンプラに接続されたときには、前記第1の切欠き凹部または第2の切欠き凹部を通過する検体ラックを前記接続部材によって移送ガイド可能とされている。
【0018】
このような構成によれば、前記接続部材を利用して本発明の分析装置を他の分析装置と適切に接続し、これらの分析装置どうしが位置ずれしないように相対的な位置決めを図ることができる。また、検体ラックが前記接続部材によって移送ガイドされるために、検体ラックの安定的な受け渡しも実現される。
【0019】
本発明の第2の側面により提供される分析システムは、複数の分析装置と、これら複数の分析装置間において検体ラックの受け渡しが可能に前記複数の分析装置を接続する接続手段と、を備えている、分析システムであって、前記複数の分析装置のそれぞれとして、本発明の第1の側面により提供される分析装置が用いられていることを特徴としている。
【0020】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される分析装置について述べたのと同様な効果が得られ、複数の分析装置の配置変更などを容易に行なうことが可能となる。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1は、本発明が適用された分析装置の一実施形態を示している。本実施形態の分析装置A1は、分析装置本体1と、この分析装置本体1の前面下部に連結されたサンプラ2とを有している。分析装置本体1は、たとえば血液中のヘモグロビンA1cなどのグリコヘモグロビン濃度を測定するための機器(図示略)を有しており、昇降自在な吸引ノズル10の直下領域に採血管30を配置させることにより、この採血管30内の血液を吸引ノズル10によりサンプリングして前記したグリコヘモグロビン濃度の測定処理を実行可能である。
【0024】
サンプラ2は、複数の採血管30を起立保持する検体ラック3を一定の経路で移送するためのものであり、仕切台23により仕切られた2つの移送路20A,20Bと、これらの移送路20A,20Bの手前および両側方を囲む枠部21とを有している。2つの移送路20A,20Bは、その上面に1または複数の循環駆動自在なベルト22a,22bが配されていることにより検体ラック3の移送が可能である。このサンプラ2においては、移送路20Aの最も手前の始端領域Saに検体ラック3を供給することにより、矢印N1〜N3で示す経路でこの検体ラック3を移送可能とされている。より詳細には、検体ラック3は、始端領域Saから矢印N1方向に移送されて、移送路20Aの奥部に移送された後に、図示されていないプッシャによって矢印N2方向に押圧移送され、この移送過程において吸引ノズル10によるサンプリングが行なわれる。その後は、検体ラック3は移送路20Bを矢印N3方向に移送されて、この移送路20Bの最も手前側の終端領域Eaに到達する。
【0025】
枠部21の幅方向両端の側壁21a,21bには、2条のスリット240が設けられた脆弱部24A,24Bが設けられている。これらの脆弱部24A,24Bは、後述するように、切欠き凹部25A,25Bを形成するためのものである。サンプラ2には、枠部21の前壁部21cに沿って矢印N10方向に往復動自在なプッシャ26も設けられている。このプッシャ26は、後述するように、切欠き凹部25Bが形成されている場合において、終端領域Eaに位置する検体ラック3をサンプラ2の外部に排出するのに利用される。
【0026】
分析装置本体1は、前記した血液分析処理に必要な動作制御やデータ処理制御を実行するとともに、サンプラ2の動作をも制御する制御部4を備えている。この制御部4は、CPUや各種のメモリを具備して構成されており、通信線Lを利用して他の分析装置との間でデータ通信を行なうための信号入出力部40も有している。制御部4は、この分析装置A1が他の分析装置の上流側と下流側とのいずれに接続される場合であっても、他の分析装置との間で検体ラック3の受け渡しを適切に実行させるための制御を実行可能に構成されている。ただし、その具体的な制御内容については後述する。
【0027】
次に、分析装置A1の作用について説明する。
【0028】
まず、この分析装置A1は、それ単独で使用できることは勿論であるが、図2および図3に示すように、この分析装置A1を他の分析装置A2と接続し、分析システムASを構築した状態で使用することもできる。ここで、分析装置A2は、たとえば血液中のグルコース濃度を測定可能なものであり、その分析内容は分析装置A1とは相違するものの、この分析装置A2も本発明が適用されたものであって、血液の分析処理に直接関連する構成以外は、分析装置A1と同様な構成である(分析装置A2の各部のうち、分析装置A1と同一または類似の要素には、一部を除き、同一の符号を付している)。
【0029】
分析システムASは、分析装置A1が分析装置A2の上流側に接続された構成とされており、次のようにして構築することが可能である。まず、分析装置A1,A2のそれぞれのサンプラ2には、検体ラック3を通過させるための切欠き凹部25B,25Aを形成する。切欠き凹部25Bは、図1に示した脆弱部24Bを側壁21bから除去することにより容易に形成することができる。分析装置A2には、図1に示した脆弱部24Aと同様な脆弱部が予め設けられており、この部分を除去することによって、切欠き凹部25Aを容易に形成することができる。分析装置A1,A2どうしの接続には、接続部材5を用いる。この接続部材5は、図2の仮想線で示すように、上部に凹溝50を有するものであり、この接続部材5の両端部を分析装置A1,A2の各サンプラ2にネジ止め手段などにより連結する。この連結に際しては、凹溝50が切欠き凹部25A,25Bに一致し、かつこの凹溝50の上向き底面50aと移送路20A,20Bの上面との間に段差を生じないように設定する。分析装置A1,A2の制御部4,4’どうしについては、通信線Lを用いて接続する。
【0030】
検体ラック3の移送は、次のようにしてなされる。まず、分析装置A1においては、既に述べたように、始端領域Saに供給された検体ラック3が矢印N1〜N3で示した経路で移送され、終端領域Eaに到達する。その後、この検体ラック3は、プッシャ26によって矢印N4に示す方向に押圧されて、切欠き凹部25A,25B、および接続部材5の凹溝50を通過して分析装置A2の始端領域Sa’に供給される。その際、検体ラック3は、接続部材5によって移送ガイドされるために、分析装置A1,A2間における検体ラック3の受け渡しを安定させることができる。分析装置A2においては、始端領域Sa’の検体ラック3は、矢印N5〜N7に示すように移送されて、終端領域Ea’に到達する。
【0031】
検体ラック3の受け渡しが行なわれる場合、分析装置A1の制御部4は、図4(a)に示すような第1の制御を行ない、かつ分析装置A2の制御部4’は、図4(b)に示すような第2の制御を行なう。これらの制御内容を説明すると、まず制御部4においては、検体ラック3が終端領域Eaに到達し、これが図示されていないセンサにより検出されると、その旨を制御部4’に知らせるための第1の信号を信号入出力部40から出力する(S1:YES,S2)。次いで、制御部4は、第1の信号に対する応答信号としての第2の信号を信号入出力部40において受信する迄は、プッシャ26の動作を待機させておき(S3:NO)、第2の信号を受信した時点でプッシャ26を駆動させる(S3:YES,S4)。このことにより、検体ラック3が分析装置A1の終端領域Eaから分析装置A2の始端領域Sa’に供給される。
【0032】
一方、分析装置A2の制御部4’は、制御部4から第1の信号を受信したときには、検体ラック3の受け入れ条件が満たされているか否かを判断する(S5:YES,S6)。ここで、前記受け入れ条件としては、たとえば始端領域Sa’に検体ラック3が存在しないこと、および始端領域Sa’を含む移送路20Aのベルト22a’が駆動停止状態にあることの2つの条件がある。制御部4’は、そのような受け入れ条件が満たされていないときには、第2の信号の出力を待機させておき(S7:NO)、前記条件が満たされた時点で、制御部4に第2の信号を送出する(S7:YES,S8)。
【0033】
前記したような制御によれば、分析装置A1の終端領域Eaに検体ラック3が到達した後であって、分析装置A2の始端領域Sa’に他の検体ラック3が存在せず、かつベルト22a’が駆動停止状態にあるときに、検体ラック3が始端領域Sa’に迅速に供給されることとなる。始端領域Sa’に検体ラック3が存在する場合において、この始端領域Sa’に新たに検体ラック3を供給しようとしてプッシャ26を動作させたのでは、検体ラック3どうしが衝突し、故障などを生じる虞がある。また、分析装置A2のベルト22a’が駆動している際に検体ラック3を供給したのでは、この検体ラック3の先端部がベルト22a’上に載ったときにこの部分が矢印N5方向に移送され、検体ラック3が斜めに傾く虞がある。前記した制御によれば、そのような不具合が適切に回避される。
【0034】
制御部4,4’は、ともに図4(a),(b)に示した第1および第2の制御の双方を実行可能であり、そのための制御プログラムを備えている。したがって、図2および図3に示した分析システムASとは異なり、仮に、分析装置A1が分析装置A2の下流側に位置するように接続された場合であっても、これら分析装置A1,A2間においては前記した場合と同様に、適切なタイミングで検体ラック3の受け渡しを行なわせることができる。分析装置A1,A2については、これらを他の分析装置に対して上流に接続するか、あるいは下流に接続するかによって、制御部4,4’に記憶されている制御プログラムの内容を書き換える必要はない。
【0035】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る分析装置、および分析システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0036】
たとえば、図2および図3に示した分析システムASを参照して説明すると、分析装置A1の上流および分析装置A2の下流に、検体ラック3の投入用および排出用のストッカ(図示略)を接続した構成とすることもできる。このような構成によれば、投入用のストッカに投入された複数の検体ラック3を分析装置A1の始端領域Saに順次自動供給させ得るとともに、分析装置A2の終端領域Ea’に到達した検体ラック3を排出用のストッカに順次排出させて適当量だけ溜めておくことができる。
【0037】
本発明に係る分析システムにおいては、接続される分析装置の台数は、2台に限らず、3台あるいはそれ以上の台数とすることもできる。また、本発明に係る分析装置は、血液の特定成分の濃度測定を行なうものに限らず、たとえば尿の特定成分の濃度測定を行なうものとすることもでき、検体の具体的な種類や分析処理の具体的な内容は、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る分析装置の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る分析システムの一例を示す概略斜視図である。
【図3】図2の概略平面図である。
【図4】(a),(b)は、図2および図3に示す分析システムで実行される動作制御手順の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
A1,A2 分析装置
AS 分析システム
n1 吸引ノズルの直下領域(検体処理部)
Sa,Sa’ 始端領域
Ea,Ea’ 終端領域
1 分析装置本体
2 サンプラ
3 検体ラック
4,4’ 制御部(制御手段)
5 接続部材
24A,24B 脆弱部
25A,25B 切欠き凹部
26 プッシャ(可動部材)
40 信号入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の分析処理が可能な分析装置本体と、
所定の始端領域に供給された検体ラックを、前記分析装置本体に向けて移送させてから所定の終端領域まで移送可能なサンプラと、
を備えている、分析装置であって、
他の分析装置との間でデータ通信を実行可能な信号入出力部を有する制御手段を備えており、
この制御手段は、前記終端領域に検体ラックが移送されたときに、前記信号入出力部から所定の第1の信号を外部に出力し、かつその後に前記信号入出力部において所定の第2の信号を外部から受信したときには、前記終端領域の検体ラックを前記サンプラの外部に排出させる動作を前記サンプラに指令するとともに、
前記信号入出力部において前記第1の信号を外部から受信したときには、前記始端領域に検体ラックを受け入れるための所定の条件が満たされているか否かを判断し、かつ前記所定の条件が満たされていると判断したときには、前記第2の信号を前記信号入出力部から出力するように構成されていることを特徴とする、分析装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記サンプラの始端領域に検体ラックが存在しないこと、および前記始端領域が検体ラックを移送不能な静止状態であることとされている、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記始端領域は、前記サンプラの幅方向一端寄りに位置し、かつ前記終端領域は、前記サンプラの幅方向他端寄りに位置しており、
前記サンプラの幅方向両端の側壁には、第1および第2の切欠き凹部、またはこれら第1および第2の切欠き凹部を形成するための脆弱部が設けられており、
前記サンプラの外部から前記始端領域に検体ラックを供給する動作は、前記第1の切欠き凹部を介して行なうことが可能であり、かつ前記終端領域から前記サンプラの外部に検体ラックを排出させる動作は、前記第2の切欠き凹部を介して行なうことが可能な構成とされている、請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記サンプラは、前記終端領域の近傍においてこのサンプラの幅方向に往復動可能な可動部材を備えており、この可動部材の動作によって前記終端領域の検体ラックを前記第2の切欠き凹部を介して外部に排出可能な構成とされている、請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記サンプラとは別体に構成され、かつ前記サンプラを他の分析装置のサンプラに接続するための接続部材をさらに備えており、
この接続部材を介して前記サンプラが他の分析装置のサンプラに接続されたときには、前記第1の切欠き凹部または第2の切欠き凹部を通過する検体ラックを前記接続部材によって移送ガイド可能とされている、請求項3または4に記載の分析装置。
【請求項6】
複数の分析装置と、
これら複数の分析装置間において検体ラックの受け渡しが可能に前記複数の分析装置を接続する接続手段と、
を備えている、分析システムであって、
前記複数の分析装置のそれぞれとして、請求項1ないし5のいずれかに記載の分析装置が用いられていることを特徴とする、分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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