説明

分析装置

【課題】試料が配置される分析用具の形状がどのようなものであっても、分析用具の位置ズレを抑制し得る分析装置を提供する。
【解決手段】分析用具90のセルに配置された試料に対して光学測定を実施する分析装置1に、光学測定用の光を出射する光源部10と、受光部8と、回転テーブル20とを備えさせる。回転テーブル20は、分析用具90を定められた位置で保持する保持部22を備え、且つ、回転角が互いに異なる、分析用具90の載置が行われる載置ポジションと光学測定が実施される分析ポジションとに位置決めされる。光源部10は、回転テーブルが分析ポジションにあるときに、出射された光が分析用具のセルに入射するように配置される。受光部は、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに、試料を通過した光を受光できるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体の成分分析に用いられる分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液、間質液、尿、髄液、唾液等の試料の成分分析は、バイオチップ(またはマイクロチップ)と呼ばれる分析用具を用いた、吸光度測定等によって行われている。バイオチップは、直径が1mm程度又はそれ以下の微細な分析用のセルを備え、通常、光透過性の板状の部材を貼り合せて構成されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
具体的には、バイオチップは、セルとなる微細な凹部や、試料供給用の微細な流路となる溝が形成された光透過性の基板(透明基板)と、透明基板を覆う光透過性のカバーとで構成されている。また、バイオチップのセルそれぞれには、種々の試薬が配置されている。そして、これらセルに、流路から試料が供給されると、試料は、試料中の特定の成分に反応して発色する。
【0004】
また、このようなバイオチップに対して、分析装置(例えば、特許文献1及び2参照)による吸光度測定が実施される。具体的には、分析装置は、その内部に、光を出射する光源部と、光源部から出射された光を受光する受光部とを備えている。バイオチップは、分析装置の挿入口から内部に挿入され、セルが光源部と受光部との間に位置するように配置される。
【0005】
そして、光源部から出射された光は、セルに入射する。入射した光のうち、一部はセルで吸収され、残りは透過して受光部によって受光される。分析装置は、受光した透過光から吸光度を算出し、更に、吸光度から試料中の特定成分の濃度を算出する。算出された濃度は、分析装置に接続された表示装置に表示される。
【0006】
ところで、吸光度の算出精度の向上を図るためには、光源部から出射された光が正確にセルに入射し、そして、セルを透過した光が正確に受光部に入射するように、光源部、受光部及びセルの位置関係を最適化することが必要である。このとき、光源部及び受光部を動かして、三者の位置関係の最適化を図る構成にすると、分析装置の構造が複雑化し、コストが増大化してしまう。
【0007】
このため、分析装置では、光源部及び受光部の位置を固定し、バイオチップを予め設定した位置に正確に配置することによって、三者の位置関係の最適化が行われる構成が採用されている。例えば、特許文献1及び2に記載の分析装置は、内部に、マイクロチップの一端に接触してその位置決めを行う部材を備えている。分析者は、マイクロチップの一部がこの部材に接触するように、マイクロチップを挿入するだけで良い。
【特許文献1】特開2007−163344号公報
【特許文献2】特開2007−170943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のバイオチップを挿入口から挿入し、接触によって位置決めを行う構成では、セルが微細であることから、分析者の操作ミスによる位置ズレが生じ易いという問題がある。更に、接触による位置決め作業は、分析者にとって煩わしい作業である。
【0009】
また、近年、円板状のバイオチップが提案されている。このバイオチップでは、複数個のセルが円弧に沿って配列されている。円板状のバイオチップを用いた場合は、それを回転させながら、各セルに対して光学測定を行えるため、効率的な分析を行うことができる。但し、このような円板状のバイオチップでは、接触によって位置決めを行うことが難しいため、位置ズレは更に生じやすくなってしまう。
【0010】
本発明の目的は、上記問題を解消し、試料が配置される分析用具の形状がどのようなものであっても、分析用具の位置ズレを抑制し得る分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明における分析装置は、分析用具のセルに配置された試料に対して光学測定を実施する分析装置であって、光学測定用の光を出射する光源部と、前記光学測定用の光を受光する受光部と、前記分析用具が載置され、且つ、載置される前記分析用具が円軌道上を移動するように回転する回転テーブルとを備え、前記回転テーブルは、前記分析用具を定められた位置で保持する保持部を備え、且つ、回転して、前記分析用具の載置が行われる第1のポジションと、前記光学測定が実施される第2のポジションとに位置決めされ、前記光源部は、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに、出射された光が前記分析用具の前記セルに入射するように配置され、前記受光部は、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに、前記試料を通過した前記光学測定用の光、又は前記試料で反射された前記光学測定用の光を受光できるように配置されていることを特徴とする。
【0012】
上記本発明の分析装置によれば、分析用具は回転テーブルによって位置決めされるので、その位置ズレは抑制されている。そして、このとき、分析者は、当該分析装置の回転テーブルに分析用具を載置するだけで良く、分析者に面倒な作業が強いられることはない。
【0013】
また、上記本発明における分析装置は、前記分析用具に接続されるコネクタを更に備え、前記コネクタは、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに、前記分析用具から離れた位置から前記分析用具との接続が可能となる位置まで移動する、態様であるのが好ましい。この態様では、分析用具はコネクタに接続されるため、分析用具の位置精度の向上が図られる。
【0014】
そして、上記態様において、前記分析用具が、円弧状に配列された複数個の前記セルを備えている場合は、前記コネクタが、前記セルの配列の中心で前記分析用具に接続され、更に、前記分析用具を配列方向に沿って回転させ、前記保持部は、前記コネクタが前記分析用具に接続されると、前記分析用具の保持を解除する、のが特に好ましい。この場合は、セル毎に光学測定を行うことができるので、多種類の分析を効率良く実行できる。
【0015】
更に、上記態様においては、前記保持部が、開口部とアーム部材とを備え、前記開口部は、前記回転テーブルの前記分析用具が載置される位置に配置され、且つ、開口内に前記分析用具が収まるように形成され、前記アーム部材は、前記回転テーブルにおける前記分析用具が載置される側の反対側から、前記分析用具を前記定められた位置で支持し、且つ、前記コネクタが前記分析用具に接続されると、前記分析用具から離れる方向に移動して前記分析用具の支持を解除する、のが好ましい。この場合は、簡単な構成で、回転テーブル上における分析用具の位置決めを確実に行うことができる。また、保持部による保持の解除が必要なときは、確実に解除を実行することができる。
【0016】
上記態様では、上記本発明における分析装置は、前記コネクタに対向する位置で、前記開口部を介して、前記分析用具を支持する支持部を更に備えている、のが好ましい。この場合は、分析用具は、コネクタと支持部とによって上下から挟み込まれた状態となる。このため、分析用具の位置決めの精度の向上が図られる。
【0017】
また、上記態様では、上記本発明における分析装置は、前記回転テーブルを回転させる駆動部と、動力伝達部とを更に備え、前記駆動部は、前記回転テーブルを回転させる回転動力の一部を、前記動力伝達部に出力し、前記動力伝達部は、前記駆動部が出力した回転動力を往復動力に変換する動力変換機構と、前記往復動力によって往復運動する第1のスライダ及び第2のスライダとを備え、前記第1のスライダは、前記コネクタに連結され、前記コネクタを、前記分析用具との接続が可能となる位置と前記分析用具から離れた位置との間で往復運動させ、前記第2のスライダは、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに前記アーム部材に連結され、前記アーム部材を、前記分析用具の支持が可能な位置と前記分析用具から離れた位置との間で往復運動させる、のが好ましい。上記の場合は、一つの動力源で、回転テーブルの回転、コネクタの移動、及びアーム部材の移動が可能となる。よって、装置コストの低減化が図られる。
【0018】
更に、上記の場合は、前記回転テーブルが、クラッチ機構を更に備え、前記クラッチ機構は、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに、前記回転テーブルを設定方向に回転させる回転動力を遮断し、前記動力変換機構は、前記駆動部から前記動力伝達部に出力された回転動力が、前記回転テーブルを前記設定方向に回転させる回転動力の一部である場合にのみ、前記回転動力を前記往復動力に変換する、のが好ましい。このようにすれば、回転テーブルを第2のポジションに位置決めしてから、コネクタによる接続と、保持部による保持の解除とを実行できる。よって、分析用具の位置決め精度の更なる向上が図られることとなる。
【発明の効果】
【0019】
以上の特徴により、本発明における分析装置は、試料が配置される分析用具の形状がどのようなものであっても、簡単な作業で、分析用具の位置ズレを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における分析装置について、図1〜図13を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態における分析装置の全体構成、及び本実施の形態で用いられる分析用具について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態における分析装置の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態で用いられる分析用具の一例を示す分解斜視図である。
【0021】
図1に示す本実施の形態における分析装置1は、試料に対して光学測定を実施し、それによって試料の成分を分析する装置である。試料は、分析用具90に設けられたセルに配置され、その状態で分析装置1に供給される。分析用具90は、一般に、バイオチップと呼ばれるものである。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態では、分析用具90は、光透過性の基板(透明基板)91と、その上面を覆う光透過性のカバー(透明カバー)92とを備えている。また、分析用具90は、周縁に円弧が形成された板状を呈している。
【0023】
具体的には、透明基板91は、その法線上から見た形状(外形)が、円の対向する2箇所を切り落として得られた形状、言い換えると、矩形の対向する二辺に半円又は略半円を接合して得られた形状となるように形成されている。このような外形により、透明基板91の側面には、2つの平面部分96が形成される。平面部分96は、図5及び図6を用いて後述するように、分析用具90の位置決めに用いられる。透明カバー92の外形は、透明基板91の外形に整合している。
【0024】
また、透明基板91は、試料が一旦貯留される貯留部93と、光学測定の対象となる複数個のセル94と、複数本の流路95とを備えている。具体的には、透明基板91の一方側の主面に凹部や溝が形成され、これらが、貯留部93、セル94又は流路95として機能している。各セル94には、図示されていないが、種々の試薬が予め配置されている。
【0025】
また、複数個のセル94は、分析用具90の外形の円弧に沿って配置され、その配列は円を描いている。貯留部93は、セル94の配列の中心、即ち、透明基板91の中心部分に一つ配置されている。複数本の流路95は、放射状に配置され、貯留部93と各セル94とを結んでいる。
【0026】
また、透明カバー92は、その中心部分に、供給口97を備えている。供給口97は、貯留部93に連通するように設けられ、試料を貯留部93に導くために用いられる。貯留部93に供給された試料は、各流路95を介して、各セル94に送られる。各セル94においては、試料中の特定の成分と、予め配置されている試薬とが反応し、発色が生じる。また、透明カバー92の供給口97の周辺には、コネクタ(図3及び図4参照)と分析用具90との接続に用いられる接続孔98が形成されている。
【0027】
本実施の形態において、分析用具90の形状及び構成は特に限定されるものではない。分析用具90は、単一のセルしか備えていない態様であっても良いし、複数個のセルが円弧状に配列されていない態様であっても良い。また、位置決めのための平面部分の大きさや数も限定されるものではない。
【0028】
図1に示すように、分析装置1は、このような分析用具90の位置決めを正確に行うため、従来の分析装置と異なり、分析用具90が載置される回転テーブル20を備えている。回転テーブル20は、載置される分析用具90が円軌道上を移動するように回転する。また、回転テーブル20は、分析装置1のケース2の内部に配置され、保持部22を備えている。保持部22は、分析用具90を定められた位置で保持する機能を有している。保持部22の具体的構成については、図5及び図6を用いて後述する。
【0029】
回転テーブル20は、第1のポジションと第2のポジションとに位置決めされる。第1のポジション及び第2のポジションは、互いに回転角が異なる位置関係にある。図1では、回転テーブル20は、第1のポジションに位置決めされている。第1のポジションは、分析用具90の載置及び取り出しが行われるポジションである。一方、第2のポジションは、光学測定による分析が実施されるポジションである。回転テーブル20は、分析用具90が載置されると回転し、第2のポジションに位置決めされる。なお、以降の説明においては、第1のポジションを「載置ポジション」とし、第2のポジションを「分析ポジション」とする。
【0030】
また、図1に示すように、ケース2には、開閉可能なカバー3や、分析結果を表示する表示部4が設けられている。カバー3は、回転テーブル20が載置ポジションにある場合に開き、これにより、分析用具90の載置及び取り出しが可能になる。
【0031】
続いて、本実施の形態における分析装置の内部構成について図3及び図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態における分析装置の主な構成部品を示す分解斜視図である。図4は、図3に示した構成部品を組み立てた状態を示す斜視図である。図4において、回転テーブル20は、分析ポジションに位置決めされている。
【0032】
図3及び図4に示すように、分析装置1は、上述の回転テーブル20に加え、光源部10と、受光部8とを備えている。光源部10は、例えば、半導体レーザや発光ダイオードといった光源と光学系とを備え、設定された波長の光を光学測定用の光(測定光)として出射する。受光部8は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタといった受光素子を備え、出射された測定光を受光する。また、受光部8は、受光した光の光量や強度に応じて信号を出力する。
【0033】
回転テーブル20は、上述したように、回転して、載置ポジション(図1参照)と分析ポジション(図4参照)との二つのポジションに少なくとも位置決めされる。そして、光源部10は、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに、出射された光が分析用具のセル94(図2参照)に入射するように配置されている。更に、受光部8は、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに、試料を通過した測定光を受光できるように配置されている。
【0034】
本実施の形態では、分析装置1は、テーブル台5と、回転テーブル20を回転させる駆動部50とを、更に備えている。回転テーブル20は、円形状に形成され、テーブル台5に回転自在な状態で取り付けられる。具体的には、テーブル台5は、回転テーブル20を収容可能な凹部6を備えている。凹部6は、その深さ方向に垂直な断面が円形を呈するように形成され、更に、凹部6の断面の直径は、回転テーブル20の直径よりも大きく設定されている。
【0035】
凹部6の底面6aの中心には、回転テーブル20の回転軸(図5参照)を挿通させるための貫通孔6cが設けられている。回転テーブル20の回転軸は駆動部50に接続され、駆動部50から回転動力が伝達されると、回転テーブル20は凹部6内で回転する。
【0036】
また、本実施の形態では、受光部8は、テーブル台5に設けられた凹部6の底面6aに、受光面を凹部6の開口(図中上方)に向けて配置されている。光源部10は、その出射面(図3及び図4において図示せず)を受光部8の受光面に対向させた状態(出射面を底面6aに向けた状態)で、凹部6の開口の上方にステー11を介して配置されている。
【0037】
更に、図4に示すように、回転テーブル20は、光源部10と受光部8との間に、分析用具90を位置させる。また、回転テーブル20の分析用具90が載置される位置には、開口部23が設けられ、受光部8への光の入射が妨げられないようになっている。開口部23は、後述するように保持部22の一部を構成する。更に、開口部23は、開口内に分析用具90が収まるように形成されている。
【0038】
図3及び図4に示すように、受光部8は、試料を通過した測定光を受光するように配置されているが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば、受光部8は、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに、試料で反射された測定光を受光できるように配置されていても良い。
【0039】
また、本実施の形態では、テーブル台5における凹部6の開口の周辺には、回転テーブル20を載置ポジションに位置決めするためのストッパー18が設けられている。回転テーブル20が載置ポジションまで回転すると、回転テーブル20に設けられた棒部材36がストッパー18に接触し、これによって載置ポジションでの位置決めが行われる。なお、棒部材36については図5〜図7を用いて後述する。
【0040】
一方、回転テーブル20の分析ポジションでの位置決めは、回転テーブル20の外周に設けられた突起27を、テーブル台5に形成された開口部7の開口縁7aに接触させることによって行われる。具体的には、開口部7は、凹部6の開口の周辺から側壁6bの一部にかけて形成されている。開口部7の開口縁のうち、開口縁7aと開口縁7bとは、側壁6bを切断するように形成されている。そして、底面6aから突起27の下端(底面6a側の端)までの距離は、開口縁7bよりは長いが、開口縁7aよりは短く設定されている。このため、突起27は開口縁7aに接触し、これによって、回転テーブル20は位置決めされる。
【0041】
テーブル台5には、更に、レバー12が取り付けられている。レバー12は、保持部22による分析用具90の保持を解除するために利用される。レバー12の構成や、保持部22による分析用具90の保持の解除等については、図5〜図7を用いて後述する。
【0042】
このように、図1、図3及び図4に示す分析装置1では、分析用具90を回転テーブル20に載置し、そして回転テーブル20を分析ポジションまで回転させれば(図4参照)、分析用具90の正確な位置決めが完了する。分析装置1によれば、分析用具90の位置ズレは抑制される。また、光源部10と受光部8とは、設定された位置に配置されているため、分析用具90の位置が決まると、セル94(図2参照)への光の入射とセル94を透過した光の受光とは確実に行われるので、精度の高い分析結果が得られることになる。
【0043】
また、受光部8は、測定光を受光すると、光量に応じた信号を出力する。この場合、分析装置1は、この信号のレベルから吸光度を算出し、更に、吸光度から試料中の特定成分の濃度を算出する。算出された濃度は、分析装置1の表示部4(図1参照)に表示される。なお、図3及び図4において、光源部10の光源及び光学系の図示は省略されている。同様に、受光部8の受光素子の図示も省略されている。また、算出は、図示されていない演算装置によって行われる。
【0044】
本実施の形態では、図3及び図4に示すように、分析装置1は、更に、コネクタ40と、支持部9と、動力伝達部60と、制御装置19とを備えている。このうち、コネクタ40は、セル94の配列の中心(図2参照)で分析用具90に接続され、分析用具90をセル94の配列方向に沿って回転させる。コネクタ40によれば、光学測定の対象となるセルを簡単に切り替えることができ、複数個のセル94に対して効率的な光学測定が可能となる。
【0045】
コネクタ40は、ヘッド42と、先端部41と、これらを支持するフレーム43とを備えている。先端部41は、ヘッド42の下部に図中下方に突き出るように取り付けられ、分析用具90と接続される。先端部41の最先端には、ピン41a及び41bが設けられている。先端部41と分析用具90との接続は、ピン41a及び41bを接続孔98(図2参照)に挿入することによって行われる。
【0046】
ヘッド42は、接続されている分析用具90がセル94の配列方向に沿って(半径方向に沿って)回転するように、先端部41を回転させる。また、ヘッド42は、分析対象となるセル94が光源部10と受光部8との間に位置するように、先端部41を回転させ、分析対象となるセル94の切り替えを行っている。
【0047】
フレーム43は、貫通孔44a及び貫通孔44bを備え、テーブル台5に、それに対して摺動可能な状態で取り付けられる。具体的には、テーブル台5には、図中上方に向かって延びる摺動軸17a及び摺動軸17bが設置されている。フレーム43は、貫通孔44aに摺動軸17aが挿入され、更に、貫通孔44bに摺動軸17bが挿入された状態で、テーブル台5に取り付けられる。
【0048】
この構成により、フレーム43は、摺動軸17a及び摺動軸17bの軸方向に沿って移動可能となる。コネクタ40は、分析用具90に接続される位置と、分析用具90から離れた位置との間で往復運動する。本実施の形態では、コネクタ40は、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに(図4参照)、分析用具20との接続が可能となる位置に移動する。
【0049】
コネクタ40の往復運動に必要な動力は、駆動部50から、動力伝達部60を介して伝達される。動力伝達部60は、駆動部50が出力した回転動力を往復運動に変換し、スライダ61とスライダ62とを往復運動させる。このうちスライダ62が、コネクタ40のフレーム43に連結され、コネクタ40を往復運動させている。スライダ61は、レバー12を回転動作させ、保持部22による保持の解除を行っている。
【0050】
動力伝達部60の具体的構成については、図9及び図10を用いて後述する。また、動力伝達部60には、スライダ62の位置を検出すためのセンサ63が設けられている。制御装置19は、センサ63からの信号に基づいて、駆動部50の電動機55を制御している。制御装置19による電動機55の制御については、図11〜図13を用いて後述する。
【0051】
また、本実施の形態では、コネクタ40と分析用具90との接続を補助するため、支持部9が設けられている。支持部9は、コネクタ40の先端部41に対向する位置で、回転テーブル20の開口部23を介して、分析用具90を下から支持している。
【0052】
具体的には、支持部9は、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに分析用具90を支持できるように、凹部6の底面6a上に配置されている。また、支持部9は、その上部に、分析用具90を支持できるように形成された面9aを備えている。
【0053】
本実施の形態においては、コネクタ40が分析用具90に接続されると、分析用具90はコネクタ40の先端部41と支持部9とで挟み込まれる。本実施の形態によれば、分析用具90の位置ズレの更なる抑制が図られる。
【0054】
なお、本実施の形態は、コネクタ40が分析用具90を把持する態様や、コネクタ40の先端部41が分析用具90に嵌合される態様とすることで、支持部9の配置を省略することもできる。また、分析用具が複数個のセルを備えていない場合や、複数個のセルを備えていても、これらが円弧状に配列されていない場合は、コネクタ40によるセルの切り替えは必要とされない。よって、この場合は、コネクタは、分析用具を回転する機能を備えていなくても良い。
【0055】
ところで、上述したように、保持部22は、分析用具90を定められた位置で保持する(図1及び図4参照)。このため、分析用具90が保持部22によって保持されている状態では、先端部41の回転によるセルの切り替えは困難である。よって、本実施の形態では、分析用具90がコネクタ40に接続されると、保持部22は保持の解除を実行する。
【0056】
ここで、図5〜図7を用いて回転テーブル20に設けられた保持部22の構成及び動作について説明する。図5は、図3及び図4に示された回転テーブルの構成を示す分解斜視図である。図6は、図3〜図5に示した回転テーブルに設けられた保持部の動作を示す斜視図であり、図6(a)は保持状態を示し、図6(b)は保持が解除された状態を示している。図7は、図3及び図4に示されたテーブル台に備えられたレバーの構成及び動作を示す斜視図である。
【0057】
図5に示すように、回転テーブル20は、本体21と、保持部22と、クラッチ機構28と、回転軸29と、かさ歯車33とを備えている。保持部22、クラッチ機構28、回転軸29及びかさ歯車33は、本体21に取り付けられる。本体21は、円形状の天板部21aと、天板部21aの外周に沿って設けられたスカート部21bとで形成されている。
【0058】
保持部22は、アーム部材24を備えている。アーム部材24は、天板部21aに設けられた開口部23と共に、保持部22として機能する。開口部23は、上述したように、回転テーブル20の分析用具90が載置される位置に配置されている。また、開口部23は、開口内に分析用具23が収まるように形成されている。
【0059】
アーム部材24は、回転テーブル20の載置面の裏側の面(裏面)側から、分析用具90を定められた位置で支持する。具体的は、アーム部材24は、枠状に形成され、そして、枠の対向する二箇所を用いて、分析用具90を橋掛け状態で支持する。分析用具90を支持する箇所には、支持面35a形成されている。更に、アーム部材24の内周面34は、支持部9(図3及び図6参照)による分析用具90の支持が阻害されないよう、支持面35aが設けられた箇所を除き、天板部21aの開口部23に整合するように形成されている。
【0060】
また、アーム部材24は、支持面35aの外縁の位置に側壁35bを備えている。側壁35bは、分析用具90の平面部分96(図2及び図5参照)に整合するように形成されている。よって、図6(a)に示すように、分析用具90の二つの平面部分96を、対応する側壁35bに合わせ、アーム部材24の支持面35aで分析用具90を支持すれば、分析用具90は、定められた位置で保持される。
【0061】
本実施の形態において、アーム部材24の形状は特に限定されるものではない。例えば、アーム部材24は、枠状ではなく、フォーク状に形成されていても良い。この場合であっても、アーム部材24は、分析用具90を橋掛け状態で支持することができる。また、支持面35a及び側壁35bの形状や個数は、対象となる分析用具90の形状に合わせて設定すれば良い。
【0062】
また、アーム部材24は、支持面35aが天板部21aの主面に平行な状態から、それに対して傾斜した状態へと変化できるよう、天板部21aの裏面に回転自在な状態で取り付けられる。具体的には、アーム部材24は、貫通孔37を備えている。貫通孔37は、支持面35aと平行な状態でシャフト38を挿入できるように形成されている。
【0063】
更に、天板部21aの裏面には、シャフト38の軸方向を天板部21aの主面に平行にした状態で、シャフト38の両端を支持する一対の軸受25a及び25bが設けられている。また、軸受25a及び25bは、これらがシャフト38の両端を支持したときに、アーム部材24の内周面34と、開口部23とが整合するように配置されている。
【0064】
よって、図6(a)及び図6(b)に示すように、アーム部材24は、分析用具90が支持部9によって支持されているときに、分析用具90から離れるように移動することができる。そして、分析用具90の平面部分96とアーム部材24の側壁35bとが接触しなくなるまで、アーム部材24が移動すると、アーム部材24は分析用具90を支持できない状態となる。このとき、保持部22による分析用具90の保持は解除される。
【0065】
本実施の形態では、アーム部材24は、図7に示すレバー12を用いて、棒部材36を上下させると移動する。棒部材36は、回転テーブル20からその半径方向に突き出すように形成されている。レバー12は、上述したように、テーブル台5に取り付けられている(図3参照)。
【0066】
図7に示すように、レバー12は、一方側の端部に設けられた溝15と、他方側の端部に設けられた支軸13a及び13bと、これらの間に設けられた入力軸14とを備えている。溝15は、アーム部材24の棒部材36(図5及び図6参照)の先端が嵌まるように形成されている。支軸13a及び13bは、レバー12の長軸方向に垂直な方向に沿って、更に、互いに相反する方向に突き出すように設けられている。入力軸14は、支軸13aの突き出し方向と同じ方向に突き出すように形成されている。
【0067】
レバー12は、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに、棒部材36の先端が溝15に嵌まるように、回転テーブルの横に回転テーブル20の接線方向に沿って配置されている(図4参照)。また、レバー12は、その長軸がテーブル台5の凹部6の底面6aに平行な状態から傾斜した状態へと変化できるよう、テーブル台5に回転自在な状態で取り付けられている。レバー12のテーブル台5への取り付けは、テーブル台5に設けられた軸受16a及び16bで、支軸13a及び13bを支持することによって行われている。
【0068】
よって、回転テーブル20が分析ポジションとなって、棒部材36とレバー12とが連結され、このときに、レバー12が支軸13a及び13bを中心に回転すると、アーム部材の棒部材36は押し下げられる。そして、図6(b)で示したように、保持部22による分析用具90の保持は解除される。この状態のときのレバー12は、図7において破線で示されている。
【0069】
また、レバー12を回転させるための動力は、上述した動力伝達部60のスライダ61(図3参照)によって与えられる。具体的には、レバー12の入力軸14がスライダ61に連結され、スライダ61が入力軸14を上下させることにより、レバー12は回転動作する。
【0070】
更に、図5に示すように、回転テーブル20において、回転軸29は、天板部21aの中心に、その法線に沿って、天板部21aに対して回転自在な状態で取り付けられている。具体的には、回転軸29は、その一方の端部が、天板部21aの載置面(図中上側の面)に設けられた軸受26に、載置面の裏側から挿入された状態で取り付けられる。
【0071】
回転軸29の他方の端部は、テーブル台5の貫通孔6c(図3参照)に挿入され、その状態で、かさ歯車33に固定される。かさ歯車33は、駆動部50(図3参照)のかさ歯車54(図3参照)と噛み合わされる。駆動部50からの回転動力は、かさ歯車33に伝達され、かさ歯車33を介して回転軸29を回転させる。
【0072】
クラッチ機構28は、天板部21aとかさ歯車33との間に設けられ、一定条件下を除き、回転軸29と本体21(天板部21a)とを連結する。クラッチ機構28が、回転軸29と本体21とを連結した状態では、回転軸29が回転すると、本体21も回転する。
【0073】
具体的には、クラッチ機構28は、円板30と、連結ロッド31と、コイルバネ32とを備えている。円板30は中心に貫通孔を備え、この貫通孔には回転軸29が挿入されている。円板30と回転軸29とは固定され、回転軸29が回転すると、一緒に円板30も回転する。更に、円板30には、その外周から中心へと向かう溝30aが形成されている。
【0074】
連結ロッド31は、一方の端部側に形成された軸31bによって、天板部21aの載置面の裏側の面(裏面)に回転自在に取り付けられている。軸31bは、連結ロッド31の長軸方向に垂直な方向に突き出すように形成されているので、連結ロッド31は、天板部21aに取り付けられると、天板部21aの主面に対して平行な状態となる。
【0075】
また、軸31bの天板部21aへの取り付けは、軸31bをコイルバネ32に挿入した状態で行われる。コイルバネ32は、連結ロッド31と天板部21aとの間に配置される。そして、コイルバネの一方の端部は天板21aの裏面に固定され、他方の端部は連結ロッド31に固定される。
【0076】
よって、連結ロッド31に対して、軸31bを中心に、それを回転させる力が加えられると、コイルバネ32は弾性変形する。この場合、連結ロッド31は、コイルバネ32から、連結ロッド31を反対方向に回転させる弾性力を受けることになる。図5の例では、矢印で示すように、コイルバネ32は、連結ロッド31に対してそれを時計回り(CW:Clock wise)に回転させる弾性力を付加している。
【0077】
また、連結ロッド31の他方の端部側には、突起部31aが設けられている。突起部31aは、軸31bが突き出す方向と反対の方向に突き出している。更に、突起部31aは、円板30の溝30aに嵌まるように形成されている。そして、突起部31aが溝30aに嵌まると、本体21と回転軸29とが、連結ロッド31及び円板30を介して連結され、回転軸29の回転により本体21も回転する。
【0078】
このように、クラッチ機構28は、回転軸29と本体21とを連結する。但し、クラッチ機構28は、一定条件下、具体的には、回転テーブル20が分析ポジションに位置決めされてから分析が終了するまでの間は、回転軸29と本体21との連結を解除する。この点について以下に説明する。
【0079】
図5に示すように、円板30の溝30aは、円板30を図中上方から見たときに(図5中の領域X内の図を参照)、突起部31aの時計回り側の部分とは接触するが、反時計回り(CCW:counter clock wise)側の部分とは接触しないように形成されている。よって、回転軸29が反時計回りに回転するときは、溝30aが突起部31aを押圧するため、溝30aと突起部31aとは、即ち、回転軸29と本体21とは、確実に連結された状態となる。回転軸29が反時計回りに回転するときは、常に、本体21も反時計回りに回転する。
【0080】
また、回転軸29が時計回りに回転するときは、溝30aは突起部31aを押圧しないが、コイルバネ32が連結ロッド31に与える弾性力により、突起部31aは溝30aに押し付けられる。そして、この押し付けにより、突起部31aと溝30aとの間には摩擦力が発生し、これによって突起部31aと溝30aとは連結された状態となる。よって、回転軸29が時計回りに回転すると、本体21も時計回りに回転する。
【0081】
但し、回転軸29が時計回りに回転する場合において、突起部31aと溝30aとの接触部分に、摩擦力よりも大きな力が、これと相反する方向に作用すると、突起部31aと溝30aとの連結は簡単に解除されてしまう。この場合、回転軸29は空回転状態となり、本体21は駆動されない状態となる。
【0082】
具体的には、図3及び図4を用いて説明したように、本体21が時計回りに回転し、その後、突起27と開口縁7aとが接触し、回転テーブル20が分析ポジションに位置決めされると、この接触によって、本体21を反時計回りに回転させる反力が発生する。この反力は、突起部31aと溝30aとの接触部分において、両者間の摩擦力が作用する方向と反対の方向に、それよりも大きな力を与え、突起部31aと溝30aとの連結を解除する。
【0083】
また、本実施の形態においては、突起部31aと溝30aとの連結の解除がスムーズに行われるようにするため、溝30aの反時計回り側には、傾斜面が形成されている(図5中の領域Xを参照)。傾斜面は、突起部31aを円板30の外周へとスムーズに導く。なお、本実施の形態では、突起27はクラッチ機構28の一部として機能している。
【0084】
本実施の形態において、クラッチ機構28は、図5に示す例に限定されるものではない。例えば、捻りによって生じる弾性力を利用するコイルバネ32の代わりに、伸張又は圧縮によって生じる弾性力を利用するコイルバネや、板バネを用いても良い。また、円板30には、溝30aと同様に機能する凹部が形成されていても良い。
【0085】
また、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに、その状態を維持することは重要である。このため、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに、突起27をテーブル台5の開口縁7aに押し付けようとする力が、回転テーブル20に加えられているのが好ましい。このような力を回転テーブル20に付与する方法としては、例えば、回転テーブル20の本体21とテーブル台5の凹部6(図3参照)とにそれぞれ磁石を設置し、両者の磁力を利用する方法が挙げられる。また、どちらか一方にのみ磁石が設置され、他方には鉄などの強磁性体が配置されていても良い。
【0086】
次に、図8を用いて、回転軸29を回転させる駆動部50の構成について説明する。図8は、図3に示された駆動部の構成を示す斜視図である。図8に示すように、本実施の形態では、駆動部50は、平歯車51〜53と、かさ歯車54と、電動機55と、これらの歯車を収容するケース59とを備えている。図8において、駆動部50のケース59は破線で示している。
【0087】
平歯車51は、電動機55の軸56に取り付けられ、軸56を中心軸として回転する。また、平歯車51は、平歯車52と噛み合っている。電動機55の回転動力は、平歯車51を介して、平歯車52に伝達される。平歯車52は、軸56と平行に配置された出力軸57に取り付けられ、出力軸57を中心軸として回転する。出力軸57は、動力伝達部60(図3参照)に連結され、平歯車52に伝達された回転動力の一部は、出力軸57介して動力伝達部60に伝達される。
【0088】
また、平歯車52は、平歯車53と噛み合っている。平歯車53は、軸58に取り付けられ、軸58を中心軸として回転する。軸58は、軸56及び出力軸57に平行に配置されている。また、かさ歯車54も軸58に取り付けられている。かさ歯車54は、上述したように、かさ歯車33(図5参照)と噛み合うように構成されている。よって、平歯車52に伝達された回転動力は、平歯車53、かさ歯車54及びかさ歯車33を介して、回転テーブル20に伝達されることになる。
【0089】
また、駆動部50において、かさ歯車54の歯数は、回転テーブル20のかさ歯車33(図5参照)の歯数よりも多くなっている(例えば、2倍〜3倍程度)。よって、出力軸57が1回転する間に、回転テーブル20の回転軸29(図5参照)は複数回転する(例えば、2回転〜3回転する。)。
【0090】
更に、かさ歯車54が時計回り(CW)に回転すると、回転軸29も時計回り(CW)に回転する(図5参照)。この場合、載置ポジションにある回転テーブル20は、分析ポジションへと回転する。また、この場合、出力軸57は、図8に示すAの回転方向に回転する。一方、かさ歯車54が反時計回り(CCW)に回転すると、回転軸29も反時計回りに回転する。この場合、分析ポジションにある回転テーブル20は、載置ポジションへと回転する。また、この場合は、出力軸57は、図8に示すBの回転方向に回転する。
【0091】
このように、駆動部50は、一つの電動機55を用いて、回転テーブル20と、動力伝達部60との二つに回転動力を出力している。駆動部50によれば、電動機55が少なくて済むため装置コストの低減化が図られる。また、図8において、出力軸57及び軸58は、ケース59に、回転自在な状態で取り付けられている。電動機55も、ケース59に取り付けられている。
【0092】
次に、図9及び図10を用いて動力伝達部60の構成について説明する。図9は、図3に示した動力伝達部の構成を示す平面図である。図10は、図3に示した動力伝達部の構成を示す分解斜視図である。
【0093】
図9及び図10に示すように、動力伝達部60は、駆動部50(図8参照)が出力した回転動力を往復動力に変換する動力変換機構と、往復動力によって往復運動するスライダ61及びスライダ62とを備えている。これらはケース87に取り付けられている。図10においては、ケース87の図示は省略している。
【0094】
スライダ61は、回転テーブル20が分析ポジションにあるときに、レバー12(図3及び図5参照)を介して、アーム部材24に連結される。更に、スライダ61は、自身の往復運動により、アーム部材24を、分析用具90の支持が可能な位置と分析用具90から離れた位置との間で往復運動させる。なお、本実施の形態は、スライダ61が直接アーム部材24に連結される態様であっても良い。
【0095】
スライダ62は、上述したようにコネクタ40に連結される。そして、スライダ62は、自身の往復運動によって、コネクタ40を、分析用具90(図2参照)との接続が可能となる位置と分析用具90から離れた位置との間で往復運動させる(図3参照)。
【0096】
動力変換機構は、スライダ62を往復運動させる円板状のクランク67と、スライダ61を往復運動させるカム73と、ギアボックス76とを備えている。ギアボックス76は、駆動部50からの回転動力をクランク67及びカム73に伝達し、これらを回転させる。
【0097】
具体的には、図9及び図10に示すように、スライダ61は、ケース87に固定された摺動軸66a及び摺動軸66bに、摺動可能な状態で取り付けられる。摺動軸66a及び摺動軸66bは水平方向に配置され、スライダ61は、摺動軸66a及び摺動軸66bをガイドとして、水平方向に移動可能となる。
【0098】
また、スライダ61は、L形状を呈し、且つ、溝64と溝65とを備えている。このうち溝64には、レバー12の入力軸14(図3及び図7参照)が差し込まれる。溝64は、スライダ61の移動方向(水平方向)に沿って形成されている。但し、垂直方向において、入力軸14を動かす必要があるため、溝64の形状は、一直線状ではなく、二つの直線部分とこれらをつなぐ折り曲げ部分とを有する形状となっている。
【0099】
一方、溝65には、クランク67のクランクピン68が差し込まれる。溝65は、垂直方向に沿って一直線状に形成されている。溝65及びクランク67は、回転運動を直線運動に変換するクランク機構として機能する。
【0100】
よって、クランク67が回転すると、スライダ61は、クランクピン68に押され、往復運動を行う。クランク67の回転は、軸86(図9及び図10参照)によって行われている。そして、スライダ61が往復運動すると、溝64の入力軸14との接触箇所が変化し、入力軸14の位置は垂直方向(図9参照)に移動する。この結果、図6(a)及び図6(b)に示したように、アーム部材24が移動し、分析用具90の保持及び保持の解除が行われる。
【0101】
なお、図9及び図10の説明における「水平方向」は、動力伝達部60がテーブル台5に取り付けられ、これをテーブル台5の上方から見たときに、レバー12の長軸方向及び回転テーブル20の接線方向に平行となる方向である(図3及び図4参照)。また、図9及び図10の説明における「垂直方向」は、動力伝達部60がテーブル台5に取り付けられたときに、テーブル台5の底面6aの法線に平行な方向である(図3参照)。
【0102】
また、図9及び図10に示すように、スライダ62は、ケース87に固定された摺動軸71a及び摺動軸71bに、摺動可能な状態で取り付けられている。摺動軸71a及び摺動軸71bは、摺動軸66a及び摺動軸66bと異なり、垂直方向に配置されている。スライダ62は、摺動軸71a及び摺動軸71bをガイドとして、垂直方向に移動可能となる。
【0103】
図10に示すように、スライダ62を往復運動させるカム73は、スライダ62のギアボックス76側に配置されている。スライダ62のギアボックス76側には、水平方向に沿って壁75が形成されている。スライダ62は、壁75の下面でカム73に接触している。この構成により、カム73が回転すると、スライダ62は、カム73によって押し上げられたり、下げられたりし、垂直方向に沿って往復運動する。スライダ62は、カム73の従動節(カムフォロワー)として機能している。
【0104】
図10には図示されていないが、スライダ62の頂部62aは、コネクタ40のフレーム43(図3及び図4参照)に連結される。よって、カム73を回転させることにより、コネクタ40は、分析用具90との接続が可能となる位置と、分析用具90から離れた位置との間で往復運動する。図9及び図10において、70は、後述の軸82とスライダ62との干渉を避けるためのスリットである。74は、後述の軸86とスライダ62との干渉を避けるためのスリットである。
【0105】
また、図10に示すように、ギアボックス76は、平歯車77〜平歯車81を備えている。このうち、平歯車77は、軸82に取り付けられ、軸82を中心軸として回転する。更に、平歯車77は、平歯車78と噛み合っている。軸82は、円筒状の継ぎ手69を介して、図8に示した駆動部50の出力軸57に連結される。よって、駆動部50からの回転動力は、平歯車77に伝達され、その後、平歯車78に伝達される。
【0106】
具体的には、図9及び図10に示すように、出力軸57がAの回転方向に回転すると(図8参照)、軸82及び平歯車77もAの回転方向に回転し、逆に、平歯車78はBの回転方向に回転する。また、出力軸57がBの回転方向に回転すると(図8参照)、軸82及び平歯車77もBの回転方向に回転し、逆に、平歯車78はAの回転方向に回転する。
【0107】
なお、図9及び10において、矢印によって示された回転方向「A」及び「B」は、図8中に示された回転方向「A」及び「B」と一致している。また、図9及び図10では、出力軸57がAの方向に回転したときの、軸82、平歯車77及び78の回転方向は実線で示され、出力軸57がBの方向に回転したときの、これらの回転方向は破線で示されている。
【0108】
平歯車78及び平歯車79は、共通の軸83に取り付けられ、共に、軸83を中心軸として回転する。また、平歯車79は平歯車80と噛み合い、平歯車80は平歯車81と噛み合っている。よって、平歯車79に回転動力が伝達されると、平歯車80及び平歯車81にも回転動力が伝達される。
【0109】
更に、平歯車80は、軸85に取り付けられ、軸85を中心軸として回転する。そして、軸85は、カム73の回転中心に設けられた取付穴73aに固定される。よって、平歯車80に回転動力が伝達されると、カム73が回転し、スライダ62は垂直方向に沿って移動する。
【0110】
また、平歯車81は、軸86に取り付けられ、軸86を中心軸として回転する。そして、軸86は、円板状のクランク67の回転中心に設けられた取付穴67aに固定される。このため、平歯車81に回転動力が伝達されると、クランク67が回転し、スライダ61が水平方向に沿って移動する。
【0111】
ところで、平歯車79は、軸83に直接取り付けられているが、平歯車78はクラッチ機構84を介して軸83に取り付けられている。クラッチ機構84は、一方向クラッチであり、図10には図示されていないが、外輪と内輪とを備えている。そして、歯車78が設定方向(図10においてBの方向)に回転する場合は、外輪と内輪とがロックされ、クラッチ機構84は、回転動力を軸83に伝達する。一方、歯車78が、逆の方向に回転する場合は、外輪と内輪とはロックされず、外輪は内輪に対して空転する。この場合、クラッチ機構84は、回転動力を遮断する。
【0112】
具体的には、クラッチ機構84は、平歯車78がBの方向に回転する場合に、軸83に回転動力を伝達するように構成されている。この場合、平歯車79はBの回転方向に回転し、これにより、平歯車80はAの回転方向に回転し、平歯車81はBの回転方向に回転する。一方、平歯車78がAの方向に回転する場合は、クラッチ機構84は回転動力を遮断することから、平歯車79〜81が回転することはない。図9及び10において、平歯車79〜81の回転方向は、平歯車78がBの方向に回転する場合(クラッチ機構84が動力を伝達する場合)についてのみ、矢印によって図示されている。
【0113】
言い換えると、クラッチ機構84は、出力軸57(図8参照)がAの方向に回転する場合(図5に示した回転軸29が時計回り(CW)に回転する場合)に、回転動力を伝達する。この場合、載置ポジションにある回転テーブル20は、分析ポジションへと回転する(図3参照)。そして、この場合にのみ、動力伝達部60は、回転動力を往復動力に変換し、スライダ61及びスライダ62を往復運動させる。
【0114】
一方、クラッチ機構84は、平歯車78がAの方向に回転する場合(出力軸57がBの方向に回転する場合)は、回転動力を遮断する。この場合、分析ポジションにある回転テーブル20は、載置ポジションへと回転する(図3参照)。
【0115】
このように動力伝達部60を用いれば、回転動力から往復動力を簡単に取り出すことができる。よって、スライダ61やスライダ62を往復運動させるために、専用の電動機等を用意する必要性がなく、装置コストの低減化が図られる。また、図10において、軸82、軸83、軸85及び軸86は、ギアボックス76のケースに、回転自在な状態で取り付けられている。
【0116】
図10に示すように、平歯車78、80及び81の歯数は、平歯車77及び79の歯数よりも多くなっている(例えば、2倍〜3倍程度)。よって、軸82に入力された回転動力は、平歯車77によって減速された後、更に、平歯車79によっても減速される。本実施の形態では、スライダ61及び62の移動は、回転軸29(図5参照)の回転スピードに比べてゆっくりと行われる。これにより、分析精度の低下が抑制される。
【0117】
また、図9及び図10に示すように、動力伝達部60は、スライダ62の位置を検出するためのセンサ63を備えている。センサ63は、スライダ62の側面に設けられた突起63aと、突起63aの位置を電気的手法又は光学的手法によって検出する検出器63bとを備えている。検出器63bは、突起63の位置、即ち、スライダ62の位置を特定する信号を制御装置19(図3参照)に出力する。
【0118】
次に、本実施の形態における分析装置の動作について図11〜図13を用いて説明する。図11〜図13は、本実施の形態における分析装置の一連の主な動作状態を示す図である。図11(a)は分析用具の載置が行われる状態を示し、図11(b)は分析用具の分析位置への移動が行われた状態を示している。また、図12(a)は、分析用具を用いた分析が行われている状態を示し、図12(b)は、分析が終了した後の状態を示している。図13は、分析用具の取り出し位置への移動が行われている状態を示している。
【0119】
なお、図11〜図13の各図において、左図は動力伝達部60の動作を示し、右図は回転テーブルの位置を示している。また、各図において、動力伝達部60、コネクタ40、アーム部材24、及び分析用具90は、簡略化して図示している。
【0120】
最初に、図11(a)の右図に示すように、回転テーブル20が載置ポジションにある場合に、分析者が分析用具90を回転テーブル20に載置する。このとき、分析用具90は、回転テーブル20の保持部22によって定められた位置で保持される。
【0121】
そして、図11(a)の左図に示すように、コネクタ40及びスライダ62は、最も高いところに位置し、スライダ61とレバー12(図3及び図7参照)とは非連結状態にある。また、センサ63は、スライダ62が最も高い位置にあることを示す信号を、制御装置19(図3参照)に出力する。
【0122】
分析用具90の載置が終了すると、駆動部50(図8参照)は回転軸29(図5参照)を時計回りに回転させる。このとき、回転テーブル20に設けられたクラッチ機構28により、回転軸29と回転テーブル20とは連結された状態(ON状態)にある。よって、回転軸29と共に回転テーブル20も時計回りに回転する。また、この場合、動力伝達部60の軸82は、出力軸57によってAの方向に回転し、クラッチ機構84(図10参照)は連結状態(ON状態)となる。但し、軸82の回転角は僅かであり、スライダ61及び62の移動は無視できる程度である。
【0123】
次に、図11(b)の右図に示すように、回転テーブル20が分析ポジションに位置決めされると、クラッチ機構28は回転軸29と回転テーブル20との連結を解除する(OFF状態)。但し、駆動部50による回転動力の伝達は継続しているため、回転テーブル20は停止した状態で、回転軸29のみが時計回りに回転する。
【0124】
また、図11(b)の左図に示すように、スライダ61の溝64にレバー12の入力軸14が嵌まり、スライダ61とレバー12とが連結される。これにより、アーム部材24は、スライダ61によって移動可能な状態となる。更に、動力伝達部60の軸82は、Aの方向への回転を継続する。そして、クラッチ機構84が連結状態にあるため、スライダ61は図中左方向に移動し、スライダ62は図中下方向に移動する。
【0125】
更に、回転軸29の時計回りの空転が継続され、軸82におけるAの方向への回転も継続されると、スライダ61は図中左方向に更に移動する。このスライダ61の移動により、入力軸14は、溝64内を相対的に移動し、折れ曲がった部分を通り、一段下がった直線部分に到達する。
【0126】
そして、図12(a)の左図に示すように、レバー12と共にアーム部材24が押し下げられ、回転テーブル20の保持部22による分析用具90の保持は解除される。また、スライダ62は、図中下方向に更に移動し、最も低い位置に到達する。このとき、コネクタ40は、分析用具90に接続される。
【0127】
また、スライダ62が最も低い位置に到達すると、センサ63は、そのことを通知する信号を制御装置19に出力する。制御装置19は、この信号を受信すると、駆動部50の電動機55の稼動を停止させる。その後、分析用具90の各セルに対して分析が行われる。このとき、図12(a)の右図に示すように、コネクタ40は、分析用具90を回転させ、分析対象となるセルの切り替えを行う。
【0128】
分析が終了すると、制御装置19は、駆動部50の電動機55を再び稼動させる。そして、図12(b)の右図に示すように、回転テーブル20が分析ポジションに位置決めされた状態のまま、回転軸29の時計回りの空転が再開される。
【0129】
また、図12(b)の左図に示すように、軸82におけるAの方向への回転も再開される。但し、この場合は、スライダ61は図中右方向に移動する。このスライダ61の右方向への移動により、入力軸14は、溝64内を相対的に移動し、折れ曲がった部分を通り、一段上がった直線部分に到達する。
【0130】
そして、今度は、レバー12と共にアーム部材24が押し上げられ、回転テーブル20の保持部22によって分析用具90は再度保持される。また、スライダ62は、図中上方向に移動し、コネクタ40と分析用具90との接続は解除される。
【0131】
スライダ62が最も高い位置に到達すると、センサ63は、そのことを通知する信号を制御装置19に出力する。制御装置19は、この信号を受信すると、駆動部50の電動機55を停止させ、その後、逆回転させる。
【0132】
電動機55が逆回転を行うと、図13の右図に示すように、駆動部50は、回転軸29を半時計回りに回転させる。このとき、回転テーブル20に設けられたクラッチ機構28により、回転軸29と回転テーブル20とは連結された状態(ON状態)にある。よって、回転テーブル20も反時計回りに回転する。これにより、回転テーブル20は、分析ポジションから載置ポジションへと向かう。
【0133】
また、この場合、動力伝達部60の軸82は、出力軸57によってBの方向に回転するが、クラッチ機構84(図10参照)は連結を解除した状態(OFF状態)となる。よって、図13の左図に示すように、軸82に伝達された回転動力は往復動力に変換されず、スライダ61及び62は停止した状態となる。
【0134】
次に、回転テーブル20が図11(a)の右図に示した載置ポジションに到達すると、制御装置19は電動機55を停止させる。その後、分析用具90が分析者によって取り出され、全ての処理が終了する。
【0135】
このように、本実施の形態では、回転テーブル20が分析ポジションに位置決めされてから、コネクタ40と分析用具90との接続、及び保持部22による分析用具90の保持の解除が行われる。本実施の形態によれば、分析用具90の位置決め精度の更なる向上が図られる。なお、図11〜図13に示した分析装置の動作をまとめると、下記の表1の通りとなる。
【0136】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0137】
以上のように、本発明は、分析用具を用いて、試料に対して光学測定を実施する分析装置に有用となる。よって、本発明の分析装置は、産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における分析装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態で用いられる分析用具の一例を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態における分析装置の主な構成部品を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、図3に示した構成部品を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図3及び図4に示された回転テーブルの構成を示す分解斜視図である。
【図6】図6は、図3〜図5に示した回転テーブルに設けられた保持部の動作を示す斜視図であり、図6(a)は保持状態を示し、図6(b)は保持が解除された状態を示している。
【図7】図7は、図3及び図4に示されたテーブル台に備えられたレバーの構成及び動作を示す斜視図である。
【図8】図8は、図3に示された駆動部の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、図3に示した動力伝達部の構成を示す平面図である。
【図10】図10は、図3に示した動力伝達部の構成を示す分解斜視図である。
【図11】図11は、本実施の形態における分析装置の一連の主な動作状態を示す図である。図11(a)は分析用具の載置が行われる状態を示し、図11(b)は分析用具の分析位置への移動が行われた状態を示している。
【図12】図12は、本実施の形態における分析装置の一連の主な動作状態を示す図である。図12(a)は、分析用具を用いた分析が行われている状態を示し、図12(b)は、分析が終了した後の状態を示している。
【図13】図13は、本実施の形態における分析装置の一連の主な動作状態を示す図である。図13は、分析用具の取り出し位置への移動が行われている状態を示している。
【符号の説明】
【0139】
1 分析装置
2 ケース
3 カバー
4 表示部
5 テーブル台
6 凹部
6a 凹部の底面
6b 凹部の側壁
6c 凹部の底面に設けられた貫通孔
7 開口部
7a 開口縁
7b 会後援
8 受光部
9 支持部
10 光源部
11 ステー
12 レバー
13a、13b レバーの支軸
14 レバーの入力軸
15 レバーの溝
16a、16b テーブル台に設けられた軸受
17a、17b 摺動軸
19 制御装置
20 回転テーブル
21 本体
21a 天板部
21b スカート部
22 保持部
23 開口部
24 アーム部材
26 回転テーブルの中心に設けられた軸受
27 突起
28 クラッチ機構
29 回転軸
30 円板
30a 円板に形成された溝
31 連結ロッド
31a 連結ロッドの突起部
31b 連結ロッドの軸
32 コイルバネ
33 かさ歯車
34 アーム部材の内周面
35a アーム部材の支持面
35b 支持面の外縁に形成された側壁
36 アーム部材に設けられた棒部材
38 アーム部材取付用のシャフト
40 コネクタ
41 先端部
42 ヘッド
43 フレーム
44a、44b コネクタのフレームに設けられた貫通孔
50 駆動部
51、52、53 平歯車
54 かさ歯車
55 電動機
56 電動機の軸
57 出力軸
58 軸
59 駆動部のケース
60 動力伝達部
61 スライダ
62 スライダ
62a スライダの頂部
63 センサ
63a センサを構成する突起
63b センサを構成する検出器
64、65 スライダに設けられた溝
66a、66b 水平方向に配置されたスライダ移動用の摺動軸
67 円板状のクランク
67a 取付穴
68 クランクピン
69 継ぎ手
70、74 スライダに設けられたスリット
71a、71b 垂直方向に配置されたスライダ移動用の摺動軸
73 カム
73a 取付穴
75 スライダの裏面に形成された壁
76 ギアボックス
77、78、79、80、81 平歯車
82、83、85、86 軸
84 クラッチ機構
87 動力伝達部のケース
90 分析用具
91 透明基板
92 透明カバー
93 貯留部
94 セル
95 流路
96 平面部分
97 供給口
98 接続孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析用具のセルに配置された試料に対して光学測定を実施する分析装置であって、
光学測定用の光を出射する光源部と、前記光学測定用の光を受光する受光部と、前記分析用具が載置され、且つ、載置される前記分析用具が円軌道上を移動するように回転する回転テーブルとを備え、
前記回転テーブルは、前記分析用具を定められた位置で保持する保持部を備え、且つ、回転して、前記分析用具の載置が行われる第1のポジションと、前記光学測定が実施される第2のポジションとに位置決めされ、
前記光源部は、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに、出射された光が前記分析用具の前記セルに入射するように配置され、
前記受光部は、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに、前記試料を通過した前記光学測定用の光、又は前記試料で反射された前記光学測定用の光を受光できるように配置されている、ことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記分析用具に接続されるコネクタを更に備え、
前記コネクタは、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに、前記分析用具から離れた位置から前記分析用具との接続が可能となる位置まで移動する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記分析用具が、円弧状に配列された複数個の前記セルを備えている場合であって、
前記コネクタが、前記セルの配列の中心で前記分析用具に接続され、更に、前記分析用具を配列方向に沿って回転させ、
前記保持部は、前記コネクタが前記分析用具に接続されると、前記分析用具の保持を解除する、請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記保持部が、開口部とアーム部材とを備え、
前記開口部は、前記回転テーブルの前記分析用具が載置される位置に配置され、且つ、開口内に前記分析用具が収まるように形成され、
前記アーム部材は、前記回転テーブルにおける前記分析用具が載置される側の反対側から、前記分析用具を前記定められた位置で支持し、且つ、前記コネクタが前記分析用具に接続されると、前記分析用具から離れる方向に移動して前記分析用具の支持を解除する、請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記コネクタに対向する位置で、前記開口部を介して、前記分析用具を支持する支持部を更に備えている、請求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
前記回転テーブルを回転させる駆動部と、動力伝達部とを更に備え、
前記駆動部は、前記回転テーブルを回転させる回転動力の一部を、前記動力伝達部に出力し、
前記動力伝達部は、前記駆動部が出力した回転動力を往復動力に変換する動力変換機構と、前記往復動力によって往復運動する第1のスライダ及び第2のスライダとを備え、
前記第1のスライダは、前記コネクタに連結され、前記コネクタを、前記分析用具との接続が可能となる位置と前記分析用具から離れた位置との間で往復運動させ、
前記第2のスライダは、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに前記アーム部材に連結され、前記アーム部材を、前記分析用具の支持が可能な位置と前記分析用具から離れた位置との間で往復運動させる、請求項4または5に記載の分析装置。
【請求項7】
前記回転テーブルが、クラッチ機構を更に備え、
前記クラッチ機構は、前記回転テーブルが前記第2のポジションにあるときに、前記回転テーブルを設定方向に回転させる回転動力を遮断し、
前記動力変換機構は、前記駆動部から前記動力伝達部に出力された回転動力が、前記回転テーブルを前記設定方向に回転させる回転動力の一部である場合にのみ、前記回転動力を前記往復動力に変換する、請求項6に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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