説明

分析装置

【課題】分析装置における、微量のサンプル液・試薬の高精度分注と混合,蒸発防止,測定精度の向上。
【解決手段】所定量の試料を分注する試料分注機構と、該試料分注機構から吐出された試料を表面に付着させる第1の媒体と、所定量の試薬を表面に付着させた、第2の媒体と、前記第1の媒体と前記第2の媒体を近接させ、第1の媒体上の試料と第2の媒体上の試薬を混合する媒体移動機構と、前記第1の媒体及び第2の媒体上で試料と試薬の混合液の反応を測定する計測機構と、を備えた分析装置。詳細には、対向部手前の媒体面51,52それぞれに分注機31,32によりサンプル液と試薬を分注し液滴211,221を形成し、2つの媒体を移動し対向部で2液滴を合体混合し、検出部6で反応状態を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微量液に含まれる成分を分析する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液,尿等の生体サンプルを定性・定量分析する自動分析装置では、所定量のサンプルをノズル中に吸引し、反応容器に吐出した後、所定量の試薬をノズル中に吸引し、サンプルが入っている反応容器に吐出することで試薬と、測定対象成分を反応させ、反応を光学的な測定手段などを用いて測定している。近年、分析に要するコストを低減するため、1分析当たりに使用する試薬の量をできるだけ減らしたいという要望がある。使用する試薬の量を低減するためには、1分析あたりに使用するサンプルの量を低減する必要がある。しかし、マイクロリットルのオーダのサンプルを再現性良く、正確に分注することは技術的にはかなり難しい。例えば、吸引したサンプルをノズルから吐出する場合、ノズル表面とサンプルの濡れ性によっては、ノズルと液滴がうまく離れないで、ノズルの吐出孔近傍に付着する可能性がある。常に一定の量がノズルに付着することが分かっていれば、あらかじめ付着する量を含めてシリンジを動作させればよいが、サンプル毎に液性が異なるため、吐出するサンプル量が少なければ少ないほど、再現性良く、正確に分注制御することは難しくなる。
【0003】
そのような問題を解決するため、例えば特許文献1に記載されるような技術が提案されている。この技術は、ピペットにより第1の液の一部(分析対象試料等)を一方向に移動可能な単一平面上に吐出し液滴とする。さらに、ピペットにより第2の液の一部(試薬等)を前記液滴に吐出し、2種以上(必要に応じて他の液を追加する)の液体からなる液滴を前記平面上に形成する。その後、静電力または音響力を液滴に加えて変形を引き起こし、液滴内の2種以上の液体を強制的に混合し反応を促進する。次に、前記平面を移動し、平面に近接する検出器に液滴を移送し液滴内の成分を分析する。各液の分注時には、液の蒸発を防止するため各液と非混和の液体(例えば水溶液に対してはオイル)で液滴を包んだ状態にする。以上のことにより、数十マイクロリッター以下の微量液の分析を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平9−510656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の装置では2種以上の液を混合するため、ピペットにより単一平面上に吐出形成した第1の液からなる液滴にピペットで第2の液を追加注入する。そのため、第2の液を注入後、ピペットに液の一部が持ち去られ試料と試薬の混合比が変化して測定精度が低下する恐れがあった。また、試料液や試薬だけでなく非混和の液体が必要で、非混和の液で試料液や試薬などを包み込むための動作が必要になり装置コントロールが複雑になった。
【0006】
また、反応液が非混和の液体で包まれた状態で、反応液表面が球状であるため、反応液に投射または、反応液から発生した光は、その光路長が液滴の位置や箇所により異なり、また、界面で屈折・反射される。そのため光学的測定(吸光度測定,発光量測定)の精度が低下する恐れがあった。また、他の測定(電磁的測定,音響的測定など)においても、非混和の液体に包まれるため反応液滴の形状・位置が一定せず測定精度が低下する恐れがあった。
【0007】
さらに、非混和の液体のために内部の液滴の揺動状態が一定せず混合状態が測定毎に変化し時間的な反応過程を測定する場合、精度が低下する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の分注手段により第1の液を第1の媒体に付着し、さらに第2の分注手段により第2の液を第2の媒体に付着し、第1の媒体と第2の媒体を第1の付着液と第2の付着液が接触する様移動し、第1の付着液と第2の付着液との混合液を生成する分注・混合機構と、混合液の成分を測定する計測機構を備える。
【0009】
望ましくは、第1と第2の媒体は柔軟な帯状であり、第1の媒体の一部面と第2の媒体の一部面が向き合う対向部を有し、各媒体の長手方向に各媒体を移動する駆動機構を有し、駆動機構により第1の付着液と第2の付着液を対向部に導き接触する。
【0010】
あるいは、該帯状の媒体を環状とする。
【0011】
あるいは、該帯状の媒体の両端をリール状に巻き込む。
【0012】
あるいは、該対向部の帯面を水平とする。
【0013】
あるいは、媒体の一部に近接して温度調節手段を設けたことを特徴とする分析装置。
【0014】
あるいは、媒体の表面に第1の液体または/かつ第2の液体との界面自由エネルギーが媒体の他の表面より小さい低界面自由エネルギー領域を一箇所以上形成する。
【0015】
あるいは、第1の媒体表面に形成した複数の低界面自由エネルギー領域の間隔と第2の媒体表面に形成した複数の低界面自由エネルギー領域の間隔を同一とする。
【0016】
あるいは、第1または/かつ第2の媒体上に複数箇所の低界面自由エネルギー領域を隣接して組とする。
【0017】
あるいは、低界面自由エネルギー領域に試薬成分を付着済みの媒体を搭載する。
【0018】
あるいは、該付着液の液量を測定する機構を備える。
【0019】
あるいは、該第1の媒体と第2の媒体の駆動機構は第1の媒体と第2の媒体を独立して駆動する。
【0020】
あるいは、該第1の媒体と第2の媒体の駆動機構は対向部において、第1と第2の付着液が接触した後、第1の媒体と第2の媒体を同位相または逆位相で往復、あるいは同位相と逆位相交互に往復する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、別々の媒体上に微量の液を点着するので、一旦媒体上に分注した液滴にノズルにより他の液を追加注入することが無く、分注済みの液の一部をノズルにより持ち去ることが無くなり、液滴の分注精度が向上し分析装置の測定精度が向上する。また、分注後の液は両側から媒体に挟まれるので、混合液の蒸発が少なくなる。さらに混合液を通過する光の光路長が一定となるので測定精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る分析装置の一実施例構成図。
【図2】本発明に係る化学分析装置の他の実施例構成図。
【図3】本発明に係る化学分析装置の他の実施例構成図。
【図4】媒体の構成図。
【図5】分注液滴量の計測説明図。
【図6】媒体による攪拌の説明図。
【図7】多種液体混合に適した媒体の構成図。
【図8】多種液体混合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施例を図1に示す。本実施例の分析装置1は、分析対象となる複数のサンプル液(血液や尿などの生体試料,湖水や海水や汚水などの環境試料等)の入った図示しない複数の小容器を保持するサンプル保持部21と、サンプル保持部21内の小容器からサンプル液を吸入し分注するサンプル分注機31と、サンプル分注機31のノズル311の先端に対面してサンプル側ローラ411〜414により保持され、ローラの回転(図示しないモータとコントローラにより制御される)に従い周回するリングテープ様のサンプル媒体であるテープ51からなるサンプル操作部を有する。
【0024】
また、複数の試薬(サンプル液と混合することによりサンプル液内の成分と反応して呈色する)の入った図示しない複数の小容器を保持する試薬保持部22と、試薬保持部22内の小容器から試薬を吸入し分注する試薬分注機32と、試薬分注機32のノズル321の先端に対面して試薬側ローラ421〜424により保持され、ローラの回転に従い周回するリングテープ様の試薬媒体であるテープ52からなる試薬操作部を有する。
【0025】
テープ51,52はプラスチックなどの透明な高分子材料からなる。
【0026】
サンプル側ローラ411,412と試薬側ローラ421,422はそれぞれ対向しテープ51とテープ52のそれぞれの面が平行する様に等間隔に設置されている。
【0027】
また、分析装置1はサンプル側ローラ411・412間のテープ51のリング内側と試薬側ローラ421・422間のテープ52のリング内側とに対向して設置した複数の光源群61とセンサ群62からなる検出部6を有する。
【0028】
検出部6は、光源から発してサンプル側テープと試薬側テープを通過した光をセンサで捉えて信号に変換し、図示しない分析装置1のコンピュータなどの演算装置に提供し、演算装置はこれをもとに吸光度を求めサンプルに含まれる成分の濃度などを算出する。
【0029】
さらに、分析装置1はテープに向かい洗浄液を噴射しテープ表面に付着したサンプル液や試薬を除去し、その後テープに温風などを噴射し乾燥するサンプル側洗浄機構71,試薬側洗浄機構72を有する。
【0030】
次に、分析装置1の動作に付き説明する。
【0031】
先ず分注動作であるが、サンプル,試薬共に同様であるのでサンプル分注について説明する。サンプル分注機31はサンプル保持部21の小容器内にノズル311を挿入し小容器内のサンプル液を吸入する。次にノズル311の先端を停止状態のテープ51の面上に近接しノズル311内のサンプル液を一定量吐出する。吐出されたサンプル液はテープ面上に接し半球状のサンプル液滴211となる。吐出を終えたところでノズル311を上方に移動しテープ面上にサンプル液滴211を残置する(以上の動作を点着と呼ぶ)。分注後のノズルは図示しない洗浄槽などで洗浄され、分注時に付着したサンプル液や試薬が除去されて清浄な状態に保たれる。
【0032】
次に混合動作を行う。サンプル液滴211を搭載したテープ51のリングを時計回りに回転する。同様に試薬液滴221を搭載したテープ52のリングを反時計回りに回転する。それぞれの液滴はテープとともに移動しローラ411とローラ421を通過してテープ51とテープ52の面が平行する部分(以下、平行部と呼ぶ)に移動する。このとき、両液滴が平行部に同時に入るようにテープへの分注位置と各ローラの回転速度を調整する。例えばサンプル操作部と試薬操作部を同じ構成・サイズとしてサンプル・試薬の分注終了後同時にテープ51・テープ52を同じ速度で動かすことが考えられる。平行部に同時に入ったサンプル液滴211と試薬液滴221は合体して混合液23となる。さらにテープを回転すると混合液23は検出部6の光源群61・センサ群62に至る。ここで、混合液23を通過する光の量を順次連続するセンサで捉え混合液で吸収された光の量を換算してサンプル液に含まれる成分の濃度を求める。なお、検出部6はテープを挟んで光源とセンサが対向するいわゆる吸光度測定を例としたが、その他に蛍光測定,カメラによる画像測定,磁場測定,静電容量測定,放射能測定,X線測定などの非接触測定を適用できる。
【0033】
平行部を通過した混合液23はローラ412とローラ422で挟まれる部分から両テープが離れてゆくので、テープから分離落下して図示しない廃液容器に回収されるか、次の工程のために回収される。テープ上に残った混合液は洗浄機構71,72により除去され操作が一巡する。なお、混合液が平行部を出る前にテープの回転を逆転し混合液を検出部6に再度移動し反応過程を測定してもよい。
【0034】
また、図示しない1つ以上の温度調節手段をテープに近接し設置し、テープに付着して移動してきた液を局部で加熱・冷却してもよい。温度調節手段としては小型で加熱冷却が可能なペルチェ素子が好適である。
【0035】
本実施例によれば、別々のテープ上に微量の液を点着するので、一旦テープ上に分注した液滴にノズルにより他の液を追加注入することが無く、分注済みの液の一部をノズルにより持ち去ることが無くなり、液滴の分注精度が向上し分析装置の測定精度が向上する。また、分注後の液は平行部で両側からテープに挟まれるので、混合液の蒸発が少なくなる。さらに混合液を通過する光の光路長が一定となるので測定精度が向上する。また、テープの移動方向を逆転することにより同一の反応液の反復測定が可能になる。また、液滴の温度調節が局所でできるので反応のコントロールや蒸発の促進・抑制が可能になる。
【0036】
本発明の他の実施例を図2に示す。本実施例ではテープ51,52はそれぞれ供給リール415・425に巻かれた状態で提供され供給リール415・425からローラ414・424,411・421,412・422,413・423を経由して、巻取りリール416・426に向かって送られる。巻取りリールに巻き取られたテープは使用後、装置から脱着し廃棄できる。また、各分注機のノズルにはディスポーザブルの分注用チップ312,322が装着され分注毎に交換することができる(複数の分注用チップを保管するチップ保管部は図示していない)。
【0037】
本実施例によれば媒体,分注用チップがディスポーザブルのため洗浄系が不要で分析装置を小型にでき、媒体やノズルの洗浄不足が無いためコンタミネーションが無く高感度の測定が可能になる。
【0038】
本発明の他の実施例を図3に示す。本実施例ではテープ面が平行部で水平となっている。また、テープ面の水平を保つため、テープ51・52をサポートするサポートベルト53・54を備える。サポートベルト53・54は、それぞれローラ411・412の組とローラ421・422の組にリング状に巻かれており、金属などの剛性の高い材料からなりテープに接してテープにローラからの駆動力を伝達するとともにテープの変形を防止する役割を持っている。また、サポートベルトの一部には液滴に対応する光透過用の孔が複数存在する。テープ面上の試薬液滴221と混合液23は常に水平面で保持され移動する。また、サンプル液滴211はローラ411付近で一時的に傾いた状態で保持され移動する。
【0039】
本実施例によれば、混合液が水平面で保持されるため不慮の衝撃等による落下が無く測定が確実に遂行できる。
【0040】
図4に本発明の媒体の実施例を示す。媒体5の材料はポリエステルなどの高分子材料からなり、薄く柔軟で強度があり透明で水を透過しないものが望ましい。媒体5上には一定間隔で点着対象液と親和性のある(界面自由エネルギーが小さく液が付着しやすい)円形のパターン55を形成している。測定対象とする液は生体試料であり、ほとんどの試薬も水を含むので、主に親水化処理を行う。また、パターン55以外の地の部分56は高分子材料のため疎水性を呈するが、さらに分離性を増すために撥水・撥油処理を行うことができる。これらの処理については、例えば非特許文献(ぬれ技術ハンドブック、石井ほか、2001年、テクノシステム発行)に表面の改質技術として詳しく述べられている。また、パターン55上に試薬をあらかじめ塗布しておいてもよい。
【0041】
本実施例によれば液滴と親和性のあるパターン上に液滴を付着できるので液滴がテープ上で移動することが無く、混合が確実にできる。また、試薬をパターン上にあらかじめ付着しておいてもよいので試薬分注機構が不要で装置コストが低減する。
【0042】
本発明の他の実施例を図5に示す。サンプル液や試薬の分注の際、分注機のノズル3をパターン55の中心付近に接近し所定量の液を吐出する。図5(媒体の移動方向から見た図)に示すように、ノズル3の先端に吐出された液玉はパターン55に接触するとその表面を濡れ広がり、吐出を続けるとパターン55と地の部分56の境界に達して停止し、以後、高さ方向に拡大して行く。所定量の吐出を終えノズル3を上昇するとパターン55上に液滴34が残留するが、ノズル3側の外側にも残液35が残るため液滴34の量は吐出量に一致せず分注量が正確に把握できない。また、分注装置で小容器から液を吸入するとき、小容器の液面より上にノズル先端があり空気を吸引するなどして吐出量が不足し分注量不足になる恐れがある。また、吐出時にチューブなどの流体系の弾性により余分に液が吐出される恐れもある。
【0043】
本実施例では分注ポイントでテープの送り方向に垂直な方向からカメラ81により液滴34を撮像し液滴34を含む周辺の画像をコンピュータ83に取り込む。さらに、画像処理により液滴像341から液滴34の体積を求める。例えば、液滴像341のエッジを検出し液滴の高さhと幅Wを演算する。液滴34は小さいため重力の影響を無視でき球の一部とみなせるので球切片の体積の公式から、体積Vを(数1)のように求めることができる。
【0044】
V=πh(3W2+4h2)/24 …(数1)
【0045】
以上によりサンプル液滴と試薬液滴の量を正確に把握できるので、標準サンプルと試薬の液量比が標準からずれた場合の測定値の変化をあらかじめ取得しておけば補正が可能になる。
【0046】
本実施例によれば、媒体上に分注された液滴を撮像して液滴量を直接求めることができるため、本来の分注液量が設定値から外れた場合でも測定値の補正を行いより正確な測定値を求めることが可能になる。
【0047】
本発明の他の実施例を図6に示す。本実施例ではテープ間で混合液を攪拌する方法を示す。非特許文献(振動型中空糸膜濾過装置の開発、機械学会論文集B編、vol.69、No.688、p.2621−p.2625)から、接液面に沿った方向に面が移動することにより、面に垂直な方向に液の速度分布が生じ、面速度が速いほど遠いところまで液が動くことがわかっている。従って、面を往復し、往路と復路で面の速度を変えれば速度の速い側に液が進行する。
【0048】
図6は混合液中心付近のテープ進行方向断面を示している。テープ51とテープ52はそれぞれ別の駆動系で駆動しているので、互いに独立に移動可能である。図6の上側図に示すように、上下のテープを往復で速度差を付け逆位相で動かすと、互いのテープ面で逆方向の流れが誘起され、断面内に回転流れが生じ上下で液が入れ替わる。次に、下側の図に示すように往復で速度差をつけて同位相で動かすと上下面では同じ方向に流れが生じ、中央付近で折り返す上下2つの渦が発生し、中央付近と面付近の液が入れ替わる。以上の逆位相,同位相の動きを繰り返すことにより液は折り返され2液の接触面積が増加するので混合が促進する。
【0049】
本実施例によれば、テープ駆動系を利用しテープを往復動して液の混合を行うことができ、付加的な混合装置を必要としないので、装置の小型・低コスト化を実現できる。
【0050】
なお、混合に関しては振動源を有する部材をテープに接触振動させ、液を振動攪拌してもよい。また、音源を近接してテープを音波により振動し液を攪拌してもよい。また、電磁気力を利用して液を駆動し攪拌してもよい。
【0051】
図7,図8に本発明の他の実施例を示す。本実施例では1個のサンプル液滴に2個以上の試薬液滴を混合するテープの構成,装置の運転方法について述べる。
【0052】
先ず、テープの構成例につき説明する。図7はテープ51・52を面に垂直な方向から見たものである。テープ52の表面に形成した点着対象液と親和性のある円形のパターンのうち互いに近接する2つ以上のパターン組を形成する。図ではパターン5721とパターン5722からなるパターン組572としているが、パターン同士が重ならない限りパターン組を構成するパターンは3個以上あってもよい。また、テープ51には単独のパターン571を形成する。パターン571はテープ52のパターン5721と対応する。
【0053】
前記テープを使用して装置の運転例につき説明する。分注機31によりテープ51のパターン571上にサンプル液滴を形成する。また、分注機32によりパターン5721に第1試薬を分注し第1試薬液滴を形成する。さらに分注機32のノズルを洗浄した後、同様にパターン5722に第2試薬液滴24(図8)を分注する。その後、テープが移動しサンプル液滴と第1試薬液滴が合体し第1混合液231となる。図8は平行部でのテープを側方から見たものである。図8の上は前記第1混合液231がテープ51・52間に形成された状態を表す。次に図8中の様にテープ51またはテープ52、あるいは双方のテープを動かし第1混合液231と第2試薬24を近接合体させる。合体後は図6の実施例の混合方法などにより混合し第2混合液232を得る。
【0054】
パターン組を形成するパターンが複数ある場合は第2の混合液と残りの試薬液滴を上記と同様に合体混合して次の混合液を得、以下同様とすることができる。このようにして混合した液を検出部で測定するが混合途中の液を測定してもよい。また、パターン組のパターンのいくつかに試薬だけでなく1つ以上のサンプル液(別種でもよい)を置いてもよい。また、テープ51側にもパターン組があり、複数・複数種のサンプル・試薬を置いてもよい。
【0055】
本実施例によれば、複数種の試薬をサンプル液と混合できるので、多段の反応を要する測定法にも対応できるため、1つの装置で多種の測定が可能となり、適用分野が拡大する。
【符号の説明】
【0056】
1 分析装置
6 検出部
21 サンプル保持部
22 試薬保持部
23 混合液
31 サンプル分注機
32 試薬分注機
51 サンプル媒体(テープ)
52 試薬媒体(テープ)
61 光源群
62 光センサ群
71 サンプル側洗浄機構
72 試薬側洗浄機構
211 サンプル液滴
221 試薬液滴
411〜414 サンプル側ローラ
421〜424 試薬側ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の試料を分注する試料分注機構と、
該試料分注機構から吐出された試料を表面に付着させる、第1の媒体と、
所定量の試薬を表面に付着させた、第2の媒体と、
前記第1の媒体と、前記第2の媒体を近接させ、第1の媒体上の試料と第2の媒体上の試薬を混合する媒体移動機構と、
前記第1の媒体及び第2の媒体上で試料と試薬の混合液の反応を測定する計測機構と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分析装置において、
前記第1と第2の媒体の少なくとも一部は、可撓性を備えた帯状であり、
前記媒体移動機構は、前記媒体を長手方向に移動させるローラであることを特徴とする分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分析装置において、
前記帯状の媒体は閉じた環を形成していることを特徴とする分析装置。
【請求項4】
請求項2に記載の分析装置において、
前記媒体移動機構は、両端にローラを備え、該両端のロータに帯状の媒体がリール状に巻きこまれていることを特徴とする分析装置。
【請求項5】
請求項2に記載の分析装置において、
前記第1の媒体と、前記第2の媒体を近接させる際、前記媒体の少なくとも一部は、媒体面が水平であることを特徴とする分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の分析装置において、
前記第1の媒体と、前記第2の媒体の近接部に温度調節手段を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項7】
請求項1に記載の分析装置において、
前記媒体の表面に第1の液体または/及び第2の液体との界面自由エネルギーが媒体の他の表面より小さい低界面自由エネルギー領域を一箇所以上形成したことを特徴とする分析装置。
【請求項8】
請求項7に記載の分析装置において、
前記第1の媒体の表面に形成した複数の低界面自由エネルギー領域の間隔と前記第2の媒体の表面に形成した複数の低界面自由エネルギー領域の間隔が同一であることを特徴とする分析装置。
【請求項9】
請求項7に記載の分析装置において、
前記第1または/及び第2の媒体上に複数箇所の低界面自由エネルギー領域を隣接して組とすることを特徴とする分析装置。
【請求項10】
請求項7に記載の分析装置において、
低界面自由エネルギー領域に試薬成分を付着済みの媒体を搭載することを特徴とする分析装置。
【請求項11】
請求項1に記載の分析装置において、
該付着液の液量を測定する機構を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項12】
請求項2に記載の分析装置において、
前記媒体移動機構は、前記第1の媒体と第2の媒体を独立して駆動することを特徴とする分析装置。
【請求項13】
請求項12に記載の分析装置において、
前記媒体駆動機構は、前記対向部において、第1と第2の付着液が接触した後、第1の媒体と第2の媒体を同位相または逆位相で往復、あるいは同位相と逆位相交互に往復することを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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