説明

分注装置およびこれを備えた分析装置

【課題】 製造コストをさほど増加させることなく、ポンプユニットにおける吐出液量のバラツキが与える悪影響を低減する。
【解決手段】 分注装置において、シリンジ54Aに対してピストン54Bを相対動させられるポンプ機構部54と、ピストン54Bを移動させるため駆動力を付与するためのモータ55と、モータ55を制御するための制御手段と、目的量の液体を吸引・吐出させるために必要なモータ55に対する制御量を、目的量の液体を吐出させるときにシリンジ54Aに対するピストン54Bの相対位置に応じて演算するための演算手段と、を備えたものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物(たとえば分析用具の試薬部)に対して液体(たとえば試料)を分注するための分注装置、およびこの分注装置を備えた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分析装置としては、1または複数の試薬パッドが設けられた試験片を用いて、試薬パッドでの呈色の程度を把握することにより、試料における特定成分の分析を行うように構成されたものがある。このような分析装置は、試薬パッドに試料を点着するための分注装置を備えたものとして構成される。
【0003】
分注装置としては、たとえばシリンジに対してピストンを相対的に移動させることによって吸引力および吐出力を発生させるためのポンプユニットを備えたものが採用されている(たとえば特許文献1−3参照)。分注装置においては、ポンプユニットのシリンジにチップを装着して試料の吸引・吐出を行うように構成されたもの、あるいはポンプユニットのシリンジをノズルに連結し、ノズルにチップを装着して試料の吸引・吐出を行うように構成されたものがある。いずれの構成においても、分注装置に対する試料の吸引量および分注装置からの試料の吐出量は、シリンジに対するピストンの相対的な移動距離を選択することにより調製されている。シリンジに対するピストンの移動は、たとえばパルスモータやリニアモータからの駆動力をピストンに入力することにより行われている。
【0004】
その一方で、分析装置としては、小型かつ比較的に構成が簡易で安価なものもある。このような分析装置においては、コスト面を考慮して、構成が簡易で安価に入手可能なポンプ機構が採用されている。その一例として、本願の図3に示したポンプユニット52がある。
【0005】
このポンプユニット52は、シリンジ54Aに対してピストン54Bを相対動させることによって、シリンジ54Aに装着されたチップ(あるいはシリンジ54Aに連結されたノズルに装着されたチップ)の内部の圧力を変動させ、チップにおいて試料を吸引し、あるいはチップから試料を吐出するように構成されたものである。ピストン54Bは、直動シャフト55Bを介してモータ駆動部55Aに連結されており、モータ駆動部55Aに対して直動シャフト55Bを上下動させることにより、シリンジ54Aに対して相対動させられるように構成されている。
【0006】
上述のポンプユニット52は、構成が簡易で安価に入手が可能である反面、構成が簡易であるために直動シャフト55Bにガタツキが生じやすいものとなっている。そのため、ポンプユニット52では、直動シャフト55Bを移動させるときに軸ブレが生じる。直動シャフト55Bの軸ブレは、直動シャフト55Bの移動距離のバラツキ、ひいてはシリンジ54Aに対するピストン54Bの移動距離のバラツキとして現れる。すなわち、同一のポンプユニット52では、吐出タイミング(シリンジ54Aに対するピストン54Bの相対位置)に起因する吐出量のバラツキが生じる(図6および図7参照)。そのため、同一の分析装置においては、複数の試薬パッドを備えた試験片を用いる場合には試薬パッド相互で点着量にバラツキが生じる。その結果、試薬パッドごとに測定値の信頼性が異なったものとなる。
【0007】
また、異なるポンプユニット52相互では、部品自体の寸法誤差や部品の組み立て誤差によって直動シャフト55Bのガタツキの具合が異なったものとなる。そのため、異なるポンプユニット52相互においては、吐出量のバラツキに固有の特徴が生じる。その結果、ポンプユニット52が有する固有の吐出量のバラツキによって、異なる分析装置相互において測定感度にバラツキが生じる。
【0008】
このような問題を解決するためには、直動シャフト55Bの移動時に軸ブレが生じないようにすればよい。しかしながら、直動シャフト55Bの軸ブレを抑制するためには、装置構成が複雑化し、分注装置のコストが高くなる。
【0009】
【特許文献1】特開平5−256857号公報
【特許文献2】特開2002−364526号公報
【特許文献3】特開2004−170077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、製造コストをさほど増加させることなく、ポンプユニットにおける吐出液量のバラツキが与える影響(たとえばポンプ機構が分析装置に組み込まれた場合において、ポンプ機構に起因して生じる測定誤差)を低減することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の側面においては、シリンジに対してピストンを相対動させることにより、液体を吸引する状態と液体を吐出する状態とを選択可能とするためのポンプ機構部と、上記シリンジを上記ピストンに対して相対的に移動させる駆動力を付与するためのモータと、上記モータを制御するための制御手段と、目的量の液体を吐出させるために必要な上記モータに対する制御量を演算するための演算手段と、を備えた分注装置において、上記演算手段は、目的量の液体を吐出させるときに、上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置に応じて上記制御量を演算するように構成されていることを特徴とする、分注装置が提供される。
【0012】
本発明の第2の側面においては、分析用具を用いて試料の分析を行うように構成された分析装置であって、モータからの駆動力によってシリンジに対してピストンを相対動させることにより液体を吸引・吐出するように構成され、かつ上記分析用具に対して試料を供給するために利用される分注装置を備えた分析装置において、上記モータを制御するための制御手段と、目的量の液体を吐出させるために必要な上記モータに対する制御量を演算するための演算手段と、をさらに備えており、かつ、上記演算手段は、上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置に応じて上記制御量を演算するように構成されていることを特徴とする、分析装置が提供される。
【0013】
上記分注装置は、たとえばシリンジに対するピストンの相対位置から起算したシリンジに対するピストンの相対移動距離と、当該相対移動距離に対応した液体の吐出量と、の関係を記憶した記憶手段をさらに備えたものとして構成される。この場合、演算手段は、液体の吐出量の目的値が決定されたときに、上記相対位置および上記目的値に基づいて、上記関係にしたがってモータに対する制御量を演算するように構成される。
【0014】
モータは、たとえばピストンに連結され、かつ外部から供与された駆動パルス数に応じた距離だけ直進運動する直動シャフトを備えたものとして構成される。この場合、演算手段は、上記制御量をモータに供与する駆動パルス数として演算するように構成される。その一方で、制御手段は、目的量の液体を吐出させるときに、演算手段によって演算された駆動パルス数だけ上記モータに駆動パルスを入力させるように構成される。
【0015】
記憶手段は、たとえば目的量の液体を吸引したときの上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置を基準点とし、上記基準点をゼロカウントとして積算された上記モータに入力される駆動パルス数の積算値と、上記モータに1駆動パルスを入力させたときに吐出される液体の量と、の関係を記憶したものとして構成される。
【0016】
本発明の第3の側面においては、分析用具からの応答量に基づいて試料の分析を行うように構成された分析装置であって、モータからの駆動力によってシリンジに対してピストンを相対動させることにより液体を吸引・吐出するように構成され、かつ上記分析用具に対して試料を供給するために利用される分注装置を備えた分析装置において、上記モータを制御するための制御手段と、上記分析用具からの応答に基づいて試料の分析に必要な演算を行うための演算手段と、をさらに備えており、かつ、上記演算手段は、上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置から起算した上記シリンジに対する上記ピストンの相対移動距離を考慮して、試料の分析に必要な演算を行うように構成されていることを特徴とする、分析装置が提供される。
【0017】
本発明の第3の側面に係る分析装置は、たとえば分析用具からの応答量と試料における特定成分の濃度との関係を示す第1関係式または第1対応表、ならびにシリンジに対するピストンの相対位置から起算したシリンジに対するピストンの相対移動距離と当該相対移動距離に対する液体の吐出量との関係を示す第2関係式または第2対応表を記憶した記憶手段をさらに備えたものとして構成される。この場合、演算手段は、第1関係式または第1対応表、ならびに第2関係式または第2対応表に基づいて上記特定成分の濃度を演算するように構成される。
【0018】
本発明の第3の側面に係る分析装置の分注装置においては、モータは、ピストンに連結され、かつ外部から供与された駆動パルス数に応じた距離だけ直進運動する直動シャフトを備えたものとして構成される。この場合、記憶手段は、目的量の液体を吸引したときのシリンジに対する上記ピストンの相対位置を基準点とし、上記基準点をゼロカウントとして積算されたモータに入力される駆動パルス数の積算値と、モータに1駆動パルスを入力させたときに吐出される液体の量と、の関係を記憶したものとして構成される。その一方で、演算手段は、シリンジに対する現在のピストンの位置、およびモータに入力された駆動パルス数から、吐出される液体の量を演算し、かつ、吐出させるべき液体の量と演算された液体の吐出量との誤差量を勘案して、上記特定成分の濃度の演算を行うように構成される。
【0019】
上記分注装置は、たとえばシリンジに連結され、かつ液体を吸引・吐出させるためのノズルを備えたものとして構成される。この場合、ノズルは、シリンジに対してピストンを相対動させることによってシリンジの内部に気体を吸引可能な状態とシリンジの内部の気体を排出可能な状態とを選択させることにより、ノズルにおいて液体を吸引する状態と液体を吐出する状態とを選択できるように構成される。
【0020】
上記分析装置は、分析用具として、試料における特定成分と反応して呈色する1以上の試薬部を備えたものを使用するように構成される。この場合、分析装置は、1以上の試薬部における呈色の程度を測光するための測光手段をさらに備えたものとして構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1および図2に示した分析装置1は、試験片20,21を用いて血液における特定成分の濃度分析を行うように構成されたものであり、筐体3、試験片載置台4、分注装置5、および測光装置6を有している。
【0022】
筐体3は、分析装置1の外観形状を規定するとともに、各種の要素を収容するためのものである。この筐体3は、開口30,31、および一対のガイド凸部32を有している。
【0023】
開口30は、試験片載置台4の一部が筐体3の外部に突出することを許容するためのものであり、筐体3の前面33に設けられている。この開口30は、蓋34によって開放状態と閉鎖状態とが選択されるようになされている。開口30が開放された状態では、筐体3の内部と外部とが連通し、試験片載置台4が筐体3の内部に収容される状態と、試験片載置台4の大部分が筐体3の外部に突出して後述する第1および複数の第2スリット41,42が露出する状態と、が選択可能とされている。
【0024】
開口31は、筐体3に対してラック35を出し入れする際に利用されるものである。この開口31は、筐体3の側面36に設けられており、ラック35によって開放状態と閉鎖状態とが選択されるようになされている。ここで、ラック35は、チップ58および試料を収容した容器(図示略)を保持するためのものであるとともに、使用済みのチップ58を収容するためのものである。
【0025】
一対のガイド凸部32は、後述する試験片載置台4の一対のガイド凹部43に係合させるためのものであるとともに、試験片載置台4の移動経路を規定するためのものである。これらのガイド凸部32は、D1,D2方向に間隔を隔てて設けられているとともに、図面上には明確に表れていないが、D3,D4方向に延びている。
【0026】
筐体3にはさらに、操作パネル37およびディスプレイ38が設けられている。操作パネル37は、測定条件を設定し、あるいは分析装置1の動作を規定するための各種操作ボタン37Aが設けられたものである。ディスプレイ38は、測定結果や操作ボタン37Aの操作結果などを表示するものである。
【0027】
試験片載置台4は、試験片20,21を載置するためのものであるとともに、試験片20,21を目的位置に移動させるためのものである。この試験片載置台4は、筐体3に対して第1および第2停止位置の間をD3,D4方向に往復移動可能とされている。第1停止位置は、試験片載置台4に試験片20,21を載置し、あるいは試験片載置台4から試験片20,21を取り外すための位置であり、後述する試験片載置台4の第1および第2スリット41,42が筐体3の外部に露出した位置である。第2停止位置は、試薬パッド20A,21Aの呈色の程度を測光するための位置であり、試薬パッド20A,21Aが後述する測光装置6の発光要素61と対面する位置である。試験片載置台4は、第1および第2停止位置に加えて、第1および第2停止位置の間にある第3停止位置、すなわち試験片20,21の試薬パッド20A,21Aに対して分注装置5を用いて試料を点着するための位置に停止可能とされている。
【0028】
このような試験片載置台4は、第1スリット41、複数(本実施形態では3個)の第2スリット42、一対のガイド凹部43、およびギア部44を有している。
【0029】
第1スリット41は、多成分測定用の試験片20を保持するためのものであり、筐体3のD1,D2方向に延びるように形成されている。多成分測定用の試験片20は、複数(本実施形態では5個)の試薬パッド20Aが設けられたものである。各試薬パッド20Aのそれぞれは、たとえばグルコース、アルブミン、カルシウムなどの特定成分と反応して呈色する試薬を担持させたものである。これに対して、各第2スリット42は、単一成分測定用の試験片21を保持するためのものであり、筐体3のD3,D4方向に延びるように形成されている。単一成分測定用の試験片21は、1つの試薬パッド21Aが設けられたものである。試薬パッド21Aは、たとえばグルコース、アルブミン、カルシウムなどの特定成分と反応して呈色する試薬を担持させたものである。
【0030】
一対のガイド凹部43は、筐体3に設けられた一対のガイド凸部32に係合させるためものである。すなわち、試験片載置台4は、各ガイド凹部43が対応するガイド凸部32と係合することにより、一対のガイド凸部32に沿ってD3,D4方向に移動させられるように構成されている。
【0031】
ギア部44は、モータ45の回転駆動力を試験片載置台4に入力させるための部分である。このギア部44は、モータ45の出力軸46に固定されたギア47に係合させるための複数の歯(図示略)を有している。したがって、試験片載置台4は、モータ45の出力軸46の回転方向に応じて筐体3に対してD3方向またはD4方向へ移動させられる。これにより、試験片載置台4は、D3,D4方向に往復移動可能とされている。
【0032】
図2に示した分注装置5は、血液などの試料を吸引し、その試料を試験片20,21の試薬パッド20A,21Aに点着するためのものである。この分注装置5は、ノズル50に対してフレキシブルチューブ51を介してポンプユニット52を連結した構成を有している。
【0033】
ポンプユニット52は、ノズル50に対して吸引力または吐出力を作用させるためのものである。このポンプユニット52は、図3、図4(a)および図4(b)に示したように、支持プレート53に対して、ポンプ機構部54およびパルスモータ55を固定した構成を有しており、ポンプ機構部54とパルスモータ55との間がガイドブロック56によって接続されている。
【0034】
支持プレート53は、ポンプ機構部54を固定するための起立壁53Aと、パルスモータ55を固定するための水平壁53Bとを有しており、起立壁53Aにおいて筐体3の側壁39に固定されている。この支持プレート53には、水平壁53Bから起立壁53Aに連続するスリット53Cが設けられている。このスリット53Cは、水平壁53Bに設けられ部分においてパルスモータ55の直動シャフト55Bが挿通されるのを許容し、起立壁53Aに設けられた部分において後述するガイドブロック56の移動を許容する。
【0035】
ポンプ機構部54は、ノズル50の内部に圧力変動を生じさせるためのものであり、シリンジ54Aの内部に、シリンジ54Aに対して相対動可能にピストン54Bが挿入された構成を有している。シリンジ54Aは、支持プレート53の起立壁53Aに固定されている。ピストン54Bは、ガイドブロック56を介して後述するパルスモータ55の直動シャフト55Bに連結されている。ガイドブロック56には、パルスモータ55の直動シャフト55Bの下端部およびピストン54Bの上端部がそれぞれ固定されているとともに、スリット53Cにおける起立壁53Aに設けられた部分に対して係合されている。
【0036】
パルスモータ55は、ピストン53を上下動させるための動力を発生させるためのものであり、モータ駆動部55A、およびこのモータ駆動部55Aの中心に螺号された直動シャフト55Bを有している。このパルスモータ55は、モータ駆動部55Aによって直動シャフト55Bに回転力を作用させることにより、直動シャフト55Bが上下動するように構成されている。そして、直動シャフト55Bは、上述のようにガイドブロック56を介してピストン54Bに連結されている。そのため、直動シャフト55Bを上下動させた場合には、直動シャフト55Bの運動に連動してピストン54Bが上下動する。これにより、ポンプ機構部54は、ノズル50(図2参照)の内部に圧力変動を生じさせることができる。
【0037】
ガイドブロック56は、ポンプ機構部54のピストン54Bとパルスモータ55の直動シャフト55Bとの間を連結するためのものであるとともに、直動シャフト55Bの上下動を規制するためのものである。このガイドブロック56は、係合部56Aおよび突出部56Bを有している。係合部56Aは、支持プレート53のスリット53Cにおける起立壁53Aの部分に係合させるためのものである。すなわち、ガイドブロック56は、係合部56Aがスリット53Cに係合することにより、その移動方向が規制されるように構成されている。突出部56Bは、支持プレート53の起立壁53Aに設けられたセンサ57によって検出させるためのものである。センサ57は、ピストン54Bが必要以上に下方に移動させられることを防止するのに利用されるものである。すなわち、後述する制御部72(図5参照)は、センサ57において突出部56Bが検出されたことが確認されたときに、モータ駆動部55Aに対する駆動パルスの入力を中止し、ピストン54Bの下動を停止させる。
【0038】
図2に示したノズル50は、先端部にチップ58を装着して使用されるものであり、水平方向および垂直方向に移動可能とされている。このノズル50は、ポンプユニット52からの動力により空気を吸引可能な状態と、空気を排出可能な状態とを選択可能とされている。すなわち、ノズル50においては、チップ58を装着した状態において空気を吸引可能な動作を行うことにより試料を吸引してチップ58の内部に試料を保持させることができる一方、空気を排出可能な動作を行うことによりチップ58に保持された試料を吐出することができる。
【0039】
ここで、ノズル50における試料の吸引量および吐出量は、ポンプユニット52から付与される動力の大きさ、すなわち図3、図4(a)および図4(b)から予想されるように、シリンジ54Aに対するピストン54Bの相対的な移動距離に依存する。そして、ピストン54Bの移動距離は、パルスモータ55の直動シャフト55Bの移動距離、すなわちモータ駆動部55Aに入力される駆動パルス数に依存する。後述するように、モータ駆動部55Aに入力する駆動パルス数は、制御部72によって制御される。
【0040】
図2に示したように、測光装置6は、試験片20,21の試薬パッド20A,21A(図1参照)の呈色状態を把握するためのものである。この測光装置6は、ホルダ60に固定された発光要素61および受光要素62を有している。発光要素61は試験片20,21の試薬パッド20A,21A(図1参照)に対して光を照射するためのものであり、たとえばLEDランプなどで構成されている。一方、受光要素62は、試薬パッド20A,21A(図1参照)からの反射光を受光するためのものであり、たとえばフォトダイオードにより構成されている。この測光装置6では、試験片載置台4をD3方向に移動させて試験片20,21(図1参照)の試薬パッド20A,21Aを発光要素61に対面させることにより、試薬パッド20A,21A(図1参照)の測光を行うことができる。
【0041】
図5に示したように、分析装置1はさらに、上述した各要素に加えて、記憶部70、演算部71および制御部72を備えている。
【0042】
記憶部70は、特定要素(たとえばノズル50、試験片載置台4、ポンプユニット52、あるいは測光装置6(図2参照))を動作させるときに必要なプログラムなどを記憶し、また特定要素を動作させているときに必要な情報および特定要素(たとえばセンサ57、受光要素62あるいは演算部71)から送信されてくる信号を一時的に記憶するためのものである。
【0043】
この記憶部70においてはさらに、演算部71において試料中の特定成分の濃度演算に必要な情報を記憶している。より具体的には、記憶部70は、受光要素62での受光量(試薬パッド20A,21A(図1参照)での反射量)と、当該試薬パッド20A,21A(図1参照)において測定対象となる特定成分の濃度と、の関係を示す複数の検量線、ならびにシリンジ54Aに対するピストン54B(図3参照)の相対移動距離と、当該相対移動距離に対応した液体の吐出量との関係を示す相関式または対応表を記憶している。複数の検量線は、特定量(たとえば4μL)の試料を試薬パッド20A,21A(図1参照)に点着したときの関係として、試験片20,21における測定項目に応じた数だけ記憶させられている。もちろん、記憶部70においては、検量線に代えて、対応表という形で、受光量と濃度との関係を記憶しておいてもよい。
【0044】
演算部71は、制御部72の制御対象の制御量を演算するとともに、受光要素62での受光量を記憶部70において記憶された検量線(対応表)に当てはめることにより、特定成分の濃度を演算するものである。後述するように、演算部71は、必要に応じて試薬パッド20A,21A(図1参照)に対する試料の点着量のずれを考慮して、特定成分の濃度演算を行う。
【0045】
制御部72は、上述のように特定要素(たとえばノズル50、試験片載置台4、ポンプユニット52あるいは測光装置6(図2参照))の動作を制御するためのものである。
【0046】
記憶部70、演算部71および制御部72は、たとえばCPU、ROM、およびRAMを組み合わせて構成することができる。
【0047】
ここで、シリンジ54Aに対するピストン54Bの相対移動距離と、当該相対移動距離に対応した液体の吐出量との関係について説明しておく。図6に一例を示したように、ノズル50での吐出量(試薬パッド20A,21Aに対する点着量)は一定ではなくバラツキがある。なお、図示した例では、ノズル50からは、1駆動パルス当たりに、理論量0.04μLの液滴が吐出されるように構成されている。図示した例では、たとえば図7に示したように、ある基準点(たとえば試料を40μL吸引した状態)から起算して、100パルスおよび150パルスに相当する分だけピストンを移動させた場合には、それぞれノズルから4.36μL(理論値は4.00μL)および6.24μL(理論値は6.00μL)の試料が吐出され、それぞれ+9%および+4%の誤差を含んでいる。また、基準点からカウントして101〜200パルス(100パルス分)および151〜250パルス(100パルス分)に相当する分だけピストンを移動させた場合には、それぞれ吐出量が3.68μL(理論値は4.00μL(誤差−8%))および吐出量が3.80μL(理論値は4.00μL(誤差−5%))である。
【0048】
このようなバラツキは、従来技術において触れたように、モータ駆動部55Aを駆動させたときの直動シャフト55Bの軸ブレに起因するものであり、異なるポンプユニット52相互において同様なバラツキを示すのではなく、各ポンプユニット52が固有のバラツキを有している。そのため、ピストン54Bの相対移動距離と、ノズル50での吐出量との関係については、分注装置5(分析装置1)ごとに予め調べておく必要があり、その結果に応じて、記憶部70に対して、ピストン54Bの相対移動距離と、ノズル50での吐出量との関係が相関式または対応表として記憶される。
【0049】
より具体的には、まず対象となる分注装置5(分析装置1)におけるピストン54Bの基準位置を設定する。この基準点は、たとえば1回の測定において必要な点着合計量よりも大きな量の試料を、ノズル50において吸引可能な位置から選択される。たとえば1回の測定において最大9個の試薬パッド20A,21Aに試料を点着するとともに、それぞれの試薬パッド20A,21Aに4μLずつ試料を点着する場合には、合計点着量が36μLとなる。この場合には、ノズル50において36μL以上の試料を吸引する必要があるために、ピストン54Bの基準位置は、36μLよりも大きな量である、たとえば40μLの試料を吸引させたときの位置として設定される。
【0050】
次いで、モータ駆動部55Aに駆動パルスを1つ入力してピストン54Bを移動させた上で、そのときにノズル50から吐出される試料の量を計測する。このような駆動パルスの入力(ピストン54Bの移動)および吐出量の計測を繰り返し行うと、図6に示したようなグラフまたは当該グラフに相当する対応表が得られる。このようにして得られたグラフまたは対応表からは、モータ駆動部55Aに対する駆動パルスの入力数をカウントしておくことにより、ピストン54Bが基準位置からどれだけ離れた位置にあるかを把握することができ、さらには、現在のピストン54Bの位置から1駆動パルスに相当する分だけピストンを移動させたときに、どれだけの量の試料がノズル50から吐出されるかを把握できる。換言すれば、ピストン54Bがどの位置にあっても、その位置から1駆動パルス分だけピストン54Bを移動させたときのノズル50からの吐出量を把握することができる。この知見からは、次の2つの情報を得ることができる。
【0051】
第1の情報は、目的量の試料をノズル50から吐出させるのに必要となる駆動パルス数が、現在のピストン54Bの位置から起算して何パルス目であるかということである。すなわち、現在のピストン54Bの位置からピストン54Bを1駆動パルスに相当する分だけ移動させたときのノズル50からの吐出量が把握できれば、1駆動パルス当たりの吐出量を現在のピストン54Bの位置から積算し、その積算値が目的量に最も近くなる駆動パルス数を演算することができる。このような演算は、演算に必要なプログラムを記憶部70に記憶させておくことにより、演算部71において実行することができる。
【0052】
第1の情報によれば、演算部71において演算された駆動パルス数に応じて制御部72によってモータ駆動部55Aを駆動すれば、ノズル50から吐出される試料の量を全ての試薬パッド20A,21Aにおいて目的量に近づけることができる。これにより、試薬パッド20A,21A相互での点着量のバラツキを抑制し、点着量のバラツキに起因する測定誤差を抑制することができる。しかも、上述したピストン54Bの移動距離とノズル50からの吐出量との関係は、分注装置5(分析装置1)ごとに調べられ、分注装置5(分析装置1)ごとに吐出量のバラツキを抑制することができる。これにより、異なる分析装置1相互間における測定感度のバラツキを抑制することができる。
【0053】
一方、第2の情報は、モータ駆動部55Aに特定数の駆動パルスを入力させたときに、現在のピストン54Bの位置から起算すればどの程度の量の試料がノズル50から吐出されるかを把握することができる。すなわち、現在のピストン54Bの位置からピストン54Bを1駆動パルスに相当する分だけ移動させたときのノズル50からの吐出量が把握できれば、1駆動パルス当たりの吐出量を現在のピストン54Bの位置から積算し、その積算値が特定数の駆動パルスをモータ駆動部55Aに入力した後においてどの程度となるかを把握することができる。これにより、ノズル50から吐出される試料の量が目的量からずれて誤差を含んでいる場合であっても、その誤差量を把握することができる。そして、試料吐出量(点着量)の誤差量を把握できれば、誤差量を考慮して試料中の特定成分の濃度を演算することができる。すなわち、目的量からの誤差量に応じて、たとえば測光装置6の受光要素62での受光量を補正した上で、その補正量に基づいて試料中の特定成分の濃度演算を行うことができる。たとえば、試料点着量が目的量よりも10%多い場合、測光装置6の受光要素62での受光量を10%減じた補正量を演算した上で、その補正量に基づいて試料中の特定成分の濃度演算を行うことができる。このような吐出量(点着量)の誤差量および補正量は、演算に必要なプログラムを記憶部70に記憶させておくことにより、演算部71において実行することができる。
【0054】
第2の情報によれば、試薬パッド20A,21Aに対する点着量にバラツキがあったとしても、そのバラツキを許容しつつ、適切な濃度演算を行うことができる。しかも、上述したピストン54Bの移動距離とノズル50からの吐出量との関係は、分注装置5(分析装置1)ごとに算出されるため、上述した第1の情報の場合と同様に、異なる分析装置1相互間における測定感度のバラツキを抑制することができる。
【0055】
次に、分析装置1を用いた試料の分析動作について説明する。
【0056】
分析装置1を用いて試料の分析を行う場合には、まず試験片載置台4に試験片20,21をセットする。試験片20,21のセットは、試験片載置台4を筐体3の手前側に移動させて第1停止位置に試験片載置台4を停止させ、第1スリット41および第2スリット42のそれぞれが露出した状態で行われる。この状態は、たとえば所定の操作ボタン37Aを押下することにより、あるいは蓋34を開けることにより自動的に達成される。また、試験片載置台4に試験片20,21をセットした場合には、試験片載置台4を筐体3の内部に移動させた後に、蓋34が閉められる。試験片載置台4の筐体3の内部への移動は、たとえば所定の操作ボタン37Aを押下することにより、あるいは蓋34を閉めることにより自動的に達成される。
【0057】
ここで、試験片載置台4にセットすべき試験片20,21は、測定すべき特定成分の種類に応じて選択される。先にも触れたように、所定の複数の特定成分の測定を行う場合には、多成分測定用の試験片20が試験片載置台4における第1スリット41にセットされる。一方、多成分測定用の試験片20では対応できない特定成分について、あるいは多成分測定用の試験片20において測定可能な特定成分のうちの1つの特定成分についてのみ測定を行う場合には、単一成分測定用の試験片21が第2スリット42に個別にセットされる。
【0058】
以上のようにして試験片20,21のセットが完了した場合には、たとえば試料中の特定成分の濃度が自動的に測定される。分析装置1における測定は、試薬パッド20A,21Aに試料を点着した後に、試薬パッド20A,21Aの呈色状態を測光した上で、その測光結果に基づいて行われる。
【0059】
試薬パッド21Aに対する試料の点着は、試験片載置4を第3停止位置に停止させた状態とした上で、分注装置5によって試料を吸引した後に、それを吐出させることにより行われる。
【0060】
より具体的には、分注装置5により試料の吸引を行う場合には、まず制御部72は、ラック35に保持されたチップ58の上方にノズル50を移動させた後に、ノズル50を下動させてノズル50にチップ58を装着させる。次いで、制御部72は、ノズル50をラック35に保持された試料を保持した容器(図示略)の上方に移動させた後にノズル50を下動させ、パルスモータ55に目的数の駆動パルスを入力させてピストン54Bを上動させる。これにより、チップ58の内部に負圧が発生し、チップ58の内部に試料が吸引される。一方、分注装置5により試料の吐出を行う場合には、制御部72は、ノズル50の先端が目的とする試薬パッド20A,21Aに対面するようにノズル50を移動させた後、パルスモータ55に目的数の駆動パルスを入力させてピストン54Bを下動させる。これにより、チップ58の内部からは、ピストン54Bの移動量に応じた量だけ試料が吐出され、それが目的とする試薬パッド20A,21Aに点着される。このような試料の点着は、ノズル50を移動させつつ、点着すべき試薬パッド20A,21Aの数だけ行われる。
【0061】
なお、試料吐出時におけるパルスモータ55に入力すべき駆動パルスの数は、予め設定された数としてもよく、また上述のように、ピストン54Bの位置に応じて、演算部71によって目的量の試料と吐出するのに最適な駆動パルス数を演算した上で、その演算値を採用してもよい。前者のように予め設定された数の駆動パルスをパルスモータ55に入力させる場合には、演算部71においては、上述のように予め設定された数の駆動パルスをパルスモータ55に入力したときのノズル50から吐出量、ひいては目的量(理論吐出量)からの誤差量が演算される。
【0062】
試薬パッド20A,21Aにおける呈色状態の測光を行う場合には、制御部72は、試験片載置台4を第2停止位置に停止させた状態とし、測光装置6を動作させる。測光装置6においては、各発光要素61から対応する試薬パッド20A,21Aに対して光が照射される一方で、各受光要素62において、試薬パッド20A,21Aにおいて反射した光が受光される。
【0063】
試料中の特定成分の濃度演算は、演算部71において、各受光要素62での受光量を、上述の検量線(対応表)に当てはめることにより行われる。ただし、パルスモータ55に対して予め設定された数の駆動パルスの数が入力された場合には、先に演算した誤差量に基づいて各受光要素62での受光量を演算部71において補正した上で、その補正量を上述の検量線(対応表)に当てはめることにより濃度演算が行われる。
【0064】
本発明は、上述した実施の形態において採用された構成には限定されない。すなわち、分注装置5は、ポンプユニット52にノズル50が連結された構成とされていたが、ポンプユニットのシリンジにチップを装着し、このチップに試料を保持させ、かつチップに保持された試料を吐出するように構成してもよい。この場合、ポンプユニットは、水平方向および垂直方向に移動可能なように構成される。また、ポンプユニットとしては、リニアモータによりピストンを移動させるように構成されたものを採用することもできる。
【0065】
本発明はさらに、試験片を用いて試料の分析を行うように構成された分析装置に限らず、その他の構成の分析用具(たとえば液相において試料と試薬とを反応させるように構成されたもの)を用いて試料の分析を行うように構成された分析装置にも適用することができる。制御部、演算部および記憶部は、専ら分注装置のためのものと、分注装置以外の要素を動作させるためのものと、を区別して設けてもよく、分注装置のものとそれ以外のものとを併用するようにしてもよい。
【0066】
また、本発明の分注装置5は、分析装置に限らず、その他の用途に使用することもできる。その場合の分注装置は、上述の機能を有する制御部、演算部および記憶部を備えたものとして構成される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る分析装置の一例を示す全体斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示した分析装置におけるポンプユニットを説明するための正面図である。
【図4】(a)は図3に示したポンプユニットを、一部を破断して示した正面図であり、(b)はIVb−IVb線に沿う断面図である。
【図5】図1に示した分析装置のブロック図である。
【図6】図1に示した分析装置における分注装置のパルスモータに入力されたパルスの数(ピストンの移動距離)と、ノズルからの試料の吐出量(試薬パッドへの点着量)と、の関係の一例を示すグラフである。
【図7】図6に示した関係における吐出量(点着量)の誤差の例を示す表である。
【符号の説明】
【0068】
1 分析装置
20,21 試験片(分析用具)
20A,21A (試験片の)試薬パッド(分析用具の試薬部)
5 分注装置
50 (分注装置の)ノズル
52 (分注装置の)ポンプユニット
54 (分注装置の)ポンプ機構部
54A (ポンプ機構部の)シリンジ
54B (ポンプ機構部の)ピストン
55 パルスモータ(モータ)
55B (パルスモータの)直動シャフト
6 測光装置(測光手段)
70 記憶部(記憶手段)
71 演算部(演算手段)
72 制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジに対してピストンを相対動させることにより、液体を吸引する状態と液体を吐出する状態とを選択可能とするためのポンプ機構部と、上記シリンジを上記ピストンに対して相対的に移動させる駆動力を付与するためのモータと、上記モータを制御するための制御手段と、目的量の液体を吐出させるために必要な上記モータに対する制御量を演算するための演算手段と、を備えた分注装置において、
上記演算手段は、目的量の液体を吐出させるときに、上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置に応じて上記制御量を演算するように構成されていることを特徴とする、分注装置。
【請求項2】
上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置から起算した上記シリンジに対する上記ピストンの相対移動距離と、当該相対移動距離に対応した液体の吐出量と、の関係を記憶した記憶手段をさらに備えており、
上記演算手段は、液体の吐出量の目的値が決定されたときに、上記相対位置および上記目的値に基づいて、上記関係にしたがって上記モータに対する制御量を演算するように構成されている、請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
上記モータは、上記ピストンに連結され、かつ外部から供与された駆動パルス数に応じた距離だけ直進運動する直動シャフトを備えており、かつ、
上記演算手段は、上記制御量を上記モータに供与する駆動パルス数として演算するように構成されており、
上記制御手段は、目的量の液体を吐出させるときに、上記演算手段によって演算された駆動パルス数だけ上記モータに駆動パルスを入力させるように構成されている、請求項2に記載の分注装置。
【請求項4】
上記記憶手段は、目的量の液体を吸引したときの上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置を基準点とし、上記基準点をゼロカウントとして積算された上記モータに入力される駆動パルス数の積算値と、上記モータに1駆動パルスを入力させたときに吐出される液体の量と、の関係を記憶している、請求項3に記載の分注装置。
【請求項5】
上記シリンジに連結され、かつ液体を吸引・吐出させるためのノズルを備えており、
上記ノズルは、上記シリンジに対して上記ピストンを相対動させることによって当該シリンジの内部に気体を吸引可能な状態と当該シリンジの内部の気体を排出可能な状態とが選択され、かつ当該ノズルにおいて液体を吸引する状態と液体を吐出する状態とが選択されるように構成されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の分注装置。
【請求項6】
分析用具を用いて試料の分析を行うように構成された分析装置であって、
モータからの駆動力によってシリンジに対してピストンを相対動させることにより液体を吸引・吐出するように構成され、かつ上記分析用具に対して試料を供給するために利用される分注装置を備えた分析装置において、
上記モータを制御するための制御手段と、目的量の液体を吐出させるために必要な上記モータに対する制御量を演算するための演算手段と、をさらに備えており、かつ、
上記演算手段は、上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置に応じて上記制御量を演算するように構成されていることを特徴とする、分析装置。
【請求項7】
上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置から起算した上記シリンジに対する上記ピストンの相対移動距離と、当該相対移動距離に対する液体の吐出量と、の関係を記憶した記憶手段をさらに備えており、
上記演算手段は、液体の吐出量の目的値が決定されたときに、上記相対位置および上記目的値に基づいて、上記関係にしたがって上記モータに対する制御量を演算するように構成されている、請求項6に記載の分析装置。
【請求項8】
上記モータは、上記ピストンに連結され、かつ外部から供与された駆動パルス数に応じた距離だけ直進運動する直動シャフトを備えており、かつ、
上記演算手段は、上記制御量を上記モータに供与する駆動パルス数として演算するように構成されており、
上記制御手段は、目的量の液体を吐出させるときに、上記演算手段によって演算された駆動パルス数だけ上記モータに駆動パルスを入力させるように構成されている、請求項7に記載の分析装置。
【請求項9】
上記記憶手段は、目的量の液体を吸引したときの上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置を基準点とし、上記基準点をゼロカウントとして積算された上記モータに入力される駆動パルス数の積算値と、上記モータに1駆動パルスを入力させたときに吐出される液体の量と、の関係を記憶している、請求項8に記載の分析装置。
【請求項10】
分析用具からの応答量に基づいて試料の分析を行うように構成された分析装置であって、
モータからの駆動力によってシリンジに対してピストンを相対動させることにより液体を吸引・吐出するように構成され、かつ上記分析用具に対して試料を供給するために利用される分注装置を備えた分析装置において、
上記モータを制御するための制御手段と、上記分析用具からの応答に基づいて試料の分析に必要な演算を行うための演算手段と、をさらに備えており、かつ、
上記演算手段は、上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置から起算した上記シリンジに対する上記ピストンの相対移動距離を考慮して、試料の分析に必要な演算を行うように構成されていることを特徴とする、分析装置。
【請求項11】
上記分析用具からの応答量と試料における特定成分の濃度との関係を示す第1関係式または第1対応表、ならびに上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置から起算した上記シリンジに対する上記ピストンの相対移動距離と当該相対移動距離に対する液体の吐出量との関係を示す第2関係式または第2対応表を記憶した記憶手段をさらに備えており、
上記演算手段は、上記第1関係式または第1対応表、ならびに上記第2関係式または第2対応表に基づいて上記特定成分の濃度を演算するように構成されている、請求項10に記載の分析装置。
【請求項12】
上記モータは、上記ピストンに連結され、かつ外部から供与された駆動パルス数に応じた距離だけ直進運動する直動シャフトを備えており、かつ、
上記記憶手段は、目的量の液体を吸引したときの上記シリンジに対する上記ピストンの相対位置を基準点とし、上記基準点をゼロカウントとして積算された上記モータに入力される駆動パルス数の積算値と、上記モータに1駆動パルスを入力させたときに吐出される液体の量と、の関係を記憶しており、
上記演算手段は、上記シリンジに対する現在の上記ピストンの位置、および上記モータに入力された駆動パルス数から、吐出される液体の量を演算し、かつ、吐出させるべき液体の量と演算された液体の吐出量との誤差量を勘案して、上記特定成分の濃度の演算を行うように構成されている、請求項11に記載の分析装置。
【請求項13】
上記分注装置は、上記シリンジに連結され、かつ液体を吸引・吐出させるためのノズルを備えており、
上記ノズルは、上記シリンジに対して上記ピストンを相対動させることによって当該シリンジの内部に気体を吸引可能な状態と当該シリンジの内部の気体を排出可能な状態とが選択され、かつ当該ノズルにおいて液体を吸引する状態と液体を吐出する状態とが選択されるように構成されている、請求項6ないし12のいずれかに記載の分析装置。
【請求項14】
上記分析用具として、試料における特定成分と反応して呈色する1以上の試薬部を備えたものを使用するように構成されており、かつ、
上記1以上の試薬部における呈色の程度を測光するための測光手段をさらに備えている、請求項6ないし13のいずれかに記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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